説明

体力トレーニング用音楽ペースメーカー

曲を流すための再生装置と、曲のリズムに対応させて各曲に与えられたリズム値のリストを含むデータベースを記憶する記憶ユニットと、望ましいリズムに合うように選択された一連のトレーニング・セッションのうちの少なくとも一つを含むトレーニング・プログラムを選択し、リズム値によって選択された一連の曲のうちの少なくとも一つをトレーニング・セッションに望ましいリズムに対応させて流すためのコントローラとを含む音楽プレーヤー装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビート・コントロール機能を備える音楽プレーヤーに関する。本発明は、より詳しくは、曲の音に合わせて行われる訓練生の体力トレーニングを高めるための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
音楽的要素としてのリズムが加わると、雰囲気や感情的な盛り上がりを音楽に与えることができる。リズムが異なれば、雰囲気や心理状態も異なる。リズムは、ダンス(バレイやディスコのような)、パレードの行進、セレモニーや葬儀でのパフォーマンス等の社会活動と同時に行われる。ここ数年、リズムのある音楽と身体的なエクササイズやフィットネス・トレーニングとの関係が強くなっている。そのような活動の多くで、典型的にはフィットネス・トレーニング(特に、ジョギング、サイクリング、スピニング、その他のエアロビクス・トレーニング等の心臓血管の健康増進を図るために心拍数を増加させるようなトレーニング)において、訓練生に対して与えられる音楽リズムは、実質的に心拍を増進させた状態で訓練生に訓練を強要することを目的としている。
【0003】
特許文献1には、縄跳びの1回転について予め定められたテンポ、即ち、1または2ビートの選択可能なテンポで予めプログラムされた歌を流すための装置が開示されている。この装置は、両端部のハンドルによって収容されるロープまたはロープ状の素材からなる。一方のハンドルはその内部に一体化されて収容される電気回路を含む。この電気回路は、10以上の歌を記憶する記憶手段、ロープの回転を楽譜の放出に相関させるための検知手段、楽譜を作り出すためのアナンシエータ手段、回路に対して電力を選択または非選択するための外部スイッチ、予めプログラムされた歌の望ましいテンポを選択するスイッチ、および予めプログラムされた一連の歌から特定の歌を選択するスイッチを含む。
【0004】
特許文献2は、音再生手段を有するエクササイズ用ハンド・グリップと、主に2つのハンドルと一つのコネクション・ロッドとを備えるそのようなハンド・グリップの用途を開示している。ハンドルの一方は、第一のハウジングと第二のハウジングを備え、この両方のハウジングはプラスチック材料を射出成型してなる中空構造を有する。第一のハウジングにはその内部に円形のスピーカーが取り付けられたスピーカーが配され、音再生装置にはその内部にバッテリー・マウント内に配された導電性部品が配され、回路板はバッテリー・マウント内に配置されたバッテリーと接触する。回路板は、音楽のメロディーまたはコマンドをプログラム可能に記憶する集積回路を搭載している。第二のハウジングは第一のハウジングと同形状である。他方のハンドルには第三のハウジングと第四のハウジングが配され、これら両方のハウジングはプラスチック材料で射出成型してなる中空構造を有している。第三のハウジングには、その内部にエクササイズの拍子ディスプレイ装置が配されている。コネクション・ロッドは、その両端が両方のハンドルに回動可能に連結された折り曲げ可能なスプリング体である。
【0005】
特許文献3は、主に、中空構造を有しプラスチック材料で射出成型されてなる第一のロッド・ケースと第二のロッド・ケースからなる音再生装置を備えるスポーツ・ロッドを開示している。第一のロッド・ケースと第二のロッド・ケースは組み合わされて中央部分にハンド・グリップを有し、両端部を球形の先端としたロッド状の本体を形成する。スポーツ・ロッドは、その内部にスピーカー・マウントに搭載されたスピーカーを設けた音再生装置と、音楽またはエクササイズ用のコマンドをプログラム可能に記憶する集積回路を搭載した回路板を有する。スポーツ・ロッドのスイッチを入れると、スポーツ・ロッドの音再生装置が集積回路に記憶された音楽の音またはエクササイズ用のコマンドを作り始める。
これらの装置は、身体的なエクササイズまたはスポーツ活動を伴って音楽を流すものとして特徴付けられる。特許文献1では、ロープの回転によって音楽のテンポを調節する。
【特許文献1】US 5,533,947(Tomlinson et al.)
