説明

低光沢の熱成形可能なフローリング構造体

a)エラストマー;b)ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー;c)架橋剤;及び場合によってはd)溶融強度増強用ポリマーを含むブレンドに基づく、新しい床材用組成物を開発した。この組成物はしばしば矛盾する性能要件を示す独特の性能バランスを実現する。これらは依然として熱成形性であり且つリサイクル時の粘度変化を最小に保持しながら、低光沢度、エンボス加工における優れたパターン複製、低モジュラス、最小限の臭気、優れた列理(又はしぼ)受理性及び耐摩耗性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
多くのポリマー加工方法は、特定の成形品を製造するために樹脂配合物に温度及び圧力を加えることを含む。このような方法の例としては、熱成形、ブロー成形、射出成形及びオーバーモールド、カレンダリング、紡糸、ワイヤ及びケーブル並びに押出被覆が挙げられる。これらの方法によって得られる成形品は多くの場合、しばしば矛盾する種々の性質を示すことが要求され、従って、所定の加工法に関して性質の望ましい組合せを示すことができる新規配合物が常に探し求められている。
【背景技術】
【0002】
種々の成形法の要件を満たすために、これまで種々のブレンド組成物が開発された。例えば、特許文献1は、優れた押出被覆特性、特に増大した溶融強度及び低下した引取共振挙動を示し、それによって熱成形、ブロー成形及び押出被覆を含む種々の用途に適当になった過酸化物改質プロピレンホモポリマー/ポリエチレンブレンドを記載している。
【0003】
特許文献2は、有機過酸化物をブロックコポリマー(又は水素化ブロックコポリマー)、ゴム用の非芳香族軟化剤、エチレンホモポリマー又はコポリマー及びプロピレンホモポリマー又はコポリマーの混合物と共に溶融混練することによる、熱可塑性エラストマー組成物の製造方法を記載している。得られる組成物は、改善された耐熱変形性、機械的強度、成形性及び加工性を示す。
【0004】
特許文献3は、良好なしぼ保留性及び低コストを示す、熱成形に適した組成物を記載している。この組成物は、プロピレンホモポリマー又はコポリマー、エチレン含有イオノマー、エチレンとグリシジルアクリレートとのコポリマー、ポリエチレン、場合によっては未架橋エチレン/プロピレンコポリマーゴム、及び場合によってはエチレンα−オレフィンコポリマーエラストマーの混合物を含む。
【0005】
特許文献4は、成形後に改良された防曇性及び高光沢を有する製品を生成する、結晶性ポリオレフィン、オレフィン系コポリマーゴム、及びパラフィン系鉱油軟化剤を含む架橋オレフィン熱可塑性組成物を記載している。
【0006】
特許文献3は、ポリプロピレン、非架橋エチレンコポリマー、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸とのイオノマー性コポリマー、架橋剤及びシリコーンエラストマーのブレンドを含む熱可塑性ポリマーアロイ組成物を記載している。この組成物は、低光沢及び高耐擦傷性が望ましい用途のための室内用表皮シートの形成に有用であるといわれている。
【0007】
特許文献5は、結晶性又は半結晶性ポリオレフィンと逐次重合された(sequentially polymerized)エチレン/α−オレフィンモノマーのマルチモーダルエラストマーとの熱可塑性ブレンドから製造された成形品を記載している。このようなブレンドから製造された成形品は、増大したペイント付着性及び改善された耐流動性並びにより高いウェルドライン強度及び低温延性を示す。
【0008】
特許文献6は、レオロジーが改質された熱可塑性エラストマー組成物を記載している。この組成物は、エチレン/α−オレフィンコポリマー又はジエン改質エチレン/α−オレフィンコポリマーと高融点ポリマー、例えばポリプロピレン又はプロピレン/α−オレフィンとの溶融ブレンドの過酸化物改質によって製造される。この組成物は、非改質組成物よりも少なくとも10℃高い固化温度(即ち示差走査熱量測定法(DSC)によって冷却時に測定した最高温度ピーク吸熱の温度)の増加をもたらすように充分に過酸化物で改質されている。これらの組成物は、改善された耐熱性を有し、従ってより高温で加工しなければならない。
【0009】
最後に、特許文献7は、過酸化物及び遊離基助剤(コエージェント)との組合せを用いてレオロジー改質された、エチレン/α−オレフィンコポリマーと高融点ポリマー、例えばポリプロピレン又はプロピレン/α−オレフィンコポリマーとの溶融ブレンドを含む熱可塑性エラストマー組成物を記載している。助剤の使用は、過酸化物単独でレオロジー改質された同様な組成物に比べて、溶融靭性及び高温引張特性を増加させるといわれている。
【0010】
熱成形(thermoforming)は、柔軟性プラスチックの最終形状への加圧成形又は絞り出し(squeezing)を扱う別の一群の方法であり、プラスチックのフラットシートから圧力又は温度の適用によってプラスチック成形品を製造する方法に使用される一般的な用語である。しかし、熱成形は押出又はブロー成形とは差別化される。これは、前者においては樹脂の初期状態が固体ではなく流体であるのに対して、熱成形は常にゴム状プラスチックの連続シートから始まる。このシートはこれまでは、樹脂ペレット又は粉体から、流延、カレンダリング、圧延、押出、圧縮成形又は他の方法によって加工されてきた。熱成形法は、続く4つの工程、即ち、1)シートの加熱;2)加熱シートの延伸;3)金型表面における延伸シートの冷却;及び4)得られた成形品のその周辺部からのトリミングの結果である。
【0011】
これらの変形プロセスは、ポリマーが、容易に金型の形状を取りこむことができる、そのガラス転移温度(Tg)より高いがその結晶融点(Tm)より低いゴム状固体状態にある間に行わなければならない。従って、ガラス転移温度Tgは、ポリマーを成形できる絶対的最低温度である。加工温度がTgより高温に増加するにつれて非晶質ポリマーは加工が次第に容易になるが、結晶性ポリマーにおいては、融点に達するまで微結晶の秩序は非晶相の鎖の形態を制限する。従って、非晶質ポリマーに関する通常の熱成形又は「成形」温度は、Tgに密接な関係があるが、結晶性ポリマーに関しては成形温度はTmにより左右される。典型的には、単一成分非晶質材料に関しては、下限の成形温度はTgより約20〜30℃高く、通常の成形温度はTgより70〜100℃高い。これに対して、結晶性ポリマーに関する成形温度は極めて狭く、推奨される成形温度はポリマーのTmの数度以内であることが多い。
【0012】
プラスチックシートは適切な熱成形温度になったら、延伸できる。種々の熱可塑性シート成形法として、真空成形、加圧成形、マッチドモールド成形が挙げられるが、これらは全て、シートを型締めし、加熱し且つ金型中又は金型上で付形することを必要とする。適切に成形後、シートは、金型に対して冷却される前に、成形温度においてほとんど完全に延伸される。これによって、完成品中の内部応力が最小になる。
【0013】
容易に成形できるためには、加熱されたシートは、成形温度時に、広い温度範囲わたって、高溶融強度を含むいくつかの物理的性質を有さなければならない。いくつかの熱可塑性ポリマーの物理的性質及び溶融強度は、過酸化物及び放射線を含む架橋剤の使用によって改良することができる。少量の架橋はポリマーの部分的固定化につながるが、ポリマーの通常の融点より高温ではバルクポリマーマトリックス内への少量の超高分子量材料の取り込みによって低剪断粘度及び貯蔵弾性率が増加する。従って、少しだけ架橋された熱可塑性樹脂は、その融点より高温で流体になるのではなく、依然として柔軟な熱成形性固体であって、このような材料の熱成形温度範囲は拡大される。しかし、架橋度が高すぎると、効果的な熱成形に必要な総変形の型が制限される。
【0014】
加熱シートの成形に必要な強度要件を有する他に、多くの用途は、得られる製品がエンボス加工されると共に特定の光沢レベルを示すことを必要とする。光沢度は、ある程度は、押出物又はシート温度のような加工条件によって調節することができる。低光沢は通常、低い押出物又はシート温度によって得られる。更に、光沢度は、特定の熱成形温度までは比較的一定にあり続けるが、この温度を超えると、更なる温度増加に伴って光沢度は指数関数的に増加し始める。しかし、エンボス加工性は、同じ温度範囲全体においてはるかに直線的に増加する。
