説明

低吸塵性を有するポリカーボネート成形部品

本発明は低吸塵性を有するポリカーボネート成形体の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、低吸塵性を有するポリカーボネート成形部品の製造方法に関する。
【0002】
プラスチック成形部品においてダストフィギュアーの形成に基づくダストの堆積は、広範囲な問題である。これに関しては、例えばSaechtling著、「Kunststoff-Taschenbuch」、第26版、Hanser Verlag、1995年、Munich、140頁以下を参照する。透明な成形体上でのダスト堆積物は、特に面倒であり、かつ機能を制限する。そのような成形部品は、例えば光学データキャリア、電気工学、自動車の組み立ておよび建築部門の領域、液体容器や他の光学用途のために使用される。これら全ての用途のために、ダストの堆積は望ましくなく、かつ機能の損傷効果を有し得る。
【0003】
プラスチックパーツ上でのダスト堆積を低減する既知の方法は、静電防止剤を使用することである。文献には、ダストの堆積を制限する静電防止剤が熱可塑性プラスチクのために記載されている(例えば、Gaechter、Mueller、「Plastic Additives」、Hanser Verlag、Munich、1996年、749頁以下参照)。これらの静電防止剤は、プラスチック成形用組成物の導電性を改良し、それによって製造および使用中に形成される表面電位を放散させる。したがって、ダスト粒子がより少なく引き寄せられ、ダストの堆積が少なくなる。
【0004】
静電防止剤に関して外添および内添静電防止剤とに区別される。外添静電防止剤は、加工後にプラスチック成形物品上に適用され、内添静電防止剤は、添加剤としてプラスチック成形組成物へ添加される。経済的な理由により、内添静電防止剤の使用は、加工後、静電防止剤の適用のための別の操作が必要ないため最も好適である。今までのところ、特にポリカーボネートについて、完全に透明な成形部品を形成する内添静電防止剤は文献に記載されていない。
【0005】
JP-A 06-228420には、静電防止剤としてポリカーボネート中の脂肪族スルホン酸アルミニウム塩について開示している。しかしながらこれらの化合物は、分子量の低下をもたらす。JP-A 62-230835には、ポリカーボネート中の4%ノニルフェニルスルホン酸テトラブチルホスホニウムの添加について開示している。
【0006】
既知の内添静電防止剤の欠点は、酸化防止効果を達成するためにそれらが比較的高濃度で使用されなければならないことである。しかしながら、これは望ましくない方法でプラスチックの材料特性を変更する。
【0007】
外添静電防止剤は、熱の作用および強い光照射のもとでしばしば黄色になるという欠点を有する。さらに、それらは外的影響、例えば摩擦、ウォーターフィルム(water films)の形成等によって容易に除去される。
【0008】
したがって、本発明の目的は、プラスチックの材料特性が悪影響を受けない低吸塵性を有するポリカーボネート成形部品の製造方法を提供することである。
【0009】
驚くべきことに、この目的は材料の表面特性が火炎処理、コロナ処理および/またはプラズマ活性によるポリカーボネート成形部品の表面処理によって変化し、その結果成形部品の材料特性を変化することなしに、もはやダスト引き付けが起こらない方法によって達成されることが解った。
【0010】
したがって、本発明は、火炎処理、コロナ処理および/またはプラズマ活性によるポリカーボネート成形部品の表面処理を含むことを特徴とする低吸塵性を有するポリカーボネート成形部品の製造方法を提供する。
【0011】
推定上、この表面処理は表面張力を増加し、表面張力の極性量(polar content)を特にドラマチックに増加する。特に良好な結果は、表面張力が20%以上の極性量である場合に得られる。
【0012】
表面張力および極性量は、本明細書中では既知の方法によって決定され、それは特に以下の文献:「Einige Aspekte der Benetzungstheorie und ihre Anwendungen auf die Untersuchung der Veraenderung der Oberflaecheneigenschaften von Polymeren」、Farbe und Lack著、第77巻、no.10、1971年、997頁以下、「Determination of contact angles and solid surface tensions of poly(4-X-styrene) films」、Acta Polym、1998年、49巻、417-426頁、「Wettability and microstructure of polymer surfaces: stereochemical and conformational aspects」、Apparent and Microscopic Contact Angles、111-128頁参照に記載されている。
