説明

低適用温度弾性接着剤

低適用温度熱可塑性ホットメルト接着剤は、弾性アタッチメント接着剤として特に有用である。接着剤は、約8,000cp未満の275°F(135℃)での粘度、約80psi未満の降伏応力、およびストランドコーティングにより作製された接合部に対する約15%未満のクリープ性能を有する。好ましいものは、スパイラルコーティングにより作製された接合部に対する約25%未満のクリープ性能を有する接着剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性アタッチメント用途に特にうまく適する低適用温度ホットメルト接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ホットメルト接着剤は、製品組立および包装などの種々の商業的および工業的用途に広く用いられる。こうしたホットメルト接着剤は、その溶融状態にある間に基材に適用され、冷却されて接着剤層を硬化する。
【0003】
たいていの市販されているホットメルト接着剤は、すべての成分の完全な融解を確実にし、また十分な適用粘度を達成するために、350°F(177℃)以上の温度を必要とする。こうした高温に対する必要性は、問題なしということではない。高温は残留揮発成分の燃焼および吸入の両方に関する操作者の危険度を増大させる。加えて、高温は一層のエネルギーを必要とし、製造工場に一層の要求事項を突きつける。
【0004】
300°F(149℃)未満の温度で適用することができる接着剤配合物は、低ポリマー/エラストマー含量または低分子量成分または高ワックス含量を用いて調製することができる。これらの配合物は、低適用粘度を達成するが、強靭性、耐熱性、および時により基材への特定接着などの接着特性の結果として生じる損失がある。高耐熱性を有するポリ(エチレン−酢酸ビニル)系接着剤の配合物が技術上対応されてきたが、例えば、米国特許第6,117,945号を参照すること、一方で、望ましい基材上に強靭性、強度、および特定接着を提供するより低い適用温度(例えば、300°F(149℃)未満)の熱可塑性エラストマー系接着剤は、達成されて来なかった。
【0005】
従って、たとえ低温での適用に低分子量成分により調製されるとしても、格別の強靭性、引張強度および適用粘度を有して良好な結合力を示す熱可塑性エラストマー系接着剤を有することは、望ましいことであるであろう。本発明は技術上この必要性に対応する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、より低い温度、例えば、約200〜約300°F(約93〜約149℃)の温度で適用することができ、なおさらに格別の強靭性を提供することができる接着剤を提供する。本発明の接着剤は、例えば、赤ちゃんおむつ、トレーニング・パンツおよび成人用失禁衣服の製造に用いられる不織布における弾性アタッチメント用途において、特に有用である。
【0007】
本発明の一つの側面は、275°F(135℃)で約8,000センチポアズ(cp)未満の粘度、約80ポンド/平方インチ(psi)未満の降伏応力、およびストランドコーティングにより作製された接合部に対する約15%未満のクリープ性能を有する低適用温度熱可塑性ホットメルト接着剤に向けられている。好ましい実施形態において、接着剤は、スパイラルコーティングにより作製された接合部に対する約25%未満のクリープ性能を有する。接着剤は、必要ならば、粘度を下げ、および/または強靭性を増大させるために有効な量の添加剤を含有することが可能である。
【0008】
本発明の一つの実施形態は、約0.5〜約55重量%の熱可塑性エラストマー、約30〜約90重量%の粘着付与樹脂、0〜約40重量%の希釈剤、0〜約25重量%のワックス、並びに0〜約40重量%の粘度を下げおよび/または強靭性を増大させる添加剤を含む接着剤を提供し、その接着剤は約8,000cp未満の275°F(135℃)での粘度、約80psi未満の降伏応力、およびストランドコーティングにより作製された接合部に対する約15%未満のクリープ性能を有する。本発明の好ましい接着剤は、スパイラルコーティングにより作製された接合部に対する約25%未満のクリープ性能を有する。本発明の実施で用いられる特に好ましい添加剤は、アイオノマーである。
【0009】
本発明の別の側面は、約8,000cp未満の275°F(135℃)での粘度、約80psi未満の降伏応力、およびストランドコーティングにより作製された接合部に対する約15%未満のクリープ性能を有する低適用温度熱可塑性ホットメルト接着剤を含む製品に向けられている。一つの実施形態において、接着剤はスパイラルコーティングにより作製された接合部に対する約25%未満のクリープ性能を有する。製品は、一般的に、少なくとも一つの基材を含む。一つの実施形態において、製品はこうした接着剤を含むおむつである。接着剤は、着衣者の足および/または腰に接触するように位置付けられる1以上の弾性カフスを含む使い捨て吸収性衣服中に見られるものなどの弾性領域を含む物品の製造における弾性アタッチメント用途において、特定の用途を見出す。特定の好ましい実施形態において、弾性基材はスパンデックスを含む。
【0010】
本発明のなお別の側面は、少なくとも第1基材に溶融ホットメルト接着剤組成物を適用し、少なくとも第2基材を第1基材上に存在する接着剤と接触させ、それによって前記第1基材および第2基材を一緒に結合することを含む、基材を類似のまたは異なる基材に結合するための方法に向けられている。本方法中で用いられる接着剤組成物は、約8,000cp未満の275°F(135℃)での粘度、約80psi未満の降伏応力、およびストランドコーティングにより作製された接合部に対する約15%未満のクリープ性能を有する低適用温度熱可塑性ホットメルト接着剤である。一つの実施形態において、接着剤はスパイラルコーティングにより作製された接合部に対する約25%未満のクリープ性能を有する。特定の好ましい実施形態において、少なくとも一つの基材は、エラストマーポリウレタン繊維(スパンデックス)である。別の好ましい実施形態は、使い捨て吸収性製品の構成において、薄織物または不織布基材を類似のまたは異なる基材に結合するための方法に向けられている。
【0011】
本発明の詳細な説明
本明細書において引用されるすべての文書は、言及することによってそれらの全体をここに取り込まれる。
本発明は、低適用温度熱可塑性ホットメルト接着剤組成物を提供する。本発明の組成物は、約200〜約300°F(約93〜約149℃)間の温度で適用し、なおさらに格別の強靭性および特定の接着性を提供することができる。一つの実施形態において、接着剤は約250°F(約121℃)を超える温度、好ましくは約270°F〜約285°F(約132〜約141℃)の温度で適用される。別の実施形態において、250°F(121℃)から約200°F(約93℃)までの温度で適用することができる。低温(約300°F(約149℃)から約200°F(約93℃)までの)で適用することができるホットメルト接着剤は、多くの繊維が従来型のホットメルト接着剤を用いる場合よりも破損なしでさらに延伸することができるので、弾性アタッチメント接着剤として特に有用である。
