説明

位置合わせナット

【課題】歪取り作業等の衝撃又は振動等が作用しても、ナット本体が所定の位置に把持され、必要に応じてナット本体の位置を微調整できる位置合わせナットを提供する。
【解決手段】位置合わせナット1Aにおいて、弾性を有す金属から成る把持体100は、基板部110と、その幅方向の端部から連続して備えられる連結部120,120と、連結部120,120から延伸する押圧部130,130とを備えている。各押圧部130の断面形状は下方に突出する略V字形状をなすとともに、略V字形状の先端部には、ネジ座50の基部60の上面に備えられる溝部90に当接する当接部140が備えられている。基部60は溝部90に沿う方向に位置を微調整できることで、把持体100に対してナット本体の位置を微調整可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2つの部材を結合する際に用いられる位置合わせナットであって、特に、軌条車両に設備・機器を搭載する場合に車体構造に固定するのに好適な位置合わせナットに関する。
【背景技術】
【0002】
電車等の鉄道車両のような軌条車両において、車両の床面に複数の取付け金を固定した後、複数の取付け部を備える化粧室ユニットを、取付け金の上面にそれぞれ取付け部を合わせるようにして床面に載置した後、両者をボルトで固定する場合がある。この場合、車両の床面に備えられる取付け金間の寸法と化粧室ユニットに備えられる取付け部間の寸法とにそれぞれ寸法誤差が生じ、取付け金と取付け部との位置が整合しないことがある。
【0003】
図6(特許文献1の図1)には、上述した寸法誤差を吸収するとともに、ナットの位置を任意に変更して、両者を容易に結合することができる取付け具として位置決めナット(フローティングナット)が開示されている。この位置決めナットは、貫通するねじ孔が形成された板状のナット本体10と、ばね鋼板を折り曲げることにより一体に形成され、内部にナット本体10を保持するリテーナ20と、ナット本体10の正面に当接する押圧片22と、から構成されている。
【0004】
リテーナ20は、ナット本体10の背面に対向し、ねじ孔12aと連通する円形の挿通孔21aが形成された背面板21と、ナット本体10の正面に対向する上下一対の押圧片(正面板)22と、背面板21と押圧片22の上下端を連結する側板23と、を有する。背面板21、押圧片22、側板23で区画されるナット本体10よりも寸法の大きな空間内に、ナット10が収容されている。そのため、ナット本体10は、リテーナ20に収容された状態で、指でつまんでスライドさせることでリテーナ20内を移動可能となっている。同時に、ナット本体10の座板の正面に当接する押圧片22が座板11を背面板21に弾性的に押し付ける。この構成により、ナット本体10から指を離すと、リテーナ20内の所望の位置でナット本体10がずれ動かないように位置決め可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−14189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電車の車体等、大型溶接構造体では、溶接によって構造物を構成する各要素(鉄道車両の場合、台枠、側構体、妻構体、屋根構体など)同士を接合することが行われるので、溶接時に生じる大きな熱によって接合部が膨張する或いは収縮するなどして歪が生じる。そのため、構造体の各部において寸法誤差が大きくなる場合がある。寸法誤差の原因となる大きな歪が生じた場合、バーナーで局所的に加熱したり、ハンマーで叩いたりするなどして歪を修正することが行われている。
【0007】
特許文献1に示される位置合わせナットは、断面ハット状の受金などに備えられた後、溶接等で構造体の各部に固定される。この状態で上述した歪取り作業がなされると、フローティングナット1の押圧片22のばね力で押圧されて位置決めされているナット本体10が、歪取り作業の衝撃及び振動等のために、所定の位置からずれてしまう可能性がある。さらに、位置合わせナットを予め備えた受金を鉛直面に固定する場合も、上述した振動に加えて重力の影響を受け、ナット本体10が下方に大きくずれる可能性がある。
【0008】
溶接等に起因する構造体の歪を修正した後であれば、構造体の各部の寸法誤差は小さくなるため、位置合わせナットに備えられるナット本体が所定の位置にあれば、歪取り作業の過程で所定の位置からずれてしまったナット本体の位置を再調整することなく、ボルトを差し込むことができるので作業工数を小さくできる。
【0009】
そこで、位置合わせナットにおいては、位置合わせナットにおいて、当該位置合わせナットに備わっている構造を利用して、衝撃や振動が作用しても、ナット本体であるネジ座が把持体における所定の位置を保持可能にする点で解決すべき課題がある。
