説明

位置補正装置、電気部品収納装置および電気部品検査装置

【課題】登録するために製品を正しい姿勢にする必要がない位置補正装置、電気部品収納装置および電気部品検査装置に関する。
【解決手段】ターンテーブルTの接線方向をX軸、半径方向をY軸としXY軸との原点O’と、搬送された電子部品の中点とのずれを検出する第1の検出手段と、XY軸の原点O’とターンテーブルの中心とを結ぶθ基準線に対する電子部品Wの角度のずれを検出する第2の検出手段と、前記搬送された電子部品を載置するステージSと、第1の検出手段及び第2の検出手段で検出したズレを戻す方向にステージSを移動させることにより、電子部品Wの姿勢を補正する移動手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置や電子部品等のデバイスに工程処理を行う電気部品検査装置の一工程処理部を形成し、搬送されるデバイスの位置補正を行う位置補正装置、電気部品収納装置および電気部品検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の製造工程においては、製品を検査しながら搬送するための装置が不可欠である。例えば、ダイオードなどのディスクリート半導体や、小ピンのICなどの小型半導体製品の製造工程においては、製品を検査しながら搬送するための装置として、電気部品検査装置が用いられる。最も一般的な電気検査装置は、製品の電気特性のテストを行うテスト装置、製品表面へのマーキングを行うマーキング装置、製品をキャリアテープなどへ収容してパッキングを行うテーピング装置を備え、ターンテーブル等の搬送部により、各装置に対して電子部品を搬送しながら、各工程の処理を実行するものである。
【0003】
電子部品の組立工程から電気部品検査装置への供給方法には、ウェーハリング上の粘着シート(UVシートなど)に貼り付けられダイシングで個片化された電子部品を供給する方法や、個片の電子部品をリードフレームに搭載しリードフレーム供給ユニットによって供給する方法又は振動式パーツフィーダによって一定の方向及び姿勢に整列して供給する方法等がある。
【0004】
これらの供給方法では、例えば、ウェーハリングから突き上げピンによりピックアップする場合には、電子部品を電気部品検査装置のコレットや吸着ノズルに吸着保持する際に位置ずれが発生する。また、リードフレーム供給でも金型で個片化した後は姿勢が変化するおそれがあり、パーツフィーダの供給においてもパーツフィーダの振動等によって電子部品が必ずしも正確な姿勢で供給されるとは限らない。
【0005】
電子部品がコレットや吸着ノズルにおいて正確な姿勢で保持されていない場合には、その状態のまま各処理工程を経ることとなり、各処理工程において電子部品に正確な処理が施されず、結果として半導体製造装置の処理精度の低下や稼動率の低下を招くこととなっていた。
【0006】
また、電気部品検査装置のコレットや吸着ノズルに保持され各工程処理間を搬送される電子部品において姿勢のずれが起きる要因は、上記の電気部品検査装置への供給時に限られない。例えば、搬送中の電子部品の各工程処理機構への受渡し時や電子部品への接触(電気テスト)時、さらには搬送自体が姿勢のずれの要因となる。
【0007】
そこで、特許文献1のような電子部品の姿勢を補正する装置が知られている。この姿勢補正装置では、姿勢補正装置の前段階の撮像位置において撮像した電子部品の姿勢情報と、予め登録した電子部品の姿勢情報との比較することにより、電子部品の姿勢のずれ量をXYθ軸方向ごとに算出する。そして、撮像位置の次の段階の姿勢補正装置では、算出したXYθ軸方向ごとに算出したずれ量に基づいて、電子部品の姿勢の補正を行う。
【0008】
【特許文献1】特開2009−286490公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の発明では、電子部品の姿勢情報を登録する必要があるが、登録しようとする電子部品の姿勢が正しい保証はない。すなわち、正しい姿勢を登録するために正しい姿勢を保持した電子部品を用意することは困難であった。
