説明

位置検出装置及びこれを用いた電気機器、位置検出方法

【課題】被検出体の3次元中の位置を検出することのできる位置検出装置を低価格で得る。
【解決手段】このゲーム機1はペン2と本体3とから構成される。利用者はコントローラとなるペン2を動かすことにより、本体3を制御するが、その際に、ペン2の3次元中の位置を検出し、その位置情報を元にこの制御を行う。第1の超音波受信器5においては、その内部で超音波の一部を反射させる。第1、第2の超音波受信器5、6においては、受信する反射波の方向が互いに逆方向となっており、第2の超音波受信器6は第1の超音波受信器5における場合と逆方向から入射する超音波の入射角度を検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体が発する音波を固定体が受信することにより移動体の位置を検出する位置検出装置、これを用いた電気機器、及び位置検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
利用者が移動体を移動させ、その移動体の位置情報に応じた信号が生成され、固定体がこれに応じて各種の制御を行う機器が多く用いられている。例えば、電子ペンにおいては、移動体となる小型のペンを利用者が移動させ、固定体となるパソコンがその位置情報を認識し、この位置情報に応じて制御を行う。これによって、利用者が実際に紙に文字や図形を書くことと同様の動きで電子ペンを動かせば、その動きによって文字や図形をパソコン上で生成できる。また、ゲーム機においては、移動体となるコントローラを利用者が移動させることにより、固定体となるゲーム機本体がその位置を検出し、それに応じて各種の制御を行う。
【0003】
これらにおいて、移動体の位置情報を検出するためには、超音波が用いられる。また、同時に光(赤外線)も用いられることもある。すなわち、移動体は超音波や赤外線を発信し、これらを固定体に設けられた超音波受信器と赤外線受信器が受信し、その信号から移動体の位置を算出する。ここで、固定体において超音波受信器が複数個あれば、これらの間の超音波の受信タイミングの差から移動体の位置を算出することができる。また、光速は音速よりも大幅に速く、赤外線は瞬時に到達したと見なせるため、受信した赤外線を基準信号とし、超音波により受信した信号の到達時刻を比較することにより、超音波受信器と移動体の距離を算定できる。これを利用して移動体の位置を検出することができる。
【0004】
例えば、特許文献1には、超音波発信器と赤外線センサとを備える電子ペン(被検出体)と、二つの超音波受信器と一つの赤外線発信器を備えた本体(固定体)からなる構成が記載されている。この構成においては、本体が赤外線を発信し、電子ペンがこれを受信すると、超音波を発信し、これを本体の二つの超音波センサが受信し、赤外線発信のタイミングと、二つの超音波受信器が信号を受信したタイミングのずれとから、2次元平面上の位置を検出する。
【0005】
特許文献2には、固定体の4隅に超音波受信器を設け、これらの受信信号から、超音波を発した電子ペンの位置を検出する構成が記載されている。
【0006】
これらの構成により、超音波を発する被検出体の位置を固定体が非接触で認識することができ、その位置情報に応じて各種の制御を行うことができた。これにより、この超音波位置入力装置を用いて電子ペンやゲーム機を機能させることができた。
【特許文献1】特開2004−102896号公報
【特許文献2】特開2005−300504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、超音波を用いて被検出体の3次元的な位置を検出するためには、固定体においては多くの超音波受信器が必要となる。例えば、特許文献1に記載の技術においては、この超音波検出器が2個であるため、固定体は被検出体の平面上における位置のみを検出することができた。従って、文字や図形を描画する電子ペンに用いる場合には有効であったが、被検出体の3次元中の位置を検出することは不可能であった。
【0008】
これに対して、特許文献2に記載の技術においては、3次元中の位置を検出することはできたが、4個の超音波受信器を必要とした。一般に超音波受信器は高価であり、機器のコストに占める割合は高い。従って、必要となる超音波受信器の数が多く、装置全体の価格が高くなった。
【0009】
従って、被検出体の3次元的な位置を検出することのできる超音波位置検出装置を低価格で得ることは困難であった。
【0010】
本発明は上記問題を鑑みてなされたものであり、その目的は、上記課題を解決する超音波位置検出装置および位置検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
請求項1記載の発明の要旨は、被検出体の3次元中の位置を前記被検出体から離間した固定体において検出する位置検出装置であって、前記被検出体に組み込まれ、第1の送信波で変調された電磁波を発する電磁波発信器と、前記被検出体に組み込まれ、第2の送信波で変調された音波を発する音波発信器と、前記固定体に組み込まれ、前記電磁波を受信して復調する電磁波受信器と、前記固定体に組み込まれ、前記音波を受信して電気信号に変換する音波受信子が支柱を介して音波吸収体からなる取付ベースに固定され、該取付ベースの一部には前記音波を反射する反射板が設けられた構造からなる第1及び第2の音波受信器と、を具備することを特徴とする位置検出装置に存する。
