低分子量エチレンインターポリマー、その製造法および使用
本発明は、1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーを含む組成物であって、インターポリマーまたは組成物が、177℃において1〜30,000cPの溶融粘度を有し、少なくとも1つのエチレンインターポリマーが0.3〜0.99のRvを有する組成物を提供する。本発明はさらに、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマー、および少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーを含む組成物であって、該組成物が177℃において1〜30,000cPの溶融粘度を有し、低分子量インターポリマーおよび高分子量インターポリマーのRvの合計が0.3〜2である組成物も提供する。本発明はさらに、そのような組成物を製造する方法、そのような組成物のインターポリマーを官能化する方法、および本発明の組成物から製造された少なくとも1つの成分を含む物品も提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、2005年12月29日に出願された米国仮出願第60/754908号の恩恵を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーを含む組成物に関する。本発明は、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマー、および少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーを含む組成物も提供する。そのような組成物は、177℃において1〜30,000cPの溶融粘度を有する。さらに、これらの組成物は比較的高いレベルのビニル基を含有する。本発明はさらに、そのような組成物を製造するプロセス、そのような組成物のインターポリマーを官能化するプロセス、および該組成物から調製される物品も提供する。
【背景技術】
【0003】
低分子量炭化水素ポリマーは、種々の用途、例えば、印刷インキ、加工助剤、離型剤、蝋燭、艶出剤、特に、被覆剤および接着剤において、広く使用されている。特に、高結晶性ポリマーは、他の成分と混合して耐摩耗性印刷インキを製造することに関して、ますます関心が持たれている。これらのポリマーは、塗料艶消、洗浄材料用の乳化性ワックスの調製にも使用される。重要な用途は、ホットメルト系、特に、ホットメルト被覆剤およびホットメルト接着剤における用途である。一般に、パラフィンワックスまたはミクロクリスタリンワックスが、そのようなホットメルト用途に使用されるが、パラフィンワックスおよび軟質ミクロクリスタリンワックスは両方とも、比較的低い融点を有する。硬質ミクロクリスタリンワックスは、より高い融点を有するが、比較的高価であり、高い粘度を有する。いくつかの系において、それらは、不相溶性の問題も生じる。
【0004】
国際公開公報第WO03/087178号は、15,000未満の分子量を有するエチレンおよびビニル芳香族モノマーのコポリマーを含む製品を開示している。好ましくは、コポリマーは第一および第二末端基を有する主鎖を特徴とする。第一末端基はメチル基であり、第二末端基はビニル基であり、末端メチル基対末端ビニル基の比率は0.8:1〜1:0.8である。
【0005】
米国特許第5433757号は、モノ−またはジカルボン酸生成部分で置換され、300〜20,000の数平均分子量の少なくとも1つの末端不飽和エチレン/α−オレフィンポリマーを含む、油溶性燃料および潤滑油添加剤を開示している。末端不飽和は、末端エテニリデン不飽和を含む。
【0006】
国際公開公報第WO2004/031292号は、下記の物質を含む熱可塑性組成物を開示している。(i)全組成物の1〜99wt(重量)%の、少なくとも1つの熱可塑性コポリマー、例えば、スチレンブロックコポリマー、および(ii)全組成物の1〜99wt%の、少なくとも1つの均一分岐エチレン/α−オレフィンインターポリマー、例えば、0.899g/ccまたはそれ未満の密度および500cP(350°F)より高いブルックフィールド粘度を有するエチレン/1−オクテン。
【0007】
米国特許第6100224号は、不飽和ジカルボン酸モノマーおよびエチレン/α−オレフィンマクロマーの単位を含むコポリマーを開示している。マクロマーは、CH2=CHRa(式中、RaはC1−C18直鎖アルキル基またはC3−C18分岐鎖アルキル基である)によって表されるエチレンおよび少なくとも1つのα−オレフィンからの単位を含む不飽和エチレン/α−オレフィンポリマーである。エチレン/α−オレフィンポリマーは、約500〜100,000の数平均分子量を有し、エチレン/α−オレフィンポリマー中の不飽和の少なくとも30%は末端ビニリデンである。コポリマーは、炭素−炭素主鎖を有し、コハク酸基およびヒドロカルビル基を含有する。コポリマーは、モノアミン、ポリアミン、モノアルコール、ポリオール、アミノアルコール、反応物金属化合物およびそれらの混合物を含む求核反応物との反応によって、誘導体化することができる。誘導体化コポリマーは、1つまたはそれ以上の後処理剤で後処理することができる。
【0008】
国際公開公報第WO2004/035680号は、低分子量エチレンおよび/またはα−オレフィンホモポリマーおよびコポリマーまたはそれらのブレンドを含み、高濃度の充填剤または添加剤を充填された高充填ポリマー組成物を開示している。
【0009】
国際公開公報第WO2005/100501号は、官能性成分、粘着付与剤およびオレフィンポリマーを含む物品を開示している。オレフィンポリマーは、1つまたはそれ以上のC3−C40オレフィン、および任意に、1つまたはそれ以上のジオレフィン、および5mol未満のエチレンを含み、1Nまたはそれ以上のドット・ティー・ピール(Dot T−Peel)、100,000またはそれ以下のMw、ポリマーのMzにおいて測定される0.95またはそれ以下の分岐指数(g’)を有する。官能化成分は、官能化ポリマー、官能化オリゴマーまたはβ成核剤から選択される。
【0010】
米国特許第6875816号は、高分子量の分岐成分および低分子量の分岐成分を含む組成物を開示している。いくつかの開示ポリマー組成物は、アミルまたはメチル分岐の実質的不在、および下記の関係式を満たす溶融強度(MS)を有することを特徴とする。MS≧x/l2+y
【0011】
国際公開公報第WO2002/36651号は、8〜32mol%のエチレン含有量を有し、無水マレイン酸およびペルオキシドでグラフトされたプロピレンエチレンコポリマーを開示している。他のポリオレフィン系組成物がWO2005/111145に開示されている。
【0012】
被覆剤、接着剤および他の用途に使用するための、粘度および結晶化度の適切なバランスを有するより低い分子量のエチレンポリマーが現在も必要とされている。向上した付着および他の用途のための、粘度、ビニル含有量および結晶化度の適切なバランスを有する官能化低分子量エチレンポリマーも必要とされている。これらの要求および他の要求の少なくともいくつかが、下記の本発明によって満たされる。
【発明の開示】
【0013】
本発明は、1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーを含む組成物であって、該組成物が177℃において1〜30,000cPの溶融粘度を有し、少なくとも1つのエチレンインターポリマーが0.3〜0.99のRvを有する組成物を提供する。
【0014】
本発明は、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマー、および少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーを含む組成物であって、該組成物が177℃において1〜30,000cPの溶融粘度を有し、該低分子量インターポリマーおよび該高分子量インターポリマーのRvの合計が0.3〜2である組成物も提供する。
【0015】
本発明は、本発明の組成物の官能化生成物も提供する。
【0016】
本発明は、組成物中の1つまたはそれ以上のポリマーを官能化するプロセスも提供し、該組成物は、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマー、および少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーを含み、該組成物は177℃において1〜30,000cPの溶融粘度を有し、該低分子量インターポリマーおよび該高分子量インターポリマーのRvの合計が0.3〜2であり、該方法は、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーおよび/または少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーを、少なくとも1つの官能化剤(functionalization agent)と反応させることを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
上記のように、本発明は、高レベルのビニル末端を有する低分子量エチレンインターポリマー、および該インターポリマーを含有する組成物を提供する。そのような低分子量インターポリマーは、回分反応(batch reactor)法または連続法で調製することができる。これらのインターポリマーは、177℃において1〜30,000cP程度の粘度を有する。より高いビニル含有量は、これらのポリマーのより高いレベルの官能化を可能にする。本発明は、本明細書に記載するように、少なくとも1つの低分子量エチレンインターポリマーおよび少なくとも1つの高分子量エチレンインターポリマーを含む組成物も提供する。
【0018】
より具体的には、本発明は、1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーを含む組成物であって、該インターポリマーまたは組成物が、177℃において1〜30,000cP、好ましくは177℃において2〜20,000cP、より好ましくは177℃において5〜10,000cPの溶融粘度を有し、少なくとも1つのエチレンインターポリマーが、0.3〜0.99、好ましくは0.4〜0.99、より好ましくは0.5〜0.99のRvを有する、組成物を提供する。好ましくは、組成物が、177℃において1〜30,000cP、好ましくは177℃において2〜20,000cP、より好ましくは177℃において5〜10,000cPの溶融粘度を有する。
【0019】
他の実施形態において、1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの分子量分布のMw/Mnは、合計で、2〜100、好ましくは2〜70である。
【0020】
他の実施形態において、1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの重量平均分子量は、合計で、500〜75,000g/mol、好ましくは1,000〜50,000g/mol、より好ましくは2,000〜25,000g/molである。さらに他の実施形態において、1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの数平均分子量は、合計で、100〜40,000g/mol、好ましくは100〜10,000g/mol、より好ましくは200〜5,000g/molである。
【0021】
他の実施形態において、1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの密度は、合計で、0.86g/cc〜0.96g/cc、好ましくは0.85g/cc〜0.95g/cc、より好ましくは0.84g/cc〜0.94g/ccである。
【0022】
さらに他の実施形態において、1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの結晶化度パーセントは、合計で、10%〜90%、好ましくは20%〜85%、より好ましくは30%〜80%である。
【0023】
さらに他の実施形態において、少なくとも1つのエチレンインターポリマーは、0.1wt%〜50wt%の少なくとも1つのコモノマー、好ましくは0.5wt%〜25wt%の少なくとも1つのコモノマー、より好ましくは1wt%〜10wt%の少なくとも1つのコモノマーを含有する(重合性モノマーの総重量に基づく)。
【0024】
さらに他の実施形態において、少なくとも1つのエチレンインターポリマーは、0.1mol%〜50mol%の少なくとも1つのコモノマー、好ましくは0.15mol%〜25mol%の少なくとも1つのコモノマー、より好ましくは0.2mol%〜10mol%の少なくとも1つのコモノマーを含有する(重合性モノマーの総モルに基づく)。
【0025】
本発明の他の実施形態において、コモノマーは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネンまたは1−デセンから選択され、好ましくは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンまたは1−オクテンから選択される。他の実施形態において、少なくとも1つのエチレンインターポリマーは、ビニル芳香族コモノマーを含有しない。
【0026】
他の実施形態において、組成物は、下記の不等式による総結晶化度パーセントを有し、
結晶化度パーセント>614*(密度(g/cc))−509
式中、結晶化度パーセントは、((融解熱(J/g))/(ポリエチレンの292J/g))*100である。密度は、組成物の密度である。他の実施形態において、組成物は、組成物の総重量に基づいて1wt%未満の1つまたはそれ以上の添加剤をさらに含む。さらに他の実施形態において、1つまたはそれ以上の添加剤は、1つまたはそれ以上の安定剤である。
【0027】
本発明は、本明細書に記載されている2つまたはそれ以上の実施形態の組合せを含有する組成物も提供する。
【0028】
本発明は、下記物質の反応生成物を含む組成物も提供し、(1)1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーを含む組成物であって、該インターポリマーまたは該組成物が177℃において1〜30,000cPの溶融粘度を有する組成物(少なくとも1つのエチレンインターポリマーは、0.3〜0.99のRvを有する)、および(2)少なくとも1つのヘテロ原子を含有する少なくとも1つの不飽和化合物;該反応生成物は、官能基を有する少なくとも1つのエチレンインターポリマーを含む。さらに他の実施形態において、官能基は、ハロゲン、ヒドロキシル、無水物、アミン、アミド、カルボン酸、エステル、エーテル、シランおよびニトリルからなる群より選択される。そのような組成物は、本明細書に記載されている2つまたはそれ以上の実施形態の組合せを含有し得る。
【0029】
本発明は、本明細書に記載されている本発明組成物から形成された少なくとも1つの成分を含む物品も提供する。物品は、本明細書に記載されている2つまたはそれ以上の実施形態の組合せを含み得る。
【0030】
本発明は、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマー、および少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーを含む組成物も提供し;該インターポリマーまたは該組成物は、177℃において1〜30,000cP、好ましくは177℃において2〜20,000cP、より好ましくは177℃において5〜10,000cPの溶融粘度を有し;低分子量インターポリマーおよび高分子量インターポリマーのRvの合計が0.3〜2、好ましくは1〜2、より好ましくは1.1〜1.9、さらに好ましくは1.2〜1.8である。好ましくは、組成物が、177℃において1〜30,000cP、好ましくは177℃において2〜20,000cP、より好ましくは177℃において5〜10,000cPの溶融粘度を有する。
【0031】
1つの実施形態において、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーは、分子量分布、Mw/Mn、1〜5、好ましくは1.5〜4、より好ましくは2〜3.5を有し、少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーは、分子量分布、Mw/Mn、1〜10、好ましくは2〜8、より好ましくは2〜5を有する。
【0032】
他の実施形態において、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーは、重量平均分子量100〜5,000、好ましくは200〜3,000、より好ましくは200〜2,000を有し、少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーは、重量平均分子量10,000〜1,000,000g/mol、好ましくは10,000〜500,000g/mol、より好ましくは10,000〜300,000g/mol、さらに好ましくは10,000〜200,000g/molを有する。
【0033】
他の実施形態において、少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーは、重量平均分子量10,000〜600,000g/mol、好ましくは10,000〜300,000g/mol、より好ましくは10,000〜200,000g/mol、さらに好ましくは10,000〜100,000g/molを有する。
【0034】
他の実施形態において、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーは、数平均分子量50〜2,500g/mol、好ましくは50〜2,000g/mol、より好ましくは100〜1,000g/molを有し、少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーは、数平均分子量5,000〜500,000g/mol、好ましくは5,000〜100,000g/mol、より好ましくは5,000〜50,000g/molを有する。
【0035】
他の実施形態において、少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーは、数平均分子量5,000〜500,000g/mol、好ましくは5,000〜300,000g/mol、好ましくは10,000〜100,000g/molを有する。
【0036】
他の実施形態において、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーは、0.7〜0.99、好ましくは0.8〜0.98、より好ましくは0.9〜0.98のRvを有し、少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーは、0.2〜0.8、好ましくは0.3〜0.7のRvを有する。他の実施形態において、「少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーのRv」対「少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーのRv」の比が、1:1〜5:1、好ましくは1:1〜4:1、より好ましくは1:1〜3:1である。
【0037】
他の実施形態において、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーは、0.2〜20wt%、好ましくは0.5〜10wt%の少なくとも1つのコモノマーを含有し(LMWの重合性モノマーの総重量に基づく)、少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーは、0.1〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、より好ましくは4〜30wt%の少なくとも1つのコモノマーを含有する(HMWの重合性モノマーの総重量に基づく)。
【0038】
さらに他の実施形態において、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーは、0.1mol%〜20mol%の少なくとも1つのコモノマーを含有し(LMWの重合性モノマーの総モルに基づく)、少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーは、0.1mol%〜40mol%の少なくとも1つのコモノマーを含有する(HMWの重合性モノマーの総モルに基づく)。さらに他の実施形態において、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーは、0.5mol%〜10mol%の少なくとも1つのコモノマーを含有し(LMWの重合性モノマーの総モルに基づく)、少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーは、4mol%〜30mol%の少なくとも1つのコモノマーを含有する(HMWの重合性モノマーの総モルに基づく)。
【0039】
本発明の他の実施形態において、各コモノマーは、独立に、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネンまたは1−デセン、好ましくは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンまたは1−オクテンから選択される。
【0040】
他の実施形態において、少なくとも1つの低分子量エチレンインターポリマーが、ビニル芳香族コモノマーを含有しない。他の実施形態において、少なくとも1つの高分子量エチレンインターポリマーが、ビニル芳香族コモノマーを含有しない。他の実施形態において、低分子量エチレンインターポリマーおよび高分子量エチレンインターポリマーの両方が、ビニル芳香族コモノマーを含有しない。
【0041】
他の実施形態において、高分子量エチレンインターポリマーは、低分子量エチレンインターポリマーより少ない量で存在する。さらなる実施形態において、高分子量エチレンインターポリマーは、より多い量のコモノマー組み込み(comonomer incorporation)を有する。
【0042】
本発明の他の実施形態において、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーが、少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーより低いパーセンテージのコモノマー組み込みを有する。さらなる実施形態において、組成物は、組成物の総重量に基づいて10wt%またはそれ未満、好ましくは5wt%またはそれ未満の、高分子量(HMW)エチレンインターポリマーを含む。本発明は、本明細書に記載されている2つまたはそれ以上の実施形態の組合せを含有する組成物も提供する。
【0043】
他の実施形態において、本発明の組成物は、下記の不等式による結晶化度パーセントを有し、
結晶化度パーセント>614*(密度(g/cc))−509
式中、結晶化度パーセントは、((融解熱(J/g))/(ポリエチレンの292J/g))*100である。密度は、組成物の密度である。さらなる実施形態において、組成物は、組成物の総重量に基づいて1wt%未満の1つまたはそれ以上の添加剤をさらに含む。さらに他の実施形態において、1つまたはそれ以上の添加剤は、1つまたはそれ以上の安定剤である。
【0044】
本発明は、さらなる実施形態、または本明細書に記載されているこれらの実施形態の組合せを含む組成物も提供する。
【0045】
本発明は、下記物質の反応生成物を含む組成物も提供する。(1)少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマー、および少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーを含む組成物であって、該インターポリマーまたは該組成物が177℃において1〜30,000cPの溶融粘度を有し、該低分子量インターポリマーおよび該高分子量インターポリマーのRvの合計が0.3〜2である組成物、および(2)少なくとも1つのヘテロ原子を含有する少なくとも1つの不飽和化合物。
【0046】
本発明のさらなる実施形態において、少なくとも1つの低分子量エチレンインターポリマーおよび/または少なくとも1つの高分子量エチレンインターポリマーが、少なくとも1つのヘテロ原子を含有する少なくとも1つの不飽和化合物で官能化されている。本発明の他の実施形態において、少なくとも1つの低分子量エチレンインターポリマーが、少なくとも1つのヘテロ原子を含有する少なくとも1つの不飽和化合物で官能化されている。
【0047】
さらに他の実施形態において、少なくとも1つの低分子量エチレンインターポリマーおよび/または少なくとも1つの高分子量エチレンインターポリマーが、少なくとも1つのカルボニル含有化合物で官能化されている。本発明の他の実施形態において、少なくとも1つの低分子量エチレンインターポリマーが、少なくとも1つのカルボニル含有化合物で官能化されている。
【0048】
本発明の他の実施形態において、少なくとも1つの低分子量エチレンインターポリマーおよび/または少なくとも1つの高分子量エチレンインターポリマーが、少なくとも1つのシラン化合物で官能化されている。本発明の他の実施形態において、少なくとも1つの低分子量エチレンインターポリマーが、少なくとも1つのシラン化合物で官能化されている。
【0049】
官能化組成物は、本明細書に記載されている2つまたはそれ以上の実施形態の組合せを含有し得る。
【0050】
本発明は、本明細書に記載されている本発明組成物から形成された少なくとも1つの成分を含む物品も提供する。本発明の物品は、本明細書に記載されている2つまたはそれ以上の実施形態の組合せを含み得る。
【0051】
本発明は、組成物中の1つまたはそれ以上のポリマーを官能化するプロセスも提供し、該組成物は、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマー、および少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーを含み、該インターポリマーまたは組成物は177℃において1〜30,000cPの溶融粘度を有し、低分子量インターポリマーおよび高分子量インターポリマーのRvの合計は1〜2であり、該プロセスは、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマー、および/または少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーを、少なくとも1つの官能化剤と反応させることを含む。
【0052】
1つの実施形態において、少なくとも1つの官能化剤は、下記物質の1つである。ハロゲンまたはハロゲン含有化合物、エポキシド含有化合物、カルボニル含有化合物、スルホニル含有化合物またはシラン化合物。
【0053】
さらなる実施形態において、低分子量インターポリマーおよび高分子量インターポリマーのRvの合計は1.1〜1.9、好ましくは1.2〜1.8である。
【0054】
本発明は、さらなる実施形態、または本明細書に記載されている実施形態の組合せを含む本発明の組成物を官能化するプロセスも提供する。
【0055】
本発明は、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマー、および少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーを含む組成物を製造するプロセスも提供し、該プロセスは、本明細書に記載されている触媒系の存在下にエチレンおよび少なくとも1つの他のモノマーを重合させることを含む。
【0056】
本発明は、さらなる実施形態、または本明細書に記載されている実施形態の組合せを含む本発明の組成物を調製するプロセスも提供する。
【0057】
本発明の他の実施形態、および本発明の利点は、以下の記載から明らかである。
【0058】
組成物I
本発明の組成物は、1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーを含有する。インターポリマーまたは組成物は、177℃において、1cP〜30,000cP、好ましくは2cP〜20,000cP、より好ましくは5cP〜10,000cPの溶融粘度を有する。1cP〜30,000cPの全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。溶融粘度は、ブルックフィールド粘度計を使用して177℃(350°F)で測定される。
【0059】
他の実施形態において、インターポリマーまたは組成物は、149℃において、1cP〜60,000cP、好ましくは2cP〜40,000cP、より好ましくは5cP〜20,000cPの溶融粘度を有する。1cP〜60,000cPの全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。溶融粘度はブルックフィールド粘度計を使用して149℃(300°F)で測定される。
【0060】
他の実施形態において、組成物は、0.3〜0.99、好ましくは0.4〜0.99、より好ましくは0.5〜0.99のRv値を有する少なくとも1つのエチレンインターポリマーを含有する。0.3〜0.99の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0061】
他の実施形態において、組成物は、1000炭素原子につき15〜60のビニル基、好ましくは1000炭素原子につき20〜55のビニル基、より好ましくは1000炭素原子につき25〜50のビニル基を含有する。1000炭素原子につき15〜60のビニル基の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0062】
他の実施形態において、組成物の1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの分子量分布Mw/Mnは、2〜100、好ましくは2〜80、より好ましくは2〜70である。2〜約100の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0063】
他の実施形態において、組成物の1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの重量平均分子量Mwは、500〜75,000g/mol、好ましくは1,000〜50,000g/mol、より好ましくは2,000〜25,000g/molである。500〜約75,000g/molの全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0064】
他の実施形態において、組成物の1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの数平均分子量Mnは、100〜40,000g/mol、好ましくは100〜10,000g/mol、より好ましくは200〜5,000g/mol、さらに好ましくは250〜3,000g/mol、最も好ましくは200〜2,000g/mol、または200〜1,000g/molである。100〜40,000g/molの全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0065】
他の実施形態において、組成物の1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの密度は、0.86g/cc〜0.96g/cc、好ましくは0.87g/cc〜0.95g/cc、より好ましくは0.88g/cc〜0.94g/ccである。0.86g/cc〜0.96g/ccの全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0066】
他の実施形態において、組成物の1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの密度は、0.93g/cc未満、好ましくは0.92g/cc未満、より好ましくは0.91g/cc未満または0.90g/cc未満である。他の実施形態において、1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの密度は、0.86g/ccより高く、好ましくは0.87g/ccより高く、より好ましくは0.88g/ccより高い。
【0067】
他の実施形態において、組成物の1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの結晶化度パーセントは、10%〜90%、好ましくは20%〜85%、より好ましくは30%〜80%である。10%〜90%の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0068】
他の実施形態において、組成物の1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの結晶化度パーセントは、30%より高く、好ましくは35%より高く、より好ましくは40%より高い。
【0069】
他の実施形態において、組成物の1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーは、60℃〜120℃、好ましくは70℃〜110℃、より好ましくは80℃〜100℃の少なくとも1つの融点Tmを有する。60℃〜120℃の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0070】
他の実施形態において、組成物の1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーは、50℃〜110℃、好ましくは60℃〜100℃、より好ましくは50℃〜90℃の少なくとも1つの結晶化温度Tcを有する。50℃〜110℃の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0071】
