低温ヒートシール可能なポリエステルフィルムおよびその製造方法
【課題】2GTおよび3GTの最良バリア特性を有するポリマーであって、低いシールバー温度および速いシール速度で容易にヒートシールでき、それでもなお高強度のシールをもたらすポリマーの提供。
【解決手段】本発明は、約40℃〜約70℃の範囲内のTgから約70℃〜約150℃の範囲内のTcgに至る非晶質加工ウインドウを有するヒートシール可能なポリエステル組成物を提供する。この組成物は、好ましくは、物理的ブレンド、または、それぞれのモノマーから調製されたコポリエステルオリゴマーまたはポリマーのいずれかとして、ポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーとポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーとの混合物を含有する。得られる組成物は、低温でヒートシール可能であり、バリア特性を保持し、香味を奪い取らない。
【解決手段】本発明は、約40℃〜約70℃の範囲内のTgから約70℃〜約150℃の範囲内のTcgに至る非晶質加工ウインドウを有するヒートシール可能なポリエステル組成物を提供する。この組成物は、好ましくは、物理的ブレンド、または、それぞれのモノマーから調製されたコポリエステルオリゴマーまたはポリマーのいずれかとして、ポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーとポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーとの混合物を含有する。得られる組成物は、低温でヒートシール可能であり、バリア特性を保持し、香味を奪い取らない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒートシール可能なポリエステル組成物および約40℃〜約70℃の範囲内のTgから約70℃〜約150℃の範囲内のTcgに至る非晶質加工領域を有するヒートシール可能なポリエステルフィルムの製造に関する。本発明は、詳しくは、ポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーの添加によるポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーの改質に関し、その添加は低Tgおよび高Tcgを有するポリマーブレンドまたはコポリエステルを生じさせ、より低い温度でポリマーブレンドまたはコポリエステルをヒートシール可能にしながらも適度なバリア特性を保持させる。
【背景技術】
【0002】
本明細書で2GTまたはPETと呼ぶポリ(エチレンテレフタレート)、およびポリ(エチレンテレフタレート)のコポリエステル(例えば、2GT−I、2G−CHDM/Tまたは2G−CHDM/T−Iを製造するためのイソフタレート(I)またはシクロヘキサンジメタノール(CHDM)とのコポリエステル)は、香味損失を受けやすい製品または食品または周囲の香味および臭気を吸収する、すなわち、香味を奪い取る製品または食品の包装のために有用であることが知られている。例えば、米国特許公報(特許文献1)を参照すること。これらの樹脂は耐脂性を提供するためにも有用である。さらに、これらのポリエステルは、酸素、二酸化炭素および/または水蒸気の透過に対する適度なバリアを提供する。
【0003】
包装および他の用途において、ヒートシールは、熱可塑性プラスチック部品を接合するために用いられる。これは、表面を接合する必要がある場所に多少の圧力を加えつつ、接合するべき表面を軟化または溶融させるためにこうした表面に熱を加えることにより行われる。最も一般的には、加熱は、接合するべき表面とは反対側の表面をホットバーなどの高温物体に接触させるか、または高温空気加熱、赤外線加熱、超音波加熱または誘導加熱により表面を加熱することにより行われる。接合するべき表面を接合するのに適切な温度に加熱できる速度は、多くの場合、表面をヒートシールできる速度を決定する。高速ヒートシールは重要である。こうした多くの運転が大量連続運転であるのに対して、遅いヒートシール速度はコストを大幅に高めるからである。
【0004】
速いシール速度で熱シール装置を用いて上述したポリエステルをシールし、それでもなお強いシールを達成することは望ましいであろう。これは、2GTホモポリマーまたはコポリマーによって達成するのは伝統的に困難であった。これらの組成物のガラス転移温度(Tg)が典型的には約70℃より高かったからである。非晶質(非結晶質)ポリエステルフィルムまたは物品は、二つのシール形成用表面の温度をガラス転移より上の範囲に上昇させるまで単独でヒートシールを形成しない。
【0005】
本明細書で3GTと呼び、ポリ(プロピレンテレフタレート)またはPPTとも呼ぶポリ(トリメチレンテレフタレート)は、1,3−プロパンジオールとテレフタル酸の縮重合によって調製されるポリエステルである。ポリ(トリメチレンテレフタレート)は、テトライソプロピルチタネート触媒であるTyzor(登録商標)TPT(本願特許出願人の登録商標)を用いて二容器プロセスで1,3−プロパンジオールとジメチルテレフタレート(DMT)からも調製することが可能である。溶融したDMTは、エステル交換容器内で約185℃において1,3−プロパンジオールおよび触媒に添加され、メタノールを除去しつつ温度は210℃に上げられる。得られた中間体は重縮合容器に移送され、そこで圧力は1ミリバール(10.2kg/cm2)に下げ、温度は255℃に上昇させる。
所望の溶融粘度を達成した時に、圧力は上げ、ポリマーを押し出し、冷却し、ペレットに切断することが可能である、
【0006】
3GTは、2GTと比べてより良好な酸素バリア特性および香味バリア特性を有するが、典型的には約50℃の遙かにより低いガラス転移温度を有する。残念なことには、3GTは、低Tgおよび小さい非晶質加工ウインドウのために安定なヒートシール性能を有していない。すなわち、TgとTcgとの間の温度範囲(すなわち、ガラス転移温度と非晶質状態からの結晶化のピーク温度との間のΔT)は非常に小さいので、非晶質フィルムまたは部品はシールする前に老化または結晶化する傾向がある。一旦3GT含有フィルムまたは部品が結晶化すると、溶融温度より低い温度で強いシールを達成するのは非常に困難である。
【0007】
米国特許公報(特許文献2)には、熱成形技術によって容器向けの透明耐熱性ポリエステルフィルムを製造する方法が記載されている。シートは、1,3−プロパンジオールおよびテレフタル酸またはそれらのエステル形成性誘導体から誘導された少なくとも80モル%のエステル単位を有する溶融ポリエステル樹脂から製造される。ポリエステル樹脂は、ポリマー鎖中の反復単位の全体を基準にして少なくとも80モル%の3GTを有する。これは、約80重量%の3GTに等しい。固体樹脂シートは低い結晶度を有し、熟成後に、シートは、高結晶の容器をもたらすために特定の条件下で熱成形することにより成形される。
【0008】
米国特許公報(特許文献3)には、約85〜100モル%の1,3−プロパンジオールまたは約85.8〜100重量%の1,3−プロパンジオールを含むグリコール成分の反応生成物を含むコポリエステルが開示されている。コポリエステルは、包装用途において有用であることが開示されている。
【0009】
米国特許公報(特許文献4)には、コポリエステル連続相と低弾性率不連続相の多相組成物が開示されている。不連続相は、ゴム弾性であるか、非ゴム弾性であるか、架橋されているか、分岐鎖であるか、または直鎖であることが可能である。エチレンコポリマーまたはターポリマーは不連続相として特に有用である。組成物は、高温粘度安定性および優れた長期のヒートシール特性およびバリア特性を提供する。
【0010】
米国特許公報(特許文献5)には、グリコール成分として3〜35重量%の1,3−プロパンジオールを好ましくは含むコポリエステルが開示されている。フィルムは、フィルム破壊の発生率が大幅に減少するように経時的なフィルムの耐劣化性を高めるために100〜180℃の範囲内の温度で熱処理される。得られたフィルムは、他の特性の中でも特に、40℃で5日間貯蔵後に100%より高い伸張率を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4,578,437号明細書
【特許文献2】米国特許第5,183,623号明細書
【特許文献3】米国特許第5,989,665号明細書
【特許文献4】米国特許第5,627,236号明細書
【特許文献5】特開平第10[1998]−279707号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Struik,L.C.E著、非晶質ポリマーおよび他の材料における物理的老化(Physical aging in amorphous polymers and other materials)、Elsevier Scientific Pub.Co.出版、Amsterdam;New York、distributors for the U.S.and Canada,Elsevier North−Holland,1978
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
2GTおよび3GTの最良バリア特性を有するポリマーであって、低いシールバー温度および速いシール速度で容易にヒートシールでき、それでもなお高強度のシールをもたらすポリマーが必要とされている。特に包装用途のために、こうしたポリマーが透明な部品およびフィルムをもたらすことが好ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、約40℃〜約70℃の範囲内のガラス転移温度Tgから約70℃〜約150℃の範囲内の非晶質状態からのピーク結晶化温度Tcgに至る非晶質加工ウインドウを有するヒートシール可能なポリエステル組成物を提供する。
【0015】
本発明は、ポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーと、約5重量%〜約95重量%、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%のポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーとを含み前記重量%が、ポリ(エチレンテレフタレート)およびポリ(トリメチレンテレフタレート)の全重量を基準にすることを特徴とするポリエステル組成物をさらに提供する。
【0016】
ポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーのTgを下げる方法であって、
(a)ポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーを、結晶化されたポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーに添加するし、ブレンドを形成する工程と、
(b)少なくとも約6時間または十分な乾燥が行われるまで約120℃〜約130℃の範囲の温度で露点−20.5℃(−5°F)未満の乾燥空気の少なくとも0.028m3/分(1ft3/分)の流れに前記ブレンドを曝すことにより前記ブレンドを乾燥させる工程と、
(c)前記ブレンドを溶融ブレンディングし、前記工程(a)のポリ(エチレンテレフタレート)より低いTgを有するポリマーを形成する工程とを含む方法も提供される。
【0017】
本発明は、低温ヒートシール可能なポリエステルフィルムを製造する方法であって、
(a)ポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーを、結晶化されたポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーに添加し、ブレンドを形成する工程と、
(b)少なくとも約6時間または十分な乾燥が行われるまで約120℃〜約130℃の範囲の温度で露点−20.5℃(−5°F)未満の乾燥空気の少なくとも0.028m3/分(1ft3/分)の流れに前記ブレンドを曝すことにより前記ブレンドを乾燥させる工程と、
(c)前記ブレンドを溶融ブレンディングし、前記工程(a)のポリ(エチレンテレフタレート)より低いTgを有するポリマーを形成する工程とを含む方法をさらに提供する。
【0018】
本発明は、熱および圧力を加えることにより二種の熱可塑性表面を互いにシールする二種の熱可塑性プラスチックをヒートシールする方法であって、前記熱可塑性プラスチックの少なくとも一方が、ポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーとポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーとのブレンド、または、それぞれのモノマーから形成されたコポリマーを含むポリエステル組成物を含むという改善がなされることを特徴とする方法も提供する。
【0019】
本発明は、二種の熱可塑性表面がヒートシールされた物品であって、前記熱可塑性表面の少なくとも一方が、ポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーとポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーとのブレンド、または、それぞれのモノマーから形成されたコポリマーを含むポリエステル組成物を含むことを特徴とする物品も提供する。
【0020】
本発明は、ヒートシール可能なフィルムまたはシートを製造する方法であって、
(a)95〜5重量部のポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマー部分と5〜95重量部のポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマー部分とを含む二種の明確に異なるポリエステル部分の混合物を押し出す工程であって、前記押出工程が235〜290℃の温度で1〜15分の押出機およびダイ内のポリマー滞留時間で行われることを特徴とする工程と、
(b)前記工程(a)で製造された押出ポリエステル溶融物を冷却する工程と、
(c)約40℃〜約70℃の範囲内のガラス転移温度Tgから約70℃〜約150℃の範囲内の非晶質状態からのピーク結晶化温度Tcgに至る非晶質加工ウインドウを有する前記ポリエステルフィルムまたはシートを回収する工程とを含む方法も提供する。
【0021】
この後者の方法において、二種の明確に異なるポリエステル部分は、好ましくは、一方の明確に異なるポリエステル部分としてのポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーのペレット、ポリ(エチレンテレフタレート)コポリマーのペレットまたはそれらの混合物と、もう一方の明確に異なるポリエステル部分としてのポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーのペレット、ポリ(トリメチレンテレフタレート)コポリマーのペレットまたはそれらの混合物とを含む。好ましくは、少なくとも約6時間にわたり約120℃〜約130℃の範囲の温度で露点−20.5℃(−5°F)未満の乾燥空気の少なくとも0.028m3/分(1ft3/分)の流れに前記部分を曝すことにより押出前に前記二種の明確に異なるポリエステル部分の一種以上は乾燥される。
【0022】
本発明のこの後者の方法によると、押出温度での押出滞留時間中の2GT/3GTホモポリマー/コポリマー混合物のエステル交換がNMRによって確認でき、得られたポリエステルフィルムの所望の低温ヒートシール性と有利に相関することが発見された。より詳しくは、120℃における重水素化テトラクロロエチレンtce−d2中の1H NMRスペクトル、500MHz以上の約8.038ppmのピーク(2GTおよび3GTと関連付けられる主ホモポリマーNMRピークの間に位置する)は、非晶質ポリマーフィルムの改善されたヒートシール性と相関することが観察された。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】表6のデータを用いる非晶質フィルムサンプルの第一ヒート熱特性を示すグラフである。
【図2】一週間にわたり周囲条件に非晶質サンプルを供した後のヒートシール開始およびヒートシール強度の変化を示すグラフである。
【図3】単層キャストフィルムを通した酸素透過率および水蒸気透過率を示すグラフである。
【図4】「製造されたままの」三層ブローフィルム、すなわち、耐湿性バッグ内で貯蔵され、フィルムの作成から1日以内にヒートシールされたフィルムに関するヒートシール強度対シールバー温度を示すグラフである。
【図5】周囲条件で24時間にわたり最初に熟成されたフィルムに関するヒートシール強度対シールバー設定点温度を示すグラフである。
【図6】直径32mm(1 1/4インチ)のキャストフィルム押出機およびダイに関するスクリューrpmの関数としての推定保圧時間と測定保圧時間を比較するグラフである。
【図7】10℃/分の走査速度での−40〜270℃の実施例Aのキャストフィルムに関する第一パス示差走査熱分析DSCプロットである。
【図8】10℃/分の走査速度での270℃〜−40℃の実施例Aのキャストフィルムに関するDSC冷却曲線である。
【図9】10℃/分の走査速度での−40℃〜270℃の実施例Aのキャストフィルムに関する第二ヒートDSCである。
【図10】110℃バー設定点温度での平均シール強度(g/2.54cm)の関数としての表17のデータを用いる単層キャストフィルムサンプルの第一ヒート熱特性を示すグラフである。
【図11】110℃バー設定点温度での平均シール強度(g/2.54cm)の関数としての表17のデータを用いる単層キャストフィルムサンプルの冷却曲線Tgおよび第二ヒート熱特性を示すグラフである。
【図12】本発明の方法により製造された三層共押出ブローフィルムチューブを例示する斜視側面図である。
【図13】図12で例示され、A押出機供給口に着色ペレットを落下させることにより層Aに関して測定された共押出ブローフィルムに関するA層およびC層の配置に基づいて計算されたスクリューrpmの関数としての推定保圧時間(分)を示すグラフである。
【図14】表21の実施例N〜Z、AAおよびABの共押出フィルム上で製造されたフィンシールに関するシールバー設定点温度の関数としての平均ヒートシール強度(最大値および最小値を示す)を示すグラフである。
【図15】表21の実施例N〜Z、AAおよびABの共押出フィルム上で製造されたフィンシールに関するシールバー設定点温度の関数としての平均ヒートシール強度(最大値および最小値を示す)を示すグラフである。
【図16】表21の実施例N〜Z、AAおよびABの共押出フィルム上で製造されたフィンシールに関するシールバー設定点温度の関数としての平均ヒートシール強度(最大値および最小値を示す)を示すグラフである。
【図17】表21の実施例N〜Z、AAおよびABの共押出フィルム上で製造されたフィンシールに関するシールバー設定点温度の関数としての平均ヒートシール強度(最大値および最小値を示す)を示すグラフである。
【図18】表21の実施例N〜Z、AAおよびABの共押出フィルム上で製造されたフィンシールに関するシールバー設定点温度の関数としての平均ヒートシール強度(最大値および最小値を示す)を示すグラフである。
【図19】表21の実施例N〜Z、AAおよびABの共押出フィルム上で製造されたフィンシールに関するシールバー設定点温度の関数としての平均ヒートシール強度(最大値および最小値を示す)を示すグラフである。
【図20】表21の実施例N〜Z、AAおよびABの共押出フィルム上で製造されたフィンシールに関するシールバー設定点温度の関数としての平均ヒートシール強度(最大値および最小値を示す)を示すグラフである。
【図21】表21の実施例N〜Z、AAおよびABの共押出フィルム上で製造されたフィンシールに関するシールバー設定点温度の関数としての平均ヒートシール強度(最大値および最小値を示す)を示すグラフである。
【図22】表21の実施例N〜Z、AAおよびABの共押出フィルム上で製造されたフィンシールに関するシールバー設定点温度の関数としての平均ヒートシール強度(最大値および最小値を示す)を示すグラフである。
【図23】表21の実施例N〜Z、AAおよびABの共押出フィルム上で製造されたフィンシールに関するシールバー設定点温度の関数としての平均ヒートシール強度(最大値および最小値を示す)を示すグラフである。
【図24】表21の実施例N〜Z、AAおよびABの共押出フィルム上で製造されたフィンシールに関するシールバー設定点温度の関数としての平均ヒートシール強度(最大値および最小値を示す)を示すグラフである。
【図25】表21の実施例N〜Z、AAおよびABの共押出フィルム上で製造されたフィンシールに関するシールバー設定点温度の関数としての平均ヒートシール強度(最大値および最小値を示す)を示すグラフである。
【図26】表21の実施例N〜Z、AAおよびABの共押出フィルム上で製造されたフィンシールに関するシールバー設定点温度の関数としての平均ヒートシール強度(最大値および最小値を示す)を示すグラフである。
【図27】表21の実施例N〜Z、AAおよびABの共押出フィルム上で製造されたフィンシールに関するシールバー設定点温度の関数としての平均ヒートシール強度(最大値および最小値を示す)を示すグラフである。
【図28】表21の実施例N〜Z、AAおよびABの共押出フィルム上で製造されたフィンシールに関するシールバー設定点温度の関数としての平均ヒートシール強度(最大値および最小値を示す)を示すグラフである。
【図29】40℃での状態調節前後の実施例キャストフィルム14および15に関する平均MD破断伸びを示すグラフである。
【図30】40℃での状態調節前後の実施例キャストフィルム14および15に関する平均TD破断伸びを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の開示の目的のために、以下の定義を適用する。
この開示における「非晶質加工ウインドウ」とは、ポリマーのガラス転移温度Tgと非晶質状態からの結晶化のピーク温度、すなわち、冷結晶化温度Tcgとの間の温度範囲を意味する。
【0025】
「コポリマー」という用語は、三種以上のモノマーから重合されたポリマーを意味し、よってターポリマーを含むか、または、より厳密には2種以上の反復単位を含むポリマーを含む。
【0026】
「明確に異なるポリエステル」という用語は、少なくとも一種のモノマーがポリエステルの間で異なるモノマーから調製されたポリエステルを意味する。
【0027】
「ホモポリマー」という用語は、二種のモノマー(例えば、一種のグリコールと一種の二酸(または二酸のメチルエステル))から重合されたポリマー、または、より厳密には一種の反復単位を含むポリマーを意味する。
【0028】
「物理的ブレンド」という用語は、溶融ブレンディングおよび任意にコンパウンディングによって作られた二種以上のポリマーの均一混和物を意味する。Tgはポリマーのガラス転移温度を意味する。典型的には、これは、加熱および冷却について10℃/分の加熱速度でASTMD3417に準拠して示差走査熱分析計(DSC)を用いることにより測定され、屈曲の中点が報告される。
【0029】
そして、Tcgとは、加熱および冷却について10℃/分の加熱速度でASTMD3417に準拠して(DSC)を用いることにより測定される非晶質状態からの結晶化のピーク温度を意味する。
【0030】
出願人は、特にポリマーのTgが比較的低いので広い非晶質加工ウインドウを示すヒートシール可能なポリエステル組成物を見出した。ヒートシールを形成できる温度を下げるので、こうしたポリマーのフィルムは高ヒートシール速度で加工でき、よって製造コストを引き下げ、効率を高める。さらに、ポリエステルフィルムは、改善された香味バリア特性、良好な酸素および/または二酸化炭素バリア特性を示し、光学的に透明である。
【0031】
詳しくは、こうした組成物の非晶質加工ウインドウは、約40℃〜約70℃、好ましくは約48℃〜約70℃の範囲内のガラス転移温度Tgから約70℃〜約150℃、好ましくは約84℃〜約135℃の範囲内の非晶質状態からの結晶化のピーク温度Tcgに至る。
【0032】
ポリエステル組成物の融点は、約180〜約240の範囲内、好ましくは約240℃未満である。本発明のポリエステル組成物は、ASTM D3417に準拠してDSCを用いて測定する時に、組成物が少なくとも二つの明確に異なる融点を大抵の場合に示す物理的ブレンドである。以下の実施例に記載されたように19℃の温度でジクロロメタンとトリフルオロ酢酸の1:1重量%溶液を用いて測定されるような固有粘度(IV)は、一般には約0.4dl/g〜約2.0dl/g、好ましくは約0.80dl/g〜約1.5dl/gの範囲である。
【0033】
ポリエステル組成物は、2GTおよび3GTの全重量を基準にして約5〜約95重量%、好ましくは約20〜約80重量%、最も好ましくは約30〜約70重量%の3GTホモポリマーまたはコポリマーの添加によって変性された2GTホモポリマーまたはコポリマーである。ポリエステルがコポリエステルである時、3GTの量は、2GTおよび3GTの全重量を基準にして好ましくは約40〜約75重量%である。特定の理論にも解釈によっても縛られない一方で、出願人は、2GTポリマーへの3GTポリマーの添加が、添加前の2GTと比べてTgを本質的に下げたり、および/または結晶化を遅らせたりすることにより非晶質加工ウインドウを広げると考えている。
【0034】
組成物は、二種の明確に異なるポリエステル、例えば、2GTポリマーと3GTポリマーの物理的ブレンドまたはそれぞれのモノマー、例えば、テレフタル酸、エチレングリコール、1,3−プロパンジオールおよび任意に他のエステル形成性モノマーから調製されたコポリエステルオリゴマーまたはポリマーのいずれかである。組成物が物理的ブレンドを含む時、物理的ブレンディング後のIVは少なくとも約0.4dg/gである。
【0035】
2GTホモポリマーは、エチレングリコールとテレフタル酸の重合から実質的に誘導されたポリマー、または別案としてそれらのエステル形成性同等物(例えば、ポリエチレンテレフタレートのポリマーを最終的に提供するために重合されうるあらゆる反応物)から誘導されたポリマーを意味することが意図されている。2GTのコポリマーは、少なくとも約70モル%のエチレンテレフタレートとテレフタル酸およびエチレングリコール(またはそれらのエステル形成性同等物)以外のモノマーから誘導されるポリマーの残りとを含む(または誘導された)あらゆるポリマーを意味することが意図されている。
【0036】