【0015】
ポリマー中への架橋剤の取り込みは、完成品の光沢度レベルを低下させる。これは、バルクポリマーマトリックス内の少量の超高分子量材料が冷却時に表面に歪みを引き起こし、それが次により低い表面光沢をもたらすためである。これらの歪みは、バルクポリマーマトリックスに比較して超高分子量フラクションの緩和時間が増加するためである。
【0016】
自動車用フローリングマット及びライナーのような床材用途は、これまで、良好な熱成形性と優れたエンボスパターン保留性とを共に示すポリマー組成物の使用を必要としてきた。更に、このような用途はまた一般に、美観及びノンマーキング性能特性のために床材の低表面光沢を必要とする。最近、業界は、このような組成物が改良されたよりソフトな感触を示す必要性がさらにあることを明らかにした。
【0017】
今日まで、このような用途に使用される典型的なポリマー配合物は主に、ポリマーブレンドの主成分としてポリプロピレンを含む熱可塑性ポリオレフィン(TPO)から製造されている。ポリプロピレンは、良好な耐摩耗性及び熱寸法安定性(高温寸法安定性及び耐摩耗性を必要とすることが多い自動車用途において非常に重要である)を有するので、使用されている。このような組成物から熱成形される床材は、典型的には、良好な熱成形性と優れたエンボス加工性を示す。しかし、床材は比較的高い剛性を有する。
【0018】
【特許文献1】米国特許第5,639,818号
【特許文献2】米国特許第6,433,062 B1号
【特許文献3】米国特許第6,407,172 B1号
【特許文献4】米国特許出願公開第2001/0016620 A1号
【特許文献5】米国特許第6,451,894 B1号
【特許文献6】米国特許第6,506,842 B1号
【特許文献7】米国特許出願公開第2002/0115796 A1号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
従って、典型的には、良好な熱成形性及び優れたエンボス加工性を示し且つ美観及びノンマーキング性能特性のために、更に低表面光沢を示す新規ポリマー組成物が開発することができれば非常に有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、熱可塑性ポリマー組成物;並びにモジュラスが低く、臭気の問題が最小で、列理又はしぼ(grain)受理性及び耐摩耗性が優れ且つリサイクル時の粘度変化が最小に保たれると同時に、低光沢及びエンボス加工における優れたパターン複製というしばしば矛盾する性能要件を示す、このような組成物から製造された製品に関する。低光沢を必要とする全ての成形及び他の方法に適用可能であると同時に、本発明の組成物は、高光沢の発現に関連して使用される範囲の加工温度の範囲のために特に熱成形に適する。更に、光沢及びエンボス加工性を制御できることは、熱成形ウィンドウ内におけるポリマー組成又は温度の変動以外には光沢を減少させる更なる工程段階の機会を有さない熱成形には特に重要である。
【0021】
A)エラストマー;B)ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー;C)架橋剤;及び場合によってはD)溶融強度増強用ポリマーを含んでなるブレンドに基づく新規床材用組成物(flooring composition)を開発した。この組成物は、特性の独特のバランスを実現する。最終ブレンド組成物は意外にも、モジュラスが低く、臭気の問題が最小で、列理(又はしぼ)受理性及び耐摩耗性が優れ、リサイクル時の粘度変化が最小に保たれ、依然として熱成形性であると同時に、低光沢及びエンボス加工における優れたパターン複製というしばしば矛盾する性能要件を示す。
【0022】
前記架橋剤は、貯蔵弾性率及びその低剪断粘度を増加させて、所定の成形温度においてポリマーがゴム状であり続けることを可能にする少量の超高分子量材料を生成する。更に、超高分子量材料の増大した緩和時間(バルクマトリックスに比べて)は、冷却時にポリマー表面に歪みを引き起こし、それがまたより低い光沢をもたらす。
【発明の効果】
【0023】
このように、本発明のブレンド組成物中へのより低融点のランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーの混和は、融点全体を低下させ、それによってより低い熱成形温度(即ち、光沢が指数関数的に増加し始める温度より低い温度)の使用を可能にする。これは、これらの組成物中への過酸化物(これも光沢を減少させる)の混和と共に、低光沢及び優れたエンボス加工性並びに良好な耐摩耗性及び耐熱性を含む優れた物理的性質を示す、エンボス加工成形品の製造を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、フラットな雌型の底面における熱成形テンプレートの位置を示す。熱成形テンプレートは、全体にわたって高さ0.87mmの規則的な隆起断面を有する。スクリーンは熱成形品の領域全体を覆わなかった。
【0025】
図2は、90°の角度を有する縁部上においてシートサンプルを熱成形することによっていかにしてエンボス加工性が表現され得るかを示す。エンボス加工性の測定は、隆起エンボスパターンの中点値(mid point)におけるシートの高さを、この点からシートがベースに戻る位置までの距離で割った比を用いる。
【0026】
定義
本明細書中に列挙した数値は全て、低い方の値と高い方の値との間に少なくとも2単位の間隔がある場合には、下端値から上端値のまでの全ての値を1単位刻みで含む。一例として、成分量又は例えば温度、圧力、時間のようなプロセス変数の値が1〜90、好ましくは20〜80、より好ましくは30〜70である場合には、15〜85、22〜68、43〜51、30〜32などのような値を、本明細書中においてはっきりと列挙することができることを意味する。1未満の値に関しては、1単位は必要に応じて0.0001、0.001、0.01又は0.1と考えられる。これらは、具体的に意味されるものの例にすぎず、列挙された最低値と最高値との間の数値の全ての可能な組合せが、本発明において同様にはっきりと提示されると考えることができる。
【0027】
本明細書中で使用する用語「ポリマー」は、同一の型か異なる型かに関わらずモノマーを重合することによって製造されるポリマー化合物を意味する。従って、一般的な用語「ポリマー」は、1つの型のモノマーのみから製造されたポリマーを意味するのに通常使用される用語「ホモポリマー」と以下に定義される用語「インターポリマー」を包む。
【0028】
本明細書中で使用する用語「インターポリマー」は、少なくとも2種の異なる型のモノマーの重合によって製造されたポリマーを意味する。従って、一般的な用語「インターポリマー」は、2種の異なるモノマーから製造されたポリマーを意味するのに通常使用される「コポリマー」と2種より多い異なる型のモノマーから製造されたポリマーを含む。
【0029】
ポリマー又はインターポリマーがあるモノマーを含んでなる又は含むという本明細書の記述は、このようなポリマー又はインターポリマーが、そのようなモノマーから得られた重合単位を含んでなる又は含むことを意味する。例えば、ポリマーがエチレンモノマーを含むといわれる場合には、ポリマーはエチレン誘導体、即ち、−CH2−CH2−がその中に取り込まれているものとする。
【0030】
用語「モノマー残基」又は「このようなモノマーから得られるポリマー単位」は、ポリマー鎖を製造するための別の重合可能な分子と重合された結果としてポリマー鎖中に存在する重合可能なモノマー分子の部分を意味する。
【0031】
成分A−エラストマー
成分Aとして使用できるエラストマーとしては、均一に又は不均一に分岐したエチレン/α−オレフィンエラストマー及びプラストマーが挙げられるがこれらに限定されない。
【0032】
用語「不均一な」及び「不均一に分岐した」は、従来の意味で用い、(1)α−オレフィンコモノマーが所定のポリマー分子内でランダムには分布しておらず、(2)ポリマー分子の実質的に全てが同一のエチレン対コモノマー比を有さず且つ(3)インターポリマーが一般に例えば、温度の関数としてのポリマー分別溶出を含む方法のような公知の分別方法によって測定される、測定可能な高密度(結晶性)ポリマーフラクションを示す線状エチレンインターポリマーを意味する。不均一に分岐した線状インターポリマーの商業的例としては、ATTANE* ULDPEポリマー(The Dow Chemical Companyの製品及び登録商標)及びFLEXOMER(登録商標)VLDPEポリマー(The Dow Chemical Companyの関連子会社Union Carbide Coporationの製品及び登録商標)が挙げられる。
