説明

低分子量芳香族ポリマー組成物の臭素化

低分子量の芳香族ポリマー組成物から臭素化芳香族ポリマー組成物を生成するためのプロセス技術を説明する。前記プロセスで使用される特定の条件によって、優れたカラー安定性特性及び熱安定性特性を有する製品を形成できる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
低分子量臭素化芳香族ポリマー組成物の新規の極めて有効な種類が我々の研究室で最近発見された。これらの組成物は、以下の式:
6(5-x)BrxCH2CH2(C6(5-x)BrxCHCH2−)nCH26(5-x)Brx
(式中、nは約2.9〜約3.9の範囲の平均数であり、各xは、同じか又は異なっており、3〜5の範囲の整数であり、組成物の全てのxの平均数は約3.50〜約3.80の範囲であり、ポリマーにおいて蛍光X線分光法(XRF)によって測定される臭素の重量%は約73.4〜約74.5の範囲である)を有する。これらの新規な臭素化芳香族ポリマー組成物及びそれらの調製と用途に関する詳細な説明は、2008年12月2日に出願された、本出願人が所有する米国仮特許出願第61/119,289号に提示されており、この全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
前述の仮特許出願に記載されているプロセス技術は、望ましい特性の組み合わせを有する生成物を生み出す。にもかかわらず、プロセス技術において、更なる改良を見い出すことができ、それにより、プロセスが、商品の利用率に関して、および、再循環流に対する、特に、再循環された臭素化溶媒に対する生成物品質感受性の低下に関して、よりいっそう効率的になるならば、より有利となるだろう。更に、これらのプロセスの改良が、重要な鍵となる難燃特性を犠牲にせずに、例えば、初期の溶液の色(initial solution color)、ハンターカラー黄色度指数(Hunter Color Yellowness Index)、熱カラー安定性(thermal color stability)、及び最少熱HBr含量(minimal thermal HBr
content)を犠牲にせずに達成できるならば、利点となるだろう。実際に、プロセス技術において前述の更なる改良を達成しながら、これらの特性のうちの1つ以上の特性を向上させることができるならば、かなり有利となるだろう。
【0003】
本発明は、極めて効率的且つ有効な様式で、これらの目的のほとんど全てを達成したと考えられる。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、特に、以下の式:
【化1】

(式中、式(I)の各分子に関して、nは約2.5〜約8の範囲の平均数であるが、但し、nが0である式(I)の化合物1,3―ジフェニルプロパンは、約1以下のGPC面積%の量で、この芳香族ポリマー組成物中に任意に存在し、また、この芳香族ポリマー組成物は、約0.1以下のGPC面積%の量で、トルエンを任意に更に含む)の芳香族ポリマー組成物を臭素化して、XRFで測定した場合に約70〜約76の範囲で臭素含量を有する臭素化芳香族ポリマー組成物を形成することを含むプロセスを提供し、このプロセスは、ハロゲン化アルミニウム臭素化触媒の存在下且つ光の非存在下で、約−10℃〜約+5℃の臭素化温度で、供給される臭素の総量対供給される触媒の総量のモル比が200:1
〜約500:1である条件下で、前記芳香族ポリマー組成物を液体臭素で臭素化することを含み、更にこのプロセスは、以下の点で特徴付けられる:すなわち、
a)前記触媒の総量を約−25℃〜約0℃の温度で反応器に充填すること、前記反応器は、不活性雰囲気と、アルミニウムとして表された前記触媒の初期重量%が約0.02重量%〜約0.04重量%の範囲であるように臭素化溶媒の一部とを含む;
b)触媒の充填完了後約2時間以内に、(i)臭素と(ii)臭素化溶媒中前記芳香族ポリマー組成物の溶液との分離同時供給を開始すること、前記供給は、前記溶液及び液体臭素を供給して芳香族ポリマー組成物対反応器に入ってくる臭素の実質的に一定なモル比を保つように、行う;及び
c)供給及び約60分以下の任意の運転時間の完了時において、アルミニウムの重量%は、反応器中における臭素化溶媒と臭素化された芳香族ポリマー組成物との総量を基準として、約0.015重量%を超えること。
【0005】
望ましくは、1,3―ジフェニルプロパンは約1GPC面積%以下の量で上記芳香族ポリマー組成物中に存在するか、又は、トルエンは約0.1GPC面積%以下の量で上記芳香族ポリマー組成物中に存在するか、又は、1,3―ジフェニルプロパンとトルエンの両方が、所定量で、上記芳香族ポリマー組成物中に存在する。
【0006】
本発明の他の重要な特徴および利点は、以下の説明、添付の図面、及び添付の特許請求の範囲からなお更に明らかとなるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】異なるアルミニウム触媒濃度を使用して生成された臭素化芳香族ポリマー組成物の熱カラー測定の2セットのプロットである。これらの各データセットは、2つの異なる温度で得た。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のプロセスによって形成される臭素化芳香族ポリマー組成物は、以下の式によって表すことができる:
【化2】

