説明

位置情報管理プログラム

【課題】所定のスペースにおける複数の管理対象物の配置位置を容易に且つ低コストで管理する。
【解決手段】規定の大きさを有する複数の管理対象物を整列配置させて管理する場合における、位置特定情報生成装置に位置情報管理方法を実行させるための位置情報管理プログラムであって、スペースに既に配置されている第一の管理対象物に隣接させて新たに第二の管理対象物を配置する場合における、第一の管理対象物に付されている情報記録媒体から読み出した第一の特定情報と、第二の管理対象物に付されている情報記録媒体から読み出した第二の特定情報と、第一の管理対象物の配置位置に対する第二の管理対象物の配置位置の方向を示す情報である方向情報と、を対応づけたデータである位置情報データをメモリから読み出すデータ読出ステップと、位置情報データに基づいて、基準となる管理対象物に対する或る管理対象物の位置を示す情報である位置特定情報を生成する位置特定情報生成ステップとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば放射性固体廃棄物(以後、「放射性廃棄物」という。)を充填した複数のドラム缶を保管する固体廃棄物貯蔵所(以後、「貯蔵所」という。)における各ドラム缶の配置位置を管理する位置情報管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、原子力発電所において発生する放射性廃棄物は複数のドラム缶に充填され貯蔵所に保管される。この複数のドラム缶は、フォークリフトで1個ずつ又は複数個ずつ運搬され貯蔵所内に整列配置される。各ドラム缶は同一の外観を呈する。このため、1つの貯蔵所で多数のドラム缶を管理する場合、各ドラム缶を識別しその配置位置を特定しつつ、当該貯蔵所内に配置してゆく必要がある。
【0003】
一方、前述したドラム缶といった保管対象物にバーコードを付して、所定のスペースにおける各保管対象物の配置位置を管理するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このシステムでは、バーコードに記録された保管対象の識別情報ごとに、予め定められた配置位置の情報を記憶したデータベースが参照される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−2415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述した貯蔵所内にはドラム缶の配置の目安となる表示等が付されていない場合がある。しかも、一旦ドラム缶が持ち込まれた後に、貯蔵所内に表示等を付すことは作業の安全性の観点から困難であり且つコストが嵩む場合がある。このため、配置位置が予め特定可能であることを前提とする特許文献1に開示されたシステムを、例えば放射性廃棄物の管理に適用することは困難であり、また高コストである。
【0006】
また、貯蔵所は、堅牢な構造を有するため、屋内にGPS衛星からの電波が届かず、GPS装置を用いた貯蔵所内外間の無線通信を通じて個々のドラム缶の配置位置を検出することは困難である。しかも、個々の管理対象物にGPS装置を設けることは、高コストでもある。このため、例えば放射性廃棄物の管理に際しては、ドラム缶の配置位置を特定すること自体が困難であり、また高コストである。
【0007】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、所定のスペースにおける複数の管理対象物の配置位置を容易に且つ低コストで管理することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、所定面積を有するスペースに、規定の大きさを有する複数の管理対象物を整列配置させて管理する場合における、前記管理対象物の配置位置の管理に用いられるCPU及びメモリを有する位置特定情報生成装置に位置情報管理方法を実行させるための位置情報管理プログラムであって、前記スペースに既に配置されている第一の前記管理対象物に隣接させて新たに第二の前記管理対象物を配置する場合における、前記第一の管理対象物に付されている情報記録媒体から読み出した前記第一の管理対象物を特定する第一の特定情報と、前記第二の管理対象物に付されている情報記録媒体から読み出した前記第二の管理対象物を特定する第二の特定情報と、前記第一の管理対象物の配置位置に対する前記第二の管理対象物の配置位置の方向を示す情報である方向情報と、を対応づけたデータである位置情報データを前記メモリから読み出すデータ読出ステップと、前記位置情報データに基