【0013】
本発明の最初の態様によれば、表面処理は火炎処理によって行われる。
【0014】
火炎処理では、オープンフレーム(open flame)、好ましくはその酸化部分が、プラスチック成形部品の表面に作用する。活性化される成形部品の形状および量に依存して、約0.2秒の暴露時間が一般に十分である。
【0015】
実験は、空気量がわずかに化学量論混合物より高く(わずかにリーン(lean)混合物)なるように調節することが一般に最良の処理成功(treatment success)を達成することを示す。火炎の酸化する効果について、燃焼プロセスの間に外添から取り込まれる酸素およびとりわけ供給される空気ガス混合物において含む酸素の両方が重要である。
【0016】
供給された空気ガス混合物はまた、火炎の特性に強い影響を有するため、「リッチ」混合物(高いガス含量)で操作された火炎は「リーン(lean)」混合物(低ガス含量)で操作したものとちょうど同じくらい不安定である。
【0017】
混合調整用の標準的な量は以下の空気/ガス比である:
空気:メタン(天然ガス)≧8:1
空気:プロパン(LPG)≧25:1
空気:ブタン≧32:1
【0018】
混合調整に加えて、バーナー設定およびバーナー距離はまた、有効な火炎処理には重大である。バーナー出力は火炎特性(温度、イオン分布、活性ゾーンサイズ)すべてに影響を及ぼす。バーナー出力変化は、火炎長さを変更し、それがバーナーから生成物まで距離を与える。
【0019】
一般にkWで示されたバーナー出力は、ある時点までのガス流量の体積(リットル/分)に正比例する。あまりにも低い出力は処理の低下をもたらし、すなわち表面エネルギーが十分に増加しない。より高い出力はまたより高いイオン濃度を確立し、処理がより強力になる。あまりにも高い出力は、高い材料温度をもたらし、それにより初期の溶融をもたらす。これは表面が火炎処理の後につやがあるかないかどうかを検出し得る。
【0020】
操作速度、即ち可能な接触時間は一般的に使用者によって決定され、これは必要なバーナー出力を決定する。操作速度とバーナー出力は、最良の結果を与えるために、テストによって互いに常に調節されなければならない。
【0021】
火炎処理が1〜20m/分、2〜10m/分の処理量で連続的な火炎処理プラント中で行われるならば、特に有利であることが解った。
【0022】
本発明の第二の態様によれば、表面処理はコロナ処理によって行われる。
【0023】
従来の(直接)コロナシステムにおいては、処理される部分が、直接的にコロナ放電(corona discharge)の放電ギャップに導入される。フィルムの処理において、ギャップはウェブを導入する処理ロール(treatment roll)およびロールの上約1.5〜2.0mmである処理電極によって形成される。電極がさらに遠い場合、高い電圧が放電を起こすために印加されなければならず、その結果各放電エネルギー量が増加し、ますますホットアーク放電が起こるが、それは基材の温和な処理のために回避されるべきである。
【0024】
これらの常套の電極のため典型的な出力密度は単電極ロッドにつき約1W/mmである。
【0025】
間接的コロナシステムにおいて、電気放出は、加工物より前で起こる。空気流が処理されるべき加工物上に放電火花(discharge sparks)を向け、その結果間接的な接触のみが放電とともに起こる。間接的コロナ処理の1つの原則は、放電が2つの金属ピン電極の間で燃焼を可能することを含む。コロナ放電を形成するのに必要な電流の制限は、電子的に発生する。放電火花は、空気で偏向する。5〜20mmにわたる処理距離範囲が、ここで達成される。この大きな放電距離のために、デザイン手段(design measures)を使用する各放電のエネルギー含量を最小限にすることは重大である。
【0026】
約50kHzの高い操作周波数と最適化された放電配置および空気制御によって、放電強度は100Wまで減少され得る。好適なシステムは、例えばTigris社製CKGコロナガンである。約20mmの有効巾を備えた単電極がここで用いられる。
【0027】
複雑な配置を有するポリカーボネート成形部品であっても、複数の電極を組み合わせることにより処理され得る。その配置は3次元部品に適合され得る。
【0028】
前処理を低温コロナ放電で行うと、成形部品の相当な加熱が起こらない。したがって、熱感受性プラスチックの表面は光学変形を受けず、縦筋(streaking)および曇り(clouding)のような損傷が起こらない。
【0029】
種々のコロナ技術は三次元の物品の前処理のために利用可能であり、例えば低周波(LF)システム、高周波(HF)システムおよびスポット発生器が挙げられ、それらが個々の製品によって用いられ得る。
【0030】
スポット発生器は反対電極の使用なしで、空気によって基材上に圧力をかける高電圧放電を生成する。スポット発生器は、容易に既存の生産ラインへ統合することができ、使いやすく一般にタイマーとアラームの機能を含む。前処理幅は45〜65mmであり、種々の物品が前処理されることを許容する。スポット発生器はまた2つ以上の放電ヘッド(discharge heads)をもって供給されてもよい。