式中、nは、約2.5〜約8の範囲の平均数(望ましくは約2.9〜約3.9の範囲であり、それを四捨五入して整数にすると、約3〜約4の範囲の平均数となる)であり、各xは、同じか又は異なっていて、3〜5の範囲の整数であり、前記組成物における全てのx’sの平均数は約3.0〜約3.8の範囲(望ましくは約3.5〜約3.8の範囲)であり、ポリマーにおいて蛍光X線分光法(XRF)によって測定される臭素の重量%は約70〜約76の範囲(望ましくは約73.4〜約74.5の範囲)である。
【0009】
利用可能な実験結果は、これらの臭素化芳香族ポリマー組成物は、上記したような式(I)の芳香族ポリマー組成物を本発明に従って臭素化することによって生成したときに、特に望ましい結果を提供することを示していて、式中、nは約2.9〜約3.9の範囲の
平均数であり、それを四捨五入して整数にすると約3〜約4の範囲の平均数となり、その場合、更に、芳香族ポリマー組成物は、約650〜約750の範囲のMw、約500〜約600の範囲のMn、約830〜約1120の範囲のMz、及び約1.2〜約1.35の範囲の多分散を有することによって更に特徴付けられ、特に本発明の臭素化プロセスでは、臭素化溶媒中芳香族ポリマー組成物の溶液を、固体吸収剤を通過させて、本明細書記載の様式で、反応塊中に供給する前に極性アミン不純物を取り除く。
【0010】
便宜上、本発明の臭素化プロセスで使用される基材、すなわち芳香族ポリマー組成物は、しばしば、単数では「APC」、複数では「APC’s」と称する。同様に、本発明のプロセスで形成される臭素化芳香族ポリマー組成物は、しばしば、単数では「BAPC」、複数では「BAPC’s」と称する。
【0011】
スチレンから誘導されるポリマー芳香族化合物の臭素化に関しては、重要な鍵となるプロセスパラメータは、ハロゲン化アルミニウム触媒対臭素化プロセスの間に充填される臭素の総量のモル比であることが一般的に理解される。全く予期外に、本発明の実施で形成されたBAPC’sの品質に重大な影響を及ぼし得る他の重要な鍵となるプロセスパラメータが存在することを見出した。反応塊に供給できる濃度を制限する高い粘度を有するより高分子量のスチレン誘導体ポリマーとは違って、本発明の臭素化プロセスで基材として使用されるAPC’sは、これらの粘度制限に悩まされない。その結果として、本発明の開発において、優れた特性のBAPC’sを提供する追加の運転モードが存在することを驚くべきことに見出した。
【0012】
更に特に、BAPCの初期の色ならびにその熱カラー性能及び他の熱的性質(熱HBr発生を含む)は、臭素化反応の過程の全体にわたって、反応塊における触媒濃度によって大きく影響を受けることが分かった。予期外に発見された重要な傾向は、より高い触媒濃度では、これらのカラー特性の重要な改良が得られたということであった。
【0013】
従って、本発明の臭素化プロセスの重要な鍵となる特徴は、臭素化反応に関与する三つの試薬(APC、臭素、及び臭素化触媒)を一緒に合わせ、反応の過程全体を通して維持する仕方にある。本発明の開発で発見されたバランスの良い割合でそれらの試薬を一緒に合わせることによって、優れたBAPC生成物を提供する動力学的状態が提供される。
【0014】
臭素化溶媒中APC濃度及び反応器に充填される臭素化溶媒中臭素化触媒の初期濃度を妥当で且つ従来公認されていない選択をすることによって、反応器中にもたらされる物質の結果として反応塊は常に増加するという事実にもかかわらず、触媒濃度が臭素化の過程の間にほとんど変化しないように臭素化プロセスを操作できることを見出した。この事は、本発明の実施で使用するための優れた運転モードであることが証明された。
【0015】
それ故に、臭素化溶媒中におけるAPC濃度と触媒濃度との間の適当な関係がプロセス中において利用されない場合、臭素化の過程を通じて触媒濃度が有意に変化するプロセス条件が成立し得る。触媒濃度がそのように変化する場合、触媒濃度が高いと、望ましくない副産物が生成し、また、触媒濃度が低いと、望ましくない熱的性質及びカラー特性が生じ得る。これらの条件の両方が経験される場合、すなわち、臭素化中に触媒濃度が高い触媒濃度から低い触媒濃度へと変動する場合、生成物の純度、品質、及び性能に関して特に有害な影響がある。そのような1つの例は、非常に希薄なAPCの供給であり、その結果として非常に高い初期触媒濃度が生じ(高分子量基材を含む臭素化反応で一般的に利用される条件)、それにより、臭素化の過程中に、触媒濃度は有意に減少する。
【0016】
更に、比較的一定で高い触媒濃度が、臭素化の過程のほとんどの過程を通して存在するように、臭素化溶媒中におけるAPC濃度及び臭素化触媒初期濃度の両方が非常に高い場
合、得られる結果は、望ましくない不純物含量を生じさせるAPCの好ましくない開裂である。逆に、比較的一定で低い触媒濃度が、臭素化の過程の全てにおいてではないが臭素化のほとんどの過程を通して存在するように、臭素化溶媒中におけるAPC濃度及び臭素化触媒初期濃度の両方が非常に低い場合、得られる結果は、望ましくない初期の色、熱カラー、及び熱的性質を有するBAPCの形成である。
【0017】
