説明

伸縮性で難燃性の染色された布帛および衣服を提供するための方法およびシステム

アラミド繊維およびエラストマー繊維から製造される難燃性で伸縮性の布帛、ならびに布帛の伸縮特性を著しく保持しながらこのような布帛を染色するための方法およびシステム。このような方法およびシステムは、布帛の伸縮特性を除去したり、布帛の伸縮特性に著しく影響を与えたりすることなく、通常のアラミド染色条件下で布帛を染色可能にする、アラミド染色法では従来使用されない特定の染料担体の使用を含む。アラミド染色法で使用するためのこのような適切な染料担体としては、ベンジルアルコール、安息香酸ブチル、n−ブチルフタルイミド、イソプロピルフタルイミド、フタル酸ジメチル、ビフェニル、モノクロロトルエン、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。フタルイミド、より詳しくはn−ブチルフタルイミドとイソプロピルフタルイミドとの混合物は、布帛のエラストマー特性を保持しながら高温でアラミド繊維を染色する際に特に有効であることが証明されている。本発明の難燃性で伸縮性の染色布帛を使用して、とりわけ、カバーオール、ジャンプスーツ、シャツ、ジャケット、ベスト、およびズボンを含むがこれらに限定されない、電気アークフラッシュおよび火炎から着用者を保護するための様々な防護衣服の全体または様々な部分を構成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃性で伸縮性の布帛において、このような布帛のエラストマー特性をより良く保護する、アラミド繊維を染色するための新規の方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
パラアラミド繊維およびメタアラミド繊維などのアラミド繊維を含む難燃性(FR)繊維とエラストマー繊維とから形成される難燃性で伸縮性の布帛が知られている。このような布帛の例は、米国特許第5,527,597号明細書および米国特許第5,694,981号明細書に開示されており、それぞれ参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。難燃性で伸縮性の布帛は、石油化学、電気、および公共事業の作業者など、着用者が電気アークフラッシュおよび突発的な火災にさらされる可能性がある場合に、工業用防護服で使用するために特に適切である。布帛の難燃性は着用者を熱的な要素から保護し、布帛の伸縮性は着用者に改善された可動域を提供する。
【0003】
着用者の職業によっては、布帛(従って、それから製造される衣服)は、安全および/または識別などの目的で特定の色であることが望ましいことがある。しかしながら、アラミド繊維を染色して所望の色収率(color yield)および洗濯収縮率(laundry shrinkage)を得るために使用される従来の染色システム、化学薬品、および/または方法(比較的高温を含む)は、エラストマー繊維を劣化させ、従って、伸縮性布帛のエラストマー特性に悪い影響を与え得る。アラミド繊維を染色するために使用される温度を低下させるとエラストマー繊維に対する影響を小さくすることができるが、得られた布帛の色収率および洗濯収縮率は許容できないものであり得る。従って、布帛の伸縮特性を保持しながら、難燃性で伸縮性の布帛においてアラミド繊維の容認できる染色を可能にする染色法が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施形態は、アラミド繊維とエラストマー繊維とから製造された難燃性で伸縮性の布帛、ならびに布帛の伸縮特性を著しく保持しながらこのような布帛を染色するための方法およびシステムを含む。アラミド繊維およびエラストマー繊維は、不織布、織布、および編布を含むがこれらに限定されない様々な種類の難燃性で伸縮性の布帛を形成するために使用することができる。
【0005】
難燃性で伸縮性の布帛中のアラミド繊維は、本明細書に開示される方法およびシステムに従って、布帛の伸縮特性に著しい影響を与えないように染色することができる。より具体的には、本発明者らは、特定の染料担体が、アラミド染色法で従来使用されているものの代替となり、布帛の伸縮特性を除去したり、布帛の伸縮特性に著しく影響を与えたりすることなく、通常のアラミド染色条件(例えば、185〜300°Fの間の温度)下で布帛を染色可能にすることを発見した。本方法で使用するためのこのような適切な染料担体としては、ベンジルアルコール、安息香酸ブチル、n−ブチルフタルイミド、イソプロピルフタルイミド、フタル酸ジメチル、ビフェニル、モノクロロトルエン、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。フタルイミド、より詳しくはn−ブチルフタルイミドとイソプロピルフタルイミドとの混合物は、布帛のエラストマー特性を保持しながら高温でアラミド繊維を染色する際に特に有効であることが証明されている。
