説明

位置検出装置

【課題】簡単な構造で安価に検知領域の範囲に近接等する検知対象物の位置や距離を確実に検出し、設計自由度を向上させる。
【解決手段】位置検出装置100は、静電容量センサ部10および検出回路部20を備え、静電容量センサ部10は、第1および第2検知電極11,12と、これらの間に配置された誘電体19とからなる。誘電体19は、検知面19a上に検知領域の範囲Lを形成する。検出回路部20は、静電容量検知回路21,22と、A/D変換器23,24と、演算処理回路25とを備え、各静電容量検知回路21,22は演算処理回路25の制御により周期的に同期がとられて動作する。各検知電極11,12にて検知された静電容量の検出値C1,C2に基づき、演算処理回路25によって検知領域の範囲Lにおける検知対象物の位置を判定して検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、静電容量変化によって人体などの検知対象物の近接あるいは接触を検知して、検知対象物の位置や距離を判定し検出する位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人体などの検知対象物の近接等を検知するものとして、例えば次のようなものが知られている。下記特許文献1に開示されている照明点灯装置は、物体の接近を検知する電極と、この電極の静電容量の変化を検知する静電容量型センサと、この静電容量型センサの50ミリ秒から120ミリ秒までの時間幅を有する出力変化に応答する時間選択回路と、この時間選択回路の出力に基づいて点灯および消灯信号を出力する制御回路と、この制御回路の出力に基づいて開閉する開閉器とを有し、操作者の手の動きに反応するとされている。
【0003】
また、下記特許文献2に開示されている静電容量式近接センサは、被検出体が近接することにより静電容量が変化するセンサ部と、このセンサ部の静電容量に基づく検知信号を出力する検知回路とを備え、被検出体の非検出時に、較正命令に基づいて回路に固有の初期容量値に対応した検知信号を観測し、これを相殺する減算電圧を減算電圧発生回路から発生させ、減算回路は、減算電圧を検知信号から減算して較正後検知信号を出力するとされている。
【0004】
そして、これら特許文献1および2の静電容量型センサ(あるいは静電容量式センサ)にて、物体(被検出体)の位置検出分解能を向上させるためには、次のような構成が考えられる。すなわち、図9(a)に示すように、複数の検知電極301〜305を高密度で配置し、各検知電極301〜305に対してそれぞれ静電容量検知回路311〜315を設けたり、同図(b)に示すように、回路数を減らすために複数の検知電極301〜304と一つの静電容量検知回路311との間に、電極数と同等(あるいは電極数よりも少ない数)の切替器(メカニカルリレー、アナログスイッチ、フォトMOSリレー等)SW1〜SW4を設けて、各検知電極301〜304に接続される静電容量検知回路311を走査(スキャン)して測定することなどが行われる。
【0005】
【特許文献1】特開平8−64364号公報
【特許文献2】特開2006−177838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したような構成のセンサでは、静電容量検知回路の増加は回路自体が高価であり配線等も複雑になることから、コストアップに繋がってしまうという問題がある。また、切替器を複数設けて静電容量検知回路の数を減らしても、配線等が複雑になることに変わりはなく、かつ一つの検知電極あたりの測定時間が増加してしまうという問題がある。
【0007】
また、検知領域の範囲の下方にセンサが配置されるため、検知領域の範囲の構造が複雑となり、例えば検知領域の範囲に透明性のあるデザインを施した場合には検知電極が可視状態となってしまい設計自由度を向上させることができず、この検知電極を隠すためには隠蔽するための部品が別途必要になったり構造が複雑化したりして、やはりコストアップに繋がってしまうという問題がある。
【0008】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、簡単な構造で安価に検知領域の範囲に近接等する検知対象物の位置や距離を確実に検出することができるとともに、設計自由度を向上させることができる位置検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明に係る位置検出装置は、検知領域の範囲を画定する検知面を有する誘導体と、前記検知面上に形成された前記検知領域の範囲に存して前記誘電体に近接または接触する検知対象物を静電容量により検知可能に設けられた複数の検知電極と、前記複数の検知電極それぞれからの検知信号に基づく静電容量値を検出するとともに、各検知電極にセンサ電位を与え、周期的に同期される複数の検出回路と、前記複数の検出回路からの出力に基づいて、前記検知領域の範囲における前記検知対象物の位置および前記検知対象物の前記検知面からの距離の少なくとも一つを判定して検出する判定検出手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、この発明に係る位置検出装置は、検知領域の範囲を画定する検知面を有する誘電体と、前記検知面上に形成された前記検知領域の範囲に存して前記誘電体に近接または接触する検知対象物を静電容量により検知可能に設けられた複数の検知電極と、前記複数の検知電極のうち、前記検知対象物を検知可能となるように接続された検知電極からの検知信号に基づく静電容量値を検出する検出回路と、前記複数の検知電極のうち、前記検出回路に接続された検知電極と同電位のセンサ電極を他の検知電極に与えるダミーセンサ部と、前記複数の検知電極のうち、少なくとも一の検知電極を前記検出回路に接続させるとともに、他の検知電極を前記ダミーセンサ部に接続させるように前記検出回路に接続させる検知電極を順次切り替える複数の切替スイッチと、接続された各検知電極ごとの前記検出回路からの出力を比較して、比較結果に基づき前記検知領域の範囲における前記検知対象物の位置および前記検知対象物の前記検知面からの距離の少なくとも一つを判定して検出する判定検出手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
