説明

体動測定装置

【課題】感圧部のメンテナンス性と、感圧部のカバー部材の衛生管理性に優れた体動測定装置を提供することである。
【解決手段】体動測定装置は、就寝者の体動を伴う圧力が作用する感圧部(5)と、感圧部(5)を収納するためのカバー部材(7)と、感圧部(5)に接続されて体動に伴う圧力の信号を演算装置に出力する受圧部(6)とを備えている。感圧部(5)は、一端が閉塞された2本のチューブ(13)から構成され、カバー部材(7)は、長方形状の布材からなる上側カバー部(8)と下側カバー部(9)とを備えている。各カバー部(8,9)は、両長辺付近に弾性部材(16)と面ファスナー(17)とからなるスペーサー(15)を備え、面ファスナー(17)により互いに着脱自在に構成されている。各カバー部(8,9)を面ファスナー(17)により連結し、各カバー部(8,9)の間に感圧部(5)を収納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体の体動に伴う圧力を検知する体動測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、生体の生理状態や呼吸・心拍などを計測するために、生体の体動を測定する体動測定装置が知られている。この体動測定装置としては、生体の体動に伴う圧力が作用する中空体の感圧部と、感圧部内の内圧を検知する受圧部とを備える装置が知られており、特に、寝具内において、就寝者の下にカバーに覆われたパイプ状の感圧部を敷設して用いられる装置が検討されている(特許文献1,特許文献2)。
【0003】
特許文献1には、新生児の体動を測定することにより、無呼吸を知らせる無呼吸検出装置が記載されている。この装置では、パイプ状の感圧部が、新生児を載せるための検出マット内に設けられている。この検出マットは、感圧部の上下に接して配置される上板及び下板と、この上板と下板との間を所定間隔に保つスペーサーと、これら全体を覆う保護カバーとから構成されている。そして、この下板には、中央部に感圧部を配置するための溝が設けられる一方、上板は、弾性変形可能な部材で構成されて、スペーサーを支点とする板バネとして作用するように構成されている。このような構成により、新生児の体動が上板に作用して上板が変形すると、この変形に伴って感圧部に作用する圧力が変化するので、体動を測定することができる。
【0004】
特許文献2には、被検体を検出マット上に載せて、体動を検出する装置が記載されている。この検出マットは、カバー部材内にポリウレタンフォームなどの柔軟性部材が詰められて構成され、内部にパイプ状の感圧部を備えている。このような構成により、被検体が検出マット上に載置されれば、被検体は感圧部の異物感を殆ど感じることなく、被検体の体動が測定される。
【特許文献1】特開2000−107154号公報
【特許文献2】特開2003−235828号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、体動測定装置は、生体の生理状態等を検知するために用いられ、特に、特許文献1の無呼吸検出装置は、生命の生死に関わる無呼吸状態を検知するために用いられるので、感圧部は、常に正常に機能する必要がある。そのため、感圧部は、メンテナンスを容易且つ頻繁に行うことができる構成であることが望ましい。また、感圧部のカバーである検出マットは、就寝者の寝具として用いられるために、衛生管理を容易に行うことができる構成であることが望ましい。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1及び上記特許文献2の体動測定装置においては、感圧部が、カバーである検出マット内に一体的に収容されているために、検出マットと感圧部との着脱を容易に行うことができないので、感圧部のメンテナンスや検出マットの洗浄等による衛生管理を容易に行うことができないという問題点があった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、体動測定装置において、感圧部と、この感圧部を収納するためのカバーとを着脱自在に構成することにより、感圧部のメンテナンス性とカバーの衛生管理性に優れた体動測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、生体の体動に伴う圧力が作用する感圧部(5)と、上記感圧部(5)を収納するためのカバー部材(7)と、上記感圧部(5)に接続されて上記体動に伴う圧力の信号を出力する受圧部(6)とを備えた体動測定装置であって、上記カバー部材(7)は、上記感圧部(5)と着脱自在に構成されている。
