説明

位置履歴収集装置、位置履歴収集方法、及びプログラム

【課題】位置情報の蓄積に要する消費電力を削減する。
【解決手段】移動パターン判定部106は、移動パターン記憶部105が記憶する移動パターン配列の中から、現在位置と近似するものを検出する。そして、算出部111は、当該検出した移動パターン配列の末尾の位置履歴構造体が示す場所までの所要時間を算出する。また、位置情報取得部102は、計時部110が計測する時間が、算出部111が算出した時間を超えるまで、位置情報を取得しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自装置が存在した位置の履歴を蓄積する位置履歴収集装置、位置履歴収集方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機やスマートフォン等の携帯端末は、GPS(Global Positioning System)センサや加速度センサなど、多くのセンサを備えるものが多い。このようなセンサを用いることで、携帯端末は、利用者の位置や状況、周囲の環境などの情報を検知し、様々なアプリケーションやサービスに用いることができる。また、これらの情報を継続的に蓄積することで、特許文献1に示すように利用者の行動経路などの動線分析をはじめとしたライフログサービスを実行することができる。
【0003】
なお、特許文献2、特許文献3には、携帯端末を用いて断続的に位置情報を取得する際に、携帯端末の消費電力を削減する方法が開示されている。
特許文献2に記載の手法によれば、振動状態や電話基地局の変化等を検知し、変化があった場合に携帯端末を起動し、断続的に情報を取得することにより、消費電力を削減する。
特許文献3に記載の手法によれば、携帯端末は、自装置の移動速度を検知し、当該速度にあわせて機器の起動周期を制御することで、消費電力を削減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−053957号公報
【特許文献2】特開2007−259128号公報
【特許文献3】特開2009−077171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、携帯端末がセンサから継続的に情報を蓄積する場合、これらセンサの稼動時には、待機状態に比べて大きな電力が消費されることとなるため、バッテリーを消耗し、携帯端末の利用時間が短くなるという問題がある。
また、特許文献2や特許文献3に示す消費電力削減方法は、静止状態および低速での移動状態を検出し、移動が行われていない、もしくは非常に低速である場合に、その際のセンサ計測を停止または計測時間を長くすることで、消費電力の削減を行うものである。そのため、交通手段を用いて継続的に移動することで位置が刻々と変化する場合は、継続的にセンサを動作させる必要があるため、有効な電力の削減にならない場合があった。また、センサからの情報の取得間隔が長くなった場合、動作を開始してから位置情報の計測が行われるまでの間のデータが欠落してしまう問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、自装置が存在した位置の履歴を蓄積する位置履歴収集装置であって、自装置が存在する位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報取得部が取得した位置情報と当該位置情報を取得した時刻とを構造体成分とする位置履歴構造体を、位置履歴記憶部に蓄積する位置履歴記録部と、前記位置履歴構造体を複数格納した移動パターン配列を記憶する移動パターン記憶部と、所定の複数の位置情報をそれぞれ格納する複数の位置履歴構造体を部分配列に有する移動パターン配列であって、前記位置情報取得部が取得した連続する複数の位置情報と前記所定の複数の位置情報とが近似する移動パターン配列が、前記移動パターン記憶部に存在するか否かを判定する移動パターン判定部と、前記移動パターン判定部が、前記移動パターン配列が存在すると判定した場合、当該移動パターン配列を抽出する移動パターン抽出部と、前記移動パターン判定部が、前記移動パターン配列が存在すると判定した場合に、現在時刻からの経過時間の計測を開始する計時部と、前記移動パターン抽出部が抽出した移動パターン配列に格納された位置履歴構造体のうち、前記位置情報取得部が取得した位置情報と近似する位置情報を格納する位置履歴構造体が格納する時刻と、前記移動パターン抽出部が抽出した移動パターン配列の末尾に格納された位置履歴構造体が格納する時刻との差の時間を算出する算出部と、を備え、前記位置情報取得部は、前記計時部が計測する時間が、前記算出部が算出した時間を超えるまで、位置情報を取得しないことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、移動パターン抽出開始、及び移動パターン抽出終了の入力を受け付ける入力部と、前記入力部が移動パターン抽出開始の入力を受け付けた時刻から前記入力部が移動パターン抽出終了の入力を受け付けた時刻までに位置履歴記録部が位置履歴記憶部に蓄積した位置履歴構造体を、移動パターン記憶部に記録する移動パターン記録部とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明において、前記移動パターン記録部は、前記入力部が移動パターン抽出開始の入力を受け付けた時刻から前記入力部が移動パターン抽出終了の入力を受け付けた時刻までに位置履歴記録部が位置履歴記憶部に蓄積した位置履歴構造体から、前記移動パターン記憶部が記憶する移動パターン配列の部分配列である複数の位置履歴構造体と近似する連続する複数の位置履歴構造体を抽出し、当該抽出した位置履歴構造体を配列要素とする移動パターン配列と、他の連続する位置履歴構造体を配列要素とする移動パターン配列とを、それぞれ前記移動パターン記憶部に記録することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記計時部が計測する時間が、前記算出部が算出した時間を超えたときに自装置の位置を示す位置情報と、前記移動パターン抽出部が抽出した移動パターン配列の末尾に格納された位置履歴構造体が格納する位置情報とが近似するか否かを判定する移動パターン合致判定部を備え、前記位置情報記録部は、前記移動パターン合致判定部によって位置情報が合致していると判定された場合、前記移動パターン抽出部が抽出した移動パターン配列に格納された位置履歴構造体のうち、前記位置情報取得部が取得した位置情報と近似する位置情報を格納する位置履歴構造体から当該移動パターン配列の末尾に格納された位置履歴構造体までの複数の位