説明

位置情報提供方法及び位置情報提供サーバ

【課題】プライバシーを保護しつつ簡単な操作で位置情報を提供できる位置情報提供方法及び位置情報提供サーバを提供する。
【解決手段】位置情報要求側通信端末からの位置情報提供要求に応じて位置情報提供側通信端末の位置情報と当該位置情報要求側通信端末の位置情報とを取得し、当該位置情報の各々に基づいて当該記情報提供側通信端末と当該情報要求側通信端末の相対位置を表す相対位置データを生成し、当該相対位置データに基づいて相対位置を視覚的に表す表示データを生成し、これを当該情報要求側通信端末へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末へ位置情報を提供する位置情報提供方法及び位置情報提供サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信ネットワークを利用した位置情報提供サービスとしては、例えばユーザが携帯電話などの通信端末に備えられたGPS(Global Positioning System)機能によって緯度及び経度等からなる自身の位置情報を取得して当該位置情報に基づく例えば近隣の店舗情報などの付加的な情報を得るサービスや、第三者が他のユーザの位置情報を取得するサービスがある(例えば特許文献1及び2)。後者の場合、一般的には位置情報要求者からの位置情報提供要求があった場合に、位置情報提供者にその位置情報を提供して良いかどうかを確認し、許可が得られた場合に位置情報要求者へ位置情報を提供する利用形態となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−314477号公報
【特許文献2】特開2003−021534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような利用形態は、位置情報提供者が自身の位置情報を特定の位置情報要求者に対してのみ提供することを想定しており、不特定多数の位置情報要求者に対して位置情報を提供するようなサービスには不向きな形態である。すなわち、当該サービスを提供するときにこのような利用形態を採った場合、位置情報提供要求がある度に位置情報を提供して良いかどうかを位置情報提供者に確認することは操作の煩雑を招き、また、位置情報提供者に情報提供の可否を確認せずに位置情報要求者へ位置情報を送信することはプライバシー保護の観点から問題がある。
【0005】
本発明は上記した如き問題点に鑑みてなされたものであって、プライバシーを保護しつつ簡単な操作で位置情報を提供できる位置情報提供方法及び位置情報提供サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による位置情報提供方法は、位置情報要求側通信端末からの位置情報提供要求に応じて当該位置情報提供要求に対応する位置情報提供側通信端末の位置情報を提供する位置情報提供方法であって、前記位置情報提供要求に応じて前記位置情報提供側通信端末の位置情報と前記位置情報要求側通信端末の位置情報とを取得する位置情報取得ステップと、前記位置情報の各々に基づいて前記情報提供側通信端末と前記情報要求側通信端末の相対位置を表す相対位置データを生成する相対位置データ生成ステップと、前記相対位置データに基づいて前記相対位置を視覚的に表す表示データを生成する表示データ生成ステップと、前記表示データを前記情報要求側通信端末へ送信する通信ステップと、を含むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明による位置情報提供サーバは、位置情報要求側通信端末からの位置情報提供要求に応じて当該位置情報提供要求に対応する位置情報提供側通信端末の位置情報を提供する位置情報提供サーバであって、前記位置情報提供要求に応じて前記位置情報提供側通信端末の位置情報と前記位置情報要求側通信端末の位置情報とを取得する位置情報取得部と、前記位置情報の各々に基づいて前記情報提供側通信端末と前記情報要求側通信端末の相対位置を表す相対位置データを生成する相対位置データ生成部と、前記相対位置データに基づいて前記相対位置を視覚的に表す表示データを生成する表示データ生成部と、前記表示データを前記情報要求側通信端末へ送信する通信部と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明による位置情報提供方法及び位置情報提供サーバによれば、プライバシーを保護しつつ簡単な操作で位置情報を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】位置情報提供サーバを通信端末及び通信網と共に表すブロック図である。
【図2】通信端末を表すブロック図である。
【図3】位置情報提供側端末処理ルーチンを表すフローチャートである。
【図4】位置情報要求側端末処理ルーチンを表すフローチャートである。
【図5】位置情報提供サーバを表すブロック図である。
【図6】演算部を表すブロック図である。
【図7】提供レベルテーブルを表す図である。
【図8】表示データに基づく画面表示例を表す図である。