上記したように、本発明の1つの重要な特徴は、より高い触媒濃度では、多くのカラー特性及び安定性特性が有意に改良されるという傾向を予期外に発見した点にあった。この傾向は、図1に記載してある。図1に示してあるデータ点は、14の実験的なパイロットプラントの運転でそれぞれ生成されたBAPC材料のサンプルを使用して形成されたBAPCサンプルを熱処理した2つのセットにおいて得られた。これらのパイロットプラントの運転は、触媒と臭素化溶媒の初期反応器充填の体積に比べて、APC供給の異なるサイズの体積の結果である軽度の変動を有する概ね同様な反応条件下で実行した。示してあるように、これらのデータ点は、(i)熱処理されたBAPC’sのそれぞれの溶液の色と、(ii)対応する14の運転のそれぞれで利用される平均アルミニウム触媒濃度との間の関係を示している。上の傾向線は、BAPCサンプルの300℃の熱処理で得られたデータに関する。下の傾向線は、BAPCサンプルの250℃の熱処理で得られたデータに関する。これらの熱処理に関する詳細は、使用された分析法と共に、以下に記載する。両方のデータセットにおいて、実験結果は、BAPCの調製で使用される触媒濃度が増加すると、熱カラー安定性が関数依存的に増加することを証明している。図1に示されているデータから、優れたカラー安定性特性及び優れた熱安定性特性を達成するためには、触媒重量%が、平均して閾値を超えて維持されるように臭素化プロセスを操作するのが最も良いことが分かる。当業者は理解するだろうが、使用されるAPC及び/又は形成されるBAPCの望ましくない分解を引き起こすほど高い触媒重量%で運転すべきではない。かかる分解は、初期触媒充填量が、アルミニウムとして表された場合に初期0.04重量%充填量のハロゲン化アルミニウム触媒に相当する、ブロモクロロメタン(BCM)中0.2重量%という低い塩化アルミニウム濃度であった運転時のハロゲン化アルミニウム触媒レベルにおいてなされた。それ故、本発明に従って、アルミニウムとして表されたハロゲン化アルミニウム触媒の初期重量%は、約0.02重量%〜約0.04重量%の範囲であり、供給及び約60分以下の任意の運転時間の完了時において、アルミニウムの重量%は、反応器中における臭素化溶媒と臭素化芳香族ポリマー組成物との総量を基準として、約0.015重量%を超える。
【0018】
本発明の臭素化プロセスを行う際には、臭素とAPC溶液の分離同時供給は、触媒の充填完了後約2時間以内に開始する。典型的には、この時間は、1時間以下であり得る。実験室規模では、この時間は、30分以下であり得る。臭素化溶媒中触媒のスラリーを、供給を開始する前に、所望の初期臭素化反応温度まで冷却したことは、重要である。臭素化反応において触媒との接触時間を延長すると、すなわち、臭素化を開始する前に接触が2時間を超えると、特性の劣ったBAPC生成物が生じた。
【0019】
本発明のプロセスで使用される触媒は、典型的にはハロゲン化アルミニウム触媒である。これらの中では、塩化アルミニウムは、そのコストの低さと使用し易さから、本プロセスで使用するのに最も望ましい。当業者は、反応塊に投入すると、塩化アルミニウムは、ハロゲン交換反応により、塩素原子を有するか又は有さずに臭素原子を含むハロゲン化アルミニウムの複合混合物が形成することを理解するだろう。アルミニウム三臭化物の使用は、本発明のプロセスに適すると考えられる。しかしながら、それは商品ではないので、あまり望ましくない触媒である。
【0020】
様々な臭素化溶媒を本発明プロセスで使用できる。このような溶媒の例としては、ジブロモメタン、二臭化エチレン、ジクロロメタン、エチレンジクロリド、臭化プロピル及び
同様なハロゲン化炭化水素が挙げられるが、それらに限定されない。ブロモクロロメタンは、本発明のプロセスで使用するための特に望ましい溶媒である。典型的には、臭素化は、10重量%という低い、また、50重量%という高いAPC濃度で行うことができるが、約20重量%〜約40重量%の濃度を使用することが望ましい。
【0021】
本発明の特徴は、臭素の非存在下で、BAPC生成物とハロゲン化アルミニウム触媒との接触を制限することにある。従って、反応は典型的には出来る限り早く行い且つ急冷する。それ故に、運転時間は、1時間未満、好ましくは10分未満が望ましい。運転時間が長くなると、BAPC生成物の臭素含量を増加させるという観点からはほとんど利点が無く、BAPC生成物の特性には有害である。
【0022】
臭素化を行う際には、確実に、臭素の供給と、臭素化溶媒中APC溶液とが、互いに密接に近接状態で、触媒含有反応混合物に入るようにすることが極めて望ましい。これは、APC、臭素、及び臭素化触媒の局所的に高く且つ平衡のとれた濃度を作り出すように行う。かかる供給は、衝突又は非衝突の表面下供給であり得る。又は、かかる供給は、反応混合物の表面より上に導入される供給であり得るが、但し、これらの供給は、反応塊の表面と接触するまでは、間隔を空けたままにしておく。軌跡は、互いに早期接触せずに、反応塊表面接触の場所が互いに密接に近接状態にあるようにすべきである。ある種の反応器構成では、供給は、最初に表面より上に存在できるが、ディップレッグ(dipleg)、インジェクター、又は他の液体供給手段の長さに基づいて、表面より下で終わることができるものと理解される。
【0023】
反応塊の急冷は、典型的には、水を使用して行う。しかしながら、ヒドラジン水和物水溶液の使用は、ハロゲン化アルミニウム触媒を急冷することに加えて、ヒドラジン水和物が臭素を減少させてHBrにするので、より望ましい。かかる急冷は、BAPCと臭素との接触時間を短くし、それにより、優れたカラーと、低減された熱HBr含量とを有する生成物が提供される。典型的には、約0.1重量%〜約1重量%の範囲のヒドラジン水和物の希薄水溶液は、有効な冷却剤である。必要に応じて、この範囲外の量を使用できる。任意の所定の場合において、使用される量は、全ての元素臭素が急冷操作中に確実に消費される十分な量であるべきである。臭素化反応混合物は、再循環のために回収されるHBrによって典型的には飽和されるので、20〜26重量%のHBr濃度を有する水性急冷混合物を作ることが望ましい。従って、反応塊に含まれる1重量部のBAPC当たり、約0.4重量部の急冷溶液の充填量を使用することが望ましい。
【0024】