本発明において有用な2GTポリエステルには、(a)ポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーおよび(b)2GTコポリマー、すなわち、テレフタル酸以外の二酸(イソフタル酸(I)、無水トリメリット酸;、アジピン酸、ドデカン二酸を含む脂肪族二酸、CHDA(シクロヘキサンジカルボン酸)など)またはエチレングリコール以外のグリコール(シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、ジエチレングリコール)を組み込むことにより変性された2GTポリマーおよびそれらの混合物が挙げられる。ポリエステルプロセスの再循環ストリームからの不純物は、もう一つのモノマー源である。
【0037】
本発明により用いられる2GTポリエステルは、少なくとも約60℃のガラス転移温度(Tg)および少なくとも150℃の融点を有して、熱可塑性および結晶性であるのがよい。より好ましいポリエステルは少なくとも約200℃の融点を有する。最も好ましいポリエステルは約1〜15%のイソフタル酸を有する2GTコポリマーである。ジエチレングリコール(DEG)のレベルは、好ましくは約2重量%までの範囲である。非晶質ポリマーは、より乾燥するのが難しいので、より好ましくない。
【0038】
3GTホモポリマーは、1,3−プロパンジオールとテレフタル酸の重合から実質的に誘導されたポリマー、または別案としてそれらのエステル形成性同等物(例えば、ポリ(トリメチレンテレフタレート)のポリマーを最終的に提供するために重合されうるあらゆる反応物)から誘導されたポリマーを意味することが意図されている。3GTのコポリマーは、少なくとも約70モル%のトリメチレンテレフタレートとテレフタル酸および1,3−プロパンジオール(またはそれらのエステル形成性同等物)以外のモノマーから誘導されるポリマーの残りを含む(または誘導された)あらゆるポリマーを意味することが意図されている。実用的な観点から、より高い%のトリメチレンテレフタレートは、ポリマーが半結晶質であるとともに、それによって乾燥するのがより容易であることを確実にする。
【0039】
ポリエステル組成物は、十分な機械的特性を得るために適切な分子量を有するのがよい。固有粘度(IV)に関して、ブレンディング後の組成物は、ジクロロメタンとトリフルオロ酢酸の1:1重量%溶液で測定して、少なくとも約0.4dl/g〜約0.80dl/g、より好ましくは少なくとも約0.90dl/g、最も好ましくは、約1.3〜1.5dl/gのIVを有する。固有粘度は、ASTM D2857.95に規定されたように19℃での既知のポリマー濃度の溶液の流動時間および毛細管粘度計中のポリマー溶媒の流動時間を測定することにより決定される。
【0040】
得られた組成物は本質的に非晶質(すなわち、結晶度を本質的に示さない)であり、ASTM D3985−81に似た実施例の手順に従って測定して、好ましくは、約5〜約12cc−ml/day−645cm2(100平方インチ)−atm(23℃、乾燥下(at23℃ and dry))の範囲の酸素透過率を示す。組成物は、好ましくは、透明(必要ならば着色剤を添加してもよいけれども)であり、良好な香味バリア特性、すなわち、低香味透過、低香味奪い取りおよび包装内容物への臭気と香味の無移入を示す。最も重要なことは、組成物が、通常、比較的低い温度でヒートシール可能であり、殆どの包装用途に対応するために良好なヒートシール強度および熱間粘着強度を有することである。
【0041】
本発明の組成物は、フィルム(シートを含める積もりである)または他の物品に成形してもよい。フィルムは、単層フィルム、またはポリオレフィン、エチレンコポリマー、イオノマー、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリスチレン、接着剤繋ぎ層、再密封可能接着剤エチレンビニルアルコール、PVDCなどを含む他のフィルム層と共押出で成形された多層フィルムであることが可能である。単層フィルムは、他のフィルムまたは基板に貼合わせることも可能である。多層フィルムは二層以上の層を有し、好ましくは、表面層の一方または両方は本明細書に記載されたようなヒートシール可能なポリエステル組成物である。低温ヒートシール性の特性のために、本発明のフィルムは、エチレン酢酸ビニル(EVA)または無水変性EMAなどの接着剤繋ぎ層を用いて、他の層にポリオレフィンと合わせて容易に共押出することが可能である。こうした多層フィルムは、他の層が特に機械的強度、靱性、追加バリア特性、耐熱性、印刷適性などの別の所望特性を付与できるので本発明の可能な用途を広げる。
【0042】
本発明のフィルムは包装用途向けに特に有用であり、当業者に対して知られている多くの方法によって包装に成形することが可能である。「包装」という用語は、空気および/または水分などの周囲条件および/または蒸発による包装の内容物の損失に抗して、特に内容物の使用前に殆どの時間密封しようとする一切の容器を意味し、蓋覆い用途(例えば、取り外しできる蓋覆いフィルムによって覆われるトレーまたは容器)を包含する。包装は、周囲条件に抗したシールがシールバッグを開けるために切るか、または引き裂くことにより永久的に破壊されてもよいように、または、使用中である間にシールされたまま残ってもよいように、例えば、加熱されそして加熱アンカとして利用されるジェルパックのように設計してもよい。これらの包装は、好ましくは、本明細書で開示された単層フィルムまたは多層フィルム、特に多層フィルムから製造され、多層フィルム中で本発明のヒートシール可能なポリエステル組成物は「シール層」、すなわち、ヒートシールを形成する層を構成する。こうした包装は、酸素バリア機能のゆえに食品を包装するために非常に有用であり、奪い取りおよび付与のない良好な香味/臭気バリアが形成でき、そして透明である。従って、こうした包装は、味/香保持が重要である包装のために特に好ましい。包装は、特に固体食品容器または液体食品容器、静脈内バッグ、パウチ、乾燥食品容器(箱内のシリアルライナー、クラッカーライナー)、ケミカルパウチ、自立パウチ、シリアルパウチ、蓋覆い、ペット食品バッグなどの、シールされる軟質バッグであってもよい。
【0043】
必須ではないけれども、従来の添加剤は、本発明の組成物、フィルムまたは物品に添加してもよい。こうした添加剤には、顔料、着色剤、安定剤、酸化防止剤、押出助剤、スリップ剤、カーボンブラック、核剤、難燃剤、当業者に知られている他の薬剤およびそれらの混合物が挙げられる。
【0044】
本発明の組成物から製造されたフィルムは、包装に関係ない無数の他の用途のために確かに用いてもよい。例えば、見込みある一つの用途は、消費者が衣類乾燥機中で用いるホームドライクリーニングバッグである。こうしたバッグは、典型的には3側面に沿ってヒートシールされ、洗浄されるべき衣類および洗浄化学薬品を受け取るための再密閉可能な第4の側面を残す。こうしたバッグは、高温、例えば、約200°Fより高い温度で良好な寸法安定性、そして良好なドライクリーニング薬品バリアをもたなければならない。本明細書中のヒートシール可能な組成物は、ナイロン(例えばナイロン6)に加えて2GT、3GT(本明細書に記載されたもの)のペレットブレンドとしてブレンドしてもよく、その後、キャスティングされたか、または配向された(二軸または一軸配向)ポリアミド(ナイロン6またはナイロン6,6)、または、2GTフィルム上に押出被覆してもよい。得られたフィルムは、ドライクリーニングバッグを製造するために用いることが可能である。多くの他の用途が考慮されている。
【0045】
本発明は、2GTホモポリマーまたはコポリマーのTgを下げる方法も提供する。この方法は、結晶化された2GTホモポリマーまたはコポリマーの乾燥、および3GTホモポリマーまたはコポリマーの別個の乾燥または同時の乾燥のいずれかで始まる。乾燥は、少なくとも約6時間または十分な乾燥が行われるまで約120℃〜約130℃の範囲の温度で露点−20.5℃(−5°F)未満の乾燥空気の少なくとも0.028m3/分(1ft3/分)の流れにポリマーを曝すことにより行われる。別個に乾燥させた場合、3GTホモポリマーまたはコポリマーは、物理的ブレンドを作るために2GTホモポリマーまたはコポリマーに次に添加される。しかし、好ましい方法は、3GTホモポリマーまたはコポリマーのペレットと2GTホモポリマーまたはコポリマーのペレットをブレンドし、その後、上で論じたように、それらを同時に乾燥させることである。物理的ブレンドは、溶融ブレンディングにより形成された二種のポリマーの均一混和物である。溶融ブレンディングは、当業者に知られている種々の方法によって実行してもよく、それらの方法には、(1)ポリマー溶融物を作るために前のパラグラフで論じたペレットのブレンドを乾燥させ、押し出す方法、(2)乾燥させたペレットブレンドを溶融コンパウンディングし、その後、フィルムまたは他の物品を製造する方法および任意にフィルムまたは他の物品に成形する前にソリッドステート重合する方法が挙げられる。あるいは、2GTおよび3GTのそれぞれのモノマーは、似た特性を達成するために共重合してもよい。物理的ブレンドとしてであろうとコポリマーとしてであろうと、得られたポリマー/フィルムは、元の2GTホモポリマーまたはコポリマーより低いTgを有する。
【0046】
本発明は、低温ヒートシール可能なポリエステルフィルムを製造する方法も提供する。
第1の工程は、上述したように物理的ブレンドを作るために2GTおよび3GTを乾燥させ混合し(あるいは別案として混合し、その後乾燥させ)、溶媒ブレンディングすることである。あるいは2GTおよび3GTのそれぞれのモノマーを供重合させてもよい。得られた物理的ブレンドまたはコポリマーは、単層フィルムまたは多層フィルムを形成させるために押し出される。
【0047】
本発明は、熱および圧力を加えることにより二種の熱可塑性表面を互いにシールする二種の熱可塑性プラスチックをヒートシールする方法をさらに提供する。改善は、2GTホモポリマーまたはコポリマーと3GTホモポリマーまたはコポリマーを含むポリエステル組成物を含む熱可塑性表面の少なくとも一方に存する。本明細書で開示されたポリエステル組成物の前の議論は、こうした表面に等しく当てはまる。
【0048】
本発明は、二種の熱可塑性表面がヒートシールされた物品であって、前記熱可塑性表面の少なくとも一方が、2GTホモポリマーまたはコポリマーと3GTホモポリマーまたはコポリマーとを含むポリエステル組成物を含むことを特徴とする物品も提供する。ヒートシールされるべき物品の両方の表面は、本明細書に記載されたようにポリエステル組成物の表面を有してもよい。但し、一方の表面のみがポリエステル組成物を含む用途も考慮されている。例えば、蓋覆い用途である。本明細書で開示されたポリエステル組成物の前の議論は、こうした熱可塑性表面に等しく当てはまる。ヒートシールされるべき両方の表面がポリエステル組成物を含む場合、好ましくは、これらの二表面の組成物は同じモノマーから製造され、より好ましくは、こうした表面は本質的に同じポリマーから製造される。
【0049】
三種以上の表面を互いにシールしてもよい。例えば、三種のフィルムは、シールされるすべての表面が本明細書に記載された組成物の表面であるかぎり互いにシールしてもよい。好ましくは、シールされるべき領域の加熱は、高周波加熱、誘電加熱、超音波などによる、より熱い材料(例えば、シールバーまたはシールロール)からの熱伝導によって行われる。
【0050】
用いられる圧力の量は、シールされるべき二(またはそれ以上)表面を接触させるために必要な圧力、例えば、指圧からプレスまたはロールによって加えられる圧力、例えば、シールバーの平方インチ当たり約90ポンドに至るまで異なってもよい。加熱は、圧力の付加の前、またはそれと同時であってもよい。圧力を加熱の前に加えてもよいけれども、加熱が行われるまで圧力は通常は有効でない。
【0051】
シールされているヒートシール可能なポリエステル組成物シール面の温度は一般にTgより高く、Tcgより低い。商業的に行われるヒートシールの多くが高速ラインで行われるので、十分な強度のシールを与えるのに必要な温度が低ければ低いほど、多くの場合ラインは速く走ってもよい。必要な温度にシール面を加熱するために、より少ない時間しか要しないからである。
【0052】
二種の熱可塑性表面が本明細書で開示されたようにヒートシールされた物品には、射出成形品、圧縮成形品、熱成形品またはブロー成形品、単層および多層のフィルムおよびシート、フィルムおよびシートから製造された包装(これも上述されている)、本明細書中のヒートシール可能なポリエステルで被覆されたフォイル、紙または板紙およびそれらから製造された包装が挙げられる。
【0053】
純粋に代表例のみであることを意図している以下の実施例によって本発明をさらに明確化する。
【0054】
(実施例1〜6)
実施例1〜6は、3GT樹脂と2GT/I樹脂のブレンドから単層キャストフィルムを製造することにより「製造されたままの」低温ヒートシール強度および熱間粘着強度の幅の驚くべき改善を実証している。
【0055】
(樹脂の乾燥)
二種のポリマーを別々に乾燥させた。第1のポリマーは、ポリマーの全重量を基準にして約1.5重量%のDEG含有率、全モル酸を基準にして2モル%のI、全モル酸を基準にして98モル%のTを有するエチレングリコール、テレフタル酸(T)およびイソフタル酸(I)のポリエステルコポリマー、すなわち、2GT/Iであって、融点が241℃であり公称IVが0.8dl/gであるポリエステルコポリマーであった。第2のポリマーは、230℃の融点および1.1dl/gの公称IVを有する1,3−プロパンジオールとジメチルテレフタレートのホモポリマー(3GT)であった。乾燥熱風乾燥機(露点−20℃未満、乾燥機設定点125℃)内で二種のポリマーを個々に一晩乾燥させた。
【0056】
(ペレット/ペレットブレンド)
乾燥後、体積20リットルのプラスチックバケツ内で樹脂を混合することにより、2GT/Iと3GTのペレット/ペレットブレンドを調製した。
フィルムキャスティング
【0057】
3/1の圧縮比、溶融混合区画5L/Dの一条ねじスクリューを備えた直径32mm(1 1/4インチ)のL/D30/1の一軸スクリュー押出機の窒素パージホッパーに、ブレンドしたペレットを直ちにフィードした。押出機ダイは、ダイギャップ0.03cm(0.012インチ)の幅152mm(6インチ)のコートハンガー型フラットフィルム押出ダイであった。押出機およびダイは、ウェインマシーン(Wayne Machine(100Furler St.Totowa NJ07512−1896))によって製造された。ダイから出た溶融ポリマーフィルムは、温度が制御された冷却水を備えた幅8インチ×直径8インチの二重シェルスパイラルキャスティングロール上にキャスティングした時、公称0.0015インチの厚さに引き落とされた。キャスティングロールはキリオンエクストルーダーズ(Killion Extruders(Davis Standard 200 Commerce Road,Cedar Grove New Jersey 07009))によって製造された。
【0058】
冷却したキャストフィルムを直径3インチの紙芯に巻き取り、ポリエチレンバッグ内に貯蔵した。押出機およびキャスティングロールの運転条件に加えてブレンド組成物の要約を表1および表2に示している。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
(フィルム分析)
ヒートシール特性を測定するために単層キャストフィルムを用いた。強いシールが起きる最低シールバー温度は興味深い。低ヒートシール開始は、より少ない熱しかシールを発生させるために必要でないことを意味するからである。より少ない熱は、より低いシールバー温度を使用でき、それはシーリング顎寿命を延長させ(メンテナンスコストを引き下げる)、より速くシールが起きるのでより速いライン速度とも相関することを意味する。12.5μm(0.5ミル)の本願特許出願人のMylar(登録商標)フィルムスリップシート、256kPA(40psi)のシールバー圧力、幅0.64cm(0.25インチ)のシールバー、および1.0秒の保圧時間を用いてヒートシールをASTM手順F488に準拠して測定した。熱を上方バーのみに加えた。イマス(IMASS,Inc.(Box134 Accord MA02018−0134))によって販売されているSP−102C−3m90滑り/剥離試験機を用いて、得られたシール強度を幅1.27cm(0.5インチ)のシールされた帯上で25.4cm(10インチ)/分のクロスヘッド速度で測定した。
【0062】
単層キャストフィルム上のヒートシール強度を表3にまとめている。
【0063】
【表3】
【0064】
実施例フィルム1および6(それぞれ純3GTおよび2GT/I)は、90、100または110℃のシールバー設定点温度でシール強度がないか、または非常に低いシール強度(150g/1.27cm)しかなかった。
【0065】
驚くべきことには、2GT/I中に40〜20%の3GTを含むブレンドから製造されたフィルム(実施例フィルム4および5)は、110℃程度に低いシールバー温度で強いヒートシール強度(500g/1.27cmより大きい)を有していた。
【0066】
熱間粘着強度を測定するためにも単層キャストフィルムサンプルを用いた。ヒートシール試験において、シール強度を測定する前に、シールを放置して室温に冷却する。熱間粘着性試験は、まだ熱いシールのシール強度を測定する。熱間粘着強度は、全体の形成および充填の運転が秒で行われるのでシールを形成した殆ど直後に荷重(包装内容物)をシール上に加える水平または垂直形成/充填シール用途において必要とされる。
【0067】
熱間粘着強度を測定するために、オランダで製造されたJB熱間粘着試験機モデル3000バージョン2を用いた。機械条件および試験結果を表4に示している。
【0068】
【表4】
【0069】
実施例フィルム1および6(それぞれ純3GTおよび2GT/I)は、再び、90℃または100℃のシールバー温度で低い熱間粘着強度シール強度(300g/インチ以下)を有していた。3GTと2GT/Iのブレンドに関する熱間粘着強度は驚くほど良好であり、40%3GT/60%2GT/Iブレンド(実施例4)に関する値は、90℃のシールバー設定点温度で1000g/インチを超えていた。試験した温度の完全な範囲にわたって、熱間粘着強度が実施例フィルム3および4について非常に良好なままであったことも注目すること。
【0070】
6種の単層フィルムサンプルで溶液粘度を測定した。サンプルの調製および分析を表5に示している。溶液粘度は分子量を推定する手段である。
【0071】
【表5】
【0072】
熱特性を測定するために6種の単層フィルムサンプルを分析した。熱特性を測定する前に、最初にフィルムサンプルを一晩乾燥させ、次に、255℃で5分にわたり加熱し、その後、メタノール・ドライアイスの浴内で直ちに冷却した。TA Instrument示差走査熱分析計Model#2920に装填する前には、得られた特殊に状態調節されたサンプルは一切の結晶度を本質的に含まなかった(非晶質)。サンプルを10℃/分の加熱速度で−40℃から275℃まで加熱した(ASTM D3417に準拠)。
【0073】
表6において、これらの6種のフィルムサンプルの最初の加熱からの特性をまとめている。Tgは℃でのガラス転移温度を表す(屈曲の中点を報告している)。Tcgは非晶質サンプルが加熱後に結晶化する℃でのピーク温度を表す。ΔH Tcgは、結晶化によりサンプルから発生する熱(単位J/g)を表す。Tmは℃でのサンプルのピーク溶融温度である。ΔH Tmは、溶融中にサンプルによって消費された熱(単位J/g)である。
【0074】
【表6】
【0075】
図1は表6のデータをグラフで表している。ヒートシール試験および熱間粘着性試験の結果に基づくと、48〜70℃のTg範囲(80%〜20%の3GT、または直線相関による約50℃〜66℃)と84〜135のTcg範囲(または直線相関による約86℃〜135℃)の組み合わせは、純粋な2GT/I(Tg70、Tcg144)または3GT(Tg46、Tcg71)より驚くべき良好なヒートシールおよび熱間粘着性をもたらす。
【0076】
実施例フィルム2〜5は、驚くべき良好な「製造されたままの」熱間粘着強度(低シールバー温度で)を3GTと2GT/Iのブレンドから製造されたフィルムで達成できたことを示している。純粋な3GTから製造された実施例1のフィルムサンプルは、劣った「製造されたままの」ヒートシールおよび熱間粘着性を有していた。2GT/I樹脂から製造された実施例6のフィルムサンプルは、良好な「製造されたままの」ヒートシールおよび熱間粘着性を有していたが、高いシールバー温度でのみであった。
【0077】
温度および湿度の周囲条件に非晶質フィルムサンプルを曝すと、シールおよび熱間粘着性の特性は悪化するようであった。図2は、周囲条件に実施例フィルム4を一週間にわたり供した後のヒートシール開始およびヒートシール強度の変化を例示している。
【0078】
酸素透過率および水蒸気透過率を測定するためにも実施例フィルム1〜6を用いた。Oxtran(登録商標)2/20Model H低透過率試験機(モコン(Mocon,Inc.(Minneapolis,MN55428U.S.A))を用い、100%酸素(空気ではない)を用いて23℃および相対湿度0%で酸素透過率を測定した。試験の理論は、ASTM D3985−81「クーロメトリセンサーを用いるプラスチックフィルムおよびシートを通した酸素ガス透過率に関する標準試験法(Standard test Method for Oxygen Gas Transmission Rate through plastic film and sheeting using coulometric sensor)」に概説されている。結果を厚さ25μm(1ミル)当たりで報告している。値は101kPa(760mmHg)の大気圧に相関していた。試験の前にサンプルを4時間にわたり状態調節した。試験面積は50cm2であった。検査時間は60分であった。
【0079】
Permatran(登録商標)W3/31水蒸気透過率システム(モコン(Mocon,Inc.))を用いて、38℃および90〜100%RHで水蒸気透過率を測定した。試験の理論は、ASTM D1249−90「被変調赤外線センサーを用いるプラスチックフィルムおよびシートを通した水蒸気透過率に関する標準試験法(Standard test Method for Water Vapor Transmission Rate through plastic film and sheeting using a modulated infrared sensor)」に概説されている。結果を厚さ25μm(1ミル)当たりで報告している。サンプル試験面積は50cm2であった。相対湿度は本質的に100%であった。試験の前にサンプルを2時間にわたり状態調節した。検査時間は30分であった。試験温度は37.8℃であった。
【0080】
酸素透過率および水蒸気透過率を表Aで報告している。
【0081】
【表7】
【0082】
図3でグラフにした表Aの試験結果は、2GT−Iが3GTとブレンドされるにつれて酸素透過率が高まることを示している。水蒸気透過率は、すべての6試験フィルムについてほぼ同じである。
【0083】
3GT/2GT−Iポリマーブレンドの香味透過率を測定するためにも実施例フィルム1〜6を用いた。用いた方法はASTM E96に似ていた。70ミリリットル(58.6グラム)のd−リモネン柑橘類香味剤(アロマケム(Aromachem,Inc.)製)を各蒸気計量カップ内に入れ、試験フィルムの試験片をo−リングによりカップの頂上まわりで固定した。結果の信頼性を確保するために各試験フィルムの5サンプルを試験した。カップを40℃のオーブンに入れ、27日にわたって毎日測定して、香味剤の重量損失を決定した。これらの結果から、GMD値(gram*mil/(day*atm*645cm2(100in2))を計算した。実施例フィルム1〜6に加えて、ナイロン6(アライドシグナル(Allied Signal))および線状低密度ポリエチレン(Dow Dowlex2045)から製造された比較フィルムを含めた。表Bは香味試験結果をまとめている。
【0084】
【表8】
【0085】
表Bの試験結果は、3GTと2GT−Iのブレンドが純2GT/IまたはLLDPEと比べて香味バリアの実質的な改善をもたらすことを示している。
【0086】
(実施例7〜10)
一切の物理的老化現象(例えば、非特許文献1を参照)を克服するために、出発3GTまたは2GT/Iをソリッドステート化することにより、または、2GT/Iと3GTの溶融ブレンドにより製造されたペレットをソリッドステート化することにより、より高い分子量の2GT/Iおよび3GTのサンプルを調製した。以下の4種の樹脂サンプルは、ヒートシール開始およびシール強度の維持に及ぼすより高い分子量の利点を例示している。
【0087】
実施例フィルム1〜6を作成するために用いられた二種の樹脂2GT/Iおよび3GTを再び乾燥させ、ブレンドし、その後、水冷された直径1.56mm(1/16インチ)のストランドダイクラッシュを通して押し出し、長さ1/8インチのペレットに切断した。4種のペレットブレンドの組成(実施例樹脂7〜10)および押出条件を表7に示している。
【0088】
その後、上述した乾燥ホッパードライヤーシステム内で押出ペレットの4組を120℃で一晩結晶化させ、その後、高温窒素の連続流れを用いて充填床ソリッドステーター内で202℃において26時間にわたりソリッドステート化した。26時間後に、樹脂を放置して冷やした。溶液粘度を測定するためにソリッドステート化樹脂を分析した。ソリッドステート化後の溶液粘度値を表8でまとめている。
【0089】
【表9】
【0090】
【表10】
【0091】
ソリッドステート重合済み溶融ブレンド樹脂7、8および10の有効性を実証するために、シーラント層としてこれらの実施例樹脂、繋ぎ層として本願特許出願人のBynel(登録商標)3861無水変性エチレン酢酸ビニル樹脂および外側構造層としてHDPE(高密度ポリエチレン、Chevron9662)を用いて三層ブローフィルムを作成した。層の厚さは次の通りであった。
HDPE、1.7ミル
Bynel(登録商標)3861、0.3ミル
実施例樹脂、0.5ミル
【0092】
厚さ2.5ミルのフィルムのヒートシール強度を試験し、純3GTシーラント層を有する三層フィルムと比較した。ヒートシール条件は、保圧時間0.5秒、シールバー圧力276kPa(40psi)およびシールバー幅2.54cm(1インチ)であった。275°F以上のシール温度についてはスリップシートを用いた。
【0093】
図4は、「製造されたままのフィルム」に関するヒートシール強度対シールバー温度をプロットしている。図5は、周囲暴露から24時間後にシールされたフィルムに関するヒートシール強度対シールバー温度をプロットしている。
【0094】
3GTと2GT−Iの高分子量ブレンドから製造されたフィルムが、周囲条件に24時間にわたり暴露されることによりヒートシール特性が本質的に変わらないままであることが図5で分かる。他方、3GT対照樹脂から製造されたフィルムは、試験した温度範囲にわたって劣ったヒートシール強度を有する。
