説明

低表面積の結合剤を有する水素処理触媒

炭化水素原料、特に高い硫黄および窒素レベルを有する原料を脱ロウするための触媒が提供される。本脱ロウ触媒には、低シリカ/アルミナ比を有するゼオライトが、低表面積の結合剤と組み合わされて含まれるか、または別に、処方触媒は、ゼオライト表面積/外部表面積の高い比率を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い硫黄および/または窒素含有量の潤滑油基材を処理するための触媒、およびこれらの触媒の使用方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
接触脱ロウは、いまや、所望の炭化水素生成物を、適切な沸点範囲を有する基材から製造するための多くのプロセスの一部である。接触脱ロウは、基材内のあまり望ましくない分子を、特定の適用により好ましい特性を有する分子に転化することを可能にする。接触脱ロウは、潤滑油を形成するために、基材の特性を向上するのに用いることができる。接触脱ロウはまた、ディーゼル燃料の低温流動特性の向上など、他の分野でも適用される。
【0003】
接触脱ロウは、原料材の分子を分解するか、または原料材の分子を異性化するかのいずれかによって、生じ得る。主に分解によって脱ロウを行なう触媒は、主に異性化によって脱ロウを行なう触媒より、低い粘度指数を有する生成物を製造する傾向があり、また低い収率を有する傾向がある。結果として、異性化脱ロウ触媒が、多くの適用で好ましい。
【0004】
従来の異性化脱ロウ触媒は、しかし、原料材中の硫黄および窒素汚染物による被毒に敏感である。結果として、原料材中の硫黄および/または窒素を低減するために、水素化工程または他の予備処理工程を接触脱ロウ工程の前に行うことが多い。硫黄を除去する予備処理工程を用いても、脱ロウ触媒の硫黄または窒素被毒に対する敏感性により、接触脱ロウによって処理することができる原料材のタイプは限定される。加えて、反応器の「不具合」が起こり、そのために原料材が適切に予備処理工程で処理されない場合には、高レベルの硫黄または窒素へ暴露された脱ロウ触媒を交換する必要があり得る。
【0005】
より高レベルの窒素および硫黄を含む原料材に対する選択肢は、原料材を溶剤脱ロウすることである。溶剤脱ロウは、より高レベルの不純物を有する原料材に対して効果的であるものの、溶剤脱ロウは、接触脱ロウより、はるかによりコスト高である。従って、高不純物レベルの原料材を脱ロウするための接触脱ロウ方法が、好ましいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,332,566号明細書
【0007】
【非特許文献1】Johnson,M.F.L.、Jour.Catal.、第52巻、第425頁(1978年)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態においては、SiO:Al比100以下を有するゼオライト、金属水素添加成分、および担持触媒を形成する前の粉末形態で、表面積100m/g以下を有する金属酸化物結合剤を含む担時触媒が提供される。ゼオライトおよび金属酸化物結合剤は、組み合わされて、担持触媒が形成される。
【0009】
他の実施形態においては、SiO:Al比100以下を有するゼオライト、金属水素添加成分、および金属酸化物結合剤を含む担持触媒が提供される。担持触媒は、ゼオライト表面積/外部表面積の比率少なくとも80:100を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】比較触媒の活性を示す。
【図2】比較触媒の活性を示す。
【図3】種々の触媒について、水素処理温度および流動点の間の相関を示す。
【図4】種々の触媒について、劣化速度を示す。
【図5】種々の触媒について、水素処理生成物の収率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
種々の実施形態においては、本発明は、炭化水素原料材を脱ロウするのに適切な触媒を提供する。炭化水素原料材には、高レベルの硫黄および/または窒素を含むサワー原料材が含まれる。本発明の触媒は、従来の脱ロウ触媒に比較して、高硫黄または高窒素原料の存在下の活性の利点を提供する。この利点は、低シリカ/アルミナ比を有するゼオライトを使用し、低表面積を有する結合剤を用いて処方されることによって達成される。或いは、この利点は、低シリカ/アルミナ比を有し、高比率のゼオライト表面積/外部表面積を有するゼオライトを使用することによって達成される。脱ロウ触媒には、第VIII族金属、好ましくは第VIII族貴金属などの金属水素添加機能が更に含まれる。好ましくは、脱ロウ触媒は、ZSM−48またはZSM−23などの一次元10員環触媒である。
【0012】
本発明においては、予想外に、低比率のシリカ/アルミナを有するゼオライトおよび望ましい表面積を有する結合剤の組み合わせを用いることにより、脱ロウ触媒の触媒活性が向上されることが見出されている。一実施形態においては、十分に低いシリカ:アルミナ比を有するゼオライトを、低表面積を有する結合剤と組み合わせることにより、プロセスの向上がもたらされる。他の実施形態においては、触媒活性の向上は、低シリカ:アルミナ比のゼオライトを含む処方触媒(これはまた、望ましい比率の外部表面積/ゼオライト表面積を有する)を提供することに基づく。
【0013】
外部表面積およびゼオライト表面積とは、触媒の全表面積を特徴付ける一方法をいう。これらの表面積は、表面積測定のためのBET法を用いる窒素多孔度測定法のデータの分析に基づいて計算される。以前の研究には、触媒中のゼオライト含有量/結合剤含有量の量は、BET測定により測定できることが示されている(例えば、非特許文献1を参照されたい)。次の考察においては、「外部表面積」とは、触媒中の結合剤に起因すると考えられる表面積をいい、一方「ゼオライト表面積」とは、BET測定においてゼオライトまたは他の脱ロウ触媒に起因すると考えられる表面積をいう。