【0010】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、予め姿勢情報を登録する必要がない、すなわち、登録するために製品を正しい姿勢にする必要がない位置補正装置、電気部品収納装置および電気部品検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため本発明は、ターンテーブルの接線方向をX軸、半径方向をY軸とし当該XY軸との交点と、搬送された電子部品の中点とのずれを検出する第1の検出手段と、前記XY軸の交点とターンテーブルの中心とを結ぶθ基準線に対する前記電子部品の角度のずれを検出する第2の検出手段と、前記搬送された電子部品を載置するステージと、前記第1の検出手段及び前記第2の検出手段で検出したズレを戻す方向に前記ステージを移動させることにより、前記電子部品の姿勢を補正する移動手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、前記第1の検出手段及び第2の検出手段は撮像手段を含み、前記X軸、前記Y軸及び前記交点と、前記撮像手段のX軸、Y軸及び当該交点とが、一致するように前記撮像手段が設けられたことを特徴としても良い。
【0013】
さらに、予め前記ターンテーブルの半径方向のX軸と接線方向をY軸と当該XY軸との交点に一致するように取り付けられた冶具とを備え、前記撮像手段で前記冶具の画像を撮像し、前記画像に基づき前記撮像手段におけるX軸、Y軸及び当該XY軸の交点を、冶具のX軸とY軸とXY軸との交点に合わせるように前記撮像手段を移動させること特徴としてもよい。
【0014】
さらに、前記のような位置補正装置を備える電気部品収納装置および電気部品検査装置も本発明の一態様である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、半導体装置又は電子部品等のデバイスの姿勢矯正を、予め姿勢情報を登録する必要がなく行うことができ、さらに、電子部品の姿勢を位置補正装置において認識することができる。これにより、位置決め精度を高めた位置補正装置及びそれを備えた電気部品検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態における電気部品検査装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態における撮像ユニットの概略構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態の撮像手段におけるXYθ原点の取得方法を示す図である。
【図4】本発明の実施形態における補正ユニットの概略構成を示す図である。
【図5】本発明の実施形態の補正ユニットの制御部の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施形態における位置補正装置の作用を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明に係る位置補正装置及びそれを備える電気部品検査装置の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。まず、図1及び2を参照して、位置補正装置及びそれを備えた電気部品検査装置の構成について説明する。図1は、電気部品検査装置の概略構成を示す図である。図2は、位置補正装置の概略構成を示す図である。
【0018】
[1.構成]
[1−1.位置補正装置を備えた電気部品検査装置の構成]
本実施形態の位置補正装置が、電気部品検査装置1に組み込まれた際の役割を、一例として図1に示す。図1に示す電気部品検査装置1は、間欠的に回転しながら停止するポジションPとして、12個のポジションP1〜P12を備えたターンテーブルTと、このターンテーブルTの12分割した各ポジションに取り付けられた電子部品Wを吸着保持する吸着保持機構Vと、ターンテーブルTを12分割して間欠的に回転させるモータMと、を備える。
【0019】