【図9】表示データに基づく別の画面表示例を表す図である。
【図10】アプリケーションサーバ処理ルーチンを表すフローチャートである。
【図11】相対位置算出サーバ処理ルーチンを表すフローチャートである。
【図12】位置情報提供処理を表すシーケンス図である。
【図13】位置情報提供処理を表すシーケンス図である。
【図14】表示データに基づく画面表示例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施例について添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0011】
図1は本実施例による位置情報提供サーバ300を、通信端末110、120及び通信網200と共に表すブロック図である。
【0012】
位置情報提供サーバ300は、移動体通信ネットワークである通信網200を介して通信端末100及び/又は120へ通信端末位置情報(以下、単に位置情報と称する)を提供するための例えばコンピュータシステムによって構築されたサーバであり、アプリケーションサーバ400と、相対位置算出サーバ500とからなる。なお、説明の便宜上、位置情報提供サーバ300は、これら2つのサーバからなるものとしているが、これら2つのサーバの機能を有する単一のサーバでも良い。
【0013】
通信端末110及び120の各々は、例えば携帯型電話端末などの移動体通信端末である。以下、通信端末110が位置情報提供側通信端末(以下、単に情報提供端末と称する)として動作し、通信端末120が位置情報要求側通信端末(以下、単に情報要求端末と称する)として動作する場合について説明する。なお、説明の便宜上、図1には通信端末110及び120の2つのみを図示しているが、位置情報提供サーバ300は、通信網200に接続された図示せぬ他の通信端末との間でも位置情報提供要求の受付及び位置情報の提供をすることができる。
【0014】
図2は、通信端末110を表すブロック図である。通信端末110は、送受信部111と、入力部112と、表示部113と、位置情報要求部114と、位置情報取得部115と、要求者情報要求部116と、を含む。
【0015】
送受信部111は、無線通信機能により通信網200を介して位置情報などのデータを無線信号にて送受信するものである。入力部112は、ユーザによる各種要求を受け入れる例えばキーボードなどの入力装置である。表示部113は、各種表示画面を表示する例えば液晶ディスプレイなどの表示装置である。
【0016】
位置情報要求部114は、情報提供端末すなわち通信端末110の位置情報をアプリケーションサーバ400へ要求し、当該位置情報を取得するものである。詳細には、位置情報要求部114は、ユーザによる入力部112への情報提供端末についての位置情報要求入力に応じて、送受信部111をして位置情報提供要求をアプリケーションサーバ400へ送信せしめる。また、位置情報要求部114は、当該要求に応じて返信された情報提供端末についての表示データに基づく表示画面を表示部113に表示させる。
【0017】
位置情報取得部115は、送受信部111により通信網200を介して受信された位置情報提供要求に応じて、自身の端末(通信端末110)の位置情報を取得するものである。位置情報取得部115は、例えば衛星からの時刻や衛星軌道などのGPS信号を受信し、当該GPS信号基づいて自身の端末(通信端末110)の位置(例えば緯度及び経度)を算出しても良いし、移動端末用基地局(図示せず)から通信網200を介して位置情報を取得しても良い。
【0018】
要求者情報要求部116は、位置情報要求者すなわち通信端末120(情報要求端末)についての位置情報をアプリケーションサーバ400へ要求し、当該位置情報を取得するものである。詳細には、要求者情報要求部116は、ユーザによる入力部112への要求者情報の要求入力に応じて、送受信部111をして要求者情報要求をアプリケーションサーバ400へ送信せしめる。また、要求者情報要求部116は、当該要求に応じて返信された表示データに基づく表示画面を表示部113に表示させる。
【0019】
通信端末120の構成は、通信端末110の構成と同じである。なお、通信端末110が情報要求端末となり、通信端末120が情報提供端末となる場合もある。
【0020】
図3は、通信端末110が情報提供端末として動作する場合の情報提供端末処理ルーチンを表すフローチャートである。以下、図3を参照しつつ情報提供端末処理について説明する。
【0021】
当該ルーチンは、ユーザが通信端末110からアプリケーションサーバ400にアクセスし、位置提供サービスにログインすることにより開始する(ステップS101)。当該ルーチンの開始により、通信端末110は位置情報取得要求の受信待ち及びサービスログアウトの入力待ちの状態となる(ステップS102)。サービスログアウトの入力が合った場合には(ステップS103)、当該ルーチンを終了する(ステップS104)。
【0022】