【0014】
本発明の触媒の利点の一つは、幅広い種類の炭化水素原料ストリームが、触媒の機能および/または性能を阻害することなく処理され得ることである。本発明の触媒と共に用いるのに適切な原料ストリームは、灯油、ディーゼル、潤滑油原料材、および他の留出油原料ストリーム(原油、シェール油、およびタールサンドから誘導される原料などのワックス含有原料ストリームを含む)であり得る。フィッシャー−トロプシュから誘導されるものなどの合成原料もまた、処理することができる。潤滑基油を調製するのに典型的なワックス含有原料材は、初留点約315℃以上を有し、これには、抜頭原油、水素化分解油、ラフィネート、水素化油、常圧軽油、減圧軽油、コーカーガスオイル、常圧および減圧残油、脱瀝油、スラックワックス、およびフィッシャー−トロプシュワックスなどの原料が含まれる。これらの原料は、蒸留塔(常圧および減圧)、水素化分解装置、水素化装置、および溶剤抽出装置から誘導されてもよく、ワックス含有量50%以下またはそれ以上を有してもよい。適切な原料ストリームはまた、芳香族を含んでいてもよい。芳香族10wt%以下、または芳香族25wt%以下、または芳香族50wt%以下などである。
【0015】
他の実施形態においては、本発明の触媒の利点は、高レベルの窒素および硫黄の存在下に、触媒活性を維持する能力である。従来の触媒は、しばしば、窒素含有量を数ppmへ、および硫黄含有量を数百ppm未満へ低減するのに、原料ストリームの予備処理を必要とする。対照的に、原料ストリームを基準として、窒素0.2wt%以下および硫黄3.0wt%以下を含む炭化水素原料ストリームは、本発明の触媒を用いて効果的に処理することができる。一実施形態においては、原料ストリームの硫黄含有量は、硫黄少なくとも0.05wt%、または少なくとも0.1wt%、または少なくとも0.5wt%、または少なくとも1wt%、または少なくとも2wt%、または少なくとも3wt%であり得る。他の実施形態においては、原料ストリームの窒素含有量は、少なくとも25wppm、または少なくとも50wppm、または少なくとも100wppm、または少なくとも250wppm、または少なくとも500wppmであり得る。硫黄および窒素含有量は、それぞれ、標準ASTM法D2622およびD4629によって測定してもよい。
【0016】
好ましくは、本発明の触媒は、主に、炭化水素原料材を異性化することによって、脱ロウを行うゼオライトである。より好ましくは、触媒は、一次元細孔構造を有するゼオライトである。適切な触媒には、10員環ゼオライトが含まれる。EU−1、ZSM−35(またはフェリエライト)、ZSM−11、ZSM−57、NU−87、SAPO−11、およびZSM−22などである。好ましい物質は、EU−2、EU−11、ZBM−30、ZSM−48、またはZSM−23である。ZSM−48およびZSM−23がより好ましい。シリカ/アルミナ比約20:1〜約40:1のZSM−23構造を有するゼオライトは、SSZ−32と呼ばれる場合があることに注目されたい。上記の物質と親近構造である他のモレキュラーシーブには、シータ−1、NU−10、EU−13、KZ−1、およびNU−23が含まれる。
【0017】
触媒が低表面積の結合剤を用いて処方される実施形態においては、低表面積結合剤は、表面積100m/g以下、または80m/g以下、または60m/g以下を有する結合剤を表す。
【0018】
触媒が、所望される比率のゼオライト表面積/外部表面積を有する実施形態においては、ゼオライト表面積は、外部表面積にほぼ等しいか、またはそれより大きいであろう。一実施形態においては、ゼオライト表面積/外部表面積の比率は、少なくとも80:100、または少なくとも90:100、または少なくとも95:100である。好ましくは、ゼオライト表面積/外部表面積の比率は、少なくとも100:100(または1:1)、または少なくとも105:100、または少なくとも110:100、または少なくとも115:100である。
【0019】
一実施形態においては、ゼオライト中のシリカ/アルミナ比はまた、低い値である。好ましくは、ゼオライト中のシリカ/アルミナ比は、100:1以下、または85:1以下、または75:1以下、または70:1以下である。種々の実施形態においては、「低い値」に相当するシリカ/アルミナの量は、いくらかのばらつきを有するであろう。例えば、ゼオライトがZSM−23(または構造的等価物)である実施形態においては、シリカ/アルミナ比は、75:1以下、または50:1以下、または40:1以下であってもよい。
【0020】
ゼオライトは、任意の好都合な方法で、結合剤と組み合わせることができる。例えば、結合触媒は、以下によって製造することができる。即ち、ゼオライトおよび結合剤の両粉末で始まり、粉末を添加した水と組み合わせて混練して混合物を形成し、次いで混合物を押出し成形して、所望のサイズの結合触媒を製造する。押出し成形助剤を用いて、ゼオライトおよび結合剤の混合物の押出し成形流動特性を修正することもできる。
【0021】
更に他の実施形態においては、二種以上の金属酸化物から構成される結合剤を用いることもできる。このような一実施形態においては、低表面積の結合剤の重量パーセントは、好ましくは、より高表面積の結合剤の重量パーセントより大きい。例えば、ゼオライト65wt%、および二種以上の金属酸化物から構成される結合剤35wt%から構成される触媒においては、より低表面積の結合剤を少なくとも20wt%有することが好ましい。或いは、混合された金属酸化物結合剤を形成するのに用いられる両金属酸化物が、十分に低い表面積を有する場合には、結合剤中の各金属酸化物の比率は、あまり重要でない。二種以上の金属酸化物が、結合剤を形成するために用いられる場合、二種の金属酸化物は、任意の好都合な方法によって触媒に組込むことができる。例えば、一つの結合剤は、ゼオライト粉末の形成中(噴霧乾燥中など)に、ゼオライトと混合することができる。噴霧乾燥されたゼオライト/結合剤の粉末は、次いで、押出し成形の前に、第二の金属酸化物結合剤と混合することができる。