この発明に係る位置検出装置は、上記のように構成することにより、簡単な構造で安価に検知領域の範囲に近接等する検知対象物の位置や距離を確実に検出することができる。
【0012】
なお、例えば前記判定検出手段からの判定検出結果に関する情報を出力する情報出力手段を備えてもよい。
【0013】
前記判定検出手段は、例えば前記複数の検出回路からの出力の比較結果に基づいて前記検知対象物の位置を判定して検出するとともに、前記複数の検出回路からの出力の和に基づいて前記検知対象物の前記検知面からの距離を判定して検出する。
【0014】
また、前記判定検出手段は、例えば前記複数の切替スイッチを制御して、前記複数の検知電極のうちの一の検知電極を前記検出回路に接続し他の検知電極を前記ダミーセンサ部に接続した場合は前記検知対象物の位置を判定して検出するとともに、前記複数の検知電極をすべて前記検出回路に接続した場合は前記検知対象物の前記検知面からの距離を判定して検出する。
【0015】
さらに、前記判定検出手段は、例えば前記複数の切替スイッチの切替状態を所定時間ごとに制御して、前記検知対象物の位置および前記検知対象物の前記検知面からの距離をそれぞれ判定して検出する。
【0016】
前記検出回路は、例えば前記複数の検知電極とそれぞれ一対一に接続され、各検知電極により検知された静電容量を示す情報を出力する複数の静電容量検知回路を備え、前記比較判定手段は、例えば前記複数の静電容量検知回路からの前記情報に基づく静電容量値を比較演算および和算の少なくとも一つを行うことにより、前記検知領域の範囲における前記検知対象物の位置および前記検知対象物の前記検知面からの距離の少なくとも一つを判定して検出する演算処理回路からなる。
【0017】
また、前記検出回路は、例えば前記複数の検知電極とそれぞれ前記複数の切替スイッチを介して一対一に接続され、各検知電極により検知された静電容量を示す情報を出力する静電容量検知回路を備え、前記判定検出手段は、例えば前記静電容量検知回路からの前記情報に基づく静電容量値を演算することにより、前記検知領域の範囲における前記検知対象物の位置および前記検知対象物の前記検知面からの距離の少なくとも一つを判定して検出する演算処理回路からなる。
【0018】
前記複数の検知電極は、例えば前記検知領域の範囲を形成する前記検知面を間に挟むようにその電極面がそれぞれ対向する状態で配置されるとよい。
【0019】
前記誘電体は、例えば透明または半透明材料からなり、円柱状、角柱状または平板状に形成される。これにより、例えばデザイン面などにおける設計自由度を向上させることができる。
【0020】
例えば、前記複数の検知電極は2つであり、前記誘電体の一対の側面にそれぞれ接続配置されるとよい。
【0021】
また、例えば、前記複数の検知電極は4つであり、前記誘電体の一の周方向の側面にそれぞれ接続配置されるとよい。
【0022】
前記複数の検知電極は、例えば前記検知面に対してそれぞれの電極面が直交するように接続配置されてもよい。
【0023】
また、前記複数の検知電極は、例えば前記検知面に対してそれぞれの電極面が前記検知領域の範囲の方向に向けて鈍角となるように接続配置されてもよい。
【0024】
前記複数の検知電極の電極面とは反対側の裏面側に、例えばそれぞれ検知電極に対して絶縁された上でセンサ電位で駆動され、前記複数の検知電極の裏面側の検知をシールドするシールド電極を備えてもよい。
【0025】
また、前記複数の検知電極の電極面と同一平面上の周囲に、例えばそれぞれ検知電極に対して絶縁された上でセンサ電位で駆動され、前記複数の検知電極の周囲の検知をシールドするシールド電極を備えてもよい。
【発明の効果】
【0026】
この発明によれば、簡単な構造で安価に検知領域の範囲に近接等する検知対象物の位置や距離を確実に検出することができるとともに、設計自由度を向上させることができる位置検出装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、添付の図面を参照して、この発明に係る位置検出装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明の第1実施形態に係る位置検出装置の全体構成の例を示す説明図、図2は同位置検出装置の一部の他の構成例を示す斜視図、図3は同位置検出装置の位置判定検出動作を説明するための説明図である。
【0029】
図1に示すように、位置検出装置100は、主に人体の指などの検知対象物を検知する箇所などに配置される静電容量センサ部10と、この静電容量センサ部10と図示しない基板などを介して一体に、あるいは別体に配置される検出回路部20とから構成されている。
【0030】
静電容量センサ部10は、検知対象物の近接や接触を静電容量により検知するものであり、例えば第1検知電極11および第2検知電極12の複数の検知電極と、これら第1および第2検知電極11,12間に配置された誘電体19とを備えて構成されている。誘電体19は、例えば一の側面に検知領域の範囲Lを画定する検知面19aを有し、ここでは透明または半透明性の角柱状に形成されたプラスチックやセラミック、その他の材料からなる。また、誘電体19は、比誘電率が1を超えるものであり、本例では比誘電率は1より十分大きく(例えば3に)なっている。
