説明

位相調整用集積回路および通信ユニット

無線周波信号を移相するための集積回路で、前記集積回路は、無線周波信号を受信するための少なくとも1つの入力と、電圧可変素子(315)と、電圧可変素子(315)に動作可能に結合されて、可変制御電圧(435、440)を受信するように配列されている複数の能動デバイス(305、310)とを備えている少なくとも1つの移相器(300)を備える。複数の能動デバイス(305、310)は共通ベース配列に結合されて無線周波信号を受信するように構成されている少なくとも2つの能動デバイスを備えているとともに、電圧可変素子(315)は少なくとも2つの能動デバイスのエミッタコンタクトまたはソースコンタクトを結合しているので、電圧可変素子に印加される可変制御電圧が無線周波信号の位相を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、高周波通信ユニットにおける信号の位相調整に関係する。本発明の分野は、モノスタティックレーダーシステムでの使用に適した高周波通信ユニットの集積回路に適用可能であるが、これだけに制限されるものではない。
【背景技術】
【0002】
しばしば「レーダー」と呼ばれる無線探知および測距は、車間距離制御、センサベースのアプリケーションなど、多くの車両アプリケーションでの使用が増えてきている技術である。レーダーシステムは無線信号を送信し、「対象」物からその信号の反射像を受信して、「対象」に対する方位および距離を判定するように設計されている電子システムである。将来、自動車メーカーは、車両の始動および停止、もしくは始動または停止の判断などの安全関連アプリケーションで車両レーダーシステムを追加で採用することによって、プレキャッシュ検出を行い、潜在的に緊急制動等を発動することを提案している。車両アプリケーションに提案されているレーダー技術の一例は、77GHz周波数範囲で動作するように配列されているモノスタティックレーダー技術を使用する。
【0003】
レーダー技術を利用するように配列されている通信ユニットは、トランシーバチップ、または個別の送信機回路および受信機回路を互いに近接して配置し、物体に対する距離および方位の判定の精度を高める必要がある。その結果、特に77GHz周波数領域など、送信(したがって受信)周波数が非常に高い典型的なレーダー周波数では、モノスタティックレーダー技術は、IC自体または通信ユニット内でこれらの非常に高い周波数で送信信号と受信信号とのアイソレーションの不良により生じる干渉を免れない。
【0004】
図1は、高周波通信ユニット100における干渉効果の既知の原因を模式的に示している。高周波通信ユニット100は受信動作に関して図示されており、アンテナ102が高周波信号を受信して、それを低雑音増幅器104に通す。受信機の設計およびシステムの要求事項によって、低雑音増幅器104は任意であり、したがって素通りできる。受信して、おそらくは増幅される高周波信号106はダウンコンバーティングミキサ108に入力され、増幅信号106をLOソース110から送られる局部発振器(LO)と掛け合わせて、増幅信号106をダウンコンバートする。ダウンコンバーティングミキサ108からの出力は、周波数領域で望ましくない信号を除去または減衰するために低域フィルタまたは帯域フィルタが使用できるように、典型的には高周波通信ユニット100の動作周波数よりもはるかに低い周波数の所望の中間周波(IF)信号114である。IF信号は低周波(LF)信号、超低IF(VLIF)信号、さらにはDC(ゼロIF)信号でもよい。図示するように、特に高い無線周波(RF)信号の場合、信号は近くの回路/素子/伝送線路等に不必要に放射されることがある。このため、LO信号および送信信号は直接受信機パスに放射し、それによって信号を受信するために干渉が生じることが知られている。この干渉は漏話干渉またはアイソレーション漏話として知られる。
【0005】
その結果、内部回路/素子/伝送線路等間で放射される干渉レベルを低減するために、多くのレーダーシステムは超短送信パルスを使用することによって、レーダー受信機で超短パルスのエコーが予想されるときに送信機をシャットダウンする(そのため送信機の発振器信号はアンテナから高度に隔離される)ことを保証する。あるいは、または追加で、レーダーシステムは、それぞれの送受信操作に空間的に離れたアンテナを利用してもよく、空間的に離れたアンテナは、その間に高度なアイソレーションを提供するように配列される。レーダーシステムは、干渉の影響を低減するハイエンドサーキュレータを使用してもよいことも知られている。これらの設計は、各々が高周波通信ユニットのコストおよび複雑さを著しく追加する。
【0006】
そのため送信パスと受信パスとの間に配置しているハイエンドサーキュレータまたはラットレースカプラ150を使用することによって、高周波数で漏話を最小限に抑えるためのアイソレーションを達成してもよい。ラットレースカプラ150は、典型的には2つのパスの間に20dB未満のアイソレーションを提供するであろう。したがって例えば、20dBのアイソレーションのラットレースカプラに77GHzで16dBmのレーダー送信信号を入力すると、受信機チェーンに入る送信信号152は、依然として−4dBm漏れるであろう。このレベルの漏れ電力は、所望の受信信号よりも著しく大きいであろう。そのため送信された信号の大部分は、なお受信チャンネル/回路構成に結合する。この望ましくない送信信号は、受信機ダウンミキサ回路構成で不要な追加信号として作用し、それによって中間または低周波/ベースバンド回路構成にさらなる望ましくないダウンコンバート信号を生み、システム全体の性能を下げてしまう。
【0007】