づいて、基準となる前記管理対象物に対する或る前記管理対象物の位置を示す情報である位置特定情報を生成する位置特定情報生成ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、所定面積を有するスペースに、規定の大きさを有する管理対象物を複数個積載可能な複数のパレットを整列配置させて管理する場合における、前記管理対象物の配置位置の管理に用いられるCPU及びメモリを有する位置特定情報生成装置に位置情報管理方法を実行させるための位置情報管理プログラムであって、前記スペースに既に配置されている第一の前記パレットに隣接させて新たに第二の前記パレットを配置する場合における、前記第一のパレットに積載されている第一の前記管理対象物に付されている情報記録媒体から読み出した前記第一の管理対象物を特定する第一の特定情報と、前記第二のパレットに積載されている第二の前記管理対象物の夫々に付されている情報記録媒体から読み出した前記第二の管理対象物を特定する第二の特定情報をこの読み出した順序に対応づけた情報と、前記第一のパレットの配置位置に対する前記第二のパレットの配置位置の方向を示す情報である方向情報と、を対応づけたデータである位置情報データを前記メモリから読み出すデータ読出ステップと、前記位置情報データに基づいて、基準となる前記管理対象物に対する或る前記管理対象物の位置を示す情報である位置特定情報を生成する位置特定情報生成ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0010】
ここで、管理対象物とは、例えば、放射性廃棄物を充填したドラム缶であり、情報記録媒体とは、夫々のドラム缶の表面に付されているバーコードやRFID(Radio Frequency Identification)等である。また、方向情報は、例えば、第二の管理対象物の配置位置が、第一の管理対象物の配置位置に対して前後左右のいずれの方向であるのかを示す情報、又は、第二の管理対象物の配置位置が第一の管理対象物の配置位置の上であることを示す情報である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、所定のスペースにおける複数の管理対象物の配置位置を容易に且つ低コストで管理する位置情報管理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の位置情報管理装置の一実施形態であるスキャン端末1と、位置特定情報生成装置の一実施形態である管理コンピュータ2とを含んで構成される情報処理システムのネットワーク構成を示す図である。
【図2】スキャン端末1のハードウェア構成を示す図である。
【図3】管理コンピュータ2のハードウェア構成を示す図である。
【図4】スキャン端末1が備える機能を示す図である。
【図5】ドラム缶が1体ずつ配置された貯蔵所を上面から見た図である。
【図6】作業者の視点を示す図である。
【図7】ドラム缶25cの左横にドラム缶25dを配置する場合を示す図である。
【図8】ドラム缶25cの左横に三つのドラム缶25d,25h,25iを配置する場合を示す図である。
【図9】ドラム缶25jの手前にドラム缶25dを配置する場合を示す図である。
【図10】ドラム缶25jの手前に三つのドラム缶25d,25n,25pを配置する場合を示す図である。
【図11】四つのドラム缶25q,25r,25s,25tを載せたパレット28aをパレット28bの上段に配置する場合を示す図である。
【図12】四つのドラム缶25q,25r,25s,25tを載せたパレット28aをパレット28bの左横に配置する場合を示す図である。
【図13】四つのドラム缶25q,25r,25s,25tを載せたパレット28aをパレット28bの手前に配置する場合を示す図である。
【図14】スキャン端末1における処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【図15】単独配置処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】パレット配置処理の流れを示すフローチャートである。
【図17】管理コンピュータ2によって出力されるドラム缶の配置位置を示す画面である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
==全体構成==
図1は、本発明の位置情報管理装置の一実施形態であるスキャン端末1と、位置特定情報生成装置の一実施形態である管理コンピュータ2とを含んで構成される情報処理システムのネットワーク構成を示す図である。