【0095】
(実施例11)
これらのフィルムは、3GT樹脂と2GT/I樹脂のソリッドステート重合済み溶融ブレンドから単層キャストフィルムを製造することにより「製造されたままの」低温ヒートシール強度および熱間粘着強度の幅における驚くべき結果を実証している。
【0096】
(実施例フィルム11の作成)
(溶融ブレンドの調製)
(樹脂の乾燥)
二種のポリマーを別々に乾燥させた。第1のポリマーは、エチレングリコール、ジメチルテレフタレートおよびイソフタル酸のポリエステルコポリマー(2GT/I)であって、融点が217℃であり公称IVが0.68であるポリエステルコポリマー[Sellar(商標)PT8307ポリエステルコポリマー]であった。第2のポリマーは、230℃の融点および1.1の公称IVを有する1,3−プロパンジオールとジメチルテレフタレートのホモポリマー(3GT)であった。乾燥熱風乾燥機(露点−20℃未満、乾燥機設定温度125℃)内で二種のポリマーを個々に一晩乾燥させた。
ペレット/ペレットブレンド
【0097】
乾燥後、体積20リットルのプラスチックバケツ内で樹脂を混合することにより、2GT/Iと3GTのペレット/ペレットブレンドを調製した。
溶融ブレンディング
【0098】
直径1.56mm(1/16インチ)のストランドダイ、水冷却槽およびペレタイザーを備えた直径32mm(1 1/4インチ)のWayneL/D30/1一軸スクリュー押出機に乾燥ペレット/ペレットブレンドをフィードした。30%3GT/70%2GT−Iに関するWayne押出条件を表9に示している。
【0099】
【表11】
【0100】
その後、溶融ブレンドした樹脂を上述した乾燥ホッパードライヤーシステム内で120℃で一晩結晶化させ、その後、高温窒素の連続流れを用いて充填床ソリッドステーター内で195℃で5時間にわたりソリッドステート化した。5時間後に、樹脂を放置して冷やした。
【0101】
(フィルム分析)
ソリッドステート化された溶融ブレンド(30重量%の3GTと70重量%の2GT−Iを含む)を用いて、上述した同じ単層キャストフィルム構成を用いて厚さ公称37マイクロメートル(0.0015インチ)のフィルムをキャスティングした。フィルムにキャスティングする前に、ソリッドステート化された樹脂を130℃で一晩乾燥させた。実施例フィルム11を作成するために用いたフィルムキャスティング条件を表10に示している。溶液粘度測定(上述した手順を用いる)によって、0.985の実施例フィルム11に関するIVが測定された。
【0102】
【表12】
【0103】
ヒートシール特性を測定するために、実施例フィルム11と表示したラベル付きの単層キャストフィルムを用いた。強いシールが起きる最低シールバー温度は興味深い。低ヒートシール開始は、シールを発生させるために、より少ない熱しか必要でないことを意味するからである。より少ない熱は、より低いシールバー温度を使用でき、それはシーリング顎寿命を延長させ(メンテナンスコストを引き下げる)、より速くシールが起きるのでより速いライン速度とも相関することを意味する。12.5μm(0.5ミル)のMylar(登録商標)フィルムスリップシート、276kPA(40psi)のシールバー圧力、幅0.64cm(0.25インチ)のシールバー、および1.0秒の保圧時間を用いてヒートシールをASTM手順F488に準拠して測定した。熱を上方バーのみに加えた。イマス(IMASS,Inc.(Box134 Accord MA02018−0134))によって販売されているSP−102C−3m90滑り/剥離試験機を用いて、得られたシール強度を幅1.27cm(0.5インチ)のシールされた帯上で10インチ/分のクロスヘッド速度で測定した。
【0104】
実施例フィルム11のヒートシール強度を表11にまとめている。
【0105】
【表13】
【0106】
キャストフィルムに関連した第1の実施例組および共押出フィルムに関連した第2の実施例組を含む本発明の特定の特徴および実施形態をさらに例示するために、以下の別の実施例を提示する。そのような以下の実施例は不当に限定的であることを意図していない。
【0107】
(実施例組A−M:ヒートシール可能な単層キャストフィルム)
非晶質ヒートシール可能なポリエステルフィルムを製造するために高い溶融温度および長い保圧時間が必要であることを例示するために、コモノマー1,3−プロパンジオールを用いて製造された少なくとも一種のコポリエステルを含むペレットブレンドから幾つかのキャストフィルムを作成した。すべての場合、キャストフィルムを23±1℃および50%相対湿度(RH)で24時間にわたり状態調節し、その後、フィルムを種々のシールバー温度でヒートシールした。シールの平均ピークシール強度を測定した。
【0108】
フィルムを以下のポリエステル樹脂のペレットブレンドから製造した。
1,2−エタンジオール、テレフタル酸および少量のイソフタル酸から製造された公称IV0.91のソリッドステート化されたコポリエステル樹脂。このポリマーは、デュポン・ポリエステルレジンズ・アンド・インターミーディエーツ(DuPont Polyester Resins and Intermediates)によって販売され、Melinar(商標)N4009ポリエステル樹脂として商標付けされている。このコポリエステルのピーク融点は、インジウム、錫および亜鉛による三点校正を用いるASTM D3417に準拠して10℃/分の加熱速度を用いるTA Instrruments示差走査熱分析計(DSC)によって測定して244℃であった。このポリマーを2GT−I(0.91IV)と呼ぶ。
【0109】
1,3−プロパンジオールおよびジメチルテレフタレートから製造された公称IV1.04のソリッドステート化されたポリエステルホモポリマー。このポリマーは、Sorona(商標)3GTポリエステルとして本願特許出願人によって販売されている。このホモポリマーのピーク融点は、上述したDSC手順によって測定して228℃であった。このポリマーを3GT(1.04IV)と呼ぶ。
【0110】
1,2−エタンジオールおよびジメチルテレフタレートから製造された公称IV0.95のポリエステルホモポリマー。このポリマーは、Selar(商標)PT X295ポリエステルとして本願特許出願人によって販売されている。このホモポリマーのピーク融点は、上述したDSC手順によって測定して249℃であった。この樹脂を2GT(0.95IV)と呼ぶ。
【0111】
フィルムにキャスティングする前に、ドライヤーのための設定点温度が121℃(250°F)であった乾燥ホッパードライヤーシステムを用いて樹脂を一晩乾燥させた。その後、20リットルのバケツ内に適切な比率を計り取り、2分にわたり手で激しく混ぜることにより、乾燥させた樹脂を3000グラムバッチに互いにブレンドした。
【0112】
3/1の圧縮比、溶融混合区画5L/Dの一条ねじスクリューを備えた直径32mm(1 1/4インチ)の長さ対直径(L/D)30/1の一軸スクリュー押出機の窒素パージホッパーに、ブレンドしたペレットを直ちにフィードした。フィード区画のねじ山の高さは5.3mm(0.20インチ)であった。押出機ダイは、ダイギャップ0.25cm(0.10インチ)の幅152mm(6インチ)のコートハンガー型フラットフィルム押出ダイであった。押出機およびダイは、ウェインマシーン(Wayne Machine(100Furler St.Totowa NJ07512−1896))によって製造された。ダイから出た溶融ポリマーは、温度が制御された冷却水を備えた幅203mm(8インチ)x直径203mm(8インチ)の回転二重シェルスパイラルバッフルキャスティングロール上にキャスティングした時、公称38μm(0.0015インチ)の厚さに引き落とされた。すべての場合、ナイアガラ・スクリーンプロダクツ(Niagara Screen Products)によって販売されている80/100/80USメッシュスクリーン組み合わせを用いて、ポリマー溶融物を濾過した。スクリーンをブレーカープレートによって所定の場所に保持した。キャスティングロールはキリオンエクストルーダーズ(Killion Extruders(Davis Standard 200 Commerce Road,Cedar Grove New Jersey 07009))によって製造された。フィルムをチルロール上にキャスティングした。フィルムの外側端をキャスティングロールに固定するために、ジェットオリフィスを通して送られた空気のストリーム(供給圧力534kPa)を用いた。
【0113】
冷却したキャストフィルムを直径76mm(3インチ)の紙芯に巻き取り、ポリエチレンバッグ内に貯蔵した。ブレンド組成物の要約を表12に示した。表13a、13bおよび13cは押出機およびキャスティングロールの運転条件をまとめている。表13a〜13cにおいて、二つの溶融温度が報告されている。すなわち、フルター前のポリマー溶融温度およびアダプターにおけるポリマー溶融温度である。フィルターメルトプローブはフランジ内のポリマー溶融物チャンネルの端に面一に取り付けた。プローブはスチールフランジの温度の十分な目安であり、ポリマー溶融物の指標である。直径6.1mm(1/4インチ)のアダプターメルト移送ラインの中心に伸びたメルトプローブを用いて、アダプターメルト温度を記録した。表13a、13bおよび13cにおいて、報告された処理量(単位グラム/分)は、押出中に30秒のサンプル期間にわたって集められた押出フィルムのサンプルを秤量することにより計算した。保圧時間も、フィードスクリーンの殆ど露出したねじ山上にカラーコンセントレートペレットを落下させ、その後、押出フィルム中に出現する色を真っ先に見る前に経過する時間を記録することにより計算した。この技術には、供給口からペレットを搬送しきるのにどれだけ時間が実際にかかるかに関して幾つかの欠点がある。この技術は、ペレットが瞬間的に搬送されることを想定しているが、恐らくそうではなさそうである。報告した保圧時間は、おそらく、保圧時間を過大にする偏りを有するであろう。図6は、測定された保圧時間および推定された保圧時間(配置に基づいて)対、アダプターおよび幅152mm(6インチ)のフラットフィルムダイを備えた直径32mm(1 1/4インチ)のL/D30/1Wayne押出機のスクリュー速度のプロットである。
【0114】
【表14】
【0115】
【表15】
【0116】
【表16】
【0117】
【表17】
【0118】
図6は、本質的に10から100rpmまで用いられた直径32mm(1 1/4インチ)のキャストフィルム押出機およびダイに関するスクリューrpmの関数としての推定保圧時間(分)を測定保圧時間と比較している。
【0119】
フィルムをキャスティングした直後に、将来の分析のために捩り結束または捩りテープでシールされた厚さ80〜100マイクロメートルのポリエチレンバッグ内にロールを貯蔵した。
【0120】
サンプルフィルムA〜JおよびMの場合、同日に、それらのフィルムをフィルムにキャスティングし、長さ約2メートルのフィルムをポリエチレンバッグから取り出し、温度と湿度が制御された実験室(23±1℃および50%RH)内で24時間にわたり露出させた。サンプルフィルムKおよびLの場合、それらのフィルムを周囲条件で4日にわたりプラスチックバッグ内に貯蔵し、その後、23±1℃および50%RHで24時間状態調節するためにバッグからサンプルを取り出した。24時間の露出直後に、フィルムを互いにヒートシールして、フィンシールを形成させた。シールバー設定点温度は10℃刻みで90〜130℃であった。Sencorp Systems(Hyannis MA USA02601)Model12ASL/1ヒートシーラーを用いてヒートシールを調製した。シール条件は、本願特許出願人の12.5μm(0.5ミル)のMylar(登録商標)フィルムスリップシート、358kPa(40psi)シールバー圧力、幅2.5cm(1.0インチ)×長さ30.5cm(12・1/2インチ)のシールバーおよび0.5秒の保圧時間であった。熱を上方バーのみに加えた。下方の加熱されなかったバーは、スチールホールダー内の幅2.5cm×長さ30.5cmの赤ゴム片を含んでいた。ASTM手順F488に準拠して、幅25.4mm×長さ70〜100mmのクーポンをシールされたフィルムから打ち抜いて、シールの強度を試験した。すべての場合、フィンシールの配向は横方向であった。23±1℃および50%RHの周囲条件を用い初期顎分離を50.8mm(2インチ)とし、顎分離速度を25.4cm/分(10インチ/分)としてInstronモデル4469を用いて幅25.4cmのシールをMD方向で引っ張った。尾部を手で持って、引っ張りの方向に尾部が90度向くことを確実にした。一般に4個のクーポンを各シールバー設定点温度で試験した。平均ピークシール強度をサンプルフィルムA〜Mについて表14で報告している。
【0121】
【表18】
【0122】
表14で報告した平均ピークシール強度値は、試験した13サンプルのどれもが90℃シールバー設定点温度でシール強度を全くもたなかったことを示している。一部のサンプルは100℃シールバー設定点以上でシール強度を有していた。
【0123】
110℃シールバー設定点と130℃シールバー設定点との間で1,000グラム/2.54cm(グラム/インチ)より大きい強いシールをシールされた一部のフィルムが容易に作った理由を理解するためにプロセスモデルを開発した。表に示したプロセス条件および実施例フィルムA〜Jに関する100℃および120℃シールバーシール設定点温度での平均シール強度値を用いて(表15参照)、プロセスモデルを開発した。
【0124】
三つのプロセスファクターは次の通りであった。
・×3GT−3GT/2GTブレンドまたは3GT/2GT−Iブレンド中の3GT比率・HUT−押出プロセスにおける保圧時間
・MT−押出プロセスにおけるアダプターメルト温度
【0125】
【表19】
【0126】
このモデルは、110℃および120℃での平均シール強度と三つのファクターとの間で強い相関が存在したことを示している。
【0127】
(プロセスモデル)
以下の関係を用いて、上述した三つのファクターをWayne Extrusionプロセスモデルのために正規化した。
NX3GT=(×3GT−0.6)/(.1)
NMT=(MT−275.7)/12
NHUT=(HUT−3)/1.4
このモデルは、相互作用ファクターも含んでいた。
NX3GT*NMT
NX3GT*NHUT
NMT*NHUT
110℃バー温度でシール強度を予測するためのプロセスモデル;
110℃でのシール強度に関して、全パラメータモデルは、
【0128】
【表20】
【0129】
精度の極僅かの損失で、110℃でのシール強度に関するモデルは丁度5つのパラメータに減少させることが可能である。
110℃でのシール強度に関する減少したプロセスモデルにおいて、5つのパラメータモデルは
【0130】
【表21】
【0131】
120℃シールバー設定点でシール強度を予測するためのプロセスモデル;
120℃シールバー設定点でのシール強度に関して、全応答モデルは、
【0132】
【表22】
【0133】
このモデルの有効性を例示するために、表5は、すべての13種の実施例フィルムA〜Mについて110℃および120℃での予測シール強度、測定シール強度および予測シール強度と実シール強度との間の誤差をまとめている。負のシール強度値には意味がなく、恐らく零と解釈されるべきである。
【0134】
【表23】
【0135】
(プロセスの最適化)
プロセスモデルの比較的良好な予測能力を想定して、最良のシール性能をもたらす加工条件を次の通り正確に記述することが可能である。
・溶融温度を上げる。
・保圧時間を長くする。
・3GT比率を50%に下げる。
【0136】
関係を例示すると、270℃のアダプターメルト温度では、強いシールを有するフィルムを製造するために長い保圧時間が必要とされることを考慮すること。このモデルは、50%の3GT比率および270℃のアダプターメルト温度を用いると、1,000g/2.5cmの平均ピークシール強度を達成するために9分の保圧時間が必要とされるであろうと予測する。285℃にアダプターメルト温度を上げることにより、このモデルは、同じ1,000g/2.5cmのシールを1.1分の保圧時間で達成できることを予測する。3GT/2GTブレンドにおける70%の3GT比率および285℃のアダプターメルト温度では、このモデルは、1,000g/2.5cmのシール強度を達成するために4.3分の保圧時間が必要とされると予測する。
【0137】
保圧時間およびアダプターメルト温度には実用的な制約がある。例えば、保圧時間に関しては、10分〜15分を超える長い保圧時間を達成するために必要な長い移送ラインおよび/またはアダプターの使用を妨げうる圧力降下、剪断速度および装置製作コストによって課される限界がある。300℃を超える溶融温度を妨げうるポリエステル樹脂の熱安定性または多層共押出フィルムの場合の熱安定性も同様である。
【0138】
(単層キャストフィルムの熱分析)
ピーク融点(ASTM D3417)および転移(ASTM D3418)を決定するために、13種の単層キャストフィルムのすべてをDSCによって分析した。図7、8および9は、実施例フィルムAの3パスDSC分布を示している。図7は、10℃/分での−40℃から270℃までの実施例フィルムAに関する第一パスを表している。この第一ヒート分布では、興味ある屈曲およびピークは次の通りである。
・Tgはガラス転移温度を表す。非晶質(非結晶質)ポリエステルフィルムまたは物品は、二つのシール形成用表面の温度がガラス転移温度より上に上がるまで単独でヒートシールを形成しない。第一ヒートでは、Tgはフィルムの一定加熱速度を維持するために必要とされる熱において屈曲として見える。屈曲の中点を報告している。
・Tcgは非晶質ポリマーまたはフィルムサンプルがガラスから結晶化するピーク温度を表す。表6でまとめられたTcgは発熱曲線上のピークである。ΔH Tcgは結晶化中にサンプルから放出される熱を表し、結晶化発熱曲線の下の面積を測定することにより計算される。
・Tmは半結晶質サンプルが溶融するピーク温度を表す。これは、第一ヒートにおいて吸熱である。13種の実施例フィルムの10種では、第一ヒートで二つの溶融ピークが観察された。ΔH Tmはサンプルを溶融するために必要とされる余分の熱を表し、ピークの下の面積から計算される。
【0139】
図8は、10℃/分での270℃から−40℃までの実施例フィルムAに関する冷却曲線を表している。この典型的な冷却曲線分布では、興味ある屈曲およびピークは次の通りである。
・Tcは冷え結晶化する時の溶融ポリマーのピーク結晶化温度である。ΔH Tcはピークの下の面積であり、結晶化するにつれてサンプルから出る熱を表す。
【0140】
図9は、10℃/分での−40℃から270℃までの実施例フィルムAに関する第二ヒートを表している。図9で示した第二ヒート曲線には、TgおよびTmがある。13種のフィルムの一種において、第二ヒートで明確に二つの溶融ピークがあった。
【0141】
表17は、すべての13種の実施例フィルムに関する主要熱特性測定をまとめている。図10および11は、主要熱特性と110℃でのシール強度との間の相関を例示している。図10は、第一ヒートで測定されたTg、TcgおよびTm対110℃での平均シール強度をプロットしている。かくして、図10は、実施例フィルムの熱特性対110℃シールバー設定点での平均ピークシール強度をプロットしている。図11は、第二ヒートからのTgおよびTmに加えて冷却曲線からのTcg対110℃シールバー設定点での平均ピークシール強度をプロットしている。平均シール強度への熱データの直線カーブ当てはめも図10および11に記載しており、多少の直線関係が存在しうる一方で、相関係数(R2)は一貫して劣る。要するに、110℃シールバー温度で形成されるシールの強度を予測するために、一種だけの熱特性を用いることができない。
【0142】
【表24】
【0143】
(実施例組N〜ZおよびAAとAB−ヒートシール可能な共押出ポリエステルフィルム)
単層実施例フィルムA〜Mは、コモノマー1,3−プロパンジオールを含むヒートシール可能な単層キャストフィルムを作成するために長い押出機保圧時間または高い溶融温度が必要なことを例示している。
【0144】
単層キャストフィルム加工から修得された保圧時間および/または高い溶融温度の必要性は、コモノマー1,3−プロパンジオールを含むポリマーからヒートシール可能な層を製造するために外側層の一方または両方を用いる共押出フィルムにも適用することが可能である。ブランプトン・エンンジニアリング(Brampton Engineering(Brampton,Ontario Canada))の三層ブローフィルム押出ラインを用いて以下の実施例フィルムを作成した。三種の明確に異なる層を有するフィルムのチューブを上方に押し出した。図7は、三層ブローフィルムラインによって製造されたチューブ内の層配列を例示している。
【0145】
三層ダイは、50mm(2インチ)環状リップセットおよび1650μmダイギャップを備えた直径76mm(3インチ)の環状ダイ本体を有していた。長さ対直径比30/1の同じ直径32mm(1 1/4インチ)の押出機からダイの各層(A層、B層またはC層)をフィードした。スクリュー設計は単層キャストフィルム実施例で前述したのと同じ設計であった。減量フィーダーから樹脂ペレットを各押出機にフィードした。共押出実施例フィルムは、前述したブレンド1またはブレンド2から製造された一層(Aまたはcのいずれか)を有していた。フィルムのコア層をダイおよびB押出機上の「B」層からフィードした。コア層はすべての場合、「バイネル」(Bynel)(商標)2174で、本願特許出願人によって販売されている密度0.931g/cm3、メルトインデックス(MI)2.8の無水変性エチレンアクリレートコポリマーであった。
三層構造中の第3の層は次の通りであった。
・「スクレア」(Sclair)(商標)19Aという商品名で、ノバ・ケミカル(Nova Chemical)によって販売されている密度0.962グラム/cm3、MI0.72のポリエチレン、または
・「スクレア」(Sclair)(商標)19Cという商品名で、ノバ・ケミカル(Nova Chemical)によって販売されている密度0.958グラム/cm3、MI0.95のポリエチレン。
【0146】
一旦ダイから出たフィルムの溶融チューブをブランプトン・エンンジニアリング(Brampton Engineering)供給空気環で冷却した。ダイフェースから一次ニップまでの距離は約4.3メートルであった。共押出実施例フィルムのすべてを公称総フィルム厚さ61μmおよび公称へこみチューブレイフラット210mm(ブローアップ比2.7/1)で製造した。各場合、へこみチューブをインラインで切り開いて、二枚のフィルムシートを作り、内部バブル表面(A層)を紙芯上に巻き込んで、二枚のフィルムシートを直径76mmの紙芯に巻き取った。フィルム巻取機は、マルコ・エンジニアリング(Marco Engineering、(Mississauga,Ontario,Canada))によって製造された。
【0147】
(樹脂の乾燥および取り扱い)
ブレンディングと、窒素パージされた減量フィードホッパーへの移送の前に、ポリエステル樹脂のみを121℃(250°F)で乾燥ホッパードライヤーシステム内で一晩乾燥させた。ポリエチレンおよび無水変性エチレンアクリレートポリマーをバッグまたはボックスから減量フィードホッパーのホッパーに直接装填した。
【0148】
(フィルム構造)
表18は、15種のフィルムの公称構造をまとめている。フィルムN〜Zは、バブルの内側にポリエステルシーラント層を伴って製造された。フィルムAAおよびABは、バブルの外側にポリエステルシーラント層を伴って製造された。すべての場合、無水変性エチレンアクリレートポリマーを中間層中で用いた。
【0149】
【表25】
【0150】
図13は、共押出ブローフィルムラインでのA層およびC層のための配置に基づく推定保圧時間を示している。A押出機供給口に落下した着色ペレットがダイリップに現れるのに要する時間に基づく推定保圧時間は曲線上に記載されている。単層フィルムに関して前節で述べたように、着色ペレットは保圧時間を過大にする偏りを有する。
【0151】
表19は、配置に基づく推定保圧時間、(ポリエステル層に関する)測定されたアダプターメルト温度、および実施例共押出フィルムごとのブレンド組成物中の3GT比率を報告している。押出機とダイとの間でポリマー溶融物を運ぶアダプターパイプの壁を通して挿入された面一取り付けプローブは、各層内のポリマーの溶融温度を推定した。アダプターメルト温度は、プローブがポリマー溶融物に入り込む深さを調節できるJ型熱電対プローブを用いて測定した。アダプターメルトチャンネルの直径は約17mmであった。試験は、プローブが壁からポリマー溶融物ストリームの中心に移動するにつれて多くとも3℃で上昇した溶融温度を決定した。
【0152】
図13−配置に基づき、そしてAおよびC共押出フィルム層のための着色ペレットによる保圧時間推定対スクリュー速度
【0153】
【表26】
【0154】
表19において、
+は、得られたシール強度に良い影響を有するであろう加工ファクターに付した。
−は、得られたシール強度に悪い影響を有するであろう加工ファクターに付した。
0は、高加工条件と低加工条件との間の中間点を示したプロセスファクターに付した。
【0155】
種々の実施例フィルムに付した表19の+、0および−に基き、そして各ファクターの重要性において同じ重み付けを想定して、3個のプラスを有するフィルムは3個のマイナスを有するフィルムより良好に機能するであろう。
【0156】
実施例フィルムN、UおよびAAに関するフィルム加工条件を表20に示している。各場合、チューブを刃先で二枚のシートに切り開き、直径76mmの別個の紙芯上に二枚のシートを巻き取った。
【0157】
(共押出フィルムの分析)
捩り結束または捩りテープでシールされた厚さ80〜100マイクロメートルのポリエチレンバッグ内にロールを貯蔵した。
【0158】