【0009】
この第1の発明では、上記カバー部材(7)と上記感圧部(5)とを容易に着脱して、上記感圧部(5)のメンテナンスを行うと共に、上記カバー部材(7)の洗浄等による衛生管理を行う。
【0010】
第2の発明は、就寝者の下に敷かれるように寝具に配置されて、上記就寝者の体動に伴う圧力が作用する感圧部(5)と、上記感圧部(5)を収納するためのカバー部材(7)と、上記感圧部(5)に接続されて上記体動に伴う圧力の信号を出力する受圧部(6)とを備えた体動測定装置であって、上記カバー部材(7)は、上記感圧部(5)と着脱自在に構成されている。
【0011】
この第2の発明では、上記カバー部材(7)と上記感圧部(5)とを容易に着脱して、上記感圧部(5)のメンテナンスを行うと共に、上記カバー部材(7)の洗浄等による衛生管理を行う。
【0012】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、上記感圧部(5)は、一端が閉塞された可撓性のチューブ(13)であり、上記チューブ(13)の他端が上記受圧部(6)に接続されている。
【0013】
この第3の発明では、第1又は第2の発明において、体動に伴う圧力が上記チューブ(13)に作用し、該チューブ(13)内に生じる内圧を受けて、上記受圧部(6)が圧力信号を出力する。
【0014】
第4の発明は、第1又は第2の発明において、上記カバー部材(7)は通気性材料から構成されている。
【0015】
この第4の発明では、上記カバー部材(7)を通気性材料から構成することにより、上記生体又は就寝者の快適性を図る。また、通気性材料として、布材などを用いることにより、カバー部材の洗浄を容易に行う。
【0016】
第5の発明は、第2の発明において、上記カバー部材(7)の少なくとも一部は、上記寝具と一体形成されている。
【0017】
この第5の発明では、第2の発明において、上記カバー部材(7)の少なくとも一部を寝具と一体形成することにより、寝具に感圧部(5)を容易に配置し、固定する。
【0018】
第6の発明は、第2の発明において、上記カバー部材(7)内には、上記感圧部(5)を収納するための感圧収納部(10a)と、弾性を有するスペーサー部材(18)を収納するためのスペーサー収納部(10b)とが設けられ、上記スペーサー収納部(10b)は、上記感圧収納部(10a)の両側方に配置されている。
【0019】
この第6の発明では、第2の発明において、上記感圧部(5)による異物感を、該感圧部(5)の両側方に収納されているスペーサー部材(18)により低減する。また、感圧部(5)として可撓性のチューブ(5)を用いた場合には、体圧の作用が解除されれば、チューブ(5)の復元力に加え、スペーサー部材(18)の弾性による復元力がチューブ(5)に作用して、チューブ(5)の形状が変形することを防止する。
【0020】
第7の発明は、第6の発明において、上記スペーサー部材(18)の高さは、上記感圧部(5)の高さよりも低く構成されている。
【0021】
この第7の発明では、第6の発明において、上記感圧部(5)を上記スペーサー部材(18)よりも突出させて配置することにより、体動に伴う圧力が、感圧部(5)に確実に作用する。
【0022】
第8の発明は、第6の発明において、上記スペーサー部材(18)は、複数個のスペーサー(15)と、該スペーサー(15)間に設けられ且つ上記カバー部材(7)を折り畳むための隙間(19)とから構成されている。
【0023】
この第8の発明では、第6の発明において、上記カバー部材(7)を、上記スペーサー(15)間の隙間(19)において折り畳んでコンパクトに形成することにより、可搬性が向上する。
【0024】
第9の発明は、第6の発明において、上記カバー部材(7)は、上記感圧部(5)の上部を覆う上側カバー部(8)と上記感圧部(5)の下部を覆う下側カバー部(9)とを備え、上記スペーサー部材(18)は、上記上側カバー部(8)と上記下側カバー部(9)とを連結させるための面ファスナー(17)を備えている。
