体操用組立ゆか構造物
【課題】分解組立が用意であり、全面に均一な反発弾性を有し、かつ平坦度保持性に優れた体操用ゆか構造物を提供する。
【解決手段】4つの単位パネル板2のコーナー部が寄り集まる交差角隅部を、ブロック状のコーナー用連結部材20を介して一体的に連結し、すべての隣接する単位パネル板2の隣接側縁どおしを、断面H形の側縁部連結部材30を介して連結する、コーナー用連結部材20は、各単位パネル板2の四隅部にあけられた係止孔6に嵌合する4つの係止突起22を備える。側縁部用連結部材30は、その両側のコ字状嵌合凹所31に単位パネル板2の側縁部を嵌合する。
【解決手段】4つの単位パネル板2のコーナー部が寄り集まる交差角隅部を、ブロック状のコーナー用連結部材20を介して一体的に連結し、すべての隣接する単位パネル板2の隣接側縁どおしを、断面H形の側縁部連結部材30を介して連結する、コーナー用連結部材20は、各単位パネル板2の四隅部にあけられた係止孔6に嵌合する4つの係止突起22を備える。側縁部用連結部材30は、その両側のコ字状嵌合凹所31に単位パネル板2の側縁部を嵌合する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床体操用の組立式ゆか構造物に関する。更に詳しくは、体育館等の建築物の基床面上に、多数個の単位パネル板を敷き並べて連結一体化することにより、新体操用等の所定面積の演技面を構成する組立式のゆか構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、従前、高強度、高弾性が要求される床体操競技用のゆか構造物として、下記特許文献1,2に示すような構造物を提案し、以来このゆか構造物は世界各国で多く使用されてきた。
【特許文献1】特開昭61−13980号公報
【特許文献2】実開昭61−14081号公報
【0003】
これらの先行提案に係るゆか構造物は、下面に多数個の弾性脚部材を取付けた合板等の長方形の単位パネル板を縦横配列に多数個敷き並べ、かつこれらを一体的に強固に連結して所要面積のゆか基板を構成し、その上面に樹脂発泡体からなる弾性マットを敷設し、更にその上にカットパイルカーペットからなる繊維敷物を敷いて、垂直荷重に対して所要の適当な弾力性をもった体操競技用のゆか面を提供するものである。
【0004】
これに対し、従来、通常の体育館の床等の建築物躯体の基床面上で演技が行われていた新体操やエアロビクス体操等の比較的軽度の各種ゆか体操演技においても、近時、難度の高い技が多用されるようになる傾向があり、ジムナストが行う高度な演技の正確性に支障を来すことがないように、またジムナストが負傷することがないように、演技面を構成するゆか面の全体において、全面に均一な弾力性を保有し、かつ高度な平坦度を保持するものであることが強く求められるようになってきた。しかも、この種のゆか構造物は、競技会場や練習場所の移動に伴って、移設の簡便性にも対応できるものでなければならない。従って、組立作業を短時間に省力をはかりつつ簡易に行いうるものであることはもとより、組立状態においてパネルアセンブリーからなるゆか基板部分が所要の堅牢度を保有するものでなければならない。
【0005】
しかしながら、従来の前記特許文献1,2に示されるようなゆか構造物にあっては、弾力の全面均一性、平坦度保持性等の点において新体操用には不向きであり、そしてまた、構成部品点数の多さの故に、製造時はもとより、競技会場での組立作業にも多くの時間と労力を要するのみならず、高価に過ぎて一般の学校用設備としては採用しにくいというような問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような従来技術の背景下において、移設に伴う分解組立の簡易性、組立後の強度、全面の平坦度、弾力の全面的な均一性の諸特性の点で、卓越した性能を有すると共に、比較的安価に製作提供しうる体操用組立式ゆか構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題に対する解決手段として、下記の構成を提示するものである。
【0008】
即ち、本発明に係る体操用組立式ゆか構造物は、 下面に多数個の弾性支持脚部材が分散配置に固着された長方形の単位パネル板が、建築物の基床面上に縦横に多数個敷き並べられ、かつ隣接する上記単位パネル板相互が連結されることによって体操競技面を提供する全体が一体化された所要面積の平面状のゆか基板が構成された体操用組立式ゆか構造物において、
4枚の単位パネル板のコーナー部が突き合わせ状に寄り集まった交差角隅部に、ブロック状のコーナー用連結部材が配置され、該コーナー用連結部材によって前記コーナー部相互が連結される一方、
隣接する単位パネル板の隣接側縁部に沿って、断面H状をなす棒状の側縁部用連結部材が配置され、該側縁部用連結部材によって上記隣接側縁部同士が全長に亘って連結されると共に、
前記コーナー用連結部材は、前記4枚の単位パネル板のコーナー部を担持する硬質の上部支持板と、その下面に固着された弾性支持脚部材とからなり、
前記上部支持板には、その上面に、各単位パネル板のコーナー部に設けられた係止孔に嵌まり込む4個の係止突起が一体に突設され、かつ該係止突起間の位置において平面視十字形に前記側縁部用連結部材の下面側フランジを受け入れる浅溝が設けられ、該浅溝を除く残りの部分によって前記各係止突起をそれぞれの上面に有する4個の上方膨出状のパネル支承用台座部が形成されたものとなされる一方、
前記側縁部用連結部材は、左右両側に背中合わせ状に位置するコ字状の嵌合凹所内にそれぞれ隣接する単位パネル板の長辺及び短辺の各側縁部が嵌合されて縦横格子状に配置されると共に、縦方向または横方向に配置された一方の側縁部用連結部材が、その長さの中間部において前記コーナー用連結部材上を通過するように配置されていることを特徴とするものである。
【0009】
前記単位パネル板の下面の弾性支持脚部材は、単位パネル板の四周側縁に沿った該側縁近接部分において、中間部領域より高密度配置に設けたものとすることが望ましい。この密度差は、前記側縁部における弾性支持脚部材の配列ピッチ寸法を、中間領域部の配列ピッチ寸法に対して50〜80%程度に設定するのが好適である。
【0010】
また、上記ゆか構造物の好ましい実施形態として、前記各単位パネル板は、四周の側縁部上面に、側縁部用連結部材の上面側フランジに対応した幅及び深さの切欠段部が設けられ、各単位パネル板の上面と前記側縁部用連結部材の上面とがほぼ同一平面内に位置されるようになされる。
【0011】
