説明

位置検出装置、これを用いた給紙装置および画像形成装置

【課題】画像形成装置の給紙トレイのように、位置検出面において均一の検知精度を必要としない場合において、位置検出装置の制御や製造が複雑化せず、かつ製造コスト増を伴わずに、必要に応じて高精度の位置検出を行うことができる技術を提供することである。
【解決手段】位置検出装置における位置検出領域には、ループコイル11が区域に応じて異なった配置間隔で並設されるセンサ基板10が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出装置、これを用いた給紙装置およびそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ、プリンタなどの画像形成装置においては、ユーザの使用目的やサイズに応じて転写紙などの記録媒体であるシート材のサイズが選択できるようになっている。このような場合、サイズごとに専用の給紙トレイを用意すればよいが、ユーザの負担を軽くするため、1つの給紙トレイで各種のシート材をセットできるものが使用されている。そして、シート材はトレイ上に載積されたシート材の給紙方向と直交する用紙端面に当接し、シート材の給紙方向に直交する方向のシート材の位置を整合する幅規制部材と、シート材の給紙方向の端面に当接し、シート材の給紙方向の用紙位置を整合する長さ規制部材とを設け、これら幅規制部材と長さ規制部材とをスライドさせて、シート材に当接させることによりシート材の載積位置を位置決めしている。ここで、シート材とは転写紙やOHPを含む転写材及び転写紙の間に挿入される紙であるインターシートなどを指す。
【0003】
また、近年増加しているPOD(Print On Demand)の市場においては、ユーザが切断した紙などのように不定形紙を使用する場合が増えてきている。そして、通常、画像形成装置ではサイズが判別できない場合には通紙を行わない構成であるため、このような不定形紙の場合にユーザが手動でシート材の縦横の長さを入力する必要があった。
【0004】
そして、このように様々なシート材を使用する給紙トレイでは、そのトレイに現在どのサイズのシート材がセットされているかを検出する必要がある。そのため、このようなトレイではシート材のサイズの検出が必要となる。そこで、従来、給紙トレイの底部に階段状の溝を穿設した回転部材を回転自在に設け、トレイのエンドフェンスを移動させることによって回転部材を回転させてシート材のサイズを検知する技術(例えば、特許文献1参照。)や、ボリューム抵抗器を用いてシート材のサイズに合わせて幅合わせ用のカーソルをサイズに合わせて移動させた際に、カーソルの移動に連動してボリューム抵抗器の摺動部が移動することにより抵抗値を変化させ、そのボリューム抵抗器に電流を流すことにより生じた電圧値を読み取ることによりシート材のサイズを検知する技術(例えば、特許文献2参照。)や、上記ボリューム抵抗器の代わりに複数の導電体が所定のパターンに配置された基板を用い、上記基板に接触するように上記カーソルに電極を設け、上記カーソルの位置に応じて上記電極が上記導電体と接触または非接触となることにより構成されるスイッチがオンオフすることにより、上記カーソルの位置に応じて上記導電体毎に接続された信号線にオンまたはオフを表す信号が生じるようにされており、その複数の信号線からの信号のオンオフの組み合わせによりサイズを検知する技術(例えば、特許文献3参照)や、給紙方向のサイズをボリューム抵抗により検知し、給紙方向と直交する方向のサイズを光学的センサにより検知する技術が提案され、これらの技術によるシート材のサイズの検知がなされていた。
【0005】
また、位置検知の技術として、複数のターン数を持つループコイルを位置検出方向に並べ、位置を指示するための共振回路に最も近いと予測されるループコイルを選択し、このループコイルに対して送信命令を送り、この送信信号に起因する電磁相互作用により共振回路から送り返される電磁波を受信する際に、全てのループコイルを走査することにより、位置検出に必要な信号特性分布を得、この分布から共振回路の位置を判断する技術(例えば、特許文献4参照。)が提案されている。この技術により、位置検出の回路におけるS/Nを大幅に向上させることができ、検出精度が大きく改善され、ループコイルの並べ方で、0.01mmの分解能を得ることが可能である。
【0006】
【特許文献1】特開2002−187626号公報
【特許文献2】特開平10−1227号公報
【特許文献3】特開平8−295419号公報
【特許文献4】特開平8−161100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1の構成ではエンドフェンスによる用紙送り方向のみで用紙を検知しているため、検出サイズが限定されてしまう。また、不定形紙のサイズ検知を行う場合、給紙方向及び給紙方向と直交する方向の両方向ともに1mmの精度での検知が必要とされるが、ボリューム抵抗では機械的な機構のためその精度を出すのは困難であり、ボリューム抵抗を使用した特許文献2の構成では、サイズ検知の十分な精度を確保することが困難である。また、特許文献3の構成では、検知するサイズの種類の数が多くなると信号の数を多くしてオンオフの組合せパターンを増やす必要があるため、信号のオンオフをCPUに入力するための信号線の本数が増加する。そのため、信号入力ポートを数多く備えた高価なCPUを用いる必要があり、高コストになる。その他、光学的センサでは構造が非常に複雑になったり、高コストになったりといった問題がある。
【0008】
また、特許文献4に記載の構成では、シート材の2次元領域を検出する検出精度の面で有効な技術であるが、単にループコイルを等間隔で全領域に並べるので、特定の範囲でしか位置指示器が動作しないにもかかわらず、平面全体をスキャンする必要が生じるため、制御に過剰な負荷が生じるとともに、高コストになってしまうという問題がある。
【0009】
また、この技術では、ループコイルの間隔を密に配置して精度を高めるものであるが、給紙装置におけるシート材のサイズ検知にあっては、シート材間サイズの差が大きい場合があり、この場合は高精度の検知が必要なく、ループコイルの配置間隔は粗くてもよい。それにも関わらず全領域にループコイルを密に配置すると、その分のループコイル、ループコイルの操作に用いる切替スイッチに無駄が生じる。また、検出回路の構成およびその制御も複雑になるという問題がある
【0010】
