説明

低域フィルタ

【課題】本発明は、コードレス電子機器内におけるフィルタ方法を提供する。
【解決手段】前記方法は、フィルタ網と、マイクロコントローラと、セル電圧及びセル電流を有する複数のバッテリーセルとを接続することを具備しても良い。前記方法は、少なくとも1つのスイッチトキャパシタ低域フィルタを複数のバッテリーセルに接続することを具備しても良く、前記少なくとも1つのスイッチトキャパシタ低域フィルタは、前記フィルタ網から信号を受信するように構成される。前記方法は、フィルタ網から受信した前記信号をフィルタし、フィルタされた信号入力をアナログ・デジタル変換器(ADC)に送信し、前記ADCから出力を生成することも具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯用電子機器用低域フィルタに関する。
【0002】
本願は、2005年12月19日出願の米国仮出願60/751,625の利益を請求するとともに、その全ての開示内容がこの引用によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
低域フィルタは、複合信号の低周波数成分を通過させるとともに、高周波成分を減衰させる様々な応用例において利用可能である。低域フィルタの応用例の一つは、バッテリーパックで電源供給されるようなコードレス電子機器の内部への応用である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
低域フィルタは、コードレス電子機器において、パルス幅変調(PWM)電流及び電圧波形内の、電圧及び電流スパイクをフィルタするのに利用できる。機器の中には、コンティニュアス・タイムフィルタ、不完全(non−fully)差動トポロジー及び低次フィルタなどを利用してパルス幅変調(PWM)された電流及び電圧波形の電圧及び電流スパイクをフィルタしようとするものもある。従来の低次フィルタの一つに抵抗コンデンサ(RC)低域フィルタがある。この特定の構成では、100%のリップルを有する方形波を利用しても良い。RC低域フィルタは、バッテリーセルの平均電圧に対し16ビットの精度(即ち96dBの減衰)を得るためには、100kΩの抵抗と、1.5μFのキャパシタを必要とする。しかしながら、これらの抵抗値及びキャパシタ値においては、整定時間が過度に長くなることがある。例えば、これらの値を使うと、当該RC低域フィルタの整定時間は、およそ10*τ(ここでτ= R*C)であり、65秒にもなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願明細書は、携帯用電子機器で利用するための構成が可能な低域フィルタについて一般的に説明する。本発明により、バッテリーパックのセル電圧を平均化するように構成された、完全に統合された低域フィルタが提供される。例えば、コードレスドリルのような電動機器は、ドリルのバッテリーパックのセル電圧を平均化するために、低域フィルタを具備しても良い。いくつかの実施例においては、フィルタは、パルス波変調周波数に対し、低周波カットオフ及び16ビット(96dB)挿入損失があっても良い。このように、本願明細書は、バッテリーパックのセル電圧を平均化するように構成可能であり、整定時間を短くする低域フィルタについて説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
特許請求の範囲に記載された事項の実施例における特徴は、図面を参照しながら以下の詳細な説明が進むにつれて明らかになる。図面内の番号は部品などを示している。
【0007】
詳細な説明を実例となる実施例を参照しながら行うが、そこからの多くの代替例、修正例、変形例が当業者にとって明らかである。
【0008】
図1は、本発明に従うコードレス電子機器100の一つの代表的な実施例を図示している。いくつかのコードレス電子機器の例が含まれるが、それは電動機器(ドリル、丸のこぎり、やすり、ねじ回しなど)あるいはラップトップコンピュータ、携帯電話、個人用デジタル機器に限定されない。もちろん、他の機器も、本発明の目的から逸脱することなく利用可能である。
【0009】