吸着保持機構Vは、電子部品Wを吸着及び離脱させる吸着ノズルV1である。吸着ノズルV1は、ターンテーブルTの外周端に取り付けられた支持部(図示せず)によってターンテーブルTに対して上下動可能となっている。吸着ノズルV1の直上には、操作ロッドを備える駆動部が配置されており、操作ロッドが吸着ノズルV1の上端に当接して下方へ押し下げることにより、吸着ノズルV1は下降する。吸着ノズルV1のパイプ内部は、図示しない真空発生装置の空気圧回路と連通しており、吸着ノズルV1は、負圧の発生によって電子部品Wを吸着し、真空破壊によって電子部品Wを離脱させる。
【0020】
電気部品検査装置1は、さらに、この12個の停止ポジションP1〜12の直下に、以下に示すような電子部品Wに対して各種の処理を施す工程処理装置Eを備える。各種の工程処理は、主に、ダイシング、マウンティング、ボンディング、及びシーリング等の各組み立て工程を経た後の検査工程であり、位置補正、外観検査、テストコンタクト、マーキング、分類ソート、及び梱包の工程処理が含まれる。
【0021】
図1に示すように、電気部品検査装置1は、パーツフィーダやリードフレーム、ウェーハリング又はチューブなどの外部装置から電子部品Wが供給される供給装置Aを最上流(P1)とし、ここから、ターンテーブルTの回転方向に向かって各種の工程処理装置E(P2〜P12)を備える。
【0022】
最上流の供給ポジションP1の下流にあるポジションには、撮像工程処理を行う撮像ユニットBが備えられる。この撮像ユニットBは、吸着保持機構Vに吸着保持され搬送されてくる電子部品Wの姿勢を検出するものである。この撮像ユニットBの次のポジションには、吸着保持機構Vに吸着保持され搬送されてくる電子部品Wを一時的に載置するステージを備え、電子部品Wの姿勢を補正する姿勢補正ユニットCを備える。姿勢補正ユニットCの次のポジションには、撮像工程処理を行う撮像ユニットDが備えられる。撮像ユニットDは、撮像ユニットBと同様に、吸着保持機構Vに吸着保持され搬送されてくる電子部品Wの姿勢を検出するものである。
【0023】
撮像ユニットB及び姿勢補正ユニットCは協働することによって、吸着保持機構Vに吸着保持され搬送されてくる電子部品Wの姿勢の補正処理を行う姿勢補正ユニットを構成する。すなわち、撮像ユニットBで電子部品Wの姿勢情報を検出し、姿勢情報から電子部品Wの姿勢のずれを検出した場合には、姿勢補正ユニットCにおいて電子部品Wの姿勢を補正を行うように構成される。
【0024】
前記のように電子部品Wの姿勢補正処理を行う姿勢補正ユニット以外の工程処理機構としては、マーキングユニット、外観検査ユニット、電気テストユニット、不良品排出ユニット、分類ソートユニット、テーピングユニットなどが配置されている。これらの各種の工程処理機構は、ターンテーブルTを取り囲んで外周方向に等間隔離間して配置されている。配置間隔は、ターンテーブルTの1ピッチの回転角度と同一若しくは整数倍に等しい。
【0025】
この電気部品検査装置1は、図示しない制御部を備え、ターンテーブルTを回転させるダイレクトドライブモータ、吸着ノズルV1を上下動させる駆動部、真空発生装置、及び各種の工程処理機構に電気信号を送出することで、これらの動作タイミングを制御している。
【0026】
すなわち、制御部は、制御プログラムを格納するROM、CPU、及びドライバを備え、制御プログラムに従い、インターフェースを介して各駆動機構に各タイミングで動作信号を出力している。
【0027】
[1−3.撮像ユニットB及びDの構成]
次に撮像ユニットB,Dの構成を図2を参照して説明する。図2は、撮像ユニットの構成を示す概略図である。図2に示すように、吸着保持機構Vに吸着保持され搬送されてくる電子部品Wが停止するポジションの下及び下方には、撮像ユニットの撮像手段24が配置される。撮像ユニットの撮像手段24は、電子部品Wを下方から撮像を行い、その姿勢ずれを認識するように構成される。
【0028】
