説明

位置決め装置、および位置決め方法

【課題】対象物の位置決め時間を短縮するとともに、確実に位置決めを行うことができる位置決め装置、および位置決め方法を提供する。
【解決手段】本発明の位置決め装置は、前記対象物を載置する載置ステージと、前記対象物を撮像する撮像部と、リファレンスパターンを記憶する記憶部と、前記画像データと前記リファレンスパターンとをパターンパッチングしてマッチング率を算出するパターン照合部と、前記マッチング率と予め設定された閾値とを比較し、特徴部分の位置を検出する位置演算部と、前記対象物を載置した載置ステージまたは前記撮像部を移動する駆動部と、前記位置演算部により前記マッチング率が前記閾値より小さいと判定された場合、前記リファレンスパターンの大きさと前記閾値とを元に新たな撮像領域を決定する制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、フラットパネルディスプレイ用のガラス基板や半導体基板やプリント基板などを検査する検査装置に用いる位置決め装置、および位置決め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)やPDP(Plasma Display Panel)や有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイなどのFPD(Flat Panel Display)基板、半導体ウエハ、プリント基板など、各種基板の製造では、その歩留りを向上するために、各パターニングプロセス後、逐次、配線の短絡や接続不良や断線やパターン不良などの欠陥が存在するか否かが検査される。このような検査を行う際には、検査対象の基板が載置されるステージより下方から基板を照明しつつ基板を撮像して基板検査を行う、いわゆる透過照明型の基板検査装置が用いられる。また、検査対象の基板によっては、基板を撮像する撮像素子側から照明する落射照明型の基板検査装置も用いられる。
【0003】
FPD基板の部材となるガラス基板などの広い検査対象面を持つ基板に対して検査や測定などの処理を行う基板検査装置では、検査対象面の特定位置を検査する際、レシピに登録されている座標に基づいて登録されたリファレンスパターンを参照し、画像処理によって検査対象基板の認識マーク等の特徴部位のパターンマッチングを行い、位置合わせを行っている。ただし、レシピに登録されたリファレンスパターンの座標と、ステージ上の実際の特徴部位の座標とは、必ずしも一致するものではなく、場合によっては撮像部または基板を移動させて、複数回パターンマッチングを繰り返して位置決めしている。
【0004】
特徴部位の認識を短時間で行う位置決め方法として、大小2種類のサーチエリアを設定し、小さいサーチエリア内でパターンマッチングを行い、このパターンマッチングで特徴部位が認識できなかった場合に、大きいサーチエリアでパターンマッチングを行う方法が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−261898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1等の従来の位置決め方法では、パターンマッチングを行う際の、サーチエリア内での比較パターン(領域)、または撮像部による撮像領域の指定について何ら考慮するものではなかった。具体的には、たとえば、サーチエリア内の比較パターン(領域)を重複しないように指定、または任意に移動させて指定した場合、特徴部が複数の比較パターン(領域)にまたがる場合があり、係る場合、特徴部がサーチエリア内にあるにもかかわらず特徴部の認識に失敗することがあった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、対象物の位置決めを確実に行うことができる位置決め装置、および位置決め方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる位置決め装置は、載置ステージに載置された対象物の位置決めを行う位置決め装置であって、前記対象物を撮像して前記対象物の画像データを生成する撮像部と、前記撮像部が撮像生成した画像データに含まれる特徴部分と比較照合するリファレンスパターンを記憶する記憶部と、前記画像データと前記リファレンスパターンとをパターンマッチングして両者のマッチング率を算出するパターン照合部と、前記パターン照合部が算出したマッチング率と予め設定された閾値とを比較し、前記マッチング率が前記閾値より大きい場合に、撮像した領域を特徴部分の位置と推定する位置