【0006】
本発明の難燃性で伸縮性の染色布帛を使用して、とりわけ、カバーオール、ジャンプスーツ、シャツ、ジャケット、ベスト、およびズボンを含むがこれらに限定されない、電気アークフラッシュおよび火炎から着用者を保護するための様々な防護衣服の全体または様々な部分を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】難燃性で伸縮性の布帛の一部を示す平面図である。
【図2】難燃性で伸縮性の布帛の代替実施形態の一部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態は、アラミド繊維とエラストマー繊維とから製造された布帛、および布帛の伸縮特性を著しく保持しながらこのような布帛を染色する方法を含む。適切なアラミド繊維は、パラアラミド繊維およびメタアラミド繊維を含むが、これらに限定されない。パラアラミド繊維の例としては、KEVLAR(商標)(DuPontから入手可能)、TECHNORA(商標)(オランダ国アーネムのTeijin Twaron BVから入手可能)、およびTWARON(商標)(これもTeijin Twaron BVから入手可能)が挙げられる。メタアラミド繊維の例としては、NOMEX(商標)(DuPontから入手可能)、CONEX(商標)(Teijinから入手可能)、およびAPYEIL(商標)(Unitikaから入手可能)が挙げられる。
【0009】
適切なエラストマー繊維は、スパンデックス(エラスタン)、エチレン−オレフィンコポリマー、または適切な伸縮性もしくは弾性を有する同様のエラストマー系の材料を含むが、これらに限定されない。スパンデックス繊維の例としては、LYCRA(商標)(Invistaから入手可能)、DORLASTAN(商標)(AsahiKasei Spandex Americaから入手可能)、およびRadiciSpandexが挙げられる。エチレン−オレフィンコポリマー繊維の例としては、Dow XLA(商標)複合繊維が挙げられる。
【0010】
アラミドおよびエラストマー繊維は、不織布、織布、および編布を含むがこれらに限定されない様々な種類の難燃性布帛を形成するために使用することができる。一実施形態では、布帛は、一緒に織られた難燃性ヤーンおよびエラストマーヤーンから形成される。
【0011】
難燃性ヤーンは好ましくはアラミド繊維を含むが、ポリノジックレーヨン、難燃性セルロース(難燃性の木綿もしくはアセテートなど)、難燃性ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、難燃性ウール、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリクラール、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド、ポリオレフィン、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾイミダゾール繊維、予備酸化したアクリル繊維、ポリアクリロニトリル繊維、炭素、モダクリル、メラミン、ガラス、またはこれらの混合物を含むがこれらに限定されない、さらなる繊維を含むこともできる。難燃性ヤーンは、当該産業分野においてよく知られている従来の方法で形成することができる。ヤーンはスパンヤーンでもフィラメントヤーンでもよく、単一のヤーン、または一緒に撚られた2本以上の個々のヤーンを含むことができる。
【0012】
