位置検出装置
【課題】レーザー光で検出プレートに貫通孔を形成する場合において、レーザー装置の耐用寿命の短縮化を回避しつつ、位置検出の精度向上を図る。
【解決手段】位置検出装置10は、ロッド35(移動部材)の移動経路に沿って並ぶ複数の貫通孔16が形成された検出プレート11と、発光部26と受光部27を検出プレート11と対応させた光センサ20とを備え、検出プレート11をロッド35と一体移動させた状態で、発光部26から貫通孔16の形成領域に向けて検知光を照射し、検知光が受光部27で間欠的に受光されることによって光センサ20から出力されるパルス信号に基づき、ロッド35の位置を検出する。複数の貫通孔16は、その開口領域を互いに連通させた形態である。
【解決手段】位置検出装置10は、ロッド35(移動部材)の移動経路に沿って並ぶ複数の貫通孔16が形成された検出プレート11と、発光部26と受光部27を検出プレート11と対応させた光センサ20とを備え、検出プレート11をロッド35と一体移動させた状態で、発光部26から貫通孔16の形成領域に向けて検知光を照射し、検知光が受光部27で間欠的に受光されることによって光センサ20から出力されるパルス信号に基づき、ロッド35の位置を検出する。複数の貫通孔16は、その開口領域を互いに連通させた形態である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一定の経路に沿って移動する移動部材の位置を検出する手段として、個々に独立して開口する複数の貫通孔を移動経路に沿って並べた形態であって、移動部材と一体に移動する検出プレートと、検出プレートと対応するように発光部と受光部を配した光センサとを設け、貫通孔を通過した検出光が受光部で受光されたときにON状態となるパルス信号を出力し、このパルス信号に基づいて移動部材の位置を検出する位置検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−344112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検出プレートに貫通孔を形成する手段として、レーザー装置で発生させたレーザー光を金属プレートに照射する方法がある。レーザー装置の寿命は、一般にレーザー光の累積発光回数が増えるにつれて短くなる。一方、位置の検出精度に関しては、貫通孔の並列ピッチを狭めて分解能を高めるほど、位置検出の精度が向上する。しかしながら、分解能を高めるためには、貫通孔の数を増やさなければならないため、レーザー光の発生回数が増えてレーザー装置の耐用寿命が短くなる。つまり、従来のものでは、位置検出の精度向上とレーザー装置の長寿命化とを両立させることは困難であった。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、レーザー光によって検出プレートに貫通孔を形成する場合において、レーザー装置の耐用寿命の短縮化を回避しつつ、位置検出の精度向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、一定の経路に沿って移動する移動部材の位置を検出するためのものであり、前記移動部材の移動経路に沿って並ぶ複数の貫通孔が形成された検出プレートと、発光部と受光部を前記検出プレートと対応させた光センサとを備え、前記検出プレートと前記光センサのうちいずれか一方を前記移動部材と一体に移動させた状態で、前記発光部から前記複数の貫通孔の形成領域に向けて検知光を照射し、前記検知光が前記受光部で間欠的に受光されることによって光センサから出力されるパルス信号に基づき、前記移動部材の位置を検出する位置検出装置において、前記複数の貫通孔のうち少なくとも一部は、その開口領域を互いに連通させた形態となっているところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記複数の貫通孔は、その並び方向と交差する方向における一方の端部同士と他方の端部同士を交互に連通させた九十九折り状に連なっているところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記検出プレートは、金属板材に曲げ加工と穿孔加工を施して成形され、前記貫通孔が配されている被検出用板部と、前記被検出用板部における前記貫通孔の並び方向に沿った側縁に対し屈曲した形態で連なる補強用板部とを備えているところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のものにおいて、前記光ファイバーは、発光用と受光用の光ファイバーを備えており、前記光ファイバーの先端部が前記発光部及び前記受光部とされているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0010】
<請求項1の発明>
複数の貫通孔のうち少なくとも一部は、その開口領域を互いに連通させた形態となっているので、レーザー装置で発生させたレーザー光を検出プレートに照射することによって貫通孔を形成する場合において、複数の貫通孔が個々に独立して開口した形態となっているものに比べると、レーザー光の発生回数が少なくて済む。したがって、本発明によれば、位置検出精度を高めるために貫通孔の数を増やしても、レーザー装置の耐用寿命の短縮化を回避することができる。
【0011】
<請求項2の発明>
複数の貫通孔を九十九折り状に連通させたので、レーザー装置で貫通孔を形成する場合において、レーザー光の走向軌跡を一筆書き状とすることができる。したがって、レーザー光の発光回数が最少で済む。
【0012】
<請求項3の発明>
被検出用板部は、補強用板部によって補強されているので、湾曲や捻れ等の変形を生じる虞がない。これにより、被検出板部の変形に起因する位置検出精度の信頼性低下を回避できる。
【0013】
<請求項4の発明>
光センサに光ファイバーを設け、光ファイバーの先端部を発光部及び受光部として機能させるようしたので、光センサのうち光信号と電気信号とを変換するための光電素子を含む信号処理部は、移動部材から離れた位置に配置することができる。これにより、光センサの信号処理部は、移動部材を備える機器や装置で発生するノイズの影響を受けずに済むので、検出機能の信頼性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1においてロッドが上死点にある状態をあらわすプランジャポンプ及び位置検出装置の正面図
【図2】ロッドが下死点にある状態をあらわすプランジャポンプ及び位置検出装置の正面図