他の実施形態において、組成物の少なくとも1つのエチレンインターポリマーは、0.1wt%〜50wt%、好ましくは0.5wt%〜25wt%、より好ましくは1wt%〜15wt%の少なくとも1つのコモノマーを含有する(重合性モノマーの総重量に基づく)。0.1wt%〜50wt%の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0072】
他の実施形態において、組成物の少なくとも1つのエチレンインターポリマーは、0.1mol%〜50mol%、好ましくは0.15mol%〜25mol%、より好ましくは0.2mol%〜10mol%、さらに好ましくは0.2mol%〜5mol%の少なくとも1つのコモノマーを含有する(重合性モノマーの総モルに基づく)。0.1mol%〜50mol%の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0073】
好ましいコモノマーは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、および1−オクテン、ジエンおよびポリエンを含むが、それらに限定されない。好適なジエンの例は、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、ヘキサジエン(例えば、1,4−ヘキサジエン)およびオクタジエンである。他のコモノマーは、スチレン、ハロ−置換スチレン、アルキル−置換スチレン、テトラフルオロエチレン、ビニルベンゾシクロブテン、シクロアルケン(例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン)、およびそれらの混合物を含む。一般に、かつ好ましくは、エチレンを、1つまたはそれ以上のC3−C20α−オレフィン、より好ましくは1つまたはそれ以上のC3−C8α−オレフィンと共重合させる。好ましいα−オレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンを含む。1つの実施形態において、コモノマーは芳香族ビニルモノマーでない。
【0074】
本発明は、2つまたはそれ以上の前記実施形態の組合せを含有する組成物も提供する。
【0075】
組成物II(LMWインターポリマーおよびHMWインターポリマー)
本発明の他の態様において、組成物は、少なくとも1つの低分子量エチレンインターポリマーおよび少なくとも1つの高分子量エチレンインターポリマーを含む。インターポリマーまたは組成物は、177℃において、1cP〜30,000cP、好ましくは2cP〜20,000cP、より好ましくは5cP〜10,000cPの溶融粘度を有する。1cP〜30,000cPの全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。溶融粘度は、ブルックフィールド粘度計を使用して177℃(350°F)で測定される。
【0076】
他の実施形態において、インターポリマーまたは組成物は、149℃において、1cP〜60,000cP、好ましくは2cP〜40,000cP、より好ましくは5cP〜20,000cPの溶融粘度を有する。1cP〜60,000cPの全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。溶融粘度は、ブルックフィールド粘度計を使用して149℃(300°F)で測定される。
【0077】
他の実施形態において、低分子量インターポリマーおよび高分子量インターポリマーのRvの合計が0.3〜2、好ましくは1〜2、より好ましくは1.1〜1.9、さらに好ましくは1.2〜1.8である。0.3〜2の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0078】
他の実施形態において、低分子量エチレンインターポリマーおよび高分子量エチレンインターポリマーの合計密度が、0.86g/cc〜0.96g/cc、好ましくは0.87g/cc〜0.95g/cc、より好ましくは0.88g/cc〜0.94g/ccである。0.86g/cc〜0.96g/ccの全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。他の実施形態において、該密度は、0.93g/cc未満、好ましくは0.92g/cc未満、より好ましくは0.91g/cc未満または0.90g/cc未満である。
【0079】
他の実施形態において、「少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーのRv」対「少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーのRv」の比が、1:1〜5:1、好ましくは1:1〜4:1、より好ましくは1:1〜3:1、さらに好ましくは1:1〜2:1である。1:1〜5:1の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。他の実施形態において、この比率は、1より高く、好ましくは2.0より高く、より好ましくは2.2より高い。
【0080】
他の実施形態において、低分子量エチレンインターポリマーは、0.7〜0.99、好ましくは0.8〜0.98、より好ましくは0.85〜0.97のRvを有する。0.7〜0.99の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0081】
他の実施形態において、低分子量エチレンインターポリマーは、分子量分布、Mw/Mn、1〜5、好ましくは1.5〜4、より好ましくは2〜3.5または2〜3を有する。1〜5の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0082】
他の実施形態において、低分子量エチレンインターポリマーは、重量平均分子量、Mw、100〜5,000g/mol、好ましくは200〜3,000g/mol、より好ましくは200〜2,000g/mol、または200〜1,000g/molを有する。100〜約5,000g/molの全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0083】
他の実施形態において、低分子量エチレンインターポリマーは、数平均分子量、Mn、50〜2,500g/mol、好ましくは50〜2,000g/mol、より好ましくは100〜1,000g/mol、さらに好ましくは200〜800g/molを有する。50〜2,500g/molの全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0084】
他の実施形態において、低分子量エチレンインターポリマーは、0.2wt%〜20wt%、好ましくは0.5wt%〜15wt%、より好ましくは1wt%〜10wt%の少なくとも1つのコモノマーを含有する(重合性モノマーの総重量に基づく)。0.2wt%〜20wt%の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0085】
他の実施形態において、低分子量エチレンインターポリマーは、0.1mol%〜20mol%、好ましくは0.1mol%〜10mol%、より好ましくは0.5mol%〜10mol%、さらに好ましくは0.2mol%〜5mol%の少なくとも1つのコモノマーを含有する(重合性モノマーの総モルに基づく)。0.2mol%〜20mol%の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0086】
好ましいコモノマーは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、および1−オクテン、非共役ジエン、共役ジエンおよびポリエンを含むが、それらに限定されない。好適なジエンは、ブタンジエン、イソプレン、ペンタジエン、ヘキサジエン(例えば、1,4−ヘキサジエン)およびオクタジエンを含む。他のコモノマーは、スチレン、ハロ−置換スチレン、アルキル−置換スチレン、テトラフルオロエチレン、ビニルベンゾシクロブテン、シクロアルケン(例えば、シクロペンタン、シクロヘキセン、シクロオクテン)、およびそれらの混合物を含む。一般に、かつ好ましくは、エチレンは、1つのC3−C20α−オレフィン、より好ましくは1つのC3−C8α−オレフィンと共重合される。好ましいα−オレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンを含む。1つの実施形態において、コモノマーは芳香族ビニルモノマーでない。
【0087】
他の実施形態において、低分子量エチレンインターポリマーは、1000炭素原子につき7〜50のビニル基、好ましくは1000炭素原子につき10〜40のビニル基、より好ましくは1000炭素原子につき15〜30のビニル基を含有する。1000炭素原子につき7〜50のビニル基の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0088】
他の実施形態において、高分子量エチレンインターポリマーは、分子量分布、Mw/Mn、1〜10、好ましくは2〜8、より好ましくは2〜5を有する。1〜10の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0089】
他の実施形態において、高分子量エチレンインターポリマーは、重量平均分子量、Mw、10,000〜1,000,000g/mol、好ましくは10,000〜500,000g/mol、より好ましくは10,000〜300,000g/mol、さらに好ましくは10,000〜200,000g/mol、または10,000〜100,000g/molを有する。10,000〜約1,000,000g/molの全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0090】
他の実施形態において、高分子量エチレンインターポリマーは、数平均分子量、Mn、5,000〜500,000g/mol、好ましくは5,000〜300,000g/mol、より好ましくは5,000〜250,000または200,000g/mol、さらに好ましくは5,000〜150,000g/mol、最も好ましくは5,000〜100,000または50,000g/molを有する。5,000〜500,000g/molの全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0091】
他の実施形態において、高分子量エチレンインターポリマーは、0.1wt%〜40wt%、好ましくは0.5wt%〜30wt%、より好ましくは1wt%〜30wt%、さらに好ましくは4wt%〜30wt%の少なくとも1つのコモノマーを含有する(重合性モノマーの総重量に基づく)。0.1wt%〜40wt%の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0092】
他の実施形態において、高分子量エチレンインターポリマーは、0.1mol%〜40mol%、好ましくは0.5mol%〜30mol%、より好ましくは1mol%〜20mol%、さらに好ましくは4mol%〜20mol%の少なくとも1つのコモノマーを含有する(重合性モノマーの総モルに基づく)。0.1mol%〜40mol%の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0093】
好ましいコモノマーは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、および1−オクテン、非共役ジエン、共役ジエンおよびポリエンを含むが、それらに限定されない。好適なジエンの例は、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、ヘキサジエン(例えば、1,4−ヘキサジエン)およびオクタジエンである。他のコモノマーは、スチレン、ハロ−置換スチレン、アルキル−置換スチレン、テトラフルオロエチレン、ビニルベンゾシクロブテン、シクロアルケン(例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン)、およびそれらの混合物を含む。一般に、かつ好ましくは、エチレンを、1つのC3−C20α−オレフィン、より好ましくは1つのC3−C8α−オレフィンと共重合させる。好ましいα−オレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンを含む。1つの実施形態において、コモノマーは芳香族ビニルモノマーではない。
【0094】
他の実施形態において、高分子量エチレンインターポリマーは、0.2〜0.8、好ましくは0.3〜0.75、より好ましくは0.3〜0.7、さらに好ましくは0.3〜0.6のRvを有する。0.2〜0.85のRvの全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0095】
他の実施形態において、高分子量エチレンインターポリマーは、1000炭素原子につき0.01〜5のビニル基、好ましくは1000炭素原子につき0.02〜3のビニル基、より好ましくは1000炭素原子につき0.05〜2のビニル基を含有する。1000炭素原子につき0.01〜5のビニル基の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0096】
他の実施形態において、組成物は、組成物の総重量に基づいて、1wt%〜10wt%、好ましくは2wt%〜7wt%、より好ましくは3wt%〜5wt%の高分子量ポリマー画分を含有する。1wt%〜10wt%の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0097】
他の実施形態において、高分子量エチレンインターポリマーの重量平均分子量は、低分子量エチレンインターポリマーの重量平均分子量の少なくとも50倍、好ましくは少なくとも100倍、より好ましくは少なくとも150倍または少なくとも200倍である。
【0098】
本発明は、2つまたはそれ以上の前記実施形態の組合せを含有する組成物も提供する。
【0099】
添加剤
本明細書に開示されている組成物は、他の添加剤、例えば、参照により全体が本明細書に組み込まれる国際公開公報第WO03/087178号(米国特許出願公開第2005165192号)に開示されているような他の添加剤を含有し得る。そのような添加剤の使用は、任意であり、組成物の特定の用途および必要とされる性能のレベルに依存する。添加剤は、安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、染料、成核剤、充填剤、スリップ剤、難燃剤、可塑剤、加工助剤、潤滑剤、安定剤、発煙防止剤(smoke inhibitors)、粘度調節剤および粘着防止剤を含むが、それらに限定されない。
【0100】
添加剤は、約70wt%〜約99.9wt%の実質的に不活性の、通常は液体の、有機希釈剤を一般に含有する濃厚物形態であってよい。一般に、本発明に使用されるポリマーおよび樹脂は、1つまたはそれ以上の安定剤、例えば酸化防止剤、例えばIrganox(商標)1010およびIrgafos(商標)168(両方ともCiba Specialty Chemicalsによって供給)で処理される。ポリマーは一般に、押出または他の溶融プロセス前に1つまたはそれ以上の安定剤で処理される。
【0101】
任意に使用し得る他の添加剤は、洗浄剤、分散剤、補助的粘度向上剤(supplemental viscosity improvers)、酸化防止剤、腐食防止剤、流動点降下剤、極圧添加剤、磨耗防止剤、色彩安定剤、摩擦調節剤および消泡剤を含む。
【0102】
用途
本明細書に開示されている低分子量ポリマーは、多くの有用な用途を有し、多くの製品の製造に使用することができる。製品は、参照により全体が本明細書に組み込まれる国際公開公報第WO03/087178号に記載されているようなワックス、潤滑剤、添加剤などを含むがそれらに限定されない。本発明の低分子量ポリマーは、塗料および被覆剤、印刷インキ、カーボン紙、フォトトナー、建築および構造材料、離型剤、ホットメルト接着剤および蝋燭の製造に使用し得る。これらのポリマーは、木材加工、金属工作、粉末冶金および焼結、ワックスモデリング、サイジング、クロップ保護などにも使用し得る。ビニル末端基の存在により、本発明の組成物のポリマーは、ポリマーを、ビニル基と反応できる試薬と反応させることによって官能化し得る。このようにして、種々の官能化低分子量ポリマーが得られる。官能化ポリマーを、官能化ポリマーと反応できる1つまたはそれ以上の化学基をそれぞれ含有する他の化合物またはポリマーとさらに反応させてもよい。
【0103】
本明細書に開示されている低分子量ポリマーは、1つまたはそれ以上のポリマーのブレンドとして使用することができる。ブレンドを使用して、ホットメルト接着剤、プラスチック添加剤、水性分散物、加工助剤、潤滑剤、印刷インキ、トナーなどを配合し得る。そのような製品を製造するための方法および成分は、例えば、以下に記載されている。米国特許第6143846号、第5928825号、第5530054号、第6242148号、第6207748号、第5998547号、第6262153号、第5037874号、第5482987号、第6133490号および第6080902号;PCT出願WO01/44387、WO01/72855、WO01/64776、WO01/56721、WO01/64799、WO01/64800;およびEP特許または特許出願EP890619、EP916700、およびEP0050313、EP1081195。
【0104】
本明細書に開示されている低分子量ポリマーは、ホットメルト接着剤の成分としても使用し得る。一般に、ホットメルト接着剤は、以下の3つの成分を含む。ポリマー、粘着付与剤および低分子量ポリマー。各成分は、2つまたはそれ以上の成分のブレンドを含んでよく、即ち、ポリマー成分が2種類のポリマーのブレンドを含んでよい。ポリマーは、接着層に接着強度を付与する。粘着付与剤は接着剤に粘着性を付与し、該粘着付与剤は、接着剤が硬化する間に結合すべき物品を固定する働きをし、かつ、系の粘度を減少させて、接着剤を支持体に適用しやすくする。粘着付与剤は、さらに、配合物のガラス転移温度を調節するのにも使用し得る。低分子量ポリマーは、開放/密閉時間を調節し、系の粘度を減少させる。ホットメルト接着剤は、一般に、充填剤として使用され、かつ/または系の粘度を減少させるために使用される油を、さらに含んでもよい。
【0105】
従来のポリマーに基づくホットメルト接着剤は、エチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)、アタクチックポリプロピレン(APP)、非晶質ポリオレフィン、低密度ポリエチレン(LDPE)、および均一線状エチレン/α−オレフィンコポリマーを含む。従来のホットメルト接着剤は、一般に、高レベルの粘着付与剤を使用して、系の粘度を、基質への容易適用を可能にするレベルに減少させる。
【0106】
感圧接着剤は、適用時において、室温で強力にかつ永久的に粘着性であり、軽い圧力を適用することによって、例えば、指で押さえることによって、種々の異なる表面に堅く付着する物質である。強力な粘着性にもかかわらず、感圧接着剤は、有意な残留物を残さずに平滑面から除去し得る。感圧接着剤は、下記のような日常用途に広く使用されている。マスキングテープ、透明事務用テープ、ラベル、ステッカー、絆創膏、装飾用および保護用シート(例えば、棚および引出しライナー)、フロアタイル、生理用ナプキン/失禁対策用装着ストリップ、日射調整フィルム、および車窓へのパッキンの接合物。
【0107】
歴史的に、感圧接着剤は、溶剤によって保持された天然ゴムおよびウッドロジンを基剤としている。そのような接着剤を有する物品は、好適な支持体に接着剤の溶液を適用し、揮発性物質除去法(devolatilizing process)によって溶剤を除去することによって製造されている。しかし、溶剤におけるコスト増加および排出に関する規制に対応して、水性接着剤および固形ホットメルト接着剤(HMA)が開発されている。
【0108】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されている超低分子量エチレンポリマーは、増量または改質組成物として使用し得る。超低分子量ポリマーは、エチレンホモポリマーとしてか、またはエチレンと、C3−C20α−オレフィン、非共役ジエンおよびシクロアルケンからなる群より選択されるコモノマーとのインターポリマーとして、使用されることが多い。
【0109】
超低分子量エチレンα−オレフィンコポリマーは、粘着付与剤(前記)として使用し得る。さらに、エチレンのモルパーセントが増加すると共に、インターポリマーの結晶化度も増加する。従って、超低分子量インターポリマーは、接着剤系の開放および密閉時間を調節するためのワックスとして有用である。
【0110】
本明細書に開示されている低分子量ポリマーは、潤滑剤を製造するために使用することもでき、または油添加剤として使用することもできる。コポリマーおよびターポリマーの両方を使用することができる。コポリマーの例は、エチレン−オクテンコポリマーであり;ターポリマーの例は、エチレン−プロピレン−オクテンターポリマーである。本発明の組成物は、燃料油組成物としても使用し得る。そのような組成物は、一般に、下記の物質を含む。(1)150℃〜400℃の沸点を有する中間分留燃料油、および(2)エチレンα−オレフィンコポリマーを含むエチレンα−オレフィンコポリマー型「燃料油流動性向上剤」であって、該コポリマーが、60〜90mol%の、エチレンから誘導された構成単位、および10〜40mol%の、3〜20個の炭素原子を有するα−オレフィンから誘導された構成単位を含み、135℃においてデカリン中で測定される固有粘度[η]0.01〜1.0 dl/gを有する、エチレンα−オレフィンコポリマー型「燃料油流動性向上剤」。
【0111】
触媒
先に開示したエチレンインターポリマーの製造用の触媒として有用な、好適な金属リガンド錯体は、金属中心に結合した2つのフェノール−複素環またはフェノール−トリアゾールリガンドを一般に有する錯体である。換言すれば、2:1のリガンド対金属比が存在する(そのような比率は厳密でなくてもよい)。そのような金属錯体は、下記の一般式(I)によって特徴付けられる。
【化1】
【0112】
この式において、X1およびX2はNであり、X3、X4およびX5は、独立に、NおよびCR15からなる群より選択され、R15は、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、シリル、ボリル、ホスフィノ、アミノ、チオ、セレノおよびそれらの組合せからなる群より選択され、但し、X3、X4およびX5の少なくとも1つ、かつ2つ未満がNであるものとする。任意に、X3およびX4は、一緒になって、水素原子を数えずに50個までの原子を有する縮合環系を形成してもよい。
【0113】
一般に、R1、R2、R3およびR4は、独立に、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、シリル、ボリル、ホスフィノ、アミノ、チオ、セレノ、ニトロおよびそれらの組合せからなる群より選択され;但し、R1は水素でなくてもよく、かつ任意に、2つまたはそれ以上のR1、R2、R3およびR4(例えば、R1およびR2、またはR2およびR3、またはR3およびR4)が一緒になって、水素原子を数えずに50個までの原子を有する縮合環系を形成してもよい。しかし、前記の式において、R2およびR4の両方が水素であるか、または前記のように、縮合環系において結合している。
【0114】
さらに、Mは、ジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり;L1およびL2は、独立に、ハライド、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ヒドロキシ、チオ、ボリル、シリル、アミノ、ヒドリド、アリル、セレノ、ホスフィノ、カルボキシレート、アミンおよびそれらの組合せからなる群より選択される。
【0115】
これらの触媒系の詳しい記載が、米国特許第6794514号および米国特許出願公開第2004/0214714号に見られ、それらは、それぞれ、参照により全体が本明細書に組み込まれる。米国特許出願公開第2004/0214717号および国際公開公報第WO2003/087177号も参照。
【0116】
下記のリガンドを本発明のための触媒系に使用し得る。
【化2】
【0117】
重合系
重合は、チーグラー・ナッタまたはカミンスキー・シン法において、−100℃〜300℃の温度、および大気圧〜3000気圧の圧力で行うことができる。本明細書に記載されている触媒および化合物を用いて、懸濁、溶液、スラリー、気相または高圧重合法を使用し得る。そのようなプロセスは、回分、半回分または連続方式で行うことができる。そのようなプロセスの例は、当分野において周知である。触媒の担体を使用してよく、該担体は、無機(例えば、アルミナ、マグネシウムクロライドまたはシリカ)または有機(例えば、ポリマーまたは架橋ポリマー)であってよい。担持触媒の調製法は、当分野において公知である。当業者に公知の、スラリー、懸濁、溶液および高圧法も、本発明の担持触媒を用いて使用し得る。
【0118】
溶液法は、特定の利益のために規定され、該溶液法は、90℃より高い温度、より正確には100℃より高い温度、さらに正確には110℃より高い温度、さらに正確には130℃より高い温度で行われる。重合に好適な溶媒は、非配位不活性液体である。その例は、下記の溶媒である。直鎖および分岐鎖炭化水素、例えば、イソブタン、ブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、Isopar−E(登録商標)およびそれらの混合物;環式および脂環式炭化水素、例えば、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタンおよびそれらの混合物;過ハロゲン化炭化水素、例えば、過弗素化C4−10アルカン、クロロベンゼン;ならびに、芳香族化合物およびアルキル置換芳香族化合物、例えば、ベンゼン、トルエン、メシチレンおよびキシレン。好適な溶媒は、モノマーまたはコモノマーとして作用し得る液体オレフィンも含み、該オレフィンは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、ブタジエン、シクロペンテン、1−ヘキセン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1,4−ヘキサジエン、1−オクテン、1−デセン、イソブチレン、ジビニルベンゼン、アリルベンゼンおよびビニルトルエン(単独の、または混合物における、全ての異性体を含む)を含む。前記溶媒の混合物も好適である。重合反応に有用な他の添加剤、例えば、掃去剤および捕捉剤も使用し得る。
【0119】
いくつかの実施形態において、コポリマーまたはインターポリマーの分子量が、重合反応器に存在する水素の量によって調節される。従って、超低分子量ポリマーが所望される場合、特に、本明細書に記載される実質的にランダムなポリマーのために、過剰量の水素が使用される。他の実施形態において、分子量調節剤として水素を使用することを必要とせずに、低分子量ポリマーのみが生成されるように特定の触媒が選択される。
【0120】
官能化(Functionalization)
本明細書に開示されているエチレンインターポリマーは、当業者に周知の一般的なグラフト、水素化、ニトレン挿入、エポキシ化または他の官能化反応によって改質し得る。好ましい官能化は、フリーラジカル機構を使用するグラフト反応である。
【0121】
種々のラジカルグラフト可能種を、個々に、または比較的短いグラフトとして、ポリマーに付加し得る。これらの種は、それぞれ少なくとも1個のヘテロ原子を含有する不飽和分子を含む。これらの種は、下記の化合物を含むが、それらに限定されない。無水マレイン酸、ジブチルマレエート、ジシクロヘキシルマレエート、ジイソブチルマレエート、ジオクタデシルマレエート、N−フェニルマレイミド、無水シトラコン酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ブロモマレイン酸、無水クロロマレイン酸、ナジックアンハイドライド(nadic anhydride)、メチルナジックアンハイドライド(metylnadic anhydride)、無水アルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、ジエチルフマレート、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、およびこれらの化合物の各エステル、イミド、塩およびディールス・アルダー付加生成物。これらの種は、シラン化合物も含む。
【0122】
シラン物質種のラジカルグラフト可能種は、個々に、または比較的短いグラフトとして、ポリマーに結合し得る。これらの種は、ビニルアルコキシシラン、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン等を含むが、それらに限定されない。一般に、この種の物質は、シリコンに結合された加水分解基、例えば、アルコキシ、アシルオキシまたはハライド基を含むが、それらに限定されない。この種の物質は、シリコンに結合された非加水分解基、例えば、アルキルおよびシロキシ基も含む。
【0123】
他のラジカルグラフト可能種は、個々に、または短いから長いグラフトとして、ポリマーに結合し得る。これらの種は、下記の化合物を含むが、それらに限定されない。メタクリル酸;アクリル酸;アクリル酸のディールス・アルダー付加生成物;メチル、エチル、ブチル、イソブチル、エチルヘキシル、ラウリル、ステアリル、ヒドロキシエチルおよびジメチルアミノエチルを含むメタクリレート;メチル、エチル、ブチル、イソブチル、エチルヘキシル、ラウリル、ステアリルおよびヒドロキシエチルを含むアクリレート;グリシジルメタクリレート;トリアルコキシシランメタクリレート、例えば、3−(メタクリロキシ)プロピルトリメトキシシランおよび3−(メタクリロキシ)プロピル−トリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン;アクリロニトリル;2−イソプロペニル−2−オキサゾリン;スチレン;α−メチルスチレン;ビニルトルエン;ジクロロスチレン;N−ビニルピロリジノン、ビニルアセテート、メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリロキシメチルトリアルコキシシランおよびビニルクロライド。好ましくは、メタクリル酸;アクリル酸;アクリル酸のディールス・アルダー付加生成物;メタクリレート;アクリレート;グリシジルメタクリレート;トリアルコキシシランメタクリレート;アクリロニトリル;2−イロプロペニル−2−オキサゾリン;スチレン;α−メチルスチレン;ビニルトルエン;ジクロロスチレン;N−ビニルピロリジノン、ビニルアセテート、メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリロキシメチルトリアルコキシシランおよびビニルクロライド。
【0124】
少なくとも1つの前記の種を含有するラジカルグラフト可能種の混合物を使用してもよく、スチレン/無水マレイン酸およびスチレン/アクリロニトリルがその例である。
【0125】
熱グラフト法は反応の1つ方法であるが、他のグラフト法、例えば、種々の形態の放射線、e−ビームまたはレドックスラジカル生成を含む光開始も使用し得る。
【0126】
本明細書に開示される官能化インターポリマーは、ペルオキシド、シラン、硫黄、放射線またはアジドに基づく硬化系を含むがそれらに限定されない種々の連鎖延長または架橋法によって改質してもよい。種々の架橋法の詳しい記載が、米国特許第5869591号および第5977271号に見られ、それらの両方は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0127】
硬化樹脂に関して、好適な硬化剤は、ペルオキシド、フェノール、アジド、アルデヒド−アミン反応生成物、置換尿素、置換グアニジン;置換キサンテート;置換ジチオカルバメート;硫黄含有化合物、例えば、チアゾール、イミダゾール、スルフェナミド、チウラミジスルフィド、パラキノンジオキシム、ジベンゾパラキノンジオキシム、硫黄;およびそれらの組合せを含み得る。元素硫黄は、ジエン含有ポリマー用の架橋剤として使用し得る。
【0128】
いくつかの系において、例えば、シラングラフト系において、架橋を架橋触媒によって促進してよく、この機能を付与する任意の触媒を本発明に使用できる。これらの触媒は、酸および塩基、特に、有機塩基、カルボン酸およびスルホン酸、および有機チタネート、有機ジルコネートを含む有機金属化合物、および鉛、コバルト、鉄、ニッケル、亜鉛および錫の錯体またはカルボキシレートを一般に含む。ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫マレエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、酢酸第一錫、オクタン酸第一錫、ナフテン酸鉛、カプリル酸亜鉛、ナフテン酸コバルト等は、好適な架橋触媒の例である。
【0129】
化学架橋剤を使用する代わりに、放射線の使用または電子ビームの使用によって架橋を行ってもよい。有用な放射線の種類は、紫外線(UV)または可視光線、β線、γ線、X線または中性子線を含む。放射線は、結合し架橋し得るポリマーラジカルを生成することによって架橋を行うと考えられる。
【0130】
熱、湿分硬化および放射線工程の組合せを使用する二重硬化系を、有効に使用し得る。二重硬化系は、米国特許第5911940号および6124370号に開示され、それらは、参照により全体が本明細書に組み込まれる。例えば、シラン架橋剤と組み合わせたペルオキシド架橋剤;放射線と組み合わせたペルオキシド架橋剤;シラン架橋剤と組み合わせた硫黄含有架橋剤を使用するのが望ましい。
【0131】
本明細書に開示されている低分子量ポリマーは、下記の方法を含むがそれに限定されない種々の他の架橋法によって改質してもよい。それらの調製における、ターモノマーとしてのジエン成分の組込み、次に、前記の方法および他の方法(例えば硫黄を、架橋剤として使用する、ビニル基を介した加硫を含む)による架橋。