【0031】
高周波コロナでは、周波数20〜30kHzの高電圧放電が生成され、それは空気中で2つの電極間にコロナフィールドを形成する。このコロナは表面を活性化するため、より大きな付着性および湿潤性を生じる。シートおよび単純な3D幾何学のコロナ活性は高速で可能である。
【0032】
ボディの全表面が生産ラインの中で前処理され得るコロナトンネル(例えば、Tantec)は、複雑な成形部品の前処理に好適である。電極の特別デザインは、完全に均一な表面エネルギーを達成することを意味する。垂直の側面および90℃の角度も処理し得る。コロナトンネルデザインは、一般に物品に特有であり、既存のプラントへ統合することもできる。それは例えば、高さ100mm以下および幅2000mm以下の物品の全体のトップサイドの非接触前処理を可能にする。
【0033】
コロナ処理は、好ましくは連続的コロナプラント中で処理量1〜20m/分、特に2〜10m/分、および/または出力500〜4000W、特に1500〜3500Wで行う。
【0034】
本発明の第三の態様によれば、表面処理はプラズマ活性によって行われる。プラズマ活性は好ましくは圧力1〜10−2mbar、特に10−1〜10−2mbar、および出力200〜4000W、特に1500〜3500W下で、低周波の発生器を用いて特にプロセスガス、例えば酸素または特に空気(例えば、Balzers社製BPA2000 スタンダードシステム)の存在下にチャンバー中で行われる。
【0035】
本発明のさらなる態様では、基材表面を吸塵をなくすために、火炎処理用の基材に金属酸化物層を同一の操作で適用することがさらに特に有効であることが解った。特に好適には、アルミニウム、錫、インジウム、シリコン、チタン、ジルコニウムおよび/またはセリウム化合物の燃焼ガス/空気混合物への添加である。非吸塵トップコートを生成する添加剤の秤量は、気流における有機先駆体またはエアロゾルの秤量された混合の原理によって作用する。秤量は、プロセスコントロールされた蒸発またはスプレーミストによって行われる。好適な装置は、例えばarcogas GmbH(Rotweg 24、Moensheim、ドイツ)社製のFTS範囲の制御装置と組み合わせた、SMB22バーナーである。揮発性の有機金属化合物、特に上記金属のアルコキシドまたはアセテートは、有機先駆体として好適である。シリコンテトラアルコキシドは、特に好ましいことが解った。
【0036】
気流に射出され、火炎によって表面上に付着される、金属酸化ナノ粒子の水性分散液体は、エアロゾルの製造に最も好適である。
【0037】
US 5,008,148に記載されているプラズマプロセスとの比較において、本発明に記載された金属酸化層の適用は、実質的により単純で、よりコスト効果性である。
【0038】
US 5,008,148は、UV保護のために低圧プラズマプロセスによるポリカーボネートまたはポリフェニレンスルフィド物品の金属酸化物層による被覆について記述する。US 5,008,148による生成された物品は、吸塵がないわけではない。
【0039】
透明性熱可塑性材は、透明性プラスティック、特に好ましくはエチレン不飽和モノマーのポリマーおよび/または二官能性反応性化合物の重縮合物として好ましく用いられる。
【0040】
特に好適なプラスチックは、ジフェノールに基づくポリカーボネートまたはコポリカーボネート、ポリアクリレートまたはコポリアクリレートおよびポリメタクリレートまたはコポリメタクリレート、例えばポリメチル、コポリメチルメタクリレート、またスチレンとのコポリマー、例えば透明性ポリスチレンアクリロニトリル(SAN)、また透明性シクロオレフィン、テレフタル酸の重縮合物または共重縮合体、例えばポリエチレンまたはコポリエチレンテレフタレート(PETまたはCoPET)またはグリコール変性PET(PETG)が挙げられる。
【0041】
当業者は、ポリカーボネートまたはコポリカーボネートで優れた結果を得る。
【0042】
本発明の意味内において、熱可塑性、芳香族ポリカーボネートは、両方ともホモポリカーボネートおよびコポリカーボネートの両者である。ポリカーボネートは直鎖状であってよく、または既知の手段によって分岐されていてもよい。
【0043】
これらのポリカーボネートは、ジフェノール、カルボン酸誘導体、要すれば連鎖停止剤および要すれば分岐剤から既知の手段によって製造される。
【0044】