【特許文献2】US 5,137,503(Yeh)
【特許文献3】US 5,137,488(Yeh)
【発明の開示】
【0006】
本発明の目的は、曲の音に合わせて行われる訓練生の体力トレーニングを高めるための装置と方法を提供することであり、音楽のリズム(「ビート」)は必要なエクササイズ・ペースまたは訓練生の望ましい心拍に合うように選択または調整(あるいはその両方)される。
よって、本発明の好ましい実施形態に従い、曲の音に合わせて行われる訓練生の体力トレーニングを高めるための方法を提供し、この方法は、
望ましいリズムに合わせるように選択された一連のトレーニング・セッションの少なくとも一つを含むトレーニング・プログラムを選択し、
リズム値によって選択された一連の曲の少なくとも一つを、この一連のトレーニング・セッションのうちの少なくとも一つに望ましいリズムに対応させて流すことを含む。
さらに、本発明のいくつかの好ましい実施形態に従い、各トレーニング・セッションに望ましいリズムは訓練生の心拍リズムに関連している。
【0007】
さらに、本発明のいくつかの好ましい実施形態に従い、各トレーニング・セッションに望ましいリズムは訓練生の望ましいステップ・ペースのリズムに関連している。
さらに、本発明のいくつかの好ましい実施形態に従い、この方法は、リズム値が一連のトレーニング・セッションのうちの少なくとも一つの望ましいリズムに合うような全ての曲の演奏リストを作成することをさらに含む。
さらに、本発明のいくつかの好ましい実施形態に従い、望ましいリズムは訓練生の現状に関連する物理的パラメーターの測定に基づいて選択される。
さらに、本発明のいくつかの好ましい実施形態に従い、この物理的パラメーターは、心拍、血圧、血中酸素濃度、呼吸数、歩くペースまたは走るペース、あるいはステップを含むパラメーターの群から選択された測定パラメーターを含む。
さらに、本発明のいくつかの好ましい実施形態に従い、この方法は、曲をサンプリングしてそれらのリズム値を決定することをさらに含む。
さらに、本発明のいくつかの好ましい実施形態に従い、トレーニング・プログラムは、所定のトレーニング・プログラムのリストから選択される。
【0008】
さらに、本発明のいくつかの好ましい実施形態に従い、望ましいリズムは訓練生によって手作業で設定される。
さらに、本発明のいくつかの好ましい実施形態に従い、この方法は、一連の曲のうちの少なくとも一つのリズムを変更して一つ以上の望ましいトレーニング・リズムに合わせることをさらに含む。
さらに、本発明のいくつかの好ましい実施形態に従い、この方法は、一連の曲のうちの少なくとも一つに複合ビートを加えることをさらに含む。
さらに、本発明のいくつかの好ましい実施形態に従い、この複合ビートは、手拍子、ドラム、心拍、およびメトロノームを含む音の群から選択された音を含む。
【0009】
さらに、本発明のいくつかの好ましい実施形態に従い、曲の音に合わせて行われる訓練生の体力トレーニングを高めるための方法を提供し、その方法は、
トレーニング・リズムに望ましいリズムを設定することと、
望ましいリズムに合う曲を流すことを含む。
さらに、本発明のいくつかの好ましい実施形態に従い、各音楽作品にその曲のリズムに対応するリズム値を与えることを含む音楽データベースを構築するよう設計されたソフトウエア・プログラムを提供する。
【0010】
さらに、本発明のいくつかの好ましい実施形態に従い、音楽プレーヤーを提供し、この音楽プレーヤーは、
曲を流すための再生装置と、
曲のリズムに対応させて各曲に与えられたリズム値のリストを含むデータベースを記憶するための記憶ユニットと、
望ましいリズムに合わせて選択された一連のトレーニング・セッションのうちの少なくとも一つを含み、リズム値によって選択された一連の曲のうちの少なくとも一つを、一連のトレーニング・セッションのうちの少なくとも一つに望ましいリズムに対応させて流すトレーニング・プログラムを選択するためのコントローラを含む。
さらに、本発明のいくつかの好ましい実施形態に従い、このコントローラは、プレーヤーによって曲の速度を一つ以上の望ましいリズムに調節できるようにする制御機能を含む。
【0011】
さらに、本発明のいくつかの好ましい実施形態に従い、このコントローラは、さらに、各トレーニング・セッションに対する訓練生の心拍に関連して、各トレーニング・セッションに望ましいリズムを設定すべく適合されている。
さらに、本発明のいくつかの好ましい実施形態に従い、このコントローラは、さらに、各トレーニング・セッションに対する訓練生の望ましいステップ・ペースに関連して、各トレーニング・セッションに望ましいリズムを設定すべく適合されている。
