説明

位置検出器の走査組立品

【課題】位置検出器の走査組立品のキャリアに対する放射線源の所定の位置決めを簡単な手段によって可能にする。
【解決手段】放射線源が、異なる位置でそれぞれの電気導体要素に電気接触していて、この放射線源4をキャリア1に対する調整軌道に沿って異なる位置に配置できるようにするため、キャリア1の電気導体要素と放射線源4の電気接続要素44,46とが、導通部分を形成し、放射線源4をキャリア1に対して固定する前に、この放射線源4が、この放射線源4と電気導体要素との間の電気接触を維持しながら調整軌道に沿ってキャリア1に対して導通部分に接して移動可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の位置検出器、例えばリニアエンコーダの走査組立品に関する。
【背景技術】
【0002】
このような走査組立品は、例えば発光ダイオード(LED)としての電磁ビームを生成するための放射線源とこの放射線源のキャリアとを有する。位置検出器の目盛本体、例えば測定方向(長手方向)に延在し、測定目盛を有するスケールが、当該放射線源によって走査可能である。この放射線源が、当該キャリアに対して固定可能であり、この放射線源を電気接触させるための導電要素が、このキャリアにある。すなわち、放射線源をキャリアに対して固定することによって、この放射線源が、一方では走査組立品内に組み込まれ、この走査組立品内に固定され、他方では電気接続される。その結果、この放射線源が、電磁ビームを生成するために通電可能である。このため、この放射線源が、電気接続要素を有する。放射線源が、キャリアに対して規定通りに固定されているときに、この放射線源が、当該電気接続要素を通じてこのキャリアの導体要素に電気接触している。
【0003】
一般に、このような走査組立品は、いわゆる走査ヘッドとして形成されている。この走査ヘッドは、位置検出器の付随する測定目盛を(光電式に)走査することによって高精度の位置測定を可能にする。
【0004】
この場合、走査すべき測定目盛が、例えばいわゆるリニアエンコーダを長手方向に延在したスケールに沿って形成するために設けられてもよいし又は角度エンコーダを目盛板上又はドラムの内周若しくは外周上の円軌道に沿って形成するために延在してもよい。さらに、走査組立品によって走査すべき測定目盛が、インクリメンタル目盛としてもアブソリュートコードとしても構成され得る。
【0005】
冒頭で述べた種類の走査組立品を走査ヘッド又はセンサヘッドとして有するエンコーダが、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19843155号明細書から公知である。このヘッドは、樹脂成形ブロックとしてのキャリアを有するMID部品(射出成形回路部品)として形成されている。このキャリアは、導電性のフィルムで被覆されている。当該樹脂成形ブロック上に3次元的に延在する接続導体が存在するように、この樹脂成形ブロックが構造化された。LEDが、この樹脂成形ブロックの開口部内に埋設されている。このLEDは、走査ヘッド又はセンサヘッドに割り当てられたスケールを光電式に走査するために使用される。また、このLEDは、電気接続要素を通じて樹脂成形ブロックの表面上の接続導体に接続されている。
【0006】
例えばLEDとしてのこのような放射線源から放射された光が、レンズによって整然とコリメートされ、当該光が走査すべき測定目盛上に照射する前に、その次に平行な光束として走査板を透過する。放射線源から放射された光を正確にコリメートするためには、この放射線源と当該コリメートのために使用されたレンズ(コンデンサーレンズ)との間の距離を正確に調整することが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第19843155号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、付随するキャリアに対する放射線源の所定の位置決めを簡単な手段によって可能にする、冒頭で述べた種類の走査組立品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、本発明にしたがって請求項1に記載の特徴を有する走査組立品を提供することによって解決される。
【0010】
当該走査組立品によれば、キャリアに対する放射線源を調整軌道に沿って異なる位置(放射線源が、当該異なる位置でキャリアのそれぞれの導体要素に電気接触している、すなわち光を発生させるためにそれぞれに通電可能である)に配置できるようにするため、このキャリアに設けられている導体要素と放射線源に付設された接続要素とが、導通部分を形成する。放射線源をキャリアに対して固定する前に、この放射線源が、(この放射線源とキャリア側の当該導体要素との間の電気接触を維持しながら)当該調整軌道に沿ってこのキャリアに対して当該導通部分にわたって摺動可能である。
