説明

低分子量セルロース混合エステルを含むベースコート組成物

a)アクリルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群から選択される少なくとも1種のフィルム形成性ポリマー;b)少なくとも1種のレオロジー調整剤;c)少なくとも1種の溶媒;d)少なくとも1種の顔料;e)任意に少なくとも1種のマイクロゲル;f)任意に少なくとも1種の架橋剤;ならびにg)少なくとも1種のセルロース混合エステル;を含むベースコート組成物を提供する。ウエット−オン−ウエット−オンウエット法もまた提供する。基材をコートするための方法は:a)基材にプライマーを適用して、プライマー処理された基材を生成すること;b)該プライマーが湿潤している間にベースコート組成物を該プライマー処理された基材に適用して、ベースコートされた基材を生成すること;およびc)該ベースコート組成物が湿潤している間、そして任意に該プライマーが湿潤している間に、該ベースコートされた基材にクリアコート組成物を適用して、コートされた基材を生成すること;を含む。コートされた物品もまた提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本件は、米国分割出願第12/510,325号の一部継続出願であり、これは米国分割出願第12/510,325号(2009年7月28日出願)の利益を主張し、これは米国非仮出願整理番号第10/796,176号(2004年3月9日出願)および発行済の米国特許第7,585,905号の利益を主張し、これは米国仮出願第60/455,033号(2003年3月14日出願)の利益を主張し;そしてこれはまた米国仮出願整理番号第61/097,020号(2008年9月15日出願)の利益を主張する。これらの開示はその全部をこれらが本明細書の記載と矛盾しない範囲で参照により本明細書に組入れる。
【0002】
発明の分野
本発明は、セルロース化学の分野に属し、そしてより特別には、低粘度バインダーレジンおよびレオロジー調整剤としてコーティングおよびインク組成物において有用な低分子量セルロース混合エステルに属する。より特別には、本発明は、ベースコート組成物における低分子量セルロース混合エステルの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
セルロースエステルは、多くのプラスチック、フィルム、コーティング、および繊維の用途において有用である、有益なポリマーである。セルロースエステル(CE)は、典型的には、セルロースと、所望の1種または複数種のエステル基に対応する1種または複数種の無水物との、希釈剤および生成物溶媒としての対応するカルボン酸を用いた反応によって合成される。これらのエステル基の幾つかをその後加水分解して、部分エステル化生成物を得ることができる。これらの部分置換セルロースエステルは、極めて商業的に有益であり、そしてコーティングにおける用途を見出す。ここではこれらのより大きい溶解性および共レジンとの混和性(トリエステルとの比較で)および水酸基量(架橋を促進するための)を重視する。
【0004】
塗料製造元、特に自動車の相手先商標製品製造者(OEM)は、全体的な外観の改善に着目することによって互いに対して優位な利点を得ることに努める。外装色および全体的な外観は、OEMエンドユーザーの購買プロセスの影響において主要な役割を果たすことができる。一方、全世界に亘る環境面の法律制定は、同様の性能が従来のコーティング配合物に寄与しつつ、より無公害でより「環境に優しい」製品を達成しようとする塗料産業をもたらした。総固形分量の増大または所定の有機溶媒の水による置換は、コーティング供給元が塗料配合物中の揮発性有機化合物(VOC)の量を制限できる2つの代替である。高固形分ベースコート法を用いるOEM製造者は、色の明度および全体的な美観の点で、水系ベースコート法を用いるものとの競争を望む。
【0005】
水系ベースコートは、典型的には、20〜25%の総固形分を適用し、これは溶媒系高固形分(HS)コーティングの不揮発量よりも大幅に低い。従って、HS溶媒系ベースコート法はフィルムの収縮という点(水系システムと比べたときにもたらされる可能性がある)で問題がある。HSベースコートの場合におけるより低いフィルム収縮は、金属フレークのより悪い配列および金属の移動の低下を招来する。満たされていない要求が、OEM製造者が溶媒系法を用いてより明度が高い色および改善された全体外観を有するベースコートを開発することを可能にする溶液について存在する。本発明は、低分子量のセルロース混合エステルの使用を提供し、これは高固形分OEMベースコート用途において優れた外観特性を与える。本発明の一態様において、低分子量セルロースエステルは、29%ブチリル(Bu)量および1.5%OH量を有する。比較的高いTg約110℃(低ブチリル量と結び付き)は、低分子量セルロースエステルが、VOCレベルに対する悪影響の原因となることなく市販のCABと極めて類似する性能の利点を与えることを可能にする。
【0006】
任意の基材物質は、本発明に係るベースコート組成物でコートできる。これらとしては、例えば、これらに限定するものではないが、ガラス、セラミック、紙、木材およびプラスチックの表面が挙げられる。本発明のベースコート組成物は、金属基材(そして具体的にはベースコート用途において)のために特に適合する。ベースコート組成物は、従来のスプレー装置,例えばエア噴霧銃または静電ベルアプリケータ(electrostatic bell applicator)を用いて適用できる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の要約
本発明の一態様において、ベースコート組成物であって:a)アクリルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群から選択される少なくとも1種のフィルム形成性ポリマー;b)少なくとも1種のレオロジー調整剤;c)少なくとも1種の溶媒;d)少なくとも1種の顔料;e)任意に少なくとも1種のマイクロゲル;f)任意に少なくとも1種の架橋剤;ならびにg)少なくとも1種のセルロース混合エステルであって:
(1)無水グルコース単位当たりの総置換度約3.08〜約3.50を有し、以下の置換度:
無水グルコース単位当たりのヒドロキシルの置換度約0.70以下、
無水グルコース単位当たりのC3〜C4エステルの置換度約0.80〜約1.40、および
無水グルコース単位当たりのアセチルの置換度約1.20〜約2.34;
フェノール/テトラクロロエタンの60/40(wt/wt)溶液中25℃にて測定したときのインヘレント粘度約0.05〜約0.15dL/g;
数平均分子量(Mn)約1,000〜約5,600;
重量平均分子量(Mw)約1,500〜約10,000;および
多分散性約1.2〜約3.5;
を有するセルロース混合エステル;
(2)無水グルコース単位当たりの総置換度約3.08〜約3.50を有し、以下の置換度:
無水グルコース単位当たりのヒドロキシルの置換度約0.70以下、
無水グルコース単位当たりのC3〜C4エステルの置換度約1.40〜約2.45、および
無水グルコース単位当たりのアセチルの置換度約0.20〜約0.80;
フェノール/テトラクロロエタンの60/40(wt/wt)溶液中25℃にて測定したときのインヘレント粘度約0.05〜約0.15dL/g;
数平均分子量(Mn)約1,000〜約5,600;
重量平均分子量(Mw)約1,500〜約10,000;および
多分散性約1.2〜約3;
を有するセルロース混合エステル;ならびに
(3)無水グルコース単位当たりの総置換度約3.08〜約3.50を有し、以下の置換度:
無水グルコース単位当たりのヒドロキシルの置換度約0.70以下、
無水グルコース単位当たりのC3〜C4エステルの置換度約1.40〜約2.45、および
無水グルコース単位当たりのアセチルの置換度約0.20〜約0.80;
フェノール/テトラクロロエタンの60/40(wt/wt)溶液中25℃にて測定したときのインヘレント粘度約0.05〜約0.15dL/g;
数平均分子量(Mn)約1,000〜約5,600;
重量平均分子量(Mw)約1,500〜約10,000;および
多分散性約1.2〜約3.5;
を有するセルロース混合エステル;
ならびにこれらのセルロース混合エステルの混合物から選択されるセルロース混合エステルを含む、ベースコート組成物を提供する。
【0008】
ベースコート組成物
本発明に係るベースコート組成物において使用するセルロース混合エステルは、低分子量であり、高い最大置換度を有し(高度に置換可能であり)、そして高固形分、低粘度のコーティング組成物を、典型的に低分子量セルロースエステルと関連する欠点,例えば脆いフィルムの形成、のいずれも有さずに与える。1種以上のレジンとの組合せでコーティング添加剤として用いる場合、本発明のエステルは、自身では組成物の粘度を極度に増大させず、これらの使用に典型的に関連する欠点,例えば所望の粘度を維持するための有機溶媒レベルの不所望の増大、を有さずに従来のセルロースエステルの利点を与える。
【0009】
本発明のベースコート組成物において使用するセルロース混合エステルは、完全にエステル化されたまたは部分加水分解された形のセルロース骨格上の無水グルコース単位当たりで高い最大置換度(DS)を有し、そして一般的には、ヒドロキシル基についてのDS約0.70未満(<0.70DSヒドロキシル)を有する。本発明のセルロース混合エステルについての無水グルコース単位当たりの最大置換度は、約3.08〜約3.50である。これらのセルロース混合エステルは、広範囲の有機溶媒中に可溶であり、コーティング配合物に溶媒選択の幅広い許容範囲を与える。これらが、高固形分溶媒系コーティングの溶液およびスプレーの粘度の両者に対して有する影響は最小限である。これらの物質は、他のコーティングレジンとブレンドする際に優れた親和性を示し、これにより、従来のセルロースエステルよりも広範囲のコーティングレジンで明澄なフィルムをもたらす。
【0010】
本発明の別の態様において、基材をコーティングする方法であって、少なくとも1つのプライマー層、少なくとも1つのベースコート組成物層、および少なくとも1つのクリアコート層を基材に適用することを含み;ここで該プライマー層が湿潤しているときに該ベースコート組成物層を適用し;そして該ベースコート組成物層がベースコート組成物を含む方法を提供する。
【0011】
