説明

位置特定システムおよび位置特定方法

【課題】携帯端末の設計や製造にかかるコストを増大させることなく、その携帯端末の存在位置を特定することを可能にする。
【解決手段】相互に異なる位置に配置された複数の無線通信装置と、所定の携帯端末の存在位置を特定する位置特定装置とを有し、複数の無線通信装置のそれぞれは、移動体通信システムにおいて位置登録の際に用いられる端末識別情報を送信する電波を所定の携帯端末から受信した場合、受信した電波の強度を測定し、位置特定装置は、複数の無線通信装置のうち、端末識別情報を送信する電波を上記の所定の携帯端末から受信した無線通信装置が配置された位置と、測定された電波の強度とに基づき、所定の携帯端末の存在位置を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末の存在位置を特定するための位置特定システムおよび位置特定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話に代表される無線通信を用いた携帯端末の小型軽量化に伴い、多くの人が携帯端末を常時携帯するようになってきている。
【0003】
このような状況を利用し、例えば災害にあったり、山等において遭難したりして行方不明になっている行方不明者を、その行方不明者が携帯している携帯端末の存在位置を特定することで早期に発見することも可能となる。
【0004】
携帯端末の存在位置を特定することを可能にする技術が例えば、特許文献1に開示されている。
【0005】
ここで、特許文献1に開示されている緊急信号送受信用携帯端末について説明する。
【0006】
図8は、緊急信号送受信用携帯端末の構成を示すブロック図である。また、図9は、図8に示した緊急信号送受信用携帯端末の動作を説明するためのフローチャートである。
【0007】
図8に示す携帯端末101と携帯端末102とは、同一の機能を備えた緊急信号送受信用携帯端末である。ここでは、災害の被災者が携帯端末101を携帯しており、その被災者を捜索する捜索者が携帯端末102を携帯している場合について説明する。
【0008】
捜索者は、携帯端末101に緊急信号103を送信させるため、操作入力部124から制御信号104を送信するための操作コマンドを入力する。
【0009】
この操作コマンドで携帯端末102は捜索モードに切替えられる。この捜索モードは、携帯端末102が通常用いる携帯電話やPHS(Personal Handyphone System)機能に加えて緊急信号103を受信する機能を使用できるモードである。
【0010】
携帯端末102が捜索モードになると、制御部123は、携帯端末102の制御信号送信部122 から制御信号104を送信させる(ステップS100)。ここでの制御信号104の送信は、後に捜索者の携帯する携帯端末102の緊急信号受信部125が緊急信号103を受信するまで続けられる。
【0011】
一方、被災者が携帯する携帯端末101は常時、捜索者の携帯する携帯端末102が送信する制御信号104を受信したか否かを確認している(ステップS110)。
【0012】
そして、携帯端末101の制御信号受信部110が携帯端末102の制御信号送信部122からの制御信号104を受信した場合、この制御信号104は制御部113に送信される。このとき、制御部113は、制御信号104が、緊急信号103を送信するための制御信号104であることを制御信号104に付加されたID情報で確認し、携帯端末101を緊急モードに切替える(ステップS120)。
【0013】
そして、携帯端末101が緊急モードに切り替わると制御部113は、緊急信号送信部111から緊急信号103を送信させるよう制御する(ステップS130)。このとき、緊急信号103には、携帯端末101のID情報を付加して送信するものとする。これにより、緊急信号103を受信する携帯端末102は、どの携帯端末101から緊急信号103を受信したかを認識することが可能となり、複数の携帯端末101から複数の緊急信号103を受信した場合であっても携帯端末101毎に位置確認を行うことができる。
【0014】
ここで、各携帯端末には緊急モードと通常モードがある。緊急モードとは、携帯端末101が携帯端末102からの制御信号104を受信した場合であって、携帯端末101に緊急モードを解除するコマンドが入力されない場合である。これにより、携帯端末101は、携帯者が携帯端末101を操作することができない緊急状態であると判断することになり、緊急信号103の送信を行うよう制御される。