【0014】
スキャン端末1は、CODE39、NW−7、CODE128、ITF等のバーコード(情報記録媒体)に設定されている情報を読み取る携帯型の装置である。また、管理コンピュータ2は、パーソナルコンピュータ、ワークステーション等の情報処理装置である。スキャン端末1と管理コンピュータ2とは、通信ユニット3を介して通信可能に接続されている。通信ユニット3は、RS−232C規格のケーブルやLAN等のネットワークによって管理コンピュータ2と接続されている。スキャン端末1が通信ユニット3上に置かれることにより、スキャン端末1は管理コンピュータ2とデータの送受信を行うことができる。なお、スキャン端末1と管理コンピュータ2とは、通信ユニット3を介さずに無線で通信可能とすることもできる。
【0015】
==ハードウェア構成==
図2は、スキャン端末1のハードウェア構成を示す図である。スキャン端末1は、CPU4、メモリ5、データ読出装置6、通信インタフェース7、入力装置8、及びディスプレイ9を備えている。
【0016】
CPU4はスキャン端末1の全体を制御するものであり、メモリ5に記憶されているプログラムを実行することができる。データ読出装置6は、バーコードで示される情報を読み取るためのバーコードリーダであり、LEDやレーザー等の光源および光信号を電気信号に変換するセンサを備えている。光源によってバーコードが照射され、その反射による光信号がセンサによって感知されることにより、バーコードに記録されている情報が読み取られる。バーコードの読みとり方式としては、マニュアルスキャン方式やCCDスキャン方式、レーザースキャン方式等がある。
【0017】
通信インタフェース7は、通信ユニット3を介して管理コンピュータ2とデータの送受信を行うためのインタフェースである。また、通信インタフェース7を介してメモリ5に記憶されているプログラムを更新することも可能である。入力装置8は、文字や方向を入力可能な入力キーを備える装置である。ディスプレイ9は、様々な情報が表示される表示装置である。
【0018】
図3は、管理コンピュータ2のハードウェア構成を示す図である。管理コンピュータ2は、CPU10、メモリ11、記憶装置12、記録媒体読取装置13、通信インタフェース14、入力装置15、及び出力装置16を備えている。
【0019】
CPU10は管理コンピュータ2の全体を制御するものであり、メモリ11に記憶されているプログラムを実行することができる。記憶装置12は、例えば、ハードディスクドライブ等であり、プログラムや各種データが記憶されている。記憶装置12に記憶されているプログラムは、CPU10の制御により順次メモリ11に格納される。また、記録媒体読取装置13は、CD−ROM等の記録媒体17に記録されているプログラムを読みとり、読み取ったプログラムを記憶装置12に記録することができる。
【0020】
通信インタフェース14は、通信ユニット3を介してスキャン端末1とデータの送受信を行うためのインタフェースである。入力装置15は、例えば、キーボードやマウス等である。出力装置16は、例えば、ディスプレイやプリンタ等である。
【0021】
==機能構成==
図4は、スキャン端末1が備える機能を示す図である。スキャン端末1は、CPU4がメモリ5に記憶されているプログラムを実行することにより実現される方向情報入力部20及びデータ記憶部21を備えている。
【0022】
方向情報入力部20は、作業者によって入力装置8を用いて入力される方向を示す情報を受け付ける。また、データ記憶部21は、データ読出装置6がバーコードから読み出した情報や方向情報入力部20によって受け付けられた方向を示す情報等をメモリ5に記憶する。なお、方向情報入力部20及びデータ記憶部21の詳細な動作については後述する。
【0023】
==処理概要==
次に、原子力発電所において、所定面積を有するスペースである貯蔵所に、放射性廃棄物を充填したドラム缶(本発明の「管理対象物」に該当。)を保管する処理を、具体例を用いて説明する。
【0024】
(1)ドラム缶を1体ずつ配置する場合(単独配置)
図5は、ドラム缶が1体ずつ配置された貯蔵所を上面から見た図である。図5に示すように、貯蔵所には複数のドラム缶25が1体ずつ配置されている。作業者が貯蔵所内で新たにドラム缶を配置する場合、まず、作業者の視点を決定する必要がある。視点とは、作業者が貯蔵所内で縦方向26を向いているのか横方向27を向いているのかを示すものである。
【0025】