本発明の別の態様において、基材をコーティングする方法であって、少なくとも1つのプライマー層、少なくとも1つのベースコート組成物層、および少なくとも1つのクリアコート層を基材に適用することを含み;該ベースコート組成物層が湿潤しているときに該クリアコート層を適用し;そして該ベースコート組成物層がベースコート組成物を含む方法を提供する。
【0012】
本発明の別の態様において、基材をコーティングする方法であって、少なくとも1つのプライマー層、少なくとも1つのベースコート組成物層、および少なくとも1つのクリアコート層を基材に適用することを含み;該プライマー層が湿潤しているときに該ベースコート組成物を適用し;そして該ベースコート組成物が湿潤しているときに該クリアコート層を適用し;そして該ベースコート組成物層がベースコート組成物を含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、対照例3.1ならびに発明例2.3および3.3のレーザー走査共焦点顕微鏡によるスキャンを含む。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な説明
本発明は、以下の発明の詳細な説明、およびこれに含まれる例を参照することによってより容易に理解できる。
【0015】
主題の本発明の組成物および方法を開示および説明する前に、本発明は、特記がない限り、具体的な合成方法または特定の配合物に限定されず、そしてそのようなものとして開示から変更できることを理解すべきである。用いる述語は特定の態様を説明する目的のみであり、本発明の範囲の限定を意図しないこともまた理解すべきである。
【0016】
単数形"a," "an,"および"the"は、他の明示の特記がない限り複数の対象を包含する。
【0017】
任意の、または任意に、は、後続して説明される事象または状況が生じても生じなくてもよいことを意味する。説明は、事象または状況が生じる場合およびそれが生じない場合を包含する。
【0018】
範囲は、本明細書において約1つの特定値から、および/または約1つの別の特定値まで、と表現できる。このような範囲を表現する場合、別の態様が、1つの特定値から、および/または他の特定値まで、であることを理解すべきである。
【0019】
本件全体を通じ、特許または公開公報が引用される場合、これらの文献の開示はその全部を参照により本件に組入れることが意図されるが、これらが、本発明のが属する分野の状態をより完全に説明するような本明細書の記載と矛盾しないことを条件とする。
【0020】
本開示全体を通じて用いる、CABはセルロースアセテートブチレートを意味し;CAPはセルロースアセテートプロピオネートを意味し;そしてHS−CABは、本発明に係る、本発明の高固形分セルロースアセテートブチレートであって、高い最大置換度、低い重合度、低い固有粘度(IV)、および低分子量を有するものを意味する。
【0021】
ストライク−イン(strike-in)は、クリアコート中の溶媒によるベースコートの再溶解であって、典型的には、斑または濁った外観のベースコート顔料/金属フレークをもたらすものを意味する。ストライク−インは、フロップインデックス(Flop Index)における相対変化によって測定できる。
【0022】
フロップは、2つの異なる塗装されたパネルが、与えられた角度で見たときには色が良好に適合するように見えるが全ての他の角度では異なるように見える場合を意味する。
【0023】
高固形分コーティングは、配合物において従来のコーティングよりも高い固形分%を有するコーティングであり、これは典型的には、30%以上の固形分レベル%を有するコーティング配合物を意味する。
【0024】
本発明の一態様において、ベースコート組成物であって:a)アクリルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群から選択される少なくとも1種のフィルム形成性ポリマー;b)少なくとも1種のレオロジー調整剤;c)少なくとも1種の溶媒;d)少なくとも1種の顔料;e)任意に少なくとも1種のマイクロゲル;f)任意に少なくとも1種の架橋剤;ならびにg)少なくとも1種のセルロース混合エステルであって:
(1)無水グルコース単位当たりの総置換度約3.08〜約3.50を有し、以下の置換度:
無水グルコース単位当たりのヒドロキシルの置換度約0.70以下、
無水グルコース単位当たりのC3〜C4エステルの置換度約0.80〜約1.40、および
無水グルコース単位当たりのアセチルの置換度約1.20〜約2.34;
フェノール/テトラクロロエタンの60/40(wt/wt)溶液中25℃にて測定したときのインヘレント粘度約0.05〜約0.15dL/g;
数平均分子量(Mn)約1,000〜約5,600;
重量平均分子量(Mw)約1,500〜約10,000;および
多分散性約1.2〜約3.5;
を有するセルロース混合エステル;
(2)無水グルコース単位当たりの総置換度約3.08〜約3.50を有し、以下の置換度:
無水グルコース単位当たりのヒドロキシルの置換度約0.70以下、
無水グルコース単位当たりのC3〜C4エステルの置換度約1.40〜約2.45、および
無水グルコース単位当たりのアセチルの置換度約0.20〜約0.80;
フェノール/テトラクロロエタンの60/40(wt/wt)溶液中25℃にて測定したときのインヘレント粘度約0.05〜約0.15dL/g;
数平均分子量(Mn)約1,000〜約5,600;
重量平均分子量(Mw)約1,500〜約10,000;および
多分散性約1.2〜約3;
を有するセルロース混合エステル;ならびに
(3)無水グルコース単位当たりの総置換度約3.08〜約3.50を有し、以下の置換度:
無水グルコース単位当たりのヒドロキシルの置換度約0.70以下、
無水グルコース単位当たりのC3〜C4エステルの置換度約1.40〜約2.45、および
無水グルコース単位当たりのアセチルの置換度約0.20〜約0.80;
フェノール/テトラクロロエタンの60/40(wt/wt)溶液中25℃にて測定したときのインヘレント粘度約0.05〜約0.15dL/g;
数平均分子量(Mn)約1,000〜約5,600;
重量平均分子量(Mw)約1,500〜約10,000;および
多分散性約1.2〜約3.5;
を有するセルロース混合エステル;
ならびにこれらのセルロース混合エステルの混合物から選択されるセルロース混合エステルを含む、ベースコート組成物を提供する。
【0025】
セルロース混合エステルは、米国特許第7,585,905号(本明細書の記載と矛盾しない範囲で参照により組入れる)に記載されている。一態様において、セルロース混合エステルは、無水グルコース単位当たりの総置換度約3.08〜約3.50を有し、そして以下の置換度:無水グルコース単位当たりのヒドロキシルの置換度約0.70以下;無水グルコース単位当たりのC3〜C4エステルの置換度約0.80〜約1.40、および無水グルコース単位当たりのアセチルの置換度約1.20〜約2.34を有する。この態様に従い、本発明のセルロース混合エステルは、フェノール/テトラクロロエタンの60/40(wt/wt)溶液中25℃にて測定したときのインヘレント粘度約0.05〜約0.15dL/g;数平均分子量(Mn)約1,000〜約5,600;重量平均分子量(Mw)約1,500〜約10,000;および多分散性約1.2〜約3.5;を有する。種々の態様において、エステルは、ブチリル、またはプロピオニル、または該2種の混合物を含むことができる。
【0026】
種々の代替の側面において、無水グルコース単位当たりのヒドロキシルの置換度は、約0.05〜約0.70であることができ;フェノール/テトラクロロエタンの60/40(wt/wt)溶液中25℃にて測定したときのインヘレント粘度は約0.05〜約0.12dL/gであることができ;または数平均分子量(Mn)は約1,500〜約5,000であることができる。特定の態様において、多分散性は1.2〜2.5であることができ;インヘレント粘度は0.07〜0.11dL/gであることができ;または数平均分子量(Mn)約1,000〜約4,000であることができる。特定の他の態様において、インヘレント粘度は、約0.07〜約0.11dL/gであることができ;または数平均分子量(Mn)は約1,000〜4,000であることができる。
【0027】
更なる態様において、ベースコート組成物において用いるセルロース混合エステルは、無水グルコース単位当たりの総置換度約3.08〜約3.50を有し、そして以下の置換度:無水グルコース単位当たりのヒドロキシルの置換度約0.70以下;無水グルコース単位当たりのC3〜C4エステルの置換度約1.40〜約2.45、および無水グルコース単位当たりのアセチルの置換度0.20〜約0.80を有する。本態様に従い、本発明の混合エステルは、フェノール/テトラクロロエタンの60/40(wt/wt)溶液中25℃にて測定したときのインヘレント粘度約0.05〜約0.15dL/g;数平均分子量(Mn)約1,000〜約5,600;重量平均分子量(Mw)約1,500〜約10,000;および多分散性約1.2〜約3.5;を示す。種々の態様において、エステルは、ブチリル、またはプロピオニル、または該2種の混合物を含むことができる。
【0028】
種々の代替の態様において、無水グルコース単位当たりのヒドロキシルの置換度は、約0.05〜約0.70であることができ;フェノール/テトラクロロエタンの60/40(wt/wt)溶液中25℃にて測定したときのインヘレント粘度は約0.05〜約0.12dL/gであることができ;または数平均分子量(Mn)は約1,500〜約5,000であることができる。特定の態様において、多分散性が1.2〜2.5;インヘレント粘度が0.07〜0.11dL/g;または数平均分子量(Mn)が約1,000〜約4,000;であることができる。特定の他の態様において、インヘレント粘度が約0.07〜約0.11dL/g;および数平均分子量(Mn)が約1,000〜約4,000であることができる。
【0029】
更に別の態様において、本発明は、無水グルコース単位当たりの総置換度約3.08〜約3.50を有し、そして以下の置換度:無水グルコース単位当たりのヒドロキシルの置換度約0.70以下;無水グルコース単位当たりのC3〜C4エステルの置換度約2.11〜約2.91、および無水グルコース単位当たりのアセチルの置換度0.10〜約0.50を有するセルロース混合エステルに関する。本態様に従い、本発明の混合エステルは、フェノール/テトラクロロエタンの60/40(wt/wt)溶液中25℃にて測定したときのインヘレント粘度約0.05〜約0.15dL/g;数平均分子量(Mn)約1,000〜約5,600;重量平均分子量(Mw)約1,500〜約10,000;および多分散性約1.2〜約3.5;を示すことができる。種々の態様において、エステルは、ブチリル、またはプロピオニル、または該2種の混合物を含むことができる。