【0015】
一方、通常モードとは、携帯端末101が携帯端末102からの制御信号を受信した場合であって、携帯端末101に緊急モードを解除するコマンドが入力された場合や携帯端末101が携帯端末102からの制御信号104を受信しない場合である。携帯端末101が携帯端末102からの制御信号104を受信した場合であって、携帯端末101に緊急モードを解除するコマンドが入力された場合、携帯端末101は携帯者が携帯端末101を操作することができる通常の状態であると判断することになり通常モードに切り替わる。
【0016】
ステップS110において携帯端末101の制御信号受信部110が携帯端末102の制御信号送信部122からの制御信号104を受信していないと判断される場合、携帯端末101は、通常モードで動作中であるか否かの確認が行われる(ステップS140)。そして、通常モードで動作中あると判断された場合は捜索者の携帯する携帯端末102からの制御信号104を待つ状態となる。
【0017】
一方、通常モードで動作中でないと判断された場合は緊急モードで動作中であるため、制御部113は緊急信号送信部111から緊急信号103を送信させるよう制御し続ける。このように、緊急モードで動作中と判断された場合は、携帯端末101が携帯端末102から制御信号104を受信していなくても緊急信号103を送信する状態を維持する。これにより、携帯端末101が一度緊急モードになると、以後携帯端末101が携帯端末102からの制御信号104を受信できない状態になった場合であっても、緊急信号103を送信し続けることが可能となる。
【0018】
携帯端末102は、制御信号104を間欠的または連続的に送信しながら、携帯端末101からの緊急信号103を受信したか否かの確認を行う(ステップS150)。携帯端末102の緊急信号受信部125が携帯端末101の緊急信号送信部111からの緊急信号103を受信した場合、緊急信号103は緊急信号受信部125から信号強度検知部127へ送信される。そして、信号強度検知部127において携帯端末101から受信した緊急信号103の強度を検知するとともに、このときの緊急信号103の信号強度は表示部126において表示される。
【0019】
携帯端末102の携帯者は、表示部126に表示された信号強度を参考にしながら緊急信号103の強度が強くなる方向へ携帯端末102を移動させ、携帯端末101の位置を特定する(ステップS160)。
【0020】
以上説明したような特許文献1に開示されている技術では、携帯端末の存在位置を特定するために緊急信号を用いている。つまり、存在位置を特定する対象となる携帯端末が、自身の存在位置を特定させるための電波を発信する機能を備えていなくてはならない。この場合、携帯端末の設計や製造にかかるコストが増大してしまうという問題点がある(第1の問題点)。
【0021】
また、行方不明者は同じところに留まっているとは限らず、捜索者も移動しながら捜索しているため、行方不明者が携帯している携帯端末と捜索者が携帯している携帯端末との間で信号の送受信ができなくなってしまう可能性がある。この場合、行方不明者が携帯する携帯端末の存在位置の特定が困難になってしまうという問題点がある(第2の問題点)。
【0022】
ここで、携帯端末を携帯する者が移動している場合でも、その携帯端末の位置を特定することを可能にする技術が例えば、特許文献2に開示されている。
【0023】
特許文献に開示されている技術では、移動体に取り付けた子機から発信される電波を3つの基地局で受信する。そして、センター局のコンピューターが、3つの基地局のそれぞれが受信した電波の電波強度データから子機と3つの基地局のそれぞれとの間の距離を求める。これにより、子機の位置が特定できるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】特開2005−33458号公報
【特許文献2】特開平9−159746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
上述した特許文献2に開示されている技術を用いれば、携帯端末を携帯する者が移動している場合でも、その携帯端末の位置を特定することが可能となる。すなわち、上述した第2の問題点は解決される。
【0026】