共押出サンプルフィルムを周囲条件で7日までにわたりプラスチックバッグ内に貯蔵し、その後、23±1℃および50%RHで24時間状態調節するためにバッグからサンプルを取り出した。24時間の露出直後に、フィルムを互いにヒートシールして、フィンシールを形成させた。シールバー設定点温度は10℃刻みで90〜130℃であった。Sencorp Systems(Hyannis MA USA02601)Model12ASL/1ヒートシーラーを用いてヒートシールを調製した。90℃、100℃および110℃のシールバー設定点では、スリップシートは不要であった。120℃および130℃では、本願特許出願人の12.5μm(0.5ミル)Mylar(登録商標)フィルムスリップシートを用いて、共押出フィルム上の外側ポリエチレン層のホットシールバーへの粘着を妨げた。276kPa(40psi)シールバー圧力、幅2.5cm(1インチ)×長さ30.5cm(12 1/2インチ)のシールバー、および0.5秒の保圧時間でSencorpシーラーを組み立てた。熱を上方バーのみに加えた。下方の加熱されなかったバーは、スチールホールダー内の幅2.5cm×長さ30.5cmの赤ゴム片を含んでいた。ASTM手順F488に準拠して、幅25.4mm×長さ70〜100mmのクーポンをシールされたフィルムから打ち抜いて、シールの強度を試験した。すべての場合、フィンシールの配向は横方向であった。23±1℃および50%RHの周囲条件を用い初期顎分離を50.8mm(2インチ)とし、顎分離速度を25.4cm/分(10インチ/分)としてInstronモデル4469を用いて幅25.4cmのシールをMD方向で引っ張った。尾部を手で持って、引っ張りの方向に尾部が90度向くことを確実にした。一般に4個のクーポンを各シールバー設定点温度で試験した。標準偏差に加えて平均ピークシール強度を実施例フィルムN〜ABについて表10で報告している。さらに、試験帯の破壊様式も報告している。
【0159】
【表27】
【0160】
【表28】
【0161】
図14〜28において、平均シール強度(誤差バーを含む)をシールバー設定点温度の関数としてグラフにしている。誤差バーは、平均を計算するために用いられた4サンプルで測定されたシール強度の最大値および最小値を表している。
【0162】
これらの図は、プラス側への加工パラメータ(3GT比率、HUTおよび溶融温度)を用いて製造されたフィルム、または少なくとも最少負加工パラメータを用いて製造されたフィルムが最も一定して強いシール(1000グラム/2.5cmのシールより大きい)を有する傾向があったことを例示している。
【0163】
15種の共押出実施例フィルムの内、フィルムS(+0−)、T(+−)、V(−+)およびAA(+00)はすべて、110℃、120℃および130℃で好ましくない剥離シール破壊様式を実証した。主たる破壊様式であるシール層から繋ぎ層の離層を有することが好ましいであろう。剥離破壊様式を有していたフィルムサンプルは、一般に、1000g/2.5cmのシール強度の基準に対して劣ったシール強度を有していた。実施例フィルムU(−−−)は、好ましくない一定でないシール強度を有していたけれども、破壊様式は離層であり、平均は1000g/2.5cmより高いシール強度であった。
【0164】
(実施例29および30)
実施例29および30は、低温ヒートシール層としての3GTコポリマーの有効性を実証している。ジメチルテレフタレート、シクロヘキサンジメタノールおよび1,3−プロパンジオールから調製されたコポリマーから実施例フィルム29を製造し、3GT/CHDMと呼ぶ。ジメチルテレフタレート、エチレングリコールおよび1,3−プロパンジオールから調製されたコポリマーから実施例フィルム30を製造した。3G対2Gの比は本質的に70/30の比であり、3GT/2GTと呼ぶ。
【0165】
1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、ジメチルテレフタレートおよび1,3−プロパンジオールからの3GT/CHDM(約10モル%)コポリマーの調製は次の通りである。
【0166】
120lbのジメチルテレフタレート、12.3lbのCHDM、60lbの1,3−プロパンジオールおよび6.6グラムのチタネート触媒を25ガロンの反応器に投入した。(1,3−プロパンジオール+CHMD)対DMTのモル比は1.4:1であった。温度を200℃に上げ、2時間にわたり保持した。発生したメタノールを蒸留によって凝縮液として除去した。
【0167】
メタノールの発生が止まった後、得られたプレポリマーを異なるオートクレーブに移送し、250℃の温度および0.4mmHgの圧力で4時間にわたり重合させた。得られたランダムコポリマー樹脂をペレット化した。ポリマーの固有粘度は0.77dl/gであった。加工条件に関連したデータおよび実施例29の非晶質フィルムに関する結果を表22、23および24で以下に示している。
【0168】
ジメチルテレフタレート、1,3−プロパンジオールおよびエチレングリコールからの3GT/2GT(約30モル%)コポリマーの調製は次の通りである。
120lbのジメチルテレフタレート、47.5lbの3G、16lbの2Gおよび触媒としての18gのTyzor(R)TPTを25ガロンの反応器に投入した。(3G+2G)対DMTのモル比は1.4:1であった。温度を210℃に上げ、2時間にわたり保持した。発生したメタノールを蒸留によって凝縮液として除去した。
【0169】
メタノールの発生が止まった後、得られたプレポリマーをオートクレーブに移送し、250℃の温度および0.4mmHgの圧力で3時間にわたり重合させた。得られたコポリマー3GT/2GT樹脂をペレット化した。ランダムコポリマーの固有粘度は0.782dl/gであった。フィルムをキャスティングする前に、ポリマーを窒素パージオーブン内で130℃において3時間にわたり結晶化させた。その後、高温窒素の連続流れを用いて、結晶化されたポリマーを充填床ソリッドステーター内で182℃において8時間にわたりソリッドステート化した。
【0170】
(フィルムのキャスティング)
実施例フィルム1〜6および11を作成するために用いられたのと同じキャストフィルム装置単位で実施例フィルム29および30を作成した。加工条件を表22で示している。実施例フィルム1〜6に関する熱特性を測定するために用いられたのと同じDSC技術を用いて、フィルムサンプル29および30を作成するために用いられた非晶質樹脂の熱特性を測定した。実施例フィルム1〜6のために用いられたのと同じシール条件および装置を用いて、実施例フィルム29をヒートシールした。同様に、シール強度を測定するために、同じ滑り/剥離試験機を用いた。実施例フィルム29および30を製造するために用いられた非晶質樹脂の第一ヒート熱特性を表23にまとめている。実施例フィルム39および30に関するシール強度対シールバー設定点温度を表24に示している。
【0171】
【表29】
【0172】
【表30】
【0173】
【表31】
【0174】
(実施例31および32)
(40℃および80%RHでの4日にわたる状態調節後の伸びの残率)
前に引用した(特許文献5)では、40℃で5日にわたり貯蔵後に100%伸長(伸び)を有するコポリエステルフィルムが開示された。アニーリング条件および後続のフィルム伸張試験を次の通り記載する。
【0175】
(伸張)
40℃の温度および80%の相対湿度で5日にわたりフィルムを放置した後、本発明者らは、ASTM D−882−81(A)法に準拠して張力試験器(伸張試験機)を用いて300mm/分の伸張速度の速度で幅10mm×長さ50mmのフィルムサンプルの縦方向および横方向で破断伸張(%)を決定した。試験の回数(n)は方向ごとに5回であり、平均値を得た。
【0176】
本発明において特許請求された典型的なフィルムが所望の100%伸びを保持しないことを示すために、本発明者らは、状態調節装置が80±10%RHで40℃の試験期間7日にわたって維持された(特許文献5)において本質的に記載されたような条件で4日および7日にわたって状態調節する前後に実施例フィルム31および32に関する伸びを測定した。
【0177】
(フィルムの作成)
実施例9および10のソリッドステート化実施例樹脂から実施例フィルム31および32をキャスティングした。フィルムのキャスティング条件を表25に示している。
【0178】
(ASTM D882に準拠した引張試験)
幅12.7mm(0.5インチ)×長さ101.6mm(4インチ)のサンプルを実施例フィルム31および32から打ち抜いた。1サンプル組を機械方向(MD)に長軸として取り、1サンプル組を横方向(TD)に長軸として取った。6個のMD配向サンプルおよび6個のTD配向サンプルを各フィルムから取り、その後、50%RHおよび23℃(72°F)で2日にわたり状態調節した。状態調節後、(日本特許に従って)2インチのゲージ長さおよび300mm/分のXHSを備えたInstron Model4469設備を用いて、破断伸びをASTM D882方法Aに準拠して測定した。フィルムごとの別のMDサンプルおよびTDサンプルを40±0.5℃および80±10%RHで3.8日および7日にわたり状態調節した。高い状態調節後に、サンプルを放置して23℃および50%RHで再び平衡に保ち、その後、破断伸びを再び測定した。図29は、40℃での状態調節前後の実施例フィルム31および32に関する平均機械方向破断伸びをプロットしている。図30は、同じ状態調節期間後のTD破断伸びの変化をプロットしている。
【0179】
【表32】
本出願は、特許請求の範囲に記載の発明を含め、以下の発明を包含する。
(1) 約40℃〜約70℃の範囲内のガラス転移温度Tgから約70℃〜約150℃の範囲内の非晶質状態からのピーク結晶化温度Tcgに至る非晶質加工ウインドウを有する
二種の明確に異なるポリエステルのブレンドを含むことを特徴とする組成物。
(2) 前記非晶質加工ウインドウは、約48℃〜約70℃の範囲内のTgから約80℃〜約135℃の範囲内のTcgに至ることを特徴とする(1)に記載の組成物。
(3) 前記二種の明確に異なるポリエステルの少なくとも一方はポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーを含むことを特徴とする(1)に記載の組
成物。
(4) 融点Tmは約180℃〜約240℃の範囲内であることを特徴とする(1)に記載の組成物。
(5) IVは約0.4〜約2.0dl/gの範囲内であることを特徴とする(3)に記載の組成物。
(6) ポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーと、約5重量%〜約95重量%のポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーと
を含み、前記重量%がポリ(エチレンテレフタレート)およびポリ(トリメチレンテレフタレート)の全重量を基準にすることを特徴とするポリエステル組成物。
(7) 約30重量%〜約70重量%の前記ポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーを含むことを特徴とする(6)に記載の組成物。
(8) (6)に記載の組成物であって、そのような組成物が前記ホモポリマーの物理的ブレンドまたは各成分のコポリマーであることを特徴とする組成物。
(9) 物理的ブレンディング後の最終IVは少なくとも約0.80dl/gであることを特徴とする(6)に記載の組成物。
(10) (6)に記載の組成物であって、そのような組成物が、テレフタル酸、エチレングリコール、1,3−プロパンジオールおよび任意に他のエステル形成性モノマーの縮
重合によって形成されたコポリマーであることを特徴とする組成物。
(11) 前記非晶質加工ウインドウは、約40℃〜約70℃の範囲内のガラス転移温度Tgから約70℃〜約150℃の範囲内の非晶質状態からのピーク結晶化温度Tcgに至
ることを特徴とする(6)〜(10)のいずれかに記載の組成物。
(12) 前記組成物は、少なくとも50℃のTg、23℃で約5〜約12cc−mil/day−645cm2(100平方インチ)−atmの範囲の酸素透過率を示し、良好
な香味/臭気バリアを示すことを特徴とする(10)に記載の組成物。
(13) (1)〜(10)のいずれかに記載の組成物から製造されることを特徴とする物品。
(14) (1)〜(10)のいずれかに記載の組成物から製造されることを特徴とするフィルム。
(15) (11)に記載の組成物から製造されることを特徴とするフィルム。
(16) (14)に記載のフィルムを含むことを特徴とする多層フィルム。
(17) (15)に記載のフィルムを含むことを特徴とする多層フィルム。
(18) (16)に記載のフィルムから製造されることを特徴とする包装。
(19) (17)に記載のフィルムから製造されることを特徴とする包装。
(20) ポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーのTgを下げる方法であって、
(a)ポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーを、結晶化されたポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーに添加し、ブレン
ドを形成する工程と、
(b)少なくとも約6時間または十分な乾燥が行われるまで約120℃〜約130℃の範囲の温度で露点−20.5℃(−5°F)未満の乾燥空気の少なくとも0.028m3
/分(1ft3/分)の流れに前記ブレンドを曝すことにより前記ブレンドを乾燥させる工程と、
(c)前記ブレンドを溶融ブレンディングし、前記工程(a)のポリ(エチレンテレフタレート)より低いTgを有するポリマーを形成する工程とを含むことを特徴とする方法
。
(21) 低温ヒートシール可能なポリエステルフィルムを製造する方法であって、
(a)ポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーを、結晶化されたポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーに添加し、ブレン
ドを形成する工程と、
(b)少なくとも約6時間または十分な乾燥が行われるまで約120℃〜約130℃の範囲の温度で露点−20.5℃(−5°F)未満の乾燥空気の少なくとも0.028m3
/分(1ft3/分)の流れに前記ブレンドを曝すことにより前記ブレンドを乾燥させる工程と、
(c)前記ブレンドを溶融ブレンディングし、前記工程(a)のポリ(エチレンテレフタレート)より低いTgを有するポリマーを形成する工程とを含むことを特徴とする方法
。
(22) 熱および圧力を加えることにより二種の熱可塑性表面を互いにシールする二種の熱可塑性プラスチックをヒートシールする方法であって、前記熱可塑性プラスチックの
少なくとも一方が、ポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーとポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーとのブレンド、または
、それぞれのモノマーから形成されたコポリマーを含むポリエステル組成物を含むことを特徴とする方法。
(23) 前記ポリエステル組成物はポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーと、約20重量%〜約80重量%のポリ(トリメチレンテレフタレート)ホ
モポリマーまたはコポリマーとを含み、前記重量%はポリ(エチレンテレフタレート)およびポリ(トリメチレンテレフタレート)の全重量を基準にすることを特徴とする(21
)に記載の方法。
(24) 前記ポリエステル組成物は、約40℃〜約70℃の範囲内のガラス転移温度Tgから約70℃〜約150℃の範囲内の非晶質状態からのピーク結晶化温度Tcgに至る
非晶質加工ウインドウを示すことを特徴とする(22)に記載の方法。
(25) 二種の熱可塑性表面がヒートシールされた物品であって、前記熱可塑性表面の少なくとも一方が、ポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーとポ
リ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーとのブレンド、または、それぞれのモノマーから形成されたコポリマーを含むポリエステル組成物を含むことを
特徴とする物品。
(26) 前記ポリエステル組成物はポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーと、約5重量%〜約95重量%のポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモ
ポリマーまたはコポリマーとを含むことを特徴とする(24)に記載の物品。
(27) 前記ポリエステル組成物は、約40℃〜約70℃の範囲内のガラス転移温度Tgから約70℃〜約150℃の範囲内の非晶質状態からのピーク結晶化温度Tcgに至る
非晶質加工ウインドウを示すことを特徴とする(25)に記載の物品。
(28) ヒートシール可能なフィルムまたはシートを製造する方法であって、
(d)95〜5重量部のポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマー部分と、5〜95重量部のポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコ
ポリマー部分とを含む二種の明確に異なるポリエステル部分の混合物を押し出す工程であって、前記押し出し工程が235〜290℃の温度で1〜15分の押出機およびダイ内の
ポリマー滞留時間で行われる工程と、
(e)工程(a)で製造された押出ポリエステル溶融物を冷却する工程と、
(f)約40℃〜約70℃の範囲内のガラス転移温度Tgから約70℃〜約150℃の範囲内の非晶質状態からのピーク結晶化温度Tcgに至る非晶質加工ウインドウを有する
ポリエステルフィルムまたはシートを回収する工程とを含むことを特徴とする方法。
(29) 二種の明確に異なるポリエステル部分の前記混合物は、一方の明確に異なるポリエステル部分としてのポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーのペレット、ポリ
(エチレンテレフタレート)コポリマーのペレットまたはそれらの混合物と、もう一方の明確に異なるポリエステル部分としてのポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマ
ーのペレット、ポリ(トリメチレンテレフタレート)コポリマーのペレットまたはそれらの混合物とを含むことを特徴とする(28)に記載の方法。
(30) 少なくとも約6時間にわたり約120℃〜約130℃の範囲の温度で露点−20.5℃(−5°F)未満の乾燥空気の少なくとも0.028m3/分(1ft3/分)の
流れに前記部分または混合物を曝すことにより押出前に前記二種の明確に異なるポリエステル部分の一種以上を乾燥させる工程をさらに含むことを特徴とする(28)に記載の方
法。
(31) 二種の明確に異なるポリエステル部分の混合物の前記押出工程は、多層フィルムまたはシートの共押出に際して少なくとも一種の他のポリマーの押出工程と同時に行わ
れることを特徴とする(28)に記載の方法。
【技術分野】
【0001】
本発明はヒートシール可能なポリエステル組成物および約40℃〜約70℃の範囲内のTgから約70℃〜約150℃の範囲内のTcgに至る非晶質加工領域を有するヒートシール可能なポリエステルフィルムの製造に関する。本発明は、詳しくは、ポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーの添加によるポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーの改質に関し、その添加は低Tgおよび高Tcgを有するポリマーブレンドまたはコポリエステルを生じさせ、より低い温度でポリマーブレンドまたはコポリエステルをヒートシール可能にしながらも適度なバリア特性を保持させる。
【背景技術】
【0002】
本明細書で2GTまたはPETと呼ぶポリ(エチレンテレフタレート)、およびポリ(エチレンテレフタレート)のコポリエステル(例えば、2GT−I、2G−CHDM/Tまたは2G−CHDM/T−Iを製造するためのイソフタレート(I)またはシクロヘキサンジメタノール(CHDM)とのコポリエステル)は、香味損失を受けやすい製品または食品または周囲の香味および臭気を吸収する、すなわち、香味を奪い取る製品または食品の包装のために有用であることが知られている。例えば、米国特許公報(特許文献1)を参照すること。これらの樹脂は耐脂性を提供するためにも有用である。さらに、これらのポリエステルは、酸素、二酸化炭素および/または水蒸気の透過に対する適度なバリアを提供する。
【0003】
包装および他の用途において、ヒートシールは、熱可塑性プラスチック部品を接合するために用いられる。これは、表面を接合する必要がある場所に多少の圧力を加えつつ、接合するべき表面を軟化または溶融させるためにこうした表面に熱を加えることにより行われる。最も一般的には、加熱は、接合するべき表面とは反対側の表面をホットバーなどの高温物体に接触させるか、または高温空気加熱、赤外線加熱、超音波加熱または誘導加熱により表面を加熱することにより行われる。接合するべき表面を接合するのに適切な温度に加熱できる速度は、多くの場合、表面をヒートシールできる速度を決定する。高速ヒートシールは重要である。こうした多くの運転が大量連続運転であるのに対して、遅いヒートシール速度はコストを大幅に高めるからである。
【0004】
速いシール速度で熱シール装置を用いて上述したポリエステルをシールし、それでもなお強いシールを達成することは望ましいであろう。これは、2GTホモポリマーまたはコポリマーによって達成するのは伝統的に困難であった。これらの組成物のガラス転移温度(Tg)が典型的には約70℃より高かったからである。非晶質(非結晶質)ポリエステルフィルムまたは物品は、二つのシール形成用表面の温度をガラス転移より上の範囲に上昇させるまで単独でヒートシールを形成しない。
【0005】
本明細書で3GTと呼び、ポリ(プロピレンテレフタレート)またはPPTとも呼ぶポリ(トリメチレンテレフタレート)は、1,3−プロパンジオールとテレフタル酸の縮重合によって調製されるポリエステルである。ポリ(トリメチレンテレフタレート)は、テトライソプロピルチタネート触媒であるTyzor(登録商標)TPT(本願特許出願人の登録商標)を用いて二容器プロセスで1,3−プロパンジオールとジメチルテレフタレート(DMT)からも調製することが可能である。溶融したDMTは、エステル交換容器内で約185℃において1,3−プロパンジオールおよび触媒に添加され、メタノールを除去しつつ温度は210℃に上げられる。得られた中間体は重縮合容器に移送され、そこで圧力は1ミリバール(10.2kg/cm2)に下げ、温度は255℃に上昇させる。
所望の溶融粘度を達成した時に、圧力は上げ、ポリマーを押し出し、冷却し、ペレットに切断することが可能である、
【0006】
3GTは、2GTと比べてより良好な酸素バリア特性および香味バリア特性を有するが、典型的には約50℃の遙かにより低いガラス転移温度を有する。残念なことには、3GTは、低Tgおよび小さい非晶質加工ウインドウのために安定なヒートシール性能を有していない。すなわち、TgとTcgとの間の温度範囲(すなわち、ガラス転移温度と非晶質状態からの結晶化のピーク温度との間のΔT)は非常に小さいので、非晶質フィルムまたは部品はシールする前に老化または結晶化する傾向がある。一旦3GT含有フィルムまたは部品が結晶化すると、溶融温度より低い温度で強いシールを達成するのは非常に困難である。
【0007】
米国特許公報(特許文献2)には、熱成形技術によって容器向けの透明耐熱性ポリエステルフィルムを製造する方法が記載されている。シートは、1,3−プロパンジオールおよびテレフタル酸またはそれらのエステル形成性誘導体から誘導された少なくとも80モル%のエステル単位を有する溶融ポリエステル樹脂から製造される。ポリエステル樹脂は、ポリマー鎖中の反復単位の全体を基準にして少なくとも80モル%の3GTを有する。これは、約80重量%の3GTに等しい。固体樹脂シートは低い結晶度を有し、熟成後に、シートは、高結晶の容器をもたらすために特定の条件下で熱成形することにより成形される。
【0008】
米国特許公報(特許文献3)には、約85〜100モル%の1,3−プロパンジオールまたは約85.8〜100重量%の1,3−プロパンジオールを含むグリコール成分の反応生成物を含むコポリエステルが開示されている。コポリエステルは、包装用途において有用であることが開示されている。
【0009】
米国特許公報(特許文献4)には、コポリエステル連続相と低弾性率不連続相の多相組成物が開示されている。不連続相は、ゴム弾性であるか、非ゴム弾性であるか、架橋されているか、分岐鎖であるか、または直鎖であることが可能である。エチレンコポリマーまたはターポリマーは不連続相として特に有用である。組成物は、高温粘度安定性および優れた長期のヒートシール特性およびバリア特性を提供する。
【0010】
米国特許公報(特許文献5)には、グリコール成分として3〜35重量%の1,3−プロパンジオールを好ましくは含むコポリエステルが開示されている。フィルムは、フィルム破壊の発生率が大幅に減少するように経時的なフィルムの耐劣化性を高めるために100〜180℃の範囲内の温度で熱処理される。得られたフィルムは、他の特性の中でも特に、40℃で5日間貯蔵後に100%より高い伸張率を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4,578,437号明細書
【特許文献2】米国特許第5,183,623号明細書
【特許文献3】米国特許第5,989,665号明細書
【特許文献4】米国特許第5,627,236号明細書
【特許文献5】特開平第10[1998]−279707号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Struik,L.C.E著、非晶質ポリマーおよび他の材料における物理的老化(Physical aging in amorphous polymers and other materials)、Elsevier Scientific Pub.Co.出版、Amsterdam;New York、distributors for the U.S.and Canada,Elsevier North−Holland,1978
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
2GTおよび3GTの最良バリア特性を有するポリマーであって、低いシールバー温度および速いシール速度で容易にヒートシールでき、それでもなお高強度のシールをもたらすポリマーが必要とされている。特に包装用途のために、こうしたポリマーが透明な部品およびフィルムをもたらすことが好ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、約40℃〜約70℃の範囲内のガラス転移温度Tgから約70℃〜約150℃の範囲内の非晶質状態からのピーク結晶化温度Tcgに至る非晶質加工ウインドウを有するヒートシール可能なポリエステル組成物を提供する。
【0015】