【0033】
用語「均一な」及び「均一に分岐した」は、エチレン/α−オレフィンインターポリマー中において、(1)α−オレフィンコモノマーが所定のポリマー分子内においてランダムに分布しており、(2)ポリマー分子の実質的に全てが同一のエチレン対コモノマー比を有し、且つ(3)インターポリマーが本質的に、例えば温度の関数としてのポリマー分別溶出を含む方法のような公知の分別方法によって測定される、測定可能な高密度(結晶性)ポリマーフラクションを本質的に欠いていることを意味する。本発明の実施において使用できる均一に分岐したエチレンインターポリマーとしては、線状エチレンインターポリマー及び実質的に線状のエチレンインターポリマーが挙げられる。
【0034】
本発明の組成物中においてエラストマーとして有用な、均一に分岐した線状エチレンインターポリマーに含まれるのは、長鎖分岐を有さずに、同一ポリマー鎖内に及び異なるポリマー鎖間に均一に分布したインターポリマー中に重合されたコモノマーに由来する短鎖分岐を有するエチレンポリマーである。即ち、均一に分岐した線状エチレンインターポリマーは、例えば米国特許第3,645,992号(Elston)に記載された均一分岐分布重合方法を用いて製造された線状低密度ポリエチレンポリマー又は線状高密度ポリエステルポリマーの場合とまさに同様に、長鎖分岐を有さない。均一に分岐した線状エチレン/α−オレフィンインターポリマーの商業的例としては、The Mitsui Chemical Companyによって供給されるTAFMER(登録商標)ポリマー及びExxon Chemical Companyによって供給されるEXACT(登録商標)ポリマーが挙げられる。
【0035】
本発明において使用される、実質的に線状のエチレンインターポリマーは、米国特許第5,272,236号及び第5,278,272号、第6,054,544号及び第6,335,410 B1号に記載されており、これらの全ての特許のその全内容を引用することによって本明細書中に組み入れる。本発明の組成物中においてエラストマーとして有用な実質的に線状のエチレンインターポリマーは、このモノマーが所定のインターポリマー分子内にランダムに分布し且つ実質的に全てのインターポリマー分子がインターポリマー内で同一のエチレン/コモノマー比を有するものである。実質的に線状のエチレンインターポリマーは、長鎖分岐を有する均一に分岐したエチレンポリマーである。長鎖分岐は、ポリマー骨格と同一のコモノマー分布を有する。また、長鎖分岐はポリマー骨格の長さと概ね同一の長さを有することができる。「実質的に線状の」とは、バルクポリマーが平均して、長鎖分岐0.01個/総炭素数1000(骨格炭素及び分岐炭素の両方を含む)〜長鎖分岐3個/総炭素数1000で置換される。好ましいポリマーは、長鎖分岐0.01個/総炭素数1000〜長鎖分岐1個/総炭素数1000、より好ましくは長鎖分岐0.05個/総炭素数1000〜長鎖分岐1個/総炭素数1000、特に長鎖分岐0.3個/総炭素数1000〜長鎖分岐1個/総炭素数1000で置換される。実質的に線状のポリマーの商業的例としては、ENGAGE(登録商標)ポリマー(DuPont Dow Elastomer L.L.C.から入手可能)及びAFFINITY(登録商標)ポリマー(The Dow Chemical Companyから入手可能)が挙げられる。
【0036】
適当な不均一に分岐した又は均一に分岐した線状エチレンインターポリマーを製造するためにエチレンと重合させるのに有用な適当な不飽和コモノマーとしては、例えばエチレン性不飽和モノマー、共役又は非共役ジエン、ポリエンなどが挙げられる。このようなコモノマーの例としては、C3〜C20α−オレフィン、例えばプロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどが挙げられる。好ましいコモノマーとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン及び1−オクテンが挙げられ、オクテン−1が特に好ましい。他の適当なモノマーとしては、スチレン、ハロ−又はアルキル−置換スチレン類、テトラフルオロエチレン類、ビニルベンゾシクロブタン類、ブタジエン類、イソプレン類、ペンタジエン類、ヘキサジエン類、オクタジエン類及びシクロアルケン類、例えばシクロペンテン、シクロヘキセン及びシクロオクテンが挙げられる。典型的に且つ好ましくは、不均一に又は均一に分岐した線状エチレンインターポリマーは、エチレンが1種のC3〜C20α−オレフィンと共重合されたコポリマーである。最も好ましくは、不均一に又は均一に分岐した線状エチレンインターポリマーは、エチレンと1−オクテンとのコポリマー又はエチレンと1−ブテンとのコポリマーである。
【0037】
また、本発明の組成物のエラストマー成分として含まれるのは、1種又はそれ以上のα−オレフィンモノマーと1種若しくはそれ以上のビニル若しくはビニリデン芳香族モノマー及び/又はヒンダード脂肪族若しくは脂環式ビニル若しくはビニリデンモノマーから得られたポリマー単位を含む実質的にランダムなインターポリマーである。実質的にランダムなインターポリマーは、EP−A−0,416,815及びEP−A−0,765,888(James C.Stevensら)並びに米国特許第5,703,187号(Francis J. Timmers)に記載された擬似ランダムインターターポリマーを含む。実質的にランダムなインターポリマーはまた、米国特許第5,872,201号に記載されたような実質的にランダムなターポリマーを含む。米国特許第6,191,245 B1号に開示された少なくとも1種のα−オレフィン/ビニル芳香族/ビニル芳香族/α−オレフィン四分子を含む実質的にランダムなインターポリマーもまた適当である。
【0038】
実質的にランダムなインターポリマーは、種々の助触媒と組み合わされた1種若しくはそれ以上のメタロセン又は拘束形状触媒の存在下で、重合性モノマーの混合物を重合することによって製造できる。重合反応の好ましい操作条件は、大気圧〜3000気圧の圧力及び−30〜200℃の温度である。実質的にランダムなインターポリマーの製造に使用される方法の例は米国特許第6,048,909号及び第6,231,795 B1号に記載されている。
【0039】
実質的にランダムなインターポリマーの製造に適当な触媒及び方法の例は、EP−A−0,416,815;EP−A−514,828(米国特許第6,118,013号);EP−A−520,732(米国特許第5,721,185号);並びに米国特許第5,055,438号;第5,057,475号;第5,096,867号;第5,064,802号;第5,132,380号;第5,189,192号;第5,321,106号;第5,347,024号;第5,350,723号;第5,374,696号;第5,399,635号;第5,470,993号;第5,866,704号;第5,959,047号;第6,150,297号;及び第6,015,868号に開示されている。
【0040】
本発明の組成物のエラストマー成分としては、エチレンビニルアセテート(EVA)、エチレンエチルアクリレート(EEA)及びエチレン/アクリル酸(EAA)コポリマー、ゴム、例えばポリイソプレン、エチレン/オクテン、ポリブタジエン、天然ゴム、エチレン/プロピレン及びプロロピレン/エチレンゴム、エチレン/プロピレンジエン(EPDM)ゴム、シリコーンゴム、スチレン/ブタジエンゴム及び熱可塑性ポリウレタンも挙げられる。エラストマーはまたスチレン系ブロックコポリマー、例えばSBS、SIS、SEBS、CPE、ブナゴム及びニトリル類であることもできる。
【0041】
本発明の成分Aとしてより好ましいエラストマーはエチレン/α−オレフィン及びエチレン/ビニル芳香族モノマーインターポリマーであり、エチレン/ブテン及びエチレン/オクテン不均一又は均一分岐線状エチレンインターポリマー並びに実質的にランダムなエチレン/スチレンインターポリマーが最も好ましい。