また、前記コーナー用連結部材は、その上面の十字形の浅溝の各先端部に、中央方向に向って上り勾配の傾斜ガイド面が設けらたものとなされる。
【0012】
更に、前記単位パネル板の下面の弾性支持脚部材およびコーナー用連結部材の下面の弾性支持脚部材は、発泡倍率10〜20倍、とくに好ましくは15〜16倍のポリオレフィン樹脂発泡体からなるものとすることが望ましい。
【0013】
なお、前記単位パネル板が敷き並べられた前記ゆか基板上には、合成樹脂発泡体からなる上部クッションマットと、パイルカーペットが順次積層されて体操用組立ゆか構造物に構成されるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る上記の体操用組立式ゆか構造物においては、隣接する単位パネル板相互が、隣接側縁部どおしを断面H字状の側縁部用連結部材で嵌合方式によりかつ全長に亘って連結される一方で、4枚の単位パネル板のコーナー部が寄り集った交差角隅部において、係止突起と係止孔による係合構造をもったコーナー部用連結部材を介して相互に水平方向移動を拘束された状態に連結されたものとなされているので、単位パネル板の集合体からなるゆか基板の全体を、あえて従来のような別途締め付け装置を用いることなく、新体操用ゆかに適した良好な一体化状態のものとすることができる。即ち隣接する単位パネル相互が、上下方向あるいは水平方向に徒らに相対移動を起こすおそれのないものとすることができる。
【0015】
また、側縁部用連結部材は、断面H字状の棒状体であり、隣接する単位パネル板の相互間に一端側から挿入するだけで該連結部材をセットし、ひいては隣接単位パネル板の側縁どおしを上下方向拘束状態に簡単に連結しうる。
【0016】
しかも、隣接する単位パネル板は、4つのコーナー部が寄り集った交差角隅部において単一のコーナー用連結部材で担持支承されており、かつ棒状の前記側縁部用連結部材がこのコーナー用連結部材上を通過する態様で配置されたものとなされていることにより、上記交差角隅部に偏荷重が負荷されることがあっても、4つのコーナー部相互間に一時的な段差を生じることがなく、良好な平坦性を維持できる。このことは、ジムナストに対して、安全性の向上に寄与しうるのはもとより、高難度の演技を行う場合の障害要因の排除に貢献しうる。
【0017】
加えて、コーナー用連結部材は、上面に浅溝が設けられ、これに側縁部用連結部材の下面側フランジが受け入れられるようになされているから、該連結部材を隣接する単位パネル板相互間に挿入して行う連結セット作業時に該連結部材の先端がコーナー用連結部材の周側面に突き当ってしまうのを回避しうる。即ち、連結部材の下面側フランジの先端が上記浅溝部分に進入されるため、抵抗なく連結部材の挿入セッティングを行いうる。更にまた、上記浅溝の先端部に、中央方向に向って上り勾配の傾斜ガイド面が設けられている場合には、上記下面側フランジ部の先端が該傾斜ガイド部に案内されて前記浅溝内にスムーズに誘導されるので、愈々当該連結部材の挿入セッティング作業を容易に行いうるものとなしうる。
【0018】
また、単位パネル板の下面の弾性支持脚部材が、該単位パネル板の四周側縁に沿った該側縁近接部分において中間部領域より高密度配置に設けられたものとなされていることにより、単位パネル板の周縁部領域の一部分に大きな荷重が作用した場合にも、隣接する単位パネル板との間で段差や傾きを生じることがなく、ゆか基板の全体に良好な平坦度と均一な弾性反発力を保持できる。
【0019】
更に各単位パネル板の、四周の側縁部上面に、側縁部用連結部材の上面側フランジに対応した幅及び深さの切欠段部が設けられ、各単位パネル板の上面と前記側縁部用連結部材の上面とがほぼ同一平面内に位置されるようになされていることにより、ゆか基板の全体の平面度、平坦度を愈々良好に保持できる。
【0020】
また、単位パネル板及びコーナ用連結部材の下面に固着された弾性支持脚部材は、ポリオレフィン樹脂発泡体で構成されていることにより、ゆか基板に床面上での新体操演技用に適した良好な反発弾性を保有せしめたものとすることができる。しかも、良好な耐久性と、大きくかつ柔軟な弾力性との相反する性質を両立させることが可能であり、また鋼製スプリングのような共振現象を起こすことがなく、底づき感も生じない。
【0021】
そしてまた、単位パネル板の集合体からなるゆか基板上に、合成樹脂発泡体からなる上部クッションマットと、パイルカーペットを順次積層してなる体操用組立ゆか構造物は、上記クッションマットとパイルカーペットとが協働的にジムナストが着地するときの外力を弾褥的に吸収すると共に転倒時に身体が受ける衝撃力を緩衝し、また擦過傷等の負傷を防ぎ、安全性を確保しうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明の好ましい実施形態を添附図面の参照のもとに説明する。
【0023】
図1は体操演技面を構成する組立式ゆか構造物(1)を上面側から見た平面図であり、一部を切欠いて示している。
【0024】
このゆか構造物(1)は、縦横配列に敷き並べられた多数枚の単位床パネル板(2)と、この単位床パネル板(2)の集合体からなるゆか基板(10)上に積層敷設された合成樹脂発泡体からなる上部クッションマット(3)と、カットパイルカーペット(4)とを主な構成部材とする。
【0025】
単位パネル板(2)は、図2及び図3に示すように、長方形の木製合板からなる。その大きさは、新体操床用のものとして、例えば2400mm×1200mm×12mmであり、これが72枚用いられることによって、14.4m四方の正方形のゆか基板(10)が構成される。
【0026】
合板製単位パネル板(2)の下面には、図2,3に示すように多数個の弾性支持脚部材(5)が固着されている。この弾性支持脚部材(5)は、例えば60mm×60mm×30mm(高さ)の短い角柱状のものであり、1枚の単位パネル板(2)当りに58個取付けられている。しかもその配列は、図2に示すように、分散状態であり、かつ単位パネル板(2)の四周側縁に沿った該側縁近接部分において、中間部領域より高密度配置に取付られている。具体的には、単位パネル板(2)の長辺側の側縁近傍位置においては170〜190mmの範囲のピッチに、短辺側の側縁近傍位置においては140〜150mmの範囲のピッチに配置され、中間部領域においては270〜380mmの範囲のピッチに設定して取付られている。
【0027】