【0031】
第1および第2検知電極11,12は、誘電体19による検知領域の範囲L内やその近傍に配置され、検知面19a上に形成された検知領域の範囲Lに存して誘電体19に近接あるいは接触する検知対象物を静電容量により検知可能に設けられている。ここでは、第1および第2検知電極11,12の電極面(図示せず)が誘電体19の長手方向の一対の側面にてそれぞれ対向し、かつ検知面19aを間に挟むとともにこの検知面19aと直交する状態で誘電体19と接続されて配置されている。
【0032】
一方、検出回路部20は、ここでは、静電容量センサ部10の各検知電極11,12からの検知信号に基づく静電容量値を検出し、検知領域の範囲Lにおける検知対象物の位置および検知対象物の検知面19aからの距離の少なくとも一つを判定して検出するものである。
【0033】
この検出回路部20は、例えば各検知電極11,12をセンサ電位にて駆動し、各検知電極11,12からの検知信号に基づく静電容量値を検出する静電容量検知回路21,22と、これら静電容量検知回路21,22からのアナログ信号出力をそれぞれディジタル信号に変換して出力するA/D変換器23,24と、これらA/D変換器23,24からのディジタル信号に基づいて静電容量値を演算し、上述したように検知対象物の位置や距離を判定して検出する演算処理回路25とを備えて構成されている。
【0034】
なお、演算処理回路25は、判定検出手段として機能し、本例では検出回路部20内に備えられているが、この検出回路部20とは別体に設けられていてもよく、例えば各静電容量検知回路21,22を周期的に同期させて動作させる。すなわち、演算処理回路25は、各静電容量検知回路21,22の動作を制御して、各検知電極11,12にセンサ電位を与え、静電容量を測定したらリセットすることを繰り返し行って得られた静電容量値を平均化することで測定精度(検知精度)を向上させる。
【0035】
このように、演算処理回路25は、各静電容量検知回路21,22の動作を制御するとともに位置検出装置100全体の制御を司る。そして、演算処理回路25は、具体的には、検知対象物の位置を上述した比較演算により判定し検出するとともに、各静電容量検知回路21,22からの静電容量値の和を求めることにより、検知対象物の検知面19aからの距離を判定し検出する。
【0036】
さらに、演算処理回路25は、ここでは、情報出力手段としての機能を有し、判定して検出された検知対象物の位置や距離(すなわち、判定検出結果)に関する情報(検出情報)を、外部の表示装置(図示せず)にて表示可能な状態で出力したり、印刷可能な状態で出力したり、その他、利用可能な種々の形態に適用できるように出力する。なお、各静電容量検知回路21,22の静電容量値の検出に関する動作等については、後述する。
【0037】
ここで、静電容量センサ部10は、例えば次のように構成されていてもよい。すなわち、図2(a)に示すように、静電容量センサ部10は、誘電体19の一対の側面にそれぞれ接続配置された第1および第2検知電極11,12の電極面とは反対側の裏面側に、それぞれ検知電極11,12に対して絶縁された上でセンサ電位で駆動され、各検知電極11,12の裏面側の検知をシールドする第1シールド電極15を備えてもよい。
【0038】
このようにすれば、各検知電極11,12の裏面側に人体の指Fなどが近接しても、誘電体19の検知面19aによる検知対象物の検知には極力影響を与えないように構成することが可能となる。
【0039】
また、図2(b)に示すように、静電容量センサ部10は、上述した第1シールド電極15とともに、各検知電極11,12の電極面と同一平面上の周囲に、それぞれ検知電極11,12に対して絶縁された上でセンサ電位で駆動され、各検知電極11,12の周囲の検知をシールドする第2シールド電極16を備えてもよい。
【0040】
このようにすれば、各検知電極11,12の裏面側のみならず、各検知電極11,12の電極面の周囲においても誘電体19の検知面19aによる検知対象物の検知には影響を極力与えないように構成することが可能となる。
【0041】
なお、第1および第2シールド電極15,16をセンサ電位で駆動するためには、例えば各検知電極11,12に与えられるセンサ電位から高い入力インピーダンスで1倍のアンプ(バッファ)を通して生成されたものを与えたり、各静電容量検知回路21,22が差動動作するタイプのものであれば、例えばオペアンプの非反転入力部分を第1および第2シールド電極15,16に接続したりすればよい。
【0042】
さらに、静電容量センサ部10は、上述した第1および第2検知電極11,12の電極面が検知面19aに対してそれぞれ直交する状態で接続配置されるのみならず、例えば検知面19a上の検知領域の範囲Lの方向に向けてそれぞれ鈍角となるように接続配置されていてもよい。
【0043】
このようにすれば、人体の指F(または掌)の接近を検出し易くなるからである。例えば、鈍角の角度が大きくなればなるほど、人体の指Fの接近を検出し易くなるため、後述する検知領域の範囲Lへの指Fの近接を検出する距離判定検出のときは、指Fの接近の感度を上げたいときは角度を180°に近くし、感度をあまり上げたくないときは角度を90°もしくは90°付近にすればよい。このようにして、鈍角の角度を変えることで人体の指Fの接近の感度を調整することができる。
【0044】