【0030】
種々の代替の態様において、無水グルコース単位当たりのヒドロキシルの置換度が約0.05〜約0.70であることができ;フェノール/テトラクロロエタンの60/40(wt/wt)溶液中25℃にて測定したときのインヘレント粘度が約0.05〜約0.12dL/gであることができ;または数平均分子量(Mn)が約1,500〜約5,000であることができる。特定の態様において、多分散性が1.2〜2.5;インヘレント粘度が0.07〜0.11dL/g;および数平均分子量(Mn)が約1,000〜約4,000;であることができる。特定の他の態様において、インヘレント粘度が約0.07〜約0.11dL/g;および数平均分子量(Mn)が約1,000〜4,000;であることができる。
【0031】
本発明のエステルは、フェノール/テトラクロロエタンの60/40(wt/wt)溶液中25℃にて測定したときのインヘレント粘度が約0.05〜約0.15dL/g、または約0.07〜約0.11dL/g(以下で更に規定する通り)、および無水グルコース単位当たりの最大置換度が約3.08〜約3.50、および無水グルコース単位当たりの有機エステル(例えば1〜12炭素原子を有するもの、好ましくはC2〜C4アルキルエステル、そしてより好ましくは飽和C2〜C4アルキルエステル)の置換度が約2.38〜約3.50、であることができる。
【0032】
これらのセルロース混合エステルは、広範囲の溶媒および溶媒ブレンド中に溶解可能であり、米国特許第7,585,903号(これは先に参照により組入れている)に含まれる例において示される通りであり、これらを慣習的なコーティング配合物に対して特に好適にする。セルロース混合エステルは、アルキルセルロースエステル,例えばメチルセルロース、またはヒドロキシアルキルセルロースエステル,例えばメチルヒドロキシプロピルセルロースエステルであることができる。しかし、幾つかの態様において、セルロースエステルは、他に変性されていないエステルであり、すなわち、セルロースは、エーテル官能基またはカルボキシル官能基(酸化化学で得られるもの)ではなく、有機エステル官能基の付加のみによって変性されている。所定の特定の新規なエステルが好ましく、そして本発明の追加の態様として更に提供する。
【0033】
更に別の態様において、セルロース混合エステルは、最大置換度約3.08〜約3.50、無水グルコース単位当たりのヒドロキシルの置換度約0.01〜約0.70;無水グルコース単位当たりのC3〜C4エステルの置換度約0.8〜約3.50、無水グルコース単位当たりのアセチルの置換度約0.05〜約2.00、を有し、そしてフェノール/テトラクロロエタンの60/40(wt/wt)溶液中25℃にて測定したときのインヘレント粘度約0.05〜約0.15dL/gを有する。種々の代替の態様において、インヘレント粘度が約0.07〜約0.11dL/g、無水グルコース単位当たりのヒドロキシルの置換度が0.10〜0.70;無水グルコース単位当たりのC3〜C4エステルの置換度が1.10〜3.25、または無水グルコース単位当たりのアセチルの置換度が0.05〜0.90であることができる。本態様に従った種々のエステルは、広範囲の溶媒および溶媒ブレンドにおける溶解性を示す。
【0034】
別の態様において、セルロース混合エステルは、最大置換度約3.08〜約3.50、無水グルコース単位当たりのヒドロキシルの置換度約0.01〜約0.70、無水グルコース単位当たりのC3〜C4エステルの置換度約0.8〜約3.50、無水グルコース単位当たりのアセチルの置換度約0.05〜約2.00を有し、そしてフェノール/テトラクロロエタンの60/40(wt/wt)溶液中25℃にて測定したときのインヘレント粘度約0.05〜約0.15dL/gを有する。種々の代替の態様において、インヘレント粘度が約0.07〜約0.11dL/g、無水グルコース単位当たりのヒドロキシルの置換度が約0、無水グルコース単位当たりのC3〜C4エステルの置換度が2.60〜3.40、または無水グルコース単位当たりのアセチルの置換度が0.10〜0.90であることができる。これらの態様に係る種々のエステルは、広範囲の溶媒および溶媒ブレンドにおける溶解性を示す。
【0035】
本発明の別の態様において、セルロースアセテートブチレートは、最大置換度約3.08〜約3.50、および無水グルコース単位当たりのヒドロキシルの置換度約0.01〜約0.70、および無水グルコース単位当たりのブチリルの置換度約0.80〜約3.44、および無水グルコース単位当たりのアセチルの置換度約0.05〜約2.00を有し、そしてフェノール/テトラクロロエタンの60/40(wt/wt)溶液中25℃にて測定したときのインヘレント粘度0.05〜0.15dL/gを有する。
【0036】
種々の代替の態様において、インヘレント粘度が0.07〜0.11dL/g、無水グルコース単位当たりのヒドロキシルの置換度が0.10〜0.70、ブチリルが1.10〜3.25、またはアセチルが0.10〜0.90であることができる。本態様に従った種々のエステルは、広範囲の溶媒および溶媒ブレンドにおける溶解度を示す。
【0037】
更なる態様として、セルロースアセテートプロピオネートは、無水グルコース単位当たりのヒドロキシルの置換度約0.01〜約0.70、および無水グルコース単位当たりのプロピオニルの置換度約0.80〜約3.44、および無水グルコース単位当たりのアセチルの置換度約0.05〜約2.00を有し、そしてフェノール/テトラクロロエタンの60/40(wt/wt)溶液中25℃にて測定したときのインヘレント粘度約0.05〜約0.15dL/gを有する。種々の代替の態様において、インヘレント粘度が0.07〜0.11dL/g、無水グルコース単位当たりのヒドロキシルの置換度が0.01〜0.70、無水グルコース単位当たりのプロピオニルの置換度が1.10〜3.25、または無水グルコース単位当たりのアセチルの置換度が0.10〜0.90であることができる。本態様に係る種々のエステルは、広範囲の溶媒および溶媒ブレンドにおける溶解性を示す。
【0038】
セルロースの種々のグレードおよび起源が入手可能であり、そして本発明に従って有用であり、そしてコットンリンター、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、コーン繊維および他の農業起源、ならびにバクテリアセルロース等からとりわけ選択できる。本発明のセルロース混合エステルを製造するために用いるセルロース源は、好適な特性を有する製品を得るために重要である。一般的に、溶解グレードセルロースを、本発明のセルロース混合エステルを製造するための出発物質として用いる。一態様において、溶解グレードセルロースは、α−セルロース量94%超を有する。当業者はまた、異なる起源からのセルロースを用いることは、セルロースの反応性における任意の相違を考えるために反応条件(例えば温度、触媒量、時間)の変更を必要とする場合があることを理解する。
【0039】
特定の態様において、セルロース源は記載の通りの天然セルロースであることができ、そしてセルロース源は変性セルロース(例えばセルロースエーテル、例えばアルキルセルロース)ではないものである。同様に、特定の態様において、セルロース出発物質は、カルボキシアルキルセルロース(例えばカルボキシメチルセルロース)ではなく、または酸官能基を有する任意のセルロース誘導体ではない。これらのセルロース誘導体は、記載した通りの天然由来のセルロースよりも高価であり、そして多くの場合、コーティング配合物(特に相当量の有機溶媒を含有するもの)における使用により好適でないセルロース混合エステルをもたらす。これはまた、本発明のベースコート組成物において用いる所定のセルロース混合エステルが酸価約5以下、または約1以下を有することに追随する。
【0040】
ベースコート組成物において使用するセルロースエステルは多段階プロセスによって調製できる。このプロセスにおいて、セルロースは水活性化、次いでアルカン酸(例えば酢酸)での溶媒置換を介した水置換、次いで高級アルカン酸(プロピオン酸または酪酸)での処理をして、適切なアルカン酸を伴うセルロース活性化湿潤物を得る。次に、セルロース活性化物を所望の無水物で強酸触媒(例えば硫酸)の存在下で処理して、本質的に完全に置換された、従来のエステルよりも低分子量のセルロースエステルを得る。水およびアルカン酸からなる溶液を無水「ドープ」溶液にゆっくり添加して、組合された硫黄をセルロース骨格から除去できるようにする。最終添加は、水和点を介した遅い転移を可能にして、反応媒体中での低水濃度および高温(過剰の無水物と反応する水による発熱の結果)の時間を与える。これは組合された硫黄のセルロース骨格からの加水分解のために重要である。次いでこの生成物を、硫酸を用いて加水分解して、部分置換セルロースエステルを得る。加水分解は、有機溶媒中でゲル不含有溶液を得るために、そしてコーティング用途における他のレジンとのより良好な親和性を得るために重要である。加水分解中に露出する水酸基もまた、多くのコーティング用途において重要な架橋部位である。
【0041】
次に、エステル化または加水分解の反応が、ストイキオメトリー量のアルカリ金属またはアルカリ土類金属のアルカノエート(例えば、酢酸マグネシウム)(水およびアルカン酸(例えば酢酸)中に溶解したもの)の添加によって完了した後に、硫酸を中和する。強酸触媒の中和は、最終生成物の最適な熱安定性および加水分解安定性のために重要である。
【0042】
最後に、完全に置換されているか、または部分加水分解されているかのいずれかの形のセルロースエステルを、最終的な中和された「ドープ」を等体積の酢酸で希釈し、次いで希釈された「ドープ」を、その約20〜30倍の質量である体積の水中に沈殿させることによって、単離して、脱イオン水で容易に洗浄して残存する有機酸および無機塩を効率的に除去できる粒子を得る。多くの場合において、かなり粘着性の沈殿物が初期に形成される。沈殿物は、沈殿液体を新しい水に交換して沈殿物をおいておくことによって硬くすることができる。硬くされた沈殿物は、次いで容易に洗浄および粉砕(必要に応じて)できる。
【0043】