ポリカーボネートの製造の詳細は、過去40年程度にわたって多くの特許明細書の中で記載されてきた。以下の例を参照する(Schnell著、「Chemistry and Physics of Polycarbonates」、Polymer Reviews、第9巻、Interscience Publishers、ニューヨーク、ロンドン、シドニー1964年、さらにD. Freitag、U. Grigo、P.R. Mueller、H. Nouvertne著、BAYER AG、「Polycarbonates」in Encyclopedia of Polymer Science and Engineering、第11巻、第二版、1988年、648-718頁および最後にBecker/Braun著、Kunststoff-Handbuch、第3/1巻、Polycarbonate、Polyacetale、Polyester、Celluloseester、Carl Hanser Verlag Munich、ウイーン、1992年、117-299頁中のDrs U. Grigo、K. KirchnerおよびP.R. Mueller著、「Polycarbonate」。
【0045】
ポリカーボネートの製造に好適なジフェノールは、例えばヒドロキノン、レゾルシノール、ジヒドロキシジフェニル、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、α,α’−ビス(ヒドロキシフェニル)ジイソプロピルベンゼンおよびそれらの環−アルキル化および環−ハロゲン化合物である。
【0046】
好ましいジフェノールは、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,2−ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,2−ビス−(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルクロロヘキサンが挙げられる。
【0047】
特に好ましいジフェノールは2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンおよび1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが挙げられる。
【0048】
これらおよびさらに好適なジフェノールは、当業者に知られており、例えばある研究論文においてH. Schnell著、「Chemistry and Physics of Polycarbonates」、Interscience Publishers、ニューヨーク、1964年に記載されている。
【0049】
ホモポリカーボネートの場合においては、1種のジフェノールのみが用いられ、コポリカーボネートの場合においては、いくつかのジフェノールが用いられる。
【0050】
好適なカルボン酸誘導体は、例えばホスゲンまたはジフェニルカーボネートである。
【0051】
好適な連鎖停止剤は、モノフェノールおよびモノカルボン酸の両方である。好適なモノフェノールは、フェノール自体、アルキルフェノール、例えばクレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−n−オクチル、フェノール、p−イソ−オクチルフェノール、p−n−ノニルフェノールおよびp−イソ−ノニルフェノール、ハロフェノール、例えばp−クロロフェノール、2,4−ジクロロフェノール、p−ブロモフェノールおよび2,4,6−トリブロモフェノール、2,4,6−トリイオドフェノール、p−イオドフェノールおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0052】
好ましい連鎖停止剤は、p−tert−ブチルフェノールである。
【0053】
好適なモノカルボン酸は安息香酸、アルキル安息香酸およびハロ安息香酸である。
【0054】
好ましい連鎖停止剤は式(I):
【0055】
【化1】

[式中、Rは水素、tert−ブチルまたは分岐状または非分岐状Cおよび/またはCアルキル基である。]
を有するフェノールである。
【0056】
使用される連鎖停止剤の量は、各場合において使用したジフェノールのモルに対して0.1モル%〜5モル%である。連鎖停止剤は、ホスゲン化の前、間または後に添加され得る。
【0057】
好適な分岐剤は、ポリカーボネート化学で知られている三官能性または多官能性化合物であり、特に3または3以上のフェノール系OH基を有するものである。
【0058】
好適な分岐剤は、例えばフロログルシノール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリ−(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス−[4,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル]プロパン、2,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェノール、2,6−ビス−(2−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン、ヘキサ−(4−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェニル)オルトテレフタル酸エステル、テトラ−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、テトラ−(4−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェノキシ)メタンおよび1,4−ビス−(4’,4”−ジヒドロキシトリフェニル)メチルベンゼン、並びに2,4−ジヒドロキシ安息香酸、トリメシン酸、シアヌルクロリドおよび3,3−ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドールが挙げられる。