しかし、特許文献2に開示されている技術において子機は、自身の位置を特定させるための電波を発信している。これは、存在位置を特定する対象となる携帯端末が、自身の位置を特定させるための電波を発信する機能を備えていなくてはならないことを意味している。つまり、特許文献2に開示されている技術を用いても、上述した第1の問題点を解決することはできない。
【0027】
本発明は、携帯端末の設計や製造にかかるコストを増大させることなく、その携帯端末の存在位置を特定することを可能にする位置特定システムおよび位置特定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記目的を達成するために本発明の位置特定システムは、
相互に異なる位置に配置された複数の無線通信装置と、
所定の携帯端末の存在位置を特定する位置特定装置と、を有し、
前記複数の無線通信装置のそれぞれは、移動体通信システムにおいて位置登録の際に用いられる端末識別情報を送信する電波を前記所定の携帯端末から受信した場合、該受信した電波の強度を測定し、
前記位置特定装置は、前記複数の無線通信装置のうち、前記端末識別情報を送信する電波を前記所定の携帯端末から受信した無線通信装置が配置された位置と、前記測定された電波の強度とに基づき、前記所定の携帯端末の存在位置を特定する。
【0029】
また、上記目的を達成するために本発明の位置特定方法は、相互に異なる位置に配置された複数の無線通信装置と、所定の携帯端末の存在位置を特定する位置特定装置とを有する位置特定システムにおける位置特定方法であって、
前記複数の無線通信装置のそれぞれが、移動体通信システムにおいて位置登録の際に用いられる端末識別情報を送信する電波を前記所定の携帯端末から受信した場合、該受信した電波の強度を測定する処理と、
前記位置特定装置が、前記複数の無線通信装置のうち、前記端末識別情報を送信する電波を前記所定の携帯端末から受信した無線通信装置が配置された位置と、前記測定された電波の強度とに基づき、前記所定の携帯端末の存在位置を特定する特定処理と、を有する。
【発明の効果】
【0030】
本発明は以上説明したように構成されているので、携帯端末の設計や製造にかかるコストを増大させることなく、その携帯端末の存在位置を特定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の位置特定システムの実施の一形態の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した位置特定システムが備える各装置の一構成例を示すブロック図であり、(a)は簡易基地局の一構成例を示すブロック図、(b)はベース基地局の一構成例を示すブロック図である。
【図3】図2(b)に示した記憶部が備える簡易基地局位置情報テーブルの一構成例を示す図である。
【図4】図1および図2(a)に示した簡易基地局の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】図1および図2(b)に示したベース基地局の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】図1〜図5に示した位置特定システムにおいて位置特定用情報が送信される経路を説明するためのブロック図である。
【図7】図1〜図5に示した位置特定システムにおいて位置特定用情報が送信される経路を説明するためのシーケンス図である。
【図8】緊急信号送受信用携帯端末の構成を示すブロック図である。
【図9】図8に示した緊急信号送受信用携帯端末の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0033】
図1は、本発明の位置特定システムの実施の一形態の構成を示すブロック図である。
【0034】
本実施形態の位置特定システムは図1に示すように、無線通信装置である簡易基地局10−1〜10−8と、位置特定装置であるベース基地局20とを備えている。なお、図1においては簡易基地局の数を8つとしているが、簡易基地局の数は8つに限定されない。
【0035】
簡易基地局10−1〜10−8のそれぞれは、携帯端末を携帯している行方不明者が存在すると想定される場所の近辺からベース基地局20の間に配置される。簡易基地局10−1〜10−8のそれぞれは例えば、ヘリコプターなどを用いて配置される。また、簡易基地局10−1〜10−8のそれぞれは、所定の範囲に電波を送信することができる。以降、この所定の範囲のことを電波送信可能範囲という。図1においては、一例として簡易基地局10−1の電波送信可能範囲1を示している。
【0036】