次に、このように構成された位置検出装置100の位置判定検出の動作について説明する。まず、上述した人体の指Fが検知領域の範囲Lの近傍にない場合の動作について説明する。この場合、図3(a)に示すように、各検知電極11,12の裏面側が第1シールド電極15によってシールドされ、各検知電極11,12は同期しているため、各検知電極11,12は周囲のグランド(GND:接地)と弱く結合しているのみであり、誘電体19の長手方向両端は同電位となる。このため、第1および第2検知電極11,12から出る電気力線P1,P2は外部に出てしまい誘電体19内にほとんどない状態となる。
【0045】
次に、指Fが検知領域の範囲L内にある場合の動作は、図3(b)〜(d)に示すようになる。すなわち、人体の指Fが誘電体19の検知面19a上の任意の位置に接触すると、指Fはグランドと同等とみなせるため、各電気力線P1,P2それぞれのうちの少なくとも一部の電気力線P1’,P2’は指Fに結合し、図3(a)に示す状態よりも各静電容量検知回路21,22で検出される静電容量値は大きくなる(すなわち、静電容量が増加する)。
【0046】
したがって、指Fが検知領域の範囲L内にて検知面19aに非近接あるいは非接触のとき(図3(a)のとき)を基準にすると、例えば指Fが検知面19aに接触したとき(図3(b)〜(d)のとき)は、前提として基準よりも検出される静電容量値が大きくなる。
【0047】
まず、図3(b)の場合は、指Fが第2検知電極12に近い側の検知面19a上に接触しているため、結合する電気力線P1’よりも電気力線P2’の量が多く、静電容量検知回路22で検出される静電容量値が大きいこととなる。このとき、例えば検知領域の範囲Lにおいて、第1検知電極11の近傍位置をX方向の0(ゼロ)とすると、第2検知電極12の近傍位置がX方向の最大位置(最大量)として検出することができるので、指FのX方向の位置は、X>L/2とみることができる。
【0048】
また、図3(c)の場合は、指Fが第1および第2検知電極11,12の中間近傍の検知面19a上に接触しているため、結合する電気力線P1’,P2’の量は上記(a)の場合より多くなるとともに、各静電容量検知回路21,22にて検出される静電容量値はほぼ同等となる。このため、指FのX方向の位置は、検知領域の範囲Lのほぼ中間であるとして、例えばX≒L/2とみなせる。
【0049】
そして、図3(d)の場合は、指Fが第1検知電極11に近い側の検知面19a上に接触しているため、結合する電気力線P2’よりも電気力線P1’の量が多く、静電容量検知回路21で検出される静電容量値が大きいこととなる。このとき、指FのX方向の位置は、X<L/2とみることができる。
【0050】
このように、図3に示した動作においては、検知面19aに接触した指FのX方向の位置と検出された静電容量値との関係は、単調増加関数により関係づけられているため、演算処理回路25は、この単調増加関数により指Fの位置を判定し検出することができる。例えば、図3に示した場合の静電容量検知回路21での検出値(指Fが検知領域の範囲Lの近傍にないときからの静電容量の増加量)をC1(x)とし、静電容量検知回路22での同じく検出値をC2(x)とすると、指Fの検知面19a上での位置は、演算処理回路25にてC1(x)とC2(x)を比較演算することで求めることができる。このときの関数式は、例えばC1(x)/C2(x)やC1(x)/{C1(x)+C2(x)}と表わすことができる。
【0051】
なお、距離判定検出の動作にて検知領域の範囲L内において検知面19aに非接触状態にある指Fの検知面19aからの距離は、演算処理回路25にて上記検出値C1(x)とC2(x)の和を求めれば、判定して検出することができる。
【0052】
図4は、本発明の第2実施形態に係る位置検出装置の全体構成の例を示す説明図である。なお、以降において、既に説明した部分と重複する説明は本実施形態においても適用できるものとして割愛し、本発明に特に関連のない部分については明記しないことがあるとする。
【0053】
図4に示すように、第2実施形態に係る位置検出装置100は、上述したように静電容量センサ部10と検出回路部20Aとから構成されている点は先の例と同様であるが、検出回路部20Aの構成および静電容量センサ部10の動作が異なっている点が先の例の検出回路部20と相違している。
【0054】
すなわち、この検出回路部20Aは、第1および第2検知電極11,12とそれぞれ接続される複数の切替スイッチSWA,SWBと、一つの静電容量検知回路26およびA/D変換器27と、静電容量検知回路26と同電位のダミーセンサ28とを備える点が相違している。
【0055】
この場合、切替スイッチSWA,SWBにおける静電容量検知回路26との接続、およびダミーセンサ28との接続の切り替えは、例えば演算処理回路25からの切替制御により所定時間ごとに交互に行われる(すなわち、各検知電極11,12がそれぞれ異時的に静電容量検知回路26およびダミーセンサ28に接続されるように行われる)。
【0056】
具体的には、例えば切替スイッチSWAにより検知電極11が静電容量検知回路26と接続されるとともに、切替スイッチSWBにより検知電極12がダミーセンサ28と接続されているときに得られた検出値C1(x)と、切替スイッチSWAにより検知電極11がダミーセンサ28と接続されるとともに、切替スイッチSWBにより検知電極12が静電容量検知回路26と接続されているときに得られた検出値C2(x)とに基づいて、演算処理回路25が上述したような処理を行えば、指Fの検知面19a上の検知領域の範囲Lにおける位置を判定し検出することができる。
【0057】