実施例100に示される機器は、バッテリー供給モード時に、負荷104に電力を供給できるバッテリーパック102を具備している。バッテリーパック102は、フィルタ網106、バッテリーセル108、マイクロコントローラ(μC)110、充電/放電スイッチ112、低域フィルタ114、アナログ・デジタル変換器(ADC)115及びバッテリー端子116,118を具備していても良い。バッテリー端子116,118は負荷104に接続され、かつそこへ電力を供給するように構成される。バッテリーパック102は、完全に取り外し可能あるいは置換可能なユニットであっても良いし、もしくはデバイス100の内部で一体構造を成す様に形成しても良いことが想定される。バッテリー供給モード時に負荷104に電力を供給することに加え、バッテリーパック102は、バッテリー充電モード時には、ACDCアダプタのように直流電源(図示せず)で再充電しても良い。もちろん、代替の再充電方法も、本発明の目的内である。バッテリーパック102は、バッテリー供給モード時あるいはバッテリー充電モード時におけるバッテリーパック102の操作を容易にするために構成され得る充電/放電スイッチ112を具備しても良い。
【0010】
いくつかの実施例においては、負荷104もしくはモータから発生するノイズにより変動が生じることがある。例えば、バッテリーセル108に発生する負荷あり/負荷なしの際の変動がおよそ1ボルトであるのに対し、モータ(例えば直流ブラシモータ)から発生するノイズが、さらに3ボルトの変動を追加することもある。これらの変形例では、バッテリーセル108とフィルタ網106間の信号にノイズが発生する可能性がある。この信号は、直流電圧信号もしくはパルス幅変調信号のいずれをも含む場合があり、機器100の相対速度を制御する場合もある。いくつかの実施例においては、フィルタ網106は、バッテリーセル108により供給される信号ノイズを、負荷に起因する直流の変動だけを残すようにフィルタするように構成することができる。例えば、フィルタ網106は、前記変動を平滑化し、かつバッテリーセル108からの信号を(例えばおよそ20dB)減衰させることができる。この減衰した信号は、その後低域フィルタ114に入力され、前記低域フィルタ114はさらに前記信号を(たとえば、さらに60−70dB)減衰させても良い。いくつかの実施例においては、フィルタ網106は、RCフィルタトポロジーを具備しても良い。
【0011】
低域フィルタ114の出力は、その後アナログ・デジタル変換器(ADC)115に入力してもよい。ADC115は、アナログ信号を、関連するデジタル信号に変換するように構成されたアナログ・デジタル変換器の一種であればよく、シングルスロープ積分型ADC、デュアルスロープ積分型ADC、またはシグマデルタ型ADCのいずれであってもよい。もちろん、代替によるADCもまた本発明の目的内である。いくつかの実施例では、ADC115は16ビットの分解能を提供するよう構成される。これは、全減衰量であるおおよそ90dBに該当する。
【0012】
バッテリーセル108は、リチウム・イオンセルのような種々の電池化学反応式バッテリーであってもよい。他のタイプのバッテリーとしては、鉛酸蓄電池、ニッケル・カドミウム、リチウム・イオン重合体、ニッケル水素化物、アルミニウムもしくは他の再充電可能なバッテリーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。バッテリーセル108は、バッテリー端子116,118に接続されるとともに、マイクロコントローラ110と通信することができる。さらには、バッテリーセル108は、望ましい電圧、容量もしくは電力密度を提供するように、直列、並列あるいはそれらの組み合わせによる配列となるように構成しても良い。
【0013】
マイクロコントローラ110は、フィルタ網106に接続され、バッテリーセル108の電圧レベルを監視するように構成されても良い。マイクロコントローラ110は、様々な処理を達成するために命令を実行できるように構成されたプロセッサまたは制御器の一種であればよい。マイクロコントローラ110は、低域フィルタ114を制御すると同時に、チャネル選択を制御してもよい。このことは、図4及び図5を参照して後述される。いくつかの実施例では、マイクロコントローラ110は、各バッテリーセルの温度を測定して、セルが特定の温度より上か下かを判定しても良い。さらには、マイクロコントローラ110は、電源管理制御器120から命令を受信し実行するように構成しても良い。これらの命令は、どのバッテリーセルを低域フィルタ114に接続するかということに関して特定の命令を具備しても良い。この判定は、バッテリーセル108の電圧状態に基づいてもよく、マイクロコントローラ110により判定される。マイクロコントローラ110は、(例えば電源管理制御部120を介して)充電/放電スイッチの状態を制御しても良い。
【0014】