【図3】プランジャポンプのエアモータの断面図
【図4】プランジャポンプのポンプ本体の断面図
【図5】位置検出装置の拡大正面図
【図6】ロッドが上死点にある状態をあらわす位置検出装置の側面図
【図7】ロッドが下死点にある状態をあらわす位置検出装置の側面図
【図8】プランジャポンプ及び位置検出装置の平面図
【図9】位置検出装置の拡大平面図
【図10】検出プレートの斜視図
【図11】検出プレートの展開図
【図12】検出プレートの拡大側面図
【図13】実施形態2においてロッドが下死点にある状態をあらわす位置検出装置の側面図
【図14】ロッドが上死点にある状態をあらわす位置検出装置の側面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図12を参照して説明する。本実施形態の位置検出装置10は、塗装装置において塗料を塗装ガン(図示省略)へ供給するための復動式のプランジャポンプ30に適用したものである。プランジャポンプ30は、図1に示すように、エアモータ31とポンプ本体36とを備えている。エアモータ31は、図3に示すように、シリンダ32内を上下動可能なピストン33で仕切った構造であり、ピストン33で仕切られた上下2つの空間には、シリンダ32の上面に設けた2つのポート34を通して交互に加圧エアの供給と排出が行われるようになっている。このエアの供給と排出により、ピストン33及びピストン33に一体移動するように固着したロッド35(本発明の構成要件である移動部材)が上下方向に直線的に移動するようになっている。ロッド35は、その移動方向と平行に細長く延びた形態であって、エアモータ31の上方と下方に突出されている。
【0016】
ポンプ本体36は、図4に示すように、ポンプ室37を上下動可能なプランジャ38により上部室と下部室に区画したものであり、ロッド35の下端部がプランジャ38に対して一体に移動するように固着されている。ポンプ本体36の下端面には、塗料の吸引口39に連通するフートバルブ40が、下部室に臨むように設けられている。また、プランジャ38には、下部室と上部室を連通する連通路41と、連通路41を開閉するチェックバルブ42が設けられている。ポンプ本体36の側壁には、上部室に連通する吐出口43が設けられている。
【0017】
エアモータ31によりプランジャ38が上動すると、フートバルブ40が開き、塗料が吸引口39から下部室内に吸い込まれるとともに、チェックバルブ42が閉じて上部室内に貯留されていた塗料が吐出口43から吐出され、塗装ガンに供給される。プランジャ38が下方へ移動すると、フートバルブ40が閉じるとともにチェックバルブ42が開き、下部室内の塗料が連通路41と上部室を通って吐出口43から塗装ガン側へ吐出される。
【0018】
位置検出装置10は、エアモータ31の駆動に伴って一定の経路(所定のストロークで上下方向の経路)に沿って往復移動するロッド35の位置を検出するためのものである。位置検出装置10は、検出プレート11と、光センサ20とを備えて構成されている。
【0019】
検出プレート11は、図11に示すように所定形状に打ち抜いた金属板材に、三価クロメートメッキを施し、その後、レーザー光による穿孔加工と、曲げ加工とを施して成形されており、全体として上下方向(ロッド35の移動方向と平行な方向)に細長く延びた形態である。金属板材の板厚寸法は、本実施形態では1.0mmである。
【0020】
図10に示すように、検出プレート11は、上下方向に細長い被検出用板部12と、同じく上下方向に細長い補強用板部13と、水平な取付用板部14と、連結用板部15とから構成されている。補強用板部13は、被検出用板部12における上下方向(後述する貫通孔16の並び方向)に沿った側縁に対し略直角に屈曲した形態で連なっている。取付用板部14は、被検出用板部12の上端縁に対し略直角に屈曲した形態で連なっている。また、連結用板部15は取付用板部14の側縁に対して略直角に屈曲した形態で連なっているとともに、補強用板部13の上端面に対して溶接により固着されている。
【0021】
被検出用板部12には、図6,7,10、12に示すように、上下方向(ロッド35の移動方向と平行な方向)に一定のピッチで並列する複数の貫通孔16が形成されている。各貫通孔16は、その並列方向と直角な水平方向に細長く延びるスリット状(溝状)をなし、被検出用板部12を貫通した形態である。貫通孔16の水平方向の長さ寸法は、本実施形態では約3.5mmである。また、貫通孔16の開口幅の寸法(上下方向の寸法)は、本実施形態では0.1mmである。また、貫通孔16の上下方向の並列ピッチは、本実施形態では1.0mmである。つまり、貫通孔16の幅寸法と並列ピッチの比率は、本実施形態では、1:5となっている。
【0022】
図12に示すように、複数の貫通孔16は、上下方向に細長いスリット状(溝状)をなす複数の連通孔17を介して互いに連なっている。連通孔17は被検出用板部12を貫通しており、連通孔17の数は貫通孔16の総数よりも1つ少ない。連通孔17の幅寸法は貫通孔16の幅寸法と同じ寸法である。貫通孔16と連通孔17は、次のような形態で連なっている。貫通孔16の長さ方向における一方の端部は、その上側に隣接する別の貫通孔16の一方の端部と連通孔17を介して連なり、貫通孔16の他方の端部は、その下側に隣接する別の貫通孔16の他方の端部と連通孔17を介して連なっている。つまり、複数の貫通孔16は、その全てが、複数の連通孔17を介して九十九折り状に連なっている。
【0023】
上記の貫通孔16と連通孔17は、レーザー装置(図示省略)から発せられたレーザー光を被検出用板部12に照射することによって形成されている。上記のように、複数の貫通孔16と複数の連通孔17は交互に並んでおり、これらの貫通孔16と連通孔17により、被検出用板部12には、一筆書き状に且つ屈曲した形態で開口する1本の貫通溝が形成されている。したがって、レーザー光を九十九折り状の経路に沿って一筆書き状に照射することにより、全ての貫通孔16と全ての連通孔17が形成される。この場合、レーザー光の発光回数は、1回だけで済む。尚、照射経路の始端部と終端部は、図12に示すように、貫通孔16の幅よりも大径の孔部18が形成される。
【0024】
かかる検出プレート11は、概ね水平なブラケット19を介してロッド35の上端部に取り付けられている。即ち、ブラケット19は、ロッド35の上端部に一体移動するように固着され、ブラケット19には、検出プレート11の取付用板部14がボルトにより一体移動するように固着されている。これにより、検出プレート11は、その被検出用板部12と補強用板部13を、ロッド35に対して平行な位置関係を保つ状態で、ロッド35と一体に上下方向に移動するようになっている。また、ブラケット19は、ロッド35と平行なガイドバー44に嵌合されることにより、ロッド35を中心として水平方向に旋回することを規制され、これにより、検出プレート11が水平方向において位置決めされる。