請求項2記載の発明の要旨は、前記第1の音波受信器における前記音波受信子からみた前記反射板の設置方向と、前記第2の音波受信器における前記音波受信子からみた前記反射板の設置方向とは略逆向きであることを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置に存する。
請求項3記載の発明の要旨は、前記第1の送信波と前記第2の送信波は同一波形からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の位置検出装置に存する。
請求項4記載の発明の要旨は、前記第2の送信波はランダム信号からなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の位置検出装置に存する。
請求項5記載の発明の要旨は、前記ランダム信号はM系列ビットパターンからなることを特徴とする請求項4に記載の位置検出装置に存する。
請求項6記載の発明の要旨は、前記第1および/または第2の音波受信器が前記音波を受信して復調して生成した第1および/または第2の音波受信波の自己相関関数を算出することにより、前記第1および/または第2の音波受信器に入射した前記音波の入射角度を算出する制御部を具備することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の位置検出装置に存する。
請求項7記載の発明の要旨は、前記制御部は、前記第1の音波受信波と前記第2の音波受信波との相互相関関数を算出することにより、前記音波の第1の音波受信器への受信時刻と前記音波の第2の音波受信器への受信時刻との差を算出することを特徴とする請求項6に記載の位置検出装置に存する。
請求項8記載の発明の要旨は、前記制御部は、前記第1および/または第2の音波受信波と、前記電磁波受信器が前記電磁波を復調して生成した電磁波受信波との相互相関関数を算出することにより、前記被検出体から前記第1および/または第2の音波受信器までの距離を算出することを特徴とする請求項6または7に記載の位置検出装置に存する。
請求項9記載の発明の要旨は、前記電磁波は赤外線であることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の位置検出装置に存する。
請求項10記載の発明の要旨は、前記音波は超音波であることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の位置検出装置に存する。
請求項11記載の発明の要旨は、請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の位置検出装置が用いられたことを特徴とする電気機器に存する。
請求項12記載の発明の要旨は、電磁波を発する電磁波発信器と音波を発する音波発信器とを備えた被検出体の3次元中の位置を、前記被検出体から離間し、前記電磁波を受信する電磁波受信器と前記音波を受信する第1及び第2の音波受信器とを備えた固定体において検出する位置検出方法であって、前記第1および第2の音波受信器において、入射する前記音波を反射させた反射波を受信させる反射板を一部に設け、前記電磁波が前記電磁波受信器に到達した時刻と、前記音波が前記第1および/または第2の音波受信器に到達した時刻の差より、前記被検出体と前記第1および/または第2の音波受信器との距離を算出する距離算出工程と、前記音波が前記第1の音波受信器に到達した時刻と前記音波が前記第2の音波受信器に到達した時刻の差より、前記第1の音波受信器と前記第2の音波受信器とを結ぶ方向における前記被検出体の位置を算出する受信器方向位置算出工程と、前記第1及び第2の音波受信器が前記音波を受信した信号を解析することにより、前記第1および/または第2の音波受信器への前記音波の入射角度を算出する音波方向算出工程と、前記被検出体と前記第1および/または第2の音波受信器との距離、前記第1の音波受信器と前記第2の音波受信器とを結ぶ方向における前記被検出体の位置、および前記第1および/または第2の音波受信器への前記音波の入射角度より、前記被検出体の3次元中の位置を算出する位置算出工程と、を具備することを特徴とする位置検出方法に存する。
請求項13記載の発明の要旨は、前記第1の音波受信器において受信される前記反射波の方向と、前記第2の音波受信器において受信される前記反射波の方向とは略逆向きであることを特徴とする請求項12に記載の位置検出方法に存する。
請求項14記載の発明の要旨は、前記電磁波発信器は、第1の送信波で変調した前記電磁波を発し、前記音波発信器は、第2の送信波で変調した前記音波を発し、前記電磁波受信器は、前記電磁波を受信して復調して電磁波受信波を生成し、前記第1及び第2の音波受信器は、前記音波を受信して復調して第1及び第2の音波受信波を生成することを特徴とする請求項12または請求項13に記載の位置検出方法に存する。
請求項15記載の発明の要旨は、前記音波方向算出工程において、前記第1および/または第2の音波受信波の自己相関関数におけるピークの位置から前記音波の入射角度を算出することを特徴とする請求項14に記載の位置検出方法に存する。
請求項16記載の発明の要旨は、前記距離算出工程において、前記電磁波受信波と前記第1および/または第2の音波受信波の相互相関関数におけるピークの位置から前記被検出体と前記第1および/または第2の音波受信器との距離を算出することを特徴とする請求項14または15に記載の位置検出方法に存する。
請求項17記載の発明の要旨は、前記受信器方向位置算出工程において、前記第1の音波受信波と前記第2の音波受信波との相互相関関数におけるピークの位置から前記到達した時刻の差を算出することを特徴とする請求項14から請求項16までのいずれか1項に記載の位置検出方法に存する。