【0022】
いかなる特定の理論にも束縛されることなく、低表面積結合剤、および/または高比率のゼオライト表面積/外部表面積を有する処方触媒を用いることは、いくつかの利点を提供することが考えられる。利点の少なくとも一つは、本発明の触媒が、金属成分のより多くの比率を、結合剤上とは対照的に、触媒のゼオライト部分上に存在させることが考えられる。これは、ゼオライトの細孔内の金属レベルの増大をもたらし、その際金属は、原料ストリーム中のいくらかの硫黄または窒素汚染物質から保護される。触媒のゼオライト部分上に存在する金属は、ゼオライトの暴露される表面上に位置し得るか、または金属は、ゼオライトの細孔内に位置し得るかのいずれかである。立体効果により、10員環ゼオライト細孔の細孔内の金属は、原料ストリーム内の嵩高分子(芳香族環を含む分子など)には暴露されないであろう。硫黄または窒素原子を運ぶ原料材内の通常の分子の多くは、環および/または他の嵩高官能基をまた含む分子である。これらの分子は、容易に、ゼオライトの10員環細孔に入ることができず、従って細孔内の金属が、硫黄および/または窒素汚染物質と相互作用することから保護される。
【0023】
いかなる特定の理論にも束縛されることなく、第二の提案される利点は、低表面積の結合剤、および/または高比率のゼオライト表面積/外部表面積を有する処方触媒を用いることが、ゼオライトの活性点(例えば酸点)への接近を増大すると考えられることである。特に、嵩高原料については、ゼオライトの活性点へ接近の増大が、活性の全体増をもたらすことが予想される。
【0024】
種々の実施形態においては、本発明の触媒には、金属水素添加成分が更に含まれる。金属水素添加成分は、典型的には、第VI族および/または第VIII族金属である。好ましくは、金属水素添加成分は、第VIII族貴金属である。より好ましくは、金属水素添加成分は、Pt、Pd、またはそれらの混合物である。
【0025】
金属水素添加成分は、任意の好都合な方法で、触媒へ添加されてもよい。金属水素添加成分を添加する一技術は、初期湿潤によるものである。例えば、ゼオライトおよび結合剤を組み合わせた後、組み合わせたゼオライトおよび結合剤は、触媒粒子に押出し成形することができる。これらの触媒粒子は、次いで、適切な金属前駆体を含む溶液へ暴露されてもよい。或いは、金属は、イオン交換によって触媒へ添加されてもよく、その際金属前駆体は、押出し成形前に、ゼオライトの混合物(またはゼオライトおよび結合剤)へ添加される。
【0026】
本請求発明で用いるのに適切な脱ロウ触媒の一例は、SiO:Al比が110未満、好ましくは約70〜約110のZSM−48である。次の実施形態においては、ZSM−48結晶は、「合成されたままの」結晶の用語で様々に記載されるであろう。これは、有機テンプレート(焼成された結晶(Na−型ZSM−48結晶など)、または焼成およびイオン交換された結晶(H−型ZSM−48結晶など))を依然として含む。
【0027】
構造指向剤の除去した後のZSM−48結晶は、特定の組織、および次の一般式の分子組成を有する。即ち、
(n)SiO:Al
[式中、nは、70〜110、好ましくは80〜100、より好ましくは85〜95である]である。他の実施形態においては、nは、少なくとも70、または少なくとも80、または少なくとも85である。更に他の実施形態においては、nは、110以下、または100以下、または95以下である。更に他の実施形態においては、Siは、Geによって置換されてもよく、Alは、Ga、B、Fe、Ti、V、およびZrによって置換されてもよい。
【0028】
合成されたままの形態のZSM−48結晶は、シリカ、アルミナ、塩基、およびヘキサメトニウム塩指向剤を有する混合物から調製される。一実施形態においては、混合物中の構造指向剤:シリカのモル比は、0.05未満、または0.025未満、または0.022未満である。他の実施形態においては、混合物中の構造指向剤:シリカのモル比は、少なくとも0.01、または少なくとも0.015、または少なくとも0.016である。更に他の実施形態においては、混合物中の構造指向剤:シリカのモル比は、0.015〜0.025、好ましくは0.016〜0.022である。一実施形態においては、合成されたままの形態のZSM−48結晶は、シリカ:アルミナのモル比70〜110を有する。更に他の実施形態においては、合成されたままの形態のZSM−48結晶は、シリカ:アルミナのモル比少なくとも70、または少なくとも80、または少なくとも85を有する。更に他の実施形態においては、合成されたままの形態のZSM−48結晶は、シリカ:アルミナのモル比110以下、または100以下、または95以下を有する。合成されたままの形態のZSM−48結晶のいかなる所定の調製についても、モル組成は、シリカ、アルミナ、および指向剤を含むであろう。合成されたままの形態のZSM−48結晶は、合成されたままの形態を調製するのに用いられる反応混合物の反応体のモル比と、僅かに異なるモル比を有してもよいことが注目されるべきである。この結果は、反応混合物の反応体100%を、(反応混合物から)形成される結晶に不完全に組込むことにより生じ得る。
【0029】
焼成されるか、または合成されたままの形態のいずれかのZSM−48ゼオライトは、典型的には、小さな結晶の凝集物を形成する。これは、約0.01〜約1μmの範囲の結晶サイズを有し得る。これらの小さな結晶は、それらが一般により大きな活性をもたらすことから望ましい。より小さな結晶とは、所定量の触媒当りにより多数の活性触媒点をもたらす、より大きな表面積を意味する。好ましくは、焼成されるか、または合成されたままの形態のいずれかのZSM−48結晶は、繊維状結晶を全く含まない組織を有する。繊維状とは、L/D比>10/1を有する結晶を意味する。ここで、LおよびDは、結晶の長さおよび直径を表す。他の実施形態においては、焼成されるか、または合成されたままの形態のいずれかのZSM−48結晶は、針状結晶を少量有するか、またはそれを含まない。針状とは、L/D比<10/1、好ましくは5/1未満、より好ましくは3/1〜5/1を有する結晶を意味する。SEMは、本明細書の方法に従って調製される結晶が、繊維状または針状組織を有する検知可能な結晶を全く有さないことを示す。この組織単独か、または低シリカ:アルミナ比で結合された組織は、高活性、並びに望ましい環境特性を有する触媒をもたらす。
