伸縮ジブ付きクレーンにおける伸縮ジブの伸長方法
【課題】伸縮ジブを垂下姿勢で伸長させる際に、ブーム先端部から吊下させたメインフックが伸縮ジブに干渉しないように行えるようにする。
【解決手段】基側ジブ41と先側ジブ42とを有した伸縮ジブ4を伸縮ブーム3のブーム先端部から垂下させ、ブーム先端部3bにメインフック62を吊下させたもので、先側ジブ42の先端部にサブフック72を過巻状態で衝合させた状態からサブウインチ7を巻上・巻下操作することで伸縮ジブ4を伸縮させ得るようにした伸縮ジブ付きクレーンを使用し、ブーム先端部3bから垂下させた伸縮ジブ4を所定角度範囲aだけ前方に振出した姿勢で、サブウインチ7の巻下操作と伸縮ブーム3の伸長操作とを行って、先側ジブ42を自重で伸長させるようにすることにより、伸縮ジブ4の伸長動作時にブーム先端部3bから吊下しているメインフック62が伸縮ジブ4に干渉しないようにしている。
【解決手段】基側ジブ41と先側ジブ42とを有した伸縮ジブ4を伸縮ブーム3のブーム先端部から垂下させ、ブーム先端部3bにメインフック62を吊下させたもので、先側ジブ42の先端部にサブフック72を過巻状態で衝合させた状態からサブウインチ7を巻上・巻下操作することで伸縮ジブ4を伸縮させ得るようにした伸縮ジブ付きクレーンを使用し、ブーム先端部3bから垂下させた伸縮ジブ4を所定角度範囲aだけ前方に振出した姿勢で、サブウインチ7の巻下操作と伸縮ブーム3の伸長操作とを行って、先側ジブ42を自重で伸長させるようにすることにより、伸縮ジブ4の伸長動作時にブーム先端部3bから吊下しているメインフック62が伸縮ジブ4に干渉しないようにしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、伸縮ブームのブーム先端部に基側ジブと先側ジブを伸縮自在に連結してなる伸縮ジブを継ぎ足して使用できるようにした伸縮ジブ付きクレーンを対象にし、さらに詳しくは伸縮ジブを空中において振出し操作し得るようにするとともに、伸縮ジブの先側ジブを自重で伸長させ得るようにした伸縮ジブ付きクレーンにおける伸縮ジブの伸長方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、大型の移動式クレーンでは、伸縮ブームのブーム先端部にジブを継ぎ足して使用できるようになっている。又、この種の大型の移動式クレーンでは、ブーム先端部に継ぎ足されるジブとして基側ジブと先側ジブを伸縮自在に連結してなる伸縮ジブを使用したものがある。
【0003】
そして、この種の伸縮ジブ付きクレーンにおいて、伸縮ジブをブーム先端部の前方に張出させるのに、伸縮ブームを所定角度起仰させた状態で、該伸縮ジブを空中において下振出し方式で行うものが知られている。
【0004】
ところで、伸縮ジブを下振出し方式でブーム先端部の前方に張出させ得るようにしたものとして、例えば特許文献1(特開平5−155584号公報)に示されるものがあるが、この特許文献1の伸縮ジブ付きクレーンは、図9及び図10に示すものである。
【0005】
この図9及び図10に示す公知(特許文献1)の伸縮ジブ付きクレーンでは、伸縮ジブ104として基側ジブ141に対して先側ジブ142が伸縮し得るようにしたものを採用しており、さらに伸縮ジブ104を下向きに垂下させた状態で、先側ジブ142に対する支持力を解除することで該先側ジブ142を自重で降下(伸長)させ得るようになっている。
【0006】
即ち、この公知の伸縮ジブ付きクレーンでは、図9において実線図示するように、所定角度起仰させた伸縮ブーム103のブーム先端部103bから伸縮ジブ104を下向きに垂下させた状態で、旋回台102に設けたサブウインチ(図示していない)からのサブロープ171及びサブフック172で先側ジブ142の先端部142bを支持している。そして、図9の状態から、サブウインチを巻下作動させる(サブフック172による支持力が解除される)ことで、先側ジブ142が鎖線図示(符号142′)するように自重で降下することにより、伸縮ジブ104を伸長させ得るようになっている。尚、伸縮ジブ104の縮小作動は、図9の鎖線図示状態及び図10の状態で、図示しないサブウインチを巻上作動させる(サブフック172を引上げる)ことで行える。
【0007】
図9に示す公知の伸縮ジブ付きクレーンにおいて、伸縮ジブ104が最伸長すると(図9の鎖線図示状態及び図10の状態)、図示しないストッパーによりそれ以上の伸長が規制される一方、図10に示すように先側ジブ142の基端部と基側ジブ141の先端部とを固定ピン121で固定できるようになっている。尚、この固定ピン121は高所に位置しているので、該固定ピン121の挿脱操作を先側ジブ142の先端部寄り(地上から手が届く位置)に設けた操作部122から遠隔操作で行えるようにしている。
【0008】
又、図9及び図10に示す公知の伸縮ジブ付きクレーンでは、伸縮ジブ104を伸縮ブーム103に対して起伏(チルト)させるのに、旋回台102に設けたメインウインチ(図示していない)を利用して行うようにしている。即ち、メインウインチからのメインロープ161の先端部に取付けたメインフック162を基側ジブ141の先端部に係止して、メインウインチの巻上・巻下操作により伸縮ジブ104を伸縮ブーム103に対して起伏(チルト)させ得るようになっている。
【0009】
そして、図9及び図10に示す公知の伸縮ジブ付きクレーンにおいて、伸縮ジブ104を下振出し方式でブーム先端部103bの前方に張出させるには、次のようにして行われる。
【0010】
まず、図9に実線図示するように、伸縮ブーム103を所定角度起仰させた姿勢で、縮小状態の伸縮ジブ104を下向きに垂下させる。このとき、メインロープ161側のメインフック162を基側ジブ141の先端部に係止しておく一方、サブロープ171の先端にあるサブフック172を先側ジブ142の先端部142bに衝合させておく。尚、図9に示すように、ブーム先端部103bから垂下させた伸縮ジブ104を下方に伸長させるには、基側ジブ141の下端部の下方に先側ジブ142の伸長スペースを確保する必要から、伸縮ブーム103をある程度伸長させておく必要がある。その場合、伸縮ブーム103を伸長させるには、メインロープ161及びサブロープ171をそれぞれ所定長さずつ繰出させる操作が必要であるが、その3つの操作(伸縮ブームの伸長操作と、メインウインチ及びサブウインチの各ロープ繰出操作)を同時に行うのは、非常に難しい操作となることが予想される。
【0011】
次に、図9の実線図示状態から、サブロープ171の繰出操作(サブウインチの巻下操作)を行うと、サブフック172が下動して先側ジブ142に対する支持力が解除されることにより、該先側ジブ142が自重で降下する。続いて、図9に鎖線図示する伸縮ジブの最伸長状態において、図10に示す操作部122から固定ピン121を挿入操作して先側ジブ142を基側ジブ141に対して固定すると、伸長状態の伸縮ジブ104を前方に振出し可能となる。
【0012】
そして、この状態でメインウインチを巻上作動させると(メインロープ161を介してメインフック162が引っ張られる)、基側ジブ141の先端部が引上げられることにより、伸縮ジブ104を伸長状態のままでブーム先端部103bの前方位置まで振出すことができる。
【0013】
このように、図9の公知例の伸縮ジブ付きクレーンでは、伸縮ジブ104の伸縮操作を既存のサブウインチ(及びサブロープ171、サブフック172)を利用して行えるので、従来から汎用されている伸縮装置(伸縮シリンダ)が不要になるという利点がある。
【0014】
これに対して、本件出願人は、この種の伸縮ジブ付きクレーンとして図11に示すものを開発しているが、この図11に示す伸縮ジブ付きクレーンでは、伸縮ジブ4を伸縮ブーム3に対して起伏(チルト)させるのにジブチルトシリンダ50を用いたジブチルト装置5で行うようにしている。このようにジブチルト装置5を使用すると、メインフック62をブーム先端部3bから吊下させた状態に維持させることができる。尚、図11に示す伸縮ジブ付きクレーンでも、図12に示す伸縮ジブ4の垂下姿勢でサブフック72を先側ジブ42の先端部42bに衝合させることで該先側ジブ42の降下を禁止できる一方、サブウインチ7を巻下作動させることで図13に示すように先側ジブ42を自重で降下(伸長)させ得るようになっている。尚、図11〜図13に示す伸縮ジブ付きクレーンは、本願実施例の伸縮ジブ伸長方法で使用するものであり、この伸縮ジブ付きクレーンの詳細な構成については、本願の実施例の項でも説明する。
【0015】
ところで、図11の伸縮ジブ付きクレーンの場合は、図12及び図13に示すように、伸縮ジブ4をブーム先端部3bから垂下させた姿勢で該伸縮ジブ4を伸長させる際にも、メインフック62はブーム先端部3bから吊下されたままで行われるが、伸縮ジブ4がブーム先端部3bから鉛直姿勢で垂下された状態では、メインフック62が伸縮ジブ4に対して干渉する位置にあるので、メインフック62を過巻付近(ブーム先端部3bの近傍)まで巻上げて該メインフック62を基側ジブ41の基端部にある空所43内に収容させておく必要がある。
【0016】
そして、図12に示す伸縮ジブ縮小状態から図13に示す伸縮ジブ伸長状態に移行させるには、先側ジブ42の降下スペースを確保する必要から、サブウインチ7を巻下作動させながら伸縮ブーム3を伸長作動させるが、伸縮ブーム3が伸長するとそのままではメインフック62がブーム先端部3bの下面に衝突することから、伸縮ブーム3の伸長量に対応する量だけ順次メインウインチ6を巻下作動(メインフック62を降下)させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平5−155584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ところが、図11に示す伸縮ジブ付きクレーンにおいて、図12の伸縮ジブ縮小状態から図13の伸縮ジブ伸長状態に移行させるには、上記のようにサブウインチ7の巻下操作と伸縮ブーム3の伸長操作に加えて、メインウインチ6の巻下操作も同時進行させる必要があるが、これらの3つ操作を手動で同時進行させるのは非常に面倒であり、しかも各作動量をそれぞれ小刻みに分けて慎重に行わないとメインフック62が空所43の範囲内に収まらなくなる(メインフック62が基側ジブ41やブーム先端部3bに干渉する)という問題があった。
【0019】
そこで、本願発明は、図11〜図13に示すような伸縮ジブ付きクレーンを使用して伸縮ジブを垂下姿勢で伸長させる際に、ブーム先端部から吊下させたメインフックが伸縮ジブ(基側ジブ)やブーム先端部に干渉しないように行えるようにした伸縮ジブの伸長方法を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、ブーム先端部から伸縮ジブを下向きに垂下させた姿勢で該伸縮ジブを伸長させる際の、伸縮ジブ付きクレーンにおける伸縮ジブの伸長方法を対象にしたものであるが、以下の説明では、本願発明の名称を単に「伸縮ジブ伸長方法」と表現することがある。
【0021】
[本願請求項1の発明]
本願請求項1の発明の伸縮ジブ伸長方法は、次の構成を有した伸縮ジブ付きクレーンを使用して行うものである。
【0022】
即ち、本願請求項1の発明で使用される伸縮ジブ付きクレーンは、車両上に起伏及び伸縮自在な伸縮ブームを搭載し、該伸縮ブームのブーム先端部に継ぎ足されるジブとして基側ジブに対して先側ジブを伸縮させ得る伸縮ジブを使用し、伸縮ジブの基端部をブーム先端部に連結した状態でジブチルト装置により伸縮ジブをブーム先端部の下方に向く垂下姿勢とブーム先端部の前方に向く張出姿勢との間で揺動させ得るようにし、伸縮ブームの基端側適所にメインウインチとサブウインチとを設け、メインウインチから繰出したメインロープの先端側をブーム先端部から垂下させて該メインロープにメインフックを取付け、サブウインチから繰出したサブロープの先端側を先側ジブの先端部から垂下させて該サブロープの先端にサブフックを取付け、さらに伸縮ジブを伸縮させるのにサブフックを先側ジブの先端部に衝合させた状態でサブフックを過巻することで先側ジブを基側ジブに対して縮小させ得る一方、所定角度起仰させた伸縮ブームのブーム先端部から縮小状態の伸縮ジブを垂下させた状態でサブウインチを巻下作動させることで先側ジブをその自重で伸長させ得るように構成されたものである。
【0023】
尚、本願で採用する伸縮ジブ付きクレーンとしては、例えば上記した図11〜図13に示す公知例のものを使用できる。
【0024】
そして、本願請求項1の発明の伸縮ジブ伸長方法は、サブフックの過巻により縮小状態を維持させた伸縮ジブを縮小状態で所定角度起仰させた姿勢の伸縮ブームのブーム先端部から垂下させ、該伸縮ジブをブーム先端部から吊下されているメインフックが昇降してもメインフックが干渉しない程度の角度範囲だけ前方に振出した姿勢で、サブウインチの巻下操作と伸縮ブームの伸長操作とを行って、先側ジブを自重で伸長させるようにする、ことを特徴としている。
【0025】
ところで、この請求項1の伸縮ジブ伸長方法では、伸縮ジブを伸長させるのに、伸縮ジブをブーム先端部から垂下させた姿勢で伸縮ブームを伸長させる操作を併用して行うが、その伸縮ブームの伸長に伴ってブーム先端部から吊下されているメインフックが上動するようになる。そして、伸縮ジブが鉛直姿勢で垂下している状態では、伸縮ブームの伸長に伴ってメインフックが上動すると、該メインフックが垂下姿勢にある伸縮ジブ(基側ジブ)に干渉する虞れが生じる。
【0026】
ところが、本願請求項1の伸縮ジブ伸長方法では、ブーム先端部から垂下させている伸縮ジブを伸長操作(サブウインチの巻下操作と伸縮ブームの伸長操作)する前に、該伸縮ジブを上記所定角度範囲(メインフックが昇降してもメインフックが干渉しない程度の角度範囲)だけ前方に振出す操作を行うので、伸縮ジブ伸長操作(伸縮ブームの伸長操作を含む)によりメインフックが上動しても、該メインフックが伸縮ジブ(基側ジブ)に干渉することがない。尚、伸縮ジブの伸長操作の前に行う伸縮ジブの前方振出し角度は、メインフック昇降時に該メインフックが伸縮ジブに干渉しない程度だけ離間させるものであり、そのときの伸縮ジブの対鉛直線角度は例えば10°〜15°程度だけ外側に振った状態に設定することができる。
【0027】
この請求項1の伸縮ジブ伸長方法では、伸縮ジブの伸長操作(サブウインチの巻下操作と伸縮ブームの伸長操作の2つの操作)は、オペレータがキャビン内から手動で行えるが、そのオペレータによる操作は、キャビン内から先側ジブ下端部の高さ状況(地面に対する近接状況)を見ながら行えるので、先側ジブの下端部が危険状態(地面に干渉する)に近づくのを容易に回避できる(先側ジブの下端部が地面に近づけば、危険側操作を中断すればよい)。
【0028】
ところで、この請求項1の伸縮ジブ伸長方法では、伸縮ジブを伸長させるのに伸縮ブームを伸長させる操作を併用して行うことにより、ブーム先端部から吊下されているメインフックが上動するが、伸縮ブームの伸長操作に先立って伸縮ジブを上記角度範囲だけ前方に振出した時点で、メインウインチを巻下作動させてメインフックを予め所定長さ(伸縮ブームの伸長量に見合うメインフックの上動量程度以上)だけ降下させておくと、伸縮ジブの伸長動作をサブウインチの巻下操作と伸縮ブームの伸長操作との2つの操作のみで行わせることができる。
【0029】
尚、ブーム先端部から伸長状態で垂下している伸縮ジブを縮小させるには、先側ジブの先端部にサブフックを過巻状態で衝合させた状態から、サブウインチの巻上操作と伸縮ブームの縮小操作とを併用することで、伸縮ジブを縮小させながら伸縮ブームも縮小させることができる。その場合、伸縮ジブの伸長操作と同様に、伸縮ジブを所定角度だけ前方に振出した状態で行うと、伸縮ブームの縮小動作に伴ってメインフックが降下しても、該メインフックが伸縮ジブ(基側ジブ)に干渉することはない。
【0030】
[本願請求項2の発明]
本願請求項2の発明は、上記請求項1の伸縮ジブ伸長方法において、伸縮ジブの伸長時におけるサブウインチの巻下作動と伸縮ブームの伸長作動とを、予め設定されたプログラムに基いて自動制御しながら行わせるようにしたものである。
【0031】
この請求項2の伸縮ジブ伸長方法は、コントローラに上記プログラムを記憶させておき、伸縮ジブの伸長モードに設定した状態で例えばサブウインチの巻下操作(伸縮ブームの伸長操作でもよい)を行うことで、プログラムに基いた適正な伸縮ジブ伸長作動(サブウインチの巻下作動と伸縮ブームの伸長作動)が自動で行われるにようしたものである。
【0032】
尚、この請求項2の場合の制御プログラムとしては、伸縮ジブの伸長モードスイッチをONにすることで、後はサブウインチの巻下作動と伸縮ブームの伸長作動とが伸縮ジブの伸長完了状態まで単一のプログラムで画一的に実行されるようにしたものでもよい。
【0033】
[本願請求項3の発明]
本願請求項3の発明は、上記請求項2の伸縮ジブ伸長方法において、予め設定されたプログラムは、先側ジブが地面に接触しない条件を満足するものであることを特徴としている。
【0034】
従って、この請求項3の伸縮ジブ伸長方法では、上記プログラムに基いて伸縮ジブを伸長作動させる過程において、先側ジブが地面に接触しない条件を満足しながら行える。
【0035】
尚、この請求項3の場合の制御プログラムでも、伸縮ジブの伸長モードスイッチをONにすることで、後はサブウインチの巻下作動と伸縮ブームの伸長作動とが伸縮ジブの伸長完了状態まで単一のプログラムで画一的に実行されるようにしたものでもよい。
【0036】
[本願請求項4の発明]
本願請求項4の発明の伸縮ジブ伸長方法は、ブーム先端部から伸縮ジブを鉛直姿勢で垂下させた状態でも、メインフックが伸縮ジブ(基側ジブ)に干渉することなく伸縮ジブを自動制御により伸長させ得るようにしたものである。
【0037】