また、各単位パネル板(2)は、図4に分かり易く示されるように、四隅部分に直径約11mmに設定された係合孔(6)を有する。かつ、周縁部上面に帯状の切欠段部(7)を有する。この切欠段部(7)は、後述する側縁部用連結部材(30)の上面側フランジ(30b)に対応する幅と深さに設定されたものである。具体的には、例えば幅12mm、深さ2mmに設定されている。
【0028】
単位パネル板(2)の配列集合体からなる前記ゆか基板(10)において、4枚の単位パネル板(2)のコーナー部が突き合わせ状に寄り集った交差角隅部には、ブロック状のコーナー用連結部材(20)が下面側に配置されこれ、によって上記コーナー部が下面側から支持され、かつ相互に相対的な横方向移動を生じないよいうに連結されている。
【0029】
このコーナー用連結部材(20)は、図4及び図5に示すように、正方形状の硬質合成樹脂製の上部支持板(21)と、その下面に固着された弾性支持脚部材(25)とからなる。上部支持板(21)は、四隅部近傍位置の上面に、単位パネル板(2)の係合孔(6)にしっくりと嵌まり込む対応径と高さをもった4個の係止突起(22)が一体に突設されている。そして、この係止突起(22)の存在する四隅部領域を避けて、上面に平面視十字形に広幅の浅溝(23)が形成され、この浅溝(23)を除く残りの部分によって、上面に上記係止突起(22)を有する4個の上方膨出状のパネル支承用台座部(24)が形成されたものとなされている。そして更に、この浅溝(23)の各先端部、即ち十字形の縦溝部分の両端部と横溝部分の両端部とにそれぞれ、中央方向に向って上り勾配の傾斜ガイド面(23a)が設けられている。
【0030】
隣接する単位パネル板(2)(2)の側縁部どおしを連結する側縁部用連結部材(30)は、硬質合成樹脂製の断面H型のものであり、長尺棒状のものとして相互に長さの異なる複数種類のものを含み、図示実施例では合計で例えば131個用いられている。この連結部材(30)は、横断面において中央部に縦桟としてのウェブ(30a)を有し、その両端に連続して上下に対称に1対のフランジ(30b)(30b)が設けられた断面H字状のものであり、ウェブ(30a)をはさんだ上下フランジ(30b)(30b)間に単位パネル板(2)の側縁部が嵌まり込む1対のコ字状の嵌合凹所(31)(31)が背中合わせに形成されたものである。この連結部材(30)は、例えばフランジ(30b)の全体幅が25mm、全体厚み(高さ)が14.3mm、各部の肉厚が2.0mm、嵌合凹所(31)の高さが10.3mmに形成される。なお、この連結部材(30)は、アルミニウム等の金属製のものとしても良い。
【0031】
コーナー用連結部材(20)の上部支持板(20)の上面に設けられた十字形の浅溝(23)は、上記側縁部用連結部材(30)の両面側フランジ(30b)を受け入れるものである。従って、該フランジ(30b)の幅及び厚さよりやや大きい幅と深さを有するものとなされている。具体的には幅30mm、深さ2.5mmに設定されている。
【0032】
単位パネル板(2)の配列集合体からなるゆか基板(10)は、その周縁の各辺に、隣接する2枚だけの単位パネル板(2)(2)の2つのコーナー部が突き合わされたコーナー突き合せ部を生じる。図1に示す実施例において、この2つだけのコーナー突き合わせ部は、紙面の左右に各11箇所、紙面の上下に各5箇所の38箇所である。
【0033】
これらのコーナー突合せ部においては、図10に示す半裁連結片(20/2)を用いて隣接する両単位パネル板(2)(2)の2つのコーナー部どおしが連結されている。上記半裁連結片(20/2)は、前記のコーナー用連結部材(20)を中央部で左右に2分割したものであり、上面に2個の係止突起(22)(22)を有し、これらの係止突起が各単位パネル板(2)(2)のコーナー部の対応係止孔(6)(6)に嵌め込まれる。
【0034】
更にまた、図1に示すゆか基板(10)の四隅部分に位置する単位パネル板(2)の外側の1つの隅角部は、その下面側に配置される図11に示すような四隅部用連結片(20/4)をもって下面側から支持される。この四隅部用連結片(20/4)は、コーナー用連結部材(20)を中央部で縦横に4分割することによって形成されたものであり、上面に1つだけの係止突起(22)を有し、これを単位パネル板(2)側の対応係止孔(6)に嵌合することによって位置決め状態に取付られるものである。
【0035】
但し、上記の半裁連結片(20/2)や四隅部用連結片(20/4)の製作と使用は、必ずしも必要的なことではない。通常のコーナー用連結部材(20)の上面の4つの係止突起(22)のうち、その2つを残して他の2つを切断除去し、あるいは1つだけを残して他の3つを切断除去した加工済のコーナー用連結部材(図示略)を用いて、上記2つのコーナー部どおしの連結支承及びゆか基板(10)の四隅部の支承に用いるものとしても良い。この場合、各コーナー部の下面が、コーナー用連結部材(20)の弾性支持脚部材(25)の全体で支持されることになるため、コーナー部の過度の沈み込み変形を一層確実に防止できるものとなしうる点で有利である。
【0036】
尚、単位パネル板(2)の下面の弾性支持脚部材(5)、コーナー用連結部材(20)の下面の弾性支持脚部材(25)、及びゆか基板(10)の上面の全面に敷設される上部クッションマット(3)は、いずれも発泡倍率15〜16倍のポリウレタン樹脂発泡体で構成されている。
【0037】
本発明に係る上記の体操用ゆか構造物(1)は、設置に際し、先ず建築物の基床面(F)上に適宜コーナー用連結部材(20)を配置しながら、単位パネル板(2)を順次敷き並べ、隣接する単位パネル板(2)(2)の側縁部間に順次側縁部用連結部材(30)を挿入し、更に半裁連結片(20/2)及び四隅部用連結部材(20/4)を配置することによって組立てられる。
【0038】
この組立作業の手順は、図12に示すように、先ずゆか基板(10)の1つのコーナー部に位置する1枚の単位パネル板(2)と、これに長辺側の側縁で隣接するもう1枚の単位パネル板(2)とを配置したのち、先ず図12に符号(S1)で示す第1のステップで長尺の側縁部用連結部材(30A)を上記の隣接する両単位パネル板(2)(2)間に、それらの両側縁部が嵌合凹所(31)(31)に嵌まり込むようにしながら、一端から横方向に挿入してセットする。次に、上記2枚の単位パネル板(2)(2)に短辺側の側縁で隣接する2枚の新たな単位パネル板を置き、符号(S2)で示す第2のステップで中尺の側縁部用連結部材(30B)を縦向きに挿入配置する。この際、該連結部材(30B)は、その長さ方向の中間部がコーナー用連結部材(20)の上方に位置するように、該コーナー用連結部材(20)の上を通過させるようにセットする。
【0039】