位置情報取得部115は、相対位置算出サーバ500からの位置情報取得要求が送受信部111によって受信されたと判別した場合には(ステップS105)、自身の端末(通信端末110)の位置情報を、自身が備えるGPS機能により又は移動端末用基地局(図示せず)から通信網200を介して取得する(ステップS106)。そして、位置情報取得部115は、当該取得した位置情報を通信網200を介して相対位置算出サーバ500へ送信する(ステップS107)。
【0023】
要求者情報要求部116は、ユーザからの取得者情報要求が入力部113に入力されたと判別した場合には(ステップS108)、送受信部111をして要求者情報要求をアプリケーションサーバ400へ送信せしめる(ステップS109)。そして、要求者情報要求部116は、当該要求に応じて返信され送受信部111によって受信された表示データに基づく表示画面を表示部113に表示させる(ステップS110)。これら以外の要求があった場合には、その要求に応じたその他の処理を実行する(ステップS111)。
【0024】
図4は、通信端末120が情報要求端末として動作する場合の情報要求端末処理ルーチンを表すフローチャートである。以下、図4を参照しつつ通信端末120による情報要求端末処理について説明する。
【0025】
当該ルーチンは、ユーザが通信端末120からアプリケーションサーバ400にアクセスし、位置提供サービスにログインすることにより開始する(ステップS201)。サービスログアウトの入力が合った場合には(ステップS202)、当該ルーチンを終了する(ステップS203)。
【0026】
位置情報要求部114は、ユーザによる入力部112への情報提供端末についての位置情報要求入力または周期的な位置情報取得時刻の到来に応じて、送受信部111をして位置情報提供要求をアプリケーションサーバ400へ送信せしめる(ステップS204)。そして、位置情報要求部114は、当該要求に応じて返信された情報提供端末についての表示データを受信し(ステップS205)、当該表示データに基づく表示画面を表示部113に表示させる(ステップS206)。
【0027】
図5は、位置情報提供サーバ300を表すブロック図である。位置情報提供サーバ300は、演算部310と、一次記憶部320と、二次記憶部330と、入力部340と、出力部350と、通信部360と、を含む。
【0028】
演算部310は、各種演算処理を実行する例えばマイクロプロセッサなどの演算処理装置である。一次記憶部320は、演算部310による処理に必要なデータを一時的に記憶する例えばRAMなどのキャッシュメモリである。二次記憶部330は、演算部310が実行すべきコンピュータプログラムなどのデータを記憶する例えばハードディスクなどの記憶媒体である。入力部340は、ユーザによる各種要求を受け入れる例えばキーボードなどの入力装置である。出力部350は、各種表示画面を表示する例えば液晶ディスプレイなどの表示装置である。通信部360は、無線通信機能により通信網200を介して位置情報などのデータを無線信号にて送受信するものである。
【0029】
図6は、演算部310を表すブロック図である。演算部310は、位置情報取得部311と、相対位置データ生成部312と、表示データ生成部313と、要求者情報処理部314と、を含む。
【0030】
位置情報取得部311は、通信端末120(情報要求端末)からの位置情報提供要求に応じて、当該要求に対応する情報提供端末である通信端末110と、情報要求端末である通信端末120とに位置情報提供要求を発して、通信端末110及び120の各々の位置情報を取得する。ここで、通信端末110の位置情報は、自身のGPS機能により又は基地局から取得した通信端末110の緯度及び経度である。また、通信端末120の位置情報は、自身のGPS機能により又は基地局から取得した通信端末120の緯度及び経度である。
【0031】
相対位置データ生成部312は、通信端末110及び120の各々の位置情報に基づいて、通信端末110と通信端末120の相対位置を表す相対位置データを生成する。ここで、相対位置は、通信端末110と通信端末120との間の距離と、通信端末110から見た通信端末120の方位角及び通信端末120から見た通信端末110の方位角によって表される。
【0032】
相対位置データ生成部312は、例えば国土地理院測地部ホームページに記載の計算式(http://vldb.gsi.go.jp/sokuchi/surveycalc/algorithm/)によって、緯度及び経度から相対位置すなわち距離及び方位角を算出する。例えば、通信端末110の緯度が35度00分00.00秒、経度が139度00分00.00秒であり、通信端末120の緯度が35度00分01.00秒、経度が139度00分01.00秒である場合には、通信端末110と通信端末120との間の距離は39.909mであり、通信端末110から見た通信端末120の方位角は39度26分57.66秒であり、通信端末120から見た通信端末110の方位角は219度26分58.23秒である。
【0033】
相対位置データ生成部312は、当該算出によって得られた距離及び方位角を表す相対位置データを生成する。相対位置データ生成部312は、位置情報提供者毎に予め設定された提供レベルに応じて、距離を含み方位角を含まない相対位置データ、方位角を含み距離を含まない相対位置データ、距離及び方位角を含む相対位置データ、いずれも含まない相対位置データのいずれかを生成する。