作業者の視点について、図6を用いて説明する。作業者が、図6(a)のように配置されている複数のドラム缶のうちの一つのドラム缶25aに付されたバーコードをスキャンしたとする。この場合、バーコードから取得されるドラム缶25aを特定する情報である特定情報(以後、「ドラム缶ID」と称する。)からだけでは、作業者の視点を特定することができない。つまり、スキャン端末1は、作業者がドラム缶25aを縦方向26から見ている(図6(b)参照。)のか横方向27から見ている(図6(c)参照。)のか判断することができない。
【0026】
そこで、作業者は図6(d)に示すように、ドラム缶25aの横に配置されているドラム缶25bに付されたバーコードをスキャンする。これにより、スキャン端末1は、二つのドラム缶25a,25bを正視する方向である縦方向26が作業者の視点であると判断することができる。なお、二つのドラム缶25a,25bをスキャンするのではなく、作業者が入力装置8を用いて作業者の視点を示す情報を入力することとしてもよい。また、予め作業者の視点が一定方向に定められていることとすれば、作業者の視点を特定するための処理は行う必要がない。以後、図7〜図10における作業者の視点は縦方向26であることとする。
【0027】
図7は、ドラム缶25cの左横にドラム缶25dを配置する場合を示す図である。図7(a)は貯蔵所の上面から見た図、図7(b)は作業者の視点から見た図である。まず、作業者は、ドラム缶25cに付されたバーコードをスキャンする。そして、作業者は、入力装置8を用いて左側を示すキー「←」を押し、続けて、ドラム缶25dに付されたバーコードをスキャンする。
【0028】
スキャン端末1のデータ記憶部21は、データ読出装置6が取得するドラム缶25c,25dのドラム缶ID及び方向情報入力部20が受け付ける方向情報(左側)を対応付けたデータ(位置情報データ)をメモリ5に記憶する。つまり、メモリ5には、ドラム缶25cの左側にドラム缶25dが配置されていることが記憶される。
【0029】
なお、作業者はドラム缶25cの代わりにドラム缶25cの下に配置されているドラム缶25e,25fをスキャンすることとしてもよい。また、ドラム缶25cの左横には、ドラム缶25dよりも先にドラム缶25gが配置されており、この情報もメモリ5に記憶されている。したがって、ドラム缶25dの配置位置は、ドラム缶25cの左横でドラム缶25gの上であるとメモリ5に記憶される。
【0030】
図8は、ドラム缶25cの左横に三つのドラム缶25d,25h,25iを配置する場合を示す図である。図8(a)は貯蔵所の上面から見た図、図8(b)は作業者の視点から見た図である。まず、作業者は、ドラム缶25cに付されたバーコードをスキャンする。そして、作業者は、入力装置8を用いて左側を示すキー「←」を押し、続けて、二つのドラム缶25d,25hに付されたバーコードをスキャンする。さらに、作業者は左側を示すキー「←」を押し、ドラム缶25iに付されたバーコードをスキャンする。
【0031】
データ記憶部21は、データ読出装置6が取得する三つのドラム缶25c,25d,25hのドラム缶ID及び二つのドラム缶25d,25hのドラム缶IDの取得された順序と、方向情報入力部20が受け付ける方向情報(左側)とを対応付けたデータ(位置情報データ)をメモリ5に記憶する。さらに、データ記憶部21は、データ読出装置6が取得する二つのドラム缶25d,25iのドラム缶ID及び方向情報入力部20が受け付ける方向情報(左側)を対応付けたデータ(位置情報データ)をメモリ5に記憶する。つまり、メモリ5には、ドラム缶25cの左側に、三つのドラム缶25g,25d,25hが下から順に配置され、さらにその左側にドラム缶25iが配置されていることが記憶される。
【0032】
なお、作業者はドラム缶25cの代わりにドラム缶25cの下に配置されているドラム缶25e,25fをスキャンすることとしてもよい。
【0033】
図9は、ドラム缶25jの手前にドラム缶25dを配置する場合を示す図である。図9(a)は貯蔵所の上面から見た図、図9(b)は作業者の視点から見た図である。まず、作業者は、ドラム缶25jに付されたバーコードをスキャンする。そして、作業者は、入力装置8を用いて手前を示すキー「↓」を押し、続けて、ドラム缶25dに付されたバーコードをスキャンする。
【0034】
スキャン端末1のデータ記憶部21は、データ読出装置6が取得する二つのドラム缶25j,25dのドラム缶ID及び方向情報入力部20が受け付ける方向情報(手前)を対応付けたデータ(位置情報データ)をメモリ5に記憶する。つまり、メモリ5には、ドラム缶25jの手前にドラム缶25dが配置されていることが記憶される。
【0035】