【0011】
これによって、放射線源が、付設されたレンズ及び/又は操作板に対して所定の距離を保つように、この放射線源が、キャリアに対して適切に位置決めされ得る。この場合、この放射線源が、その都度調整された位置で電気接触されていて、したがって適切な位置に固定さるたびにその直後に使用される状態にある。
【0012】
この場合、調整軌道に沿った放射線源の導通は、キャリア側の電気導体要素と放射線源側の電気接続要素とによって形成された導通部分だけを用いて実施する必要は全然ない。むしろ、放射線源のケースが、キャリアの対応する収容部内で画定されて調整軌道に沿って可動に付設されていることによって、1つの導通装置が(追加されて)形成されてもよい。このような場合には、導体要素と接続要素とによって形成された(電気)導通部分の機能が、場合によっては、(キャリアの収容部によって提供される)調整軌道に沿った放射線源の移動中に、放射線源とキャリア側の導体要素との間の電気接触を維持することだけに限定されうる。
【0013】
本発明の或る実施の形態によれば、導体要素と付随する接続要素とによって形成された導通部分が、調整軌道に沿って延在する少なくとも1つのランドパターンと付随する1つの電気結合要素とを有する。放射線源をキャリアに対する異なる相対位置でその都度電気接触可能にするため、当該ランドパターンと電気結合要素とは、その調整軌道に沿って互いに可動であり、このときに互いに電気接触している。この場合、特に2つのランドパターンが設けられ得る。1つの放射線源が、通常少なくとも2つの電気端子を有するので、1つの接続要素が、これらのランドパターンごとに割り当てられている。
【0014】
この場合、それぞれのランドパターンが、電気導体要素としてキャリアに対して設けられ得る一方で、付随するそれぞれの接続要素が、電気接続要素として放射線源に対して配置される。
【0015】
少なくとも1つの導体要素及び/又は付随する接続要素が、直線状に延在することによって、導通部分が、放射線源を直線状に誘導して移動させるために形成され得る。
【0016】
放射線源側の接続要素が、放射線源から突出している接続ピンによって形成されてもよいし又は別の方式では例えば放射線源のケースの面に沿って延在する結合要素として形成されてもよい。
【0017】
キャリア側の導体要素と放射線源側の付随する接続要素との具体的な実施の形態を図面に基づいてさらに説明する。
【0018】
放射線源がキャリア側の複数の導体要素にそれぞれ電気接触している、キャリアの異なる複数の位置で、この放射線源を固定できるようにするためには、例えば、はんだ付け、特にレーザーはんだ付け若しくは接着又はその他の材料結合(接着接合)される結合方法のような、凹凸(段差)の発生なしに又は小さい凹凸(段差)の発生だけで(ほぼ)任意の相対位置で使用され得る結合方法が特に適している。
【0019】
この場合、放射線源とキャリアとの間の接続は、一方ではキャリア側の導体要素と付随する電気接続要素との間で実施され、及び/又は、他方では放射線源のケースとキャリア側の付随する収容部との間で実施される。前者の場合では、例えば導電性の接着剤のような導電性の結合剤の使用が有効である。
【0020】
複数の電気ランドパターンが、特にキャリアの本体上に被覆されたフィルムとして電気絶縁材料から成るキャリアの本体上に延在することによって、走査組立品は、特にいわゆるMID部品(射出成形回路部品)として形成され得る。これらの電気ランドパターンは、キャリア上に配置された、例えば放射線源のような電気構成要素に電気接触するために使用される。
【0021】
射出成形回路部品の場合、選択的に、電気導体要素が、射出成形技術で製造された、例えば合成樹脂から成るキャリアに施されている。これらの電気導体要素が、公知の製造工程にしたがって、例えば印刷技術、ホットスタンピング技術、LSA技術、立体回路形成技術及び2成分射出成形法によって被覆され得る。
【0022】
導体要素が、キャリア上に無電解で析出される場合、これらの導体要素が、さらなる方法ステップ中に電解析出工程によって強化され得る。
【0023】
本発明のさらなる詳細及び利点が、図面に基づく実施の形態の以下の説明に明記されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】本発明にしたがって構成された走査組立品によるスケールと走査ヘッドとを有するリニアエンコーダを示す。