【0132】
官能化は、末端不飽和基(例えば、ビニル基)または内部不飽和基において行ってもよい(そのような基がポリマーに存在する場合)。そのような官能化は、水素化、ハロゲン化(例えば塩素化)、オゾン化、ヒドロキシル化、スルホン化、カルボキシル化、エポキシ化およびグラフト反応を含むが、それらに限定されない。任意の官能基、例えば、ハロゲン、アミン、アミド、エステル、カルボン酸、エーテル、シラン、シロキサン等、または官能性不飽和化合物、例えば無水マレイン酸を、公知の化学によって末端または内部不飽和に付加できる。他の官能化法は、下記に開示されている方法を含む。米国特許第5849828号、発明の名称「Metalation and Functionalization of Polymers and Copolymers」;第5814708号、発明の名称「Process for Oxidative Functionalization of Polymers Containing Alkylstyrene」;および第5717039号、発明の名称「Functionalization of Polymers Based on Koch Chemistry and Derivatives Thereof」。これらの特許はそれぞれ、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0133】
本明細書に開示されているポリマーを、元素塩素を含む種々の試薬のいずれかで塩素化し、次に、塩素化生成物を種々のアミンのいずれか、例えばエチレンジアミンと反応させて、燃料およびモーター油組成物に有用なアミノ化生成物を得てもよい。例えば、それらの開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3960515号、第4832702号、第4234235号;およびWO92/14806を参照。スルホン化は、下記に開示されている方法によって行うことができる。米国特許第5753774号、発明の名称「Functional Group Terminated Polymers Containing Sulfonate Group Via Sulfonation of Ethylenically Unsaturated Polymers」;第5723550号、発明の名称「Bulk Sulfonation of EPDM Rubber」;第5596128号、発明の名称「Sulfonating Agent and Sulfonation Process」;第5030399号、発明の名称「Method of In-Mold Sulfonation of Molded Plastic Article」;第4532302号、発明の名称「Process for the Sulfonation of an Elastomeric Polymer」;第4308215号、発明の名称「Sulfonation Process」;第4184988号、発明の名称「Process for the Sulfonation of an Elastomeric Polymer」;第4157432号、発明の名称「Bulk Sulfonation Process」;第4148821号、発明の名称「Process for Sulfonation」;それらは全て、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0134】
本発明のいくつかの実施形態に従って、好ましくはフリーラジカル開始剤の存在下に、不飽和を有するポリマーを、カルボン酸生成部分(好ましくは酸または無水物部分)によって、ポリマー鎖上の炭素−炭素不飽和部位において選択的に官能化して、カルボン酸生成部分、即ち、酸または無水物または酸エステル成分を、ポリマー鎖にランダムに結合させる。
【0135】
1つの実施形態において、この選択的官能化は、不飽和α−オレフィンポリマーを、高温においてハロゲン化する、例えば塩素または臭素で塩素化または臭素化することよって、行うことができる。ハロゲン化は、一般に、出発α−オレフィンポリマーと一不飽和官能化反応物との反応性を増加するのを助ける。次に、官能性部分をポリマーに付加することができる充分な一不飽和反応物、例えば一不飽和カルボン酸反応物と、ハロゲン化ポリマーとを高温で反応させ、それによって、得られる生成物は、1モルのハロゲン化ポリマーにつき所望のモル数の一不飽和カルボン酸反応物を含有する。この一般的なプロセスは、米国特許第3087436号、第3172892号、第3272746号に開示され、それらは、それぞれ参照により、全体が本明細書に組み込まれる。
【0136】
そのような一不飽和カルボン酸反応物の例は、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、クロロマレイン酸、無水クロロマレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、および前記の低級アルキル(例えばC1〜C4アルキル)酸エステル、例えば、メチルマレエート、エチルフマレートおよびメチルフマレートである。ポリマーとの反応の際に、一不飽和カルボン酸反応物の一不飽和が飽和される。従って、例えば、無水マレイン酸は、ポリマー置換無水コハク酸になり、アクリル酸はポリマー置換プロピオン酸になる。
【0137】
他の実施形態において、不飽和エチレンインターポリマーは、カルボン酸、カルボン酸エステルまたはチオールエステル官能基を用いて、コッホ(Koch)反応によって、ポリマー鎖中のオレフィン的不飽和結合部位において選択的に官能化し得る。コッホ法は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1つのポリマーを含むポリマー組成物を、コッホ触媒に接触させることを含む。触媒は、好ましくは、従来のブレンステッド酸またはルイス酸触媒である。コッホ反応は、該炭素−炭素二重結合部位においてカルベニウムイオンを形成するのに充分な方法および条件で行われる。カルベニウムイオンを一酸化炭素と反応させて、アシリウムカチオンを形成し、次に、これを水および少なくとも1つのヒドロキシルまたは1つのチオール基含有化合物からなる群より選択される少なくとも1つの求核トラッピング剤と反応させて、官能基、例えば、カルボニル官能基、例えば、カルボニルまたはチオールカルボニル基含有化合物ならびにそれらの誘導体を形成する。コッホ反応によって不飽和ポリマーを官能化するプロセスは、米国特許第5629434号、発明の名称「Functionalization of Polymers Based on Koch Chemistry and Derivatives Thereof」にさらに詳しく開示され、本開示は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0138】
他の実施形態において、不飽和エチレンインターポリマーは、カルボン酸またはエステル部分を用いて、プロトン酸および下記の物質を含む触媒系の存在下に、出発ポリマーを一酸化炭素およびアルコールと反応させることによって、官能化し得る。(a)少なくとも1つの、元素または化合物形態の金属パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウムおよびコバルト、ならびに(b)銅化合物。この種のプロセスは、例えば、公開EP出願第148592号に開示され、本開示は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0139】
さらに他の実施形態において、官能基を、フリーデル・クラフツ反応または他の求電子置換反応によって、インターポリマーに直接的に付加し得る。そのような官能基は、例えば、下記の官能基である。非置換または置換アルキルカルボニル、アリールカルボニルおよびアラルキル基;カルボン酸またはスルホン酸基、またはカルボン酸またはスルホン酸基で置換されたアルキル基;ハロゲン、および後にNH2に変換できるNO2。好ましくは、そのような基は、アシル、例えば、置換または非置換フェニルカルボニル、カルボキシアルキルカルボニル、および置換または非置換カルボキシベンジルを含む。特に好ましい基は、下記の基を含む。−C(O)Me(これは、例えば−CO2Hに、さらに官能化できる);−C(O)−pC6H4−Me(これは、例えば−CH(OH)−pC6H4−Meに、さらに官能化できる);−CH(R5)CH2CH2CO2H;−CH(R5)CH2CH2SO3H;および−CH(R5)−pC6H4−CO2H(ここで、R5は、独立に、水素またはアルキル基から選択される);および−C(O)CH2CH2CO2H。酸基を含有する官能基は、中和によって、イオノマー塩、例えば、亜鉛イオノマーに変換できる。前記の実質的にランダムなポリマーに好都合に有用であることが見出された求電子置換反応は、G.A. Olah, Friedel-Crafts and Related Reactions, Vol.II, Part 2, J. Wiley & Sons, N.Y., 1964に記載のように行い得る。
【0140】
シラン官能化エチレンインターポリマー
1つの実施形態において、本発明は、少なくとも1つのシラン化合物でグラフトされたエチレンインターポリマーを提供する。グラフトシランオレフィンインターポリマーは、少量の加水分解生成物および/または他の誘導体を含有してもよく、しなくてもよい。
【0141】
好適なシランは、一般式(I)のシランであるがそれらに限定されない。
CH2=CR−(COO)x(CnH2n)ySiR’3 (I)
【0142】
この式において、Rは、水素原子またはメチル基であり;xおよびyは、0または1であり、但し、xが1のとき、yは1であり;nは、1〜12(1と12を含む)、好ましくは1〜4の整数であり;各R’は、独立に、下記の基を含むがそれらに限定されない有機基である。1〜12個の炭素原子を有するアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ)、アラルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ)、脂肪族または芳香族シロキシ基、芳香族アシルオキシル基、1〜12個の炭素原子を有する脂肪族アシルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、プロパノイルオキシ)、アミノまたは置換アミノ基(アルキルアミノ、アリールアミノ)、または1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル基。
【0143】
1つの実施形態において、シラン化合物は、ビニルトリアルコキシシラン、ビニルトリアシルオキシシランまたはビニルトリクロロシランから選択される。さらに、エチレンインターポリマーを有効にグラフトし、かつ/または架橋する任意のシランまたはシランの混合物を、本発明の実施において使用することができる。好適なシランは、エチレン的不飽和ヒドロカルビル基、例えば、ビニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、シクロヘキセニルまたはγ−(メタ)アクリルオキシアリル基、および加水分解基、例えば、ヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルボニルオキシまたはヒドロカルビルアミノ基、またはハライドの両方を含む不飽和シランを含む。加水分解基の例は、メトキシ、エトキシ、ホルミルオキシ、アセトキシ、プロピオニルオキシ、クロロ、およびアルキルまたはアリールアミノ基である。好ましいシランは、ポリマーにグラフトできる不飽和アルコキシシランである。これらのシランおよびそれらの調製法は、Meverdenらの米国特許第5266627号にさらに詳しく記載され、本特許は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。好ましいシランは、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(γ−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン)、およびそれらの混合物である。
【0144】
シランは、一般にフリーラジカル開始剤、例えばペルオキシドおよびアゾ化合物等の存在下に、任意の常套法によって、または電離放射線によって、ポリマーにグラフトすることができる。有機開始剤、例えば、いずれか1つのペルオキシド開始剤、例えば、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルベンゾエート、ベンゾイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオクトエート、メチルエチルケトンペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ラウリルペルオキシド、およびt−ブチルペルアセテートが好ましい。好適なアゾ化合物は、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)である。
【0145】
使用される開始剤およびシランの量は、シラングラフトポリマーの最終構造、例えば、グラフトポリマーにおけるグラフトの程度および硬化ポリマーにおける架橋の程度に影響を与える。次に、得られた構造が、最終生成物の物理的および機械的特性に影響を与える。一般に、使用される開始剤およびシランの量は、ポリマーにおいて所望レベルの架橋およびその結果としての特性を付与するために決定される量を超えない。
【0146】
グラフト反応は、ポリマー主鎖へのグラフトを最大にし、副反応、例えば、ポリマーにグラフトされていないグラフト剤の単独重合を最少にする条件下で行うべきである。いくつかのシラン剤は、分子構造における立体的特徴、低反応性および/または他の理由により、最小限の単独重合を受けるかまたは全く受けない。
【0147】
シラン化グラフトの硬化(架橋)は架橋触媒を用いて促進され、特定のグラフトシランの架橋を有効に促進する任意の触媒を使用することができる。これらの触媒は、一般に、酸および塩基、ならびに有機金属化合物を含み、該有機金属化合物は、有機チタネート、有機ジルコネート、ならびに鉛、コバルト、鉄、ニッケル、亜鉛および錫の錯体およびカルボキシレートを含む。
【0148】
ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫マレエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、酢酸第一錫、オクタン酸第一錫、ナフテン酸鉛、カプリル酸亜鉛、ナフテン酸コバルト等を使用することができる。触媒の量は、対象の特定の系に依存する。
【0149】
本発明の特定の実施形態において、放射線、熱、湿分および架橋工程の組合せを使用する二重架橋系を有効に使用し得る。例えば、シラン架橋剤と組み合わせたペルオキシド架橋剤、放射線と組み合わせたペルオキシド架橋剤、またはシラン架橋剤と組み合わせた硫黄含有架橋剤を使用することが望ましい場合もある。二重架橋系は、米国特許第5911940号および第6124370号に開示され、かつ主張され、それら両特許の全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0150】
無水マレイン酸官能化オレフィンインターポリマー
他の実施形態において、本発明は、無水マレイン酸でグラフトされたエチレンインターポリマーを提供する。グラフト無水マレイン酸オレフィンインターポリマーは、少量の加水分解生成物および/または他の誘導体を含有する場合もあり、含有しない場合もある。
【0151】
無水マレイン酸、ならびに他の多くの不飽和へテロ原子含有種は、一般にラジカル開始剤、例えばペルオキシドおよびアゾ種の化合物等の存在下に、任意の常套法によって、または電離放射線によって、ポリマーにグラフトし得る。有機開始剤、例えばいずれか1つのペルオキシド開始剤、例えば、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルベンゾエート、ベンゾイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオクトエート、メチルエチルケトンペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、ラウリルペルオキシド、およびt−ブチルペルアセテートが好ましい。好適なアゾ化合物は、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)である。有機開始剤は、種々の温度において変化する反応性を有し、種々のタイプのグラフト用フリーラジカルを生成し得る。当業者は、グラフト条件に必要とされる適切な有機開始剤を選択し得る。
【0152】
グラフト工程に使用される開始剤の量および種類、無水マレイン酸の量、ならびに温度、時間、剪断応力、環境、添加剤、希釈剤等を含む反応条件は、マレイン酸化ポリマーの最終構造に影響を与え得る。例えば、グラフトポリマーにグラフトされる無水マレイン酸/無水コハク酸、それらのオリゴマー、および加水分解生成物を含むそれらの誘導体の程度は、前記の考慮事項によって影響を受け得る。さらに、分岐の程度およびタイプ、ならびに架橋の量も、反応条件および濃度によって影響を受け得る。一般に、マレイン酸化プロセスの間の架橋が最小限にされるのが好ましい。基剤オレフィンインターポリマーの組成も、マレイン酸化ポリマーの最終構造において役割を担っている。次に、得られた構造が、最終生成物の特性および用途に影響を与える。一般に、使用される開始剤および無水マレイン酸の量は、所望レベルのマレイン酸化および所望のメルトフロー(それぞれ、官能化ポリマーおよび後のその使用に必要とされる)を与えるために決定される量を超えない。
【0153】
グラフト反応は、ポリマー主鎖へのグラフトを最大にし、副反応、例えば、オレフィンインターポリマーにグラフトされていないグラフト剤の単独重合を最少にする条件下で行うべきである。いくらかの部分の無水マレイン酸(および/またはその誘導体)がオレフィンインターポリマーにグラフトしていないことは異例ではなく、未反応グラフト剤が最小限にされることが一般に望ましい。グラフト反応は、メルト、溶液、固体状態、膨潤状態等において行ってよい。マレイン酸化は、種々の装置で行ってよく、該装置は、例えば、二軸スクリュー押出機、一軸スクリュー押出機、ブラベンダー、回分反応器などであるが、それらに限定されない。
【0154】
本発明の他の実施形態は、他のカルボニル含有化合物でグラフトされたオレフィンインターポリマーを提供する。そのような化合物は、ジブチルマレエート、ジシクロヘキシルマレエート、ジイソブチルマレエート、ジオクタデシルマレエート、N−フェニルマレイミド、無水シトラコン酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ブロモマレイン酸、無水クロロマレイン酸、ナジックアンハイドライド、メチルナジックアンハイドライド、無水アルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、ジエチルフマレート、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、ならびにそれらのエステル、それらのイミド、それらの塩、およびそれらのディールス・アルダー付加生成物を含むが、それらに限定されない。
【0155】
定義
本明細書に記載されている任意の数値範囲は、1単位の増加分における下方値〜上方値の全ての数値を含み、但し、任意の下方値と任意の上方値との間に少なくとも2単位の差があるものとする。例として、組成的、物理的または機械的特性、例えば、分子量、粘度、メルトインデックス等が100〜1,000であると記載されている場合、全ての個々の数値、例えば、100、101、102等、および部分範囲、例えば、100〜144、155〜170、197〜200等は、本明細書に明確に示されているものとする。1より小さい数値を含有するか、または1より大きい小数(例えば、1.1、1.5等)を含有する範囲の場合、1単位は、適宜0.0001、0.001、0.01または0.1であると考えられる。10未満の1桁の数を含有する範囲(例えば、1〜5)の場合、1単位は、一般に0.1であると考えられる。これらは、特に意図される例にすぎず、最小値と最大値との間の数値のあらゆる可能な組合せが、本出願において明確に記載されていると考えるべきである。溶融粘度、数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布、種々の温度(Tm、Tc)、結晶化度パーセント、%コモノマー、Rv値、コモノマー中の炭素原子の数、密度および他の特性に関して、数値範囲がほん明細書に記載のように示されている。
【0156】
本明細書において使用される「組成物」という用語は、組成物を含む材料の混合物、ならびに組成物の材料から形成された反応生成物および分解生成物を含む。
【0157】
本明細書において使用される「ブレンド」または「ポリマーブレンド」という用語は、2つまたはそれ以上のポリマーのブレンドまたは混合物を意味する。そのようなブレンドは、混和性(分子レベルにおいて相分離しない)であってもよく、そうでなくてもよい。
そのようなブレンドは、相分離してもよく、しなくてもよい。そのようなブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、および当分野で公知の他の方法によって測定される1つまたはそれ以上のドメイン配置を含有してもよく、しなくてもよい。
【0158】
本明細書において使用される「ポリマー」という用語は、同じかまたは異なる種類のモノマーを重合することによって調製される高分子化合物を意味する。従って、総称語のポリマーは、ただ1種類のモノマーから調製されたポリマーを意味するために一般に使用されるホモポリマーという用語、および以下に定義されるインターポリマーという用語を含む。
【0159】
本明細書において使用される「インターポリマー」という用語は、少なくとも2種類のモノマーの重合によって調製されたポリマーを意味する。従って、総称語のインターポリマーは、2種類のモノマーから調製されたポリマーを意味するために一般に使用されるコポリマー、および3種類以上のモノマーから調製されたポリマーを含む。
【0160】
本明細書において使用される「エチレンインターポリマー」、「エチレン/α−オレフィンインターポリマー」および関連用語は、50mol%またはそれ以上の重合エチレンモノマーを含有するエチレン系インターポリマーを意味する。
【0161】
本明細書において使用される「低分子量エチレンインターポリマー」および「高分子量エチレンインターポリマー」は、2つの異なるインターポリマーを意味し、「高分子量エチレンインターポリマー」の重量平均分子量は、「低分子量エチレンインターポリマー」の重量平均分子量の、少なくとも2倍、好ましくは少なくとも5倍、より好ましくは少なくとも10倍である。重量平均分子量は、当分野において公知の従来法、例えば、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定することができる。「低分子量エチレンインターポリマー」および「高分子量エチレンインターポリマー」は、GPCによって識別することができる。
【0162】
本明細書において使用される「官能化エチレンインターポリマー」および関連用語は、基剤ポリマーと、1つまたはそれ以上の化合物との反応生成物を意味する。反応は、ラジカル開始剤、アニオン開始剤、カチオン開始剤、放射線、熱的手段および他の反応開始手段によって開始し得る。反応生成物は、フリーラジカル、アニオンおよびカチオン機構によって生成されたグラフトポリマー、およびニトレン挿入反応によって得られた生成物を含むが、それらに限定されない。
【0163】
本明細書において使用される「シラングラフト」という用語は、高分子構造の主鎖における、1つまたはそれ以上のシラン剤から誘導されたシラン含有部分の化学結合を意味する。そのような部分は、高分子構造内に結合させる(側基として)か、または高分子構造の末端に結合させてよく、1つまたはそれ以上のシラン部分を、主鎖の特定の位置において結合させてよい。さらに、この用語は、グラフトポリマーの任意の有意な程度の架橋前に、架橋反応によって2つまたはそれ以上のポリマー鎖を連結する少量のシラン成分も含む。
【0164】
試験法
NMR分析前のポリマー再沈殿のためのNMR一般手順
下記の実験セクションの試料に存在し得る添加剤、触媒残渣および他の不純物からの干渉を最小限にするために、ポリマーを1H NMR分析前に再沈殿させた。不活性雰囲気下に、0.5〜1gのポリマーを熱いISOPAR Eに溶解させた。熱い溶液を600mLのメタノールに攪拌しながら注ぐことによって、ポリマーを再沈殿させた。ポリマーを濾過によって収集し、メタノールのアリコートで洗浄し、次に、ジクロロメタン中で2時間抽出した。抽出ポリマーを濾過によって収集し、真空オーブンで40℃において一晩乾燥させた。
【0165】
エチレン−オクテンコポリマー中の不飽和を定量し同定するために使用される1H NMR法の一般手順
ポリエチレン主鎖からの大プロトン信号を除去するために、ピーク抑制法を用いて、1H NMR分光法の感度を高めた。これは、約1時間データ収集時間において、百万分率範囲における検出限界を可能にする。これは、一部では、−CH2−プロトンからの信号の100,000倍減少によって達成でき、次にこれは、より高い信号利得値を使用してデータを収集することを可能にした。その結果、不飽和末端基を迅速かつ正確に定量することができる。
【0166】
この触媒を用いて生じた高レベルの末端ビニル不飽和を、(ビニル基)対(全ての末端不飽和の合計)の比率Rvとして定量し、これは以下のように定義され、
【数1】
式中、[ビニル]は、分離ポリマー中のビニル基の濃度(ビニル/1000炭素原子)であり、[ビニリデン]、[シス]および[トランス]は、それぞれ、分離ポリマー中のビニリデン、シスおよびトランスビニレン基の濃度(1000炭素原子当たりの量)である。
【0167】
試料は、約0.100gのポリマーを、10mm NMR管中の2.5mLの溶媒に添加することによって調製した。使用した溶媒は、1,1,2,2−テトラクロロ−エタン−d2およびペルクロロエチレンの50/50混合物であった。管およびその内容物を130℃で加熱し渦を巻かせることによって、試料を溶解させ、均質化した。Varian Unity Plus 400MHz NMR分光計を使用して、NMRデータを収集した。Presat実験に使用した収集パラメータは、パルス幅30μs、200過渡(transients)/データファイル、1.6秒収集時間、スペクトル幅10,000Hz、32Kデータ点のファイルサイズ、温度設定値110℃、D1遅延時間4.40秒、Satdly 4.0秒、およびSatpwr 16を含む。
【0168】
溶媒/非溶媒試料のコモノマー含有量に関する13C NMR
クロミウムアセチルアセトネート(緩和剤(relaxation agent))中0.025Mを含有した3gのテトラクロロエタン−d2/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物を、10mm NMR管中の0.4gの試料に添加することによって、試料を調製した。管およびその内容物を150℃に加熱することによって、試料を溶解させ、均質化した。100.6MHzの13C共鳴周波数に対応するVarian Unity Plus 400MHz NMR分光計を使用して、データを収集した。緩和剤の存在下の定量的13Cデータ収集を確実にするように、収集パラメータを選択した。ゲーテッド1Hデカップリング、4000過渡/データファイル、6秒パルス繰返し遅延、スペクトル幅24,200Hzおよびファイルサイズ 64Kデータ点を使用して、130℃に加熱したプローブヘッドを用いてデータを収集した。
【0169】
ゲル透過クロマトグラフィー
クラマトグラフィーシステムは、Polymer Laboratories Model PL−210またはPolymer Laboratories Model PL−220からなっていた。カラムおよび回転式区画(carousel compartments)を140℃で操作した。1,2,4−トリクロロベンゼンの溶媒を用いて、3つPolymer Laboratories 10ミクロン Mixed−Bカラムを使用した。試料を、50mLの溶媒中0.1gのポリマーの濃度で調製した。試料を調製するために使用した溶媒は、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有した。試料を、160℃で2時間にわたって軽く攪拌することによって調製した。注入量は100μLであり、流量は1.0mL/分であった。GPCカラムセットの校正は、Polymer Laboratoriesから購入した狭い分子量分布のポリスチレン標準を用いて行った。下記の等式を用いて、ポリスチレン標準ピーク分子量を、ポリエチレン分子量に変換した。
Mポリエチレン=A(Mポリスチレン)B (1)
(式中、Mは分子量であり、Aは0.4316の数値を有し、Bは1.0に等しい)。
ポリエチレン当量(equivalent)分子量計算は、Viscotek TriSECソフトウエア バージョン3.0を用いて行った。
【0170】
GPC解析手順
GPC解析アルゴリズムは、ポリマー試料を、2つの最も確度が高い分子量分布(および調整可能誤差項)に適合させた。基礎をなす分布における変動を説明するために、基底関数(basis functions)を調整して、各成分の基底関数が分子量軸に沿って変化する程度に、変化し得るようにする正規分布項を組み込んだ。その利点は、限界において(in the limit)、基底関数が、簡単な、最も確度が高い、フローリー分布になることである。
【0171】
3成分(j=1,2,3)を導き(derived)、第三成分(j=3)は調整可能誤差項である。GPCの分子量分布を、重量画分(weight fraction)対Log10分子量ベクトルに正規化した。従って、解析のための各ポテンシャル曲線は、高さベクトルhiからなるべきであり、その高さは、公知の間隔のLog10分子量において記録され、hiは、溶離容量ドメイン(elution volume domain)からLog10分子量ドメインに正確に変換され、hiは正規化される。各成分jは、最も確度が高いフローリー分布からなり、これは、パラメータσjを使用して正規またはガウス広がり関数(Gaussian spreading function)でコンボリュートされている(convoluted)。得られた3つの基底関数を、カイ二乗、X2、最小化ルーチンに使用して、hiにおけるn点に最も適合するパラメータを特定し、GPCデータベルトルは以下の通りであり、
【数2】
式中、CumNDj,kは、下記の点(x)における正規累積分布関数であり、
x=μj+(k−10)*σj/3
変数は表1に記載されている。
【0172】
【表1】
【0173】
カイ二乗最小化から導かれる8つのパラメータは、μ1、μ2、μ3、σ1、σ2、σ3、w1およびw2である。次に、3成分の合計は1に等しくなければならないので、項w3(誤差画分)がw1およびw2から導き出される。エクセルアプリケーション、Solverを最小化手順に使用し、表2に示すように、適正な最小化を確実にするために制約が加えられる。
【0174】
【表2】
【0175】
理解される他の制約は、μj>0のみが許容されるという制限を含む。さらに、wjは全て正であるべきことが理解される。この制約は、solver以外で処理することができる。wjが区間0.0<P1<P2<1.0に沿った2点の選択から生じると理解される場合、それによりw1=P1、w2=P2−P1およびw3=1.0−P2であり;従って、P1およびP2を限定することは、wjに関して先に必要とされた制約に相当する。フィット(fit)のための最適曲率マトリックス(curvature matrix)を得るために、表3に示すように、Solverにおいて以下のオプションを設定した。
【0176】
【表3】
【0177】
μ1、μ2、w1およびw2の数値の第一推定値は、観測GPC分布に関する観測重量平均、数平均およびz−平均分子量を与える2つの理想フローリー成分を想定することによって、得られる。次に、小誤差項w3を与えるためにμ1、μ2、w1およびw2を求め、最小化工程のためにSolverに入力する前に予め与えた制約を満たす。σjの初期値は、全て0.05に設定される。
【0178】
ブルックフィールド粘度
ブルックフィールド粘度は、サーモセル(Thermosel)および使い捨てアルミニウム試料室を取り付けたブルックフィールドLVDVII+において、ASTM D 3236−04に従って測定した。スピンドルは、一般に、30〜100,000センチポアズの範囲の粘度を測定するのに好適なSC−31ホットメルトスピンドルであった。切刃を使用して、1インチ幅、5インチ長さの試料室に適合するのに充分に小さい片に試料をカットした。試料を室に入れ、次に、室をブルックフィールドサーモセルに挿入し、曲り先細プライヤーで所定の位置に固定した。試料室は、ブルックフィールドサーモセルの底に嵌合する底にノッチを有して、スピンドルが挿入され回転する際に、室が回転しないようにした。試料を所望の温度に加熱し、追加の試料を、溶融試料が試料室の最上部より約1インチ未満になるまで、添加した。粘度測定装置を降下させ、スピンドルを試料室に沈めた。粘度計のブラケットがサーモセルに整列するまで、降下を継続した。粘度計を作動させ、30〜60%の範囲においてトルク読み取りに至らせる剪断速度に設定した。読み取りは、約15分間にわたって、または数値が安定化するまで(その際に、最終読み取りを記録した)、毎分行った。
【0179】
示差走査熱量測定
示差走査熱量測定(DSC)データを、TA Q1000熱量計で収集した。5〜8mgの試料片を、安全かみそりの刃で大きい試料片からカットし、分析用の皿に直接的に入れた。これは、薄膜が、通常、プレスされる高分子量試料と対照的である。これらの試料がプレスの間に粘着性であるかまたはあまりに容易に流動する傾向があるので、プレスは行われなかった(しかし、密度試験に使用されるので、プラークは形成することができる)。試料を180℃に加熱し、3分間にわたって定温に維持して、完全な溶融を確実にした(第一加熱)。次に、試料を10℃/分で−60℃に冷却し、3分間にわたって定温に維持した。次に、試料を10℃/分で150℃に加熱した(第二加熱)。第二加熱曲線および冷却曲線をこの操作において記録する。