さらに、本発明のいくつかの好ましい実施形態に従い、このデータベースは全ての音楽作品の演奏リストを含み、これらの音楽作品のリズム値は一連のトレーニング・セッションのうちの少なくとも一つに望ましいリズムに合う。
さらに、本発明のいくつかの好ましい実施形態に従い、この装置は、物理的なパラメーターに基づいて望ましいリズムの選択を促すように、訓練生の現状に関する物理的パラメーターを検知するためのセンサーをさらに備える。
【0012】
さらに、本発明のいくつかの好ましい実施形態に従い、このセンサーは、心拍、血圧、血中酸素濃度、呼吸数、歩くペースまたは走るペース、あるいはステップを含むパラメーターの群から選択されるパラメーターを測定するためのセンサーからなる。
さらに、本発明のいくつかの好ましい実施形態に従い、この装置は、曲をサンプリングしてそれらのリズム値を決定するためのサンプラーをさらに備える。
さらに、本発明のいくつかの好ましい実施形態に従い、この装置は、望ましいリズムを調整するための調整コントローラをさらに設ける。
さらに、本発明のいくつかの好ましい実施形態に従い、この装置は、複合ビート発生器をさらに設ける。
【0013】
(図面の簡単な説明)
本発明をより理解し、その実用適用性を認識するために、以下の図面を設け、参照する。これらの図面は例示のみを目的に与えられたものであり、いかなる場合も本発明の範囲を限定するものではないことに留意されたい。同様の構成要件は同様の参照番号で表される。
図1は、本発明の好ましい実施形態による、特定の活動に適したリズムを有する曲を流すための主な行程を示すものである。
図2は、本発明の好ましい実施形態による、訓練生についてのまたは手作業による入力で測定された物理的なパラメーターに基づき、特定の活動に適した望ましいリズムを設定するための詳細な行程を示すものである。
図3は、本発明の好ましい実施形態による、特定の活動に適したリズムを有する曲の演奏リストを設けて、望ましいトレーニング・プログラムに反映しつつ望ましい順番でこの曲を流す行程を示すものである。
図4は、本発明の好ましい実施形態により、曲のビートを望ましい速度へ調整することをブロック図で示すものである。
図5は、本発明の好ましい実施形態による、曲の音に合わせて行われる訓練生の体力トレーニングを高めるための装置をブロック図で示すものである。
図6は、本発明の好ましい実施形態による、曲の音に合わせて行われる訓練生の体力トレーニングを高めるための方法を例示するフローチャートである。
図7は、本発明の好ましい実施形態により、演奏リストから流れた曲に対して複合ビートを加えることをブロック図に示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、曲の音に合わせて行われる訓練生の体力トレーニングを高める装置および方法を提供することを目的とするもので、音楽(ビート)のリズムがエクササイズに必用なペースまたは訓練生の望ましい心拍に合う装置または方法である。
本発明の態様によれば、多数のフィットネス・トレーニング・プログラムが、リズム音楽にあわせるトレーニングを一つ以上伴うことを実現し、このようなプログラムでは、このリズムが訓練生のトレーニング・ペースまたは望ましい心拍数に合わせるよう求められている。
本発明の他の態様によれば、曲の音に与える影響を最小限にとどめつつ、曲のビートを変更することができる。これによって、実際のビートを望ましいビートに調整することによって「望ましいビート」に合致する曲が増える。
【0015】
上記に基づき、本発明はトレーニング音楽に対して新規なアプローチを実施する。本発明の好ましい実施形態によれば、リスナー(または編集者)の趣味に合い、かつ訓練生に対して流れるべく意図された曲の演奏リストを編集するように指示される(本発明全般にわたり、複数の訓練生について言及する場合には、通常、訓練生が一人の場合をも含むこと意図している)。
本発明の好ましい一実施形態において、この演奏リストは、求められたエクササイズ・リズム・プログラムに従って流すことができるように、既知のリズムを有する曲を含む。このため、トレーナーは訓練生のペースをコントロールすることができる。
より進んだアプローチでは、トレーナーがプログラムに合うリズムを有する曲を選択することによりトレーニング・プログラムを設定できる。実際に、各曲はそのビートについての指示を与えられ、全ての曲およびそれらに対応するビートに関するデータベースが構築される。特定のトレーニング・プログラムが選択されると、望ましいトレーニング・プログラムのビートに合うビートを有する曲を選択するのにプロセッサが用いられる。