置履歴構造体を、位置履歴記憶部に蓄積することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記移動パターン記憶部が記憶する移動パターン配列に関連付けて、前記移動パターン合致判定部が位置情報と合致すると判定した割合を示す合致率を、合致率記憶部に記録する合致率記録部を備え、前記移動パターン抽出部が抽出した移動パターン配列に関連付けて前記合致率記憶部が記憶する合致率が所定の閾値未満である場合、前記計時部、前記算出部、前記位置情報取得部、及び前記位置情報記録部は、前記移動パターン判定部が前記移動パターン配列が存在しないと判定した場合と同様の処理を行うことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、自装置が過去に存在した位置を示す位置情報と当該位置情報を取得した時刻とを構造体成分とする位置履歴構造体を複数格納した移動パターン配列を記憶する移動パターン記憶部を備え、自装置が存在した位置の履歴を蓄積する位置履歴収集装置を用いた位置履歴収集方法であって、位置情報取得部は、自装置が存在する位置を示す位置情報を取得し、位置履歴記録部は、前記位置情報取得部が取得した位置情報と当該位置情報を取得した時刻とを構造体成分とする位置履歴構造体を位置履歴記憶部に蓄積し、移動パターン判定部は、所定の複数の位置情報をそれぞれ格納する複数の位置履歴構造体を部分配列に有する移動パターン配列であって、前記位置情報取得部が所定の時間間隔で取得した連続する複数の位置情報と前記所定の複数の位置情報とが近似する移動パターン配列が、前記移動パターン記憶部に存在するか否かを判定し、移動パターン抽出部は、前記移動パターン判定部が、前記移動パターン配列が存在すると判定した場合、当該移動パターン配列を抽出し、計時部は、前記移動パターン判定部が、前記移動パターン配列が存在すると判定した場合に、現在時刻からの経過時間の計測を開始し、算出部は、前記移動パターン抽出部が抽出した移動パターン配列に格納された位置履歴構造体のうち、前記位置情報取得部が取得した位置情報と近似する位置情報を格納する位置履歴構造体が格納する時刻と、前記移動パターン抽出部が抽出した移動パターン配列の末尾に格納された位置履歴構造体が格納する時刻との差の時間を算出し、前記位置情報取得部は、前記計時部が計測する時間が、前記算出部が算出した時間を超えるまで、位置情報を取得しないことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、自装置が過去に存在した位置を示す位置情報と当該位置情報を取得した時刻とを構造体成分とする位置履歴構造体を複数格納した移動パターン配列を記憶する移動パターン記憶部を備え、自装置が存在した位置の履歴を蓄積する位置履歴収集装置を、自装置が存在する位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部、前記位置情報取得部が取得した位置情報と当該位置情報を取得した時刻とを構造体成分とする位置履歴構造体を、位置履歴記憶部に蓄積する位置履歴記録部、所定の複数の位置情報をそれぞれ格納する複数の位置履歴構造体を部分配列に有する移動パターン配列であって、前記位置情報取得部が所定の時間間隔で取得した連続する複数の位置情報と前記所定の複数の位置情報とが近似する移動パターン配列が、前記移動パターン記憶部に存在するか否かを判定する移動パターン判定部、前記移動パターン判定部が、前記移動パターン配列が存在すると判定した場合、当該移動パターン配列を抽出する移動パターン抽出部、前記移動パターン判定部が、前記移動パターン配列が存在すると判定した場合に、現在時刻からの経過時間の計測を開始する計時部、前記移動パターン抽出部が抽出した移動パターン配列に格納された位置履歴構造体のうち、前記位置情報取得部が取得した位置情報と近似する位置情報を格納する位置履歴構造体が格納する時刻と、前記移動パターン抽出部が抽出した移動パターン配列の末尾に格納された位置履歴構造体が格納する時刻との差の時間を算出する算出部として機能させ、前記位置情報取得部は、前記計時部が計測する時間が、前記算出部が算出した時間を超えるまで、位置情報を取得しないことを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、移動パターン判定部は、移動パターン記憶部から、現在位置と近似する位置を示す位置履歴構造体を有する移動パターン配列を検出する。そして、算出部は、当該検出した移動パターン配列の末尾の位置履歴構造体が示す場所までの所要時間を算出する。また、位置情報取得部は、計時部が計測する時間が、算出部が算出した時間を超えるまで、位置情報を取得しない。これにより、携帯端末は、最低限のセンサー測定のみでログの測定ができるため、大幅に消費電力を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態による携帯端末の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】位置履歴記憶部が記憶する情報の一例を示す図である。
【図3】移動パターン記憶部が記憶する情報の一例を示す図である。
【図4】合致率記憶部が記憶する情報の一例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態による携帯端末の動作を示す第1のフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施形態による携帯端末の動作を示す第2のフローチャートである。
【図7】携帯端末によるパターン検出処理の動作を示すフローチャートである。
【図8】第2の実施形態による携帯端末の構成を示す概略ブロック図である。
【図9】アプリケーション記憶部が記憶する情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第1の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による携帯端末の構成を示す概略ブロック図である。
携帯端末10は、自装置の経時的な位置の履歴を蓄積する位置履歴収集ソフトウェアを実行すると、入力部101、位置情報取得部102、位置履歴記録部103、位置履歴記憶部104、移動パターン記憶部105、移動パターン判定部106、合致率記録部107、合致率記憶部108、移動パターン抽出部109、計時部110、算出部111、移動パターン記録部112を備える。
【0016】
入力部101は、位置の履歴の蓄積の開始及び終了の入力をユーザから受け付ける。