【0012】
接着剤が弾性アタッチメント用途において用いられようとする場合に特に望ましい一つの特性は、クリープ性能である。こうした用途において、優れた強靭性を有する接着剤が好ましい。本発明の接着剤は、弾性アタッチメント用途、および他の途用に望ましいそれらの特性を有する。接着剤は、弾性不織布を作製することにおいて、および赤ちゃんおむつ、トレーニング・パンツ、成人用失禁ブリーフまたは下着などの製造において特に有用である。
【0013】
本発明により包含される接着剤は、約8,000cp未満の275°F(135℃)での粘度、約80psi未満の降伏応力、およびストランドコーティングにより作製された接合部に対する約15%未満のクリープ性能を有する低適用温度接着剤である。一つの好ましい実施形態において、接着剤は、約25%未満、さらに好ましくは約20%未満、なおさらに好ましくは約18%未満の、スパイラルコーティングにより作製された接合部に対するクリープ性能を有する。クリープ性能の測定は、実施例において記載されるように行うことができる。
【0014】
本発明の低適用温度ホットメルト接着剤は、熱可塑性エラストマー、粘着付与樹脂、および、必要ならば希釈剤、およびワックスなどの他の添加剤を含む。好ましい添加剤は、接着剤が約8,000cp未満の275°F(135℃)での粘度、約80psi未満の降伏応力、およびストランドコーティングにより作製された接合部に対する約15%未満のクリープ性能を有するように、粘度を低下させるかおよび/または強靭性を増大させる添加剤である。特に好ましい添加剤はアイオノマー樹脂である。特に好ましい接着剤は少なくとも一つのアイオノマーを含み、スパイラルコーティングにより作製された接合部に対する約25%未満のクリープ性能を有する。
【0015】
本発明により包含される接着剤は、一般的に、約0.5〜約55重量%、好ましくは約5〜約55重量%の少なくとも一つの熱可塑性エラストマーを含む。本発明の接着剤組成物の熱可塑性エラストマー成分を調製することに用いることが可能であるポリマーは、ポリマー末端ブロックAがホモポリマーとして約20℃を超えるガラス転移温度を有する非エラストマーポリマーブロックであり、他方エラストマーポリマー中央ブロックBが部分的にまたは実質的に水素化することが可能であるイソプレン、ブタジエンまたはイソブチレンまたはそれらの混合物から誘導される、一般構造式A‐B‐Aを有するブロックコポリマーである。さらに、ブロックコポリマーは直鎖または分岐鎖であることが可能である。一般的な分岐鎖構造は、中心から放射状に広がることができるか、または別途一緒に結合することができる少なくとも三つの分岐鎖を有するエラストマー部分を含有する。
【0016】
非エラストマー末端ブロックAは、ビニルアレーン、ビニルピリジン、ビニルハロゲン化物およびビニルカルボキシレートなどのビニルモノマー、ならびにアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸エステル、などのアクリルモノマーのホモポリマーまたはコポリマーを含むことが可能である。モノビニル芳香族炭化水素には、特にスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、およびエチルビニルベンゼンなどのベンゼン系、ならびにビニルナフタレンなどの2環式モノビニル化合物のものが挙げられる。他の非エラストマーポリマーブロックは、アルファオレフィン、アルキレン・オキシド、アセタール、ウレタンなどから誘導することが可能である。スチレンは好ましい。
【0017】
熱可塑性エラストマーコポリマーの残部を構成するエラストマー中央ブロックB成分は、一般的に、例えば米国特許第3,700,633号に教示されているように水素化することが可能であるイソプレン、ブタジエンまたはイソブチレンから誘導される。ブタジエンのこの水素化は、部分的かまたは実質的に完全かのいずれかであることが可能である。選択される条件は、例えば、ビニルアレーンポリマーブロックをそれほど改質しないで、エラストマーブタジエンブロックを水素化するように用いることが可能である。他の条件は、ポリマー鎖に沿って実質的に均一に水素化するように選択することが可能であり、それらのエラストマーおよび非エラストマーブロックの両方とも、部分的かまたは実質的に完全かのいずれかであることが可能である事実上同じ程度に水素化される。水素化ポリマーは、より高い分子量ポリマーに伴うより厳しい問題であることができる処理中の劣化を最小化するように選択される。
【0018】
本発明の接着剤は、一般的に、約30〜約90重量%の粘着付与樹脂を含む。好ましい接着剤は、約40〜約80重量%、さらに好ましくは約40〜約65重量%の、熱可塑性エラストマーの中央ブロックと適合する粘着付与樹脂を含む。好ましいものは、約25℃を超える環球軟化点を有する中央ブロック粘着付与樹脂である。適する中央ブロック粘着付与樹脂には、(1)例えば、ガム・ロジン、ウッド・ロジン、トール油ロジン、蒸留ロジン、水素化ロジン、2量化ロジン、および重合ロジンなどの天然または改質ロジン;(2)例えば、色の薄いウッド・ロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのグリセロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのペンタエリトリトールエステル、およびロジンのフェノール改質ペンタエリトリトールエステルなどの天然または改質ロジンのグリセロールおよびペンタエリトリトールエステル;(3)天然テルペンのコポリマーおよびターポリマー、例えば、スチレン/テルペンおよびアルファメチルスチレン/テルペン;(4)約80°〜150℃のASTM規格E28,58Tにより測定される軟化点を有するポリテルペン樹脂;後者のポリテルペン樹脂は、一般に、適度に低い温度でフリーデル・クラフト触媒の存在下ピネンとして知られる2環式モノテルペンなどのテルペン炭化水素の重合から得られ;また水素化ポリテルペン樹脂も含まれる;(5)例えば、2環式テルペンおよびフェノールの酸性媒体中での縮合から得られる樹脂製品としてのフェノール改質テルペン樹脂およびそれらの水素化誘導体;(6)約70°〜135℃の環球軟化点を有する脂肪族石油炭化水素樹脂;後者の樹脂は、主としてオレフィンおよびジオレフィンからなるモノマーの重合から得られ;また水素化脂肪族石油炭化水素樹脂も含まれる;(7)脂環式石油炭化水素樹脂およびそれらの水素化誘導体;および(8)脂肪族/芳香族または脂環式/芳香族コポリマーおよびそれらの水素化誘導体などのあらゆる適合樹脂またはそれらの混合物が挙げられる。
【0019】
