説明

低炭素木材用乾澡機

【課題】課題は、低炭素社会への貢献であり、化石燃料の消費量を低減させる産業機械を世に出す。
【解決手段】低炭素木材用乾燥機は乾燥機能調湿材として木材を使用し、調湿性機能と遠赤外線の両機能を持つ炭を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
化石燃料の使用をゼロか、あるいは最小限にし、しかも遠赤外線を最大限に放出させることにより木材細胞を破壊させることなく木材を乾燥させる技術である。
【背景技術】
【0002】
従来の木材乾燥技術には、高温乾燥法、蒸気式乾燥法の他、蒸気加熱乾燥、蒸煮加熱乾燥、煙道乾燥、燻煙乾燥、薬品乾燥、高周波(マイクロ波)乾燥、蒸気・高周波複合乾燥、高周波加熱式真空乾燥、真空減圧乾燥、赤外線加熱乾燥、熱板加熱乾燥などがあり、いずれも細胞を極度に破壊させるものであり、化石燃料を多く消費し、設備コストに数億円を要するものが多い。
【0003】
低価格の乾燥機では、低温除湿乾燥機があるが、割れやヒビは発生しにくいものの、含水率が100%以上の材の場合、1ヶ月以上の乾燥時間を要し、更に含水率を20%以下にすることが困難であることから、建築材料として適しているとは言い難く、よって生産性が極めて悪く、乾燥コストが安いとは言えない。
【0004】
短時間乾燥技術では、蒸気・高周波複合乾燥、高周波加熱式真空乾燥、真空減圧乾燥があるが、装置と関連部材を購入する設備投資が数億円であり、林業が求めている低コストで広範な使用や、汎用性、市場性に乏しい。更に、物理的に強制減圧や高周波を使うため材中の細胞が極度に破壊、損傷されるため、材の長期的保存、耐久性、強度が著しく損なわれる。
【0005】
広く一般的に導入されている蒸気式高温乾燥機があるが、乾燥処理工程にて、最初に80℃前後の高温蒸気で木材細胞をふやかし、更に100℃から130℃にて高温処理するため、木材細胞は完全に破壊、損傷されるため、材の長期的保存、耐久性、強度が著しく損なわれ、地震などの大規模災害の多い日本のような国では採用すべきでない乾燥技術と言える。更に、燃料として重油、灯油及び電力を多量に使用するため、CO2を大量に発生させて地球のCO2削減あるいは低炭素社会に逆行させるものであり、地球の温暖化を広範範囲に助長するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第1の課題は、低炭素社会に適合する木材用乾燥機を生産すること。
【0007】
第2の課題は、設備コストが安い木材用乾燥機を生産すること。
【0008】
第3の課題は、木材の細胞を破壊させないで、短時間で含水率を15%以下に乾燥させる木材用乾燥機を生産すること。
【課題を解決するための手段】
【0009】
今日の木材用乾燥機で市場の8割以上を占有する蒸気式高温乾燥機は重油あるいは灯油を使用するが、躯体の大きさにより、月額の燃費が60万円から120万円である。本発明の低炭素木材用乾燥機は、電気あるいはバイオマス燃料を使用する訳であるが、月額の燃費は2万円から4万円であり、従来型の1/30である。化石燃料の使用が著しく少ないことから、低炭素社会に適合するという第1の課題を解決する。
【0010】
今日の木材用乾燥機で市場の8割以上を占有する蒸気式高温乾燥機の設備コストは、内容積が100m3のものが、4000万円前後であるのに対し、本発明の低炭素木材用乾燥機の設備コストは、同容積で、約400万円(1/10)である。内容積が200m3の場合は、前者が約1億円であるのに対し、後者は1000万円(1/10)である。このことから、第2の課題を解決する。
【0011】
本発明の低炭素木材用乾燥機の躯体の内部の温度を、摂氏15度から45度に設定することにより、乾燥させようとする木材の細胞を一切破壊しない。さらに床、天井、および4面の壁のすべてに炭素化合物を敷設、あるいは挿入させた場合には、遠赤外線の放射量が躯体の全体面から最大限に引き出せることから、木材を短時間で乾燥でき、含水率を容易に15%以下にすることが可能となる。このことから、第3の課題を解決する。
【発明の効果】
【0012】
躯体の床、天井、および4面の壁のすべてに、調湿機能と遠赤外線放機能を兼ね備えている炭、とくに請求項4の炭(出雲土建株式会社の製造で、製品名は炭八)を敷設あるいは挿入した場合の効果は以下である。
【0013】
低炭素木材用乾燥機の大きさ(スタンダード)は、長さが10メートル、高さが4メートル、幅が4メートルで、内容積160m3の中型サイズ。躯体内の設定温度が30度。乾燥する木材はスギ。スギの初期含水率が140%。スギ(角材)の大きさは、厚さが75ミリ、幅が75ミリ、長さが4000ミリ。スギは桟積みし、積み上げる限界である40m3を挿入。乾燥時間は5日間。
【0014】
5日間の結果は、スギの含水率は平均で15%以下。JAS規格である平均含水率を20%下回った。更に、ほとんどが表面割れも内部割れも発生せず、変色せず、狂いが発生しなかった。このことにより、発明の効果を確認した。
【発明の実施するための形態】
【0015】