本発明は、ポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーと、約5重量%〜約95重量%、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%のポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーとを含み前記重量%が、ポリ(エチレンテレフタレート)およびポリ(トリメチレンテレフタレート)の全重量を基準にすることを特徴とするポリエステル組成物をさらに提供する。
【0016】
ポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーのTgを下げる方法であって、
(a)ポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーを、結晶化されたポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーに添加するし、ブレンドを形成する工程と、
(b)少なくとも約6時間または十分な乾燥が行われるまで約120℃〜約130℃の範囲の温度で露点−20.5℃(−5°F)未満の乾燥空気の少なくとも0.028m3/分(1ft3/分)の流れに前記ブレンドを曝すことにより前記ブレンドを乾燥させる工程と、
(c)前記ブレンドを溶融ブレンディングし、前記工程(a)のポリ(エチレンテレフタレート)より低いTgを有するポリマーを形成する工程とを含む方法も提供される。
【0017】
本発明は、低温ヒートシール可能なポリエステルフィルムを製造する方法であって、
(a)ポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーを、結晶化されたポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーに添加し、ブレンドを形成する工程と、
(b)少なくとも約6時間または十分な乾燥が行われるまで約120℃〜約130℃の範囲の温度で露点−20.5℃(−5°F)未満の乾燥空気の少なくとも0.028m3/分(1ft3/分)の流れに前記ブレンドを曝すことにより前記ブレンドを乾燥させる工程と、
(c)前記ブレンドを溶融ブレンディングし、前記工程(a)のポリ(エチレンテレフタレート)より低いTgを有するポリマーを形成する工程とを含む方法をさらに提供する。
【0018】
本発明は、熱および圧力を加えることにより二種の熱可塑性表面を互いにシールする二種の熱可塑性プラスチックをヒートシールする方法であって、前記熱可塑性プラスチックの少なくとも一方が、ポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーとポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーとのブレンド、または、それぞれのモノマーから形成されたコポリマーを含むポリエステル組成物を含むという改善がなされることを特徴とする方法も提供する。
【0019】
本発明は、二種の熱可塑性表面がヒートシールされた物品であって、前記熱可塑性表面の少なくとも一方が、ポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーとポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーとのブレンド、または、それぞれのモノマーから形成されたコポリマーを含むポリエステル組成物を含むことを特徴とする物品も提供する。
【0020】
本発明は、ヒートシール可能なフィルムまたはシートを製造する方法であって、
(a)95〜5重量部のポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマー部分と5〜95重量部のポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマー部分とを含む二種の明確に異なるポリエステル部分の混合物を押し出す工程であって、前記押出工程が235〜290℃の温度で1〜15分の押出機およびダイ内のポリマー滞留時間で行われることを特徴とする工程と、
(b)前記工程(a)で製造された押出ポリエステル溶融物を冷却する工程と、
(c)約40℃〜約70℃の範囲内のガラス転移温度Tgから約70℃〜約150℃の範囲内の非晶質状態からのピーク結晶化温度Tcgに至る非晶質加工ウインドウを有する前記ポリエステルフィルムまたはシートを回収する工程とを含む方法も提供する。
【0021】
この後者の方法において、二種の明確に異なるポリエステル部分は、好ましくは、一方の明確に異なるポリエステル部分としてのポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーのペレット、ポリ(エチレンテレフタレート)コポリマーのペレットまたはそれらの混合物と、もう一方の明確に異なるポリエステル部分としてのポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーのペレット、ポリ(トリメチレンテレフタレート)コポリマーのペレットまたはそれらの混合物とを含む。好ましくは、少なくとも約6時間にわたり約120℃〜約130℃の範囲の温度で露点−20.5℃(−5°F)未満の乾燥空気の少なくとも0.028m3/分(1ft3/分)の流れに前記部分を曝すことにより押出前に前記二種の明確に異なるポリエステル部分の一種以上は乾燥される。
【0022】
本発明のこの後者の方法によると、押出温度での押出滞留時間中の2GT/3GTホモポリマー/コポリマー混合物のエステル交換がNMRによって確認でき、得られたポリエステルフィルムの所望の低温ヒートシール性と有利に相関することが発見された。より詳しくは、120℃における重水素化テトラクロロエチレンtce−d2中の1H NMRスペクトル、500MHz以上の約8.038ppmのピーク(2GTおよび3GTと関連付けられる主ホモポリマーNMRピークの間に位置する)は、非晶質ポリマーフィルムの改善されたヒートシール性と相関することが観察された。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】表6のデータを用いる非晶質フィルムサンプルの第一ヒート熱特性を示すグラフである。
【図2】一週間にわたり周囲条件に非晶質サンプルを供した後のヒートシール開始およびヒートシール強度の変化を示すグラフである。
【図3】単層キャストフィルムを通した酸素透過率および水蒸気透過率を示すグラフである。
【図4】「製造されたままの」三層ブローフィルム、すなわち、耐湿性バッグ内で貯蔵され、フィルムの作成から1日以内にヒートシールされたフィルムに関するヒートシール強度対シールバー温度を示すグラフである。
【図5】周囲条件で24時間にわたり最初に熟成されたフィルムに関するヒートシール強度対シールバー設定点温度を示すグラフである。
【図6】直径32mm(1 1/4インチ)のキャストフィルム押出機およびダイに関するスクリューrpmの関数としての推定保圧時間と測定保圧時間を比較するグラフである。
【図7】10℃/分の走査速度での−40〜270℃の実施例Aのキャストフィルムに関する第一パス示差走査熱分析DSCプロットである。
【図8】10℃/分の走査速度での270℃〜−40℃の実施例Aのキャストフィルムに関するDSC冷却曲線である。
【図9】10℃/分の走査速度での−40℃〜270℃の実施例Aのキャストフィルムに関する第二ヒートDSCである。
【図10】110℃バー設定点温度での平均シール強度(g/2.54cm)の関数としての表17のデータを用いる単層キャストフィルムサンプルの第一ヒート熱特性を示すグラフである。
【図11】110℃バー設定点温度での平均シール強度(g/2.54cm)の関数としての表17のデータを用いる単層キャストフィルムサンプルの冷却曲線Tgおよび第二ヒート熱特性を示すグラフである。
【図12】本発明の方法により製造された三層共押出ブローフィルムチューブを例示する斜視側面図である。
【図13】図12で例示され、A押出機供給口に着色ペレットを落下させることにより層Aに関して測定された共押出ブローフィルムに関するA層およびC層の配置に基づいて計算されたスクリューrpmの関数としての推定保圧時間(分)を示すグラフである。
【図14】表21の実施例N〜Z、AAおよびABの共押出フィルム上で製造されたフィンシールに関するシールバー設定点温度の関数としての平均ヒートシール強度(最大値および最小値を示す)を示すグラフである。
【図15】表21の実施例N〜Z、AAおよびABの共押出フィルム上で製造されたフィンシールに関するシールバー設定点温度の関数としての平均ヒートシール強度(最大値および最小値を示す)を示すグラフである。
【図16】表21の実施例N〜Z、AAおよびABの共押出フィルム上で製造されたフィンシールに関するシールバー設定点温度の関数としての平均ヒートシール強度(最大値および最小値を示す)を示すグラフである。
【図17】表21の実施例N〜Z、AAおよびABの共押出フィルム上で製造されたフィンシールに関するシールバー設定点温度の関数としての平均ヒートシール強度(最大値および最小値を示す)を示すグラフである。
【図18】表21の実施例N〜Z、AAおよびABの共押出フィルム上で製造されたフィンシールに関するシールバー設定点温度の関数としての平均ヒートシール強度(最大値および最小値を示す)を示すグラフである。
【図19】表21の実施例N〜Z、AAおよびABの共押出フィルム上で製造されたフィンシールに関するシールバー設定点温度の関数としての平均ヒートシール強度(最大値および最小値を示す)を示すグラフである。
【図20】表21の実施例N〜Z、AAおよびABの共押出フィルム上で製造されたフィンシールに関するシールバー設定点温度の関数としての平均ヒートシール強度(最大値および最小値を示す)を示すグラフである。
【図21】表21の実施例N〜Z、AAおよびABの共押出フィルム上で製造されたフィンシールに関するシールバー設定点温度の関数としての平均ヒートシール強度(最大値および最小値を示す)を示すグラフである。
【図22】表21の実施例N〜Z、AAおよびABの共押出フィルム上で製造されたフィンシールに関するシールバー設定点温度の関数としての平均ヒートシール強度(最大値および最小値を示す)を示すグラフである。
【図23】表21の実施例N〜Z、AAおよびABの共押出フィルム上で製造されたフィンシールに関するシールバー設定点温度の関数としての平均ヒートシール強度(最大値および最小値を示す)を示すグラフである。
【図24】表21の実施例N〜Z、AAおよびABの共押出フィルム上で製造されたフィンシールに関するシールバー設定点温度の関数としての平均ヒートシール強度(最大値および最小値を示す)を示すグラフである。
【図25】表21の実施例N〜Z、AAおよびABの共押出フィルム上で製造されたフィンシールに関するシールバー設定点温度の関数としての平均ヒートシール強度(最大値および最小値を示す)を示すグラフである。
【図26】表21の実施例N〜Z、AAおよびABの共押出フィルム上で製造されたフィンシールに関するシールバー設定点温度の関数としての平均ヒートシール強度(最大値および最小値を示す)を示すグラフである。
【図27】表21の実施例N〜Z、AAおよびABの共押出フィルム上で製造されたフィンシールに関するシールバー設定点温度の関数としての平均ヒートシール強度(最大値および最小値を示す)を示すグラフである。
【図28】表21の実施例N〜Z、AAおよびABの共押出フィルム上で製造されたフィンシールに関するシールバー設定点温度の関数としての平均ヒートシール強度(最大値および最小値を示す)を示すグラフである。
【図29】40℃での状態調節前後の実施例キャストフィルム14および15に関する平均MD破断伸びを示すグラフである。
【図30】40℃での状態調節前後の実施例キャストフィルム14および15に関する平均TD破断伸びを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の開示の目的のために、以下の定義を適用する。
この開示における「非晶質加工ウインドウ」とは、ポリマーのガラス転移温度Tgと非晶質状態からの結晶化のピーク温度、すなわち、冷結晶化温度Tcgとの間の温度範囲を意味する。
【0025】
「コポリマー」という用語は、三種以上のモノマーから重合されたポリマーを意味し、よってターポリマーを含むか、または、より厳密には2種以上の反復単位を含むポリマーを含む。
【0026】
「明確に異なるポリエステル」という用語は、少なくとも一種のモノマーがポリエステルの間で異なるモノマーから調製されたポリエステルを意味する。
【0027】
「ホモポリマー」という用語は、二種のモノマー(例えば、一種のグリコールと一種の二酸(または二酸のメチルエステル))から重合されたポリマー、または、より厳密には一種の反復単位を含むポリマーを意味する。
【0028】
「物理的ブレンド」という用語は、溶融ブレンディングおよび任意にコンパウンディングによって作られた二種以上のポリマーの均一混和物を意味する。Tgはポリマーのガラス転移温度を意味する。典型的には、これは、加熱および冷却について10℃/分の加熱速度でASTMD3417に準拠して示差走査熱分析計(DSC)を用いることにより測定され、屈曲の中点が報告される。
【0029】
そして、Tcgとは、加熱および冷却について10℃/分の加熱速度でASTMD3417に準拠して(DSC)を用いることにより測定される非晶質状態からの結晶化のピーク温度を意味する。
【0030】
出願人は、特にポリマーのTgが比較的低いので広い非晶質加工ウインドウを示すヒートシール可能なポリエステル組成物を見出した。ヒートシールを形成できる温度を下げるので、こうしたポリマーのフィルムは高ヒートシール速度で加工でき、よって製造コストを引き下げ、効率を高める。さらに、ポリエステルフィルムは、改善された香味バリア特性、良好な酸素および/または二酸化炭素バリア特性を示し、光学的に透明である。
【0031】
詳しくは、こうした組成物の非晶質加工ウインドウは、約40℃〜約70℃、好ましくは約48℃〜約70℃の範囲内のガラス転移温度Tgから約70℃〜約150℃、好ましくは約84℃〜約135℃の範囲内の非晶質状態からの結晶化のピーク温度Tcgに至る。
【0032】
ポリエステル組成物の融点は、約180〜約240の範囲内、好ましくは約240℃未満である。本発明のポリエステル組成物は、ASTM D3417に準拠してDSCを用いて測定する時に、組成物が少なくとも二つの明確に異なる融点を大抵の場合に示す物理的ブレンドである。以下の実施例に記載されたように19℃の温度でジクロロメタンとトリフルオロ酢酸の1:1重量%溶液を用いて測定されるような固有粘度(IV)は、一般には約0.4dl/g〜約2.0dl/g、好ましくは約0.80dl/g〜約1.5dl/gの範囲である。
【0033】
ポリエステル組成物は、2GTおよび3GTの全重量を基準にして約5〜約95重量%、好ましくは約20〜約80重量%、最も好ましくは約30〜約70重量%の3GTホモポリマーまたはコポリマーの添加によって変性された2GTホモポリマーまたはコポリマーである。ポリエステルがコポリエステルである時、3GTの量は、2GTおよび3GTの全重量を基準にして好ましくは約40〜約75重量%である。特定の理論にも解釈によっても縛られない一方で、出願人は、2GTポリマーへの3GTポリマーの添加が、添加前の2GTと比べてTgを本質的に下げたり、および/または結晶化を遅らせたりすることにより非晶質加工ウインドウを広げると考えている。
【0034】
組成物は、二種の明確に異なるポリエステル、例えば、2GTポリマーと3GTポリマーの物理的ブレンドまたはそれぞれのモノマー、例えば、テレフタル酸、エチレングリコール、1,3−プロパンジオールおよび任意に他のエステル形成性モノマーから調製されたコポリエステルオリゴマーまたはポリマーのいずれかである。組成物が物理的ブレンドを含む時、物理的ブレンディング後のIVは少なくとも約0.4dg/gである。
【0035】
2GTホモポリマーは、エチレングリコールとテレフタル酸の重合から実質的に誘導されたポリマー、または別案としてそれらのエステル形成性同等物(例えば、ポリエチレンテレフタレートのポリマーを最終的に提供するために重合されうるあらゆる反応物)から誘導されたポリマーを意味することが意図されている。2GTのコポリマーは、少なくとも約70モル%のエチレンテレフタレートとテレフタル酸およびエチレングリコール(またはそれらのエステル形成性同等物)以外のモノマーから誘導されるポリマーの残りとを含む(または誘導された)あらゆるポリマーを意味することが意図されている。
【0036】
本発明において有用な2GTポリエステルには、(a)ポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーおよび(b)2GTコポリマー、すなわち、テレフタル酸以外の二酸(イソフタル酸(I)、無水トリメリット酸;、アジピン酸、ドデカン二酸を含む脂肪族二酸、CHDA(シクロヘキサンジカルボン酸)など)またはエチレングリコール以外のグリコール(シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、ジエチレングリコール)を組み込むことにより変性された2GTポリマーおよびそれらの混合物が挙げられる。ポリエステルプロセスの再循環ストリームからの不純物は、もう一つのモノマー源である。
【0037】
本発明により用いられる2GTポリエステルは、少なくとも約60℃のガラス転移温度(Tg)および少なくとも150℃の融点を有して、熱可塑性および結晶性であるのがよい。より好ましいポリエステルは少なくとも約200℃の融点を有する。最も好ましいポリエステルは約1〜15%のイソフタル酸を有する2GTコポリマーである。ジエチレングリコール(DEG)のレベルは、好ましくは約2重量%までの範囲である。非晶質ポリマーは、より乾燥するのが難しいので、より好ましくない。
【0038】
3GTホモポリマーは、1,3−プロパンジオールとテレフタル酸の重合から実質的に誘導されたポリマー、または別案としてそれらのエステル形成性同等物(例えば、ポリ(トリメチレンテレフタレート)のポリマーを最終的に提供するために重合されうるあらゆる反応物)から誘導されたポリマーを意味することが意図されている。3GTのコポリマーは、少なくとも約70モル%のトリメチレンテレフタレートとテレフタル酸および1,3−プロパンジオール(またはそれらのエステル形成性同等物)以外のモノマーから誘導されるポリマーの残りを含む(または誘導された)あらゆるポリマーを意味することが意図されている。実用的な観点から、より高い%のトリメチレンテレフタレートは、ポリマーが半結晶質であるとともに、それによって乾燥するのがより容易であることを確実にする。
【0039】
ポリエステル組成物は、十分な機械的特性を得るために適切な分子量を有するのがよい。固有粘度(IV)に関して、ブレンディング後の組成物は、ジクロロメタンとトリフルオロ酢酸の1:1重量%溶液で測定して、少なくとも約0.4dl/g〜約0.80dl/g、より好ましくは少なくとも約0.90dl/g、最も好ましくは、約1.3〜1.5dl/gのIVを有する。固有粘度は、ASTM D2857.95に規定されたように19℃での既知のポリマー濃度の溶液の流動時間および毛細管粘度計中のポリマー溶媒の流動時間を測定することにより決定される。
【0040】
得られた組成物は本質的に非晶質(すなわち、結晶度を本質的に示さない)であり、ASTM D3985−81に似た実施例の手順に従って測定して、好ましくは、約5〜約12cc−ml/day−645cm2(100平方インチ)−atm(23℃、乾燥下(at23℃ and dry))の範囲の酸素透過率を示す。組成物は、好ましくは、透明(必要ならば着色剤を添加してもよいけれども)であり、良好な香味バリア特性、すなわち、低香味透過、低香味奪い取りおよび包装内容物への臭気と香味の無移入を示す。最も重要なことは、組成物が、通常、比較的低い温度でヒートシール可能であり、殆どの包装用途に対応するために良好なヒートシール強度および熱間粘着強度を有することである。
【0041】
本発明の組成物は、フィルム(シートを含める積もりである)または他の物品に成形してもよい。フィルムは、単層フィルム、またはポリオレフィン、エチレンコポリマー、イオノマー、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリスチレン、接着剤繋ぎ層、再密封可能接着剤エチレンビニルアルコール、PVDCなどを含む他のフィルム層と共押出で成形された多層フィルムであることが可能である。単層フィルムは、他のフィルムまたは基板に貼合わせることも可能である。多層フィルムは二層以上の層を有し、好ましくは、表面層の一方または両方は本明細書に記載されたようなヒートシール可能なポリエステル組成物である。低温ヒートシール性の特性のために、本発明のフィルムは、エチレン酢酸ビニル(EVA)または無水変性EMAなどの接着剤繋ぎ層を用いて、他の層にポリオレフィンと合わせて容易に共押出することが可能である。こうした多層フィルムは、他の層が特に機械的強度、靱性、追加バリア特性、耐熱性、印刷適性などの別の所望特性を付与できるので本発明の可能な用途を広げる。
【0042】
本発明のフィルムは包装用途向けに特に有用であり、当業者に対して知られている多くの方法によって包装に成形することが可能である。「包装」という用語は、空気および/または水分などの周囲条件および/または蒸発による包装の内容物の損失に抗して、特に内容物の使用前に殆どの時間密封しようとする一切の容器を意味し、蓋覆い用途(例えば、取り外しできる蓋覆いフィルムによって覆われるトレーまたは容器)を包含する。包装は、周囲条件に抗したシールがシールバッグを開けるために切るか、または引き裂くことにより永久的に破壊されてもよいように、または、使用中である間にシールされたまま残ってもよいように、例えば、加熱されそして加熱アンカとして利用されるジェルパックのように設計してもよい。これらの包装は、好ましくは、本明細書で開示された単層フィルムまたは多層フィルム、特に多層フィルムから製造され、多層フィルム中で本発明のヒートシール可能なポリエステル組成物は「シール層」、すなわち、ヒートシールを形成する層を構成する。こうした包装は、酸素バリア機能のゆえに食品を包装するために非常に有用であり、奪い取りおよび付与のない良好な香味/臭気バリアが形成でき、そして透明である。従って、こうした包装は、味/香保持が重要である包装のために特に好ましい。包装は、特に固体食品容器または液体食品容器、静脈内バッグ、パウチ、乾燥食品容器(箱内のシリアルライナー、クラッカーライナー)、ケミカルパウチ、自立パウチ、シリアルパウチ、蓋覆い、ペット食品バッグなどの、シールされる軟質バッグであってもよい。
【0043】
必須ではないけれども、従来の添加剤は、本発明の組成物、フィルムまたは物品に添加してもよい。こうした添加剤には、顔料、着色剤、安定剤、酸化防止剤、押出助剤、スリップ剤、カーボンブラック、核剤、難燃剤、当業者に知られている他の薬剤およびそれらの混合物が挙げられる。
【0044】
本発明の組成物から製造されたフィルムは、包装に関係ない無数の他の用途のために確かに用いてもよい。例えば、見込みある一つの用途は、消費者が衣類乾燥機中で用いるホームドライクリーニングバッグである。こうしたバッグは、典型的には3側面に沿ってヒートシールされ、洗浄されるべき衣類および洗浄化学薬品を受け取るための再密閉可能な第4の側面を残す。こうしたバッグは、高温、例えば、約200°Fより高い温度で良好な寸法安定性、そして良好なドライクリーニング薬品バリアをもたなければならない。本明細書中のヒートシール可能な組成物は、ナイロン(例えばナイロン6)に加えて2GT、3GT(本明細書に記載されたもの)のペレットブレンドとしてブレンドしてもよく、その後、キャスティングされたか、または配向された(二軸または一軸配向)ポリアミド(ナイロン6またはナイロン6,6)、または、2GTフィルム上に押出被覆してもよい。得られたフィルムは、ドライクリーニングバッグを製造するために用いることが可能である。多くの他の用途が考慮されている。
【0045】
本発明は、2GTホモポリマーまたはコポリマーのTgを下げる方法も提供する。この方法は、結晶化された2GTホモポリマーまたはコポリマーの乾燥、および3GTホモポリマーまたはコポリマーの別個の乾燥または同時の乾燥のいずれかで始まる。乾燥は、少なくとも約6時間または十分な乾燥が行われるまで約120℃〜約130℃の範囲の温度で露点−20.5℃(−5°F)未満の乾燥空気の少なくとも0.028m3/分(1ft3/分)の流れにポリマーを曝すことにより行われる。別個に乾燥させた場合、3GTホモポリマーまたはコポリマーは、物理的ブレンドを作るために2GTホモポリマーまたはコポリマーに次に添加される。しかし、好ましい方法は、3GTホモポリマーまたはコポリマーのペレットと2GTホモポリマーまたはコポリマーのペレットをブレンドし、その後、上で論じたように、それらを同時に乾燥させることである。物理的ブレンドは、溶融ブレンディングにより形成された二種のポリマーの均一混和物である。溶融ブレンディングは、当業者に知られている種々の方法によって実行してもよく、それらの方法には、(1)ポリマー溶融物を作るために前のパラグラフで論じたペレットのブレンドを乾燥させ、押し出す方法、(2)乾燥させたペレットブレンドを溶融コンパウンディングし、その後、フィルムまたは他の物品を製造する方法および任意にフィルムまたは他の物品に成形する前にソリッドステート重合する方法が挙げられる。あるいは、2GTおよび3GTのそれぞれのモノマーは、似た特性を達成するために共重合してもよい。物理的ブレンドとしてであろうとコポリマーとしてであろうと、得られたポリマー/フィルムは、元の2GTホモポリマーまたはコポリマーより低いTgを有する。
【0046】
本発明は、低温ヒートシール可能なポリエステルフィルムを製造する方法も提供する。
第1の工程は、上述したように物理的ブレンドを作るために2GTおよび3GTを乾燥させ混合し(あるいは別案として混合し、その後乾燥させ)、溶媒ブレンディングすることである。あるいは2GTおよび3GTのそれぞれのモノマーを供重合させてもよい。得られた物理的ブレンドまたはコポリマーは、単層フィルムまたは多層フィルムを形成させるために押し出される。
【0047】
本発明は、熱および圧力を加えることにより二種の熱可塑性表面を互いにシールする二種の熱可塑性プラスチックをヒートシールする方法をさらに提供する。改善は、2GTホモポリマーまたはコポリマーと3GTホモポリマーまたはコポリマーを含むポリエステル組成物を含む熱可塑性表面の少なくとも一方に存する。本明細書で開示されたポリエステル組成物の前の議論は、こうした表面に等しく当てはまる。
【0048】