具体的には、電子部品W下方で電子部品Wの停止するポジションに近接した位置であって、電子部品Wの下方に撮像を容易にするための照明21が配置される。さらにこの照明21から電子部品Wが停止するポジションと反対方向に離れた位置であって、図中下方に電子部品Wからの光軸を直角方向に変換するプリズム22が配置される。本実施形態においては、このプリズム22により、電子部品Wの停止するポジションから垂直方向に侵入した光軸を、水平方向に変換するように構成している。そして、電子部品Wの停止するポジションから垂直に下ろした位置から水平方向に変換した先であって、ターンテーブルTの外周方向に向かった位置に、レンズ23を備えた撮像手段である撮像手段24が設けられている。
【0029】
ここで、本実施形態の撮像手段24において、プリズム22により光軸を変換し、撮像手段24を水平方向に配置する構成としているのは、電気部品検査装置1への配置スペースを考慮しての構成である。すなわち、電気部品検査装置1は、図1に示したように、上部にターンテーブルTを備え、その下部に、このターンテーブルTを回転駆動するモータMや、電気部品検査装置1全体を駆動制御する制御装置、吸着保持機構Vのためのバキューム機構等を備えるため、吸着ノズルV1の下方領域におけるスペースが限られているのが一般的である。そこで、本実施形態では、ターンテーブルTの外周方向に姿勢認識手段2の構成を配置することで、このような配置スペースの問題に対応している。
【0030】
[1−4.撮像ユニットの撮像手段におけるXYθ原点取得方法]
上記の撮像ユニットの撮像手段24のXY原点及びθ軸の基準線の取得方法について図3を参照して説明する。撮像ユニットは、吸着保持機構Vに吸着保持され搬送されてくる電子部品Wの姿勢のずれを検出するものである。この姿勢のずれは、撮像ユニットの撮像手段24の各XY原点及びθ軸の基準線が基準となるため正確な原点取得方法が求められる。
【0031】
この原点取得方法は、搬送される電子部品Wの姿勢情報を記憶するものではなく、ターンテーブルTの円周上である搬送路の接線方向をX軸とし、ターンテーブルTの円周を正確に分割した半径方向をY軸とし、XY軸の交点を原点O’とする。この原点O’とその原点とターンテーブルTの中心Oとを結ぶ直線をθ軸の基準線とし、これらのXY軸の交点を原点O’、θ軸の基準線より座標を取得する。
【0032】
具体的には、吸着保持機構Vの吸着ノズルの変わりに先端が正方形の治具を取り付ける。この治具は、θ軸の基準線と治具の正方形の1辺が平行になるように取り付けられる。
【0033】
次に、治具の吸着面を撮像ユニットの撮像手段24で認識し、視野内でこの治具先端形状に一致する四角形を設定する(図3(a))。この四角形の中点をXY軸の原点O’とし、四角形の1辺と平行でXY原点をθ軸の基準線として登録する。
【0034】
そして、搬送テーブル座標原点、各種加工ユニットの座標原点、撮像ユニットの撮像手段のXY原点とθ基準線を一致させる(図3(b))。これにより、撮像ユニットでの検出結果により搬送される電子部品Wの姿勢補正を行うと、搬送テーブル、各種加工ユニットへ正しい姿勢で電子部品Wを搬送することすることができる。
[1−5.姿勢補正ユニット]
次に姿勢補正ユニットの構成を図4を参照して説明する。図4は、XYθ移動機構を備えた姿勢補正ユニットの構成を示す概略図である。図4に示すように、姿勢補正ユニットは、ターンテーブルTの搬送路の接線方向(図中奥行き方向)であるX軸方向のX軸移動機構E1と、ターンテーブルTの搬送路の半径方向(図中左右方向)であるY軸方向のY軸移動機構E2とを備える。また、吸着ステージ台座E3を移動させることにより、吸着ステージSをθ軸の基準線に対してθ度回転させるθ方向移動機構E4とを備える。
【0035】
より具体的には、吸着ステージSを備える吸着ステージ台座E3は、Y軸方向に伸びたアームE5に搭載される。このアームE5は上台座E6上に配置され、同じく上台座E6に配置されたY軸駆動モータM1の動力を介するY軸ボールネジE7によりY軸方向に移動できるよう構成されている。
【0036】
また、上台座E6は、その下方に設けられた下台座E8に搭載されたものであり、この下台座E8は、X方向である図中奥行方向に回転軸を向けたX軸駆動モータM2の回転力を、プーリーE9とベルトE10により伝達し、下台座E8直下に設けたX軸ボールネジE11を駆動することにより、X方向に移動するように構成される。