ベース基地局20は、行方不明者が例えば山での遭難者である場合、捜索者が使用可能な場所、例えば山の麓等に配置される。
【0037】
図2は、図1に示した位置特定システムが備える各装置の一構成例を示すブロック図であり、(a)は簡易基地局10−1の一構成例を示すブロック図、(b)はベース基地局20の一構成例を示すブロック図である。
【0038】
図2(a)を参照すると、簡易基地局10−1は、制御部11と、記憶部12と、送受信部13と、アンテナ14とを備えている。なお、簡易基地局10−2〜10−8も簡易基地局10−1と同様の構成である。
【0039】
アンテナ14は、送受信部13から出力された情報を受け付け、受け付けた情報を電波で送信する。なお、アンテナ14から送信された電波の届く範囲が、図1に示した電波送信可能範囲1となる。また、アンテナ14は、簡易基地局10−2〜10−8のうち、電波送信可能範囲内に簡易基地局10−1を含む簡易基地局から電波で送信されてきた情報を受信する。そして、アンテナ14は、受信した情報を送受信部13へ出力する。なお、アンテナ14が受け付ける情報と、アンテナ14が受信する情報との詳細については後述する。
【0040】
記憶部12は、例えば半導体メモリやハードディスクなどから構成される。記憶部12は、簡易基地局10−1を識別するための無線通信装置識別情報であるID(Identification)番号を記憶している。
【0041】
送受信部13は、所定の時間間隔で報知情報をアンテナ14へ出力する。ここで、報知情報とは、移動体通信事業者が構築した移動体通信システムにおいて、その移動体通信システムを構成する基地局から送信される情報である。移動体通信事業者と契約した契約者が所有する携帯端末は、報知情報を受信すると、移動体通信システムにおいて位置登録を行う際に用いられ、その携帯端末を識別する端末識別情報を電波で送信する。本実施形態において、存在位置を特定する対象となる所定の携帯端末である位置特定対象携帯端末は、上述したような移動体通信事業者と契約した契約者が所有する携帯端末を想定している。送受信部13は、位置特定対象携帯端末を識別する端末識別情報をアンテナ14を介して受け付けた場合、その端末識別情報を送信してきた電波の強度を測定する。そして、送受信部13は、測定した電波の強度を示す強度情報を制御部11へ出力する。また、送受信部13は、制御部11から出力された位置特定用情報を受け付け、受け付けた位置特定用情報をアンテナ14へ出力する。位置特定用情報については後述する。また、送受信部13は、簡易基地局10−1〜10−8のうち、簡易基地局10−1以外の簡易基地局から送信された位置特定用情報をアンテナ14を介して受け付けると、受け付けた位置特定用情報をそのまま、アンテナ14へ出力する。
【0042】
制御部11は、ハードウェア面においてはCPUやメモリを含んで構成される。制御部11は、送受信部13から出力された強度情報を受け付けると、記憶部12に記憶されたID番号を取得する。次に、制御部11は、取得したID番号と、受け付けた強度情報とを含む位置特定用情報を生成する。そして、制御部11は、生成した位置特定用情報を送受信部13へ出力する。
【0043】
次に、図2(b)を参照すると、ベース基地局20は、制御部21と、記憶部22と、送受信部23と、アンテナ24と、表示部25とを備えている。
【0044】
アンテナ24は、簡易基地局10−1〜10−8のうち、電波送信可能範囲内にベース基地局20を含む簡易基地局から電波で送信されてきた位置特定用情報を受信する。
【0045】
記憶部22は、例えば半導体メモリやハードディスクなどから構成される。記憶部22は、簡易基地局位置情報テーブルを備えている。
【0046】
図3は、図2(b)に示した記憶部22が備える簡易基地局位置情報テーブルの一構成例を示す図である。
【0047】
簡易基地局位置情報テーブルは図3に示すように、簡易基地局10−1〜10−8のそれぞれのID番号と、その簡易基地局が配置されている位置を示す位置情報である緯度情報および経度情報とを対応付けて記憶している。
【0048】
再度、図2(b)を参照すると、送受信部23は、アンテナ24を介して位置特定用情報を受け付ける。そして、送受信部23は、受け付けた位置特定用情報を制御部21へ出力する。
【0049】