充電/放電スイッチ112は、バッテリーセル108と通信しても良く、バッテリーパック102内部の電流の方向を決定する。充電/放電スイッチ112が、「充電」位置にあるときは、電流は端子116、118からバッテリーセル108に流れる。反対に、充電/放電スイッチ112が「放電」位置にあるときは、機器の電源を供給するために、電流は負荷104に供給される。電流反転バッテリーダイオード回路(図示せず)は、充電/放電スイッチ112により制御され、バッテリーパック102のVPACK−端子116とVPACK+端子118に接続しても良い。これにより、逆電流と逆バイアス電圧による、バッテリーパック102もしくは他の内部構成要素の損傷を防止することができる。この保護には、様々な構成要素の一種を用いて提供され、前記様々な構成要素の一種には半導体ダイオード(ショットキー)と金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)も含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
スイッチトキャパシタトポロジーを有する低域フィルタ214の一実施例が図2に示される。低域フィルタ214は電子回路により実装されるとともに、図1に示されるようにフィルタ網106を通じてバッテリーセル108に接続してもよい。低域フィルタ214は、入力端子202,204を具備するとともに、各々が入力を受け取るように構成しても良い。本発明の1つの代表的実施例においては、入力は100%のリップルを有する方形波であっても良い。他の波形もまた想定することができ、のこぎり波、方形波、正弦波、三角波も含まれるが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施例においては、入力端子202,204が差動信号を受信し、同相雑音を低減するように構成しても良い。
【0016】
低域フィルタ214は、出力端子206,208を有するオペアンプ222を具備しても良い。低域フィルタ214は、出力端子206,208で、フィルタされた出力信号を提供する。いくつかの実施例では、オペアンプ222は、差分入出力を有するオペアンプであっても良い。出力206,208の差分は、個々のバッテリーセルの実電圧に対応する。出力端子206,208は、種々の回路に出力するように構成される。前記回路には、サンプル・ホールド部、アナログ・デジタル変換器(ADC)もしくはバッテリーガスゲージ回路が含まれるが、それらに限定されるものではない。バッテリーガスゲージ回路(図示せず)は、バッテリーセル108の残量を監視し、かつ装置100のユーザーに対してその残量表示を提供してもよい。いくつかの表示器には、充電状態表示器と、中央処理装置(CPU)を有するガスゲージと、有さないガスゲージとが含まれる。ガスゲージ回路は、バッテリー残量及びシステム動作時間(即ち、バッテリーが空になるまでの時間)を計算するオンボードプロセッサに組み込んでも良い。さらには、ガスゲージ回路は、バッテリーの充電及び放電電流を測定するように構成しても良い。独立したADCがバッテリー電圧及び温度を測定するために使用しても良い。ガスゲージ回路は、装置100内部のいかなる適した場所に設置してもよい。前記適した場所としては、マイクロコントローラ110内部または電源管理制御器120があるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
いくつかの実施例では、さらにスイッチ224やキャパシタ226のような複数の電子部品を具備しても良い。低域フィルタ214のスイッチ224は、クロック信号(例えばphi1やphi2)に応答しても良く、前記クロック信号はシステムクロック(図示せず)により制御しても良い。システムクロックはマイクロコントローラ110の内部に含まれても良い。いくつかの実施例では、抵抗を必要とせず、利用面積を最小とすることができる。
【0018】
図3は、本発明の一実施例に従った次数2の低域フィルタのphi1及びphi2シグナルのタイミング図300を示している。タイミング図で示されるように、phi1とphi2は、同時にアクティブになることはない。さらには、phi1とphi2のクロックサイクルは、オン位置にある場合と、オフ位置にある場合とで入れ替わっている。t_non_overlapで示されるように、phi1とphi2の両方が同時に非活性化される短い期間が存在しても良い。いくつかの実施形態においては、クロック位相のクロックエッジは、制御され平滑化されてもよく、それによりクロックのシグナルパスへの静電結合及び電荷注入効果が低減される。これについての詳細は後述される。
【0019】