本明細書における使用のための好ましい中央ブロック粘着付与樹脂には、グッドイヤー(Goodyear)からのウイングタック(Wingtack)95などのポリテルペン、ハーキュレス(Hercules)からのハーキュレス(Hercures)Cなどの脂肪族樹脂、イーストマン(Eastman)からのイーストタック(Eastotac)H100Rなどの脂環式樹脂、およびエクソンモービル・ケミカル(ExxonMobil Chemical Company)からのエスコレッツ(ESCOREZ)5600などの脂肪族/芳香族または脂環式/芳香族樹脂が挙げられる。一層好ましいものは脂肪族および脂環式樹脂である。特定粘着付与剤の好ましさおよび選択は、用いられる特定エラストマーブロックコポリマーに応じて決めることができる。
【0020】
加えて、接着剤中に約30重量%以下の末端ブロック粘着付与樹脂を組み込むことは、望ましいかもしれない。末端ブロック粘着付与樹脂は、接着剤が冷却された後、主として熱可塑性エラストマーの非エラストマーブロック中に存在する。こうした樹脂の代表例には、ハーキュレスから市販されているハーキュレス材料などの混合C9石油蒸留流に基づく主として芳香族の樹脂、またはビニルトルエン、スチレン、アルファ‐メチルスチレン、クマロンまたはインデンのホモまたはコポリマーなどの芳香族モノマーの純粋なまたは混合モノマー流に基づく樹脂が挙げられる。好ましいものは、ハーキュレスからクリスタレックス(Kristalex)商品名で市販されているアルファ‐メチルスチレンに基づくものである。存在する場合、末端ブロック粘着付与樹脂は、一般に、約5〜約30重量%、好ましくは約20重量%未満の量で用いられる。
【0021】
また、接着剤中に、約40重量%以下、好ましくは約5〜約30重量%の、性格上主として脂肪族であり熱可塑性エラストマー中央ブロックと適合する油または他の液体希釈剤が存在することは可能である。例には、パラフィン系およびナフテン系石油オイルなどの可塑剤、高度精製芳香族なしのパラフィン系およびナフテン系食物および工業銘柄ホワイトペトロリアム鉱油、およびポリブテン、ポリプロペン、ポリテルペン、などの合成液体オリゴマーなどの液体粘着付与剤が挙げられる。合成シリーズプロセスオイルには、中程度〜高分子量の持続的に流動性の液体モノオレフィン、イソパラフィンまたはパラフィンである高粘性オリゴマーが挙げられる。液体可塑化または粘着付与希釈剤には、グッドイヤーから市販されているウイングタック(Wingtack)10などのポリテルペン、およびエクソン・ケミカルから市販されているC5供給流に基づくエスコレッツ(Escorez)2520が挙げられる。他の液体希釈剤には、クラレ(Kuraray)からLIR50として市販されているポリイソプレン、および商品名インドポール(Indopol)で市販されているアモコ(Amoco)のポリブテンが挙げられる。最も好ましいものは、エスコレッツ2520、重合C5石油供給流と組み合わせたパラフィン系石油である。
【0022】
また、任意に、約25重量%以下、好ましくは約5重量%以下のワックスが存在することは可能である。本発明における使用に適するワックスには、パラフィン・ワックス、マイクロクリスタリン・ワックス、ポリエチレン・ワックス、ポリプロピレン・ワックス、副生品ポリエチレン・ワックス、フィッシャー‐トロプシュ・ワックス、酸化フィッシャー‐トロプシュ・ワックスおよびヒドロキシステアラミイド・ワックスおよび脂肪アミド・ワックスなどの機能化ワックスが挙げられる。高密度低分子量ポリエチレン・ワックス、副生品ポリエチレン・ワックスおよびフィッシャー‐トロプシュ・ワックスを含んで専門語の合成高融点ワックスを用いることは、該技術分野において一般的である。AC−400(ハネウェル(Honeywell))およびMC−400(マーカス・オイル(Marcus Oil Company)から市販されている)などの酢酸ビニル改質ワックス、エポレン(Epolene)C−18(イーストマン・ケミカル(Eastman Chemical)から市販されている)およびAC−575AおよびAC−575P(ハネウェルから市販されている)などの無水マレイン酸改質ワックス、および酸化ワックスを含む改質ワックスは、本発明の実施において用いることが可能である。特に好ましいものは、ポリエチレン・ワックスである。用いられる場合、ワックスは、一般に、少なくとも約2重量%の量で存在する。
【0023】
本発明の一つの実施形態は、約0.5〜約55重量%の熱可塑性エラストマー、約30〜約90重量%の粘着付与樹脂、0〜約40重量%の希釈剤および0〜約25重量%のワックス、および接着剤の粘度を下げ、および/または強靭性を増大させるために有効な量の添加剤を含む接着剤を提供する。接着剤を含有する添加剤は、約8,000cp未満の275°F(135℃)での粘度、約80psi未満の降伏応力、およびストランドコーティングにより作製された接合部に対する約15%未満のクリープ性能を有する。本発明の好ましい接着剤は、約25%未満、さらに好ましくは約20%未満、なおさらに好ましくは約18%未満の、スパイラルコーティング(包装していない)により作製された接合部に対するクリープ性能を有する。
【0024】
特定添加剤が接着剤の粘度を下げるかまたは強靭性を増大させるために有効であるかどうかは、実施例において記載される試験を用いて熟練者により決定することができる。本発明により、添加剤は、約8,000cp未満の275°F(135℃)での粘度、約80psi未満の降伏応力、およびストランドコーティングにより作製された接合部に対する約15%未満のクリープ性能を有する接着剤を提供するために有効な量で用いられる。好ましい実施形態において、添加剤の添加は、スパイラルコーティングにより作製された接合部に対する約25%未満のクリープ性能を有する接着剤を提供する。好ましくは、用いられる添加剤の量は、それがこうした添加剤のない接着剤配合物の熱可塑性エラストマー成分の類似の部分を置き換えるようなものである。
【0025】
本発明の実施における使用のために特に好ましい添加剤は、アイオノマー樹脂である。アイオノマーを含む接着剤は、好ましくは、約40重量%以下、一般的に約0.1重量%〜約40重量%、さらに一般的に約0.1重量%〜約15重量%、さらに一般的に約10重量%未満、なおさらに一般的に約5重量%以下のアイオノマー樹脂またはそれらの混合物を含む。有用なアイオノマーは、Na+、Li+、Ca++、Mg++、Zn++、Ba++またはAl+++または他の金属イオンにより中和されるかまたは部分的に中和されるカルボキシレート、スルホネートまたはホスホネートに限定されないがそれらを含む化合物のポリマーまたはコポリマーである。コポリマー中のイオン含量の百分率は変動することができ、中和の百分率もまた変動することができる。本発明の実施で用いるアイオノマーは市販されている。例えば、エチレンおよび金属イオンにより中和されるアクリル酸またはメタクリル酸のコポリマーである、ハネウェルからのアクリン(ACLyn)(登録商標)、デュポン(DuPont)からのサーリン(Surlyn)(登録商標)、およびエクソンモービルからのエスコール(Escor)(登録商標)およびアイオテック(Iotek)などのアクリル酸系アイオノマーがある。また、B.F.グッドリッチ(Goodrich)からのハイカー(Hycar)(登録商標)などのブタジエン‐スチレン‐アクリル酸ターポリマーも使用可能である。有用なアイオノマーには全フッ素置換アイオノマーが挙げられる。こうしたアイオノマーは市販されている。例には、デュポンのナフィオン(Nafion)(登録商標)、および旭硝子のフレミオン(Flemion)(登録商標)が挙げられる。