制御部21は、ハードウェア面においてはCPUやメモリを含んで構成される。制御部21は、送受信部23から出力された位置特定用情報を受け付ける。そして、制御部21は、相互に異なるID番号を含む少なくとも3つの位置特定用情報と、記憶部22が備える基地局位置情報テーブルに記憶された内容とに基づき、位置特定対象携帯端末の存在位置を特定する。具体的には、制御部21は、少なくとも3つの位置特定用情報のそれぞれに含まれるID番号のそれぞれと同じID番号に対応する緯度情報および経度情報を基地局位置情報テーブルから取得する。そして、制御部21は、電波の強度が距離の2乗に反比例して減衰するという減衰特性を用い、少なくとも3つの位置特定用情報のそれぞれに含まれるID番号にて識別される少なくとも3つの簡易基地局のそれぞれと、位置特定対象携帯端末との間の距離を算出する。そして、制御部21は、算出した少なくとも3つの距離と、取得した緯度情報および経度情報とから、位置特定対象携帯端末の位置を特定する。このように、相互に異なる位置からの少なくとも3つの距離を用いることで、位置特定対象携帯端末の位置を正確に特定することができる。そして、制御部21は、特定した存在位置を示す情報を表示部25に表示させる。
【0050】
表示部25は、例えばモノクロまたはカラー表示が可能な液晶パネル等である。但し、液晶ディスプレイに限定されるものではない。
【0051】
以下に、上記のように構成された位置特定システムの動作について説明する。
【0052】
まず、図1および図2(a)に示した簡易基地局10−1の動作について説明する。
【0053】
図4は、図1および図2(a)に示した簡易基地局10−1の動作を説明するためのフローチャートである。なお、簡易基地局10−2〜10−8の動作も、簡易基地局10−1の動作と同様である。
【0054】
まず、送受信部13は、所定の時間間隔で報知情報をアンテナ14へ出力する。
【0055】
送受信部13から出力された報知情報を受け付けたアンテナ14は、受け付けた報知情報を電波で送信する(ステップS1)。
【0056】
次に、送受信部13は、位置特定対象携帯端末を識別する端末識別情報をアンテナ14を介して受け付けたかどうかを確認する。すなわち、送受信部13は、位置特定対象携帯端末を識別する端末識別情報を送信してきた電波をアンテナ24が受信したかどうかを確認する(ステップS2)。
【0057】
ステップS2における確認の結果、位置特定対象携帯端末を識別する端末識別情報を送信してきた電波をアンテナ24が受信している場合、送受信部13は、受信した電波の強度を測定する(ステップS3)。
【0058】
そして、送受信部13は、測定した電波の強度を示す強度情報を制御部11へ出力する。
【0059】
送受信部13から出力された強度情報を受け付けた制御部11は、記憶部12に記憶されたID番号を取得する。
【0060】
そして、制御部11は、取得したID番号と、受け付けた強度情報とを含む位置特定用情報を生成する(ステップS4)。そして、制御部11は、生成した位置特定用情報を送受信部13へ出力する。
【0061】
制御部11から出力された位置特定用情報を受け付けた送受信部13は、受け付けた位置特定用情報をアンテナ14へ出力する。
【0062】
送受信部13から出力された位置特定用情報を受け付けたアンテナ14は、受け付けた位置特定用情報を電波で送信する(ステップS5)。
【0063】
一方、ステップS2における確認の結果、位置特定対象携帯端末を識別する端末識別情報を送信してきた電波をアンテナ14が受信していない場合、送受信部13は、アンテナ14を介して位置特定用情報を受け付けたかどうかを確認する。すなわち、送受信部13は、位置特定用情報を送信してきた電波をアンテナ14が受信したかどうかを確認する(ステップS6)。
【0064】
ステップS6における確認の結果、位置特定用情報を送信してきた電波をアンテナ14が受信していない場合、ステップS1の動作へ遷移する。
【0065】
一方、ステップS6における確認の結果、位置特定用情報を送信してきた電波をアンテナ14が受信した場合、送受信部13は、受け付けた位置特定用情報をアンテナ14へ出力する。
【0066】
送受信部13から出力された位置特定用情報を受け付けたアンテナ14は、受け付けた位置特定用情報を電波で送信する。つまり、アンテナ14が受信した位置特定用情報がそのままアンテナ14から送信されることになる(ステップS7)。
【0067】
次に、図1および図2(b)に示したベース基地局20の動作について説明する。
【0068】
図5は、図1および図2(b)に示したベース基地局20の動作を説明するためのフローチャートである。