この請求項4の伸縮ジブ伸長方法で使用される伸縮ジブ付きクレーンとしては、上記請求項1で使用される伸縮ジブ付きクレーンの構成に加えて、伸縮ジブの基側ジブの基端部寄りに、ブーム先端部に対して過巻付近まで巻上げているメインフックを潜らせる干渉防止用の空所を設けたものを採用している。尚、ブーム先端部に継ぎ足して使用されるジブには、ジブ基端部寄り位置にメインフックを潜らせるための空所を設けたものが一般的である。
【0038】
そして、この請求項4の伸縮ジブ伸長方法は、メインフックをブーム先端部の過巻付近まで巻上げた状態で伸縮ブームを縮小状態で所定角度起仰させ、伸縮ブームのブーム先端部からサブフックの過巻により縮小状態を維持させた伸縮ジブを鉛直姿勢で垂下させてメインフックを基側ジブの空所内に収容した状態から、サブウインチの巻下作動と伸縮ブームの伸長作動とメインウインチの巻下作動とを併用して、メインフックを基側ジブの空所内の位置に維持させながら先側ジブを自重で伸長させるようにするとともに、伸縮ジブの伸長時におけるサブウインチの巻下作動と伸縮ブームの伸長作動とメインウインチの巻下作動とを、予め設定されたプログラムに基いて自動制御しながら行わせるようにしたものである。
【0039】
ところで、この請求項4の伸縮ジブ伸長方法では、伸縮ジブを鉛直姿勢のままで伸長させるが、この場合はブーム先端部から吊下しているメインフックが鉛直姿勢の伸縮ジブに対して上下に干渉する位置関係(側面視で重合する位置関係)にあるので、伸縮ジブが伸長する全動作範囲においてメインフックを先側ジブの基端部寄りにある空所内に維持させておく必要がある。
【0040】
そこで、この請求項4の伸縮ジブ伸長方法では、コントローラに上記プログラムを記憶させておき、伸縮ジブの伸長モードに設定した状態で例えばサブウインチの巻下操作(伸縮ブームの伸長操作でもよい)を行うことで、プログラムに基いた適正な伸縮ジブ伸長作動(サブウインチの巻下作動と伸縮ブームの伸長作動とメインウインチの巻下作動)が自動で行われるにようしている。
【0041】
尚、この請求項4の場合の制御プログラムでも、伸縮ジブの伸長モードスイッチをONにすることで、後はサブウインチの巻下作動と伸縮ブームの伸長作動とメインウインチの巻下作動とが伸縮ジブの伸長完了状態まで単一のプログラムで画一的に実行されるようにしたものでもよい。
【0042】
[本願請求項5の発明]
本願請求項5の発明は、上記請求項4の伸縮ジブ伸長方法において、予め設定されたプログラムは、先側ジブが地面に接触しない条件とメインフックが基側ジブの空所内の位置に維持される条件とをそれぞれ満足するものであることを特徴としている。
【0043】
従って、この請求項5の伸縮ジブ伸長方法では、上記プログラムに基いて伸縮ジブを伸長作動させる過程において、先側ジブが地面に接触しない条件とメインフックが基側ジブの空所内の位置に維持される条件とをそれぞれ満足しながら行える。
【0044】
尚、この請求項5の場合の制御プログラムでも、伸縮ジブの伸長モードスイッチをONにすることで、後はサブウインチの巻下作動と伸縮ブームの伸長作動とメインウインチの巻下作動とが伸縮ジブの伸長完了状態まで単一のプログラムで画一的に実行されるようにしたものでもよい。
【0045】
[本願請求項6の発明]
本願請求項6の発明は、上記請求項4の伸縮ジブ伸長方法において、伸縮ジブの伸長時におけるサブウインチの巻下作動と伸縮ブームの伸長作動とメインウインチの巻下作動に加えて、伸縮ブームを起仰させる作動を併用して行わせるものである。
【0046】
ところで、上記請求項4の伸縮ジブ伸長方法では、伸縮ブームを所定起仰角度(例えば起仰角度が60°程度)に維持した姿勢で該伸縮ブームを伸長させながら行わせるので、伸縮ジブの伸長完了状態では伸縮ブームが斜め上方に伸長していることによりブーム先端部の作業半径が長くなる。従って、伸縮ジブの伸長完了状態では、ブーム先端部から垂下させている伸縮ジブが鉛直姿勢であるものの、ブーム先端部の作業半径が長くなったことによる伸縮ジブの出幅が大きくなる。
【0047】
そこで、この請求項6では、請求項4の伸縮ジブ伸長方法に加えて、伸縮ブームを起仰させる作動を併用して行わせることにより、伸縮ジブの伸長完了状態での伸縮ジブの出幅を小さくし得るようにしている。
【0048】
尚、この請求項6の場合の制御プログラムでも、伸縮ジブの伸長モードスイッチをONにすることで、後はサブウインチの巻下作動と伸縮ブームの伸長作動とメインウインチの巻下作動と伸縮ブームの起仰作動とが伸縮ジブの伸長完了状態まで単一のプログラムで画一的に実行されるようにしたものでもよい。
【0049】
[本願請求項7の発明]
本願請求項7の発明は、上記請求項6の伸縮ジブ伸長方法において、予め設定されたプログラムは、伸縮ジブの垂下位置が車両の前端より外側にはみ出さない条件と先側ジブが車両の上面に接触しない条件とメインフックが基側ジブの空所内の位置に維持される条件とをそれぞれ満足するものであることを特徴としている。
【0050】
従って、この請求項7の伸縮ジブ伸長方法では、上記プログラムに基いて伸縮ジブを伸長作動させる過程において、伸縮ジブが車両の前端から外側にはみ出さず且つ先側ジブが車両の上面に接触することがなくしかもメインフックが基側ジブの空所内の位置に維持される、という各条件をそれぞれ満足しながら行える。
【0051】
尚、この請求項7の場合の制御プログラムでも、伸縮ジブの伸長モードスイッチをONにすることで、後はサブウインチの巻下作動と伸縮ブームの伸長作動とメインウインチの巻下作動と伸縮ブームの起仰作動とが伸縮ジブの伸長完了状態まで単一のプログラムで画一的に実行されるようにしたものでもよい。
【発明の効果】
【0052】
[本願請求項1の発明の効果]
本願請求項1の発明の伸縮ジブ伸長方法では、伸縮ジブの伸長操作(サブウインチの巻下操作と伸縮ブームの伸長操作)を行う前に、ブーム先端部から垂下させている伸縮ジブを、ブーム先端部から吊下されているメインフックが昇降しても該メインフックが干渉しない程度の角度範囲だけ前方に振出した姿勢で、サブウインチの巻下操作と伸縮ブームの伸長操作とを行って、先側ジブを自重で伸長させるようにしている。
【0053】
従って、この請求項1の伸縮ジブ伸長方法を行うと、伸縮ジブの伸長操作時には伸縮ジブが外側に振出されている関係で、メインフックが上動しても該メインフックが伸縮ジブ(基側ジブ)に干渉することがないという効果がある。
【0054】
又、伸縮ジブの伸長操作前にメインフックを予め十分に降下させておけば、後の伸縮ジブ伸長操作時にメインフックの巻下操作を併用しなくともよいので、伸縮ジブ伸長操作の操作性が良好となるという効果もある。
【0055】
[本願請求項2の発明の効果]
本願請求項2の発明は、上記請求項1の伸縮ジブ伸長方法において、伸縮ジブの伸長時におけるサブウインチの巻下作動と伸縮ブームの伸長作動とを、予め設定されたプログラムに基いて自動制御しながら行わせるようにしたものである。
【0056】
従って、この請求項2の伸縮ジブ伸長方法では、上記請求項1の効果に加えて、伸縮ジブの伸長動作を自動で且つ安全に行わせることができるという効果がある。
【0057】
[本願請求項3の発明の効果]
本願請求項3の発明は、上記請求項2の伸縮ジブ伸長方法において、予め設定されたプログラムとして、先側ジブが地面に接触しない条件を満足するものを採用しているので、上記請求項2の効果に加えて、伸縮ジブの伸長動作をより一層安全に行わせることができるという効果がある。
【0058】
[本願請求項4の発明の効果]
本願請求項4の発明の伸縮ジブ伸長方法は、伸縮ジブをブーム先端部から鉛直姿勢で垂下させて、伸縮ジブの基端部寄りにある空所内にブーム先端部から吊下させたメインフックを収容させた状態で、伸縮ジブの伸長時におけるサブウインチの巻下作動と伸縮ブームの伸長作動とメインウインチの巻下作動とを、予め設定されたプログラムに基いて自動制御しながら行わせるようにしたものである。
【0059】
従って、この請求項4の伸縮ジブ伸長方法では、自動で伸縮ジブの伸長作業が行えるとともに、伸縮ジブが鉛直姿勢で伸長する分、該伸縮ジブの出幅を小さくできるので、上記請求項2(又は3)のものより狭いスペースで伸縮ジブの伸長作業が行えるとともに、伸縮ジブの前方振出しのためのスペースが狭いものでよいという効果がある。
【0060】
[本願請求項5の発明の効果]
本願請求項5の発明は、上記請求項4の伸縮ジブ伸長方法において、予め設定されたプログラムとして、先側ジブが地面に接触しない条件とメインフックが基側ジブの空所内の位置に維持される条件とをそれぞれ満足するものを採用しているので、上記請求項4の効果に加えて、伸縮ジブの伸長動作をより一層安全に行わせることができるという効果がある。
【0061】
[本願請求項6の発明の効果]
本願請求項6の発明は、上記請求項4の伸縮ジブ伸長方法において、伸縮ジブの伸長時におけるサブウインチの巻下作動と伸縮ブームの伸長作動とメインウインチの巻下作動に加えて、伸縮ブームを起仰させる作動を併用して行わせるものである。
【0062】
従って、この請求項6の伸縮ジブ伸長方法では、伸縮ジブの伸長完了状態において伸縮ブームを起仰させた分だけ伸縮ジブの出幅を小さくできるので、上記請求項4の効果に加えて、より一層狭いスペースで伸縮ジブの伸長作業が行えるとともに、伸縮ジブの前方振出しのためのスペースがより一層狭いものでよいという効果がある。
【0063】
[本願請求項7の発明の効果]
本願請求項7の発明は、上記請求項6の伸縮ジブ伸長方法において、予め設定されたプログラムとして、伸縮ジブの垂下位置が車両の前端より外側にはみ出さない条件と先側ジブが車両の上面に接触しない条件とメインフックが基側ジブの空所内の位置に維持される条件とをそれぞれ満足するものを採用している。
【0064】
従って、この請求項7の伸縮ジブ伸長方法では、上記請求項6の効果に加えて、伸縮ジブの伸長完了状態において該伸縮ジブの出幅をより一層小さくできる(伸縮ジブが車両の前端より外側にはみ出さない)とともに、伸縮ジブの伸長動作をより一層安全に行わせることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本願第1実施例の伸縮ジブ伸長方法における中間作業状態の説明図である。
【図2】本願第1実施例の伸縮ジブ伸長方法における伸長完了状態の説明図である。
【図3】図2の状態からの伸縮ジブ振出し方法の説明図である。
【図4】図1及び図2(本願第1実施例)の伸縮ジブ伸長方法を自動で行えるようにした本願第2実施例の伸縮ジブ伸長方法の制御ブロック図である。
【図5】本願第3実施例の伸縮ジブ伸長方法を行うための制御ブロック図である。
【図6】本願第4実施例の伸縮ジブ伸長方法における中間作業状態の説明図である。
【図7】本願第4実施例の伸縮ジブ伸長方法における伸長完了状態の説明図である。
【図8】本願第4実施例(図6及び図7)の伸縮ジブ伸長方法を行うための制御ブロック図である。
【図9】公知(特許文献1)の伸縮ジブ伸長方法の説明図である。
【図10】図9における伸縮ジブ伸長状態での一部拡大図である。
【図11】本件出願人が開発した伸縮ジブ付きクレーンにおける伸縮ジブ振出し状態の説明図である。
【図12】図11の伸縮ジブ付きクレーンにおける伸縮ジブ伸長方法の問題点説明図であるとともに、本願第3実施例の伸縮ジブ伸長方法で適用される伸縮ジブ付きクレーンの状態図である。
【図13】図12の伸縮ジブ付きクレーンにおける伸縮ジブ伸長完了状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
[実施例]
以下、図1〜図8(図11〜図13を併用する)を参照して本願のいくつかの実施例の伸縮ジブ伸長方法を説明すると、図1〜図3(図12を併用)には第1実施例の伸縮ジブ伸長方法に関するものを示し、図4には第1実施例の伸縮ジブ伸長方法を自動で行えるようにした第2実施例の伸縮ジブ伸長方法に関するものを示し、図5(図12〜図13を併用)には第3実施例の伸縮ジブ伸長方法に関するものを示し、図6〜図8には第4実施例の伸縮ジブ伸長方法に関するものを示している。又、図1〜図3の第1実施例は本願の請求項1に対応し、図4の第2実施例は本願の請求項2と3に対応し、図5(図12〜図13を併用)の第3実施例は本願の請求項4と5に対応し、図6〜図8の第4実施例は本願の請求項6と7に対応するものである。
【0067】
第1〜第4の各実施例の伸縮ジブ伸長方法は、それぞれ図11〜図13に示す伸縮ジブ付きクレーン(本件出願人が開発した公知のもの)を使用して行うものであり、本願の各実施例の伸縮ジブ伸長方法を説明する前に、まずこの伸縮ジブ付きクレーンの構成について説明する。
【0068】
図11〜図13に示す伸縮ジブ付きクレーンは、車両1上に旋回台2を水平旋回自在に搭載し、該旋回台2に伸縮ブーム3の基端部を枢支しているとともに、伸縮ブーム3のブーム先端部3bに伸縮ジブ4を着脱自在に継ぎ足し得るように構成されている。
【0069】
旋回台2には、メインウインチ6とサブウインチ7とが並置されている。そして、メインウインチ6からはメインロープ61が延出されていて、該メインロープ61の先端側をブーム先端部3bのシーブに巻掛けた後、該メインロープ61にメインフック62を取付けている。尚、メインロープ61は、ブーム先端部3b側のシーブとメインフック62側のシーブ間に適数回巻回させた後に、該メインロープ端部をブーム先端部3b又はメインフック62に連結している。他方、サブウインチ7からはサブロープ71が延出されていて、該サブロープ71の先端側をブーム先端部3bのシーブを経由して伸縮ジブ4の先端部(先側ジブ42の先端部42b)まで導いた後、該サブロープ71の先端部にサブフック72を取付けている。
【0070】
そして、図11に示す伸縮ジブ付きクレーンの作業姿勢では、伸縮ジブ先端部(先側ジブ42の先端部42b)からサブフック72が吊下されている一方、ブーム先端部3bからメインフック62が吊下されている。
【0071】
伸縮ブーム3は、図示例のものでは基端ブーム31と先端ブーム34の間に2本の中間ブーム32,33を介在させた4段ブームを採用している。
【0072】
この伸縮ブーム3は、ブームに内蔵された伸縮シリンダ(図示していない)により伸縮せしめられる一方、起伏シリンダ30により起伏せしめられる。
【0073】
又、この伸縮ジブ付きクレーンでは、ブーム長さ検出器14によってブーム長さが検出される一方、ブーム角度検出器15によってブーム起伏角度が検出される。尚、ブーム長さ検出器14で検出しているブーム長さ及びブーム角度検出器15で検出しているブーム起伏角度は、従来からAML制御(転倒防止制御)等のデータとして利用されていて、常時コントローラに入力されている。
【0074】
伸縮ジブ4は、基側ジブ41と先側ジブ42とをテレスコープ状に連結したもので、先側ジブ42が基側ジブ41に対して伸縮し得るようにしたものである。尚、以下の説明では、伸縮ジブ4において、基側ジブ41の基端部41aを基側ジブ基端部41aといい、先側ジブ42の先端部42bを単に先側ジブ先端部42bということがある。
【0075】
基側ジブ基端部41a寄り位置は二股状になっていて、該基側ジブ基端部41a付近の内部は空所43となっている。この空所43は、伸縮ジブ4の揺動時にブーム先端部3bから吊下されているメインフック62を収容し得る干渉防止用の逃げ部となるものであるが、該空所43の深さはさほど大きくすることはできない。
【0076】
この実施例で使用される伸縮ジブ付きクレーンも、図9及び図10に示す公知例のものと同様に、伸縮ジブ4を図12に示す下向きに垂下させた状態で、旋回台2に設けたサブウインチ7からのサブロープ71及びサブフック72で先側ジブ先端部42bを支持し得るとともに、該サブフック72による支持力を解除すると、先側ジブ42が自重で降下(伸長)するようになっている。
【0077】
即ち、図12に示すように伸縮ブーム3を所定角度起仰させ、そのブーム先端部3bから伸縮ジブ4を下向きに垂下させた状態でサブウインチ7を過巻状態まで巻上げると、サブフック72が先側ジブ先端部42bに衝合することで先側ジブ42の下動を禁止し得る一方、図12の状態からサブウインチ7を巻下作動させる(サブフック72による支持力が解除される)ことで、図13に示すように先側ジブ42を自重で降下(伸長)させ得るようになっている。
【0078】
この伸縮ジブ4も、先側ジブ42が基側ジブ41に対して最伸長した状態(図13の状態)で、それ以上伸長するのを禁止するストッパー(図示していない)を有しているとともに、先側ジブ42の基端部寄り位置と基側ジブ41の基端部寄り位置とをピン結合(図示していない)によって伸縮不能にロックできるようになっている。尚、先側ジブ42のストッパー機構(伸長禁止機構)や伸縮ロック機構等については、本願発明の要旨とさほど関係がないので、ここでは詳細な説明は省略するが、例えば特許文献1に記載のもの(先側ジブの下端寄り位置から遠隔操作し得るもの)を採用してもよく、あるいは先側ジブ42が最伸長状態のときに合致する各側のピン穴に自動でピンを差込み得るようにしたもの(いわゆる自動連結ピン)を採用してもよい。
【0079】
本願で使用される図11〜図13の伸縮ジブ付きクレーン(図11〜図13のもの)では、伸縮ジブ4をブームに対して起伏(チルト)させるのに、ジブチルトシリンダ50を用いたジブチルト装置5を採用している。このジブチルト装置5は、基側ジブ41に取付けたジブチルトシリンダ50と一連のテンションロッド51とで構成されている。尚、テンションロッド51は、ブーム先端部側のロッドと基側ジブ側のロッドとを接離自在に連結して使用されるものであり、図12に示す伸縮ジブ垂下姿勢では、該テンションロッド51は既に連結されている。
【0080】
そして、このジブチルト装置5は、図12の状態から図13に示すように伸縮ジブ4を伸長させた状態(後述する)でジブチルトシリンダ50を伸長させることで、図11に示すように伸縮ジブ4を伸長状態のままでブーム先端部3bの前方まで下振出し方式により張出させることができるようになっている。尚、このジブチルト装置5は、ジブチルトシリンダ50の伸長量を調整することによって伸縮ジブ4のチルト角を変化させ得るようになっている。
【0081】