本発明の目的は、歪取り作業等の衝撃又は振動等が作用しても、ナット本体であるネジ座が所定の位置に把持され、必要に応じてナット本体の位置を微調整することができる位置合わせナットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明による位置合わせナットは、ネジ部を備えるネジ座と、前記ネジ座を移動可能に把持する把持体とを備え、前記ネジ座は、板状の基部と、前記基部の中央部に前記基部の厚さ方向に突出する円筒部と、前記円筒部の軸線に沿って備えられる前記ネジ部と、を備えており、前記把持体は、平板状の基板部と、前記基板部の幅方向の両端部からそれぞれ立設される連結部と、前記各連結部から前記基板部に重なる態様で水平方向に延伸する押圧部と、を備えており、前記押圧部は、前記円筒部の側面との間に間隔をおいて前記円筒部を囲む態様で備えられるととともに、前記基部を押圧する部位に当接部を備えている位置合わせナットであって、前記ネジ座の前記基部には、前記各押圧部に対応してそれぞれ、前記円筒部を挟む態様で溝部が設けられるとともに、前記当接部が前記溝部を押圧すること、を特徴としている。
【0011】
本発明による位置合わせナットによれば、把持体においてネジ座の円筒部を囲む態様で備わる押圧部が、ネジ座の基部において円筒部を挟む態様で設けられている溝部を押圧しているので、押圧部が溝部を乗り越えて移動するには、単に平坦な基部を押圧しているとした場合よりも大きな力を要する。したがって、押圧部が溝部を押圧する構造は、ネジ座が把持体に対して移動するのを規制する作用があり、衝撃又は振動等が作用しても、押圧部の溝部からの外れ易さが抑制される。また、ネジ座に十分な力を作用させれば、押圧部が溝部を乗り越え、把持体に対してネジ座を移動させることも可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明である位置合わせナットによれば、歪取り作業に伴う衝撃又は振動等が作用する場合であっても、ナット本体が把持体に対して所定の位置を保つことができる位置合わせナットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明による位置合わせナットの一実施例を示す上面図である。
【図2】図2は、図1に示される位置合わせナットのA−A断面図である。
【図3】図3は、本発明による位置合わせナットの別の実施例を示す上面図である。
【図4】図4は、本発明による位置合わせナットを用いて、鉄道車両の床の上面に化粧室ユニットの底板を固定する例を示す図である。
【図5】図5は、図4のB−B断面図である。
【図6】従来の位置合わせナットの一例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明による位置合わせナットの実施例を説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明による位置合わせナットの一実施例の上面図であり、図2は図1に示される位置合わせナットのA−A断面図である。図1及び図2を参照すると、本発明による位置合わせナット1Aは、把持体100と、ネジ座50と、を備えており、ネジ座50が把持体100において位置決め(移動)可能に把持される点に特徴がある。把持体100は、平板状の基板部110と、基板部110の幅方向(矢印210の方向)の両端部からそれぞれ連続的に立設される連結部120、120と、連結部120から基板部110に重なる態様で略水平方向に延伸する一対の押圧部130,130と、を備えている。基板部110、連結部120及び押圧部130は、所定の形状に打ち抜かれた鋼板を曲げ加工によって一体に曲げ成形されており、押圧部130がネジ座50の基部60を押圧できるように、連結部120と押圧部130にバネ力(弾性力)が付与されている。
【0016】
基板部110の中央部には後述するネジ座50に備えられるネジ部80(雌ネジ)に、ボルト(雄ネジ)を通した際に、このボルトが貫通するとともに、基板部110の面内でボルトを通したネジ座50が移動可能なように、ネジ部80の内径より大きい大径の貫通孔115が形成されている。
【0017】
ネジ座50は、板状の基部60と、基部60の中央部にその厚さ方向に突出する態様で一体に備えられる円筒部70と、円筒部70を同心状に縦方向(基部60の表面に垂直方向)に貫通する孔の内周に設けられる上記のネジ部80(雌ネジ)と、を備えている。把持体100に備えられる一対の押圧部130,130はネジ座50に備えられる円筒部70を囲む態様で備えられており、把持体100からネジ座50が脱落することを抑制している。ネジ座50の基部60の上面であって、基部60の長手方向の各端部と円筒部70との間で溝を形成することにより、基部60の幅方向210の中央部には、円筒部70を挟む態様で、基部60の長手方向200に沿って直線状に整列した溝部90,90が設けられている。
【0018】