この挿入時、コーナー用連結部材(20)の上面の浅溝(23)は、連結部材(30)の下面側フランジ(30b)を受け入れる。従って、該連結部材(30)の挿入側の先端がコーナー用連結部材(20)の上部支持板(21)の周縁に突き当って一端からの挿入が困難になるということがない。
【0040】
また、浅溝(23)の各先端の傾斜ガイド面(23a)は、上記連結部材(30)の下面側フランジ(30b)の先端をスムーズに浅溝(27)に向けて誘導するため、上記のような挿入困難の事態の発生を愈々確実に防止しうる。
【0041】
上記の作業を繰返して、第1〜2列の単位パネル板(2)の配置と連結を終えたのち、続く第3列、第4列、第n列の単位パネル板(2)を上記同様の手順で一端側から順次敷設していき、最後に、あるいは途中のステップ(Sn)で短尺の側縁部用連結部材(30C)を順次対応個所に挿入配置し、かつ半裁連結部材(20/2)及び四隅部連結部材(20/4)を配置してゆか基板(10)の組立を完了する。
【0042】
この組立状態において、ゆか構造物(1)のゆか基板(10)は、4枚の単位パネル板(2)のコーナー部が寄り集まった交差角隅部において、ブロック状のコーナー用連結部材(20)に設けられた係止突起(22)が各パネル板の係止孔(6)に嵌合されていることによって、単位パネル板相互が相対的な面方向移動を阻止された状態で強固に連結されたものとなる。一方、隣接する単位パネル板(2)(2)の側縁部どおしは、その側縁部が全長に亘って断面H字状の側縁部用連結部材(30)の嵌合凹所(31)内に嵌合されているため、相対的な上下方向移動を阻止された状態で相互に連結されたものとなる。従って、結果的にすべての単位パネル板(2)が、隣接するものどおしで相対的に上下方向にも、水平な面方向にも移動しない状態で連結されたものとなり、ゆか基板(10)が全体において良好な一体性を保持し、かつ平坦度保持性にも優れたものとなる。
【0043】
また、本発明に係る上記ゆか構造物は、前記の組立手順と全く逆の手順でゆか基板(10)を簡単に分解することが可能である。従って、移設の簡便性の点でも卓越したものである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る体操用組立式ゆか構造物の全体を一部を切欠いて示した平面図である。
【図2】単位パネル板の下面図である。
【図3】ゆか構造物の一部の縦断面図である。
【図4】4枚の単位パネル板のコーナー部が寄り集った交差角隅部の連結構造を示す分解状態の傾斜図である。
【図5】コーナー用連結部材を示すものであって、図5(a)は平面図、図5(b)は正面図である。
【図6】4枚の単位パネル板のコーナー部が寄り集った交差角隅部の平面図である。
【図7】図6のA−A線の断面図である。
【図8】図6のB−B線の断面図である。
【図9】図6のC−C線の断面図である。
【図10】2枚の単位パネル板の2つのコーナー部のみが突き合わされる部分の連結構造を示す分解状態の斜視図である。
【図11】ゆか基板の四隅部分の支持構造を示す分解状態の斜視図である。
【図12】ゆか基板の組立手順の説明図である。
【符号の説明】
【0045】
1…ゆか構造物
2…単位パネル板
3…クッションマット
4…パイルカーペット
5…弾性支持脚部材
6…係止孔
7…切欠段部
10…ゆか基板
20…コーナー用連結部材
21…上部支持板
22…係止突起
23…浅溝
23a…傾斜ガイド部
24…台座部
25…弾性支持脚部材
30…側縁部用連結部材
30a…ウェブ
30b…フランジ
31…嵌合凹所
【技術分野】
【0001】
本発明は、床体操用の組立式ゆか構造物に関する。更に詳しくは、体育館等の建築物の基床面上に、多数個の単位パネル板を敷き並べて連結一体化することにより、新体操用等の所定面積の演技面を構成する組立式のゆか構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、従前、高強度、高弾性が要求される床体操競技用のゆか構造物として、下記特許文献1,2に示すような構造物を提案し、以来このゆか構造物は世界各国で多く使用されてきた。
【特許文献1】特開昭61−13980号公報
【特許文献2】実開昭61−14081号公報
【0003】
これらの先行提案に係るゆか構造物は、下面に多数個の弾性脚部材を取付けた合板等の長方形の単位パネル板を縦横配列に多数個敷き並べ、かつこれらを一体的に強固に連結して所要面積のゆか基板を構成し、その上面に樹脂発泡体からなる弾性マットを敷設し、更にその上にカットパイルカーペットからなる繊維敷物を敷いて、垂直荷重に対して所要の適当な弾力性をもった体操競技用のゆか面を提供するものである。
【0004】
これに対し、従来、通常の体育館の床等の建築物躯体の基床面上で演技が行われていた新体操やエアロビクス体操等の比較的軽度の各種ゆか体操演技においても、近時、難度の高い技が多用されるようになる傾向があり、ジムナストが行う高度な演技の正確性に支障を来すことがないように、またジムナストが負傷することがないように、演技面を構成するゆか面の全体において、全面に均一な弾力性を保有し、かつ高度な平坦度を保持するものであることが強く求められるようになってきた。しかも、この種のゆか構造物は、競技会場や練習場所の移動に伴って、移設の簡便性にも対応できるものでなければならない。従って、組立作業を短時間に省力をはかりつつ簡易に行いうるものであることはもとより、組立状態においてパネルアセンブリーからなるゆか基板部分が所要の堅牢度を保有するものでなければならない。
【0005】
しかしながら、従来の前記特許文献1,2に示されるようなゆか構造物にあっては、弾力の全面均一性、平坦度保持性等の点において新体操用には不向きであり、そしてまた、構成部品点数の多さの故に、製造時はもとより、競技会場での組立作業にも多くの時間と労力を要するのみならず、高価に過ぎて一般の学校用設備としては採用しにくいというような問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような従来技術の背景下において、移設に伴う分解組立の簡易性、組立後の強度、全面の平坦度、弾力の全面的な均一性の諸特性の点で、卓越した性能を有すると共に、比較的安価に製作提供しうる体操用組立式ゆか構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題に対する解決手段として、下記の構成を提示するものである。
【0008】