ところで、伸縮ジブ4は、格納状態では伸縮ブーム3の基端ブーム31の側面に支持されているが、図12の伸縮ジブ垂下姿勢まで移行させるには、次のようにして行う。
【0082】
即ち、伸縮ジブ4の格納状態では、水平姿勢の伸縮ブーム(基端ブーム31)の側面に支持させているが、この伸縮ジブ格納状態では、該伸縮ジブ4が最縮小状態で先側ジブ42が基側ジブ41に対して伸長不能状態でロックされている。そして、この伸縮ジブ格納状態から、図示しない昇降装置により伸縮ジブ4をブーム下面位置に変位させ、基側ジブ基端部41aをブーム先端部3bに支軸40で枢支し、伸縮ジブ4が不用意に下方旋回するのを防止するために先側ジブ先端部42bを補助ロープとサブロープ71とで支持し、伸縮ブーム3を所定角度起仰させ、サブウインチ7をゆっくり巻下作動させる(サブロープ71と補助ロープの緊張を緩める)ことにより、伸縮ジブ4が自重で鉛直姿勢まで前方に揺動するようになっている。尚、このようなジブの下振出し方式は、例えば特開平5−116888号公報や特開2009−40601号公報等で公知となっており、且つ本願発明の要旨にさほど関係がないので、ここでは詳しい説明は省略する。
【0083】
伸縮ジブ4が鉛直姿勢で垂下している状態(図12)では、先側ジブ42が縮小状態で基側ジブ41に対してロック状態に維持されているので、伸縮ジブ4が下向き姿勢であっても先側ジブ42が不用意に自重で降下することはない。
【0084】
次に、サブフック72を先側ジブ先端部42bより下方に位置させ、サブロープ71が先側ジブ先端部42bから離脱しないように該先側ジブ先端部42bにロープ外れ止めピン44(図12)を差し込む。そして、サブウインチ7を巻上作動させてサブフック72を過巻状態にした後(サブフック72で先側ジブ42の下動を禁止している)、基側ジブ41に対する先側ジブ42のロックを解除する(ロックピンを外す)と、図12に示すようにサブフック72の過巻のみで先側ジブ42を支持できる。
【0085】
図12に示す伸縮ジブ4の縮小状態での垂下姿勢から先側ジブ42を降下(伸長)させるには、サブウインチ7を巻下作動する(サブフック72による先側ジブ42への支持力が解除される)ことで行えるが、先側ジブ42を降下(伸長)させるには、該先側ジブ42の下方に降下スペースを確保する必要がある。そこで、この実施例では、先側ジブ42の下方に降下スペースを確保するのに、サブウインチ7の巻下操作に併用して伸縮ブーム3の伸長操作(伸縮ジブ全体を持ち上げる)を同時進行させるようにしている。
【0086】
又、伸縮ジブ4を図12に示す鉛直姿勢で伸長させる場合には、ブーム先端部3bから吊下されているメインフック62と基側ジブ41とが側面視で重合する位置関係にあるので、メインフック62を基側ジブ41に干渉させないようにするためには、該メインフック62を基側ジブ41の基端寄りにある空所43の深さ範囲内に維持させておく必要がある。
【0087】
ところが、図12の伸縮ジブ縮小状態から図13の伸縮ジブ伸長状態に移行させるのに、サブウインチ7の巻下操作と伸縮ブーム3の伸長操作に加えて、メインウインチ6の巻下操作(3つの操作)を同時進行させるのは面倒であり、しかも伸縮ブーム3の伸長速度に対してメインウインチ6の巻下速度の許容範囲(メインフック62がブーム先端部3bの下面及び空所43の底面にそれぞれ干渉しない範囲)が非常に狭いので、それら3つの操作を正確に同時進行させるのは非常に難しいものであった。
【0088】
そこで、本願発明は、縮小させた状態の伸縮ジブ4をブーム先端部3bから垂下させた姿勢で伸長させる場合でも、ブーム先端部3bから吊下させているメインフック62が伸縮ジブ4(基側ジブ41)に干渉しないようにするものであって、以下に示す第1〜第4の各実施例の伸縮ジブ伸長方法を提供するものである。
【0089】
「図1〜図3の第1実施例」
図1〜図3(図12を併用)に示す第1実施例の伸縮ジブ伸長方法は、次のように行われる。
【0090】
まず、図12に示すように、伸縮ブーム3を縮小状態で所定角度起仰させ、そのブーム先端部3bから伸縮ジブ4を縮小状態で鉛直方向に垂下させた姿勢を経由して行われる。尚、この図12の状態では、サブフック72を過巻状態まで巻上げていて、該サブフック72とサブロープ71とサブウインチ7とで先側ジブ42を縮小状態で支持している。
【0091】
又、この図12の姿勢(伸縮ジブ鉛直姿勢)では、ブーム先端部3bから吊下しているメインフック62が伸縮ジブ4(基側ジブ41)に対して側面視で重合する位置関係にあるので、メインフック62を過巻付近まで巻上げて該メインフック62を基側ジブ基端部41a寄りの空所43内に収容させている(メインフック62が基側ジブ41に干渉しないようにしている)。
【0092】
次に、図12の状態から、図1に示すようにジブチルト装置5(ジブチルトシリンダ50)により伸縮ジブ4を所定角度a(例えば対鉛直線角度で10°〜15°程度)だけ前方に振出す(傾動させる)。この図1の伸縮ジブ前方傾動姿勢では、伸縮ジブ4(基側ジブ41)が前方に傾動していることにより、メインフック62の直下に障害物(基側ジブ41におけるメインフック62が干渉する部分)が無くなる。
【0093】
次に、伸縮ジブ4を前方傾動させたままメインウインチ6を巻下作動させて、図1に示すようにメインフック62を所定長さだけ降下させる。尚、このようにメインフック62を所定長さだけ降下させておく理由は、次に行われる伸縮ブーム3の伸長動作に伴ってメインフック62が上昇するのを許容する(メインフック62がブーム先端部3bに干渉しないようにする)ためのものである。
【0094】
次に、図1の状態から、オペレータによる手動操作で、サブウインチ7を巻下操作(サブロープ71の繰出し)をしながら伸縮ブーム3の伸長操作を行うことで、図2に示すように先側ジブ42の降下(伸長)と伸縮ブーム3の伸長とを同時進行させる。このとき、先側ジブ42の下端部の高さ状況(地面との近接状況)をキャビン内からオペレータが目視しながら、サブウインチ7の巻下速度と伸縮ブーム3の伸長速度とを調整するが、この場合、メインフック62は予め降下させているのでメインウインチ6の巻下操作を同時に行う必要がない(サブウインチ7の巻下操作と伸縮ブーム3の伸長操作の2つの操作でよい)。
【0095】
そして、図2に示すように、先側ジブ42が基側ジブ41に対して最大伸長すると、両ジブ間のストッパー機構(図示していない)が働いて先側ジブ42の伸長動作が停止し、その伸長停止をオペレータが目視により確認して、サブウインチ7の巻下作動と伸縮ブーム3の伸長作動を停止させる。その後、先側ジブ42と基側ジブ41とを伸縮ロック機構(図示していない)でロックすれば、伸縮ジブ4の伸長作業が完了する。
【0096】
尚、図2の状態から、伸長状態の伸縮ジブ4をブーム先端部3bの前方に振出すには、ジブチルト装置5のジブチルトシリンダ50を伸長させればよく、それによって伸縮ジブ4を図3に鎖線図示(符号4′)するようにブーム先端部3bの前方に張出させることができる。
【0097】
この第1実施例の伸縮ジブ伸長方法では、伸縮ジブ4の伸長操作(サブウインチ7の巻下操作と伸縮ブーム3の伸長操作)をオペレータがキャビン内から手動で行うが、そのオペレータによる操作は、キャビン内から先側ジブ42の下端部の高さ状況(地面に対する近接状況)を見ながら行えるので、先側ジブ42の下端部が危険状態(地面に干渉する)に近づくのを容易に回避できる(先側ジブ42の下端部が地面に近づけば、危険側操作を中断すればよい)。
【0098】
又、この第1実施例の伸縮ジブ伸長方法では、伸縮ジブ4を伸長させるのに伸縮ブーム3を伸長させる操作を併用して行うことにより、ブーム先端部3bから吊下されているメインフック62が上動するが、伸縮ブーム3の伸長操作に先立って伸縮ジブ4を所定角度aだけ前方に振出した時点で、メインウインチ6を巻下作動させてメインフック62を予め所定長さ(伸縮ブーム3の伸長量に見合うメインフック62の上動量程度以上)だけ降下させておくと、伸縮ジブ3の伸長動作をサブウインチ7の巻下操作と伸縮ブーム3の伸長操作との2つの操作のみで行わせることができる。尚、このように、伸縮ジブ伸長のための操作として、サブウインチ7の巻下操作と伸縮ブーム3の伸長操作の2つでよいものでは、それらの2つの操作を同時に行う場合でもさほど難しい操作にはならない。
【0099】
又、図2に示すように、ブーム先端部3bから伸長状態で垂下している伸縮ジブ4を縮小させるには、先側ジブ先端部42bにサブフック72を過巻状態で衝合させた状態から、サブウインチ7の巻上操作と伸縮ブーム3の縮小操作とを併用することで、伸縮ジブ4を縮小させながら伸縮ブーム3も縮小させることができる(図1の状態となる)。その場合、図2に示すように、伸縮ジブ4を所定角度aだけ前方に振出した状態で行うと、伸縮ブーム3の縮小動作に伴ってメインフック62が降下しても、該メインフック62が伸縮ジブ4(基側ジブ41)に干渉することはない。
【0100】
「図4の第2実施例」
図4に示す第2実施例の伸縮ジブ伸長方法は、上記第1実施例(図1、図2)で行う伸縮ジブ4の伸長操作において、サブウインチ7の巻下作動と伸縮ブーム3の伸長作動とを、予め設定されたプログラムに基いて自動制御しながら行わせるものである。
【0101】
又、この第2実施例の伸縮ジブ伸長方法では、予め設定されたプログラム(図4のプログラム記憶手段22)として、後述するように伸縮ジブ4の伸長過程において、先側ジブ42が地面に接触しない条件を満足するもの(請求項3に対応するもの)でもよく、あるいは先側ジブ42が地面に接触しない条件を排除したもの(請求項2に対応するもの)でもよい。
【0102】
この第2実施例の伸縮ジブ伸長方法でも、図1に示すように伸縮ジブ4を予め所定角度a(例えば10°〜15°の範囲)だけ前方に振出した(傾動させた)状態で、サブウインチ7の巻下作動と伸縮ブーム3の伸長作動とを併用して図2に示すように伸縮ジブ4を伸長させるものである。そして、伸縮ジブ4を前方に傾動させた姿勢で伸縮ジブ4の伸長作動(サブウインチ7の巻下作動と伸縮ブーム3の伸長作動の併用)を行わせると、上記第1実施例で説明したようにメインフック62と伸縮ジブ4(先側ジブ42)とが干渉することなく伸縮ジブ4を伸長させることができる。
【0103】
ところで、上記第1実施例の伸縮ジブ伸長方法では、オペレータが伸縮ジブ4の伸長状況(先側ジブ42の下端高さ)を目視しながら上記2つの操作を行うものであるので、伸縮ジブの伸長動作完了まで高度な注意力が必要であった。
【0104】
そこで、この第2実施例の伸縮ジブ伸長方法では、伸縮ジブ4の伸長動作を、上記条件を満足するプログラムに基いて自動制御しながら行わせるものである。そして、この第2実施例の伸縮ジブ伸長方法では、その制御装置として図4に示すものを使用することができる。
【0105】
即ち、図4の制御装置は、ジブ伸長のためのプログラムを読出し可能にするためのジブ伸長モードスイッチ10と、サブウインチ7を巻下操作するためのサブウインチ巻下操作部材11と、サブウインチ7の巻下量を検出するサブウインチ巻下量検出器12とを有しているとともに、コントローラ20に、サブウインチ巻下速度演算手段21と、上記条件を満足させるプログラムを記憶させたプログラム記憶手段22と、伸縮ブーム伸長速度出力手段23とをそれぞれ備えたものを採用している。
【0106】
尚、上記サブウインチ巻下操作部材11としては、一般に巻上と巻下の両操作が行える単一のジョイステックが使用されているが、ここでは伸縮ジブ4の伸長操作に関する説明用として上記のようにサブウインチ巻下操作部材と表現している。又、上記サブウインチ巻下量検出器12は、サブウインチ7のドラムインジケータが担当するものであって、該ドラムインジケータによってサブウインチ7から繰出されているサブロープ71の繰出長さを検出できるようになっている。
【0107】
そして、図4に示す制御装置の各手段はそれぞれ次のように機能する。
【0108】
ジブ伸長モードスイッチ10をONにすると、サブウインチ巻下速度演算手段21が演算可能となる。尚、ジブ伸長モードスイッチ10がOFF状態であれば、サブウインチ巻下速度演算手段21もOFFになり、サブウインチ巻下操作部材11を操作しても単独作動となる(伸縮ブーム3は連動しない)。
【0109】
サブウインチ巻下速度演算手段21は、ジブ伸長モードスイッチ10がON状態でサブウインチ巻下操作部材11を操作したときに、該サブウインチ巻下操作部材11の操作信号とそのときのサブウインチ巻下量(サブウインチ巻下量検出器12で検出される)とで現状のサブウインチ巻下速度を演算するものである。
【0110】
プログラム記憶手段22には、サブウインチ巻下速度演算手段21からの各サブウインチ巻下速度にそれぞれ対応した各伸縮ブーム伸長速度をデータテーブルとして記憶している。このプログラム記憶手段22に記憶されたデータテーブルは、図4の実施例では、サブウインチ巻下速度演算手段21で算出された現状のサブウインチ巻下速度(先側ジブ42の降下速度に反映される)に対して、伸縮ブーム3を所定の伸長速度で作動させるように設定したものである。又、このプログラム記憶手段22に記憶されるデータテーブルとしては、先側ジブ42が地面に接触しない条件で伸縮ブーム3を伸長させるように設定したもの(請求項3に対応する)でもよいし、先側ジブ42が地面に接触しない条件を排除したもの(請求項2に対応する)でもよい。
【0111】
そして、このプログラム記憶手段22は、サブウインチ巻下速度演算手段21からのサブウインチ巻下速度信号を受けて適正な伸縮ブーム伸長速度を選択し、その選択した伸縮ブーム伸長速度信号を伸縮ブーム伸長速度出力手段23に送信するようになっている。
【0112】
伸縮ブーム伸長速度出力手段23は、プログラム記憶手段22から受取った所定の伸縮ブーム伸長速度信号を伸縮ブーム3の伸縮装置(伸縮シリンダの電磁弁)に出力して、その指定速度で伸縮ブーム3を伸長作動させるものである。
【0113】
そして、この第2実施例(図4)の制御装置では、図1に示す伸縮ジブ4の垂下姿勢(この状態では、伸縮ジブ4が最縮小状態で且つ該伸縮ジブ4が所定角度aだけ前方に振出している)において、ジブ伸長モードスイッチ10をONにした後、例えばサブウインチ巻下操作部材11を操作することで、後はサブウインチ巻下速度演算手段21で現状のサブウインチ巻下速度を演算し、プログラム記憶手段22でサブウインチ巻下速度演算手段21からのサブウインチ巻下速度信号に対応した伸縮ブーム伸長速度を選択し、その選択された伸縮ブーム伸長速度信号に基いて伸縮ブーム伸長速度出力手段23から伸縮ブーム3の伸縮装置に対して指定速度で伸長させる信号が出力される(図4の制御A)。
【0114】
従って、図4の制御装置を用いて行う第2実施例の伸縮ジブ伸長方法では、上記第1実施例の伸縮ジブ伸長方法による機能に加えて、上記プログラムに基いた伸縮ジブ伸長作動(サブウインチの巻下作動と伸縮ブームの伸長作動)が自動で行えるという機能を有している。
【0115】
ところで、図4に示す第2実施例の伸縮ジブ伸長方法では、伸縮ジブ4の伸長動作を、サブウインチ巻下操作部材11の操作に起因して(サブウインチ7の巻下作動に起因して)伸縮ブーム3が伸長作動するように設定しているが、他の実施例では、伸縮ブーム3の伸長操作に起因してサブウインチ7が巻下作動するようにしてもよい。その場合、伸縮ブーム3が先に伸長することによりサブロープ71が緊張するが、サブロープ71が緊張すると、その緊張作用で伸縮ブーム4を前方に振出すので、該サブロープ71が過度に緊張することがない(サブロープが切れない)。
【0116】
尚、この第2実施例の場合の制御プログラムとしては、伸縮ジブ4の伸長モードスイッチ10をONにすることで、後はサブウインチ7の巻下作動と伸縮ブーム3の伸長作動とが伸縮ジブ4の伸長完了状態まで単一のプログラムで画一的に実行されるようにしたものでもよい。その場合は、図1に示すように伸縮ジブ4を鉛直線に対して所定角度aだけ前方に振出した状態で、ジブ伸長モードスイッチ10をON操作するだけでよい。
【0117】
「図5の第3実施例」
図5には第3実施例の伸縮ジブ伸長方法を行うための制御装置を示しているが、この第3実施例(図5)の伸縮ジブ伸長方法は、図12及び図13に示すようにブーム先端部3bから伸縮ジブ4を鉛直姿勢で垂下させた状態でも、メインフック62が伸縮ジブ4(基側ジブ41)に干渉することなく伸縮ジブ4を自動制御により伸長させ得るようにしたものである。
【0118】
そして、この図5に示す制御装置には、上記第2実施例(図4)の各装置や手段に加えて、検出器としてメインウインチ巻下量検出器13とブーム長さ検出器14を用いているとともに、コントローラ20にメインフック62とブーム先端部3b間の距離を演算する距離演算手段24とメインウインチ6に対する巻下作動出力手段25とを有している。
【0119】
尚、図5において、ジブ伸長モードスイッチ10、サブウインチ巻下操作部材11、サブウインチ巻下量検出器12、サブウインチ巻下速度演算手段21、伸縮ブーム伸長速度出力手段23は、それぞれ上記第2実施例(図4)のものと同じものであるが、プログラム記憶手段22は、上記第2実施例(図4)と同様にサブウインチ巻下速度に対応する伸縮ブーム3の伸長速度を出力するのに加えて、後述するようにメインウインチ6を巻下作動させる信号を出力するものである。
【0120】
メインウインチ巻下量検出器13は、メインウインチ6のドラムインジケータが担当するものであって、該ドラムインジケータによってメインウインチ6から繰出されているメインロープ61の繰出長さを検出できるようになっている。
【0121】
ブーム長さ検出器14は、この種の伸縮ジブ付きクレーンに既存のものである。
【0122】
メインフック62とブーム先端部3b間の距離を演算する距離演算手段24は、ジブ伸長モードスイッチ10がON状態のときに、メインウインチ巻下量検出器13で検出されたメインウインチ巻下量(メインロープ61の繰出長さ)とブーム長さ検出器14で検出されたブーム長さとから、メインフック62の吊下位置がブーム先端部3bからどれだけ離間しているのかを演算するものである。この距離演算手段24で求められるメインフック62とブーム先端部3b間の距離は、メインフック62が基側ジブ41の基端部寄りにある空所43の深さ範囲に維持されているかどうかを知るためのものである。