【0042】
成分B−ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー
成分Bはランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーである。好ましいのはプロピレン/C2〜C20α−オレフィンコポリマーである。このようなC2〜C20α−オレフィン(プロピレンを除く)の例としては、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどが挙げられる。好ましいコモノマーとしては、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン及び1−オクテンが挙げられ、ランダムプロピレン/エチレン、プロピレン/ブテン、プロピレン/ヘキセン及びプロピレン/オクテンコポリマーがより好ましく、ランダムプロピレン/エチレンコポリマーが最も好ましい。ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーはまた、本発明の配合物中でホモポリマーポリプロピレンとのブレンドとして使用できる。プロピレンホモポリマーとのブレンドとして使用される場合には、ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー成分は、50重量%超、好ましくは60重量%超、より好ましくは70重量%超(プロピレンホモポリマー及びコポリマーの総重量に基づく)の量でブレンド中に存在しなければならない。
【0043】
成分C−架橋剤
適当な架橋剤としては、過酸化物、フェノール類、アジド類、アルデヒド−アミン反応生成物、置換尿素類、置換グアニジン類;置換キサントゲン酸塩類;置換ジチオカルバメート類;硫黄含有化合物、例えばチアゾール類、イミダゾール類、スルフェンアミド類、チウラミジスルフィド類(thiuramidisulfides)、パラキノンジオキシム、ジベンゾパラキノンジオキシム、硫黄;シラン類、eビーム放射線及びそれらの組合せが挙げられる。Encyclopedia of Chemical Technology,Vol.17,2nd edition,Interscience Publishers,1968;Organic Peroxides,Daniel Seern,Vol.1,Wiley−Interscience,1970を参照されたい。
【0044】
適当な過酸化物としては以下のものが挙げられる。芳香族ジアシルペルオキシド;脂肪族ジアシルペルオキシド;二塩基酸ペルオキシド;ケトンペルオキシド;アルキルペルオキシエステル;アルキルヒドロペルオキシド、例えばジアセチルペルオキシド;ジベンゾイルペルオキシド;ビス−2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド;;ジ−tert−ブチルペルオキシド;ジクミルペルオキシド;tert−ブチルペルベンゾエート;tert−ブチルクミルペルオキシド;2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン;2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキシン−3;4,4,4’,4’−テトラ−(t−ブチルペルオキシ)−2,2−ジシクロヘキシルプロパン;1,4−ビス−(t−ブチルペルオキシイソプロピル)−ベンゼン;1,1−ビス−(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;ラウロイルペルオキシド;コハク酸ペルオキシド;シクロヘキサノンペルオキシド;t−ブチルペルアセテート;ブチルヒドロペルオキシドなど。また、過酸化物の選択は得られる最終製品中の臭気を最小限に抑えることを狙うものであることは当業者には知られている。
【0045】
適当なフェノール類は、米国特許第4,311,628号に開示されている。フェノール系架橋剤の一例は、ハロゲン置換フェノール若しくはC1〜C10アルキル置換フェノールとアルデヒドとのアルカリ媒体中縮合生成物であるか、又は二官能価フェノールジアルコール類の縮合による縮合生成物である。このような種類のフェノール系架橋剤の1つは、パラ位がC5〜C10アルキル基で置換されたジメチロールフェノール類である。ハロゲン化アルキル置換フェノール架橋剤並びにメチロールフェノール樹脂、ハロゲン供与体及び金属化合物を含む架橋系も適当である。
【0046】
適当なアジド類としては、アジドホルメート類、例えばテトラメチレンビス(アジドホルメート)(米国特許第3,284,421号,Breslow(1966年11月8日)も参照);芳香族ポリアジド類、例えば4,4’−ジフェニルメタンジアジド(米国特許第3,297,674号、Breslowら(1967年1月10日)も参照);及びポリマー又はポリマーブレンドと反応性の少なくとも2個のスルホニルアジド基(−SO23)を有する任意の化合物であるポリ(スルホニルアジド)類が挙げられる。好ましくは、ポリ(スルホニルアジド)類は、構造X−R−X[式中、各XはSO23であり、且つRは、ポリマー又はポリマーブレンドとスルホニルアジドとの間の反応を容易にできるように充分にスルホニルアジド基を隔てる充分な炭素原子、酸素原子又は珪素原子、好ましくは炭素原子を有する、より好ましくは少なくとも1個の、さらに好ましくは少なくとも2個の、最も好ましくは少なくとも3個の炭素、酸素又は珪素原子、好ましくは炭素原子を官能基の間に有するのが望ましい未置換又は不活性置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルエーテル又は珪素含有基を表す]を有する。好ましいポリ(スルホニルアジド)類としては、オキシ−ビス(4−スルホニルアジドベンゼン)、2,7−ナフタレンビス(スルホニルアジド)、4.4’−ビス(スルホニルアジド)ビフェニル、4,4’−ジフェニルエーテルビス(スルホニルアジド)及びビス(4−スルホニルアジドフェニル)メタン及びそれらの混合物が挙げられる。
【0047】
架橋に関しては、スルホニルアジドはポリマー又はポリマーブレンドと混合し、少なくともスルホニルアジドの分解温度まで、即ち、通常は100℃超まで、最も頻繁には150℃超まで加熱する。好ましい温度範囲は、使用するアジドの性質によって決まる。例えば4,4’−ジスルホニルアジドジフェニルエーテルの場合には、好ましい温度範囲は150℃超、好ましくは160℃超、より好ましくは185℃超、最も好ましくは190℃超である。好ましくは上限温度は250℃未満である。
【0048】
適当なアルデヒド−アミン反応生成物としては、ホルムアルデヒド−アンモニア;ホルムアルデヒド−エチルクロリド−アンモニア;アセトアルデヒド−アンモニア;ホルムアルデヒド−アニリン;ブチルアルデヒド−アニリン;及びヘプタアルデヒド−アニリンが挙げられる。適当な置換尿素類としては、トリメチルチオ尿素;ジエチルチオ尿素;ジブチルチオ尿素;トリペンチルチオ尿素;1,3−ビス(2−ベンゾチアゾリルメルカプトメチル)尿素;及びN,N−ジフェニルチオ尿素が挙げられる。適当な置換グアニジン類としては、ジフェニルグアニジン;ジ−o−トリルグアニジン;ジフェニルグアニジンフタレートl及びジカテコールボレートのジ−o−トリルグアニジン塩が挙げられる。適当な置換キサントゲン酸塩としては、エチルキサントゲン酸亜鉛;イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム;ブチルキサントゲン酸ジスルフィド;イソプロピルキサントゲン酸カリウム;及びブチルキサントゲン酸亜鉛が挙げられる。適当なジチオカルバメート類としては、銅ジメチル−、亜鉛ジメチル−、テルルジエチル−、カドミウムジシクロキシル−、鉛ジメチル−、鉛ジメチル−、セレンジブチル−、亜鉛ペンタメチレン−、亜鉛ジデシル−及び亜鉛イソプロピルオクチル−ジチオカルバメートが挙げられる。適当なチアゾール類としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、亜鉛メルカプトチアゾリルメルカプチド、2−ベンゾチアゾリル−N,N−ジエチルチオカルバミルスルフィド及び2,2’−ジチオビス(ベンゾチアゾール)が挙げられる。適当なイミダゾール類としては、2−メルカプトイミダゾリン及び2−メルカプト−4,4,6−トリメチルジヒドロピリミジンが挙げられる。適当なスルフェンアミド類としては、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾール−、N−シクロヘキシルベンゾチアゾール−、N,N−ジイソプロピルベンゾチアゾール−、N−(2,6−ジメチルモルホリノ)−2−ベンゾチアゾール−及びN,N−ジエチルベンゾチアゾール−スルフェンアミドが挙げられる。適当なチウラミジスルフィド類としては、N,N’−ジエチル−、テトラブチル−、N,N’−ジイソプロピルジオクチル−、テトラメチル−、N,N’−ジシクロヘキシル−及びN,N’−テトララウリル−チウラミジスルフィドが挙げられる。