位置情報取得部102は、携帯端末10が備えるセンサ(例えば、GPSセンサ、無線LAN(Local Access Network)装置など)を起動し、自装置の位置情報を取得する。なお、無線LAN装置は、本来通信装置であるが、周囲のアクセスポイントを識別することで、位置の特定を行うことができる。
位置履歴記録部103は、位置情報取得部102が取得した位置情報と当該位置情報を取得した時刻とを構造体成分とする位置履歴構造体を、位置履歴記憶部104に蓄積する。なお、本明細書中で、「蓄積する」とは、記憶部の末尾に新たにデータを追加記録することを示す。
位置履歴記憶部104は、位置履歴記録部103が生成した位置履歴構造体を記憶する。
【0017】
図2は、位置履歴記憶部が記憶する情報の一例を示す図である。
図2を参照すると、位置履歴記憶部104は、位置情報と時刻情報とを構造体成分とする位置履歴構造体を複数記憶している。また、位置履歴構造体は、位置履歴記憶部104における自身の記憶位置を示すインデックス番号を有する。
位置履歴構造体の位置情報は、GPSセンサによって取得した緯度及び経度と、無線LANのアクセスポイントを特定するBSSID(Basic Service Set Identifier)とを含む。なお、本実施形態においては、位置履歴構造体の位置情報が、GPS位置情報及びBSSIDの両者を含む場合を例に説明するが、これに限られず、位置履歴構造体の位置情報は、携帯端末の位置を特定できる情報を少なくとも1つ有していれば良い。また、位置履歴構造体の時刻情報は、位置情報を取得した日付、曜日、及び時刻を含む。
【0018】
移動パターン記憶部105は、自装置が過去に移動したことがある移動経路を示す移動パターン配列を記憶する。ここで、移動パターン配列とは、過去に位置履歴記録部103が生成した位置履歴構造体を当該位置履歴構造体が格納する時刻の昇順に並べた配列である。
図3は、移動パターン記憶部が記憶する情報の一例を示す図である。
図3を参照すると、移動パターン記憶部105は、複数の位置履歴構造体を時刻の昇順に並べた移動パターン配列を複数記憶している。移動パターン配列は、移動パターン配列を識別するパターンNoを有する。
【0019】
移動パターン判定部106は、位置履歴記憶部104の末尾から複数の位置履歴構造体を読み出し、当該位置履歴構造体を用いて自装置の移動ベクトル(位置、移動方向、及び移動速度)を算出する。また、移動パターン判定部106は、移動パターン記憶部105が記憶する移動パターン配列の中に、算出した移動ベクトルと近似する移動ベクトルを有する移動経路を示す移動パターン配列が存在するか否かを判定することで、自装置の移動経路を推定する。
また、移動パターン判定部106は、算出した移動ベクトルと近似する移動ベクトルを有する移動経路を示す移動パターン配列が存在すると判定した場合、所定の時間の経過後、当該移動パターン配列と位置情報取得部102が取得した位置情報とを比較することで、推定した移動経路と実際の移動経路とが合致したか否かを判定する。
合致率記録部107は、移動パターン判定部106が推定した移動経路と移動パターン記憶部105が記憶する移動パターン配列とが合致した割合を示す合致率を、合致率記憶部108に記録する。
合致率記憶部108は、合致率記録部107が算出した合致率を移動パターン配列毎に記憶する。
【0020】
図4は、合致率記憶部が記憶する情報の一例を示す図である。
図4を参照すると、合致率記憶部108は、移動パターン記憶部105が記憶する移動パターン毎に、合致率の計算条件と計算結果とを記憶している。合致率の計算条件としては、曜日や時間、天候、気温、季節などが挙げられる。また、合致率記憶部108は、それぞれの計算条件ごとに、合致した回数を示す合致カウント、合致しなかった回数を示すエラーカウント、及び合致カウントを総試行回数で除算した合致率を格納する。
【0021】
移動パターン抽出部109は、移動パターン判定部106が判定した移動パターン配列を移動パターン記憶部105から抽出する。
計時部110は、移動パターン判定部106が、算出した位置、移動方向、及び移動速度と近似する移動経路を示す移動パターン配列が存在すると判定した場合に、現在時刻からの経過時間を計測する。
算出部111は、自装置の位置が、移動パターン抽出部109が抽出した移動パターン配列の末尾の位置履歴構造体が格納する位置情報が示す位置に到達するまでに要する時間である到達時間を算出する。また、算出部111は、計時部110が計測する経過時間が、算出した到達時間を超えたときに、位置情報取得部102に位置情報の取得を実行させる。
移動パターン記録部112は、位置履歴記憶部104が記憶する位置履歴情報のうち、入力部101が位置の履歴の蓄積の開始の入力を受け付けた時刻から位置の履歴の蓄積の終了の入力を受け付けた時刻までの位置履歴情報を、時刻の昇順に並べることで移動パターン配列を生成し、当該移動パターン配列を移動パターン記憶部105に記録する。
【0022】
そして、このような構成を備えることで、携帯端末10の位置情報取得部102は、自装置が存在する位置を示す位置情報を取得し、位置履歴記録部103は、位置情報取得部102が取得した位置情報と当該位置情報を取得した時刻とを構造体成分とする位置履歴構造体を位置履歴記憶部に蓄積する。
次に、移動パターン判定部106は、位置情報取得部102が所定の時間間隔で取得した連続する複数の位置情報と近似する複数の位置情報をそれぞれ格納する複数の位置履歴構造体を部分配列に有する移動パターン配列が移動パターン記憶部105に存在するか否かを判定する。次に、移動パターン抽出部109は、移動パターン判定部106が、該当する移動パターン配列が存在すると判定した場合、移動パターン記憶部105から当該移動パターン配列を抽出する。
また、計時部は、移動パターン判定部106が、該当する移動パターン配列が存在すると判定した場合に、現在時刻からの経過時間の計測を開始し、算出部111は、移動パターン抽出部109が抽出した移動パターン配列に格納された位置履歴構造体のうち、位置情報取得部102が取得した位置情報と近似する位置情報を格納する位置履歴構造体が格納する時刻と、移動パターン抽出部109が抽出した移動パターン配列の末尾に格納された位置履歴構造体が格納する時刻との差の時間を算出する。
このとき、位置情報取得部102は、計時部110が計測する時間が、算出部111が算出した時間を超えるまで、位置情報を取得しない。
これにより、携帯端末10は、位置の履歴の収集による消費電力を削減する。
【0023】
次に、携帯端末10の動作を説明する。
図5及び図6は、本発明の第1の実施形態による携帯端末の動作を示すフローチャートである。