【0037】
さらに、アームE5の吸着ステージ台座E3が配置される端部の下側には、吸着ステージ台座E3をθ角度回転させるθ軸駆動モータM3が配置される。このθ軸駆動モータM3は、θ軸減衰機を介して吸着ステージ台座E3を回動させるように構成される。
【0038】
[1−5.制御部の構成]
撮像ユニットの撮像手段で撮像した撮像イメージは、図示しない制御部に出力される。この制御部3では、入力された撮像イメージに基づいて電子部品Wのずれ量を検出し、姿勢補正ユニットのX軸モータM2、Y軸モータM1及びθ軸モータM3に信号を出力することにより、吸着ステージSを移動させるように構成される。この制御部は、姿勢補正ユニットと組み合わせことにより前記撮像ユニットの撮像手段の検出結果に基づき、電子部品Wが載置された吸着ステージSを移動ように構成されたものである。以下では、電子部品Wのズレ量の検出の方法として、2値化による画像処理方法について記載する。
【0039】
図5は、制御部の構成を示す図である。制御部3は入力した撮像ユニットの撮像手段の撮像データからずれ量を検出する検出部31と、この検出部31で検出した結果に基づき姿勢補正ユニットのX軸モータM2、Y軸モータM1及びθ軸モータM3に制御信号を出力する信号生成部35とで構成される。
【0040】
制御部3では、入力された撮像イメージを2値化する2値化変換部32と、2値化されたデータに基づき輪郭を検出する輪郭抽出手段33と、検出した輪郭を基に電子部品Wのずれを検出するずれ量算出部34とを備える。
【0041】
信号生成部35では、算出したずれ量に応じた電子部品Wが正しい姿勢になるのに必要な吸着ステージSの移動距離を算出し、X軸駆動モータM1、Y軸駆動モータM2及びθ軸駆動モータM3をその距離だけ駆動させる駆動信号を生成し出力するように構成される。
【0042】
以上のように本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。この新規な実施形態は、そのほかの様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。そして、この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0043】
例えば、次の(1)〜(5)のような変更をすることも可能である。
(1)本実施形態では、電子部品Wのズレ量の算出の方法のための画像処理方法として2値化による画像処理方法を挙げたが、それ以外の処理方法を使用することもできる。例えば、撮像イメージを256階調の濃淡画像として扱い、対象物のパターン形状を認識するグレー画像の正規化相関法や、他の画像処理方法によりズレ量を算出するようにしても良い。
(2)1組の撮像ユニットと姿勢補正ユニットとの組み合わせにより、1回の撮像によりXY方向のずれとθ方向のずれのすべてを計算し、電子部品Wの姿勢を補正するとしたが、2組の撮像ユニットと姿勢補正ユニットの組み合わせを用いても良い。すなわち、1組目の撮像ユニットと姿勢補正ユニットとの組み合わせによりθ方向のずれを検出し、電子部品Wのθ方向の姿勢を矯正させる。その後、もう1組の撮像ユニットと姿勢補正ユニットの組み合わせを用いて、XY方向のずれを検出し、電子部品WのXY方向の姿勢を矯正させるように構成してしもよい。1回の撮像による撮像結果によりXY方向のずれとθ方向のずれのすべてを計算することも理論上は可能であるが、θ方向のずれと、XY方向のずれとを2回に分けて撮像し、それぞれ別々にずれ量を計算するようにしても良い。2回の撮像を行うほうが、計算量や処理量の面でメリットがある。
(3)姿勢補正ユニット姿勢を補正した後、次の処理工程に搬送される例を挙げたが、補正ユニットにおいて電子部品Wに対するパッキングを行う収納処理や各種の処理工程を行うものとしてもよい。
(4)撮像ユニットの撮像ユニットの撮像手段24の光学系は、電子部品Wの停止するポジション下部から撮像手段24に至れば良く、上記以外の構成でもよい。