セルロースエステルの組成物の鍵となる記述子は、種々のエステル基の置換レベル(すなわち、置換度または質量%を一般的に用い、そして本件の他の部分で詳細に議論する)、水酸基のレベル、およびポリマー骨格のサイズであり、これらはIV、粘度およびGPCデータから推測できる。本発明において用いるセルロース混合エステルの得られる組成物に影響する鍵となる因子は:無水酢酸レベル、酢酸レベル、無水酪(またはプロピオン)酸レベル、酪(またはプロピオン)酸レベル、水レベル、セルロースレベル、触媒種、触媒レベル、時間、および温度である。当業者は、エステル化の間に、より高い触媒量、より高温、および/またはより長い反応時間を用いて、従来のエステルよりも低い分子量を有するセルロース混合エステルを生成することを理解するであろう。
【0044】
よって、本発明の更なる側面として、セルロース混合エステルは多段階プロセスによって調製できる。本発明に従ったプロセスにおいて、セルロースは水活性化、次いでアルカン酸(例えば酢酸)での溶媒置換を介した水置換、次いでより高級のアルカン酸(例えばプロピオン酸または酪酸)での溶媒置換をして、適切なアルカン酸(例えばプロピオン酸または酪酸)を伴うセルロース活性化湿潤物を得る。ここで、出発セルロースが94〜99%のアルファ量、好ましくは約95〜98%のアルファセルロース量を有することが重要であることを我々は見出した。高アルファ量は、これから調製される最終生成物の品質のために重要である。低アルファセルロース量のパルプが有機溶媒中の悪い溶解性、ひいては悪い配合物を招来することを我々は見出した。
【0045】
次に、活性化されたセルロースを所望の無水物と強酸触媒(例えば硫酸)の存在下で反応させて、完全に置換された、従来のエステルよりも低分子量のセルロースエステルを得る。水およびアルカン酸またはアルカン酸の混合物を含有する溶液を無水「ドープ」溶液にゆっくり添加して、組合された硫黄をセルロース骨格から除去できるようにする。最終添加は、水和点を介した遅い転移を可能にして、反応媒体中での低水濃度および高温(過剰の無水物と反応する水による発熱の結果)の時間を与える。これは組合された硫黄のセルロース骨格からの加水分解のために重要である。次いでこの生成物を、硫酸を用いて加水分解して、部分置換セルロースエステルを得る。加水分解は、有機溶媒中でゲル不含有溶液を得るために、そしてコーティング用途における他のレジンとのより良好な親和性を得るために重要である。
【0046】
次に、エステル化または加水分解の反応が、ストイキオメトリー量のアルカリ金属またはアルカリ土類金属のアルカノエート(例えば、酢酸マグネシウム)(水およびアルカン酸(例えば酢酸)中に溶解したもの)の添加によって完了した後に、硫酸を中和する。強酸触媒の中和は、最終生成物の最適な熱安定性および加水分解安定性のために重要である。
【0047】
最後に、完全に置換されているか、または部分加水分解されているかのいずれかの形のセルロースエステルを、最終的な中和された「ドープ」を等体積の酢酸で希釈し、次いで希釈された「ドープ」を、その約20〜30倍の質量である体積の水中に沈殿させることによって、単離して、脱イオン水で容易に洗浄して残存する有機酸および無機塩を効率的に除去できる粒子を得る。多くの場合において、かなり粘着性の沈殿物が初期に形成される。沈殿物は、沈殿液体を新しい水に交換して沈殿物をおいておくことによって硬くすることができる。硬くされた沈殿物は、次いで容易に洗浄および粉砕(必要に応じて)できる。
【0048】
本開示を踏まえ、当業者は、エステル化の間に、記載する通りのプロセスパラメータ、より高い触媒量、より高温、および/またはより長い反応時間を用いて、従来のセルロースエステルよりも低い分子量を有するセルロース混合エステルを生成することを容易に理解するであろう。米国特許第7,585,905号(これは先に参照により組入れられている)に含まれる例において更に検証する通りである。
【0049】
本発明において用いるセルロース混合エステルは、GPCで測定される重量平均分子量Mw、約1,500〜約10,000、または約2,000〜約8,500;GPCで測定される数平均分子量Mn、約1,500〜約6,000;およびMw/Mnで定義される多分散性、約1.2〜約7、または約1.2〜約3.5、または約1.2〜約2.5を有する。
【0050】
本発明に係るセルロース混合エステル(本明細書においてHS−CABと記載することもある)は、広範囲の共レジンとの親和性を示す。親和性は2種以上のレジンを互いに混合したときに、コーティング組成物として有用である安定な均一混合物を形成する能力として定義する。例えば、約38質量%のブチリルを有するHS−CAB(本明細書でHS−CAB−38と記載することもある)は、EastmanのAcrylamac 2328,Akzo NobelのMicrogel,EastmanのDuramac 2314,BayerのDesmodur 3300,RhodiaのXIDT,およびBayerのDesmodur ILとの親和性を、市販のより高いブチリル量のサンプル(例えばCAB−551−0.01(約55質量%のブチリルを含有するセルロースアセテートブチレート、Eastman Chemical Companyから入手可能))と同等またはこれよりも良好に示す。幾つかの場合において、約38質量%のブチリル、または約55質量%のブチリルを有するセルロース混合エステルは、1:1 エステル対レジンの量で、多くの従来の分子量のセルロースエステルと親和性でないアクリルレジンと親和性である。親和性におけるこのような劇的な変化により、より高ブチリルのCABを親和性の目的で他に必要とするような用途において、配合者が中ブチリルエステル(約38質量%)を用いることが可能になる。
【0051】
高ブチリルエステルに代えて中ブチリルエステルを使用できることの利点は、ブチリルレベルおよびアセチルレベルの他の全ての特性、すなわちヒドロキシル値および分子量が一定に維持される場合、中ブチリルCABがその高ブチリル対応物よりも高いTgを有することである。高ブチリルエステルに対しての、中ブチリルエステルを使用することの別の利点は、中ブチリルの市販のエステルが、しばしば、特定の溶媒および溶媒ブレンドにおいて、これらの高ブチリル対応物よりも溶解性でないことである。この同じ傾向は、中ブチリルHS−CABを、同等の分子量およびヒドロキシル量の高ブチリルHS−CABと比較した場合に一般的に観察される。理論に拘束されるものではないが、中ブチリルおよび高ブチリルのエステルの間で観察される溶解性の差は、トップコートをベースコートに適用する場合に特定の本発明のエステルで見られている改善された再溶解耐性の原因の一部であると我々は確信する。改善された親和性と改善された(しかしまた区別される)溶解性との組合せは、コーティング配合科学者にとって有益な利点であると我々は確信する。
【0052】
よって、より高いブチリル量を有する従来のセルロースエステルは、より低いブチリルレベルを有するその対応物よりもより溶解性でより低いTgを有する傾向がある。増大した溶解性の1つの結果は、得られるコーティングの再溶解耐性が負に影響されることである。従来の高ブチリルセルロースエステル(例えばセルロースアセテートブチレート、CAB−551−0.01、Eastman Chemical Companyより製造)の鍵となる利点の1つは、中ブチリルエステル(例えばセルロースアセテートブチレート、CAB−381−0.1、Eastman Chemical Companyにより製造)と比較したときの、多くの共レジンとのその増大した親和性である。驚くべきことに、本発明に係る、本発明の中ブチリルエステル(HS−CAB−38)が、従来の分子量の高ブチリルセルロースエステル(例えばCAB−551−0.01、Eastman Chemical Companyにより製造)よりも、共レジンとの良好な親和性を有する一方、同様の溶解性を示すことを我々は見出した。結果として、コーティング配合物は、従来のCABの添加によって与えられる粘度の増大に耐えることができないベースコート配合物において本発明のエステルを使用できる一方、より高いブチリル量を有する従来のエステルに典型的な再溶解耐性を与えることができる。
【0053】
言及したように、本発明の混合エステルは、同様に、予測よりも良好な再溶解耐性を特定の系において示す。これは驚くべきことである。本発明の混合エステルは、従来のセルロース混合エステルよりも低い分子量を有するからである。代わりに、分子量の低下とともに再溶解耐性の低下が見られることが予測されよう。結果として、コーティング配合者は、本発明のエステルを、従来のCABの添加によって与えられる粘度の増大に耐えることができないベースコート配合物において使用できる一方、必要な再溶解耐性を与えることができる。
【0054】
従来、セルロースエステルは、最大置換度(DS)3.0を有すると考えられる。DS3.0は、誘導体化できるセルロース中に3.0の反応性ヒドロキシル基が存在することを示す。天然セルロースは重合度700〜2,000の大きい多糖であり、よって最大DSが3.0であるという前提はほぼ正しい。しかし、重合度が低くなるに従って、多糖骨格の末端基は比較的より重要になる。本発明のベースコート組成物において用いるセルロース混合エステルにおいて、最大DSのこの変化は、特定溶媒中での溶解性および特定コーティングレジンとの親和性が変化することによって、セルロース混合エステルの性能に影響する。
【0055】
表1は、種々の重合度(DP)でのDSMaxを与える。数学的には、重合度401が、最大DS3.00を有するために必要である。表が示すように、DPの低下とともに生じるDSMaxの増大は遅く、そして殆どの部分では、最大DS3.00が許容可能と仮定する。しかし、DPが十分に低い(例えばDPが21)と、異なる最大DSを全ての計算に対して用いることが適切になる。
【0056】
【表1】

【0057】
本発明のベースコート組成物において用いるセルロース混合エステルは、高い最大置換度および低い重合度を有する。
【0058】
本発明のベースコート組成物において用いるセルロース混合エステルは、高い最大置換度と低い重合度とを有し、予期しないことに、大幅に高い重合度を有する従来のセルロースエステルと同様のレオロジー性能を示す。このような低い重合度を有するHS−CABがこのようなレオロジー性能を有することは全く驚くべきことである。
【0059】