電荷注入は、スイッチトランジスタにより駆動されるキャパシタ両端のポテンシャル差分に、誤差電圧を引き起こす可能性がある。低域フィルタ214は、最小サイズのCMOSスイッチを利用しても良い。例えば、電荷注入を最小化するために比較的小さいCMOSスイッチなどを利用しても良い。例えば、これらのスイッチは、様々なサイズのPMOSあるいはNMOSタイプのスイッチから構成しても良い。さらに、クロック位相(phi1及びphi2)はインターリーブされても良く、それによりポリ−絶縁体−ポリ(PIP)キャパシタの寄生容量による影響が低減され、電荷注入によりもたらされたオフセットが最小化される。
【0020】
さらには、低域フィルタ114、224などスイッチの数は、可能であればスマッシングスイッチ(smashing switch)により制御されても良く、それにより電荷注入が低減される。本技術において理解されるように、スマッシングスイッチは、スイッチトキャパシタフィルタのスイッチを制御する、特別なスイッチ群であり、非常に高速かつ制御された時間でターンオフが可能である。それによりさらに電荷注入が低減され得る。
【0021】
低域フィルタ214の精度は、精確にマッチングされた容量比により改善される。キャパシタマッチングにより、カットオフ周波数が外部クロック周波数に比例するフィルタが構成される。カットオフ周波数はクロック周波数によって変化し得るので、外部の電子回路を必要とせず、追加の外部キャパシタもしくは誘導子も必要としない。スイッチトキャパシタフィルタは、水晶発信器を用いても良いし、クロック周波数を変化させることにより広範囲でカットオフ周波数が変化するフィルタを使用しても良い。いくつかの実施例においては、いかなる高周波信号をも取り除き、不要なエイリアシングを防止するために、パッシブRC低域フィルタをスイッチトキャパシタの先に具備しても良い。
【0022】
いくつかの実施例では、低域フィルタ214は、例えば、いくつかのフィルタをカスケードすることにより、およそ3,4ビット分の精度を改善、つまり11ビットから13,14ビットに精度を改善するように構成しても良い。
【0023】
低域フィルタ214は、スイッチング電荷注入を低減するための特徴を具備してもよく、それにより同相信号除去が改善され、直流の精度(非線形性を含む)が改善される。いくつかの実施例では、低域フィルタの整定時間が1ミリセカンドより少なくなり、かつ出力が16ビットの分解能を提供することが可能である。
【0024】
図2に示されたものに合致する複数の次数2の低域フィルタは、より高い次数のフィルタを形成するためにカスケード接続しても良い。例えば、3つのそのような低域フィルタをカスケード接続して、次数6のフィルタを形成することができる。さらには、ここで説明された実施例に従って、様々な異なる構成要素を使うことができる。例えば、高い絶対精度を有し、温度に対して低感度を有する特定の構成要素を選択しても良い。例えば、動作中の構成要素からのノイズを最小化するために、低容量の抵抗やキャパシタ及び低ノイズ増幅器を使用しても良い。
【0025】
図4は、本発明に従った代表的な実施例400の図を示している。バッテリーセル408は、スイッチ407を介して負荷404及びフィルタ網406と接続しても良い。バッテリーパック408は、初期リップルレベル信号を有するセル電圧を、RC網のようなフィルタ網に印加するように構成しても良い。フィルタ網406は、前記初期リップルレベルを所定量減衰させ、図4に示されるように(中間リップルレベルlevel_lのような)中間リップルレベル信号を提供しても良い。いくつかの実施例では、前記減衰はおよそ20dBである。前記中間リップルレベル信号は、セル電圧チャネルレベルシフタ430に送信しても良い。セル電圧チャネルレベルシフタ430は、いくつかのバッテリー電圧レベルシフタ(BVLS)432a,432bなどを具備しても良く、それぞれが特定のチャネルに対応付けられてもよい。前記バッテリー電圧レベルシフタ432a,432bは、(第2中間リップルレベル信号signal_2のような)第2中間リップルレベル信号を生成するように構成しても良い。前記信号は、対応するバッテリー電圧レベルシフタ432を出て、アナログ・デジタル変換器(ADC)434に入力され、前記信号は変換・選択される。ADC434は、レベルシフトされたバッテリーセルチャネル信号入力を低域フィルタ414に入力しても良い。低域フィルタ414の出力は、フィルタされたバッテリーセルチャネル信号であっても良く、サンプル・ホールド部436に送信されても良い。サンプル・ホールド部436は、第2アナログ・デジタル変換器(ADC)438に対して標本抽出されたバッテリーセルチャネル信号を提供しても良い。ADC438は、その後、各セルチャネルに対応するデータ出力を、マイクロプロセッサ439に提供しても良い。上記のように、低域フィルタ414は、スイッチトキャパシタフィルタ及び/もしくは次数6のフィルタであっても良い。