【図1B】図1AのリニアエンコーダのA−Aに沿った横断面を示す。
【図2A】キャリア上に配置すべき電気素子に接触させるためのランドパターンを有する走査組立品のキャリアを示す。
【図2B】図2Aのキャリアをこのキャリア上に配置され且つ電気接触された放射線源と一緒に示す。
【図3】図2Aのキャリアの第1別形態を示す。
【図4A】図2Aのキャリアの第2別形態を示す。
【図4B】図4Aのキャリアをこのキャリア上に配置され且つ電気接触された放射線源と一緒に示す。
【図4C】回路基板の上に配置された図4Bの走査組立品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1Aは、走査ヘッド10とこれによって走査されるスケール5の測定目盛50(目盛本体)とを有するリニアエンコーダとしての位置検出器の投影図である。図1Bは、走査ヘッド10とこれによって走査されるスケール5の測定目盛50(目盛本体)とを有するリニアエンコーダとしての位置検出器の断面図A−Aである。このリニアエンコーダが、測定方向Xに相対移動する2つの測定物体の位置を測定するために使用される。この場合、走査ヘッド10が、これらの測定物体のうちの一方の測定物体に固定され、スケール5が、これらの測定物体のうちの他方の測定物体に固定される。走査ヘッド10の構造をより良好に示すため、この図1Aでは、ハウジング9の下の部分だけが示されている。この走査ヘッド10が、走査組立品11を有する。この走査組立品11には、キャリア1に対して位置決めされ且つ機械式に固定され且つ電気接触した放射線源4を有する当該キャリア1がある。以下に、この走査組立品11の好適な詳細及び可能な構成をさらなる図2A〜4Cに基づいて詳しく説明する。
【0026】
放射線源4が、電磁ビームを光ビームとして放射する。測定目盛50が、この電磁ビームによって走査可能である。光ビームLの進路が、図1B中に示されている。位置測定時に放射線源4から放射された光が、レンズ6に達する。このレンズ6が、当該光を加工し、例えばコリメートし、さらに測定目盛50に指向させる。当該光ビームLが、走査ヘッド10とスケール5との間の相対位置に応じて測定目盛50によって変調され、最終的には位置に依存する電気走査信号を生成するための検出装置7に到達する。当該電気走査信号が、電線8を通じて後続する電子装置に伝達され得る。
【0027】
次いで、走査組立品11の3つの異なる実施の形態を図2A〜4Cに基づいて示す。この走査組立品11は、図1A及び1B中に概略的に示された走査ヘッド10を構成するために使用される、つまり特に、走査ヘッド10の、放射線源4を収容して通電するために役立つ構成要素を構成するために使用される。付設されたスケール5を走査するために使用された電磁ビームが、この放射線源4によって生成される。
【0028】
図2Aは、このような走査組立品のキャリア1を示す。このキャリア1は、電気絶縁材料、例えば合成樹脂から成る本体2を有する。(金属製の)ランドパターン3としての(導電性の)多数の導体要素が、この本体2上に析出されている。MID技術で知られた方法により、例えば、導電性フィルムを本体2に被覆することによって、場合によってはフィルムを本体2に形成することによって、導体要素が、この本体2に施され得る。例えば、銅、錫、鉛又は金が、導体要素(ランドパターン3)用の材料として適する。
【0029】
キャリア1の本体2が、キャリア領域20を有する。収容部22が、このキャリア領域20から突出している。この収容部22が、放射線源4用の収容空間23を画定する(図2B参照)。この実施の形態では中空円筒状に形成されている収容部22が、移動方向Bに沿って延在する。付随する放射線源4が、この移動方向Bに沿って当該収容部22内に挿入可能である。このため、この実施の形態では、ほぼ中空円筒状のケース40が、放射線源4に施されている(図2B参照)。その結果、放射線源4が、収容部22によって画定された収容空間23内に配置され得且つ収容部22の(この実施の形態では当該シリンダ軸線に一致する)延在方向に沿って、すなわち移動方向Bに沿って移動可能である。したがって、この移動方向Bは、キャリア1に対する放射線源4の可能な移動用の調整進路を画定する。一般に、この調整進路は、(少なくともその一部が)直進する進路を有してもよいし、曲げられた進路を有してもよい。
【0030】
図2A及び2Bの概観によれば、LEDとしての放射線源4が、キャリア1の収容部22内にこの実施の形態では中空円筒状の収容部22の長手軸線に沿って延在する移動方向Bに沿って可動式に設置されている結果、どのくらいの深さで、当該放射線源4が、収容部22又は収容空間23内に挿入されているかに応じて、放射線源4が、収容部22又はこの収容部22によって形成された収容空間23内の移動方向Bに沿って見て異なる位置に配置可能である。