高周波ミキサ回路は、周知のギルバートセル型に基づいていることが多い。ギルバートセル型は、変換損失の代わりに変換利得を提供するアクティブミキサである。しかし当該アクティブミキサの線形性は、制限されることが知られている。したがってモノスタティックレーダーシステムでは、信号漏れが容易に−4dBmを超える場合でも、ミキサは、このような高い漏れレベルのときでもなお線形モードで動作可能であるべきである。このレベルの線形性を達成するために、受信機の線形性の尺度である1−dB減衰点と呼ばれる入力は、最大入力電力と比較して十分な余裕をもって設計しなければならない。経験則として、減衰点は、10dBプラス最大電力レベルとして計算される。したがって漏れレベルが−4dBmである上記の例では、所望の1−dB減衰点は約+6dBmである。そのため当該きわめて線形のミキサコアの設計には、トランジスタに高い供給電圧およびきわめて高い電流密度が必要とされる。アクティブギルバートセルミキサは、この競合するシステムパラメータの組合わせをサポートできないため、例えば送信機の出力電力をしばしば減少して、受信機パスに入る交差結合した漏れを下げるなど、トレードオフが行われることが多い。しかし送信される電力を低くすると、システムの信号雑音比が下がり、ひいてはシステムの性能が下がる。この問題を克服するために、受信機に入る交差結合した信号は、代替アプローチを使って相殺される必要がある。
【0008】
典型的には当該信号の相殺には、相殺すべき信号の正確な逆位相バージョンを提供する必要がある。したがって、当該高周波数で制御可能な移相器技術を実装するのは一般にコスト、サイズおよびアイソレーション性能、もしくはコスト、サイズまたはアイソレーション性能の制約要因のために実際上実現不可能なため、ギルバートセルミキサなどの無線周波(RF)回路の位相効果は補償するのが難しい。
【0009】
移相器を補償するための現在の技術は、集積回路(IC)上の伝送線路のレーザートリミングも含まれ、これは結果的に伝送線路が伝送しているRF信号に対する伝送線路の移相効果を調整する。
【0010】
「簡素化した移相器」と題する特許文献1は、各特定のアプリケーションごとに個別の移相器を選択する必要がある固定移相器の設計およびレイアウトを記述している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2005/060041号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、添付の請求項に記述する位相補償用集積回路、通信ユニットおよび方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の具体的な実施形態は従属請求項に記載している。
本発明の以上の側面および他の側面は、これ以降説明する実施形態から明らかになり、それを参照しながら明瞭にしていく。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明のさらなる詳細、側面および実施形態は、単なる例として、図面を参照しながら説明する。図面の要素は単純で分かりやすいように図示しており、必ずしも縮尺どおりに描いていない。
【図1】高周波通信ユニットで干渉効果の既知の原因を模式的に示す。
【図2】高周波通信ユニットの実施例のブロック図を示す。
【図3】高周波通信ユニット回路のより詳細な実施例のブロック図を示す。
【図4】全差動移相器配列の実施例を示す。
【図5】リミッタを採用する全差動移相器配列の実施例を示す。
【図6】モノスタティックレーダーのアーキテクチャに適した高周波通信ユニットの実施例のブロック図を示す。
【図7】高周波通信ユニットで採用される例示的な位相補償プロセスのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
具体的な実施例を詳細に説明する前に、装置、コンポーネントおよび方法ステップを、適切な場合、図面において慣用的な記号で表していることがわかるはずであり、本明細書の説明の利益を有する当業者に容易に明らかになる詳細をもって開示が不明瞭にならないように本発明の実施形態の理解に関係する特定の詳細のみを示している。
【0016】
或る実施例では、補償無線周波(RF)信号の移相(位相シフト)を電子的に調整する方法の実装により、いわゆるモノスタティックレーダーシステム(77GHz)の性能を改善する技術を説明する。或る実施例では、非常に高い周波数でさえも、差動位相の効率を調整するように配列されている、例えばバラクタの形態の1または複数の可変コンデンサと併用した能動デバイス(例、ハイブリッドバイポーラトランジスタ(HBT))に基づいた位相調整回路を説明する。或る実施例では、所望の利得の達成と完全な安定性の維持(各カスケード接続されている回路の安定性を点検することによって)、および受け入れられるコンポーネント整合の達成を同時にしながら、差動RF信号の全移相を調整できるように複数の位相調整回路をカスケード接続してもよい。ある例示的な実施態様では、位相補償信号を動的かつ自動的に調整するためにリアルタイムのダイナミックフィードバック配列を使用することによって、レーダーシステムのRF信号の移送を調整するように提案される技術を使用してもよい。有利なことに、このメカニズムは、改善された信号雑音比(SNR)を達成する方法を提供してもよい。或る例示的な実施態様では、直接送信信号パスまたは受信信号パスにはなく、信号を送信または受信させるボンドワイヤおよびオフチップ素子の位相効果を考慮できる信号の移相(位相シフト)を達成するために、ミキサ回路内に位相調整回路を使用してもよい。
【0017】
