説明

低粘度を有するイオン性液体

本発明は、特に電気化学の領域において、および化学反応を行うための溶媒として用いるための、低粘度および高い電気化学的安定性を有するイオン性液体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低粘度および高い電気化学的安定性を有するイオン性液体に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン性液体または液体塩は、有機カチオンおよび一般的に無機アニオンからなるイオン性種である。これらは、中性の分子を含まず、通常373Kより低い融点を有する。
【0003】
可能性のある用途が多種多様であるため、イオン性液体の領域において集中的な研究が現在行われている。イオン性液体に関する総説記事は、例えばR. Sheldon "Catalytic reactions in ionic liquids", Chem. Commun., 2001, 2399-2407; M.J. Earle, K.R. Seddon "Ionic liquids. Green solvent for the future”, Pure Appl. Chem., 72 (2000), 1391-1398; P. Wasserscheid, W. Keim "Ionic Fluessigkeiten - neue Loesungen fuer die Uebergangsmetallkatalyse" [Ionic Liquids - Novel Solutions for Transition-Metal Catalysis], Angew. Chem., 112 (2000), 3926-3945; T. Welton "Room temperature ionic liquids. Solvents for synthesis and catalysis”, Chem. Rev., 92 (1999), 2071-2083またはR. Hagiwara, Ya. Ito "Room temperature ionic liquids of alkylimidazolium cations and fluoroanions”, J. Fluorine Chem., 105 (2000), 221-227である。
【0004】
イオン性液体の特性、例えば融点、熱安定性および電気化学的安定性並びに粘度は、アニオンの性質により大幅に影響される。対照的に、極性および親水性または親油性を、カチオン/アニオン対を好適に選択することにより変化させることができる。
【0005】
粘度は、特に電気化学の領域における用途において、および化学反応を行うための好適な溶媒を選択する場合に、主要な作用を奏する。イオン性液体が過度に粘性である場合には、イオンの拡散は、電気化学的用途において過度に遅くなり、電気化学的プロセスは、過度に遅く進行する。化学反応の場合において、比較的粘性の液体中の反応物質の低下した質量依存性移動度の結果、反応速度の低下がもたらされる。例えば[N(CN)]、[N(CF]またはチオシアン酸アニオンを含有し、比較的低い粘度を有する多種のイオン性液体が、この問題を解決するために提案されている。しかし、この利点にもかかわらず、上記の系は、これらの加水分解安定性および熱安定性並びに酸化および/または還元に対するこれらの安定性がこれらの用途のためには不十分であるため、実際的な用途がほとんど見出されていない。
【発明の開示】
【0006】
従って、目的は、電気化学的用途において、および化学反応を行うための溶媒として用いるのに適するイオン性液体を開発することにあった。
【0007】
従って、本発明は、カチオンおよびアニオンを含むイオン性液体であって、粘度が10〜100mm/sであり、還元および酸化に対する電気化学的安定性(電気化学的帯(electrochemical window))が4.5Vより高い、前記イオン性液体に関する。電気化学的安定性についての4.5Vの値は、電気化学的帯全体に基づく。即ち、これは、還元から酸化までの範囲全体にわたる。この複雑な要求プロフィールを満たすイオン性液体は、電気化学的用途において、および有機合成において用いるのに特に好適であり、従って化学的プロセスのための新規な反応媒体への手段を可能にする。
【0008】
本発明において、粘度は、動粘性率であり、これは、動的粘度と液体の密度との比率により定められる。この粘度は、本発明のイオン性液体において、10〜100mm/s、好ましくは20〜60mm/sである。動粘性率についての上記の限界範囲は、動的粘度について10〜170mPa・s(cp)の値に相当する。本発明において、動粘性率は、Anton Paar SVM 3000回転式粘度計を用いて、およびASTM InternationalからのASTM D7042基準、"Standard Test Method for Dynamic Viscosity and Density of Liquids by Stabinger Viscometer (and the Calculation of Kinematic Viscosity)"に従って決定される。
【0009】
電気化学的安定性は、サイクリックボルタンメトリーにより決定される。
本発明の目的のために、測定を、Autolab PGSTAT 30装置(Eco Chemie)を用いて行う。本発明において示される電気化学的帯についての値を、CHCNに溶解した0.5モラー溶液中で、作用電極としてのガラス状炭素電極、白金電極およびAg/AgNO(CHCN)基準電極を用いて測定した。ポテンシャル値は、フェロセンのEを基準とする。
【0010】
さらに、イオン性液体の純度は、同様に主要な作用を奏する。特に、前述の用途において、純度、即ち不純物が存在しないことは、有用性についての臨界的に重要な基準である。本発明のイオン性液体は、好ましくは、100ppmより低い塩化物含量を有する。粘性、電気化学的安定性および純度の要件を満たすイオン性液体は、前述の用途において用いるのに特に好適である。実際に、電気化学的用途において、または化学反応のための溶媒として用いることに関して改善を達成することを可能にするのは、これらのパラメーターの組み合わせのみである。
【0011】
特に、アニオンが、式[(RP(O)]に適合し、ここでR
(C2n−x+1
の意味を有し、ここでn=1〜6およびx=0〜4であり、ここでn=1について、xは0〜2でなければならない場合に、イオン性液体は、前述の基準を満たす。
は、好ましくはCF、C、CまたはCを示す。アニオンは、特に好ましくは[(CP(O)]である。
【0012】
化学的に類似するアニオンを含有する化合物は、イオン伝導性材料の調製のための非プロトン性溶媒中の追加の構成成分としてUS 6,682,855に述べられており、US 6,682,855の化合物は、パーフルオロ化されたアルキル基が存在する場合には、少なくとも1個のフッ素原子がリンに結合していなければならない点で、本発明の化合物と異なる。これらの化合物と対応する溶媒との組み合わせにより、前述の化合物の粘度は、作用を奏しない。その理由は、イオン伝導性材料の粘度が、溶媒により臨界的に決定されるからである。本発明において、対照的に、イオン性液体の粘度は、特に有機合成のための新規な反応媒体として用いる場合には、臨界的に重要な作用を奏する。