【0030】
ZSM−48組成物は、シリカまたはシリケート塩、アルミナまたは可溶性アルミネート塩、塩基、および指向剤を含む水性反応混合物から調製される。所望の結晶組織を達成するためには、反応混合物中の反応体は、次のモル比を有する。即ち、
SiO:Al=70〜110
O:SiO=1〜500
OH:SiO=0.1〜0.3
OH:SiO(好ましいモル比)=0.14〜0.18
テンプレート:SiO=0.01〜0.05
テンプレート:SiO(好ましいモル比)=0.015〜0.025
である。
【0031】
上記の比率においては、二つの範囲が、塩基:シリカ比、および構造指向剤:シリカ比の両方に示される。これらの比率のより広い範囲には、いくらかの量のKenyaiteおよび/または針状組織を有するZSM−48結晶の形成をもたらす混合物が含まれる。Kenyaiteおよび/または針状組織が望まれない場合には、好ましい範囲が、用いられるべきである。これは、更に、実施例で下記に示される。
【0032】
シリカ素材は、好ましくは沈降シリカであり、Degussaから商業的に入手可能である。他のシリカ素材には、Zeosil(登録商標)およびシリカゲルなどの沈降シリカを含む粉末化シリカ、Ludox(登録商標)または溶解シリカなどのケイ酸コロイドシリカが含まれる。塩基の存在下に、これらの他のシリカ素材は、シリケートを形成してもよい。アルミナは、可溶性塩、好ましくはナトリウム塩の形態であってもよく、US Aluminateから商業的に入手可能である。他の適切なアルミニウム素材には、塩化物などの他のアルミニウム塩、アルミニウムアルコレート、またはガンマアルミナ、プソイドベーマイト、およびコロイドアルミナなどの水和アルミナが含まれる。金属酸化物を溶解するのに用いられる塩基は、いかなるアルカリ金属水酸化物でもよく、好ましくは、水酸化ナトリウムまたはカリウム、水酸化アンモニウム、ジ四級水酸化物などである。指向剤は、二塩化ヘキサメトニウムまたは水酸化ヘキサメトニウムなどのヘキサメトニウム塩である。アニオン(塩化物以外)は、水酸化物、硝酸塩、硫酸塩、他のハロゲン化物等などの他のアニオンであり得る。二塩化ヘキサメトニウムは、N,N,N,N’,N’,N’−ヘキサメチル−1,6−ヘキサンジアンモニウムジクロライドである。
【0033】
一実施形態においては、本発明の合成から得られる結晶は、繊維状組織を含まない組織を有する。繊維状組織は、この結晶組織がZSM−48の接触脱ロウ活性を阻害することから、望まれない。他の実施形態においては、本発明の合成から得られる結晶は、低い割合の針状組織を含む組織を有する。ZSM−48結晶中に存在する針状組織の量は、10%以下、または5%以下、または1%以下であり得る。別の実施形態においては、ZSM−48結晶は、針状組織を含まなくてもよい。少量の針状結晶は、針状結晶がいくつかのタイプの反応に対してZSM−48の活性を低減すると考えられることから、いくつかの適用に対して好ましい。所望の組織を高純度で得るためには、本発明の実施形態の反応混合物におけるシリカ:アルミナ、塩基:シリカ、および指向剤:シリカの比率が、用いられるべきである。加えて、Kenyaiteを含まない組成、および/または針状組織を含まない組成が望まれる場合には、好ましい範囲が用いられるべきである。
【0034】
合成されたままのZSM−48結晶は、少なくとも一部が、使用前または更なる処理の前に乾燥されるべきである。乾燥は、温度100〜400℃、好ましくは100〜250℃で加熱することによって達成され得る。圧力は、大気圧であってもまたは減圧であってもよい。乾燥が弱減圧条件下に行なわれる場合には、温度は、大気圧下におけるものより低くてもよい。
【0035】
触媒は、典型的には、使用前に、結合剤または母材物質と結合される。結合剤は、所望の使用温度に耐性があり、かつ磨耗耐性がある。結合剤は、触媒活性であるか、または不活性であってもよく、これには、他のゼオライト、他の無機物質(クレーなど)、および金属酸化物(アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、およびシリカ−アルミナなど)が含まれてもよい。クレーは、カオリン、ベントナイト、およびモンモリロナイトであってもよく、商業的に入手可能である。それらは、シリケートなどの他の物質とブレンドされてもよい。シリカ−アルミナに加えて、他の多孔質母材物質には、他の二元物質(シリカ−マグネシア、シリカ−トリア、シリカ−ジルコニア、シリカ−ベリリア、およびシリカ−チタニアなど)、並びに三元物質(シリカ−アルミナ−マグネシア、シリカ−アルミナ−トリア、およびシリカ−アルミナ−ジルコニアなど)が含まれる。母材は、共ゲルの形態であってもよい。結合ZSM−48は、結合ZSM−48を基準として、ZSM−48が10〜100wt%の範囲であってもよく、残りは結合剤である。
【0036】