【0026】
図5は、本発明に従うもう一つの代表的な実施例500を示している。この実施例は、図4内のいくつかの構成要素あるいはすべての構成要素を組み合わせても良く、さらにデュアルチャネルADCフィルタ技術を具備しても良い。この実施例において、電流チャネル550が構成されても良く、電流チャネル550がバッテリーの電流リップルレベル信号(例えば電流リップルレベル信号signal_A)を受信するように構成しても良い。この実施例では、さらにスイッチ552を具備していても良く、前記スイッチ552は、バイポーラトランジスタ(BJT)や、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)のようなトランジスタでも良い。スイッチ552は、信号(例えばバッテリー電流リップルレベルlevel_A)を、追加のRC網554に提供しても良い。RC網554は、前記バッテリー電流リップルレベルを、中間リップルレベル(例えば中間リップルレベルlevel_B)まで減衰させても良い。前記中間リップルレベル信号は、その後反転及び非反転信号を有するプログラム可能な利得増幅器(PGA)556への入力となっても良い。PGA556は、前記中間リップルレベル信号を増幅するように構成しても良い。PGA556は、信号を増幅するための適切な構成部品をいくつ利用しても良い。前記適切な構成部品には、オペアンプ、スイッチ、抵抗などが含まれるが、これらに限定されるものではない。増幅された信号(中間リップルレベルlevel_C)は、その後、追加の低域フィルタ回路558に入力しても良い。いくつかの実施例においては、低域フィルタ558は次数2のフィルタであっても良い。さらに、低域フィルタ558はスイッチトキャパシタでも良いし、ここで説明されたものに類似したものでも良い。低域フィルタ558は、前記入力された信号を減衰し、デュアルチャネルアナログ・デジタル変換器560へ減衰された信号(減衰信号signal_D)を提供するように構成しても良い。
【0027】
デュアルチャネルADC560は、複数の入力をインターリーブするためにマルチプレクサを利用するように構成しても良い。例えば、セル電圧チャネル530と電流チャネル550の両方からの出力は、図5に示されるように、デュアルチャネルADC560の入力にしても良い。いくつかの実施例では、デュアルチャネルADC560は、チャネルを奇チャネル562及び偶チャネル564に配分しても良い。例えば、もし10チャネルがデュアルチャネルADC560への入力であるならば、チャネル1,3,5,7,9は奇チャネルに配分しても良い。同様にして、チャネル2,4,6,8,10は偶チャネルに配分しても良い。これらの偶及び奇チャネルは、選択されて、図5に記載された低域フィルタ514に入力されても良い。いくつかの実施例では、低域フィルタは複数のフィルタを具備していても良い。例えば、偶及び奇チャネル信号は、次数6を有するスイッチトキャパシタ低域フィルタへの入力としても良い。いくつかの実施例においては、低域フィルタ514の出力が、負荷に起因するいかなる変動をも取り除き、直流リップルレベル信号を提供しても良い。この直流リップルレベル信号は、その後サンプル・ホールド段階536に入力され、追加のADC538に入力される。これにより、例えば、各バッテリーセルに対し16ビットの分解能を提供し得る。
【0028】
図6は、本発明のもう一つの実施例600を示しており、電子機器内でのフィルタ方法を説明している。この方法は、フィルタ網、マイクロコントローラ及びあるセル電圧及び電流を有する複数のバッテリーセルを接続することを具備しても良い(602)。スイッチトキャパシタ低域フィルタは、バッテリーパックに接続され、フィルタ網から信号を受け取るように構成しても良い(604)。この方法は、少なくとも一つのスイッチトキャパシタ低域フィルタを経由してフィルタ網より受信された信号をフィルタすることを具備しても良い(606)。この方法は、さらに、フィルタされた信号入力をADCに送信し(608)、そしてADCからの出力を生成する(610)ことを具備しても良い。前記方法は、さらに、次のような追加の段階を具備しても良い。バッテリーパックから負荷へ電源を回送する、そして/またバッテリーパックを再充電し、上記複数のバッテリーセル容量の表示を提供する段階である。前記方法では、さらにここで説明された、ADC、セル電圧チャネルレベルシフタ、サンプル・ホールド部などの構成要素のいずれかまたは全てを利用して、様々な信号を生成もしくは処理しても良い。