また、演算処理回路25の切替制御により、例えば各切替スイッチSWA,SWBにてそれぞれ各検知電極11,12が静電容量検知回路26と接続されるようにすれば、指Fが検知領域の範囲L内において近接してくると誘電体19を介して各検知電極11,12と静電容量結合を起こすので、このときの静電容量値(検出値)に基づき指Fの検知面19aからの距離を判定し検出することもできる。
【0058】
そして、この第2実施形態の構成によれば、上述した第1実施形態の検出回路部20と比べて静電容量検知回路およびA/D変換器の数を少なくすることができるので、さらに安価に指Fの位置判定検出や距離判定検出を正確かつ確実に行うことができる。
【0059】
図5は、本発明の第3実施形態に係る位置検出装置の全体構成の一部の例を示す説明図である。図5に示すように、第3実施形態の位置検出装置100Aは、第1実施形態および第2実施形態に係る静電容量センサ部10Aと検出回路部20B(一部のみ図示)とから構成されている点は同様であるが、静電容量センサ部10Aおよび検出回路部20Bの構成がそれぞれ異なっており、指Fの位置を上述したX方向のみならずこのX方向と交差するY方向においても判定して検出し、二次元的に位置判定検出および距離判定検出ができるようになっている点が、第1および第2実施形態とは相違している。
【0060】
すなわち、静電容量センサ部10Aは、誘電体19Aが平板状に形成されて、主面である検知面19aを囲む4つの側面にそれぞれ第1検知電極11、第2検知電極12、第3検知電極13および第4検知電極14が接続配置された構成からなる。そして、検知回路部20Bは、これらの検知電極11〜14とそれぞれ接続された切替スイッチSWA,SWB,SWC,SWDを備え、これらは一つの静電容量検知回路29およびダミーセンサ28に接続されている。なお、デザイン性などを考慮して、第1検知電極11〜第4検知電極14は、誘電体19の各側面の内部に配置されていてもよい。
【0061】
このように構成された位置検出装置100Aでは、例えば次のような動作が行われる。まず、図示しない演算処理回路によって、検知面19a上に形成された矩形状の検知領域の範囲における原点(x0,y0)を設定し、検知面19a上の検知領域の範囲において指F(図示せず)が接触した場合に、各切替スイッチSWA〜SWDの切り替えを同時に制御することを、この場合であれば少なくとも4回行って各検出値を得る。
【0062】
すなわち、例えば動作1として、切替スイッチSWAが第1検知電極11と静電容量検知回路29とを接続するように切り替えられた場合は、他の切替スイッチSWB,SWC,SWDは、第2検知電極12〜第4検知電極14をダミーセンサ28との接続に切り替える。このときの第1検知電極11からの静電容量に基づき静電容量検知回路29にて検出された静電容量値は、演算処理回路にて検出値C1(x,y)として記憶される。
【0063】
次に、動作2として、切替スイッチSWBが第2検知電極12と静電容量検知回路29とを接続するように切り替えられた場合は、他の切替スイッチSWA,SWC,SWDは、第1検知電極11、第3検知電極13および第4検知電極14をダミーセンサ28との接続に切り替える。このときの第2検知電極12からの静電容量に基づく静電容量値は、演算処理回路にて検出値C2(x,y)として記憶される。
【0064】
さらに、動作3として、切替スイッチSWCが第3検知電極13と静電容量検知回路29とを接続するように切り替えられた場合は、他の切替スイッチSWA,SWB,SWDは、第1検知電極11、第2検知電極12および第4検知電極14をダミーセンサ28との接続に切り替える。このときの第3検知電極13からの静電容量に基づく静電容量値は、演算処理回路にて検出値C3(x,y)として記憶される。
【0065】
最後に、動作4として、切替スイッチSWDが第4検知電極14と静電容量検知回路29とを接続するように切り替えられた場合は、他の切替スイッチSWA〜SWCは、第1検知電極11〜第3検知電極13をダミーセンサ28との接続に切り替える。このときの第4検知電極14からの静電容量に基づく静電容量値は、演算処理回路にて検出値C4(x,y)として記憶される。
【0066】
そして、演算処理回路にて、これらの検出値C1〜C4を比較演算することによって、検知面19a上の検知領域の範囲における指FのX方向およびY方向の二次元的な位置を判定し検出する。このように、第3実施形態に係る位置検出装置100Aによれば、指Fの検知面19a上の検知領域の範囲における位置を二次元的に正確に判定して検出することができる。
【0067】
なお、この第3実施形態に係る位置検出装置100Aにおいても、検知領域の範囲における指Fの検知面19aからの距離判定検出を行うことができる。すなわち、位置検出装置100Aは、距離判定検出のときは、演算処理回路の切替制御によって、検出回路部20Bのすべての切替スイッチSWA〜SWDを静電容量センサ部10Aのすべての検知電極11〜14が静電容量検知回路29と接続されるようにして、これらすべての検知電極11〜14で検知された誘電体19Aを介して各検知電極11〜14と結合した指Fとの静電容量に基づく静電容量値を利用して演算処理回路で演算を行い、検知面19aからの指F(検知対象物)の距離を算出する。この距離の算出方法については公知技術であるため、ここでは説明を省略する。
【0068】
そして、上述した実施形態では、位置判定検出と距離判定検出を、例えば所定時間ごとに切り替えて行えば、検知領域の範囲における検知対象物の位置と検知面からの距離を一つの位置検出装置にて複合的に検出することが可能となる。なお、距離判定検出においては、検出される静電容量値(検出値)で評価するが、これは誘電体のX方向等の位置と誘電体までの距離の両方に依存する。このとき、C1/C2やC1/(C1+C2)などは誘電体までの距離にほぼ依存せず、X等のみに依存するので、先に演算によりX等を求めておいてからそのX等に対応した距離を求めてやればよい。