(5)吸着保持機構Vとして、真空の発生及び破壊により電子部品Wを吸着及び離脱させる吸着ノズルV1に代えて、電子部品Wを機械的に挟持するチャック機構を配してもよい。
(6)各種の工程処理機構は、上記した種類に限られず、各種の工程処理機構と置き換えることが可能であり、また配置順序も適宜変更可能である。
【0044】
[2.実施形態の作用]
以上のような構成を有する本実施形態の作用について、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0045】
本実施形態では、1組の撮像ユニットと姿勢補正ユニットとの組み合わせにより、1回の撮像によりXY方向のずれとθ方向のずれのすべてを計算し、電子部品Wの姿勢を補正する。そして、撮像ユニットの撮像手段24で撮像した電子部品Wを姿勢補正ユニットの吸着ステージSに載置する。そして、この吸着ステージSを移動させることより、姿勢の補正を実行する。以下、本実施例の姿勢補正ユニットにおける姿勢制御時の動作をフローチャートにより説明する。
【0046】
ターンテーブルTが1ピッチ正転することにより、吸着保持機構Vに吸着保持され搬送されてくる電子部品Wが、撮像ユニットの撮像位置に停止する(S601)。この状態において、撮像位置に停止した電子部品W1を撮像ユニットの撮像手段で撮像する(S602)。
この際、撮像手段24は、プリズム22により光軸を垂直方向から水平方向に変換して像を捉える。また、吸着保持機構Vに吸着保持され搬送されてくる電子部品Wの下部から、電子部品Wへ照射する照明21の明かりにより、撮像手段24による電子部品Wの撮像が容易となる。
【0047】
この撮像手段24における吸着ノズルV1に保持された電子部品Wの撮像結果は、制御部3に出力される。制御部3においては、XYθ方向の姿勢のずれ情報を算出する(S603)。具体的には、制御部3に入力した撮像結果は、制御部3の2値化変換部32において2値化させる。2値化されることにより、電子部品Wと背景との区別がつきやすくなる。そして、輪郭抽出部33において、2値化した撮像結果から電子部品Wの輪郭を抽出する。次に、ずれ量算出部34では、輪郭を抽出した撮像結果より、電子部品WのXYθ方向のずれ量を算出する。
【0048】
次に、ターンテーブルTが1ピッチ正転することにより、吸着保持機構Vに吸着保持され搬送されてくる電子部品W1が、位置補正ユニットの吸着ノズルの上方に停止すると共に、電子部品W2が撮像ユニットの撮像位置に移動する(S604)。この状態において吸着ノズルが降下し、位置補正ユニットの吸着ステージS上に電子部品W1を載置する(S605)。
【0049】
その後、ずれ量算出部34でXYθ方向のずれ量が算出された場合は、ずれ量算出部34の結果に基づいて信号生成部より、ずれを解消する方向に姿勢補正ユニットを移動させるための信号をX軸駆動軸モータM2、Y軸駆動モータM1及びθ軸駆動モータM3に出力する(S606)。
【0050】
X軸駆動軸モータM2、Y軸駆動モータM1及びθ軸駆動モータM3は、制御部3からの信号に基づいて駆動する。これにより、Y軸駆動モータM1は、制御部からの信号に基づいて、吸着ステージSを電子部品WのY方向ずれの量だけ移動させるようにY軸駆動ボールネジE7を回転させる。これにより、アームE5に搭載された吸着ステージSがY方向に移動する。また、X軸駆動モータM2では、制御部3からの信号に基づいて、X軸駆動ボールネジE7を回転させる。X軸駆動ボールネジE7を回転させることにより、プーリーE9及びベルトE10を介して、吸着ステージSを間接的にX方向に移動させる。このようにしてXY方向の姿勢のずれを補正を行う。また、θ駆動軸モータM3では、制御部からの信号に基づいて、回転駆動を行う。この回転は、θ軸減速機を介して吸着ステージSに伝達され、吸着ステージSが角度θ分回転する(S607)。
【0051】
次に、吸着ノズルが降下し、姿勢補正ユニットの吸着ステージS上ある電子部品W1を吸着し上昇する(S608)。そして、S601に戻り、ターンテーブルTを1ピッチ正転させることにより、姿勢補正ユニットによる姿勢処理を終えた電子部品W1を吸着ステージS上から移動させると共に、撮像ユニットの撮像手段24により撮像を行った電子部品W2を姿勢補正ユニットの吸着ステージS上に位置させる。