【0029】
本発明は、従来技術を超える多くの利点を提供する。例えば、スイッチトキャパシタ低域フィルタは、コードレス電子機器のセル電圧及び電流を平均化するように構成してもよい。いくつかの実施例においては、平均電圧を16ビットまでの精度で供給しつつ、整定時間を1ミリ秒より短くなるように構成可能である、より高次数の低域フィルタが提供される。
【0030】
本説明によるどの実施例においても、「回路」は、例えば、単独もしくはどのような組み合わせも、ハードワイヤード回路も、プログラム可能な回路も、ステートマシン回路、及び/又はプログラム可能な回路により実行される命令を格納するファームウェアを含んでも良い。どの実施例において説明されている処理構成要素のいずれも、ソフトウェア、ファームウェア、ハードワイヤード回路、及び/又はそれらの組み合わせにより実装されることをまず理解するべきである。
【0031】
本説明で用いられている用語や表現は、説明の用語として用いられているものであり、限定するための用語として用いられているものではなく、それらの用語や表現を用いるに当たり、本説明で示されたあるいは説明された特徴を持ついかなる均等物(もしくはその部分)を排除する意図も存在しない。また、特許請求の範囲内で様々な修正例が可能なものであると解される。他の修正例、変形例もしくは置換例も可能である。このように、特許請求の範囲はこれらすべての均等物を含むように意図されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明に合致したコードレス電子機器の代表的な実施例を表す図である。
【図2】図2は、本発明に従って利用できる低域フィルタの代表的な実施例を表す図である。
【図3】図3は、本発明に関連するタイミング図である。
【図4】図4は、本発明に従う代表的な実施例を図示している。
【図5】図5は、本発明に関連するもう一つの代表的な実施例を図示している。
【図6】図6は、本発明の他の代表的な実施例に合致する方法を示している。
【符号の説明】
【0033】
202 入力端子
204 入力端子
206 出力端子
208 出力端子
214 低域フィルタ
222 オペアンプ
224 スイッチ
226 キャパシタ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーパックを具備するコードレス電子機器と、
少なくとも1つの低域フィルタとを具備し、
前記バッテリーパックはフィルタ網と、マイクロコントローラと、セル電圧及びセル電流を有する複数のバッテリーセルとを具備し、
前記少なくとも1つの低域フィルタは前記複数のバッテリーセルに適切に接続され、前記複数のバッテリーセルのセル電圧及びセル電流を平均化するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項2】
少なくとも1つの低域フィルタは、スイッチトキャパシタネットワークを具備することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記マイクロコントローラは、電源管理制御器から命令群を受信し、かつ実行するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記フィルタ網に適切に接続された少なくとも1つのセル電圧チャネルシフタをさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
RC網から第1信号を受信し、かつ増幅するように構成された、プログラム可能な利得増幅器をさらに具備し、
前記プログラム可能な利得増幅器は、第2信号をアナログ・デジタル変換器に提供するようにさらに構成されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの低域フィルタは、複数のスイッチを具備し、前記複数のスイッチは、システムクロックから送信される一連のクロック信号に応答するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの低域フィルタは、一連のカスケード接続された低域フィルタを具備し、前記カスケード接続された低域フィルタは、より高次数のフィルタを形成するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記アナログ・デジタル変換器は、少なくとも一つの入力を低域フィルタに提供するように構成されたデュアルチャネル変換器であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