なお、作業者はドラム缶25jの代わりにドラム缶25jの下に配置されているドラム缶25k,25mをスキャンすることとしてもよい。
【0036】
図10は、ドラム缶25jの手前に三つのドラム缶25d,25n,25pを配置する場合を示す図である。図10(a)は貯蔵所の上面から見た図、図10(b)は作業者の視点から見た図である。まず、作業者は、ドラム缶25jに付されたバーコードをスキャンする。そして、作業者は、入力装置8を用いて手前を示すキー「↓」を押し、続けて、三つのドラム缶25d,25n,25pに付されたバーコードをスキャンする。
【0037】
データ記憶部21は、データ読出装置6が取得する四つのドラム缶25j,25d,25n,25pのドラム缶ID及び三つのドラム缶25d,25n,25pのドラム缶IDの取得された順序と、方向情報入力部20が受け付ける方向情報(手前)とを対応付けたデータ(位置情報データ)をメモリ5に記憶する。つまり、メモリ5には、ドラム缶25jの手前に、三つのドラム缶25d,25n,25pが下から順に配置されていることが記憶される。
【0038】
(2)ドラム缶をパレットに載せて配置する場合(パレット配置)
次に、ドラム缶をパレットに載せて貯蔵所に配置する場合について説明する。
図11は、四つのドラム缶25q,25r,25s,25tを載せたパレット28aをパレット28bの上段に配置する場合を示す図である。図11(a)は貯蔵所の上面から見た図、図11(b)は作業者の視点から見た図である。まず、作業者は、パレット28aの下段にあるパレット28bに積載されたドラム缶25u,25vのバーコードをスキャンする。これにより、スキャン端末1は、作業者の視点が二つのドラム缶25u,25vを正視する方向であると判断することができる。
【0039】
なお、二つのドラム缶25u,25vをスキャンするのではなく、作業者が入力装置8を用いて作業者の視点を示す情報を入力することとしてもよい。また、予め作業者の視点が一定方向に定められていることとすれば、作業者の視点を特定するための処理は不要である。このような場合、作業者はパレット28bに積載されたいずれか一つのドラム缶(例えば、ドラム缶25u)をスキャンすればよい。後述する図12及び図13においても同様である。
【0040】
次に、作業者は入力装置8を用いて上段を示すキー「↑」を押し、続けて、四つのドラム缶25q,25r,25s,25tに付されたバーコードをスキャンする。データ記憶部21は、データ読出装置6が取得する五つのドラム缶25u,25q,25r,25s,25tのドラム缶ID及び四つのドラム缶25q,25r,25s,25tのドラム缶IDの取得された順序と、方向情報入力部20が受け付ける方向情報(上段)とを対応付けたデータ(位置情報データ)をメモリ5に記憶する。つまり、メモリ5には、四つのドラム缶25q,25r,25s,25tが所定の順序(読み出し規則に則った順序)でパレット28aに積載されてドラム缶25uの上段に配置されていることが記憶される。
【0041】
図12は、四つのドラム缶25q,25r,25s,25tを載せたパレット28aをパレット28bの左横に配置する場合を示す図である。図12(a)は貯蔵所の上面から見た図、図12(b)は作業者の視点から見た図である。まず、作業者は、パレット28bに積載されたドラム缶25u,25vのバーコードをスキャンする。これにより、スキャン端末1は、作業者の視点が二つのドラム缶25u,25vを正視する方向であると判断することができる。次に、作業者は入力装置8を用いて左側を示すキー「←」を押し、続けて、四つのドラム缶25q,25r,25s,25tに付されたバーコードをスキャンする。
【0042】
データ記憶部21は、データ読出装置6が取得する五つのドラム缶25u,25q,25r,25s,25tのドラム缶ID及び四つのドラム缶25q,25r,25s,25tのドラム缶IDの取得された順序と、方向情報入力部20が受け付ける方向情報(左側)とを対応付けたデータ(位置情報データ)をメモリ5に記憶する。つまり、メモリ5には、四つのドラム缶25q,25r,25s,25tが所定の順序でパレット28aに積載されてドラム缶25uの左側に配置されていることが記憶される。
【0043】
図13は、四つのドラム缶25q,25r,25s,25tを載せたパレット28aをパレット28bの手前に配置する場合を示す図である。図13(a)は貯蔵所の上面から見た図、図13(b)は作業者の視点から見た図である。まず、作業者は、パレット28bに積載されたドラム缶25u,25vのバーコードをスキャンする。これにより、スキャン端末1は、作業者の視点が二つのドラム缶25u,25vを正視する方向であると判断することができる。次に、作業者は入力装置8を用いて手前を示すキー「↓」を押し、続けて、四つのドラム缶25q,25r,25s,25tに付されたバーコードをスキャンする。