【0025】
光センサ20は、電気信号と光信号との変換を行う光電素子(図示省略)を含む信号処理部(図示省略)と、発光用及び受光用の光ファイバー21,22と、光ファイバー21,22を保持するためのホルダ23とを備えて構成されている。信号処理部からは、受光用の光電素子からの電気信号に基づき、パルス信号が出力されるようになっている。この信号処理部は、エアモータ31から離れた位置に配置されている。この信号処理部が配置されているブースは、エアモータ31から発せられるノイズの影響を受けないようになっている。
【0026】
発光用の光電素子と受光用の光電素子は、A相用及びB相用として2組設けられており、各光電素子に、夫々、光ファイバー21,22が接続されている。エアモータ31の上面にはベース24が固定され、ベース24の上面における検出プレート11の近傍位置には、ホルダ23が固定されている。ホルダ23は、水平方向(被検出用板部12の板面と直角な方向)に間隔を空けた発光用と受光用の一対のアーム部25を有している。この一対のアーム部25は、被検出用板部12を挟むように配置されている。
【0027】
発光用のアーム部25には、発光用の光電素子に接続された2本の発光用の光ファイバー21の発光側端部が、上下方向に所定の間隔を空けて固定されている。この発光用の光ファイバー21の発光側端部は、検知光を発するための発光部26となっている。一方、受光用のアーム部25には、受光用の光電素子に接続された2本の発光用の光ファイバー22の受光側端部が、発光用の光ファイバー21の発光側端部(発光部26)と同じ高さで(上下方向に発光用の光ファイバー21と同じ間隔を空けて)且つ、発光部26と対向するように固定されている。この受光用の光ファイバー22の受光側端部は、検知光を受光するための受光部27となっている。また、この上下に並ぶA相用とB相用の光ファイバー21,22のピッチは、貫通孔16の並列ピッチの整数倍の寸法とは異なる寸法とされている。
【0028】
エアモータ31を駆動する際には、A相とB相の両発光部26から検知光を被検出用板部12(検出プレート11における貫通孔16の並列領域)に向けて照射する。すると、ロッド35が上下動するのに伴い、検知光が各貫通孔16を通過するため、受光部27では、貫通孔16を通過した検知光が間欠的に受光される。信号処理部では、受光部27で検知光を検出されたときにON状態(ハイレベル)となるA相のパルス信号及びB相のパルス信号が出力され、このパルス信号のパルス数に基づいてロッド35の位置が検出される。
【0029】
また、上述したように、A相用とB相用の光ファイバー21,22のピッチは、貫通孔16の並列ピッチの整数倍の寸法とは異なる寸法とされている。したがって、A相のパルス信号とB相のパルス信号は、パルスの1/4周期だけ位相がずれている。この位相のずれにより、ロッド35の移動方向も検出することができる。さらに、バルスの周期の変化により、プランジャポンプ30における塗料の吐出量の変動を検出することもできる。
【0030】
上述のように、検出プレート11に形成した複数の貫通孔16は、その開口領域を互いに連通させた形態となっているので、レーザー装置で発生させたレーザー光を検出プレート11に照射することによって貫通孔16を形成する場合において、複数の貫通孔が個々に独立して開口した形態となっているものに比べると、レーザー光の発生回数が少なくて済む。したがって、本実施形態によれば、位置検出精度を高めるために貫通孔16の数を増やしても、レーザー装置の耐用寿命の短縮化を回避することができる。換言すると、レーザー装置の耐用寿命の短縮化を回避しながら、位置検出の精度向上を図ることができるのである。
【0031】
また、検出プレート11は、金属板材に曲げ加工と穿孔加工を施して成形され、貫通孔16が配されている被検出用板部12と、被検出用板部12における貫通孔16の並び方向に沿った側縁に対し屈曲した形態で連なる補強用板部13とを備えており、被検出用板部12は、補強用板部13によって補強されている。したがって、被検出用板部12は、湾曲や捻れ等の変形を生じる虞がなく、被検出板部の変形に起因する位置検出精度の信頼性低下を回避できる。
【0032】
また、光センサ20に光ファイバー21,22を設け、光ファイバー21,22の先端部を発光部26及び受光部27として機能させるようにしたので、光センサ20のうち光信号と電気信号とを変換するための光電素子を含む信号処理部は、ロッド35から離れた位置に配置することができる。これにより、光センサ20の信号処理部は、ロッド35を備えるプランジャポンプ30で発生するノイズの影響を受けずに済むので、検出機能の信頼性が高い。
【0033】
<実施形態2>
次に、本発明を具体化した実施形態2を図13及び図14を参照して説明する。本実施形態2の位置検出装置50は、検出プレート11とロッド35(本発明の構成要件である移動部材)との位置関係を上記実施形態1とは異なる構成としたものである。その他の構成については上記実施形態1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0034】
実施形態1では、ロッド35の上端部と検出プレート11の上端部とがほぼ同じ高さとなるような位置関係としたが、本実施形態2では、ロッド35の上端部と検出プレート11の下端部とがほぼ同じ高さとなるような位置関係としている。具体的には、ロッド35の上端部に固着したブラケット51に、検出プレート11の取付用板部14が固着されている。
【0035】
つまり、本実施形態2では検出プレート11を上記実施形態1とは上下逆向きにしている。そして、検出プレート11は、ブラケット51から上方、つまりロッド35よりも上方へ延出した形態となっている。また、ブラケット51にはスライダ52が固着され、スライダ52は、エアモータ31のベース24に固定したガイドタワー53に上下方向(ロッド35の移動方向と平行な方向)への移動可能に嵌合されている。このガイドタワー53とスライダ52との摺動により、検出プレート11及びロッド35の上下移動が安定して行われる。
【0036】