そこで本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであってその目的は、ループコイル、切替スイッチおよび検出回路などを備え、均一の検知精度を必要としない位置検出装置において、ループコイルを無駄に配置しないことにより、制御や製造が複雑化せず、かつ製造コスト増を伴わずに、必要に応じて高精度の位置検出を行うことができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、位置検出領域において導電性パターンによる複数のループコイルが並設されたセンサ基板と、該ループコイルと共振する共振回路が設けられた位置指示手段と、を有し、該位置指示手段と該センサ基板との間の電磁結合によって、センサ基板面において位置指示手段の位置を求める位置検出装置において、前記センサ基板に並設される前記複数のループコイルそれぞれについて、隣り合う該ループコイルとの配置間隔が前記位置検出領域の区域によって異なるように並設されること、を特徴とする位置検出装置である。
また、請求項2に記載の発明は、シート材を載積領域に載積する載積手段と、前記載積領域において前記載積されたシート材の給紙方向と直交する幅方向の両端を挟むように設置された2つの移動可能な幅規制部材と、前記載積領域において前記載積されたシート材の給紙方向の一端を押えるように設置された移動可能な長さ規制部材と、前記長さ規制部材に設けられた共振回路を有する第1位置指示手段と、前記幅規制部材に設けられた共振回路を有する第2位置指示手段と、前記載積領域における前記シート材の位置を検出する検出領域に設けられ、かつ導電性パターンによる複数のループコイルが並設されるとともに、該ループコイルそれぞれの配置間隔が一部領域においては密にされ、その他の領域においては粗くされたセンサ基板と、前記第1位置指示手段および前記第2位置指示手段に対して、それぞれに送信状態の前記ループコイルから電磁結合によって信号を送り、該第1位置指示手段および該第2位置指示手段が受信した信号を、受信状態に切り替えられた該ループコイルで受信させ、その受信した信号の特性分布から該第1位置指示手段および該第2位置指示手段のループコイルの配列上の位置を現在の位置として検出する位置検出手段と、前記位置検出手段から受けた、前記第1位置指示手段の現在の位置および、前記第2位置指示手段の現在の位置に基づき、前記シート材のサイズを求めるサイズ判定手段と、を備えたこと、を特徴とする給紙装置である。
また、請求項3に記載の発明は請求項2に記載の給紙装置であって、前記サイズ判定手段は、前記ループコイルの配列上の位置と、前記載積手段における前記載積されるシート材の長手方向の長さを求める際の基準となる第1基準位置との距離を示す第1の値と、前記ループコイルの配列上の位置と、前記載積手段における前記載積されるシート材の幅方向の長さを求める際の基準となる第2基準位置との距離を示す第2の値と、を記憶する記憶手段を備え、前記第1の値と前記第2の値とを基に前記サイズを求めること、を特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は請求項2または3に記載の給紙装置であって、前記センサ基板は、前記幅方向及び前記配列方向に配列された前記ループコイルを直列に順に走査して受信することを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明はシート材を載積領域に載積する載積手段と、
前記載積領域において前記載積されたシート材の給紙方向と直交する幅方向の両端を挟むように設置された2つの移動可能な幅規制部材と、前記載積領域において前記載積されたシート材の給紙方向の一端を押えるように設置された移動可能な長さ規制部材と、前記長さ規制部材に設けられた共振回路を有する第1位置指示手段と、前記幅規制部材に設けられた共振回路を有する第2位置指示手段と、前記載積領域における前記シート材の位置を検出する検出領域に設けられ、かつ導電性パターンによる複数のループコイルが並設されるとともに、該ループコイルそれぞれの配置間隔が一部領域においては密にされ、その他の領域においては粗くされたセンサ基板と、前記第1位置指示手段及び前記第2位置指示手段に対して、それぞれに送信状態の前記ループコイルから電磁結合によって信号を送り、該第1位置指示手段および該第2位置指示手段が受信した信号を、受信状態に切り替えられた該ループコイルで受信させ、その受信した信号の特性分布から該第1位置指示手段および該第2位置指示手段のループコイルの配列上の位置を現在の位置として検出する位置検出手段と、前記位置検出手段から受けた、前記第1位置指示手段の現在の位置および、前記第2位置指示手段の現在の位置に基づき、前記シート材のサイズを求めるサイズ判定手段と、前記載積手段、前記長さ規制部材、前記幅規制部材および前記センサ基板を有し、前記シート材を給紙する給紙手段と、給紙された前記シート材に画像を形成する画像形成手段とを備えたこと、を特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、センサ基板に並設された複数のループコイルのうち、一部検出範囲にあるループコイルは密に配置され、他の範囲のループコイルは配置間隔が粗くなるように構成されている。したがって、配置するループコイル数を減らし、ループコイルを密に配置しなければならない領域を低減させることができ、位置検出装置の製造の煩雑さを回避し、製造コストが増加する事態を防止することができる。さらに、当該ループコイルなどの制御が複雑化する事態を防止することができる。加えて制御手段におけるループコイルの配置間隔が粗の領域の制御を簡素化し、その分を高精度で検出すべき領域に補うことが可能となり、高精度の検出が必要となる領域の精度をより向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[位置検出装置]
この発明の実施形態にかかる位置検出装置の構成の一例について、図1および図2を参照して説明する。図1(A)・(B)は、本発明の実施形態にかかる位置検出装置のループコイルの配列を概念的に示す概略構成図である。また図2は、本発明の実施形態にかかる位置検出装置の回路構成を説明するための概略構成図である。
【0014】
(位置検出装置の構成)
この発明の実施形態にかかる位置検出装置はセンサ基板10が設けられた位置検出面を備えている。また、このセンサ基板10には複数のループコイル11が設けられている。また位置検出装置は、センサ基板10のループコイル11と共振する共振回路が設けられた移動可能な位置指示手段20(図2参照)を備えている。