ユーザが携帯端末10の位置履歴収集ソフトウェアを起動し、入力部101に位置の履歴の蓄積の開始を示す情報を入力すると、位置情報取得部102は、自装置が備えるセンサから現在位置の位置情報を取得する(ステップS1)。なお、起動契機はこれに限られず、例えば、携帯端末10が備える振動センサ(図示せず)が振動を検出した場合など、携帯端末10が備えるセンサへの入力を起動契機としても良い。
また、初回実行時、移動パターン記録部112は、内部メモリに記憶する「新規パターン検証開始時刻」を現在時刻に書き換える。なお、「新規パターン検証開始時刻」が示す時刻以降の時刻を格納する位置履歴構造体は、移動パターン記録部112が新たに移動パターン配列を生成する際に、新たな移動パターン配列の構成要素として抽出される。
位置情報取得部102が位置情報を取得すると、位置履歴記録部103は、位置情報取得部102が取得した位置情報と、位置情報取得部102が位置情報を取得した時刻とを読み出し、位置履歴構造体を生成する。次に、位置履歴記録部103は、当該位置履歴構造体を位置履歴記憶部104に記録する(ステップS2)。
【0024】
次に、入力部101は、ユーザから履歴の蓄積の終了を示す情報の入力を受け付けたか否かを判定する(ステップS3)。入力部101が、ユーザから履歴の蓄積の終了を示す情報の入力を受け付けていないと判定した場合(ステップS3:NO)、携帯端末10は、パターン検出処理を実行する(ステップS4)。
パターン検出処理とは、携帯端末10がこれから移動する経路を示す移動パターン配列が移動パターン記憶部105に存在するか否かを判定し、存在する場合は当該移動パターン配列を読み出す処理のことである。
【0025】
以下に、携帯端末によるパターン検出処理の動作を説明する。
図7は、携帯端末によるパターン検出処理の動作を示すフローチャートである。
まず、移動パターン判定部106は、位置履歴記憶部104の末尾の位置履歴構造体を読み出す(ステップS101)。すなわち、移動パターン判定部106は、位置履歴記憶部104から、現在位置を示す位置情報を含む位置履歴構造体を読み出す。次に、移動パターン判定部106は、移動パターン記憶部105が現在位置に近傍の位置(例えば、GPSセンサによって取得した位置情報であれば50mの誤差範囲内)を示す位置情報を含む移動パターン配列を記憶しているか否かを判定する(ステップS102)。具体的には、移動パターン判定部106は、移動パターン記憶部105が、読み出した位置履歴構造体が格納する位置情報が示す位置と近傍の位置を示す位置情報を含む移動パターン配列を記憶しているか否かを判定する。
【0026】
移動パターン判定部106が、移動パターン記憶部105が現在位置に近傍の位置を示す位置情報を含む移動パターン配列を記憶していると判定した場合(ステップS102:YES)、移動パターン記憶部105から該当する移動パターン配列を読み出す(ステップS103)。次に、移動パターン判定部106は、位置履歴記憶部104の末尾から位置履歴構造体を2つ読み出す(ステップS104)。すなわち、移動パターン判定部106は、現在位置を示す位置情報と前回位置情報取得部102が取得した位置情報とを読み出す。
【0027】
次に、移動パターン判定部106は、読み出した2つの位置履歴構造体の位置情報、及び時間情報の差から、移動方向及び移動速度を示す移動ベクトルを算出する(ステップS105)。次に、移動パターン判定部106は、ステップS103で読み出した移動パターン配列のうち、ステップS102で現在位置に近傍していると判定した位置情報を含む位置履歴構造体と当該位置履歴構造体の直前に格納された位置履歴構造体とを読み出し、移動パターン配列が示す移動経路に含まれる移動ベクトルを算出する(ステップS106)。
【0028】
次に、移動パターン判定部106は、ステップS106で算出した移動ベクトルの中に、ステップS105で算出した移動ベクトルとの類似度が所定の閾値以上となるものが存在するか否かを判定する(ステップS107)。なお、移動ベクトルの類似度の指標としては、例えば2つのベクトルのコサイン類似度を用いると良い。
なお、移動ベクトルは、連続する2つの位置履歴構造体から算出されるものであるため、ステップS107の処理は、位置情報取得部102が所定の時間間隔で取得した連続する複数の位置情報と、連続する複数の位置履歴構造体の位置情報とが近似する移動パターン配列が移動パターン記憶部105に存在するか否かを判定することと等価である。
【0029】
移動パターン判定部106は、ステップS105で算出した移動ベクトルとの類似度が所定の閾値以上となるものが存在しないと判定した場合(ステップS107:NO)、またはステップS102で、移動パターン記憶部105が現在位置に近傍の位置を示す位置情報を含む移動パターン配列を記憶していないと判定した場合(ステップS102:NO)、内部メモリに記憶する「不適合フラグ」をOFFからONに書き換え(ステップS108)、パターン検出処理を終了する。ここで、「不適合フラグ」とは、携帯端末10が現在移動中の経路において、移動パターン記憶部105が記憶する移動パターン配列と合致しない部分が存在することを示す情報である。
【0030】
他方、移動パターン判定部106は、ステップS105で算出した移動ベクトルとの類似度が所定の閾値以上となるものが存在すると判定した場合(ステップS107:YES)、該当する移動ベクトルの算出元となる移動パターン配列を特定する(ステップS109)。次に、移動パターン判定部106は、特定した移動パターン配列のパターンNoに関連付けられた合致率を合致率記憶部108から読み出し、当該合致率が所定の閾値以上を示すか否かを判定する(ステップS110)。ところで、図4を参照すると、合致率は、複数の条件に関連付けられている。このような場合、移動パターン判定部106は、該当する条件の合致率の平均値や、それぞれの合致率を乗算した値と所定の閾値とを比較することで判定を行うと良い。
【0031】
移動パターン判定部106は、合致率が所定の閾値未満であると判定した場合(ステップS110:NO)、内部メモリに記憶する「要検証フラグ」をOFFからONに書き換え(ステップS111)、パターン検出処理を終了する。ここで、「要検証フラグ」とは、携帯端末10が現在移動中の経路において、移動パターン配列と合致する部分が存在するものの、当該移動パターン配列の過去の合致率が低いことを示す情報である。
他方、移動パターン判定部106は、合致率が所定の閾値以上であると判定した場合(ステップS110:YES)、移動パターン抽出部109は、移動パターン判定部106がステップS109で特定した移動パターン配列を抽出する(ステップS113)。