また、ガイドタワー52の上端部には、実施形態1と同じ形態のホルダ23が固定されている。ホルダ23の一対のアーム部25は、被検出用板部12を挟むように配置されている。そして、一対のアーム部25には、発光用の光ファイバー21の発光部26(図13及び図14では省略)と、受光用の光ファイバー22の受光部27(図13及び図14では省略)が取り付けられている。このホルダ23と光ファイバー21,22は、光センサ20を構成している。尚、ホルダ23はガイドタワー53の上端部に位置しているので、ロッド35と検出プレート11が上死点に達した状態(図14を参照)でも、スライダ52がホルダ23と干渉しないようになっている。
【0037】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、移動部材(ロッド)の移動軌跡及び貫通孔の並び方向が直線状である場合について説明したが、本発明は、移動部材の移動軌跡及び貫通孔の並び方向が円形である場合にも適用できる。
(2)上記実施形態では、光センサの発光部と受光部をエアモータに固定し、検出プレートを移動部材(ロッド)と一体に移動させるようにしたが、これとは逆に、検出プレートをエアモータに固定し、光センサの発光部と受光部をロッドと一体に移動させるようにしてもよい。
(3)上記実施形態では、検出プレートを挟むように発光部と受光部を配置し、貫通孔を通過した検出光が受光部で検出されたときにパルス信号がON状態(ハイレベル)となるようにした透過型の光センサについて説明したが、これに替えて、隣り合う貫通孔の間の領域を反射面とし、反射面で反射した検出光が受光部で検出されたときにパルス信号がON状態となるようにした反射型の光センサを用いてもよい。
(4)上記実施形態では、検出プレートに形成した複数の貫通孔の全てを連通させる形態としたが、検出プレートに形成した複数の貫通孔の一部のみを連通させ、他の複数の貫通孔は個々に独立して開口する形態としてもよい。また、複数の貫通孔を複数の貫通孔群に分け、複数の貫通孔群のうち少なくとも1つの貫通孔群においては、その貫通孔群に含まれる全ての貫通孔同士を互いに連通させる形態としてもよい。
(5)上記実施形態では、複数の貫通孔を九十九折り状に連通させたが、これに限らず、貫通孔の並び方向に沿った1本の連通孔に、複数の貫通孔が櫛歯状に連なる形態等、九十九折り以外の連通形態としてもよい。
(6)上記実施形態では、貫通孔が配された被検出用板部を補強する手段として、被検出用板部における貫通孔の並び方向に沿った側縁に対し屈曲した形態で連なる補強用板部を設けたが、補強手段としては、これに限らず、被検出用板部の長さ方向(貫通孔の並び方向)に沿った側縁部にリブ状に突出する補強部を曲げ形成したり、被検出用板部の側縁部に棒状の補強部材を固着する等、他の形態の補強手段をもちいることができる。
(7)上記実施形態では、検出プレートに補強用板部を設け、貫通孔が配された被検出用板部を補強用板部によって補強するようにしたが、検出プレートに補強用板部を設けない形態としてもよい。
(8)上記実施形態では、信号処理部を検出プレートから遠い位置に配置し、信号処理部から検出プレートまで光を導く導光路、及び検出プレートから信号処理部に光を導くための導光路として長尺の光ファイバーを設けたが、信号処理部の光電素子を検出プレートに近い位置に配置した場合には、長尺の光ファイバー以外の導光部材(ライトガイド)を導光路して用いてもよい。
(9)上記実施形態では、貫通孔の幅と連通孔の幅を同じ寸法としたが、貫通孔の幅は、連通孔の幅より狭くてもよく、広くてもよい。
(10)上記実施形態では、貫通孔の幅を0.2mmとしたが、貫通孔の幅は、実施形態とは異なる寸法としてもよい。
(11)上記実施形態では、貫通孔の並列ピッチを1.0mmとしたが、貫通孔の並列ピッチは、実施形態とは異なる寸法としてもよい。
(12)上記実施形態では、貫通孔の幅と貫通孔の並列ピッチとの比率を1:5としたが、貫通孔の幅と貫通孔の並列ピッチとの比率は、実施形態とは異なる孤立であってもよい。
(13)上記実施形態では、検出プレートの板厚寸法を1.0mmとしたが、検出プレートの板厚寸法は、実施形態とは異なる寸法であってもよい。
(14)上記実施形態では、各貫通孔の長さ寸法を約3.5mmとしたが、貫通孔の長さ寸法は、実施形態とは異なる寸法であってもよい。
(15)上記実施形態では、検出プレートの材質を、三価クロメートメッキを施した鉄板としたが、検出プレートの材質は、実施形態とは異なるもの(例えば、ステンレス)であってもよい。
(16)上記実施形態では、塗料を圧送するためのプランジャポンプに適用した場合について説明したが、本発明は、プランジャポンプ以外のポンプ(ピストンポンプ、ギヤポンプ等)にも適用でき、また、ポンプ以外の機器や装置(例えば、圧造機、各種の工作機械、エンコーダ等)にも適用できる。
【符号の説明】
【0038】
10…位置検出装置
11…検出プレート
12…被検出用板部
13…補強用板部
16…貫通孔
20…光センサ
21…発光用の光ファイバー
22…受光用の光ファイバー
26…発光部
27…受光部
35…ロッド(移動部材)
50…位置検出装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一定の経路に沿って移動する移動部材の位置を検出する手段として、個々に独立して開口する複数の貫通孔を移動経路に沿って並べた形態であって、移動部材と一体に移動する検出プレートと、検出プレートと対応するように発光部と受光部を配した光センサとを設け、貫通孔を通過した検出光が受光部で受光されたときにON状態となるパルス信号を出力し、このパルス信号に基づいて移動部材の位置を検出する位置検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−344112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検出プレートに貫通孔を形成する手段として、レーザー装置で発生させたレーザー光を金属プレートに照射する方法がある。レーザー装置の寿命は、一般にレーザー光の累積発光回数が増えるにつれて短くなる。一方、位置の検出精度に関しては、貫通孔の並列ピッチを狭めて分解能を高めるほど、位置検出の精度が向上する。しかしながら、分解能を高めるためには、貫通孔の数を増やさなければならないため、レーザー光の発生回数が増えてレーザー装置の耐用寿命が短くなる。つまり、従来のものでは、位置検出の精度向上とレーザー装置の長寿命化とを両立させることは困難であった。