図2に示されるように、押圧部130,130の断面形状は下方に突出する略V字形状をなすとともに、各押圧部130には、その略V字形状の先端部であってネジ座50の基部60に当接する側において、基部60の上面に形成されている溝部90に対応して且つ基板部110の長手方向に沿う態様で形成された当接部140が設けられている。当接部140が溝部90に嵌まり込むことで溝部90に当接することにより、基部60と把持体100との間には弾性的に係合する係合部が構成されており、押圧部130のバネ復元力が当接部140を介して溝部90に作用して、基部60を把持体100に対して付勢するとともに、所定方向(溝部90の長手方向)のみに微調整可能に係合している。
【0019】
上述したように、基板部110と、基板部110の幅方向の両端部に備えられる連結部120,120と、連結部120,120に接続する押圧部130,130とを予め備えられる1枚の金属板を切り出し、曲げ加工によって基板部110に連結部120,120を介して接続される押圧部130,130を形成することで、把持体100を製作してもよい。また、基板部110と、連結部120と、押圧部130と、を各々別部品として成形した後、各々の部品を接続して、把持体100を製作してもよい。
【0020】
いずれの製作方法の場合であっても、把持体100の連結部120及び押圧部130、又は連結部120と押圧部130のどちらか一方は曲げ加工によって塑性変形しており、基板部110と押圧部130との間に把持されるネジ座50は、連結部120と押圧部130のどちらか一方又は両方が当該塑性変形の状態を維持しようとして生じる復元力(弾性力、バネ力)によって、ネジ座50は、押圧部130に備わる当接部140が基部60に備わる溝部90に当接することによって、常に把持体100の基板部110に向けて押圧される。
【0021】
ネジ座50は、ネジ座50に備えられる円筒部70の円筒外壁と、把持体100に備えられる押圧部130,130の端部と、の間の長手方向200の寸法L及び幅方向210の寸法Wの範囲内の水平面内で位置決め可能であり、円筒部70の側面が押圧部130,130に所定の隙間をおいて拘束されるため、ネジ座50が基板部110の面内方向において把持体100から逸脱せず、上記寸法L及び寸法Wの範囲でネジ座50の位置を把持体100の基板部110の範囲内で決めることができる。
【0022】
上記の構成によって、把持体100の基板部110の幅方向の中央部に、ネジ座50の基部60の幅方向の中央部に常時把持される位置合わせナット1Aを実現することができる。その結果、位置合わせナット1Aを受金などに固定する際の衝撃等よって、ネジ座50が把持体100の所定の位置(初期位置)から大きく外れることを防止できるので、ネジ座50のネジ部80にボルト等(図示なし)を小さい作業工数で容易に挿入して締結することができる。
【実施例2】
【0023】
図3は、本発明による位置合わせナットの別の実施例を示す上面図である。図1を参照して説明した位置合わせナット1Aと共通の部位については同じ符号を付すことで再度の説明を省略し、図3に示される位置合わせナット1Bの特徴的な部位についてのみ記す。図3に示される位置合わせナット1Bにおいては、把持体100に円筒部70を挟んで且つ円筒部70の中心に対して点対称状に備わる二つの押圧部130,130には、それぞれ当接部140,140が備わっている。当接部140,140は、互いに交差する態様で設けられている。
【0024】
一方(図3右側)の溝部90は、基部60の一方の長手方向200の端部と円筒部70との間において、基部60の長手方向200に沿って備えられており、他方(図3左側)の溝部は90、基部60の他方の長手方向200の端部と円筒部70との間において、基部60の幅方向210に沿って備えられている。一方の溝部90は、基部60の幅方向の中央部に備えられており、他方の溝部90は、基部60の他方の長手方向200の端部と円筒部70との間の中央部に備えられている。
【0025】
各押圧部130には、溝部90に対応して当該溝部90が延びる方向に沿う態様で当接部140が備わっている。即ち、一方(図3右側)の押圧部130に備えられる当接部140は長手方向200に沿って形成され、他方(図3左側)の押圧部130に備えられる当接部140は幅方向210に沿って形成される。押圧部130,130に備えられる当接部140,140は、それぞれが同時に、ネジ座50の基部60の表面に備えられる溝部90,90整合して弾性的な係合部を構成しているので、ネジ座50は、把持体100に対して僅かな範囲で調整可能ではあるが、この弾性的な係合部により、略一定状態に係合・保持される。
【0026】