【0031】
したがって、収容部22は、収容空間23内への放射線源4の挿入時と収容空間23内の放射線源4の移動(位置ずれ)時とに当該放射線源4を誘導して、この放射線源4を移動方向Bに沿って収容空間23内の所定の位置に配置するための誘導装置を形成する。この実施の形態では、収容部22が、スリット付きで形成されている。その結果、複数のスリットによって分離された複数の部分領域(爪)が形成されている。これらの部分領域(爪)が、放射線源4の嵌め込み時に半径方向のプレストレスを及ぼし、放射線源4が、半径方向に、すなわち移動方向Bに対して垂直方向に(可能な限り遊びなしに)締め付けられて位置決めされる。
【0032】
例えばフィルム状の被覆部としてのランドパターン3が、絶縁材料、特にキャリア1の、合成樹脂から成る本体2からこのキャリア1に対して形成される上述したMID技術によって、キャリア1に対する放射線源4の電気接触が得られる。この実施の形態では、これらのランドパターン3が、一方では結合領域32を形成する。キャリア1と放射線源4とから構成される走査組立品が、これらの結合領域32を通じて回路基板Pのランドパターンに電気接触可能である。さらに、キャリア側のランドパターン3が、放射線源4に電気接触するための接続領域34,36を形成する。
【0033】
図1A及び1Bの実施の形態では、接続領域34,36を形成するランドパターンが、収容部22の両側に延在するキャリア1の突出部24,26上で延在する、つまり移動方向Bに沿って延在する。放射線源4が、この移動方向Bに沿って収容部22内に挿入可能であり且つ収容空間23内で摺動可能である。
【0034】
キャリア1のランドパターン3に電気接触するため、特に当該ランドパターン3のために設けられている接続領域34,36に電気接触するため、放射線源4が、接触要素として働く接続要素44,46を有する。この実施の形態では、これらの接続要素44,46が、放射線源4のケース40の背面42から、すなわち放射線源4の、収容部22内への放射線源4の規定通りの挿入時に収容空間23に面さない側の面42から突出している。
【0035】
これらの接続要素44,46は、(棒状の)接続ピンとして形成されている。これらの接続要素44,46が曲げられているか又は反らされている結果、これらの接続要素44,46の一部44a,46bが、ランドパターン3の接続領域34,36と交差し、このときにこれらの接続領域34,36上に当接する。これによって、ランドパターン3の接続領域34,36と放射線源4の接続要素44,46とが、導通部分を形成する、この実施の形態では具体的には長手方向の導通部分を形成する。この導通部分が、ランドパターン3の接続領域34,36上での接続要素44,46の摺動を可能にする一方で、これらの接続要素44,46が、これらの接続領域34,36に持続して電気接触している。
【0036】
したがって、収容部22又は収用空間23内の放射線源4の位置の調整時に、この放射線源とキャリア1のランドパターン3との間の電気接触が維持され得、さらに、付随する回路基板P上の電気回路との電気接触も維持され得る。
【0037】
キャリア1の収容部22内の放射線源4を移動又は摺動させることによって、例えば、放射線源4から稼働中に放射された光を平行化(コリメート)するために使用される付随するレンズ装置(コンデンサーレンズ)から放射線源4までの決定された距離のような、走査組立品の別の機能要素に対する決定された所定の距離が得られるように、収容空間23内の放射線源4の位置が調整され得る。当該調整に加えて又はこの代わりに、例えば、付随する走査板から放射線源4までの決定された距離も調整され得る。この場合、接続要素44,46とキャリア側のランドパターン3の(移動方向Bに沿って延在する)接続領域34,36とを通じた放射線源4の当該電気接触は、電気エネルギーを放射線源4に供給可能にするために、希望した電気接触が放射線源4の選択されたあらゆる位置で存在することを保証する。
【0038】
放射線源4を収容部22内の希望した位置に固定するため、一方では、例えば、はんだ付け、特にレーザーはんだ付け又は(導電性の接着剤を用いた)接着によって、電気接続要素44,46が、ランドパターン3又はこれらのランドパターン3の接続領域34,36に対して固定される。基本的には、ランドパターン3の接続領域34,36に対する接続要素44,46の可能な限り凹凸のない又は僅かな凹凸しかない固定を可能にする任意の結合方法が、当該固定のために適している。