【0180】
Perkin−Elmer DSC 7を使用して、示差走査熱量測定によって、結晶化度パーセントを求める。結晶化度パーセントは、下記の方程式で算出でき、
%Cryst.=(A/292 J/g)×100
式中、「%Cryst.」は結晶化度パーセントを表し、Aは、DSCプロフィールから求められるエチレン系ポリマーの融解熱(ジュール/グラム(J/g))を表す。
【0181】
レオロジー
動的および細管レオロジーの両方を、選択試料において行った。動的実験は、Rheometrics RMS−800において、125℃で、50mm平行板において、周波数範囲0.1〜100ラド/秒にわたって、5ポイント/デケード、窒素パージ中で行った。毛管実験は、125℃で、Gottfert Rheograph 2003において行った。フラット入射角(flat entry angle)を有する0.5mm直径、30長さ/直径の細管を有する200バール圧力変換器を、剪断速度>100s-1で使用した。
【0182】
溶媒/非溶媒分別
4つの試料の異なる分子量画分を、PolymerChar(バレンシア、スペイン)によって製造されている市販の分取CRYSTAFユニットにおける溶媒/非溶媒分別によって分離した。分別を、恒温条件における、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGMBE)(非溶媒)とo−キシレン(溶媒)との混合物の継続的添加によって行った。キシレンは1wt% BHTを添加剤として含有し、DEGMBEは添加剤を含有しなかった。特定の溶媒組成および温度において、ポリマーはゾルゲル状態であり、可溶相に残留するポリマーの分子量を、所与の溶媒/非溶媒組成におけるポリマー溶解度によって求める。
【0183】
分取CRYSTAF法において、次に、可溶性ポリマーを濾過し、窒素圧力によって、溶液を加熱トランスファーラインを通って収集ガラス瓶に移すことによって収集する。次に、後続の分子量画分を、溶媒量を増加させることによって(より少ない非溶媒の量)収集し、より高い分子量のポリマーを可溶化する。これらの分別実験において、2つの画分を収集した。一方は、85%vol/vol DEGMBE/o−キシレンであり、他方は、100%キシレンであった。各画分についての総容量は200mLであった。
【0184】
一般に、1gの全ポリマーを、130℃における溶媒豊富条件(3.88g/4Lのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する100% o−キシレン)において溶解させることによって手順を実施した。2時間の溶解時間、次に、15分間の120℃での安定化の後に、溶液を30℃に冷却して、溶液からポリマーを沈殿させ結晶化した。この30℃における付加的沈殿工程は、物質が第一非溶媒/溶媒組成物から可溶化状態のまま残らないようにするために、初回のためにだけに行われた。次に、第一分子量画分(最も低い)を、必要量のDEGMBE(この場合、容量の85%)の添加によって沈殿させ、次に、15分間にわたって安定化させ、次に、溶液を124℃に加熱した。一旦、124℃になれば、溶液を120℃に冷却し、ゲル−ゾル組成物を安定化させる。次に、物質の可溶性部分を、加熱ラインを通ってガラス容器に移し収集した。沈殿物質(より高い分子量の画分)をその容器に保持した。次に、この残留画分を、前記と同様の工程によって100%キシレンで溶解させた。収集されたこの最後の画分はo−キシレン溶媒に完全に可溶性であり、収集された最も高い分子量の画分である。
【0185】
FTIR(組み込まれたシランレベル)
官能化ポリマーに存在するグラフトビニルトリエトキシシラン(VTES)のパーセントを、1105cm-1(Si−O)および2023cm-1(内部厚さ)におけるFTIR吸光度に基づいて求めた。1105/2023ピーク高さの比率を、中性子放射化によって測定されたシランの公知濃度に対してプロットした。7〜10ミルの厚さの試料フィルムを、液圧プレスにおいて、低(接触)圧において75℃で2分間および高圧(20,000psi)で1分間加熱することによって調製した。試料を取り出し、室温に冷却した。次に、フィルムをフィルムホルダーに入れ、真空オーブンに50℃で1時間入れた。オーブン老化の後に、試料を室温で24時間維持し、次に、スペクトルを収集した。スペクトルは、オーブン中に1時間の時点(この初期オーブン老化は、一般に、95%の非グラフトシランを除去する)、および室温で24時間維持した後に、収集した。次に、1105cm-1ピーク高さ対2019cm-1ピーク高さの比率を用いて、%VTESを算出した。
【数3】
【0186】
この相関関係は、%ビニルトリエトキシシランを求めるためのFTIRおよび中性子放射化データの使用に基づいていた。
【0187】
密度は、ASTM D−792−00に従って測定される。測定を行う前に、成形試料を23℃(±2℃)および50%相対湿度(±5%)において1時間にわたって調節した。
【0188】
実験
一般:全ての有機金属反応および重合を、真空雰囲気グローブボックス中の精製アルゴンまたは窒素雰囲気下、および真空オーブン中150℃で一晩にわたって事前に乾燥させたガラス器中で行った。全ての溶媒は、無水であり、公知の方法によって脱酸素し精製した。全てのリガンドおよび金属先駆物質を、当業者に公知の手順(例えば、不活性雰囲気条件下など)によって調製した。
【0189】
I.半回分反応器エチレン/1−オクテン共重合法(ガロン溶液)
A.材料および反応
特に指定しなければ、全ての試薬は、嫌気条件下で取り扱われた。溶媒は、Fisher Scientificから無水溶媒として得た。それらを、乾燥窒素でスパージし、乾燥アルミナカラムに接触させた。
【0190】
B.触媒系
触媒系は、ジルコニウムビスフェノキシトリアゾール(ビス[2,4−ジ−t−ブチル−6−(5−クロロ−2H−ベンゾ−トリアゾル−2−イル)フェノキシ]ビス−(ジメチルアミノ)ジルコニウム)(CAT 51とも表記される)、トリイソブチルアルミニウム(TiBAl)およびアーミーニウム(Armeenium)ボレートを含有した。
【化3】
【0191】
C.ビス[2,4−ジ−t−ブチル−6−(5−クロロ−2H−ベンゾ−トリアゾル−2−イル)フェノキシ]ビス−(ジメチルアミノ)ジルコニウム(CAT 51)の調製
ドライボックスにおいて、2,4−ジ−t−ブチル−6−(5−クロロ−2H−ベンゾ−トリアゾル−2−イル)フェノール(25g、70.11mmol)を、1Lの丸底フラスコに入れ、ペンタン(150mL)に溶解させて、溶液を形成した。ペンタン(150mL)中のテトラキス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(9.38g、35.05mmol)を、この溶液に添加した。混合物を1時間攪拌し、次に、揮発性物質を真空除去して、黄色固形物を得た。黄色固形物をさらに精製せずに使用した(収率、91%)。
【0192】
D.半回分反応器エチレン/1−オクテン重合(ガロン反応器)−典型的手順
1ガロンの攪拌反応器に、1440gのISPAR−Eおよび127gの1−オクテンを装入した。約450psigの全反応器圧力において、混合物を130℃に加熱し、エチレンで飽和させた。触媒溶液は、ドライボックス中で、触媒先駆物質、アーミーニウムボレートおよびトリイソブチルアルミニウムの溶液を合わせて、3μmolのZr、3.6μmolのアーミーニウムボレートおよび150μmolのAlとすることによって調製した。次に、触媒溶液を注入器で触媒添加ループに移し、高圧溶媒の流れを使用して反応器に注入した。重合を10分間進め、その間にエチレンを必要に応じて供給して450psigの圧力を維持した。重合の間に消費されたエチレンの量を、質量流量計で監視した。ポリマー溶液を、イソプロパノールを含有する窒素パージガラス反応釜に入れた。添加剤溶液を添加し、ポリマー溶液を攪拌して、充分な混合を促進した。内容物をガラス皿に注入し、冷却し、フード中で一晩静置し、次に、真空オーブン中で2日間乾燥させた。
【0193】
E.回分反応器(Batch Reactor)結果−触媒、GPC、およびNMR末端基分析
回分反応器重合の結果が、表4に要約されている。ゲル透過クロマトグラフィーの結果は、表5に要約され、粘度およびDSCの結果は表6に要約されている。ビスアミドジルコニウム触媒を、先ず、トリイソブチルアルミニウム(TIBAl)に、種々の比率および接触時間で接触させて、アーミーニウムボレート活性剤での活性化の前に、触媒のアルキル化に最も有効な条件を決定した。試料B1は、0.9435g/ccの密度を有し、試料B2は0.9432g/ccの密度を有し、試料B6は0.9444g/ccの密度を有し、試料B8は0.9464g/ccの密度を有した。
【0194】
【表4】
【0195】
【表5】
【0196】
CAT 51を用いて生成した回分反応器樹脂のGPCプロフィール分布が、図1および2に示されている。ポリマーのGPC分析は、表5に示されているように、大部分のポリマーが、極めて低い分子量を有し、少量の高分子量画分を有することを示した。GPCトレースの解析は、全分子量分布は極めて広い(Mw/Mn 約8〜64)が、個々の低および高分子量画分は約2〜8のMw/Mnを有することを示した。ポリマーの高分子量画分は0.4%〜17.0%(wt%)で変動し、Mwは130,000〜490,000g/molに亘り、Mnは30,000〜215,000g/molに亘っていた。ポリマーの主要低分子量部分は、250〜900g/molのMw、200〜450g/molのMn、および2〜3のMw/Mnを有した。
【0197】
さらに、触媒重合は、極めて高いビニル末端を有するポリマーを生成した。重合を回分反応器条件下で行った場合、全ポリマー鎖の97%以上が、ポリマーの末端にビニル末端基を有した。鎖末端分布の一貫性が、表1に示されている。不飽和鎖末端の分布は、TIBAL比率または触媒有効性によって影響を受けなかった。この高ビニル末端は、以下のような種々の方法による反応器後ポリマー官能化の手段を与える。シランまたは無水マレイン酸のグラフト、または他の官能基、例えば、スチレン、ペルフルオロアルキルエタン(弗素官能基)、アクリル酸/アクリレート等のグラフト。
【0198】
F.粘度およびDSC分析
ブルックフィールド粘度およびDSCプロフィールを、表6に示すように、試料9を除く全ての試料について測定した。試料の粘度は一般に低く、15cP〜1,320cP(149℃にて)の範囲であり、但し、最高粘度試料、試料4および試料10は除き、それらは149℃において、それぞれ14,007cPおよび>100,000cPの粘度を有した。これらの高粘度試料の両方は、多くの量の高分子量物質(>5%)を含有した。試料1〜3および5〜9は、それらの粘度および高結晶化度(72〜79%)に基づくワックス組成物に好適である。試料4の粘度範囲は、ホットメルト接着剤のポリマー成分の粘度と類似している。
【0199】
DSC加熱プロフィールが図3に示されている。表6におけるDSCデータの要約、および図3のプロフィールから分かるように、これらの物質は、複数の融点を示し、試料の高結晶化度(72〜79%)は、ほとんどのオクテンが結晶化度レベルを減少させるために有効に組み込まれていないことを示した。
【0200】
【表6】
【0201】
G.レオロジー(選択試料)
選択樹脂、試料B4およびB5の、剪断減粘、または剪断速度の関数としての粘度の変化を調べ、単一モードの試料と比較した。試料B4は多い量(5%)の高分子量画分を含有し、試料B5は少ない量の高分子量画分(0.8%)を含有した。さらに、2つの比較試料を選択し、各比較試料は、試料B4または試料B5(CAT 51試料)と同等の、比較的低い分子量分布(Mw/Mn=2.2〜2.9)および149℃におけるブルックフィールド粘度を有した。結果の要約を表7に示す。
【0202】
図4は、CAT 51を使用して調製した2つの回分反応器ビニル末端試料、および2つの比較試料についての、剪断速度の関数としての粘度(T=125℃)を示す。CAT 51触媒系を使用して調製した試料は、増加する剪断速度に伴って向上した加工性を示した。比較試料は、0.1〜100ラド/秒に亘る増加する剪断速度に伴って、剪断減粘または粘度の減少を本質的に示さなかったが、2つのCAT 51試料は45〜54%の減少を示した。試料B5について、低い剪断粘度は約340cPであったが、10,000s-1における高い剪断粘度は、約1ポアズであり、水の剪断粘度に近く、高剪断速度における優れた加工性を示した。
【0203】
H.溶媒/非溶媒分別(選択試料)
先に実験した2つの同じCAT 51試料(試料B4および試料B5)を、さらに、分別し、GPCおよびNMRによって実験して、それらの組成、および特に、所定試料の両画分が同量のコモノマーおよび高ビニル不飽和を含有するかを、確認した。分別は、試験セクションにおいて先に記載したように行った。結果を表8に示す。
【0204】
【表7】
【0205】
【表8】
【0206】
溶媒/非溶媒分別によって測定された試料B4および試料B5のそれぞれの2画分のGPCプロフィールを、全ポリマーのGPCと共に、それぞれ図5および図6に示す。
【0207】
各試料について収集した2つの画分のGPC結果(表8ならびに図5および図6に示す)、は、元試料のGPCの解析によって電子的に求めた結果に充分に照合できた。1H NMR結果は、低分子量画分が最高レベルのビニル不飽和を有したことを示し、主要画分として、これらのビニルレベルは全ポリマーの典型を示す。興味深いことに、各高分子量画分は、ビニリデン鎖末端の増加に伴って、ビニル鎖末端の減少を示した。
【0208】
各画分のコモノマー含有量についての13C NMR結果は、少しのオクテン(約1wt%)しか低分子量画分に組み込まれず、多くのオクテン(5〜12wt%)が少量相(約1〜5%)高分子量画分に組み込まれていることを示した。これらの結果は、末端基分析の結果と一致している。
【0209】
II.エチレン−オクテン重合(連続法)
A.典型的方法(連続法)
温度調節用ジァケットおよび内部熱電対を取り付けた1ガロンの反応器に、精製ISOPAR−E溶媒、エチレン、水素、および1−オクテンを供給した。1−オクテンを溶媒流れと混合した。ポンプおよび質量流量計を使用して、触媒成分溶液を反応器に供給し、触媒フラッシュ溶媒と混合した。触媒流れが、反応器の下部であるがモノマー流れと異なるポート(port)に入った。反応器を、液体満杯で(liquid full)、450psigにおいて、強烈攪拌下に稼動させた。工程流れ方向は、底から「イン」、上部から「アウト」であった。重合を、少量の水の添加によって停止し、安定剤または添加剤は添加しなかった。
【0210】
連続実験からのプロセスデータの要約を表9に示す。この表における数値は、1時間ごとの製造結果の平均値を表す。
【表9】
【0211】
CAT 51系の低分子量能力を、「8cP」(149℃にて)物質が作製された試料R1において、例示する。CAT 51を使用して作製された連続法試料のGPCプロフィールが、図7に示されている。これらの試料のDSC加熱曲線が図8に示されている。
【0212】
連続法によって作製された試料は、極めて低い粘度(149℃において8〜30cP)であった。より高い結晶化度であった回分反応器試料と対照的に、連続法試料は、より低い結晶化度(46〜53%)および融点(70〜100℃)を示した。その試料は、1〜35%(wt%)のより高い分子量成分を含有した;これらの少量成分の分子量は、回分反応器試験からの対応する成分の分子量(Mn 約32,000〜212,000g/mol)より低かった(Mn 約5,900〜14,000g/mol)。粘度およびDSC特性決定結果の要約を表10に示し、GPC特性決定結果の要約を表11に示す。
【0213】
【表10】
【0214】
【表11】
【0215】
C.分別(Fractionation)
低および高分子量画分の間の、短鎖分岐分布を確認するために、2つの連続法試料を分別した。連続法試料は、高分子量画分における、ビニル鎖末端のパーセンテージの減少、およびビニリデン鎖末端の増加も示す(下記の表12を参照)。これらの結果は、回分反応器試料に見られた結果と同様であった(表8参照)。連続法試料の2つの画分のGPCプロフィールが、全ポリマーのGPCと共に、それぞれ図9および図10に示されている。
【0216】
【表12】
【0217】
III.連続法試料のシラン官能化
80℃に予熱した69mLのハークボール(Haake bowl)において、40rpmで回転するローターを用いて、シラングラフト試料を調製した。先ず、35.68g(約90%)のポリマーを添加し、軟化または溶融させた。一旦これが起これば、ビニルトリエトキシシラン(VTES)を、5mL(または約10wt%溶液において3.96g)で添加した。次に、4滴のLuperox 101を1000〜1200ppmで添加した。ラム(ram)を密閉し、温度を180℃に上げた。一旦、溶融温度が180℃に達したら、反応を15分間継続させた。次に、温度を下げた。溶融温度が約85℃に達したら、ボールを開け、「スラッシ」試料を取り出し、マイラーの間でプレスし、シランに関するFTIR分析にかけた。この方法でシラン化した2つのポリマーは、米国特許第5272236号および第5278272号に記載のように調製され、比較的低いビニルレベルを有する低分子量ポリマー(試料C1);および比較的高いビニルレベルで製造された匹敵する粘度および密度の連続反応器試料(試料R1)であった。ポリエチレン主鎖上の水素除去による典型的シラングラフト反応は、下記の反応1に示されている。シラングラフトは、内部または末端不飽和基上で行ってもよい。
【化4】
【0218】
ビニル末端試料は、比較試料(23%)と比較して、グラフト効率(40%)の向上を示した。一般に、本発明樹脂のグラフト効率は、大規模工程において少し高くなると予測される(30〜45%)。このようなより高いグラフト効率は、反応廃棄物流れを減少させ、これによって、さらにコストも削減される。他の利点は、149℃において10cP程度の、極めて低粘度の材料の製造、および、単一モード材料と比較して向上した加工性の材料の製造を含む。さらに、少量の高分子量成分は、向上した繊維引き裂けまたは剥離、またはホットメルト接着剤配合物におけるより高い剪断接着破壊温度の点において、有益である。表13は、シラン官能化に使用されたCAT 51試料(R1、0.69molビニル/鎖)および比較試料(C1、0.23molビニル/鎖)の基本特性の比較を示す。
【0219】
【表13】
【0220】
IV.連続法試料の結晶化度パーセント対密度
本発明のインターポリマーは、インターポリマーにおけるコモノマーの特有な分布により、異なる密度/結晶化度挙動を示す。連続法で作製した試料の密度/結晶化度挙動を、米国特許第5272236号および第5278272号(それぞれ、参照により全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているのと同様の方法で作製した低分子量比較例の密度/結晶化挙動と比較した。
【0221】
「結晶化度パーセント対密度」のプロットが、図11に示されている。図11の線相関から分かるように、本発明試料の結晶化度パーセントは、下記の関係式から求めることができ、
結晶化度パーセント>614*(密度(g/cc))−509
式中、結晶化度パーセントは、((融解熱(J/g))/(ポリエチレンの292J/g))*100であり、融解熱は、DSCの第二加熱曲線から求められる。密度は試料の密度である。各試料はポリマーを含有したが、試料は1つまたはそれ以上の安定剤を含有してもよい。
【0222】
本発明を限定数の実施形態に関して記載したが、これらの実施形態は、本明細書に特に記載され特許請求されていない限り、本発明の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0223】
【図1】回分重合実験1〜5(試料B1〜B5)の、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)プロフィールを表す。
【図2】回分重合実験6〜10(試料B6〜B10)の、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)プロフィールを表す。
【図3】回分重合実験1〜8および10(試料B1〜B8およびB10)の、示差走査熱量分析(DSC)プロフィール(加熱)を表す。
【図4】回分重合試料B4およびB5、ならびに2つの比較樹脂の、粘度プロフィールを表す。
【図5】試料B4、および溶媒/非溶媒分別によって求められた試料B4の2つの画分の、GPCプロフィールを表す。
【図6】試料B5、および溶媒/非溶媒分別によって求められた試料B5の2つの画分の、GPCプロフィールを表す。
【図7】連続重合法からの2つの試料(試料R1およびR1A)の、GPCプロフィールを表す。
【図8】連続重合法からの2つの試料(試料R1およびR1A)の、DSCプロフィール(加熱)を表す。
【図9】連続重合からの試料R1、および溶媒/非溶媒分別からの試料R1の画分の、GPCプロフィールを表す。
【図10】連続重合からの試料R1A、および溶媒/非溶媒分別からの試料R1Aの画分の、GPCプロフィールを表す。
【図11】2つの本発明樹脂およびいくつかの比較樹脂(米国特許第6054544号に記載)の、「結晶化度パーセント/密度」のプロットを表す。
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、2005年12月29日に出願された米国仮出願第60/754908号の恩恵を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーを含む組成物に関する。本発明は、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマー、および少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーを含む組成物も提供する。そのような組成物は、177℃において1〜30,000cPの溶融粘度を有する。さらに、これらの組成物は比較的高いレベルのビニル基を含有する。本発明はさらに、そのような組成物を製造するプロセス、そのような組成物のインターポリマーを官能化するプロセス、および該組成物から調製される物品も提供する。
【背景技術】
【0003】
低分子量炭化水素ポリマーは、種々の用途、例えば、印刷インキ、加工助剤、離型剤、蝋燭、艶出剤、特に、被覆剤および接着剤において、広く使用されている。特に、高結晶性ポリマーは、他の成分と混合して耐摩耗性印刷インキを製造することに関して、ますます関心が持たれている。これらのポリマーは、塗料艶消、洗浄材料用の乳化性ワックスの調製にも使用される。重要な用途は、ホットメルト系、特に、ホットメルト被覆剤およびホットメルト接着剤における用途である。一般に、パラフィンワックスまたはミクロクリスタリンワックスが、そのようなホットメルト用途に使用されるが、パラフィンワックスおよび軟質ミクロクリスタリンワックスは両方とも、比較的低い融点を有する。硬質ミクロクリスタリンワックスは、より高い融点を有するが、比較的高価であり、高い粘度を有する。いくつかの系において、それらは、不相溶性の問題も生じる。
【0004】
国際公開公報第WO03/087178号は、15,000未満の分子量を有するエチレンおよびビニル芳香族モノマーのコポリマーを含む製品を開示している。好ましくは、コポリマーは第一および第二末端基を有する主鎖を特徴とする。第一末端基はメチル基であり、第二末端基はビニル基であり、末端メチル基対末端ビニル基の比率は0.8:1〜1:0.8である。
【0005】
米国特許第5433757号は、モノ−またはジカルボン酸生成部分で置換され、300〜20,000の数平均分子量の少なくとも1つの末端不飽和エチレン/α−オレフィンポリマーを含む、油溶性燃料および潤滑油添加剤を開示している。末端不飽和は、末端エテニリデン不飽和を含む。
【0006】
国際公開公報第WO2004/031292号は、下記の物質を含む熱可塑性組成物を開示している。(i)全組成物の1〜99wt(重量)%の、少なくとも1つの熱可塑性コポリマー、例えば、スチレンブロックコポリマー、および(ii)全組成物の1〜99wt%の、少なくとも1つの均一分岐エチレン/α−オレフィンインターポリマー、例えば、0.899g/ccまたはそれ未満の密度および500cP(350°F)より高いブルックフィールド粘度を有するエチレン/1−オクテン。
【0007】
米国特許第6100224号は、不飽和ジカルボン酸モノマーおよびエチレン/α−オレフィンマクロマーの単位を含むコポリマーを開示している。マクロマーは、CH2=CHRa(式中、RaはC1−C18直鎖アルキル基またはC3−C18分岐鎖アルキル基である)によって表されるエチレンおよび少なくとも1つのα−オレフィンからの単位を含む不飽和エチレン/α−オレフィンポリマーである。エチレン/α−オレフィンポリマーは、約500〜100,000の数平均分子量を有し、エチレン/α−オレフィンポリマー中の不飽和の少なくとも30%は末端ビニリデンである。コポリマーは、炭素−炭素主鎖を有し、コハク酸基およびヒドロカルビル基を含有する。コポリマーは、モノアミン、ポリアミン、モノアルコール、ポリオール、アミノアルコール、反応物金属化合物およびそれらの混合物を含む求核反応物との反応によって、誘導体化することができる。誘導体化コポリマーは、1つまたはそれ以上の後処理剤で後処理することができる。
【0008】
国際公開公報第WO2004/035680号は、低分子量エチレンおよび/またはα−オレフィンホモポリマーおよびコポリマーまたはそれらのブレンドを含み、高濃度の充填剤または添加剤を充填された高充填ポリマー組成物を開示している。
【0009】
国際公開公報第WO2005/100501号は、官能性成分、粘着付与剤およびオレフィンポリマーを含む物品を開示している。オレフィンポリマーは、1つまたはそれ以上のC3−C40オレフィン、および任意に、1つまたはそれ以上のジオレフィン、および5mol未満のエチレンを含み、1Nまたはそれ以上のドット・ティー・ピール(Dot T−Peel)、100,000またはそれ以下のMw、ポリマーのMzにおいて測定される0.95またはそれ以下の分岐指数(g’)を有する。官能化成分は、官能化ポリマー、官能化オリゴマーまたはβ成核剤から選択される。
【0010】
米国特許第6875816号は、高分子量の分岐成分および低分子量の分岐成分を含む組成物を開示している。いくつかの開示ポリマー組成物は、アミルまたはメチル分岐の実質的不在、および下記の関係式を満たす溶融強度(MS)を有することを特徴とする。MS≧x/l2+y
【0011】
国際公開公報第WO2002/36651号は、8〜32mol%のエチレン含有量を有し、無水マレイン酸およびペルオキシドでグラフトされたプロピレンエチレンコポリマーを開示している。他のポリオレフィン系組成物がWO2005/111145に開示されている。
【0012】
被覆剤、接着剤および他の用途に使用するための、粘度および結晶化度の適切なバランスを有するより低い分子量のエチレンポリマーが現在も必要とされている。向上した付着および他の用途のための、粘度、ビニル含有量および結晶化度の適切なバランスを有する官能化低分子量エチレンポリマーも必要とされている。これらの要求および他の要求の少なくともいくつかが、下記の本発明によって満たされる。
【発明の開示】
【0013】
本発明は、1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーを含む組成物であって、該組成物が177℃において1〜30,000cPの溶融粘度を有し、少なくとも1つのエチレンインターポリマーが0.3〜0.99のRvを有する組成物を提供する。
【0014】
本発明は、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマー、および少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーを含む組成物であって、該組成物が177℃において1〜30,000cPの溶融粘度を有し、該低分子量インターポリマーおよび該高分子量インターポリマーのRvの合計が0.3〜2である組成物も提供する。
【0015】
本発明は、本発明の組成物の官能化生成物も提供する。
【0016】
本発明は、組成物中の1つまたはそれ以上のポリマーを官能化するプロセスも提供し、該組成物は、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマー、および少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーを含み、該組成物は177℃において1〜30,000cPの溶融粘度を有し、該低分子量インターポリマーおよび該高分子量インターポリマーのRvの合計が0.3〜2であり、該方法は、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーおよび/または少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーを、少なくとも1つの官能化剤(functionalization agent)と反応させることを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
上記のように、本発明は、高レベルのビニル末端を有する低分子量エチレンインターポリマー、および該インターポリマーを含有する組成物を提供する。そのような低分子量インターポリマーは、回分反応(batch reactor)法または連続法で調製することができる。これらのインターポリマーは、177℃において1〜30,000cP程度の粘度を有する。より高いビニル含有量は、これらのポリマーのより高いレベルの官能化を可能にする。本発明は、本明細書に記載するように、少なくとも1つの低分子量エチレンインターポリマーおよび少なくとも1つの高分子量エチレンインターポリマーを含む組成物も提供する。
【0018】
より具体的には、本発明は、1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーを含む組成物であって、該インターポリマーまたは組成物が、177℃において1〜30,000cP、好ましくは177℃において2〜20,000cP、より好ましくは177℃において5〜10,000cPの溶融粘度を有し、少なくとも1つのエチレンインターポリマーが、0.3〜0.99、好ましくは0.4〜0.99、より好ましくは0.5〜0.99のRvを有する、組成物を提供する。好ましくは、組成物が、177℃において1〜30,000cP、好ましくは177℃において2〜20,000cP、より好ましくは177℃において5〜10,000cPの溶融粘度を有する。
【0019】
他の実施形態において、1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの分子量分布のMw/Mnは、合計で、2〜100、好ましくは2〜70である。
【0020】
他の実施形態において、1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの重量平均分子量は、合計で、500〜75,000g/mol、好ましくは1,000〜50,000g/mol、より好ましくは2,000〜25,000g/molである。さらに他の実施形態において、1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの数平均分子量は、合計で、100〜40,000g/mol、好ましくは100〜10,000g/mol、より好ましくは200〜5,000g/molである。
【0021】
他の実施形態において、1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの密度は、合計で、0.86g/cc〜0.96g/cc、好ましくは0.85g/cc〜0.95g/cc、より好ましくは0.84g/cc〜0.94g/ccである。
【0022】
さらに他の実施形態において、1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの結晶化度パーセントは、合計で、10%〜90%、好ましくは20%〜85%、より好ましくは30%〜80%である。
【0023】
さらに他の実施形態において、少なくとも1つのエチレンインターポリマーは、0.1wt%〜50wt%の少なくとも1つのコモノマー、好ましくは0.5wt%〜25wt%の少なくとも1つのコモノマー、より好ましくは1wt%〜10wt%の少なくとも1つのコモノマーを含有する(重合性モノマーの総重量に基づく)。
【0024】
さらに他の実施形態において、少なくとも1つのエチレンインターポリマーは、0.1mol%〜50mol%の少なくとも1つのコモノマー、好ましくは0.15mol%〜25mol%の少なくとも1つのコモノマー、より好ましくは0.2mol%〜10mol%の少なくとも1つのコモノマーを含有する(重合性モノマーの総モルに基づく)。
【0025】
本発明の他の実施形態において、コモノマーは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネンまたは1−デセンから選択され、好ましくは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンまたは1−オクテンから選択される。他の実施形態において、少なくとも1つのエチレンインターポリマーは、ビニル芳香族コモノマーを含有しない。
【0026】
他の実施形態において、組成物は、下記の不等式による総結晶化度パーセントを有し、
結晶化度パーセント>614*(密度(g/cc))−509
式中、結晶化度パーセントは、((融解熱(J/g))/(ポリエチレンの292J/g))*100である。密度は、組成物の密度である。他の実施形態において、組成物は、組成物の総重量に基づいて1wt%未満の1つまたはそれ以上の添加剤をさらに含む。さらに他の実施形態において、1つまたはそれ以上の添加剤は、1つまたはそれ以上の安定剤である。