エラストマーヤーンは、好ましくは、上記で開示されるエラストマー繊維から形成されたフィラメントヤーンである。エラストマーヤーンは、難燃性ヤーンよりも耐久性が低く、耐熱性および耐火性がより低く、非常に極端な条件にさらされると劣化または溶融しやすい。従って、熱、火炎、および磨耗からエラストマー繊維を保護するように、難燃性ヤーンを布帛内に配置するのが望ましいであろう。米国特許第5,527,597号明細書および米国特許第5,694,981号明細書は、エラストマーコアヤーン15に難燃性ヤーン16(例えば上述されたものであるが、これに限定されない)がらせん状に巻き付けられてエラストマー複合ヤーン12が形成された布帛構造を示す(図1を参照)。単一の難燃性ヤーンまたは複数の難燃性ヤーンを用いて、単一のエラストマーコアヤーンに巻き付けることができる。代替の実施形態では、エラストマー複合ヤーンは、エラストマーコアヤーンを有し、エラストマーコアヤーンのまわりに難燃性繊維(例えば上述されたものであるが、これに限定されない)が紡糸されたコアスパンヤーンである。いずれの複合ヤーン構造においても、エラストマーコアヤーンのまわりに難燃性ヤーン/繊維が配置されることにより、熱、火炎、および磨耗からエラストマーコアヤーンを保護するための保護シースがエラストマーコアヤーンのまわりに形成される。
【0013】
一実施形態では、横/緯糸または経糸の一方の方向に配置されたエラストマー複合ヤーン12は、横/緯糸または経糸の他方の方向に配置された難燃性ヤーンと織り合わされて、2方向の伸縮性(すなわち、エラストマー複合ヤーンの配置方向に伸縮可能)を有する織布を形成する。図1は、横糸方向に配置されたエラストマー複合ヤーン12と、緯糸方向に配置された難燃性ヤーン11とを含む伸縮性で難燃性の織布10を示す。布帛10は、矢印AおよびA’で示される横/緯糸方向に伸縮可能である。
【0014】
代替の実施形態(図2を参照)では、エラストマー複合ヤーン12を一緒に織って、4方向の伸縮性(すなわち、経糸方向および緯糸方向に伸縮性)を有する織布を形成することによって、布帛10が形成される。これらの図面には平織が示されるが、例えば、リップストップ、斜文織、または編布の構造を含む他の構造も使用できることは認識されるであろう。
【0015】
形成の後、難燃性で伸縮性の布帛は、染色することができる。伸縮性布帛に前精錬過程を受けさせ、染色を妨害し得る油をエラストマーヤーンから除去することが望ましいが、もちろん必須ではない。このような前精錬過程の1つは、伸縮性布帛を洗剤および水浴にさらすことを含む。
【0016】
布帛中のアラミド繊維の染色は、ジェット、ビーム、ベック、およびジグ染色などの吸尽染色法(これらはすべて当該技術分野においてよく知られている)を含む様々な染色技法を用いて達成することができる。例示的な吸尽染色法では、布帛を浸漬する染浴に、適切な染料、染料担体、酸成分、および硝酸塩が添加される。レベリング剤、消泡剤、湿潤剤、相溶化剤、ウィッキング剤、油除去剤など(すべて当該技術分野でよく知られている)を含むがこれらに限定されない他の染色助剤もまた、染浴に添加されてもよい。染浴の温度は、室温からピーク温度まで徐々に上昇する。このような温度の漸増は、むらのない均一な着色を促進すると考えられる。所定のピーク温度に到達すると、染料が繊維に完全に浸透できるだけの時間、染浴はこのピーク温度で保持される。
【0017】
アラミド繊維を染色するために適切な染料としては、分散染料、カチオン性(塩基性)染料、または酸性染料が挙げられるが、これらに限定されない。本発明者らは、特定の染料担体が、アラミド染色法で従来使用されているものの代替となり、布帛の伸縮特性を除去したり、布帛の伸縮特性に著しく影響を与えたりすることなく、通常のアラミド染色条件(例えば、185〜300°Fの間の温度)下で布帛を染色可能にすることを発見した。本方法で使用するためのこのような適切な染料担体としては、ベンジルアルコール、安息香酸ブチル、n−ブチルフタルイミド、イソプロピルフタルイミド、フタル酸ジメチル、ビフェニル、モノクロロトルエン、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。フタルイミド、より詳しくはn−ブチルフタルイミドとイソプロピルフタルイミドとの混合物は、布帛のエラストマー特性を保持しながら、高温でアラミド繊維を染色する際に特に有効であることが証明されている。フタルイミドはBoehme−Filatexから入手可能であり、Boehme−Filatexは、BIPフタルイミドおよびHipochem ARM(これらはいずれもn−ブチルフタルイミドとイソプロピルフタルイミドとの独占的な混合物を含む)を含むがこれらに限定されない様々な異なるフタルイミド混合物を販売している。
【0018】
染色の後、布帛は、必ずしもではないが好ましくは、できるだけ多くの残留染料担体を布帛から除去し、それによって布帛の可燃性を低下させるための過程(洗浄過程または精錬過程を含むが、これらに限定されない)にさらされる。布帛はまた、従来の方法で仕上げることもできる。この仕上げ過程は、FR処理、抗菌剤、防虫剤、殺虫剤、防汚剤、ウィッキング剤、撥水剤(例えば、フルオロポリマー)、剛化剤、柔軟剤などの適用を含み得る。