【0039】
これに加えて又はこの代わりに、放射線源のケース40が、収容部22の側壁に対して固定されることによっても、この放射線源が、この収容部22内に固定され得る。このため、凹部としての固定領域22a,22bが、収容部22の側壁に設けられている。この実施の形態では、これらの固定領域22a,22bの縁部が、金属材料で被覆されている。ここでも、様々な結合方法が使用できる。好ましくは、同様に、例えばはんだ付け(レーザーはんだ付け)又は接着及びその他の材料結合される結合方法のような、可能な限り凹凸の生じない又は小さい凹凸しか生じない結合方法が使用できる。
【0040】
図3は、図2Aのキャリア2の、電気絶縁性の本体2を有する別形態を示す。同様に、例えばフィルム状の積層としてのランドパターン3が、当該本体2上に形成されている。これらのランドパターン3が、一方ではキャリア1を回路基板に電気接続させるための結合領域32を形成し、キャリア1の収容部22の収容空間23内に規定通りに配置されている放射線源に電気接触させるための接続領域34,36をさらに形成する。
【0041】
図3の実施の形態では、キャリア1の収容部22が、同様に、収容部22の軸線に一致する移動方向Bに沿って延在する。放射線源が、当該軸線に沿って収容部22内に規定通りに挿入可能であり且つ収容空間23内で移動(摺動)可能である。
【0042】
図3の実施の形態では、収容部22の(例えば、移動方向Bに対してほぼ垂直方向にある)横断面が、丸くされた角を有する長方形に形成されている。この実施の形態では、この収容部22が、同様に、本体2のキャリア領域20から突出している。その結果、この収容部22が、移動方向Bに沿って延在する。
【0043】
図2Aの実施の形態に対するさらなる違いは、規定通りの収容部22内に配置された放射線源を電気接触可能とするためのキャリア側のランドパターン3の接続領域34,36が、収容部22の前方に移動方向Bに沿って収容空間23の仮想の延長部分内により精確に配置されている点にある。この場合、具体的には、ランドパターン3の接続領域34,36が、移動方向Bに沿って収容部22の収容空間23の前方に設置されている突出部24,26に設けられている。
【0044】
放射線源4に電気接触するため(図2B参照)、(棒状の)接続ピンとしての接続要素が、放射線源4のケース40の背面42からほぼ直線的に突出している。その結果、図2にしたがって放射線源4をキャリア1の収容部22内に規定通りに配置したときに、これらの接続要素が、ランドパターン3の接続要素34,36に当接する。
【0045】
図2A及び2Bの配置と異なり、図3の実施の形態では、第一には、接続領域34,36と放射線源4に付設された接続領域44,46とによって形成された導通部分の延在方向が、(図1A及び1Bの場合のように)接続領域34,36の延在部分によって提供されているのではなくて、むしろ移動方向Bに沿って放射線源4から突出している接続要素(接続ピン)の延在部分によって提供される。
【0046】
この実施の形態の場合、収容部22の一部28が、(収容部22の隣接する複数の領域の複数のスリットによって区切られた)半径方向に弾力のある部分領域(爪/突起)を形成する。この部分領域が、放射線源4に半径方向の押圧力を及ぼし、収容部22内の移動方向Bの導通中にこの放射線源4を可能な限り遊びなしにこの移動方向Bに対して垂直方向に位置決めして保持する。
【0047】
図4A〜4Cには、ランドパターン3を有するキャリア1(図4A)のもう1つの実施の形態が示されている。このキャリア1の電気絶縁性の本体2が、収容部2を画定する。放射線源4が、この収容部2内に配置されている(図4B)。この場合、キャリア1とランドパターン3と放射線源4とから構成される組立品が、回路基板P上に配置されている結果、電気回路又は電子回路内に組み込まれている(図4C)。
【0048】
図4A及び4Bによれば、キャリア1の本体2が、キャリア領域20を有する。収容部22が、移動方向Bに沿ってこのキャリア領域20から突出している。当該図4A及び4Bの実施の形態では、収容部22の横断面が、丸くされた角を有する多角形である。同様に、この収容部22が、収容空間23を画定する。放射線源4が、この収容空間23内に配置可能である。この放射線源4を移動方向Bに沿って収容部22又は収容空間23内に挿入することができる。
【0049】
放射線源4を回路基板Pに電気接触させるため、及び、キャリア1を回路基板Pに電気接続させるため、ランドパターン3としての導体要素が、本体2上に設けられている。これらのランドパターン3が、一方では回路基板側のランドパターンに接続するための結合領域32を形成し、他方では放射線源4に電気接触するための接続領域34,36を形成する。