ここで図2を参照すると、高周波通信ユニット200の実施例の簡略化したブロック図が示されている。実務上、単に本発明の例示的な実施態様を説明するために、機能的な要素は、ほとんどのワイヤレス通信ユニットにあるものと類似しているまたは同等であると認識されるが、高周波通信ユニットは、モノスタティックレーダー通信ユニット200として記述される。高周波通信ユニット200は、アンテナ202を含有しており、この実施例では、高周波通信ユニット200内の受信チェーンと送信チェーンとの間にアイソレーションを提供するラットレースカプラ204に動作可能に結合されている。
【0018】
当分野で周知の受信機チェーンは、受信機フロントエンド回路構成206を含む(信号受信、信号増幅、信号フィルタリングおよび受信した高周波信号の中間周波信号またはベースバンド周波信号へのダウンコンバージョンの機能のうちの1つ以上を効果的に提供する)。フロントエンド回路構成206は、信号処理ロジック208にシリアル結合されている。信号処理ロジック208からの出力は、適した出力デバイス210に提供される。車両用レーダーアプリケーションでは、出力デバイス210の実施例は、車両のダッシュボード上の表示もしくは緊急制動を潜在的に発動する電子機械的制動装置、またはプレキャッシュ検出を行うときの個別のエアバックコントローラ回路構成等を備えてもよい。
【0019】
コントローラ217は、高周波通信ユニット200の全体的な制御を維持する。コントローラ217は、受信機フロントエンド回路構成206および信号処理ロジック208(一般にデジタル信号プロセッサ(DSP)で実現される)にも結合されている。コントローラ217は、高周波通信ユニット200内の動作(時間依存信号の送信または受信)のタイミングを制御するように配列されているタイマ218に結合されてもよい。
【0020】
送信チェーンに関して、これは、本質的に送信機/変調回路構成222と、ラットレースカプラ204を介してアンテナ202に結合されている高周波電力増幅器224とを備える。送信機/変調回路構成222および電力増幅器224は、コントローラ217に応動してもよい。
【0021】
送信チェーンの信号処理ロジック208は、受信チェーンのプロセッサとは別に実装されてもよい。あるいは信号プロセッサ208は、図2に図示するように、送信信号および受信信号の両方を処理するために使用されてもよい。明らかに、高周波通信ユニット200内のさまざまなコンポーネントは、個別または集積コンポーネントとして実現されえ、そのため最終的な構造は、特定用途向けまたは純粋に設計の選択である。
【0022】
この実施例では、高周波通信ユニット200は、送信機チェーンの送信機/変調回路構成222および受信機チェーンのフロントエンド回路構成206の両方に動作可能に結合されている周波数発生回路216を備える。周波数発生回路216は、送信機/変調回路構成222およびフロントエンド回路構成206の一方または両方に位相補償した局部発振器信号を提供するように配列されている。
【0023】
この実施例では、周波数発生回路216およびコントローラ217は、同じ集積回路(IC)パッケージ215内に形成されてもよい。他の実施例では、周波数発生回路216およびコントローラ217は、個別のもしくは異なるICパッケージ内に形成されてもよく、または個別の集中素子もしくは回路として形成されてもよい。他の実施例では、周波数発生回路216およびコントローラ217のうちの少なくとも1つは、送信機/変調回路構成222およびフロントエンド回路構成206、もしくは送信機/変調回路構成222またはフロントエンド回路構成206の一部として、または例えばアップミキシング素子およびダウンミキシング素子のうちの少なくとも1つ、もしくは回路(図示せず)を包含することによって、送信機/変調回路構成222およびフロントエンド回路構成206のうちの少なくとも1つを包含して同じICパッケージ内に形成されてもよい。
【0024】
周波数発生回路216は、水晶発振器などの周波数発生源(以下、局部発振器(LO)という)を備えて(またはそれに動作可能に結合されていて)もよい。LOは、適応型の電気調整可能な移相器に動作可能に結合されていてもよく、これは図4に図示するように、能動デバイスとバラクタとを備える移相器回路を使用して、LO信号に適用される移相(位相シフト)を電気的に調整することによって実装してもよい。
【0025】
或る実施例では、能動デバイスおよびバラクタの使用は、図4を参照して説明される差分信号を移相(位相シフト)するために採用する。特に信号によって生成される信号の移相が周波数補償信号に適用される周波数発生回路の複数の当該移相器回路をカスケード接続することによって、所望の信号利得、完全な安定性、および許容可能な整合を同時に達成しながら、周波数発生回路216の全移相を調整できる。或る実施例では、周波数発生回路216のアップミキサまたはダウンミキサの動作に適用するいわゆる周波数調整信号を調整して、信号雑音比(SNR)を改善した移相を達成するためにこのアプローチを使用できる。LO信号に移相補償を適用するときには、受信パスの雑音性能が潜在的に下がるのを防いでもよい。例えば周波数発生回路216で使用するための移相器回路の動作および機能は、以下の動作説明で詳しく説明する。
【0026】
ここで図3を参照すると、電気調整可能なアクティブ移相器回路300のある例示的なトポロジを示している。電気調整可能なアクティブ移相器回路は、2つの能動デバイス305、310を備え、これらは、例えばバイポーラ接合トランジスタ(BJT)、ハイブリッドバイポーラトランジスタ(HBT)、導電性金属酸化物半導体(CMOS)デバイス等、適していればどのような形態でもよく、差動共通ベース配列で接続されている。2つの能動デバイス305、310のベースコンタクトはアナログ接地(共通ベース)に互いにキャパシタンスを介して接続されている。電圧バイアスが抵抗器(図示せず)から印加される電圧を介して2つの能動デバイス305、310に印加される。対応するシミュレーションモデルでは、L1からL8までの伝送線路のセグメントごとにレイアウト寄生に対する影響を考慮してもよい。両方の共通ベーストランジスタのエミッタは電子制御式可変コンデンサ315を介して結合されている。回路320、325は、電子制御式可変コンデンサ315の2つの例示的な実施態様を表す。