本発明の他の態様によれば、そのようなデータベースとプロセッサを組み込んだ音楽プレーヤーを提供する。
【0016】
本発明のさらなる好ましい実施形態によれば、音楽プレーヤーは、上述のような音楽再生装置やプロセッサやデータベースとは別に、測定されたパラメーターに合わせてまたは測定値を変更する(ペースを落とすまたは上げる)ことを目的として、プロセッサが曲を選択することができるように、例えば、心拍、血圧、血中酸素濃度、呼吸数、歩くペースまたは走るペース、あるいはステップ等の訓練生の物理的パラメーターをサンプリングするためのサンプリング装置を備える。選択された曲に望ましいリズムは、測定されたパラメーターの値と同じか、またはそれに近いものとなり、それらは、予定されたトレーニング・セッションに適合させるように、これらの値の倍数または商、または測定されたパラメーターに関連するその他の値としてもよい。
個人のリズムはトレーニングを効果的に進める上で重要な要素である。トレーニング・エクササイズ全体を通して正しいトレーニング・リズムを維持することによってトレーニングの結果が大きく向上する。各訓練生に対して彼ら自身に望ましいリズムで曲を流すことにより、訓練生がエクササイズのペースに遅れずについてゆくことができる。
【0017】
典型的なトレーニング・プログラムは、ウオームアップのために毎分100ビートで曲に合わせて10分間(BPM)のセッションを実施し、その後130BPM(負荷)で20分間、続いて150BPM(全力)で2分間、さらに最後に100BPMで10分間クールダウンすることからなる。
ジョギング走者の個人的なリズムは歩く速度(年齢、スタミナ、性別等の個人的パラメーターに由来する)とステップ長(身長、性格等に由来する)によって決まる。歩く速度5km/hで、平均ステップ0.65メートルを維持しようとする訓練生の場合、望ましいBPM値は下記の関係式で算出される。
望ましいBPM=速度/ステップ長=5000/(60*0.65)=128BPM
個人のビートは各ステップおよび多数のステップに対して設定される。
多数の歌および曲に関して正確なBPMを見つけるのは難しいと仮定すると、受け入れ可能な許容範囲は、望ましいBPMに正確に合うBPMを有する曲を見つけ出す代わりに、許容範囲内にある曲をプロセッサに選択させるように随意に定めることができる。
【0018】
本発明の他の実施形態では、曲が選択され、その後、その曲のビートは、元の曲に限定的に影響を与えつつ望ましいビート範囲に変更され、訓練生が望ましいトレーニング・ビートを正確に維持できるようにする。この能力は当該技術において既知であり、例えば、望ましい効果を達成するためにNullSoftのWINAMPソフトウエアやフーリエ変換または高速フーリエ変換を利用するその他のDJソフトウエア・プログラム等に含まれる。
【0019】
図1は、本発明の好ましい実施形態による、特定の活動に合うリズムを有する曲を演奏リストから見つけ出し、その曲を流す行程を示すものである。訓練生(またはそのトレーナーあるいは所定のトレーニング・プログラム)は、エクササイズのリズムに合わせた曲再生のために望ましいBPMを設定する(10)。このエクササイズのリズムは、心拍の安全レベルを維持しつつ、最高のトレーニング効果を得るべく選択される。
プロセッサは、望ましいBPM(正確に望ましいまたは許容範囲内)に合う曲を選択し(20)、演奏リストを構成する。その後、音楽プレーヤーは、訓練生がエクササイズを行う間中望ましいペースを維持できるように、その演奏リストから曲を流す(30)。他の実施形態では、この演奏リストは、特定のトレーニング・セッションで所望されるリズムに正確に合う曲を含む。さらに本発明の他の実施形態では、演奏リストにあるいくつかのまたは全ての曲のリズムは予定されたトレーニング・セッションに対して望ましいリズムに合うように調整される。
【0020】
図2は、本発明の好ましい実施形態による、訓練生についてのまたは手作業で入力された物理的パラメーターに基づいて、特定の活動に適した望ましいリズムを設定する行程を詳細に示すものである。本発明の好ましい実施形態のいくつかでは、入力値はサンプリングされた(11)、物理的パラメーターである。他の実施形態では、手作業による望ましいBPMの入力が助長される。
プロセッサは、その後、望ましいBMPを算出する(12)。簡潔な計算表、即ち下記のような関数は、直接的な結果(手作業による入力の場合)となり得る。
BPM=k*心拍