請求項18記載の発明の要旨は、前記第1の送信波と前記第2の送信波は同一波形からなることを特徴とする請求項14から請求項17までのいずれか1項に記載の位置検出方法に存する。
請求項19記載の発明の要旨は、前記第2の送信波はランダム信号からなることを特徴とする請求項14から請求項18のいずれか1項に記載の位置検出方法に存する。
請求項20記載の発明の要旨は、前記ランダム信号はM系列ビットパターンからなることを特徴とする請求項19に記載の位置検出方法に存する。
請求項21記載の発明の要旨は、前記電磁波は赤外線であることを特徴とする請求項12から請求項20までのいずれか1項に記載の位置検出方法に存する。
請求項22記載の発明の要旨は、前記音波は超音波であることを特徴とする請求項12から請求項21までのいずれか1項に記載の位置検出方法に存する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、被検出体の3次元中の位置を検出することのできる位置検出装置、電気機器を低価格で得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態となる位置検出装置が組み込まれたゲーム機1の構成を示す図である。ここで、このゲーム機1はペン2と本体3とから構成される。利用者はコントローラとなるペン2を動かすことにより、本体3を制御するが、その際に、ペン2の3次元中の位置を検出し、その位置情報を元にこの制御を行う。ここで、この位置検出装置の構成要素となっているのは、被検出体であるペン2に組み込まれた超音波(音波)発信器21、赤外線(電磁波)発信器22と、固定体である本体3における第1及び第2の超音波(音波)受信器5、6、赤外線(電磁波)受信器7、及び後述する制御部である。
【0014】
ペン2には、超音波(音波)発信器21と赤外線(電磁波)発信器22とが設けられており、これらはそれぞれ超音波と赤外線を発信する。超音波発信器21は、PVDF等の圧電材料と電極とで構成され、入力する交流信号に応じた超音波、例えば40kHzの超音波を発する。ただし、この周波数の音波に限られるものではなく、任意の周波数の音波を用いることができる。赤外線発信器22はLED(発光ダイオード)で構成され、赤外線を発信する。同様に、この波長の赤外線に限られるものではなく、任意の波長の電磁波を用いることができる。また、超音波発信器21と赤外線発信器22は所定の送信波で超音波及び赤外線を変調して出力する。
【0015】
このため、このペン2は、こうした信号を出力するための機能を有する。ペン2の構成を示す図が図2である。送信波はトリガ生成部23で生成されるが、ここで生成される送信波は例えばM系列ビットパターン、すなわち、”1”と”0”の2値がランダムに現れる信号である。送信波形形成部24において、超音波発信器21を駆動する交流(例えば40kHz)がこの送信波で変調(例えば位相変調)された後の信号が出力アンプ25に入力される。ここで増幅された信号が超音波発信器21に入力され、これに応じて超音波が発信される。また、トリガ生成部23で生成された送信波は同時に赤外線パターン発生部26にも入力され、赤外線発信器22から発する赤外線がこの送信波で変調されて出力される。なお、トリガ生成部23、送信波形形成部24、赤外線パターン発生部26は、これらの機能を有する装置として一体となって形成され、コンピュータで制御される構成としてもよい。なお、この位置検出装置において、赤外線が反射される箇所が多数あって、各箇所で反射された赤外線の到達時刻に差があっても、その差は無視できる。また、他に赤外線を使用する機器があっても、この位置検出装置との間で混信を生じず、赤外線の到達時刻を認識することができるものであれば、赤外線を変調する送信波(第1の送信波)の波形と超音波を変調する送信波(第2の送信波)の波形とを異ならせてもよい。特に、第1の送信波に関しては、より単純なパターン、例えば1パルスのパターンとしてもよい。
【0016】
本体3においては、ディスプレイ4の左右に超音波受信器5、6が、上側に赤外線受信器7が配置されている。これらは、前記の通りに発信された超音波と赤外線を受信する。なお、ペン2における超音波発信器21及び赤外線発信器22は超音波及び赤外線を放射する点源とみなせる程度の大きさであり、ペン2が本体3の正面側にあれば、その位置に関わらず放射された超音波及び赤外線は本体3に達するものとする。
【0017】
第1の超音波受信器5の構成を示す図が図3(a)(b)である。図3(a)はこの超音波受信器5を正面、すなわちディスプレイ4の正面から見た図であり、図3(b)は側面(ディスプレイ4の右側)から見た図である。この超音波受信器5においては、超音波受信子51が超音波を受信し、電気信号に変換して出力する。超音波受信子51は支柱52を介して取付ベース53に固定され、ディスプレイ4に固定されている。ここで、図3(a)に示されるように、超音波受信子51は円板状であり、取付ベース53はこれよりも大きな円板状となっている。ただし、取付ベース53の一部(図3中では下側)には反射板54が設けられている。ここで、AとB、CとDはそれぞれ同一の超音波発信器21から発されたものとする。第1の超音波受信器5においては、その内部で超音波の一部を反射させる。この反射波を受信することにより、受信した超音波の入射角度を検出することができる。
【0018】