【0013】
本発明のイオン性液体のカチオンの選択に関しては、自体制限はない。しかし、好ましいのは、有機カチオン、特に好ましくはアンモニウム、ホスホニウム、ウロニウム、チオウロニウム、グアニジニウムまたは複素環式カチオンである。
【0014】
アンモニウムカチオンを、例えば式(1)
[NR (1)
により記載することができ、式中、
Rは、各々の場合において互いに独立して、
H(ただし式(1)中の少なくとも2つの置換基RはHである)、
OR’、NR’(ただし式(1)中の多くとも1つの置換基RはOR’またはNR’である)、
1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル
を示し、
ここで、1つまたは2つ以上のRは、ハロゲン、特に−Fおよび/または−Clにより部分的に、もしくは完全に、または−OH、−OR’、−CN、−C(O)OH、−C(O)NR’、−SONR’、−C(O)X、−SOOH、−SOXもしくは−NOにより部分的に置換されていてもよく、またここで、α位にはないRの1個または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−SOO−、−C(O)−、−C(O)O−、−NR’−、−P(O)R’O−、−C(O)NR’−、−SONR’−、−OP(O)R’O−、−P(O)(NR’)NR’−、−PR’=N−および−P(O)R’−の群から選択された原子および/または原子団により置換されていてもよく、ここでR’は、=H、フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、もしくはパーフルオロ化されているC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、または非置換の、もしくは置換されているフェニルであってもよく、Xは、ハロゲンであってもよい。
【0015】
ホスホニウムカチオンを、例えば式(2)
[PR (2)
により記載することができ、式中、
は、各々の場合において、互いに独立して、
H、OR’、NR’
1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル
を示し、
ここで、1つまたは2つ以上のRは、ハロゲン、特に−Fおよび/または−Clにより部分的に、もしくは完全に、または−OH、−OR’、−CN、−C(O)OH、−C(O)NR’、−SONR’、−C(O)X、−SOOH、−SOXもしくは−NOにより部分的に置換されていてもよく、またここで、α位にはないRの1個または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−SOO−、−C(O)−、−C(O)O−、−NR’−、−P(O)R’O−、−C(O)NR’−、−SONR’−、−OP(O)R’O−、−P(O)(NR’)NR’−、−PR’=N−および−P(O)R’−の群から選択された原子および/または原子団により置換されていてもよく、ここでR’=H、フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、もしくはパーフルオロ化されているC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、または非置換の、もしくは置換されているフェニルであり、X=ハロゲンである。
【0016】
しかし、式(1)および(2)で表され、式中4つまたは3つの置換基RおよびRがすべてハロゲンにより完全に置換されているカチオン、例えばトリス(トリフルオロメチル)メチルアンモニウムカチオン、テトラ(トリフルオロメチル)アンモニウムカチオンまたはテトラ(ノナフルオロブチル)アンモニウムカチオンは、除外される。
【0017】
ウロニウムカチオンを、例えば式(3)
[(RN)−C(=OR)(NR)] (3)
により記載することができ、チオウロニウムカチオンを、式(4)
[(RN)−C(=SR)(NR)] (4)
により記載することができ、
式中、
〜Rは、各々、互いに独立して、
水素(ここで水素はRについては除外される)、
1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル
を示し、
ここで、置換基R〜Rの1つまたは2つ以上は、ハロゲン、特に−Fおよび/または−Clにより部分的にもしくは完全に、または−OH、−OR’、−CN、−C(O)OH、−C(O)NR’、−SONR’、−C(O)X、−SOOH、−SOXもしくは−NOにより部分的に置換されていてもよく、またここで、α位にはないR〜Rの1個または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−SOO−、−C(O)−、−C(O)O−、−NR’−、−P(O)R’O−、−C(O)NR’−、−SONR’−、−OP(O)R’O−、−P(O)(NR’)NR’−、−PR’=N−および−P(O)R’−の群から選択された原子および/または原子団により置換されていてもよく、ここでR’=H、フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、もしくはパーフルオロ化されているC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、または非置換の、もしくは置換されているフェニルであり、X=ハロゲンである。
【0018】
グアニジニウムカチオンを、式(5)
[C(NR)(NR1011)(NR1213)] (5)
により記載することができ、式中、
〜R13は、各々、互いに独立して、
水素、−CN、NR’、−OR’、
1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル
を示し、
ここで、置換基R〜R13の1つまたは2つ以上は、ハロゲン、特に−Fおよび/または−Clにより部分的にもしくは完全に、または−OH、−OR’、−CN、−C(O)OH、−C(O)NR’、−SONR’、−C(O)X、−SOOH、−SOXもしくは−NOにより部分的に置換されていてもよく、またここで、α位にはないR〜R13の1個または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−SOO−、−C(O)−、−C(O)O−、−NR’−、−P(O)R’O−、−C(O)NR’−、−SONR’−、−OP(O)R’O−、−P(O)(NR’)NR’−、−PR’=N−および−P(O)R’−の群から選択された原子および/または原子団により置換されていてもよく、ここでR’=H、フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、もしくはパーフルオロ化されているC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、または非置換の、もしくは置換されているフェニルであり、X=ハロゲンである。
【0019】
さらに、一般式(6)
[HetN] (6)
で表されるカチオンを用いることが可能であり、式中、
HetNは、
【化1】