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、レーザー光によって検出プレートに貫通孔を形成する場合において、レーザー装置の耐用寿命の短縮化を回避しつつ、位置検出の精度向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、一定の経路に沿って移動する移動部材の位置を検出するためのものであり、前記移動部材の移動経路に沿って並ぶ複数の貫通孔が形成された検出プレートと、発光部と受光部を前記検出プレートと対応させた光センサとを備え、前記検出プレートと前記光センサのうちいずれか一方を前記移動部材と一体に移動させた状態で、前記発光部から前記複数の貫通孔の形成領域に向けて検知光を照射し、前記検知光が前記受光部で間欠的に受光されることによって光センサから出力されるパルス信号に基づき、前記移動部材の位置を検出する位置検出装置において、前記複数の貫通孔のうち少なくとも一部は、その開口領域を互いに連通させた形態となっているところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記複数の貫通孔は、その並び方向と交差する方向における一方の端部同士と他方の端部同士を交互に連通させた九十九折り状に連なっているところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記検出プレートは、金属板材に曲げ加工と穿孔加工を施して成形され、前記貫通孔が配されている被検出用板部と、前記被検出用板部における前記貫通孔の並び方向に沿った側縁に対し屈曲した形態で連なる補強用板部とを備えているところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のものにおいて、前記光ファイバーは、発光用と受光用の光ファイバーを備えており、前記光ファイバーの先端部が前記発光部及び前記受光部とされているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0010】
<請求項1の発明>
複数の貫通孔のうち少なくとも一部は、その開口領域を互いに連通させた形態となっているので、レーザー装置で発生させたレーザー光を検出プレートに照射することによって貫通孔を形成する場合において、複数の貫通孔が個々に独立して開口した形態となっているものに比べると、レーザー光の発生回数が少なくて済む。したがって、本発明によれば、位置検出精度を高めるために貫通孔の数を増やしても、レーザー装置の耐用寿命の短縮化を回避することができる。
【0011】
<請求項2の発明>
複数の貫通孔を九十九折り状に連通させたので、レーザー装置で貫通孔を形成する場合において、レーザー光の走向軌跡を一筆書き状とすることができる。したがって、レーザー光の発光回数が最少で済む。
【0012】
<請求項3の発明>
被検出用板部は、補強用板部によって補強されているので、湾曲や捻れ等の変形を生じる虞がない。これにより、被検出板部の変形に起因する位置検出精度の信頼性低下を回避できる。
【0013】
<請求項4の発明>
光センサに光ファイバーを設け、光ファイバーの先端部を発光部及び受光部として機能させるようしたので、光センサのうち光信号と電気信号とを変換するための光電素子を含む信号処理部は、移動部材から離れた位置に配置することができる。これにより、光センサの信号処理部は、移動部材を備える機器や装置で発生するノイズの影響を受けずに済むので、検出機能の信頼性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1においてロッドが上死点にある状態をあらわすプランジャポンプ及び位置検出装置の正面図
【図2】ロッドが下死点にある状態をあらわすプランジャポンプ及び位置検出装置の正面図
【図3】プランジャポンプのエアモータの断面図
【図4】プランジャポンプのポンプ本体の断面図
【図5】位置検出装置の拡大正面図
【図6】ロッドが上死点にある状態をあらわす位置検出装置の側面図
【図7】ロッドが下死点にある状態をあらわす位置検出装置の側面図
【図8】プランジャポンプ及び位置検出装置の平面図
【図9】位置検出装置の拡大平面図
【図10】検出プレートの斜視図
【図11】検出プレートの展開図
【図12】検出プレートの拡大側面図
【図13】実施形態2においてロッドが下死点にある状態をあらわす位置検出装置の側面図
【図14】ロッドが上死点にある状態をあらわす位置検出装置の側面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図12を参照して説明する。本実施形態の位置検出装置10は、塗装装置において塗料を塗装ガン(図示省略)へ供給するための復動式のプランジャポンプ30に適用したものである。プランジャポンプ30は、図1に示すように、エアモータ31とポンプ本体36とを備えている。エアモータ31は、図3に示すように、シリンダ32内を上下動可能なピストン33で仕切った構造であり、ピストン33で仕切られた上下2つの空間には、シリンダ32の上面に設けた2つのポート34を通して交互に加圧エアの供給と排出が行われるようになっている。このエアの供給と排出により、ピストン33及びピストン33に一体移動するように固着したロッド35(本発明の構成要件である移動部材)が上下方向に直線的に移動するようになっている。ロッド35は、その移動方向と平行に細長く延びた形態であって、エアモータ31の上方と下方に突出されている。
【0016】
ポンプ本体36は、図4に示すように、ポンプ室37を上下動可能なプランジャ38により上部室と下部室に区画したものであり、ロッド35の下端部がプランジャ38に対して一体に移動するように固着されている。ポンプ本体36の下端面には、塗料の吸引口39に連通するフートバルブ40が、下部室に臨むように設けられている。また、プランジャ38には、下部室と上部室を連通する連通路41と、連通路41を開閉するチェックバルブ42が設けられている。ポンプ本体36の側壁には、上部室に連通する吐出口43が設けられている。
【0017】
エアモータ31によりプランジャ38が上動すると、フートバルブ40が開き、塗料が吸引口39から下部室内に吸い込まれるとともに、チェックバルブ42が閉じて上部室内に貯留されていた塗料が吐出口43から吐出され、塗装ガンに供給される。プランジャ38が下方へ移動すると、フートバルブ40が閉じるとともにチェックバルブ42が開き、下部室内の塗料が連通路41と上部室を通って吐出口43から塗装ガン側へ吐出される。
【0018】
位置検出装置10は、エアモータ31の駆動に伴って一定の経路(所定のストロークで上下方向の経路)に沿って往復移動するロッド35の位置を検出するためのものである。位置検出装置10は、検出プレート11と、光センサ20とを備えて構成されている。