【0025】
この第9の発明では、第6の発明において、上記カバー部材(7)の上側カバー部(8)と下側カバー部(9)とを、上記面ファスナー(17)の連結を解除することによって分離して、上記感圧部(5)を上記カバー部材(7)から容易に着脱する。また、上記スペーサー部材(18)は、面ファスナー(17)の弾性により、感圧部(5)による異物感を低減させる。さらに、面ファスナー(17)の扁平且つ平滑な形状により、スペーサー部材(18)自体を扁平且つ平滑な形状に構成することができるので、カバー部材(7)による異物感を低減させる。
【0026】
第10の発明は、第9の発明において、上記スペーサー部材(18)は、弾性材料からなる弾性部材(16)を備えている。
【0027】
この第10の発明では、第9の発明において、上記スペーサー部材(18)が上記弾性部材(16)を備えているので、就寝者の上記感圧部(5)による異物感を、より確実に低減させる。
【発明の効果】
【0028】
上記第1の発明によれば、上記感圧部(5)と、該上記感圧部(5)を収納するためのカバー部材(7)と、上記感圧部(5)に接続された受圧部(6)とを備えた体動測定装置において、上記カバー部材(7)と上記感圧部(5)とを着脱自在に構成したために、上記カバー部材(7)と上記感圧部(5)とを容易に着脱することができる。この結果、上記感圧部(5)のメンテナンスと、上記カバー部材(7)の洗浄等による衛生管理とを、容易且つ頻繁に行うことができることから、上記感圧部(5)の信頼性と、上記カバー部材(7)の衛生性とを向上させることができる。
【0029】
また、上記第2の発明によれば、就寝者の下に敷かれるように寝具に配置される感圧部(5)と、該感圧部(5)を収納するためのカバー部材(7)と、上記感圧部(5)に接続された受圧部(6)とを備えた体動測定装置において、上記カバー部材(7)と上記感圧部(5)とを容易に着脱することができる。この結果、上記感圧部(5)のメンテナンスと、上記カバー部材(7)の洗浄等による衛生管理とを、容易且つ頻繁に行うことができることから、上記感圧部(5)の信頼性と、上記カバー部材(7)の衛生性とを向上させることができる。
【0030】
また、上記第3の発明によれば、第1又は第2の発明において、上記感圧部(5)は、一端が閉塞された可撓性のチューブ(13)であり、上記チューブ(13)の他端が上記受圧部(6)に接続するようにしたために、体動に伴う圧力が上記チューブ(13)に作用し、上記受圧部(6)が、上記チューブ(13)内に生じる内圧を受けて圧力信号を出力することができる。
【0031】
また、上記第4の発明によれば、第1又は第2の発明において、上記カバー部材(7)を通気性材料から構成するようにしたために、上記生体又は就寝者の快適性を向上させることができる。
【0032】
また、通気性材料として、布材などを用いれば、カバー部材の洗浄を容易に行うことができる。
【0033】
また、上記第5の発明によれば、第2の発明において、上記カバー部材(7)の少なくとも一部を、上記寝具と一体形成するようにしたために、感圧部(5)の寝具内での配置及び固定を容易に行うことができる。
【0034】
また、上記第6の発明によれば、第2の発明において、上記カバー部材(7)内には、上記感圧部(5)を収納するための感圧収納部(10a)と、弾性を有するスペーサー部材(18)とを収納するためのスペーサー収納部(10b)とを設け、上記スペーサー収納部(10b)を、上記感圧収納部(10a)の両側方に配置するようにしたために、上記感圧部(5)による異物感を、該感圧部(5)の両側方に収納されているスペーサー部材(18)により低減することができる。これにより、就寝者の就寝時における快適性を向上させることができる。
【0035】
また、感圧部(5)として可撓性のチューブ(5)を用いた場合には、体圧の作用が解除されれば、上記チューブ(5)の復元力に加え、上記スペーサー部材(18)の弾性による復元力が上記チューブ(5)に作用するので、該チューブ(5)の形状は確実に復元することができることから、上記チューブ(5)の変形を防止することができる。この結果、上記チューブ(5)の耐久性を向上させることができる。
【0036】