急冷終了後、反応塊の撹拌を中断した後に、急冷された反応塊を、相分離によって水性混合溶媒から分離する。この相分離を達成するための適当な方法は、単純な相除去(phase cut)、デカンテーション、又は液体/液体遠心分離などを含む。相分離の後、得られた反応塊を清浄水で1回以上洗浄することが望ましい。
【0025】
急冷工程及びそれに続く洗浄工程の後、急冷された臭素化反応塊とアルカリボロハイドライド溶液とを撹拌して、極性ブロモアミン由来の不純物を分解することは有益である。この処理は、典型的には、約25℃〜約80℃の範囲の温度で、且つ分解を完了させるのに十分な時間行う。分解の完了は、反応塊の脱色と、存在し得るあらゆるエマルジョンの破壊によって明示される。通常は、このアルカリボロハイドライド処理は、5%水性NaOH溶液中NaBH4の0.3〜約1.0重量%溶液を使用して、25℃〜約64℃の範囲の温度で行う。必要に応じて、他のアルカリボロハイドライドを、この操作で使用してもよい。しかしながら、NaBH4は、その容易な利用可能性及び証明された有効性、その結果としての安い処理コストの故に、特に望ましい。処理が完了したら、撹拌を中断し、相を分離し、水性有機界面へと移行したあらゆる断片又はエマルジョン残存物を除去するように注意する。そうしないと、結果としてBAPC中に不純物が混入し、BAPCの
熱カラー性能が低下することが分かった。
【0026】
以下の実施例は、新鮮なトルエンとN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)とを使用する第一の場合において、回収され且つ再循環されたTMEDAを含むいくらかの再循環されたトルエンと一緒に、新鮮なトルエンとTMEDAとの混合物を使用する第二の場合において、本発明に従う臭素化プロセスを実施する際に使用されるAPCの調製を例示している。また、APCから揮発性成分(トルエン、TMEDA、及び1,3―ジフェニルプロパン)を取り除くためにWFE薄膜蒸留(wiped film evaporation)が使用されるブレンド操作も示してある(実施例3)。本発明のプロセス技術によるAPCの臭素化は、実施例4に例示してある。これらの実施例は例示目的で提示しており、限定することを意図しておらず、また、これらの実施例で記載されている具体的な詳細のみに本発明の範囲が限定されると解すべきではない。
【実施例】
【0027】
実施例1
臭素化のためのAPC基材の調製
この操作では、新鮮なトルエンならびに他の新鮮な反応物を使用した。オーバーヘッド凝縮器、浸漬されたサーマルウェル/熱電対、及び底部ドレン弁を備えているガラスライニング100ガロンジャケット付き反応器。蒸気制御弁を使用してジャケット中を流れる水の温度を制御することによって、温度を目標値に維持した。無段変速運転で3枚羽リトリートカーブ撹拌機(three−blade, retreat−curve agitator)によって、激しい撹拌を達成した。反応器は、全ての湿潤PTFE部品又は他のポリマー弗化材料若しくはエラストマーを実質的に有していない。
【0028】
反応器は、全ての操作中、不活性乾燥N2雰囲気下に保った。反応器には、ポータブルタンクから圧力移送によって、ディップレッグを通して、連鎖移動剤を充填した。アルキルリチウム、追加の溶媒、及びアミンプロモーター(TMEDA)を、全て、同じディップレッグを通して、撹拌された連鎖移動剤に対して、表面下で供給した。スチレンを、3Åモレキュラーシーブ(Zeochem製)の24インチの円筒形カラム(直径3インチ、約6ポンド(lb.))を通して絞り弁によって、ポータブル圧力容器から圧力移送し、スリット供給ノズル(slit feed nozzle)を通して、反応混合物の表面より上から微細流又はスプレーとして送達した。
【0029】
トルエン140ポンド(689モル)を反応器に充填した;カールフィッシャー水分分析は7ppmの残留H2Oを示した。撹拌を開始した。溶媒を、容器ジャケットに温度調整水を適用することによって、78℃まで加熱した。目標温度に到達したら、10ポンドのトルエン(49.24モル)中4.6ポンドのTMEDA(18.0モル)を、撹拌されたトルエン反応混合物の表面より下に、ディップレッグを通して反応器に充填した。次いで、20ポンド(98モル)の無水トルエンで供給ラインを洗浄した。次に、4.4ポンドのn―BuLi溶液(シクロヘキサン中23.5重量%)(7.32モルのn―BuLi)を、表面下供給ラインを通して充填すると、付随オフガスのブタンと共に、特徴的な明るい赤橙色のTMEDA複合ベンジルリチウムアニオンが形成した。次いで、22ポンド(108モル)の無水トルエンで供給ラインを洗浄した。436ポンドのスチレン(99+%、1899モル、American Styrenics製)を153分にわたって供給した。スチレンは、圧力移送によって、2.84ポンド/分の一定の供給量で、絞り弁を通して、窒素で調節されたポータブルタンクから加えた。反応器は、確実に反応を完了させるために、5分間運転した。
【0030】
窒素ガスでスパージすることによって一晩脱酸素された10ガロンの0.75重量%塩化アンモニウム溶液で、前記反応混合物を70℃に急冷した。その反応混合物を、10ガ
ロンの脱酸素水で更に2回洗浄した。相除去は迅速であり、ほとんど静置時間を要しなかった。水及びあらゆる断片又はエマルジョンを、底部のドレン弁を通して取り除いた。洗浄された粗反応混合物のサンプルを、GPCによって分析した(Mp:312、Mn:466、Mw:673、Mz:934、多分散(PD):1.44)。
【0031】