【0015】
図1に示すように本発明の実施形態にかかる位置検出装置のセンサ基板10は、複数のループコイル11が重ねられるように並設され、配列されて構成されている。この実施形態におけるループコイル11の配置間隔は、例えば図1(A)における左側部分のように特定の領域においては配置間隔が狭くなっている(例えば図1のa間隔)。また、その他の部分におけるループコイル11は、当該狭く形成された配置間隔(a間隔)より広い配置間隔(例えば図1におけるb間隔)で配置される。なお、図1に示すループコイル11群は本実施形態におけるループコイルを概念的に示すものであってこの配列および配置数に限られない。
【0016】
このセンサ基板10は位置検出装置における位置を検出すべき領域、すなわち位置検出面において、高精度で位置を検出することが要求されている部分については図1(A)・(B)における「a間隔」のように、隣り合うループコイル11それぞれの配置間隔を狭く構成し、当該部分については高精度での位置検出が行われる。それに対して、位置検出を高い精度で行う必要がない部分においては、図1(A)・(B)における「b間隔」のように、並設された隣り合うループコイル11について配置間隔が広く構成されており、場合によっては、図1(B)に示すセンサ基板10のように隣り合うループコイル11が重ならないような配置間隔で構成されていてもよい。
【0017】
また、このようなループコイル11は、例えばセンサ基板10上に配線パターンとして形成される。例えば、センサ基板10として2層のプリント基板を用い、当該プリント基板10の各層に対してループコイル11として配線パターンが設けられる。
【0018】
また図1(A)・(B)に示すように、本実施形態におけるループコイル11それぞれは、3つごとにオーバーラップしている。例えば図1(A)・(B)であれば、最も左側にあるループコイル11の右隣に配置されるループコイル11の左隅の先端部分は、当該最も左側のループコイル11の左隅の内側に位置するように重ねられて配置される。このようにループコイルを複数オーバーラップさせることにより、位置検出装置における位置検出面においてループコイル11によって検出できない領域を低減させ、有効な領域を拡大することが可能となる。本実施形態においてこのオーバーラップ数は、3つごととなっているが、本発明はそれに限定されず、例えば5つごとであってもよい。
【0019】
また、ループコイル11は、選択端子X1、X2、X3...Xnに接続されている。この選択端子X1等のいずれか1つが、不図示のアンテナ(ループコイル)切替スイッチを切り替えることにより、当該アンテナ切替スイッチと選択的に接続される。そしてこのアンテナ切替スイッチは、選択端子X1等と接続される側の一端に対する他端において、送信回路もしくは受信回路のいずれかと選択的に接続される。
【0020】
例えば、送信回路とアンテナ切替スイッチが接続され、当該アンテナ切替スイッチと選択端子X1が接続されている場合は、選択端子X1に接続されるループコイル11の1つが送信アンテナとして作動する。このようにしてループコイル11は送信アンテナとしても受信アンテナとしても機能する。またアンテナ切替スイッチは、送信回路31または受信回路32を介して制御手段30(図2参照)に接続されている。
【0021】
また、センサ基板10において、ループコイル11それぞれは、直列に順に走査されて受信するように配置されている。この走査については、制御手段30(図2参照)によって行われる。すなわち、制御手段30は、送信回路31または受信回路32(図2参照)のいずれかとアンテナ切替スイッチとを切り替えて接続させる制御を行うとともに、さらに送信回路31または受信回路32のいずれかと接続されたアンテナ切替スイッチと、各ループコイル11に接続された選択端子X1、X2、X3...Xnのそれぞれとを順に切り替えて接続させる制御を行う。このように選択端子X1、X2、X3...Xnを介して、ループコイル11それぞれが制御手段30により送信アンテナまたは受信アンテナとして走査される。
【0022】
(位置検出装置の動作)
次に、図2を用いてこの発明の実施形態にかかる位置検出装置の動作の概略について説明する。
【0023】
図2に示すように、位置検出装置は、センサ基板10におけるループコイル11と共振する共振回路が設けられ、移動可能な位置指示手段20を備えている。制御手段30により送信回路31と不図示のアンテナ切替スイッチとが接続され、かつアンテナ切替スイッチと例えば選択端子X1が接続される。このようにして当該選択端子X1と接続されたループコイル11が送信状態とされる。次いで、隣接する選択端子X2と接続されたループコイル11が送信状態とされる。
【0024】
こうして順にループコイル11が走査されていくとともに、各ループコイル11それぞれと位置指示手段20の共振回路との電磁結合により、各ループコイル11からの電気信号の送信が行われる。当該電気信号の送信により、位置指示手段20における共振回路のコイルに電磁誘導が発生され、当該共振回路におけるコイルLとコンデンサCに信号が蓄えられる。
【0025】
共振回路のコイルLとコンデンサCに当該信号が蓄えられている間、制御手段30は、アンテナ切替スイッチを受信回路32に切り替えて接続し、送信時と同様に選択端子X1、X2、X3...Xnのそれぞれを順にアンテナ切替スイッチと切り替えて接続していきながら、ループコイル11それぞれを順に受信アンテナとして機能させ、受信状態とする。受信状態とされたループコイル11のうち、位置指示手段20に近接するループコイル11が共振回路のコイルLと結合されることにより、位置指示手段20の当該共振回路が信号を送信しかえす。次いで制御手段30により、受信状態に切り替えられたループコイル11が、走査されて信号を受信する。
【0026】
ループコイル11が走査されて、位置指示手段20から送信された信号を受信すると、さらに、制御手段30によって、配列された各ループコイル11ごとに受信した当該信号の特性分布が取得される。この信号の特性分布とは横軸を距離とし、縦軸を当該距離に対する受信した信号の強さで表わしたものである。そして、この信号の特性分布のピーク位置から、位置指示手段20が現在、位置検出装置における位置検出面のどの位置にあるかを求めることができる。
【0027】
この位置指示手段20の位置検出面における位置を求める際には、並設して配置されたセンサ基板10上のループコイル11と、位置指示手段20との相対的な位置が参照される。
【0028】