【0027】
典型的な実現化では、電子制御式コンデンサ315は、バラクタ(電圧制御式コンデンサ)に基づく。しかし他の例示的な実施態様では、実効キャパシタンスおよびインダクタンスのうちの少なくとも1つの変化を生じさせることのできるあらゆる素子、例えば金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、MEMSによる切り替え可能なコンデンサ等を使用してもよい。いくつかの実施例では、共通ベーストランジスタ305、310のエミッタのバイアス点からバイアスをかけるバラクタのデカップリングは、集中型コンデンサによって実現されてもよい。バイアスポートに電圧を印加することによって、共通ベーストランジスタのエミッタコンタクト間の実効キャパシタンスを制御して動的に調整してもよい。実効キャパシタンスを変えることによって、エミッタコンタクト間の移相(位相シフト)も変動し、さらに移相回路の絶対位相を変える。
【0028】
ここで図4を参照すると、完全に電子制御可能な差動移相器として機能するカスケード接続されている複数の移相回路を使用する実施態様の例図400が示されている。例図400では、差動入力信号415、420は、単一端信号源405から給電される平衡不平衡変成器410によって供給される。差動入力信号415、420は、例えば周知の伝送線路整合技術を使用して、入力整合段425に供給される。入力整合段425からの出力は、2つのトランジスタを備える差動入力段430に入力される。回路の電圧利得は、差動入力段430によって実現される。差動入力段の2つのトランジスタからの出力は、電気調整可能な移相器(位相シフタ)ブロック430に入力される。
【0029】
電子調整可能な移相器ブロック430は、複数の移相器回路330を備えており、図示するように入力から出力まで必要な全位相変動を達成するためにカスケード接続できる。定バイアス信号302は、移相器回路330の能動デバイスの各々に印加される。移相器ブロック430でカスケード接続できる移相器回路330の最大数は、回路の総供給電圧によってのみ制限される。移相器ブロック430で使用する移相器回路330の数は、使用するアクティブ回路技術および特定の動作周波数で必要な移相(位相シフト)のうちの少なくとも1つに基づいて選択してもよい。
【0030】
移相器ブロック430の各々はアナログ制御電圧P_Var_p440およびP_Var_n435を使用して、バラクタ(つまり、図3のバラクタ315)の実効キャパシタンスを調整するように制御する。段の各々のアナログ制御電圧は互いに接続されており、これら2つの電圧間の差は、制御/バラクタ電圧(VVar)として以下のように定義される。

VVar=P_Var_p―P_Var_m [1]

このように、異なるレベルのVVarは異なる移相(位相シフト)に対応し、典型的にはVVar電圧が高いほどより高い移相に対応する。
【0031】
移相器ブロック430からの差動出力は、例えば周知の伝送線路整合技術を使用して実装される出力整合回路450に供給される。出力整合回路450からの整合差動出力は、平衡不平衡変成器455によって組合わされて、50オーム負荷460に出力される。
【0032】
或る実施例では、異なる移相(位相シフト)は、移相器回路のトランジスタの共通ベース配列に印加される異なる電圧を使用して設定してもよい。例えば各移相器回路は、特定の移相範囲をカバーするように配列されてもよく、例えばカスケード接続されている移相器回路のセットの第1回路は0〜50度をほぼカバーするように設定され、第2回路はより小さな約0〜20度の範囲をより正確にカバーするように配列され、第3回路はより小さな約0〜10度の範囲をより正確にカバーするように配列され、第4回路はより小さな約0〜5度の範囲をより正確にカバーするように配列されてもよい。
【0033】
或る実施例では、単一の移相器回路300または移相器ブロック430のカスケードが供給する移相(位相シフト)は、例えば信号処理ロジック(図示せず)を使用してアナログまたはデジタル制御信号のいずれかによって、適した入力信号を受信して処理してから適切な制御電圧Var_pおよびVar_mを出力するように調整されてもよい。例えば内部アナログ制御信号VVarは、チップ上のデジタルアナログ(D/A)コンバータによって信号処理ロジックが供給するデジタル信号から生成されてもよい。
【0034】
上記の実施例において、全移相は、カスケード接続されている複数の移相器回路を使用して調整されてもよい。しかし、このような実施例では、移相器の利得も変動する。そのためここで図5を参照すると、出力振幅/電力を所望のレベルに制限し、それによって移相器回路の変動する利得を補償するように構成されている1または複数のリミッタ段の使用を提案する例示的な実施態様が示されている。リミッタ段の使用によって、差動移相を受けている信号の振幅を制限でき、それによって移相器ブロック340の利得も制御できる。
【0035】
このアーキテクチャでは、2つの位相&利得ブロック505、520を使用することによって、回路への入力から入力ポート405を介して出力ポート460に全移相をさらに増やす。各位相&利得ブロック505、520は、出力電力/レベルを所望の値に飽和するように構成されているリミッタ段510、525によって後続される。
【0036】