【0044】
データ記憶部21は、データ読出装置6が取得する五つのドラム缶25u,25q,25r,25s,25tのドラム缶ID及び四つのドラム缶25q,25r,25s,25tのドラム缶IDの取得された順序と、方向情報入力部20が受け付ける方向情報(手前)とを対応付けたデータ(位置情報データ)をメモリ5に記憶する。つまり、メモリ5には、四つのドラム缶25q,25r,25s,25tが所定の順序でパレット28aに積載されてドラム缶25uの手前に配置されていることが記憶される。
【0045】
なお、作業者はドラム缶25u,25vの代わりに、パレット28bの下に配置されているパレット28cに積載されたドラム缶25w,25x、または、パレット28dに積載されたドラム缶25y,25zをスキャンすることとしてもよい。
【0046】
==処理の流れ==
次に、図7〜図13の具体例で説明したスキャン端末1の処理を、フローチャートを用いて説明する。図14は、スキャン端末1における処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【0047】
スキャン端末1は、ディスプレイ9にドラム缶の配置方法を選択するメニューを表示する(S1401)。配置方法には、前述した具体例で示したようにドラム缶を1体ずつ配置する方法である単独配置とパレットに載せて配置する方法であるパレット配置とがある。作業者は、単独配置またはパレット配置のいずれかの配置方法を選択し、選択した方法に対応する文字を入力装置8から入力する(S1402)。そして、スキャン端末1は、作業者によって入力された配置方法を受け付ける(S1403)。
【0048】
配置方法が単独配置である場合(S1404:Yes)、スキャン端末1は、単独配置処理を実行する(S1405)。また、配置方法がパレット配置である場合(S1404:No)、スキャン端末1は、パレット配置処理を実行する(S1406)。
【0049】
図15は、単独配置処理の流れを示すフローチャートである。まず、スキャン端末1は、作業者の視点を決定するために二つのドラム缶に付されたバーコードのスキャン指示をディスプレイ9に表示する(S1501)。作業者は、スキャン端末1を用いて、正視する向きに配置されている任意の二つのドラム缶(例えば、図6に示した二つのドラム缶25a,25b)に付されたバーコードをスキャンする(S1502)。スキャン端末1のデータ読出装置6は、作業者によってスキャンされたバーコードに設定されている二つのドラム缶のドラム缶IDを読み出す(S1503)。
【0050】
続いて、スキャン端末1は、例えば、図7に示したドラム缶25cのように、新たに配置するドラム缶の配置位置の基準となるドラム缶(以後、「基準ドラム缶」と称する。)に付されたバーコードのスキャン指示をディスプレイ9に表示する(S1504)。作業者は、スキャン端末1を用いて、基準ドラム缶に付されたバーコードをスキャンする(S1505)。データ読出装置6は、作業者によってスキャンされたバーコードに設定されているドラム缶IDを読み出す(S1506)。
【0051】
次に、スキャン端末1は、新たに配置するドラム缶の、基準ドラム缶に対する配置方向の入力指示をディスプレイ9に表示する(S1507)。作業者は、スキャン端末1の入力装置8を用いて配置方向を入力する(S1508)。スキャン端末1の方向情報入力部20は、作業者によって入力された配置方向の情報(以後、「方向情報」と称する。)を受け付ける(S1509)。
【0052】
さらに、スキャン端末1は、新たに配置するドラム缶に付されたバーコードのスキャン指示をディスプレイ9に表示する(S1510)。作業者は、スキャン端末1を用いて、新たに配置するドラム缶に付されたバーコードをスキャンする(S1511)。データ読出装置6は、作業者によってスキャンされたバーコードに設定されているドラム缶IDを読み出す(S1512)。
【0053】
そして、スキャン端末1のデータ記憶部21は、データ読出装置6が読み出した基準ドラム缶のドラム缶ID及び新たに配置するドラム缶のドラム缶IDと、方向情報入力部20が受け付けた方向情報とを対応付けてメモリ5に記憶する(S1513)。
【0054】