図1に示される位置合わせナット1Aを垂直な面に用いる場合、ネジ座50を把持体100の所定の場所(長手方向200及び幅方向210の中央部)に把持するために、押圧部130の当接部140とネジ座50の溝部90とを水平方向に配置する、つまり、位置合わせナット1Aの長手方向を水平方向に沿わせて配置したほうが望ましい。これに対して、図3に示される位置合わせナット1Bでは、一方の押圧部130の当接部140とネジ座50の溝部90、及び他方の押圧部130の当接部140とネジ座50の溝部90とが交差する形態で備えられるため、垂直な面に用いる場合、位置合わせナット1Bが固定される方向を選ばない。このため、垂直面に位置合わせナットを備える場合でも、図3に示される位置合わせナット1Bの方が、ネジ座50が把持体100の所定の場所(長手方向200及び幅方向210の中央部)に把持されるため、小さい作業工数でボルト等を容易に挿入して締結することができる。なお、実際に位置合わせナット1Aをボルトで締結する場合には、ネジ座50が把持体100に対して、押圧部130の当接部140がネジ座50の溝部90を超える程度に移動することがあるのは言うまでもない。当接部140と溝部90とから成る弾性的な係合部は、ボルト締結前の状態で、ネジ座50が把持体100に対して不本意な移動をするのを抑制する。
【0027】
〔応用例〕
本発明による位置合わせナットを、鉄道車両構造体に対する設備・機器の固定に適用する応用例について説明する。図4は、例えば鉄道車両構造体を鉄道車両の床とし、設備・機器を化粧室ユニットとして、本発明による位置合わせナットを用いて鉄道車両の床の上面に化粧室ユニットの底板を固定する例を示す図であり、図5は図4のB−B断面図である。ここでは、位置合わせナット1A及び1Bを総称して位置合わせナット1とする。
【0028】
化粧室ユニット底板300は、鉄道車両床板400に対して、当該鉄道車両床板400に備えられる受金410に固定された位置合わせナット1を介して固定される。この場合、位置合わせナット1をなすネジ座50にボルトを差し込んで締結することによって、化粧室ユニット底板300に突出して形成された固定部310と鉄道車両床板400に備えられる受金410とがボルト(頭部)とネジ座50との間に挟み込まれて固定される。受金410は、長手方向200の垂直断面形状がハット型をなしており、その中央部の水平部には前述したボルトが余裕を持って貫通できる孔が形成されているとともに、ハット型の両下端部には水平方向に延伸するフランジ(鍔部)を有する。
【0029】
位置合わせナット1が、ハット状の受金410のクラウン部の水平裏側(フランジ側)に対して、その基板部110に備えられる孔150,150(図1、図3参照)を用いてネジ等で固定される。位置合わせナット1が固定された受金410は、鉄道車両の幅方向200の間隔P1、長手方向210の間隔P2を設けて鉄道車両床板400の上面に位置決めされた後、受金410のフランジを鉄道車両床板400にMIG溶接等によって固定される。
【0030】
所定の間隔P1、P2をおいて鉄道車両床板400の上面に固定された受金410の上面に、化粧室ユニット底板300の高さ方向に突出して形成された固定部310を載置して、ボルト320を用いて化粧室ユニット底板300を鉄道車両床板400に固定する。
【0031】
一般に、MIG溶接等に代表される溶融溶接は溶接時に溶接部に大量の熱が流入するため、受金410及び鉄道車両床板400が溶接に伴う多量の入熱によって局所的に膨張或いは収縮する。そのため、所定の間隔P1と間隔P2に寸法誤差が生じる場合ある。また、位置合わせナット1を備える受金410を鉄道車両床板400の上に置いた状態で、水平面内の方向に受金410をハンマー等で軽く叩いて位置を決める場合がある。この場合も、所定の間隔P1と間隔P2に寸法誤差が生じる場合ある。本発明による位置合わせナット1では、位置合わせナット1を受金410に固定する作業中に多少の熱や衝撃等が位置合わせナット1に作用する場合であっても、位置合わせナット1のネジ座50は、押圧部130に備えられる当接部140がネジ座50の基部60に備えられる溝部90を押圧するため、ネジ座50は位置合わせナット1をなす把持体100の中央部(所定の場所)に位置する。
【0032】
化粧室ユニット底板300をFRPで成型する場合、取り付けピッチ寸法に成型時の収縮或いは膨張等に起因する寸法誤差が生じて、化粧室ユニット底板300の固定部310間の間隔P1及びP2と、受金410間の間隔P1及びP2と、の間に寸法誤差が生じことがある。この場合、ボルト320を挿入する前に、棒状の工具で位置合わせナット1のネジ座50をボルト320が挿入できる位置まで移動させた後、ボルト320を締結する。この場合、ネジ座50の把持体100に対する移動量が大きければ、当接部140,140が溝部90,90から外れることはあり得る。
【0033】
化粧室ユニット底板300の固定部310間隔P1及びP2と、受金410間の間隔P1及びP2との間に、殆ど寸法誤差が生じ無い場合は、位置合わせナット1の把持体100の中央部にネジ座50が位置するため、棒状の工具で位置合わせナット1のネジ座50の位置を調整することなく、ボルト320を挿入することができるので、小さい作業工数で化粧室ユニット底板300を鉄道車両床板400に固定することができる。