【0123】
この第3実施例(図5)のプログラム記憶手段22には、サブウインチ巻下速度(サブウインチ巻下速度演算手段21で求められる)に対応した伸縮ブーム伸長速度を設定したデータテーブルと、距離演算手段24で求められるメインフック62とブーム先端部3b間の距離に基いてメインフック62が上記空所43内に維持されるようにメインウインチ6の巻下量を設定したデータテーブルとを設けている。
【0124】
そして、この第3実施例の伸縮ジブ伸長方法は、次のように行われる。
【0125】
図12に示すように、メインフック62をブーム先端部3bに対して過巻付近まで巻上げた状態で伸縮ブーム3を縮小状態で所定角度起仰させ、且つブーム先端部3bからサブフック72の過巻により縮小状態を維持させた伸縮ジブ4を鉛直姿勢で垂下させてメインフック72を基側ジブ41の空所43内に収容した状態から、図5に示すジブ伸長モードスイッチ10をONにする。このとき、サブウインチ巻下速度演算手段21と距離演算手段24とが作動可能になる。
【0126】
次に、サブウインチ巻下操作部材11によりサブウインチ巻下操作を行うと、上記第2実施例と同様にプログラム記憶手段22で記憶されたデータテーブルに基いてサブウインチ7の巻下速度に対応した指定速度で伸縮ブーム3を伸長作動させる(制御Aが実行される)一方、距離演算手段24からのメインフック62とブーム先端部3b間の距離データに基いてプログラム記憶手段22からメインウインチ巻下作動出力手段25に対してメインフック62が先側ジブ42の空所43内に維持される条件でメインウインチ6を巻下作動させる信号が出力され、該メインウインチ6を指定速度で巻下作動させるようになる(制御Bが実行される)。
【0127】
このように、この第3実施例(図5)の伸縮ジブ伸長方法では、伸縮ジブ4をブーム先端部3bから鉛直姿勢で垂下させて、伸縮ジブ4の基端部寄りにある空所43内にブーム先端部3bから吊下させたメインフック62を収容させた状態で、伸縮ジブ4の伸長時におけるサブウインチ7の巻下作動と伸縮ブーム3の伸長作動とメインウインチ6の巻下作動とをそれぞれ所定のプログラムに基いて自動制御しながら行える。従って、この第3実施例の伸縮ジブ伸長方法では、自動で伸縮ジブ4の伸長作業が行えるとともに、伸縮ジブ4が鉛直姿勢で伸長する分、該伸縮ジブ4の出幅を小さくできるので、上記第2実施例のもの(伸縮ジブ4が傾斜状態)より狭いスペースで伸縮ジブ4の伸長作業が行える。
【0128】
ところで、図5におけるプログラム記憶手段22に記憶されるデータテーブルとしては、先側ジブ42が地面に接触しない条件とメインフック62が基側ジブ41の空所43内の位置に維持される条件とをそれぞれ満足するもの(請求項5に対応する)でもよいし、それらの条件を排除したもの(請求項4に対応する)でもよい。
【0129】
又、図5に示す第3実施例の伸縮ジブ伸長方法では、サブウインチ巻下操作部材11の操作(サブウインチ巻下作動)に起因して、伸縮ブーム3の伸長作動とメインウインチ6の巻下作動とが連動するようになっているが、他の実施例では、伸縮ブーム3の伸長操作に起因してサブウインチ7の巻下作動とメインウインチ6の巻下作動が連動するようにしたものでもよい。
【0130】
尚、この第3実施例の伸縮ジブ伸長方法でも、制御プログラムとして、伸縮ジブ4の伸長モードスイッチ10をONにすることで、後はサブウインチ7の巻下作動と伸縮ブーム3の伸長作動とメインウインチ6の巻下作動とが伸縮ジブ4の伸長完了状態まで単一のプログラムで画一的に実行されるようにしたものでもよい。その場合は、図12に示すように伸縮ジブ4を鉛直方向に垂下させた状態で、ジブ伸長モードスイッチ10をON操作するだけでよい。
【0131】
「図6〜図8の第4実施例」
図6〜図8に示す第4実施例の伸縮ジブ伸長方法は、上記第3実施例の伸縮ジブ伸長方法(伸縮ジブ4の伸長時に、サブウインチ7の巻下作動と伸縮ブーム3の伸長作動とメインウインチ6の巻下作動とで行うもの)に加えて、伸縮ブーム3を起仰させる作動を併用して行わせるものである。
【0132】
ところで、上記第3実施例(図12及び図13)の伸縮ジブ伸長方法では、伸縮ブーム3を所定起仰角度(例えば起仰角度が60°程度)に維持した姿勢で該伸縮ブーム3を伸長させながら行うので、伸縮ジブ4の伸長完了状態では伸縮ブーム3が斜め上方に伸長していることによりブーム先端部3bの作業半径が長くなる。従って、伸縮ジブ4の伸長完了状態では、ブーム先端部3bから垂下させている伸縮ジブ4が鉛直姿勢であるものの、ブーム先端部3bの作業半径が長くなったことによる伸縮ジブ4の出幅が大きくなる。
【0133】
そこで、この第4実施例の伸縮ジブ伸長方法では、第3実施例の伸縮ジブ伸長方法に加えて、伸縮ブーム3を図6に鎖線図示(符号3′)するように起仰させる作動を併用して行わせることにより、図7に示すように伸縮ジブ4の伸長完了状態での伸縮ジブ4の出幅を小さくし得る(作業半径Rが大きくならない)ようにしている。
【0134】
この第4実施例の伸縮ジブ伸長方法を行う制御装置は、図8に示すものであるが、この図8に示す制御装置には、上記第3実施例(図5)の各装置や手段に加えて、検出器としてブーム角度検出器15を用いているとともに、コントローラ20にブーム先端部3bの作業半径を演算する作業半径演算手段26と伸縮ブーム3を起仰させる起伏シリンダ伸長作動出力手段27とを有している。
【0135】
尚、図8において、ジブ伸長モードスイッチ10、サブウインチ巻下操作部材11、サブウインチ巻下量検出器12、メインウインチ巻下量検出器13、ブーム長さ検出器14、サブウインチ巻下速度演算手段21、伸縮ブーム伸長速度出力手段23、メインフックとブーム先端部間の距離演算手段24、メインウインチ作動出力手段25は、それぞれ上記第3実施例(図5)のものと同じものであるが、プログラム記憶手段22は、上記第3実施例(図5)と同様にサブウインチ巻下速度に対応する伸縮ブーム3の伸長速度を出力すること及びメインウインチ6を巻下作動させる信号を出力することに加えて、ブーム先端部3bの作業半径に対応して起伏シリンダ30を伸長させる(伸縮ブーム3を起仰させる)信号を出力するものである。
【0136】
ブーム角度検出器15は、この種の伸縮ジブ付きクレーンに既存のものである。
【0137】
ブーム先端部3bの作業半径演算手段26は、ブーム長さ検出器14からのブーム長さデータと15からのブーム角度データとに基いてブーム先端部3bの作業半径を演算するものである。尚、この種の作業半径演算手段は、一般に例えばAML制御のデータとして利用されているが、この第4実施例で使用される作業半径演算手段26は、ジブ伸長モードスイッチ10がON状態のときにのみ機能するようにしたものでよい。
【0138】
この第4実施例(図8)のプログラム記憶手段22には、サブウインチ巻下速度(サブウインチ巻下速度演算手段21で求められる)に対応した伸縮ブーム伸長速度を設定したデータテーブルと、距離演算手段24で求められるメインフック62とブーム先端部3b間の距離に基いてメインフック62が上記空所43内に維持されるようにメインウインチ6の巻上又は巻下量を設定したデータテーブルと、伸縮ジブ4の伸長状況に対応した伸縮ブーム3の起仰角度を設定したデータテーブルとを設けている。
【0139】
このプログラム記憶手段22における伸縮ブーム起仰用のデータテーブルは、図6に実線図示(図12と同じ)する状態から伸縮ブーム3が伸長することによるブーム先端部3bの作業半径増大側移動(前方移動)を抑制するためのもので、ブーム長さとブーム角度とから求められるブーム先端部3bの作業半径にそれぞれ対応したブーム起仰角度を設定したものである。
【0140】
又、この第4実施例では、伸縮ブーム起仰用のデータテーブルとしては、ブーム先端部3bの直下位置(鉛直姿勢で垂下している伸縮ジブ4)が車両1の前端部より外方にはみ出さないように制御できる条件と先側ジブ42の下端(先端部42b)が車両1の上面に接触しない条件とをそれぞれ満足するように設定したもの(請求項7に対応する)でもよいし、それらの条件を排除したもの(請求項6に対応する)でもよい。
【0141】
そして、プログラム記憶手段22の伸縮ブーム起仰用のデータテーブルからは、作業半径演算手段26で求められたブーム先端部3bの作業半径に対応して所定の伸縮ブーム起伏角度に設定するための起伏シリンダ30の伸長量が選択されて、起伏シリンダ伸長作動出力手段27により出力されるようになっている。
【0142】
この第4実施例の伸縮ジブ伸長方法は、次のように行われる。
【0143】
図6に実線図示(図12と同じ)する状態、即ち、メインフック62をブーム先端部3bの過巻付近まで巻上げた状態で伸縮ブーム3を縮小状態で所定角度起仰させ、且つブーム先端部3bからサブフック72の過巻により縮小状態を維持させた伸縮ジブ4を鉛直姿勢で垂下させてメインフック62を基側ジブ41の空所43内に収容した状態から、図8に示すジブ伸長モードスイッチ10をONにする。このとき、サブウインチ巻下速度演算手段21と距離演算手段24と作業半径演算手段26とがそれぞれ作動可能になる。
【0144】
次に、サブウインチ巻下操作部材11によりサブウインチ巻下作動を行わせると、上記第3実施例と同様にプログラム記憶手段22で記憶されたデータテーブルに基いて、サブウインチ7の巻下速度に対応した指定速度で伸縮ブーム3を伸長作動させる(制御Aが実行される)一方、距離演算手段24からの距離データに対応した指定速度でメインウインチ6を巻上作動させる(制御Bが実行される)とともに、伸縮ブーム起仰用のデータテーブルから作業半径演算手段26で求められたブーム先端部3bの作業半径に対応する伸縮ブーム起仰角度(起伏シリンダ伸長量で決まる)を選択して、その選択信号を起伏シリンダ伸長作動出力手段27から出力することにより、指定速度で伸縮ブーム3を起仰作動させる(制御Cが実行される)ことができる。
【0145】
従って、この第4実施例の伸縮ジブ伸長方法では、上記第3実施例の伸縮ジブ伸長方法の機能に加えて、伸縮ブーム3が傾斜状態で伸長する(ブーム先端部3bの作業半径が増大する)ものであっても、伸縮ジブの伸長完了状態において伸縮ブームを起仰させた分だけ伸縮ジブの出幅(例えば図7の作業半径R)を小さくできるので、伸縮ジブ4の前方振出しスペースがより一層狭くてよい。
【0146】
又、伸縮ブーム起仰用のデータテーブルとして、ブーム先端部3bの直下位置(鉛直姿勢で垂下している伸縮ジブ4)が車両1の前端部より外方にはみ出さないように制御できる条件と先側ジブ42の下端(先端部42b)が車両1の上面に接触しない条件とをそれぞれ満足するように設定したもの(請求項7に対応する)では、伸縮ジブ4が図6に実線図示する縮小状態から図7に示す伸長完了状態までの過程において、伸縮ジブ4の垂下位置が車両1の前端より外側にはみ出さない(伸縮ジブ伸長のための前方スペースが一層狭いものでよい)とともに、先側ジブ42が車両1の上面に接触しない(安全性が確保される)という機能が付加される。
【0147】
又、図8に示す第4実施例の伸縮ジブ伸長方法では、サブウインチ巻下操作部材11の操作(サブウインチ巻下作動)に起因して、伸縮ブーム3の伸長作動とメインウインチ6の巻下作動と伸縮ブーム3の起仰作動とが連動するようになっているが、他の実施例では、伸縮ブーム3の伸長操作に起因してサブウインチ7の巻下作動とメインウインチ6の巻下作動と伸縮ブーム3の起仰作動とが連動するようにしたものでもよい。
【0148】
尚、この第4実施例の場合の制御プログラムとしては、伸縮ジブの伸長モードスイッチをONにすることで、後はサブウインチ7の巻下作動と伸縮ブーム3の伸長作動とメインウインチ6の巻下作動と伸縮ブーム3の起仰作動とが伸縮ジブ4の伸長完了状態まで単一のプログラムで画一的に実行されるようにしたものでもよい。その場合は、図6に実線図示するように伸縮ジブ4を鉛直方向に垂下させた状態で、ジブ伸長モードスイッチ10をON操作するだけでよい。
【符号の説明】
【0149】
1は車両、2は旋回台、3は伸縮ブーム、3bはブーム先端部、4は伸縮ジブ、5はジブチルト装置、6はメインウインチ、7はサブウインチ、10はジブ伸長モードスイッチ、11はサブウインチ巻下操作部材、12はサブウインチ巻下量検出器、13はメインウインチ巻下量検出器、14はブーム長さ検出器、15はブーム角度検出器、20はコントローラ、21はサブウインチ巻下速度演算手段、22はプログラム記憶手段、23は伸縮ブーム伸長速度出力手段、24はメインフックとブーム先端部間の距離演算手段、25はメインウインチ巻下作動出力手段、26はブーム先端部の作業半径演算手段、27は起伏シリンダ伸長作動出力手段、30は起伏シリンダ、41は基側ジブ、42は先側ジブ、43は空所、61はメインロープ、62はメインフック、71はサブロープ、72はサブフックである。
【技術分野】
【0001】
本願発明は、伸縮ブームのブーム先端部に基側ジブと先側ジブを伸縮自在に連結してなる伸縮ジブを継ぎ足して使用できるようにした伸縮ジブ付きクレーンを対象にし、さらに詳しくは伸縮ジブを空中において振出し操作し得るようにするとともに、伸縮ジブの先側ジブを自重で伸長させ得るようにした伸縮ジブ付きクレーンにおける伸縮ジブの伸長方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、大型の移動式クレーンでは、伸縮ブームのブーム先端部にジブを継ぎ足して使用できるようになっている。又、この種の大型の移動式クレーンでは、ブーム先端部に継ぎ足されるジブとして基側ジブと先側ジブを伸縮自在に連結してなる伸縮ジブを使用したものがある。
【0003】
そして、この種の伸縮ジブ付きクレーンにおいて、伸縮ジブをブーム先端部の前方に張出させるのに、伸縮ブームを所定角度起仰させた状態で、該伸縮ジブを空中において下振出し方式で行うものが知られている。
【0004】
ところで、伸縮ジブを下振出し方式でブーム先端部の前方に張出させ得るようにしたものとして、例えば特許文献1(特開平5−155584号公報)に示されるものがあるが、この特許文献1の伸縮ジブ付きクレーンは、図9及び図10に示すものである。
【0005】
この図9及び図10に示す公知(特許文献1)の伸縮ジブ付きクレーンでは、伸縮ジブ104として基側ジブ141に対して先側ジブ142が伸縮し得るようにしたものを採用しており、さらに伸縮ジブ104を下向きに垂下させた状態で、先側ジブ142に対する支持力を解除することで該先側ジブ142を自重で降下(伸長)させ得るようになっている。
【0006】
即ち、この公知の伸縮ジブ付きクレーンでは、図9において実線図示するように、所定角度起仰させた伸縮ブーム103のブーム先端部103bから伸縮ジブ104を下向きに垂下させた状態で、旋回台102に設けたサブウインチ(図示していない)からのサブロープ171及びサブフック172で先側ジブ142の先端部142bを支持している。そして、図9の状態から、サブウインチを巻下作動させる(サブフック172による支持力が解除される)ことで、先側ジブ142が鎖線図示(符号142′)するように自重で降下することにより、伸縮ジブ104を伸長させ得るようになっている。尚、伸縮ジブ104の縮小作動は、図9の鎖線図示状態及び図10の状態で、図示しないサブウインチを巻上作動させる(サブフック172を引上げる)ことで行える。
【0007】
図9に示す公知の伸縮ジブ付きクレーンにおいて、伸縮ジブ104が最伸長すると(図9の鎖線図示状態及び図10の状態)、図示しないストッパーによりそれ以上の伸長が規制される一方、図10に示すように先側ジブ142の基端部と基側ジブ141の先端部とを固定ピン121で固定できるようになっている。尚、この固定ピン121は高所に位置しているので、該固定ピン121の挿脱操作を先側ジブ142の先端部寄り(地上から手が届く位置)に設けた操作部122から遠隔操作で行えるようにしている。
【0008】
又、図9及び図10に示す公知の伸縮ジブ付きクレーンでは、伸縮ジブ104を伸縮ブーム103に対して起伏(チルト)させるのに、旋回台102に設けたメインウインチ(図示していない)を利用して行うようにしている。即ち、メインウインチからのメインロープ161の先端部に取付けたメインフック162を基側ジブ141の先端部に係止して、メインウインチの巻上・巻下操作により伸縮ジブ104を伸縮ブーム103に対して起伏(チルト)させ得るようになっている。
【0009】
そして、図9及び図10に示す公知の伸縮ジブ付きクレーンにおいて、伸縮ジブ104を下振出し方式でブーム先端部103bの前方に張出させるには、次のようにして行われる。
【0010】
まず、図9に実線図示するように、伸縮ブーム103を所定角度起仰させた姿勢で、縮小状態の伸縮ジブ104を下向きに垂下させる。このとき、メインロープ161側のメインフック162を基側ジブ141の先端部に係止しておく一方、サブロープ171の先端にあるサブフック172を先側ジブ142の先端部142bに衝合させておく。尚、図9に示すように、ブーム先端部103bから垂下させた伸縮ジブ104を下方に伸長させるには、基側ジブ141の下端部の下方に先側ジブ142の伸長スペースを確保する必要から、伸縮ブーム103をある程度伸長させておく必要がある。その場合、伸縮ブーム103を伸長させるには、メインロープ161及びサブロープ171をそれぞれ所定長さずつ繰出させる操作が必要であるが、その3つの操作(伸縮ブームの伸長操作と、メインウインチ及びサブウインチの各ロープ繰出操作)を同時に行うのは、非常に難しい操作となることが予想される。
【0011】