請求項5の炭素化合物である酸化物の二酸化炭素、一酸化炭素、亜酸化炭素、一酸化二炭素、三酸化炭素、あるいは酸化物から誘導される化合物である金属カルボニル、炭酸、炭酸水素塩、炭酸塩、あるいはイオン化合物であるシアン化物、イソニトリル、シアン酸塩、チオシアン酸塩、カーバイドはいずれも調湿性を持つものであるが、調湿性と遠赤外線の両機能を備え持つ調湿材は、炭であった。炭の中でもとくに請求項4の炭(炭八)は顕著であった。
【0016】
請求項6の調湿材である木質材、セルロース、パルプ、ケナフ、珪藻頁岩、珪藻土、鹿沼土、珪砂、珪酸、アルミナ、アロフェン、イモゴライト、シリカゲル、シリカ、シラスバルーン、セピオライト、ゼオライト、ゾノトライト、タルク、デシカイト、パーライト、パルクエース、ベントナイト、モンモリロナイト、クレー、スラグ、普通ポルトランドセメント、消石灰、生石灰、グラスウール、ロックウール、ワラストナイト、セピオライトいずれも調湿性を持つものであるが、調湿性と遠赤外線の両機能を備え持つ調湿材は、炭であった。炭の中でもとくに請求項4の炭(炭八)は顕著であった。
【0017】
請求項7の調湿材である塩化カルシウム、酸化カルシウム、臭化カルシウム、炭酸カルシウム、金属カルシウム、チタン酸カルシウム、塩化マグネシウム、酸化マグネシウム、臭化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化ランタン、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、無水硫酸ナトリウム、五酸化リン、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、炭酸リチウム、水酸化リチウム、臭化リチウム、塩化リチウム、金属リチウム、硼酸リチウム、弗化リチウム、酢酸リチウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸セシウム、珪酸リチウム、次亜塩素酸リチウム、ノルマルブチルリチウム、セカンダリーブチルリチウム、塩化ストロンチウム、水素化ストロンチウム、水酸化アルミニウム、水素化アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、塩化カリウム、臭化カリウム、水酸化カリウム、塩化アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素アンモニウム、リン酸アンモニウム、硫化アンモニウム、塩化アンモニウム、スルファミン酸グアニジン、リン酸グアニジン、塩化コバルト、グリセリン、リン酸、尿素、塩化亜鉛、塩化鉄、硫酸、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、硫酸アンモニウム鉄、硫酸水素カリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸ニッケル、硫酸マグネシウム、塩化パラジウム、塩化バリウム、酸化バリウム、リボースはいずれも調湿性が高いものであるが、請求項6の調湿材に混合あるいは注入する必要性があり、躯体の製造に時間と手間を要する。更に、コスト面からの優位性を考慮すると請求項4の炭(炭八)が本発明には最も適している。
【0018】
発明を実施するための形態としては、乾燥機躯体を製造するためには、木造家屋建築の要領で、基礎、土台、柱、梁、桁、間柱、天井などをパネル化して製造する。構造材には、すべてを木質材にすることが望ましい。長期の使用に耐えるためには金属を出来るだけ少なく使用することが望ましい。
【0019】
調湿材の炭は、床下に敷設することで基礎部位からの水分が躯体内部に侵入するのを防ぐ機能を持つため、床下への敷設には欠かせない。次に、木材を短時間で乾燥させる効果は遠赤外線の放射であるが、調湿能力と遠赤外線放射能力の両機能を持つ炭、とくに炭八は、4面の壁と天井の全体に設置することがより高い効果を得ることが出来る。この炭を4面と天井のパネルの内部に挿入する。
【実施例】
【0020】
木材用乾燥機の躯体のすべての床、壁、天井に、請求項4の炭八を使用する。炭八はメッシュ状生地の不織布袋に入っており、木炭粉の飛散がないことと、通気性が良好であることから調湿機能を妨げない。また、パネルの壁内部に設置するのが簡単であることから施工性が優れている。
【0021】
床下には基礎の上に、まず発泡スチロールを敷き詰め、その上に炭八を吸湿量を考慮して全体に敷きこむ。壁および天井にはパネルの間に炭八を挿入する。施工性が単純で、短時間での建造が可能である。
【0022】
躯体の内部には、1kw遠赤外線ヒーターを躯体の大きさに合わせて壁側に設置する。設置数量は、躯体の内容積が100m3の場合は、4本(合計で4kw)、200m3の場合には、8本(合計で8kw)とする。
【0023】
パネルの内壁には、木材から放出する水分を吸湿しやすくするため、板を張らずにメッシュの生地あるいはプラスチックで覆うのが相応しい。また、外壁には、パネルの炭が吸湿した水を外に排出するために、適量の穴をあけて通気性を良くした板材を張るのが相応しい。
【0024】