【0020】
【化2】

の群から選択される複素環式カチオンを示し、
【0021】
ここで、置換基
1’〜R4’は、各々、互いに独立して、
水素、−CN、−OR’、−NR’、−P(O)R’、−P(O)(OR’)、−P(O)(NR’、−C(O)R’、−C(O)OR’、
1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のヘテロアリール、ヘテロアリール−C〜Cアルキルまたはアリール−C〜Cアルキル
を示し、
【0022】
ここで、置換基R1’、R2’、R3’および/またはR4’は、一緒にまた環系を形成してもよく、
ここで、1つまたは2つ以上の置換基R1’〜R4’は、ハロゲン、特に−Fおよび/または−Cl、または−OH、−OR’、−CN、−C(O)OH、−C(O)NR’、−SONR’、−C(O)X、−SOOH、−SOXもしくは−NOにより部分的にもしくは完全に置換されていてもよいが、ここでR1’およびR4’は、同時にはハロゲンにより完全に置換されていてはならず、またここで、ヘテロ原子に結合していない置換基R1’〜R4’の1個または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−SOO−、−C(O)−、−C(O)O−、−NR’−、−P(O)R’O−、−C(O)NR’−、−SONR’−、−OP(O)R’O−、−P(O)(NR’)NR’−、−PR’=N−および−P(O)R’−から選択された原子および/または原子団により置換されていてもよく、ここでR’=H、フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、もしくはパーフルオロ化されているC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、または非置換の、もしくは置換されているフェニルであり、X=ハロゲンである。
【0023】
本発明の目的のために、完全に不飽和の置換基はまた、芳香族置換基を意味するものと解釈される。
本発明において、式(1)〜(5)で表される化合物の好適な置換基RおよびR〜R13は、水素以外には、好ましくは以下のものである:C〜C20、特にC〜C14アルキル基、およびC〜Cアルキル基により置換されていてもよい、飽和の、または不飽和の、即ちまた芳香族のC〜Cシクロアルキル基、特にフェニル。
【0024】
式(1)または(2)で表される化合物中の置換基RおよびRは、同一であっても異なっていてもよい。置換基RおよびRは、好ましくは異なっている。
置換基RおよびRは、特に好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシルまたはテトラデシルである。
【0025】
グアニジニウムカチオン[C(NR)(NR1011)(NR1213)]の4つまでの置換基はまた、単環式、二環式または多環式カチオンが形成するように、対に結合していてもよい。
【0026】
一般性を限定せずに、このようなグアニジニウムカチオンの例は、以下のものである:
【化3】

式中、置換基R〜R10およびR13は、上記で示した意味または特に好ましい意味を有することができる。
【0027】
所望により、上記に示したグアニジニウムカチオンの炭素環式または複素環式環はまた、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、NO、F、Cl、Br、I、OH、C〜Cアルコキシ、SCF、SOCF、COOH、XおよびR’が上記で示した意味を有するSONR’、SOX’もしくはSOH、置換もしくは非置換フェニルまたは非置換もしくは置換複素環により置換されていてもよい。
【0028】
ウロニウムカチオン[(RN)−C(=OR)(NR)]またはチオウロニウムカチオン[(RN)−C(=SR)(NR)]の4つまでの置換基はまた、単環式、二環式または多環式カチオンが形成するように、対に結合していてもよい。
【0029】
一般性を限定せずに、このようなカチオンの例を、以下に示し、ここでY=OまたはSである:
【化4】

