説明

位相差復動式可変容量液体駆動機関

【課題】構造が簡単で組立て作業やメンテナンス作業が容易になる、駆動液量を変化させる復動式可変容量液体駆動機関を提供する。
【解決手段】原動機により駆動する場合、連結した復動式機関の復動の位相に差を生じさせ、一行程の稼動により機関外に移送される駆動液の量と圧力の関係を変化でき、原動機入力が一定の状態において連結した復動式機関の復動の位相に差を生じさせ、同一の機関で幅広い範囲の要求送液圧力に適合する送液機関とすることができる。また、本発明を液圧により運動させる場合において、連結した復動式機関の復動位相に差により、一行程における駆動液量を変化させて駆動液入力量に対する運動量を変化させ、同一の機関で幅広い範囲の要求トルクに対し適合する運動機関を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一行程の稼動により機関外に移送される駆動液の量を変化させることができる位相差復動式可変容量液体駆動機関に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の復動式可変容量液体駆動機関は傾斜板を使用し、傾斜板の傾斜角を変化させ、もしくは駆動軸と復動機関の傾斜角を変化させることによりピストンの工程距離を変化させて駆動液の量、もしくは液圧による運動変移量を変化させるものであった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の傾斜板を使用し、傾斜板の傾斜角を変化させ、もしくは駆動軸と復動機関の傾斜角を変化させることによりピストンの工程距離を変化させることにより駆動液の量を変化させる復動式可変容量液体駆動機関は、構造が複雑で組立て作業やメンテナンス作業が煩雑となり、組立てやメンテナンスに多大な労力や時間や費用を要してしまうおそれがあった。
【0004】
従来の傾斜板を使用し、傾斜板の傾斜角を変化させ、もしくは駆動軸と復動機関の傾斜角を変化させることによりピストンの工程距離を変化させることにより送液量を変化させる復動式可変容量液体駆動機関は、構造が複雑で駆動液が接する可動部分が多いため液漏れが生じやすい構造であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、複数の復動式液体駆動機関のシリンダーを連結管で連結してシリンダー間を駆動液が移動できるようにすると共に、連結管で連結した復動式液体駆動機関の復動位相に差を生じさせて復動させることにより、ピストンの行程距離を変えることなく、一行程の稼動により機関外に移送される駆動液の量を変化させるものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は連結した復動式機関の復動の位相に差を生じさせることにより、一行程の稼動により機関外に移送される駆動液の量を変化させることができることから、本発明を原動機により駆動する場合において、連結した復動式機関の復動の位相に差を生じさせることにより、排出される駆動液の量と圧力の関係を変化させ、原動機の入力トルクが一定の状態において幅広い範囲の要求送液圧力に適合して稼動する機関を得ることができる。
【0007】
本発明を原動機により駆動する場合において、要求される駆動液の圧力が変動する場合にあっては、遊星歯車などによる位相差変更装置により位相差を連続的に変化させることにより、要求される駆動液の圧力に適合させて稼動する機関を得ることができる。
【0008】
本発明は連結した復動式機関の復動の位相に差を生じさせることにより、一行程の稼動により機関外に移送される駆動液の量を変化させることができることから、本発明を一定の液圧により運動させる場合において、連結した復動式機関の復動位相に差により、一行程における駆動液量を変化させ、駆動液入力量に対する複動機関の運動変移量とトルクの関係を変化させることができ、同一の機関で幅広い範囲の要求トルクに対し適合して稼動する機関を得ることができる。
【0009】
本発明を一定の液圧により駆動する場合において、要求されるトルクが変動する場合にあっては、遊星歯車などによる位相差変更装置により位相差を連続的に変化させることにより、要求されるトルクに適合して稼動する機関を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1は、シリンダー数が2本の基本形を示す。
【図1】シリンダー数が2本の基本形の復動式液体駆動機関の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明の一実施形態を図1に示す。
復動式機関204,304のシリンダーを連結管305で連結し、復動装置202,401を位相差変更装置301により連結し、位相差変更装置301により復動位相差を変化させることにより、一行程における駆動液量を変化させることができることから、原動機により復動式機関を一定のトルクで復動させる場合において位相差変更装置により復動移送を変更することにより駆動液の排出量と排出圧力の関係を変化させ稼動させることができ、駆動液の圧入により復動式機関を駆動させる場合においては位相差変更装置により復動位相を変更することにより復動式機関の運動変移量とトルクの関係を変化させて稼動させることができる。
【0012】
図1の実施形態はシリンダーを連結管で連結した復動機関が一機であるが、二機以上を連結したものでも良い。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明を原動機により駆動する場合において、同一の機関において連結管で連結した復動式機関の復動位相差量を変えることにより、機関が排出する駆動液の圧力が異なる機関を得ることができる。
【0014】
本発明を原動機により駆動する場合において、要求吐出圧力が変動する場合にあっては、遊星歯車などの位相差変更装置により位相差を連続的に変化させることにより、要求圧力が低い場合は機関が排出する駆動液量を増加させて運転することができ、エネルギーロスの少ない送液機関を得ることができる。
【0015】
本発明を液圧により駆動する場合において、機関で連結した復動式機関の復動位相に差を変化させて複動機関のトルクを変化させることができ、同一の機関で幅広い範囲の要求トルクに適合して運動変移量が変化する機関を得ることができる。
【0016】
本発明を液圧により駆動する場合において、要求吐出圧力が変動する場合にあっても、遊星歯車などの位相差変更装置により位相差を連続的に変化さることにより、要求トルクが低い場合は移動量を増加させることができ、エネルギーロスの少ない運動機関を得ることができる。
【符号の説明】
【0017】
102 駆動液入口
104 駆動液入口弁
106 駆動液出口弁
107 駆動液出口
201,401 復動装置
202,402 連結棒
203,403 ピストン
204,404 シリンダー
301 位相差設定装置
305 シリンダー連結管
501 駆動軸
601 動力装置または運動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の復動式液体駆動機関のシリンダーを連結管で連結してシリンダー間を駆動液が移動できるようにすると共に、連結管で連結した復動機関を位相差設定装置で連結して原動機により復動させ、復動式液体駆動機関の復動位相に差を生じさせることにより、一行程の稼動より機関外に排出される駆動液の量と圧力の関係を変化させることができる送液機関。
【請求項2】
複数の復動式液体駆動機関のシリンダーを連結管で連結してシリンダー間を駆動液が移動できるようにすると共に、連結管で連結した復動機関を位相差設定装置で連結して駆動液の圧入により復動させ、復動式液体駆動機関の復動位相に差を生じさせることにより、復動式液体駆動機関の出力トルクと運動変移量の関係を変化させることができる出力機関。

【図1】
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【公開番号】特開2012−251458(P2012−251458A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123245(P2011−123245)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(305011503)
【Fターム(参考)】