本発明は、二種の熱可塑性表面がヒートシールされた物品であって、前記熱可塑性表面の少なくとも一方が、2GTホモポリマーまたはコポリマーと3GTホモポリマーまたはコポリマーとを含むポリエステル組成物を含むことを特徴とする物品も提供する。ヒートシールされるべき物品の両方の表面は、本明細書に記載されたようにポリエステル組成物の表面を有してもよい。但し、一方の表面のみがポリエステル組成物を含む用途も考慮されている。例えば、蓋覆い用途である。本明細書で開示されたポリエステル組成物の前の議論は、こうした熱可塑性表面に等しく当てはまる。ヒートシールされるべき両方の表面がポリエステル組成物を含む場合、好ましくは、これらの二表面の組成物は同じモノマーから製造され、より好ましくは、こうした表面は本質的に同じポリマーから製造される。
【0049】
三種以上の表面を互いにシールしてもよい。例えば、三種のフィルムは、シールされるすべての表面が本明細書に記載された組成物の表面であるかぎり互いにシールしてもよい。好ましくは、シールされるべき領域の加熱は、高周波加熱、誘電加熱、超音波などによる、より熱い材料(例えば、シールバーまたはシールロール)からの熱伝導によって行われる。
【0050】
用いられる圧力の量は、シールされるべき二(またはそれ以上)表面を接触させるために必要な圧力、例えば、指圧からプレスまたはロールによって加えられる圧力、例えば、シールバーの平方インチ当たり約90ポンドに至るまで異なってもよい。加熱は、圧力の付加の前、またはそれと同時であってもよい。圧力を加熱の前に加えてもよいけれども、加熱が行われるまで圧力は通常は有効でない。
【0051】
シールされているヒートシール可能なポリエステル組成物シール面の温度は一般にTgより高く、Tcgより低い。商業的に行われるヒートシールの多くが高速ラインで行われるので、十分な強度のシールを与えるのに必要な温度が低ければ低いほど、多くの場合ラインは速く走ってもよい。必要な温度にシール面を加熱するために、より少ない時間しか要しないからである。
【0052】
二種の熱可塑性表面が本明細書で開示されたようにヒートシールされた物品には、射出成形品、圧縮成形品、熱成形品またはブロー成形品、単層および多層のフィルムおよびシート、フィルムおよびシートから製造された包装(これも上述されている)、本明細書中のヒートシール可能なポリエステルで被覆されたフォイル、紙または板紙およびそれらから製造された包装が挙げられる。
【0053】
純粋に代表例のみであることを意図している以下の実施例によって本発明をさらに明確化する。
【0054】
(実施例1〜6)
実施例1〜6は、3GT樹脂と2GT/I樹脂のブレンドから単層キャストフィルムを製造することにより「製造されたままの」低温ヒートシール強度および熱間粘着強度の幅の驚くべき改善を実証している。
【0055】
(樹脂の乾燥)
二種のポリマーを別々に乾燥させた。第1のポリマーは、ポリマーの全重量を基準にして約1.5重量%のDEG含有率、全モル酸を基準にして2モル%のI、全モル酸を基準にして98モル%のTを有するエチレングリコール、テレフタル酸(T)およびイソフタル酸(I)のポリエステルコポリマー、すなわち、2GT/Iであって、融点が241℃であり公称IVが0.8dl/gであるポリエステルコポリマーであった。第2のポリマーは、230℃の融点および1.1dl/gの公称IVを有する1,3−プロパンジオールとジメチルテレフタレートのホモポリマー(3GT)であった。乾燥熱風乾燥機(露点−20℃未満、乾燥機設定点125℃)内で二種のポリマーを個々に一晩乾燥させた。
【0056】
(ペレット/ペレットブレンド)
乾燥後、体積20リットルのプラスチックバケツ内で樹脂を混合することにより、2GT/Iと3GTのペレット/ペレットブレンドを調製した。
フィルムキャスティング
【0057】
3/1の圧縮比、溶融混合区画5L/Dの一条ねじスクリューを備えた直径32mm(1 1/4インチ)のL/D30/1の一軸スクリュー押出機の窒素パージホッパーに、ブレンドしたペレットを直ちにフィードした。押出機ダイは、ダイギャップ0.03cm(0.012インチ)の幅152mm(6インチ)のコートハンガー型フラットフィルム押出ダイであった。押出機およびダイは、ウェインマシーン(Wayne Machine(100Furler St.Totowa NJ07512−1896))によって製造された。ダイから出た溶融ポリマーフィルムは、温度が制御された冷却水を備えた幅8インチ×直径8インチの二重シェルスパイラルキャスティングロール上にキャスティングした時、公称0.0015インチの厚さに引き落とされた。キャスティングロールはキリオンエクストルーダーズ(Killion Extruders(Davis Standard 200 Commerce Road,Cedar Grove New Jersey 07009))によって製造された。
【0058】
冷却したキャストフィルムを直径3インチの紙芯に巻き取り、ポリエチレンバッグ内に貯蔵した。押出機およびキャスティングロールの運転条件に加えてブレンド組成物の要約を表1および表2に示している。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
(フィルム分析)
ヒートシール特性を測定するために単層キャストフィルムを用いた。強いシールが起きる最低シールバー温度は興味深い。低ヒートシール開始は、より少ない熱しかシールを発生させるために必要でないことを意味するからである。より少ない熱は、より低いシールバー温度を使用でき、それはシーリング顎寿命を延長させ(メンテナンスコストを引き下げる)、より速くシールが起きるのでより速いライン速度とも相関することを意味する。12.5μm(0.5ミル)の本願特許出願人のMylar(登録商標)フィルムスリップシート、256kPA(40psi)のシールバー圧力、幅0.64cm(0.25インチ)のシールバー、および1.0秒の保圧時間を用いてヒートシールをASTM手順F488に準拠して測定した。熱を上方バーのみに加えた。イマス(IMASS,Inc.(Box134 Accord MA02018−0134))によって販売されているSP−102C−3m90滑り/剥離試験機を用いて、得られたシール強度を幅1.27cm(0.5インチ)のシールされた帯上で25.4cm(10インチ)/分のクロスヘッド速度で測定した。
【0062】
単層キャストフィルム上のヒートシール強度を表3にまとめている。
【0063】
【表3】
【0064】
実施例フィルム1および6(それぞれ純3GTおよび2GT/I)は、90、100または110℃のシールバー設定点温度でシール強度がないか、または非常に低いシール強度(150g/1.27cm)しかなかった。
【0065】
驚くべきことには、2GT/I中に40〜20%の3GTを含むブレンドから製造されたフィルム(実施例フィルム4および5)は、110℃程度に低いシールバー温度で強いヒートシール強度(500g/1.27cmより大きい)を有していた。
【0066】
熱間粘着強度を測定するためにも単層キャストフィルムサンプルを用いた。ヒートシール試験において、シール強度を測定する前に、シールを放置して室温に冷却する。熱間粘着性試験は、まだ熱いシールのシール強度を測定する。熱間粘着強度は、全体の形成および充填の運転が秒で行われるのでシールを形成した殆ど直後に荷重(包装内容物)をシール上に加える水平または垂直形成/充填シール用途において必要とされる。
【0067】
熱間粘着強度を測定するために、オランダで製造されたJB熱間粘着試験機モデル3000バージョン2を用いた。機械条件および試験結果を表4に示している。
【0068】
【表4】
【0069】
実施例フィルム1および6(それぞれ純3GTおよび2GT/I)は、再び、90℃または100℃のシールバー温度で低い熱間粘着強度シール強度(300g/インチ以下)を有していた。3GTと2GT/Iのブレンドに関する熱間粘着強度は驚くほど良好であり、40%3GT/60%2GT/Iブレンド(実施例4)に関する値は、90℃のシールバー設定点温度で1000g/インチを超えていた。試験した温度の完全な範囲にわたって、熱間粘着強度が実施例フィルム3および4について非常に良好なままであったことも注目すること。
【0070】
6種の単層フィルムサンプルで溶液粘度を測定した。サンプルの調製および分析を表5に示している。溶液粘度は分子量を推定する手段である。
【0071】
【表5】
【0072】
熱特性を測定するために6種の単層フィルムサンプルを分析した。熱特性を測定する前に、最初にフィルムサンプルを一晩乾燥させ、次に、255℃で5分にわたり加熱し、その後、メタノール・ドライアイスの浴内で直ちに冷却した。TA Instrument示差走査熱分析計Model#2920に装填する前には、得られた特殊に状態調節されたサンプルは一切の結晶度を本質的に含まなかった(非晶質)。サンプルを10℃/分の加熱速度で−40℃から275℃まで加熱した(ASTM D3417に準拠)。
【0073】
表6において、これらの6種のフィルムサンプルの最初の加熱からの特性をまとめている。Tgは℃でのガラス転移温度を表す(屈曲の中点を報告している)。Tcgは非晶質サンプルが加熱後に結晶化する℃でのピーク温度を表す。ΔH Tcgは、結晶化によりサンプルから発生する熱(単位J/g)を表す。Tmは℃でのサンプルのピーク溶融温度である。ΔH Tmは、溶融中にサンプルによって消費された熱(単位J/g)である。
【0074】
【表6】
【0075】
図1は表6のデータをグラフで表している。ヒートシール試験および熱間粘着性試験の結果に基づくと、48〜70℃のTg範囲(80%〜20%の3GT、または直線相関による約50℃〜66℃)と84〜135のTcg範囲(または直線相関による約86℃〜135℃)の組み合わせは、純粋な2GT/I(Tg70、Tcg144)または3GT(Tg46、Tcg71)より驚くべき良好なヒートシールおよび熱間粘着性をもたらす。
【0076】
実施例フィルム2〜5は、驚くべき良好な「製造されたままの」熱間粘着強度(低シールバー温度で)を3GTと2GT/Iのブレンドから製造されたフィルムで達成できたことを示している。純粋な3GTから製造された実施例1のフィルムサンプルは、劣った「製造されたままの」ヒートシールおよび熱間粘着性を有していた。2GT/I樹脂から製造された実施例6のフィルムサンプルは、良好な「製造されたままの」ヒートシールおよび熱間粘着性を有していたが、高いシールバー温度でのみであった。
【0077】
温度および湿度の周囲条件に非晶質フィルムサンプルを曝すと、シールおよび熱間粘着性の特性は悪化するようであった。図2は、周囲条件に実施例フィルム4を一週間にわたり供した後のヒートシール開始およびヒートシール強度の変化を例示している。
【0078】
酸素透過率および水蒸気透過率を測定するためにも実施例フィルム1〜6を用いた。Oxtran(登録商標)2/20Model H低透過率試験機(モコン(Mocon,Inc.(Minneapolis,MN55428U.S.A))を用い、100%酸素(空気ではない)を用いて23℃および相対湿度0%で酸素透過率を測定した。試験の理論は、ASTM D3985−81「クーロメトリセンサーを用いるプラスチックフィルムおよびシートを通した酸素ガス透過率に関する標準試験法(Standard test Method for Oxygen Gas Transmission Rate through plastic film and sheeting using coulometric sensor)」に概説されている。結果を厚さ25μm(1ミル)当たりで報告している。値は101kPa(760mmHg)の大気圧に相関していた。試験の前にサンプルを4時間にわたり状態調節した。試験面積は50cm2であった。検査時間は60分であった。
【0079】
Permatran(登録商標)W3/31水蒸気透過率システム(モコン(Mocon,Inc.))を用いて、38℃および90〜100%RHで水蒸気透過率を測定した。試験の理論は、ASTM D1249−90「被変調赤外線センサーを用いるプラスチックフィルムおよびシートを通した水蒸気透過率に関する標準試験法(Standard test Method for Water Vapor Transmission Rate through plastic film and sheeting using a modulated infrared sensor)」に概説されている。結果を厚さ25μm(1ミル)当たりで報告している。サンプル試験面積は50cm2であった。相対湿度は本質的に100%であった。試験の前にサンプルを2時間にわたり状態調節した。検査時間は30分であった。試験温度は37.8℃であった。
【0080】
酸素透過率および水蒸気透過率を表Aで報告している。
【0081】
【表7】
【0082】
図3でグラフにした表Aの試験結果は、2GT−Iが3GTとブレンドされるにつれて酸素透過率が高まることを示している。水蒸気透過率は、すべての6試験フィルムについてほぼ同じである。
【0083】
3GT/2GT−Iポリマーブレンドの香味透過率を測定するためにも実施例フィルム1〜6を用いた。用いた方法はASTM E96に似ていた。70ミリリットル(58.6グラム)のd−リモネン柑橘類香味剤(アロマケム(Aromachem,Inc.)製)を各蒸気計量カップ内に入れ、試験フィルムの試験片をo−リングによりカップの頂上まわりで固定した。結果の信頼性を確保するために各試験フィルムの5サンプルを試験した。カップを40℃のオーブンに入れ、27日にわたって毎日測定して、香味剤の重量損失を決定した。これらの結果から、GMD値(gram*mil/(day*atm*645cm2(100in2))を計算した。実施例フィルム1〜6に加えて、ナイロン6(アライドシグナル(Allied Signal))および線状低密度ポリエチレン(Dow Dowlex2045)から製造された比較フィルムを含めた。表Bは香味試験結果をまとめている。
【0084】
【表8】
【0085】
表Bの試験結果は、3GTと2GT−Iのブレンドが純2GT/IまたはLLDPEと比べて香味バリアの実質的な改善をもたらすことを示している。
【0086】
(実施例7〜10)
一切の物理的老化現象(例えば、非特許文献1を参照)を克服するために、出発3GTまたは2GT/Iをソリッドステート化することにより、または、2GT/Iと3GTの溶融ブレンドにより製造されたペレットをソリッドステート化することにより、より高い分子量の2GT/Iおよび3GTのサンプルを調製した。以下の4種の樹脂サンプルは、ヒートシール開始およびシール強度の維持に及ぼすより高い分子量の利点を例示している。
【0087】
実施例フィルム1〜6を作成するために用いられた二種の樹脂2GT/Iおよび3GTを再び乾燥させ、ブレンドし、その後、水冷された直径1.56mm(1/16インチ)のストランドダイクラッシュを通して押し出し、長さ1/8インチのペレットに切断した。4種のペレットブレンドの組成(実施例樹脂7〜10)および押出条件を表7に示している。
【0088】
その後、上述した乾燥ホッパードライヤーシステム内で押出ペレットの4組を120℃で一晩結晶化させ、その後、高温窒素の連続流れを用いて充填床ソリッドステーター内で202℃において26時間にわたりソリッドステート化した。26時間後に、樹脂を放置して冷やした。溶液粘度を測定するためにソリッドステート化樹脂を分析した。ソリッドステート化後の溶液粘度値を表8でまとめている。
【0089】
【表9】
【0090】
【表10】
【0091】
ソリッドステート重合済み溶融ブレンド樹脂7、8および10の有効性を実証するために、シーラント層としてこれらの実施例樹脂、繋ぎ層として本願特許出願人のBynel(登録商標)3861無水変性エチレン酢酸ビニル樹脂および外側構造層としてHDPE(高密度ポリエチレン、Chevron9662)を用いて三層ブローフィルムを作成した。層の厚さは次の通りであった。
HDPE、1.7ミル
Bynel(登録商標)3861、0.3ミル
実施例樹脂、0.5ミル
【0092】
厚さ2.5ミルのフィルムのヒートシール強度を試験し、純3GTシーラント層を有する三層フィルムと比較した。ヒートシール条件は、保圧時間0.5秒、シールバー圧力276kPa(40psi)およびシールバー幅2.54cm(1インチ)であった。275°F以上のシール温度についてはスリップシートを用いた。
【0093】
図4は、「製造されたままのフィルム」に関するヒートシール強度対シールバー温度をプロットしている。図5は、周囲暴露から24時間後にシールされたフィルムに関するヒートシール強度対シールバー温度をプロットしている。
【0094】
3GTと2GT−Iの高分子量ブレンドから製造されたフィルムが、周囲条件に24時間にわたり暴露されることによりヒートシール特性が本質的に変わらないままであることが図5で分かる。他方、3GT対照樹脂から製造されたフィルムは、試験した温度範囲にわたって劣ったヒートシール強度を有する。
【0095】
(実施例11)
これらのフィルムは、3GT樹脂と2GT/I樹脂のソリッドステート重合済み溶融ブレンドから単層キャストフィルムを製造することにより「製造されたままの」低温ヒートシール強度および熱間粘着強度の幅における驚くべき結果を実証している。
【0096】
(実施例フィルム11の作成)
(溶融ブレンドの調製)
(樹脂の乾燥)
二種のポリマーを別々に乾燥させた。第1のポリマーは、エチレングリコール、ジメチルテレフタレートおよびイソフタル酸のポリエステルコポリマー(2GT/I)であって、融点が217℃であり公称IVが0.68であるポリエステルコポリマー[Sellar(商標)PT8307ポリエステルコポリマー]であった。第2のポリマーは、230℃の融点および1.1の公称IVを有する1,3−プロパンジオールとジメチルテレフタレートのホモポリマー(3GT)であった。乾燥熱風乾燥機(露点−20℃未満、乾燥機設定温度125℃)内で二種のポリマーを個々に一晩乾燥させた。
ペレット/ペレットブレンド
【0097】
乾燥後、体積20リットルのプラスチックバケツ内で樹脂を混合することにより、2GT/Iと3GTのペレット/ペレットブレンドを調製した。
溶融ブレンディング
【0098】
直径1.56mm(1/16インチ)のストランドダイ、水冷却槽およびペレタイザーを備えた直径32mm(1 1/4インチ)のWayneL/D30/1一軸スクリュー押出機に乾燥ペレット/ペレットブレンドをフィードした。30%3GT/70%2GT−Iに関するWayne押出条件を表9に示している。
【0099】
【表11】
【0100】
その後、溶融ブレンドした樹脂を上述した乾燥ホッパードライヤーシステム内で120℃で一晩結晶化させ、その後、高温窒素の連続流れを用いて充填床ソリッドステーター内で195℃で5時間にわたりソリッドステート化した。5時間後に、樹脂を放置して冷やした。
【0101】
(フィルム分析)
ソリッドステート化された溶融ブレンド(30重量%の3GTと70重量%の2GT−Iを含む)を用いて、上述した同じ単層キャストフィルム構成を用いて厚さ公称37マイクロメートル(0.0015インチ)のフィルムをキャスティングした。フィルムにキャスティングする前に、ソリッドステート化された樹脂を130℃で一晩乾燥させた。実施例フィルム11を作成するために用いたフィルムキャスティング条件を表10に示している。溶液粘度測定(上述した手順を用いる)によって、0.985の実施例フィルム11に関するIVが測定された。
【0102】
【表12】
【0103】
ヒートシール特性を測定するために、実施例フィルム11と表示したラベル付きの単層キャストフィルムを用いた。強いシールが起きる最低シールバー温度は興味深い。低ヒートシール開始は、シールを発生させるために、より少ない熱しか必要でないことを意味するからである。より少ない熱は、より低いシールバー温度を使用でき、それはシーリング顎寿命を延長させ(メンテナンスコストを引き下げる)、より速くシールが起きるのでより速いライン速度とも相関することを意味する。12.5μm(0.5ミル)のMylar(登録商標)フィルムスリップシート、276kPA(40psi)のシールバー圧力、幅0.64cm(0.25インチ)のシールバー、および1.0秒の保圧時間を用いてヒートシールをASTM手順F488に準拠して測定した。熱を上方バーのみに加えた。イマス(IMASS,Inc.(Box134 Accord MA02018−0134))によって販売されているSP−102C−3m90滑り/剥離試験機を用いて、得られたシール強度を幅1.27cm(0.5インチ)のシールされた帯上で10インチ/分のクロスヘッド速度で測定した。
【0104】
実施例フィルム11のヒートシール強度を表11にまとめている。
【0105】
【表13】
【0106】
キャストフィルムに関連した第1の実施例組および共押出フィルムに関連した第2の実施例組を含む本発明の特定の特徴および実施形態をさらに例示するために、以下の別の実施例を提示する。そのような以下の実施例は不当に限定的であることを意図していない。
【0107】
(実施例組A−M:ヒートシール可能な単層キャストフィルム)
非晶質ヒートシール可能なポリエステルフィルムを製造するために高い溶融温度および長い保圧時間が必要であることを例示するために、コモノマー1,3−プロパンジオールを用いて製造された少なくとも一種のコポリエステルを含むペレットブレンドから幾つかのキャストフィルムを作成した。すべての場合、キャストフィルムを23±1℃および50%相対湿度(RH)で24時間にわたり状態調節し、その後、フィルムを種々のシールバー温度でヒートシールした。シールの平均ピークシール強度を測定した。
【0108】
フィルムを以下のポリエステル樹脂のペレットブレンドから製造した。
1,2−エタンジオール、テレフタル酸および少量のイソフタル酸から製造された公称IV0.91のソリッドステート化されたコポリエステル樹脂。このポリマーは、デュポン・ポリエステルレジンズ・アンド・インターミーディエーツ(DuPont Polyester Resins and Intermediates)によって販売され、Melinar(商標)N4009ポリエステル樹脂として商標付けされている。このコポリエステルのピーク融点は、インジウム、錫および亜鉛による三点校正を用いるASTM D3417に準拠して10℃/分の加熱速度を用いるTA Instrruments示差走査熱分析計(DSC)によって測定して244℃であった。このポリマーを2GT−I(0.91IV)と呼ぶ。
【0109】
1,3−プロパンジオールおよびジメチルテレフタレートから製造された公称IV1.04のソリッドステート化されたポリエステルホモポリマー。このポリマーは、Sorona(商標)3GTポリエステルとして本願特許出願人によって販売されている。このホモポリマーのピーク融点は、上述したDSC手順によって測定して228℃であった。このポリマーを3GT(1.04IV)と呼ぶ。
【0110】
1,2−エタンジオールおよびジメチルテレフタレートから製造された公称IV0.95のポリエステルホモポリマー。このポリマーは、Selar(商標)PT X295ポリエステルとして本願特許出願人によって販売されている。このホモポリマーのピーク融点は、上述したDSC手順によって測定して249℃であった。この樹脂を2GT(0.95IV)と呼ぶ。
【0111】
フィルムにキャスティングする前に、ドライヤーのための設定点温度が121℃(250°F)であった乾燥ホッパードライヤーシステムを用いて樹脂を一晩乾燥させた。その後、20リットルのバケツ内に適切な比率を計り取り、2分にわたり手で激しく混ぜることにより、乾燥させた樹脂を3000グラムバッチに互いにブレンドした。
【0112】
3/1の圧縮比、溶融混合区画5L/Dの一条ねじスクリューを備えた直径32mm(1 1/4インチ)の長さ対直径(L/D)30/1の一軸スクリュー押出機の窒素パージホッパーに、ブレンドしたペレットを直ちにフィードした。フィード区画のねじ山の高さは5.3mm(0.20インチ)であった。押出機ダイは、ダイギャップ0.25cm(0.10インチ)の幅152mm(6インチ)のコートハンガー型フラットフィルム押出ダイであった。押出機およびダイは、ウェインマシーン(Wayne Machine(100Furler St.Totowa NJ07512−1896))によって製造された。ダイから出た溶融ポリマーは、温度が制御された冷却水を備えた幅203mm(8インチ)x直径203mm(8インチ)の回転二重シェルスパイラルバッフルキャスティングロール上にキャスティングした時、公称38μm(0.0015インチ)の厚さに引き落とされた。すべての場合、ナイアガラ・スクリーンプロダクツ(Niagara Screen Products)によって販売されている80/100/80USメッシュスクリーン組み合わせを用いて、ポリマー溶融物を濾過した。スクリーンをブレーカープレートによって所定の場所に保持した。キャスティングロールはキリオンエクストルーダーズ(Killion Extruders(Davis Standard 200 Commerce Road,Cedar Grove New Jersey 07009))によって製造された。フィルムをチルロール上にキャスティングした。フィルムの外側端をキャスティングロールに固定するために、ジェットオリフィスを通して送られた空気のストリーム(供給圧力534kPa)を用いた。
【0113】
冷却したキャストフィルムを直径76mm(3インチ)の紙芯に巻き取り、ポリエチレンバッグ内に貯蔵した。ブレンド組成物の要約を表12に示した。表13a、13bおよび13cは押出機およびキャスティングロールの運転条件をまとめている。表13a〜13cにおいて、二つの溶融温度が報告されている。すなわち、フルター前のポリマー溶融温度およびアダプターにおけるポリマー溶融温度である。フィルターメルトプローブはフランジ内のポリマー溶融物チャンネルの端に面一に取り付けた。プローブはスチールフランジの温度の十分な目安であり、ポリマー溶融物の指標である。直径6.1mm(1/4インチ)のアダプターメルト移送ラインの中心に伸びたメルトプローブを用いて、アダプターメルト温度を記録した。表13a、13bおよび13cにおいて、報告された処理量(単位グラム/分)は、押出中に30秒のサンプル期間にわたって集められた押出フィルムのサンプルを秤量することにより計算した。保圧時間も、フィードスクリーンの殆ど露出したねじ山上にカラーコンセントレートペレットを落下させ、その後、押出フィルム中に出現する色を真っ先に見る前に経過する時間を記録することにより計算した。この技術には、供給口からペレットを搬送しきるのにどれだけ時間が実際にかかるかに関して幾つかの欠点がある。この技術は、ペレットが瞬間的に搬送されることを想定しているが、恐らくそうではなさそうである。報告した保圧時間は、おそらく、保圧時間を過大にする偏りを有するであろう。図6は、測定された保圧時間および推定された保圧時間(配置に基づいて)対、アダプターおよび幅152mm(6インチ)のフラットフィルムダイを備えた直径32mm(1 1/4インチ)のL/D30/1Wayne押出機のスクリュー速度のプロットである。