【0027】
本発明は、本明細書に記載されている2つまたはそれ以上の実施形態の組合せを含有する組成物も提供する。
【0028】
本発明は、下記物質の反応生成物を含む組成物も提供し、(1)1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーを含む組成物であって、該インターポリマーまたは該組成物が177℃において1〜30,000cPの溶融粘度を有する組成物(少なくとも1つのエチレンインターポリマーは、0.3〜0.99のRvを有する)、および(2)少なくとも1つのヘテロ原子を含有する少なくとも1つの不飽和化合物;該反応生成物は、官能基を有する少なくとも1つのエチレンインターポリマーを含む。さらに他の実施形態において、官能基は、ハロゲン、ヒドロキシル、無水物、アミン、アミド、カルボン酸、エステル、エーテル、シランおよびニトリルからなる群より選択される。そのような組成物は、本明細書に記載されている2つまたはそれ以上の実施形態の組合せを含有し得る。
【0029】
本発明は、本明細書に記載されている本発明組成物から形成された少なくとも1つの成分を含む物品も提供する。物品は、本明細書に記載されている2つまたはそれ以上の実施形態の組合せを含み得る。
【0030】
本発明は、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマー、および少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーを含む組成物も提供し;該インターポリマーまたは該組成物は、177℃において1〜30,000cP、好ましくは177℃において2〜20,000cP、より好ましくは177℃において5〜10,000cPの溶融粘度を有し;低分子量インターポリマーおよび高分子量インターポリマーのRvの合計が0.3〜2、好ましくは1〜2、より好ましくは1.1〜1.9、さらに好ましくは1.2〜1.8である。好ましくは、組成物が、177℃において1〜30,000cP、好ましくは177℃において2〜20,000cP、より好ましくは177℃において5〜10,000cPの溶融粘度を有する。
【0031】
1つの実施形態において、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーは、分子量分布、Mw/Mn、1〜5、好ましくは1.5〜4、より好ましくは2〜3.5を有し、少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーは、分子量分布、Mw/Mn、1〜10、好ましくは2〜8、より好ましくは2〜5を有する。
【0032】
他の実施形態において、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーは、重量平均分子量100〜5,000、好ましくは200〜3,000、より好ましくは200〜2,000を有し、少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーは、重量平均分子量10,000〜1,000,000g/mol、好ましくは10,000〜500,000g/mol、より好ましくは10,000〜300,000g/mol、さらに好ましくは10,000〜200,000g/molを有する。
【0033】
他の実施形態において、少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーは、重量平均分子量10,000〜600,000g/mol、好ましくは10,000〜300,000g/mol、より好ましくは10,000〜200,000g/mol、さらに好ましくは10,000〜100,000g/molを有する。
【0034】
他の実施形態において、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーは、数平均分子量50〜2,500g/mol、好ましくは50〜2,000g/mol、より好ましくは100〜1,000g/molを有し、少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーは、数平均分子量5,000〜500,000g/mol、好ましくは5,000〜100,000g/mol、より好ましくは5,000〜50,000g/molを有する。
【0035】
他の実施形態において、少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーは、数平均分子量5,000〜500,000g/mol、好ましくは5,000〜300,000g/mol、好ましくは10,000〜100,000g/molを有する。
【0036】
他の実施形態において、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーは、0.7〜0.99、好ましくは0.8〜0.98、より好ましくは0.9〜0.98のRvを有し、少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーは、0.2〜0.8、好ましくは0.3〜0.7のRvを有する。他の実施形態において、「少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーのRv」対「少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーのRv」の比が、1:1〜5:1、好ましくは1:1〜4:1、より好ましくは1:1〜3:1である。
【0037】
他の実施形態において、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーは、0.2〜20wt%、好ましくは0.5〜10wt%の少なくとも1つのコモノマーを含有し(LMWの重合性モノマーの総重量に基づく)、少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーは、0.1〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、より好ましくは4〜30wt%の少なくとも1つのコモノマーを含有する(HMWの重合性モノマーの総重量に基づく)。
【0038】
さらに他の実施形態において、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーは、0.1mol%〜20mol%の少なくとも1つのコモノマーを含有し(LMWの重合性モノマーの総モルに基づく)、少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーは、0.1mol%〜40mol%の少なくとも1つのコモノマーを含有する(HMWの重合性モノマーの総モルに基づく)。さらに他の実施形態において、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーは、0.5mol%〜10mol%の少なくとも1つのコモノマーを含有し(LMWの重合性モノマーの総モルに基づく)、少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーは、4mol%〜30mol%の少なくとも1つのコモノマーを含有する(HMWの重合性モノマーの総モルに基づく)。
【0039】
本発明の他の実施形態において、各コモノマーは、独立に、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネンまたは1−デセン、好ましくは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンまたは1−オクテンから選択される。
【0040】
他の実施形態において、少なくとも1つの低分子量エチレンインターポリマーが、ビニル芳香族コモノマーを含有しない。他の実施形態において、少なくとも1つの高分子量エチレンインターポリマーが、ビニル芳香族コモノマーを含有しない。他の実施形態において、低分子量エチレンインターポリマーおよび高分子量エチレンインターポリマーの両方が、ビニル芳香族コモノマーを含有しない。
【0041】
他の実施形態において、高分子量エチレンインターポリマーは、低分子量エチレンインターポリマーより少ない量で存在する。さらなる実施形態において、高分子量エチレンインターポリマーは、より多い量のコモノマー組み込み(comonomer incorporation)を有する。
【0042】
本発明の他の実施形態において、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーが、少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーより低いパーセンテージのコモノマー組み込みを有する。さらなる実施形態において、組成物は、組成物の総重量に基づいて10wt%またはそれ未満、好ましくは5wt%またはそれ未満の、高分子量(HMW)エチレンインターポリマーを含む。本発明は、本明細書に記載されている2つまたはそれ以上の実施形態の組合せを含有する組成物も提供する。
【0043】
他の実施形態において、本発明の組成物は、下記の不等式による結晶化度パーセントを有し、
結晶化度パーセント>614*(密度(g/cc))−509
式中、結晶化度パーセントは、((融解熱(J/g))/(ポリエチレンの292J/g))*100である。密度は、組成物の密度である。さらなる実施形態において、組成物は、組成物の総重量に基づいて1wt%未満の1つまたはそれ以上の添加剤をさらに含む。さらに他の実施形態において、1つまたはそれ以上の添加剤は、1つまたはそれ以上の安定剤である。
【0044】
本発明は、さらなる実施形態、または本明細書に記載されているこれらの実施形態の組合せを含む組成物も提供する。
【0045】
本発明は、下記物質の反応生成物を含む組成物も提供する。(1)少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマー、および少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーを含む組成物であって、該インターポリマーまたは該組成物が177℃において1〜30,000cPの溶融粘度を有し、該低分子量インターポリマーおよび該高分子量インターポリマーのRvの合計が0.3〜2である組成物、および(2)少なくとも1つのヘテロ原子を含有する少なくとも1つの不飽和化合物。
【0046】
本発明のさらなる実施形態において、少なくとも1つの低分子量エチレンインターポリマーおよび/または少なくとも1つの高分子量エチレンインターポリマーが、少なくとも1つのヘテロ原子を含有する少なくとも1つの不飽和化合物で官能化されている。本発明の他の実施形態において、少なくとも1つの低分子量エチレンインターポリマーが、少なくとも1つのヘテロ原子を含有する少なくとも1つの不飽和化合物で官能化されている。
【0047】
さらに他の実施形態において、少なくとも1つの低分子量エチレンインターポリマーおよび/または少なくとも1つの高分子量エチレンインターポリマーが、少なくとも1つのカルボニル含有化合物で官能化されている。本発明の他の実施形態において、少なくとも1つの低分子量エチレンインターポリマーが、少なくとも1つのカルボニル含有化合物で官能化されている。
【0048】
本発明の他の実施形態において、少なくとも1つの低分子量エチレンインターポリマーおよび/または少なくとも1つの高分子量エチレンインターポリマーが、少なくとも1つのシラン化合物で官能化されている。本発明の他の実施形態において、少なくとも1つの低分子量エチレンインターポリマーが、少なくとも1つのシラン化合物で官能化されている。
【0049】
官能化組成物は、本明細書に記載されている2つまたはそれ以上の実施形態の組合せを含有し得る。
【0050】
本発明は、本明細書に記載されている本発明組成物から形成された少なくとも1つの成分を含む物品も提供する。本発明の物品は、本明細書に記載されている2つまたはそれ以上の実施形態の組合せを含み得る。
【0051】
本発明は、組成物中の1つまたはそれ以上のポリマーを官能化するプロセスも提供し、該組成物は、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマー、および少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーを含み、該インターポリマーまたは組成物は177℃において1〜30,000cPの溶融粘度を有し、低分子量インターポリマーおよび高分子量インターポリマーのRvの合計は1〜2であり、該プロセスは、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマー、および/または少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーを、少なくとも1つの官能化剤と反応させることを含む。
【0052】
1つの実施形態において、少なくとも1つの官能化剤は、下記物質の1つである。ハロゲンまたはハロゲン含有化合物、エポキシド含有化合物、カルボニル含有化合物、スルホニル含有化合物またはシラン化合物。
【0053】
さらなる実施形態において、低分子量インターポリマーおよび高分子量インターポリマーのRvの合計は1.1〜1.9、好ましくは1.2〜1.8である。
【0054】
本発明は、さらなる実施形態、または本明細書に記載されている実施形態の組合せを含む本発明の組成物を官能化するプロセスも提供する。
【0055】
本発明は、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマー、および少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーを含む組成物を製造するプロセスも提供し、該プロセスは、本明細書に記載されている触媒系の存在下にエチレンおよび少なくとも1つの他のモノマーを重合させることを含む。
【0056】
本発明は、さらなる実施形態、または本明細書に記載されている実施形態の組合せを含む本発明の組成物を調製するプロセスも提供する。
【0057】
本発明の他の実施形態、および本発明の利点は、以下の記載から明らかである。
【0058】
組成物I
本発明の組成物は、1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーを含有する。インターポリマーまたは組成物は、177℃において、1cP〜30,000cP、好ましくは2cP〜20,000cP、より好ましくは5cP〜10,000cPの溶融粘度を有する。1cP〜30,000cPの全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。溶融粘度は、ブルックフィールド粘度計を使用して177℃(350°F)で測定される。
【0059】
他の実施形態において、インターポリマーまたは組成物は、149℃において、1cP〜60,000cP、好ましくは2cP〜40,000cP、より好ましくは5cP〜20,000cPの溶融粘度を有する。1cP〜60,000cPの全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。溶融粘度はブルックフィールド粘度計を使用して149℃(300°F)で測定される。
【0060】
他の実施形態において、組成物は、0.3〜0.99、好ましくは0.4〜0.99、より好ましくは0.5〜0.99のRv値を有する少なくとも1つのエチレンインターポリマーを含有する。0.3〜0.99の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0061】
他の実施形態において、組成物は、1000炭素原子につき15〜60のビニル基、好ましくは1000炭素原子につき20〜55のビニル基、より好ましくは1000炭素原子につき25〜50のビニル基を含有する。1000炭素原子につき15〜60のビニル基の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0062】
他の実施形態において、組成物の1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの分子量分布Mw/Mnは、2〜100、好ましくは2〜80、より好ましくは2〜70である。2〜約100の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0063】
他の実施形態において、組成物の1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの重量平均分子量Mwは、500〜75,000g/mol、好ましくは1,000〜50,000g/mol、より好ましくは2,000〜25,000g/molである。500〜約75,000g/molの全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0064】
他の実施形態において、組成物の1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの数平均分子量Mnは、100〜40,000g/mol、好ましくは100〜10,000g/mol、より好ましくは200〜5,000g/mol、さらに好ましくは250〜3,000g/mol、最も好ましくは200〜2,000g/mol、または200〜1,000g/molである。100〜40,000g/molの全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0065】
他の実施形態において、組成物の1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの密度は、0.86g/cc〜0.96g/cc、好ましくは0.87g/cc〜0.95g/cc、より好ましくは0.88g/cc〜0.94g/ccである。0.86g/cc〜0.96g/ccの全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0066】
他の実施形態において、組成物の1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの密度は、0.93g/cc未満、好ましくは0.92g/cc未満、より好ましくは0.91g/cc未満または0.90g/cc未満である。他の実施形態において、1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの密度は、0.86g/ccより高く、好ましくは0.87g/ccより高く、より好ましくは0.88g/ccより高い。
【0067】
他の実施形態において、組成物の1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの結晶化度パーセントは、10%〜90%、好ましくは20%〜85%、より好ましくは30%〜80%である。10%〜90%の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0068】
他の実施形態において、組成物の1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの結晶化度パーセントは、30%より高く、好ましくは35%より高く、より好ましくは40%より高い。
【0069】
他の実施形態において、組成物の1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーは、60℃〜120℃、好ましくは70℃〜110℃、より好ましくは80℃〜100℃の少なくとも1つの融点Tmを有する。60℃〜120℃の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0070】
他の実施形態において、組成物の1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーは、50℃〜110℃、好ましくは60℃〜100℃、より好ましくは50℃〜90℃の少なくとも1つの結晶化温度Tcを有する。50℃〜110℃の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0071】
他の実施形態において、組成物の少なくとも1つのエチレンインターポリマーは、0.1wt%〜50wt%、好ましくは0.5wt%〜25wt%、より好ましくは1wt%〜15wt%の少なくとも1つのコモノマーを含有する(重合性モノマーの総重量に基づく)。0.1wt%〜50wt%の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0072】
他の実施形態において、組成物の少なくとも1つのエチレンインターポリマーは、0.1mol%〜50mol%、好ましくは0.15mol%〜25mol%、より好ましくは0.2mol%〜10mol%、さらに好ましくは0.2mol%〜5mol%の少なくとも1つのコモノマーを含有する(重合性モノマーの総モルに基づく)。0.1mol%〜50mol%の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0073】
好ましいコモノマーは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、および1−オクテン、ジエンおよびポリエンを含むが、それらに限定されない。好適なジエンの例は、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、ヘキサジエン(例えば、1,4−ヘキサジエン)およびオクタジエンである。他のコモノマーは、スチレン、ハロ−置換スチレン、アルキル−置換スチレン、テトラフルオロエチレン、ビニルベンゾシクロブテン、シクロアルケン(例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン)、およびそれらの混合物を含む。一般に、かつ好ましくは、エチレンを、1つまたはそれ以上のC3−C20α−オレフィン、より好ましくは1つまたはそれ以上のC3−C8α−オレフィンと共重合させる。好ましいα−オレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンを含む。1つの実施形態において、コモノマーは芳香族ビニルモノマーでない。
【0074】
本発明は、2つまたはそれ以上の前記実施形態の組合せを含有する組成物も提供する。
【0075】
組成物II(LMWインターポリマーおよびHMWインターポリマー)
本発明の他の態様において、組成物は、少なくとも1つの低分子量エチレンインターポリマーおよび少なくとも1つの高分子量エチレンインターポリマーを含む。インターポリマーまたは組成物は、177℃において、1cP〜30,000cP、好ましくは2cP〜20,000cP、より好ましくは5cP〜10,000cPの溶融粘度を有する。1cP〜30,000cPの全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。溶融粘度は、ブルックフィールド粘度計を使用して177℃(350°F)で測定される。
【0076】
他の実施形態において、インターポリマーまたは組成物は、149℃において、1cP〜60,000cP、好ましくは2cP〜40,000cP、より好ましくは5cP〜20,000cPの溶融粘度を有する。1cP〜60,000cPの全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。溶融粘度は、ブルックフィールド粘度計を使用して149℃(300°F)で測定される。
【0077】
他の実施形態において、低分子量インターポリマーおよび高分子量インターポリマーのRvの合計が0.3〜2、好ましくは1〜2、より好ましくは1.1〜1.9、さらに好ましくは1.2〜1.8である。0.3〜2の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0078】
他の実施形態において、低分子量エチレンインターポリマーおよび高分子量エチレンインターポリマーの合計密度が、0.86g/cc〜0.96g/cc、好ましくは0.87g/cc〜0.95g/cc、より好ましくは0.88g/cc〜0.94g/ccである。0.86g/cc〜0.96g/ccの全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。他の実施形態において、該密度は、0.93g/cc未満、好ましくは0.92g/cc未満、より好ましくは0.91g/cc未満または0.90g/cc未満である。
【0079】
他の実施形態において、「少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーのRv」対「少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーのRv」の比が、1:1〜5:1、好ましくは1:1〜4:1、より好ましくは1:1〜3:1、さらに好ましくは1:1〜2:1である。1:1〜5:1の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。他の実施形態において、この比率は、1より高く、好ましくは2.0より高く、より好ましくは2.2より高い。
【0080】
他の実施形態において、低分子量エチレンインターポリマーは、0.7〜0.99、好ましくは0.8〜0.98、より好ましくは0.85〜0.97のRvを有する。0.7〜0.99の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0081】
他の実施形態において、低分子量エチレンインターポリマーは、分子量分布、Mw/Mn、1〜5、好ましくは1.5〜4、より好ましくは2〜3.5または2〜3を有する。1〜5の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0082】
他の実施形態において、低分子量エチレンインターポリマーは、重量平均分子量、Mw、100〜5,000g/mol、好ましくは200〜3,000g/mol、より好ましくは200〜2,000g/mol、または200〜1,000g/molを有する。100〜約5,000g/molの全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0083】
他の実施形態において、低分子量エチレンインターポリマーは、数平均分子量、Mn、50〜2,500g/mol、好ましくは50〜2,000g/mol、より好ましくは100〜1,000g/mol、さらに好ましくは200〜800g/molを有する。50〜2,500g/molの全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0084】
他の実施形態において、低分子量エチレンインターポリマーは、0.2wt%〜20wt%、好ましくは0.5wt%〜15wt%、より好ましくは1wt%〜10wt%の少なくとも1つのコモノマーを含有する(重合性モノマーの総重量に基づく)。0.2wt%〜20wt%の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0085】
他の実施形態において、低分子量エチレンインターポリマーは、0.1mol%〜20mol%、好ましくは0.1mol%〜10mol%、より好ましくは0.5mol%〜10mol%、さらに好ましくは0.2mol%〜5mol%の少なくとも1つのコモノマーを含有する(重合性モノマーの総モルに基づく)。0.2mol%〜20mol%の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0086】
好ましいコモノマーは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、および1−オクテン、非共役ジエン、共役ジエンおよびポリエンを含むが、それらに限定されない。好適なジエンは、ブタンジエン、イソプレン、ペンタジエン、ヘキサジエン(例えば、1,4−ヘキサジエン)およびオクタジエンを含む。他のコモノマーは、スチレン、ハロ−置換スチレン、アルキル−置換スチレン、テトラフルオロエチレン、ビニルベンゾシクロブテン、シクロアルケン(例えば、シクロペンタン、シクロヘキセン、シクロオクテン)、およびそれらの混合物を含む。一般に、かつ好ましくは、エチレンは、1つのC3−C20α−オレフィン、より好ましくは1つのC3−C8α−オレフィンと共重合される。好ましいα−オレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンを含む。1つの実施形態において、コモノマーは芳香族ビニルモノマーでない。
【0087】
他の実施形態において、低分子量エチレンインターポリマーは、1000炭素原子につき7〜50のビニル基、好ましくは1000炭素原子につき10〜40のビニル基、より好ましくは1000炭素原子につき15〜30のビニル基を含有する。1000炭素原子につき7〜50のビニル基の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0088】
他の実施形態において、高分子量エチレンインターポリマーは、分子量分布、Mw/Mn、1〜10、好ましくは2〜8、より好ましくは2〜5を有する。1〜10の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0089】
他の実施形態において、高分子量エチレンインターポリマーは、重量平均分子量、Mw、10,000〜1,000,000g/mol、好ましくは10,000〜500,000g/mol、より好ましくは10,000〜300,000g/mol、さらに好ましくは10,000〜200,000g/mol、または10,000〜100,000g/molを有する。10,000〜約1,000,000g/molの全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0090】
他の実施形態において、高分子量エチレンインターポリマーは、数平均分子量、Mn、5,000〜500,000g/mol、好ましくは5,000〜300,000g/mol、より好ましくは5,000〜250,000または200,000g/mol、さらに好ましくは5,000〜150,000g/mol、最も好ましくは5,000〜100,000または50,000g/molを有する。5,000〜500,000g/molの全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0091】
他の実施形態において、高分子量エチレンインターポリマーは、0.1wt%〜40wt%、好ましくは0.5wt%〜30wt%、より好ましくは1wt%〜30wt%、さらに好ましくは4wt%〜30wt%の少なくとも1つのコモノマーを含有する(重合性モノマーの総重量に基づく)。0.1wt%〜40wt%の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0092】
他の実施形態において、高分子量エチレンインターポリマーは、0.1mol%〜40mol%、好ましくは0.5mol%〜30mol%、より好ましくは1mol%〜20mol%、さらに好ましくは4mol%〜20mol%の少なくとも1つのコモノマーを含有する(重合性モノマーの総モルに基づく)。0.1mol%〜40mol%の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0093】
好ましいコモノマーは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、および1−オクテン、非共役ジエン、共役ジエンおよびポリエンを含むが、それらに限定されない。好適なジエンの例は、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、ヘキサジエン(例えば、1,4−ヘキサジエン)およびオクタジエンである。他のコモノマーは、スチレン、ハロ−置換スチレン、アルキル−置換スチレン、テトラフルオロエチレン、ビニルベンゾシクロブテン、シクロアルケン(例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン)、およびそれらの混合物を含む。一般に、かつ好ましくは、エチレンを、1つのC3−C20α−オレフィン、より好ましくは1つのC3−C8α−オレフィンと共重合させる。好ましいα−オレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンを含む。1つの実施形態において、コモノマーは芳香族ビニルモノマーではない。
【0094】
他の実施形態において、高分子量エチレンインターポリマーは、0.2〜0.8、好ましくは0.3〜0.75、より好ましくは0.3〜0.7、さらに好ましくは0.3〜0.6のRvを有する。0.2〜0.85のRvの全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0095】
他の実施形態において、高分子量エチレンインターポリマーは、1000炭素原子につき0.01〜5のビニル基、好ましくは1000炭素原子につき0.02〜3のビニル基、より好ましくは1000炭素原子につき0.05〜2のビニル基を含有する。1000炭素原子につき0.01〜5のビニル基の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0096】
他の実施形態において、組成物は、組成物の総重量に基づいて、1wt%〜10wt%、好ましくは2wt%〜7wt%、より好ましくは3wt%〜5wt%の高分子量ポリマー画分を含有する。1wt%〜10wt%の全ての個々の数値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。
【0097】