【0034】
図7は、提供レベルテーブルを表す図である。「提供レベル」は、情報提供のレベルであり、ここでは1〜5の5種類が設定されている。「相対位置範囲」は、位置情報提供の条件であり、ここでは情報提供端末と情報要求端末との間の距離である。例えば提供レベル1の場合、相対位置範囲は、200m未満、200m以上1km未満、1km以上10km未満、10km以上の4区分である。「提供情報」は、情報提供端末へ提供する情報であり、ここでは、距離(方位角を含まず)、方位角(距離を含まず)、距離と方位角、提供範囲外の4種類がある。例えば情報要求端末である通信端末120に対して提供レベル1が設定されているときに、情報提供端末である通信端末110と通信端末120との間の距離が200m未満である場合には、相対位置データ生成部312は、方位角を含み距離を含まない相対位置データを生成する。
【0035】
表示データ生成部313は、相対位置データ生成部312によって生成された相対位置データに基づいて、通信端末110と120の相対位置を画面上に表示するための表示データを生成する。表示データ生成部313は、例えば図8に示される表示画面610を表示するための表示データを生成する。
【0036】
画面では、情報提供端末である通信端末110の位置を表す提供側マークM110と、情報要求端末である通信端末120の位置を表す要求側マークM120とによって、これら両端末の相対位置が二次元的に表されている。通信端末110と通信端末120とを識別可能とするために、提供側マークM110と要求側マークM120とは、形状、色、輝度の少なくともいずれかにおいて互いに異なる。図8では提供側マークM110はX、要求側マークM120は三角形で表されている。ビルや道路等の構造物については表示されていない。表示データ生成部313は、相対位置データに方位角を表すデータ及び/又は距離を表すデータが含まれている場合には、当該含まれている方位を示す表示611及び/又は距離スケールを示す表示612を含む表示データを生成する。
【0037】
表示データに方位角を表すデータが含まれ且つ距離を表すデータが含まれていない場合、例えば画面の上方向が北(N)である旨の方位を示す表示611によって、通信端末120の所有者である情報要求者は、通信端末110との間の実際の距離を知ることはできないものの、通信端末110の存在する方向を知ることができる。また、表示データに距離を表すデータが含まれ且つ方位角を表すデータが含まれていない場合、画面上での例えば1km単位の距離スケールを表す表示612によって、情報要求者は、通信端末110の存在する方向を知ることはできないものの、通信端末110と通信端末120との間の距離を知ることができる。このように、情報要求者に過剰な位置情報を提供しないことにより、情報提供者のプライバシーを保護できる。また、構造物については表示されないので、情報提供者が現在滞在している施設を情報要求者に知られることもない。また、提供レベルの設定よっては、距離と方位角の両方を提供することも、これら両方を提供しないこともできる。
【0038】
図9は、表示データに基づく別の表示画面620の例を表す図である。画面には、情報要求端末である通信端末120の位置から情報提供端末である通信端末110(図9では「A」として表示)の位置に向かう方向を示す方向マーク(矢印)510が表されている。通信端末110の位置自体は表示されていない。また、画面には、通信端末120の位置における周辺の景色が当該マークの背景に表示されている。ここで、背景は例えばビルや壁などの建造物である。図9では、背景として壁521〜523が立体的に表示されており、方向マーク510が壁522と壁523の間の通路530の方向を示している。表示データ生成部313は、建造物の配置を含む地図データを予め保持しており、当該地図データと、相対位置データに含まれる情報要求端末の位置情報とに基づいて、情報要求端末の存在位置付近の建造物表示を含む表示データを生成する。このように、情報提供者の存在する方向以外の過剰な位置情報を情報要求者へ提供しないので、情報提供者のプライバシーを保護できる。
【0039】
また、表示データ生成部313は、自身が予め保持している地図データに基づいて、通信端末110と通信端末120との間に実空間上で例えば壁などの遮蔽体やビルなどの構造体が存在すると判別した場合には、その遮蔽体や構造体を迂回するのに要する距離分だけ通信端末110の位置を表す提供側マークと通信端末120の位置を表す要求側マークとを互いに離した表示データを生成するようにしても良い。例えば当該距離が130mである場合には、画面上で130mに相当する分だけ提供側マークと要求側マークとを互いに離した表示データを生成する。
【0040】
また、表示データ生成部313は、自身が予め保持している地図データに基づいて、情報提供者(通信端末110)が例えば公衆トイレなどの予め設定した特定位置に存在すると判別した場合には、通信端末110の位置情報を含まない表示データを生成するようにしても良い。また、表示データ生成部313は、通信端末間の距離及び方位角を数値及び文字で示す表示データを生成するようにしても良い。当該表示データは、例えば「端末間距離200m、方位角220度20分20.00秒」というように距離及び方位角を数値及び文字で示す文字画像データである。