このように特性分布を取得して位置指示手段20の位置が求められるが、ループコイル11の配置間隔を、図1(A)・(B)における「a間隔」のように狭く構成することで、精緻な特性分布を取得することができ、位置検出の精度を高めることができる。また、ループコイル11の配置間隔を図1(A)・(B)における「b間隔」のように広く構成することでループコイル11やアンテナ切替スイッチの制御にかかる構成を単純化することができる。さらに、ループコイル11のターン数を増やすことでS/N比を向上させ、分解能を向上させることによって位置検出の精度を高めることができる。
【0029】
なお、この発明の位置検出装置は、上記において説明した構成に限られず、制御手段30によってセンサ基板10のループコイル11から信号を送信する場合に、位置指示手段20に最も近いループコイル11を予測し、そのループコイル11から信号を送信する構成であってもよい。
【0030】
[画像形成装置]
次に、図3〜図6により、本発明にかかる位置検出装置を、画像形成装置に用いた実施形態の一例について説明する。なお、この画像形成装置としては、電子写真方式のプリンタ、複写機およびファクシミリなどがある。本実施形態では、プリンタ、複写機およびファクシミリ等を複合した複合機を例とした画像形成装置の給紙装置(給紙トレイ、給紙カセット等)について説明する。
【0031】
図3は、本発明の実施形態にかかる画像形成装置100の概略断面図である。また、図4は、本発明の実施形態にかかる画像形成装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0032】
(画像形成装置の全体構成)
この実施形態にかかる画像形成装置100は、図3に示すようにADF(Auto Document Feeder;原稿自動搬送装置)110、画像読取部120、画像書込部121、画像形成部122、給紙部140、搬送部150を備えて構成される。画像形成装置100は、例えばADF110等から供給された印刷原稿を画像読取部120で読取り、画像書込部121により画像処理を行って、給紙部140から給紙されたシート材に対し、画像形成部122によって当該原稿の内容を記録する。記録されたシート材は搬送部150によって搬送される。なお、本実施形態の画像形成装置100における画像形成方式は、周知の電子写真方式を利用したタンデム方式による。
【0033】
次に、図4を用いて、この実施形態にかかる画像形成装置100の制御手段および制御手段130に制御される各部の概略構成について説明する。
【0034】
図4に示すように画像形成装置100は、先に述べたADF110や画像形成部122の他に、制御手段130、記憶手段133等を備える。
【0035】
制御手段130はCPU(Central Processing Unit)等のマイクロプロセッサを含んで構成され、記憶手段133は、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)等を含んで構成される。また、記憶手段133には、あらかじめ制御プログラムが記憶され、CPUが当該制御プログラムを適宜RAM上に展開することにより、制御手段130として機能し、例えば、ADF110、画像読取部120、画像書込部121、画像形成部122、搬送部150、給紙部140の制御(センサ基板10、送信回路31、受信回路32、アンテナ切替スイッチ等の制御を含む)を行う。なお、当該制御手段130は、ループコイルの送受信回路を含み、本発明の「サイズ判定手段」の一例に該当する
【0036】
(給紙部の構成)
次に、図3〜図6を用いて本発明にかかる位置検出装置を用いた画像形成装置100の給紙部140について説明する。ここで図5は、本発明の実施形態にかかる給紙部140の給紙トレイ141の概略上面図である。また、図6は、本発明の実施形態にかかる給紙部140の給紙トレイ141の概略断面図である。また、図7は、本発明の実施形態にかかる画像形成装置の給紙トレイ141におけるループコイルの配置間隔および配置領域を概念的に示す概略上面図である。
【0037】
本実施形態の給紙トレイ141では、長さ規制部材142の位置を検出し、制御手段130があらかじめ記憶手段133に記憶された当該位置と前述の基準位置Z(シート材P1〜P4と給紙トレイ141の側面が隣接する部分)との距離を参照する。また、幅規制部材143の位置を検出し、制御手段130があらかじめ記憶手段133に記憶された当該位置と中心線Cとの距離を参照する。さらに制御手段130がこれらの参照した値から、シート材のサイズを求めるように構成されている。以下、画像形成装置100における給紙トレイ141の長さ規制部材142・幅規制部材143および位置検出の具体的構成について説明する。
【0038】
図3に示すように本実施形態にかかる画像形成装置100における給紙部140は、複数の給紙トレイ141(本発明の「載積手段」の一例に該当する)によって構成されており、通常各給紙トレイ141それぞれには、サイズや紙種の異なるシート材が収容される。各給紙トレイ141の下流側には、給紙トレイ141に収容された最上部のシート材を1枚ずつ搬送部150に向けて給紙する給紙ローラがそれぞれ設けてある。
【0039】
この給紙トレイ141は、一面が解放された直方体形状となっている。シート材P1〜P4等は、この直方体形状の給紙トレイ141における内側の側面を基準位置Z(本発明の「第2基準位置」の一例に該当/図5参照)として、位置を合わせて載積される。すなわち、図5(a)・(b)に示すように、給紙トレイ141における幅方向(給紙方向と直交する方向)の一辺に対し、シート材のP1〜4における幅方向の一辺の位置を合わせて当該シート材P1〜P4が載積される。
【0040】
また、本実施形態にかかる給紙トレイ141では、図5に示す給紙トレイ141の中心線C(本発明の「第1基準位置」の一例に該当)に、シート材P1〜P4の中心を合わせるように載積される。この中心線Cとは、給紙トレイ141の長手方向(シート材の給紙方向)において、給紙トレイ141のシート材P1〜P4を載積する面における中心を通る線である。
【0041】