【0019】
本発明に従って染色された伸縮性アラミド布帛は、所望の色収率および洗濯収縮率を達成しながらも、そのエラストマー特性を保持することが分かった。様々な伸縮性布帛を試験し、その寸法(例えば、長さ、幅など)の少なくとも1つを、その寸法についてそれぞれを伸長する前、伸長している間、伸長した後に測定することによって、その弾性(elasticity)および回復弾性(resiliency)を決定した。それぞれの試験布帛について、サンプルを、その伸縮方向が実質的に鉛直に配置されるように、試験フレームから吊り下げた。2本の基準線を互いに初期距離(I)で布帛に描いた。次に、重りを布帛サンプルの下部に固定した。しばらく(例えば、30秒)して、布帛がまだ重りによる変形下にある間に、基準線間の距離(A)を測定した。次に布帛サンプルから重りを取り外し、しばらく(例えば、60秒)の間、布帛サンプルを弛緩させた。このような時間が経過した後、基準線間の距離(R)を測定した。
【0020】
伸縮率は以下のように計算した。
【数1】

【0021】
回復率は、以下のように計算した。
【数2】

要求はされないが、本発明のシステムおよび方法に従って染色される伸縮性布帛は、仕上げたときに、少なくとも10%の伸縮率(好ましくはそれ以上)と、少なくとも85%の回復率(好ましくはそれ以上)とを有することが望ましいであろう。
【実施例】
【0022】
実施例#1
2枚の伸縮性アラミド布帛を吸尽染色法で染色した。布帛はそれぞれ、弾性フィラメントコアヤーンにNOMEX(商標)ヤーンが二重に巻き付けられたエラストマー複合ヤーンによって、横糸ヤーンが1本おきに置き換えられた、6オンスの平織NOMEX(商標)布帛であった。布帛はエラストマーコアヤーンの密度だけが異なり、布帛Aは140デニールであり、布帛Bは240デニールであった。布帛は両方とも、非イオン性の精錬剤を用いて、170°F、約8〜9のpHで15分間、前精錬した。次に、フタルイミド混合物45g/L、酢酸84% 5.00g/L、0.06%CI Acid Blue 193、1.85%CI Basic Blue 41、および硝酸塩18.00g/Lを含む染浴中に布帛を導入し、250°F、約2〜4のpHで30分間染色した。次に、一連の水洗において160°F〜200°Fの範囲の温度で布帛に後精錬を行った。この染色過程の後、上記の試験において概説されるように布帛の伸縮性を測定した。次に、5回の洗濯サイクルの後にもう一度布帛の伸縮性を測定した。
【0023】
染色後および5回洗濯後のそれぞれの布帛の弾性(伸縮%)および回復弾性(回復%)は以下のとおりであった。
【0024】
【表1】

【0025】
このデータは、布帛が伸長された後にほぼ理想的な回復(理想的な回復は100%の回復である)を達成できたことを示し、従って、これらの布帛が染色過程においてその伸縮特性を著しく保持したことを示す。
【0026】
本発明の染色方法およびシステムの利点は、アラミド伸縮性布帛が染色される場合にさらにより明らかであり、染色後のその伸縮特性は、水浴のみにさらされたアラミド伸縮性布帛の伸縮特性と比較される。このような比較により、本発明の染色方法およびシステムがアラミド伸縮性布帛の伸縮特性に与える影響が比較的最小限であることが強調される。
【0027】
実施例#2
染色助剤としてベンジルアルコールを用いて、6枚の伸縮性アラミド布帛を吸尽染色法で染色した。
【0028】
布帛1は、140デニールの弾性フィラメントコアヤーンにNOMEX(商標)ヤーンが二重に巻き付けられたエラストマー複合ヤーンによって、横糸ヤーンが2本おきに置き換えられた、6オンスの平織NOMEX(商標)布帛であった。
【0029】
布帛2は、140デニールの弾性フィラメントコアヤーンにNOMEX(商標)ヤーンが二重に巻き付けられたエラストマー複合ヤーンによって、横糸ヤーンが1本おきに置き換えられた、6オンスの平織NOMEX(商標)布帛であった。
【0030】
布帛3は、140デニールの弾性フィラメントコアヤーンにNOMEX(商標)ヤーンが二重に巻き付けられたエラストマー複合ヤーンによって、すべての横糸ヤーンが置き換えられた、6オンスの平織NOMEX(商標)布帛であった。
【0031】
布帛4は、240デニールの弾性フィラメントコアヤーンにNOMEX(商標)ヤーンが二重に巻き付けられたエラストマー複合ヤーンによって、横糸ヤーンが2本おきに置き換えられた、6オンスの平織NOMEX(商標)布帛であった。
【0032】