演算部と、前記載置ステージまたは前記撮像部を移動する駆動部と、前記位置演算部により前記マッチング率が前記閾値より小さいと判定された場合、前記リファレンスパターンの大きさに関連する情報と前記閾値とを元に新たな撮像領域を決定する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる位置決め装置は、上記発明において、前記制御部は、前記新たな撮像領域を、前記リファレンスパターンが外接する四角形の長辺の長さと前記閾値との乗算値を元に決定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる位置決め装置は、上記発明において、前記制御部は、前記新たな撮像領域を、前記リファレンスパターンが外接する四角形の対角線の長さと前記閾値との乗算値の長さ分前回の撮像領域と重複するように決定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる位置決め装置は、上記発明において、前記対象物の特徴部位の位置情報を記憶する撮像位置情報記憶部を備え、前記制御部は、前記位置情報に基づき、新たな撮像領域の撮像順を決定することを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる位置決め方法は、対象物の特徴部分を撮像した画像データに基づき、該特徴部分をパターンマッチングにより認識し、該認識結果に基づき対象物の位置決めを行う位置決め方法であって、前記対象物を載置ステージに載置し、前記対象物を撮像領域に搬送する搬送ステップと、前記対象物を撮像部により撮像して前記対象物の画像データを生成する前記撮像ステップと、前記撮像ステップで撮像生成した画像データに含まれる特徴部分と記憶部から取得したリファレンスパターンをパターンマッチングして両者のマッチング率を算出する算出ステップと、前記算出ステップで算出したマッチング率と予め設定された閾値とを比較し、前記マッチング率が前記閾値より大きい場合に、撮像した領域を特徴部分の位置と推定する位置演算ステップと、前記位置演算ステップで前記マッチング率が前記閾値より小さいと判定された場合、前記リファレンスパターンの大きさに関連する情報と前記閾値とを元に新たな撮像領域を決定する撮像領域決定ステップと、前記撮像領域決定ステップで決定した新たな撮像領域まで載置ステージまたは撮像部を移動する移動ステップと、を含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる位置決め方法は、上記発明において、前記新たな撮像領域を、前記リファレンスパターンが外接する四角形の長辺と前記閾値との乗算値を元に決定することを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる位置決め方法は、上記発明において、前記新たな撮像領域を、前記特徴部分が外接する四角形の対角線の長さと前記閾値との乗算値の長さ分前回の撮像領域と重複するように決定することを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかる位置決め方法は、上記発明において、撮像位置情報記憶部から前記対象物の特徴部位の位置情報を取得する取得ステップを含み、前記移動ステップは、前記位置情報に基づき新たな撮像領域の撮像順を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる位置決め装置、および位置決め方法は、最初の撮像領域のパターンマッチングにおいて特徴部分が認識できなかった場合に、リファレンスパターンの大きさにマッチング率の閾値を乗算した長さ分、次回の撮像領域が今回の撮像領域と重複するように撮像位置を決定するため、特徴部分が完全に最初の撮像領域に入らない場合であっても、確実に特徴部分の認識を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1にかかる位置決め装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態1にかかる位置決め装置の撮像領域を示す図である。
【図3】図3は、図2に示す撮像領域付近の拡大図である。
【図4】図4は、従来の撮像領域を説明する図である。
【図5】図5は、リファレンスパターンを示す図である。
【図6】図6は、新たに設定する撮像領域を説明する図である。
【図7】図7は、撮像領域の周辺に設定された他の撮像領域を示す図である。
【図8】図8は、実施の形態1にかかる基板の位置決め工程のフローチャートである。