【0114】
【表14】
【0115】
【表15】
【0116】
【表16】
【0117】
【表17】
【0118】
図6は、本質的に10から100rpmまで用いられた直径32mm(1 1/4インチ)のキャストフィルム押出機およびダイに関するスクリューrpmの関数としての推定保圧時間(分)を測定保圧時間と比較している。
【0119】
フィルムをキャスティングした直後に、将来の分析のために捩り結束または捩りテープでシールされた厚さ80〜100マイクロメートルのポリエチレンバッグ内にロールを貯蔵した。
【0120】
サンプルフィルムA〜JおよびMの場合、同日に、それらのフィルムをフィルムにキャスティングし、長さ約2メートルのフィルムをポリエチレンバッグから取り出し、温度と湿度が制御された実験室(23±1℃および50%RH)内で24時間にわたり露出させた。サンプルフィルムKおよびLの場合、それらのフィルムを周囲条件で4日にわたりプラスチックバッグ内に貯蔵し、その後、23±1℃および50%RHで24時間状態調節するためにバッグからサンプルを取り出した。24時間の露出直後に、フィルムを互いにヒートシールして、フィンシールを形成させた。シールバー設定点温度は10℃刻みで90〜130℃であった。Sencorp Systems(Hyannis MA USA02601)Model12ASL/1ヒートシーラーを用いてヒートシールを調製した。シール条件は、本願特許出願人の12.5μm(0.5ミル)のMylar(登録商標)フィルムスリップシート、358kPa(40psi)シールバー圧力、幅2.5cm(1.0インチ)×長さ30.5cm(12・1/2インチ)のシールバーおよび0.5秒の保圧時間であった。熱を上方バーのみに加えた。下方の加熱されなかったバーは、スチールホールダー内の幅2.5cm×長さ30.5cmの赤ゴム片を含んでいた。ASTM手順F488に準拠して、幅25.4mm×長さ70〜100mmのクーポンをシールされたフィルムから打ち抜いて、シールの強度を試験した。すべての場合、フィンシールの配向は横方向であった。23±1℃および50%RHの周囲条件を用い初期顎分離を50.8mm(2インチ)とし、顎分離速度を25.4cm/分(10インチ/分)としてInstronモデル4469を用いて幅25.4cmのシールをMD方向で引っ張った。尾部を手で持って、引っ張りの方向に尾部が90度向くことを確実にした。一般に4個のクーポンを各シールバー設定点温度で試験した。平均ピークシール強度をサンプルフィルムA〜Mについて表14で報告している。
【0121】
【表18】
【0122】
表14で報告した平均ピークシール強度値は、試験した13サンプルのどれもが90℃シールバー設定点温度でシール強度を全くもたなかったことを示している。一部のサンプルは100℃シールバー設定点以上でシール強度を有していた。
【0123】
110℃シールバー設定点と130℃シールバー設定点との間で1,000グラム/2.54cm(グラム/インチ)より大きい強いシールをシールされた一部のフィルムが容易に作った理由を理解するためにプロセスモデルを開発した。表に示したプロセス条件および実施例フィルムA〜Jに関する100℃および120℃シールバーシール設定点温度での平均シール強度値を用いて(表15参照)、プロセスモデルを開発した。
【0124】
三つのプロセスファクターは次の通りであった。
・×3GT−3GT/2GTブレンドまたは3GT/2GT−Iブレンド中の3GT比率・HUT−押出プロセスにおける保圧時間
・MT−押出プロセスにおけるアダプターメルト温度
【0125】
【表19】
【0126】
このモデルは、110℃および120℃での平均シール強度と三つのファクターとの間で強い相関が存在したことを示している。
【0127】
(プロセスモデル)
以下の関係を用いて、上述した三つのファクターをWayne Extrusionプロセスモデルのために正規化した。
NX3GT=(×3GT−0.6)/(.1)
NMT=(MT−275.7)/12
NHUT=(HUT−3)/1.4
このモデルは、相互作用ファクターも含んでいた。
NX3GT*NMT
NX3GT*NHUT
NMT*NHUT
110℃バー温度でシール強度を予測するためのプロセスモデル;
110℃でのシール強度に関して、全パラメータモデルは、
【0128】
【表20】
【0129】
精度の極僅かの損失で、110℃でのシール強度に関するモデルは丁度5つのパラメータに減少させることが可能である。
110℃でのシール強度に関する減少したプロセスモデルにおいて、5つのパラメータモデルは
【0130】
【表21】
【0131】
120℃シールバー設定点でシール強度を予測するためのプロセスモデル;
120℃シールバー設定点でのシール強度に関して、全応答モデルは、
【0132】
【表22】
【0133】
このモデルの有効性を例示するために、表5は、すべての13種の実施例フィルムA〜Mについて110℃および120℃での予測シール強度、測定シール強度および予測シール強度と実シール強度との間の誤差をまとめている。負のシール強度値には意味がなく、恐らく零と解釈されるべきである。
【0134】
【表23】
【0135】
(プロセスの最適化)
プロセスモデルの比較的良好な予測能力を想定して、最良のシール性能をもたらす加工条件を次の通り正確に記述することが可能である。
・溶融温度を上げる。
・保圧時間を長くする。
・3GT比率を50%に下げる。
【0136】
関係を例示すると、270℃のアダプターメルト温度では、強いシールを有するフィルムを製造するために長い保圧時間が必要とされることを考慮すること。このモデルは、50%の3GT比率および270℃のアダプターメルト温度を用いると、1,000g/2.5cmの平均ピークシール強度を達成するために9分の保圧時間が必要とされるであろうと予測する。285℃にアダプターメルト温度を上げることにより、このモデルは、同じ1,000g/2.5cmのシールを1.1分の保圧時間で達成できることを予測する。3GT/2GTブレンドにおける70%の3GT比率および285℃のアダプターメルト温度では、このモデルは、1,000g/2.5cmのシール強度を達成するために4.3分の保圧時間が必要とされると予測する。
【0137】
保圧時間およびアダプターメルト温度には実用的な制約がある。例えば、保圧時間に関しては、10分〜15分を超える長い保圧時間を達成するために必要な長い移送ラインおよび/またはアダプターの使用を妨げうる圧力降下、剪断速度および装置製作コストによって課される限界がある。300℃を超える溶融温度を妨げうるポリエステル樹脂の熱安定性または多層共押出フィルムの場合の熱安定性も同様である。
【0138】
(単層キャストフィルムの熱分析)
ピーク融点(ASTM D3417)および転移(ASTM D3418)を決定するために、13種の単層キャストフィルムのすべてをDSCによって分析した。図7、8および9は、実施例フィルムAの3パスDSC分布を示している。図7は、10℃/分での−40℃から270℃までの実施例フィルムAに関する第一パスを表している。この第一ヒート分布では、興味ある屈曲およびピークは次の通りである。
・Tgはガラス転移温度を表す。非晶質(非結晶質)ポリエステルフィルムまたは物品は、二つのシール形成用表面の温度がガラス転移温度より上に上がるまで単独でヒートシールを形成しない。第一ヒートでは、Tgはフィルムの一定加熱速度を維持するために必要とされる熱において屈曲として見える。屈曲の中点を報告している。
・Tcgは非晶質ポリマーまたはフィルムサンプルがガラスから結晶化するピーク温度を表す。表6でまとめられたTcgは発熱曲線上のピークである。ΔH Tcgは結晶化中にサンプルから放出される熱を表し、結晶化発熱曲線の下の面積を測定することにより計算される。
・Tmは半結晶質サンプルが溶融するピーク温度を表す。これは、第一ヒートにおいて吸熱である。13種の実施例フィルムの10種では、第一ヒートで二つの溶融ピークが観察された。ΔH Tmはサンプルを溶融するために必要とされる余分の熱を表し、ピークの下の面積から計算される。
【0139】
図8は、10℃/分での270℃から−40℃までの実施例フィルムAに関する冷却曲線を表している。この典型的な冷却曲線分布では、興味ある屈曲およびピークは次の通りである。
・Tcは冷え結晶化する時の溶融ポリマーのピーク結晶化温度である。ΔH Tcはピークの下の面積であり、結晶化するにつれてサンプルから出る熱を表す。
【0140】
図9は、10℃/分での−40℃から270℃までの実施例フィルムAに関する第二ヒートを表している。図9で示した第二ヒート曲線には、TgおよびTmがある。13種のフィルムの一種において、第二ヒートで明確に二つの溶融ピークがあった。
【0141】
表17は、すべての13種の実施例フィルムに関する主要熱特性測定をまとめている。図10および11は、主要熱特性と110℃でのシール強度との間の相関を例示している。図10は、第一ヒートで測定されたTg、TcgおよびTm対110℃での平均シール強度をプロットしている。かくして、図10は、実施例フィルムの熱特性対110℃シールバー設定点での平均ピークシール強度をプロットしている。図11は、第二ヒートからのTgおよびTmに加えて冷却曲線からのTcg対110℃シールバー設定点での平均ピークシール強度をプロットしている。平均シール強度への熱データの直線カーブ当てはめも図10および11に記載しており、多少の直線関係が存在しうる一方で、相関係数(R2)は一貫して劣る。要するに、110℃シールバー温度で形成されるシールの強度を予測するために、一種だけの熱特性を用いることができない。
【0142】
【表24】
【0143】
(実施例組N〜ZおよびAAとAB−ヒートシール可能な共押出ポリエステルフィルム)
単層実施例フィルムA〜Mは、コモノマー1,3−プロパンジオールを含むヒートシール可能な単層キャストフィルムを作成するために長い押出機保圧時間または高い溶融温度が必要なことを例示している。
【0144】
単層キャストフィルム加工から修得された保圧時間および/または高い溶融温度の必要性は、コモノマー1,3−プロパンジオールを含むポリマーからヒートシール可能な層を製造するために外側層の一方または両方を用いる共押出フィルムにも適用することが可能である。ブランプトン・エンンジニアリング(Brampton Engineering(Brampton,Ontario Canada))の三層ブローフィルム押出ラインを用いて以下の実施例フィルムを作成した。三種の明確に異なる層を有するフィルムのチューブを上方に押し出した。図7は、三層ブローフィルムラインによって製造されたチューブ内の層配列を例示している。
【0145】
三層ダイは、50mm(2インチ)環状リップセットおよび1650μmダイギャップを備えた直径76mm(3インチ)の環状ダイ本体を有していた。長さ対直径比30/1の同じ直径32mm(1 1/4インチ)の押出機からダイの各層(A層、B層またはC層)をフィードした。スクリュー設計は単層キャストフィルム実施例で前述したのと同じ設計であった。減量フィーダーから樹脂ペレットを各押出機にフィードした。共押出実施例フィルムは、前述したブレンド1またはブレンド2から製造された一層(Aまたはcのいずれか)を有していた。フィルムのコア層をダイおよびB押出機上の「B」層からフィードした。コア層はすべての場合、「バイネル」(Bynel)(商標)2174で、本願特許出願人によって販売されている密度0.931g/cm3、メルトインデックス(MI)2.8の無水変性エチレンアクリレートコポリマーであった。
三層構造中の第3の層は次の通りであった。
・「スクレア」(Sclair)(商標)19Aという商品名で、ノバ・ケミカル(Nova Chemical)によって販売されている密度0.962グラム/cm3、MI0.72のポリエチレン、または
・「スクレア」(Sclair)(商標)19Cという商品名で、ノバ・ケミカル(Nova Chemical)によって販売されている密度0.958グラム/cm3、MI0.95のポリエチレン。
【0146】
一旦ダイから出たフィルムの溶融チューブをブランプトン・エンンジニアリング(Brampton Engineering)供給空気環で冷却した。ダイフェースから一次ニップまでの距離は約4.3メートルであった。共押出実施例フィルムのすべてを公称総フィルム厚さ61μmおよび公称へこみチューブレイフラット210mm(ブローアップ比2.7/1)で製造した。各場合、へこみチューブをインラインで切り開いて、二枚のフィルムシートを作り、内部バブル表面(A層)を紙芯上に巻き込んで、二枚のフィルムシートを直径76mmの紙芯に巻き取った。フィルム巻取機は、マルコ・エンジニアリング(Marco Engineering、(Mississauga,Ontario,Canada))によって製造された。
【0147】
(樹脂の乾燥および取り扱い)
ブレンディングと、窒素パージされた減量フィードホッパーへの移送の前に、ポリエステル樹脂のみを121℃(250°F)で乾燥ホッパードライヤーシステム内で一晩乾燥させた。ポリエチレンおよび無水変性エチレンアクリレートポリマーをバッグまたはボックスから減量フィードホッパーのホッパーに直接装填した。
【0148】
(フィルム構造)
表18は、15種のフィルムの公称構造をまとめている。フィルムN〜Zは、バブルの内側にポリエステルシーラント層を伴って製造された。フィルムAAおよびABは、バブルの外側にポリエステルシーラント層を伴って製造された。すべての場合、無水変性エチレンアクリレートポリマーを中間層中で用いた。
【0149】
【表25】
【0150】
図13は、共押出ブローフィルムラインでのA層およびC層のための配置に基づく推定保圧時間を示している。A押出機供給口に落下した着色ペレットがダイリップに現れるのに要する時間に基づく推定保圧時間は曲線上に記載されている。単層フィルムに関して前節で述べたように、着色ペレットは保圧時間を過大にする偏りを有する。
【0151】
表19は、配置に基づく推定保圧時間、(ポリエステル層に関する)測定されたアダプターメルト温度、および実施例共押出フィルムごとのブレンド組成物中の3GT比率を報告している。押出機とダイとの間でポリマー溶融物を運ぶアダプターパイプの壁を通して挿入された面一取り付けプローブは、各層内のポリマーの溶融温度を推定した。アダプターメルト温度は、プローブがポリマー溶融物に入り込む深さを調節できるJ型熱電対プローブを用いて測定した。アダプターメルトチャンネルの直径は約17mmであった。試験は、プローブが壁からポリマー溶融物ストリームの中心に移動するにつれて多くとも3℃で上昇した溶融温度を決定した。
【0152】
図13−配置に基づき、そしてAおよびC共押出フィルム層のための着色ペレットによる保圧時間推定対スクリュー速度
【0153】
【表26】
【0154】
表19において、
+は、得られたシール強度に良い影響を有するであろう加工ファクターに付した。
−は、得られたシール強度に悪い影響を有するであろう加工ファクターに付した。
0は、高加工条件と低加工条件との間の中間点を示したプロセスファクターに付した。
【0155】
種々の実施例フィルムに付した表19の+、0および−に基き、そして各ファクターの重要性において同じ重み付けを想定して、3個のプラスを有するフィルムは3個のマイナスを有するフィルムより良好に機能するであろう。
【0156】
実施例フィルムN、UおよびAAに関するフィルム加工条件を表20に示している。各場合、チューブを刃先で二枚のシートに切り開き、直径76mmの別個の紙芯上に二枚のシートを巻き取った。
【0157】
(共押出フィルムの分析)
捩り結束または捩りテープでシールされた厚さ80〜100マイクロメートルのポリエチレンバッグ内にロールを貯蔵した。
【0158】
共押出サンプルフィルムを周囲条件で7日までにわたりプラスチックバッグ内に貯蔵し、その後、23±1℃および50%RHで24時間状態調節するためにバッグからサンプルを取り出した。24時間の露出直後に、フィルムを互いにヒートシールして、フィンシールを形成させた。シールバー設定点温度は10℃刻みで90〜130℃であった。Sencorp Systems(Hyannis MA USA02601)Model12ASL/1ヒートシーラーを用いてヒートシールを調製した。90℃、100℃および110℃のシールバー設定点では、スリップシートは不要であった。120℃および130℃では、本願特許出願人の12.5μm(0.5ミル)Mylar(登録商標)フィルムスリップシートを用いて、共押出フィルム上の外側ポリエチレン層のホットシールバーへの粘着を妨げた。276kPa(40psi)シールバー圧力、幅2.5cm(1インチ)×長さ30.5cm(12 1/2インチ)のシールバー、および0.5秒の保圧時間でSencorpシーラーを組み立てた。熱を上方バーのみに加えた。下方の加熱されなかったバーは、スチールホールダー内の幅2.5cm×長さ30.5cmの赤ゴム片を含んでいた。ASTM手順F488に準拠して、幅25.4mm×長さ70〜100mmのクーポンをシールされたフィルムから打ち抜いて、シールの強度を試験した。すべての場合、フィンシールの配向は横方向であった。23±1℃および50%RHの周囲条件を用い初期顎分離を50.8mm(2インチ)とし、顎分離速度を25.4cm/分(10インチ/分)としてInstronモデル4469を用いて幅25.4cmのシールをMD方向で引っ張った。尾部を手で持って、引っ張りの方向に尾部が90度向くことを確実にした。一般に4個のクーポンを各シールバー設定点温度で試験した。標準偏差に加えて平均ピークシール強度を実施例フィルムN〜ABについて表10で報告している。さらに、試験帯の破壊様式も報告している。
【0159】
【表27】
【0160】
【表28】
【0161】
図14〜28において、平均シール強度(誤差バーを含む)をシールバー設定点温度の関数としてグラフにしている。誤差バーは、平均を計算するために用いられた4サンプルで測定されたシール強度の最大値および最小値を表している。
【0162】
これらの図は、プラス側への加工パラメータ(3GT比率、HUTおよび溶融温度)を用いて製造されたフィルム、または少なくとも最少負加工パラメータを用いて製造されたフィルムが最も一定して強いシール(1000グラム/2.5cmのシールより大きい)を有する傾向があったことを例示している。
【0163】
15種の共押出実施例フィルムの内、フィルムS(+0−)、T(+−)、V(−+)およびAA(+00)はすべて、110℃、120℃および130℃で好ましくない剥離シール破壊様式を実証した。主たる破壊様式であるシール層から繋ぎ層の離層を有することが好ましいであろう。剥離破壊様式を有していたフィルムサンプルは、一般に、1000g/2.5cmのシール強度の基準に対して劣ったシール強度を有していた。実施例フィルムU(−−−)は、好ましくない一定でないシール強度を有していたけれども、破壊様式は離層であり、平均は1000g/2.5cmより高いシール強度であった。
【0164】
(実施例29および30)
実施例29および30は、低温ヒートシール層としての3GTコポリマーの有効性を実証している。ジメチルテレフタレート、シクロヘキサンジメタノールおよび1,3−プロパンジオールから調製されたコポリマーから実施例フィルム29を製造し、3GT/CHDMと呼ぶ。ジメチルテレフタレート、エチレングリコールおよび1,3−プロパンジオールから調製されたコポリマーから実施例フィルム30を製造した。3G対2Gの比は本質的に70/30の比であり、3GT/2GTと呼ぶ。
【0165】
1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、ジメチルテレフタレートおよび1,3−プロパンジオールからの3GT/CHDM(約10モル%)コポリマーの調製は次の通りである。
【0166】
120lbのジメチルテレフタレート、12.3lbのCHDM、60lbの1,3−プロパンジオールおよび6.6グラムのチタネート触媒を25ガロンの反応器に投入した。(1,3−プロパンジオール+CHMD)対DMTのモル比は1.4:1であった。温度を200℃に上げ、2時間にわたり保持した。発生したメタノールを蒸留によって凝縮液として除去した。
【0167】
メタノールの発生が止まった後、得られたプレポリマーを異なるオートクレーブに移送し、250℃の温度および0.4mmHgの圧力で4時間にわたり重合させた。得られたランダムコポリマー樹脂をペレット化した。ポリマーの固有粘度は0.77dl/gであった。加工条件に関連したデータおよび実施例29の非晶質フィルムに関する結果を表22、23および24で以下に示している。
【0168】
ジメチルテレフタレート、1,3−プロパンジオールおよびエチレングリコールからの3GT/2GT(約30モル%)コポリマーの調製は次の通りである。
120lbのジメチルテレフタレート、47.5lbの3G、16lbの2Gおよび触媒としての18gのTyzor(R)TPTを25ガロンの反応器に投入した。(3G+2G)対DMTのモル比は1.4:1であった。温度を210℃に上げ、2時間にわたり保持した。発生したメタノールを蒸留によって凝縮液として除去した。
【0169】
メタノールの発生が止まった後、得られたプレポリマーをオートクレーブに移送し、250℃の温度および0.4mmHgの圧力で3時間にわたり重合させた。得られたコポリマー3GT/2GT樹脂をペレット化した。ランダムコポリマーの固有粘度は0.782dl/gであった。フィルムをキャスティングする前に、ポリマーを窒素パージオーブン内で130℃において3時間にわたり結晶化させた。その後、高温窒素の連続流れを用いて、結晶化されたポリマーを充填床ソリッドステーター内で182℃において8時間にわたりソリッドステート化した。
【0170】
(フィルムのキャスティング)
実施例フィルム1〜6および11を作成するために用いられたのと同じキャストフィルム装置単位で実施例フィルム29および30を作成した。加工条件を表22で示している。実施例フィルム1〜6に関する熱特性を測定するために用いられたのと同じDSC技術を用いて、フィルムサンプル29および30を作成するために用いられた非晶質樹脂の熱特性を測定した。実施例フィルム1〜6のために用いられたのと同じシール条件および装置を用いて、実施例フィルム29をヒートシールした。同様に、シール強度を測定するために、同じ滑り/剥離試験機を用いた。実施例フィルム29および30を製造するために用いられた非晶質樹脂の第一ヒート熱特性を表23にまとめている。実施例フィルム39および30に関するシール強度対シールバー設定点温度を表24に示している。
【0171】
【表29】
【0172】
【表30】
【0173】
【表31】
【0174】
(実施例31および32)
(40℃および80%RHでの4日にわたる状態調節後の伸びの残率)
前に引用した(特許文献5)では、40℃で5日にわたり貯蔵後に100%伸長(伸び)を有するコポリエステルフィルムが開示された。アニーリング条件および後続のフィルム伸張試験を次の通り記載する。
【0175】
(伸張)
40℃の温度および80%の相対湿度で5日にわたりフィルムを放置した後、本発明者らは、ASTM D−882−81(A)法に準拠して張力試験器(伸張試験機)を用いて300mm/分の伸張速度の速度で幅10mm×長さ50mmのフィルムサンプルの縦方向および横方向で破断伸張(%)を決定した。試験の回数(n)は方向ごとに5回であり、平均値を得た。
【0176】
本発明において特許請求された典型的なフィルムが所望の100%伸びを保持しないことを示すために、本発明者らは、状態調節装置が80±10%RHで40℃の試験期間7日にわたって維持された(特許文献5)において本質的に記載されたような条件で4日および7日にわたって状態調節する前後に実施例フィルム31および32に関する伸びを測定した。
【0177】
(フィルムの作成)
実施例9および10のソリッドステート化実施例樹脂から実施例フィルム31および32をキャスティングした。フィルムのキャスティング条件を表25に示している。
【0178】
(ASTM D882に準拠した引張試験)
幅12.7mm(0.5インチ)×長さ101.6mm(4インチ)のサンプルを実施例フィルム31および32から打ち抜いた。1サンプル組を機械方向(MD)に長軸として取り、1サンプル組を横方向(TD)に長軸として取った。6個のMD配向サンプルおよび6個のTD配向サンプルを各フィルムから取り、その後、50%RHおよび23℃(72°F)で2日にわたり状態調節した。状態調節後、(日本特許に従って)2インチのゲージ長さおよび300mm/分のXHSを備えたInstron Model4469設備を用いて、破断伸びをASTM D882方法Aに準拠して測定した。フィルムごとの別のMDサンプルおよびTDサンプルを40±0.5℃および80±10%RHで3.8日および7日にわたり状態調節した。高い状態調節後に、サンプルを放置して23℃および50%RHで再び平衡に保ち、その後、破断伸びを再び測定した。図29は、40℃での状態調節前後の実施例フィルム31および32に関する平均機械方向破断伸びをプロットしている。図30は、同じ状態調節期間後のTD破断伸びの変化をプロットしている。
【0179】
【表32】
本出願は、特許請求の範囲に記載の発明を含め、以下の発明を包含する。
(1) 約40℃〜約70℃の範囲内のガラス転移温度Tgから約70℃〜約150℃の範囲内の非晶質状態からのピーク結晶化温度Tcgに至る非晶質加工ウインドウを有する
二種の明確に異なるポリエステルのブレンドを含むことを特徴とする組成物。
(2) 前記非晶質加工ウインドウは、約48℃〜約70℃の範囲内のTgから約80℃〜約135℃の範囲内のTcgに至ることを特徴とする(1)に記載の組成物。
(3) 前記二種の明確に異なるポリエステルの少なくとも一方はポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーを含むことを特徴とする(1)に記載の組
成物。
(4) 融点Tmは約180℃〜約240℃の範囲内であることを特徴とする(1)に記載の組成物。
(5) IVは約0.4〜約2.0dl/gの範囲内であることを特徴とする(3)に記載の組成物。
(6) ポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーと、約5重量%〜約95重量%のポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーと
を含み、前記重量%がポリ(エチレンテレフタレート)およびポリ(トリメチレンテレフタレート)の全重量を基準にすることを特徴とするポリエステル組成物。
(7) 約30重量%〜約70重量%の前記ポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーを含むことを特徴とする(6)に記載の組成物。