布帛5は、240デニールの弾性フィラメントコアヤーンにNOMEX(商標)ヤーンが二重に巻き付けられたエラストマー複合ヤーンによって、横糸ヤーンが1本おきに置き換えられた、6オンスの平織NOMEX(商標)布帛であった。
【0033】
布帛6は、240デニールの弾性フィラメントコアヤーンにNOMEX(商標)ヤーンが二重に巻き付けられたエラストマー複合ヤーンによって、すべての横糸ヤーンが置き換えられた、6オンスの平織NOMEX(商標)布帛であった。
【0034】
ベンジルアルコール70g/L、酢酸84% 5.00g/L、1.85%Basic Blue 41 300%、および硝酸塩18.00g/Lを含む染浴中に各布帛のサンプルを導入し、185°F、約2〜4のpHで60分間染色した。各布帛のサンプルはまた、水浴中に導入し、同じ温度に同じ時間(185°Fに60分間)さらした。染色後、布帛を重りによる変形に60秒間(30秒間の代わりに)さらし、30秒間(60秒間の代わりに)弛緩させた点を除いて、上記の試験において概説したように、12枚の布帛サンプルのそれぞれの伸縮性を測定した。試験の結果は、以下に概説される。
【0035】
【表2】

【0036】
実施例#3
染色助剤としてBIPフタルイミド(Boehme−Filatexから入手可能)を用いて、布帛1〜6(上記の実施例#2に記載)を吸尽染色法で染色した。
【0037】
BIPフタルイミド45g/L、酢酸84% 5.00g/L、1.85%Basic Blue 41 300%、および硝酸塩18.00g/Lを含む染浴中に各布帛のサンプルを導入し、250°Fで30分間染色した。各布帛のサンプルはまた、水浴中に導入し、同じ温度に同じ時間(250°Fに30分間)さらした。これらの浴に入れた後、上記の実施例#2で概説したように、12枚の布帛サンプルのそれぞれの伸縮性を測定した。試験の結果は、以下に概説される。
【0038】
【表3】

【0039】
実施例#4
染色助剤としてHipochem ARMフタルイミド混合物(これも、Boehme−Filatexから入手可能)を用いて、布帛1〜6(上記の実施例#2に記載)を吸尽染色法で染色した。
【0040】
Hipochem ARMフタルイミド混合物45g/L、酢酸84% 5.00g/L、1.85% Basic Blue 41 300%、および硝酸塩18.00g/Lを含む染浴中に各布帛のサンプルを導入し、250°Fで30分間染色した。各布帛のサンプルはまた、水浴中に導入し、同じ温度に同じ時間(250°Fに30分間)さらした。これらの浴に入れた後、上記の実施例#2で概説したように、12枚の布帛サンプルのそれぞれの伸縮性を測定した。試験の結果は、以下に概説される。
【0041】
【表4】

【0042】
実施例#2〜4から収集されたデータは、布帛(特に、フタルイミド染料担体、より詳しくはBIPフタルイミド染料担体で染色した布帛)が、染色過程において伸縮特性を著しく保持したことを実証する。本明細書に記載される研究に基づいて、本発明の実施形態に従って染色された難燃性で伸縮性の布帛の伸縮%は、このような染色にさらされない(すなわち、染浴の代わりに水浴にさらされた)同一の難燃性で伸縮性の布帛の伸縮%から、約25%よりも多く逸脱しないこと(すなわち、布帛はその伸縮性の少なくとも約75%を保持する)が好ましく、より好ましくは約10%よりも多く逸脱せず(すなわち、布帛はその伸縮性の少なくとも90%を保持する)、そして最も好ましくは約5%よりも多く逸脱しない(すなわち、布帛はその伸縮性の少なくとも95%を保持する)。水浴における処理を受けた同一の布帛と比較したときに非常に小さい伸縮%の差を示す、本明細書に記載される方法およびシステムに従って染色された布帛は、このような染色方法およびシステムが、布帛中のエラストマー繊維の弾性特性に対して実質的に小さい影響しか与えないことを示す。
【0043】
本発明の難燃性で伸縮性の染色布帛を使用して、とりわけ、カバーオール、ジャンプスーツ、シャツ、ジャケット、ベスト、およびズボンを含むがこれらに限定されない、電気アークフラッシュおよび火炎から着用者を保護するための様々な防護衣服の全体または様々な部分を構成することができる。
【0044】