【0026】
最後に、一般的にゴム系粘着剤の製造において用いられる酸化防止剤は、約3重量%以下の量で存在することが可能である。本明細書において用いられる有用な安定剤または酸化防止剤の中には、高分子量ヒンダード・フェノールおよび硫黄およびリン含有フェノールなどの多官能性フェノールが含まれる。ヒンダード・フェノールは当業者に周知であり、またそれらのフェノール性ヒドロキシル基に極めて接近して立体的にかさばったラジカルを含有するフェノール化合物として特徴付けることが可能である。特に、t‐ブチル基は、一般に、フェノール性ヒドロキシ基に対して少なくとも一つのオルソ位置でベンゼン環上に置換される。代表的なヒンダード・フェノールには、1,3,5‐トリメチル2,4,6−トリス(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリトリチル・テトラキス‐3(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)‐プロピオネート、4,4’‐メチレンビス(2,6‐t‐ブチルフェノール)、4,4’‐チオビス(6‐t‐ブチル‐o‐クレゾール)、2,6‐ジ‐t‐ブチルフェノール、6‐(4‐ヒドロキシフェノキシ)‐2,4‐ビス(n‐オクチルチオ)‐1,2,5‐トリアジン、ジ‐n‐オクタデシル3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシベンジル・ホスホネート、2‐(n‐オクチルチオ)エチル3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシベンゾエート、およびソルビトール・ヘキサ[3‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)‐プロピオネート]が挙げられる。
【0027】
本発明の接着剤は、当該技術上公知の技術を用いて調製することが可能である。一般的に、接着剤組成物は、均質な混合物が得られるまで約100°〜200℃の温度で成分を融解状態で混合することにより調製される。混合の種々な方法は公知であり、均質な混合物を製造するあらゆる方法は十分なものである。
【0028】
好ましい低適用温度ホットメルト接着剤組成物は、(a)スチレン‐イソプレン‐スチレン(SIS)、スチレン‐ブタジエン‐スチレン(SBS)、スチレン‐イソブチレン‐スチレン(SIBS)、スチレン‐b‐エチレン/ブチレン‐b‐スチレン(SEBS)、および/またはスチレン‐b‐エチレン/プロピレン‐b‐スチレン(SEPS)、またはnが3以上であるラジアル・コポリマー(SI)n、および/または(SB)nなどの熱可塑性エラストマー、約5〜約35重量%、(b)(a)に一覧されるブロックコポリマーの中央ブロックと適合する粘着付与樹脂、約40〜約70重量%、(c)(a)に一覧されるブロックコポリマーの末端ブロックと適合する熱可塑性炭化水素粘着付与樹脂、約5〜約30重量%、(d)アイオノマー樹脂、約0.1〜約15重量%、(e)鉱油などの希釈剤、0〜約30重量%、並びに(f)ワックス、0〜約5重量%を含むと共に、約8,000cp未満の275°F(135℃)での粘度、約80psi未満の降伏応力、およびストランドコーティングにより作製された接合部に対する約15%未満のクリープ性能を有する。好ましい実施形態において、接着剤は、スパイラルコーティングにより作製された接合部に対する約25%未満のクリープ性能を有する。好ましくは、用いられる添加剤の量は、それがこうした添加剤のない接着剤配合物の熱可塑性エラストマー成分の類似の部分を置き換えるようなものである。
【0029】
接着剤は、技術上公知のあらゆる方法により望ましい基材に適用することが可能であり、限定なしで、ロールコーティング、塗装、乾燥はけ塗り、浸漬コーティング、吹付塗り、スロット‐コーティング、渦巻吹付塗り、印刷(例えば、インクジェット印刷)、フレキソ印刷、押出し、噴霧吹付塗り、グラビア印刷(パターンホイール転写)、静電塗装、蒸着、繊維化および/またはスクリーン印刷が挙げられる。
【0030】
本発明の接着剤は、位置決め接着剤、コア接着剤または弾性接着剤として有用であり、おむつ、成人用失禁製品、ベッド・パッドなどの使い捨て吸収性物品;生理用ナプキン、および胸当て、創傷包帯、および水および生理食塩水、および尿、月経血、および血液などの体液などの液体を吸収するために用いられる外科用ケープまたはドレープなどの、他の吸収性製品に限定されないが、それらを含む物品の製造での使用に特に適する。接着剤は、不織布または薄織物を別の基材または部品に付着させるために用いることが可能である。弟2基材は、別の不織布、薄織物、または無関係の材料であることが可能である。
【0031】
本発明は、液体透過性トップシ−ト、液体不透過性バックシート、およびトップシ−トとバックシート間に差し挟まれる吸収性部材を含む製品の吸収性物品を提供する。一般的に、バックシ−トは、接着剤により互いに結合される液体不透過性シートおよび不織布を含む複合シートである。本発明は、1以上のエラストマーストランドまたはリボンの有りまたは無しで作製された複合材料および使い捨て吸収性製品を包含する。
【0032】
吸収性構造または製品が作製されるにつれて、それは、一般に、構成部品または要素が互いに接続される多くの各種段階を受ける。例えば、トップシ−トおよびバックシートの部分は、一般的に、一緒に結合される。また、吸収性構造または製品がゴム入りウエストバンドまたはゴム入り足バンドまたは足カフスなどのエラストマー領域を組み込む程度にまで、弾性ストランドまたは弾性リボンは、一般的に、1以上の基板、基材、またはウェブの一部に結合される。
【0033】
「結合される」(bonded)または「付着される」(attached)は、二つの要素の接合、接着、または接続などを指す。二つの要素は、それらが直接的に互いに、または間接的に互いに結合される場合に一緒に結合されると考えられる(例えば、各要素が直接中間要素に結合される場合のように)。
【0034】