何らの理論にも拘束されるものではないが、本発明のベースコート組成物において用いるセルロースエステルは、ヒドロキシル基のかなりランダムな置換パターンを示すことを我々は確信する。ヒドロキシル基のこのランダムな置換パターンは、エステル基の加水分解の前に分子量低下ステップを行うことにより実現されることを我々は確信する。先行技術のプロセスの低分子量セルロースエステル生成物は、一般的に、非ランダムな置換パターンを、特に非還元末端のC−4および還元末端のC−1(RT1)で示す。先行技術の生成物は、一般的には、ヒドロキシル基をC−4に、そしてヒドロキシルまたはエステルをC−1(RT−1)に、プロセスが加水分解であるかまたはアセトリシス反応であるかに応じて、有する。
【0060】
スキーム1において与えられる広く受入れられた機構は、読者が上記の説明を可視化する助けとできる。スキーム1において与えられる、提案機構は、高重合度の多糖(C4およびRT1での基の性質は、生じる開裂の量に影響される)の反応を示す。問題の2つの炭素、C4およびRT1、の置換は、グリコシド結合がより一層開裂するに従って大きいレベルまで増大する。スキーム1は、単独のグリコシド結合のみが開裂し、よって1つのC4および1つのRT1部位のみが、先行技術によって形成される生成物によって示される置換パターンを有することを示す。部位がより一層開裂するに従って、C4およびRT1での置換パターンの効果はより重要になる。
【0061】
本発明のベースコート組成物において用いるセルロース混合エステルを製造するために用いる方法は、ほぼ所望の重合度を有する完全にエステル化されたセルロースエステルをもたらす一方、反応混合物はなお無水物(すなわち加水分解前)である。結果として、本発明の生成物の製造中のエステルの加水分解は、本質的にランダムな分布のヒドロキシル基をセルロース骨格全体に亘って生成すると確信される。この確信は、一部は、本発明に係るエステルによって示される特異な溶解性プロファイルに基づく。当業者は、速度論的に制御された条件下で、加水分解が選好的に特定部位で生じる(例えば、C6>>C2>C3)ことを理解するであろう。本発明で実施する加水分解プロセスは、熱力学的制御下(すなわち平衡条件下)で実施する。これはよりランダムな分布のヒドロキシル官能基をセルロース骨格全体に亘ってもたらすと考えられる。
【0062】
スキーム1.グリコシド結合の加水分解およびアセトリシスについての提案機構
【0063】
【化1】

【0064】
13C−NMR検討は、本発明のベースコート組成物(HS−CAB)において用いるセルロース混合エステルが、加水分解中に分子量が低下するプロセスによって形成されるものとは異なる置換パターンを有することを示唆する。以下の化学構造は置換パターンの相違が生じると考えられる領域を強調する。
【0065】
【化2】

【0066】
セルロース混合エステルは、これらがレオロジー調整剤および/またはバインダー成分として用いられるベースコート組成物中に容易に配合でき、改善されたアルミニウムフレーク配向および改善された硬度を与える。これらは無色透明、高光沢の保護コーティングを種々の(特に金属および木材の)基材に対して与えることができる。
【0067】
セルロース混合エステルは、殆どの分類の典型的なコーティング溶媒(ケトン、エステル、アルコール、グリコールエーテル、およびグリコールエーテルエステルが挙げられる)中で可溶性である一方、水または芳香族炭化水素での希釈に耐える。
【0068】
典型的な溶媒(この中でセルロース混合エステルが溶解性を示す)の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、メチルプロピルケトン、2−プロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、エチル3−エトキシプロピオネート、エタノール、メタノールイソプロピルアルコール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、イソブチルアセテートジエチレングリコールエチルエーテル、Eastman PM アセテート(プロピレングリコールメチルアセテート)、Eastman EB アセテート(エチレングリコールブチルアセテート)、Eastman PM Solvent(プロピレングリコールモノメチルエーテル)、Eastman DM Solvent(ジエチレングリコールメチルエーテル)、Eastman PB Solvent(プロピレングリコールモノブチルエーテル)、Eastman DE Solvent(ジエチレングリコールエチルエーテル)、Eastman PP Solvent(プロピレングリコールモノプロピルエーテル)、Eastman EP Solvent(エチレングリコールモノプロピルエーテル)、Eastman EB Solvent(エチレングリコールモノブチルエーテル)、Eastman 95% Tecsol C(エタノールおよびメタノール,MIBKおよび酢酸エチル、変性剤として、5%水を有する)、N−メチルピロリドン、Eastman EEP Solvent(エチル3−エトキシプロピオネート)、ならびに他の揮発性不活性溶媒であって典型的にコーティング組成物において用いるもの、が挙げられる。
【0069】
例えば、セルロース混合エステルの有機溶液は、エステル1部当たり1〜1000部の溶媒を添加することによって調製でき;エステル1部当たり1.5〜9部の溶媒が好ましい。
【0070】
ベースコート組成物において用いるセルロースエステルは有効な流動添加剤である。ベースコート組成物にセルロースエステルを添加することは、一般的には、硬化/乾燥時のフィルムにおける表面欠陥の排除(すなわち、ピンホールおよびオレンジピールの排除)をもたらす。高DSMax、低DPのセルロースエステルが従来のセルロースエステルに対して有する注目すべき利点は、本発明のエステルが、高固形分コーティング配合物に添加したときの溶液および/またはスプレーの粘度に対して与える影響が最小限であることである。固形分パーセントを増大させることができ、よって配合物のVOCを低減できる。従来のセルロースエステルは、これらの同じ用途において流動添加剤として使用できるが、固形分の低減が、一般的には従来のセルロースエステルの添加に付随するはずである。すなわち、溶媒レベルを増大させて望ましい粘度を維持するようにしなければならない。
【0071】
本発明の一態様において、セルロース混合エステルは、29%ブチリル(Bu)量および1.5%OH量を有する。ベースコート組成物中に含有されるセルロース混合エステルの量は、フィルム形成性ポリマー固形分の質量基準で約0.5質量%〜約50質量%であることができる。他の範囲は、約5質量%〜約40質量%、および約10質量%〜約25質量%である。
【0072】
フィルム形成性ポリマーは、当該分野で公知のものであることができる。本発明の一態様において、フィルム形成性ポリマーは、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、アルキッド、ポリウレタン、セルロース物質、およびワックスからなる群から選択される少なくとも1種のフィルム形成性ポリマーである。フィルム形成性ポリマーの量は、ベースコート組成物の質量基準で約5質量%〜約90質量%の範囲であることができる。別の範囲は、ベースコート組成物の質量基準で約20質量%〜約50質量%である。
【0073】
レオロジー調整剤は、コーティング組成物の流動およびレベリングを変化させることができる当該分野で公知の任意のものであることができる。レオロジー調整剤としては、流動添加剤,例えばワックスが挙げられる。レオロジー調整剤の量は、フィルム形成性ポリマー固形分の質量基準で約0.1質量%〜約3質量%の範囲であることができる。
【0074】
溶媒は、コーティング組成物を製造するための当該分野で公知の任意のものであることができる。溶媒は本開示において先に説明している。本発明の一態様において、溶媒は、エステル、エステルアルコール、ケトン、脂肪族および芳香族の炭化水素、グリコールエーテル、グリコールエーテルエステル、およびアルコールからなる群から選択される少なくとも1種の有機溶媒である。粉末形状の場合、コーティング組成物は粉末コーティング組成物として使用できる。溶媒の量は約1質量%〜約99質量%の範囲であることができる。
【0075】
コーティング組成物のこの態様において用いる顔料は、ベースコート組成物において用いる当該分野で公知の任意のものであることができる。顔料は本開示において後述する。本発明の一態様において、アルミニウムフレークを顔料として用いる。
【0076】
ベースコート組成物のこの態様において用いるマイクロゲルは、当該分野で公知である任意のものである。マイクロゲルは、アルコールを含有するか、またはアルコール不含有であるかのいずれかであることができる非水性分散液である。ベースコート組成物中に含有されるマイクロゲルの量は、フィルム形成性ポリマー固形分の質量基準で約10質量%〜約40質量%の範囲であることができる。マイクロゲルの商業的な例としては、Microgel 10−1300(Akzo Nobelにより製造)およびR−1623−M3(Corocにより製造)が挙げられる。
【0077】
任意に、ベースコート組成物はまた、少なくとも1種の架橋剤を含有できる。本発明の一態様において、架橋剤は、イソシアネート、メラミン、およびエポキシからなる群から選択される少なくとも1種を含む。このようなメラミンは、好ましくは、複数の−N(CH2OR)2官能基(式中、RはC1〜C4アルキル、好ましくはメチル)を有する化合物である。一般的に、メラミン架橋剤は、下記式:
【0078】
【化3】

【0079】
(式中、Rは独立にC1〜C4アルキルである)
の化合物から選択できる。
【0080】
ここで、好ましい架橋剤としては、ヘキサメトキシメチルアミン、テトラメトキシメチルベンゾ−グアナミン、テトラメトキシメチルウレア、混合ブトキシ/メトキシ置換メラミン等が挙げられる。最も好ましいメラミン架橋剤はヘキサメトキシメチルアミンである。
【0081】
典型的なイソシアネート架橋剤およびレジンとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、およびトルエンジイソシアネートが挙げられる。
【0082】
架橋剤の量は、用いるフィルム形成性ポリマーに応じて変えることができる。架橋剤の量は、セルロース混合エステルおよびフィルム形成性ポリマーの総質量基準で約5質量%〜約40質量%、または約10質量%〜約30質量%の範囲であることができる。
【0083】