図6に示すように本実施形態の給紙トレイ141におけるシート材P1〜P4の載置面の下方(給紙トレイ141の内部)には、ループコイル111〜118等が並設されたセンサ基板10が設けられている。このセンサ基板10およびループコイル111〜118は、前述した位置検出装置のセンサ基板10およびループコイル11と同様に、制御手段130が図示しないアンテナ切替スイッチの一方と送信回路または受信回路のいずれか一方とを接続する。また、制御手段130がループコイルの一端にある選択端子と当該アンテナ切替スイッチとを切り替えて接続し、ループコイルを順に走査する。なお、図6においては給紙トレイの中心から左側にのみループコイルを配置しているが、当該中心から右側に配置してもよい。また、図6に示すループコイル111〜118は本実施形態におけるループコイルを概念的に示すものであってこの配列および配置数に限られない。
【0042】
また給紙トレイ141に設けられたセンサ基板10のループコイルは、図7に示すように長さ規制部材142の往復経路(第1ガイド溝)の直下の領域A1と、幅規制部材143の往復経路(第2ガイド溝)の直下の領域A2において1列に配列される(図1(a)参照)。なお、配列されるループコイルは複数列であってもよい。
【0043】
この各給紙トレイ141におけるシート材P1〜P4の位置合わせは、長さ規制部材142および一対の幅規制部材143によって行われる。図5(a)に示すように、長さ規制部材142は、前述した給紙トレイ141におけるシート材P1〜P4の基準位置Zとなる側面(一辺)と対向するように、かつ給紙トレイ141の中心線C上に配置される。また、給紙トレイ141のシート材P1〜P4の載積面における中心線C上には、給紙トレイ141の長手方向に、基準位置Zから反対側の面へ伸長する第1ガイド溝が形成されており、当該第1ガイド溝に対し、長さ規制部材142の底面に形成された凸部が移動可能に係合する。
【0044】
したがって、長さ規制部材142は、給紙トレイ141の中心線C上に形成された第1ガイド溝に案内されて、給紙トレイ141の長手方向(図5におけるX方向)へ往復移動可能となっている。この長さ規制部材142が往復移動可能に構成されているので、給紙トレイ141に載積されるシート材P1〜P4の長手方向の長さに合わせて長さ規制部材142を移動させ、シート材P1〜P4における長手方向の一端を規制し、次に述べる幅規制部材143とともに載積されたシート材が崩れないように固定することができる(図5(a)・(b)参照)。
【0045】
この長さ規制部材142は、第1位置指示手段142aを備えている。この第1位置指示手段142aは前述の位置検出装置における位置指示手段20と同様に、領域A1に配置されたループコイルと共振し、コイルL、コンデンサCが設けられた共振回路を備えている(図2における位置指示手段20参照)。この共振回路とループコイルとの電磁結合により電気信号の送信が行われ、共振回路のコイルに電磁誘導が発生し、ループコイルに信号を送り返す。この第1位置指示手段142aとループコイルとの電気信号の送受信を行う構成の詳細については、前述の位置検出装置と同様であるので説明を割愛する。
【0046】
また、図5(a)・(b)および図6に示すように、一対の幅規制部材143は、給紙トレイ141におけるシート材P1〜P4の基準位置Zとなる側面(一辺)と直交する向きで、かつ互いに対し対向するように配置される。また、給紙トレイ141には、第1ガイド溝と直交するように第2ガイド溝が形成されており、幅規制部材143の底面に形成された凸部が第2ガイド溝に移動可能に係合する。この第2ガイド溝は図5(a)・(b)に示すように給紙トレイ141の中心よりも、先に述べたシート材の基準位置Z側となるように形成される。また、一対の幅規制部材143は、いずれか一方を往復移動(例えば図5のY1方向の移動)させると、他方もほぼ同じ移動量だけ往復移動(例えば図5のY2方向の移動)するように構成されている。つまり一対の幅規制部材の一方を移動させた移動量だけ他方も移動するので、幅規制部材143はそれぞれ給紙トレイ141の中心線Cからの距離がほぼ等しくなる。
【0047】
したがって、幅規制部材143は、シート材の基準位置Zとなる側面と略平行に形成された第2ガイド溝に案内されて給紙トレイ141の幅方向(図5におけるY1・Y2方向)へ往復移動可能となっている。この幅規制部材143が往復移動可能に構成されているので、給紙トレイ141に載積されるシート材P1〜P4の幅方向の長さに合わせて幅規制部材143を移動させ、シート材P1〜P4における幅方向の両端を規制し(図6参照)、長さ規制部材142とともに載積されたシート材が崩れないように固定することができる。
【0048】
幅規制部材143の一方は、図6に示すように第2位置指示手段143aを備えている。この第2位置指示手段143aは前述の位置検出装置における位置指示手段20と同様に、領域A2に配置されたループコイル111〜118と共振し、コイルL、コンデンサCが設けられた共振回路を備えている(図2における位置指示手段20参照)。この共振回路とループコイル111〜118との電磁結合により電気信号の送信が行われ、共振回路のコイルに電磁誘導が発生し、ループコイル111〜118に信号を送り返す。この第2位置指示手段143aとループコイル111〜118との電気信号の送受信を行う構成の詳細については、前述の位置検出装置と同様であるので説明を割愛する。
【0049】
また給紙トレイ141の領域A1・A2に設けられたセンサ基板10のループコイル(111〜118等)については、前述の位置検出装置におけるループコイル11群と同様に、要求される位置検出の精度に応じ、その配置間隔の広狭が定められる(図7参照)。
【0050】
給紙トレイ141に載積されるシート材の長手方向の長さについては、前述の基準位置Z(シート材P1〜P4と給紙トレイ141の側面が隣接する部分)から第1位置指示手段142aまでの距離とほぼ等しいので、当該距離によって算出される。これに対し、シート材の幅方向の長さについては中心線C(図7)から幅規制部材143の一方までの距離の2倍とほぼ等しいので、当該距離の2倍の値を求めることによって算出される。つまり、シート材の幅方向の長さを求めるためには、幅方向の長さの半分の長さが求められるように位置検出が行われる。
【0051】
例えば、紙種「A4R」および「A5」の幅方向の長さは「約210mm」なので、検出すべき長さは半分の「約105mm」となる。また、紙種「5.5*8.5(L)」および「8.5*11(R)」の幅方向の長さは「約215.9mm」なので検出すべき長さは半分の「約107.95mm」となる。この両者の長さを判別するには、「約2.95mm」差を判別する制度が必要となる。
【0052】
