説明

低圧室気密扉のドアロック解除方法

【課題】従来の低圧室気密扉では、退室の度にドアロックを解除しなければならなかったものを、本発明の低圧室気密扉は、減圧行程で自動的にドアロックを解除しようとするものである。
【解決手段】本発明の低圧室気密扉は、減圧行程で低圧室の筐体と気密扉の間に配してあるパッキンが外圧により圧縮変形し、ドアロック機構にかかる荷重が無負荷状態になったときに、ドアロック機構のレバーの自重によりドアロックを自動的に解除せしめる低圧室気密扉のドアロック解除方法であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
近年、高地環境における人の生理的意義の研究が盛んになってきた。本考案は、高地の気圧環境を平地で実現するための低圧室の気密扉に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(特許実用新案文献1) 従来、特公平2−42992に運動用気密室、実開平2−118571にトレーニング用加減圧カプセル、また特開平8−112373においては疑似高地トレーニングを想定した減圧訓練施設、特開平11−336373においては運動選手が長期間滞在できる減圧施設、特許2919111号及び特開2000−54666においては地下又は半地下に設置された運動用大規模減圧訓練施設、が提案されているが、いずれの提案も施設全体の構造に関するものであり、低圧室の気密扉の具体的記述はなかった。
(非特許実用新案文献1) 従来、インターネット上ではドクター・フィル・マフェトンのハイポバーリクチャンバー即ち低圧室に関する文献が公知であるが、低圧室のもたらす効果については記述されているものの、低圧室気密扉の具体的機構の説明がなされていないところに大きな欠点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の低圧室気密扉では、退室の度にドアロックを解除しなければならなかったものを、本発明の低圧室気密扉は、減圧行程で自動的にドアロックを解除しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従来の低圧室気密扉では、該低圧室から退室の度にドアロックを解除しなければならなかったものを、本発明の低圧室気密扉は、減圧行程で低圧室の筐体と気密扉の間に配してあるパッキンが外圧により圧縮変形し、ドアロック機構にかかる荷重が無負荷状態になったときに、ドアロック機構のレバーの自重によりドアロックを自動的に解除せしめる低圧室気密扉のドアロック解除方法であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によって、低圧室入室者は該低圧室を退室するときに、いちいちドアロックを解除する必要がなくなり、また低圧室製作者もドアロックを解除するための特別の自動化が必要なくなり、低圧室の製作コスト縮減を図ることができるので入室者の利便性のみならず省資源・省エネルギーの観点からも地球環境保全に大いに寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
【実施例】
【0007】
図1に低圧室の構成を説明する正面立面図を、図2に本発明を適用した低圧室気密扉のドアロック状態を説明する側面立面図を、図3に低圧室の上面平面図を、図4に本発明を適用した低圧室気密扉のドアロック解除状態を説明する側面立面図を、図5に本発明を適用した低圧室気密扉のドアロック機構を説明するA−A断面図を、図6に本発明を適用した低圧室気密扉のドアロック機構を説明するB−B断面図を、それぞれ示す。
【0008】
低圧室気密扉の構成について説明する。低圧室1は、エンドプレート2、筐体3及び気密扉4で構成され、該気密扉4は該筐体3に緊結したベアリングユニット5にシャフト6が回転自在に取り付けられ、該シャフト6の両端にはドアアーム7の一端が緊結され、該ドアアーム7の他端にはピンブラケット8が回転自在に取り付けられ、該ピンブラケット8には気密扉4が緊結される。
【0009】
次に、低圧室気密扉の気密方法について説明する。気密扉4には気密扉開口部28が設けられ、Oリング11を装着したベアリングケース9がボルト10で緊結され該気密扉4と気密をなす。該ベアリングケース9にはシャフト12が挿入され、ベアリング13、14を装着し、該ベアリング13、14はストップリング15、17で固定される。又、ベアリング13の室外側にはオイルシール16が装着され、該ベアリングケース9と該シャフト12との気密をなす。さらに、該シャフト12の室外側端部にはレバー18が緊結され、他端にはカムフォロワー23を緊結したアーム20が緊結される。