また、上記第7の発明によれば、第6の発明において、上記スペーサー部材(18)の高さを、上記感圧部(5)の高さよりも低く構成したために、上記感圧部(5)は上記スペーサー部材(18)よりも突出させて配置することができるので、上記感圧部(5)には、体動に伴う圧力を確実に作用させることができる。この結果、上記体動測定装置(1)の信頼性を向上させることができる。
【0037】
また、上記第8の発明によれば、第6の発明において、スペーサー部材(18)を、複数個のスペーサー(15)と、該スペーサー(15)間に設けられ且つ上記カバー部材(7)を折り畳むための隙間(19)とから構成したために、上記カバー部材(7)を上記隙間(19)においてコンパクトに折り畳むことができるので、上記カバー部材(7)及び該カバー部材(7)に収納された感圧部(5)の可搬性が向上する。
【0038】
また、上記第9の発明によれば、第6の発明において、上記カバー部材(7)は、上記感圧部(5)の上部を覆う上側カバー部(8)と上記感圧部(5)の下部を覆う下側カバー部(9)とを備え、上記スペーサー部材(18)は、上記上側カバー部(8)と上記下側カバー部(9)とを連結させるための面ファスナー(17)を備えるようにしたために、上記カバー部材(7)の上側カバー部(8)と下側カバー部(9)とを、上記面ファスナー(17)の連結を解除することによって分離することができるので、上記感圧部(5)を上記カバー部材(7)から容易に着脱することができる。
【0039】
また、上記スペーサー部材(18)は、上記面ファスナー(17)により適度な弾性を確保することができるので、感圧部(5)による異物感を低減させることができる。さらに、上記面ファスナー(17)は扁平且つ平滑な形状であるので、スペーサー部材(18)自体を扁平且つ平滑な形状とすることができることから、カバー部材(7)による異物感を低減させることができる。これにより、就寝者の就寝時における快適性を確実に向上させることができる。
【0040】
また、上記第10の発明によれば、第9の発明において、上記スペーサー部材(18)は、弾性材料からなる弾性部材(16)を備えるようにしたために、就寝者の上記感圧部(5)による異物感を、より確実に低減させることができるので、就寝者の就寝時における快適性をさらに確実に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0042】
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1は、図1に示すように、体動測定装置(1)が、就寝者の体動を測定することにより、例えば、就寝者の睡眠状態や呼吸・心拍などを計測するように構成されたものである。
【0043】
上記体動測定装置(1)は、体動センサ(2)と演算装置(3)とを備えている。
【0044】
上記体動センサ(2)は、就寝者の生理情報を検出するものであって、感圧部(5)と、受圧部(6)と、カバー部材(7)とを備えている。そして、上記感圧部(5)は、上記カバー部材(7)に収納され、寝具内において、敷き布団やマットレス(10)の真上に敷いて使用される。つまり、上記感圧部(5)は、就寝者の下に敷かれ、就寝者の生理情報を感知するように構成されている。
【0045】
上記感圧部(5)は、図2(a)に示すように、2本のチューブ(13)と封止部材(14)とから構成されている。上記各チューブ(13)は、例えばシリコンやポリエチレンなどの可撓性、柔軟性を有する材料から形成されている。上記各チューブ(13)は、一端が封止部材(14)によって閉塞され、他端はチューブ開口部(13a)に形成されている。
【0046】
上記受圧部(6)は、音響マイクや圧力センサなどが用いられる。上記受圧部(6)は、該受圧部(6)の一端が、上記感圧部(5)のチューブ開口部(13a)に埋設されることにより接続され、上記感圧部(5)のチューブ(13)内部で生じる内圧を受けて圧力信号を演算装置(3)に出力するものである。上記受圧部(6)の他端は、リード線(4)を介して上記演算装置(3)に接続されている。
【0047】
上記演算装置(3)は、上記受圧部(6)により出力された圧力信号を用いて、就寝者の睡眠状態や呼吸・心拍などの生理情報を演算するように構成されている。
【0048】