【0049】
当業者ならば、ポリマー又はポリマーブレンドの特性、例えば分子量、分子量分布、コモノマー含量並びに架橋増強助剤及び添加剤(例えば油)などの存在を考慮に入れて、架橋剤の量を容易に選択できるであろう。典型的には、架橋剤の使用量は所望のレベルの架橋を行うのに必要な量を超えないものとする。
【0050】
別法としてシラン架橋剤を使用できる。これに関しては、ポリマー又はポリマーブレンドに効果的にグラフトし且つそれらを架橋させる任意のシランを本発明の実施に使用できる。適当なシラン類としては、エチレン性不飽和ヒドロカルビル基、例えばビニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、シクロヘキセニル又はγ−(メタ)アクリルオキシアリル基及び加水分解性基、例えばヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルボニルオキシ又はヒドロカルビルアミノ基を含む不飽和シラン類が挙げられる。加水分解性基の例としては、メトキシ、エトキシ、ホルミルオキシ、アセトキシ、プロピオニルオキシ、及びアルキル又はアリールアミノ基が挙げられる。好ましいシラン類はポリマー上にグラフトされることができる不飽和アルコキシシラン類である。これらのシラン類及びそれらの製造方法は米国特許第5,266,627号(Meverdenら)により詳細に記載されている。ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン及びこれらのシラン類の混合物が本発明に使用するのに好ましいシラン架橋剤である。
【0051】
シラン架橋剤は、任意の常法によって、典型的には遊離基開始剤、例えば過酸化物及びアゾ化合物の存在下で、又は電離放射線などによってポリマー又はポリマーブレンドにグラフトされる。有機開始剤、例えば過酸化物開始剤、例えばジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルベンゾエート、ベンゾイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオクトエート、メチルエチルケトンペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ラウリルペルオキシド及びtert−ブチルペルアセテートのいずれかが好ましい。適当なアゾ化合物は亜硝酸アゾビスイソブチルである。当業者ならば、ポリマー又はポリマーブレンドの特性、例えば分子量、分子量分布、コモノマー含量並びに架橋増強助剤及び添加剤(例えば油)などの存在を考慮に入れて、開始剤の量を容易に選択できるであろう。典型的には、開始剤の使用量は所望のレベルの架橋を行うのに必要な量を超えないものとし、開始剤は、ASTM D523−89(1999)Standard Test for Specular Glossによる150℃における60°の光沢度の低下(架橋剤を含まない以外は同様なブレンド組成物に比較して)が少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、さらに好ましくは少なくとも65%、最も好ましくは少なくとも75%となるような量で使用する。
【0052】
シラン架橋は、架橋触媒によって促進され、この機能を提供する任意の触媒を本発明において使用できる。これらの触媒としては一般に以下のものが挙げられる。有機塩基、カルボン酸、及び有機金属化合物、例えば有機チタネート及び鉛、コバルト、鉄、ニッケル、亜鉛及び錫の錯体又はカルボン酸塩。ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫マレエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、酢酸第一錫、オクタン酸第一錫、ナフテン酸鉛、カプリル酸亜鉛、ナフテン酸コバルト;並びにカルボン酸錫、特にジブチル錫ジラウレート及びジオクチル錫マレエートが本発明に特に有効である。触媒(又は触媒混合物)は、触媒量で、典型的にはポリマー又はポリマーブレンド、シラン、開始剤及び触媒の合計重量の0.015〜0.035重量%で存在する。
【0053】
ポリマー又はポリマーブレンドにシラン架橋剤をグラフトさせためには任意の常法を使用できるが、好ましい方法の1つは、Buss混練機のような反応押出機の第1段階においてこれら2つを開始剤とブレンドすることである。グラフト化条件は変化できるが、溶融温度は典型的には、滞留時間及び開始剤の半減期に応じて160℃〜260℃、好ましくは190℃〜230℃である。
【0054】
化学的架橋剤を使用せずに、放射線の使用によって架橋を行うこともできる。有用な放射線の型としては、電子ビーム若しくはβ線、ガンマ線、X線又は中性子線が挙げられる。放射線は、結合及び架橋できるポリマー基を発生することによって架橋を行うと考えられている。放射線架橋に関する更なる教示は、C.P.Park、”Polyolefin Foam”Cnapter 9,Handbook of Polymer Foams and Technology,D.Klempner及びK.C.Frisch編,Hanser Publishers,New York(1991),198〜204ページに見られる。
【0055】
線量はポリマー又はポリマーブレンドの組成によって決まる。当業者ならば、照射される製品の厚さ及び形状のような変数並びにポリマーの特性、例えば分子量、分子量分布、コモノマー含量、架橋増強助剤及び添加剤(例えば油)などの存在を考慮に入れて、適当な放射線レベルを容易に選択できる。
【0056】
例えば、電子ビーム放射線による80milのプラックの架橋の場合には、代表的な線量は1Mrad超、好ましくは3Mrad超、より好ましくは5Mrad超であるであろう。電子線の線量は、本明細書中では、放射線単位「RAD」に換算して言及され、百万RAD又はメタラドは「Mrad」と表される。典型的には、線量は、所望のレベルの架橋を行うのに必要な線量を超えないものとする。例えば、20Mradを超える線量は典型的に使用しない。
【0057】
種々の架橋技術に関する詳細な解説は、米国特許第5,869,591号及び第5,977,271号に記載されており、これらの両方の特許の全内容を引用することによって本明細書中に組み入れるものとする。
【0058】
特許請求の範囲に記載した本発明のいくつかの実施態様においては、放射線、熱、湿分及び架橋工程の組合せを使用する二成分架橋を有効に使用できる。例えば過酸化物架橋剤とシラン架橋剤との組合せ、過酸化物架橋剤と放射線との組合せ、硫黄含有架橋剤とシラン架橋剤との組合せなどを用いるのが望ましい場合がある。二成分架橋系は米国特許第5,911,940号及び第6,124,370号に開示されて且つ特許請求されている。これらの2つの特許の全内容を引用することによって本明細書中に組み入れるものとする。
【0059】
成分D−溶融強度増強用ポリマー
この成分は任意成分であり、一般的にはA、B及びCの組合せがその用途には不充分な溶融強度を有する場合にのみ使用する。典型的には、熱成形に必要な溶融強度は、成形品の大きさ、厚さ及び密度、熱成形温度、金型に必要な絞りの深さ及び目標用途における全ての性能要件を含む多数の要因によって決まる。従って、当業者ならば、必要な最終溶融強度に基づき、ポリマー溶融強度増強剤を選択する。成分Dは3cN超の溶融強度を有するべきであり、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリスチレン(PS)、天然ゴム、エチレン/プロピレン/ジエンモノマー(EPDM)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)及び高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンド(HDPE/LDPEブレンド)であることができる。最も好ましいのは、3cN超の溶融強度を有するLDPEである。