超音波受信子51は、超音波発信器21と同様に、例えば薄板状の圧電フィルムと電極とで構成される。この超音波受信子51は受信した超音波を電気信号に変換する。また、超音波受信子51が超音波を受信するに際しては特に指向性はなく、図3(b)においては、図中で左側から入射する超音波及び右側から入射する超音波のどちらも受信することができる。
【0019】
取付ベース53は、超音波を吸収する音波吸収体、例えばゴム、スポンジ等で構成される。従って、取付ベース53に入射した超音波(D)は反射されずに吸収される。
【0020】
逆に、反射板54は、超音波を反射する材料、例えば金属板で構成される。従って、反射板54に入射した超音波はこれによって反射される。
【0021】
ここで、ペン2(超音波発信器21)が充分小さければ点源とみなせるため、その位置を検出するためには超音波受信子51が受信した超音波の入射角度を検出することが必要である。
【0022】
以上の構成において、図3(b)に示されるように、超音波受信子51が受信する超音波には、ペン2から発されて超音波受信子51に直接入射する超音波(A)と、ペン2から発され、一度反射板54で反射されてから超音波受信子51に入射する超音波(B)がある。図3(b)に示すように、ディスプレイ4の面の鉛直方向から見た超音波の入射角度をθとする。Aの経路の超音波とBの経路の超音波はいずれも同一の超音波発信器21から発信されたものであるため、厳密にはθはAとBとで異なるが、ペン2(超音波発信器21)と超音波受信子51との距離がこの超音波受信器5の大きさ(図3(b)中での上下方向の長さ)よりも充分に大きければ、θはAとBとで等しいとみなせる。
【0023】
図3(b)に示されるように、Bの経路の超音波は、Aの経路の超音波と比べて経路が長くなるため、同時刻にペン2から発された場合でも、Aの経路の超音波よりも遅れて到達する。この遅延時間はθに依存する。すなわち、θが小さい(0度に近い)場合にはこの遅延時間は短く、θが大きい(90度に近い)場合にはこの遅延時間は大きくなる。従って、反射波の遅延時間を検出すれば、θが算出できる。
【0024】
反射波の遅延時間を算出する方法について以下に説明する。図4はこの方法を示す概念図である。前記の通り、受信する超音波はランダム信号で変調されており、これを復調した信号(受信波)はこのランダム信号となる。図4上に示されるように、Aの経路を通った後の受信波(直接波)とBの経路を通った後の受信波(反射波)は相似関係となるランダム波形である。反射波は直接波から遅延して超音波受信子51に到達する。ただし、実際にはどちらの経路の超音波も区別無く共に超音波受信子51が受信して電気信号に変換され、受信波として検出される。従って、図4下に示すように、検出された受信波の自己相関関数を算出した場合、この自己相関関数は遅延時間が零のところで最大値をとるが、反射波の遅延時間のところでも強い相関が現れ、これに対応するピークが得られる。ここで、受信波(送信波)に周期成分があると、複数のピークが発生することがあるため、送信波をランダムとすることによって、他のピークを出にくくし、このピークの明瞭性を高めることができる。
【0025】
この遅延時間はθが0°の時に最小となり、その値は支柱52の高さ(図3(b)中では左右の長さI)で決定される。Iが小さく、この最小遅延時間が短すぎると、検出される遅延時間の絶対値が小さくなるため、その検出が困難となる。また。Iが大きく、この最小遅延時間が大きいと、超音波信号をランダムとした場合であっても、自己相関関数のピークが相対的に小さくなり、遅延時間の判別が困難となる。
【0026】
この遅延時間に相当する距離差(遅延時間に音速を乗じた値)は、2×I×cos(θ)となる。有効な検出角度の最大値を30°とすると、この距離差は2Iから√(3)×Iの範囲で変動する。例えば周波数が40kHzの超音波を用いる場合、大気中におけるその波長は8mm程度である。M系列ビットパターンで超音波を変調する場合、遅延時間の検出を自己相関関数で容易に行うためには、この最小遅延時間に対応する距離を概ね5波長程度以上とすることが好ましい。この距離差の最小値は√(3)×Iとなるため、Iの最小値は23mm程度となる。
【0027】
反射板54の面積が小さすぎると、超音波受信子51が受信する反射波の強度が小さくなるため、上記のピークの検出が困難となる。従って、反射板54の大きさは、最低でも3波長分程度あることが好ましく、40kHzの超音波を用いた場合には24mm程度である。
【0028】
また、例えばゲーム機1が使用される際には、ペン2から発せられた超音波は反射板54以外の様々な箇所で反射された後に超音波受信子51に受信されるため、これによる反射波も前記の自己相関関数に現れることになる。しかしながら、こうした意図しない反射波による距離差は、数cm以上、例えば10cm以上となるため、反射板54によって生じた距離差よりも大きくなる。従って、図4下における自己相関関数には複数のピークが生ずるが、その中で(零よりも大きな)最も短い時間にあるピークが、反射板54によって生じたものとなり、そのピークの時間が遅延時間となる。
【0029】
例えば、このゲーム機1において、ペン2を指揮棒とした音楽演奏ゲームを行う場合、この指揮棒(ペン2)の長さを前記の距離差の最小値よりも充分に大きくすれば、反射波54によって生じた遅延時間の検出が容易となり、例えば指揮棒の長さを30cmとすればよい。
【0030】
ただし、図3(b)から明らかなように、この超音波受信子51は、図3中で水平方向から下側、すなわち反射板54が設けられた側の方向(A、B)から入射する超音波、及びその反対側から入射する直接波(C)を受信することはできるが、反対側から入射する反射波(D)を受信することはできない。従って、図3(b)におけるθが正の方向であるとすると、この超音波受信器5は、正の値のθのみを検出することができる。