反応器を、容器ジャケットで温度調節水を使用して、大気圧沸点まで加熱した。次いで、蒸気を反応器ジャケットに適用し、反応器ジャケットの温度を140℃に上昇させた。シクロヘキサン、残留水分、及びトルエンを、沸騰させ、オーバーヘッド凝縮器で凝縮させ、135℃のポット温度が観察されるまで、ドラムへと排出した。反応器を50℃まで冷却した。容器に真空を適用し、反応器を沸点まで加熱した。次いで、蒸気を反応器ジャケットに適用し、反応器ジャケットの温度を140℃に上昇させた。真空を使用して35mmHgまで反応器圧を減少させた。シクロヘキサン、残留水分、及びトルエンを、沸騰させ、オーバーヘッド凝縮器で凝縮させ、135℃のポット温度が観察されるまで、ドラムへと排出した。アリコートを、GPCによる分析のために反応器から取り出した(Mp:314,Mn:468,Mw:676,Mz:940,多分散(PD):1.44)。反応塊(557ポンド)を、350ガロン運搬箱に捕集した。
【0032】
実施例2
WFE処理のための前駆材料である粗APCを形成させるための再循環されたトルエンの部分的な使用
この実施例では、主にトルエン、TMEDA、シクロヘキサン、及び前の運転から回収された1,3―ジフェニルプロパンから構成される複合材料の一部を使用した。而して、本実施例は、充填された総トルエンの一部分としての再循環されたトルエンの使用を示す。
【0033】
40ポンド(197モル)の新鮮なトルエン、及び97ポンドの再循環されたトルエン(97.1%、94.2ポンド、464モルのトルエン;1.7%、1.6ポンド、6.2モルのTMEDA;0.3%、0.3ポンド、0.7モルの1,3―ジフェニルプロパン;0.9%、0.9ポンド、4.9モルのシクロヘキサンを含む)を、反応器に充填した;カールフィッシャー水分分析は7ppmの残留H2Oを示した。撹拌を開始した。容器ジャケットに温度調整水を適用することによって、溶媒を79℃まで加熱した。目標温度に達したら、10ポンドのトルエン(49.24モル)中3.6ポンドの新鮮な補給TMEDA(12.8モル)を、撹拌されたトルエン反応混合物の表面より下に、ディップレッグを通して、反応器に充填した。次いで、供給ラインを、20ポンド(99モル)の無水トルエンで洗浄した。次に、4.4ポンドのn―BuLi溶液(シクロヘキサン中23.6重量%)(7.4モルのn―BuLi)を、表面下供給ラインを通して充填すると、付随オフガスのブタンと共に、特徴的な明るい赤橙色のTMEDA複合ベンジルリチウムアニオンが形成した。次いで、供給ラインを、22ポンド(108モル)の無水トルエンで洗浄した。432ポンドのスチレン(99+%、1881モル、American Styrenics製)を150分にわたって供給した。スチレンは、圧力移送によって、2.88ポンド/分の一定の供給量で、絞り弁を通して、窒素で調節されたポータブルタンクから加えた。反応器は、確実に反応を完了させるために、5分間運転した。
【0034】
その反応混合物を、一晩脱酸素された10ガロンの0.75重量%塩化アンモニウム溶液によって、70℃に急冷した。その反応混合物を、第二の10ガロンの脱酸素水で洗浄した。相除去は迅速であり、ほとんど静置時間を要しなかった。水及びあらゆる断片又はエマルジョンを、底部のドレン弁を通して取り除いた。洗浄された粗反応混合物のサンプルを、GPCによって分析した(Mp:303,Mn:462,Mw:677,Mz:959,PD:1.47)。
【0035】
反応器を、容器ジャケットで温度調節水を使用して、大気圧沸点まで加熱した。次いで、蒸気を反応器ジャケットに適用し、反応器ジャケットの温度を140℃に上昇させた。シクロヘキサン、残留水分、及びトルエンを、沸騰させ、オーバーヘッド凝縮器で凝縮させ、135℃のポット温度が観察されるまで、ドラムへと排出した。反応器を50℃まで冷却した。真空を容器に適用し、反応器を沸点まで加熱した。次いで、蒸気を反応器ジャケットに適用し、反応器ジャケットの温度を140℃に上昇させた。真空を使用して35mmHgまで反応器圧を減少させた。シクロヘキサン、残留水分、及びトルエンを、沸騰させ、オーバーヘッド凝縮器で凝縮させ、135℃のポット温度が観察されるまで、ドラムへと排出した。アリコートを、GPCによる分析のために反応器から取り出した(Mp:301,Mn:459,Mw:672,Mz:950,PD:1.46)。反応塊(544ポンド)を、350ガロン運搬箱で捕集した。
【0036】
実施例3
粗APCバッチのブレンディング及びAPCを形成させるためのブレンドのWFE精製
上記実施例1の一般的な手順に従って、全て新鮮なものを使用して合計12の運転を行った。真空ストリップ後のMnは403〜483であり、Mwは566〜721であった。上記実施例2の一般的な手順に従って、再循環されたトルエンを使用して合計13の運転を行った。真空ストリップ後のMnは404〜463であり、Mwは568〜688であった。これらの範囲に関して考えられる原因は、温度、撹拌速度、又は供給速度のわずかな変動である。12の全て新鮮な運転を、13の再循環運転と組み合わせ、商業規模のワイパー式薄膜蒸発器(WFE)に通した。得られたサンプルはGPCで分析した:(Mp:413,Mn:552,Mw:693,Mz:878,PD:.26)。組成物の5ガロンのサンプルを実験室でストリップした。極めて同様な結果が得られた:(Mp:418,Mn:569,Mw:729,Mz:946,PD:1.28)。
【0037】
実施例4
BAPC溶液の調製