これに対し、紙種「A3」の幅方向の長さは「約297mm」なので検出すべき長さは半分の「約148.5mm」となる。また、紙種「11×17」の幅方向の長さは、「約279.4mm」なので検出すべき長さは「約139.7mm」となる。両者の長さを判別するには「約8.8mm」差を判別する精度が必要である。この長さ判別は前述の「約2.95mm」差を判別するのに必要な精度と比べ、同等の精度を必要としない。
【0053】
また、本実施形態にかかる給紙トレイ141に設けられるセンサ基板10では、紙種ごとに異なるシート材の幅方向の長さの差において、閾値となる位置の近傍では、ループコイルの配置間隔を、約0.01mm間隔の判別ができる程度の位置検出を可能とするように配置する。
【0054】
また、前述の通りシート材の長手方向の長さは、長さ規制部材142から基準位置Zまでの距離によって求める。よって紙種ごとのシート材の長手方向の長さの差は、幅方向の長さの差と比較すると差が大きくなる。したがって図7における領域A2に配列されるループコイル111〜118と比較して、領域A1に配列されるループコイルの間隔は広くても判別が可能であるので、その間隔が広く配置される。また、領域A1に配列されるループコイルにおいても、要求される位置検出の精度の高低に応じて、配置間隔の広狭が定められる。なお、給紙トレイ141における制御手段130、ループコイル、第1位置検出手段142aおよび第2位置指示手段143aは、本発明の「位置検出手段」の一例に該当する。
【0055】
以上のように、本実施形態における給紙トレイ141(センサ基板10)は、紙種ごとの長さの差の判別に必要とされる位置検出の精度に応じて、ループコイルの配置間隔を広狭を定めて配列する構成となっており、不要なループコイルの配置を回避でき、その制御構成が複雑化する事態を回避することができる。また、同じ分解能であっても、高精度が必要でない領域においてループコイルの配置間隔を粗に構成することにより、その分の精度を高精度が必要である領域において補い、ループコイルの配置間隔を密にしてより精度を高めることができる。
【0056】
また、制御手段130は、ループコイルと第1位置指示手段142aとの信号の送受信によって得られた第1位置指示手段142aの位置情報に基づいて、あらかじめ記憶手段133に記憶している基準位置Zから当該第1位置指示手段142aが示すループコイルまでの距離を参照し、シート材の長手方向の長さ(シート材の給紙方向における長さ)を求める。さらに、ループコイルと第2位置指示手段143aとの信号の送受信によって得られた第2位置指示手段143aの位置に基づいて、あらかじめ記憶手段133に記憶している給紙トレイ141の長手方向における中心線Cから第2位置指示手段143aが示すループコイルまでの距離を参照し、シート材の幅方向の長さ(シート材の給紙方向と直交する方向における長さ)を求める。
【0057】
以上説明した長さ規制部材142および幅規制部材143によって、例えば図5(a)に示す位置でシート材P1を規制する状態から、第1ガイド溝に案内されて長さ規制部材142が基準位置Zと対向するX方向へ移動され、かつ第2ガイド溝に案内されて幅規制部材143がY1・Y2方向へ移動されることにより、先のシート材P1と異なるサイズのシート材P2(またはP3、P4等)に位置合わせをする状態に変更することができ、1つの給紙トレイ141において異なるサイズのシート材を載積しても位置合わせを行うことが可能となる。
【0058】
なお、本実施形態においては図6に示すように、一対の幅規制部材143のうち左側の幅規制部材143に第2位置指示手段143aを設けたが、本発明の画像形成装置においてはこれに限られず、右側の幅規制部材143に配置してもよい。
【0059】
また、本実施形態における給紙トレイ141については、シート材P1〜P4を給紙トレイ141の側面に寄せて載積するとともに、シート材P1〜P4の中心を給紙トレイ141の中心線C上に合わせて配置しているが、本発明はこれに限られない。例えば、シート材P1〜P4の中心は、給紙トレイ141の中心と重なるように配置してもよく、また、給紙トレイ141の中心線C上に配置しなくてもよい。
【0060】
また、本実施形態における給紙トレイ141の長さ規制部材142および幅規制部材143はそれぞれ、給紙トレイ141に形成された第1のガイド溝および第2ガイド溝に案内されて往復移動するように構成されているが、本発明にかかる画像形成装置の給紙トレイはこれに限られない。例えば、給紙トレイ141の内側の各側面からシート材に略平行かつ伸縮自在な規制部材の支持部を設け、その先端に規制部材を配置し、規制部材の支持部に案内されて往復移動する構成であってもよい。
【0061】
また、本実施形態では、シート材P1〜P4を挟む一対の幅規制部材143を連動させて移動させる構成にしているが、これに限られない。例えば、一方の幅規制部材143が移動せず固定された構成を採ることも可能である。ただしこの場合でも、長さ規制部材142の位置がどのような幅の紙に対しても給紙方向と反対側の端部を押さえられるように構成されている必要がある。したがって給紙トレイ141における長さ規制部材142の幅方向における位置が、中心線Cよりも固定された幅方向規制部材143側に寄ることになる。長さ規制部材142を、固定された幅方向規制部材143側に寄らせて配置することで、幅(給紙方向と直交する方向の長さ)が短いシート材でも給紙方向と反対側の端部の位置を固定することができる。
【0062】
(動作)
次に、図8を用いて、この発明の実施形態にかかる画像形成装置100の給紙トレイ141に載積されたシート材のサイズ判定にかかる一連の動作について説明する。図8は、シート材のサイズ判定にかかる画像形成装置の一連の動作を示すフローチャートである。
【0063】
(S01)
ユーザまたは操作者は給紙トレイ141にシート材(例えばP1〜P4のいずれか)を載せ、長さ規制部材142を第1ガイド溝に沿って、かつ幅規制部材143を第2ガイド溝に沿って移動させ、それぞれシート材における幅方向および長手方向の長さにあわせる。
【0064】
(S02)
制御手段130は、長さ規制部材142が移動されると、センサ基板10のループコイルを送信状態にし、第1位置指示手段142aとそれに最も近いループコイルとの電磁結合により信号を第1位置指示手段142aに送信し、第1位置指示手段142aは、受けた信号を制御手段130により受信状態に切り替えられたループコイルに送り返す。制御手段130は、ループコイルが受けた信号の特性分布から第1位置指示手段142aの位置を検出する。
【0065】
(S03)