本明細書において用いられる「要素」(piece)または「構成部品」(component)は、複合材料または吸収性製品を構成することを支援するために用いられる個別の部品、ウェブ、またはいくつかの他の要素を意味する。こうした個別の部品またはウェブの例は以下に記載される。
【0035】
本明細書において用いられる「弾性ストランド」(elastic strand)は、ポリエステル‐b‐ポリウレタンブロックコポリマー、ポリエーテル‐b‐ポリウレタンブロックコポリマー、スチレン系ブロックコポリマー、および/またはポリエーテル‐b‐ポリアミドブロックコポリマーなどのランダム、ブロック、またはグラフトコポリマーを含む、ポリエーテルエステル、ポリウレタン、ポリアミド、またはそれらの組合せに限定されないがそれらなどの高分子成分を含むストランドを意味する。弾性ストランドの例には、インビスタ(Invista,Inc.)により販売されている多繊維エラストマー糸であるリクラ(LYCRA)、およびグローブ・マニュファクチュアリング(Globe Manufacturing Company)により製造される弾性ストランドであるグロスパン(GLOSPAN)が挙げられる。
【0036】
弾性ストランド、弾性リボン、または他の弾性材料を含む複合材料に対して、「クリープ抵抗」(creep-resistance)または「クリープ抵抗値」は、1以上の弾性材料を少なくとも一つの要素に付着させるための特定システムの弾性ストランド保持力を指す。例えば、接着剤が液体形態で第1要素に適用され、次に、弾性ストランドまたは複数のストランドが、ストランドまたは複数のストランドを第1要素に付着させるために接着剤および第1要素に対して押し付けられる場合、次に、クリープ抵抗は、ストランドまたは複数のストランドと第1要素間の接着結合の品質の尺度となる。一般に、弾性ストランドまたは複数のストランドは、第1要素と第2要素間に挟まれるか、またはストランド上の要素を折り畳むことにより囲まれる。
【0037】
用語「不織布」(nonwoven)または「不織ウェブ」(nonwoven web)は、織物または編物工程の助けなしで形成される材料のウェブを指す。用語「布地」(fabrics)は、すべての織物、編物、および不織繊維ウェブを指すように用いられる。
【0038】
不織布を構成する繊維は、一般的に、1.5〜3.5デニールの線密度を有する。不織布を構成する繊維は、繊維径が上記範囲内に入る場合、特に形態または材料において限定されることはない。連続フィラメントまたは短繊維のいずれも用いることが可能である。不織布を構成するために用いられる個々の繊維は、合成物か、天然産か、または二つの組合せであることが可能である。繊維には、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維およびポリアミド繊維などの熱可塑性合成繊維;綿、麻および羊毛などの天然繊維;およびレーヨン繊維およびアセテート繊維などの再生繊維が挙げられる。個々の繊維は、機械的、化学的、または熱的に互いに結合することが可能である。不織布は、一般的に、10〜35g/m2の秤量を有する。不織布は、絶縁、包装(例えば、肉などの食物)、家庭用雑巾、外科用ドレープ、包帯、およびおむつ、成人用失禁製品および生理用ナプキンなどの使い捨て物品中に含まれる多様な用途用に商業的に用いられる。薄織物は近縁の材料であり、中で個々の繊維は互いに化学的に結合することが可能であるか、または可能でない。
【0039】
「液体透過性トップシート」は、一般に、不織ウェブ;ポリプロピレン、ポリエチレン、またはポリエステルなどの合成ポリマーフィラメントまたは繊維からなるスパンボンド、メルトブロー、または結合化‐カード化ウェブ;有孔フィルム;またはレーヨンまたは綿などの天然ポリマーフィラメントまたは繊維のウェブを含む。
【0040】
「液体不透過性バックシート」は、一般に、フィルム、織布、不織布、またはフィルム積層板などの防湿層材料を含む。例えば、バックシートは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、または類似の材料などのプラスチックフィルムの実質的に液体不透過性ウェブまたはシートを含むことが可能である。バックシートは、使い捨て吸収性製品の吸収中心部内に水、尿、月経血、または血液などの液体を含有すると共に、寝具および/または衣服の外衣の汚れを防ぐように機能する。使い捨て吸収性製品中のバックシートとして有用な材料は、一般に、液体に対して不透過性であるが、しかし、好ましくは、蒸気に対して透過性である。例には、ポリオレフィンフィルム、例えば、ポリプロピレンおよびポリエチレンなどの液体不浸透性材料、ならびに、時に通気性フィルムと呼ばれる微小孔性ポリオレフィンフィルムなどの蒸気浸透性材料が挙げられる。
【0041】
上述のように、一部の使い捨て吸収性物品は、種々のタイプのゴム入りウエストバンドおよびゴム入り足バンドまたは足カフスにより構成される。ゴム入り領域を構成する一つの方法は、弾性ストランドを、それが形成される際に次に使い捨て吸収性製品の一部に取り付けられる積層板中に組み込むことである。例えば、弾性ストランドは、ポリマーフィルム層および/または織布または不織布層の間に積層されて、エラストマー領域を有する吸収性製品を提供してきた。折り畳まれた上層は、また、材料の選択されたストランドを囲むかまたは包むために用いられてきた。これらの折り畳まれた上層は、使い捨ておむつおよび他の使い捨て吸収性物品のウエストバンド、足カフスおよび内側バリアカフス部品内のエラストマーストランドを囲むために用いられてきた。高分子フィルムまたは複数のフィルム、織布または不織布層、および/または折り畳まれた上層は、上で検討したトップシートおよび/またはバックシートの一体部分であることが可能であるか、または、トップシートおよび/またはバックシートに取り付けられる個別の部品であることが可能である。
【0042】
作製しようとする製品に弾性ストランドを導入するために、ストランドのスプールが、一般に、原紙スタンド上に載せられる。次に、ストランドは流れ方向に連続的に解かれ、ストランドが材料の基層などの基材に取り付けられて複合材料を提供する。この用途のために、「要素」または「構成部品」は、前述の基材または材料の基層などのウェブを包含する。上述のように、基材の例には、高分子フィルムおよび/または織布または不織布が挙げられるがそれらに限定されない。また、上述のように、弾性ストランドは、一般的に、二つの異なる基材層の間、または基材の折り畳まれた上部の間に挟まれて、複合材料を形成する。本発明の実施において、ストランドは、本発明の接着剤を用いて基材または材料に有利に取り付けられる。
【0043】
弾性化領域を作製するために、ストランドは、それが基材に取り付けられる場合に延伸して基材複合材料を形成する。延伸された弾性ストランドは複合材料を縮め収縮させる傾向があり、それによって複合材料にゴム状弾性を付与する。上述のように、複合材料は、使い捨て吸収性製品中にゴム入りウエストバンドまたは足バンドを提供するために形成することが可能である。