BCM中溶液の形態で実施例3で形成されたAPCの14のバッチを、熱交換(加熱又は冷却)用のエチレングリコール又は加熱用の蒸気を使用できる50ガロンのガラスライニングジャケット付き反応器において、それぞれ臭素化した。反応器は、窒素封止を有する傾斜羽根ガラスライニング撹拌機(pitched−blade glass−lined agitator)を備えていた。両方のバッチ反応の目標は、目標反応供給時間約3時間、目標反応温度−2〜2℃、目標最終臭素濃度74±0.5重量%であった。臭素化反応は、3時間にわたって、分離させて且つ同時に臭素及びAPCを供給することを含む。APC対臭素の比を一定に保ち、反応全体を通して厳重にモニターして、特定の臭素濃度を有する最終生成物を形成させた。供給が完了した後、温度を約6℃まで上昇させつつ、反応塊を反応器中に45分間保持した。反応塊中のあらゆる過剰な臭素を水で急冷した。その後、水で洗浄し、次いで、約60℃で、苛性溶液及び水素化ホウ素ナトリウム溶液を使用して、残留HBrを中和した。洗浄溶液における水素化ホウ素ナトリウムの存在は、最終的に単離される生成物において色素体(color bodies)を形成できる反応塊中に存在するアミン化合物を分解すると考えられる。最後に、反応塊を、中性のpHまで水で再び洗浄する。
【0038】
臭素は、テフロン(登録商標)PFA樹脂(ペルフルオロアルコキシコポリマー樹脂;デュポン製)で裏打ちされたステンレス鋼製5ガロンのミルク缶から圧力移送によって供給した。前記樹脂は以下PFAと称する。使用するミルク缶は、ライナー無しで内径9インチ、高さ14インチであり、缶の全内表面積に厚さ0.22インチのライニングを有する。ライニングを含む場合、缶の実際の充填容積は、約4.6ガロンである。缶は、3/8インチのPFAディップレッグ、及び窒素圧用に使用された3つの追加の1/2インチポート、ホルダー付きPSD、及びベンティングダウン(venting down)を
備えている。缶の2インチ中心ポートは、Nitronic 60ナットで固定されるPFAプラグを有していた。
【0039】
これらの反応で使用される2本の供給ディップレッグが存在した。第一ディップレッグは、テフロン(登録商標)製の丈夫なパイプであり、パイプの全長にわたって穿孔された2x1/4インチの孔を有する。スプレッドが3/4インチ離れている空隙空間のそれぞれの上から下まで走行している1/4インチPFAチューブがある。チューブは、ドリルドスルーパイプトウチューブ雄コネクタ(drilled−through pipe−to−tubing male connectors)及びPFAナット/フェルールによって、各端において適所に固定する。他のディップレッグは、形状が似ているが、頂部フランジ上に3/8インチのドリルスルーフィッティングを有していて、2x3/8インチのチューブが、テフロン(登録商標)フルオロポリマーの中空パイプの空隙空間間中に延在している。チューブは、PFAフィッティングを介して、テフロン(登録商標)フルオロポリマーから作られている固体混合ノズルの頂部から約20インチ下に接続している。このノズルは、テフロン(登録商標)フルオロポリマー製パイプの内部にあるねじ山にねじ込められており、2つの供給がノズルの底にある1/8インチの孔を通って反応器に入る前に、その2つの供給に対して作用する。両方のディップレッグは、ディップレッグの底部フランジからの長さが約24インチであり、撹拌羽根の先端より上約2インチ反応器の中に延在している。
【0040】
触媒は、1インチステンレス鋼(SS)製締切弁、1x11/2インチSS製径違い継手、及び11/2インチのフルポートSS製ライニング真鍮締切弁(full port
SS−lined brass block valve)から成る充填ボンベによって反応器に導入した。ボンベへの触媒の充填は、1.5インチのフルポート弁によって、N2でパージしたグローブボックスにおいて行った。充填後、1/2インチのSS製T字管を1.5インチ弁の頂部に嵌合して、圧力計を取り付け、ボンベにN2を充填した。全構成を、1インチの締切弁を介して反応器ノズル上の径違いフランジ上へとねじ込んだ。
【0041】
水相除去は、全て、PFAディップレッグを使用して行った。前記PFAディップレッグは、外へ真っ直ぐ延び、適所にPFAフェルールを保持するために端部に溝のある長さ1/2インチのPFAチューブであった。フェルールによって、チューブが、押し下げられ、反応器の底部へと降ろされ、水相をデカントすることが可能となるが、チューブを適所に保持するドリルドスルーPFAフィッティングとキャップを越えて反応器からチューブが外に出て来ることが防止された。ディップレッグチューブは、反応器から、除去中に水性材料のサンプルを採取するために使用されたプレキシグラス(登録商標)樹脂から作られたボックスに向かって真っ直ぐに走行していた。ラインに存在する追加の破損点と関連した水性露出の危険率を低下させるために、反応器にあるディップレッグノズルと、このサンプルポイントとの間に、故意にフィッティングを存在させなかった。
【0042】
表1は、バッチ臭素化反応1〜14(BAPC 1〜14)のそれぞれについて、BAPC固体の実験室規模の単離された小さなサンプルバッチの成分、使用されたそれらの量、触媒重量%充填量、カラー特性、耐熱性、及び臭素レベルを要約してある。
【表1−1】

【表1−2】

【0043】
実施例5では、望ましい沈殿手順を例示する。ブレンド4を作る際に使用した手順は、BAPC回収中に利用して、その初期カラー特性及び熱カラー特性を更に改良できる本発明の新規の処理手順も例示している。
【0044】
実施例5
沈殿手順