【0069】
このように、本発明に係る位置検出装置によれば、検知電極の数が少なく検出回路部の構成が簡単であるため、簡単な構造で安価に検知領域の範囲に近接等する検知対象物の位置や距離を確実に検出することができる。また、誘電体を透明あるいは半透明性の材料にて構成したり、検知電極の配置スペースがほぼ不要とすることができるため(誘電体に接続あるいは内蔵配置されているため)、位置検出装置の設計自由度を向上させることができる。
【0070】
図6は、静電容量検知回路の内部構成の例を示すブロック図、図7は同静電容量検知回路の動作波形の例を示す動作波形図である。図6に示すように、静電容量検知回路21(22,26,29、以下同じ。)は、ここでは第1検知電極11等によって検知された静電容量(Capacitance)を電圧(Voltage)に変換する、いわゆるC−V変換型回路からなる。
【0071】
この静電容量検知回路21は、図6に示すように、静電容量Cに応じてデューティー比が変化するものであり、例えば一定周期のトリガ信号TGを出力するトリガ信号発生回路101と、入力端に接続された静電容量Cの大きさによってデューティー比が変化するパルス信号Poを出力するタイマー回路102と、このパルス信号Poを平滑化するローパスフィルタ(LPF)103とを備えて構成されている。
【0072】
タイマー回路102は、例えば2つの比較器201,202と、これら2つの比較器201,202の出力がそれぞれリセット端子Rおよびセット端子Sに入力されるRSフリップフロップ回路(以下、「RS−FF」と呼ぶ。)203と、このRS−FF203の出力DISをLPF103に出力するバッファ204と、RS−FF203の出力DISでオン/オフ制御させるトランジスタ205とを備えて構成されている。
【0073】
比較器202は、トリガ信号発生回路101から出力される図7に示すようなトリガ信号TGを、抵抗R1,R2,R3によって分割された所定のしきい値Vth2と比較して、トリガ信号TGに同期したセットパルスを出力する。このセットパルスは、RS−FF203のQ出力をセットする。
【0074】
このQ出力は、ディスチャージ信号DISとしてトランジスタ205をオフ状態にし、各検知電極11等および接地(グランド)の間を、各検知電極11等の対接地静電容量Cおよび入力端と電源ラインとの間に接続された抵抗R4による時定数で決まる速度で充電する。これにより、入力信号Vinの電位が静電容量Cによって決まる速度で上昇する。
【0075】
入力信号Vinが、抵抗R1,R2,R3で決まるしきい値Vth1を超えたら、比較器201の出力が反転してRS−FF203の出力を反転させる。この結果、トランジスタ205がオン状態となって、例えば検知電極11に蓄積された電荷がこのトランジスタ205を介して放電される。
【0076】
したがって、このタイマー回路102は、図7に示すように、検知電極11等との間の静電容量Cに基づくデューティー比で発振するパルス信号Poを出力する。LPF103は、この出力を平滑化することにより、図7に示すような直流の検知信号Voutを出力する。
【0077】
こうして、静電容量検知回路21から出力された検知信号Voutは、上述したようにA/D変換器23等にてディジタル信号に変換される。なお、図7中において、実線で示す波形と点線で示す波形は、前者が後者よりも静電容量が小さいことを示しており、例えば後者が物体接近状態を示している。
【0078】
なお、上述した位置検出装置100,100Aにおいて、検知回路部20,20A,20Bの構成として、静電容量検知回路21等がC−V変換型にて抵抗とコンデンサにより出力パルスのデューティー比が変化する周知のタイマーICを利用するものを説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、CR直列回路の充電時間を利用する方式の他に、静電容量検知回路21等では、次のようなものが知られている。
【0079】
例えば、正弦波を印加して静電容量値による電圧変化あるいは電流値から直接インピーダンスを測定する方式、測定する静電容量を含めて発振回路を構成して発振周波数を測定する方式、RC充放電回路を構成して充放電時間を測定する方式、既知の電圧で充電した電荷を既知の容量に移動してその電圧を測定する方式、または未知の容量に既知電圧で充電し、その電荷を既知容量に移動させることを複数回行い、既知容量が所定電圧に充電されるまでの回数を測定する方式などがある。そして、検出した静電容量値にしきい値を設け、または静電容量の信号波形を解析して該当する静電容量波形になったときにトリガとするなどの処理を行ってスイッチとして機能させてもよい。
【0080】
また、検知回路部20,20A,20Bの静電容量検知回路21等が静電容量を電圧に変換することを前提としたが、電気的にあるいはソフトウェアとして扱いやすいデータに変換できればよく、例えば静電容量をパルス幅に変換したり直接ディジタル値に変換したりしてもよい。
【0081】
さらに、上述した位置検出装置100,100Aでは、第1検知電極や第2検知電極12等を誘電体19等に配置して、検出値C1と検出値C2とを比較等して検知対象物を判定し検出するものを例に挙げて説明したが、例えば次のようなものであってもよい。
【0082】