【0044】
本発明の接着剤は、トップシートをバックシートに取り付けるために用いることが可能である。あるいは、接着剤は、トップシートまたはバックシートのいずれかを、当業者には周知である使い捨て吸収性製品を構成するために一般的に用いられる、薄織物層、足皮弁、締付け耳、テープ、またはタブ、または他の部品などの使い捨て吸収性製品の他の部品に付着させるために用いることが可能である。
【0045】
本発明の接着剤は、弾性アタッチメント接着剤として特に有用である。優れた伸縮性および弾力性を有する材料は、例えば、失禁パッド、使い捨ておむつ、トレーニング・パンツ、衣類、下着、運動着、自動車内装、雨よけ、ガスケット、および椅子張りなどの多様な使い捨てのおよび丈夫な物品を製造するために必要とされる。伸縮性および弾力性は、例えば、着衣者の身体または品目の枠に密接に合致するはめ込みを達成するように機能することができる性能属性である。多くの材料が室温で優れた応力−歪特性および弾力性を示すことが知られているが、一方で、弾性材料が体温または夏季の間の自動車の内装中などの高温での繰返し使用、伸長および収縮の間、合致するかまたは安全なはめ込みを提供することが、多くの場合、望ましい。接着剤は、赤ちゃんおむつまたは成人用失禁品目などの不織布用途で用いるための弾性アタッチメント接着剤としての特定用途を見出す。不織布市場に加えて、本発明のホットメルト接着剤は、要望が適用温度を下げると同時に接着剤の強靭性および強度を保持することである、包装、加工および製本市場において有用である。
【0046】
使い捨て弾性物品は、一般的に、製造技術の組合せによりポリマーフィルム、エラストマー繊維、不織布シートおよび/または吸収性材料から製造される複合材料である。エラストマー繊維は、溶融および溶液紡糸および任意に巻き取りなどの周知の方法により製造することができる。不織布シートは、スパンボンド法、メルトブロー法、ハイドロエンタングリング(hydroentangling)、および機械エンタングリングなどにより製造することができる。フィルムおよびシート形成法には、一般的に、公知の押出し成形および同時押出し成形技術、例えば、ブローン・フィルム、キャスト・フィルム、異型押出し、射出成形、押出しコーティング、および押出しシーティングが含まれる。ポリマーフィルムは、好ましくは、ポリオレフィンフィルム、例えばポリプロピレンおよびポリエチレンなどの液体不浸透性材料、ならびに時に通気性フィルムと呼ばれる微小孔性ポリオレフィンフィルムなどの蒸気浸透性材料である。
【0047】
例えば、自動車ドアおよび窓飾り、衣料ウエストバンド糸またはストリップ、および建物目詰め材などの丈夫な弾性物品は、周知の成形、熱成形および異型押出し技術により製造することができる。
【0048】
材料は、一般的に、それが付勢力(biasing force)適用後、高弾性回復率(すなわち、低永久歪)を有するとして特徴付けられる場合に、エラストマーであると見なされる。理想的には、弾性材料は、三つの温度独立特性、すなわち、低いパーセントの永久歪、歪での低応力または負荷、および低いパーセントの応力または負荷緩和の組合せにより特徴付けられる。すなわち、低温から高温までの使用温度で、(1)材料を延伸するための低い応力または負荷要求値、(2)材料が延伸される間応力緩和または負荷軽減が全くないか低いこと、および(3)延伸、付勢または変形の中止後、元の次元への完全なまたは高度な回復があることが好ましい。従って、エラストマーポリマーは、一般的に、希釈剤なしで、いかなる捲縮(繊維形態である場合に)とも無関係に100%を超える破断伸びを有すると共に、その長さの2倍に伸ばされ、1分間保持され、次に解放される場合に、解放の1分間内にその元の長さの1.5倍未満に縮むポリマーである。
【0049】
エラストマー特性を有するポリマーには、天然ゴムまたは合成ゴム、ポリエーテルウレタンおよびポリエステルウレタンなどのセグメント化ポリウレタン(ポリウレタン尿素を含む)、例えば、デュポンからのハイトレル(Hytrel)(登録商標)などのポリエーテルエステル、例えばダウ(Dow)からのXLA繊維などのエラストマーポリプロピレンおよびエラストマーポリエチレンのようなエラストマーポリオレフィン、並びに例えばアトフィナ(Atofina)からのペバックス(Pebax)(登録商標)などのポリエーテルアミド、ポリエーテルエステルアミド、およびポリエーテルアミドのようなエラストマーポリアミドが挙げられるがそれらに限定されない。本発明の物品は、種々の形態のこうしたエラストマーポリマーを含有する基材を含むことができると共に、こうした基材は本発明の方法において用いることができる。
【0050】
本発明の接着剤は、接着剤、および少なくとも一つのエラストマー繊維、テープ、フィルム、ストリップ、皮膜、リボンおよび/またはシート、例えば、スパンデックス(例えば、リクラ(Lycra)(登録商標)スパンデックスおよびリクラ(登録商標)XA、尚、スパンデックスはその上に潤滑仕上げを殆どまたは全く有しない)などの少なくとも一つのエラストマー基材を含む物品の製造において特に有用である。一つの実施形態において、基材はスパンデックスまたは溶融紡糸エラストマーを含む。別の実施形態において、基材は繊維形態または約10mm未満の幅のストリップ形態における天然または合成ゴムを含む。接着剤および少なくとも一つのエラストマー基材は、製品の少なくとも一つの部品を含むことが可能である。こうした部品の非限定的例には、ウエストバンド、足バンド、腹巻などが挙げられる。
【0051】
米国国際貿易委員会は、スパンデックスを、繊維形成物質が少なくとも85重量%のセグメント化ポリウレタンからなる長鎖合成ポリマーである人造繊維として定義する。リクラ(登録商標)スパンデックスは、それを衣類、運動着および水着の使用に極めて適するものとするほぼ理想的な温度独立弾性特性を示すことが知られている。
本発明は、さらに、以下の非限定実施例により説明される。
【実施例】
【0052】
以下の実施例において、特記のない限り、すべての部は重量により、すべての温度は°Fで表される。
【0053】
接着剤調製
本明細書において記載されるすべての配合物を、シグマブレードを有する600gブラベンダー混合機中で調製した。熱可塑性エラストマーおよび配合物中約20%の油を約325°F(163℃)に予熱したボールに添加した。一旦均質化すると、アイオノマーを添加した。一旦均質化すると、中央ブロック粘着付与樹脂を添加した。最後に、追加の油および末端ブロック粘着付与剤を添加した。混合物が均質化した時に混合工程を終了させた。
【0054】
実施例で用いた不織布基材は、アブゴル(Avgol)により製造される16.5g/m2のスパンボンド化ポリプロピレンであった。
【0055】
実施例で用いたポリエチレンフィルムは、0.75ミルの厚さを有するコロナ処理したエムボスフィルムTXEM−244.0であった。フィルムはプライアント(Pliant Corp)製であった。