【図9】図9は、撮像領域の設定の一例を示す図である。
【図10】図10は、撮像領域の設定の一例を示す図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態2にかかる位置決め装置の概略構成を示すブロック図である。
【図12】図12は、実施の形態2にかかる基板の位置決め工程のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解し得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。すなわち、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。
【0019】
まず、本発明の実施の形態にかかる位置決め装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明では、光学ユニットである撮像部に対して基板を移動するタイプの位置決め装置を説明する。ただし、本実施の形態は、これに限定されず、検査対象の基板に対して光学ユニットを移動するタイプであってもよく、光学ユニットと基板とを相対的に移動させる構成であれば如何なるものも含む。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1にかかる位置決め装置100の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、位置決め装置100は、位置決め対象物である基板1を載置するXYステージ2と、対象物を撮像する撮像部3と、画像を記録する画像記録部4と、特徴部位であるパターンを照合するパターン照合部5と、リファレンスパターンを記録するパターン記録部6と、特徴部位の位置を検出するパターン位置演算部7と、XYステージ2を駆動するステージ駆動部8と、各部を制御する制御部9と、を備える。
【0021】
位置決め対象物である基板1は、液晶ディスプレイのガラス基板のほか、液晶ディスプレイ用のカラーフィルタなどのFPD基板のみならず、半導体ウエハ、プリント基板など、位置決め用の認識マーク等の特徴部位が存在するものであれば、本実施の形態1にかかる位置決め装置100の位置決め対象物となりうる。
【0022】
XYステージ2は、対象物である基板1を載置し、ステージ駆動部8によりXY方向に移動される。
【0023】
撮像部3は、基板1を撮像するものであり、XYステージ2の上方に配置される。撮像部3は、例えば、LED等の照明部と、集光レンズ等の光学系と、CMOSイメージセンサまたはCCDセンサ等の撮像素子とを有し、基板1上の認識マークを撮像し、撮像した画像データを画像記憶部4へ送信する。画像記憶部4は、受信した画像データを記録する。
【0024】
リファレンスパターン記憶部6は、パターンマッチングにおいて基板1上の認識マークとの比較照合の基準となるリファレンスパターンを記憶する。
【0025】
パターン照合部5は、画像記憶部4から得た画像データと、リファレンスパターン記憶部6から得たリファレンスパターンをパターンマッチングにより照合し、両者のマッチング率を算出する。
【0026】
パターン位置演算部7は、パターン照合部5が算出したマッチング率と予め設定された閾値とを比較する。マッチング率が閾値より大きい場合は、該撮像領域を認識マーク等の特徴部位の位置と推定する。マッチング率が閾値より小さい場合は、該撮像領域内に認識マーク等の特徴部位が存在しないものと判断される。パターン位置演算部7は、比較結果を制御部9に送信する。
【0027】
制御部9は、パターン位置演算部7から得たパターンマッチングの結果情報を受信する。認識マークの位置が検出された場合は、該認識マークの位置に基づき、その後のXYステージ2の移動による基板1の位置決めのための位置決めデータを作成する。認識マークの位置が検出できなかった場合は、認識マークの大きさと閾値とを元に新たな撮像領域(撮像座標)を決定する。ステージ駆動部8は、制御部9からの撮像領域情報に基づき、XYステージ2を移動する。
【0028】
続いて、本実施の形態1にかかる位置決め装置100における、新たな撮像領域の設定について、図2〜図7を参照して説明する。図2は、発明の実施の形態1にかかる位置決め装置の撮像領域を示す図である。図3は、図2に示す撮像領域付近の拡大図である。図4は、従来の撮像領域を説明する図である。図5は、リファレンスパターン12を示す図である。図6は、撮像領域11の設定を説明する図である。図7は、撮像領域11の周辺に設定された他の撮像領域を示す図である。