または、BPM=f(心拍、エクササイズ時間、年齢、スタミナ等)のように、より複雑な公式を用いて望ましいBPMを算出し得る。
さらに、サンプリングされたパラメーターは、特定の物理的パラメーターの限界に達したとき、例えば、最大許容範囲の心拍に達したときに、BPMを強制的に下げるリミッタとして用いられ得る。
算出されたBPMを設定し(13)、合う曲を選択して(20)演奏リストを作成するためにコントローラが利用できるようにする。
【0021】
図3は、本発明の好ましい実施形態による、特定の活動に適したリズムを有する曲の演奏リストを提供し、そのリストを望ましいトレーニング・プログラムに反映して望ましい順番で流す行程を示すものである。望ましいBPMが決定されると(13)、データベース(21)上で利用可能な曲に対して、BPMに合う曲を探し出すようチェックされる(24)。全ての(または少なくともいくつかの)曲は、適合性(25)をチェックされ、望ましいBPM基準に合わない曲は無視され(26)、BPMに合う曲はその長さがチェックされる。利用可能な長さである場合には、その曲が流れる(30)。さもなければ、その曲は取り置き(後に流すかもしれない)、演奏リストに保存される(27)。このいくつかの好ましいBPMランクに従う演奏リストの構築プロセスは、早急に実行するために、プレーヤーのコントローラまたは独立したコンピュータによってオフラインで行われる。
【0022】
図4は、本発明の好ましい実施形態による、曲のビートを望ましい速度に調整することを示すブロック図である。同一のBPM(24)または許容範囲内のBPMを有する歌や曲の集合体(25)は、事前に選択(演奏リスト27から)されるか、リアルタイムに選択されるかして、それぞれのビートを微調整する(31)ために設けられた制御機能を用いる可能性とともに、演奏される曲(30)に供給される。
【0023】
図5は、本発明の好ましい実施形態による、曲の音に合わせて行われる訓練生の体力トレーニングを高める装置をブロック図に示すものである。この装置は、一般的には、プロセッサ(52)と、曲と各曲のBPMの示度を記憶する(および可能であればその演奏リストを記憶する)ためのメモリ(54)を備える。本発明の好ましい実施形態では、この装置は、また、一連のBPM値および時間等の望ましいトレーニング・セッションについての入力を受け取るためのユーザー・インターフェース(56)を含む。このユーザー・インターフェースは、コントロール・ボタンおよびインジケータ(58)、ディスプレイ(60)およびBMPコントロール機能(62)を含んでもよい。また、訓練生の心拍、血圧、ペース・ステップおよびその他のパラメーター等の物理的パラメーターを測定して、センサーからの入力を受け取るためのセンサー入力手段(64)を含んでもよい。このプロセッサは、選択された曲を流すための再生装置(66)に連結されている。
【0024】
図6は、本発明の好ましい実施形態による、曲の音に合わせて行われる訓練生の体力トレーニングを高める方法を例示したフローチャートである。主なプロセスを説明すると、訓練生は、音楽を聴きながら104、体力トレーニング・セッションに参加し102、音楽のリズムが訓練生を誘導できるようにトレーニング・セッションのペースを設定できる106。音楽のリズムが早くなるとトレーニングのペースも上がり、音楽のリズムが遅くなるとトレーニングのペースも下がる。最終的には、音楽が止まって、トレーニング・セッションが終了する108。訓練生がトレーニング・セッションをスタートさせることを決定すると、同様のプロセスが始まる。訓練生が、特定のトレーニング・プログラムを選択することにより110、曲の演奏リストが決定する。このプログラムにより、ランニングがスタート112し、最初のトレーニング・テンポが選択され114、音楽が流れる116。トレーニング・プログラム中にテンポが変わると、音楽のリズムも変わり、それによって、トレーニングのテンポ(116と104の間の矢印)の変更が必要なことを訓練生に知らせる。トレーニングのテンポは選択されたトレーニング・プログラム(118から108)に従って、トレーニング・プログラムが終了するまで変化し、テンポがゼロになると音楽が止まる。これらのプロセスと同様に、補助的な随意のプロセスが起動され、訓練生の物理的パラメーターをモニタし130、トレーニング・プログラムを高めるために、これらのパラメーターを、音楽のテンポを更新すべくオンライン上で利用し114、訓練生独自の必要性にあわせて個人的に調整してもよい。測定されたパラメーターは、また、訓練生の健康即ち安定を損ねる恐れのある閾値を超えないように132安全制御のために用いられてもよく、その結果、トレーニング・セッションのテンポを変更して(曲のテンポを変更して−134)、訓練生のトレーニング・ペースをスローダウンさせる。