式中、置換基R、RおよびRは、上記で示した意味または特に好ましい意味を有することができる。
【0030】
所望により、上に示したカチオンの炭素環式または複素環式環はまた、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、NO、F、Cl、Br、I、OH、C〜Cアルコキシ、SCF、SOCF、COOH、SONR’、SOXもしくはSOHまたは置換もしくは非置換フェニルまたは非置換もしくは置換複素環により置換されていてもよく、ここでXおよびR’は、上記で示した意味を有する。
【0031】
置換基R〜R13は、各々、互いに独立して、好ましくは1〜10個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル基である。式(3)〜(5)で表される化合物中の置換基RおよびR、RおよびR、RおよびR、R10およびR11並びにR12およびR13は、ここでは同一であっても異なっていてもよい。R〜R13は、特に好ましくは、各々、互いに独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、フェニルまたはシクロヘキシル、極めて特に好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルまたはn−ブチルである。
【0032】
本発明において、式(6)で表される化合物の好適な置換基R1’〜R4’は、水素以外には、好ましくは以下のものである:C〜C20、特にC〜C12アルキル基、およびC〜Cアルキル基により置換されていてもよい、飽和の、または不飽和の、即ちまた芳香族のC〜Cシクロアルキル基、特にフェニル。
【0033】
置換基R1’およびR4’は、各々、互いに独立して、特に好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、シクロヘキシル、フェニルまたはベンジルである。これらは、極めて特に好ましくはメチル、エチル、n−ブチルまたはヘキシルである。ピロリジニウム、ピペリジニウムまたはインドリニウム化合物において、2つの置換基R1’およびR4’は、好ましくは異なっている。
【0034】
置換基R2’またはR3’は、各々の場合において、互いに独立して、特に水素、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロヘキシル、フェニルまたはベンジルである。R2’は、特に好ましくは水素、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチルまたはsec−ブチルである。R2’およびR3’は、極めて特に好ましくは水素である。
【0035】
〜C12アルキル基は、例えばメチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル、さらにまたペンチル、1−、2−もしくは3−メチルブチル、1,1−、1,2−もしくは2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシルまたはドデシル、随意にジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピルまたはノナフルオロブチルである。
【0036】
2〜20個のC原子を有し、ここで複数の二重結合がまた存在してもよい、直鎖状または分枝状アルケニルは、例えば、アリル、2−もしくは3−ブテニル、イソブテニル、sec−ブテニル、さらに4−ペンテニル、イソペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、−C17、−C1019〜−C2039;好ましくはアリル、2−もしくは3−ブテニル、イソブテニル、sec−ブテニル、さらに好ましくは4−ペンテニル、イソペンテニルまたはヘキセニルである。
【0037】
2〜20個のC原子を有し、ここで複数の三重結合がまた存在してもよい、直鎖状または分枝状アルキニルは、例えば、エチニル、1−もしくは2−プロピニル、2−もしくは3−ブチニル、さらに4−ペンチニル、3−ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、−C15、−C1017〜−C2037、好ましくはエチニル、1−もしくは2−プロピニル、2−もしくは3−ブチニル、4−ペンチニル、3−ペンチニルまたはヘキシニルである。
【0038】
アリール−C〜Cアルキルは、例えば、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フェニルブチル、フェニルペンチルまたはフェニルヘキシルを示し、ここでフェニル環およびまたアルキレン鎖は共に、上記のように、ハロゲン、特に−Fおよび/または−Clにより部分的にもしくは完全に、または−OH、−OR’、−CN、−C(O)OH、−C(O)NR’、−SONR’、−C(O)X、−SOOH、−SOX、−NOにより部分的に置換されていてもよい。
【0039】
従って、3〜7個のC原子を有する非置換の飽和の、または部分的に、もしくは完全に不飽和のシクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロペンタ−1,3−ジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサ−1,3−ジエニル、シクロヘキサ−1,4−ジエニル、フェニル、シクロヘプテニル、シクロヘプタ−1,3−ジエニル、シクロヘプタ−1,4−ジエニルまたはシクロヘプタ−1,5−ジエニルであり、これらの各々は、C〜Cアルキル基により置換されていてもよく、ここでシクロアルキル基またはC〜Cアルキル基により置換されているシクロアルキル基は、次にまたハロゲン原子、例えばF、Cl、BrもしくはI、特にFもしくはClにより、または−OH、−OR’、−CN、−C(O)OH、−C(O)NR’、−SONR’、−C(O)X、−SOOH、−SOX、−NOにより置換されていてもよい。
【0040】
置換基R、R〜R13またはR1’〜R4’において、ヘテロ原子にα位において結合していない、1個または2個の隣接していない炭素原子はまた、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−SOO−、−C(O)−、−C(O)O−、−NR’−、−P(O)R’O−、−C(O)NR’−、−SONR’−、−OP(O)R’O−、−P(O)(NR’)NR’−、−PR’=N−または−P(O)R’−の群から選択された原子および/または原子団により置換されていてもよく、ここでR’=フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、もしくはパーフルオロ化されているC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキルまたは非置換もしくは置換フェニルである。
【0041】
一般性を限定せずに、このようにして改変された置換基R、R〜R13およびR1’〜R4’の例は、以下のものである:
−OCH、−OCH(CH、−CHOCH、−CH−CH−O−CH、−COCH(CH、−CSC、−CSCH(CH、−S(O)CH、−SOCH、−SO、−SO、−SOCH(CH、−SOCHCF、−CHSOCH、−O−C−O−C、−CF、−C、−C、−C、−C(CF、−CFSOCF、−CN(C)C、−CHF、−CHCF、−C、−CFH、−CH、−C(CFH、−CHC(O)OH、−CH、−C(O)CまたはP(O)(C
【0042】
R’において、C〜Cシクロアルキルは、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルである。
【0043】
R’において、置換フェニルは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、NO、F、Cl、Br、I、OH、C〜Cアルコキシ、SCF、SOCF、COOH、SOX’、SONR’’またはSOHにより置換されているフェニルを示し、ここでX’は、F、ClまたはBrを示し、R’’は、R’について定義したように、フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、またはパーフルオロ化されているC〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキル、例えばo−、m−もしくはp−メチルフェニル、o−、m−もしくはp−エチルフェニル、o−、m−もしくはp−プロピルフェニル、o−、m−もしくはp−イソプロピルフェニル、o−、m−もしくはp−tert−ブチルフェニル、o−、m−もしくはp−ニトロフェニル、o−、m−もしくはp−ヒドロキシフェニル、o−、m−もしくはp−メトキシフェニル、o−、m−もしくはp−エトキシフェニル、o−、m−、p−(トリフルオロメチル)フェニル、o−、m−、p−(トリフルオロメトキシ)フェニル、o−、m−、p−(トリフルオロメチルスルホニル)フェニル、o−、m−もしくはp−フルオロフェニル、o−、m−もしくはp−クロロフェニル、o−、m−もしくはp−ブロモフェニル、o−、m−もしくはp−ヨードフェニル、さらに好ましくは2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジメチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジヒドロキシフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジフルオロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジクロロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジブロモフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジメトキシフェニル、5−フルオロ−2−メチルフェニル、3,4,5−トリメトキシフェニルまたは2,4,5−トリメチルフェニルを示す。
【0044】
1’〜R4’において、ヘテロアリールは、5〜13個の環要素を有する飽和の、または不飽和の単環式または二環式複素環式基を意味するものと解釈され、ここで1個、2個もしくは3個のN原子および/または1個もしくは2個のSもしくはO原子が存在してもよく、複素環式基は、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、NO、F、Cl、Br、I、OH、C〜Cアルコキシ、SCF、SOCF、COOH、SOX’、SONR’’またはSOHにより単置換または多置換されていてもよく、ここでX’およびR’’は、上記に示した意味を有する。
【0045】
複素環式基は、好ましくは、置換もしくは非置換の2−もしくは3−フリル、2−もしくは3−チエニル、1−、2−もしくは3−ピロリル、1−、2−、4−もしくは5−イミダゾリル、3−、4−もしくは5−ピラゾリル、2−、4−もしくは5−オキサゾリル、3−、4−もしくは5−イソキサゾリル、2−、4−もしくは5−チアゾリル、3−、4−もしくは5−イソチアゾリル、2−、3−もしくは4−ピリジル、2−、4−、5−もしくは6−ピリミジニル、さらに好ましくは1,2,3−トリアゾール−1−、−4−もしくは−5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−4−もしくは−5−イル、1−もしくは5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−もしくは−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−もしくは−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−もしくは−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−もしくは−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−もしくは−5−イル、2−、3−、4−、5−もしくは6−2H−チオピラニル、2−、3−もしくは4−4H−チオピラニル、3−もしくは4−ピリダジニル、ピラジニル、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾフリル、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾチエニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−1H−インドリル、1−、2−、4−もしくは5−ベンズイミダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾピラゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾキサゾリル、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンズイソキサゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾチアゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンズイソチアゾリル、4−、5−、6−もしくは7−ベンズ−2,1,3−オキサジアゾリル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−キノリニル、1−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−イソキノリニル、1−、2−、3−、4−もしくは9−カルバゾリル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−もしくは9−アクリジニル、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−シンノリニル、2−、4−、5−、6−、7−もしくは8−キナゾリニルまたは1−、2−もしくは3−ピロリジニルである。
【0046】
ヘテロアリール−C〜Cアルキルは、アリール−C〜Cアルキルと同様に、例えば、ピリジニルメチル、ピリジニルエチル、ピリジニルプロピル、ピリジニルブチル、ピリジニルペンチルまたはピリジニルヘキシルを意味するものと解釈され、ここで上記の複素環はさらに、このようにしてアルキレン鎖に結合していてもよい。
【0047】
HetNは、好ましくは、
【化5】