触媒の一部としてのZSM−48結晶はまた、金属水素添加成分と共に用いてもよい。金属水素添加成分は、第1〜18族を有するIUPAC分類に基づく周期律表の第6〜12族からのものであってもよい。好ましくは、第6族および第8〜10族である。これらの金属の例には、Ni、Mo、Co、W、Mn、Cu、Zn、Ru、Pt、またはPd、好ましくはPtまたはPdが含まれる。水素添加金属の混合物を用いてもよい。Co/Mo、Ni/Mo、Ni/W、およびPt/Pdなどであり、好ましくはPt/Pdである。水素添加金属の量は、触媒を基準として、0.1〜5wt%の範囲であってもよい。一実施形態においては、金属の量は、少なくとも0.1wt%、または少なくとも0.25wt%、または少なくとも0.5wt%、または少なくとも0.6wt%、または少なくとも0.75wt%である。他の実施形態においては、金属の量は、5wt%以下、または4wt%以下、または3wt%以下、または2wt%以下、または1wt%以下である。金属をZSM−48触媒上へ充填する方法は、周知であり、これには、例えば、水素添加成分の金属塩によるZSM−48触媒の含浸および加熱が含まれる。水素添加金属を含むZSM−48触媒はまた、使用前に硫化されてもよい。触媒はまた、使用前にスチーミングされてもよい。
【0037】
上記の実施形態に従って作製された高純度ZSM−48触媒は、比較的低いシリカ:アルミナ比を有する。このより低いシリカ:アルミナ比は、本触媒がより酸性であることを意味する。この高い酸性度にも係わらず、それらは、卓越した活性および選択性、並びに優れた収率を有する。それらはまた、結晶形態による健康への影響の観点から環境上の利点を有し、小さな結晶サイズはまた、触媒活性に対して有利である。
【0038】
ZSM−23を組込んだ本発明の触媒については、低比率のSiO:Alを有するZSM−23を製造するための任意の適切な方法を用いてよい。特許文献1には、低SiO:Al比のZSM−23を製造するのに適切な合成方法の例が示される。例えば、ZSM−23を調製するのに適切な指向剤は、イミノビスプロピルアミンを、過剰のヨウ化メチルでメチル化することによって形成することができる。メチル化は、ヨウ化メチルを、イミノビスプロピルアミンへ滴下して添加することによって達成される。これは、無水エタノールに溶媒和される。混合物は、還流温度77℃へ18時間加熱される。得られた固体生成物は、ろ過され、無水エタノールで洗浄される。
【0039】
上記の方法によって製造される指向剤は、次いで、コロイドシリカゲル(30%SiO)、アルミナ素材、アルカリカチオン(NaまたはKなど)素材、および脱イオン水と混合されて、ヒドロゲルを形成することができる。アルミナ素材は、いかなる好都合な素材でもよい。アルミナ硫酸塩またはアルミン酸ナトリウムなどである。溶液は、次いで、結晶化温度(170℃など)へ加熱され、得られたZSM−23結晶は乾燥される。ZSM−23結晶は、次いで、低表面積の結合剤と組み合わされて、本発明の触媒が形成することができる。
【実施例】
【0040】
例1.Pt0.6wt%(IW)担持65/35ZSM−48(90/1)/TiO
ZSM−48(90/1)65%およびチアニア35%を、1/16インチの四葉へ押出し成形した。押出し成形物を、N(1000°F)中で予備焼成し、1N硝酸アンモニウムでアンモニウム交換し、次いで250°Fで乾燥し、引続いて空気中1000°Fで焼成した。押出し成形物を、次いで、白金テトラアンミン硝酸塩で初期湿潤含浸することによって、Pt0.6wt%を充填し、250°Fで乾燥し、空気中680°Fで3時間焼成した。表1は、N多孔度測定法による押出し成形物の表面積を示す。
【0041】
バッチ式マイクロオートクレーブシステムを用いて、上記触媒の活性を決定した。触媒を、水素下に還元し、引続いて130N原料(くもり点31)2.5グラムを添加した。反応を、400psig、330℃で12時間運転した。くもり点を、二種の原料空間速度に対して決定した。結果を、表2に示す。
【0042】
例2(比較例).Pt0.6wt%(IW)担持65/35ZSM−48(90/1)/Al
ZSM−48(90/1)65%およびAl35%を、1/16インチの四葉へ押出し成形した。押出し成形物を、N(1000°F)中で予備焼成し、1N硝酸アンモニウムでアンモニウム交換し、次いで250°Fで乾燥し、引続いて空気中1000°Fで焼成した。押出し成形物を、次いでスチーミングした(890°Fで3時間)。押出し成形物を、次いで、白金テトラアンミン硝酸塩で初期湿潤含浸することによって、Pt0.6wt%を充填し、250°Fで乾燥し、空気中680°Fで3時間焼成した。表1は、N多孔度測定法による押出し成形物の表面積を示す。
【0043】
バッチ式マイクロオートクレーブシステムを用いて、上記触媒の活性を決定した。触媒を、水素下に還元し、引続いて130N原料2.5グラムを添加した。反応を、400psig、330℃で12時間運転した。くもり点を、二種の原料空間速度に対して決定した。結果を、表2に示す。
【0044】
例3.Pt0.6wt%(IW)担持80/20ZSM−48(90/1)/SiO
ZSM−48(90/1)80%およびSiO20%を、1/16インチの四葉へ押出し成形した。押出し成形物を、N(1000°F)中で予備焼成し、1N硝酸アンモニウムでアンモニウム交換し、次いで250°Fで乾燥し、引続いて空気中1000°Fで焼成した。押出し成形物を、次いで、白金テトラアンミン硝酸塩で初期湿潤含浸することによって、Pt0.6wt%を充填し、250°Fで乾燥し、空気中680°Fで3時間焼成した。表1は、N多孔度測定法による押出し成形物の表面積を示す。
【0045】
バッチ式マイクロオートクレーブシステムを用いて、上記触媒の活性を決定した。触媒を、水素下に還元し、引続いて130N2.5グラムを添加した。反応を、400psig、330℃で12時間運転した。くもり点を、二種の原料空間速度に対して決定した。結果を、表2に示す。
【0046】
例4.Pt0.6wt%(IW)担持65/35ZSM−48(90/1)/シータ−アルミナ
疑似ベーマイトアルミナを、1000℃で焼成して、それを、上記の例2で結合剤として用いられたガンマ相アルミナと比較して、より低表面積のシータ相へ転化した。ZSM−48(90/1)65%および焼成されたアルミナ35%を、PVA0.25%と共に、1/16インチの四葉へ押出し成形した。押出し成形物を、N(950℃)中で予備焼成し、1N硝酸アンモニウムでアンモニウム交換し、次いで250°Fで乾燥し、引続いて空気中1000°Fで焼成した。押出し成形物を、次いで、白金テトラアンミン硝酸塩で初期湿潤含浸することによって、Pt0.6wt%を充填し、250°Fで乾燥し、空気中680°Fで3時間焼成した。表1は、N多孔度測定法による押出し成形物の表面積を示す。