次に、図9の実線図示状態から、サブロープ171の繰出操作(サブウインチの巻下操作)を行うと、サブフック172が下動して先側ジブ142に対する支持力が解除されることにより、該先側ジブ142が自重で降下する。続いて、図9に鎖線図示する伸縮ジブの最伸長状態において、図10に示す操作部122から固定ピン121を挿入操作して先側ジブ142を基側ジブ141に対して固定すると、伸長状態の伸縮ジブ104を前方に振出し可能となる。
【0012】
そして、この状態でメインウインチを巻上作動させると(メインロープ161を介してメインフック162が引っ張られる)、基側ジブ141の先端部が引上げられることにより、伸縮ジブ104を伸長状態のままでブーム先端部103bの前方位置まで振出すことができる。
【0013】
このように、図9の公知例の伸縮ジブ付きクレーンでは、伸縮ジブ104の伸縮操作を既存のサブウインチ(及びサブロープ171、サブフック172)を利用して行えるので、従来から汎用されている伸縮装置(伸縮シリンダ)が不要になるという利点がある。
【0014】
これに対して、本件出願人は、この種の伸縮ジブ付きクレーンとして図11に示すものを開発しているが、この図11に示す伸縮ジブ付きクレーンでは、伸縮ジブ4を伸縮ブーム3に対して起伏(チルト)させるのにジブチルトシリンダ50を用いたジブチルト装置5で行うようにしている。このようにジブチルト装置5を使用すると、メインフック62をブーム先端部3bから吊下させた状態に維持させることができる。尚、図11に示す伸縮ジブ付きクレーンでも、図12に示す伸縮ジブ4の垂下姿勢でサブフック72を先側ジブ42の先端部42bに衝合させることで該先側ジブ42の降下を禁止できる一方、サブウインチ7を巻下作動させることで図13に示すように先側ジブ42を自重で降下(伸長)させ得るようになっている。尚、図11〜図13に示す伸縮ジブ付きクレーンは、本願実施例の伸縮ジブ伸長方法で使用するものであり、この伸縮ジブ付きクレーンの詳細な構成については、本願の実施例の項でも説明する。
【0015】
ところで、図11の伸縮ジブ付きクレーンの場合は、図12及び図13に示すように、伸縮ジブ4をブーム先端部3bから垂下させた姿勢で該伸縮ジブ4を伸長させる際にも、メインフック62はブーム先端部3bから吊下されたままで行われるが、伸縮ジブ4がブーム先端部3bから鉛直姿勢で垂下された状態では、メインフック62が伸縮ジブ4に対して干渉する位置にあるので、メインフック62を過巻付近(ブーム先端部3bの近傍)まで巻上げて該メインフック62を基側ジブ41の基端部にある空所43内に収容させておく必要がある。
【0016】
そして、図12に示す伸縮ジブ縮小状態から図13に示す伸縮ジブ伸長状態に移行させるには、先側ジブ42の降下スペースを確保する必要から、サブウインチ7を巻下作動させながら伸縮ブーム3を伸長作動させるが、伸縮ブーム3が伸長するとそのままではメインフック62がブーム先端部3bの下面に衝突することから、伸縮ブーム3の伸長量に対応する量だけ順次メインウインチ6を巻下作動(メインフック62を降下)させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平5−155584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ところが、図11に示す伸縮ジブ付きクレーンにおいて、図12の伸縮ジブ縮小状態から図13の伸縮ジブ伸長状態に移行させるには、上記のようにサブウインチ7の巻下操作と伸縮ブーム3の伸長操作に加えて、メインウインチ6の巻下操作も同時進行させる必要があるが、これらの3つ操作を手動で同時進行させるのは非常に面倒であり、しかも各作動量をそれぞれ小刻みに分けて慎重に行わないとメインフック62が空所43の範囲内に収まらなくなる(メインフック62が基側ジブ41やブーム先端部3bに干渉する)という問題があった。
【0019】
そこで、本願発明は、図11〜図13に示すような伸縮ジブ付きクレーンを使用して伸縮ジブを垂下姿勢で伸長させる際に、ブーム先端部から吊下させたメインフックが伸縮ジブ(基側ジブ)やブーム先端部に干渉しないように行えるようにした伸縮ジブの伸長方法を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、ブーム先端部から伸縮ジブを下向きに垂下させた姿勢で該伸縮ジブを伸長させる際の、伸縮ジブ付きクレーンにおける伸縮ジブの伸長方法を対象にしたものであるが、以下の説明では、本願発明の名称を単に「伸縮ジブ伸長方法」と表現することがある。
【0021】
[本願請求項1の発明]
本願請求項1の発明の伸縮ジブ伸長方法は、次の構成を有した伸縮ジブ付きクレーンを使用して行うものである。
【0022】
即ち、本願請求項1の発明で使用される伸縮ジブ付きクレーンは、車両上に起伏及び伸縮自在な伸縮ブームを搭載し、該伸縮ブームのブーム先端部に継ぎ足されるジブとして基側ジブに対して先側ジブを伸縮させ得る伸縮ジブを使用し、伸縮ジブの基端部をブーム先端部に連結した状態でジブチルト装置により伸縮ジブをブーム先端部の下方に向く垂下姿勢とブーム先端部の前方に向く張出姿勢との間で揺動させ得るようにし、伸縮ブームの基端側適所にメインウインチとサブウインチとを設け、メインウインチから繰出したメインロープの先端側をブーム先端部から垂下させて該メインロープにメインフックを取付け、サブウインチから繰出したサブロープの先端側を先側ジブの先端部から垂下させて該サブロープの先端にサブフックを取付け、さらに伸縮ジブを伸縮させるのにサブフックを先側ジブの先端部に衝合させた状態でサブフックを過巻することで先側ジブを基側ジブに対して縮小させ得る一方、所定角度起仰させた伸縮ブームのブーム先端部から縮小状態の伸縮ジブを垂下させた状態でサブウインチを巻下作動させることで先側ジブをその自重で伸長させ得るように構成されたものである。
【0023】
尚、本願で採用する伸縮ジブ付きクレーンとしては、例えば上記した図11〜図13に示す公知例のものを使用できる。
【0024】
そして、本願請求項1の発明の伸縮ジブ伸長方法は、サブフックの過巻により縮小状態を維持させた伸縮ジブを縮小状態で所定角度起仰させた姿勢の伸縮ブームのブーム先端部から垂下させ、該伸縮ジブをブーム先端部から吊下されているメインフックが昇降してもメインフックが干渉しない程度の角度範囲だけ前方に振出した姿勢で、サブウインチの巻下操作と伸縮ブームの伸長操作とを行って、先側ジブを自重で伸長させるようにする、ことを特徴としている。
【0025】
ところで、この請求項1の伸縮ジブ伸長方法では、伸縮ジブを伸長させるのに、伸縮ジブをブーム先端部から垂下させた姿勢で伸縮ブームを伸長させる操作を併用して行うが、その伸縮ブームの伸長に伴ってブーム先端部から吊下されているメインフックが上動するようになる。そして、伸縮ジブが鉛直姿勢で垂下している状態では、伸縮ブームの伸長に伴ってメインフックが上動すると、該メインフックが垂下姿勢にある伸縮ジブ(基側ジブ)に干渉する虞れが生じる。
【0026】
ところが、本願請求項1の伸縮ジブ伸長方法では、ブーム先端部から垂下させている伸縮ジブを伸長操作(サブウインチの巻下操作と伸縮ブームの伸長操作)する前に、該伸縮ジブを上記所定角度範囲(メインフックが昇降してもメインフックが干渉しない程度の角度範囲)だけ前方に振出す操作を行うので、伸縮ジブ伸長操作(伸縮ブームの伸長操作を含む)によりメインフックが上動しても、該メインフックが伸縮ジブ(基側ジブ)に干渉することがない。尚、伸縮ジブの伸長操作の前に行う伸縮ジブの前方振出し角度は、メインフック昇降時に該メインフックが伸縮ジブに干渉しない程度だけ離間させるものであり、そのときの伸縮ジブの対鉛直線角度は例えば10°〜15°程度だけ外側に振った状態に設定することができる。
【0027】
この請求項1の伸縮ジブ伸長方法では、伸縮ジブの伸長操作(サブウインチの巻下操作と伸縮ブームの伸長操作の2つの操作)は、オペレータがキャビン内から手動で行えるが、そのオペレータによる操作は、キャビン内から先側ジブ下端部の高さ状況(地面に対する近接状況)を見ながら行えるので、先側ジブの下端部が危険状態(地面に干渉する)に近づくのを容易に回避できる(先側ジブの下端部が地面に近づけば、危険側操作を中断すればよい)。
【0028】
ところで、この請求項1の伸縮ジブ伸長方法では、伸縮ジブを伸長させるのに伸縮ブームを伸長させる操作を併用して行うことにより、ブーム先端部から吊下されているメインフックが上動するが、伸縮ブームの伸長操作に先立って伸縮ジブを上記角度範囲だけ前方に振出した時点で、メインウインチを巻下作動させてメインフックを予め所定長さ(伸縮ブームの伸長量に見合うメインフックの上動量程度以上)だけ降下させておくと、伸縮ジブの伸長動作をサブウインチの巻下操作と伸縮ブームの伸長操作との2つの操作のみで行わせることができる。
【0029】
尚、ブーム先端部から伸長状態で垂下している伸縮ジブを縮小させるには、先側ジブの先端部にサブフックを過巻状態で衝合させた状態から、サブウインチの巻上操作と伸縮ブームの縮小操作とを併用することで、伸縮ジブを縮小させながら伸縮ブームも縮小させることができる。その場合、伸縮ジブの伸長操作と同様に、伸縮ジブを所定角度だけ前方に振出した状態で行うと、伸縮ブームの縮小動作に伴ってメインフックが降下しても、該メインフックが伸縮ジブ(基側ジブ)に干渉することはない。
【0030】
[本願請求項2の発明]
本願請求項2の発明は、上記請求項1の伸縮ジブ伸長方法において、伸縮ジブの伸長時におけるサブウインチの巻下作動と伸縮ブームの伸長作動とを、予め設定されたプログラムに基いて自動制御しながら行わせるようにしたものである。
【0031】
この請求項2の伸縮ジブ伸長方法は、コントローラに上記プログラムを記憶させておき、伸縮ジブの伸長モードに設定した状態で例えばサブウインチの巻下操作(伸縮ブームの伸長操作でもよい)を行うことで、プログラムに基いた適正な伸縮ジブ伸長作動(サブウインチの巻下作動と伸縮ブームの伸長作動)が自動で行われるにようしたものである。
【0032】
尚、この請求項2の場合の制御プログラムとしては、伸縮ジブの伸長モードスイッチをONにすることで、後はサブウインチの巻下作動と伸縮ブームの伸長作動とが伸縮ジブの伸長完了状態まで単一のプログラムで画一的に実行されるようにしたものでもよい。
【0033】
[本願請求項3の発明]
本願請求項3の発明は、上記請求項2の伸縮ジブ伸長方法において、予め設定されたプログラムは、先側ジブが地面に接触しない条件を満足するものであることを特徴としている。
【0034】
従って、この請求項3の伸縮ジブ伸長方法では、上記プログラムに基いて伸縮ジブを伸長作動させる過程において、先側ジブが地面に接触しない条件を満足しながら行える。
【0035】
尚、この請求項3の場合の制御プログラムでも、伸縮ジブの伸長モードスイッチをONにすることで、後はサブウインチの巻下作動と伸縮ブームの伸長作動とが伸縮ジブの伸長完了状態まで単一のプログラムで画一的に実行されるようにしたものでもよい。
【0036】
[本願請求項4の発明]
本願請求項4の発明の伸縮ジブ伸長方法は、ブーム先端部から伸縮ジブを鉛直姿勢で垂下させた状態でも、メインフックが伸縮ジブ(基側ジブ)に干渉することなく伸縮ジブを自動制御により伸長させ得るようにしたものである。
【0037】
この請求項4の伸縮ジブ伸長方法で使用される伸縮ジブ付きクレーンとしては、上記請求項1で使用される伸縮ジブ付きクレーンの構成に加えて、伸縮ジブの基側ジブの基端部寄りに、ブーム先端部に対して過巻付近まで巻上げているメインフックを潜らせる干渉防止用の空所を設けたものを採用している。尚、ブーム先端部に継ぎ足して使用されるジブには、ジブ基端部寄り位置にメインフックを潜らせるための空所を設けたものが一般的である。
【0038】
そして、この請求項4の伸縮ジブ伸長方法は、メインフックをブーム先端部の過巻付近まで巻上げた状態で伸縮ブームを縮小状態で所定角度起仰させ、伸縮ブームのブーム先端部からサブフックの過巻により縮小状態を維持させた伸縮ジブを鉛直姿勢で垂下させてメインフックを基側ジブの空所内に収容した状態から、サブウインチの巻下作動と伸縮ブームの伸長作動とメインウインチの巻下作動とを併用して、メインフックを基側ジブの空所内の位置に維持させながら先側ジブを自重で伸長させるようにするとともに、伸縮ジブの伸長時におけるサブウインチの巻下作動と伸縮ブームの伸長作動とメインウインチの巻下作動とを、予め設定されたプログラムに基いて自動制御しながら行わせるようにしたものである。
【0039】
ところで、この請求項4の伸縮ジブ伸長方法では、伸縮ジブを鉛直姿勢のままで伸長させるが、この場合はブーム先端部から吊下しているメインフックが鉛直姿勢の伸縮ジブに対して上下に干渉する位置関係(側面視で重合する位置関係)にあるので、伸縮ジブが伸長する全動作範囲においてメインフックを先側ジブの基端部寄りにある空所内に維持させておく必要がある。
【0040】
そこで、この請求項4の伸縮ジブ伸長方法では、コントローラに上記プログラムを記憶させておき、伸縮ジブの伸長モードに設定した状態で例えばサブウインチの巻下操作(伸縮ブームの伸長操作でもよい)を行うことで、プログラムに基いた適正な伸縮ジブ伸長作動(サブウインチの巻下作動と伸縮ブームの伸長作動とメインウインチの巻下作動)が自動で行われるにようしている。
【0041】
尚、この請求項4の場合の制御プログラムでも、伸縮ジブの伸長モードスイッチをONにすることで、後はサブウインチの巻下作動と伸縮ブームの伸長作動とメインウインチの巻下作動とが伸縮ジブの伸長完了状態まで単一のプログラムで画一的に実行されるようにしたものでもよい。
【0042】
[本願請求項5の発明]
本願請求項5の発明は、上記請求項4の伸縮ジブ伸長方法において、予め設定されたプログラムは、先側ジブが地面に接触しない条件とメインフックが基側ジブの空所内の位置に維持される条件とをそれぞれ満足するものであることを特徴としている。
【0043】
従って、この請求項5の伸縮ジブ伸長方法では、上記プログラムに基いて伸縮ジブを伸長作動させる過程において、先側ジブが地面に接触しない条件とメインフックが基側ジブの空所内の位置に維持される条件とをそれぞれ満足しながら行える。
【0044】
尚、この請求項5の場合の制御プログラムでも、伸縮ジブの伸長モードスイッチをONにすることで、後はサブウインチの巻下作動と伸縮ブームの伸長作動とメインウインチの巻下作動とが伸縮ジブの伸長完了状態まで単一のプログラムで画一的に実行されるようにしたものでもよい。
【0045】
[本願請求項6の発明]
本願請求項6の発明は、上記請求項4の伸縮ジブ伸長方法において、伸縮ジブの伸長時におけるサブウインチの巻下作動と伸縮ブームの伸長作動とメインウインチの巻下作動に加えて、伸縮ブームを起仰させる作動を併用して行わせるものである。
【0046】
ところで、上記請求項4の伸縮ジブ伸長方法では、伸縮ブームを所定起仰角度(例えば起仰角度が60°程度)に維持した姿勢で該伸縮ブームを伸長させながら行わせるので、伸縮ジブの伸長完了状態では伸縮ブームが斜め上方に伸長していることによりブーム先端部の作業半径が長くなる。従って、伸縮ジブの伸長完了状態では、ブーム先端部から垂下させている伸縮ジブが鉛直姿勢であるものの、ブーム先端部の作業半径が長くなったことによる伸縮ジブの出幅が大きくなる。
【0047】
そこで、この請求項6では、請求項4の伸縮ジブ伸長方法に加えて、伸縮ブームを起仰させる作動を併用して行わせることにより、伸縮ジブの伸長完了状態での伸縮ジブの出幅を小さくし得るようにしている。
【0048】
尚、この請求項6の場合の制御プログラムでも、伸縮ジブの伸長モードスイッチをONにすることで、後はサブウインチの巻下作動と伸縮ブームの伸長作動とメインウインチの巻下作動と伸縮ブームの起仰作動とが伸縮ジブの伸長完了状態まで単一のプログラムで画一的に実行されるようにしたものでもよい。
【0049】
[本願請求項7の発明]
本願請求項7の発明は、上記請求項6の伸縮ジブ伸長方法において、予め設定されたプログラムは、伸縮ジブの垂下位置が車両の前端より外側にはみ出さない条件と先側ジブが車両の上面に接触しない条件とメインフックが基側ジブの空所内の位置に維持される条件とをそれぞれ満足するものであることを特徴としている。
【0050】
従って、この請求項7の伸縮ジブ伸長方法では、上記プログラムに基いて伸縮ジブを伸長作動させる過程において、伸縮ジブが車両の前端から外側にはみ出さず且つ先側ジブが車両の上面に接触することがなくしかもメインフックが基側ジブの空所内の位置に維持される、という各条件をそれぞれ満足しながら行える。
【0051】
尚、この請求項7の場合の制御プログラムでも、伸縮ジブの伸長モードスイッチをONにすることで、後はサブウインチの巻下作動と伸縮ブームの伸長作動とメインウインチの巻下作動と伸縮ブームの起仰作動とが伸縮ジブの伸長完了状態まで単一のプログラムで画一的に実行されるようにしたものでもよい。
【発明の効果】
【0052】
[本願請求項1の発明の効果]
本願請求項1の発明の伸縮ジブ伸長方法では、伸縮ジブの伸長操作(サブウインチの巻下操作と伸縮ブームの伸長操作)を行う前に、ブーム先端部から垂下させている伸縮ジブを、ブーム先端部から吊下されているメインフックが昇降しても該メインフックが干渉しない程度の角度範囲だけ前方に振出した姿勢で、サブウインチの巻下操作と伸縮ブームの伸長操作とを行って、先側ジブを自重で伸長させるようにしている。
【0053】
従って、この請求項1の伸縮ジブ伸長方法を行うと、伸縮ジブの伸長操作時には伸縮ジブが外側に振出されている関係で、メインフックが上動しても該メインフックが伸縮ジブ(基側ジブ)に干渉することがないという効果がある。
【0054】
又、伸縮ジブの伸長操作前にメインフックを予め十分に降下させておけば、後の伸縮ジブ伸長操作時にメインフックの巻下操作を併用しなくともよいので、伸縮ジブ伸長操作の操作性が良好となるという効果もある。
【0055】
[本願請求項2の発明の効果]
本願請求項2の発明は、上記請求項1の伸縮ジブ伸長方法において、伸縮ジブの伸長時におけるサブウインチの巻下作動と伸縮ブームの伸長作動とを、予め設定されたプログラムに基いて自動制御しながら行わせるようにしたものである。