図8は、静電容量検知回路の内部構成の他の例を示すブロック図である。図8に示すように、この例の静電容量検知回路21(22,26,29、以下同じ。)には、差動増幅回路21aが含まれて差動動作するものとして構成されている。この静電容量検知回路21では、上述したような既知の電圧で充電した電荷を既知の容量に移動してその電圧を測定する方式が採用される。なお、検知電極は第1および第2検知電極11,12を例に挙げて説明する。
【0083】
具体的には、図8に示すように、例えば差動増幅回路21aのマイナス側入力端に第1検知電極11を接続し、プラス側入力端に第2検知電極12を接続して、静電容量C2の値から静電容量C1の値を減算し、その出力値をコンパレータなどでしきい値と比較して検知対象物を判定し検出するようにしたものである。
【0084】
このような静電容量検知回路21の動作としては、例えばスイッチS1がオープン(OFF)で、スイッチS2が接地(GND)され、スイッチS3がクローズ(ON)となっているときに、スイッチS3をオープン(OFF)にし、スイッチS2をVrに切り替え、スイッチS1をオペアンプの反転入力に接続すると、静電容量C2とCfにC2Vrが充電され、静電容量C1とCfにC1Vrが充電される。
【0085】
次に、スイッチS1をオープン(OFF)およびスイッチS2を接地(GND)した後に、スイッチS1を接地(GND)したときの出力電圧Vを測定する。このときの電圧は、V/Vr={(Cf+C1)/Cf}−{(Cf+C2)/Cf}となり、静電容量C2と静電容量C1の割合に応じた電圧が出力される。
【0086】
このように、静電容量検知回路21を差動動作する構成とすることにより、回路の温度特性を相殺したりコモンモードノイズを低減したりすることができる。なお、検知対象物が人体である場合、この人体を検出する検知電極として利用するのは、第1および第2検知電極11,12のうちの一方とし、他方は検知電極の検知領域の範囲側(すなわち、検知面19a側)にシールド電極(図示せず)を配置することで、人体との感度をなくし、人体との静電容量結合が一方の検知電極のみになるように構成すればよい。
【0087】
また、上述した切替スイッチSWA等は、電気的な接続を切り替えられる構造であればよく、例えばFETやフォトMOSリレーなどの電子回路スイッチでも、接点切替器などの機械的なスイッチでも採用することができる。また、誘電体19,19Aの形状は、角柱状、平板状のみならず、円柱状でもよく、三角柱状や五角柱状に形成されたり、三角形や多角形、円、楕円などの形状であってもよい。さらに、誘電体19,19Aの断面形状は平行な矩形辺で構成されていることなく、傾いた辺や曲面により構成されていてもよく、このような場合はあらかじめ形状ごとのプロファイルをとって位置判定検出等の動作の設定に反映しておけばよい。
【0088】
また、検知電極の数を2つあるいは4つとして説明したが、例えば3つや5つなどの異なる数によっても上述した位置判定検出等の動作を実現することができる。さらに、誘電体19,19Aは、アクリルやガラス等の透明性あるいは半透明性材料により構成してもよく、この場合は検知電極11等により構成される検知領域の範囲が外部から視認し難い構成とすることができるため、デザイン性や設計自由度において有利である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の第1実施形態に係る位置検出装置の全体構成の例を示す説明図である。
【図2】同位置検出装置の一部の他の構成例を示す斜視図である。
【図3】同位置検出装置の位置判定検出動作を説明するための説明図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る位置検出装置の全体構成の例を示す説明図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る位置検出装置の全体構成の一部の例を示す説明図である。
【図6】静電容量検知回路の内部構成の例を示すブロック図である。
【図7】同静電容量検知回路の動作波形の例を示す動作波形図である。
【図8】静電容量検知回路の内部構成の他の例を示すブロック図である。
【図9】従来の静電容量型センサの一部の構成例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0090】
10,10A…静電容量センサ部、11…第1検知電極、12…第2検知電極、13…第3検知電極、14…第4検知電極、15…第1シールド電極、16…第2シールド電極、19,19A…誘電体、19a…検知面、20,20A,20B…検出回路部、21,22,26,29…静電容量検知回路、23,24,27…A/D変換器、25…演算処理回路、28…ダミーセンサ、100,100A…位置検出装置、SWA,SWB,SWC,SWD…切替スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知領域の範囲を画定する検知面を有する誘導体と、
前記検知面上に形成された前記検知領域の範囲に存して前記誘電体に近接または接触する検知対象物を静電容量により検知可能に設けられた複数の検知電極と、
前記複数の検知電極それぞれからの検知信号に基づく静電容量値を検出するとともに、各検知電極にセンサ電位を与え、周期的に同期される複数の検出回路と、
前記複数の検出回路からの出力に基づいて、前記検知領域の範囲における前記検知対象物の位置および前記検知対象物の前記検知面からの距離の少なくとも一つを判定して検出する判定検出手段とを備えた
ことを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
検知領域の範囲を画定する検知面を有する誘電体と、
前記検知面上に形成された前記検知領域の範囲に存して前記誘電体に近接または接触する検知対象物を静電容量により検知可能に設けられた複数の検知電極と、