であり、ここで、置換基R1’〜R4’は、各々、互いに独立して、上記の意味を有する。
【0048】
本発明のイオン性液体のカチオンは、好ましくは、アンモニウム、ホスホニウム、グアニジニウムまたは複素環式カチオン、特に好ましくは複素環式カチオン(HetN)である。HetNは、特に好ましくは、上記で定義したようにイミダゾリウム、ピロリジニウムまたはピリジニウムであり、ここで、置換基R1’〜R4’は、各々、互いに独立して、上記の意味を有する。HetNは、極めて特に好ましくはイミダゾリウムであり、ここで、置換基R1’〜R4’は、各々、互いに独立して、上記の意味を有する。
【0049】
本発明は、同様に、カチオンおよびアニオンを含み、ここでアニオンが、式[(RP(O)]に適合し、ここでR
(C2n−x+1
の意味を有し、ここでn=1〜6およびx=0〜4であり、ここでn=1について、xは0〜2でなければならないイオン性液体の調製方法に関し、ここで一般式(7)
[(RP(O)]NY (7)
式中、Y=H、アルカリ金属、アルカリ土類金属並びに周期表の11および12族からの金属である、
で表される化合物を、Kタイプであって、ここでKは、前述のカチオンから選択され、A=Cl、Br、I、BF、R’OSO、R’SOまたは(R’)P(O)Oであり、ここで置換基R’は上記の意味を有する化合物と、溶媒または溶媒混合物中で反応させる。Aは、特に好ましくはCl、Br、I、BF、HSO CHOSO、COSO、CHSO、CFSO、(CP(O)Oであり、極めて特に好ましくはCl、Br、CHSO、COSOまたは(CP(O)Oである。
【0050】
Yは、特に好ましくはH、アルカリ金属および特にカリウムまたはナトリウムを示す。
式(7)で表される化合物の数種は、当業者に知られており、上記の、例えばN.V. Pavlenko, G.I. Matuschecheva, V. Ya. Semenii, L.M. Yagupolskii, Zh. Obsh. Khim, 1985, 55, 1586-1590中の方法により調製することができる。.
【0051】
反応を、0〜150℃の範囲内の温度で、好ましくは0〜50℃で、および特に室温で行うことができる。
好適な溶媒または溶媒混合物は、水、アルコール類、ジアルキルエーテル類、エステル類、ニトリル類、炭酸ジアルキル類、ジクロロメタンまたはこれらの混合物である。溶媒は、好ましくは水、メタノール、エタノール、i−プロパノール、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、炭酸ジメチルまたは炭酸ジエチルである。
【0052】
本発明はさらに、前述のイオン性液体の、溶媒または溶媒添加剤としての、相間移動触媒としての、抽出剤としての、伝熱媒体としての、界面活性物質としての、可塑剤としての、難燃剤としての、または導電性塩としての使用に関する。
【0053】
前述のイオン性液体を溶媒として用いる場合には、これらは、当業者に知られているすべてのタイプの反応において、例えばヒドロホルミル化反応、オリゴマー化反応、エステル化または異性化などの遷移金属または酵素により触媒された反応のために好適であり、ここで前述のリストは包括的ではない。
【0054】
抽出剤として用いる場合には、イオン性液体へのそれぞれの成分の溶解度に依存して、イオン性液体を用いて、反応生成物を分離し、しかしまた不純物を分離することができる。さらに、イオン性液体はまた、複数種の成分の分離における、例えば混合物の複数種の成分の蒸留的(distillative)分離における分離媒体として作用し得る。
【0055】
他の可能な用途は、ポリマー材料における可塑剤としての、多数の材料または用途のための難燃剤としての、並びに種々の電気化学的電池および用途における、例えばガルバニ電池、キャパシタまたは燃料電池における導電性塩としての使用である。
【0056】
さらなるにコメントすることなく、当業者は、前述の記載を最も広い範囲において用いることができると推測される。従って、好ましい態様および例は、単に記載的開示であり、これはいかなる方法においても絶対に限定的ではないと見なされるべきである。
【0057】
例に示さない限りは、NMRスペクトルを、20℃で、重水素ロックを伴う5mmのH/BB広帯域ヘッドを有するBruker Avance 300分光計において、重水素化溶媒に溶解した溶液について記録した。種々の核の測定周波数は、以下の通りである:H:300.13MHz、19F:282.41MHzおよび31P:121.49MHz。参照方法を、各々のスペクトルまたは各々のデータの組について別個に示す。
【0058】

例1:塩化ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィニルの合成
【化6】

30.0g(99.3mmol)のビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸および20.7g(99.4mol)の五塩化リンを、互いに混合し、室温で30分間攪拌した。塩化ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィニルを、分留により反応混合物から単離した。沸点は、118〜119℃であった。23.1gの無色液体が得られた。収率は、塩化ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィニルの計算された収率の72.6%であった。
【0059】
例2:ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸アミドの合成
【化7】