【0019】
検出プレート11は、図11に示すように所定形状に打ち抜いた金属板材に、三価クロメートメッキを施し、その後、レーザー光による穿孔加工と、曲げ加工とを施して成形されており、全体として上下方向(ロッド35の移動方向と平行な方向)に細長く延びた形態である。金属板材の板厚寸法は、本実施形態では1.0mmである。
【0020】
図10に示すように、検出プレート11は、上下方向に細長い被検出用板部12と、同じく上下方向に細長い補強用板部13と、水平な取付用板部14と、連結用板部15とから構成されている。補強用板部13は、被検出用板部12における上下方向(後述する貫通孔16の並び方向)に沿った側縁に対し略直角に屈曲した形態で連なっている。取付用板部14は、被検出用板部12の上端縁に対し略直角に屈曲した形態で連なっている。また、連結用板部15は取付用板部14の側縁に対して略直角に屈曲した形態で連なっているとともに、補強用板部13の上端面に対して溶接により固着されている。
【0021】
被検出用板部12には、図6,7,10、12に示すように、上下方向(ロッド35の移動方向と平行な方向)に一定のピッチで並列する複数の貫通孔16が形成されている。各貫通孔16は、その並列方向と直角な水平方向に細長く延びるスリット状(溝状)をなし、被検出用板部12を貫通した形態である。貫通孔16の水平方向の長さ寸法は、本実施形態では約3.5mmである。また、貫通孔16の開口幅の寸法(上下方向の寸法)は、本実施形態では0.1mmである。また、貫通孔16の上下方向の並列ピッチは、本実施形態では1.0mmである。つまり、貫通孔16の幅寸法と並列ピッチの比率は、本実施形態では、1:5となっている。
【0022】
図12に示すように、複数の貫通孔16は、上下方向に細長いスリット状(溝状)をなす複数の連通孔17を介して互いに連なっている。連通孔17は被検出用板部12を貫通しており、連通孔17の数は貫通孔16の総数よりも1つ少ない。連通孔17の幅寸法は貫通孔16の幅寸法と同じ寸法である。貫通孔16と連通孔17は、次のような形態で連なっている。貫通孔16の長さ方向における一方の端部は、その上側に隣接する別の貫通孔16の一方の端部と連通孔17を介して連なり、貫通孔16の他方の端部は、その下側に隣接する別の貫通孔16の他方の端部と連通孔17を介して連なっている。つまり、複数の貫通孔16は、その全てが、複数の連通孔17を介して九十九折り状に連なっている。
【0023】
上記の貫通孔16と連通孔17は、レーザー装置(図示省略)から発せられたレーザー光を被検出用板部12に照射することによって形成されている。上記のように、複数の貫通孔16と複数の連通孔17は交互に並んでおり、これらの貫通孔16と連通孔17により、被検出用板部12には、一筆書き状に且つ屈曲した形態で開口する1本の貫通溝が形成されている。したがって、レーザー光を九十九折り状の経路に沿って一筆書き状に照射することにより、全ての貫通孔16と全ての連通孔17が形成される。この場合、レーザー光の発光回数は、1回だけで済む。尚、照射経路の始端部と終端部は、図12に示すように、貫通孔16の幅よりも大径の孔部18が形成される。
【0024】
かかる検出プレート11は、概ね水平なブラケット19を介してロッド35の上端部に取り付けられている。即ち、ブラケット19は、ロッド35の上端部に一体移動するように固着され、ブラケット19には、検出プレート11の取付用板部14がボルトにより一体移動するように固着されている。これにより、検出プレート11は、その被検出用板部12と補強用板部13を、ロッド35に対して平行な位置関係を保つ状態で、ロッド35と一体に上下方向に移動するようになっている。また、ブラケット19は、ロッド35と平行なガイドバー44に嵌合されることにより、ロッド35を中心として水平方向に旋回することを規制され、これにより、検出プレート11が水平方向において位置決めされる。
【0025】
光センサ20は、電気信号と光信号との変換を行う光電素子(図示省略)を含む信号処理部(図示省略)と、発光用及び受光用の光ファイバー21,22と、光ファイバー21,22を保持するためのホルダ23とを備えて構成されている。信号処理部からは、受光用の光電素子からの電気信号に基づき、パルス信号が出力されるようになっている。この信号処理部は、エアモータ31から離れた位置に配置されている。この信号処理部が配置されているブースは、エアモータ31から発せられるノイズの影響を受けないようになっている。
【0026】
発光用の光電素子と受光用の光電素子は、A相用及びB相用として2組設けられており、各光電素子に、夫々、光ファイバー21,22が接続されている。エアモータ31の上面にはベース24が固定され、ベース24の上面における検出プレート11の近傍位置には、ホルダ23が固定されている。ホルダ23は、水平方向(被検出用板部12の板面と直角な方向)に間隔を空けた発光用と受光用の一対のアーム部25を有している。この一対のアーム部25は、被検出用板部12を挟むように配置されている。
【0027】
発光用のアーム部25には、発光用の光電素子に接続された2本の発光用の光ファイバー21の発光側端部が、上下方向に所定の間隔を空けて固定されている。この発光用の光ファイバー21の発光側端部は、検知光を発するための発光部26となっている。一方、受光用のアーム部25には、受光用の光電素子に接続された2本の発光用の光ファイバー22の受光側端部が、発光用の光ファイバー21の発光側端部(発光部26)と同じ高さで(上下方向に発光用の光ファイバー21と同じ間隔を空けて)且つ、発光部26と対向するように固定されている。この受光用の光ファイバー22の受光側端部は、検知光を受光するための受光部27となっている。また、この上下に並ぶA相用とB相用の光ファイバー21,22のピッチは、貫通孔16の並列ピッチの整数倍の寸法とは異なる寸法とされている。
【0028】
エアモータ31を駆動する際には、A相とB相の両発光部26から検知光を被検出用板部12(検出プレート11における貫通孔16の並列領域)に向けて照射する。すると、ロッド35が上下動するのに伴い、検知光が各貫通孔16を通過するため、受光部27では、貫通孔16を通過した検知光が間欠的に受光される。信号処理部では、受光部27で検知光を検出されたときにON状態(ハイレベル)となるA相のパルス信号及びB相のパルス信号が出力され、このパルス信号のパルス数に基づいてロッド35の位置が検出される。