即ち、本発明に係る体操用組立式ゆか構造物は、 下面に多数個の弾性支持脚部材が分散配置に固着された長方形の単位パネル板が、建築物の基床面上に縦横に多数個敷き並べられ、かつ隣接する上記単位パネル板相互が連結されることによって体操競技面を提供する全体が一体化された所要面積の平面状のゆか基板が構成された体操用組立式ゆか構造物において、
4枚の単位パネル板のコーナー部が突き合わせ状に寄り集まった交差角隅部に、ブロック状のコーナー用連結部材が配置され、該コーナー用連結部材によって前記コーナー部相互が連結される一方、
隣接する単位パネル板の隣接側縁部に沿って、断面H状をなす棒状の側縁部用連結部材が配置され、該側縁部用連結部材によって上記隣接側縁部同士が全長に亘って連結されると共に、
前記コーナー用連結部材は、前記4枚の単位パネル板のコーナー部を担持する硬質の上部支持板と、その下面に固着された弾性支持脚部材とからなり、
前記上部支持板には、その上面に、各単位パネル板のコーナー部に設けられた係止孔に嵌まり込む4個の係止突起が一体に突設され、かつ該係止突起間の位置において平面視十字形に前記側縁部用連結部材の下面側フランジを受け入れる浅溝が設けられ、該浅溝を除く残りの部分によって前記各係止突起をそれぞれの上面に有する4個の上方膨出状のパネル支承用台座部が形成されたものとなされる一方、
前記側縁部用連結部材は、左右両側に背中合わせ状に位置するコ字状の嵌合凹所内にそれぞれ隣接する単位パネル板の長辺及び短辺の各側縁部が嵌合されて縦横格子状に配置されると共に、縦方向または横方向に配置された一方の側縁部用連結部材が、その長さの中間部において前記コーナー用連結部材上を通過するように配置されていることを特徴とするものである。
【0009】
前記単位パネル板の下面の弾性支持脚部材は、単位パネル板の四周側縁に沿った該側縁近接部分において、中間部領域より高密度配置に設けたものとすることが望ましい。この密度差は、前記側縁部における弾性支持脚部材の配列ピッチ寸法を、中間領域部の配列ピッチ寸法に対して50〜80%程度に設定するのが好適である。
【0010】
また、上記ゆか構造物の好ましい実施形態として、前記各単位パネル板は、四周の側縁部上面に、側縁部用連結部材の上面側フランジに対応した幅及び深さの切欠段部が設けられ、各単位パネル板の上面と前記側縁部用連結部材の上面とがほぼ同一平面内に位置されるようになされる。
【0011】
また、前記コーナー用連結部材は、その上面の十字形の浅溝の各先端部に、中央方向に向って上り勾配の傾斜ガイド面が設けらたものとなされる。
【0012】
更に、前記単位パネル板の下面の弾性支持脚部材およびコーナー用連結部材の下面の弾性支持脚部材は、発泡倍率10〜20倍、とくに好ましくは15〜16倍のポリオレフィン樹脂発泡体からなるものとすることが望ましい。
【0013】
なお、前記単位パネル板が敷き並べられた前記ゆか基板上には、合成樹脂発泡体からなる上部クッションマットと、パイルカーペットが順次積層されて体操用組立ゆか構造物に構成されるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る上記の体操用組立式ゆか構造物においては、隣接する単位パネル板相互が、隣接側縁部どおしを断面H字状の側縁部用連結部材で嵌合方式によりかつ全長に亘って連結される一方で、4枚の単位パネル板のコーナー部が寄り集った交差角隅部において、係止突起と係止孔による係合構造をもったコーナー部用連結部材を介して相互に水平方向移動を拘束された状態に連結されたものとなされているので、単位パネル板の集合体からなるゆか基板の全体を、あえて従来のような別途締め付け装置を用いることなく、新体操用ゆかに適した良好な一体化状態のものとすることができる。即ち隣接する単位パネル相互が、上下方向あるいは水平方向に徒らに相対移動を起こすおそれのないものとすることができる。
【0015】
また、側縁部用連結部材は、断面H字状の棒状体であり、隣接する単位パネル板の相互間に一端側から挿入するだけで該連結部材をセットし、ひいては隣接単位パネル板の側縁どおしを上下方向拘束状態に簡単に連結しうる。
【0016】
しかも、隣接する単位パネル板は、4つのコーナー部が寄り集った交差角隅部において単一のコーナー用連結部材で担持支承されており、かつ棒状の前記側縁部用連結部材がこのコーナー用連結部材上を通過する態様で配置されたものとなされていることにより、上記交差角隅部に偏荷重が負荷されることがあっても、4つのコーナー部相互間に一時的な段差を生じることがなく、良好な平坦性を維持できる。このことは、ジムナストに対して、安全性の向上に寄与しうるのはもとより、高難度の演技を行う場合の障害要因の排除に貢献しうる。
【0017】
加えて、コーナー用連結部材は、上面に浅溝が設けられ、これに側縁部用連結部材の下面側フランジが受け入れられるようになされているから、該連結部材を隣接する単位パネル板相互間に挿入して行う連結セット作業時に該連結部材の先端がコーナー用連結部材の周側面に突き当ってしまうのを回避しうる。即ち、連結部材の下面側フランジの先端が上記浅溝部分に進入されるため、抵抗なく連結部材の挿入セッティングを行いうる。更にまた、上記浅溝の先端部に、中央方向に向って上り勾配の傾斜ガイド面が設けられている場合には、上記下面側フランジ部の先端が該傾斜ガイド部に案内されて前記浅溝内にスムーズに誘導されるので、愈々当該連結部材の挿入セッティング作業を容易に行いうるものとなしうる。
【0018】
また、単位パネル板の下面の弾性支持脚部材が、該単位パネル板の四周側縁に沿った該側縁近接部分において中間部領域より高密度配置に設けられたものとなされていることにより、単位パネル板の周縁部領域の一部分に大きな荷重が作用した場合にも、隣接する単位パネル板との間で段差や傾きを生じることがなく、ゆか基板の全体に良好な平坦度と均一な弾性反発力を保持できる。
【0019】
更に各単位パネル板の、四周の側縁部上面に、側縁部用連結部材の上面側フランジに対応した幅及び深さの切欠段部が設けられ、各単位パネル板の上面と前記側縁部用連結部材の上面とがほぼ同一平面内に位置されるようになされていることにより、ゆか基板の全体の平面度、平坦度を愈々良好に保持できる。
【0020】
また、単位パネル板及びコーナ用連結部材の下面に固着された弾性支持脚部材は、ポリオレフィン樹脂発泡体で構成されていることにより、ゆか基板に床面上での新体操演技用に適した良好な反発弾性を保有せしめたものとすることができる。しかも、良好な耐久性と、大きくかつ柔軟な弾力性との相反する性質を両立させることが可能であり、また鋼製スプリングのような共振現象を起こすことがなく、底づき感も生じない。