30リットルのオイルジャケット付きガラス反応器を、蒸留用に取り付け、テフロン(登録商標)フルオロポリマー製ピッチブレードインペラ(pitched−blade impeller)(渦に逆らってポンプするための逆ピッチ)を用いる機械的撹拌と、テフロン(登録商標)フルオロポリマーから作られた1/8インチの表面下供給ラインとを具備させた。反応器に24リットルの水を入れ、98℃まで加熱した。10リットルのステンレス製ミルク缶に、17kgの18重量%BAPC溶液を入れた。ミルク缶の内容物は、2.5時間間にわたって且つ約94〜96℃の範囲のポット温度で、1/8インチ供給ラインを通して、沈殿媒体へと圧力移送できる。供給完了後、反応器を、99℃まで暖めることができ、その温度で5分間保持する。次いで、反応器の内容物を約60℃まで冷却し、そのスラリーを、底部にあるドレン弁を通して、5つの2ガロンポリエチレン製篭巻瓶の中に排出する。
【0045】
まず最初に950回転/分で動作しているRousselet−Robatel製12インチバスケット遠心分離機を使用して、固体BAPCを単離した。最初の遠心分離終了
後、速度を1700回転/分まで増加させて、ケーキをリングアウトさせる。固体(約4kgの湿潤ケーキ)を、捕集し、パイレックス(登録商標)ホウ珪酸ガラス製乾燥トレイに配置し、105℃で36時間、窒素でパージしたオーブンで乾燥させ、次いで6時間、完全な真空下で105℃で更に乾燥させる。その手順により、典型的には、3kgの乾燥した自由流動性の白色粉末が得られる。
【0046】
表2は、実施例4で作られた選択バッチから形成されたBAPCブレンドの4つのKilo Lab規模(30リットル反応器)の沈殿に関する完全な分析結果を要約している。ブレンド3を基準としてブレンド4を、改良された熱カラーに関して比較すると、本発明に従って、単離手順中において、沈殿溶媒(水)中にある程度のレベルのNaBH4を存在させることの利点が証明される。更に、表2は、選択バッチを作る際に使用される成分を示している。
【表2】

【0047】
分析法
熱カラー分析を除いて、APC’s及びBAPC’sの特性を分析するための適用可能な分析法は、2008年12月18日の国際公開日を有する国際公開番号第WO2008/154453号に記載されている。熱カラー分析のための手順は、以下の通りである:20ml平底シンチレーションバイアルを整然と取り付けるための直径を有する12個の加熱ポートを特徴とするJ−Kem Scientific(ミズーリ州セントルイス)から市販されているカスタムメイドの金属加熱ブロックを使用する。加熱ブロックを、窒素でパージしたグローブボックス中に配置し、試験温度(250又は300℃)まで加熱する。BAPC粉末のまったく同じ5gのサンプルを、20mlシンチレーションバイアル中に配置し、加熱ブロックで加熱処理する。前記バイアル中の材料を、規定時間(250℃で15分又は300℃で20分)加熱する。熱処理又は熱熟成時間の終了後、サンプルを、加熱ブロックから直ちに取り出し、窒素下で冷却する。そのサンプルを溶かして、クロロベンゼン中10重量%溶液を作る。溶解させたサンプルの溶液の色を、L, a,b及びデルタEについて測定し、Hunter Lab社(バージニア州レストン)製Color Quest XE 測色計を使用して、クロロベンゼンブランク標準(L=100、a=0、b=0)と比較する。
【0048】
本発明は、本明細書で詳述される材料及び/又は手順を含むことができ、から成ることができ、から実質的に成ることができる。
【0049】
特に明示していない限り、本明細書で使用される場合及び使用される時、冠詞「a」又は「an」は、限定することを意図しておらず、また、冠詞が言及している単一の要素にクレームを限定すると解するべきではない。むしろ、本明細書で使用される場合及び使用される時、冠詞「a」又は「an」は、特に明示していない限り、1つ以上の前記要素を包含することを意図している。
【0050】
本明細書の任意の部分で言及されているいずれの特許又は刊行物も、あたかも本明細書に完全に記載されているかのごとく、参照により本開示に完全に組み込まれる。
【0051】
本発明は、その実施において、多くのバリエーションが許容される。それ故、前述の説明は、限定することを意図しておらず、また、上記で示した特定の事例に本発明を限定するものであると解すべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式:
【化1】

(式中、式(I)の各分子に関して、nは約2.5〜約8の範囲の平均数であり、但し、nが0である式(I)の化合物1,3―ジフェニルプロパンは、約1以下のGPC面積%の量で、この芳香族ポリマー組成物中に任意に存在し、また、この芳香族ポリマー組成物は、約0.1以下のGPC面積%の量で、トルエンを任意に更に含む)の芳香族ポリマー組成物を臭素化して、XRFで測定した場合に約70〜約76の範囲で臭素含量を有する臭素化芳香族ポリマー組成物を形成させることを含むプロセスであって、前記プロセスは、ハロゲン化アルミニウム臭素化触媒の存在下且つ光の非存在下で、約−10℃〜約+5℃の臭素化温度で、供給される臭素の総量対供給される触媒の総量のモル比が200:1〜約500:1である条件下で、前記芳香族ポリマー組成物を液体臭素で臭素化することを含み、更に、以下の点:
a)前記触媒の総量を約−25℃〜約0℃の範囲内の温度の反応器に充填し、前記反応器は、不活性雰囲気と、アルミニウムで表した前記触媒の初期重量%が約0.02重量%〜約0.04重量%の範囲であるように臭素化溶媒の一部とを含み;