【0056】
接着剤試料について以下に記載する試験を行った。
融解粘度
ホットメルト接着剤の融解粘度を、27番スピンドルを用いてブルックフィールド・モデルRVTサーモセット粘度計により測定した。
【0057】
引張性能
ホットメルト接着剤の引張性能を、1”(2.5cm)×1”(2.5cm)末端タブおよび0.5”(1.3cm)×0.5”(1.3cm)中央ゲージ部分を有する0.125”(0.318cm)厚さ、2.5”(6.4cm)長さの犬用骨形状部分を用いて測定した。これらを12”(30cm)/分の速度でニューマグリップを有するインストロン上で引張り、降伏応力および極限応力を測定した。
【0058】
機械力学性能
ホットメルト接着剤の機械力学性能を、レオメトリクス・ダイナミック・メカニカル・アナライザー(Rheometrics Dynamic Mechanical Analyzer)(モデルRDA700)により測定して、温度に対する弾性率(G’)および損失率(G”)を得た。計器をリオス・ソフトウエア・バージョン(Rhios software version)4.3.2により制御した。8mm径で約2mmの間隙で分離された平行板を用いた。試料に負荷をかけ、次に約−100℃に冷却し、時間プログラムを開始した。プログラム試験は、温度を5℃間隔で上げ、次に各温度で10秒の浸漬時間を持った。試料を含有する対流式オーブンを、窒素により連続的にフラッシュした。周波数を10ラジアン/秒に保持した。試験開始での初期歪は0.05%であった(板の外縁で)。ソフトウエアにおける自動歪選択を用いて、試験全体にわたって正確に測定できるトルクを保持した。選択を、ソフトウエアにより可能とされる最大適用歪が80%であるように設定した。自動歪プログラムは、以下の手順を用いて保証される場合、各温度増分での歪を調整した。トルクが200g‐cm未満である場合、歪を現在値の25%分増大させた。トルクが1200g‐cmを超える場合、それを現在値の25%分減少させた。200〜1200g‐cm間のトルクでは、その温度増分で歪変化は全くなされなかった。剪断貯蔵または弾性率(G’)および剪断損失率(G”)を、トルクおよび歪データからソフトウエアにより計算した。tan δとしても知られるそれらの比、G”/G’を、また計算した。中央ブロックTgはtan δの最大としてとらえられた。
【0059】
クリープ性能
クリープ性能を、末端使用温度(100°F(38℃))で4時間の間、延伸条件下でどれほど自由端弾性ストランドが縮むかを測定することにより評価した。
【0060】
二つの不織布シート、または不織布シートと高分子フィルム間の延伸条件において付着したフィラメント(スパンデックス)の長さを測定した(「出発長さ」)。スパンデックスの両端を切断し、得られる自由端フィラメントが縮む量を、100°F(38℃)での4時間後測定した。次に、クリープ%を以下のやり方で計算した。
クリープ%={(出発長さ−最終長さ)/出発長さ}×100
例えば、印間の初期距離が20cmであり、印間の最終距離が15cmである場合、クリープ%は25%である。各条件に対して5試料を試験し、結果を各弾性ストランドに対して平均し、結果を記録した。
【0061】
スパイラルまたはストランド適用のいずれかによりクリープ性能を試験する場合に、用いた不織布基材はアブゴル(Avgol)により製造された16.5gsmスパンボンドであり、ポリエチレンフィルムはプライアント(Pliant Corp)により供給されるコロナ処理され0.0007500ゲージ厚さで浮き彫りされたTXEM−244.0であり、用いたスパンデックスは620デシテクス(Decitex)(リクラ(RYCRA)(登録商標)XA(登録商標))であり、繊維のドラフト比は4.0Xであった。
【0062】
ストランドコーティングにより作製された接合部に対するクリープを測定する場合に、接着剤を、275°F(135℃)の温度で、300fpmおよび開放時間0.1秒での高速ラミネーターおよびITWオメガ適用器を用いて、連続モードのストランドコーティングパターンにより不織布基材およびスパンデックス上に適用した。接着剤付加レベルは、3弾性繊維と一体で2.5mg/inであった。
【0063】
スパイラルコーティングにより作製された接合部に対するクリープを測定する場合に、接着剤を、275°F(135℃)の温度で、300fpm、開放時間0.1秒での高速ラミネーターおよびノードソン0.018”スパイラル適用器を用いて、間欠モードの包装していないスパイラルパターンにより不織布基材およびスパンデックス上に適用した。接着剤付加レベルは、不織布基材に取り付けられる3弾性繊維と一体で8mg/inであった。
【0064】
実施例1
表1に示される配合を有する接着剤を調製した。クラトン(Kraton)D1124は、スチレン30%、メルト・フロー・インデックス4、および30%のジ‐ブロックパーセントを有するSISブロックコポリマーである。エスコレッツ(Escorez)5400は、軟化点100〜106℃を有するエクソンから入手した石油炭化水素樹脂である。クリスタレックス(Kristallex)F115は、軟化点114〜120℃を有するイーストマン・ケミカルから入手したアルファ‐メチルスチレン系炭化水素樹脂である。ナイフレックス(Nyflex)はナイナス(Nynas)から入手した鉱油である。イルガノックス(IRUGANOX)1010FF、イルガノックス565、およびイルガノックスPS8000FLは、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals Corporation)から入手した種々の酸化防止剤である。表1中の量は配合物全体重量に対する重量%である。
【0065】
【表1】

【0066】
それらが3弾性ストランドに対する2.5mg/inの付加量を有する弾性アタッチメント接着剤として用いられる場合の、表1に一覧される配合物の種々の特性およびクリープ性能(不織布シートと高分子フィルム(NW/ポリ)間で試験した)を表2に示す。この実施例において用いた繊維は、620デシテクス・リクラ(decitex Lycra)(登録商標)XA(登録商標)スパンデックスであった。それが不織布に付着しようとする間、繊維のドラフト比は4.0Xであった。接着剤を、300fpm、開放時間0.1秒での高速ラミネーターおよびイリノイズ・ツール・ワークス(ITW)のオメガアプリケータを用いて、連続モードのストランドコーティングパターンにより不織布基材およびスパンデックス上に適用した。接着剤を275°F(135℃)の温度で適用した。
【0067】
【表2】

【0068】
実施例2