【0021】
そしてまた、単位パネル板の集合体からなるゆか基板上に、合成樹脂発泡体からなる上部クッションマットと、パイルカーペットを順次積層してなる体操用組立ゆか構造物は、上記クッションマットとパイルカーペットとが協働的にジムナストが着地するときの外力を弾褥的に吸収すると共に転倒時に身体が受ける衝撃力を緩衝し、また擦過傷等の負傷を防ぎ、安全性を確保しうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明の好ましい実施形態を添附図面の参照のもとに説明する。
【0023】
図1は体操演技面を構成する組立式ゆか構造物(1)を上面側から見た平面図であり、一部を切欠いて示している。
【0024】
このゆか構造物(1)は、縦横配列に敷き並べられた多数枚の単位床パネル板(2)と、この単位床パネル板(2)の集合体からなるゆか基板(10)上に積層敷設された合成樹脂発泡体からなる上部クッションマット(3)と、カットパイルカーペット(4)とを主な構成部材とする。
【0025】
単位パネル板(2)は、図2及び図3に示すように、長方形の木製合板からなる。その大きさは、新体操床用のものとして、例えば2400mm×1200mm×12mmであり、これが72枚用いられることによって、14.4m四方の正方形のゆか基板(10)が構成される。
【0026】
合板製単位パネル板(2)の下面には、図2,3に示すように多数個の弾性支持脚部材(5)が固着されている。この弾性支持脚部材(5)は、例えば60mm×60mm×30mm(高さ)の短い角柱状のものであり、1枚の単位パネル板(2)当りに58個取付けられている。しかもその配列は、図2に示すように、分散状態であり、かつ単位パネル板(2)の四周側縁に沿った該側縁近接部分において、中間部領域より高密度配置に取付られている。具体的には、単位パネル板(2)の長辺側の側縁近傍位置においては170〜190mmの範囲のピッチに、短辺側の側縁近傍位置においては140〜150mmの範囲のピッチに配置され、中間部領域においては270〜380mmの範囲のピッチに設定して取付られている。
【0027】
また、各単位パネル板(2)は、図4に分かり易く示されるように、四隅部分に直径約11mmに設定された係合孔(6)を有する。かつ、周縁部上面に帯状の切欠段部(7)を有する。この切欠段部(7)は、後述する側縁部用連結部材(30)の上面側フランジ(30b)に対応する幅と深さに設定されたものである。具体的には、例えば幅12mm、深さ2mmに設定されている。
【0028】
単位パネル板(2)の配列集合体からなる前記ゆか基板(10)において、4枚の単位パネル板(2)のコーナー部が突き合わせ状に寄り集った交差角隅部には、ブロック状のコーナー用連結部材(20)が下面側に配置されこれ、によって上記コーナー部が下面側から支持され、かつ相互に相対的な横方向移動を生じないよいうに連結されている。
【0029】
このコーナー用連結部材(20)は、図4及び図5に示すように、正方形状の硬質合成樹脂製の上部支持板(21)と、その下面に固着された弾性支持脚部材(25)とからなる。上部支持板(21)は、四隅部近傍位置の上面に、単位パネル板(2)の係合孔(6)にしっくりと嵌まり込む対応径と高さをもった4個の係止突起(22)が一体に突設されている。そして、この係止突起(22)の存在する四隅部領域を避けて、上面に平面視十字形に広幅の浅溝(23)が形成され、この浅溝(23)を除く残りの部分によって、上面に上記係止突起(22)を有する4個の上方膨出状のパネル支承用台座部(24)が形成されたものとなされている。そして更に、この浅溝(23)の各先端部、即ち十字形の縦溝部分の両端部と横溝部分の両端部とにそれぞれ、中央方向に向って上り勾配の傾斜ガイド面(23a)が設けられている。
【0030】
隣接する単位パネル板(2)(2)の側縁部どおしを連結する側縁部用連結部材(30)は、硬質合成樹脂製の断面H型のものであり、長尺棒状のものとして相互に長さの異なる複数種類のものを含み、図示実施例では合計で例えば131個用いられている。この連結部材(30)は、横断面において中央部に縦桟としてのウェブ(30a)を有し、その両端に連続して上下に対称に1対のフランジ(30b)(30b)が設けられた断面H字状のものであり、ウェブ(30a)をはさんだ上下フランジ(30b)(30b)間に単位パネル板(2)の側縁部が嵌まり込む1対のコ字状の嵌合凹所(31)(31)が背中合わせに形成されたものである。この連結部材(30)は、例えばフランジ(30b)の全体幅が25mm、全体厚み(高さ)が14.3mm、各部の肉厚が2.0mm、嵌合凹所(31)の高さが10.3mmに形成される。なお、この連結部材(30)は、アルミニウム等の金属製のものとしても良い。
【0031】
コーナー用連結部材(20)の上部支持板(20)の上面に設けられた十字形の浅溝(23)は、上記側縁部用連結部材(30)の両面側フランジ(30b)を受け入れるものである。従って、該フランジ(30b)の幅及び厚さよりやや大きい幅と深さを有するものとなされている。具体的には幅30mm、深さ2.5mmに設定されている。
【0032】
単位パネル板(2)の配列集合体からなるゆか基板(10)は、その周縁の各辺に、隣接する2枚だけの単位パネル板(2)(2)の2つのコーナー部が突き合わされたコーナー突き合せ部を生じる。図1に示す実施例において、この2つだけのコーナー突き合わせ部は、紙面の左右に各11箇所、紙面の上下に各5箇所の38箇所である。
【0033】
これらのコーナー突合せ部においては、図10に示す半裁連結片(20/2)を用いて隣接する両単位パネル板(2)(2)の2つのコーナー部どおしが連結されている。上記半裁連結片(20/2)は、前記のコーナー用連結部材(20)を中央部で左右に2分割したものであり、上面に2個の係止突起(22)(22)を有し、これらの係止突起が各単位パネル板(2)(2)のコーナー部の対応係止孔(6)(6)に嵌め込まれる。
【0034】
更にまた、図1に示すゆか基板(10)の四隅部分に位置する単位パネル板(2)の外側の1つの隅角部は、その下面側に配置される図11に示すような四隅部用連結片(20/4)をもって下面側から支持される。この四隅部用連結片(20/4)は、コーナー用連結部材(20)を中央部で縦横に4分割することによって形成されたものであり、上面に1つだけの係止突起(22)を有し、これを単位パネル板(2)側の対応係止孔(6)に嵌合することによって位置決め状態に取付られるものである。
【0035】