制御手段130は、第1位置指示手段142aの位置を受けて、あらかじめ記憶手段133に記憶している基準位置Zから第1位置指示手段142aが示すループコイルまでの距離を参照する。
【0066】
(S04)
制御手段130は、幅規制部材143が移動されると、センサ基板10のループコイルを送信状態にし、第2位置指示手段143aとそれに最も近いループコイルとの電磁結合により信号を第2位置指示手段143aに送り、第2位置指示手段143aは、受けた信号を制御手段130により受信状態に切り替えられたループコイルに送り返す。制御手段130は、ループコイルが受けた信号の特性分布から第2位置指示手段143aの位置を検出する。
【0067】
(S05)
制御手段130は、第2位置指示手段143aの位置を受けて、あらかじめ記憶手段133に記憶している給紙トレイ141の長手方向における、中心線Cから第2位置指示手段143aが示すループコイルまでの距離を参照する。
【0068】
(S06)
制御手段130は、S03およびS05において算出したシート材の幅および長手方向の長さ(給紙方向の長さ)の組み合わせから、あらかじめ記憶手段133に記憶している紙種を参照し、シート材のサイズを判断する。
【0069】
(作用効果)
以上説明した本実施形態にかかる画像形成装置の作用および効果について説明する。
【0070】
本発明の実施形態にかかる画像形成装置100は、図7に示すような給紙トレイ141の長さ規制部材142の往復経路の直下の領域A1と幅規制部材143の往復経路の直下の領域A2に設けられたセンサ基板10において、配置されるループコイルの配置間隔の広狭を、領域A1および領域A2の要求される位置検出の精度の程度に応じて定めて構成されている。
【0071】
したがって、不要なループコイルの配置を回避でき、かつその制御構成が複雑化する事態を回避することができる。また、同じ分解能であっても、高精度が必要でない領域(A1)においてループコイルの配置間隔を粗にすることにより、高精度が必要である領域(A2)においてループコイルの配置間隔を密にしてより精度を高めることができる。
【0072】
(変形例)
次に、本発明にかかる画像形成装置の変形例について、以下に説明する。
【0073】
以上に述べた本実施形態にかかる画像形成装置100では、図7に示すように給紙トレイ141の幅規制部材143の往復経路の直下の領域A2と同様に、長さ規制部材142の往復経路の直下の領域A1にもループコイルを配置しているが、本発明はこの実施形態に限られない。
【0074】
例えば、領域A2のみについてあらゆるシート材を判別できる程度にループコイルを配置し、領域A1のループコイルの配置間隔についてはいくつかのブロックに分けて、第1位置指示手段142aが当該ブロックのいずれかに位置するかを判別できる程度とする。またあらかじめ記憶手段133において、シート材の紙種ごとにおける幅方向の長さの値と、長手方向の先端が領域A1のブロックのいずれに位置するかの情報との組み合わせを記憶しておく。
【0075】
このような構成においても制御手段130は、領域A1におけるループコイルの信号の送受信によって得られたシート材の長手方向(給紙方向)先端がどのブロックに位置するかの情報と、領域A2におけるループコイルの信号の送受信によって得られたシート材の幅方向(給紙方向と)の長さの値とを得て、記憶手段133に記憶されたその組み合わせを参照してシート材のサイズを判別することができる。したがって、不要なループコイルの配置をより回避でき、その制御構成が複雑化する事態を回避することができる。また、同じ分解能であっても、特定の領域においてループコイルの配置間隔を粗にすることにより、特定の領域においてループコイルの配置間隔を密にしてより精度を高めることができる。
【0076】
また、本実施形態にかかる画像形成装置100では、図7に示すように給紙トレイ141の幅規制部材143の往復経路の直下の領域A2と、長さ規制部材142の往復経路の直下の領域A1とにループコイルを配置しているが、本発明はこの実施形態に限られない。
【0077】
例えば、図9に示すような構成を採ることも可能である。ここで図9は、本発明の変形例にかかる給紙部の給紙トレイの概略断面図である。図9に示すようにこの変形例における給紙トレイ141では、長さ規制部材142が中心線Cよりもやや左側に位置し、第1ガイド溝も中心線Cよりやや左側に配置される。ただし長さ規制部材142の往復する方向は前述の実施形態と同様にシート材の給紙方向(図9におけるX方向)となる。
【0078】
また、図9に示すようにこの変形例における幅規制部材143は、基準位置Zより給紙トレイ141の中心側に位置し、第1ガイド溝も中心線Cよりやや左側(図9)に配置される。ただし長さ規制部材142の往復する方向は前述の実施形態と同様にシート材の給紙方向(図9におけるX方向)となる。つまり図9に示すように長さ規制部材142の左端(図9)と、幅規制部材143における基準位置Zと離隔する方向の端部とが、基準位置Zと相対するシート材の左隅近傍に位置するように配置される。さらに、長さ規制部材142に設けられる第1位置指示手段142aおよび幅規制部材143に設けられる第2位置指示手段143aは、固定するシート材の当該左隅近傍となるように配置される。
【0079】
この変形例においてはシート材の左隅の位置にかかる情報を得ることができ、その位置からシート材のサイズを判別することができる。したがって、この変形例においても、無駄なループコイルの配置を回避でき、その制御構成が複雑化する事態を回避することができる。また、同じ分解能であっても、特定の領域においてループコイルの配置間隔を粗にすることにより、特定の領域においてループコイルの配置間隔を密にしてより精度を高めることができる。
【0080】
また、本実施形態にかかる画像形成装置100では、図6に示すように給紙トレイ141のシート材の幅(給紙方向と直交する方向の長さ)の値を検出するために、幅規制部材の往復経路の直下の領域A2のうち中心から左側(または右側)にのみループコイルを配置しているが(111〜118)、本発明はこの実施形態に限られない。
【0081】
例えば、領域A2の中心から左右対称となるように領域A2の全体にわたってループコイルを配置し、一対の幅規制部材143の双方に第2位置指示手段143aを設けることにより、制御手段130はより制度の高い位置検出を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施形態にかかる位置検出装置のループコイルの配列を概念的に示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態にかかる位置検出装置の回路構成を説明するための概略構成図である。