NH(62.6mmol)を乾燥ジエチルエーテルに溶解した12.4重量%溶液8.6gを、−78℃(ドライアイス/エタノール浴)において攪拌しながら5分間にわたり、10g(31.2mmol)の塩化ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィニルを50mlの乾燥ジエチルエーテルに溶解した溶液に加えた。反応混合物を、室温に加温し、約30分間攪拌した。沈殿物を濾別し、濾液を溶媒から遊離させた。残留物を、ベンゼンとヘキサンとの混合物(1:2)から再結晶させ、5.45gの固体を得、これは28〜32℃の融点を有した。ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸アミドの収率は、58%であった。
【0060】
H−NMR(CDCN;基準:TMS):δ (ppm): 2.28 s (NH2)。
19F−NMR(CDCN;基準:CClF、内部):δ (ppm): -80.46 s (2CF3); -124.95 d (2CF2); 2JP,F = 87 Hz。
31P−NMR(CDCN;基準:85%HPO−外部)、δ (ppm): 0.87 quin.; 2JP,F = 87 Hz。
【0061】
例3:ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸イミド[(CP(O)]NHの合成
【化8】

5.54g(17.3mmol)の塩化ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィニルを20mlの乾燥ジエチルエーテルに溶解した溶液および3.5g(34.6mmol)のトリエチルアミンを10mlの乾燥ジエチルエーテルに溶解した溶液を、0℃で5.21g(17.3mmol)のビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸アミドを20mlの乾燥ジエチルエーテルに溶解した攪拌した溶液に加えた。反応混合物を、室温に加温し、さらに1時間攪拌した。沈殿物を濾別し、溶媒を、回転蒸発器中で除去した。2mlの濃硫酸を、残留物に加え、ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸イミドを、減圧(7Pa)の下で115〜125℃の温度にて蒸留して除去し、7.3gの固体(融点:38〜41℃)を得た。ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸イミドの収率は、72.1%であった。
【0062】
H−NMR(CDCN;基準:TMS):δ (ppm): 12.17 s (NH)。
19F−NMR(CDCN;基準:CClF、内部):δ (ppm): -80.57 s (2CF3); -125.35 d (2CF2); 2JP,F = 79 Hz。
31P−NMR(CDCN;基準:85%HPO−外部)、δ (ppm): 1.82 quin.; 2JP,F = 78 Hz。
【0063】
例4:1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス[ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィニル]イミドの合成
【化9】

1.7g(9.73mmol)の塩化1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムを10mlの水に溶解した溶液を、5.6g(9.57mmol)のビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸イミドを30mlの水に溶解した溶液に、攪拌しながら室温で加えた。混合物を、5分間攪拌した。生成した下方の液体相を分離し、30mlの水で3回洗浄した。90℃で減圧(7Pa)下で乾燥して、6.2gの液体を得た。1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス[ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィニル]イミドの収率は、98.6%であった。
【0064】
H−NMR(CDCN;基準:TMS):δ (ppm): 0.95 t (CH3); 1.33 m (CH2); 1.81 m (CH2); 3.82 s (CH3); 4.13 t (CH2); 7.33 d,d (CH); 7.37 d,d (CH); 8.39 br. s. (CH); 3JH,H = 7.4 Hz ; 3JH,H = 7.3 Hz; JH,H = 1.8 Hz。
19F−NMR(CDCN;基準:CClF、内部)、δ (ppm): -79.89 s (2CF3); -124.77 d (2CF2); 2JP,F = 72 Hz。
31P−NMR(CDCN;基準:85%HPO−外部)、δ (ppm): -0.80 quin.; 2JP,F = 73 Hz。
粘度は、46mm/s(20℃)であった。
【0065】
例5:1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス[ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィニル]イミドの合成
【化10】

2.52g(17.2mmol)の塩化1−エチル−3−メチルイミダゾリウムを15mlの水に溶解した溶液を、10.07g(17.2mmol)のビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸イミドを40mlの水に溶解した溶液に、攪拌しながら室温で加えた。混合物を、5分間攪拌した。生成した下方の液体相を分離し、40mlの水で3回洗浄した。100℃で減圧(7Pa)下で乾燥して、9.93gの液体を得た。1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス[ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィニル]イミドの収率は、83%であった。
【0066】
H−NMR(CDCN;基準:TMS):δ (ppm): 1.47 t (CH3); 3.84 s (CH3); 4.18 t (CH2); 7.34 m (CH); 7.39 m (CH); 8.43 br. s. (CH); 3JH,H = 7.3 Hz。
19F−NMR(CDCN;基準:CClF、内部):δ (ppm): -80.09 s (2CF3); -124.82 d (2CF2); 2JP,F = 71 Hz。
31P−NMR(CDCN;基準:85%HPO−外部):δ (ppm): -1.87 quin.; 2JP,F = 70 Hz。
粘度は、26mm/s(20℃)であった。
【0067】
例6:1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス[ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィニル]イミドの合成
【化11】

3.03g(17.1mmol)の塩化1−ブチル−1−メチルピロリジニウムを15mlの水に溶解した溶液を、10.0g(17.1mmol)のビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸イミドを40mlの水に溶解した溶液に、攪拌しながら室温で加えた。混合物を、5分間攪拌した。生成した下方の液体相を分離し、40mlの水で3回洗浄した。減圧(7Pa)下で100℃で乾燥して、11.03gの液体を得た。1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス[ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィニル]イミドの収率は、89%であった。
【0068】
H−NMR(CDCN;基準:TMS):δ (ppm): 0.97 t (CH3); 1.38 m (CH2); 1.73 m (CH2); 2.16 m (2CH2); 2.95 s (CH3); 3.24 m (CH2); 3.41 m (2CH2); 3JH,H = 7.4 Hz。
19F−NMR(CDCN;基準:CClF、内部):δ (ppm): -80.12 s (2CF3); -124.80 d (2CF2); 2JP,F = 70 Hz。
31P−NMR(CDCN;基準:85%HPO−外部):δ (ppm): -1.98 quin.; 2JP,F = 70 Hz。
粘度は、69mm/s(20℃)であった。
【0069】
例7:1−ブチル−4−メチルピリジニウムビス[ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィニル]イミドの合成
【化12】