【0059】
使用され得る分岐剤の量は、要すれば各場合において使用されたジフェノールのモルに対して0.05モル%〜2モル%である。
【0060】
分岐剤は、水性アルカリ相中でジフェノールおよび連鎖停止剤と共に含まれ得るか、または有機溶媒中で溶解して、ホスゲン化の前に添加され得る。エステル交換プロセスの場合において、分岐剤がジフェノールとともに添加される。
【0061】
熱可塑性ポリカーボネートを生成するためのこれらの手段はすべて当業者によく知られている。
【0062】
改善された組成物を得るために、熱可塑性材料、好ましくはポリカーボネートおよびコポリカーボネート中に常套に含まれる少なくとも1種の他の添加剤、例えば難燃剤、フィラー、発泡剤、染料、顔料、蛍光増白剤、エステル交換触媒および成核剤等を好ましくは各量において混合物の総量に対して5重量%以下、好ましくは0.01〜5重量%、特に好ましくはプラスチックの量に対して0.01重量%〜1重量%で含まれることが可能である。
【0063】
したがって、得られたポリマー組成物は、常套の方法、例えばホットプレス成形、スピニング、押出または射出成形によって、例えばおもちゃ部品だけでなく繊維、フィルム、フィルムテープ、シート、多重壁(multi-wall)シート、容器、パイプおよび他のプロファイルに変形され得る。ポリマー組成物はまた、キャストフィルムに加工され得る。したがって、本発明はまた、成形物の製造のための本発明によるポリマー組成物の使用に関する。多重層システムの使用もまた興味がある。
【0064】
ここで、本発明によるポリマー組成物は薄層において、ポリマーから生成された成形物に適用される。前記適用は同時にまたは基礎製品の成形と同時または直後に、例えば共押出またはサンドイッチ成形によって行われ得る。しかしながら、前記適用はまた完成した基礎成形品上、例えばフィルムを用いたラミネーションまたは溶液を用いたコーティングによって行われ得る。
【0065】
本発明によるポリカーボネート成形用組成物は、例えば、既知の方法で単離したポリカーボネートを顆粒に押出し、この粒子を要すれば前記添加剤を加えて、既知の方法で射出成形によって種々の製品に加工することによって成形部品に加工され得る。
【0066】
本発明によるポリカーボネート成形用組成物から製造された成形部品はまた、前記の理由のためにダストの堆積が特に望ましくない広域スペクトル内で使用され得る。それらは、光学データ記憶媒体、例えばCD類、自動車部品、例えば透明板要素(glazing elements)、プラスチック拡散、また押出シート、例えば固体シート、双壁シート(twin-wall sheets)または多重壁シート(multi-wall sheets)、要すればまた1種以上の共押出層、射出成形部品、例えば食品容器、光景レンズまたは装飾の目的における家電製品の部品で使用するのに特に好適である。
【0067】
本発明によるポリカーボネート成形組成物はまた、別の常套のポリマーと混合され得る。特に好適には、透明性プラスチックである。透明性熱可塑性材料は、好ましくは透明性プラスチック、特に好ましくはエチレン不飽和モノマーのポリマーおよび/または二官能性反応性成分のポリカーボネートとして使用される。
【0068】
これらの混合物のために特に好適なプラスチックは、ポリアクリレートまたはコポリアクリレートおよびポリメタクリレートまたはコポリメタクリレート、例えばポリメチルまたはコポリメチルメタクリレート、さらに特にスチレンとのコポリマー、例えば透明性ポリスチレンアクリロニトリル(SAN)、またテレフタル酸の透明性シクロオレフィン、重縮合物または共重合物、例えばポリエチレンまたはコポリエチレンテレフタレート(PETまたはCoPET)またはグリコール変性PET(PETG)が挙げられる。
【実施例】
【0069】
試験片の製造
100×150×3.2mmのシートをKloeckner FH160射出成形機でMakrolon 3103およびMakrolon AL 2647から射出成形によって製造した。加工前にポリカーボネート顆粒を0.01%以下の残存湿度まで循環乾燥オーブン中120℃で12時間乾燥させた。溶融温度は300℃であった。金型を90℃まで加熱した。型締圧770barおよび追従圧700barであった。射出成形プロセスのための総サイクル時間は48.5秒であった。
【0070】