【0056】
従って、この請求項2の伸縮ジブ伸長方法では、上記請求項1の効果に加えて、伸縮ジブの伸長動作を自動で且つ安全に行わせることができるという効果がある。
【0057】
[本願請求項3の発明の効果]
本願請求項3の発明は、上記請求項2の伸縮ジブ伸長方法において、予め設定されたプログラムとして、先側ジブが地面に接触しない条件を満足するものを採用しているので、上記請求項2の効果に加えて、伸縮ジブの伸長動作をより一層安全に行わせることができるという効果がある。
【0058】
[本願請求項4の発明の効果]
本願請求項4の発明の伸縮ジブ伸長方法は、伸縮ジブをブーム先端部から鉛直姿勢で垂下させて、伸縮ジブの基端部寄りにある空所内にブーム先端部から吊下させたメインフックを収容させた状態で、伸縮ジブの伸長時におけるサブウインチの巻下作動と伸縮ブームの伸長作動とメインウインチの巻下作動とを、予め設定されたプログラムに基いて自動制御しながら行わせるようにしたものである。
【0059】
従って、この請求項4の伸縮ジブ伸長方法では、自動で伸縮ジブの伸長作業が行えるとともに、伸縮ジブが鉛直姿勢で伸長する分、該伸縮ジブの出幅を小さくできるので、上記請求項2(又は3)のものより狭いスペースで伸縮ジブの伸長作業が行えるとともに、伸縮ジブの前方振出しのためのスペースが狭いものでよいという効果がある。
【0060】
[本願請求項5の発明の効果]
本願請求項5の発明は、上記請求項4の伸縮ジブ伸長方法において、予め設定されたプログラムとして、先側ジブが地面に接触しない条件とメインフックが基側ジブの空所内の位置に維持される条件とをそれぞれ満足するものを採用しているので、上記請求項4の効果に加えて、伸縮ジブの伸長動作をより一層安全に行わせることができるという効果がある。
【0061】
[本願請求項6の発明の効果]
本願請求項6の発明は、上記請求項4の伸縮ジブ伸長方法において、伸縮ジブの伸長時におけるサブウインチの巻下作動と伸縮ブームの伸長作動とメインウインチの巻下作動に加えて、伸縮ブームを起仰させる作動を併用して行わせるものである。
【0062】
従って、この請求項6の伸縮ジブ伸長方法では、伸縮ジブの伸長完了状態において伸縮ブームを起仰させた分だけ伸縮ジブの出幅を小さくできるので、上記請求項4の効果に加えて、より一層狭いスペースで伸縮ジブの伸長作業が行えるとともに、伸縮ジブの前方振出しのためのスペースがより一層狭いものでよいという効果がある。
【0063】
[本願請求項7の発明の効果]
本願請求項7の発明は、上記請求項6の伸縮ジブ伸長方法において、予め設定されたプログラムとして、伸縮ジブの垂下位置が車両の前端より外側にはみ出さない条件と先側ジブが車両の上面に接触しない条件とメインフックが基側ジブの空所内の位置に維持される条件とをそれぞれ満足するものを採用している。
【0064】
従って、この請求項7の伸縮ジブ伸長方法では、上記請求項6の効果に加えて、伸縮ジブの伸長完了状態において該伸縮ジブの出幅をより一層小さくできる(伸縮ジブが車両の前端より外側にはみ出さない)とともに、伸縮ジブの伸長動作をより一層安全に行わせることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本願第1実施例の伸縮ジブ伸長方法における中間作業状態の説明図である。
【図2】本願第1実施例の伸縮ジブ伸長方法における伸長完了状態の説明図である。
【図3】図2の状態からの伸縮ジブ振出し方法の説明図である。
【図4】図1及び図2(本願第1実施例)の伸縮ジブ伸長方法を自動で行えるようにした本願第2実施例の伸縮ジブ伸長方法の制御ブロック図である。
【図5】本願第3実施例の伸縮ジブ伸長方法を行うための制御ブロック図である。
【図6】本願第4実施例の伸縮ジブ伸長方法における中間作業状態の説明図である。
【図7】本願第4実施例の伸縮ジブ伸長方法における伸長完了状態の説明図である。
【図8】本願第4実施例(図6及び図7)の伸縮ジブ伸長方法を行うための制御ブロック図である。
【図9】公知(特許文献1)の伸縮ジブ伸長方法の説明図である。
【図10】図9における伸縮ジブ伸長状態での一部拡大図である。
【図11】本件出願人が開発した伸縮ジブ付きクレーンにおける伸縮ジブ振出し状態の説明図である。
【図12】図11の伸縮ジブ付きクレーンにおける伸縮ジブ伸長方法の問題点説明図であるとともに、本願第3実施例の伸縮ジブ伸長方法で適用される伸縮ジブ付きクレーンの状態図である。
【図13】図12の伸縮ジブ付きクレーンにおける伸縮ジブ伸長完了状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
[実施例]
以下、図1〜図8(図11〜図13を併用する)を参照して本願のいくつかの実施例の伸縮ジブ伸長方法を説明すると、図1〜図3(図12を併用)には第1実施例の伸縮ジブ伸長方法に関するものを示し、図4には第1実施例の伸縮ジブ伸長方法を自動で行えるようにした第2実施例の伸縮ジブ伸長方法に関するものを示し、図5(図12〜図13を併用)には第3実施例の伸縮ジブ伸長方法に関するものを示し、図6〜図8には第4実施例の伸縮ジブ伸長方法に関するものを示している。又、図1〜図3の第1実施例は本願の請求項1に対応し、図4の第2実施例は本願の請求項2と3に対応し、図5(図12〜図13を併用)の第3実施例は本願の請求項4と5に対応し、図6〜図8の第4実施例は本願の請求項6と7に対応するものである。
【0067】
第1〜第4の各実施例の伸縮ジブ伸長方法は、それぞれ図11〜図13に示す伸縮ジブ付きクレーン(本件出願人が開発した公知のもの)を使用して行うものであり、本願の各実施例の伸縮ジブ伸長方法を説明する前に、まずこの伸縮ジブ付きクレーンの構成について説明する。
【0068】
図11〜図13に示す伸縮ジブ付きクレーンは、車両1上に旋回台2を水平旋回自在に搭載し、該旋回台2に伸縮ブーム3の基端部を枢支しているとともに、伸縮ブーム3のブーム先端部3bに伸縮ジブ4を着脱自在に継ぎ足し得るように構成されている。
【0069】
旋回台2には、メインウインチ6とサブウインチ7とが並置されている。そして、メインウインチ6からはメインロープ61が延出されていて、該メインロープ61の先端側をブーム先端部3bのシーブに巻掛けた後、該メインロープ61にメインフック62を取付けている。尚、メインロープ61は、ブーム先端部3b側のシーブとメインフック62側のシーブ間に適数回巻回させた後に、該メインロープ端部をブーム先端部3b又はメインフック62に連結している。他方、サブウインチ7からはサブロープ71が延出されていて、該サブロープ71の先端側をブーム先端部3bのシーブを経由して伸縮ジブ4の先端部(先側ジブ42の先端部42b)まで導いた後、該サブロープ71の先端部にサブフック72を取付けている。
【0070】
そして、図11に示す伸縮ジブ付きクレーンの作業姿勢では、伸縮ジブ先端部(先側ジブ42の先端部42b)からサブフック72が吊下されている一方、ブーム先端部3bからメインフック62が吊下されている。
【0071】
伸縮ブーム3は、図示例のものでは基端ブーム31と先端ブーム34の間に2本の中間ブーム32,33を介在させた4段ブームを採用している。
【0072】
この伸縮ブーム3は、ブームに内蔵された伸縮シリンダ(図示していない)により伸縮せしめられる一方、起伏シリンダ30により起伏せしめられる。
【0073】
又、この伸縮ジブ付きクレーンでは、ブーム長さ検出器14によってブーム長さが検出される一方、ブーム角度検出器15によってブーム起伏角度が検出される。尚、ブーム長さ検出器14で検出しているブーム長さ及びブーム角度検出器15で検出しているブーム起伏角度は、従来からAML制御(転倒防止制御)等のデータとして利用されていて、常時コントローラに入力されている。
【0074】
伸縮ジブ4は、基側ジブ41と先側ジブ42とをテレスコープ状に連結したもので、先側ジブ42が基側ジブ41に対して伸縮し得るようにしたものである。尚、以下の説明では、伸縮ジブ4において、基側ジブ41の基端部41aを基側ジブ基端部41aといい、先側ジブ42の先端部42bを単に先側ジブ先端部42bということがある。
【0075】
基側ジブ基端部41a寄り位置は二股状になっていて、該基側ジブ基端部41a付近の内部は空所43となっている。この空所43は、伸縮ジブ4の揺動時にブーム先端部3bから吊下されているメインフック62を収容し得る干渉防止用の逃げ部となるものであるが、該空所43の深さはさほど大きくすることはできない。
【0076】
この実施例で使用される伸縮ジブ付きクレーンも、図9及び図10に示す公知例のものと同様に、伸縮ジブ4を図12に示す下向きに垂下させた状態で、旋回台2に設けたサブウインチ7からのサブロープ71及びサブフック72で先側ジブ先端部42bを支持し得るとともに、該サブフック72による支持力を解除すると、先側ジブ42が自重で降下(伸長)するようになっている。
【0077】
即ち、図12に示すように伸縮ブーム3を所定角度起仰させ、そのブーム先端部3bから伸縮ジブ4を下向きに垂下させた状態でサブウインチ7を過巻状態まで巻上げると、サブフック72が先側ジブ先端部42bに衝合することで先側ジブ42の下動を禁止し得る一方、図12の状態からサブウインチ7を巻下作動させる(サブフック72による支持力が解除される)ことで、図13に示すように先側ジブ42を自重で降下(伸長)させ得るようになっている。
【0078】
この伸縮ジブ4も、先側ジブ42が基側ジブ41に対して最伸長した状態(図13の状態)で、それ以上伸長するのを禁止するストッパー(図示していない)を有しているとともに、先側ジブ42の基端部寄り位置と基側ジブ41の基端部寄り位置とをピン結合(図示していない)によって伸縮不能にロックできるようになっている。尚、先側ジブ42のストッパー機構(伸長禁止機構)や伸縮ロック機構等については、本願発明の要旨とさほど関係がないので、ここでは詳細な説明は省略するが、例えば特許文献1に記載のもの(先側ジブの下端寄り位置から遠隔操作し得るもの)を採用してもよく、あるいは先側ジブ42が最伸長状態のときに合致する各側のピン穴に自動でピンを差込み得るようにしたもの(いわゆる自動連結ピン)を採用してもよい。
【0079】
本願で使用される図11〜図13の伸縮ジブ付きクレーン(図11〜図13のもの)では、伸縮ジブ4をブームに対して起伏(チルト)させるのに、ジブチルトシリンダ50を用いたジブチルト装置5を採用している。このジブチルト装置5は、基側ジブ41に取付けたジブチルトシリンダ50と一連のテンションロッド51とで構成されている。尚、テンションロッド51は、ブーム先端部側のロッドと基側ジブ側のロッドとを接離自在に連結して使用されるものであり、図12に示す伸縮ジブ垂下姿勢では、該テンションロッド51は既に連結されている。
【0080】
そして、このジブチルト装置5は、図12の状態から図13に示すように伸縮ジブ4を伸長させた状態(後述する)でジブチルトシリンダ50を伸長させることで、図11に示すように伸縮ジブ4を伸長状態のままでブーム先端部3bの前方まで下振出し方式により張出させることができるようになっている。尚、このジブチルト装置5は、ジブチルトシリンダ50の伸長量を調整することによって伸縮ジブ4のチルト角を変化させ得るようになっている。
【0081】
ところで、伸縮ジブ4は、格納状態では伸縮ブーム3の基端ブーム31の側面に支持されているが、図12の伸縮ジブ垂下姿勢まで移行させるには、次のようにして行う。
【0082】
即ち、伸縮ジブ4の格納状態では、水平姿勢の伸縮ブーム(基端ブーム31)の側面に支持させているが、この伸縮ジブ格納状態では、該伸縮ジブ4が最縮小状態で先側ジブ42が基側ジブ41に対して伸長不能状態でロックされている。そして、この伸縮ジブ格納状態から、図示しない昇降装置により伸縮ジブ4をブーム下面位置に変位させ、基側ジブ基端部41aをブーム先端部3bに支軸40で枢支し、伸縮ジブ4が不用意に下方旋回するのを防止するために先側ジブ先端部42bを補助ロープとサブロープ71とで支持し、伸縮ブーム3を所定角度起仰させ、サブウインチ7をゆっくり巻下作動させる(サブロープ71と補助ロープの緊張を緩める)ことにより、伸縮ジブ4が自重で鉛直姿勢まで前方に揺動するようになっている。尚、このようなジブの下振出し方式は、例えば特開平5−116888号公報や特開2009−40601号公報等で公知となっており、且つ本願発明の要旨にさほど関係がないので、ここでは詳しい説明は省略する。
【0083】
伸縮ジブ4が鉛直姿勢で垂下している状態(図12)では、先側ジブ42が縮小状態で基側ジブ41に対してロック状態に維持されているので、伸縮ジブ4が下向き姿勢であっても先側ジブ42が不用意に自重で降下することはない。
【0084】
次に、サブフック72を先側ジブ先端部42bより下方に位置させ、サブロープ71が先側ジブ先端部42bから離脱しないように該先側ジブ先端部42bにロープ外れ止めピン44(図12)を差し込む。そして、サブウインチ7を巻上作動させてサブフック72を過巻状態にした後(サブフック72で先側ジブ42の下動を禁止している)、基側ジブ41に対する先側ジブ42のロックを解除する(ロックピンを外す)と、図12に示すようにサブフック72の過巻のみで先側ジブ42を支持できる。
【0085】
図12に示す伸縮ジブ4の縮小状態での垂下姿勢から先側ジブ42を降下(伸長)させるには、サブウインチ7を巻下作動する(サブフック72による先側ジブ42への支持力が解除される)ことで行えるが、先側ジブ42を降下(伸長)させるには、該先側ジブ42の下方に降下スペースを確保する必要がある。そこで、この実施例では、先側ジブ42の下方に降下スペースを確保するのに、サブウインチ7の巻下操作に併用して伸縮ブーム3の伸長操作(伸縮ジブ全体を持ち上げる)を同時進行させるようにしている。
【0086】
又、伸縮ジブ4を図12に示す鉛直姿勢で伸長させる場合には、ブーム先端部3bから吊下されているメインフック62と基側ジブ41とが側面視で重合する位置関係にあるので、メインフック62を基側ジブ41に干渉させないようにするためには、該メインフック62を基側ジブ41の基端寄りにある空所43の深さ範囲内に維持させておく必要がある。
【0087】
ところが、図12の伸縮ジブ縮小状態から図13の伸縮ジブ伸長状態に移行させるのに、サブウインチ7の巻下操作と伸縮ブーム3の伸長操作に加えて、メインウインチ6の巻下操作(3つの操作)を同時進行させるのは面倒であり、しかも伸縮ブーム3の伸長速度に対してメインウインチ6の巻下速度の許容範囲(メインフック62がブーム先端部3bの下面及び空所43の底面にそれぞれ干渉しない範囲)が非常に狭いので、それら3つの操作を正確に同時進行させるのは非常に難しいものであった。
【0088】
そこで、本願発明は、縮小させた状態の伸縮ジブ4をブーム先端部3bから垂下させた姿勢で伸長させる場合でも、ブーム先端部3bから吊下させているメインフック62が伸縮ジブ4(基側ジブ41)に干渉しないようにするものであって、以下に示す第1〜第4の各実施例の伸縮ジブ伸長方法を提供するものである。
【0089】
「図1〜図3の第1実施例」
図1〜図3(図12を併用)に示す第1実施例の伸縮ジブ伸長方法は、次のように行われる。
【0090】
まず、図12に示すように、伸縮ブーム3を縮小状態で所定角度起仰させ、そのブーム先端部3bから伸縮ジブ4を縮小状態で鉛直方向に垂下させた姿勢を経由して行われる。尚、この図12の状態では、サブフック72を過巻状態まで巻上げていて、該サブフック72とサブロープ71とサブウインチ7とで先側ジブ42を縮小状態で支持している。
【0091】
又、この図12の姿勢(伸縮ジブ鉛直姿勢)では、ブーム先端部3bから吊下しているメインフック62が伸縮ジブ4(基側ジブ41)に対して側面視で重合する位置関係にあるので、メインフック62を過巻付近まで巻上げて該メインフック62を基側ジブ基端部41a寄りの空所43内に収容させている(メインフック62が基側ジブ41に干渉しないようにしている)。
【0092】
次に、図12の状態から、図1に示すようにジブチルト装置5(ジブチルトシリンダ50)により伸縮ジブ4を所定角度a(例えば対鉛直線角度で10°〜15°程度)だけ前方に振出す(傾動させる)。この図1の伸縮ジブ前方傾動姿勢では、伸縮ジブ4(基側ジブ41)が前方に傾動していることにより、メインフック62の直下に障害物(基側ジブ41におけるメインフック62が干渉する部分)が無くなる。
【0093】
次に、伸縮ジブ4を前方傾動させたままメインウインチ6を巻下作動させて、図1に示すようにメインフック62を所定長さだけ降下させる。尚、このようにメインフック62を所定長さだけ降下させておく理由は、次に行われる伸縮ブーム3の伸長動作に伴ってメインフック62が上昇するのを許容する(メインフック62がブーム先端部3bに干渉しないようにする)ためのものである。
【0094】
次に、図1の状態から、オペレータによる手動操作で、サブウインチ7を巻下操作(サブロープ71の繰出し)をしながら伸縮ブーム3の伸長操作を行うことで、図2に示すように先側ジブ42の降下(伸長)と伸縮ブーム3の伸長とを同時進行させる。このとき、先側ジブ42の下端部の高さ状況(地面との近接状況)をキャビン内からオペレータが目視しながら、サブウインチ7の巻下速度と伸縮ブーム3の伸長速度とを調整するが、この場合、メインフック62は予め降下させているのでメインウインチ6の巻下操作を同時に行う必要がない(サブウインチ7の巻下操作と伸縮ブーム3の伸長操作の2つの操作でよい)。
【0095】
そして、図2に示すように、先側ジブ42が基側ジブ41に対して最大伸長すると、両ジブ間のストッパー機構(図示していない)が働いて先側ジブ42の伸長動作が停止し、その伸長停止をオペレータが目視により確認して、サブウインチ7の巻下作動と伸縮ブーム3の伸長作動を停止させる。その後、先側ジブ42と基側ジブ41とを伸縮ロック機構(図示していない)でロックすれば、伸縮ジブ4の伸長作業が完了する。
【0096】