【0041】
要求者情報処理部314は、通信端末110(情報提供端末)の位置に対する通信端末120(情報要求端末)の相対位置を更新して二次記憶部330に記憶する。例えば通信端末120以外の図示せぬ情報要求端末からの位置情報提供要求が既にあった場合には、その情報要求端末と通信端末110(情報提供端末)の相対位置についての情報が二次記憶部330に記憶されていことになるが、要求者情報処理部314は、更に通信端末120の相対位置についても追加更新して得られた情報を二次記憶部330に記憶する。
【0042】
以下、演算部310のうちの位置情報取得部311及び相対位置データ生成部312は相対位置算出サーバ500に属し、表示データ生成部313及び要求者情報処理部314はアプリケーションサーバ400に属するものとして説明する。
【0043】
図10は、アプリケーションサーバ400による位置情報提供処理ルーチンを表すフローチャートである。以下、図10を参照しつつ、アプリケーションサーバ400による位置情報提供処理について説明する。
【0044】
アプリケーションサーバ400は、通信端末110及び/又は通信端末120からの位置情報提供サービスログインを受付けており(ステップS301)、ログイン要求があった場合には認証等のログイン処理を経てログインを受け入れる。ログイン後、アプリケーションサーバ400は、通信端末110及び/又は通信端末120からの要求受信待ち受ける(ステップS302)。ログアウト要求があった場合には(ステップS303)、当該要求を発した通信端末のログアウトを受け入れる(ステップS304)。
【0045】
表示データ生成部313は、通信部360によって位置情報提供要求が受信されたと判別した場合には(ステップS305)、当該要求に対応する情報提供端末である通信端末110が位置情報提供サービスにログイン済みか否かを判別する(ステップS306)。表示データ生成部313は、通信端末110がログイン済みであると判別した場合には、相対位置算出サーバ500へ位置情報提供要求を送信する(ステップS307)。
【0046】
続いて、表示データ生成部313は、当該要求に応じた相対位置算出サーバ500からの相対位置情報に基づいて、通信端末110と通信端末120の相対位置を画面上に表示するための表示データを生成する(ステップS308)。また、要求者情報処理部314は、通信端末110の位置に対する通信端末120の相対位置を更新してその情報を二次記憶部330に記憶する(ステップS309)。表示データ生成部313は、当該生成した表示データを通信端末120(情報要求端末)へ送信する(ステップS310)。
【0047】
また、要求者情報処理部314は、通信部360によって要求者情報提供要求が受信されたと判別した場合には(ステップS311)、二次記憶部330に記憶されている各情報要求端末の相対位置情報を取得する(ステップS312)。表示データ生成部313は、当該相対位置情報に基づいて、通信端末110と各情報要求端末(通信端末120を含む)の相対位置を画面上に表示するための表示データを生成する(ステップS313)。表示データ生成部313は、当該生成した表示データを通信端末120(情報要求端末)へ送信する(ステップS314)。
【0048】
これら以外の要求であった場合には、アプリケーションサーバ400は、当該要求に応じた処理を実行する(ステップS315)。
【0049】
図11は、相対位置算出サーバ500による相対位置算出処理ルーチンを表すフローチャートである。以下、図11を参照しつつ、相対位置算出サーバ500による相対位置算出処理について説明する。
【0050】
位置情報取得部311は、アプリケーションサーバ400からの位置情報取得要求を受信した場合には(ステップS401)、通信端末120(情報要求端末)の位置情報の提供要求を通信端末120へ発し、通信端末120から当該位置情報を取得する(ステップS402)。位置情報取得部311は、当該位置情報を取得できなかったと判別した場合には(ステップS403)、位置情報提供不可の設定を行う(ステップS404)。
【0051】
位置情報取得部311は、当該位置情報を取得できたと判別した場合には(ステップS403)、信端末110(情報提供端末)の位置情報の提供要求を通信端末110へ発し、通信端末110から当該位置情報を取得する(ステップS405)。位置情報取得部311は、当該位置情報を取得できなかったと判別した場合には(ステップS406)、位置情報提供不可の設定を行う(ステップS404)。
【0052】
相対位置データ生成部312は、当該位置情報を取得できたと判別した場合には(ステップS406)、通信端末110及び120の各々の位置情報に基づいて、通信端末110と通信端末120の相対位置を表す相対位置を生成する(ステップS407)。相対位置データ生成部312は、当該相対位置が、予め設定された位置情報提供範囲内にないと判別した場合には(ステップS408)、位置情報提供不可の設定を行う(ステップS404)。