次に、本発明の特徴である上記カバー部材(7)について説明する。
【0049】
上記カバー部材(7)は、図2(a)に示すように、上側カバー部(8)と下側カバー部(9)とを備え、上記感圧部(5)を寝具に配置した際に、上記上側カバー部(8)は上記感圧部(5)の上部を覆い、上記下側カバー部(9)は上記感圧部(5)の下部を覆うように構成されている。
【0050】
上記各カバー部(8,9)は、通気性を有する布材を長方形状のシート状に形成して構成され、且つ互いに分離可能に構成されている。そして、上記各カバー部(8,9)の長辺は上記チューブ(13)の長さよりやや長く形成される一方、短辺は上記チューブ(13)の外径の2倍より長く形成され、さらに、上記上側カバー部(8)の短辺は、上記下側カバー部(9)の短辺よりやや長く形成されている。
【0051】
上記各カバー部(8,9)は、それぞれ、感圧設置部(8a,9a)とスペーサー取付部(8b,9b)とを備えている。該スペーサー取付部(8b,9b)は、スペーサー(15)を取り付けるためのものであって、上記各カバー部(8,9)の両長辺に沿って幅長さをsとする細長い長方形状に形成されている。上記感圧設置部(8a,9a)は、上記感圧部(5)を設置するためのものであって、上記スペーサー取付部(8b,9b)に挟まれた長方形状に形成されている。言い換えれば、上記各カバー部(8,9)において、上記感圧設置部(8a,9a)の両側方に上記スペーサー取付部(8b,9b)が配置されている。そして、上記下側カバー部(9)の感圧設置部(9a)の短辺は、上記チューブ(5)の外径の約2倍の長さであり、上側カバー部(8)の感圧設置部(8a)の短辺は、上記下側カバー部(9)の感圧設置部(9a)の短辺よりもやや長く形成されている。
【0052】
上記各カバー部(8,9)において、上記各スペーサー取付部(8b,9b)には、それぞれ、スペーサー(15)が4個ずつ設けられている。該スペーサー(15)は、就寝者が、感圧部(8)を下に敷いて就寝する際に、感圧部(8)の突出により生じる異物感を低減するために、高さ調整を行うように設けられるものである。具体的に、上記各スペーサー(15)は、略直方体上に形成され、該直方体の底面は、上記スペーサー取付部(8b,9b)の幅長さsを短辺とし、上記各カバー部(8,9)の長辺の4分の1弱の長さtを長辺とする長方形状に形成されている。そして、上記各スペーサー(15)は、上記スペーサー取付部(8b,9b)上において、互いに所定長さの隙間(19)を介して長手方向に連続して配置されている。つまり、上記各スペーサー取付部(8b,9b)には、スペーサー(15)が4個設けられているので、上記隙間(19)は3個形成されている。そして、各カバー部(8,9)には、スペーサー取付部(8b,9b)が2箇所あるので、スペーサー(15)が8個設けられ、上記隙間(19)が6個形成されている。なお、上記スペーサー(15)の底面の長辺の長さや、長手方向に配列させる個数は特に限定されない。
【0053】
上記各スペーサー(15)は、より詳細には、図2(b)に示すように、弾性部材(16)と面ファスナー(17)とを備え、上記弾性部材(16)と面ファスナー(17)とが重なった2層構造に構成されている。上記弾性部材(16)はポリウレタンフォームなどの弾性材料により構成されている。そして、上記各スペーサー(15)は、上記弾性部材(16)側を上記スペーサー取付部(8b,9b)に接着させることにより、上記スペーサー取付部(8b,9b)上に設けられている。
【0054】
上記各カバー部(8,9)は、上記スペーサー(15)の面ファスナー(17)を互いに連結させることにより連結されている。これにより、上記上側カバー部(8)と上記下側カバー部(9)との間が上記カバー部材(7)の内部に構成され、上記各感圧設置部(8a,9a)によって挟まれた空間が上記感圧収納部(10a)に構成され、上記スペーサー取付部(8b,9b)によって挟まれた空間がスペーサー収納部(10b)に構成される。
【0055】
上記感圧収納部(10a)には、上記感圧部(5)が収納されている。また、上記スペーサー収納部(10b)には、上記各カバー部(8,9)に設けられた8個のスペーサー(15)と、6個の隙間(19)とが上下に配置されて、スペーサー部材(18)に構成されている。
【0056】