モノスタティックレーダーシステムでは、重要な良度指数(FoM)は、RF回路を中間周波(IF)領域でできるだけ高い信号雑音比性能をもつように設計することである。送信(Tx)パスと受信(Rx)パスの両方に1つの共通アンテナを使用するために、送信パスと受信パスとの間のアイソレーションは、常に制限される。したがってこの場合、Tx信号の一部は、Rxパスに給電される。例えばモノスタティックレーダーシステムの送信電力が高いため(典型的には約+15dBm)、20dBのTx/Rxアイソレーション性能でも、約−5dBmの漏れ信号がRx入力に入ることになる。受信機が最適な雑音性能できわめて低いRF電力レベル(例えば、−70dBmから−20dBmの範囲)をうまく回復する必要があるため、寄生Tx信号は、受信機の性能を決定する。このように十分な雑音余裕を達成するためには、受信機チャンネルの線形性は、きわめて高くなければならない。そのため、許容可能な信号雑音比を得るためには、Rx入力での寄生Tx信号を逆位相で振幅の等しい信号によって十分に相殺しなければならない。
【0037】
以下でより詳しく説明するように図示する実施例では、電気調整可能な移相器は、アクティブ移相器の適応電気的調整により達成される。前述の実施例では、電気調整可能な移相器は、高価なレーザートリミングを使用する、または同調移相を適用する多数の集積回路から選択する周知の技術ではなく、モノスタティックレーダーシステムなど、周波数変調連続波(FMCW)レーダーシステムで使用するために通信ユニットに実装してもよい。しかしモノスタティックレーダーシステムでの使用の実施例は、多くの例示的なアプリケーションの1つにすぎない。例えば電気調整可能な移相器は、DCオフセット、つまり差動中間周波(IF)出力間のDCバランスが問題となるアクティブミキサ(例、送受信周波数変換回路またはデバイス)を採用する通信ユニットまたはシステムに実装してもよい。また例えば、電気調整可能な移相器は、例えば中間周波が高周波数の0.01%未満である場合のような通信ユニットの高い動作周波数に対して、ダウンコンバートしたIFが比較的DCに近いと考えられる高周波ヘテロダインもしくはホモダインシステムまたは通信ユニットに実装されてもよい。当該実施例は、IF周波数を含んでもよく、とくにゼロIF(DCに等しい)を含んでもよい。
【0038】
以下でより詳しく説明するように、図示する実施例では、適応型の電気調整可能な移相器は、既存の実施態様が複雑すぎて実現できない、または電力を消費しすぎる高(例、大きなGHz)周波数で信号の移相(位相シフト)を調整するように配列されている。例えば能動デバイスを利用するときには、前述の実施例では発生する損失が少なくなり、そのため必要な発電回路が少なくなる。また例えば、前述の実施例は、周知の高価なレーザートリミング技術と比べて、安価なバラクタベースの位相調整を利用することによって、はるかに低いコストで実装されてもよい。いくつかの実施例では、適用される移相は、移相回路に印加されるアナログ制御電圧によって制御されてもよい。
【0039】
前述の実施例は、77GHzモノスタティックレーダーシステムを参照して説明されているが、他の例示的な実施態様もあらゆる周波数範囲に適用されてもよい。例示的な適応型の電気調整可能な移相器は、多様な異なる集積回路技術を使用して実現してもよく、いくつかの実施例では、前述した全差動信号を使用して実現されてもよい。また実施例は、バイポーラトランジスタまたはMOSデバイスのいずれかを使用して実施されてもよい。
【0040】
以下に例として、周波数変換動作で受信機/送信機チェーンに適用する局部発振器信号を位相補償するためのメカニズムを説明する。しかし高周波無線周波数パス、例えば無線周波数受信機および送信機パスのうちの少なくとも1つで位相を調整するために同じ技術を使用してもよい。
【0041】
ここで図6を参照すると、モノスタティックレーダーアーキテクチャ600に適した高周波通信ユニットの実施例が図示されており、レーダーアーキテクチャ600は、電子制御式移相器を使用して、Rx入力でTx漏れを実質的に相殺する。図示する実施例では、相殺は第1ダウンコンバージョン段の後に行う。モノスタティックレーダーアーキテクチャ600は、送信信号605を備えており、これはいくつかの実施例では電力増幅器615に入力される76.5GHzで動作するLO信号またはRFパルスと考えてもよい。電力増幅器615からの出力は、いわゆるウィルキンソン分配器620の第1ポートに入力される。典型的にはPA出力は、約+15dBmでもよく、4dBのウィルキンソン分配器620の挿入損が送信信号625の出力電力から離れ、ウィルキンソン分配器620の第2ポートからの出力は約+11dBmで、これがアンテナ(図示せず)に入力される。ウィルキンソン分配器620の(受信機)第3ポートに現れるTx寄生信号は、アイソレーション性能を20dBと想定すると、−5dBmであり、これは第3部分にも給電される受信信号よりも著しく高くなる。
【0042】
受信動作モードでは、受信信号は、アンテナ(図示せず)からウィルキンソン分配器620の第2ポートに給電され、典型的な挿入損4dBを受けた後で第3ポートに現れる。このため高線形性ダウンミキサ635に印加される合成信号630は、相対的に高いレベルのTx寄生信号とともに非常に低いレベルの受信信号を含む。高線形性ダウンミキサ635では、合成信号630は、38.25GHzの局部発振器信号610と混合され、76.5GHzの動作周波数の半分になるように配列され、伝送線路640を介して給電される。このように高線形性ダウンミキサ635から出力される信号645は、いずれも38.25GHzの周波数で、中間周波信号(IF1)の所望の受信信号と、Tx寄生信号(LO2)とを含む。
【0043】
信号645は、第2ウィルキンソン分配器650の第1ポートに入力され、そこで第2ウィルキンソン分配器650の第3ポートに入力される38.25GHzの局部発振器信号610の位相および振幅をシフトしたバージョンと組合わされる。第2ウィルキンソン分配器650の第2ポートから出力される信号668は、直交ミキサ670に入力され、そこで38.25GHzの局部発振器信号610のI−Qバージョンと掛け合わされる。38.25GHzの局部発振器信号610は、I/Qロジック680に入力されるが、I/Qロジック680は、速度および距離に関する対象情報を同時に取得し、伝送線路675を介して直交ミキサ670に伝送するより効率的な方法を提供できる。