【0047】
バッチ式マイクロオートクレーブシステムを用いて、上記触媒の活性を決定した。触媒を、水素下に還元し、引続いて130N2.5グラムを添加した。反応を、400psig、330℃で12時間運転した。くもり点を、二種の原料空間速度に対して決定した。結果を、表2に示す。
【0048】
例5.Pt0.6wt%(IW)担持65/35ZSM−48(90/1)/ジルコニア
ZSM−48(90/1)65%およびジルコニア35%を、1/16インチの四葉へ押出し成形した。押出し成形物を、N(1000°F)中で予備焼成し、1N硝酸アンモニウムでアンモニウム交換し、次いで250°Fで乾燥し、引続いて空気中1000°Fで焼成した。押出し成形物を、次いで、白金テトラアンミン硝酸塩で初期湿潤含浸することによって、Pt0.6wt%を充填し、250°Fで乾燥し、空気中680°Fで3時間焼成した。表1は、N多孔度測定法による押出し成形物の表面積を示す。
【0049】
バッチ式マイクロオートクレーブシステムを用いて、上記触媒の活性を決定した。触媒を、水素下に還元し、引続いて130N2.5グラムを添加した。反応を、400psig、330℃で12時間運転した。くもり点を、二種の原料空間速度に対して決定した。結果を、表2に示す。
【0050】
【表1】

【0051】
表1は、例1、3、4、および5からの触媒全てが、外部表面積に少なくともほぼ同等のゼオライト表面積を有することを示す。
【0052】
【表2】

【0053】
表2においては、−45℃の値は、くもり点を測定するのに用いられる装置について、測定範囲の下端を表すことに注目されたい。*印で示されるくもり点測定値は、処理された原料の実際のくもり点値よりむしろ、装置の検知限界を表すと考えられる。表2に示されるように、外部表面積に少なくともほぼ同等のゼオライト表面積を有する触媒全ては、空間速度約0.75で、最低の検知可能くもり点を有する生成物をもたらした。対照的に、例2からの触媒(より大きな外部表面積を有する)は、空間速度約0.75に対して、単に−26というくもり点をもたらした。例2で触媒を形成するのに用いられたアルミナはまた、高表面積の結合剤に対応することに注目されたい。より高い空間速度約1.0では、全ての低表面積結合剤の触媒はまた、良好な結果をもたらした。
【0054】
例6(比較例).高シリカ/アルミナ比の水素化脱ロウ触媒
更なる触媒の評価を、高シリカ/アルミナ比のゼオライトを有する比較触媒について行った。Pt0.6wt%担持63/35ZSM−48(180/1)/TiO触媒を、次の手順に従って調製した。対応する試料をまた、TiOの代わりにAlを用いて調製した。これは、Pt0.6wt%担持65/35ZSM−48(180/1)/Al触媒を製造した。
【0055】
ZSM−48(180/1 Si/Al)65%およびチタニア35%からなる押出し成形物(50グラム)を、白金テトラアンミン硝酸塩で初期湿潤含浸することによってPt0.6wt%を充填し、250°Fで乾燥し、十分な空気中680°Fで3時間焼成した。表1に上記に示されるように、TiO結合剤は、高比率のゼオライト表面積/外部表面積を有する処方触媒を提供する。TiO結合剤はまた、Al結合剤より低い酸性度を示す。
【0056】
上記二種の触媒を、130Nラフィネートをモデル化するように設計された多成分モデル化合物系の水素化脱ロウ実験で用いた。多成分モデル原料は、ジベンゾチオフェン(DBT)0.5%、およびキノリン中N100ppm(HDS/HDNを監視するためのバルクS、N種)が添加されたデカリン溶剤中n−ヘキサンデカン40%から作製された。原料系は、実際のワックス質原料組成物を模擬するように設計された。
【0057】
水素化脱ロウ検討を、連続触媒試験装置を用いて行った。これは、ISCOシリンジポンプを有する液体供給系、三域加熱炉を有する固定床管状反応器、液体生成物収集装置、およびガス分析のためのオンラインMTI GCから構成された。典型的には、触媒10ccを、量り取り、1/8インチサーモウェルを含むダウンフロー型3/8インチステンレス鋼反応器に充填した。装置を圧力試験した後、触媒を、大気圧で、250cc/分のNを用いて300℃で2時間乾燥した。触媒を、次いで、水素還元によって還元した。触媒処理の完了時に、反応器を150℃へ冷却し、装置圧力を、背圧調整装置を調整することによって600psigへ設定し、ガスフローをNからHへ切り替えた。液体原料材を、1液空間速度(LHSV)で反応器に導入した。液体原料がダウンストリームのノックアウトポットに達するやいなや、反応器温度を、目標値へ昇温した。物質収支を、装置が6時間経過するまで取った。全液体生成物を、物質収支ドロップアウトポットに収集し、FID付きHP5880ガスクロマトグラフ(GC)によって分析した。詳細な芳香族成分の転化率および生成物を、GC分析によって同定および計算した。ガス試料を、TCDおよびFIDの両検知器を装備されたオンラインHP MTI GCを用いて分析した。一連の運転を行なって、触媒活性/生成物特性が、プロセス温度の関数として理解された。
【0058】
全触媒を、10ccの量で反応器中に充填し、例8に記載される運転手順を用いて、次の条件で評価した。即ち、T=270〜380℃、P=600psig、液体速度=10cc/時、H循環速度=2500scf/bbl、およびLHSV=1時−1である。
【0059】