他の実施形態において、高分子量エチレンインターポリマーの重量平均分子量は、低分子量エチレンインターポリマーの重量平均分子量の少なくとも50倍、好ましくは少なくとも100倍、より好ましくは少なくとも150倍または少なくとも200倍である。
【0098】
本発明は、2つまたはそれ以上の前記実施形態の組合せを含有する組成物も提供する。
【0099】
添加剤
本明細書に開示されている組成物は、他の添加剤、例えば、参照により全体が本明細書に組み込まれる国際公開公報第WO03/087178号(米国特許出願公開第2005165192号)に開示されているような他の添加剤を含有し得る。そのような添加剤の使用は、任意であり、組成物の特定の用途および必要とされる性能のレベルに依存する。添加剤は、安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、染料、成核剤、充填剤、スリップ剤、難燃剤、可塑剤、加工助剤、潤滑剤、安定剤、発煙防止剤(smoke inhibitors)、粘度調節剤および粘着防止剤を含むが、それらに限定されない。
【0100】
添加剤は、約70wt%〜約99.9wt%の実質的に不活性の、通常は液体の、有機希釈剤を一般に含有する濃厚物形態であってよい。一般に、本発明に使用されるポリマーおよび樹脂は、1つまたはそれ以上の安定剤、例えば酸化防止剤、例えばIrganox(商標)1010およびIrgafos(商標)168(両方ともCiba Specialty Chemicalsによって供給)で処理される。ポリマーは一般に、押出または他の溶融プロセス前に1つまたはそれ以上の安定剤で処理される。
【0101】
任意に使用し得る他の添加剤は、洗浄剤、分散剤、補助的粘度向上剤(supplemental viscosity improvers)、酸化防止剤、腐食防止剤、流動点降下剤、極圧添加剤、磨耗防止剤、色彩安定剤、摩擦調節剤および消泡剤を含む。
【0102】
用途
本明細書に開示されている低分子量ポリマーは、多くの有用な用途を有し、多くの製品の製造に使用することができる。製品は、参照により全体が本明細書に組み込まれる国際公開公報第WO03/087178号に記載されているようなワックス、潤滑剤、添加剤などを含むがそれらに限定されない。本発明の低分子量ポリマーは、塗料および被覆剤、印刷インキ、カーボン紙、フォトトナー、建築および構造材料、離型剤、ホットメルト接着剤および蝋燭の製造に使用し得る。これらのポリマーは、木材加工、金属工作、粉末冶金および焼結、ワックスモデリング、サイジング、クロップ保護などにも使用し得る。ビニル末端基の存在により、本発明の組成物のポリマーは、ポリマーを、ビニル基と反応できる試薬と反応させることによって官能化し得る。このようにして、種々の官能化低分子量ポリマーが得られる。官能化ポリマーを、官能化ポリマーと反応できる1つまたはそれ以上の化学基をそれぞれ含有する他の化合物またはポリマーとさらに反応させてもよい。
【0103】
本明細書に開示されている低分子量ポリマーは、1つまたはそれ以上のポリマーのブレンドとして使用することができる。ブレンドを使用して、ホットメルト接着剤、プラスチック添加剤、水性分散物、加工助剤、潤滑剤、印刷インキ、トナーなどを配合し得る。そのような製品を製造するための方法および成分は、例えば、以下に記載されている。米国特許第6143846号、第5928825号、第5530054号、第6242148号、第6207748号、第5998547号、第6262153号、第5037874号、第5482987号、第6133490号および第6080902号;PCT出願WO01/44387、WO01/72855、WO01/64776、WO01/56721、WO01/64799、WO01/64800;およびEP特許または特許出願EP890619、EP916700、およびEP0050313、EP1081195。
【0104】
本明細書に開示されている低分子量ポリマーは、ホットメルト接着剤の成分としても使用し得る。一般に、ホットメルト接着剤は、以下の3つの成分を含む。ポリマー、粘着付与剤および低分子量ポリマー。各成分は、2つまたはそれ以上の成分のブレンドを含んでよく、即ち、ポリマー成分が2種類のポリマーのブレンドを含んでよい。ポリマーは、接着層に接着強度を付与する。粘着付与剤は接着剤に粘着性を付与し、該粘着付与剤は、接着剤が硬化する間に結合すべき物品を固定する働きをし、かつ、系の粘度を減少させて、接着剤を支持体に適用しやすくする。粘着付与剤は、さらに、配合物のガラス転移温度を調節するのにも使用し得る。低分子量ポリマーは、開放/密閉時間を調節し、系の粘度を減少させる。ホットメルト接着剤は、一般に、充填剤として使用され、かつ/または系の粘度を減少させるために使用される油を、さらに含んでもよい。
【0105】
従来のポリマーに基づくホットメルト接着剤は、エチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)、アタクチックポリプロピレン(APP)、非晶質ポリオレフィン、低密度ポリエチレン(LDPE)、および均一線状エチレン/α−オレフィンコポリマーを含む。従来のホットメルト接着剤は、一般に、高レベルの粘着付与剤を使用して、系の粘度を、基質への容易適用を可能にするレベルに減少させる。
【0106】
感圧接着剤は、適用時において、室温で強力にかつ永久的に粘着性であり、軽い圧力を適用することによって、例えば、指で押さえることによって、種々の異なる表面に堅く付着する物質である。強力な粘着性にもかかわらず、感圧接着剤は、有意な残留物を残さずに平滑面から除去し得る。感圧接着剤は、下記のような日常用途に広く使用されている。マスキングテープ、透明事務用テープ、ラベル、ステッカー、絆創膏、装飾用および保護用シート(例えば、棚および引出しライナー)、フロアタイル、生理用ナプキン/失禁対策用装着ストリップ、日射調整フィルム、および車窓へのパッキンの接合物。
【0107】
歴史的に、感圧接着剤は、溶剤によって保持された天然ゴムおよびウッドロジンを基剤としている。そのような接着剤を有する物品は、好適な支持体に接着剤の溶液を適用し、揮発性物質除去法(devolatilizing process)によって溶剤を除去することによって製造されている。しかし、溶剤におけるコスト増加および排出に関する規制に対応して、水性接着剤および固形ホットメルト接着剤(HMA)が開発されている。
【0108】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されている超低分子量エチレンポリマーは、増量または改質組成物として使用し得る。超低分子量ポリマーは、エチレンホモポリマーとしてか、またはエチレンと、C3−C20α−オレフィン、非共役ジエンおよびシクロアルケンからなる群より選択されるコモノマーとのインターポリマーとして、使用されることが多い。
【0109】
超低分子量エチレンα−オレフィンコポリマーは、粘着付与剤(前記)として使用し得る。さらに、エチレンのモルパーセントが増加すると共に、インターポリマーの結晶化度も増加する。従って、超低分子量インターポリマーは、接着剤系の開放および密閉時間を調節するためのワックスとして有用である。
【0110】
本明細書に開示されている低分子量ポリマーは、潤滑剤を製造するために使用することもでき、または油添加剤として使用することもできる。コポリマーおよびターポリマーの両方を使用することができる。コポリマーの例は、エチレン−オクテンコポリマーであり;ターポリマーの例は、エチレン−プロピレン−オクテンターポリマーである。本発明の組成物は、燃料油組成物としても使用し得る。そのような組成物は、一般に、下記の物質を含む。(1)150℃〜400℃の沸点を有する中間分留燃料油、および(2)エチレンα−オレフィンコポリマーを含むエチレンα−オレフィンコポリマー型「燃料油流動性向上剤」であって、該コポリマーが、60〜90mol%の、エチレンから誘導された構成単位、および10〜40mol%の、3〜20個の炭素原子を有するα−オレフィンから誘導された構成単位を含み、135℃においてデカリン中で測定される固有粘度[η]0.01〜1.0 dl/gを有する、エチレンα−オレフィンコポリマー型「燃料油流動性向上剤」。
【0111】
触媒
先に開示したエチレンインターポリマーの製造用の触媒として有用な、好適な金属リガンド錯体は、金属中心に結合した2つのフェノール−複素環またはフェノール−トリアゾールリガンドを一般に有する錯体である。換言すれば、2:1のリガンド対金属比が存在する(そのような比率は厳密でなくてもよい)。そのような金属錯体は、下記の一般式(I)によって特徴付けられる。
【化1】
【0112】
この式において、X1およびX2はNであり、X3、X4およびX5は、独立に、NおよびCR15からなる群より選択され、R15は、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、シリル、ボリル、ホスフィノ、アミノ、チオ、セレノおよびそれらの組合せからなる群より選択され、但し、X3、X4およびX5の少なくとも1つ、かつ2つ未満がNであるものとする。任意に、X3およびX4は、一緒になって、水素原子を数えずに50個までの原子を有する縮合環系を形成してもよい。
【0113】
一般に、R1、R2、R3およびR4は、独立に、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、シリル、ボリル、ホスフィノ、アミノ、チオ、セレノ、ニトロおよびそれらの組合せからなる群より選択され;但し、R1は水素でなくてもよく、かつ任意に、2つまたはそれ以上のR1、R2、R3およびR4(例えば、R1およびR2、またはR2およびR3、またはR3およびR4)が一緒になって、水素原子を数えずに50個までの原子を有する縮合環系を形成してもよい。しかし、前記の式において、R2およびR4の両方が水素であるか、または前記のように、縮合環系において結合している。
【0114】
さらに、Mは、ジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり;L1およびL2は、独立に、ハライド、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ヒドロキシ、チオ、ボリル、シリル、アミノ、ヒドリド、アリル、セレノ、ホスフィノ、カルボキシレート、アミンおよびそれらの組合せからなる群より選択される。
【0115】
これらの触媒系の詳しい記載が、米国特許第6794514号および米国特許出願公開第2004/0214714号に見られ、それらは、それぞれ、参照により全体が本明細書に組み込まれる。米国特許出願公開第2004/0214717号および国際公開公報第WO2003/087177号も参照。
【0116】
下記のリガンドを本発明のための触媒系に使用し得る。
【化2】
【0117】
重合系
重合は、チーグラー・ナッタまたはカミンスキー・シン法において、−100℃〜300℃の温度、および大気圧〜3000気圧の圧力で行うことができる。本明細書に記載されている触媒および化合物を用いて、懸濁、溶液、スラリー、気相または高圧重合法を使用し得る。そのようなプロセスは、回分、半回分または連続方式で行うことができる。そのようなプロセスの例は、当分野において周知である。触媒の担体を使用してよく、該担体は、無機(例えば、アルミナ、マグネシウムクロライドまたはシリカ)または有機(例えば、ポリマーまたは架橋ポリマー)であってよい。担持触媒の調製法は、当分野において公知である。当業者に公知の、スラリー、懸濁、溶液および高圧法も、本発明の担持触媒を用いて使用し得る。
【0118】
溶液法は、特定の利益のために規定され、該溶液法は、90℃より高い温度、より正確には100℃より高い温度、さらに正確には110℃より高い温度、さらに正確には130℃より高い温度で行われる。重合に好適な溶媒は、非配位不活性液体である。その例は、下記の溶媒である。直鎖および分岐鎖炭化水素、例えば、イソブタン、ブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、Isopar−E(登録商標)およびそれらの混合物;環式および脂環式炭化水素、例えば、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタンおよびそれらの混合物;過ハロゲン化炭化水素、例えば、過弗素化C4−10アルカン、クロロベンゼン;ならびに、芳香族化合物およびアルキル置換芳香族化合物、例えば、ベンゼン、トルエン、メシチレンおよびキシレン。好適な溶媒は、モノマーまたはコモノマーとして作用し得る液体オレフィンも含み、該オレフィンは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、ブタジエン、シクロペンテン、1−ヘキセン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1,4−ヘキサジエン、1−オクテン、1−デセン、イソブチレン、ジビニルベンゼン、アリルベンゼンおよびビニルトルエン(単独の、または混合物における、全ての異性体を含む)を含む。前記溶媒の混合物も好適である。重合反応に有用な他の添加剤、例えば、掃去剤および捕捉剤も使用し得る。
【0119】
いくつかの実施形態において、コポリマーまたはインターポリマーの分子量が、重合反応器に存在する水素の量によって調節される。従って、超低分子量ポリマーが所望される場合、特に、本明細書に記載される実質的にランダムなポリマーのために、過剰量の水素が使用される。他の実施形態において、分子量調節剤として水素を使用することを必要とせずに、低分子量ポリマーのみが生成されるように特定の触媒が選択される。
【0120】
官能化(Functionalization)
本明細書に開示されているエチレンインターポリマーは、当業者に周知の一般的なグラフト、水素化、ニトレン挿入、エポキシ化または他の官能化反応によって改質し得る。好ましい官能化は、フリーラジカル機構を使用するグラフト反応である。
【0121】
種々のラジカルグラフト可能種を、個々に、または比較的短いグラフトとして、ポリマーに付加し得る。これらの種は、それぞれ少なくとも1個のヘテロ原子を含有する不飽和分子を含む。これらの種は、下記の化合物を含むが、それらに限定されない。無水マレイン酸、ジブチルマレエート、ジシクロヘキシルマレエート、ジイソブチルマレエート、ジオクタデシルマレエート、N−フェニルマレイミド、無水シトラコン酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ブロモマレイン酸、無水クロロマレイン酸、ナジックアンハイドライド(nadic anhydride)、メチルナジックアンハイドライド(metylnadic anhydride)、無水アルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、ジエチルフマレート、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、およびこれらの化合物の各エステル、イミド、塩およびディールス・アルダー付加生成物。これらの種は、シラン化合物も含む。
【0122】
シラン物質種のラジカルグラフト可能種は、個々に、または比較的短いグラフトとして、ポリマーに結合し得る。これらの種は、ビニルアルコキシシラン、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン等を含むが、それらに限定されない。一般に、この種の物質は、シリコンに結合された加水分解基、例えば、アルコキシ、アシルオキシまたはハライド基を含むが、それらに限定されない。この種の物質は、シリコンに結合された非加水分解基、例えば、アルキルおよびシロキシ基も含む。
【0123】
他のラジカルグラフト可能種は、個々に、または短いから長いグラフトとして、ポリマーに結合し得る。これらの種は、下記の化合物を含むが、それらに限定されない。メタクリル酸;アクリル酸;アクリル酸のディールス・アルダー付加生成物;メチル、エチル、ブチル、イソブチル、エチルヘキシル、ラウリル、ステアリル、ヒドロキシエチルおよびジメチルアミノエチルを含むメタクリレート;メチル、エチル、ブチル、イソブチル、エチルヘキシル、ラウリル、ステアリルおよびヒドロキシエチルを含むアクリレート;グリシジルメタクリレート;トリアルコキシシランメタクリレート、例えば、3−(メタクリロキシ)プロピルトリメトキシシランおよび3−(メタクリロキシ)プロピル−トリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン;アクリロニトリル;2−イソプロペニル−2−オキサゾリン;スチレン;α−メチルスチレン;ビニルトルエン;ジクロロスチレン;N−ビニルピロリジノン、ビニルアセテート、メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリロキシメチルトリアルコキシシランおよびビニルクロライド。好ましくは、メタクリル酸;アクリル酸;アクリル酸のディールス・アルダー付加生成物;メタクリレート;アクリレート;グリシジルメタクリレート;トリアルコキシシランメタクリレート;アクリロニトリル;2−イロプロペニル−2−オキサゾリン;スチレン;α−メチルスチレン;ビニルトルエン;ジクロロスチレン;N−ビニルピロリジノン、ビニルアセテート、メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリロキシメチルトリアルコキシシランおよびビニルクロライド。
【0124】
少なくとも1つの前記の種を含有するラジカルグラフト可能種の混合物を使用してもよく、スチレン/無水マレイン酸およびスチレン/アクリロニトリルがその例である。
【0125】
熱グラフト法は反応の1つ方法であるが、他のグラフト法、例えば、種々の形態の放射線、e−ビームまたはレドックスラジカル生成を含む光開始も使用し得る。
【0126】
本明細書に開示される官能化インターポリマーは、ペルオキシド、シラン、硫黄、放射線またはアジドに基づく硬化系を含むがそれらに限定されない種々の連鎖延長または架橋法によって改質してもよい。種々の架橋法の詳しい記載が、米国特許第5869591号および第5977271号に見られ、それらの両方は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0127】
硬化樹脂に関して、好適な硬化剤は、ペルオキシド、フェノール、アジド、アルデヒド−アミン反応生成物、置換尿素、置換グアニジン;置換キサンテート;置換ジチオカルバメート;硫黄含有化合物、例えば、チアゾール、イミダゾール、スルフェナミド、チウラミジスルフィド、パラキノンジオキシム、ジベンゾパラキノンジオキシム、硫黄;およびそれらの組合せを含み得る。元素硫黄は、ジエン含有ポリマー用の架橋剤として使用し得る。
【0128】
いくつかの系において、例えば、シラングラフト系において、架橋を架橋触媒によって促進してよく、この機能を付与する任意の触媒を本発明に使用できる。これらの触媒は、酸および塩基、特に、有機塩基、カルボン酸およびスルホン酸、および有機チタネート、有機ジルコネートを含む有機金属化合物、および鉛、コバルト、鉄、ニッケル、亜鉛および錫の錯体またはカルボキシレートを一般に含む。ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫マレエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、酢酸第一錫、オクタン酸第一錫、ナフテン酸鉛、カプリル酸亜鉛、ナフテン酸コバルト等は、好適な架橋触媒の例である。
【0129】
化学架橋剤を使用する代わりに、放射線の使用または電子ビームの使用によって架橋を行ってもよい。有用な放射線の種類は、紫外線(UV)または可視光線、β線、γ線、X線または中性子線を含む。放射線は、結合し架橋し得るポリマーラジカルを生成することによって架橋を行うと考えられる。
【0130】
熱、湿分硬化および放射線工程の組合せを使用する二重硬化系を、有効に使用し得る。二重硬化系は、米国特許第5911940号および6124370号に開示され、それらは、参照により全体が本明細書に組み込まれる。例えば、シラン架橋剤と組み合わせたペルオキシド架橋剤;放射線と組み合わせたペルオキシド架橋剤;シラン架橋剤と組み合わせた硫黄含有架橋剤を使用するのが望ましい。
【0131】
本明細書に開示されている低分子量ポリマーは、下記の方法を含むがそれに限定されない種々の他の架橋法によって改質してもよい。それらの調製における、ターモノマーとしてのジエン成分の組込み、次に、前記の方法および他の方法(例えば硫黄を、架橋剤として使用する、ビニル基を介した加硫を含む)による架橋。
【0132】
官能化は、末端不飽和基(例えば、ビニル基)または内部不飽和基において行ってもよい(そのような基がポリマーに存在する場合)。そのような官能化は、水素化、ハロゲン化(例えば塩素化)、オゾン化、ヒドロキシル化、スルホン化、カルボキシル化、エポキシ化およびグラフト反応を含むが、それらに限定されない。任意の官能基、例えば、ハロゲン、アミン、アミド、エステル、カルボン酸、エーテル、シラン、シロキサン等、または官能性不飽和化合物、例えば無水マレイン酸を、公知の化学によって末端または内部不飽和に付加できる。他の官能化法は、下記に開示されている方法を含む。米国特許第5849828号、発明の名称「Metalation and Functionalization of Polymers and Copolymers」;第5814708号、発明の名称「Process for Oxidative Functionalization of Polymers Containing Alkylstyrene」;および第5717039号、発明の名称「Functionalization of Polymers Based on Koch Chemistry and Derivatives Thereof」。これらの特許はそれぞれ、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0133】
本明細書に開示されているポリマーを、元素塩素を含む種々の試薬のいずれかで塩素化し、次に、塩素化生成物を種々のアミンのいずれか、例えばエチレンジアミンと反応させて、燃料およびモーター油組成物に有用なアミノ化生成物を得てもよい。例えば、それらの開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3960515号、第4832702号、第4234235号;およびWO92/14806を参照。スルホン化は、下記に開示されている方法によって行うことができる。米国特許第5753774号、発明の名称「Functional Group Terminated Polymers Containing Sulfonate Group Via Sulfonation of Ethylenically Unsaturated Polymers」;第5723550号、発明の名称「Bulk Sulfonation of EPDM Rubber」;第5596128号、発明の名称「Sulfonating Agent and Sulfonation Process」;第5030399号、発明の名称「Method of In-Mold Sulfonation of Molded Plastic Article」;第4532302号、発明の名称「Process for the Sulfonation of an Elastomeric Polymer」;第4308215号、発明の名称「Sulfonation Process」;第4184988号、発明の名称「Process for the Sulfonation of an Elastomeric Polymer」;第4157432号、発明の名称「Bulk Sulfonation Process」;第4148821号、発明の名称「Process for Sulfonation」;それらは全て、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0134】
本発明のいくつかの実施形態に従って、好ましくはフリーラジカル開始剤の存在下に、不飽和を有するポリマーを、カルボン酸生成部分(好ましくは酸または無水物部分)によって、ポリマー鎖上の炭素−炭素不飽和部位において選択的に官能化して、カルボン酸生成部分、即ち、酸または無水物または酸エステル成分を、ポリマー鎖にランダムに結合させる。
【0135】
1つの実施形態において、この選択的官能化は、不飽和α−オレフィンポリマーを、高温においてハロゲン化する、例えば塩素または臭素で塩素化または臭素化することよって、行うことができる。ハロゲン化は、一般に、出発α−オレフィンポリマーと一不飽和官能化反応物との反応性を増加するのを助ける。次に、官能性部分をポリマーに付加することができる充分な一不飽和反応物、例えば一不飽和カルボン酸反応物と、ハロゲン化ポリマーとを高温で反応させ、それによって、得られる生成物は、1モルのハロゲン化ポリマーにつき所望のモル数の一不飽和カルボン酸反応物を含有する。この一般的なプロセスは、米国特許第3087436号、第3172892号、第3272746号に開示され、それらは、それぞれ参照により、全体が本明細書に組み込まれる。
【0136】
そのような一不飽和カルボン酸反応物の例は、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、クロロマレイン酸、無水クロロマレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、および前記の低級アルキル(例えばC1〜C4アルキル)酸エステル、例えば、メチルマレエート、エチルフマレートおよびメチルフマレートである。ポリマーとの反応の際に、一不飽和カルボン酸反応物の一不飽和が飽和される。従って、例えば、無水マレイン酸は、ポリマー置換無水コハク酸になり、アクリル酸はポリマー置換プロピオン酸になる。
【0137】
他の実施形態において、不飽和エチレンインターポリマーは、カルボン酸、カルボン酸エステルまたはチオールエステル官能基を用いて、コッホ(Koch)反応によって、ポリマー鎖中のオレフィン的不飽和結合部位において選択的に官能化し得る。コッホ法は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1つのポリマーを含むポリマー組成物を、コッホ触媒に接触させることを含む。触媒は、好ましくは、従来のブレンステッド酸またはルイス酸触媒である。コッホ反応は、該炭素−炭素二重結合部位においてカルベニウムイオンを形成するのに充分な方法および条件で行われる。カルベニウムイオンを一酸化炭素と反応させて、アシリウムカチオンを形成し、次に、これを水および少なくとも1つのヒドロキシルまたは1つのチオール基含有化合物からなる群より選択される少なくとも1つの求核トラッピング剤と反応させて、官能基、例えば、カルボニル官能基、例えば、カルボニルまたはチオールカルボニル基含有化合物ならびにそれらの誘導体を形成する。コッホ反応によって不飽和ポリマーを官能化するプロセスは、米国特許第5629434号、発明の名称「Functionalization of Polymers Based on Koch Chemistry and Derivatives Thereof」にさらに詳しく開示され、本開示は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0138】
他の実施形態において、不飽和エチレンインターポリマーは、カルボン酸またはエステル部分を用いて、プロトン酸および下記の物質を含む触媒系の存在下に、出発ポリマーを一酸化炭素およびアルコールと反応させることによって、官能化し得る。(a)少なくとも1つの、元素または化合物形態の金属パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウムおよびコバルト、ならびに(b)銅化合物。この種のプロセスは、例えば、公開EP出願第148592号に開示され、本開示は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0139】
さらに他の実施形態において、官能基を、フリーデル・クラフツ反応または他の求電子置換反応によって、インターポリマーに直接的に付加し得る。そのような官能基は、例えば、下記の官能基である。非置換または置換アルキルカルボニル、アリールカルボニルおよびアラルキル基;カルボン酸またはスルホン酸基、またはカルボン酸またはスルホン酸基で置換されたアルキル基;ハロゲン、および後にNH2に変換できるNO2。好ましくは、そのような基は、アシル、例えば、置換または非置換フェニルカルボニル、カルボキシアルキルカルボニル、および置換または非置換カルボキシベンジルを含む。特に好ましい基は、下記の基を含む。−C(O)Me(これは、例えば−CO2Hに、さらに官能化できる);−C(O)−pC6H4−Me(これは、例えば−CH(OH)−pC6H4−Meに、さらに官能化できる);−CH(R5)CH2CH2CO2H;−CH(R5)CH2CH2SO3H;および−CH(R5)−pC6H4−CO2H(ここで、R5は、独立に、水素またはアルキル基から選択される);および−C(O)CH2CH2CO2H。酸基を含有する官能基は、中和によって、イオノマー塩、例えば、亜鉛イオノマーに変換できる。前記の実質的にランダムなポリマーに好都合に有用であることが見出された求電子置換反応は、G.A. Olah, Friedel-Crafts and Related Reactions, Vol.II, Part 2, J. Wiley & Sons, N.Y., 1964に記載のように行い得る。
【0140】
シラン官能化エチレンインターポリマー
1つの実施形態において、本発明は、少なくとも1つのシラン化合物でグラフトされたエチレンインターポリマーを提供する。グラフトシランオレフィンインターポリマーは、少量の加水分解生成物および/または他の誘導体を含有してもよく、しなくてもよい。
【0141】
好適なシランは、一般式(I)のシランであるがそれらに限定されない。
CH2=CR−(COO)x(CnH2n)ySiR’3 (I)
【0142】
この式において、Rは、水素原子またはメチル基であり;xおよびyは、0または1であり、但し、xが1のとき、yは1であり;nは、1〜12(1と12を含む)、好ましくは1〜4の整数であり;各R’は、独立に、下記の基を含むがそれらに限定されない有機基である。1〜12個の炭素原子を有するアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ)、アラルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ)、脂肪族または芳香族シロキシ基、芳香族アシルオキシル基、1〜12個の炭素原子を有する脂肪族アシルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、プロパノイルオキシ)、アミノまたは置換アミノ基(アルキルアミノ、アリールアミノ)、または1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル基。
【0143】
1つの実施形態において、シラン化合物は、ビニルトリアルコキシシラン、ビニルトリアシルオキシシランまたはビニルトリクロロシランから選択される。さらに、エチレンインターポリマーを有効にグラフトし、かつ/または架橋する任意のシランまたはシランの混合物を、本発明の実施において使用することができる。好適なシランは、エチレン的不飽和ヒドロカルビル基、例えば、ビニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、シクロヘキセニルまたはγ−(メタ)アクリルオキシアリル基、および加水分解基、例えば、ヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルボニルオキシまたはヒドロカルビルアミノ基、またはハライドの両方を含む不飽和シランを含む。加水分解基の例は、メトキシ、エトキシ、ホルミルオキシ、アセトキシ、プロピオニルオキシ、クロロ、およびアルキルまたはアリールアミノ基である。好ましいシランは、ポリマーにグラフトできる不飽和アルコキシシランである。これらのシランおよびそれらの調製法は、Meverdenらの米国特許第5266627号にさらに詳しく記載され、本特許は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。好ましいシランは、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(γ−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン)、およびそれらの混合物である。
【0144】
シランは、一般にフリーラジカル開始剤、例えばペルオキシドおよびアゾ化合物等の存在下に、任意の常套法によって、または電離放射線によって、ポリマーにグラフトすることができる。有機開始剤、例えば、いずれか1つのペルオキシド開始剤、例えば、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルベンゾエート、ベンゾイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオクトエート、メチルエチルケトンペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ラウリルペルオキシド、およびt−ブチルペルアセテートが好ましい。好適なアゾ化合物は、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)である。
【0145】
使用される開始剤およびシランの量は、シラングラフトポリマーの最終構造、例えば、グラフトポリマーにおけるグラフトの程度および硬化ポリマーにおける架橋の程度に影響を与える。次に、得られた構造が、最終生成物の物理的および機械的特性に影響を与える。一般に、使用される開始剤およびシランの量は、ポリマーにおいて所望レベルの架橋およびその結果としての特性を付与するために決定される量を超えない。
【0146】