表3に示される配合を有する接着剤を調製した。ベクトル(Vector)4211は、約30%のスチレンであり、約10〜16のメルト・フロー・インデックスを有する柔らかい中央ブロックとしてのイソプレンを有するスチレンとイソプレンのトリ−ブロックコポリマーである(エクソンモービル・ケミカル)。イーストタック(Easttac)H100Rは、95℃〜105℃の環球軟化点を有し、イーストマン・ケミカルから市販されている水素化炭化水素粘着付与樹脂である。クリスタレックス(Kristalex)(登録商標)3085は、82℃〜88℃の環球軟化点を有する芳香族炭化水素樹脂である(イーストマン・ケミカル)。サーリン(Surlyn)9970、サーリン8670およびサーリン8660は、E.I.デュポン(duPont de Nemours and Company)から市販されているエチレン−アクリル酸コポリマー系アイオノマーである。酸含量および中和%は、これらの各アイオノマーに対して異なる。サーリン8670およびサーリン8660はNa+により中和されるが、他方サーリン9970はZn++により中和される。各配合物は、また、0.5%の追加酸化防止剤(イルガノックス1010FF)を有した。表3中の量は、配合物全体重量に対する重量%である。
【0069】
【表3】

【0070】
それらが3弾性ストランドに対する2.5mg/inの付加量を有する弾性アタッチメント接着剤として用いられる場合の、表3に一覧される配合物の種々の特性、およびクリープ性能(二つの不織布シート(NW/NW)間および不織布と高分子フィルム(NW/ポリ)間で試験した)を表4に示す。この実施例において用いた繊維は、620デシテクス・リクラ(登録商標)XA(登録商標)スパンデックスであった。それが不織布に付着しようとする間、繊維のドラフト比は4.0Xであった。接着剤を、300fpm、開放時間0.1秒での高速ラミネーターおよびITWオメガアプリケータを用いて、連続モードのストランドコーティングパターンにより不織布基材およびスパンデックス上に適用した。接着剤を275°F(135℃)の温度で適用した。
【0071】
【表4】

【0072】
この実施例は、良好なクリープ性能が、ストランドコーティングにより275°F(135℃)未満で適用することができる接着剤により得られることを示す。
【0073】
実施例3
表5に示される配合を有する接着剤を調製した。表5中の量は、配合物全体重量に対する重量%である。
【0074】
【表5】

【0075】
クリープ性能を含む表5に一覧される配合物の種々の特性(不織布シートと高分子フィルム(NW/ポリ)間で試験した)を、表6に示す。この実施例において用いた繊維は、620デシテクス・リクラ(登録商標)XA(登録商標)スパンデックスであった。それが不織布に付着しようとする間、繊維のドラフト比は4.5Xであった。接着剤を、300fpm、開放時間0.1秒での高速ラミネーターおよびノードソン(Nordson)0.018”スパイラル適用器を用いて間欠モードの包装していないスパイラルパターンにより不織布基材およびスパンデックス上に吹付塗装した。接着剤付加レベルは、不織布基材に取り付けられようとする3弾性繊維と一体で8mg/inであった。接着剤を275°F(135℃)の温度で適用した。
【0076】
【表6】

【0077】
この実施例は、良好なクリープ性能が、スパイラル適用により275°F(135℃)未満で適用することができる接着剤によって得られることを示す。
【0078】
本発明の多くの修正および変更は、当業者に明らかであるように、その精神および範囲から逸脱することなく行うことができる。本明細書において記載される特定の実施形態は、ほんの一例として提供されると共に、本発明は、添付クレーム、ならびにこうしたクレームが権利を与える十分な範囲の均等物の条件によってのみ限定することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約8,000センチポアズ未満の275°F(135℃)での粘度、約80psi未満の降伏応力、およびストランドコーティングにより作製された接合部に対する約15%未満のクリープ性能を有する、低適用温度熱可塑性ホットメルト接着剤。
【請求項2】
スパイラルコーティングにより作製された接合部に対する約25%未満のクリープ性能を有する、請求項1に記載の接着剤。
【請求項3】
粘度を下げ、強靭性を増大させ、引張強度を増大させるために有効な量の添加剤を含む、請求項1に記載の接着剤。
【請求項4】
スパイラルコーティングにより作製された接合部に対する約25%未満のクリープ性能を有する、請求項3に記載の接着剤。
【請求項5】
約0.5〜約55重量%の熱可塑性エラストマー、約30〜約90重量%の粘着付与樹脂、0〜約40重量%の希釈剤、および0〜約25重量%のワックスを含む、請求項1または2に記載の接着剤。
【請求項6】
約0.5〜約55重量%の熱可塑性エラストマー、約30〜約90重量%の粘着付与樹脂、0〜約40重量%の希釈剤、0〜約25重量%のワックス、および約40重量%以下の前記添加剤を含む、請求項3または4に記載の接着剤。
【請求項7】
前記添加剤がアイオノマー樹脂である、請求項6に記載の接着剤。
【請求項8】
約0.1〜約40重量%の前記アイオノマーを含む、請求項7に記載の接着剤。
【請求項9】
約0.1〜約15重量%の前記アイオノマーを含む、請求項8に記載の接着剤。
【請求項10】
熱可塑性エラストマーが、スチレン‐イソプレン‐スチレン、スチレン‐ブタジエン‐スチレン、スチレン‐b‐エチレン/ブチレン‐b‐スチレンまたはそれらの混合物である、請求項9に記載の接着剤。
【請求項11】
請求項1〜4のいずれかに記載の接着剤を含む製品。
【請求項12】
使い捨て吸収性物品である、請求項11に記載の製品。
【請求項13】
使い捨て弾性物品である、請求項12に記載の製品。
【請求項14】
おむつである、請求項13に記載の製品。
【請求項15】
製品が、さらに、天然ゴム、合成ゴム、スパンデックス、および溶融紡糸エラストマーからなる群から選択されるエラストマー繊維を含む、請求項11に記載の製品。
【請求項16】
約0.5〜約55重量%の熱可塑性エラストマー、約30〜約90重量%の粘着付与樹脂、0〜約40重量%の希釈剤、0〜約25重量%のワックス、および約40重量%以下の添加剤を含む、請求項15に記載の製品。

【公表番号】特表2007−525575(P2007−525575A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552183(P2006−552183)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【国際出願番号】PCT/US2005/002905
【国際公開番号】WO2005/078033
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(502154670)ナショナル スターチ アンド ケミカル インベストメント ホールディング コーポレーション (18)
【Fターム(参考)】