【0050】
一方の接続領域34が、収容部22の壁領域24に沿ってキャリア側のランドパターン3の接続領域34,36から延在する。他方の接続領域36が、収容部22に並んで延在する、つまり移動方向Bに沿って延在する突出部26の表面に沿って延在する。
【0051】
したがって、放射線源4をキャリア側のランドパターン3の移動方向Bに延在した両接続領域34,36に電気接触させるため、一方では放射線源4のケース40に直に接している結合要素44′が使用され、他方では放射線源4から突出している棒状の接続ピンとしての接続要素46が使用される。放射線源4を収容空間23内に規定通りに配置したときに、当該結合要素44′が、本体2の収容部22内に組み込まれたランドパターン3の接続領域34に電気接触している。当該接続要素46が曲げられている結果、この接続要素46の一部46aが、ランドパターン3の付随する接続領域36に沿って延在する。
【0052】
放射線源4側からキャリア側のランドパターン3の接触している接続領域34,36までの移動方向Bに沿った当該延在によって(移動方向Bに沿って、放射線源4を収容部22内に挿入可能であり、収容空間23内に位置決め可能である)、放射線源4とキャリア側のランドパターン3との間の電気接触が、この放射線源4の所定の位置決めを目的とする収容部22内のこの放射線源4の移動又は摺動中に持続される。すなわち、同様に、放射線源側の結合要素44′及び接続要素46並びにキャリア側のランドパターン3の接続要素34,36が、長手方向の導通部分を形成する。
【0053】
図2A及び2Bの実施の形態の場合のように、図3及び図4A〜4Cの場合でも、放射線源4の結合要素44′及び接続要素46が、例えば、はんだ付け、特にレーザーはんだ付け、接着又はその他の材料結合される結合方法によってキャリア側のランドパターン3の付随する接続要素34,36に対して固定されることによって、この放射線源4が、予め設定された位置に固定される。
【符号の説明】
【0054】
1 キャリア
2 本体
3 ランドパターン、電気導体要素
4 放射線源
5 スケール
6 レンズ
7 検出装置
8 電線
9 ハウジング
10 走査ヘッド
11 走査組立品
20 キャリア領域
22 収容部
22a 固定領域
22b 固定領域
23 収容空間
24 突出部、壁領域
26 突出部
28 収容部の一部
32 結合領域
34 接続領域、ランドパターン
36 接続領域、ランドパターン
40 ケース
42 背面
44 接続要素
44a 接続要素の一部
44′ 結合要素
46 接続要素
46a 接続要素の一部
50 測定目盛、目盛本体
B 移動方向、調整軌道
P 回路基板
L 光ビーム
X 測定方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁ビームを生成するための放射線源(4)とこの放射線源(4)のキャリア(1)とこの放射線源(4)の電気接続要素(44,46)とを有する位置検出器の走査組立品であって、
前記位置検出器の目盛本体(50)が、前記電磁ビームによって走査可能であり、
前記放射線源(4)が、前記キャリア(1)に対して固定可能であり、前記放射線源(4)に電気接続させるための電気導体要素(3)が、このキャリア(1)に存在し、
前記放射線源(4)が、前記電気接続要素(44,46)を通じて前記キャリア(1)の前記電気導体要素(3)に電気接触している当該走査組立品において、
前記放射線源(4)が、異なる位置でそれぞれの前記電気導体要素(3)に電気接触していて、この放射線源(4)を前記キャリア(1)に対する前記調整軌道(B)に沿って当該異なる位置に配置できるようにするため、前記キャリア(1)の前記電気導体要素(3)と前記放射線源(4)の前記電気接続要素(44,46)とが、導通部分を形成し、前記放射線源(4)を前記キャリア(1)に対して固定する前に、この放射線源(4)が、この放射線源(4)と前記電気導体要素(3)との間の電気接触を維持しながら前記調整軌道(B)に沿って前記キャリア(1)に対して前記導通部分に接して移動可能であることを特徴とする走査組立品。
【請求項2】
前記導通部分は、少なくとも1つのランドパターン(34,36)と付随する1つの電気接続要素(44,46)とを有し、当該ランドパターンと電気接続要素とは、前記調整軌道(B)に沿って互いに移動可能であり、このときに互いに電気接触している結果、前記放射線源(4)が、前記キャリア(1)に対する異なる相対位置で電気接触されていることを特徴とする請求項1に記載の走査組立品。
【請求項3】