【0029】
図2に示すように、基板1上には認識マーク10が存在する。本実施の形態1に係る位置決め装置100は、撮像部3が撮像領域11を撮像した際の画像データとリファレンスパターンとを、パターンマッチングすることより認識マーク10の位置を検出している。
【0030】
図3に示すように、撮像領域11内に認識マーク10が半分程度存在し、マッチング率の閾値が、例えば80%に設定されているような場合、撮像領域11の画像データのパターンマッチングでは、パターン位置演算部7は、撮像領域11内に認識マーク10が存在しない旨制御部9に送信する。これにより制御部9は、撮像領域11を新たに設定してパターンマッチングを継続するよう制御する。
【0031】
従来技術では、例えば図4に示すように、撮像領域11、撮像領域11a、撮像領域11b、撮像領域11cと、撮像領域が重複しないようにしてパターンマッチングを行う画像データを得ていた。しかし、この場合、認識マーク10が、撮像領域11〜11cの近傍に存在するにもかかわらず、すべての撮像領域11〜11cにおいてマッチング率が閾値以下となるため、認識マークの位置を検出することができなかった。
【0032】
新たな撮像領域は、図5に示すような、リファレンスパターン12が外接する四角形13の長辺(正方形の場合は1辺)の長さLと閾値tとの乗算値m(L×t)を元に決定することが好ましい。あるいは、図4に示すように、認識マーク10が斜めに傾く可能性がある場合は、新たな撮像領域は、リファレンスパターン12が外接する四角形13の対角線の長さと閾値との乗算値(h)に基づき決定することが好ましい。
【0033】
制御部9は、新たな撮像領域を、リファレンスパターン12が外接する四角形13の対角線の長さと閾値との乗算値hの長さ分、前回の撮像領域11と重複するように設定する。図6に示す新たな撮像領域の1候補である撮像領域11Aは、乗算値hの長さ分、撮像領域11と重複するように、上方に移動した場合を示している。
【0034】
同様に、撮像領域11Bは、乗算値hの長さ分、撮像領域11と重複するように、ななめ左上に移動し、撮像領域11Cは、乗算値hの長さ分、撮像領域11と重複するように、左に移動している。また、撮像領域11Dは、乗算値hの長さ分、撮像領域11と重複するように、ななめ左下に移動し、撮像領域11Eは、乗算値hの長さ分、撮像領域11と重複するように、下方に移動している。さらに、撮像領域11Fは、乗算値hの長さ分、撮像領域11と重複するように、ななめ右下に移動し、撮像領域11Gは、乗算値hの長さ分、撮像領域11と重複するように、右方に移動し、撮像領域11Hは、乗算値hの長さ分、撮像領域11と重複するように、ななめ右上に移動している(図7参照)。
【0035】
次に、本実施の形態1にかかる位置決め装置100における、基板1の位置決めについて、図8を参照して説明する。図8は、本実施の形態にかかる基板1の位置決め工程のフローチャートである。
【0036】
本実施の形態1にかかる位置決め装置100において、リファレンスパターン記憶部6はリファレンスパターン12を保存し、パターン位置演算部7は閾値、例えば80%を保存する。リファレンスパターン12として認識マーク10を保存しているが、パターンマッチングに使用可能な特徴部分を有するものであればリファレンスパターン12とすることができる。閾値は、パターンマッチングの精度により任意に設定しうる。
【0037】
まず、基板1をXYステージ2上に載置した後、ステージ駆動部8の駆動により基板1を所定位置に移動する(ステップS101)。基板1上の認識マーク10の既知の設計座標に基づき、制御部9がステージ駆動部8に基板1の移動を設定する。該設定により、ステージ駆動部8は、認識マーク10の設計座標へXYステージ2を移動する。
【0038】
XYステージ2の移動後、撮像部3は、認識マーク10の設計座標における撮像範囲(撮像領域11)を撮像する(ステップS102)。撮像部3が撮像した画像データは、画像記憶部4に送信される。
【0039】
パターン照合部5は、リファレンスパターン記憶部6からリファレンスパターン12を取得し、画像記憶部4から得た画像データとパターンマッチングを行い、両者のマッチング率を算出する(ステップS103)。撮像領域11内に、リファレンスパターン12に対応する認識マーク10の80%以上が入っている場合は、マッチング率が80%以上となる。
【0040】