前記複数の検知電極のうち、前記検知対象物を検知可能となるように接続された検知電極からの検知信号に基づく静電容量値を検出する検出回路と、
前記複数の検知電極のうち、前記検出回路に接続された検知電極と同電位のセンサ電極を他の検知電極に与えるダミーセンサ部と、
前記複数の検知電極のうち、少なくとも一の検知電極を前記検出回路に接続させるとともに、他の検知電極を前記ダミーセンサ部に接続させるように前記検出回路に接続させる検知電極を順次切り替える複数の切替スイッチと、
接続された各検知電極ごとの前記検出回路からの出力を比較して、比較結果に基づき前記検知領域の範囲における前記検知対象物の位置および前記検知対象物の前記検知面からの距離の少なくとも一つを判定して検出する判定検出手段とを備えた
ことを特徴とする位置検出装置。
【請求項3】
前記判定検出手段からの判定検出結果に関する情報を出力する情報出力手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記判定検出手段は、前記複数の検出回路からの出力の比較結果に基づいて前記検知対象物の位置を判定して検出するとともに、前記複数の検出回路からの出力の和に基づいて前記検知対象物の前記検知面からの距離を判定して検出することを特徴とする請求項1または3記載の位置検出装置。
【請求項5】
前記判定検出手段は、前記複数の切替スイッチを制御して、前記複数の検知電極のうちの一の検知電極を前記検出回路に接続し他の検知電極を前記ダミーセンサ部に接続した場合は前記検知対象物の位置を判定して検出するとともに、前記複数の検知電極をすべて前記検出回路に接続した場合は前記検知対象物の前記検知面からの距離を判定して検出することを特徴とする請求項2または3記載の位置検出装置。
【請求項6】
前記判定検出手段は、前記複数の切替スイッチの切替状態を所定時間ごとに制御して、前記検知対象物の位置および前記検知対象物の前記検知面からの距離をそれぞれ判定して検出することを特徴とする請求項5記載の位置検出装置。
【請求項7】
前記検出回路は、前記複数の検知電極とそれぞれ一対一に接続され、各検知電極により検知された静電容量を示す情報を出力する複数の静電容量検知回路を備え、
前記比較判定手段は、前記複数の静電容量検知回路からの前記情報に基づく静電容量値を比較演算および和算の少なくとも一つを行うことにより、前記検知領域の範囲における前記検知対象物の位置および前記検知対象物の前記検知面からの距離の少なくとも一つを判定して検出する演算処理回路からなることを特徴とする請求項1、3または4記載の位置検出装置。
【請求項8】
前記検出回路は、前記複数の検知電極とそれぞれ前記複数の切替スイッチを介して一対一に接続され、各検知電極により検知された静電容量を示す情報を出力する静電容量検知回路を備え、
前記判定検出手段は、前記静電容量検知回路からの前記情報に基づく静電容量値を演算することにより、前記検知領域の範囲における前記検知対象物の位置および前記検知対象物の前記検知面からの距離の少なくとも一つを判定して検出する演算処理回路からなることを特徴とする請求項2、3、5または6記載の位置検出装置。
【請求項9】
前記複数の検知電極は、前記検知領域の範囲を形成する前記検知面を間に挟むようにその電極面がそれぞれ対向する状態で配置されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の位置検出装置。
【請求項10】
前記誘電体は、透明または半透明材料からなり、円柱状、角柱状または平板状に形成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の位置検出装置。
【請求項11】
前記複数の検知電極は2つであり、前記誘電体の一対の側面にそれぞれ接続配置されていることを特徴とする請求項10記載の位置検出装置。
【請求項12】
前記複数の検知電極は4つであり、前記誘電体の一の周方向の側面にそれぞれ接続配置されていることを特徴とする請求項10記載の位置検出装置。
【請求項13】
前記複数の検知電極は、前記検知面に対してそれぞれの電極面が直交するように接続配置されていることを特徴とする請求項11または12記載の位置検出装置。
【請求項14】
前記複数の検知電極は、前記検知面に対してそれぞれの電極面が前記検知領域の範囲の方向に向けて鈍角となるように接続配置されていることを特徴とする請求項11または12記載の位置検出装置。
【請求項15】
前記複数の検知電極の電極面とは反対側の裏面側に、それぞれ検知電極に対して絶縁された上でセンサ電位で駆動され、前記複数の検知電極の裏面側の検知をシールドするシールド電極を備えたことを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項記載の位置検出装置。
【請求項16】
前記複数の検知電極の電極面と同一平面上の周囲に、それぞれ検知電極に対して絶縁された上でセンサ電位で駆動され、前記複数の検知電極の周囲の検知をシールドするシールド電極を備えたことを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項記載の位置検出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−117174(P2010−117174A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−288973(P2008−288973)
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】