【0025】
図7は、本発明の好ましい実施形態による、複合ビートを演奏リストから流れた曲に加える29ことをブロック図に示すものである。これは、訓練生のリズムに対するセンスの欠如を助け、曲のテンポを速めることを目的とする他の任意の特徴である。好ましい実施形態の中には、拍手、ドラム・ビートまたはメトロノームの音をシミュレートしたものもあるが、これは全て訓練生がテンポを認識し、正しいペースでトレーニングすることを助けることを目的としている。
本発明の主な利点は、実際、訓練生のトレーニングのテンポを曲のテンポに設定する前述の特許(本明細書の背景技術のセクション中)とは反対に、本発明では、選択されたトレーニング・プランおよびそれに付随する演奏リストに従い、曲のテンポを決定し、訓練生にトレーニングするための正しいペースを指示することである。
本明細書中に記載された実施形態の説明および添付の図面は本発明をよりよく理解するためだけのものであり、本発明の範囲を限定するものではないことが明確でなければならない。
さらに、当業者は、本明細書を読めば、添付の図面および上述の実施形態に変更および補正を加えることができるが、それらもまた本発明の範囲内であることもまた明確でなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の好ましい実施形態による、特定の活動に適したリズムを有する曲を流すための主な行程を示すものである。
【図2】本発明の好ましい実施形態による、訓練生についてのまたは手作業による入力で測定された物理的なパラメーターに基づき、特定の活動に適した望ましいリズムを設定するための詳細な行程を示すものである。
【図3】本発明の好ましい実施形態による、特定の活動に適したリズムを有する曲の演奏リストを設けて、望ましいトレーニング・プログラムに反映しつつ望ましい順番でこの曲を流す行程を示すものである。
【図4】本発明の好ましい実施形態により、曲のビートを望ましい速度へ調整することをブロック図で示すものである。
【図5】本発明の好ましい実施形態による、曲の音に合わせて行われる訓練生の体力トレーニングを高めるための装置をブロック図で示すものである。
【図6】本発明の好ましい実施形態による、曲の音に合わせて行われる訓練生の体力トレーニングを高めるための方法を例示するフローチャートである。
【図7】本発明の好ましい実施形態により、演奏リストから流れた曲に対して複合ビートを加えることをブロック図に示すものである。
【符号の説明】
【0027】
10 望ましいビートを設定する 20 合う曲を選択する(演奏リストを作成する) 30 曲を流す

【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲の音に合わせて行われる訓練生の体力トレーニングを高める方法であって、
望ましいリズムに合うように選択された一連のトレーニング・セッションのうちの少なくとも一つからなるトレーニング・プログラムを選択することと、
リズム値によって選択された一連の曲のうちの少なくとも一つを、前記の一連のトレーニング・セッションのうちの少なくとも一つに望ましいリズムに対応させて流すことを含む方法。
【請求項2】
各トレーニング・セッションに望ましいリズムが訓練生の心拍のリズムに関連している請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各トレーニング・セッションに望ましいリズムが訓練生に望ましいステップ・ペースのリズムに関連している請求項1に記載の方法。
【請求項4】
一連のトレーニング・セッションのうちの少なくとも一つに望ましいリズムに合うリズム値を有する全ての曲の演奏リストを作成することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記望ましいリズムは訓練生の現状に関連する物理的パラメーターの測定に基づいて選択する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記物理的パラメーターが、心拍、血圧、血中酸素濃度、呼吸数、歩くペースまたは走るペース、あるいはステップを含むパラメーターの群から選択された測定パラメーターを含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