任意の基材物質は、本発明に係るベースコート組成物でコートできる。これらとしては、表面,例えばこれらに限定するものではないが、ガラス、セラミック、紙、木材およびプラスチックが挙げられる。本発明のベースコート組成物は、金属基材に対して、そして具体的にはベースコート用途における使用に対して、例えばアルミニウムまたはスチールに対して、特に適合する。基材の種々のブレンド物もまたコートでき、例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート)、アクリルシート、更に他の固体基材がある。コーティングは、従来のスプレー装置(例えばエア噴霧銃または静電ベルアプリケータ)を用いて適用できる。
【0084】
低いブチリル量と結び付いた比較的高いTg(110℃)は、VOCレベルに対する悪影響の原因となることなく、セルロース混合エステルが従来のセルロースアセテートブチレートと極めて類似する性能の利点を与えることを可能にする。高固形分ベースコート中に低分子量セルロース混合エステルを添加剤レベル(フィルム形成性ポリマー固形分で10%以下)で導入することは、コーティングのストライク−イン耐性および全体的な外観の顕著な改善をもたらした。これらの本発明のベースコート組成物は、外観を改善し、更にVOC放出を低減するための、相手先商標製品製造者(OEM)の製品による使用に特に好適である。
【0085】
溶媒は、コーティング組成物を製造するための当該分野で公知の任意のものであることができる。溶媒は本開示において先に説明している。本発明の一態様において、溶媒は、エステル、エステルアルコール、ケトン、脂肪族および芳香族の炭化水素、グリコールエーテル、グリコールエーテルエステル、およびアルコールからなる群から選択される少なくとも1種の選択される有機溶媒である。粉末形状の場合、コーティング組成物は粉末コーティング組成物として使用できる。
【0086】
追加の添加剤を、先に説明した組成物において使用できることが理解され、以下:流動添加剤、レベリング添加剤、湿潤剤および分散剤、消泡剤、接着促進剤、スリップ助剤、皮張り防止剤、UV安定剤、殺生物剤、防カビ剤、殺菌剤、顔料等が挙げられる。
【0087】
溶媒は、有機溶媒または溶媒混合物であることができる。
【0088】
本発明の別の態様において、ベースコート組成物を製造する方法を提供する。該方法は、少なくとも1種のフィルム形成性ポリマー、少なくとも1種のレオロジー調整剤、少なくとも1種の溶媒、少なくとも1種の顔料、任意に少なくとも1種のマイクロゲル、任意に少なくとも1種の架橋剤、および少なくとも1種のセルロース混合エステルを接触させてベースコート組成物を生成することを含む。成分は任意の順序で接触させてベースコート組成物を生成できる。
【0089】
本発明の別の態様において、基材をコーティングする方法を提供する。該方法は、少なくとも1種のフィルム形成性ポリマー、少なくとも1種のレオロジー調整剤、少なくとも1種の溶媒、少なくとも1種の顔料、任意に少なくとも1種のマイクロゲル、任意に少なくとも1種の架橋剤、および少なくとも1種のセルロース混合エステルを接触させて、ベースコート組成物を生成すること;ならびにベースコート組成物を基材に適用すること;を含む。
【0090】
本発明の別の態様において、基材をコーティングする方法を提供する。該方法は、少なくとも1つのプライマー層、少なくとも1つの本発明のベースコート組成物層、および少なくとも1つのクリアコート層を基材に適用することを含み;該プライマー層が湿潤しているときに該本発明のベースコート組成物層を適用する。
【0091】
本発明の別の態様において、基材をコーティングする方法を提供する。該方法は、少なくとも1つのプライマー層、少なくとも1つの本発明のベースコート組成物層、および少なくとも1つのクリアコート層を基材に適用することを含み;該本発明のベースコート組成物層が湿潤しているときに該クリアコート層を適用する。
【0092】
本発明の別の態様において、基材をコーティングする方法を提供する。該方法は、少なくとも1つのプライマー層、少なくとも1つの本発明のベースコート組成物層、および少なくとも1つのクリアコート層を基材に適用することを含み;該プライマー層が湿潤しているときに該本発明のベースコート組成物を適用し;そして該本発明のベースコート組成物が湿潤しているときに該クリアコート層を適用する。
【0093】
本開示で用いる用語「湿潤」は、液体状態にあること、例えば乾燥していないことを意味する。用語「湿潤」は、コーティングが指触粘着性である場合を包含する。本発明の一態様において、プライマー層は2つ以上のコートで適用できる。本発明の別の態様において、ベースコート組成物層は2つ以上のコートで適用できる。本発明の別の態様において、クリアコート層は2つ以上のコートで適用できる。本発明の別の態様において、プライマー、ベースコート、またはクリアコートの複数コート間の時間は約1分間である。
【0094】
本発明の一態様において、プライマー層とベースコート層との適用の間の時間は最小2分間である。本発明の別の態様において、プライマー層とベースコート層との適用の間の時間は4分間以上である。
【0095】
本発明の一態様において、ベースコート組成物とクリアコートとの適用の間の時間は最小2分間である。本発明の別の態様において、ベースコート層とクリアコート層との適用の間の時間は4分間以上である。
【0096】
本発明のベースコート組成物中に含有される低分子量セルロース混合エステルは、プライマーがベースコート組成物と混合すること、およびベースコート組成物がクリアコートと混合することを防止する助けとなる。
【0097】
別の態様において、コートされた基材は硬化ゾーンに送られる。硬化ゾーンは少なくとも1つのオーブンを収容できる。本発明の一態様において、クリアコート層の適用と硬化ゾーンへの転送との間の時間は最小で約5分間である。別の態様において、時間量は約7〜約10分間である。オーブン温度は約150°F〜約200°Fの範囲で最小で5分間であることができ、これに10分間硬化を約285°Fで続けることができる。
【0098】
本発明の別の態様において、基材をコーティングする方法を提供し、該方法は:a)プライマーを基材に適用してプライマー処理された基材を生成すること;b)該プライマーが湿潤している間にベースコート組成物を該プライマー処理された基材に適用して、ベースコートされた基材を生成すること;およびc)該ベースコート組成物が湿潤している間、そして任意に該プライマーが湿潤している間に、該ベースコートされた基材にクリアコート組成物を適用して、コートされた基材を生成すること;を含む。
本発明の一態様においてはプライマー間の時間である。
【0099】
本発明の更なる側面として、上記組成物は更に1種以上のコーティング添加剤で構成される。このような添加剤は、一般的には、組成物の総質量基準で約0.1〜15質量%の範囲で存在する。このようなコーティング添加剤の例としては、レベリング制御剤、レオロジー制御剤、および流動制御剤,例えばシリコーン、フッ化炭素またはセルロース物質;艶消し剤;顔料湿潤剤および顔料分散剤;界面活性剤;紫外(UV)吸収剤;UV光安定剤;着色顔料;消泡剤および泡止め剤;沈降防止剤、垂れ防止剤および体質剤;皮張り防止剤;色むら防止剤および色浮き防止剤;殺菌剤および防カビ剤;腐食防止剤;増粘剤;または融合剤;が挙げられる。
【0100】
追加のコーティング添加剤の具体例は、Raw Materials Index,(National Paint&Coatings Association,1500 Rhode Island Avenue,N.W.,Washington,D.C.20005により公表)に見出すことができる。
【0101】
艶消し剤の例としては、合成シリカ(Davison Chemical Division of W.R.Grace&Companyから商標名SYLOIDTMで入手可能);ポリプロピレン(Hercules Inc.から商標名HERCOFLATTMで入手可能);合成シリケート(J.M Huber Corporationから商標名ZEOLEXTMで入手可能);およびポリエチレンが挙げられる。
【0102】
分散剤および界面活性剤の例としては、ナトリウムビス(トリデシル)スルホサクシネート、ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウムスルホサクシネート、ナトリウムジヘキシルスルホサクシネート、ナトリウムジシクロヘキシルスルホサクシネート、ジアミルナトリウムスルホサクシネート、ナトリウムジイソブチルスルホサクシネート、ジナトリウムイソデシルスルホサクシネート、スルホコハク酸のジナトリウムエトキシ化アルコール半エステル、ジナトリウムアルキルアミドポリエトキシスルホサクシネート、テトラナトリウムN−(1,2−ジカルボキシエチル)−N−オクタデシルスルホサクシナメート、ジナトリウムN−オクタスルホサクシナメート、硫酸化エトキシ化ノニルフェノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。
【0103】
粘度制御剤、懸濁制御剤、および流動制御剤の例としては、ポリアミノアミドホスフェート、ポリアミンアミドの高分子量カルボン酸塩、および不飽和脂肪酸のアルキルアミン塩(全てBYK Chemie U.S.A.から商標名ANTI TERRATMで入手可能)が挙げられる。更なる例としては、ポリシロキサンコポリマー、ポリアクリレート溶液、セルロースエステル、ヒドロキシエチルセルロース、疎水変性ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアミドワックス、ポリオレフィンワックス、カルボキシメチルセルロース、アンモニウムポリアクリレート、ナトリウムポリアクリレート、およびポリエチレンオキサイドが挙げられる。
【0104】
幾つかの専売泡止め剤が市販で入手可能であり、例えば、商標名BRUBREAK(Buckman Laboratories Inc.のもの),商標名BYKTM(BYK Chemie,U.S.A.のもの),商標名FOAMASTERTMおよびNOPCOTM(Henkel Corp./Coating Chemicalsのもの),商標名DREWPLUSTM(Ashland Chemical CompanyのDrew Industrial Divisionのもの),商標名TRYSOLTMおよびTROYKYDTM(Troy Chemical Corporationのもの),ならびに商標名SAGTM(Union Carbide Corporationのもの)が挙げられる。