【0053】
相対位置データ生成部312は、当該相対位置が位置情報提供範囲内にあると判別した場合には(ステップS408)、相対位置の設定を行い(ステップS409)、相対位置情報をアプリケーションサーバ400へ送信する(ステップS410)。また、相対位置データ生成部312は、ステップS404で位置情報提供不可の設定を行った場合には、位置情報の提供ができない旨をアプリケーションサーバ400へ通知する(ステップS410)。
【0054】
図12は、通信端末120(情報要求端末)からの位置情報提供要求があった場合における通信端末110及び120、アプリケーションサーバ400、相対位置算出サーバ500による位置情報提供処理を表すシーケンス図である。以下、図12を参照しつつ、位置情報提供処理を説明する。
【0055】
先ず、通信端末120が位置情報提供要求をアプリケーションサーバ400へ送信する(ステップS501)。アプリケーションサーバ400は位置情報提供要求を受信し(ステップS502)、当該要求に対応する情報提供端末である通信端末110が位置情報提供サービスにログインしているか確認する(ステップS503)。アプリケーションサーバ400は通信端末110がログインしていると判別した場合に位置情報提供要求を相対位置算出サーバ500に送信する(ステップS504)。
【0056】
相対位置算出サーバ500は、位置情報提供要求を受信し(ステップS505)、位置情報提供要求を通信端末120へ送信する(ステップS506)。通信端末120は位置情報提供要求を受信し(ステップS507)、自身のGPS機能により又は基地局から自身の位置情報を取得する(ステップS508)。通信端末120は、当該取得した位置情報を相対位置算出サーバ500へ送信する(ステップS509)。
【0057】
相対位置算出サーバ500は、通信端末120からの位置情報を受信した後(ステップS510)、位置情報提供要求を通信端末110へ送信する(ステップS511)。通信端末110は位置情報提供要求を受信し(ステップS512)、自身のGPS機能により又は基地局から自身の位置情報を取得する(ステップS513)。通信端末110は、当該取得した位置情報を相対位置算出サーバ500へ送信する(ステップS514)。
【0058】
相対位置算出サーバ500は、通信端末110からの位置情報を受信した後(ステップS515)、通信端末110及び120の各々から受信した位置情報に基づいて通信端末110と通信端末120の相対位置を表す相対位置データを生成する(ステップS516)。相対位置算出サーバ500は、当該生成した相対位置データをアプリケーションサーバ400へ送信する(ステップS517)。
【0059】
アプリケーションサーバ400は、相対位置データを受信し(ステップS518)、これに基づいて、画面上に通信端末110と通信端末120の相対位置を表示するための表示データを生成する(ステップS519)。また、アプリケーションサーバ400は、通信端末110の位置に対する通信端末120の相対位置を更新して二次記憶部330に記憶する(ステップS520)。
【0060】
続いて、アプリケーションサーバ400は、表示データを通信端末120へ送信する(ステップS521)。通信端末120は、表示データを受信し(ステップS522)、これに基づいて、通信端末110と通信端末120の相対位置を表示部113の画面上に表示する(ステップS523)。通信端末120の表示部113には、例えば図8に示されるような表示がなされる。画面では、情報提供端末である通信端末110と情報要求端末である通信端末120の相対位置が二次元的に表されている。ビルや道路等の構造物については表示されない。
【0061】
表示データに画面上での方位角を表すデータが含まれている場合、例えば画面の上方向が北(N)である旨の表示611によって、通信端末120の所有者である情報要求者は、通信端末110との間の実際の距離を知ることはできないものの、通信端末110の存在する方向を知ることができる。また、表示データに画面上での方位角を表すデータが含まれている場合、画面上での距離スケールを表すデータが含まれている場合、画面上での例えば1kmなどのスケールを表す表示612によって、情報要求者は、通信端末110の存在する方向を知ることはできないものの、通信端末110と通信端末120との間の距離を知ることができる。このように、情報要求者に過剰な位置情報を提供しないことにより、情報提供者のプライバシーを保護できる。また、構造物については表示されないので、情報提供者が現在滞在している施設を情報要求者に知られることもない。
【0062】
また、表示データに応じて、図8に示される表示に代えて図9に示されるような表示がなされる。画面では、情報要求端末である通信端末120の存在位置付近の例えばビルや壁などの構造物が立体的に表されており、通信端末110の位置自体は表示されず、通信端末110(図9では「A」として表示)の存在する方向が矢印で表されている。このように、情報提供者の存在する方向以外の過剰な位置情報を情報要求者へ提供しないので、情報提供者のプライバシーを保護できる。