グラフト反応は、ポリマー主鎖へのグラフトを最大にし、副反応、例えば、ポリマーにグラフトされていないグラフト剤の単独重合を最少にする条件下で行うべきである。いくつかのシラン剤は、分子構造における立体的特徴、低反応性および/または他の理由により、最小限の単独重合を受けるかまたは全く受けない。
【0147】
シラン化グラフトの硬化(架橋)は架橋触媒を用いて促進され、特定のグラフトシランの架橋を有効に促進する任意の触媒を使用することができる。これらの触媒は、一般に、酸および塩基、ならびに有機金属化合物を含み、該有機金属化合物は、有機チタネート、有機ジルコネート、ならびに鉛、コバルト、鉄、ニッケル、亜鉛および錫の錯体およびカルボキシレートを含む。
【0148】
ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫マレエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、酢酸第一錫、オクタン酸第一錫、ナフテン酸鉛、カプリル酸亜鉛、ナフテン酸コバルト等を使用することができる。触媒の量は、対象の特定の系に依存する。
【0149】
本発明の特定の実施形態において、放射線、熱、湿分および架橋工程の組合せを使用する二重架橋系を有効に使用し得る。例えば、シラン架橋剤と組み合わせたペルオキシド架橋剤、放射線と組み合わせたペルオキシド架橋剤、またはシラン架橋剤と組み合わせた硫黄含有架橋剤を使用することが望ましい場合もある。二重架橋系は、米国特許第5911940号および第6124370号に開示され、かつ主張され、それら両特許の全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0150】
無水マレイン酸官能化オレフィンインターポリマー
他の実施形態において、本発明は、無水マレイン酸でグラフトされたエチレンインターポリマーを提供する。グラフト無水マレイン酸オレフィンインターポリマーは、少量の加水分解生成物および/または他の誘導体を含有する場合もあり、含有しない場合もある。
【0151】
無水マレイン酸、ならびに他の多くの不飽和へテロ原子含有種は、一般にラジカル開始剤、例えばペルオキシドおよびアゾ種の化合物等の存在下に、任意の常套法によって、または電離放射線によって、ポリマーにグラフトし得る。有機開始剤、例えばいずれか1つのペルオキシド開始剤、例えば、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルベンゾエート、ベンゾイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオクトエート、メチルエチルケトンペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、ラウリルペルオキシド、およびt−ブチルペルアセテートが好ましい。好適なアゾ化合物は、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)である。有機開始剤は、種々の温度において変化する反応性を有し、種々のタイプのグラフト用フリーラジカルを生成し得る。当業者は、グラフト条件に必要とされる適切な有機開始剤を選択し得る。
【0152】
グラフト工程に使用される開始剤の量および種類、無水マレイン酸の量、ならびに温度、時間、剪断応力、環境、添加剤、希釈剤等を含む反応条件は、マレイン酸化ポリマーの最終構造に影響を与え得る。例えば、グラフトポリマーにグラフトされる無水マレイン酸/無水コハク酸、それらのオリゴマー、および加水分解生成物を含むそれらの誘導体の程度は、前記の考慮事項によって影響を受け得る。さらに、分岐の程度およびタイプ、ならびに架橋の量も、反応条件および濃度によって影響を受け得る。一般に、マレイン酸化プロセスの間の架橋が最小限にされるのが好ましい。基剤オレフィンインターポリマーの組成も、マレイン酸化ポリマーの最終構造において役割を担っている。次に、得られた構造が、最終生成物の特性および用途に影響を与える。一般に、使用される開始剤および無水マレイン酸の量は、所望レベルのマレイン酸化および所望のメルトフロー(それぞれ、官能化ポリマーおよび後のその使用に必要とされる)を与えるために決定される量を超えない。
【0153】
グラフト反応は、ポリマー主鎖へのグラフトを最大にし、副反応、例えば、オレフィンインターポリマーにグラフトされていないグラフト剤の単独重合を最少にする条件下で行うべきである。いくらかの部分の無水マレイン酸(および/またはその誘導体)がオレフィンインターポリマーにグラフトしていないことは異例ではなく、未反応グラフト剤が最小限にされることが一般に望ましい。グラフト反応は、メルト、溶液、固体状態、膨潤状態等において行ってよい。マレイン酸化は、種々の装置で行ってよく、該装置は、例えば、二軸スクリュー押出機、一軸スクリュー押出機、ブラベンダー、回分反応器などであるが、それらに限定されない。
【0154】
本発明の他の実施形態は、他のカルボニル含有化合物でグラフトされたオレフィンインターポリマーを提供する。そのような化合物は、ジブチルマレエート、ジシクロヘキシルマレエート、ジイソブチルマレエート、ジオクタデシルマレエート、N−フェニルマレイミド、無水シトラコン酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ブロモマレイン酸、無水クロロマレイン酸、ナジックアンハイドライド、メチルナジックアンハイドライド、無水アルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、ジエチルフマレート、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、ならびにそれらのエステル、それらのイミド、それらの塩、およびそれらのディールス・アルダー付加生成物を含むが、それらに限定されない。
【0155】
定義
本明細書に記載されている任意の数値範囲は、1単位の増加分における下方値〜上方値の全ての数値を含み、但し、任意の下方値と任意の上方値との間に少なくとも2単位の差があるものとする。例として、組成的、物理的または機械的特性、例えば、分子量、粘度、メルトインデックス等が100〜1,000であると記載されている場合、全ての個々の数値、例えば、100、101、102等、および部分範囲、例えば、100〜144、155〜170、197〜200等は、本明細書に明確に示されているものとする。1より小さい数値を含有するか、または1より大きい小数(例えば、1.1、1.5等)を含有する範囲の場合、1単位は、適宜0.0001、0.001、0.01または0.1であると考えられる。10未満の1桁の数を含有する範囲(例えば、1〜5)の場合、1単位は、一般に0.1であると考えられる。これらは、特に意図される例にすぎず、最小値と最大値との間の数値のあらゆる可能な組合せが、本出願において明確に記載されていると考えるべきである。溶融粘度、数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布、種々の温度(Tm、Tc)、結晶化度パーセント、%コモノマー、Rv値、コモノマー中の炭素原子の数、密度および他の特性に関して、数値範囲がほん明細書に記載のように示されている。
【0156】
本明細書において使用される「組成物」という用語は、組成物を含む材料の混合物、ならびに組成物の材料から形成された反応生成物および分解生成物を含む。
【0157】
本明細書において使用される「ブレンド」または「ポリマーブレンド」という用語は、2つまたはそれ以上のポリマーのブレンドまたは混合物を意味する。そのようなブレンドは、混和性(分子レベルにおいて相分離しない)であってもよく、そうでなくてもよい。
そのようなブレンドは、相分離してもよく、しなくてもよい。そのようなブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、および当分野で公知の他の方法によって測定される1つまたはそれ以上のドメイン配置を含有してもよく、しなくてもよい。
【0158】
本明細書において使用される「ポリマー」という用語は、同じかまたは異なる種類のモノマーを重合することによって調製される高分子化合物を意味する。従って、総称語のポリマーは、ただ1種類のモノマーから調製されたポリマーを意味するために一般に使用されるホモポリマーという用語、および以下に定義されるインターポリマーという用語を含む。
【0159】
本明細書において使用される「インターポリマー」という用語は、少なくとも2種類のモノマーの重合によって調製されたポリマーを意味する。従って、総称語のインターポリマーは、2種類のモノマーから調製されたポリマーを意味するために一般に使用されるコポリマー、および3種類以上のモノマーから調製されたポリマーを含む。
【0160】
本明細書において使用される「エチレンインターポリマー」、「エチレン/α−オレフィンインターポリマー」および関連用語は、50mol%またはそれ以上の重合エチレンモノマーを含有するエチレン系インターポリマーを意味する。
【0161】
本明細書において使用される「低分子量エチレンインターポリマー」および「高分子量エチレンインターポリマー」は、2つの異なるインターポリマーを意味し、「高分子量エチレンインターポリマー」の重量平均分子量は、「低分子量エチレンインターポリマー」の重量平均分子量の、少なくとも2倍、好ましくは少なくとも5倍、より好ましくは少なくとも10倍である。重量平均分子量は、当分野において公知の従来法、例えば、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定することができる。「低分子量エチレンインターポリマー」および「高分子量エチレンインターポリマー」は、GPCによって識別することができる。
【0162】
本明細書において使用される「官能化エチレンインターポリマー」および関連用語は、基剤ポリマーと、1つまたはそれ以上の化合物との反応生成物を意味する。反応は、ラジカル開始剤、アニオン開始剤、カチオン開始剤、放射線、熱的手段および他の反応開始手段によって開始し得る。反応生成物は、フリーラジカル、アニオンおよびカチオン機構によって生成されたグラフトポリマー、およびニトレン挿入反応によって得られた生成物を含むが、それらに限定されない。
【0163】
本明細書において使用される「シラングラフト」という用語は、高分子構造の主鎖における、1つまたはそれ以上のシラン剤から誘導されたシラン含有部分の化学結合を意味する。そのような部分は、高分子構造内に結合させる(側基として)か、または高分子構造の末端に結合させてよく、1つまたはそれ以上のシラン部分を、主鎖の特定の位置において結合させてよい。さらに、この用語は、グラフトポリマーの任意の有意な程度の架橋前に、架橋反応によって2つまたはそれ以上のポリマー鎖を連結する少量のシラン成分も含む。
【0164】
試験法
NMR分析前のポリマー再沈殿のためのNMR一般手順
下記の実験セクションの試料に存在し得る添加剤、触媒残渣および他の不純物からの干渉を最小限にするために、ポリマーを1H NMR分析前に再沈殿させた。不活性雰囲気下に、0.5〜1gのポリマーを熱いISOPAR Eに溶解させた。熱い溶液を600mLのメタノールに攪拌しながら注ぐことによって、ポリマーを再沈殿させた。ポリマーを濾過によって収集し、メタノールのアリコートで洗浄し、次に、ジクロロメタン中で2時間抽出した。抽出ポリマーを濾過によって収集し、真空オーブンで40℃において一晩乾燥させた。
【0165】
エチレン−オクテンコポリマー中の不飽和を定量し同定するために使用される1H NMR法の一般手順
ポリエチレン主鎖からの大プロトン信号を除去するために、ピーク抑制法を用いて、1H NMR分光法の感度を高めた。これは、約1時間データ収集時間において、百万分率範囲における検出限界を可能にする。これは、一部では、−CH2−プロトンからの信号の100,000倍減少によって達成でき、次にこれは、より高い信号利得値を使用してデータを収集することを可能にした。その結果、不飽和末端基を迅速かつ正確に定量することができる。
【0166】
この触媒を用いて生じた高レベルの末端ビニル不飽和を、(ビニル基)対(全ての末端不飽和の合計)の比率Rvとして定量し、これは以下のように定義され、
【数1】
式中、[ビニル]は、分離ポリマー中のビニル基の濃度(ビニル/1000炭素原子)であり、[ビニリデン]、[シス]および[トランス]は、それぞれ、分離ポリマー中のビニリデン、シスおよびトランスビニレン基の濃度(1000炭素原子当たりの量)である。
【0167】
試料は、約0.100gのポリマーを、10mm NMR管中の2.5mLの溶媒に添加することによって調製した。使用した溶媒は、1,1,2,2−テトラクロロ−エタン−d2およびペルクロロエチレンの50/50混合物であった。管およびその内容物を130℃で加熱し渦を巻かせることによって、試料を溶解させ、均質化した。Varian Unity Plus 400MHz NMR分光計を使用して、NMRデータを収集した。Presat実験に使用した収集パラメータは、パルス幅30μs、200過渡(transients)/データファイル、1.6秒収集時間、スペクトル幅10,000Hz、32Kデータ点のファイルサイズ、温度設定値110℃、D1遅延時間4.40秒、Satdly 4.0秒、およびSatpwr 16を含む。
【0168】
溶媒/非溶媒試料のコモノマー含有量に関する13C NMR
クロミウムアセチルアセトネート(緩和剤(relaxation agent))中0.025Mを含有した3gのテトラクロロエタン−d2/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物を、10mm NMR管中の0.4gの試料に添加することによって、試料を調製した。管およびその内容物を150℃に加熱することによって、試料を溶解させ、均質化した。100.6MHzの13C共鳴周波数に対応するVarian Unity Plus 400MHz NMR分光計を使用して、データを収集した。緩和剤の存在下の定量的13Cデータ収集を確実にするように、収集パラメータを選択した。ゲーテッド1Hデカップリング、4000過渡/データファイル、6秒パルス繰返し遅延、スペクトル幅24,200Hzおよびファイルサイズ 64Kデータ点を使用して、130℃に加熱したプローブヘッドを用いてデータを収集した。
【0169】
ゲル透過クロマトグラフィー
クラマトグラフィーシステムは、Polymer Laboratories Model PL−210またはPolymer Laboratories Model PL−220からなっていた。カラムおよび回転式区画(carousel compartments)を140℃で操作した。1,2,4−トリクロロベンゼンの溶媒を用いて、3つPolymer Laboratories 10ミクロン Mixed−Bカラムを使用した。試料を、50mLの溶媒中0.1gのポリマーの濃度で調製した。試料を調製するために使用した溶媒は、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有した。試料を、160℃で2時間にわたって軽く攪拌することによって調製した。注入量は100μLであり、流量は1.0mL/分であった。GPCカラムセットの校正は、Polymer Laboratoriesから購入した狭い分子量分布のポリスチレン標準を用いて行った。下記の等式を用いて、ポリスチレン標準ピーク分子量を、ポリエチレン分子量に変換した。
Mポリエチレン=A(Mポリスチレン)B (1)
(式中、Mは分子量であり、Aは0.4316の数値を有し、Bは1.0に等しい)。
ポリエチレン当量(equivalent)分子量計算は、Viscotek TriSECソフトウエア バージョン3.0を用いて行った。
【0170】
GPC解析手順
GPC解析アルゴリズムは、ポリマー試料を、2つの最も確度が高い分子量分布(および調整可能誤差項)に適合させた。基礎をなす分布における変動を説明するために、基底関数(basis functions)を調整して、各成分の基底関数が分子量軸に沿って変化する程度に、変化し得るようにする正規分布項を組み込んだ。その利点は、限界において(in the limit)、基底関数が、簡単な、最も確度が高い、フローリー分布になることである。
【0171】
3成分(j=1,2,3)を導き(derived)、第三成分(j=3)は調整可能誤差項である。GPCの分子量分布を、重量画分(weight fraction)対Log10分子量ベクトルに正規化した。従って、解析のための各ポテンシャル曲線は、高さベクトルhiからなるべきであり、その高さは、公知の間隔のLog10分子量において記録され、hiは、溶離容量ドメイン(elution volume domain)からLog10分子量ドメインに正確に変換され、hiは正規化される。各成分jは、最も確度が高いフローリー分布からなり、これは、パラメータσjを使用して正規またはガウス広がり関数(Gaussian spreading function)でコンボリュートされている(convoluted)。得られた3つの基底関数を、カイ二乗、X2、最小化ルーチンに使用して、hiにおけるn点に最も適合するパラメータを特定し、GPCデータベルトルは以下の通りであり、
【数2】
式中、CumNDj,kは、下記の点(x)における正規累積分布関数であり、
x=μj+(k−10)*σj/3
変数は表1に記載されている。
【0172】
【表1】
【0173】
カイ二乗最小化から導かれる8つのパラメータは、μ1、μ2、μ3、σ1、σ2、σ3、w1およびw2である。次に、3成分の合計は1に等しくなければならないので、項w3(誤差画分)がw1およびw2から導き出される。エクセルアプリケーション、Solverを最小化手順に使用し、表2に示すように、適正な最小化を確実にするために制約が加えられる。
【0174】
【表2】
【0175】
理解される他の制約は、μj>0のみが許容されるという制限を含む。さらに、wjは全て正であるべきことが理解される。この制約は、solver以外で処理することができる。wjが区間0.0<P1<P2<1.0に沿った2点の選択から生じると理解される場合、それによりw1=P1、w2=P2−P1およびw3=1.0−P2であり;従って、P1およびP2を限定することは、wjに関して先に必要とされた制約に相当する。フィット(fit)のための最適曲率マトリックス(curvature matrix)を得るために、表3に示すように、Solverにおいて以下のオプションを設定した。
【0176】
【表3】
【0177】
μ1、μ2、w1およびw2の数値の第一推定値は、観測GPC分布に関する観測重量平均、数平均およびz−平均分子量を与える2つの理想フローリー成分を想定することによって、得られる。次に、小誤差項w3を与えるためにμ1、μ2、w1およびw2を求め、最小化工程のためにSolverに入力する前に予め与えた制約を満たす。σjの初期値は、全て0.05に設定される。
【0178】
ブルックフィールド粘度
ブルックフィールド粘度は、サーモセル(Thermosel)および使い捨てアルミニウム試料室を取り付けたブルックフィールドLVDVII+において、ASTM D 3236−04に従って測定した。スピンドルは、一般に、30〜100,000センチポアズの範囲の粘度を測定するのに好適なSC−31ホットメルトスピンドルであった。切刃を使用して、1インチ幅、5インチ長さの試料室に適合するのに充分に小さい片に試料をカットした。試料を室に入れ、次に、室をブルックフィールドサーモセルに挿入し、曲り先細プライヤーで所定の位置に固定した。試料室は、ブルックフィールドサーモセルの底に嵌合する底にノッチを有して、スピンドルが挿入され回転する際に、室が回転しないようにした。試料を所望の温度に加熱し、追加の試料を、溶融試料が試料室の最上部より約1インチ未満になるまで、添加した。粘度測定装置を降下させ、スピンドルを試料室に沈めた。粘度計のブラケットがサーモセルに整列するまで、降下を継続した。粘度計を作動させ、30〜60%の範囲においてトルク読み取りに至らせる剪断速度に設定した。読み取りは、約15分間にわたって、または数値が安定化するまで(その際に、最終読み取りを記録した)、毎分行った。
【0179】
示差走査熱量測定
示差走査熱量測定(DSC)データを、TA Q1000熱量計で収集した。5〜8mgの試料片を、安全かみそりの刃で大きい試料片からカットし、分析用の皿に直接的に入れた。これは、薄膜が、通常、プレスされる高分子量試料と対照的である。これらの試料がプレスの間に粘着性であるかまたはあまりに容易に流動する傾向があるので、プレスは行われなかった(しかし、密度試験に使用されるので、プラークは形成することができる)。試料を180℃に加熱し、3分間にわたって定温に維持して、完全な溶融を確実にした(第一加熱)。次に、試料を10℃/分で−60℃に冷却し、3分間にわたって定温に維持した。次に、試料を10℃/分で150℃に加熱した(第二加熱)。第二加熱曲線および冷却曲線をこの操作において記録する。
【0180】
Perkin−Elmer DSC 7を使用して、示差走査熱量測定によって、結晶化度パーセントを求める。結晶化度パーセントは、下記の方程式で算出でき、
%Cryst.=(A/292 J/g)×100
式中、「%Cryst.」は結晶化度パーセントを表し、Aは、DSCプロフィールから求められるエチレン系ポリマーの融解熱(ジュール/グラム(J/g))を表す。
【0181】
レオロジー
動的および細管レオロジーの両方を、選択試料において行った。動的実験は、Rheometrics RMS−800において、125℃で、50mm平行板において、周波数範囲0.1〜100ラド/秒にわたって、5ポイント/デケード、窒素パージ中で行った。毛管実験は、125℃で、Gottfert Rheograph 2003において行った。フラット入射角(flat entry angle)を有する0.5mm直径、30長さ/直径の細管を有する200バール圧力変換器を、剪断速度>100s-1で使用した。
【0182】
溶媒/非溶媒分別
4つの試料の異なる分子量画分を、PolymerChar(バレンシア、スペイン)によって製造されている市販の分取CRYSTAFユニットにおける溶媒/非溶媒分別によって分離した。分別を、恒温条件における、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGMBE)(非溶媒)とo−キシレン(溶媒)との混合物の継続的添加によって行った。キシレンは1wt% BHTを添加剤として含有し、DEGMBEは添加剤を含有しなかった。特定の溶媒組成および温度において、ポリマーはゾルゲル状態であり、可溶相に残留するポリマーの分子量を、所与の溶媒/非溶媒組成におけるポリマー溶解度によって求める。
【0183】
分取CRYSTAF法において、次に、可溶性ポリマーを濾過し、窒素圧力によって、溶液を加熱トランスファーラインを通って収集ガラス瓶に移すことによって収集する。次に、後続の分子量画分を、溶媒量を増加させることによって(より少ない非溶媒の量)収集し、より高い分子量のポリマーを可溶化する。これらの分別実験において、2つの画分を収集した。一方は、85%vol/vol DEGMBE/o−キシレンであり、他方は、100%キシレンであった。各画分についての総容量は200mLであった。
【0184】
一般に、1gの全ポリマーを、130℃における溶媒豊富条件(3.88g/4Lのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する100% o−キシレン)において溶解させることによって手順を実施した。2時間の溶解時間、次に、15分間の120℃での安定化の後に、溶液を30℃に冷却して、溶液からポリマーを沈殿させ結晶化した。この30℃における付加的沈殿工程は、物質が第一非溶媒/溶媒組成物から可溶化状態のまま残らないようにするために、初回のためにだけに行われた。次に、第一分子量画分(最も低い)を、必要量のDEGMBE(この場合、容量の85%)の添加によって沈殿させ、次に、15分間にわたって安定化させ、次に、溶液を124℃に加熱した。一旦、124℃になれば、溶液を120℃に冷却し、ゲル−ゾル組成物を安定化させる。次に、物質の可溶性部分を、加熱ラインを通ってガラス容器に移し収集した。沈殿物質(より高い分子量の画分)をその容器に保持した。次に、この残留画分を、前記と同様の工程によって100%キシレンで溶解させた。収集されたこの最後の画分はo−キシレン溶媒に完全に可溶性であり、収集された最も高い分子量の画分である。
【0185】
FTIR(組み込まれたシランレベル)
官能化ポリマーに存在するグラフトビニルトリエトキシシラン(VTES)のパーセントを、1105cm-1(Si−O)および2023cm-1(内部厚さ)におけるFTIR吸光度に基づいて求めた。1105/2023ピーク高さの比率を、中性子放射化によって測定されたシランの公知濃度に対してプロットした。7〜10ミルの厚さの試料フィルムを、液圧プレスにおいて、低(接触)圧において75℃で2分間および高圧(20,000psi)で1分間加熱することによって調製した。試料を取り出し、室温に冷却した。次に、フィルムをフィルムホルダーに入れ、真空オーブンに50℃で1時間入れた。オーブン老化の後に、試料を室温で24時間維持し、次に、スペクトルを収集した。スペクトルは、オーブン中に1時間の時点(この初期オーブン老化は、一般に、95%の非グラフトシランを除去する)、および室温で24時間維持した後に、収集した。次に、1105cm-1ピーク高さ対2019cm-1ピーク高さの比率を用いて、%VTESを算出した。
【数3】
【0186】
この相関関係は、%ビニルトリエトキシシランを求めるためのFTIRおよび中性子放射化データの使用に基づいていた。
【0187】
密度は、ASTM D−792−00に従って測定される。測定を行う前に、成形試料を23℃(±2℃)および50%相対湿度(±5%)において1時間にわたって調節した。
【0188】
実験
一般:全ての有機金属反応および重合を、真空雰囲気グローブボックス中の精製アルゴンまたは窒素雰囲気下、および真空オーブン中150℃で一晩にわたって事前に乾燥させたガラス器中で行った。全ての溶媒は、無水であり、公知の方法によって脱酸素し精製した。全てのリガンドおよび金属先駆物質を、当業者に公知の手順(例えば、不活性雰囲気条件下など)によって調製した。
【0189】
I.半回分反応器エチレン/1−オクテン共重合法(ガロン溶液)
A.材料および反応
特に指定しなければ、全ての試薬は、嫌気条件下で取り扱われた。溶媒は、Fisher Scientificから無水溶媒として得た。それらを、乾燥窒素でスパージし、乾燥アルミナカラムに接触させた。
【0190】
B.触媒系
触媒系は、ジルコニウムビスフェノキシトリアゾール(ビス[2,4−ジ−t−ブチル−6−(5−クロロ−2H−ベンゾ−トリアゾル−2−イル)フェノキシ]ビス−(ジメチルアミノ)ジルコニウム)(CAT 51とも表記される)、トリイソブチルアルミニウム(TiBAl)およびアーミーニウム(Armeenium)ボレートを含有した。
【化3】
【0191】
C.ビス[2,4−ジ−t−ブチル−6−(5−クロロ−2H−ベンゾ−トリアゾル−2−イル)フェノキシ]ビス−(ジメチルアミノ)ジルコニウム(CAT 51)の調製
ドライボックスにおいて、2,4−ジ−t−ブチル−6−(5−クロロ−2H−ベンゾ−トリアゾル−2−イル)フェノール(25g、70.11mmol)を、1Lの丸底フラスコに入れ、ペンタン(150mL)に溶解させて、溶液を形成した。ペンタン(150mL)中のテトラキス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(9.38g、35.05mmol)を、この溶液に添加した。混合物を1時間攪拌し、次に、揮発性物質を真空除去して、黄色固形物を得た。黄色固形物をさらに精製せずに使用した(収率、91%)。
【0192】
D.半回分反応器エチレン/1−オクテン重合(ガロン反応器)−典型的手順
1ガロンの攪拌反応器に、1440gのISPAR−Eおよび127gの1−オクテンを装入した。約450psigの全反応器圧力において、混合物を130℃に加熱し、エチレンで飽和させた。触媒溶液は、ドライボックス中で、触媒先駆物質、アーミーニウムボレートおよびトリイソブチルアルミニウムの溶液を合わせて、3μmolのZr、3.6μmolのアーミーニウムボレートおよび150μmolのAlとすることによって調製した。次に、触媒溶液を注入器で触媒添加ループに移し、高圧溶媒の流れを使用して反応器に注入した。重合を10分間進め、その間にエチレンを必要に応じて供給して450psigの圧力を維持した。重合の間に消費されたエチレンの量を、質量流量計で監視した。ポリマー溶液を、イソプロパノールを含有する窒素パージガラス反応釜に入れた。添加剤溶液を添加し、ポリマー溶液を攪拌して、充分な混合を促進した。内容物をガラス皿に注入し、冷却し、フード中で一晩静置し、次に、真空オーブン中で2日間乾燥させた。
【0193】
E.回分反応器(Batch Reactor)結果−触媒、GPC、およびNMR末端基分析
回分反応器重合の結果が、表4に要約されている。ゲル透過クロマトグラフィーの結果は、表5に要約され、粘度およびDSCの結果は表6に要約されている。ビスアミドジルコニウム触媒を、先ず、トリイソブチルアルミニウム(TIBAl)に、種々の比率および接触時間で接触させて、アーミーニウムボレート活性剤での活性化の前に、触媒のアルキル化に最も有効な条件を決定した。試料B1は、0.9435g/ccの密度を有し、試料B2は0.9432g/ccの密度を有し、試料B6は0.9444g/ccの密度を有し、試料B8は0.9464g/ccの密度を有した。
【0194】
【表4】
【0195】
【表5】
【0196】
CAT 51を用いて生成した回分反応器樹脂のGPCプロフィール分布が、図1および2に示されている。ポリマーのGPC分析は、表5に示されているように、大部分のポリマーが、極めて低い分子量を有し、少量の高分子量画分を有することを示した。GPCトレースの解析は、全分子量分布は極めて広い(Mw/Mn 約8〜64)が、個々の低および高分子量画分は約2〜8のMw/Mnを有することを示した。ポリマーの高分子量画分は0.4%〜17.0%(wt%)で変動し、Mwは130,000〜490,000g/molに亘り、Mnは30,000〜215,000g/molに亘っていた。ポリマーの主要低分子量部分は、250〜900g/molのMw、200〜450g/molのMn、および2〜3のMw/Mnを有した。
【0197】
さらに、触媒重合は、極めて高いビニル末端を有するポリマーを生成した。重合を回分反応器条件下で行った場合、全ポリマー鎖の97%以上が、ポリマーの末端にビニル末端基を有した。鎖末端分布の一貫性が、表1に示されている。不飽和鎖末端の分布は、TIBAL比率または触媒有効性によって影響を受けなかった。この高ビニル末端は、以下のような種々の方法による反応器後ポリマー官能化の手段を与える。シランまたは無水マレイン酸のグラフト、または他の官能基、例えば、スチレン、ペルフルオロアルキルエタン(弗素官能基)、アクリル酸/アクリレート等のグラフト。
【0198】
F.粘度およびDSC分析
ブルックフィールド粘度およびDSCプロフィールを、表6に示すように、試料9を除く全ての試料について測定した。試料の粘度は一般に低く、15cP〜1,320cP(149℃にて)の範囲であり、但し、最高粘度試料、試料4および試料10は除き、それらは149℃において、それぞれ14,007cPおよび>100,000cPの粘度を有した。これらの高粘度試料の両方は、多くの量の高分子量物質(>5%)を含有した。試料1〜3および5〜9は、それらの粘度および高結晶化度(72〜79%)に基づくワックス組成物に好適である。試料4の粘度範囲は、ホットメルト接着剤のポリマー成分の粘度と類似している。
【0199】
DSC加熱プロフィールが図3に示されている。表6におけるDSCデータの要約、および図3のプロフィールから分かるように、これらの物質は、複数の融点を示し、試料の高結晶化度(72〜79%)は、ほとんどのオクテンが結晶化度レベルを減少させるために有効に組み込まれていないことを示した。
【0200】
【表6】
【0201】
G.レオロジー(選択試料)
選択樹脂、試料B4およびB5の、剪断減粘、または剪断速度の関数としての粘度の変化を調べ、単一モードの試料と比較した。試料B4は多い量(5%)の高分子量画分を含有し、試料B5は少ない量の高分子量画分(0.8%)を含有した。さらに、2つの比較試料を選択し、各比較試料は、試料B4または試料B5(CAT 51試料)と同等の、比較的低い分子量分布(Mw/Mn=2.2〜2.9)および149℃におけるブルックフィールド粘度を有した。結果の要約を表7に示す。
【0202】
図4は、CAT 51を使用して調製した2つの回分反応器ビニル末端試料、および2つの比較試料についての、剪断速度の関数としての粘度(T=125℃)を示す。CAT 51触媒系を使用して調製した試料は、増加する剪断速度に伴って向上した加工性を示した。比較試料は、0.1〜100ラド/秒に亘る増加する剪断速度に伴って、剪断減粘または粘度の減少を本質的に示さなかったが、2つのCAT 51試料は45〜54%の減少を示した。試料B5について、低い剪断粘度は約340cPであったが、10,000s-1における高い剪断粘度は、約1ポアズであり、水の剪断粘度に近く、高剪断速度における優れた加工性を示した。
【0203】
H.溶媒/非溶媒分別(選択試料)
先に実験した2つの同じCAT 51試料(試料B4および試料B5)を、さらに、分別し、GPCおよびNMRによって実験して、それらの組成、および特に、所定試料の両画分が同量のコモノマーおよび高ビニル不飽和を含有するかを、確認した。分別は、試験セクションにおいて先に記載したように行った。結果を表8に示す。
【0204】
【表7】
【0205】
【表8】
【0206】
溶媒/非溶媒分別によって測定された試料B4および試料B5のそれぞれの2画分のGPCプロフィールを、全ポリマーのGPCと共に、それぞれ図5および図6に示す。
【0207】
各試料について収集した2つの画分のGPC結果(表8ならびに図5および図6に示す)、は、元試料のGPCの解析によって電子的に求めた結果に充分に照合できた。1H NMR結果は、低分子量画分が最高レベルのビニル不飽和を有したことを示し、主要画分として、これらのビニルレベルは全ポリマーの典型を示す。興味深いことに、各高分子量画分は、ビニリデン鎖末端の増加に伴って、ビニル鎖末端の減少を示した。