【0031】
ここで、第2の超音波受信器6は、第1の超音波受信器5と同様の構成とするが、超音波受信子に対する反射板64の設置方向を第1の超音波受信器5の場合と逆向きにする。すなわち、図5にこの時の本体3の構成を示すように、左側にある第1の超音波受信器5においては反射板54は下側、右側にある第2の超音波受信器6においては反射板64は上側に設けられている。これにより、第1、第2の超音波受信器5、6においては、受信する反射波の方向が互いに逆方向となっており、第2の超音波受信器6は第1の超音波受信器5における場合と逆方向から入射する超音波の入射角度を検出することができる。従って、正のθは第1の超音波受信器5で、負のθは第2の超音波受信器6で検出される。従って、ディスプレイ4の面の鉛直方向からの超音波の入射角度θは第1または第2の超音波受信器5または6により検出できる。垂直方向におけるこの角度の方向にペン2が存在することになる。なお、ペン2の存在する位置範囲が予め限定され、θが正または負のいずれかの値しか取り得ない場合には、上記の自己相関関数の算出は一方についてのみ行ってもよい。
【0032】
一方、図1におけるペン2の水平方向における位置と、第1、第2の超音波受信器5及び6からペン2までの距離は、特許文献1に記載の場合と同様にして算出される。
【0033】
すなわち、ペン2の水平方向における位置は第1、第2の超音波受信器5と6において受信されたランダム信号の受信タイミングのずれを解析することにより求まる。例えば、第1、第2の超音波受信器5、6における受信波の相互相関関数を算出すれば、図4と同様にして、そのピークの位置からこれらの間の超音波の到達時刻の差が算出できる。ペン2は水平方向において、先に超音波を受信した超音波受信器の側に存在することになり、これから水平方向の位置が算出できる。
【0034】
また、図2に示したように、赤外線発信器22が発する赤外線信号と超音波信号が同一波形の送信波で変調されている場合(第1の送信波と第2の送信波とが同一波形からなる場合)には、赤外線受信器7が受信した信号を復調した赤外線受信波は、超音波受信器5及び6が受信する直接波と相似形状のランダム波形となっている。従って、この赤外線受信波と超音波受信器5および/または6の受信波との相互相関関数を算出すれば、これらの間の到達時刻の差が、図4と同様にして求まる。光速は音速よりも大幅に大きく、赤外線は赤外線発信器22から瞬時に赤外線受信器7に到着したとみなせるため、赤外線信号と超音波信号が同一波形の送信波で変調されていなくとも、これらの間の到達時刻の差から、ペン2から超音波受信器5および/または6との距離が算出できる。なお、この場合、赤外線受信器7は、ディスプレイ4の近傍であれば特にその位置は限定されない。
【0035】
従って、本体3から見たペン2の存在する垂直方向の角度、水平方向におけるペン2の位置、及びペン2までの距離が、第1、第2の超音波受信器5、6、及び赤外線受信器7の受信波を解析することによって算出できる。これにより、ペン2の3次元中の位置が算出できる。
【0036】
なお、第1、第2の超音波受信器5、6の配置を、図1、5以外の構成とすることもできる。例えば、図6の構成としてもよい。この場合には、第1の超音波受信器5をディスプレイ4の上側に設け、反射板54をその右側に設ける。第2の超音波受信器6はディスプレイ4の下側に設け、反射板64はその左側に設ける。この場合、ペン2の存在する水平方向の角度が図4に示した方法で第1及び第2の超音波受信器5及び6を用いて算出される。また、垂直方向におけるペン2の位置が、第1及び第2の超音波受信器5と6の受信波の相互相関関数を解析することによって算出される。従って、前記と同様にペン2の3次元中の位置が算出できる。
【0037】
この位置算出は本体3において行われる。このため、本体3はマイコン等で構成された制御部を有し、赤外線受信波及び2箇所の超音波受信波を用いた解析を行う。この動作を示すフロー図が図7である。なお、ここで用いる本体3の構成は、図1、図4に示したものとする。ただし、超音波受信器5、6、赤外線受信器7は本体3に設ける必要があるが、この制御部は必ずしも本体3中に設ける必要はなく、同様の動作が可能であれば、他の箇所に別途設けてもよい。
【0038】
まず、制御部は、赤外線受信器7及び超音波受信器5、6を参照して、赤外線及び超音波が受信されたか否かを判定する(S1)。これらが受信されていなければ、ペン2は動作していないか、ペン2が検出範囲外にあると判定し、受信されるまで待機する。
【0039】
これらが検出されていた場合、この検出時刻をtとし、制御部はこれらの間の相互相関関数を算出する(S2)。すなわち、赤外線受信器7が受信した赤外線を復調して得られた赤外線受信波と、超音波受信器5が受信した超音波を復調して得られた超音波受信波(第1の超音波受信波)との相互相関関数(第1の相互相関関数)を算出する。同時に、この赤外線受信波と、超音波受信器6が受信した超音波を復調して得られた超音波受信波(第2の超音波受信波)との相互相関関数(第2の相互相関関数)も算出する。ここで、これらの処理に用いられる赤外線受信波、第1及び第2の超音波受信波は例えば、t以前の一定時間T内の時系列データとしてファーストインファーストアウト(FIFO)型メモリに記憶されている。この長さTは、M系列ビットパターンにおける疑似ランダムパターンのビット長以上が必要となる。具体的には、第1の相互相関関数CIU1(τ)、第2の相互相関関数CIU2(τ)は、赤外線受信波I(t)、第1の超音波受信波U1(t)、第2の超音波受信波U2(t)を用いて、下記の式で計算される。