また、上記スペーサー部材(18)の高さは、上記チューブ(13)の外径、即ち、感圧部(5)の高さより低く形成されている。このような構成により、敷き布団やマットレス(10)上において、上記感圧部(5)が、両側方のスペーサー部材(18)より、やや突出するようにして配置される。
【0057】
−運転動作−
次に、この体動測定装置(1)の動作について説明する。
【0058】
先ず、上記カバー部材(7)の上側カバー部(8)と下側カバー部(9)とは、面ファスナー(17)の連結を解除することにより分離され、上記感圧部(5)が上記感圧収納部(10a)に挿置される。上記感圧部(5)は、上記各カバー部(8,9)の面ファスナー(17)を再度連結させることにより上記カバー部材(7)に収納される。そして、上記カバー部材(7)は上記隙間(19)において折り畳んでコンパクトに形成され、寝具の設置場所まで運ばれる。
【0059】
次に、上記カバー部材(7)に収納された上記感圧部(5)は、寝具内の敷き布団又はマットレス(10)の上に載置され、就寝者がその上で就寝する。就寝者は、上記感圧部(5)の両側方のスペーサー部材(18)により、感圧部(5)による異物感を殆ど感じることなく就寝する。そして、就寝者の呼吸、心拍、体動などが、上記感圧部(5)のチューブ(13)に作用すると、受圧部(6)によって、チューブ(13)内の圧力の信号が演算装置(3)に出力される。該演算装置(3)は、この圧力信号に基づいて、就寝者の睡眠状態や呼吸・心拍などの生理情報を計測する。
【0060】
上記感圧部(5)及び上記カバー部材(7)は、所定期間使用された後、上記カバー部材(7)の上側カバー部(8)と下側カバー部(9)とを面ファスナー(17)の連結を解除することにより分離して、上記感圧部(5)が取り出される。取り出された上記感圧部(5)は、チューブ(13)の形状に歪みがないか等、正常に機能するようにメンテナンスがなされる。また、上記カバー部材(7)は、洗浄等による衛生管理が行われる。そして、体動測定装置を使用する際は、再び、上記カバー部材(7)に感圧部(5)が収納される。
【0061】
−実施形態1の効果−
本実施形態では、上記感圧部(5)をカバー部材(7)に収納しているために、寝具内での配置を容易に行うことができる。具体的には、カバー部材(7)内で、感圧部(5)の2本のチューブ(13)が横並びに整列されており、この整列を維持したままで、寝具内に載置することができる。
【0062】
また、上記カバー部材(7)は、面ファスナー(17)によって連結される上側カバー部(8)と下側カバー部(9)とから構成したために、上側カバー部(8)と下側カバー部(9)とを容易に分離して、上記感圧部(5)を容易に取り出すことができる。これにより、上記感圧部(5)のメンテナンスと、上記カバー部材(7)の洗浄とを容易且つ頻繁に行うことができるため、上記感圧部(5)の信頼性と、上記カバー部材(7)の衛生性を向上させることができる。
【0063】
また、上記カバー部材(7)内において、上記感圧収納部(10a)の両側方にスペーサー収納部(10b)を設け、該スペーサー収納部(10b)に、弾性部材(16)と面ファスナー(17)とからなるスペーサー部材(18)を配置したために、就寝者が感圧部(18)によって感じる異物感を低減させることができる。また、上側カバー部(8)と下側カバー部(9)とを連結させるために面ファスナー(17)を用いるようにしたために、スペーサー部材(18)を扁平且つ平滑な構成にすることができるので、カバー部材(7)による異物感を低減させることができる。
【0064】
また、上記スペーサー部材(18)の高さを、上記感圧部(5)の高さよりも、やや低く構成したために、就寝者の体動に伴う圧力は、上記感圧部(5)に確実に作用する。これにより、上記体動測定装置(1)の信頼性が向上する。
【0065】
さらに、上記スペーサー部材(18)を設けたことにより、上記感圧部(5)における就寝者の体圧の作用が解除されれば、上記チューブ(5)の復元力に加え、上記スペーサー部材(18)の弾性による復元力が上記チューブ(5)に働くので、該チューブ(5)の形状が変形することを防止することができることから、上記チューブ(5)の耐久性を向上させることができる。
【0066】