【0060】
他の添加剤
添加剤は、個々のブレンド成分に含ませることもできるし、最終ブレンドに添加することもできる。このような添加剤としては、酸化防止剤(例えば、ヒンダードフェノール類、例えば、Irganox(登録商標)1010(Ciba Geigyの登録商標))、ホスファイト類(例えば、Irgafos(登録商標)168,Ciba Geigyの登録商標)、紫外線安定剤、粘着剤(cling additive)(例えば、ポリイソブチレン)、スリップ剤(例えばエルカ酸アミド及び/又はステアリン酸アミド)、粘着防止剤、着色剤、カーボンブラック、顔料が挙げられる。
【0061】
また、耐摩耗性の改善に使用できる、60,000〜1,000,000の範囲の最小分子量を有する超高分子量ポリジメチルシロキサンのようなシリコーンポリマーも添加剤として含ませることができる。これらのシリコーンポリマーは直接添加することもできるが、優先的にはマスターバッチの形態で添加する。このようなシロキサンマスターバッチは典型的には、低密度ポリエチレン中に分散された超高分子量シロキサンポリマーであるポリマー、例えばDow Corning MB(登録商標)50−02(Dow Corningから入手可能)中に分散される。
【0062】
本明細書中において可塑剤とも称される加工助剤はまた、個々にブレンド成分中に含ませることもできるし、又は最終ブレンド中に添加することもできる。例としては、フタル酸エステル、例えばフタル酸ジオクチル及びフタル酸ジイソブチル、天然油、例えばラノリン及びパラフィン、精油から得られたナフテン系及び芳香族油、並びにロジン又は石油原料からの液体樹脂が挙げられる。加工助剤として有用な油の種類の例には、白色鉱油(例えば、Kaydol(登録商標)(Witcoから入手可能;Witcoの登録商標)及びShellflex(登録商標)371ナフテン系油(Shell Oil Comopanyから入手可能;Shell Oil Comopanyの登録商標)がある。別の適当な油はTuflo(登録商標)(Lyondellから入手可能;Lyondellの登録商標)油である。
【0063】
本発明において使用するポリマー組成物の成分となる得るものとしては、種々の有機及び無機充填剤も挙げられ、その同一性は、弾性フィルムを使用できる用途の型によって決まる。充填剤はまた、個々のブレンド成分に含ませることもできるし、あるいは最終ブレンドに添加することもできる。このような充填剤の代表的例としては、有機及び無機充填剤、例えば、アスベスト、硼素、グラファイト、セラミック、ガラス(例えば、粉末若しくはフレークガラス又は中空ガラス球若しくは微小球又はビーズ、ホイスカー又はフィラメント)、金属(例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、青銅、ニッケル粉末、鉛又は亜鉛)又はポリマー(例えば、アラミド繊維)、タルク、カーボンブラック、炭素繊維、炭酸塩、例えば、炭酸バリウム、炭酸カルシウム若しくは炭酸マグネシウム;アルミナ三水和物、ガラス繊維、大理石ダスト、セメントダスト、クレイ、長石、酸化物、例えば、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、B23、酸化マグネシウム若しくは酸化亜鉛、又は珪素(例えば、シリカ又はガラス、ヒュームドシリカ)又は二酸化チタン;チタネート、硫酸塩、例えば、硫酸バリウム若しくは硫酸カルシウム、窒化アルミニウム、又は白亜、フッ化物、例えば、フッ化アルミニウムカルシウム若しくはフッ化アルミニウムナトリウム;水酸化物、例えば、水酸化アルミニウム若しくは水酸化マグネシウム;珪酸塩、例えば、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、アスベスト、マイカ、クレイ(カオリン又は焼成カオリン)、長石、霞石、真珠岩、パイロフィライト、タルク若しくはウォラストナイト;難燃剤して使用されるハロゲン化有機化合物、金属硫化物;木粉又は殻粉のような形態のセルロース;テレフタル酸カルシウム;及び液晶から製造されたものが挙げられる。1種より多いこのような充填剤の混合物も同様に使用できる。
【0064】
これらの添加剤は、当業者に知られた、機能的に等価な量で使用する。例えば酸化防止剤の使用量は、ポリマー又はポリマーブレンドがポリマーの貯蔵及び最終使用の間に使用される温度及び環境において酸化を受けないようにする量である。酸化剤のこのような量は、ポリマー又はポリマーブレンドの重量に基づき、通常0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%、より好ましくは0.1〜2重量%の範囲である。同様に、他の列挙した添加剤のいずれの量も、ポリマー又はポリマーブレンドを不粘着性にする量、所望の結果を生じる量、着色剤又は顔料から所望の色を与える量のような、機能的に等価な量である。このような添加剤は、ポリマー又はポリマーブレンドの重量に基づき、適当には0.05〜50重量%、好ましくは0.1〜35重量%、より好ましくは0.2〜20重量%の範囲で使用することができる。
【0065】
本発明のブレンド組成物は、熱成形、ブロー成形、射出成形及びオーバーモールド、カレンダリング、ワイヤ及びケーブルの紡糸、及び押出被覆を含む種々の用途において使用できる。
【0066】
ブレンド組成物及び熱成形品の性質
ブレンド成分A−エラストマー
成分Aは、20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%、より好ましくは35〜65重量%(成分A、B、C及びDの総重量に基づく)の量で存在する。
【0067】
最も好ましいのは、0.915g/cm3若しくはそれ以下、好ましくは0.905g/cm3若しくはそれ以下、最も好ましくは0.895g/cm3若しくはそれ以下の密度を有するエチレン/α−オレフィンコポリマー又は実質的にランダムなエチレン/ビニル芳香族インターポリマー(40モル%又はそれ以下、好ましくは30モル%又はそれ以下、最も好ましくは20モル%又はそれ以下のビニル芳香族モノマー含量を有する)である。
【0068】
ブレンド成分B−ランダムプロピレン/α−オレフィンインターポリマー
成分Bは、15〜45重量%、好ましくは20〜40重量%、より好ましくは20〜35重量%(成分A、B、C及びDの総重量に基づく)の量で存在するランダムプロピレン/α−オレフィンインターポリマーである。
【0069】
ランダムプロピレン/α−オレフィンインターポリマーは、示差走査熱量測定法DSCによるポリマー融点(Tm)(ASTM D−3417によって測定)を160℃未満、好ましくは155℃未満、最も好ましくは150℃未満とするのに充分なα−オレフィン含量を有する。プロピレン/エチレンコポリマーの場合には、エチレン含量は、成分Bの重量に基づき少なくとも1重量%、好ましくは2重量%、最も好ましくは少なくとも3重量%である。
【0070】
ブレンド成分C−架橋剤
成分Cは、可溶剤を含まない以外は、同様のブレンド組成物に比較した場合に、150℃における60°の光沢度(ASTM D523−89(1999)に従って測定)が少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、更に好ましくは少なくとも40%、最も好ましくは少なくとも50%を低下させるような量で使用される架橋剤である。
【0071】
使用する架橋剤が、公称活性酸素含量が10%の過酸化物である場合には、それは、200〜6,000ppm、好ましくは400〜5,000ppm、より好ましくは600〜4,000ppm(ブレンド組成物の最終重量に基づく)の量で使用しなければならない。当業者ならば、過酸化物の活性酸素含量が異なり且つ/又はその濃度が異なる場合には、例えば、マスターバッチ配合物の場合のように不活性ポリマー中に混和される場合には、これらの量は比例的に調整しなければならないことがわかるであろう。