パターン位置演算部7は、パターン照合部5が算出したマッチング率と、保存する閾値とを比較し、マッチング率が閾値80%以上か否かを判定する(ステップS104)。パターン位置演算部7が、マッチング率が閾値以上と判定した場合(ステップS104:Yes)、パターンマッチングは成功とし、撮像領域11が認識マークの位置と推定される (ステップS105)。
【0041】
パターン位置演算部7は、認識マーク10の位置情報を制御部9に送信する。制御部9は、認識マーク10の位置からその後のXYステージ2の移動に用いる位置決めデータを作成し、基板1の位置決めを行うよう制御する(ステップS106)。
【0042】
パターン位置演算部7が、マッチング率が閾値より小さいと判定した場合(ステップS104:No)、パターンマッチングは失敗となる。パターン位置演算部7は、認識マーク10の位置が不検出である旨、制御部9に送信する。
【0043】
制御部9は、認識マーク10の位置が不検出である旨受信した場合、新たな撮像領域が設定されているか判断する(ステップS107)。新たな撮像領域が設定されていない場合は(ステップS107:No)、制御部9は、リファレンスパターン12が外接する四角形13の対角線の長さと閾値80%との乗算値hの長さ分、前回の撮像領域11と重複する新たな撮像領域11A〜11Hを設定する(ステップS108)。さらに制御部9は、設定した新たな撮像領域11A〜11Hの中の1の撮像領域を選択し、選択した撮像領域の移動情報を設定して、ステージ駆動部8に送信する(ステップS109)。
【0044】
ステージ駆動部8は、設定された移動情報に基づきXYステージ2を移動し(ステップS110)、撮像部3は新たな撮像領域を撮像し、撮像生成した画像データのパターンマッチングが繰り返される(ステップS102〜ステップS104)。
【0045】
新たな撮像領域が設定されている場合は(ステップS107:Yes)、制御部9は、設定済みの撮像領域11A〜11Hの内、まだ撮像されていない1の撮像領域を選択し、選択した撮像領域の移動情報を設定して、ステージ駆動部8に送信することにより(ステップS109)、パターンマッチングが繰り返される(ステップS102〜ステップS104)。
【0046】
以上のように、本実施の形態1にかかる位置決め装置100は、既知の設計座標から求めた撮像領域の近傍に認識マークが存在し、かつ、該撮像領域に認識マークの一部分(閾値以下)しか存在しない場合であっても、新たな撮像領域を、リファレンスパターンの大きさと閾値との大きさに基づき、前回の撮像領域と重複させるように設定することにより、認識マークが見切れることなく設定したいずれかの撮像領域に入るため、認識マークの検出失敗を防止することが可能となる。
【0047】
また、上記の実施の形態1では、撮像領域11で認識マークを検出できなかった場合、制御部は、上下、左右およびななめ方向に、計8つの新たな撮像領域11A〜11Hを設定しているが、新たに設定する撮像領域は、リファレンスパターンの大きさと閾値との大きさに基づき、前回の撮像領域11と重複するように設定すれば、その数は限定されるものではない。図9および図10に、新たに設定する撮像領域の例を示す。図9及び図10では、6つの撮像領域11I〜11Nが設定されている。例えば、認識マークが、既知の設計座標より左右にずれやすいと判明している場合は、図9に示すような撮像領域でパターンマッチングを行ってもよい。また、既知の設計座標より上下にずれやすいと判明している場合は図10に示すような撮像領域でパターンマッチングを行ってもよい。ただし、閾値が高く設定され、確実に認識マークの位置を検出したい場合には、図7に示す8つの撮像領域を設定し、パターンマッチングを行うことが好ましい。
【0048】
(実施の形態2)
実施の形態2にかかる位置決め装置200は、撮像領域11で認識マーク10を検出できなかった場合、実施の形態1と同様にして新たな撮像領域を設定するが、新たに備える撮像位置情報記憶部から認識マーク10の位置情報を取得し、取得した位置情報に基づき、新たに設定した複数の撮像領域の撮像順を決定する。以下、実施の形態1の位置決め装置100と異なる構成についてのみ説明する。
【0049】
図11は、本実施の形態2にかかる位置決め装置200の概略構成を示すブロック図である。実施の形態2にかかる位置決め装置200は、基板1上の認識マーク10の位置情報を保存する位置情報記憶部14を備える。認識マーク10の情報は、位置決めおよびその後の工程が終了した基板1における認識マーク10の位置に関する情報である。
【0050】
次に、本実施の形態2にかかる位置決め装置200における、基板1の位置決めについて、図12を参照して説明する。図12は、実施の形態2にかかる基板1の位置決め工程のフローチャートである。