また、上記各カバー部(8,9)を通気性を有する布材で構成したことにより、カバー部材(7)を下に敷いて就寝する就寝者にとって、就寝時の快適性を向上させることができると共に、洗浄を容易に行うことができる。
【0067】
また、カバー部材(7)の上記スペーサー部材(18)には、隙間(19)が設けられているために、この隙間(19)によって上記カバー部材(7)を折り畳んでコンパクトに形成することにより、カバー部材(7)の可搬性を向上させることができる。
【0068】
《発明の実施形態2》
本実施形態は、図3に示すように、上記実施形態1のスペーサー(15)が、弾性部材(16)と面ファスナー(17)とによって構成されていたのに代わり、スペーサー(15)を面ファスナー(17)のみによって構成したものである。
【0069】
具体的には、上側カバー部(8)及び下側カバー部(9)の各スペーサー取付部(8b,9b)には、面ファスナー(17)が接着されて設けられている。そして、上側カバー部(8)と下側カバー部(9)の面ファスナー(17)とを互いに連結させることにより、スペーサー収納部(10b)には、上記面ファスナー(17)が2層に重なって配置されて、スペーサー部材(18)に構成される。
【0070】
本実施形態においても、上側カバー部(8)と下側カバー部(9)とを面ファスナー(17)により分離可能に構成したことにより、感圧部(5)を容易に取り出すことができるので、感圧部(5)のメンテナンスとカバー部材(7)の洗浄とを、容易且つ頻繁に行うことができることから、感圧部(5)の信頼性及びカバー部材(7)の衛生性を向上させることができる。
【0071】
また、面ファスナー(17)の弾性を利用して、感圧部(5)のチューブ(13)による異物感を低減させると共に、面ファスナー(17)により、カバー部材(7)を扁平且つ平滑に構成して、カバー部材(7)による異物感を低減させることができる。
【0072】
その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同じである。
【0073】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0074】
上記実施形態1では、上記感圧部(5)を寝具内において就寝者の下に敷かれるように配置したが、第1の発明においては、体動測定を行う対象が、就寝者に限られず生体であればよいし、生体の体動を測定することができれば、下に敷かれるように配置されなくてもよい。例えば、カバー部材(7)に覆われた感圧部(5)を、生体に直接取り付けるなどしてもよい。このような構成であっても、感圧部(5)と、該感圧部(5)を覆うカバー部材(7)とを着脱自在にすることにより、感圧部(5)のメンテナンスとカバー部材(7)の洗浄とを容易且つ頻繁に行うことができる。
【0075】
また、感圧部(5)を構成するチューブ(13)は2本でなくてもよく、さらに、第1及び第2の発明においては、感圧部(5)がチューブ(13)に限られない。
【0076】
また、上記実施形態1では、就寝者の下に直接カバー部材(7)に覆われた感圧部(5)を敷いているが、感圧部(5)を載置した上に、シーツのような薄手の布を敷いてもよいし、マットレスや敷き布団などの厚みのある寝具を敷いてもよく、その上で就寝者が就寝するようにしてもよい。
【0077】
また、上記実施形態1では、上記カバー部材(7)の上側カバー部(8)及び下側カバー部(9)は分離可能に構成されているが、互いの長辺又は短辺で接続されていてもよい。また、第5の発明においては、この上側カバー部(8)及び下側カバー部(9)の何れか一方を、シーツなどの寝具により構成してもよい。さらに、第1及び第2の発明においては、上記カバー部材(7)は、上記感圧部(5)と着脱自在であればよく、例えば、筒状の袋等であってもよいし、寝具であるシーツなどに設けられた感圧部(5)を収納するためのポケットであってもよい。
【0078】
そして、感圧部(5)の両側方に設けられるスペーサー部材(18)の構成は、実施形態1及び2に示す構成に限られない。例えば、上側カバー部(8)及び下側カバー部(9)の何れか一方に面ファスナー(17)のみからなるスペーサー(15)が設けられ、他方に弾性部材(16)と面ファスナー(17)とからなるスペーサー(15)が設けられていてもよい。また、このスペーサー部材(18)は、感圧部(5)の両側方の他、周囲全体に設けられていてもよい。