【0052】
[3.効果]
以上のような本実施形態の姿勢補正ユニットでは、保持手段により搬送されてくる電子部品Wの保持位置がずれている場合には、その電子部品Wを撮像ユニットの撮像手段24により撮像し、その撮像結果よりずれを算出することができる。そして、姿勢補正ユニットの吸着ステージSに電子部品Wを載置し、このステージを撮像ユニットで検出したずれ量に応じて移動されることにより、電子部品Wの姿勢を補正することができる。
【0053】
また、補正ユニットにおいて電子部品Wに対するパッキングを行う収納処理を行う電子部品収容装置として使用する場合には、電子部品Wの位置補正を行うことにより、電子部品Wを正確にパッキングすることができる。
【0054】
さらに、本実施形態の位置補正ユニットを電気部品検査装置の1ユニットとして使用した場合には、電気検査装置を構成する電気テストユニット、外観検査ユニット、テーピングユニット、マーキングユニットなど各種処理行程ユニットへ搬送される電子部品Wの保持位置の補正を正確に行うことができる。各処理工程ユニットに対して電子部品Wを正しい姿勢で搬送することにより、各処理工程において電子部品Wに対して正確な処理を施すことができるため、精度や稼働率が高い電気検査装置を提供することができる。
【0055】
[4.他の実施形態]
本発明は、上記の実施形態に例示した態様のみならず、以下の態様も含むものである。
【0056】
以上のような本実施形態の電気テストユニットでは、姿勢補正ユニットCの前段階に撮像ユニットBを配置する構成としたが、姿勢補正ユニットCの次の段階にユニットDを加えても良い。姿勢補正ユニットCでの姿勢補正後の電子部品Wの姿勢情報を検出することにより、姿勢補正ユニットCで確実に姿勢制御が行われたかを確認する構成としてもよい。
【0057】
具体的には、姿勢補正ユニットCの次のポジションに、撮像工程処理を行う撮像ユニットDが位置する場合は、撮像ユニットDにおいて姿勢補正ユニットCで姿勢補正を行った電子部品Wの姿勢を検出する。そして、撮像ユニットDにおいて、複数個の電子部品Wに一定のずれが生じていた場合には、その情報を利用し、姿勢補正ユニットCの補正ユニットをオフセットする。
【0058】
例えば、撮像ユニットBで取得した情報(X:+0.3mm Y:−0.1mm)により、補正ユニットCで補正を行った後の電位部品Wの位置を撮像ユニットDで検出する。撮像ユニットDに搬送される電子部品Wが、原点よりX方向に+0.1mmずれていた場合は、撮像ユニットBで取得した情報に、X方向に+0.1mmの補正を加えて姿勢補正ユニットでの補正を行う。
【符号の説明】
【0059】
1 … 電気部品検査装置
21 … 照明
22 … プリズム
23 … レンズ
24 … 撮像手段
3 … 制御部
31 … 検出部
32 … 2値化変換部
33 … 輪郭抽出部
34 … ずれ量算出部
35 … 信号生成部
A … 供給装置
B,D … 撮像ユニット
C … 姿勢補正ユニット
E … 処理装置
E3 … 吸着ステージ台座
E5 … アーム
E6 … 上台座
E7 … Y軸駆動ボールネジ
E8 … 下台座
E9 … プーリー
E10 … ベルト
P1〜12 … 停止ポジション
S … 吸着ステージ
T … ターンテーブル
V … 吸着保持機構
V1 … 吸着ノズル
W … 電子部品


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターンテーブルの接線方向をX軸、半径方向をY軸とし当該XY軸との交点と、搬送された電子部品の中点とのずれを検出する第1の検出手段と、
前記XY軸の交点とターンテーブルの中心とを結ぶθ基準線に対する前記電子部品の角度のずれを検出する第2の検出手段と、
前記搬送された電子部品を載置するステージと、
前記第1の検出手段及び前記第2の検出手段で検出したズレを戻す方向に前記ステージを移動させることにより、前記電子部品の姿勢を補正する移動手段と、
を備えることを特徴とする位置補正装置。