【0063】
上記の処理は、通信端末120から位置情報提供要求が発せられた場合の例であるが、図示せぬ他の通信端末から位置情報提供要求が発せられた場合にも同じ処理がなされる。
【0064】
上記したように本実施例による位置情報提供サーバは、位置情報要求側通信端末から位置情報提供要求があった場合に、位置情報提供側端末へ情報提供の確認をすることなく、位置情報提供側通信端末と位置情報要求側端末の相対位置の情報を位置情報要求側通信端末へ提供する。それ故、位置情報提供者は、位置情報提供要求がある毎に位置情報の提供可否についての入力操作をする必要がなく、位置情報提供サービスへのログイン操作のみで足りるので操作が簡単である。
【0065】
また、従来の位置情報サービスにおいては位置情報提供者の位置を地図上に表示することによって当該提供者の位置を詳細に示す表示データを提供していたが、本実施例による位置情報提供サーバは、位置情報提供者と位置情報要求者の相対位置を示す表示データを提供するので、位置情報要求者は位置情報提供者の大まかな位置のみ把握することができる。このように、位置情報提供者の位置情報について過度な情報を提供しないので、位置情報提供者のプライバシーを保護できる。また、本実施例による位置情報提供サーバは、位置情報提供者が位置情報提供サービスにログインしていることを条件に位置情報要求者へ位置情報を提供するので、位置情報提供者が位置情報の提供を望まない場合には、位置情報提供サービスへログインしないだけで良く、別途の操作を要しないので操作が簡単である。
【0066】
図13は、通信端末110(情報提供端末)からの要求者情報要求があった場合における通信端末110及びアプリケーションサーバ400による位置情報提供処理を表すシーケンス図である。以下、図13を参照しつつ、要求者情報提供処理を説明する。
【0067】
先ず、通信端末110が要求者情報要求をアプリケーションサーバ400へ送信する(ステップS601)。アプリケーションサーバ400は、当該要求に応じて(ステップS602)、更新され二次記憶部330に記憶されている通信端末110の位置に対する各情報要求通信端末(通信端末120を含む)の相対位置を取得する(ステップS603)。
【0068】
アプリケーションサーバ400は、当該相対位置に通信端末110と各情報要求端末(通信端末120を含む)の相対位置を画面上に表示するための表示データを生成し(ステップS604)、当該表示データを通信端末110へ送信する(ステップS605)。通信端末110は、表示データを受信し(ステップS606)、当該表示データに基づく通信端末110と通信端末120の相対位置を表示部113に表示する(ステップS606)。表示部113には、図14に示されるような画面が表示される。
【0069】
図14は、表示データに基づく表示画面630の例を表す図である。画面では、情報提供端末である通信端末110の位置を表す提供側マークM110と情報要求端末である通信端末120〜160の位置を表す要求側マークM120〜M160が相対的に表されている。このような画面表示により、情報提供者の側でも、情報要求者の相対位置を把握することができる。表示データに方位角及び/又は距離を表すデータが含まれている場合には図8の場合と同様に方位及び/又は距離スケールについても併せて表示される。
【0070】
上記したように、本実施例による位置情報提供サーバは、位置情報提供側通信端末からの位置情報要求側通信端末の位置情報の要求に応じて、これらの端末の相対位置情報を位置情報提供側通信端末へ提供する。これにより、位置情報の提供者と要求者の双方が互いに相対位置を把握できるので、位置情報要求者による位置情報提供者位置情報の過剰な取得を抑制する効果が期待できる。
【符号の説明】
【0071】
110 通信端末
111 送受信部
112 入力部
113 表示部
114 位置情報要求部
115 位置情報取得部
116 要求者情報要求部
120 通信端末
200 通信網
300 位置情報提供サーバ
310 演算部
311 位置情報取得部
312 相対位置データ生成部
313 表示データ生成部
314 要求者情報処理部
320 一次記憶部
330 二次記憶部
340 入力部
350 出力部
360 通信部
400 アプリケーションサーバ
500 相対位置算出サーバ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報要求側通信端末からの位置情報提供要求に応じて当該位置情報提供要求に対応する位置情報提供側通信端末の位置情報を提供する位置情報提供方法であって、
前記位置情報提供要求に応じて前記位置情報提供側通信端末の位置情報と前記位置情報要求側通信端末の位置情報とを取得する位置情報取得ステップと、
前記位置情報の各々に基づいて前記情報提供側通信端末と前記情報要求側通信端末の相対位置を表す相対位置データを生成する相対位置データ生成ステップと、
前記相対位置データに基づいて前記相対位置を視覚的に表す表示データを生成する表示データ生成ステップと、
前記表示データを前記情報要求側通信端末へ送信する通信ステップと、を含むことを特徴とする位置情報提供方法。