【0040】
【数1】

【数2】

【0041】
ここで、積分はメモリに記憶された一定時間T内のデータについて行われる。
【0042】
次に、以上に計算された相互相関関数において、強い相関が見られた点があったか否かを判定する(S3)。具体的には、第1の相互相関関数CIU1(τ)及び第2の相互相関関数CIU2(τ)の値において、予め設定された閾値を超える点があった場合には、強い相関があったと判定する。あるいは、この判定はCIU1(τ)、CIU2(τ)の変化率を元に行ってもよい。強い相関が認められなかった場合は、第1の超音波受信波U1(t)、第2の超音波受信波U2(t)を新たにサンプリングし、再びS2の工程を行う。
【0043】
強い相関が認められた場合には、CIU1(τ)、CIU2(τ)より、ペン2から第1及び第2の超音波受信器5、6までの前後方向の距離を算出する(S4:距離算出工程)。具体的には、CIU1(τ)においてピークをもつτの値から第1の超音波受信器5における遅延時間が、CIU2(τ)においてピークをもつτの値から第2の超音波受信器6における遅延時間が算出される。これらの遅延時間に音速(大気中では約340m/s)を乗じた値がペン2から第1、第2の超音波受信器5、6までの前後方向の距離となる。すなわち、この距離算出工程においては、赤外線が赤外線受信器7に到達した時刻と、超音波が第1、第2の超音波受信器5、6に到達した時刻の差より、ペン2と第1、第2の超音波受信器5、6との距離を算出する。
【0044】
次に、二つの超音波受信器5、6間の相互相関関数CU1U2(τ)を算出する(S5)。具体的には、CU1U2(τ)は下記の式で算出される。
【数3】

【0045】
ここで、積分範囲についてはCIU1(τ)、CIU2(τ)と同様である。
【0046】
次に、この相互相関関数CU1U2(τ)において、強い相関が見られた点があったか否かを判定する(S6)。この手法はCIU1(τ)、CIU2(τ)について行ったS3の場合と同様である。強い相関が認められなかった場合は、第1の超音波受信波U1(t)、第2の超音波受信波U2(t)を新たにサンプリングし、再びS5の工程を行う。
【0047】
強い相関が認められた場合には、CU1U2(τ)、第1及び第2の超音波受信器5と6における超音波の到達時刻の差が算出され、これにより、第1及び第2の超音波受信器5と6を結ぶ方向(この場合は水平方向)におけるペン2の位置が算出される(S7:受信器方向位置算出工程)。すなわち、この受信器方向位置算出工程においては、超音波が第1の超音波受信器5に到達した時刻と、超音波が第2の超音波受信器6に到達した時刻の差より、第1の超音波受信器5と第2の超音波受信器6とを結ぶ方向におけるペン2の位置を算出する。
【0048】
次に、第1及び第2の超音波受信器5、6の受信波におけるそれぞれの自己相関関数CU1(τ)、CU2(τ)を算出する(S8)。具体的には、CU1(τ)、CU2(τ)は下記の式で算出される。
【数4】

【数5】

【0049】
次に、これらの自己相関関数CU1(τ)、CU2(τ)において、明確なピークが見られた点があったか否かを判定する(S9)。この手法はCIU1(τ)、CIU2(τ)について行ったS3の場合と同様である。明確なピークが認められなかった場合は、第1の超音波受信波U1(t)、第2の超音波受信波U2(t)を新たにサンプリングし、再びS8の工程を行う。
【0050】
CU1(τ)、CU2(τ)のいずれかに明確なピークが認められた場合には、このピークの位置から、第1及び第2の超音波受信器5、6における遅延時間が算定され、前記の方法により、垂直方向における超音波の入射角度θが算出される(S10:音波方向算出工程)。すなわち、この音波方向算出工程においては、第1及び第2の超音波受信器5、6が音波を受信した信号を解析することにより、第1、第2の超音波受信器5、6への音波の入射角度を算出する。
【0051】
以上の手法により、ペン2と第1、第2の超音波受信器5、6との距離、ペン2の水平方向における位置、第1、第2の超音波受信器5、6から見たペン2の垂直方向における角度が算出される。これによって、ペン2の3次元中の位置が算出される(S11:位置算出工程)。すなわち、この位置算出工程では、ペン2と第1、第2の超音波受信器5、6との距離、第1の超音波受信器5と第2の超音波受信器6とを結ぶ方向におけるペン2の位置、および第1、第2の超音波受信器5、6への音波の入射角度から、ペン2の3次元中の位置を算出する。
【0052】
なお、S3、S6において強い相関が認められなかったために、超音波受信波のサンプリングを新たに行なう際に、タイムアウト処理を設けてもよい。この場合、強い相関が認められなかった時間が予め設定された所定時間を経過した場合には、赤外線信号の受信(S1)から再び処理を行う設定とする。S9において明確なピークが認められなかった場合についても同様である。これにより、より正確にペン2の位置を検出することが可能である。
【0053】
以上の実施の形態においては、1個の赤外線受信器と2個の超音波受信器によって、ペン2の3次元中の位置を検出している。これは、各超音波受信器の一部に反射板を設け、前記の方法によって超音波の入射角度を検出していることによって可能となっている。
【0054】