【0072】
ブレンド組成物D−溶融強度増強用ポリマー
成分Dは0〜40重量%、好ましくは15〜35重量%、より好ましくは20〜35重量%(成分A、B、C及びDの総重量に基づく)の量で存在する。
【0073】
最終ブレンドの性質
最終ブレンド組成物は、160℃未満、好ましくは155℃未満、最も好ましくは150℃未満の温度にピーク融点(Tm)を有さなければならない。最低Tgピークは、−10℃未満、好ましくは−20℃未満、最も好ましくは−30℃未満でなければならない。
【0074】
最終熱成形品
熱成形品は、180℃未満、好ましくは170℃未満、最も好ましくは160℃未満の温度において熱成形可能でなければならない。
【0075】
熱成形品は、ASTM D523−89(1999)のStandad Test Method for Specular Glossを用いて型押成形品上において60°で測定される場合に10未満、より好ましくは8未満、最も好ましくは6未満の光沢度を有さなければならない。
【0076】
熱成形品は、0.48超、好ましくは0.50超、より好ましくは0.52超のエンボス加工性指数を有さなければならない。
【実施例】
【0077】
樹脂及び添加剤
この研究において使用する樹脂の性質及び説明を表Iに記載する。他の成分は表IIに列挙した。
【0078】
【表1】

【0079】
【表2】

【0080】
配合
配合は、コンピュータ制御40mm、L/D34:1 Werner−Pfliderer 50馬力二軸スクリュー押出機を用いて行った。成分は一緒にドライブレンドし、二軸スクリュー中に供給した。スクリューの設計は、中程度の混合及び剪断をもたらし、それによって均質な押出物を保証した。約215℃の溶融温度において100ポンド/時を生成するように、7ゾーン押出機をスターブフィードで運転した。押出機のプロフィールを、185−195−200−200−205−205℃に設定した。単一ストランドダイを通して押出機から出たポリマーは水浴中で急冷し、次いでペレット化した。典型的には、各ブレンドを合計100ポンド生成した。化合物の組成を表IIIに示した。
【0081】
【表3】

【0082】
熱成形の評価及び光沢度の測定
熱成形するためのシートの製造は、コンピュータ制御された2インチ、L/D30:1の5ゾーンKillion押出機を通して化合物ラインで製造されたペレットを、間隙が60milに調整された28インチのダイを通して押出することによって行った。押出機のスクリュー速度は、約75rpmに保持した。押出物の溶融温度は約168℃であった。引き取り速度を変えることによって、シートの厚さを公称厚さ125milに維持した。下流の装置は、Wysong製の空気剪断装置に送られる直径12インチ×幅30インチのクロムめっきロールを3本有するロールスタックで構成された。
【0083】
熱成形は、AAAカットシート熱成形機を用いて行った。このカットシート熱成形機は、オーブンに入れて出した後のプラスチックシートを加熱するセラミックヒーターを有していた。各サンプルは、熱成形前の種々の時間(60、90、100、110、120、150及び180秒間の間の時間)、オーブン中に保持し、次いで、オーブン中の時間対サンプルシート温度の検量線を作成することによってサンプル温度を求めた。サンプルをオーブン中に保持した時間が長いほど、取り出したシートの温度は高かった。測定したシート温度は、オーブン中の時間が一定である場合には種々のサンプル間で一致していた。加熱後、シートをオーブンから取り出し、直ちに空冷金型中に真空成形した。
【0084】
光沢度と、熱成形の間にエンボスパターンがどの程度シートに移ったかを評価するために、テンプレート全体にわたって高さ0.87mmの規則的隆起断面を有する熱成形テンプレートをフラットな雌型の底部に置いた。ポリマーシートの熱成形能は、シートの温度の関数であったので、各熱成形実験に関して、サンプルの温度は、成形プロセスの間にスクリーンがフィルムに「粘着する」点までの低い値で変化させた。スクリーンは、熱成形品の領域全体を覆わなかった(図1)。
【0085】
光沢度の読み取り値は全て、ASTM D523−89(1999)のStandard Test Method for Specular Glossに従ってGardner BYKミクロ−TRI−光沢計を用いて得た。光沢度は60°において測定した。報告した値は、4個の読み取り値の平均を表す。光沢度の読み取り値は、型押領域からのサンプルにスクリーンがぶつかった領域から得た。熱成形シートの型押領域からの光沢度値は、熱成形におけるサンプル温度の関数として測定された。表IVは、温度の関数としての、熱成形シートの型押領域の60°光沢度値をまとめる。
【0086】
【表4】

【0087】
エンボス加工性指数
熱成形エンボス加工性は、熱成形操作後におけるテンプレートへの熱成形シートの形状適合性、即ち、最終熱成形品に反映されるような、所定のテンプレートの形状又はパターンの再現能力を意味する。図2は、90°の角度の縁部を有するテンプレート上においてシートサンプルを熱成形することによってどのようにしてエンボス加工性が表現されることができるかを示す。エンボス加工性指数の測定は、図2に示されるように、隆起エンボスパターンの高さを、エンボスパターンの勾配が垂直とは異なる距離で割った比を用いる。エンボス加工性指数(EI)は、規格化された基準であるため、熱成形シートサンプルのエンボス加工性の程度を示すのに使用できる。これは、式Iで表される。
【0088】
【数1】

【0089】
高さ(H)を最大化し且つ長さ(L)を最小化することによってエンボス加工性は改善される。従って、サンプルがエンボスパターンの完全な同化または再現に近づくにつれて、パターンH/Lの比は増加する。例えば、0.5であるH/L比からは0.393のEIが得られるであろう。H/L比が1まで増加すると、EIは0.638の値まで増加する。表Vは、この研究において用いたブレンドから製造した熱成形シートの温度の関数としてのエンボス加工性指数をまとめる。許容され得るエンボス加工性指数値は0.50より大きいEIを有するものと定義した。
【0090】
【表5】

【0091】
過酸化物を含まない比較例1に関する表IV中の光沢度レベルの分析は、159℃より高温では光沢度の著しく且つ急な増加を示す。実施例1〜4の光沢度レベルも光沢度の著しく且つ急な増加を示すが、これはより高い温度範囲、すなわち、159〜172℃で起こる。
【0092】
表Vのエンボス加工性指数のデータの分析は、ランダムプロピレン/エチレンコポリマー及び過酸化物を含むサンプル(即ち、実施例5及び6)に関しては、144〜156℃の熱成形温度においてEI値が全て許容され得るものであった(即ち、>0.5)ことを示す。しかし、成分Bがランダムポリプロピレンではなくホモポリマーポリプロピレンのみである以外は類似したブレンドである比較例4に関しては、許容され得るEI値は、159℃の高温でさえ得られなかった。また、ホモポリマーポリプロピレンを含むが過酸化物を含まない比較例3に関するEIデータの分析は、この組成物が157℃の温度でも許容され得るEI値を得ることができなかったことを示す。過酸化物を含ませないことによってシートの流動特性を改善し、それによってエンボス加工性を向上させるべきであるとしても同じであった。
【産業上の利用可能性】
【0093】
従って、本発明の組成物中へのランダムポリプロピレンの混和は、光沢度が指数関数的に増加し始める温度よりも低い温度において熱成形できる能力を増大する。温度のこのような低下はまた、これらの組成物中への過酸化物の添加と一緒にされた場合には、光沢度を低下させ、低光沢で且つ優れたエンボス加工性を示すエンボス成形品の製造を可能にする。また、成分Bとしてホモポリマーポリプロピレンとランダムプロピレン/エチレンコポリマーとのブレンドを用いた場合には、光沢度及びエンボス加工性の同様な改善がまた観察されたことに注目すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】フラット雌型の底面における熱成形テンプレートの位置を示す。
