説明

体液中のタンパク分解酵素を差分決定するシステム

【課題】体液の少量サンプル内でタンパク分解酵素の活性度あるは濃度の進展を電気化学的に決定するシステムの提供。
【解決手段】本発明のシステムは、電気化学センサー群(10)と測定装置(20)と電子装置とを有する。前記各センサーは、基準電極と所定のタンパク分解酵素に対する特定試薬(34)が固定される作動電極とを有する。前記特定試薬(34)の組成は、化学基質を有し前記化学基質の各エンドリンクが前記酵素により切断され離脱基(LG)を解放する。前記測定装置は、前記センサーを収納する少なくとも1個の接続スロットを有しその電気回路は、エネルギー源によって電力が加えられ、前記センサーの電極間に配置され、前記LGの解放を表す電気信号を受領する。前記電子装置は、前記測定装置により送信された信号を処理するソフトウェアを有し前記LGの解放を表す表示を時間の関数としてスクリーンに表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少量の体液サンプル中のタンパク分解酵素レベルの進展を、リアルタイムで、ダイナミック差分分析によって、差分決定するためのテストを実行するシステムに関する。このシステムにより、患者の病状が変化する傾向を予測できる。
【0002】
本発明は、特に、内因性トロンビン潜在テスト(endogenous thrombin potential test(ETP))を例に説明する。あるプラズマ(血漿)凝固因子の連続的測定により、異常レベルを検出し、適宜の治療によって、出血(haemophilia)のリスク、あるいは逆には血栓症(thrombosis)のリスクを減らす。
【0003】
本発明は、実験室内のシステムに関するが、患者のベットの脇で測定が行えるようなシステムにも関する。
【背景技術】
【0004】
血液凝固時間(プロトロンビン時間(Prothrombin time (PT))として定義される)すなわち様々なタンパク分解酵素の適正(血塊の形成に寄与する「因子」あるいは、それを阻止する「因子」として知られている)を見いだすことは、ルーチン検査の一部を形成し、さらに、さまざまな後発性の痛みを伴う術前術後の病状の日常検査の一部を形成する。例えば、心臓疾患に対する抗凝固治療(anticoagulant treatment)の間、抗血栓剤(例えばワルファリン(warfarin)あるいはヘパリン(heparin))の投与を調整し、これにより、抗血栓剤の投与が過剰の場合の血栓症のリスクを、あるいは逆に、抗凝固剤の投与が不十分の場合の出血のリスクを減らすことが必要である。
【0005】
プロトロンビン時間(PT)、あるいは部分的に活性化したトロンボプラスチン間(partially activated thromboplastin time (APPT))の決定は、実験室では、血塊を形成するのに必要な時間を、目で直接観測することにより行われ、その後、光学的な検出に通常依存するような複雑で取り扱いが面倒な装置の助けを借りて行われていた。このような装置は、特許文献1、2に開示されている。
【特許文献1】米国特許第5,302,348号明細書
【特許文献2】米国特許第5,154,082号明細書
【特許文献3】欧州特許第0,679,193号明細書
【特許文献4】欧州特許第1,031,830号明細書
【特許文献5】国際公開第03/093831号明細書
【特許文献6】米国特許第5,378,628号明細書
【0006】
最新の方法によれば、この方法は、少なくとも1個の化学反応剤(chemical reactant)を含む化学基質(chemical subtrate)を用い、この化学反応剤のエンドリンク(end link)は、特定の酵素により切断され、離脱基(Leaving Group:LG)を解放する。離脱基の存在は、測定媒体中で、酵素の活性度を表す信号で検出される。
【0007】