そして、移動パターン抽出部109は、抽出した移動パターン配列と、当該移動パターン配列においてステップS102で現在位置に近傍していると判定した位置情報を含む位置履歴構造体のインデックス番号とを、戻り値として出力し、パターン検出処理を終了する。
【0032】
ステップS4で携帯端末10が、パターン検出処理の実行を終了すると、移動パターン判定部106は、パターン検出処理によって移動パターン配列が抽出されたか否かを判定する(ステップS5)。算出部111は、パターン検出処理によって移動パターン配列が抽出されなかったと判定した場合(ステップS5:NO)、ステップS1に戻り、所定の時間(例えば15秒)経過後に、位置情報の取得を行う。
他方、算出部111は、パターン検出処理によって移動パターン配列が抽出されたと判定した場合(ステップS5:YES)、パターン検出処理によって抽出された移動パターン配列から、パターン検出処理の戻り値として出力されたインデックス番号の位置に格納された位置履歴構造体の時刻情報を読み出す。次に、算出部111は、パターン検出処理によって抽出された移動パターン配列の末尾の位置履歴構造体が格納する時刻情報を読み出す。そして、算出部111は、読み出した2つの時刻情報が示す時刻の差の時間を算出する(ステップS6)。また、計時部110は、現在時刻からの経過時間の計測を開始する(ステップS7)。
次に、算出部111は、計時部110が計測する経過時間が、ステップS6で算出した時間を超えたか否かを判定する(ステップS8)。
【0033】
算出部111は、計時部110が計測する経過時間が、ステップS6で算出した時間を超えていないと判定した場合(ステップS8:NO)、計時部110が計測する経過時間が、ステップS6で算出した時間を超えるまでステップS8の判定を繰り返す。
算出部111が、計時部110が計測する経過時間が、ステップS6で算出した時間を超えたと判定した場合(ステップS8:YES)、位置情報取得部102は、自装置が備えるセンサから現在位置の位置情報を取得する(ステップS9)。つまり、位置情報取得部は、計時部110が計測する時間が、算出部111が算出した時間を超えるまで、位置情報の取得を行わない。
【0034】
次に、位置履歴記録部103は、位置情報取得部102が取得した位置情報と、位置情報取得部102が位置情報を取得した時刻とを読み出し、位置履歴構造体を生成する。次に、位置履歴記録部103は、生成した位置履歴構造体を位置履歴記憶部104に記録する(ステップS10)。
位置履歴記録部103が位置履歴構造体を位置履歴記憶部104に記録すると、移動パターン判定部106は、位置履歴記憶部104の末尾の位置履歴構造体を読み出す(ステップS11)。すなわち、移動パターン判定部106は、位置情報取得部102がステップS18で取得した位置情報を含む位置履歴構造体を読み出す。
【0035】
次に、移動パターン判定部106は、読み出した位置履歴構造体が格納する位置情報が示す位置と、ステップS4のパターン検出処理によって抽出された移動パターン配列の末尾の位置履歴構造体が格納する位置情報が示す位置との距離を算出し、2点間の距離が所定の距離以下(例えば、GPSセンサによって取得した位置情報であれば50m以下)であるか否かを判定する(ステップS12)。
移動パターン判定部106が、2点間の距離が所定の距離より離れていると判定した場合(ステップS12:NO)、合致率記録部107は、合致率記憶部108が、ステップS4のパターン検出処理によって抽出された移動パターン配列の末尾の位置履歴構造体のパターンNo及び該当する条件に関連付けて記憶するエラーカウントに1を加算する。また、合致率記録部107は、合致率の書き換えを行う(ステップS13)。なお、合致率は、合致カウントの値を、合致カウントの値とエラーカウントの値との合計値で除算することで算出する。そして、合致率記録部107が合致率記憶部108の情報の書き換えを終えると、ステップS1に戻り、所定の時間(例えば15秒)経過後に、位置情報の取得を行う。
【0036】
他方、移動パターン判定部106が、2点間の距離が所定の距離以下であると判定した場合(ステップS12:YES)、合致率記録部107は、合致率記憶部108がステップS4のパターン検出処理によって抽出された移動パターン配列の末尾の位置履歴構造体のパターンNo及び該当する条件に関連付けて記憶する合致カウントに1を加算する。また、合致率記録部107は、合致率の書き換えを行う(ステップS14)。
次に、位置履歴記録部103は、ステップS4のパターン検出処理によって抽出された移動パターン配列のうち、パターン検出処理の戻り値として出力されたインデックス番号の位置から末尾までの部分配列に格納された位置履歴構造体を読み出す(ステップS15)。
【0037】
次に、位置履歴記録部103は、読み出した位置履歴構造体それぞれの時刻情報を、今回の計測によって記録するはずであった時刻情報に書き換えて位置履歴記憶部104に蓄積する(ステップS16)。なお、今回の計測によって記録するはずであった時刻情報の算出は、例えば、ステップS4のパターン検出処理によって抽出された移動パターン配列のうち、パターン検出処理の戻り値として出力されたインデックス番号の位置に格納された位置履歴構造体の時刻情報と、ステップS15で読み出した位置履歴構造体それぞれの時刻情報との差の時間を算出し、ステップS1で位置情報取得部102が位置情報を取得した時刻に当該時間を加算することで行う。
【0038】
位置履歴記録部103が位置履歴構造体を位置履歴記憶部104に記録すると、移動パターン判定部106は、内部メモリに記憶する「不適合フラグ」、「要検証フラグ」の少なくとも何れか一方がONを示すか否かを判定する(ステップS17)。
移動パターン判定部106が、「不適合フラグ」、「要検証フラグ」が何れもOFFを示すと判定した場合(ステップS17:NO)、移動パターン記録部112は、内部メモリに記憶する「新規パターン検証開始時刻」を現在時刻に書き換え(ステップS18)、ステップS1に戻る。「不適合フラグ」、「要検証フラグ」が何れもOFFを示すということは、すなわち携帯端末10が移動パターン記憶部105が既に記憶している移動パターンと同じ経路を移動したことを示す。そのため、移動パターン記録部112は、今回の移動経路を移動パターン記憶部105に記録する必要がないため、ここでは移動パターン配列の生成及び記録を行わない。
【0039】