図16は、パレット配置処理の流れを示すフローチャートである。まず、スキャン端末1は、作業者の視点を決定するために、新たに配置するパレットの配置位置の基準となるパレット(以後、「基準パレット」と称する。)に積載された二つのドラム缶に付されたバーコードのスキャン指示をディスプレイ9に表示する(S1601)。作業者は、スキャン端末1を用いて、基準パレットに積載され、正視する向きに配置されている二つのドラム缶(例えば、図10に示した二つのドラム缶25u,25v)に付されたバーコードをスキャンする(S1602)。スキャン端末1のデータ読出装置6は、作業者によってスキャンされたバーコードに設定されている二つのドラム缶のドラム缶IDを読み出す(S1603)。
【0055】
続いて、スキャン端末1は、新たに配置するパレットの、基準パレットに対する配置方向の入力指示をディスプレイ9に表示する(S1604)。作業者は、スキャン端末1の入力装置8を用いて配置方向を入力する(S1605)。スキャン端末1の方向情報入力部20は、作業者によって入力された方向情報を受け付ける(S1606)。
【0056】
さらに、スキャン端末1は、新たに配置するパレットに積載された複数のドラム缶に付されたバーコードの所定の順序によるスキャン指示をディスプレイ9に表示する(S1607)。作業者は、スキャン端末1を用いて、新たに配置するパレットに積載された複数のドラム缶に付されたバーコードを所定の順序でスキャンする(S1608)。データ読出装置6は、作業者によってスキャンされたバーコードに設定されているドラム缶IDを読み出す(S1609)。
【0057】
そして、スキャン端末1のデータ記憶部21は、基準パレットに積載されたドラム缶のドラム缶ID、新たに配置するパレットに積載されたドラム缶のドラム缶ID、新たに配置するパレットに積載されたドラム缶のドラム缶IDの読み出された順序、及び方向情報を対応付けてメモリ5に記憶する(S1610)。
【0058】
==配置位置の表示==
図17は、管理コンピュータ2によって出力されるドラム缶の配置位置を示す画面である。前述したスキャン端末1の処理によって、スキャン端末1のメモリ5には貯蔵所に配置されたドラム缶の位置を示す位置情報データが記憶されている。スキャン端末1が通信ユニット3の上に置かれると、管理コンピュータ2はスキャン端末1のメモリ5に記憶されている位置情報データを読み出す。
【0059】
そして、作業者が、配置位置を確認したいドラム缶25αのドラム缶IDを入力装置15から入力すると、管理コンピュータ2は、位置情報データに基づき、基準となるドラム缶25βに対するドラム缶25αの配置位置を示す情報である位置特定情報を生成する。ドラム缶25αの位置特定情報は、例えば、(12,1,1)のように表される。この位置特定情報は、ドラム缶25αが、基準となるドラム缶25βから左に「12」、手前に「1」の位置の下から「1」段目に配置されていることを示すものである。
【0060】
管理コンピュータ2は、このようにして生成した位置特定情報をもとに、ドラム缶25αの配置位置を示す画面を出力装置16であるディスプレイに表示することができる。図7(a)は貯蔵所の上面から見た平面図が表示された画面、図7(b)はドラム缶を作業者の視点から見た立体図が表示された画面である。
【0061】
なお、管理コンピュータ2は、ドラム缶をパレットに積載して配置する場合においても、スキャン端末1のメモリ5から読み出した位置情報データに基づき、各ドラム缶の配置位置をディスプレイに表示することができる。この場合、管理コンピュータ2は、位置情報データに含まれる各ドラム缶のドラム缶IDの読み出された順序に基づいて、各ドラム缶の位置特定情報を生成することができる。
【0062】
以上、原子力発電所において、発生した放射性廃棄物を充填したドラム缶を貯蔵所に保管する際の、ドラム缶の配置処理、及び配置されたドラム缶の配置位置を表示する処理について説明した。
【0063】
前述したように、貯蔵所内でドラム缶を1体ずつ配置する場合において、スキャン端末1のメモリ5には、各ドラム缶の位置情報データが記憶される。つまり、スキャン端末1を用いることにより、貯蔵所おける複数のドラム缶の配置位置を、床面への表示やGPS装置等を要することなく、基準となるドラム缶からの相対位置として容易に且つ低コストで管理することができる。また、管理コンピュータ2においてドラム缶IDを指定することにより、そのドラム缶IDに対応するドラム缶の、基準となるドラム缶からの相対的な位置を把握することができる。
【0064】
なお、ドラム缶を1体ずつ配置する場合に限らず、複数のドラム缶をパレットに載せて配置する場合においても、スキャン端末1を用いることにより、貯蔵所おける複数のドラム缶の配置位置を、貯蔵所内への表示やGPS装置等を要することなく、基準となるドラム缶からの相対位置として容易に且つ低コストで管理することができる。また、管理コンピュータ2においてドラム缶IDを指定することにより、そのドラム缶IDに対応するドラム缶の、基準となるドラム缶からの相対的な位置を把握することができる。