【0029】
また、上述したように、A相用とB相用の光ファイバー21,22のピッチは、貫通孔16の並列ピッチの整数倍の寸法とは異なる寸法とされている。したがって、A相のパルス信号とB相のパルス信号は、パルスの1/4周期だけ位相がずれている。この位相のずれにより、ロッド35の移動方向も検出することができる。さらに、バルスの周期の変化により、プランジャポンプ30における塗料の吐出量の変動を検出することもできる。
【0030】
上述のように、検出プレート11に形成した複数の貫通孔16は、その開口領域を互いに連通させた形態となっているので、レーザー装置で発生させたレーザー光を検出プレート11に照射することによって貫通孔16を形成する場合において、複数の貫通孔が個々に独立して開口した形態となっているものに比べると、レーザー光の発生回数が少なくて済む。したがって、本実施形態によれば、位置検出精度を高めるために貫通孔16の数を増やしても、レーザー装置の耐用寿命の短縮化を回避することができる。換言すると、レーザー装置の耐用寿命の短縮化を回避しながら、位置検出の精度向上を図ることができるのである。
【0031】
また、検出プレート11は、金属板材に曲げ加工と穿孔加工を施して成形され、貫通孔16が配されている被検出用板部12と、被検出用板部12における貫通孔16の並び方向に沿った側縁に対し屈曲した形態で連なる補強用板部13とを備えており、被検出用板部12は、補強用板部13によって補強されている。したがって、被検出用板部12は、湾曲や捻れ等の変形を生じる虞がなく、被検出板部の変形に起因する位置検出精度の信頼性低下を回避できる。
【0032】
また、光センサ20に光ファイバー21,22を設け、光ファイバー21,22の先端部を発光部26及び受光部27として機能させるようにしたので、光センサ20のうち光信号と電気信号とを変換するための光電素子を含む信号処理部は、ロッド35から離れた位置に配置することができる。これにより、光センサ20の信号処理部は、ロッド35を備えるプランジャポンプ30で発生するノイズの影響を受けずに済むので、検出機能の信頼性が高い。
【0033】
<実施形態2>
次に、本発明を具体化した実施形態2を図13及び図14を参照して説明する。本実施形態2の位置検出装置50は、検出プレート11とロッド35(本発明の構成要件である移動部材)との位置関係を上記実施形態1とは異なる構成としたものである。その他の構成については上記実施形態1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0034】
実施形態1では、ロッド35の上端部と検出プレート11の上端部とがほぼ同じ高さとなるような位置関係としたが、本実施形態2では、ロッド35の上端部と検出プレート11の下端部とがほぼ同じ高さとなるような位置関係としている。具体的には、ロッド35の上端部に固着したブラケット51に、検出プレート11の取付用板部14が固着されている。
【0035】
つまり、本実施形態2では検出プレート11を上記実施形態1とは上下逆向きにしている。そして、検出プレート11は、ブラケット51から上方、つまりロッド35よりも上方へ延出した形態となっている。また、ブラケット51にはスライダ52が固着され、スライダ52は、エアモータ31のベース24に固定したガイドタワー53に上下方向(ロッド35の移動方向と平行な方向)への移動可能に嵌合されている。このガイドタワー53とスライダ52との摺動により、検出プレート11及びロッド35の上下移動が安定して行われる。
【0036】
また、ガイドタワー52の上端部には、実施形態1と同じ形態のホルダ23が固定されている。ホルダ23の一対のアーム部25は、被検出用板部12を挟むように配置されている。そして、一対のアーム部25には、発光用の光ファイバー21の発光部26(図13及び図14では省略)と、受光用の光ファイバー22の受光部27(図13及び図14では省略)が取り付けられている。このホルダ23と光ファイバー21,22は、光センサ20を構成している。尚、ホルダ23はガイドタワー53の上端部に位置しているので、ロッド35と検出プレート11が上死点に達した状態(図14を参照)でも、スライダ52がホルダ23と干渉しないようになっている。
【0037】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、移動部材(ロッド)の移動軌跡及び貫通孔の並び方向が直線状である場合について説明したが、本発明は、移動部材の移動軌跡及び貫通孔の並び方向が円形である場合にも適用できる。
(2)上記実施形態では、光センサの発光部と受光部をエアモータに固定し、検出プレートを移動部材(ロッド)と一体に移動させるようにしたが、これとは逆に、検出プレートをエアモータに固定し、光センサの発光部と受光部をロッドと一体に移動させるようにしてもよい。
(3)上記実施形態では、検出プレートを挟むように発光部と受光部を配置し、貫通孔を通過した検出光が受光部で検出されたときにパルス信号がON状態(ハイレベル)となるようにした透過型の光センサについて説明したが、これに替えて、隣り合う貫通孔の間の領域を反射面とし、反射面で反射した検出光が受光部で検出されたときにパルス信号がON状態となるようにした反射型の光センサを用いてもよい。
(4)上記実施形態では、検出プレートに形成した複数の貫通孔の全てを連通させる形態としたが、検出プレートに形成した複数の貫通孔の一部のみを連通させ、他の複数の貫通孔は個々に独立して開口する形態としてもよい。また、複数の貫通孔を複数の貫通孔群に分け、複数の貫通孔群のうち少なくとも1つの貫通孔群においては、その貫通孔群に含まれる全ての貫通孔同士を互いに連通させる形態としてもよい。
(5)上記実施形態では、複数の貫通孔を九十九折り状に連通させたが、これに限らず、貫通孔の並び方向に沿った1本の連通孔に、複数の貫通孔が櫛歯状に連なる形態等、九十九折り以外の連通形態としてもよい。
(6)上記実施形態では、貫通孔が配された被検出用板部を補強する手段として、被検出用板部における貫通孔の並び方向に沿った側縁に対し屈曲した形態で連なる補強用板部を設けたが、補強手段としては、これに限らず、被検出用板部の長さ方向(貫通孔の並び方向)に沿った側縁部にリブ状に突出する補強部を曲げ形成したり、被検出用板部の側縁部に棒状の補強部材を固着する等、他の形態の補強手段をもちいることができる。
(7)上記実施形態では、検出プレートに補強用板部を設け、貫通孔が配された被検出用板部を補強用板部によって補強するようにしたが、検出プレートに補強用板部を設けない形態としてもよい。