他方、移動パターン判定部106が、「不適合フラグ」、「要検証フラグ」の少なくとも一方がONを示すと判定した場合(ステップS17:YES)、移動パターン記録部112は、位置履歴記憶部104から、「新規パターン検証開始時刻」が示す時刻以降の時刻を格納する複数の位置履歴構造体を抽出する(ステップS19)。次に、移動パターン記録部112は、ステップS19で抽出した複数の位置履歴構造体から、ステップS4のパターン検出処理によって抽出された移動パターン配列の部分配列である複数の位置履歴構造体と近似する連続する複数の位置履歴構造体を抽出する(ステップS20)。次に、移動パターン記録部112は、抽出した位置履歴構造体を配列要素とする移動パターン配列を生成し、移動パターン記憶部105に記録する(ステップS21)。
【0040】
また、移動パターン記録部112は、ステップS4のパターン検出処理によって抽出された移動パターン配列からステップS20で抽出した複数の位置履歴構造体を除いた位置履歴構造体を配列要素とする移動パターン配列を生成し、移動パターン記憶部105に記録する(ステップS23)。
【0041】
次に、移動パターン記録部112は、移動パターン記憶部105から、ステップS4のパターン検出処理によって抽出された移動パターン配列を削除する(ステップS24)。これにより、移動パターン記憶部105は、過去に記録された移動パターン配列が示す経路と新たに取得した経路との共通経路を示す移動パターン配列、過去に記録された移動パターン配列から、新たに取得した経路との共通部分を除いた経路を示す移動パターン配列、及び新たに取得した経路から、過去に記録された移動パターン配列が示す経路との共通部分を除いた経路を示す移動パターン配列を記憶することとなる。
【0042】
これにより、移動パターン記憶部105が記憶する移動パターン配列が格納する連続する2つの位置履歴構造体は、他の移動パターン配列が格納する連続する2つの位置履歴構造体と類似しない。そのため、ステップS4のパターン検出処理において、複数の移動パターン配列が抽出されることをなくすことができる。
そして、移動パターン記録部112は、内部メモリに記憶する「新規パターン検証開始時刻」を現在時刻に書き換える(ステップS25)。次に、移動パターン判定部106は、内部メモリに記憶する「不適合フラグ」、「要検証フラグ」をともにOFFに書き換え(ステップS26)、ステップS1に戻る。
【0043】
また、ステップS3で、入力部101が、ユーザから履歴の蓄積の終了を示す情報の入力を受け付けたと判定した場合(ステップS3:YES)、移動パターン記録部112は、位置履歴記憶部104から、「新規パターン検証開始時刻」が示す時刻以降の時刻を格納する複数の位置履歴構造体を抽出する(ステップS27)。次に、移動パターン判定部106は、内部メモリに記憶する「要検証フラグ」がONを示すか否かを判定する(ステップS28)。
移動パターン判定部106が、「要検証フラグ」がOFFを示すと判定した場合(ステップS28:NO)、移動パターン記録部112は、ステップS27で抽出した複数の位置履歴構造体を配列要素とする移動パターン配列を生成し、移動パターン記憶部105に記録する(ステップS29)。「要検証フラグ」がOFFを示すということは、すなわち携帯端末10が移動パターン記憶部105が既に記憶している移動パターンと重複しない経路を移動したことを示す。そのため、移動パターン記録部112は、今回の移動経路をそのまま新たな移動パターンとして移動パターン記憶部105に記録し、処理を終了する。
【0044】
他方、移動パターン判定部106が、「要検証フラグ」がONを示すと判定した場合(ステップS28:YES)、次に、移動パターン記録部112は、ステップS27で抽出した複数の位置履歴構造体と近似する連続する複数の位置履歴構造体を配列要素に有する移動パターン配列を、移動パターン記憶部105から読み出す(ステップS30)。次に、移動パターン記録部112は、ステップS27で抽出した複数の位置履歴構造体から、ステップS30で読み出した移動パターン配列との部分配列である複数の位置履歴構造体と近似する連続する複数の位置履歴構造体を抽出する(ステップS31)。次に、移動パターン記録部112は、抽出した位置履歴構造体を配列要素とする移動パターン配列を生成し、移動パターン記憶部105に記録する(ステップS32)。
【0045】
また、移動パターン記録部112は、ステップS27で抽出した複数の位置履歴構造体からステップS30で抽出した複数の位置履歴構造体を除いた位置履歴構造体を配列要素とする移動パターン配列を生成し、移動パターン記憶部105に記録する(ステップS33)。また、移動パターン記録部112は、ステップS30で読み出した移動パターン配列からステップS31で抽出した複数の位置履歴構造体を除いた位置履歴構造体を配列要素とする移動パターン配列を生成し、移動パターン記憶部105に記録する(ステップS34)。
【0046】
次に、移動パターン記録部112は、移動パターン記憶部105から、ステップS30で読み出した移動パターン配列を削除し(ステップS35)、処理を終了する。これにより、移動パターン記憶部105は、過去に記録された移動パターン配列が示す経路と新たに取得した経路との共通経路を示す移動パターン配列、過去に記録された移動パターン配列から、新たに取得した経路との共通部分を除いた経路を示す移動パターン配列、及び新たに取得した経路から、過去に記録された移動パターン配列が示す経路との共通部分を除いた経路を示す移動パターン配列を記憶することとなる。
【0047】
このように、本実施形態によれば、携帯端末10は、連続する2点の位置情報から、類似する既存の移動パターン配列を検出し、当該移動パターン配列が示す経路の移動にかかる時間の間、位置情報の取得を行わない。これにより、最低限のセンサ測定のみでログの測定ができるため、大幅に消費電力を削減することができる。
【0048】
(第2の実施形態)
次に、図面を参照しながら本発明の第2の実施形態について詳しく説明する。
第2の実施形態による携帯端末10は、特定の場所において、特定のアプリケーションプログラムを起動する。
図8は、第2の実施形態による携帯端末の構成を示す概略ブロック図である。
図9は、アプリケーション記憶部が記憶する情報の一例を示す図である。
第2の実施形態による携帯端末10は、第1の実施形態による携帯端末10の構成に加えて、さらにアプリケーション記憶部113、アプリケーション実行部114を備える。
アプリケーション記憶部113は、図9に示すように、アプリケーションを実行する位置を示す位置情報と、当該位置情報が示す場所で実行するアプリケーションプログラムとを関連付けて記憶する。なお、当該アプリケーションプログラムは、アラームを鳴らすプログラムなど、単一の機能を有するプログラムであっても良いし、指定された座標情報にあわせて、所定の書類を表示する等適した機能を起動するプログラムであっても良い。