【0065】
以上本発明の実施形態について説明したが、以上の実施形態の説明は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0066】
例えば、本実施形態におけるスキャン端末1(位置情報管理装置)と管理コンピュータ2(位置特定情報生成装置)とを一体型のコンピュータとすることも可能である。また、ドラム缶に付された情報記録媒体がRFIDであり、スキャン端末1のデータ読出装置6がRFIDリーダであることとしてもよい。さらに、管理対象物は、ドラム缶以外の容器としてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 スキャン端末,2 管理コンピュータ,3 通信ユニット,4 CPU,5 メモリ,6 データ読出装置,7 通信インタフェース,8 入力装置,9 ディスプレイ,10 CPU,11 メモリ,12 記憶装置,13 記録媒体読取装置,14 通信インタフェース,15 入力装置,16 出力装置,20 方向情報入力部,21 データ記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定面積を有するスペースに、規定の大きさを有する複数の管理対象物を整列配置させて管理する場合における、前記管理対象物の配置位置の管理に用いられるCPU及びメモリを有する位置特定情報生成装置に位置情報管理方法を実行させるための位置情報管理プログラムであって、
前記スペースに既に配置されている第一の前記管理対象物に隣接させて新たに第二の前記管理対象物を配置する場合における、前記第一の管理対象物に付されている情報記録媒体から読み出した前記第一の管理対象物を特定する第一の特定情報と、前記第二の管理対象物に付されている情報記録媒体から読み出した前記第二の管理対象物を特定する第二の特定情報と、前記第一の管理対象物の配置位置に対する前記第二の管理対象物の配置位置の方向を示す情報である方向情報と、を対応づけたデータである位置情報データを前記メモリから読み出すデータ読出ステップと、
前記位置情報データに基づいて、基準となる前記管理対象物に対する或る前記管理対象物の位置を示す情報である位置特定情報を生成する位置特定情報生成ステップと、
を備えたことを特徴とする位置情報管理プログラム。
【請求項2】
所定面積を有するスペースに、規定の大きさを有する管理対象物を複数個積載可能な複数のパレットを整列配置させて管理する場合における、前記管理対象物の配置位置の管理に用いられるCPU及びメモリを有する位置特定情報生成装置に位置情報管理方法を実行させるための位置情報管理プログラムであって、
前記スペースに既に配置されている第一の前記パレットに隣接させて新たに第二の前記パレットを配置する場合における、前記第一のパレットに積載されている第一の前記管理対象物に付されている情報記録媒体から読み出した前記第一の管理対象物を特定する第一の特定情報と、前記第二のパレットに積載されている第二の前記管理対象物の夫々に付されている情報記録媒体から読み出した前記第二の管理対象物を特定する第二の特定情報をこの読み出した順序に対応づけた情報と、前記第一のパレットの配置位置に対する前記第二のパレットの配置位置の方向を示す情報である方向情報と、を対応づけたデータである位置情報データを前記メモリから読み出すデータ読出ステップと、
前記位置情報データに基づいて、基準となる前記管理対象物に対する或る前記管理対象物の位置を示す情報である位置特定情報を生成する位置特定情報生成ステップと、
を備えたことを特徴とする位置情報管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−83680(P2010−83680A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297934(P2009−297934)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【分割の表示】特願2004−269194(P2004−269194)の分割
【原出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(503320061)株式会社エネルギア・コミュニケーションズ (92)
【Fターム(参考)】