各超音波受信器は図3に示した通り、従来の超音波受信器に支柱52と反射板54を設けただけの単純な構造である。従って、これらの製造は容易であり、その製造コストも従来の超音波受信器と大差ない。従って、移動体の3次元中の位置を検出することのできる位置検出装置、これを用いた電気機器を低価格で得ることができる。
【0055】
ただし、より正確に位置検出を行うためには、同様の構造の超音波受信器を3個以上用いた構成としてもよい。この場合は、前記の実施の形態よりも高コストとなるが、前記の実施の形態よりも正確な位置検出が可能となる。
【0056】
なお、上記の例では、赤外線及び超音波を変調する送信波はランダム信号からなるものとしたが、これに限られるものではない。図4に示した第1及び第2の超音波受信波における遅延時間、第1の超音波受信器と第2の超音波受信器との到達時刻の差、赤外線受信波から第1及び第2の超音波受信波との到達時刻の差を検出する基準となるものであれば、任意の波形の送信波を用いることができる。
【0057】
また、上記の例では、この位置入力装置はゲーム機に組み込まれ、ペンの位置を検出する例につき記載したが、これに限られるものではない。同様に超音波及び赤外線を発するものであればペンの代わりに用いることができる。例えば、マウス、各種のコントローラの3次元中の位置を同様にして検出することが可能である。また、ゲーム機に限らず、一般のパーソナルコンピュータや、遠隔操作が行われる各種の電気機器に組み込んで用いることもできる。
【0058】
また、上記の例では、赤外線と超音波を位置検出に用いていたが、これらに限られるものではない。ペン(被検出体)から発することができ、かつ送信波を変調でき、本体における検知機が受信できるものであれば、同様に用いることができる。例えば、赤外線の代わりに任意の電磁波、例えば、より波長の長いマイクロ波等の電磁波を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態となる位置検出装置が組み込まれたゲーム機の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態となる位置検出装置が組み込まれたゲーム機において用いられるペンの構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態となる位置検出装置に用いられる超音波受信器の構造を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態となる位置検出装置に用いられる超音波受信器において超音波の入射角度を検出する方法の概要を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態となる位置検出装置が組み込まれたゲーム機本体の構成の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態となる位置検出装置が組み込まれたゲーム機本体の構成の他の例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態となる位置検出方法を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0060】
1 ゲーム機
2 ペン(被検出体)
3 本体(固定体)
4 ディスプレイ
5 第1の超音波(音波)受信器
6 第2の超音波(音波)受信器
7 赤外線(電磁波)受信器
21 超音波(音波)発信器
22 赤外線(電磁波)発信器
23 トリガ生成部
24 送信波形形成部
25 出力アンプ
26 赤外線パターン発生部
51 超音波受信子
52 支柱
53 取付ベース
54、64 反射板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検出体の3次元中の位置を前記被検出体から離間した固定体において検出する位置検出装置であって、
前記被検出体に組み込まれ、第1の送信波で変調された電磁波を発する電磁波発信器と、
前記被検出体に組み込まれ、第2の送信波で変調された音波を発する音波発信器と、
前記固定体に組み込まれ、前記電磁波を受信して復調する電磁波受信器と、
前記固定体に組み込まれ、前記音波を受信して電気信号に変換する音波受信子が支柱を介して音波吸収体からなる取付ベースに固定され、該取付ベースの一部には前記音波を反射する反射板が設けられた構造からなる第1及び第2の音波受信器と、
を具備することを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
前記第1の音波受信器における前記音波受信子からみた前記反射板の設置方向と、前記第2の音波受信器における前記音波受信子からみた前記反射板の設置方向とは略逆向きであることを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記第1の送信波と前記第2の送信波は同一波形からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記第2の送信波はランダム信号からなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の位置検出装置。
【請求項5】
前記ランダム信号はM系列ビットパターンからなることを特徴とする請求項4に記載の位置検出装置。
【請求項6】