【0105】
殺菌剤、防カビ剤、および殺生物剤の例としては、4,4−ジメチルオキサゾリジン、3,4,4−トリメチルオキサゾリジン、改質バリウムメタボレート、カリウムN−ヒドロキシ−メチル−N−メチルジチオカルバメート、2−(チオシアノ−メチルチオ)ベンゾチアゾール、カリウムジメチルジチオカルバメート、アダマンタン、N−(トリクロロメチルチオ)フタルイミド、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、オルトフェニルフェノール、2,4,5−トリクロロフェノール、デヒドロ酢酸、ナフテン酸銅、銅オクトエート、有機ヒ素、トリブチルスズオキサイド、ナフテン酸亜鉛、および銅−8−キノリネートが挙げられる。
【0106】
U.V.吸収剤およびU.V.光安定剤の例としては、置換ベンゾフェノン、置換ベンゾトリアゾール、ヒンダードアミン、およびヒンダードベンゾエート,American Cyanamide Companyから商標名Cyasorb UVで入手可能,およびCiba Geigyから商標名TINUVINで入手可能,およびジエチル−3−アセチル−4−ヒドロキシ−ベンジル−ホスホネート、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、およびレゾルシノールモノベンゾエートが挙げられる。
【0107】
本開示において、以下の用語は所与の意味を有する:
例および本件全体で用いるMEKはメチルエチルケトンを意味し;MPKはメチルプロピルケトンを意味し;MAKはメチルアミルケトンを意味し;PMアセテートまたはEastmanPMアセテートはプロピレングリコールメチルアセテートを意味し;EBアセテートまたはEastmanEBアセテートはエチレングリコールブチルアセテートを意味し;PMまたはEastmanPMはプロピレングリコールモノメチルエーテルを意味し;DMまたはEastmanDMはジエチレングリコールメチルエーテルを意味し;PBまたはEastmanPBはプロピレングリコールモノブチルエーテルを意味し;DEまたはEastmanDEはジエチレングリコールエチルエーテルを意味し;PPまたはEastmanPPはプロピレングリコールモノプロピルエーテルを意味し;EP溶媒またはEastmanEP溶媒はエチレングリコールモノプロピルエーテルを意味し;EB溶媒またはEastmanEB溶媒はエチレングリコールモノブチルエーテルを意味し;Tecsol C,95%はメタノールを有するエタノールを意味し;MIBKおよび酢酸エチルは5%水を有する変性剤を意味し;NMPはn−メチルピロリドンを意味し;そしてEEP溶媒またはEastmanEEP溶媒はエチル−3−エトキシプロピオネートを意味する。
【0108】

試験方法
フロップインデックス手順:
フロップインデックス測定は、X−RiteモデルMA86IIマルチアングル分光計を用いて実施した。機器は、サンプル評価前に、提供されるキャリブレーション標準を用いて較正した。3つの読み取りの平均を各サンプルについて採って報告した。
【0109】
ドライフィルム厚み手順:
ドライフィルム厚み測定は、ETG電子フィルム厚みゲージを用いて行った。サンプル分析の前に、器具が有する製造基準を用いて較正を検証した。3つの読み取りの平均を採って各サンプルについて報告した。可能な限り近接して、同じ領域(ここでフロップインデックス測定を行った)を評価するように注意を払った。
【0110】
不揮発分質量評価:
1〜2グラム量の各サンプルを注意深くアルミニウム計量皿内に計り入れた。パンの初期質量および対応するサンプル質量を記録した。次いでサンプルを流すかエア乾燥(5分間)し、そして強制換気オーブン内(285°F)に30分間入れた。次いでパンをオーブンから取り出し、室温まで冷却し、そして計量した。各サンプルを2回試験した。不揮発分質量を算出してパーセントで報告した。
【0111】
スプレー粘度:
♯4のフォード(Ford)カップを用いてスプレー粘度を評価した。粘度を秒単位で記録する。
【0112】
レーザー走査共焦点顕微鏡:
ZeissモデルLSM510反射レーザー走査共焦点顕微鏡(LSCM)を用いて表面モルホロジー(トポグラフィープロファイル)を特性化した。入射レーザー波長は543nmであった。焦点面を動かすことによって、単独画像(光学スライス)を組合せて、デジタル加工できる3次元積層画像を構築できる。Zステップを選択して、重複光学スライス(Z走査画像の積層)を得た。本発明の報告において与えられるLSCMイメージは、2D強度画像(画像をz方向に亘って積層したものの合計によって形成されるイメージ)である。
【0113】
ウエーブスキャンデュアルメーター
Fort Lauderdale,FLにあるQualitest North Americaから得られるウエーブスキャンデュアルメーターを用いて、本発明のベースコート組成物をスプレーしたパネルの外観を評価した。
【0114】
【表2】

【0115】
例に用いる市販物質
Setalux 16−1173ポリエステルポリオールおよびSetamine US−138 BB−70メラミン架橋剤(Nuplex Resinsにより製造)
DPAセルロース混合エステル(Eastman Chemical Companyにより製造)
Ceratix 8461 ワックス(BYK Additives and Instrumentsにより製造)
Sparkle Ultra 6555 アルミニウムフレーク(Siberlineにより製造)
BYK−358N 流動添加剤(BYK Additives and Instrumentsにより製造)
Microgel 10−1300(Akzo Nobelにより製造)
Stapa Metalux 2156(Eckart Effect Pigmentsにより製造)
Coroc Microgel R−1623(Cooks Composite Productsにより製造)
例1
本実験の目的は、高固形分OEMベースコート系の明度および全体の外観を改善するための性能添加剤として使用できる低分子量セルロース混合エステルの種類を特定することであった。
【0116】
【表3】

【0117】
異なるブチリル量(38質量%、33質量%および29質量%)を有する低分子量セルロースエステルを実験に含めた。ベースコート組成物は、総フィルム形成性ポリマー固形分基準で10質量%の混合セルロースエステルを含有させて調製した(表2)。
【0118】
サンプル調製の間の、異なる含有成分の添加の順序は以下の通りであった:アクリルポリオールポリマー、メラミンレジン、流動添加剤、ワックス、溶媒ブレンド、マイクロゲル(MG)、アルミニウムフレークスラリー、およびDPA(混合セルロースエステル)溶液。アルミニウムフレークは、ペーストとして供給され、そして配合物への添加前に溶媒ブレンド中で還元した。また、ワックス成分を、添加前にペイントシェーカー上に5分間置いて均一性を確保した。サンプル調製の間、各サンプルをアルミニウム箔で覆って溶媒の蒸発を最小化した。約800mlの配合したベースコート組成物を、ロボットスプレーブース内での静電ベル塗布(electrostatic bell application)用に用いた。市販のOEMクリアコートを本例で用いた。ベースコート組成物は、27s(フォードカップ♯4粘度)で塗布し、そして不揮発量51%を有していた。目的ドライフィルム厚み(DFT)は、ベースコート組成物について0.7〜0.8mil(約20ミクロン)、およびクリアコートについて1.6〜1.7mil(約35〜40ミクロン)であった。
【0119】
【表4】

【0120】
対照例1.1Aは、別の試験パネルを同じベースコート組成物でコートしたことを除いて対照例1.1と同じである。
【0121】
「ストライク−イン」は、ベースコート組成物 対 クリアコート添加ありのベースコート組成物 の間のフロップインデックス(ΔFI)における相対変化によって測定できる。より低い値のΔFIは、ストライク−イン、または再溶解挙動に対してより高い障壁を示す。表3より、初期フロップインデックスの数(ベースコートのみ)は同等であったが、ベースコート組成物を含有するDPA−29セルロース混合エステルをスプレーしたパネルが最も高いストライク−イン耐性をクリアコートの後続の層に対して与えたことを明瞭に見ることができる。
【0122】
例2
本実験の目的は、上記のDPA−29混合セルロースエステルをともに配合したサンプルにおけるストライク−イン(再溶解耐性)および全体の外観の改善を示すことであった。配合物の詳細は表4に示す。約800mlの配合されたベースコート組成物を、ロボットスプレーブース内での静電ベル塗布用に用いた。市販のOEMクリアコートを本例で用いた。ベースコート組成物は、27s(フォードカップ♯4粘度)で塗布し、そして不揮発量51%を有していた。目的ドライフィルム厚み(DFT)は、ベースコート組成物について0.7〜0.8mil(約20ミクロン)、およびクリアコートについて1.6〜1.7mil(約35〜40ミクロン)であった。
【0123】
【表5】

【0124】
配合された高固形分ベースコート組成物のスプレー塗布試験による外観データを、対照例2.1および2.5ならびに発明例2.2、2.3および2.6について、表5に示す。配合物において用いたアルミニウムフレークは、Eckart Stapa Metallux 2156であった。
【0125】
【表6】

【0126】
例3
本例における配合物を表5に示す。これらのベースコート組成物は、異なるグレードのアルミニウムフレークを用いた。実験を行なって、フレーク/顔料の選択が、ベースコート配合物中の混合セルロースエステルの性能の利点に影響しないことを確認した。例1において言及した市販のクリアコートをこの場合でも用いた。
【0127】
【表7】

【0128】
スプレー塗布パラメータもまた、例1において説明したものと同一である。両者の例から、29質量%のブチリル量を有するDPA2386セルロース混合エステルの10質量%(フィルム形成性ポリマー固形分基準で)での添加は、ベースコート組成物の不揮発量における何らの相当程度の変化の原因にもならなかったことを明瞭に見ることができる。
【0129】