但し、上記の半裁連結片(20/2)や四隅部用連結片(20/4)の製作と使用は、必ずしも必要的なことではない。通常のコーナー用連結部材(20)の上面の4つの係止突起(22)のうち、その2つを残して他の2つを切断除去し、あるいは1つだけを残して他の3つを切断除去した加工済のコーナー用連結部材(図示略)を用いて、上記2つのコーナー部どおしの連結支承及びゆか基板(10)の四隅部の支承に用いるものとしても良い。この場合、各コーナー部の下面が、コーナー用連結部材(20)の弾性支持脚部材(25)の全体で支持されることになるため、コーナー部の過度の沈み込み変形を一層確実に防止できるものとなしうる点で有利である。
【0036】
尚、単位パネル板(2)の下面の弾性支持脚部材(5)、コーナー用連結部材(20)の下面の弾性支持脚部材(25)、及びゆか基板(10)の上面の全面に敷設される上部クッションマット(3)は、いずれも発泡倍率15〜16倍のポリウレタン樹脂発泡体で構成されている。
【0037】
本発明に係る上記の体操用ゆか構造物(1)は、設置に際し、先ず建築物の基床面(F)上に適宜コーナー用連結部材(20)を配置しながら、単位パネル板(2)を順次敷き並べ、隣接する単位パネル板(2)(2)の側縁部間に順次側縁部用連結部材(30)を挿入し、更に半裁連結片(20/2)及び四隅部用連結部材(20/4)を配置することによって組立てられる。
【0038】
この組立作業の手順は、図12に示すように、先ずゆか基板(10)の1つのコーナー部に位置する1枚の単位パネル板(2)と、これに長辺側の側縁で隣接するもう1枚の単位パネル板(2)とを配置したのち、先ず図12に符号(S1)で示す第1のステップで長尺の側縁部用連結部材(30A)を上記の隣接する両単位パネル板(2)(2)間に、それらの両側縁部が嵌合凹所(31)(31)に嵌まり込むようにしながら、一端から横方向に挿入してセットする。次に、上記2枚の単位パネル板(2)(2)に短辺側の側縁で隣接する2枚の新たな単位パネル板を置き、符号(S2)で示す第2のステップで中尺の側縁部用連結部材(30B)を縦向きに挿入配置する。この際、該連結部材(30B)は、その長さ方向の中間部がコーナー用連結部材(20)の上方に位置するように、該コーナー用連結部材(20)の上を通過させるようにセットする。
【0039】
この挿入時、コーナー用連結部材(20)の上面の浅溝(23)は、連結部材(30)の下面側フランジ(30b)を受け入れる。従って、該連結部材(30)の挿入側の先端がコーナー用連結部材(20)の上部支持板(21)の周縁に突き当って一端からの挿入が困難になるということがない。
【0040】
また、浅溝(23)の各先端の傾斜ガイド面(23a)は、上記連結部材(30)の下面側フランジ(30b)の先端をスムーズに浅溝(27)に向けて誘導するため、上記のような挿入困難の事態の発生を愈々確実に防止しうる。
【0041】
上記の作業を繰返して、第1〜2列の単位パネル板(2)の配置と連結を終えたのち、続く第3列、第4列、第n列の単位パネル板(2)を上記同様の手順で一端側から順次敷設していき、最後に、あるいは途中のステップ(Sn)で短尺の側縁部用連結部材(30C)を順次対応個所に挿入配置し、かつ半裁連結部材(20/2)及び四隅部連結部材(20/4)を配置してゆか基板(10)の組立を完了する。
【0042】
この組立状態において、ゆか構造物(1)のゆか基板(10)は、4枚の単位パネル板(2)のコーナー部が寄り集まった交差角隅部において、ブロック状のコーナー用連結部材(20)に設けられた係止突起(22)が各パネル板の係止孔(6)に嵌合されていることによって、単位パネル板相互が相対的な面方向移動を阻止された状態で強固に連結されたものとなる。一方、隣接する単位パネル板(2)(2)の側縁部どおしは、その側縁部が全長に亘って断面H字状の側縁部用連結部材(30)の嵌合凹所(31)内に嵌合されているため、相対的な上下方向移動を阻止された状態で相互に連結されたものとなる。従って、結果的にすべての単位パネル板(2)が、隣接するものどおしで相対的に上下方向にも、水平な面方向にも移動しない状態で連結されたものとなり、ゆか基板(10)が全体において良好な一体性を保持し、かつ平坦度保持性にも優れたものとなる。
【0043】
また、本発明に係る上記ゆか構造物は、前記の組立手順と全く逆の手順でゆか基板(10)を簡単に分解することが可能である。従って、移設の簡便性の点でも卓越したものである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る体操用組立式ゆか構造物の全体を一部を切欠いて示した平面図である。
【図2】単位パネル板の下面図である。
【図3】ゆか構造物の一部の縦断面図である。
【図4】4枚の単位パネル板のコーナー部が寄り集った交差角隅部の連結構造を示す分解状態の傾斜図である。
【図5】コーナー用連結部材を示すものであって、図5(a)は平面図、図5(b)は正面図である。
【図6】4枚の単位パネル板のコーナー部が寄り集った交差角隅部の平面図である。
【図7】図6のA−A線の断面図である。
【図8】図6のB−B線の断面図である。
【図9】図6のC−C線の断面図である。
【図10】2枚の単位パネル板の2つのコーナー部のみが突き合わされる部分の連結構造を示す分解状態の斜視図である。
【図11】ゆか基板の四隅部分の支持構造を示す分解状態の斜視図である。
【図12】ゆか基板の組立手順の説明図である。
【符号の説明】
【0045】
1…ゆか構造物
2…単位パネル板
3…クッションマット
4…パイルカーペット
5…弾性支持脚部材
6…係止孔
7…切欠段部
10…ゆか基板
20…コーナー用連結部材
21…上部支持板
22…係止突起
23…浅溝
23a…傾斜ガイド部
24…台座部
25…弾性支持脚部材
30…側縁部用連結部材
30a…ウェブ
30b…フランジ
31…嵌合凹所
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面に多数個の弾性支持脚部材が分散配置に固着された長方形の単位パネル板が、建築物の基床面上に縦横に多数個敷き並べられ、かつ隣接する上記単位パネル板相互が連結されることによって体操競技面を提供する全体が一体化された所要面積の平面状のゆか基板が構成された体操用組立式ゆか構造物において、
4枚の単位パネル板のコーナー部が突き合わせ状に寄り集まった交差角隅部に、ブロック状のコーナー用連結部材が配置され、該コーナー用連結部材によって前記コーナー部相互が連結される一方、