【0051】
まず、基板1をXYステージ2上に載置した後、ステージ駆動部8の駆動により基板1を所定位置に移動し(ステップS201)、撮像部3により、認識マーク10の設計座標における撮像範囲(撮像領域11)を撮像する(ステップS202)。撮像部3が撮像生成した画像データは、画像記憶部4に送信される。
【0052】
パターン照合部5は、リファレンスパターン記憶部6からリファレンスパターン12を取得し、画像記憶部4から得た画像データとパターンマッチングを行い、両者のマッチング率を算出し(ステップS203)、パターン位置演算部7は、パターン照合部5が算出したマッチング率と、保存する閾値とを比較し、マッチング率が閾値80%以上か否かを判定する(ステップS204)。パターン位置演算部7が、マッチング率が閾値以上と判定した場合(ステップS204:Yes)、パターンマッチングは成功とし、撮像領域11が認識マーク10の位置と推定される (ステップS205)。
【0053】
パターン位置演算部7は、認識マーク10の位置情報を制御部9に送信し、制御部9を介して送信された検出した認識マーク10の位置情報が、撮像位置情報記憶部14に保存される(ステップS206)。
【0054】
また、制御部9は、認識マーク10の位置からその後のXYステージ2の移動に用いる位置決めデータを作成し、基板1の位置決めを行うよう制御し(ステップS207)、位置決め終了後、すべての基板1の位置決めが終了したかを判断する(S208)。
【0055】
終了した場合は(ステップS208:Yes)、本工程を終了し、終了していない場合は(ステップS208:No)、ステップS201から繰り返す。
【0056】
パターン位置演算部7が、マッチング率が閾値より小さいと判定した場合(ステップS204:No)、パターン位置演算部7は、認識マーク10の位置が不検出である旨、制御部9に送信する。
【0057】
制御部9は、認識マーク10の位置が不検出である旨受信した場合、新たな撮像領域が設定されているか判断する(ステップS209)。新たな撮像領域が設定されていない場合は(ステップS209:No)、制御部9は、リファレンスパターン12が外接する四角形13の対角線の長さと閾値との乗算値hの長さ分、前回の撮像領域11と重複する新たな撮像領域を設定する(ステップS210)。
【0058】
制御部9は、さらに、撮像位置情報記憶部14から、認識マーク10の位置情報を取得し(ステップS211)、該位置情報に基づき、ステップS210で設定した新たな撮像領域の撮像順を決定する(ステップS212)。
【0059】
ステージ駆動部8は、決定された撮像順の最初の撮像領域までXYステージ2を移動し(ステップS213)、撮像部3は新たな撮像領域を撮像して、撮像生成した画像データのパターンマッチングが繰り返される(ステップS202〜ステップS204)。
【0060】
新たな撮像領域が設定さている場合は(ステップS209:Yes)、ステージ駆動部8は、次回の撮像領域までXYステージを移動し(ステップS213)、パターンマッチングが繰り返される(ステップS202〜ステップS204)。
【0061】
本実施の形態2で新たな撮像領域の撮像順を決定するのに使用される認識マークの位置情報は、直近のパターンマッチングで成功した位置(新たに撮像領域を設定したものの中から選択)を優先して使用するほか、これまでのパターンマッチングでの成功頻度が高い位置を優先する方法でもよい。また、新たに設定した撮像領域の初回のみ上記の方法で設定し、その後の順番は、XYステージ2の移動量が短くなる順番としてもよい。
【0062】
以上のように、本実施の形態2にかかる位置決め装置200は、実施の形態1の位置決め装置100と同様に、既知の設計座標から求めた撮像領域の近傍に認識マークが存在し、かつ、該撮像領域に認識マークの一部分(閾値以下)しか存在しない場合であっても、新たな撮像領域を、リファレンスパターンの大きさと閾値との大きさに基づき、前回の撮像領域と重複させるように設定することにより、認識マークが見切れることなく設定したいずれかの撮像領域に入るため、認識マークの検出失敗を防止することが可能となる。
【0063】
さらに、実施の形態2に係る位置決め装置200は、パターンマッチングが成功時の認識マーク10の位置情報を基に、新たな撮像領域の撮像順を決定するため、認識マーク10の検出時間をさらに短くできるという効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上のように、本発明にかかる位置決め装置、および位置決め方法は、効率的にパターンマッチングを行ない、位置決め時間を短縮させることに有用である。