対照例3.1および発明例3.2〜3.4についての、配合された高固形分ベースコートのスプレー塗布試験による外観データ。配合物中で用いたアルミニウムフレークはSilberline Sparkle Ultra 6555であった。ウエーブスキャンデュアルメーターを用いて、スプレーされたパネルの外観を評価した。データを表7に示す。組合せフォード値(CF)を評価した。これは、パネルの全体の外観のウエーブスキャンデュアルメーターによって与えられる値である。値がより高いと、パネルの外観がより良好である。長波長(LW)および短波長(SW)のデータは、パネルの表面トポグラフィーの指標である。値がより低いと、パネルの表面がより平滑である。画像明瞭性(DOI)は、パネルの明澄性の指標である。
【0130】
【表8】

【0131】
発明例3.2〜3.4は、対照例3.1よりも高い組合せのフォード値ならびにより低い長波長および短波長のデータを有するより良好な外観のデータを示す。
【0132】
例の結果および議論:
例1、2および3による外観データは、高固形分ベースコート組成物中のセルロース混合エステルの存在が、「ストライク−イン」耐性の増大における正の効果、更にコーティングの全体の外観(CF)の改善を有していたことを示す。「ストライク−イン」は、ベースコート 対 ベースコート+クリアコート の間のフロップインデックスにおける相対変化(ΔFI)によって測定できる。DPA2386セルロース混合エステルを含有する配合物は、最も低いΔFI値を示した。発明例1.2〜1.4についてのストライク−イン(Δフロップインデックス)は、対照例1.1よりも低く、従って、再溶解挙動に対してより大きい障壁を示した。
【0133】
例4
レーザー走査共焦点顕微鏡は、コーティングの全体の外観とその微細構造とを相関させるための速い非破壊法を与えることができる。LSCMを用いてコーティング微細構造を調べることにより、配合物へのDPA2386セルロース混合エステルの組込みが、アルミニウムフレークの配列および分布における顕著な相違をもたらすことが明らかになった。コーティングの分析により得られる画像を図1に示す。個別のフレークは、DPA2386セルロース混合エステルを含有するサンプル中で、表面に対する法線方向により良好に配列して、重複するインターリービング構造を形成する。優れた反射特性およびより良好な外観をもたらすのは、この配列/角度配向である。一方、対照系におけるフレークの不規則な配向および分布は、暗い領域の形成をもたらす。この原因は、配列が悪いフレークの内部表面からの散漫散乱、およびこれに起因する、より悪い外観である。
【0134】
OEMベースコート配合物中に10質量%(フィルム形成性ポリマー固形分基準で)でDPA2386セルロース混合エステルを組入れることが、スプレー粘度でコーティングの不揮発量に対して悪影響を有さなかったことに留意することもまた重要である。
【0135】
マイクロゲルは、同様の性能の利点を与える点で、従来のセルロースエステルに対して優位な技術として用いられてきた。しかし、本検討では、マイクロゲルが、フレーク配列または改善された再溶解耐性のようには、大きな単独での利点を与えなかったことが明瞭に見られた。しかし、発明例3.3についての最も高いFI数によって検証された通り、ベースコート配合物中にマイクロゲルとDPA2386との両者を有することの相乗効果が存在する可能性がある。
【0136】
図面および明細書において本発明の典型的な好ましい態様を開示してきたが、具体的な用語を用い、これらは一般的および記述的な意味のみで限定の目的ではなく用いたものであり、本発明の範囲は特許請求の範囲に記載される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)アクリルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群から選択される少なくとも1種のフィルム形成性ポリマー;b)少なくとも1種のレオロジー調整剤;c)少なくとも1種の溶媒;d)少なくとも1種の顔料;e)任意に少なくとも1種のマイクロゲル;f)任意に少なくとも1種の架橋剤;ならびにg)少なくとも1種のセルロース混合エステルであって:
(1)無水グルコース単位当たりの総置換度約3.08〜約3.50を有し、以下の置換度:
無水グルコース単位当たりのヒドロキシルの置換度約0.70以下、
無水グルコース単位当たりのC3〜C4エステルの置換度約0.80〜約1.40、および
無水グルコース単位当たりのアセチルの置換度約1.20〜約2.34;
フェノール/テトラクロロエタンの60/40(wt/wt)溶液中25℃にて測定したときのインヘレント粘度約0.05〜約0.15dL/g;
数平均分子量(Mn)約1,000〜約5,600;
重量平均分子量(Mw)約1,500〜約10,000;および
多分散性約1.2〜約3.5;
を有するセルロース混合エステル;
(2)無水グルコース単位当たりの総置換度約3.08〜約3.50を有し、以下の置換度:
無水グルコース単位当たりのヒドロキシルの置換度約0.70以下、
無水グルコース単位当たりのC3〜C4エステルの置換度約1.40〜約2.45、および
無水グルコース単位当たりのアセチルの置換度約0.20〜約0.80、
フェノール/テトラクロロエタンの60/40(wt/wt)溶液中25℃にて測定したときのインヘレント粘度約0.05〜約0.15dL/g;
数平均分子量(Mn)約1,000〜約5,600;
重量平均分子量(Mw)約1,500〜約10,000;および
多分散性約1.2〜約3;
を有するセルロース混合エステル;
(3)無水グルコース単位当たりの総置換度約3.08〜約3.50を有し、以下の置換度:
無水グルコース単位当たりのヒドロキシルの置換度約0.70以下、
無水グルコース単位当たりのC3〜C4エステルの置換度約1.40〜約2.45、および
無水グルコース単位当たりのアセチルの置換度約0.20〜約0.80、
フェノール/テトラクロロエタンの60/40(wt/wt)溶液中25℃にて測定したときのインヘレント粘度約0.05〜約0.15dL/g;
数平均分子量(Mn)約1,000〜約5,600;
重量平均分子量(Mw)約1,500〜約10,000;および
多分散性約1.2〜約3.5;
を有するセルロース混合エステル;
ならびにこれらのセルロース混合エステルの混合物から選択されるセルロース混合エステルを含む、ベースコート組成物。
【請求項2】
3〜C4エステルが、ブチリルを含み、そしてセルロース混合エステルが、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールメチルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の溶媒中の10質量%混合物として明澄溶液を形成する、請求項1に記載のベースコート組成物。
【請求項3】
3〜C4エステルが、プロピオニルを含む、請求項1に記載のベースコート組成物。
【請求項4】
無水グルコース単位当たりのヒドロキシルの置換度が、約0.05〜約0.70である、請求項1に記載のベースコート組成物。
【請求項5】
フェノール/テトラクロロエタンの60/40(wt/wt)溶液中25℃にて測定したときのインヘレント粘度が約0.05〜約0.12dL/gである、請求項1に記載のベースコート組成物。
【請求項6】
数平均分子量(Mn)が、約1,500〜約5,000である、請求項1に記載のベースコート組成物。
【請求項7】
多分散性が1.2〜2.5である、請求項1に記載のベースコート組成物。
【請求項8】
3〜C4エステルが、ブチリルを含み、そしてセルロース混合エステルが、質量で90/10のn−酢酸ブチル/キシレン混合物中の50質量%溶液として粘度6,000センチポイズ以下を示す、請求項1に記載のベースコート組成物。
【請求項9】
3〜C4エステルが、ブチリルを含み、そしてセルロース混合エステルが、C−11ケトン、ジイソブチルケトン、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、メタノール、トルエン、および質量で90/10のイソプロピルアルコール/水ブレンド物からなる群から選択される少なくとも1種の溶媒中の10質量%混合物として明澄溶液を形成する、
、請求項1に記載のベースコート組成物。
【請求項10】
フィルム形成性ポリマーが、アクリルポリオール、ポリエステルポリオールおよびアルキッドからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載のベースコート組成物。
【請求項11】
セルロース混合エステルの量が、ベースコート組成物の質量基準で約1質量%〜約20質量%の範囲である、請求項1に記載のベースコート組成物。
【請求項12】
請求項1に記載のベースコート組成物でコートされている、成形または形成された物品。
【請求項13】
基材をコーティングする方法であって、少なくとも1つのプライマー層、少なくとも1つのベースコート組成物層、および少なくとも1つのクリアコート層を基材に適用することを含み;該プライマー層が湿潤しているときに該ベースコート組成物層を適用し;そして該ベースコート組成物層が請求項1に記載のベースコート組成物を含む、方法。
【請求項14】
基材をコーティングする方法であって、少なくとも1つのプライマー層、少なくとも1つのベースコート組成物層、および少なくとも1つのクリアコート層を基材に適用することを含み;該ベースコート組成物層が湿潤しているときに該クリアコート層を適用し;そして該ベースコート組成物層が請求項1に記載のベースコート組成物を含む、方法。
【請求項15】
基材をコーティングする方法であって、少なくとも1つのプライマー層、少なくとも1つの本発明のベースコート組成物層、および少なくとも1つのクリアコート層を基材に適用することを含み;該プライマー層が湿潤しているときに該ベースコート組成物を適用し;そして該ベースコート組成物が湿潤しているときに該クリアコート層を適用し;そして該ベースコート組成物層が請求項1に記載のベースコート組成物を含む、方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−503039(P2012−503039A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526869(P2011−526869)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/005144
【国際公開番号】WO2010/030394
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】