説明

位置決め調整ネジ

【課題】加工が簡単であり、簡易な操作により微細な位置決め調整を可能とした位置決め調整ネジをを提供する。
【解決手段】固定体1に移動可能に設けた位置決め部材2の位置決め調整ネジであって、ピッチ大のネジ6の先端にピッチ小のネジ5を形成したネジ構成よりなり、前記位置決め部材2の一側方で前記固定体1に固設したネジ穴を有する固定部材8に前記ピッチ大のネジ6をねじ込み、その先端のピッチ小のネジ5を前記位置決め部材2にねじ込んだ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置決め部材の位置を調整する位置決め調整ネジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、組み付け治具の駒は、一般的にシムプレートで位置調整する構造になっているが、このシムプレートは数種の板厚を準備するために加工を必要とし、調整には数種の板厚のシムプレートを選択して差し替えする非常に面倒な作業を要している。
【0003】
この問題を解消するために調整ネジを用いて位置調整する方式が提供されている。その一つは図2で示すように、固定体10に駒30を保持した位置決め部材20を移動可能に設け、この位置決め部材20の左右両側で前記固定体10に固設したネジ穴を有する固定部材80a、80bに左右のボルト40a、40bをねじ込み、このボルト40a、40bの先端を位置決め部材20の左右両側にねじ込んだ構造が提供されている。このものは、前記シムプレート方式の欠点を解消しているものの、左右両方のボルト40a、40の頭70a、70bを摘んで調整操作しなければならず作業が煩雑で取付けスペースも不利な問題を有している。
【0004】
また、図3で示すように、固定体10に駒30を保持した位置決め部材20を移動可能に設け、この位置決め部材20の一側方で前記固定体10にネジ穴を有する固定部材80を固設し、摘み部70を中央にして左ネジ50と右ネジ60を形成したボルト40の前記左ネジ50を位置決め部材20にねじ込み、前記右ネジ60を前記固定部材80にねじ込んだ構造のものも提供されている。このものも、前記シムプレート方式の欠点を解消しているものの、製作に専用工具が必要になるため、加工性が悪いという問題を有している。
【特許文献1】特開平11−103983公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、加工が簡単であり、簡易な操作により微細な位置決め調整を可能とした位置決め調整ネジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、この目的を達成するために、請求項1に記載の通り、固定体に移動可能に設けた位置決め部材の位置決め調整ネジであって、ピッチ大のネジの先端にピッチ小のネジを形成したネジ構成よりなり、前記位置決め部材の一側方で前記固定体に固設したネジ穴を有する固定部材に前記ピッチ大のネジをねじ込み、その先端のピッチ小のネジを前記位置決め部材にねじ込んで成ることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ボルトの頭部を1回転することにより、ピッチ大のネジリードとピッチ小のネジリードによるピッチ差だけ位置決め部材が移動し、簡易な操作で迅速かつ微細な位置決め調整が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明を実施するための最良の形態について図面に基づいて説明する。図1において、2は駒3を保持した位置決め部材であり、固定体1に移動可能にに設けられている。4は前記位置決め部材2の位置決め調整ネジである。
【0009】
本発明による前記調整ネジ4は、ピッチ大のネジ6の先端にピッチ小のネジ5を形成したネジ構成である。この調整ネジ4の一端には頭部7を有している。
【0010】
前記調整ネジ4は、前記位置決め部材2の一側方で前記固定体1に固設したネジ穴を有する固定部材8に前記ピッチ大のネジ6をねじ込み、その先端のピッチ小のネジ5を前記位置決め部材2にねじ込んだ構成である。
【0011】
本発明は上記の通りの構成であるから、調整ネジ4の頭部7を摘み、ボルト4を左右回りに回転することにより、ピッチ大のネジ6のリードとピッチ小のネジ5のリードによるピッチ差だけ位置決め部材2が移動し位置調整が行われる。
【0012】
例えば、ピッチ大のネジ6はピッチ1mmとし、ピッチ大のネジ6の先端のピッチ小のネジ5はピッチ0.7mmとした場合、調整ネジ4の頭部7を1回転させると駒3は位置決め部材2を介してピッチ大のネジ6のピッチ1mmとピッチ小のネジ5のピッチ0.7mmとのピッチ差0.3mmだけ移動して位置決めされる。
【0013】
従って、本発明は、簡易な操作で迅速かつ微細な位置決め調整作業が得られ位置決め調整の作業性が大幅に向上ると共に、調整ネジ4は標準ねじのピッチ大のネジ6の先端にピッチ小のネジ5を加工するだけで得られるため、加工性も向上する利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の要部を破断した正面図
【図2】従来の要部を破断した正面図
【図3】従来の要部を破断した正面図
【符号の説明】
【0015】
1 固定体
2 位置決め部材
3 駒
4 調整ネジ
5 ピッチ小のネジ
6 ピッチ大のネジ
7 ボルトの頭部
8 固定部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定体に移動可能に設けた位置決め部材の位置決め調整ネジであって、ピッチ大のネジの先端にピッチ小のネジを形成したネジ構成よりなり、前記位置決め部材の一側方で前記固定体に固設したネジ穴を有する固定部材に前記ピッチ大のネジをねじ込み、その先端のピッチ小のネジを前記位置決め部材にねじ込んで成ることを特徴とする位置決め調整ネジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−240922(P2008−240922A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−83200(P2007−83200)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000157083)関東自動車工業株式会社 (1,164)
【Fターム(参考)】