【符号の説明】
【0065】
1 基板
2 XYステージ
3 撮像部
4 画像記憶部
5 パターン照合部
6 リファレンスパターン記憶部
7 パターン位置演算部
8 ステージ駆動部
9 制御部
10 認識マーク
11 撮像領域
12 リファレンスパターン
14 撮像位置情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置ステージに載置された対象物の位置決めを行う位置決め装置であって、
前記対象物を撮像して前記対象物の画像データを生成する撮像部と、
前記撮像部が撮像生成した画像データに含まれる特徴部分と比較照合するリファレンスパターンを記憶する記憶部と、
前記画像データと前記リファレンスパターンとをパターンマッチングして両者のマッチング率を算出するパターン照合部と、
前記パターン照合部が算出したマッチング率と予め設定された閾値とを比較し、前記マッチング率が前記閾値より大きい場合に、撮像した領域を特徴部分の位置と推定する位置演算部と、
前記載置ステージまたは前記撮像部を移動する駆動部と、
前記位置演算部により前記マッチング率が前記閾値より小さいと判定された場合、前記リファレンスパターンの大きさに関連する情報と前記閾値とを元に新たな撮像領域を決定する制御部と、
を備えることを特徴とする位置決め装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記新たな撮像領域を、前記リファレンスパターンが外接する四角形の長辺の長さと前記閾値との乗算値を元に決定することを特徴とする請求項1に記載の位置決め装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記新たな撮像領域を、前記リファレンスパターンが外接する四角形の対角線の長さと前記閾値との乗算値の長さ分前回の撮像領域と重複するように決定することを特徴とする請求項2に記載の位置決め装置。
【請求項4】
前記対象物の特徴部位の位置情報を記憶する撮像位置情報記憶部を備え、
前記制御部は、前記位置情報に基づき、新たな撮像領域の撮像順を決定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の位置決め装置。
【請求項5】
対象物の特徴部分を撮像した画像データに基づき、該特徴部分をパターンマッチングにより認識し、該認識結果に基づき対象物の位置決めを行う位置決め方法であって、
前記対象物を載置ステージに載置し、前記対象物を撮像領域に搬送する搬送ステップと、
前記対象物を撮像部により撮像して前記対象物の画像データを生成する前記撮像ステップと、
前記撮像ステップで撮像生成した画像データに含まれる特徴部分と記憶部から取得したリファレンスパターンをパターンマッチングして両者のマッチング率を算出する算出ステップと、
前記算出ステップで算出したマッチング率と予め設定された閾値とを比較し、前記マッチング率が前記閾値より大きい場合に、撮像した領域を特徴部分の位置と推定する位置演算ステップと、
前記位置演算ステップで前記マッチング率が前記閾値より小さいと判定された場合、前記リファレンスパターンの大きさに関連する情報と前記閾値とを元に新たな撮像領域を決定する撮像領域決定ステップと、
前記撮像領域決定ステップで決定した新たな撮像領域まで載置ステージまたは撮像部を移動する移動ステップと、
を含むことを特徴とする位置決め方法。
【請求項6】
前記新たな撮像領域を、前記リファレンスパターンが外接する四角形の長辺と前記閾値との乗算値を元に決定することを特徴とする請求項5に記載の位置決め方法。
【請求項7】
前記新たな撮像領域を、前記特徴部分が外接する四角形の対角線の長さと前記閾値との乗算値の長さ分前回の撮像領域と重複するように決定することを特徴とする請求項6に記載の位置決め方法。
【請求項8】
撮像位置情報記憶部から前記対象物の特徴部位の位置情報を取得する取得ステップを含み、
前記移動ステップは、前記位置情報に基づき新たな撮像領域の撮像順を決定することを特徴とする請求項5〜7のいずれか一つに記載の位置決め方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−62378(P2013−62378A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199903(P2011−199903)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】