【0044】
I−Qミキサ670から出力される信号685は、このように非常に低い第2中間周波数(IF2)であり、この実施例では0Hzである。信号685はさらに、モノスタティックレーダーアーキテクチャの別の復号・復調回路構成(図示せず)に入力される。或る実施例では、信号685は、DCオフセット検出ロジック690にも入力され、DCオフセット検出ロジック690は、Tx寄生信号の受信パスへの漏れのために生まれるダウンコンバートした受信信号のDCオフセットを検出するように配列されている。DCオフセット検出ロジック690は、非常に低い第2中間周波数から、DCオフセットが存在するか否か判定し、もし存在するならそれに応答して、制御信号660を介して移相器430によって適用される移相(位相シフト)および可変利得増幅器655によって供給される利得を制御するように配列されている信号処理ロジックを備える。移相器は、移相器430および可変利得増幅器(VGA)665に入力される38.25GHzの局部発振器信号610から、38.25GHzで「相補型」LO信号を生成するように配列されている。
【0045】
このように移相器によって生成される信号LO2∠(+180)は、第2ウィルキンソン分配器650によって信号IF1+LO2∠と組合わされる。このようにTx寄生信号LO2は、実質的に相殺されることによって、所望のIF1信号だけが残り、I/Qミキサ670の入力ポートで印加される。
【0046】
そのため例えば電気調整可能な移相器430およびVGA665に結合されているDCオフセット検出ロジック690の形態のフィードバック配列の使用と、受信信号の位相および振幅とは、許容可能な信号雑音比を得られる範囲に維持されてもよい。
【0047】
またモノスタティックレーダーアーキテクチャ600の単側波帯雑音指数(NFssb)は、補償RF信号(つまり、第2LO信号610)に適用すべき正しい位相を選択することによって、約>10dB分改善されうる。
【0048】
他の例示的な実施態様では、本明細書で説明する概念を採用する他の回路コンポーネントおよび構成を使用してもよい。例えば、或る例示的な実施態様では、ウィルキンソン分配器の代わりにラットレースカプラを使用してもよい。
【0049】
上記実施例では、受信機システムの雑音性能は、一般にも、圧縮時に高周波通信ユニットが動作しているときにも、大幅に改善できる。当該アクティブ制御補償技術を使用すると、アクティブミキサコアに対する要求事項を劇的に低減でき、それによって総電力消費を下げるとともに、システムの信号雑音比(SNR)性能を大幅に改善することになる。このようにダウンコンバートされたIF信号の信号雑音比(SNR)に基づきRF信号の位相を自動的に調整するアクティブリアルタイムフィードバックシステムが提供される。また前述の実施例は、RF動作周波数、およびその後のIFまたはベースバンド周波数に適用されてもよい。
【0050】
ここで図7を参照すると、フローチャート700は、モノスタティックレーダーアプリケーションに適した高周波通信ユニットで採用する例示的な位相補償プロセスを示している。位相補償プロセスは、周波数依存信号の位相および振幅のうちの少なくとも1つを電気的に調整することによって、周波数依存信号の位相および利得のうちの少なくとも1つを調整する。電気的な位相調整は、図3、図4、図5、および図6のうちのいずれかの実施例の回路によって行われてもよい。図7の例示的なフローチャートは、モノスタティックレーダー通信ユニットの動作に関して説明しており、送信信号および受信信号は同じ周波数(Fo)で動作する。
【0051】
ステップ705の開始後、例えば高周波通信ユニットを「オン」にしたために、ステップ710に示すように、入力無線周波信号は、少なくとも1つの移相器(位相シフタ)回路で受信される。少なくとも1つの移相器(位相シフタ)が単一端入力配列を備える場合、ステップ715に図示するように、プロセスは、単一端無線周波数信号を差動入力無線周波数信号に変換する。差動入力無線周波信号があることを確認した後、ステップ720に示すように、少なくとも2つの能動デバイスに結合している電圧可変素子に可変制御電圧を印加することによってプロセスは続く。
【0052】
その後、プロセスは、可変制御電圧に印加される電圧に応じて、電圧可変素子の位相の調整に続く。そして、このように、ステップ725に示すように、可変制御電圧は、差動入力無線周波信号に移相(位相シフト)を適用する。プロセスは、ステップ730に示すように、移相器回路の差動入力無線周波信号に適用される利得を制御するために、移相器回路の少なくとも2つの能動デバイスに対するバイアス電圧の印加に続く。次にステップ735に示すように、調整された移相および利得のうちの少なくとも1つの設定がそれぞれの閾値内にあるか否か判定を行う。調整された移相および利得のうちの少なくとも1つの設定がそれぞれの閾値内であれば、プロセスは、ステップ740で停止する。調整された移相および利得のうちの少なくとも1つの設定がそれぞれの閾値内にない場合、プロセスはさらに、ステップ720にループバックして、差動入力無線周波信号の位相および利得のうちの少なくとも1つのレベルの調整を行う。
【0053】
上記説明した高周波通信回路で高周波信号の位相を電気的に調整するための高周波通信ユニット、集積回路および方法の実施例は、通信ユニットがそれに送られる信号の位相制御を改善できるようにしてもよいことが分かるであろう。さらに実施例は、一般にも、高周波通信ユニットが圧縮中であるときにも、受信機システムの雑音性能を改善してもよい。また実施例は、IF信号の信号雑音比に基づき、自動的に位相を調整してもよいアクティブフィードバックシステムを提供してもよい。さらに実施例は、完全デジタル制御される位相制御実施態様をサポートしてもよい。