【図3】本発明の実施形態にかかる画像形成装置の概略断面図である。
【図4】本発明の実施形態にかかる画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態にかかる給紙部の給紙トレイの概略上面図である。
【図6】本発明の実施形態にかかる給紙部の給紙トレイの概略断面図である。
【図7】本発明の実施形態にかかる画像形成装置の給紙トレイにおけるループコイルの配置領域を示す概略上面図である。
【図8】シート材のサイズ判定にかかる画像形成装置の一連の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の変形例にかかる給紙部の給紙トレイにおけるループコイルの配置領域を示す概略上面図である。
【符号の説明】
【0083】
10 センサ基板
11 ループコイル
20 位置指示手段
30 制御手段
31 送信回路
32 受信回路
100 画像形成装置
110 ADF
111 ループコイル
120 画像読取部
121 画像書込部
122 画像形成部
130 制御手段
133 記憶手段
140 給紙部
141 給紙トレイ
142 長さ規制部材
142a 第1位置指示手段
143 幅規制部材
143a 第2位置指示手段
150 搬送部
L コイル
C コンデンサ
X1 選択端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置検出領域において導電性パターンによる複数のループコイルが並設されたセンサ基板と、
該ループコイルと共振する共振回路が設けられた位置指示手段と、を有し、該位置指示手段と該センサ基板との間の電磁結合によって、該センサ基板における位置指示手段の位置を求める位置検出装置において、
前記センサ基板に並設される前記複数のループコイルそれぞれについて、隣り合う該ループコイルとの配置間隔が前記位置検出領域の区域によって異なるように並設されること、
を特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
シート材を載積領域に載積する載積手段と、
前記載積領域において前記載積されたシート材の給紙方向と直交する幅方向の両端を挟むように設置された2つの移動可能な幅規制部材と、
前記載積領域において前記載積されたシート材の給紙方向の一端を押えるように設置された移動可能な長さ規制部材と、
前記長さ規制部材に設けられた共振回路を有する第1位置指示手段と、
前記幅規制部材に設けられた共振回路を有する第2位置指示手段と、
前記載積領域における前記シート材の位置を検出する検出領域に設けられ、かつ導電性パターンによる複数のループコイルが並設されるとともに、該ループコイルそれぞれの配置間隔が一部領域においては密にされ、その他の領域においては粗くされたセンサ基板と、
前記第1位置指示手段および前記第2位置指示手段それぞれに対して、送信状態の前記ループコイルから電磁結合によって信号を送り、該第1位置指示手段および該第2位置指示手段が受信した該信号を、受信状態に切り替えられた該ループコイルで受信させ、その受信した信号の特性分布から該第1位置指示手段および該第2位置指示手段のループコイルの配列上の位置を現在の位置として検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段から受けた、前記第1位置指示手段の現在の位置および、前記第2位置指示手段の現在の位置に基づき、前記載積された前記シート材のサイズを求めるサイズ判定手段と、を備えたこと、
を特徴とする給紙装置。
【請求項3】
前記サイズ判定手段は、
前記ループコイルの配列上の位置と、前記載積手段における前記載積されるシート材の長手方向の長さを求める際の基準となる第1基準位置との距離を示す第1の値と、
前記ループコイルの配列上の位置と、前記載積手段における前記載積されるシート材の幅方向の長さを求める際の基準となる第2基準位置との距離を示す第2の値と、を記憶する記憶手段を備え、
前記第1の値と前記第2の値とを基に前記サイズを求めること、
を特徴とする請求項2に記載の給紙装置。
【請求項4】
前記センサ基板は、前記幅方向及び前記配列方向に配列された前記ループコイルを直列に順に走査して受信することを特徴とする請求項2または3に記載の給紙装置。
【請求項5】
シート材を載積領域に載積する載積手段と、
前記載積領域において前記載積されたシート材の給紙方向と直交する幅方向の両端を挟むように設置された2つの移動可能な幅規制部材と、
前記載積領域において前記載積されたシート材の給紙方向の一端を押えるように設置された移動可能な長さ規制部材と、
前記長さ規制部材に設けられた共振回路を有する第1位置指示手段と、
前記幅規制部材に設けられた共振回路を有する第2位置指示手段と、
前記載積領域における前記シート材の位置を検出する検出領域に設けられ、かつ導電性パターンによる複数のループコイルが並設されるとともに、該ループコイルそれぞれの配置間隔が一部領域においては密にされ、その他の領域においては粗くされたセンサ基板と、
前記第1位置指示手段および前記第2位置指示手段それぞれに対して、送信状態の前記ループコイルから電磁結合によって信号を送り、該第1位置指示手段および該第2位置指示手段が受信した該信号を、受信状態に切り替えられた該ループコイルで受信させ、その受信した信号の特性分布から該第1位置指示手段および該第2位置指示手段のループコイルの配列上の位置を現在の位置として検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段から受けた、前記第1位置指示手段の現在の位置および、前記第2位置指示手段の現在の位置に基づき、前記シート材のサイズを求めるサイズ判定手段と、
前記載積手段、前記長さ規制部材、前記幅規制部材および前記センサ基板を有し、前記シート材を給紙する給紙手段と、
給紙された前記シート材に画像を形成する画像形成手段とを備えたこと、
を特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−203044(P2008−203044A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−38365(P2007−38365)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】