(8) (6)に記載の組成物であって、そのような組成物が前記ホモポリマーの物理的ブレンドまたは各成分のコポリマーであることを特徴とする組成物。
(9) 物理的ブレンディング後の最終IVは少なくとも約0.80dl/gであることを特徴とする(6)に記載の組成物。
(10) (6)に記載の組成物であって、そのような組成物が、テレフタル酸、エチレングリコール、1,3−プロパンジオールおよび任意に他のエステル形成性モノマーの縮
重合によって形成されたコポリマーであることを特徴とする組成物。
(11) 前記非晶質加工ウインドウは、約40℃〜約70℃の範囲内のガラス転移温度Tgから約70℃〜約150℃の範囲内の非晶質状態からのピーク結晶化温度Tcgに至
ることを特徴とする(6)〜(10)のいずれかに記載の組成物。
(12) 前記組成物は、少なくとも50℃のTg、23℃で約5〜約12cc−mil/day−645cm2(100平方インチ)−atmの範囲の酸素透過率を示し、良好
な香味/臭気バリアを示すことを特徴とする(10)に記載の組成物。
(13) (1)〜(10)のいずれかに記載の組成物から製造されることを特徴とする物品。
(14) (1)〜(10)のいずれかに記載の組成物から製造されることを特徴とするフィルム。
(15) (11)に記載の組成物から製造されることを特徴とするフィルム。
(16) (14)に記載のフィルムを含むことを特徴とする多層フィルム。
(17) (15)に記載のフィルムを含むことを特徴とする多層フィルム。
(18) (16)に記載のフィルムから製造されることを特徴とする包装。
(19) (17)に記載のフィルムから製造されることを特徴とする包装。
(20) ポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーのTgを下げる方法であって、
(a)ポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーを、結晶化されたポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーに添加し、ブレン
ドを形成する工程と、
(b)少なくとも約6時間または十分な乾燥が行われるまで約120℃〜約130℃の範囲の温度で露点−20.5℃(−5°F)未満の乾燥空気の少なくとも0.028m3
/分(1ft3/分)の流れに前記ブレンドを曝すことにより前記ブレンドを乾燥させる工程と、
(c)前記ブレンドを溶融ブレンディングし、前記工程(a)のポリ(エチレンテレフタレート)より低いTgを有するポリマーを形成する工程とを含むことを特徴とする方法
。
(21) 低温ヒートシール可能なポリエステルフィルムを製造する方法であって、
(a)ポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーを、結晶化されたポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーに添加し、ブレン
ドを形成する工程と、
(b)少なくとも約6時間または十分な乾燥が行われるまで約120℃〜約130℃の範囲の温度で露点−20.5℃(−5°F)未満の乾燥空気の少なくとも0.028m3
/分(1ft3/分)の流れに前記ブレンドを曝すことにより前記ブレンドを乾燥させる工程と、
(c)前記ブレンドを溶融ブレンディングし、前記工程(a)のポリ(エチレンテレフタレート)より低いTgを有するポリマーを形成する工程とを含むことを特徴とする方法
。
(22) 熱および圧力を加えることにより二種の熱可塑性表面を互いにシールする二種の熱可塑性プラスチックをヒートシールする方法であって、前記熱可塑性プラスチックの
少なくとも一方が、ポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーとポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーとのブレンド、または
、それぞれのモノマーから形成されたコポリマーを含むポリエステル組成物を含むことを特徴とする方法。
(23) 前記ポリエステル組成物はポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーと、約20重量%〜約80重量%のポリ(トリメチレンテレフタレート)ホ
モポリマーまたはコポリマーとを含み、前記重量%はポリ(エチレンテレフタレート)およびポリ(トリメチレンテレフタレート)の全重量を基準にすることを特徴とする(21
)に記載の方法。
(24) 前記ポリエステル組成物は、約40℃〜約70℃の範囲内のガラス転移温度Tgから約70℃〜約150℃の範囲内の非晶質状態からのピーク結晶化温度Tcgに至る
非晶質加工ウインドウを示すことを特徴とする(22)に記載の方法。
(25) 二種の熱可塑性表面がヒートシールされた物品であって、前記熱可塑性表面の少なくとも一方が、ポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーとポ
リ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーとのブレンド、または、それぞれのモノマーから形成されたコポリマーを含むポリエステル組成物を含むことを
特徴とする物品。
(26) 前記ポリエステル組成物はポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーと、約5重量%〜約95重量%のポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモ
ポリマーまたはコポリマーとを含むことを特徴とする(24)に記載の物品。
(27) 前記ポリエステル組成物は、約40℃〜約70℃の範囲内のガラス転移温度Tgから約70℃〜約150℃の範囲内の非晶質状態からのピーク結晶化温度Tcgに至る
非晶質加工ウインドウを示すことを特徴とする(25)に記載の物品。
(28) ヒートシール可能なフィルムまたはシートを製造する方法であって、
(d)95〜5重量部のポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマー部分と、5〜95重量部のポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコ
ポリマー部分とを含む二種の明確に異なるポリエステル部分の混合物を押し出す工程であって、前記押し出し工程が235〜290℃の温度で1〜15分の押出機およびダイ内の
ポリマー滞留時間で行われる工程と、
(e)工程(a)で製造された押出ポリエステル溶融物を冷却する工程と、
(f)約40℃〜約70℃の範囲内のガラス転移温度Tgから約70℃〜約150℃の範囲内の非晶質状態からのピーク結晶化温度Tcgに至る非晶質加工ウインドウを有する
ポリエステルフィルムまたはシートを回収する工程とを含むことを特徴とする方法。
(29) 二種の明確に異なるポリエステル部分の前記混合物は、一方の明確に異なるポリエステル部分としてのポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーのペレット、ポリ
(エチレンテレフタレート)コポリマーのペレットまたはそれらの混合物と、もう一方の明確に異なるポリエステル部分としてのポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマ
ーのペレット、ポリ(トリメチレンテレフタレート)コポリマーのペレットまたはそれらの混合物とを含むことを特徴とする(28)に記載の方法。
(30) 少なくとも約6時間にわたり約120℃〜約130℃の範囲の温度で露点−20.5℃(−5°F)未満の乾燥空気の少なくとも0.028m3/分(1ft3/分)の
流れに前記部分または混合物を曝すことにより押出前に前記二種の明確に異なるポリエステル部分の一種以上を乾燥させる工程をさらに含むことを特徴とする(28)に記載の方
法。
(31) 二種の明確に異なるポリエステル部分の混合物の前記押出工程は、多層フィルムまたはシートの共押出に際して少なくとも一種の他のポリマーの押出工程と同時に行わ
れることを特徴とする(28)に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
48℃〜70℃の範囲内のガラス転移温度Tgから80℃〜135℃の範囲内の非晶質状態からのピーク結晶化温度Tcgに至る非晶質加工ウインドウを有する二種の明確に異なるポリエステルのブレンドを含む低温ヒートシール可能なポリエステル組成物であって、
前記ブレンドは、ポリ(エチレン テレフタレート/イソフタレート)コポリマー及びポリ(トリメチレン テレフタレート)ホモポリマー又はコポリマーである、
ことを特徴とするポリエステル組成物。
【請求項2】
融点Tmが、180℃〜240℃の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項3】
IVが、0.4〜2.0dl/gの範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項4】
前記ブレンドが、5重量%〜95重量%のポリ(トリメチレン テレフタレート)ホモポリマー又はコポリマーを含み、前記重量%がポリ(エチレン テレフタレート/イソフタレート)およびポリ(トリメチレン テレフタレート)の全重量を基準にすることを特徴とするポリエステル組成物。
【請求項5】
30重量%〜70重量%のポリ(トリメチレン テレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーを含むことを特徴とする請求項4に記載のポリエステル組成物。
【請求項6】
請求項4に記載のポリエステル組成物であって、そのような組成物が、各成分のホモポリマーまたはコポリマーの物理的ブレンドであることを特徴とするポリエステル組成物。
【請求項7】
物理的ブレンディング後の最終IVは少なくとも0.80dl/gであることを特徴とする請求項4に記載のポリエステル組成物。
【請求項8】
請求項4に記載のポリエステル組成物であって、そのような組成物が、テレフタル酸、イソフタル酸、エチレングリコール、1,3−プロパンジオールおよび任意に他のエステル形成性モノマーの縮重合によって形成されたコポリマーであることを特徴とするポリエステル組成物。
【請求項9】
前記非晶質加工ウインドウが、48℃〜70℃の範囲内のガラス転移温度Tgから80℃〜135℃の範囲内の非晶質状態からのピーク結晶化温度Tcgに至る範囲であることを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載のポリエステル組成物。
【請求項10】
前記組成物は、少なくとも50℃のTg、23℃で5〜12cc−mil/day−645cm2(100平方インチ)−atmの範囲の酸素透過率を示し、良好な香味/臭気バリアを示すことを特徴とする請求項8に記載のポリエステル組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の組成物から製造されることを特徴とする物品、包装またはフィルム。
【請求項12】
ポリ(エチレン テレフタレート/イソフタレート)コポリマーのTgを下げる方法であって、
(a)ポリ(トリメチレン テレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーを、結晶化されたポリ(エチレン テレフタレート/イソフタレート)コポリマーに添加し、ブレンドを形成する工程と、
(b)少なくとも6時間または十分な乾燥が行われるまで120℃〜130℃の範囲の温度で露点−20.5℃(−5°F)未満の乾燥空気の少なくとも0.028m3/分(1ft3/分)の流れに前記ブレンドを曝すことにより前記ブレンドを乾燥させる工程と、
(c)前記ブレンドを溶融ブレンディングし、前記工程(a)のポリ(エチレン テレフタレート/イソフタレート)より低いTgを有するポリマーを形成する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
前記工程(c)が、低温ヒートシール可能なポリエステルフィルムを製造するために用いられることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリエステル組成物が、ポリ(エチレン テレフタレート/イソフタレート)コポリマーと、20重量%〜80重量%のポリ(トリメチレン テレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーとを含み、前記重量%はポリ(エチレン テレフタレート/イソフタレート)およびポリ(トリメチレン テレフタレート)の全重量を基準にすることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
二種の熱可塑性表面がヒートシールされた物品であって、前記熱可塑性表面の少なくとも一方が、ポリ(エチレン テレフタレート/イソフタレート)コポリマーとポリ(トリメチレン テレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーとのブレンド、または、それぞれのモノマーから形成されたコポリマーを含む請求項1に記載のポリエステル組成物を含むことを特徴とする物品。
【請求項16】
前記ポリエステル組成物が、ポリ(エチレン テレフタレート/イソフタレート)コポリマー及び5重量%〜95重量%のポリ(トリメチレン テレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーを含むことを特徴とする、請求項15に記載の物品。
【請求項17】
前記ポリエステル組成物が、48℃〜70℃の範囲内のガラス転移温度Tgから80℃〜135℃の範囲内の非晶質状態からのピーク結晶化温度Tcgに至る非晶質加工ウインドウを示すことを特徴とする、請求項16に記載の物品。
【請求項18】
熱および圧力を加えることにより二種の熱可塑性表面を互いにシールする二種の熱可塑性プラスチックをヒートシールする、請求項15に記載の物品を製造する方法であって、
前記熱可塑性プラスチックの少なくとも一方が、ポリ(エチレン テレフタレート/イソフタレート)コポリマーとポリ(トリメチレン テレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーとのブレンド、または、それぞれのモノマーから形成されたコポリマーを含むポリエステル組成物を含むことを特徴とする、方法。
【請求項19】
前記ポリエステル組成物が、48℃〜70℃の範囲内のガラス転移温度Tgから80℃〜135℃の範囲内の非晶質状態からのピーク結晶化温度Tcgに至る非晶質加工ウインドウを示すことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項4に記載の組成物から、ヒートシール可能なフィルムまたはシートを製造する方法であって、
(a)請求項5に記載の二種の明確に異なるポリエステル部分の混合物を押し出す工程であって、前記押し出し工程が235〜290℃の温度で、1〜15分の、押出機およびダイ内のポリマー滞留時間で行われる工程と、
(b)工程(a)で製造された押出ポリエステル溶融物を冷却する工程と、
(c)48℃〜70℃の範囲内のガラス転移温度Tgから80℃〜135℃の範囲内の非晶質状態からのピーク結晶化温度Tcgに至る非晶質加工ウインドウを有するポリエステルフィルムまたはシートを回収する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
前記二種の明確に異なるポリエステル部分の混合物が、一方の明確に異なるポリエステル部分としての、ポリ(エチレン テレフタレート/イソフタレート)コポリマーのペレットと、もう一方の明確に異なるポリエステル部分としての、ポリ(トリメチレン テレフタレート)ホモポリマーのペレット、ポリ(トリメチレン テレフタレート)コポリマーのペレット、またはそれらの混合物と、を含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも6時間にわたり120℃〜130℃の範囲の温度で露点−20.5℃(−5°F)未満の乾燥空気の少なくとも0.028m3/分(1ft3/分)の流れに前記部分または混合物を曝すことにより、押出前に前記二種の明確に異なるポリエステル部分の一種以上を乾燥させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項23】
二種の明確に異なるポリエステル部分の混合物の前記押出工程は、多層フィルムまたはシートの共押出に際して少なくとも一種の他のポリマーの押出工程と同時に行われることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項1】
48℃〜70℃の範囲内のガラス転移温度Tgから80℃〜135℃の範囲内の非晶質状態からのピーク結晶化温度Tcgに至る非晶質加工ウインドウを有する二種の明確に異なるポリエステルのブレンドを含む低温ヒートシール可能なポリエステル組成物であって、
前記ブレンドは、ポリ(エチレン テレフタレート/イソフタレート)コポリマー及びポリ(トリメチレン テレフタレート)ホモポリマー又はコポリマーである、
ことを特徴とするポリエステル組成物。
【請求項2】
融点Tmが、180℃〜240℃の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項3】
IVが、0.4〜2.0dl/gの範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項4】
前記ブレンドが、5重量%〜95重量%のポリ(トリメチレン テレフタレート)ホモポリマー又はコポリマーを含み、前記重量%がポリ(エチレン テレフタレート/イソフタレート)およびポリ(トリメチレン テレフタレート)の全重量を基準にすることを特徴とするポリエステル組成物。
【請求項5】
30重量%〜70重量%のポリ(トリメチレン テレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーを含むことを特徴とする請求項4に記載のポリエステル組成物。
【請求項6】
請求項4に記載のポリエステル組成物であって、そのような組成物が、各成分のホモポリマーまたはコポリマーの物理的ブレンドであることを特徴とするポリエステル組成物。
【請求項7】
物理的ブレンディング後の最終IVは少なくとも0.80dl/gであることを特徴とする請求項4に記載のポリエステル組成物。
【請求項8】
請求項4に記載のポリエステル組成物であって、そのような組成物が、テレフタル酸、イソフタル酸、エチレングリコール、1,3−プロパンジオールおよび任意に他のエステル形成性モノマーの縮重合によって形成されたコポリマーであることを特徴とするポリエステル組成物。
【請求項9】
前記非晶質加工ウインドウが、48℃〜70℃の範囲内のガラス転移温度Tgから80℃〜135℃の範囲内の非晶質状態からのピーク結晶化温度Tcgに至る範囲であることを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載のポリエステル組成物。
【請求項10】
前記組成物は、少なくとも50℃のTg、23℃で5〜12cc−mil/day−645cm2(100平方インチ)−atmの範囲の酸素透過率を示し、良好な香味/臭気バリアを示すことを特徴とする請求項8に記載のポリエステル組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の組成物から製造されることを特徴とする物品、包装またはフィルム。
【請求項12】
ポリ(エチレン テレフタレート/イソフタレート)コポリマーのTgを下げる方法であって、
(a)ポリ(トリメチレン テレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーを、結晶化されたポリ(エチレン テレフタレート/イソフタレート)コポリマーに添加し、ブレンドを形成する工程と、
(b)少なくとも6時間または十分な乾燥が行われるまで120℃〜130℃の範囲の温度で露点−20.5℃(−5°F)未満の乾燥空気の少なくとも0.028m3/分(1ft3/分)の流れに前記ブレンドを曝すことにより前記ブレンドを乾燥させる工程と、
(c)前記ブレンドを溶融ブレンディングし、前記工程(a)のポリ(エチレン テレフタレート/イソフタレート)より低いTgを有するポリマーを形成する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
前記工程(c)が、低温ヒートシール可能なポリエステルフィルムを製造するために用いられることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリエステル組成物が、ポリ(エチレン テレフタレート/イソフタレート)コポリマーと、20重量%〜80重量%のポリ(トリメチレン テレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーとを含み、前記重量%はポリ(エチレン テレフタレート/イソフタレート)およびポリ(トリメチレン テレフタレート)の全重量を基準にすることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
二種の熱可塑性表面がヒートシールされた物品であって、前記熱可塑性表面の少なくとも一方が、ポリ(エチレン テレフタレート/イソフタレート)コポリマーとポリ(トリメチレン テレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーとのブレンド、または、それぞれのモノマーから形成されたコポリマーを含む請求項1に記載のポリエステル組成物を含むことを特徴とする物品。
【請求項16】
前記ポリエステル組成物が、ポリ(エチレン テレフタレート/イソフタレート)コポリマー及び5重量%〜95重量%のポリ(トリメチレン テレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーを含むことを特徴とする、請求項15に記載の物品。
【請求項17】
前記ポリエステル組成物が、48℃〜70℃の範囲内のガラス転移温度Tgから80℃〜135℃の範囲内の非晶質状態からのピーク結晶化温度Tcgに至る非晶質加工ウインドウを示すことを特徴とする、請求項16に記載の物品。
【請求項18】
熱および圧力を加えることにより二種の熱可塑性表面を互いにシールする二種の熱可塑性プラスチックをヒートシールする、請求項15に記載の物品を製造する方法であって、
前記熱可塑性プラスチックの少なくとも一方が、ポリ(エチレン テレフタレート/イソフタレート)コポリマーとポリ(トリメチレン テレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーとのブレンド、または、それぞれのモノマーから形成されたコポリマーを含むポリエステル組成物を含むことを特徴とする、方法。
【請求項19】
前記ポリエステル組成物が、48℃〜70℃の範囲内のガラス転移温度Tgから80℃〜135℃の範囲内の非晶質状態からのピーク結晶化温度Tcgに至る非晶質加工ウインドウを示すことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項4に記載の組成物から、ヒートシール可能なフィルムまたはシートを製造する方法であって、
(a)請求項5に記載の二種の明確に異なるポリエステル部分の混合物を押し出す工程であって、前記押し出し工程が235〜290℃の温度で、1〜15分の、押出機およびダイ内のポリマー滞留時間で行われる工程と、
(b)工程(a)で製造された押出ポリエステル溶融物を冷却する工程と、
(c)48℃〜70℃の範囲内のガラス転移温度Tgから80℃〜135℃の範囲内の非晶質状態からのピーク結晶化温度Tcgに至る非晶質加工ウインドウを有するポリエステルフィルムまたはシートを回収する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
前記二種の明確に異なるポリエステル部分の混合物が、一方の明確に異なるポリエステル部分としての、ポリ(エチレン テレフタレート/イソフタレート)コポリマーのペレットと、もう一方の明確に異なるポリエステル部分としての、ポリ(トリメチレン テレフタレート)ホモポリマーのペレット、ポリ(トリメチレン テレフタレート)コポリマーのペレット、またはそれらの混合物と、を含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも6時間にわたり120℃〜130℃の範囲の温度で露点−20.5℃(−5°F)未満の乾燥空気の少なくとも0.028m3/分(1ft3/分)の流れに前記部分または混合物を曝すことにより、押出前に前記二種の明確に異なるポリエステル部分の一種以上を乾燥させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項23】
二種の明確に異なるポリエステル部分の混合物の前記押出工程は、多層フィルムまたはシートの共押出に際して少なくとも一種の他のポリマーの押出工程と同時に行われることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
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【図29】
【図30】
【公開番号】特開2012−229447(P2012−229447A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−184322(P2012−184322)
【出願日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【分割の表示】特願2002−570636(P2002−570636)の分割
【原出願日】平成13年9月6日(2001.9.6)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−184322(P2012−184322)
【出願日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【分割の表示】特願2002−570636(P2002−570636)の分割
【原出願日】平成13年9月6日(2001.9.6)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】
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