n−ヘキサデカン(nC16)の異性化活性および収率を、図1および2に要約する。図1は、アルミナ結合された(より高表面積の)触媒に対する清浄原料およびスパイク原料について、nC16転化率およびイソ−C16収率の関係を示す。図2は、チタニア結合された(より低表面積の)触媒に対する類似の関係を示す。一般に、より高表面積およびより低表面積の結合剤を有する触媒は、類似の転化効率を示す。低表面積の触媒(図2)は、より高表面積の触媒と比較して、収率に関して僅かにより低い転化効率を有する。これらの原料のそれぞれについては、所定のnC16転化レベルを達成するのに必要とされる温度は、二タイプの触媒において類似していた。
【0060】
図1および2は、本請求発明の利点が、低表面積の結合剤を任意の脱ロウ触媒と一緒に用いることによっても、簡単に達成できないことを示す。清浄原料、または硫黄および窒素の一種以上を含む原料へ暴露された場合には、高シリカ/アルミナ比を有する脱ロウ触媒は、より高表面積の結合剤と比較して低表面積の結合剤を用いて処方された場合に、類似の活性を、または恐らくは低減された活性をさえ示した。
【0061】
例7.Pt0.6wt%担持65/35ZSM−48(90/1)/TiOによる130N原料を用いる水素化脱ロウ
この例は、Pt0.6wt%担持65/35ZSM−48(90/1)/TiOの触媒性能を、対応するアルミナ結合された(より高い外部表面積の)触媒に対して、130Nラフィネートを用いて示す。
【0062】
ZSM−48(90/1 Si/Al)65%およびチタニア35%からなる押出し成形物(30グラム)を、白金テトラアンミン硝酸塩で初期湿潤含浸することによってPt0.6wt%を充填し、250°Fで乾燥し、十分な空気中680°Fで3時間焼成した。対応する試料をまた、TiOの代わりにAlを用いて調製した。
【0063】
触媒を、10ccの量で反応器に充填し、例6に記載される運転手順を用いて、次の条件で評価した。即ち、T=330〜380℃、P=400psig、液体速度=5cc/時、H循環速度=5000scf/bbl、およびLHSV=0.5時−1である。触媒を、N66wppmおよびS0.63wt%を含む130Nラフィネートへ暴露した。
【0064】
図3は、Pt0.6wt%担持65/35ZSM−48(90/1)/TiO触媒、および対応するアルミナ結合触媒の相対触媒活性を示す。130Nラフィネート原料については、対応するアルミナ結合触媒と比較して、Pt0.6wt%担持65/35ZSM−48(90/1)/TiO触媒は、所定の生成物流動点で、20℃の温度の利点(即ち、20℃より低い温度で、より活性がある)を示した。図3はまた、半分の窒素含有量を有する130Nラフィネート原料について、Pt0.6wt%を有する65/35ZSM−48(180/1)/Alを用いて水素処理されたデータを示すことに注目されたい。(これは、例6からのアルミナ結合触媒である。)二倍の窒素含有量でさえ、より低表面積のPt0.6wt%を有する65/35ZSM−48(90/1)/TiO触媒は、実質的な活性メリットを達成した。
【0065】
低表面積、低シリカ/アルミナ比の触媒の利点を更に示すために、図4は、Pt0.6wt%担持65/35ZSM−48(90/1)/TiO触媒、および対応するアルミナ結合触媒について、TIRプロットを示す。TIRプロットは、Pt0.6wt%担持65/35ZSM−48(90/1)/TiO触媒の劣化速度が、対応するアルミナ結合触媒の0.69℃/日と比較して、0.624℃/日であったことを示す。従って、窒素リッチ原料へ暴露された場合には、低表面積および低シリカ/アルミナ比の触媒は、向上された活性、およびより長い活性寿命の両方を示す。
【0066】
図5は、Pt0.6wt%担持65/35ZSM−48(90/1)/TiO触媒、および図3に示される二種のアルミナ結合触媒について、潤滑油収率を示す。Pt0.6wt%担持65/35ZSM−48(90/1)/TiOは、対応するアルミナ結合(より高表面積)触媒と同じ潤滑油収率を示す。より低い表面積、およびより高い表面積の触媒についてのVI:流動点の関係はまた、類似である。Pt0.6wt%担持65/35ZSM−48(90/1)/TiO触媒、および対応するアルミナ触媒はいずれも、より高いシリカ/アルミナ比の触媒と比較して、向上した流動点:収率関係を示すことに注目されたい。
【0067】
例8.混合結合剤系
本例は、低表面積の結合剤の利点が、主要量の結合剤が低表面積結合剤である場合に、混合結合剤系に対して実現し得ることを示す。
【0068】
ZSM−48(90/1 Si/Al)65%および混合結合剤35%からなる押出し成形物を、白金テトラアンミン硝酸塩で初期湿潤含浸することによってPt0.6wt%を充填し、250°Fで乾燥し、十分な空気中680°Fで3時間焼成した。押出し成形物中の結合剤35wt%は、アルミナ(より高表面積)20wt%およびチタニア(より低表面積)15wt%から構成された。
【0069】
ZSM−48(90/1 Si/Al)65%および混合結合剤35%からなる第二の押出し成形物をまた、白金テトラアンミン硝酸塩で初期湿潤含浸することによってPt0.6wt%を充填し、250°Fで乾燥し、十分な空気中680°Fで3時間焼成した。第二の押出し成形物において、結合剤35wt%は、チタニア(より低表面積)25wt%およびアルミナ(より高表面積)10wt%から構成された。
【0070】
上記触媒の活性を、バッチ式マイクロオートクレーブシステムで試験した。アルミナ20wt%およびチタニア15wt%の結合剤を有する触媒については、触媒208.90mgおよび71.19mgを、別個のウェルに充填し、水素下に還元し、引続いて600N原料材2.5gを添加した。(600N原料材は、130N原料に類似のNおよびSレベルを有した。)「空間速度」は、それぞれ、1.04および3.03であった。反応を、400psig、345℃で12時間運転した。全液体生成物の得られたくもり点は、WHSV1.03で−18℃、およびWHSV3.09で21℃であった。
【0071】