前記導通部分は、前記調整軌道(B)に沿って延在する2つのランドパターン(34,36)とこれに割り当てられた電気接続要素(44,46)とを有することを特徴とする請求項2に記載の走査組立品。
【請求項4】
前記少なくとも1つのランドパターン(34,36)は、電気導体要素として前記キャリア(1)に対して設けられていること、及び、付随する前記電気接続要素が、接続要素(44,46)として前記放射線源(4)に対して設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の走査組立品。
【請求項5】
前記導通部分は、前記放射線源(4)を直線状に誘導して移動させるために形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の走査組立品。
【請求項6】
前記放射線源(4)に電気接触するために使用される前記電気導体要素(3)の前記電気接続要素(34,36)の一部、及び/又は、これに割り当てられたそれぞれの前記接続要素(44,46)が、直線状に延在することを特徴とする請求項5に記載の走査組立品。
【請求項7】
前記放射線源(4)の少なくとも1つの接続要素(44,46)が、この放射線源(4)から突出している接続ピンによって形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の走査組立品。
【請求項8】
前記放射線源(4)の少なくとも1つの結合要素(44′)が、この放射線源(4)のケース(40)に対して形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の走査組立品。
【請求項9】
前記キャリア(1)は、収容部(22)を有し、前記放射線源(4)が、この収容部(22)に対して配置されていて且つ前記調整軌道(B)に沿って移動可能であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の走査組立品。
【請求項10】
前記キャリア側の前記電気導体要素(3)の、前記放射線源(4)の接続要素(44,46)を介してこの放射線源(4)に電気接触するために使用される接続領域(34,36)が、前記収容部(22)と並んで延在することを特徴とする請求項9に記載の走査組立品。
【請求項11】
前記キャリア側の前記電気導体要素(3)の、前記放射線源(4)の接続要素(44,46)を介してこの放射線源(4)に電気接触するために使用される接続領域(34,36)が、前記収容部(22)の前方で延在することを特徴とする請求項9に記載の走査組立品。
【請求項12】
前記放射線源(4)を前記キャリア(1)に対して固定するため、前記接続要素(44,46)が、前記キャリア側の前記電気導体要素(3)の接続領域(34,36)に材料結合されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の走査組立品。
【請求項13】
前記キャリア(1)は、電気絶縁材料から成る本体(2)を有し、前記電気導体要素(3)が、ランドパターンとしてこの本体(2)上に延在することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の走査組立品。
【請求項14】
前記放射線源(4)から放射された電磁ビームをコリメートするため、レンズ(6)が、前記放射線源(4)に割り当てられていること、及び、放射線源(4)とレンズ(6)との間の、当該コリメートに必要な距離が、前記放射線源(4)を前記キャリア(1)に対して前記調整軌道(B)に沿って移動させることによって調整可能であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の走査組立品。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【公開番号】特開2013−61339(P2013−61339A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−201243(P2012−201243)
【出願日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【出願人】(390014281)ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (115)
【氏名又は名称原語表記】DR. JOHANNES HEIDENHAIN GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
【Fターム(参考)】