【図2】90°の角度を有する縁部上においてシートサンプルを熱成形することによっていかにしてエンボス加工性が表現され得るかを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)エラストマー;B)ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー;C)架橋剤;及び場合によってはD)溶融強度増強用ポリマーを含んでなるポリマーブレンド。
【請求項2】
A)成分Aの前記エラストマーが20〜80重量%(成分A、B、C及びDの総重量に基づく)の量で存在し;
B)成分Bの前記ランダムプロピレンコポリマーが15〜45重量%(成分A、B、C及びDの総重量に基づく)の量で存在し且つASTM D−3417によって測定した融点(Tm)が160℃未満であり;
C)成分Cの前記架橋剤を、その架橋剤を含まない以外は同一のブレンド組成物に比べて、ASTM D523−89(1999)による150℃での60°光沢度を少なくとも20%低下させるような量で使用し;そして
D)成分Dの前記溶融強度増強用ポリマーが0〜40重量%(成分A、B、C及びDの総重量に基づく)の量で存在し;そして
E)前記ブレンドが、ASTM D−3417を用いて示差走査熱量測定法DSCによって測定したピーク融点(Tm)が165℃未満であり且つ最低Tgピークが−10℃未満であり;且つ
F)前記ブレンドが0.48超のエンボス加工性指数(EI)を有する
請求項1に記載のブレンド。
【請求項3】
A)成分Aの前記エラストマーが30〜70重量%(成分A、B、C及びDの総重量に基づく)の量で存在し;
B)成分Bの前記ランダムプロピレンコポリマーが20〜40重量%(成分A、B、C及びDの総重量に基づく)の量で存在し且つASTM D−3417によって測定した融点(Tm)が155℃未満であり;
C)成分Cの前記架橋剤を、その架橋剤を含まない以外は同一のブレンド組成物に比べて、ASTM D523−89(1999)による150℃での60°光沢度を少なくとも30%低下させるような量で使用し;
D)成分Dの前記溶融強度増強用ポリマーが、存在する場合には、15〜35重量%(成分A、B、C及びDの総重量に基づく)の量で存在し;且つ
E)前記ブレンドが、ASTM D−3417を用いて示差走査熱量測定法DSCによって測定したピーク融点(Tm)が160℃未満であり且つ最低Tgピークが−20℃未満である
請求項1に記載のブレンド。
【請求項4】
A)成分Aの前記エラストマーが35〜65重量%(成分A、B、C及びDの総重量に基づく)の量で存在し;
B)成分Bの前記ランダムプロピレンコポリマーが20〜35重量%(成分A、B、C及びDの総重量に基づく)の量で存在し且つASTM D−3417によって測定した融点(Tm)が150℃未満であり;
C)成分Cの前記架橋剤を、架橋剤を含まない以外は同一のブレンド組成物に比べて、ASTM D523−89(1999)による150℃での60°光沢度を少なくとも40%低下させるような量で使用し;
D)成分Dの前記溶融強度増強用ポリマーが、存在する場合には、20〜35重量%(成分A、B、C及びDの総重量に基づく)の量で存在し;且つ
E)前記ブレンドが、ASTM D−3417を用いて示差走査熱量測定法DSCによって測定したピーク融点(Tm)が155℃未満であり且つ最低Tgピークが−30℃未満である
請求項1に記載のブレンド。
【請求項5】
A)成分Aの前記エラストマーが均一に又は不均一に分岐したエチレン/α−オレフィンインターポリマー、実質的にランダムなエチレン/ビニル芳香族インターポリマー、エチレンビニルアセテート(EVA)、エチレンエチルアクリレート(EEA)及びエチレン/アクリル酸(EAA)コポリマー、ポリイソプレン、ポリブタジエン、天然ゴム、エチレン/プロピレンゴム、エチレン/プロピレンジエン(EPDM)ゴム、シリコーンゴム、スチレン/ブタジエンゴム、熱可塑性ポリウレタン、天然ゴム、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)及びスチレン/エチレン/ブタジエン/スチレン(SEBS)スチレン系ブロックコポリマー、塩素化ポリエチレン(CPE)、ブナゴム及びニトリル類並びにそれらの組合せからなる群から選ばれ;
B)成分Bの前記ランダムプロピレンコポリマーがプロピレン/C2〜C20α−オレフィンコポリマーであり;
C)成分Cの前記架橋剤が、過酸化物類、フェノール類、アジド類、アルデヒド−アミン反応生成物、置換尿素類、置換グアニジン類;置換キサントゲン酸塩類;置換ジチオカルバメート類;硫黄含有化合物、例えばチアゾール類、イミダゾール類、スルフェンアミド類、チウラミジスルフィド類、パラキノンジオキシム、ジベンゾパラキノンジオキシム、硫黄;シラン類、及びe−ビーム放射線並びにそれらの組合せからなる群から選ばれ;且つ
D)成分Dの前記溶融強度増強用ポリマーが低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリスチレン(PS)、天然ゴム、エチレン/プロピレン/ジエンモノマー(EPDM)及び超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)並びにそれらの組合せからなる群から選ばれる
請求項1に記載のブレンド。
【請求項6】
A)成分Aの前記エラストマーが0.915g/cm3又はそれ以下の密度を有する、均一に若しくは不均一に分岐したエチレン/α−オレフィンインターポリマー又は40モル%又はそれ以下のビニル芳香族モノマー含量を有する、実質的にランダムなエチレン/ビニル芳香族インターポリマーであり;
B)成分Bの前記ランダムプロピレンコポリマーがランダムプロピレン/エチレン、プロピレン/ブテン、プロピレン/ヘキセン及びプロピレンオクテンコポリマー並びにそれらの組合せからなる群から選ばれ;
C)成分Cの前記架橋剤が過酸化物類、アジド類、シラン類、及びe−ビーム放射線、並びにそれらの組合せからなる群から選ばれ;且つ
D)成分Dの前記溶融強度増強用ポリマーが低密度ポリエチレン(LDPE)である
請求項5に記載のブレンド。
【請求項7】
A)成分Aの前記エラストマーが0.905g/cm3又はそれ以下の密度を有する、均一に若しくは不均一に分岐したエチレン/オクテンインターポリマーであり;
B)成分Bの前記ランダムプロピレンコポリマーがランダムプロピレン/エチレンコポリマーであり;
C)成分Cの前記架橋剤が過酸化物であり;且つ
D)成分Dの前記溶融強度増強用ポリマーが3cN超の溶融強度を有する低密度ポリエチレン(LDPE)である
請求項6に記載のブレンド。
【請求項8】
A)エラストマー;B)ポリプロピレンホモポリマーとランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーとの混合物;C)架橋剤;及び場合によってはD)溶融強度増強用ポリマーを含んでなるポリマーブレンド。
【請求項9】
超高分子量シロキサンポリマー又はカーボンブラック若しくは無機充填剤又はそれらの組合せを更に含む請求項1又は8に記載のポリマーブレンド。
【請求項10】
請求項1又は8に記載のブレンドを含んでなる成形品。
【請求項11】
請求項1又は8に記載のブレンドを含んでなる熱成形部品。
【請求項12】
請求項1又は8に記載のブレンドを含んでなるワイヤ及びケーブルジャケット。
【請求項13】
自動車用フロア又はフロアマットの形態の請求項11に記載の熱成形部品。
【請求項14】
請求項1又は8に記載のブレンドの熱成形による熱成形部品の製造方法。
【請求項15】
請求項1又は8に記載のブレンドを用いることによって熱成形部品の光沢度及び/又は熱成形温度を低下させる方法。
【請求項16】
請求項1又は8に記載のブレンドを用いて表面粗さ及びソフトな感触が増大された成型品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−521458(P2006−521458A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509409(P2006−509409)
【出願日】平成16年3月26日(2004.3.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/009501
【国際公開番号】WO2004/087804
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】