【0069】
まず、送受信部23は、アンテナ24を介して位置特定用情報を受け付けたかどうかを確認する。すなわち、送受信部23は、位置特定用情報を送信してきた電波をアンテナ24が受信したかどうかを確認する(ステップS21)。
【0070】
ステップS21における確認の結果、位置特定用情報を送信してきた電波をアンテナ24が受信していない場合、ステップS21の動作へ遷移する。
【0071】
一方、ステップS21における確認の結果、位置特定用情報を送信してきた電波をアンテナ24が受信している場合、送受信部23は、受け付けた位置特定用情報を制御部21へ出力する。
【0072】
送受信部23から出力された位置特定用情報を受け付けた制御部21は、受け付けた位置特定用情報に含まれるID番号を記憶しているかどうかを確認する。すなわち、制御部21は、アンテナ24が受信した位置特定用情報に含まれるID番号を記憶しているかどうかを確認する(ステップS22)。
【0073】
ステップS22における確認の結果、アンテナ24が受信した位置特定用情報に含まれるID番号を記憶している場合、制御部21は、記憶しているID番号に対応する強度情報と、アンテナ24が受信した位置特定用情報に含まれる強度情報とが一致するかどうかを確認する(ステップS23)。
【0074】
ステップS23における確認の結果、記憶しているID番号に対応する強度情報と、アンテナ24が受信した位置特定用情報に含まれる強度情報とが一致する場合、ステップS21の動作へ遷移する。
【0075】
一方、ステップS23における確認の結果、記憶しているID番号に対応する強度情報と、アンテナ24が受信した位置特定用情報に含まれる強度情報とが一致しない場合、制御部21は、記憶しているID番号に対応する強度情報を、アンテナ24が受信した位置特定用情報に含まれる強度情報で更新する(ステップS24)。そして、ステップS21の動作へ遷移する。
【0076】
ここで、ステップS22における確認の結果、アンテナ24が受信した位置特定用情報に含まれるID番号を記憶していない場合、制御部21は、受け付けた位置特定用情報に含まれるID番号と強度情報とを対応付けて記憶する。すなわち、制御部21は、アンテナ24が受信した位置特定用情報に含まれるID番号と強度情報とを対応付けて記憶する(ステップS25)。
【0077】
次に、制御部21は、記憶しているID番号の数が3つ以上であるかどうかを確認する(ステップS26)。
【0078】
ステップS26における確認の結果、記憶しているID番号の数が3つ以上でない場合、ステップS21の動作へ遷移する。
【0079】
一方、ステップS26における確認の結果、記憶しているID番号の数が3つ以上である場合、制御部21は、記憶しているID番号および強度情報と、記憶部22が備える簡易基地局位置情報テーブルに記憶された内容とに基づき、位置特定対象携帯端末の存在位置を特定する(ステップS27)。
【0080】
そして、制御部21は、特定した存在位置を示す情報を表示部25に表示させる(ステップS28)。
【0081】
次に、図1〜図5に示した位置特定システムにおいて位置特定用情報がベース基地局20まで送信される経路の一例について説明する。
【0082】
図6は、図1〜図5に示した位置特定システムにおいて位置特定用情報が送信される経路を説明するためのブロック図である。また、図7は、図1〜図5に示した位置特定システムにおいて位置特定用情報が送信される経路を説明するためのシーケンス図である。
【0083】
図6において、電波送信可能範囲1は簡易基地局10−1の電波送信可能範囲を示し、電波送信可能範囲2は簡易基地局10−2の電波送信可能範囲を示し、電波送信可能範囲3は簡易基地局10−3の電波送信可能範囲を示している。
【0084】
また、図6において携帯端末30が位置特定対象携帯端末であり、電波送信可能範囲4は、携帯端末30の電波送信可能範囲を示している。つまり、携帯端末30から送信された電波は、簡易基地局10−1,10−4,10−7にて受信することが可能となる。
【0085】
以下に、図6および図7を参照しながら、位置特定用情報が送信される経路について説明する。
【0086】
まず、携帯端末30は、電波送信可能範囲1内に存在している。そのため、携帯端末30は、簡易基地局10−1から送信された報知情報を受信する。報知情報を受信した携帯端末30は、端末識別情報を送信する。
【0087】