【0054】
当業者は、上記認識される利点および本明細書に説明される他の利点は単に例示的なものであり、本発明はこれら利点のすべてを獲得する必要はないことを認識するであろう。
本明細書で説明する実施例は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、カスタマイズしたプロセッサおよび現場でプログラム可能なゲートアレイ(FPGA)などの1または複数の汎用または専用プロセッサ(または「信号プロセッサ」)と、本明細書で説明する電力制御を行う方法および装置の機能の一部、ほとんどまたは全部を、一定の非プロセッサ回路と連動して実施するように1または複数のプロセッサを制御する固有のプログラム記憶式命令(ソフトウェアおよびファームウェアの両方を含む)とから構成してもよいことが理解されるであろう。あるいは、プログラム記憶式命令をもたない状態マシンによって一部または全部の機能を実装する、または各機能もしくはいくつかの機能のいくつかの組合わせをカスタムロジックとして実装する1または複数の特定用途向け集積回路(ASIC)に実装することもできるであろう。当然ながら、この2つのアプローチの組合わせを使用することもできるであろう。状態マシンおよびASICはともに本明細書において、前述の考察および請求項の言葉の目的上「信号プロセッサ」と考えられる。
【0055】
また、本発明の実施形態は本明細書に説明および請求される方法を実施するようにコンピュータ(例、処理装置を備える)をプログラミングするためにコンピュータ読取可能コードを格納するコンピュータ読取可能記憶素子として実装できる。当該コンピュータ読取可能記憶素子の例は、ハードディスク、CD−ROM、光学記憶装置、磁気記憶装置、読出し専用メモリ(ROM)、プログラマブル読出し専用メモリ(PROM)、消去可能プログラマブル読出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読出し専用メモリ(EEPROM)およびフラッシュメモリを含むが、これだけに制限されない。さらに、おそらくは多大な労力ならびに例えば利用できる時間、現在の技術および経済的な要因により動機付けられる多くの設計上の選択肢にも関わらず、本明細書で開示する概念および原則によって指導される場合、当業者は最低限の実験で当該ソフトウェア命令およびプログラムおよびICを容易に生成することができるであろう。
【0056】
前述の明細書において、本発明の特定の実施形態を説明してきた。しかし、当業者は以下の請求項に記載される本発明の範囲を逸脱することなくさまざまな修正および変更を行えることを認識する。
【0057】
したがって、明細書および図面は制限的な意味ではなく例示的な意味で考えるべきである、当該修正のすべては本発明の範囲に含まれることが意図されている。利益、利点、問題解決策、および利益、利点または解決策を見出させるもしくはより顕著にさせるあらゆる要素は、いずれかまたはすべての請求項の必須の、必要なまたは本質的な特徴または要素と解釈してはならない。本発明は、本出願の手続き中に行われる補正および発行される請求項のすべての同等物を含め、付属の請求項によってのみ定義される。
【0058】
さらに、個々の特徴は異なる請求項に記載されているかもしれないが、これらは可能なら有利に組合わせてもよく、異なる請求項に記載されることは特徴の組合わせが実行可能ではないおよび有利ではない、もしくは実行可能ではないまたは有利ではないことを意味するわけではない。また、請求項のあるカテゴリに特徴を記載することはこのカテゴリに制限されることを意味するのではなく、むしろその特徴は、適宜、他の請求項のカテゴリにも同様に適用できることを示している。
【0059】
また本書において、第1および第2、上および下、ならびに他の同様な言葉のように関係を示す用語は、ある実体または行為を別の実体または行為と区別するためにのみ使用しており、当該実体もしくは行為間の実際の当該関係または順番を必ずしも必要とするまたは意味するものではない。
【0060】
「備える(comprise)」、「備える(comrising)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「含有する(contains)」、「含有する(containing)」またはそのあらゆる他のバリエーションは、要素のリストを備える、有する、含む、含有するプロセス、方法、物品または装置がその要素のみを含むのではなく、明示的に列挙されていないまたは当該プロセス、方法、物品もしくは装置に固有の他の要素を含んでもよいように、非排他的包含をカバーすることを意図している。「1つの・・・を備える(comprises…a)」、「1つの・・・を有する(has…a)」、「1つの・・・を含む(includes…a)」、「1つの・・・を含有する(contains…a)」の後に続く要素は、それ以上の制約条件がなければ、その要素を備える、有する、含む、含有するプロセス、方法、物品または装置における追加の同一の要素の存在を排除するものではない。「1つの(a)」および「1つの(an)」という用語は、本明細書で別途明示的に記載されていない限り、1または複数として定義される。
【0061】