【請求項2】
前記第1の検出手段及び第2の検出手段は撮像手段を含み、
前記X軸、前記Y軸及び前記交点と、前記撮像手段のX軸、Y軸及び当該交点とが、一致するように前記撮像手段が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の位置補正装置。
【請求項3】
予め前記ターンテーブルの半径方向のX軸と接線方向をY軸と当該XY軸との交点に一致するように取り付けられた冶具とを備え、
前記撮像手段で前記冶具の画像を撮像し、前記画像に基づき前記撮像手段におけるX軸、Y軸及び当該XY軸の交点を、冶具のX軸とY軸とXY軸との交点に合わせるように前記撮像手段を移動させること特徴とする請求項2に記載の位置補正装置。
【請求項4】
搬送手段が搬送してきた電子部品を収納してパッキングを行う電子部品収納装置において、
ターンテーブルの接線方向をX軸、半径方向をY軸とし当該XY軸との交点と、搬送された電子部品の中点とのずれを検出する第1の検出手段と、
前記XY軸の交点とターンテーブルの中心とを結ぶθ基準線に対する前記電子部品の角度のずれを検出する第2の検出手段と、
前記搬送された電子部品を載置するステージと、
前記第1の検出手段及び前記第2の検出手段で検出したズレを戻す方向に前記ステージを移動させることにより、前記電子部品の姿勢を補正する移動手段と、
を備えることを特徴とする電子部品収納装置。
【請求項5】
前記第1の検出手段及び第2の検出手段は撮像手段を含み、
前記X軸、前記Y軸及び前記交点と、前記撮像手段のX軸、Y軸及び当該交点とが、一致するように前記撮像手段が設けられたことを特徴とする請求項4に記載の電子部品収納装置。
【請求項6】
予め前記ターンテーブルの半径方向のX軸と接線方向をY軸と当該XY軸との交点に一致するように取り付けられた冶具とを備え、
前記撮像手段で前記冶具の画像を撮像し、前記画像に基づき前記撮像手段におけるX軸、Y軸及び当該XY軸の交点を、冶具のX軸とY軸とXY軸との交点に合わせるように前記撮像手段を移動させること特徴とする請求項5に記載の電子部品収納装置。
【請求項7】
ターンテーブルに円周等配位置に電子部品を搬送する保持手段を備えると共に、前記ターンテーブルを間欠的に回動させることによる前記保持手段の停止位置に、電子部品に対して各種の工程処理を施す工程処理装置を配置してなる電気部品検査装置において、
ターンテーブルの接線方向をX軸、半径方向をY軸とし当該XY軸との交点と、搬送された電子部品の中点とのずれを検出する第1の検出手段と、
前記XY軸の交点とターンテーブルの中心とを結ぶθ基準線に対する前記電子部品の角度のずれを検出する第2の検出手段と、
前記第1の検出手段及び前記第2の検出手段により検出したずれを戻す方向に電子部品を移動する移動手段と、
を備えることを特徴とする電気部品検査装置。
【請求項8】
前記第1の検出手段及び第2の検出手段は撮像手段を含み、
前記ターンテーブルの半径方向をX軸、接線方向をY軸とし当該XY軸との交点と、前記撮像手段のX軸、Y軸及び当該XY軸との交点とが、一致するように前記撮像手段が設けられたことを特徴とする請求項7に記載の電気部品検査装置。
【請求項9】
予め前記ターンテーブルの半径方向のX軸と接線方向をY軸と当該XY軸との交点に一致するように取り付けられた冶具とを備え、
前記撮像手段で前記冶具の画像を撮像し、前記画像に基づき前記撮像手段におけるX軸、Y軸及び当該XY軸の交点を、冶具のX軸とY軸とXY軸との交点に合わせるように前記撮像手段を移動させること特徴とする請求項8に記載の電気部品検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−116529(P2012−116529A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267923(P2010−267923)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(591048070)上野精機株式会社 (60)
【Fターム(参考)】