b)触媒の充填完了後約2時間以内に、(i)臭素と(ii)臭素化溶媒中前記芳香族ポリマー組成物の溶液との分離同時供給を開始し、前記供給は、前記溶液及び液体臭素を供給して芳香族ポリマー組成物対反応器に入ってくる臭素の実質的に一定なモル比を保つように行われ;及び
c)供給及び約60分以下の任意の運転時間の完了時において、アルミニウムの重量%は、反応器中における臭素化溶媒と臭素化された芳香族ポリマー組成物との総量を基準として、約0.015重量%を超える、
ことを特徴とするプロセス。
【請求項2】
前記臭素化溶媒中の芳香族ポリマー組成物の溶液が、約20〜約40重量%の前記芳香族ポリマー組成物を含む溶液であることを更に特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記臭素化溶媒が、少なくとも主にブロモクロロメタンであることを更に特徴とする請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
供給完了後又は任意に用いられる運転時間終了後に、前記臭素化反応塊を、水中ヒドラジン水和物の希釈溶液を含む反応器へと移送し、触媒及び臭素が急冷されるように、得られた混合物を撹拌することを更に特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記希釈溶液が、水中ヒドラジン水和物の0.1〜1.0重量%溶液である請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記水中ヒドラジン水和物の0.1〜1.0重量%溶液の量が、前記臭素化反応塊中に存在する臭素化芳香族ポリマー組成物の重量を基準として、1ポンド当たり約0.4重量
部の前記溶液である請求項5記載のプロセス。
【請求項7】
急冷が完了したら撹拌を中断し、急冷された反応塊を相分離によって水性混合物から単離し、任意に、得られた反応塊を清浄水で洗浄することを更に特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記急冷された臭素化反応塊をアルカリボロハイドライド溶液と撹拌して、極性ブロモアミン由来の不純物を分解することによって、前記急冷された臭素化反応塊を更に処理することを更に特徴とする請求項4〜7のいずれか一項に記載のプロセスであって、前記処理を、約25℃〜約80℃の範囲の温度且つ分解が完了するのに十分な時間行い、分解の完了が、反応塊の脱色と、存在し得るあらゆるエマルジョンの破壊とによって明示されるプロセス。
【請求項9】
前記臭素化芳香族ポリマー組成物を、アルカリボロハイドライドの存在下で、沸騰点付近又は沸騰点の熱水から沈殿させることによって、前記反応塊から回収する請求項4〜8のいずれか一項に記載のプロセスであって、任意に、前記沈殿前に、前記反応塊を共沸的に乾燥させ、固体吸収剤中に通して極性不純物を除去するプロセス。
【請求項10】
反応器に充填されるハロゲン化アルミニウム臭素化触媒が、塩化アルミニウムである請求項1〜9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記供給が、臭素の供給と、前記の芳香族ポリマー組成物溶液の供給とが互いに密接に近接状態にある点を更なる特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記供給が、衝突又は非衝突の表面下供給である請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記供給が、間隔を置いて離れており、前記反応塊の表面に対して非衝突の供給である請求項11に記載のプロセス。
【請求項14】
nが、約2.9〜約3.9の範囲の平均数であり、XRFで測定した場合に、前記臭素含量が、約73.4〜約74.5の範囲である請求項1に記載のプロセス。
【請求項15】
前記芳香族ポリマー組成物が、約650〜約750の範囲のMw、約500〜約600の範囲のMn、約830〜約1120の範囲のMz、及び約1.2〜約1.35の範囲の多分散を有する請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記の臭素化溶媒中芳香族ポリマー組成物の溶液を、供給前に、固体吸収剤中に通して極性アミン不純物を除去する請求項1〜15のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項17】
(i)1,3―ジフェニルプロパンが、約1GPC面積%以下の量で、前記芳香族ポリマー組成物中に存在するか、又は、(ii)トルエンが、約0.1GPC面積%以下の量で、前記芳香族ポリマー組成物中に存在するか、又は、(iii)1,3―ジフェニルプロパンとトルエンの両方が、所定量で前記芳香族ポリマー組成物中に存在する請求項1に記載のプロセス。

【図1】
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【公表番号】特表2012−525420(P2012−525420A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508718(P2012−508718)
【出願日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/032937
【国際公開番号】WO2010/127091
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(594066006)アルベマール・コーポレーシヨン (155)
【Fターム(参考)】