【0208】
各画分のコモノマー含有量についての13C NMR結果は、少しのオクテン(約1wt%)しか低分子量画分に組み込まれず、多くのオクテン(5〜12wt%)が少量相(約1〜5%)高分子量画分に組み込まれていることを示した。これらの結果は、末端基分析の結果と一致している。
【0209】
II.エチレン−オクテン重合(連続法)
A.典型的方法(連続法)
温度調節用ジァケットおよび内部熱電対を取り付けた1ガロンの反応器に、精製ISOPAR−E溶媒、エチレン、水素、および1−オクテンを供給した。1−オクテンを溶媒流れと混合した。ポンプおよび質量流量計を使用して、触媒成分溶液を反応器に供給し、触媒フラッシュ溶媒と混合した。触媒流れが、反応器の下部であるがモノマー流れと異なるポート(port)に入った。反応器を、液体満杯で(liquid full)、450psigにおいて、強烈攪拌下に稼動させた。工程流れ方向は、底から「イン」、上部から「アウト」であった。重合を、少量の水の添加によって停止し、安定剤または添加剤は添加しなかった。
【0210】
連続実験からのプロセスデータの要約を表9に示す。この表における数値は、1時間ごとの製造結果の平均値を表す。
【表9】
【0211】
CAT 51系の低分子量能力を、「8cP」(149℃にて)物質が作製された試料R1において、例示する。CAT 51を使用して作製された連続法試料のGPCプロフィールが、図7に示されている。これらの試料のDSC加熱曲線が図8に示されている。
【0212】
連続法によって作製された試料は、極めて低い粘度(149℃において8〜30cP)であった。より高い結晶化度であった回分反応器試料と対照的に、連続法試料は、より低い結晶化度(46〜53%)および融点(70〜100℃)を示した。その試料は、1〜35%(wt%)のより高い分子量成分を含有した;これらの少量成分の分子量は、回分反応器試験からの対応する成分の分子量(Mn 約32,000〜212,000g/mol)より低かった(Mn 約5,900〜14,000g/mol)。粘度およびDSC特性決定結果の要約を表10に示し、GPC特性決定結果の要約を表11に示す。
【0213】
【表10】
【0214】
【表11】
【0215】
C.分別(Fractionation)
低および高分子量画分の間の、短鎖分岐分布を確認するために、2つの連続法試料を分別した。連続法試料は、高分子量画分における、ビニル鎖末端のパーセンテージの減少、およびビニリデン鎖末端の増加も示す(下記の表12を参照)。これらの結果は、回分反応器試料に見られた結果と同様であった(表8参照)。連続法試料の2つの画分のGPCプロフィールが、全ポリマーのGPCと共に、それぞれ図9および図10に示されている。
【0216】
【表12】
【0217】
III.連続法試料のシラン官能化
80℃に予熱した69mLのハークボール(Haake bowl)において、40rpmで回転するローターを用いて、シラングラフト試料を調製した。先ず、35.68g(約90%)のポリマーを添加し、軟化または溶融させた。一旦これが起これば、ビニルトリエトキシシラン(VTES)を、5mL(または約10wt%溶液において3.96g)で添加した。次に、4滴のLuperox 101を1000〜1200ppmで添加した。ラム(ram)を密閉し、温度を180℃に上げた。一旦、溶融温度が180℃に達したら、反応を15分間継続させた。次に、温度を下げた。溶融温度が約85℃に達したら、ボールを開け、「スラッシ」試料を取り出し、マイラーの間でプレスし、シランに関するFTIR分析にかけた。この方法でシラン化した2つのポリマーは、米国特許第5272236号および第5278272号に記載のように調製され、比較的低いビニルレベルを有する低分子量ポリマー(試料C1);および比較的高いビニルレベルで製造された匹敵する粘度および密度の連続反応器試料(試料R1)であった。ポリエチレン主鎖上の水素除去による典型的シラングラフト反応は、下記の反応1に示されている。シラングラフトは、内部または末端不飽和基上で行ってもよい。
【化4】
【0218】
ビニル末端試料は、比較試料(23%)と比較して、グラフト効率(40%)の向上を示した。一般に、本発明樹脂のグラフト効率は、大規模工程において少し高くなると予測される(30〜45%)。このようなより高いグラフト効率は、反応廃棄物流れを減少させ、これによって、さらにコストも削減される。他の利点は、149℃において10cP程度の、極めて低粘度の材料の製造、および、単一モード材料と比較して向上した加工性の材料の製造を含む。さらに、少量の高分子量成分は、向上した繊維引き裂けまたは剥離、またはホットメルト接着剤配合物におけるより高い剪断接着破壊温度の点において、有益である。表13は、シラン官能化に使用されたCAT 51試料(R1、0.69molビニル/鎖)および比較試料(C1、0.23molビニル/鎖)の基本特性の比較を示す。
【0219】
【表13】
【0220】
IV.連続法試料の結晶化度パーセント対密度
本発明のインターポリマーは、インターポリマーにおけるコモノマーの特有な分布により、異なる密度/結晶化度挙動を示す。連続法で作製した試料の密度/結晶化度挙動を、米国特許第5272236号および第5278272号(それぞれ、参照により全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているのと同様の方法で作製した低分子量比較例の密度/結晶化挙動と比較した。
【0221】
「結晶化度パーセント対密度」のプロットが、図11に示されている。図11の線相関から分かるように、本発明試料の結晶化度パーセントは、下記の関係式から求めることができ、
結晶化度パーセント>614*(密度(g/cc))−509
式中、結晶化度パーセントは、((融解熱(J/g))/(ポリエチレンの292J/g))*100であり、融解熱は、DSCの第二加熱曲線から求められる。密度は試料の密度である。各試料はポリマーを含有したが、試料は1つまたはそれ以上の安定剤を含有してもよい。
【0222】
本発明を限定数の実施形態に関して記載したが、これらの実施形態は、本明細書に特に記載され特許請求されていない限り、本発明の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0223】
【図1】回分重合実験1〜5(試料B1〜B5)の、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)プロフィールを表す。
【図2】回分重合実験6〜10(試料B6〜B10)の、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)プロフィールを表す。
【図3】回分重合実験1〜8および10(試料B1〜B8およびB10)の、示差走査熱量分析(DSC)プロフィール(加熱)を表す。
【図4】回分重合試料B4およびB5、ならびに2つの比較樹脂の、粘度プロフィールを表す。
【図5】試料B4、および溶媒/非溶媒分別によって求められた試料B4の2つの画分の、GPCプロフィールを表す。
【図6】試料B5、および溶媒/非溶媒分別によって求められた試料B5の2つの画分の、GPCプロフィールを表す。
【図7】連続重合法からの2つの試料(試料R1およびR1A)の、GPCプロフィールを表す。
【図8】連続重合法からの2つの試料(試料R1およびR1A)の、DSCプロフィール(加熱)を表す。
【図9】連続重合からの試料R1、および溶媒/非溶媒分別からの試料R1の画分の、GPCプロフィールを表す。
【図10】連続重合からの試料R1A、および溶媒/非溶媒分別からの試料R1Aの画分の、GPCプロフィールを表す。
【図11】2つの本発明樹脂およびいくつかの比較樹脂(米国特許第6054544号に記載)の、「結晶化度パーセント/密度」のプロットを表す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーを含む組成物であって、前記組成物が177℃において1〜30,000cPの溶融粘度を有し、少なくとも1つのエチレンインターポリマーが0.3〜0.99のRvを有する、組成物。
【請求項2】
1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの分子量分布、Mw/Mnが、合計で、2〜100である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの重量平均分子量が、合計で、500〜75,000である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの数平均分子量が、合計で、100〜40,000である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの密度が、合計で、0.86g/cc〜0.96g/ccである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの結晶化度パーセントが、合計で、10%〜90%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
少なくとも1つのエチレンインターポリマーが、0.1wt%〜50wt%の少なくとも1つのコモノマーを含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
コモノマーが、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネンおよび1−デセンからなる群より選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマー、および少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーを含む組成物であって、前記組成物が177℃において1〜30,000cPの溶融粘度を有し、低分子量インターポリマーおよび高分子量インターポリマーのRvの合計が0.3〜2である、組成物。
【請求項10】
少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーが1〜5の分子量分布Mw/Mnを有し、少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーが1〜10の分子量分布Mw/Mnを有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーが100〜5,000の重量平均分子量を有し、少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーが10,000〜1,000,000の重量平均分子量を有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーが、10,000〜600,000の重量平均分子量を有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーが100〜1,000の数平均分子量を有し、少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーが5,000〜50,000の数平均分子量を有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーが、5,000〜300,000の数平均分子量を有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項15】
少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーが0.8〜0.98のRvを有し、少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーが0.2〜0.8のRvを有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項16】
「少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーのRv」対「少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーのRv」の比が、1:1〜5:1である、請求項9に記載の組成物。
【請求項17】
少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーが0.2wt%〜20wt%の少なくとも1つのコモノマーを含有し、少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーが0.1wt%〜40wt%の少なくとも1つのコモノマーを含有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項18】
LMWインターポリマーおよびHMWインターポリマーの両方について、各コモノマーが、独立に、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネンおよび1−デセンからなる群より選択される、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーが、少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーより低いパーセンテージのコモノマー組み込みを有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物が、組成物の全重量に基づいて、10wt%またはそれ未満の高分子量(HMW)エチレンインターポリマーを含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項21】
請求項1に記載の組成物から形成された少なくとも1つの要素(component)を含む、物品。
【請求項22】
請求項9に記載の組成物から形成された少なくとも1つの要素(component)を含む、物品。
【請求項23】
請求項9に記載の組成物と、少なくとも1つのヘテロ原子を含有する少なくとも1つの不飽和化合物との反応生成物を含む、組成物。
【請求項24】
少なくとも1つの低分子量エチレンインターポリマーおよび/または少なくとも1つの高分子量エチレンインターポリマーが、少なくとも1つのカルボニル含有化合物で官能化されている、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
少なくとも1つのカルボニル含有化合物が、無水マレイン酸、ジブチルマレエート(maleate)、ジシクロヘキシルマレエート、ジイソブチルマレエート、ジオクタデシルマレエート、N−フェニルマレイミド、無水シトラコン酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ブロモマレイン酸、無水クロロマレイン酸、ナジックアンハイドライド(nadic anhydride)、メチルナジックアンハイドライド(metylnadic anhydride)、無水アルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、ジエチルフマレート、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、それらのエステル、それらのイミド、それらの塩、およびそれらのディールス・アルダー付加生成物からなる群より選択される、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
少なくとも1つの低分子量エチレンインターポリマーおよび/または少なくとも1つの高分子量エチレンインターポリマーが、少なくとも1つのシラン化合物で官能化されている、請求項23に記載の組成物。
【請求項27】
少なくとも1つのシラン化合物が式(I)、
CH2=CR−(COO)x(CnH2n)ySiR’3 (I)
(式中、Rは、水素原子またはメチル基であり;xおよびyは、0または1であり、但し、xが1のとき、yは1であり;nは、1〜12の整数であり;各R’は、独立に、1〜12個の炭素原子を有するアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルオキシ基、芳香族アシルオキシ基、芳香族または脂肪族シロキシ基、1〜12個の炭素原子を有する脂肪族アシルオキシ基、アミノまたは置換アミノ基、または1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル基である)
で示される、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
少なくとも1つのシラン化合物が、ビニルトリアルコキシシラン、ビニルトリアシルオキシシランおよびビニルトリクロロシランからなる群より選択される、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
少なくとも1つのヘテロ原子を含有する少なくとも1つの不飽和化合物が、メタクリル酸;アクリル酸;アクリル酸のディールス・アルダー付加生成物;メタクリレート;アクリレート;グリシジルメタクリレート;トリアルコキシシランメタクリレート;アクリロニトリル;2−イソプロペニル−2−オキサゾリン;スチレン;α−メチルスチレン;ビニルトルエン;ジクロロスチレン;N−ビニルピロリジノン、ビニルアセテート、メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリロキシメチルトリアルコキシシランおよびビニルクロライドからなる群より選択される、請求項23に記載の組成物。
【請求項30】
請求項23に記載の組成物から形成された少なくとも1つの要素(component)を含む、物品。
【請求項31】
請求項1に記載の組成物と、少なくとも1つのヘテロ原子を含有する少なくとも1つの不飽和化合物との反応生成物を含む組成物であって、前記反応生成物が、官能基を含有する少なくとも1つのエチレンインターポリマーを含む、組成物。
【請求項32】
官能基が、ハロゲン、ヒドロキシル、無水物、アミン、アミド、カルボン酸、エステル、エーテル、シランおよびニトリルからなる群より選択される、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
請求項31に記載の組成物から形成された少なくとも1つの要素(component)を含む物品。
【請求項34】
組成物中の1つまたはそれ以上のポリマーを官能化するプロセスであって、
前記組成物が、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーおよび少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーを含み、177℃において1〜30,000cPの溶融粘度を有し、低分子量インターポリマーおよび高分子量インターポリマーのRvの合計が0.3〜2であり;
前記プロセスが、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーおよび/または少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーを、少なくとも1つの官能化剤と反応させることを含む、プロセス。
【請求項35】
少なくとも1つの官能化剤が、ハロゲンまたはハロゲン含有化合物である、請求項34に記載のプロセス。
【請求項36】
少なくとも1つの官能化剤が、エポキシド含有化合物である、請求項34に記載のプロセス。
【請求項37】
少なくとも1つの官能化剤が、カルボニル含有化合物である、請求項34に記載のプロセス。
【請求項38】
少なくとも1つの官能化剤が、シラン化合物である、請求項34に記載のプロセス。
【請求項39】
組成物が下記の不等式による総結晶化度パーセント、
結晶化度パーセント>614*(密度(g/cc))−509
(式中、結晶化度パーセントは、((融解熱(J/g))/(ポリエチレンの292J/g))*100であり、密度は組成物の密度である)
を有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項40】
組成物が下記の不等式による総結晶化度パーセント、
結晶化度パーセント>614*(密度(g/cc))−509
(式中、結晶化度パーセントは、((融解熱(J/g))/(ポリエチレンの292J/g))*100であり、密度は組成物の密度である)
を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項1】
1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーを含む組成物であって、前記組成物が177℃において1〜30,000cPの溶融粘度を有し、少なくとも1つのエチレンインターポリマーが0.3〜0.99のRvを有する、組成物。
【請求項2】
1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの分子量分布、Mw/Mnが、合計で、2〜100である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの重量平均分子量が、合計で、500〜75,000である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの数平均分子量が、合計で、100〜40,000である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの密度が、合計で、0.86g/cc〜0.96g/ccである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
1つまたはそれ以上のエチレンインターポリマーの結晶化度パーセントが、合計で、10%〜90%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
少なくとも1つのエチレンインターポリマーが、0.1wt%〜50wt%の少なくとも1つのコモノマーを含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
コモノマーが、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネンおよび1−デセンからなる群より選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマー、および少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーを含む組成物であって、前記組成物が177℃において1〜30,000cPの溶融粘度を有し、低分子量インターポリマーおよび高分子量インターポリマーのRvの合計が0.3〜2である、組成物。
【請求項10】
少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーが1〜5の分子量分布Mw/Mnを有し、少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーが1〜10の分子量分布Mw/Mnを有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーが100〜5,000の重量平均分子量を有し、少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーが10,000〜1,000,000の重量平均分子量を有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーが、10,000〜600,000の重量平均分子量を有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーが100〜1,000の数平均分子量を有し、少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーが5,000〜50,000の数平均分子量を有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーが、5,000〜300,000の数平均分子量を有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項15】
少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーが0.8〜0.98のRvを有し、少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーが0.2〜0.8のRvを有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項16】
「少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーのRv」対「少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーのRv」の比が、1:1〜5:1である、請求項9に記載の組成物。
【請求項17】
少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーが0.2wt%〜20wt%の少なくとも1つのコモノマーを含有し、少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーが0.1wt%〜40wt%の少なくとも1つのコモノマーを含有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項18】
LMWインターポリマーおよびHMWインターポリマーの両方について、各コモノマーが、独立に、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネンおよび1−デセンからなる群より選択される、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーが、少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーより低いパーセンテージのコモノマー組み込みを有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物が、組成物の全重量に基づいて、10wt%またはそれ未満の高分子量(HMW)エチレンインターポリマーを含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項21】
請求項1に記載の組成物から形成された少なくとも1つの要素(component)を含む、物品。
【請求項22】
請求項9に記載の組成物から形成された少なくとも1つの要素(component)を含む、物品。
【請求項23】
請求項9に記載の組成物と、少なくとも1つのヘテロ原子を含有する少なくとも1つの不飽和化合物との反応生成物を含む、組成物。
【請求項24】
少なくとも1つの低分子量エチレンインターポリマーおよび/または少なくとも1つの高分子量エチレンインターポリマーが、少なくとも1つのカルボニル含有化合物で官能化されている、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
少なくとも1つのカルボニル含有化合物が、無水マレイン酸、ジブチルマレエート(maleate)、ジシクロヘキシルマレエート、ジイソブチルマレエート、ジオクタデシルマレエート、N−フェニルマレイミド、無水シトラコン酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ブロモマレイン酸、無水クロロマレイン酸、ナジックアンハイドライド(nadic anhydride)、メチルナジックアンハイドライド(metylnadic anhydride)、無水アルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、ジエチルフマレート、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、それらのエステル、それらのイミド、それらの塩、およびそれらのディールス・アルダー付加生成物からなる群より選択される、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
少なくとも1つの低分子量エチレンインターポリマーおよび/または少なくとも1つの高分子量エチレンインターポリマーが、少なくとも1つのシラン化合物で官能化されている、請求項23に記載の組成物。
【請求項27】
少なくとも1つのシラン化合物が式(I)、
CH2=CR−(COO)x(CnH2n)ySiR’3 (I)
(式中、Rは、水素原子またはメチル基であり;xおよびyは、0または1であり、但し、xが1のとき、yは1であり;nは、1〜12の整数であり;各R’は、独立に、1〜12個の炭素原子を有するアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルオキシ基、芳香族アシルオキシ基、芳香族または脂肪族シロキシ基、1〜12個の炭素原子を有する脂肪族アシルオキシ基、アミノまたは置換アミノ基、または1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル基である)
で示される、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
少なくとも1つのシラン化合物が、ビニルトリアルコキシシラン、ビニルトリアシルオキシシランおよびビニルトリクロロシランからなる群より選択される、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
少なくとも1つのヘテロ原子を含有する少なくとも1つの不飽和化合物が、メタクリル酸;アクリル酸;アクリル酸のディールス・アルダー付加生成物;メタクリレート;アクリレート;グリシジルメタクリレート;トリアルコキシシランメタクリレート;アクリロニトリル;2−イソプロペニル−2−オキサゾリン;スチレン;α−メチルスチレン;ビニルトルエン;ジクロロスチレン;N−ビニルピロリジノン、ビニルアセテート、メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリロキシメチルトリアルコキシシランおよびビニルクロライドからなる群より選択される、請求項23に記載の組成物。
【請求項30】
請求項23に記載の組成物から形成された少なくとも1つの要素(component)を含む、物品。
【請求項31】
請求項1に記載の組成物と、少なくとも1つのヘテロ原子を含有する少なくとも1つの不飽和化合物との反応生成物を含む組成物であって、前記反応生成物が、官能基を含有する少なくとも1つのエチレンインターポリマーを含む、組成物。
【請求項32】
官能基が、ハロゲン、ヒドロキシル、無水物、アミン、アミド、カルボン酸、エステル、エーテル、シランおよびニトリルからなる群より選択される、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
請求項31に記載の組成物から形成された少なくとも1つの要素(component)を含む物品。
【請求項34】
組成物中の1つまたはそれ以上のポリマーを官能化するプロセスであって、
前記組成物が、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーおよび少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーを含み、177℃において1〜30,000cPの溶融粘度を有し、低分子量インターポリマーおよび高分子量インターポリマーのRvの合計が0.3〜2であり;
前記プロセスが、少なくとも1つの低分子量(LMW)エチレンインターポリマーおよび/または少なくとも1つの高分子量(HMW)エチレンインターポリマーを、少なくとも1つの官能化剤と反応させることを含む、プロセス。
【請求項35】
少なくとも1つの官能化剤が、ハロゲンまたはハロゲン含有化合物である、請求項34に記載のプロセス。
【請求項36】
少なくとも1つの官能化剤が、エポキシド含有化合物である、請求項34に記載のプロセス。
【請求項37】
少なくとも1つの官能化剤が、カルボニル含有化合物である、請求項34に記載のプロセス。
【請求項38】
少なくとも1つの官能化剤が、シラン化合物である、請求項34に記載のプロセス。
【請求項39】
組成物が下記の不等式による総結晶化度パーセント、
結晶化度パーセント>614*(密度(g/cc))−509
(式中、結晶化度パーセントは、((融解熱(J/g))/(ポリエチレンの292J/g))*100であり、密度は組成物の密度である)
を有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項40】
組成物が下記の不等式による総結晶化度パーセント、
結晶化度パーセント>614*(密度(g/cc))−509
(式中、結晶化度パーセントは、((融解熱(J/g))/(ポリエチレンの292J/g))*100であり、密度は組成物の密度である)
を有する、請求項1に記載の組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2009−522401(P2009−522401A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548550(P2008−548550)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/047296
【国際公開番号】WO2007/078697
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/047296
【国際公開番号】WO2007/078697
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】
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