Makrolon 3103は、平均分子量Mw(平均重量)約31,000g/モルを有するUV安定化ビスフェノールAポリカーボネートである。Makrolon AL 2647も同様にUV安定剤、離型剤および熱安定剤からなる添加剤を含むビスフェノールAポリカーボネートである。平均分子量Mwは、約26,500g/モルである。
【0071】
試験のために使用されるプラスチックフロントガラスも、Makrolon AL 2647から製造された。それらはフロントガラス製者によって提供される。
【0072】
火炎処理はドイツ国メンスハイム(Moensheim)のArcotec社製FTS 401装置を用いて行った。ベルトスピードは20m/分、気流の体積120およびガス流の体積5.5l/分であった。装置コンビネーションFTS 201D/9900017をシリカ化に使用した。
【0073】
ダスト試験
ラボ実験におけるダスト体積をテストするために、射出成形またはさらに表面処理されたシートを渦巻くダストを有する大気に暴露した。この目的を達成するために、三角形の断面を有する長さ80mmのマグネチックスターラーを備えた2リットルビーカーをダスト(活性カーボン 炭粉/20g、Riedel-de-Haen、Seelze、ドイツ、品番号18003)を約1cmの高さまで充填した。ダストはマグネチックスターラーの補助によって渦を巻く。スターラーを止めたときに試験片を7秒間このダスト雰囲気へ暴露した。使用する試験片に依存して、多かれ少なかれほこりは試験片上に積もる。
【0074】
ダスト堆積(ダスト形状)は視覚的に評価される。ダストフィギュアーを示すシートはマイナス(−)、ダストフィギュアーが事実上ないシートは(+)として評価した。
【0075】
表面張力
表面張力は、DIN EN 828より、表面張力の極性量は、および「Einige Aspekte der Benetzungstheorie und ihre Anwendungen auf die Untersuchung der Veraenderung der Oberflaecheneigenschaften von Polymeren」in Farbe und Lack、第77巻、10番、1971年、997頁以下中式(8)により決定した。
【0076】
試験片:
【0077】
【表1】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形部品のポリカーボネート表面が、火炎処理、コロナまたはプラズマ処理によって処理されることを特徴とする、低吸塵性を有するポリカーボネート成形部品の製造方法。
【請求項2】
ポリカーボネート成形部品の表面張力が、極性量よりも20%高いことを特徴とする、請求項1記載のポリカーボネート成形部品の製造方法。
【請求項3】
ポリカーボネート成形部品の表面が、火炎処理およびシリコン、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、錫、インジウムおよび/またはセリウムの酸化化合物から実質的になる層の付着によって、および/または特に上記元素の揮発性化合物および/またはエアロゾルを燃焼ガス/空気混合物に添加することによって形成されることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1種のテトラアルコキシシランが、前記層の製造に使用されることを特徴とする、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記表面処理が、連続的火炎処理プラント中で処理量1〜40m/分、特に1〜20m/分で行われることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項6】
前記表面処理が、連続的コロナプラント中で処理量1〜20m/分、特に2〜10m/分および/または出力500〜4000W、特に1500〜3500Wで行われることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項7】
前記表面処理が、プラズマチャンバー中で1〜10−2mbarおよび処理ガスの存在下で出力200〜4000Wで行われることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜7いずれかに記載の方法によって得られ得る、ポリカーボネート成形部品の使用。
【請求項9】
請求項1〜7いずれかに記載の方法によって得られ得る、プラスチック拡散器(diffuser)。

【公表番号】特表2006−526675(P2006−526675A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508189(P2006−508189)
【出願日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【国際出願番号】PCT/EP2004/005526
【国際公開番号】WO2004/108803
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】