「実質的に(substantially)」、「本質的に(essentially)」、「約(approximately)」、「約(about)」またはそのあらゆる他のバージョンは、当業者に理解される定義に近いものとして定義される。本明細書で使用される「結合されている(coupled)」という用語は、必ずしも直接ではなく、また必ずしも機械的ではないかもしれないが、接続されていると定義される。ある方法で「構成されている(configured)」デバイスまたは構造は、少なくともその方法で構成されているが、列挙していない方法で構成してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波信号を移相する集積回路であって、前記集積回路は、少なくとも1つの移相器を備え、少なくとも1つの前記移相器は、
無線周波信号を受信するための少なくとも1つの入力と;
電圧可変素子と;
前記電圧可変素子に動作可能に結合されて、可変制御電圧を受信するように配列されている複数の能動デバイスと
を備え、
複数の前記能動デバイスは、共通ベース配列に結合され、且つ前記無線周波信号を受信するように配列されている少なくとも2つの能動デバイスからなり、前記電圧可変素子に印加される可変制御電圧が前記無線周波信号の位相を調整するように前記電圧可変素子は、前記少なくとも2つの能動デバイスのエミッタコンタクトまたはソースコンタクトを結合している、集積回路。
【請求項2】
調整される前記無線周波信号は、差動無線周波信号である、
請求項1記載の集積回路。
【請求項3】
入力された前記無線周波信号は、差動無線周波数入力信号と、平衡不平衡変成器による調整のために差動無線周波信号に変換される単一端入力信号とのうちの1つである、
請求項2記載の集積回路。
【請求項4】
前記電圧可変素子は、電気制御式可変キャパシタンス(315)である、
請求項1記載の集積回路。
【請求項5】
前記移相器がカスケード接続されている複数の移相器を備えることによって、前記カスケード接続されている複数の移相器にわたり行われる全移相は、調整可能である、
請求項1記載の集積回路。
【請求項6】
無線周波数入力信号を移相するように配列されている少なくとも1つの移相器回路を有する無線周波数回路を備える通信ユニット(200)であって、少なくとも1つの前記移相器回路は、
電圧可変素子と;
前記電圧可変素子に動作可能に結合されて、可変制御電圧を受信するように配列されている複数の能動デバイスであって、複数の前記能動デバイスは、共通ベース配列に結合され、且つ前記無線周波数入力信号を受信するように配列されている少なくとも2つの能動デバイスからなり、前記電圧可変素子は、少なくとも2つの前記能動デバイスのエミッタコンタクトまたはソースコンタクトを結合していることと;
前記無線周波数入力信号の位相を調整するために、複数の前記能動デバイスに可変制御電圧を印加するように配列されているプロセッシングロジックと
を備える、通信ユニット。
【請求項7】
前記移相器回路は、送信信号および受信信号のうちの少なくとも一方に印加する局部発振器信号に、移相と利得調整のうちの少なくとも1つを適用するように配列されている、
請求項6の通信ユニット。
【請求項8】
前記通信ユニットは、同じ無線周波数で操作する送信信号および受信信号をサポートする、
請求項6または7記載の通信ユニット。
【請求項9】
前記通信ユニット(200)は、モノスタティックレーダーシステムで動作するように適応されている、
請求項6から8いずれか1項記載の通信ユニット。
【請求項10】
共通ベース配列で結合されている少なくとも2つの能動デバイスを有する複数の能動デバイスと、前記少なくとも2つの能動デバイスのエミッタコンタクトまたはソースコンタクトを結合している電圧可変素子とを備える移相器回路を有する無線周波数回路を備える通信ユニット(200)で信号の位相を補償する補償方法であって、前記補償方法は、
無線周波数入力信号を受信するステップと;
前記電圧可変素子が前記無線周波数入力信号の位相を調整するように、前記移相器回路の電圧可変素子に電圧可変制御信号を印加するステップと
を有する、補償方法。
【請求項11】
共通ベース配列で結合されている少なくとも2つの能動デバイスを有する複数の能動デバイスと、前記少なくとも2つの能動デバイスのエミッタコンタクトまたはソースコンタクトを結合している電圧可変素子とを備える移相器回路を有する無線周波数回路を備える通信ユニット(200)で、信号の位相を補償するようにプロセッサをプログラミングするためにコンピュータ読取可能コードを格納するコンピュータ読取可能記憶素子であって、前記コードは、
無線周波数入力信号を受信する手順と;
前記電圧可変素子が前記無線周波数入力信号の位相を調整するように、前記移相器回路の電圧可変素子に電圧可変制御信号を印加する手順と
を前記プロセッサに実行させる、コンピュータ読取可能記憶素子。
【請求項12】
前記コンピュータ読取可能記憶素子は、ハードディスク、CD−ROM、光学記憶装置、磁気記憶装置、読出し専用メモリ、ROM、プログラマブル読出し専用メモリ、PROM、消去可能プログラマブル読出し専用メモリ、EPROM、電気的消去可能プログラマブル読出し専用メモリ、EEPROMおよびフラッシュメモリのうちの少なくとも1つを備える、
請求項11記載のコンピュータ読取可能記憶素子。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−533078(P2012−533078A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520107(P2012−520107)
【出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際出願番号】PCT/IB2009/053080
【国際公開番号】WO2011/007198
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(504199127)フリースケール セミコンダクター インコーポレイテッド (806)
【Fターム(参考)】