【請求項2】
前記表示データは、方位を表すマークと、前記位置情報要求側通信端末の位置を表す要求側マークと、前記位置情報提供側通信端末の位置を表す前記要求側マークとは異なる提供側マークとを含む画像データであることを特徴とする請求項1に記載の位置情報提供方法。
【請求項3】
前記要求側マークと前記提供側マークとは、形状、色、輝度の少なくともいずれかにおいて互いに異なることを特徴とする請求項2に記載の位置情報提供方法。
【請求項4】
前記表示データは、前記位置情報要求側通信端末の位置から前記位置情報提供側通信端末の位置に向かう方向を示すマークを含む画像データであることを特徴とする請求項1に記載の位置情報提供方法。
【請求項5】
前記表示データは、前記位置情報要求側通信端末の位置における周辺の景色を前記マークの背景として含む画像データであることを特徴とする請求項4に記載の位置情報提供方法。
【請求項6】
前記表示データは、前記位置情報要求側通信端末と前記位置情報提供側通信端末との間の距離及び方位角を数値及び文字で示す文字画像データであることを特徴とする請求項1に記載の位置情報提供方法。
【請求項7】
前記相対位置データ生成ステップにおいては、前記相対位置の各々が所定の位置提供範囲内に存在する場合にのみ前記相対位置データを生成することを特徴とする請求項1に記載の位置情報提供方法。
【請求項8】
前記表示データ生成ステップにおいては、前記位置情報提供側通信端末が特定位置に存在する場合には前記表示データとして前記情報提供側通信端末の位置情報を含まないデータを生成することを特徴とする請求項1に記載の位置情報提供方法。
【請求項9】
前記位置情報の各々は、前記情報提供側通信端末及び前記情報要求側通信端末の各々が備えるGPS機能により取得した緯度及び経度情報であり、
前記相対位置データ生成部は、前記緯度及び経度情報に基づいて算出した前記情報提供側通信端末と前記情報要求側通信端末との間の距離及び方角で前記相対位置を表すデータを前記相対位置データとすることを特徴とする請求項1に記載の位置情報提供方法。
【請求項10】
位置情報要求側通信端末からの位置情報提供要求に応じて当該位置情報提供要求に対応する位置情報提供側通信端末の位置情報を提供する位置情報提供サーバであって、
前記位置情報提供要求に応じて前記位置情報提供側通信端末の位置情報と前記位置情報要求側通信端末の位置情報とを取得する位置情報取得部と、
前記位置情報の各々に基づいて前記情報提供側通信端末と前記情報要求側通信端末の相対位置を表す相対位置データを生成する相対位置データ生成部と、
前記相対位置データに基づいて前記相対位置を視覚的に表す表示データを生成する表示データ生成部と、
前記表示データを前記情報要求側通信端末へ送信する通信部と、を含むことを特徴とする位置情報提供サーバ。
【請求項11】
前記表示データは、方位を表すマークと、前記位置情報要求側通信端末の位置を表す要求側マークと、前記位置情報提供側通信端末の位置を表す前記要求側マークとは異なる提供側マークとを含む画像データであることを特徴とする請求項10に記載の位置情報提供サーバ。
【請求項12】
前記要求側マークと前記提供側マークとは、形状、色、輝度の少なくともいずれかにおいて互いに異なることを特徴とする請求項11に記載の位置情報提供サーバ。
【請求項13】
前記表示データは、前記位置情報要求側通信端末の位置から前記位置情報提供側通信端末の位置に向かう方向を示すマークを含む画像データであることを特徴とする請求項10に記載の位置情報提供サーバ。
【請求項14】
前記表示データは、前記位置情報要求側通信端末の位置における周辺の景色を前記マークの背景として含む画像データであることを特徴とする請求項13に記載の位置情報提供サーバ。
【請求項15】
前記表示データは、前記位置情報要求側通信端末と前記位置情報提供側通信端末との間の距離及び方位角を数値及び文字で示す文字画像データであることを特徴とする請求項10に記載の位置情報提供方法。
【請求項16】
前記相対位置データ生成部は、前記相対位置の各々が所定の位置提供範囲内に存在する場合にのみ前記相対位置データを生成することを特徴とする請求項10に記載の位置情報提供サーバ。
【請求項17】
前記位置情報の各々は、前記情報提供側通信端末及び前記情報要求側通信端末の各々が備えるGPS機能により取得した緯度及び経度情報であり、
前記相対位置データ生成部は、前記緯度及び経度情報に基づいて算出した前記情報提供側通信端末と前記情報要求側通信端末との間の距離及び方角で前記相対位置を表すデータを前記相対位置データとすることを特徴とする請求項10に記載の位置情報提供サーバ。
【請求項18】
前記表示データ生成部は、前記位置情報提供側通信端末が特定位置に存在する場合には前記表示データとして前記情報提供側通信端末の位置情報を含まないデータを生成することを特徴とする請求項10に記載の位置情報提供方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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