防護衣服のための難燃性で伸縮性の染色布帛の特定の実施形態は、実例のために上記の記載および図面において詳細に説明されたが、本開示の範囲から逸脱することなくその変更および修正が成され得ることは当業者に理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アラミド繊維とエラストマー繊維とを含む難燃性布帛の染色方法であって、染料および少なくとも1種の染料担体を含む染浴中に前記布帛を導入することを含み、前記少なくとも1種の染料担体が、ベンジルアルコール、安息香酸ブチル、n−ブチルフタルイミド、イソプロピルフタルイミド、フタル酸ジメチル、ビフェニル、またはモノクロロトルエンのうちの少なくとも1つを含む方法。
【請求項2】
前記染浴を約185〜300°Fの温度まで加熱することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記染料担体が、n−ブチルフタルイミドとイソプロピルフタルイミドとの混合物を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記染料が、分散染料、塩基性染料、または酸性染料を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記布帛を前記染浴中に導入する前に前記布帛を精錬することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法に従って染色された布帛の伸縮%が、水浴にさらされた同一の難燃性布帛の伸縮%から約25%よりも多く逸脱しない請求項1に記載の方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法に従って染色された布帛の伸縮%が、水浴にさらされた同一の難燃性布帛の伸縮%から約10%よりも多く逸脱しない請求項6に記載の方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法に従って染色された布帛の伸縮%が、水浴にさらされた同一の難燃性布帛の伸縮%から約5%よりも多く逸脱しない請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記アラミド繊維が、メタアラミド繊維またはパラアラミド繊維のうちの少なくとも1種を含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記エラストマー繊維が、スパンデックス繊維またはエチレン−オレフィンコポリマー繊維のうちの少なくとも1種を含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記難燃性布帛が織布である請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記織布が難燃性ヤーンとエラストマーヤーンとを含み、前記難燃性ヤーンがアラミド繊維を含み、そして前記エラストマーヤーンがエラストマー繊維を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記エラストマーヤーンの少なくとも一部に、難燃性ヤーンが少なくとも部分的に巻き付けられる請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記エラストマーヤーンがフィラメントヤーンである請求項12に記載の方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法に従って染色された布帛。
【請求項16】
請求項15に記載の布帛を含む衣服。
【請求項17】
アラミド繊維、エラストマー繊維、および残留量の少なくとも1種の染料担体を含む難燃性の染色布帛であって、前記少なくとも1種の染料担体が、ベンジルアルコール、安息香酸ブチル、n−ブチルフタルイミド、イソプロピルフタルイミド、フタル酸ジメチル、ビフェニル、またはモノクロロトルエンのうちの少なくとも1つを含む難燃性の染色布帛。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2010−502858(P2010−502858A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527607(P2009−527607)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【国際出願番号】PCT/US2007/078015
【国際公開番号】WO2008/097356
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(505451040)サザンミルズ インコーポレイテッド (11)
【氏名又は名称原語表記】Southern Mills,Inc.
【Fターム(参考)】