3.02g(16.3mmol)の塩化1−ブチル−4−メチルピリジニウムを15mlの水に溶解した溶液を、9.53g(16.3mmol)のビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸イミドを40mlの水に溶解した溶液に、攪拌しながら室温で加えた。混合物を、5分間攪拌した。生成した下方の液体相を分離し、40mlの水で3回洗浄した。減圧(7Pa)下で100℃で乾燥して、11.0gの液体を得た。1−ブチル−4−メチルピリジニウムビス[ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィニル]イミドの収率は、92%であった。
【0070】
H−NMR(CDCN;基準:TMS):δ (ppm): 0.96 t (CH3); 1.37 m (CH2); 1.93 m (CH2); 2.63 s (CH3); 4.46 t (2CH2); 7.83 d (2CH, A); 8.51 d (2CH, B); 3JH,H = 7.3 Hz; 3JH,H = 7.5 Hz; 3JA,B = 6.5 Hz。
19F−NMR(CDCN;基準:CClF、外部):δ (ppm): -80.10 s (2CF3); -124.85 d (2CF2); 2JP,F = 71 Hz。
31P−NMR(CDCN;基準:85%HPO−外部):δ (ppm): -1.64 quin.; 2JP,F = 71 Hz。
粘度は、50mm/s(20℃)であった。
【0071】
例8:テトラ−n−ブチルホスホニウムビス[ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィニル]イミドの合成
【化13】

5.97g(17.6mmol)の臭化テトラ−n−ブチルホスホニウムを15mlの水に溶解した溶液を、10.30g(17.6mmol)のビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸イミドを40mlの水に溶解した溶液に、攪拌しながら室温で加えた。無色沈殿物を濾別し、40mlの水で3回洗浄した。減圧(7Pa)下で50℃で乾燥して、13.97gの固体を得た。テトラ−n−ブチルホスホニウムジ[ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィニル]イミドの収率は、94%であった。融点は、67〜68℃であった。
【0072】
H−NMR(CDCN;基準:TMS):δ (ppm): 0.96 m (4CH3); 1.38-1.62 m (8CH2); 2.00-2.16 m (4CH2)。
19F−NMR(CDCN;基準:CClF、外部):δ (ppm): -80.10 s (2CF3); -124.83 d (2CF2); 2JP,F = 69 Hz。
31P−NMR(CDCN;基準:85%HPO−外部):δ (ppm): -1.97 quin.; 2JP,F = 69 Hz。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオンおよびアニオンを含むイオン性液体であって、粘度が10〜100mm/sであり、還元および酸化に対する電気化学的安定性が4.5Vより高いことを特徴とする、前記イオン性液体。
【請求項2】
イオン性液体の塩化物含量が100ppmより低いことを特徴とする、請求項1に記載のイオン性液体。
【請求項3】
アニオンが、式[(RP(O)]に適合し、ここでR
(C2n−x+1
の意味を有し、ここでn=1〜6およびx=0〜4であり、ここでn=1について、xは0〜2でなければならないことを特徴とする、請求項1または2に記載のイオン性液体。
【請求項4】
アニオンが[(CP(O)]であることを特徴とする、請求項3に記載のイオン性液体。
【請求項5】
カチオンが、式(1)
[NR (1)
式中、
Rは、各々の場合において互いに独立して、
H(ただし式(1)中の少なくとも2つの置換基RはHである)、
OR’、NR’(ただし式(1)中の多くとも1つの置換基RはOR’またはNR’である)、
1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル
を示し、
ここで、1つまたは2つ以上のRは、ハロゲン、特に−Fおよび/または−Clにより部分的に、もしくは完全に、または−OH、−OR’、−CN、−C(O)OH、−C(O)NR’、−SONR’、−C(O)X、−SOOH、−SOXもしくは−NOにより部分的に置換されていてもよく、またここで、α位にはないRの1個または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−SOO−、−C(O)−、−C(O)O−、−NR’−、−P(O)R’O−、−C(O)NR’−、−SONR’−、−OP(O)R’O−、−P(O)(NR’)NR’−、−PR’=N−および−P(O)R’−の群から選択された原子および/または原子団により置換されていてもよく、ここでR’は、=H、フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、もしくはパーフルオロ化されているC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、または非置換の、もしくは置換されているフェニルであってもよく、Xは、=ハロゲンであってもよい、
に適合するアンモニウムカチオンであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のイオン性液体。
【請求項6】
カチオンが、式(2)
[PR (2)
式中、
は、各々の場合において、互いに独立して、
H、OR’、NR’
1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル
を示し、
ここで、1つまたは2つ以上のRは、ハロゲン、特に−Fおよび/または−Clにより部分的に、もしくは完全に、または−OH、−OR’、−CN、−C(O)OH、−C(O)NR’、−SONR’、−C(O)X、−SOOH、−SOXもしくは−NOにより部分的に置換されていてもよく、またここで、α位にはないRの1個または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−SOO−、−C(O)−、−C(O)O−、−NR’−、−P(O)R’O−、−C(O)NR’−、−SONR’−、−OP(O)R’O−、−P(O)(NR’)NR’−、−PR’=N−および−P(O)R’−の群から選択された原子および/または原子団により置換されていてもよく、ここでR’=H、フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、もしくはパーフルオロ化されているC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、または非置換の、もしくは置換されているフェニルであり、X=ハロゲンである、
に適合するホスホニウムカチオンであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のイオン性液体。
【請求項7】
カチオンが、式(3)
[(RN)−C(=OR)(NR)] (3)
式中、
〜Rは、各々、互いに独立して、
水素(ここで水素はRについては除外される)、
1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル
を示し、
ここで、置換基R〜Rの1つまたは2つ以上は、ハロゲン、特に−Fおよび/または−Clにより部分的にもしくは完全に、または−OH、−OR’、−CN、−C(O)OH、−C(O)NR’、−SONR’、−C(O)X、−SOOH、−SOXもしくは−NOにより部分的に置換されていてもよく、またここで、α位にはないR〜Rの1個または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−SOO−、−C(O)−、−C(O)O−、−NR’−、−P(O)R’O−、−C(O)NR’−、−SONR’−、−OP(O)R’O−、−P(O)(NR’)NR’−、−PR’=N−および−P(O)R’−の群から選択された原子および/または原子団により置換されていてもよく、ここでR’=H、フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、もしくはパーフルオロ化されているC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、または非置換の、もしくは置換されているフェニルであり、X=ハロゲンである、
に適合するウロニウムカチオンであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のイオン性液体。
【請求項8】
カチオンが、式(4)
[(RN)−C(=SR)(NR)] (4)
式中、
〜Rは、各々、互いに独立して、
水素(ここで水素はRについては除外される)、
1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル
を示し、
ここで、置換基R〜Rの1つまたは2つ以上は、ハロゲン、特に−Fおよび/または−Clにより部分的にもしくは完全に、または−OH、−OR’、−CN、−C(O)OH、−C(O)NR’、−SONR’、−C(O)X、−SOOH、−SOXもしくは−NOにより部分的に置換されていてもよく、またここで、α位にはないR〜Rの1個または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−SOO−、−C(O)−、−C(O)O−、−NR’−、−P(O)R’O−、−C(O)NR’−、−SONR’−、−OP(O)R’O−、−P(O)(NR’)NR’−、−PR’=N−および−P(O)R’−の群から選択された原子および/または原子団により置換されていてもよく、ここでR’=H、フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、もしくはパーフルオロ化されているC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、または非置換の、もしくは置換されているフェニルであり、X=ハロゲンである、
に適合するチオウロニウムカチオンであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のイオン性液体。
【請求項9】
カチオンが、式(5)
[C(NR)(NR1011)(NR1213)] (5)
式中、
〜R13は、各々、互いに独立して、
水素、−CN、NR’、−OR’、
1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル
を示し、
ここで、置換基R〜R13の1つまたは2つ以上は、ハロゲン、特に−Fおよび/または−Clにより部分的にもしくは完全に、または−OH、−OR’、−CN、−C(O)OH、−C(O)NR’、−SONR’、−C(O)X、−SOOH、−SOXもしくは−NOにより部分的に置換されていてもよく、またここで、α位にはないR〜R13の1個または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−SOO−、−C(O)−、−C(O)O−、−NR’−、−P(O)R’O−、−C(O)NR’−、−SONR’−、−OP(O)R’O−、−P(O)(NR’)NR’−、−PR’=N−および−P(O)R’−の群から選択された原子および/または原子団により置換されていてもよく、ここでR’=H、フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、もしくはパーフルオロ化されているC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、または非置換の、もしくは置換されているフェニルであり、X=ハロゲンである、
に適合するグアニジニウムカチオンであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のイオン性液体。
【請求項10】
カチオンが、式(6)
[HetN] (6)
式中、
HetNは、
【化1】