携帯端末30から送信された端末識別情報を受信した簡易基地局10−1は、上述したステップS3〜S5の動作に従い、位置特定用情報を送信する。なお、以降、簡易基地局10−1から送信された位置特定用情報のことを位置特定用情報Aという。つまり、位置特定用情報Aは、簡易基地局10−1を識別するID番号を含んでいる。
【0088】
ここで、簡易基地局10−2は、電波送信可能範囲1内に存在している。そのため、簡易基地局10−2は、簡易基地局10−1から送信された位置特定用情報Aを受信する。位置特定用情報Aを受信した簡易基地局10−2は、上述したステップS7の動作に従い、受信した位置特定用情報Aをそのまま送信する。
【0089】
また、簡易基地局10−3は、電波送信可能範囲2内に存在している。そのため、簡易基地局10−3は、簡易基地局10−2から送信された位置特定用情報Aを受信する。位置特定用情報Aを受信した簡易基地局10−3は、上述したステップS7の動作に従い、受信した位置特定用情報Aをそのまま送信する。
【0090】
そして、ベース基地局20は、電波送信可能範囲3内に存在している。そのため、ベース基地局20は、簡易基地局10−3から送信された位置特定用情報Aを受信する。
【0091】
以上説明したように位置特定用情報Aは、「簡易基地局10−1→簡易基地局10−2→簡易基地局10−3→ベース基地局20」という経路で送信されることになる。この経路が図7(a)に示されている。
【0092】
次に、簡易基地局10−4は、電波送信可能範囲4内に存在している。そのため、簡易基地局10−4は、携帯端末30から送信された端末識別情報を受信する。携帯端末30から送信された端末識別情報を受信した簡易基地局10−4は、上述したステップS3〜S5の動作に従い、位置特定用情報を送信する。なお、以降、簡易基地局10−4から送信された位置特定用情報のことを位置特定用情報Bという。つまり、位置特定用情報Bは、簡易基地局10−4を識別するID番号を含んでいる。
【0093】
この場合、位置特定用情報Bは、例えば「簡易基地局10−4→簡易基地局10−5→簡易基地局10−6→ベース基地局20」という経路で送信されることになる。この経路が図7(b)に示されている。
【0094】
また、簡易基地局10−7は、電波送信可能範囲4内に存在している。そのため、簡易基地局10−7は、携帯端末30から送信された端末識別情報を受信する。携帯端末30から送信された端末識別情報を受信した簡易基地局10−7は、上述したステップS3〜S5の動作に従い、位置特定用情報を送信する。なお、以降、簡易基地局10−7から送信された位置特定用情報のことを位置特定用情報Cという。つまり、位置特定用情報Cは、簡易基地局10−7を識別するID番号を含んでいる。
【0095】
この場合、位置特定用情報Cは、例えば「簡易基地局10−7→簡易基地局10−8→簡易基地局10−4→簡易基地局10−5→簡易基地局10−6→ベース基地局20」という経路で送信されることになる。この経路が図7(c)に示されている。
【0096】
以上のように、簡易基地局10−1〜10−8のうち、少なくとも3つの簡易基地局が携帯端末30から送信された端末識別情報を受信可能であれば、ベース基地局20は、相互に異なるID番号を含む少なくとも3つの位置特定用情報を受信することができる。
【0097】
このように本実施形態において、簡易基地局10−1〜10−8のそれぞれは、移動体通信システムにおいて位置登録の際に用いられる端末識別情報を送信する電波を位置特定対象携帯端末から受信した場合、受信した電波の強度を測定する。
【0098】
そして、ベース基地局20は、簡易基地局10−1〜10−8のうち、端末識別情報を送信する電波を位置特定対象携帯端末から受信した簡易基地局が配置された位置と、測定された電波の強度とに基づき、位置特定対象携帯端末の存在位置を特定する。
【0099】
これにより、携帯端末の設計や製造にかかるコストを増大させることなく、その携帯端末の存在位置を特定することが可能となる。
【符号の説明】
【0100】
1〜4 電波送信可能範囲
10−1〜10−8 簡易基地局
11,21 制御部
12,22 記憶部
13,23 送受信部
14,24 アンテナ
20 ベース基地局
25 表示部
30 携帯端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に異なる位置に配置された複数の無線通信装置と、
所定の携帯端末の存在位置を特定する位置特定装置と、を有し、