隣接する単位パネル板の隣接側縁部に沿って、断面H状をなす棒状の側縁部用連結部材が配置され、該側縁部用連結部材によって上記隣接側縁部同士が全長に亘って連結されると共に、
前記コーナー用連結部材は、前記4枚の単位パネル板のコーナー部を担持する硬質の上部支持板と、その下面に固着された弾性支持脚部材とからなり、
前記上部支持板には、その上面に、各単位パネル板のコーナー部に設けられた係止孔に嵌まり込む4個の係止突起が一体に突設され、かつ該係止突起間の位置において平面視十字形に前記側縁部用連結部材の下面側フランジを受け入れる浅溝が設けられ、該浅溝を除く残りの部分によって前記各係止突起をそれぞれの上面に有する4個の上方膨出状のパネル支承用台座部が形成されたものとなされる一方、
前記側縁部用連結部材は、左右両側に背中合わせ状に位置するコ字状の嵌合凹所内にそれぞれ隣接する単位パネル板の長辺及び短辺の各側縁部が嵌合されて縦横格子状に配置されると共に、縦方向または横方向に配置された一方の側縁部用連結部材が、その長さの中間部において前記コーナー用連結部材上を通過するように配置されていることを特徴とする体操用組立式ゆか構造物。
【請求項2】
単位パネル板の下面の弾性支持脚部材は、単位パネル板の四周側縁に沿った該側縁近接部分において、中間部領域より高密度配置に設けられている請求項1に記載の体操用組立式ゆか構造物。
【請求項3】
各単位パネル板は、四周の側縁部上面に、側縁部用連結部材の上面側フランジに対応した幅及び深さの切欠段部が設けられ、各単位パネル板の上面と前記側縁部用連結部材の上面とがほぼ同一平面内に位置されるようになされていることを特徴とする請求項1または2に記載の体操用組立式ゆか構造物。
【請求項4】
コーナー用連結部材は、その上面の十字形の浅溝の各先端部に、中央方向に向って上り勾配の傾斜ガイド面が設けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の体操用組立式ゆか構造物。
【請求項5】
単位パネル板の下面の弾性支持脚部材およびコーナー用連結部材の下面の弾性支持脚部材がいずれもポリオレフィン樹脂発泡体からなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の体操用組立ゆか構造物。
【請求項6】
単位パネル板が敷き並べられた前記ゆか基板上に、合成樹脂発泡体からなる上部クッションマットと、パイルカーペットが順次積層されてなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の体操用組立ゆか構造物。
【請求項1】
下面に多数個の弾性支持脚部材が分散配置に固着された長方形の単位パネル板が、建築物の基床面上に縦横に多数個敷き並べられ、かつ隣接する上記単位パネル板相互が連結されることによって体操競技面を提供する全体が一体化された所要面積の平面状のゆか基板が構成された体操用組立式ゆか構造物において、
4枚の単位パネル板のコーナー部が突き合わせ状に寄り集まった交差角隅部に、ブロック状のコーナー用連結部材が配置され、該コーナー用連結部材によって前記コーナー部相互が連結される一方、
隣接する単位パネル板の隣接側縁部に沿って、断面H状をなす棒状の側縁部用連結部材が配置され、該側縁部用連結部材によって上記隣接側縁部同士が全長に亘って連結されると共に、
前記コーナー用連結部材は、前記4枚の単位パネル板のコーナー部を担持する硬質の上部支持板と、その下面に固着された弾性支持脚部材とからなり、
前記上部支持板には、その上面に、各単位パネル板のコーナー部に設けられた係止孔に嵌まり込む4個の係止突起が一体に突設され、かつ該係止突起間の位置において平面視十字形に前記側縁部用連結部材の下面側フランジを受け入れる浅溝が設けられ、該浅溝を除く残りの部分によって前記各係止突起をそれぞれの上面に有する4個の上方膨出状のパネル支承用台座部が形成されたものとなされる一方、
前記側縁部用連結部材は、左右両側に背中合わせ状に位置するコ字状の嵌合凹所内にそれぞれ隣接する単位パネル板の長辺及び短辺の各側縁部が嵌合されて縦横格子状に配置されると共に、縦方向または横方向に配置された一方の側縁部用連結部材が、その長さの中間部において前記コーナー用連結部材上を通過するように配置されていることを特徴とする体操用組立式ゆか構造物。
【請求項2】
単位パネル板の下面の弾性支持脚部材は、単位パネル板の四周側縁に沿った該側縁近接部分において、中間部領域より高密度配置に設けられている請求項1に記載の体操用組立式ゆか構造物。
【請求項3】
各単位パネル板は、四周の側縁部上面に、側縁部用連結部材の上面側フランジに対応した幅及び深さの切欠段部が設けられ、各単位パネル板の上面と前記側縁部用連結部材の上面とがほぼ同一平面内に位置されるようになされていることを特徴とする請求項1または2に記載の体操用組立式ゆか構造物。
【請求項4】
コーナー用連結部材は、その上面の十字形の浅溝の各先端部に、中央方向に向って上り勾配の傾斜ガイド面が設けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の体操用組立式ゆか構造物。
【請求項5】
単位パネル板の下面の弾性支持脚部材およびコーナー用連結部材の下面の弾性支持脚部材がいずれもポリオレフィン樹脂発泡体からなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の体操用組立ゆか構造物。
【請求項6】
単位パネル板が敷き並べられた前記ゆか基板上に、合成樹脂発泡体からなる上部クッションマットと、パイルカーペットが順次積層されてなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の体操用組立ゆか構造物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−56196(P2009−56196A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−227365(P2007−227365)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【出願人】(500402575)株式会社エヌジーシー (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【出願人】(500402575)株式会社エヌジーシー (3)
【Fターム(参考)】
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