曲のサンプリングを行い、前記リズム値を決定することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記トレーニング・プログラムが所定のトレーニング・プログラムのリストから選択される請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記望ましいリズムが訓練生によって手作業で設定される請求項1に記載の方法。
【請求項10】
一連の曲のうちの少なくとも一つのリズムを変更して、一つ以上の望ましいトレーニング・リズムに合うようにすることをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
一連の曲のうちの少なくとも一つに対して複合ビートを加えることをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記複合ビートが、拍手、ドラム、心拍、およびメトロノームを含む音の群から選択された音を含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
曲の音に合わせて行われる訓練生の体力トレーニングを高める方法であって、
トレーニング・リズムに対して望ましいリズムを設定することと、
望ましいリズムに合う曲を流すことを含む方法。
【請求項14】
音楽ベータベースを構築すべく設計されたソフトウエア・プログラムであって、
各音楽作品にその曲のリズムに対応するリズム値を与えることを含むプログラム。
【請求項15】
曲を流すための再生装置と、
リズムに対応させて各曲に与えられたリズム値のリストを含むデータベースを記憶するための記憶ユニットと、
望ましいリズムに合うように選択された一連のトレーニング・セッションのうちの少なくともひとつを含むトレーニング・プログラムを選択し、リズム値によって選択された一連の曲のうちの少なくとも一つを、前記一連のトレーニング・セッションのうちの少なくとも一つに望ましいリズムに対応させて流すためのコントローラと、を備える音楽プレーヤー装置。
【請求項16】
前記コントローラが、プレーヤーが曲の速度を一つ以上の望ましいリズムに調整することができる制御機能を含む請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記コントローラが、各トレーニング・セッションに対する訓練生の心拍に関連して、各トレーニング・セッションのために望ましいリズムを設定するようさらに適合されている請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記コントローラが、各トレーニング・セッションに対する訓練生の望ましいステップ・ペースに関連して、各トレーニング・セッションに望ましいリズムを設定するようさらに適合されている請求項15に記載の装置。
【請求項19】
前記データベースが、全ての音楽作品の演奏リストであって、それら音楽作品のリズム値が一連のトレーニング・セッションのうちの少なくとも一つに望ましいリズムに合うようなリストを含む請求項15に記載の装置。
【請求項20】
訓練生の現状に関連する物理的パラメーターを検知して、その物理的パラメーターに基づき望ましいリズムを選択することを助長するためのセンサーをさらに設けている請求項15に記載の装置。
【請求項21】
前記センサーが、心拍、血圧、血中酸素濃度、呼吸数、歩くペースまたは走るペース、あるいはステップを含むパラメーターの群から選択されたパラメーターを測定するためのセンサーを備えている請求項20に記載の装置。
【請求項22】
曲をサンプリングして、それらのリズム値を決定するためのサンプラーをさらに備えている請求項15に記載の装置。
【請求項23】
望ましいリズムに調整するための調整制御手段をさらに設けている請求項15に記載の装置。
【請求項24】
複合ビート発生器をさらに設けている請求項15に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−538295(P2008−538295A)
【公表日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−550016(P2007−550016)
【出願日】平成18年1月10日(2006.1.10)
【国際出願番号】PCT/IL2006/000033
【国際公開番号】WO2006/072961
【国際公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(507232054)アイポイント リミテッド (1)
【Fターム(参考)】