前記複数の無線通信装置のそれぞれは、移動体通信システムにおいて位置登録の際に用いられる端末識別情報を送信する電波を前記所定の携帯端末から受信した場合、該受信した電波の強度を測定し、
前記位置特定装置は、前記複数の無線通信装置のうち、前記端末識別情報を送信する電波を前記所定の携帯端末から受信した無線通信装置が配置された位置と、前記測定された電波の強度とに基づき、前記所定の携帯端末の存在位置を特定する位置特定システム。
【請求項2】
請求項1に記載の位置特定システムにおいて、
前記位置特定装置は、電波を受信可能であり、前記複数の無線通信装置のそれぞれを識別する複数の無線通信装置識別情報のそれぞれと、当該無線通信装置が配置された位置を示す位置情報とを対応付けて記憶し、
前記複数の無線通信装置のそれぞれは、前記測定した電波の強度を示す強度情報と、当該無線通信装置を識別する無線通信装置識別情報とを含む位置特定用情報を所定の範囲に電波で送信し、前記複数の無線通信装置のうち当該無線装置以外の無線通信装置から電波で送信されてきた位置特定用情報を受信した場合、該受信した位置特定用情報を前記所定の範囲に電波で送信し、
前記位置特定装置は、前記複数の無線通信装置のうち前記所定の範囲内に当該位置特定装置の存在位置を含む無線通信装置から電波で送信されてきた位置特定用情報を受信し、該受信した位置特定用情報に含まれる無線通信装置識別情報に対応する位置情報が示す位置と、当該受信した位置特定用情報に含まれる強度情報が示す電波の強度とに基づき、前記所定の携帯端末の存在位置を特定する位置特定システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載された位置特定システムにおいて、
前記複数の無線通信装置の数は3つ以上であり、
前記複数の無線通信装置のうちの少なくとも3つは、前記所定の携帯端末から送信された電波を受信可能な位置に配置された位置特定システム。
【請求項4】
相互に異なる位置に配置された複数の無線通信装置と、所定の携帯端末の存在位置を特定する位置特定装置とを有する位置特定システムにおける位置特定方法であって、
前記複数の無線通信装置のそれぞれが、移動体通信システムにおいて位置登録の際に用いられる端末識別情報を送信する電波を前記所定の携帯端末から受信した場合、該受信した電波の強度を測定する処理と、
前記位置特定装置が、前記複数の無線通信装置のうち、前記端末識別情報を送信する電波を前記所定の携帯端末から受信した無線通信装置が配置された位置と、前記測定された電波の強度とに基づき、前記所定の携帯端末の存在位置を特定する特定処理と、を有する位置特定システム。
【請求項5】
請求項4に記載の位置特定方法において、
前記複数の無線通信装置のそれぞれが、前記測定した電波の強度を示す強度情報と、当該無線通信装置を識別する無線通信装置識別情報とを含む位置特定用情報を所定の範囲に電波で送信する処理と、
前記複数の無線通信装置のそれぞれが、前記複数の無線通信装置のうち当該無線装置以外の無線通信装置から電波で送信されてきた位置特定用情報を受信した場合、該受信した位置特定用情報を前記所定の範囲に電波で送信する処理と、
前記位置特定装置が、前記複数の無線通信装置のうち前記所定の範囲内に当該位置特定装置の存在位置を含む無線通信装置から電波で送信されてきた位置特定用情報を受信する処理と、をさらに有し、
前記特定処理は、前記位置特定装置が、前記複数の無線通信装置のうち、前記受信した位置特定用情報に含まれる無線通信装置識別情報にて識別される無線通信装置が配置された位置と、当該受信した位置特定用情報に含まれる強度情報が示す電波の強度とに基づき、前記所定の携帯端末の存在位置を特定する処理である位置特定方法。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載された位置特定方法において、
前記複数の無線通信装置の数は3つ以上であり、
前記複数の無線通信装置のうちの少なくとも3つが、前記所定の携帯端末から送信された電波を受信可能な位置に配置された位置特定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−220441(P2012−220441A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89200(P2011−89200)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】