チタニア25wt%およびアルミナ10wt%の結合剤を有する触媒については、触媒212.57mgおよび69.75mgを、別個のウェルに充填し、水素下に還元し、引続いて600N原料材2.5gを添加した。(600N原料材は、130N原料に類似のNおよびSレベルを有した。)「空間速度」は、それぞれ、1.02および3.10であった。反応を、400psig、345℃で12時間運転した。全液体生成物の得られたくもり点は、WHSV1.03で−45℃(くもり点装置の検知限界)、およびWHSV3.09で3℃であった。
【0072】
上記活性試験は、上記例1〜5からの結果に匹敵する。主要量の高表面積結合剤から構成される結合剤を含む触媒は、例2の高表面積結合剤を有する触媒に類似に挙動した。主要量の低表面積結合剤を有する触媒は、上記例1および3〜5に示されるように、はるかにより活性な触媒をもたらした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SiO:Al比が100以下の脱ロウ触媒、および
担持触媒の処方前には粉末で、表面積100m/g以下を有する金属酸化物結合剤
を含み、
前記脱ロウ触媒および前記金属酸化物結合剤が組み合わされて形成されることを特徴とする担持触媒。
【請求項2】
前記脱ロウ触媒は、10員環細孔を有するゼオライトであることを特徴とする請求項1に記載の担持触媒。
【請求項3】
10員環細孔を有し、SiO:Al比が100以下のゼオライト、および
金属酸化物結合剤
を含み、
ゼオライト表面積/外部表面積の比率が少なくとも80:100である担持触媒。
【請求項4】
前記ゼオライトは、一次元の10員環細孔を有することを特徴とする請求項2または3に記載の担持触媒。
【請求項5】
前記ゼオライトは、EU−1、ZSM−35、ZSM−11、ZSM−57、NU−87、ZSM−22、EU−2、EU−11、ZBM−30、ZSM−48、ZSM−23またはそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項2、3、または4に記載の担持触媒。
【請求項6】
前記ゼオライトは、EU−2、EU−11、ZBM−30、ZSM−48、ZSM−23またはそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項5に記載の担持触媒。
【請求項7】
前記ゼオライトは、ZSM−48、ZSM−23またはそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項5に記載の担持触媒。
【請求項8】
前記ゼオライトは、ZSM−48であることを特徴とする請求項5に記載の担持触媒。
【請求項9】
前記SiO:Alの比率は、80以下であることを特徴とする請求項2、3または4に記載の担持触媒。
【請求項10】
前記SiO:Alの比率は、75以下であることを特徴とする請求項2、3または4に記載の担持触媒。
【請求項11】
前記SiO:Alの比率は、60以下であることを特徴とする請求項2、3または4に記載の担持触媒。
【請求項12】
粉末の前記金属酸化物結合剤は、表面積80m/g以下を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の担持触媒。
【請求項13】
前記金属酸化物結合剤は、表面積60m/g以下を有することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の担持触媒。
【請求項14】
ゼオライト表面積/外部表面積の比率が少なくとも90:100であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の担持触媒。
【請求項15】
ゼオライト表面積/外部表面積の比率が少なくとも1:1であることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の担持触媒。
【請求項16】
ゼオライト表面積/外部表面積の比率が少なくとも105:100であることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の担持触媒。
【請求項17】
ことを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の担持触媒。
【請求項18】
前記結合剤は、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアまたはシリカ−アルミナであることを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の担持触媒。
【請求項19】
前記結合剤は、第一の金属酸化物と異なる第二の金属酸化物を更に含むことを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の担持触媒。
【請求項20】
前記第二の金属酸化物は、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアまたはシリカ−アルミナであることを特徴とする請求項19に記載の担持触媒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−507697(P2011−507697A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540671(P2010−540671)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/014055
【国際公開番号】WO2009/085290
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(390023630)エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー (442)
【氏名又は名称原語表記】EXXON RESEARCH AND ENGINEERING COMPANY
【Fターム(参考)】