アプリケーション実行部114は、携帯端末10が、アプリケーション記憶部113が記憶する位置情報が示す場所に存在する場合に、当該位置情報に関連付けられたアプリケーションを実行する。
【0049】
また、アプリケーション実行部114は、ステップS3の処理において、入力部101がユーザから履歴の蓄積の終了を示す情報の入力を受け付けたか否かを判定する代わりに、アプリケーション記憶部113が記憶する位置情報の中に、現在位置に近接する位置を示すものがあるか否かを判定する。そして、現在位置に近接する位置を示す位置情報がアプリケーション記憶部113に記憶されていると判定した場合、アプリケーション実行部114は、当該位置情報に関連付けられたアプリケーションを実行する。
これにより、例えば、巡回ルートに合わせて、適切な資料を順番に開くような業務アプリケーションを実行する場合にも、位置情報の取得による消費電力を削減することができる。
【0050】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、第1の実施形態では、ステップS105、S106で移動ベクトルを計算し、ステップS107でその類似度を算出することで、移動パターン配列と適合するか否かを判定する場合を説明したが、これに限られない。例えば、ステップS104で取得した末尾2つの位置履歴構造体が示す位置と、移動パターン配列の位置履歴構造体が示す位置とのそれぞれの類似度から、移動パターン配列と適合するか否かを判定するようにしてもよい。
【0051】
また、第1の実施形態では、ステップS107で1つの移動ベクトルの類似度を算出し、その類似度を用いて移動パターン配列との適合を判定する場合を説明したが、これに限られない。例えば、より高精度に移動パターン配列との適合を判定する場合は、ステップS104で末尾の2つ以上(例えば、5つ)の位置履歴構造体を読み出し、ステップS105、S106でそれぞれ複数の移動ベクトルを算出し、移動ベクトルの類似度が所定の閾値以上となるものの個数が半数以上である場合に、移動パターン配列と適合すると判定するようにしてもよい。
【0052】
また、第1の実施形態では、ステップS19〜S26、ステップS30〜S35で、重複する移動パターン配列を細分化し、移動パターン配列のそれぞれが示す経路に重複がないようにする場合を説明したが、これに限られず、移動パターン配列の細分化を行わずに、得られた新たな移動パターン配列を、そのまま移動パターン記憶部105に記録しても良い。
【0053】
また、第1の実施形態では、位置情報取得部102が取得した位置情報をそのまま移動パターンとして記録する場合を説明したが、これに限られない。例えば、移動パターン記録部112は、位置情報取得部102が取得した位置情報と予め記憶している地図情報とを照らし合わせ、ルートや分岐点の座標を修正しても良い。
【0054】
また、第1の実施形態では、携帯端末10の移動が停止した場合にも特別な処理を行わずに位置情報の取得を行う場合を説明したが、これに限られない。例えば、移動パターン判定部106は、位置情報取得部102が連続して取得した2つの位置情報が示す位置の距離が所定の閾値未満であった場合に、携帯端末10が停止状態であると判定しても良い。そして、移動パターン判定部106は、携帯端末10が停止状態であると判定したときに計時部110による時間の測定を停止させることで、一時停止による時間のぶれを抑えるようにしても良いし、停止状態に遷移した場所は分岐点である可能性が高いことから、移動パターン記録部112は、停止状態に遷移した場所を示す位置履歴構造体で移動パターン配列を二分するようにしても良い。
【0055】
また、第1の実施形態、第2の実施形態では、携帯端末10が独立して位置履歴収集処理を実行する場合を説明したが、これに限られず、第1の実施形態、第2の実施形態で携帯端末10が備える処理部の一部を外部のサーバ装置に備え、携帯端末10が当該サーバ装置と連携することで位置履歴収集処理を行っても良い。例えば、携帯端末10が位置履歴記録部103、位置履歴記憶部104を備えず、外部のサーバ装置にて位置履歴構造体の記録及び記憶を行うようにしても良い。また、例えば、携帯端末10が移動パターン記録部112、移動パターン記憶部105を備えず、外部のサーバ装置にて移動パターン配列の記録及び記憶を行うようにしても良い。
【0056】
上述の携帯端末10は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0057】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0058】
10…携帯端末 101…入力部 102…位置情報取得部 103…位置履歴記録部 104…位置履歴記憶部 105…移動パターン記憶部 106…移動パターン判定部 107…合致率記録部 108…合致率記憶部 109…移動パターン抽出部 110…計時部 111…算出部 112…移動パターン記録部 113…アプリケーション記憶部 114…アプリケーション実行部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置が存在した位置の履歴を蓄積する位置履歴収集装置であって、
自装置が存在する位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報取得部が取得した位置情報と当該位置情報を取得した時刻とを構造体成分とする位置履歴構造体を、位置履歴記憶部に蓄積する位置履歴記録部と、
前記位置履歴構造体を複数格納した移動パターン配列を記憶する移動パターン記憶部と、
所定の複数の位置情報をそれぞれ格納する複数の位置履歴構造体を部分配列に有する移動パターン配列であって、前記位置情報取得部が取得した連続する複数の位置情報と前記所定の複数の位置情報とが近似する移動パターン配列が、前記移動パターン記憶部に存在するか否かを判定する移動パターン判定部と、
前記移動パターン判定部が、前記移動パターン配列が存在すると判定した場合、当該移動パターン配列を抽出する移動パターン抽出部と、
前記移動パターン判定部が、前記移動パターン配列が存在すると判定した場合に、現在時刻からの経過時間の計測を開始する計時部と、
前記移動パターン抽出部が抽出した移動パターン配列に格納された位置履歴構造体のうち、前記位置情報取得部が取得した位置情報と近似する位置情報を格納する位置履歴構造体が格納する時刻と、前記移動パターン抽出部が抽出した移動パターン配列の末尾に格納された位置履歴構造体が格納する時刻との差の時間を算出する算出部と、
を備え、
前記位置情報取得部は、前記計時部が計測する時間が、前記算出部が算出した時間を超えるまで、位置情報を取得しない