躯体内の設定温度は、25度から30℃が通常である。但し、乾燥する材の種類、大きさ、初期含水率、針葉樹か広葉樹か、などにより温度は異なる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
低炭素木材用乾燥機の設備コストが、通常の蒸気式高温乾燥機に比べ、約1/10で販売することが可能であることから、今日、低迷している林業および製材業において利用の可能性は大きい。
【0026】
低炭素木材用乾燥機の燃費コストが、通常の蒸気式高温乾燥機に比べ、約1/30であることから、ランニングコストの劇的な低減を享受することが出来る。これはユーザーにとっての優位性ではあるが、化石燃料を多量に使用しないで済むことから、低炭素社会の向上にとり産業界にとり大きな優位性が見込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体が床、天井、および4面の壁で出来ており、これらの6面をパネル化して、パネルの壁の中に調湿材を敷設、あるいは挿入して、躯体の内部の温度を、摂氏15度から45度に設定して木材を乾燥させる木材用乾燥機。
【請求項2】
請求項1の調湿材が炭素化合物である木材用乾燥機。
【請求項3】
請求項2の炭素化合物が炭である木材用乾燥機。
【請求項4】
請求項2の炭素化合物が炭であり、炭の炭化後の長径が15mm以下の炭の割合が炭全体の90重量%以上を占め、嵩密度が0.093kg/l〜0.156kg/lであることを特徴とする炭を使用する木材用乾燥機。
【請求項5】
請求項1の調湿材が、酸化物である二酸化炭素、一酸化炭素、亜酸化炭素、一酸化二炭素、三酸化炭素、あるいは酸化物から誘導される化合物である金属カルボニル、炭酸、炭酸水素塩、炭酸塩、あるいはイオン化合物であるシアン化物、イソニトリル、シアン酸塩、チオシアン酸塩、カーバイドのいずれか1種、あるいは2種以上である木材用乾燥機。
【請求項6】
請求項1の調湿材が、木質材、セルロース、パルプ、ケナフ、珪藻頁岩、珪藻土、鹿沼土、珪砂、珪酸、アルミナ、アロフェン、イモゴライト、シリカゲル、シリカ、シラスバルーン、セピオライト、ゼオライト、ゾノトライト、タルク、デシカイト、パーライト、パルクエース、ベントナイト、モンモリロナイト、クレー、スラグ、普通ポルトランドセメント、消石灰、生石灰、グラスウール、ロックウール、ワラストナイト、セピオライトのいずれが1種、あるいは2種以上を混合させた木材用乾燥機。
【請求項7】
請求項1の調湿材が、塩化カルシウム、酸化カルシウム、臭化カルシウム、炭酸カルシウム、金属カルシウム、チタン酸カルシウム、塩化マグネシウム、酸化マグネシウム、臭化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化ランタン、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、無水硫酸ナトリウム、五酸化リン、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、炭酸リチウム、水酸化リチウム、臭化リチウム、塩化リチウム、金属リチウム、硼酸リチウム、弗化リチウム、酢酸リチウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸セシウム、珪酸リチウム、次亜塩素酸リチウム、ノルマルブチルリチウム、セカンダリーブチルリチウム、塩化ストロンチウム、水素化ストロンチウム、水酸化アルミニウム、水素化アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、塩化カリウム、臭化カリウム、水酸化カリウム、塩化アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素アンモニウム、リン酸アンモニウム、硫化アンモニウム、塩化アンモニウム、スルファミン酸グアニジン、リン酸グアニジン、塩化コバルト、グリセリン、リン酸、尿素、塩化亜鉛、塩化鉄、硫酸、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、硫酸アンモニウム鉄、硫酸水素カリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸ニッケル、硫酸マグネシウム、塩化パラジウム、塩化バリウム、酸化バリウム、リボースのいずれか1種、または2種以上を含有した木材用乾燥機。
【請求項8】
請求項1の温度が、摂氏25度から30度の間である木材用乾燥機。
【請求項9】
請求項1のパネル化を、パネル化しないで、調湿材をそのまま壁にして使用する木材用乾燥機。

【公開番号】特開2012−25138(P2012−25138A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178051(P2010−178051)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(501410757)日本不燃木材株式会社 (10)
【出願人】(595161773)
【出願人】(504193712)
【出願人】(503095723)
【Fターム(参考)】