【符号の説明】
【0034】
1,1A,1B…位置合わせナット
50…ネジ座 60…基部
70…円筒部 80…ネジ部
90…溝部
100…把持体 110…基板部
120…連結部 130…押圧部
140…当接部 150…穴
200…長手方向を示す矢印 210…幅方向を示す矢印
300…化粧室ユニット底板 310…塞ぎ板
320…ボルト
400…鉄道車両床板 410…受金

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネジ部を備えるネジ座と、前記ネジ座を移動可能に把持する把持体とを備え、
前記ネジ座は、板状の基部と、前記基部の中央部に前記基部の厚さ方向に突出する円筒部と、前記円筒部の軸線に沿って備えられる前記ネジ部と、を備えており、
前記把持体は、平板状の基板部と、前記基板部の幅方向の両端部からそれぞれ立設される連結部と、前記各連結部から前記基板部に重なる態様で水平方向に延伸する押圧部と、を備えており、
前記押圧部は、前記円筒部の側面との間に間隔をおいて前記円筒部を囲む態様で備えられるととともに、前記基部を押圧する部位に当接部を備えている
位置合わせナットにおいて、
前記ネジ座の前記基部には、前記各押圧部に対応してそれぞれ、前記円筒部を挟む態様で溝部が設けられるとともに、前記当接部が前記溝部を押圧すること、
を特徴とする位置合わせナット。
【請求項2】
請求項1に記載された位置合わせナットにおいて、
前記各溝部は、前記基部の長手方向の各端部と前記円筒部との間において前記基部の長手方向に沿って備えられており、
前記各押圧部には、前記当接部が前記溝部に対応して前記基板部の長手方向に沿う態様で備わっていること、
を特徴とする位置合わせナット。
【請求項3】
請求項2に記載された位置合わせナットにおいて、
前記各溝部は、前記基部の幅方向の中央部に、前記両溝部が前記円筒部を挟んで直線状に整列して設けられていること、
を特徴とする位置合わせナット。
【請求項4】
請求項1に記載された位置合わせナットにおいて、
一方の前記溝部は、前記基部の一方の長手方向の端部と前記円筒部との間において、前記基部の長手方向に沿って備えられており、
他方の前記溝部は、前記基部の他方の長手方向の端部と前記円筒部との間において、前記基部の幅方向に沿って備えられており、
前記各押圧部には、前記当接部が前記溝部に対応して前記溝部が延びる方向に沿う態様で備わっていること、
を特徴とする位置合わせナット。
【請求項5】
請求項4に記載された位置合わせナットにおいて、
前記一方の溝部は、前記基部の幅方向の中央部に備えられており、
前記他方の溝部は、前記基部の他方の長手方向の端部と前記円筒部との間の中央部に備えられていること、
を特徴とする位置合わせナット。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載された位置合わせナットにおいて、
前記位置合わせナットは、鉄道車両構造体に対して、車両に設置される設備・機器の固定に適用されること、
を特徴とする位置合わせナット。
【請求項7】
請求項6に記載された位置合わせナットにおいて、
前記鉄道車両構造体には垂直断面形状がハット型をし且つその中央部に貫通孔が形成された受金が固定されており、
前記設備・機器には突出する固定部が設けられており、
前記鉄道車両構造体の前記受金のハット内側に前記把持体を取り付けることで前記位置合わせナットが前記受金にセットされており、
前記鉄道車両構造体の前記受金と前記設備・機器の前記固定部とを重ねた状態で、前記受金と前記固定部とを貫通するボルトを前記ネジ座の前記ネジ部に螺合させて、前記ボルトと前記位置合わせナットとで前記受金と前記固定部とを挟み付けることにより、前記設備・機器を前記鉄道車両構造体に対して前記貫通孔の前記ボルト回り余裕分だけ位置調節可能に固定することに適用されていること、
を特徴とする位置合わせナット。
【請求項8】
請求項6又は7に記載された位置合わせナットにおいて、
前記鉄道車両構造体は鉄道車両床板であり、
前記設備・機器は車両用の化粧室ユニットであり、
前記鉄道車両床板の上面に前記受金が取り付けられており、前記化粧室ユニットの底板に下方に向けて前記固定部が突出して設けられていること、
を特徴とする位置合わせナット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−163157(P2012−163157A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23832(P2011−23832)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】