【0010】
次に、低圧室1の気密扉4を気密するには、まず気密扉4を筐体フランジ25まで引き寄せ、レバー18又はアーム20を手動で回転させてカムフォロワー23を緊結したアーム20を該筐体フランジ25の内側に緊結してある傾斜金具27に引っ掛ける。さらに、該レバー18又は該アーム20を回転させると該アーム20に緊結してあるカムフォロワー23は該傾斜金具27に沿って回転し、該気密扉4は該筐体フランジ25側に引き寄せられる。該気密扉4が該筐体フランジ25側に引き寄せられると、該気密扉4の外周に配してあるパッキン26が該筐体フランジ25と密着して気密をなしドアロック状態となる。
【0011】
次に気密扉のドアロック解除方法について説明する。上述の方法により気密状態とした低圧室1は、減圧ポンプ(図示せず)を起動して減圧行程に入ると、該低圧室1の圧力が徐々に低下し、該気密扉4には大気圧が作用し該気密扉4の外周に配してあるパッキン26は徐々に押し潰されていく。それに伴って、カムフォロワー23と傾斜金具27とでドアロック状態にあった該気密扉4も該筐体フランジ25側に引き寄せられることによって該カムフォロワー23と該傾斜金具27との間に隙間が生じる。こうすると傾斜状態にあったレバー18は傾斜状態を維持することができなくなり自重により鉛直下方に向かってゆっくりと回転し、アーム20に緊結してある該カムフォロワー23は傾斜金具27から離脱することになり、該気密扉4のドアロックは自動的に解除されることになる。
【0012】
本発明の実施例では、高度4000m相当の設定圧力に対し、高度500乃至600mで気密扉のドアロックは自動的に解除されることを確認している。まさに、ゆっくりと音もなく解除される動作は絶妙としかいいようがない。
【0013】
本発明を適用した実施例では、レバーを用いて該レバーの自重により減圧行程で気密扉のドアロックが自動的に解除するとしているが、本発明の適用範囲は必ずしもこれに限定されるものではない。レバーと同様の動作が起こるよう丸ハンドルの特定箇所に錘を緊結してもよく、非対称のハンドルを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】 低圧室の構成を説明する正面立面図である。
【図2】 本発明を適用した低圧室気密扉のドアロック状態を説明する側面立面図である。
【図3】 低圧室の上面平面図である。
【図4】 本発明を適用した低圧室気密扉のドアロック解除状態を説明する側面立面図である。
【図5】 本発明を適用した低圧室気密扉のドアロック機構を説明するA−A断面図である。
【図6】 本発明を適用した低圧室気密扉のドアロック機構を説明するB−B断面図である。
【符号の説明】
【0015】
1 低圧室 2 エンドプレート
3 筐体 4 気密扉
5 ベアリングユニット 6 シャフト
7 ドアアーム 8 ピンブラケット
9 ベアリングケース 10 ボルト
11 Oリング 12 シャフト
13 ベアリング 14 ベアリング
15 ストップリング 16 オイルシール
17 ストップリング 18 ハンドル
19 止めネジ 20 アーム
21 ロックナット 22 座金
23 カムフォロワー 24 気密扉フランジ
25 筐体フランジ 26 パッキン
27 傾斜金具 28 気密扉開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体及びドアプレートで構成し、且つ、該筐体と該ドアプレートをパッキンで気密する低圧室において、該ドアプレートを貫通するシャフトを該ドアプレートの内外何れか一方又は両方に軸受け及び軸封機構を設け、且つ、該シャフト両端又は外側の一端にレバーを緊結し、該ドアプレートの内側に該筐体と該ドアプレートを気密するための車輪付きアーム及び傾斜板を設けてなるドア気密機構において、該低圧室を減圧する行程で該レバーの自重により自動的にドアロックを解除することを特徴とする低圧室気密扉のドアロック解除方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−154632(P2007−154632A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−380724(P2005−380724)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(502071757)
【Fターム(参考)】