第1アナログ・デジタル変換器からフィルタされた第1信号を受信するように構成された少なくとも1つのスイッチトキャパシタ低域フィルタを具備する集積回路(IC)を具備する装置であって、
前記少なくとも1つの低域フィルタは、第2アナログ・デジタル変換器にフィルタされた第2信号を送信するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項10】
前記複数のバッテリーセルの各電圧レベルを決定するように構成されたマイクロコントローラをさらに具備することを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記マイクロコントローラと前記複数のバッテリーセルに適切に接続されたフィルタ網をさらに具備し、
前記フィルタ網は、バッテリーセル電圧信号を受信し、かつ減衰させるように構成されることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記フィルタ網はRCフィルタ網であることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記第2アナログ・デジタル変換器は、少なくとも16ビットの精度と1ミリ秒より短い整定時間を有する最終信号を生成するように構成されることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項14】
コードレス電子機器内のフィルタ方法であって、
フィルタ網と、マイクロコントローラと、セル電圧及びセル電流を有する複数のバッテリーセルとを接続し、
少なくとも1つのスイッチトキャパシタ低域フィルタと、前記複数のバッテリーセルとを適切に接続し、前記スイッチトキャパシタ低域フィルタは、前記フィルタ網から信号を受信するように構成され、
前記フィルタ網から受信した前記信号をフィルタし、
アナログ・デジタル変換器(ADC)にフィルタされた信号入力を送信し、
前記ADCから出力を生成することを特徴とするフィルタ方法。
【請求項15】
前記ADCによって生成される出力は、少なくとも16ビットの直流精度と、1ミリ秒より短い整定時間を有することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つのアナログ・デジタル変換器を、セル電圧チャネルレベルシフタに適切に接続することをさらに具備し、前記ADCが減衰信号をスイッチトキャパシタ低域フィルタに送信するように構成されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つのスイッチトキャパシタ低域フィルタをカスケード接続して、より高次数のフィルタを形成することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項18】
フィルタすることは、100%のリップルを有する波形をフィルタすることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つのスイッチトキャパシタ低域フィルタは、方形波入力信号を受信し、かつフィルタされた出力信号を送信するように構成されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つのスイッチトキャパシタは、サンプル・ホールド部への出力を提供することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つのスイッチトキャパシタ低域フィルタは、完全差動アクティブフィルタトポロジー(a fully differential active filter topology)を有することを特徴とする請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−195395(P2007−195395A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−340382(P2006−340382)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(500521843)オーツー マイクロ, インコーポレーテッド (138)
【Fターム(参考)】