【0079】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上説明したように、本発明は、生体の体動に伴う圧力を検知する体動測定装置について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】実施形態1の体動測定装置の概略構成図である。
【図2】(a)は実施形態1の体動測定装置の感圧部及びカバー部材の概略構成図であり、(b)は(a)のb−b線断面図である。
【図3】実施形態2の体動測定装置の感圧部及びカバー部材の断面図である。
【符号の説明】
【0082】
1 体動測定装置
5 感圧部
6 受圧部
7 カバー
8 上側カバー部
9 下側カバー部
10a 感圧部収納部
10b スペーサー収納部
13 チューブ
15 スペーサー
16 弾性部材
17 面ファスナー
18 スペーサー部材
19 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の体動に伴う圧力が作用する感圧部(5)と、
上記感圧部(5)を収納するためのカバー部材(7)と、
上記感圧部(5)に接続されて上記体動に伴う圧力の信号を出力する受圧部(6)とを備えた体動測定装置であって、
上記カバー部材(7)は、上記感圧部(5)と着脱自在に構成されている
ことを特徴とする体動測定装置。
【請求項2】
就寝者の下に敷かれるように寝具に配置されて、上記就寝者の体動に伴う圧力が作用する感圧部(5)と、
上記感圧部(5)を収納するためのカバー部材(7)と、
上記感圧部(5)に接続されて上記体動に伴う圧力の信号を出力する受圧部(6)とを備えた体動測定装置であって、
上記カバー部材(7)は、上記感圧部(5)と着脱自在に構成されている
ことを特徴とする体動測定装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
上記感圧部(5)は、一端が閉塞された可撓性のチューブ(13)であり、
上記チューブ(13)の他端が上記受圧部(6)に接続されている
ことを特徴とする体動測定装置。
【請求項4】
請求項1又は2において、
上記カバー部材(7)は通気性材料から構成されている
ことを特徴とする体動測定装置。
【請求項5】
請求項2において、
上記カバー部材(7)の少なくとも一部は、上記寝具と一体形成されている
ことを特徴とする体動測定装置。
【請求項6】
請求項2において、
上記カバー部材(7)内には、上記感圧部(5)を収納するための感圧収納部(10a)と、弾性を有するスペーサー部材(18)を収納するためのスペーサー収納部(10b)とが設けられ、
上記スペーサー収納部(10b)は、上記感圧収納部(10a)の両側方に配置されている
ことを特徴とする体動測定装置。
【請求項7】
請求項6において、
上記スペーサー部材(18)の高さは、上記感圧部(5)の高さよりも低く構成されている
ことを特徴とする体動測定装置。
【請求項8】
請求項6において、
上記スペーサー部材(18)は、複数個のスペーサー(15)と、該スペーサー(15)間に設けられ且つ上記カバー部材(7)を折り畳むための隙間(19)とから構成されている
ことを特徴とする体動測定装置。
【請求項9】
請求項6において、
上記カバー部材(7)は、上記感圧部(5)の上部を覆う上側カバー部(8)と上記感圧部(5)の下部を覆う下側カバー部(9)とを備え、
上記スペーサー部材(18)は、上記上側カバー部(8)と上記下側カバー部(9)とを連結させるための面ファスナー(17)を備えている
ことを特徴とする体動測定装置。
【請求項10】
請求項9において、
上記スペーサー部材(18)は、弾性材料からなる弾性部材(16)を備えている
ことを特徴とする体動測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−37655(P2007−37655A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−223282(P2005−223282)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】