(8)上記実施形態では、信号処理部を検出プレートから遠い位置に配置し、信号処理部から検出プレートまで光を導く導光路、及び検出プレートから信号処理部に光を導くための導光路として長尺の光ファイバーを設けたが、信号処理部の光電素子を検出プレートに近い位置に配置した場合には、長尺の光ファイバー以外の導光部材(ライトガイド)を導光路して用いてもよい。
(9)上記実施形態では、貫通孔の幅と連通孔の幅を同じ寸法としたが、貫通孔の幅は、連通孔の幅より狭くてもよく、広くてもよい。
(10)上記実施形態では、貫通孔の幅を0.2mmとしたが、貫通孔の幅は、実施形態とは異なる寸法としてもよい。
(11)上記実施形態では、貫通孔の並列ピッチを1.0mmとしたが、貫通孔の並列ピッチは、実施形態とは異なる寸法としてもよい。
(12)上記実施形態では、貫通孔の幅と貫通孔の並列ピッチとの比率を1:5としたが、貫通孔の幅と貫通孔の並列ピッチとの比率は、実施形態とは異なる孤立であってもよい。
(13)上記実施形態では、検出プレートの板厚寸法を1.0mmとしたが、検出プレートの板厚寸法は、実施形態とは異なる寸法であってもよい。
(14)上記実施形態では、各貫通孔の長さ寸法を約3.5mmとしたが、貫通孔の長さ寸法は、実施形態とは異なる寸法であってもよい。
(15)上記実施形態では、検出プレートの材質を、三価クロメートメッキを施した鉄板としたが、検出プレートの材質は、実施形態とは異なるもの(例えば、ステンレス)であってもよい。
(16)上記実施形態では、塗料を圧送するためのプランジャポンプに適用した場合について説明したが、本発明は、プランジャポンプ以外のポンプ(ピストンポンプ、ギヤポンプ等)にも適用でき、また、ポンプ以外の機器や装置(例えば、圧造機、各種の工作機械、エンコーダ等)にも適用できる。
【符号の説明】
【0038】
10…位置検出装置
11…検出プレート
12…被検出用板部
13…補強用板部
16…貫通孔
20…光センサ
21…発光用の光ファイバー
22…受光用の光ファイバー
26…発光部
27…受光部
35…ロッド(移動部材)
50…位置検出装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の経路に沿って移動する移動部材の位置を検出するためのものであり、
前記移動部材の移動経路に沿って並ぶ複数の貫通孔が形成された検出プレートと、
発光部と受光部を前記検出プレートと対応させた光センサとを備え、
前記検出プレートと前記光センサのうちいずれか一方を前記移動部材と一体に移動させた状態で、前記発光部から前記複数の貫通孔の形成領域に向けて検知光を照射し、前記検知光が前記受光部で間欠的に受光されることによって光センサから出力されるパルス信号に基づき、前記移動部材の位置を検出する位置検出装置において、
前記複数の貫通孔のうち少なくとも一部は、その開口領域を互いに連通させた形態となっていることを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
前記複数の貫通孔は、その並び方向と交差する方向における一方の端部同士と他方の端部同士を交互に連通させた九十九折り状に連なっていることを特徴とする請求項1記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記検出プレートは、
金属板材に曲げ加工と穿孔加工を施して成形され、
前記貫通孔が配されている被検出用板部と、
前記被検出用板部における前記貫通孔の並び方向に沿った側縁に対し屈曲した形態で連なる補強用板部とを備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記光ファイバーは、発光用と受光用の光ファイバーを備えており、
前記光ファイバーの先端部が前記発光部及び前記受光部とされていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の位置検出装置。
【請求項1】
一定の経路に沿って移動する移動部材の位置を検出するためのものであり、
前記移動部材の移動経路に沿って並ぶ複数の貫通孔が形成された検出プレートと、
発光部と受光部を前記検出プレートと対応させた光センサとを備え、
前記検出プレートと前記光センサのうちいずれか一方を前記移動部材と一体に移動させた状態で、前記発光部から前記複数の貫通孔の形成領域に向けて検知光を照射し、前記検知光が前記受光部で間欠的に受光されることによって光センサから出力されるパルス信号に基づき、前記移動部材の位置を検出する位置検出装置において、
前記複数の貫通孔のうち少なくとも一部は、その開口領域を互いに連通させた形態となっていることを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
前記複数の貫通孔は、その並び方向と交差する方向における一方の端部同士と他方の端部同士を交互に連通させた九十九折り状に連なっていることを特徴とする請求項1記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記検出プレートは、
金属板材に曲げ加工と穿孔加工を施して成形され、
前記貫通孔が配されている被検出用板部と、
前記被検出用板部における前記貫通孔の並び方向に沿った側縁に対し屈曲した形態で連なる補強用板部とを備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記光ファイバーは、発光用と受光用の光ファイバーを備えており、
前記光ファイバーの先端部が前記発光部及び前記受光部とされていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の位置検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−107097(P2011−107097A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265372(P2009−265372)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000117009)旭サナック株式会社 (194)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000117009)旭サナック株式会社 (194)
【Fターム(参考)】
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