尚、図2の状態から、伸長状態の伸縮ジブ4をブーム先端部3bの前方に振出すには、ジブチルト装置5のジブチルトシリンダ50を伸長させればよく、それによって伸縮ジブ4を図3に鎖線図示(符号4′)するようにブーム先端部3bの前方に張出させることができる。
【0097】
この第1実施例の伸縮ジブ伸長方法では、伸縮ジブ4の伸長操作(サブウインチ7の巻下操作と伸縮ブーム3の伸長操作)をオペレータがキャビン内から手動で行うが、そのオペレータによる操作は、キャビン内から先側ジブ42の下端部の高さ状況(地面に対する近接状況)を見ながら行えるので、先側ジブ42の下端部が危険状態(地面に干渉する)に近づくのを容易に回避できる(先側ジブ42の下端部が地面に近づけば、危険側操作を中断すればよい)。
【0098】
又、この第1実施例の伸縮ジブ伸長方法では、伸縮ジブ4を伸長させるのに伸縮ブーム3を伸長させる操作を併用して行うことにより、ブーム先端部3bから吊下されているメインフック62が上動するが、伸縮ブーム3の伸長操作に先立って伸縮ジブ4を所定角度aだけ前方に振出した時点で、メインウインチ6を巻下作動させてメインフック62を予め所定長さ(伸縮ブーム3の伸長量に見合うメインフック62の上動量程度以上)だけ降下させておくと、伸縮ジブ3の伸長動作をサブウインチ7の巻下操作と伸縮ブーム3の伸長操作との2つの操作のみで行わせることができる。尚、このように、伸縮ジブ伸長のための操作として、サブウインチ7の巻下操作と伸縮ブーム3の伸長操作の2つでよいものでは、それらの2つの操作を同時に行う場合でもさほど難しい操作にはならない。
【0099】
又、図2に示すように、ブーム先端部3bから伸長状態で垂下している伸縮ジブ4を縮小させるには、先側ジブ先端部42bにサブフック72を過巻状態で衝合させた状態から、サブウインチ7の巻上操作と伸縮ブーム3の縮小操作とを併用することで、伸縮ジブ4を縮小させながら伸縮ブーム3も縮小させることができる(図1の状態となる)。その場合、図2に示すように、伸縮ジブ4を所定角度aだけ前方に振出した状態で行うと、伸縮ブーム3の縮小動作に伴ってメインフック62が降下しても、該メインフック62が伸縮ジブ4(基側ジブ41)に干渉することはない。
【0100】
「図4の第2実施例」
図4に示す第2実施例の伸縮ジブ伸長方法は、上記第1実施例(図1、図2)で行う伸縮ジブ4の伸長操作において、サブウインチ7の巻下作動と伸縮ブーム3の伸長作動とを、予め設定されたプログラムに基いて自動制御しながら行わせるものである。
【0101】
又、この第2実施例の伸縮ジブ伸長方法では、予め設定されたプログラム(図4のプログラム記憶手段22)として、後述するように伸縮ジブ4の伸長過程において、先側ジブ42が地面に接触しない条件を満足するもの(請求項3に対応するもの)でもよく、あるいは先側ジブ42が地面に接触しない条件を排除したもの(請求項2に対応するもの)でもよい。
【0102】
この第2実施例の伸縮ジブ伸長方法でも、図1に示すように伸縮ジブ4を予め所定角度a(例えば10°〜15°の範囲)だけ前方に振出した(傾動させた)状態で、サブウインチ7の巻下作動と伸縮ブーム3の伸長作動とを併用して図2に示すように伸縮ジブ4を伸長させるものである。そして、伸縮ジブ4を前方に傾動させた姿勢で伸縮ジブ4の伸長作動(サブウインチ7の巻下作動と伸縮ブーム3の伸長作動の併用)を行わせると、上記第1実施例で説明したようにメインフック62と伸縮ジブ4(先側ジブ42)とが干渉することなく伸縮ジブ4を伸長させることができる。
【0103】
ところで、上記第1実施例の伸縮ジブ伸長方法では、オペレータが伸縮ジブ4の伸長状況(先側ジブ42の下端高さ)を目視しながら上記2つの操作を行うものであるので、伸縮ジブの伸長動作完了まで高度な注意力が必要であった。
【0104】
そこで、この第2実施例の伸縮ジブ伸長方法では、伸縮ジブ4の伸長動作を、上記条件を満足するプログラムに基いて自動制御しながら行わせるものである。そして、この第2実施例の伸縮ジブ伸長方法では、その制御装置として図4に示すものを使用することができる。
【0105】
即ち、図4の制御装置は、ジブ伸長のためのプログラムを読出し可能にするためのジブ伸長モードスイッチ10と、サブウインチ7を巻下操作するためのサブウインチ巻下操作部材11と、サブウインチ7の巻下量を検出するサブウインチ巻下量検出器12とを有しているとともに、コントローラ20に、サブウインチ巻下速度演算手段21と、上記条件を満足させるプログラムを記憶させたプログラム記憶手段22と、伸縮ブーム伸長速度出力手段23とをそれぞれ備えたものを採用している。
【0106】
尚、上記サブウインチ巻下操作部材11としては、一般に巻上と巻下の両操作が行える単一のジョイステックが使用されているが、ここでは伸縮ジブ4の伸長操作に関する説明用として上記のようにサブウインチ巻下操作部材と表現している。又、上記サブウインチ巻下量検出器12は、サブウインチ7のドラムインジケータが担当するものであって、該ドラムインジケータによってサブウインチ7から繰出されているサブロープ71の繰出長さを検出できるようになっている。
【0107】
そして、図4に示す制御装置の各手段はそれぞれ次のように機能する。
【0108】
ジブ伸長モードスイッチ10をONにすると、サブウインチ巻下速度演算手段21が演算可能となる。尚、ジブ伸長モードスイッチ10がOFF状態であれば、サブウインチ巻下速度演算手段21もOFFになり、サブウインチ巻下操作部材11を操作しても単独作動となる(伸縮ブーム3は連動しない)。
【0109】
サブウインチ巻下速度演算手段21は、ジブ伸長モードスイッチ10がON状態でサブウインチ巻下操作部材11を操作したときに、該サブウインチ巻下操作部材11の操作信号とそのときのサブウインチ巻下量(サブウインチ巻下量検出器12で検出される)とで現状のサブウインチ巻下速度を演算するものである。
【0110】
プログラム記憶手段22には、サブウインチ巻下速度演算手段21からの各サブウインチ巻下速度にそれぞれ対応した各伸縮ブーム伸長速度をデータテーブルとして記憶している。このプログラム記憶手段22に記憶されたデータテーブルは、図4の実施例では、サブウインチ巻下速度演算手段21で算出された現状のサブウインチ巻下速度(先側ジブ42の降下速度に反映される)に対して、伸縮ブーム3を所定の伸長速度で作動させるように設定したものである。又、このプログラム記憶手段22に記憶されるデータテーブルとしては、先側ジブ42が地面に接触しない条件で伸縮ブーム3を伸長させるように設定したもの(請求項3に対応する)でもよいし、先側ジブ42が地面に接触しない条件を排除したもの(請求項2に対応する)でもよい。
【0111】
そして、このプログラム記憶手段22は、サブウインチ巻下速度演算手段21からのサブウインチ巻下速度信号を受けて適正な伸縮ブーム伸長速度を選択し、その選択した伸縮ブーム伸長速度信号を伸縮ブーム伸長速度出力手段23に送信するようになっている。
【0112】
伸縮ブーム伸長速度出力手段23は、プログラム記憶手段22から受取った所定の伸縮ブーム伸長速度信号を伸縮ブーム3の伸縮装置(伸縮シリンダの電磁弁)に出力して、その指定速度で伸縮ブーム3を伸長作動させるものである。
【0113】
そして、この第2実施例(図4)の制御装置では、図1に示す伸縮ジブ4の垂下姿勢(この状態では、伸縮ジブ4が最縮小状態で且つ該伸縮ジブ4が所定角度aだけ前方に振出している)において、ジブ伸長モードスイッチ10をONにした後、例えばサブウインチ巻下操作部材11を操作することで、後はサブウインチ巻下速度演算手段21で現状のサブウインチ巻下速度を演算し、プログラム記憶手段22でサブウインチ巻下速度演算手段21からのサブウインチ巻下速度信号に対応した伸縮ブーム伸長速度を選択し、その選択された伸縮ブーム伸長速度信号に基いて伸縮ブーム伸長速度出力手段23から伸縮ブーム3の伸縮装置に対して指定速度で伸長させる信号が出力される(図4の制御A)。
【0114】
従って、図4の制御装置を用いて行う第2実施例の伸縮ジブ伸長方法では、上記第1実施例の伸縮ジブ伸長方法による機能に加えて、上記プログラムに基いた伸縮ジブ伸長作動(サブウインチの巻下作動と伸縮ブームの伸長作動)が自動で行えるという機能を有している。
【0115】
ところで、図4に示す第2実施例の伸縮ジブ伸長方法では、伸縮ジブ4の伸長動作を、サブウインチ巻下操作部材11の操作に起因して(サブウインチ7の巻下作動に起因して)伸縮ブーム3が伸長作動するように設定しているが、他の実施例では、伸縮ブーム3の伸長操作に起因してサブウインチ7が巻下作動するようにしてもよい。その場合、伸縮ブーム3が先に伸長することによりサブロープ71が緊張するが、サブロープ71が緊張すると、その緊張作用で伸縮ブーム4を前方に振出すので、該サブロープ71が過度に緊張することがない(サブロープが切れない)。
【0116】
尚、この第2実施例の場合の制御プログラムとしては、伸縮ジブ4の伸長モードスイッチ10をONにすることで、後はサブウインチ7の巻下作動と伸縮ブーム3の伸長作動とが伸縮ジブ4の伸長完了状態まで単一のプログラムで画一的に実行されるようにしたものでもよい。その場合は、図1に示すように伸縮ジブ4を鉛直線に対して所定角度aだけ前方に振出した状態で、ジブ伸長モードスイッチ10をON操作するだけでよい。
【0117】
「図5の第3実施例」
図5には第3実施例の伸縮ジブ伸長方法を行うための制御装置を示しているが、この第3実施例(図5)の伸縮ジブ伸長方法は、図12及び図13に示すようにブーム先端部3bから伸縮ジブ4を鉛直姿勢で垂下させた状態でも、メインフック62が伸縮ジブ4(基側ジブ41)に干渉することなく伸縮ジブ4を自動制御により伸長させ得るようにしたものである。
【0118】
そして、この図5に示す制御装置には、上記第2実施例(図4)の各装置や手段に加えて、検出器としてメインウインチ巻下量検出器13とブーム長さ検出器14を用いているとともに、コントローラ20にメインフック62とブーム先端部3b間の距離を演算する距離演算手段24とメインウインチ6に対する巻下作動出力手段25とを有している。
【0119】
尚、図5において、ジブ伸長モードスイッチ10、サブウインチ巻下操作部材11、サブウインチ巻下量検出器12、サブウインチ巻下速度演算手段21、伸縮ブーム伸長速度出力手段23は、それぞれ上記第2実施例(図4)のものと同じものであるが、プログラム記憶手段22は、上記第2実施例(図4)と同様にサブウインチ巻下速度に対応する伸縮ブーム3の伸長速度を出力するのに加えて、後述するようにメインウインチ6を巻下作動させる信号を出力するものである。
【0120】
メインウインチ巻下量検出器13は、メインウインチ6のドラムインジケータが担当するものであって、該ドラムインジケータによってメインウインチ6から繰出されているメインロープ61の繰出長さを検出できるようになっている。
【0121】
ブーム長さ検出器14は、この種の伸縮ジブ付きクレーンに既存のものである。
【0122】
メインフック62とブーム先端部3b間の距離を演算する距離演算手段24は、ジブ伸長モードスイッチ10がON状態のときに、メインウインチ巻下量検出器13で検出されたメインウインチ巻下量(メインロープ61の繰出長さ)とブーム長さ検出器14で検出されたブーム長さとから、メインフック62の吊下位置がブーム先端部3bからどれだけ離間しているのかを演算するものである。この距離演算手段24で求められるメインフック62とブーム先端部3b間の距離は、メインフック62が基側ジブ41の基端部寄りにある空所43の深さ範囲に維持されているかどうかを知るためのものである。
【0123】
この第3実施例(図5)のプログラム記憶手段22には、サブウインチ巻下速度(サブウインチ巻下速度演算手段21で求められる)に対応した伸縮ブーム伸長速度を設定したデータテーブルと、距離演算手段24で求められるメインフック62とブーム先端部3b間の距離に基いてメインフック62が上記空所43内に維持されるようにメインウインチ6の巻下量を設定したデータテーブルとを設けている。
【0124】
そして、この第3実施例の伸縮ジブ伸長方法は、次のように行われる。
【0125】
図12に示すように、メインフック62をブーム先端部3bに対して過巻付近まで巻上げた状態で伸縮ブーム3を縮小状態で所定角度起仰させ、且つブーム先端部3bからサブフック72の過巻により縮小状態を維持させた伸縮ジブ4を鉛直姿勢で垂下させてメインフック72を基側ジブ41の空所43内に収容した状態から、図5に示すジブ伸長モードスイッチ10をONにする。このとき、サブウインチ巻下速度演算手段21と距離演算手段24とが作動可能になる。
【0126】
次に、サブウインチ巻下操作部材11によりサブウインチ巻下操作を行うと、上記第2実施例と同様にプログラム記憶手段22で記憶されたデータテーブルに基いてサブウインチ7の巻下速度に対応した指定速度で伸縮ブーム3を伸長作動させる(制御Aが実行される)一方、距離演算手段24からのメインフック62とブーム先端部3b間の距離データに基いてプログラム記憶手段22からメインウインチ巻下作動出力手段25に対してメインフック62が先側ジブ42の空所43内に維持される条件でメインウインチ6を巻下作動させる信号が出力され、該メインウインチ6を指定速度で巻下作動させるようになる(制御Bが実行される)。
【0127】
このように、この第3実施例(図5)の伸縮ジブ伸長方法では、伸縮ジブ4をブーム先端部3bから鉛直姿勢で垂下させて、伸縮ジブ4の基端部寄りにある空所43内にブーム先端部3bから吊下させたメインフック62を収容させた状態で、伸縮ジブ4の伸長時におけるサブウインチ7の巻下作動と伸縮ブーム3の伸長作動とメインウインチ6の巻下作動とをそれぞれ所定のプログラムに基いて自動制御しながら行える。従って、この第3実施例の伸縮ジブ伸長方法では、自動で伸縮ジブ4の伸長作業が行えるとともに、伸縮ジブ4が鉛直姿勢で伸長する分、該伸縮ジブ4の出幅を小さくできるので、上記第2実施例のもの(伸縮ジブ4が傾斜状態)より狭いスペースで伸縮ジブ4の伸長作業が行える。
【0128】
ところで、図5におけるプログラム記憶手段22に記憶されるデータテーブルとしては、先側ジブ42が地面に接触しない条件とメインフック62が基側ジブ41の空所43内の位置に維持される条件とをそれぞれ満足するもの(請求項5に対応する)でもよいし、それらの条件を排除したもの(請求項4に対応する)でもよい。
【0129】
又、図5に示す第3実施例の伸縮ジブ伸長方法では、サブウインチ巻下操作部材11の操作(サブウインチ巻下作動)に起因して、伸縮ブーム3の伸長作動とメインウインチ6の巻下作動とが連動するようになっているが、他の実施例では、伸縮ブーム3の伸長操作に起因してサブウインチ7の巻下作動とメインウインチ6の巻下作動が連動するようにしたものでもよい。
【0130】
尚、この第3実施例の伸縮ジブ伸長方法でも、制御プログラムとして、伸縮ジブ4の伸長モードスイッチ10をONにすることで、後はサブウインチ7の巻下作動と伸縮ブーム3の伸長作動とメインウインチ6の巻下作動とが伸縮ジブ4の伸長完了状態まで単一のプログラムで画一的に実行されるようにしたものでもよい。その場合は、図12に示すように伸縮ジブ4を鉛直方向に垂下させた状態で、ジブ伸長モードスイッチ10をON操作するだけでよい。
【0131】
「図6〜図8の第4実施例」
図6〜図8に示す第4実施例の伸縮ジブ伸長方法は、上記第3実施例の伸縮ジブ伸長方法(伸縮ジブ4の伸長時に、サブウインチ7の巻下作動と伸縮ブーム3の伸長作動とメインウインチ6の巻下作動とで行うもの)に加えて、伸縮ブーム3を起仰させる作動を併用して行わせるものである。
【0132】
ところで、上記第3実施例(図12及び図13)の伸縮ジブ伸長方法では、伸縮ブーム3を所定起仰角度(例えば起仰角度が60°程度)に維持した姿勢で該伸縮ブーム3を伸長させながら行うので、伸縮ジブ4の伸長完了状態では伸縮ブーム3が斜め上方に伸長していることによりブーム先端部3bの作業半径が長くなる。従って、伸縮ジブ4の伸長完了状態では、ブーム先端部3bから垂下させている伸縮ジブ4が鉛直姿勢であるものの、ブーム先端部3bの作業半径が長くなったことによる伸縮ジブ4の出幅が大きくなる。
【0133】
そこで、この第4実施例の伸縮ジブ伸長方法では、第3実施例の伸縮ジブ伸長方法に加えて、伸縮ブーム3を図6に鎖線図示(符号3′)するように起仰させる作動を併用して行わせることにより、図7に示すように伸縮ジブ4の伸長完了状態での伸縮ジブ4の出幅を小さくし得る(作業半径Rが大きくならない)ようにしている。
【0134】
この第4実施例の伸縮ジブ伸長方法を行う制御装置は、図8に示すものであるが、この図8に示す制御装置には、上記第3実施例(図5)の各装置や手段に加えて、検出器としてブーム角度検出器15を用いているとともに、コントローラ20にブーム先端部3bの作業半径を演算する作業半径演算手段26と伸縮ブーム3を起仰させる起伏シリンダ伸長作動出力手段27とを有している。
【0135】
尚、図8において、ジブ伸長モードスイッチ10、サブウインチ巻下操作部材11、サブウインチ巻下量検出器12、メインウインチ巻下量検出器13、ブーム長さ検出器14、サブウインチ巻下速度演算手段21、伸縮ブーム伸長速度出力手段23、メインフックとブーム先端部間の距離演算手段24、メインウインチ作動出力手段25は、それぞれ上記第3実施例(図5)のものと同じものであるが、プログラム記憶手段22は、上記第3実施例(図5)と同様にサブウインチ巻下速度に対応する伸縮ブーム3の伸長速度を出力すること及びメインウインチ6を巻下作動させる信号を出力することに加えて、ブーム先端部3bの作業半径に対応して起伏シリンダ30を伸長させる(伸縮ブーム3を起仰させる)信号を出力するものである。
【0136】
ブーム角度検出器15は、この種の伸縮ジブ付きクレーンに既存のものである。
【0137】