前記第1および/または第2の音波受信器が前記音波を受信して復調して生成した第1および/または第2の音波受信波の自己相関関数を算出することにより、前記第1および/または第2の音波受信器に入射した前記音波の入射角度を算出する制御部を具備することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の位置検出装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記第1の音波受信波と前記第2の音波受信波との相互相関関数を算出することにより、前記音波の第1の音波受信器への受信時刻と前記音波の第2の音波受信器への受信時刻との差を算出することを特徴とする請求項6に記載の位置検出装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記第1および/または第2の音波受信波と、前記電磁波受信器が前記電磁波を復調して生成した電磁波受信波との相互相関関数を算出することにより、前記被検出体から前記第1および/または第2の音波受信器までの距離を算出することを特徴とする請求項6または7に記載の位置検出装置。
【請求項9】
前記電磁波は赤外線であることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の位置検出装置。
【請求項10】
前記音波は超音波であることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の位置検出装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の位置検出装置が用いられたことを特徴とする電気機器。
【請求項12】
電磁波を発する電磁波発信器と音波を発する音波発信器とを備えた被検出体の3次元中の位置を、前記被検出体から離間し、前記電磁波を受信する電磁波受信器と前記音波を受信する第1及び第2の音波受信器とを備えた固定体において検出する位置検出方法であって、
前記第1および第2の音波受信器において、入射する前記音波を反射させた反射波を受信させる反射板を一部に設け、
前記電磁波が前記電磁波受信器に到達した時刻と、前記音波が前記第1および/または第2の音波受信器に到達した時刻の差より、前記被検出体と前記第1および/または第2の音波受信器との距離を算出する距離算出工程と、
前記音波が前記第1の音波受信器に到達した時刻と前記音波が前記第2の音波受信器に到達した時刻の差より、前記第1の音波受信器と前記第2の音波受信器とを結ぶ方向における前記被検出体の位置を算出する受信器方向位置算出工程と、
前記第1及び第2の音波受信器が前記音波を受信した信号を解析することにより、前記第1および/または第2の音波受信器への前記音波の入射角度を算出する音波方向算出工程と、
前記被検出体と前記第1および/または第2の音波受信器との距離、前記第1の音波受信器と前記第2の音波受信器とを結ぶ方向における前記被検出体の位置、および前記第1および/または第2の音波受信器への前記音波の入射角度より、前記被検出体の3次元中の位置を算出する位置算出工程と、
を具備することを特徴とする位置検出方法。
【請求項13】
前記第1の音波受信器において受信される前記反射波の方向と、前記第2の音波受信器において受信される前記反射波の方向とは略逆向きであることを特徴とする請求項12に記載の位置検出方法。
【請求項14】
前記電磁波発信器は、第1の送信波で変調した前記電磁波を発し、
前記音波発信器は、第2の送信波で変調した前記音波を発し、
前記電磁波受信器は、前記電磁波を受信して復調して電磁波受信波を生成し、
前記第1及び第2の音波受信器は、前記音波を受信して復調して第1及び第2の音波受信波を生成することを特徴とする請求項12または請求項13に記載の位置検出方法。
【請求項15】
前記音波方向算出工程において、
前記第1および/または第2の音波受信波の自己相関関数におけるピークの位置から前記音波の入射角度を算出することを特徴とする請求項14に記載の位置検出方法。
【請求項16】
前記距離算出工程において、
前記電磁波受信波と前記第1および/または第2の音波受信波の相互相関関数におけるピークの位置から前記被検出体と前記第1および/または第2の音波受信器との距離を算出することを特徴とする請求項14または15に記載の位置検出方法。
【請求項17】
前記受信器方向位置算出工程において、
前記第1の音波受信波と前記第2の音波受信波との相互相関関数におけるピークの位置から前記到達した時刻の差を算出することを特徴とする請求項14から請求項16までのいずれか1項に記載の位置検出方法。
【請求項18】
前記第1の送信波と前記第2の送信波は同一波形からなることを特徴とする請求項14から請求項17までのいずれか1項に記載の位置検出方法。
【請求項19】
前記第2の送信波はランダム信号からなることを特徴とする請求項14から請求項18のいずれか1項に記載の位置検出方法。
【請求項20】
前記ランダム信号はM系列ビットパターンからなることを特徴とする請求項19に記載の位置検出方法。
【請求項21】
前記電磁波は赤外線であることを特徴とする請求項12から請求項20までのいずれか1項に記載の位置検出方法。
【請求項22】
前記音波は超音波であることを特徴とする請求項12から請求項21までのいずれか1項に記載の位置検出方法。









【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−26111(P2009−26111A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−189221(P2007−189221)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】