【化2】

の群から選択される複素環式カチオンを示し、
ここで、置換基
1’〜R4’は、各々、互いに独立して、
水素、−CN、−OR’、−NR’、−P(O)R’、−P(O)(OR’)、−P(O)(NR’、−C(O)R’、−C(O)OR’、
1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のシクロアルキル、飽和の、部分的にまたは完全に不飽和のヘテロアリール、ヘテロアリール−C〜Cアルキルまたはアリール−C〜Cアルキル
を示し、
ここで、置換基R1’、R2’、R3’および/またはR4’は、一緒にまた環系を形成してもよく、
ここで、置換基R1’〜R4’の1つまたは2つ以上は、ハロゲン、特に−Fおよび/または−Cl、または−OH、−OR’、−CN、−C(O)OH、−C(O)NR’、−SONR’、−C(O)X、−SOOH、−SOXもしくは−NOにより部分的にもしくは完全に置換されていてもよいが、ここでR1’およびR4’は、同時にはハロゲンにより完全に置換されていてはならず、またここで、ヘテロ原子に結合していない置換基R1’〜R4’の1個または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−SOO−、−C(O)−、−C(O)O−、−NR’−、−P(O)R’O−、−C(O)NR’−、−SONR’−、−OP(O)R’O−、−P(O)(NR’)NR’−、−PR’=N−および−P(O)R’−から選択された原子および/または原子団により置換されていてもよく、ここでR’=H、フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、もしくはパーフルオロ化されているC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、または非置換の、もしくは置換されているフェニルであり、X=ハロゲンである、
に適合することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のイオン性液体。
【請求項11】
請求項3に記載のイオン性液体の調製方法であって、一般式(7)
[(RP(O)]NY (7)
式中、Y=H、アルカリ金属、アルカリ土類金属並びに周期表の11および12族からの金属である、
で表される化合物を、Kタイプであって、ここでKは、請求項5〜10において述べたカチオンから選択され、A=Cl、Br、I、BF、R’OSO、R’SOまたは(R’)P(O)Oであり、ここでR’=H、フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、もしくはパーフルオロ化されているC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、または非置換の、もしくは置換されているフェニルである化合物と、溶媒または溶媒混合物中で反応させることを特徴とする、前記方法。
【請求項12】
反応を、0〜150℃の範囲内の温度で行うことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
溶媒を、水、アルコール類、ジアルキルエーテル類、エステル類、ニトリル類、炭酸ジアルキル類、ジクロロメタンおよびこれらの混合物から選択することを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれかに記載のイオン性液体の、溶媒または溶媒添加剤としての、相間移動触媒としての、抽出剤としての、伝熱媒体としての、界面活性物質としての、可塑剤としての、難燃剤としての、または導電性塩としての使用。

【公表番号】特表2008−545722(P2008−545722A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−513957(P2008−513957)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【国際出願番号】PCT/EP2006/004485
【国際公開番号】WO2006/128563
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】