ブーム先端部3bの作業半径演算手段26は、ブーム長さ検出器14からのブーム長さデータと15からのブーム角度データとに基いてブーム先端部3bの作業半径を演算するものである。尚、この種の作業半径演算手段は、一般に例えばAML制御のデータとして利用されているが、この第4実施例で使用される作業半径演算手段26は、ジブ伸長モードスイッチ10がON状態のときにのみ機能するようにしたものでよい。
【0138】
この第4実施例(図8)のプログラム記憶手段22には、サブウインチ巻下速度(サブウインチ巻下速度演算手段21で求められる)に対応した伸縮ブーム伸長速度を設定したデータテーブルと、距離演算手段24で求められるメインフック62とブーム先端部3b間の距離に基いてメインフック62が上記空所43内に維持されるようにメインウインチ6の巻上又は巻下量を設定したデータテーブルと、伸縮ジブ4の伸長状況に対応した伸縮ブーム3の起仰角度を設定したデータテーブルとを設けている。
【0139】
このプログラム記憶手段22における伸縮ブーム起仰用のデータテーブルは、図6に実線図示(図12と同じ)する状態から伸縮ブーム3が伸長することによるブーム先端部3bの作業半径増大側移動(前方移動)を抑制するためのもので、ブーム長さとブーム角度とから求められるブーム先端部3bの作業半径にそれぞれ対応したブーム起仰角度を設定したものである。
【0140】
又、この第4実施例では、伸縮ブーム起仰用のデータテーブルとしては、ブーム先端部3bの直下位置(鉛直姿勢で垂下している伸縮ジブ4)が車両1の前端部より外方にはみ出さないように制御できる条件と先側ジブ42の下端(先端部42b)が車両1の上面に接触しない条件とをそれぞれ満足するように設定したもの(請求項7に対応する)でもよいし、それらの条件を排除したもの(請求項6に対応する)でもよい。
【0141】
そして、プログラム記憶手段22の伸縮ブーム起仰用のデータテーブルからは、作業半径演算手段26で求められたブーム先端部3bの作業半径に対応して所定の伸縮ブーム起伏角度に設定するための起伏シリンダ30の伸長量が選択されて、起伏シリンダ伸長作動出力手段27により出力されるようになっている。
【0142】
この第4実施例の伸縮ジブ伸長方法は、次のように行われる。
【0143】
図6に実線図示(図12と同じ)する状態、即ち、メインフック62をブーム先端部3bの過巻付近まで巻上げた状態で伸縮ブーム3を縮小状態で所定角度起仰させ、且つブーム先端部3bからサブフック72の過巻により縮小状態を維持させた伸縮ジブ4を鉛直姿勢で垂下させてメインフック62を基側ジブ41の空所43内に収容した状態から、図8に示すジブ伸長モードスイッチ10をONにする。このとき、サブウインチ巻下速度演算手段21と距離演算手段24と作業半径演算手段26とがそれぞれ作動可能になる。
【0144】
次に、サブウインチ巻下操作部材11によりサブウインチ巻下作動を行わせると、上記第3実施例と同様にプログラム記憶手段22で記憶されたデータテーブルに基いて、サブウインチ7の巻下速度に対応した指定速度で伸縮ブーム3を伸長作動させる(制御Aが実行される)一方、距離演算手段24からの距離データに対応した指定速度でメインウインチ6を巻上作動させる(制御Bが実行される)とともに、伸縮ブーム起仰用のデータテーブルから作業半径演算手段26で求められたブーム先端部3bの作業半径に対応する伸縮ブーム起仰角度(起伏シリンダ伸長量で決まる)を選択して、その選択信号を起伏シリンダ伸長作動出力手段27から出力することにより、指定速度で伸縮ブーム3を起仰作動させる(制御Cが実行される)ことができる。
【0145】
従って、この第4実施例の伸縮ジブ伸長方法では、上記第3実施例の伸縮ジブ伸長方法の機能に加えて、伸縮ブーム3が傾斜状態で伸長する(ブーム先端部3bの作業半径が増大する)ものであっても、伸縮ジブの伸長完了状態において伸縮ブームを起仰させた分だけ伸縮ジブの出幅(例えば図7の作業半径R)を小さくできるので、伸縮ジブ4の前方振出しスペースがより一層狭くてよい。
【0146】
又、伸縮ブーム起仰用のデータテーブルとして、ブーム先端部3bの直下位置(鉛直姿勢で垂下している伸縮ジブ4)が車両1の前端部より外方にはみ出さないように制御できる条件と先側ジブ42の下端(先端部42b)が車両1の上面に接触しない条件とをそれぞれ満足するように設定したもの(請求項7に対応する)では、伸縮ジブ4が図6に実線図示する縮小状態から図7に示す伸長完了状態までの過程において、伸縮ジブ4の垂下位置が車両1の前端より外側にはみ出さない(伸縮ジブ伸長のための前方スペースが一層狭いものでよい)とともに、先側ジブ42が車両1の上面に接触しない(安全性が確保される)という機能が付加される。
【0147】
又、図8に示す第4実施例の伸縮ジブ伸長方法では、サブウインチ巻下操作部材11の操作(サブウインチ巻下作動)に起因して、伸縮ブーム3の伸長作動とメインウインチ6の巻下作動と伸縮ブーム3の起仰作動とが連動するようになっているが、他の実施例では、伸縮ブーム3の伸長操作に起因してサブウインチ7の巻下作動とメインウインチ6の巻下作動と伸縮ブーム3の起仰作動とが連動するようにしたものでもよい。
【0148】
尚、この第4実施例の場合の制御プログラムとしては、伸縮ジブの伸長モードスイッチをONにすることで、後はサブウインチ7の巻下作動と伸縮ブーム3の伸長作動とメインウインチ6の巻下作動と伸縮ブーム3の起仰作動とが伸縮ジブ4の伸長完了状態まで単一のプログラムで画一的に実行されるようにしたものでもよい。その場合は、図6に実線図示するように伸縮ジブ4を鉛直方向に垂下させた状態で、ジブ伸長モードスイッチ10をON操作するだけでよい。
【符号の説明】
【0149】
1は車両、2は旋回台、3は伸縮ブーム、3bはブーム先端部、4は伸縮ジブ、5はジブチルト装置、6はメインウインチ、7はサブウインチ、10はジブ伸長モードスイッチ、11はサブウインチ巻下操作部材、12はサブウインチ巻下量検出器、13はメインウインチ巻下量検出器、14はブーム長さ検出器、15はブーム角度検出器、20はコントローラ、21はサブウインチ巻下速度演算手段、22はプログラム記憶手段、23は伸縮ブーム伸長速度出力手段、24はメインフックとブーム先端部間の距離演算手段、25はメインウインチ巻下作動出力手段、26はブーム先端部の作業半径演算手段、27は起伏シリンダ伸長作動出力手段、30は起伏シリンダ、41は基側ジブ、42は先側ジブ、43は空所、61はメインロープ、62はメインフック、71はサブロープ、72はサブフックである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両上に起伏及び伸縮自在な伸縮ブームを搭載し、該伸縮ブームのブーム先端部に継ぎ足されるジブとして基側ジブに対して先側ジブを伸縮させ得る伸縮ジブを使用し、上記伸縮ジブの基端部を上記ブーム先端部に連結した状態でジブチルト装置により上記伸縮ジブをブーム先端部の下方に向く垂下姿勢とブーム先端部の前方に向く張出姿勢との間で揺動させ得るようにし、上記伸縮ブームの基端側適所にメインウインチとサブウインチとを設け、上記メインウインチから繰出したメインロープの先端側をブーム先端部から垂下させて該メインロープにメインフックを取付け、上記サブウインチから繰出したサブロープの先端側を先側ジブの先端部から垂下させて該サブロープの先端にサブフックを取付け、さらに上記伸縮ジブを伸縮させるのに、上記サブフックを上記先側ジブの先端部に衝合させた状態で該サブフックを過巻することで上記先側ジブを上記基側ジブに対して縮小させ得る一方、所定角度起仰させた上記伸縮ブームのブーム先端部から縮小状態の伸縮ジブを垂下させた状態で上記サブウインチを巻下作動させることで上記先側ジブをその自重で伸長させ得るように構成された伸縮ジブ付きクレーンを使用して行う伸縮ジブの伸長方法であって、
上記サブフックの過巻により縮小状態を維持させた上記伸縮ジブを縮小状態で所定角度起仰させた姿勢の上記伸縮ブームのブーム先端部から垂下させ、上記伸縮ジブを上記ブーム先端部から吊下されている上記メインフックが昇降しても該メインフックが干渉しない程度の角度範囲だけ前方に振出した姿勢で、上記サブウインチの巻下操作と上記伸縮ブームの伸長操作とを行って、上記先側ジブを自重で伸長させるようにする、
ことを特徴とする伸縮ジブ付きクレーンにおける伸縮ジブの伸長方法。
【請求項2】
上記請求項1において、
上記伸縮ジブの伸長時における上記サブウインチの巻下作動と上記伸縮ブームの伸長作動とを、予め設定されたプログラムに基いて自動制御しながら行わせる、
ことを特徴とする伸縮ジブ付きクレーンにおける伸縮ジブの伸長方法。
【請求項3】
上記請求項2において、
予め設定された上記プログラムは、上記先側ジブが地面に接触しない条件を満足するものである、
ことを特徴とする伸縮ジブ付きクレーンにおける伸縮ジブの伸長方法。
【請求項4】
起伏及び伸縮自在な伸縮ブームのブーム先端部に継ぎ足されるジブとして基側ジブに対して先側ジブを伸縮させ得る伸縮ジブを使用し、上記伸縮ジブの基端部を上記ブーム先端部に連結した状態でジブチルト装置により上記伸縮ジブをブーム先端部の下方に向く垂下姿勢とブーム先端部の前方に向く張出姿勢との間で揺動させ得るようにし、上記伸縮ブームの基端側適所にメインウインチとサブウインチとを設け、上記メインウインチから繰出したメインロープの先端側をブーム先端部から垂下させて該メインロープにメインフックを取付け、上記サブウインチから繰出したサブロープの先端側を先側ジブの先端部から垂下させて該サブロープの先端にサブフックを取付け、上記基側ジブの基端部寄り位置にブーム先端部に対して過巻付近まで巻上げている上記メインフックを潜らせる干渉防止用の空所を設け、さらに上記伸縮ジブを伸縮させるのに、上記サブフックを上記先側ジブの先端部に衝合させた状態で該サブフックを過巻することで上記先側ジブを上記基側ジブに対して縮小させ得る一方、所定角度起仰させた上記伸縮ブームのブーム先端部から縮小状態の伸縮ジブを垂下させた状態で上記サブウインチを巻下作動させることで上記先側ジブをその自重で伸長させ得るように構成された伸縮ジブ付きクレーンを使用して行う伸縮ジブの伸長方法であって、
上記メインフックを上記ブーム先端部の過巻付近まで巻上げた状態で上記伸縮ブームを縮小状態で所定角度起仰させ、該伸縮ブームのブーム先端部から上記サブフックの過巻により縮小状態を維持させた上記伸縮ジブを鉛直姿勢で垂下させて上記メインフックを上記基側ジブの上記空所内に収容した状態から、上記サブウインチの巻下作動と上記伸縮ブームの伸長作動と上記メインウインチの巻下作動とを併用して、上記メインフックを上記基側ジブの空所内の位置に維持させながら上記先側ジブを自重で伸長させるようにするとともに、
上記伸縮ジブの伸長時における上記サブウインチの巻下作動と上記伸縮ブームの伸長作動と上記メインウインチの巻下作動とを、予め設定されたプログラムに基いて自動制御しながら行わせる、
ことを特徴とする伸縮ジブ付きクレーンにおける伸縮ジブの伸長方法。
【請求項5】
上記請求項4において、
予め設定された上記プログラムは、上記先側ジブが地面に接触しない条件と上記メインフックが上記基側ジブの空所内の位置に維持される条件とをそれぞれ満足するものである、
ことを特徴とする伸縮ジブ付きクレーンにおける伸縮ジブの伸長方法。
【請求項6】
上記請求項4において、
上記伸縮ジブの伸長時における上記サブウインチの巻下作動と上記伸縮ブームの伸長作動と上記メインウインチの巻下作動に加えて、上記伸縮ブームを起仰させる作動を併用して行わせる、
ことを特徴とする伸縮ジブ付きクレーンにおける伸縮ジブの伸長方法。
【請求項7】
上記請求項6において、予め設定されたプログラムは、上記伸縮ジブの垂下位置が車両の前端より外側にはみ出さない条件と上記先側ジブが車両の上面に接触しない条件と上記メインフックが上記基側ジブの上記空所内の位置に維持される条件とをそれぞれ満足するものである、
ことを特徴とする伸縮ジブ付きクレーンにおける伸縮ジブの伸長方法。
【請求項1】
車両上に起伏及び伸縮自在な伸縮ブームを搭載し、該伸縮ブームのブーム先端部に継ぎ足されるジブとして基側ジブに対して先側ジブを伸縮させ得る伸縮ジブを使用し、上記伸縮ジブの基端部を上記ブーム先端部に連結した状態でジブチルト装置により上記伸縮ジブをブーム先端部の下方に向く垂下姿勢とブーム先端部の前方に向く張出姿勢との間で揺動させ得るようにし、上記伸縮ブームの基端側適所にメインウインチとサブウインチとを設け、上記メインウインチから繰出したメインロープの先端側をブーム先端部から垂下させて該メインロープにメインフックを取付け、上記サブウインチから繰出したサブロープの先端側を先側ジブの先端部から垂下させて該サブロープの先端にサブフックを取付け、さらに上記伸縮ジブを伸縮させるのに、上記サブフックを上記先側ジブの先端部に衝合させた状態で該サブフックを過巻することで上記先側ジブを上記基側ジブに対して縮小させ得る一方、所定角度起仰させた上記伸縮ブームのブーム先端部から縮小状態の伸縮ジブを垂下させた状態で上記サブウインチを巻下作動させることで上記先側ジブをその自重で伸長させ得るように構成された伸縮ジブ付きクレーンを使用して行う伸縮ジブの伸長方法であって、
上記サブフックの過巻により縮小状態を維持させた上記伸縮ジブを縮小状態で所定角度起仰させた姿勢の上記伸縮ブームのブーム先端部から垂下させ、上記伸縮ジブを上記ブーム先端部から吊下されている上記メインフックが昇降しても該メインフックが干渉しない程度の角度範囲だけ前方に振出した姿勢で、上記サブウインチの巻下操作と上記伸縮ブームの伸長操作とを行って、上記先側ジブを自重で伸長させるようにする、
ことを特徴とする伸縮ジブ付きクレーンにおける伸縮ジブの伸長方法。
【請求項2】
上記請求項1において、
上記伸縮ジブの伸長時における上記サブウインチの巻下作動と上記伸縮ブームの伸長作動とを、予め設定されたプログラムに基いて自動制御しながら行わせる、
ことを特徴とする伸縮ジブ付きクレーンにおける伸縮ジブの伸長方法。
【請求項3】
上記請求項2において、
予め設定された上記プログラムは、上記先側ジブが地面に接触しない条件を満足するものである、
ことを特徴とする伸縮ジブ付きクレーンにおける伸縮ジブの伸長方法。
【請求項4】
起伏及び伸縮自在な伸縮ブームのブーム先端部に継ぎ足されるジブとして基側ジブに対して先側ジブを伸縮させ得る伸縮ジブを使用し、上記伸縮ジブの基端部を上記ブーム先端部に連結した状態でジブチルト装置により上記伸縮ジブをブーム先端部の下方に向く垂下姿勢とブーム先端部の前方に向く張出姿勢との間で揺動させ得るようにし、上記伸縮ブームの基端側適所にメインウインチとサブウインチとを設け、上記メインウインチから繰出したメインロープの先端側をブーム先端部から垂下させて該メインロープにメインフックを取付け、上記サブウインチから繰出したサブロープの先端側を先側ジブの先端部から垂下させて該サブロープの先端にサブフックを取付け、上記基側ジブの基端部寄り位置にブーム先端部に対して過巻付近まで巻上げている上記メインフックを潜らせる干渉防止用の空所を設け、さらに上記伸縮ジブを伸縮させるのに、上記サブフックを上記先側ジブの先端部に衝合させた状態で該サブフックを過巻することで上記先側ジブを上記基側ジブに対して縮小させ得る一方、所定角度起仰させた上記伸縮ブームのブーム先端部から縮小状態の伸縮ジブを垂下させた状態で上記サブウインチを巻下作動させることで上記先側ジブをその自重で伸長させ得るように構成された伸縮ジブ付きクレーンを使用して行う伸縮ジブの伸長方法であって、
上記メインフックを上記ブーム先端部の過巻付近まで巻上げた状態で上記伸縮ブームを縮小状態で所定角度起仰させ、該伸縮ブームのブーム先端部から上記サブフックの過巻により縮小状態を維持させた上記伸縮ジブを鉛直姿勢で垂下させて上記メインフックを上記基側ジブの上記空所内に収容した状態から、上記サブウインチの巻下作動と上記伸縮ブームの伸長作動と上記メインウインチの巻下作動とを併用して、上記メインフックを上記基側ジブの空所内の位置に維持させながら上記先側ジブを自重で伸長させるようにするとともに、
上記伸縮ジブの伸長時における上記サブウインチの巻下作動と上記伸縮ブームの伸長作動と上記メインウインチの巻下作動とを、予め設定されたプログラムに基いて自動制御しながら行わせる、
ことを特徴とする伸縮ジブ付きクレーンにおける伸縮ジブの伸長方法。
【請求項5】
上記請求項4において、
予め設定された上記プログラムは、上記先側ジブが地面に接触しない条件と上記メインフックが上記基側ジブの空所内の位置に維持される条件とをそれぞれ満足するものである、
ことを特徴とする伸縮ジブ付きクレーンにおける伸縮ジブの伸長方法。
【請求項6】
上記請求項4において、
上記伸縮ジブの伸長時における上記サブウインチの巻下作動と上記伸縮ブームの伸長作動と上記メインウインチの巻下作動に加えて、上記伸縮ブームを起仰させる作動を併用して行わせる、
ことを特徴とする伸縮ジブ付きクレーンにおける伸縮ジブの伸長方法。
【請求項7】
上記請求項6において、予め設定されたプログラムは、上記伸縮ジブの垂下位置が車両の前端より外側にはみ出さない条件と上記先側ジブが車両の上面に接触しない条件と上記メインフックが上記基側ジブの上記空所内の位置に維持される条件とをそれぞれ満足するものである、
ことを特徴とする伸縮ジブ付きクレーンにおける伸縮ジブの伸長方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−18576(P2013−18576A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151401(P2011−151401)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000148759)株式会社タダノ (419)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000148759)株式会社タダノ (419)
【Fターム(参考)】
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