ことを特徴とする位置履歴収集装置。
【請求項2】
移動パターン抽出開始、及び移動パターン抽出終了の入力を受け付ける入力部と、
前記入力部が移動パターン抽出開始の入力を受け付けた時刻から前記入力部が移動パターン抽出終了の入力を受け付けた時刻までに位置履歴記録部が位置履歴記憶部に蓄積した位置履歴構造体を、移動パターン記憶部に記録する移動パターン記録部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の位置履歴収集装置。
【請求項3】
前記移動パターン記録部は、前記入力部が移動パターン抽出開始の入力を受け付けた時刻から前記入力部が移動パターン抽出終了の入力を受け付けた時刻までに位置履歴記録部が位置履歴記憶部に蓄積した位置履歴構造体から、前記移動パターン記憶部が記憶する移動パターン配列の部分配列である複数の位置履歴構造体と近似する連続する複数の位置履歴構造体を抽出し、当該抽出した位置履歴構造体を配列要素とする移動パターン配列と、他の連続する位置履歴構造体を配列要素とする移動パターン配列とを、それぞれ前記移動パターン記憶部に記録する
ことを特徴とする請求項2に記載の位置履歴収集装置。
【請求項4】
前記計時部が計測する時間が、前記算出部が算出した時間を超えたとき、自装置の位置を示す位置情報と、前記移動パターン抽出部が抽出した移動パターン配列の末尾に格納された位置履歴構造体が格納する位置情報とが近似するか否かを判定する移動パターン合致判定部を備え、
前記位置情報記録部は、前記移動パターン合致判定部によって位置情報が合致していると判定された場合、前記移動パターン抽出部が抽出した移動パターン配列に格納された位置履歴構造体のうち、前記位置情報取得部が取得した位置情報と近似する位置情報を格納する位置履歴構造体から当該移動パターン配列の末尾に格納された位置履歴構造体までの複数の位置履歴構造体を、位置履歴記憶部に蓄積する
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の位置履歴収集装置。
【請求項5】
前記移動パターン記憶部が記憶する移動パターン配列に関連付けて、前記移動パターン合致判定部が位置情報と合致すると判定した割合を示す合致率を、合致率記憶部に記録する合致率記録部を備え、
前記移動パターン抽出部が抽出した移動パターン配列に関連付けて前記合致率記憶部が記憶する合致率が所定の閾値未満である場合、前記計時部、前記算出部、前記位置情報取得部、及び前記位置情報記録部は、前記移動パターン判定部が前記移動パターン配列が存在しないと判定した場合と同様の処理を行う
ことを特徴とする請求項4に記載の位置履歴収集装置。
【請求項6】
自装置が過去に存在した位置を示す位置情報と当該位置情報を取得した時刻とを構造体成分とする位置履歴構造体を複数格納した移動パターン配列を記憶する移動パターン記憶部を備え、自装置が存在した位置の履歴を蓄積する位置履歴収集装置を用いた位置履歴収集方法であって、
位置情報取得部は、自装置が存在する位置を示す位置情報を取得し、
位置履歴記録部は、前記位置情報取得部が取得した位置情報と当該位置情報を取得した時刻とを構造体成分とする位置履歴構造体を位置履歴記憶部に蓄積し、
移動パターン判定部は、所定の複数の位置情報をそれぞれ格納する複数の位置履歴構造体を部分配列に有する移動パターン配列であって、前記位置情報取得部が所定の時間間隔で取得した連続する複数の位置情報と前記所定の複数の位置情報とが近似する移動パターン配列が、前記移動パターン記憶部に存在するか否かを判定し、
移動パターン抽出部は、前記移動パターン判定部が、前記移動パターン配列が存在すると判定した場合、当該移動パターン配列を抽出し、
計時部は、前記移動パターン判定部が、前記移動パターン配列が存在すると判定した場合に、現在時刻からの経過時間の計測を開始し、
算出部は、前記移動パターン抽出部が抽出した移動パターン配列に格納された位置履歴構造体のうち、前記位置情報取得部が取得した位置情報と近似する位置情報を格納する位置履歴構造体が格納する時刻と、前記移動パターン抽出部が抽出した移動パターン配列の末尾に格納された位置履歴構造体が格納する時刻との差の時間を算出し、
前記位置情報取得部は、前記計時部が計測する時間が、前記算出部が算出した時間を超えるまで、位置情報を取得しない
ことを特徴とする位置履歴収集方法。
【請求項7】
自装置が過去に存在した位置を示す位置情報と当該位置情報を取得した時刻とを構造体成分とする位置履歴構造体を複数格納した移動パターン配列を記憶する移動パターン記憶部を備え、自装置が存在した位置の履歴を蓄積する位置履歴収集装置を、
自装置が存在する位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部、
前記位置情報取得部が取得した位置情報と当該位置情報を取得した時刻とを構造体成分とする位置履歴構造体を、位置履歴記憶部に蓄積する位置履歴記録部、
所定の複数の位置情報をそれぞれ格納する複数の位置履歴構造体を部分配列に有する移動パターン配列であって、前記位置情報取得部が所定の時間間隔で取得した連続する複数の位置情報と前記所定の複数の位置情報とが近似する移動パターン配列が、前記移動パターン記憶部に存在するか否かを判定する移動パターン判定部、
前記移動パターン判定部が、前記移動パターン配列が存在すると判定した場合、当該移動パターン配列を抽出する移動パターン抽出部、
前記移動パターン判定部が、前記移動パターン配列が存在すると判定した場合に、現在時刻からの経過時間の計測を開始する計時部、
前記移動パターン抽出部が抽出した移動パターン配列に格納された位置履歴構造体のうち、前記位置情報取得部が取得した位置情報と近似する位置情報を格納する位置履歴構造体が格納する時刻と、前記移動パターン抽出部が抽出した移動パターン配列の末尾に格納された位置履歴構造体が格納する時刻との差の時間を算出する算出部
として機能させ、
前記位置情報取得部は、前記計時部が計測する時間が、前記算出部が算出した時間を超えるまで、位置情報を取得しない
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−259020(P2011−259020A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129155(P2010−129155)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(397065480)エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社 (187)
【Fターム(参考)】