この検出方法は、特許文献3に開示されている。ここに開示された方法においては、センサーは、化学基質を含み、その化学基質のエンドリンクは、解析中の酵素により切られて、離脱基を放出する。離脱基の濃度は、媒体中の酵素の活性度を表し、比色定量分析法(colorimetry)、ルミネセンス法(luminescence)、あるいはX線透視法(fluorescence)とその変形法に基づいた光学手段により測定できる。解析対象の体液が全血の場合には、赤血球を取り除かなければならない。これは、サンプルの事前の遠心分離、あるいはセンサー上で赤血球に対しバリアを形成する膜により、行われる。赤血球を除くためには、比較的長い貴重な解析時間を必要とする欠点がある。
【0008】
前記の欠点は、特許文献4に提案された方法により、大幅に減らすか、あるいは取り除くことができる。この方法は、血液凝固測定時間に関し、タンパク分解酵素の活性度の間接的な決定に基づいており、これは、前記の酵素の活動を介して離脱基を解放することのできる化学基質手段により行われ、これにより、媒体の電気特性を変化させ、その結果得られた信号は、電流測定法により解析され、凝固時間を表すPT値あるいはAPTT値と関係付けられる。非比色定量分析方法により、きれいな血漿を得る事前ステップが省かれ、全血に対し、より短時間に実行できるようになる。
【0009】
上記の全ての方法は、全体的な決定を実行することが可能となるが、凝固現象に関与する全ての酵素の中で、凝固異常の原因となる酵素を特定することができない。これは血友病(haemophilia)あるいは血栓症(thrombosis)であるかをを問わない。
【0010】
最近まで、この種の情報を得るためには、血液サンプルを複数個のサンプルに分けて、どの酵素に欠陥があるのかを特定するために、さまざまな抗体と反応を起こす方法が用いられている。この方法は、比較的大量の血液サンプルを必要とし、時間もかかり、実験室でのみ実行可能である。
【0011】
さらに近年、特許文献5は、血液サンプル中のトロンビンの活性度の進展をリアルタイムで決定できる方法を開示する。これは、好ましくは血漿サンプルで校正カーブと比較したX線測定法に基づいている。この方法は、全体的なプロトロンビン時間の決定には、前述した方法と同一の欠点があり、特に、大量のサンプル(約160μlで、その内80μlは校正用に使用する)と、長い測定時間(約45分)が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、前述の従来技術の欠点を解決することである。本発明は、時間の関数としてタンパク分解酵素の進展を差分決定する方法であり、特に、全血のサンプルあるいは少量の血漿内の凝固現象に関与する酵素の活性度を、比較的短時間でスクリーニングする方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、少なくともタンパク分解酵素の活性度あるいは濃度の進展を電気化学的に決定するシステムに関し、これにより、酵素の欠陥あるいは少量のサンプルの体液(例えば血漿あるいは全血)異常活動を検出する。
【0014】
本発明のシステムは、電気化学センサーと、測定装置と、電気信号処理装置とを有する。
【0015】
各センサーは、舌形状をし、少なくとも1個の基準電極と、所定のタンパク分解酵素に対する特定試薬が固定される1個の作動電極とを有し、特定試薬の組成は、少なくとも1個の化学基質を有し、化学基質の各エンドリンクが前記タンパク分解酵素により切断され、離脱基(LG)を解放する。
【0016】
前記測定装置は、前記センサーを収納する少なくとも1個の接続スロットを有し、前記測定装置の電気回路は、エネルギー源によって電力が与えられ、前記センサーの電極間に配置され、前記離脱基(LG)の解放を表す電気信号を受領する。
【0017】
一実施例によれば、前記測定装置の電気回路は、時間−電流測定を実行する。
【0018】
前記電子装置は、前記測定装置により送信された信号を処理するソフトウェアを有し、前記離脱基(LG)の解放を表す表示を、時間の関数としてスクリーンに表示する。データは、スクリーン上に、英数字の形態で、順に表示されるカーブの形態で、あるいはモザイクの形態で表示される。
【実施例】
【0019】
図1に、本発明のシステムを、患者の血液を、好ましくは患者のベットの脇でスクリーニングする例にして説明する。本発明のシステムは、電気化学センサー群10と、測定装置20と、電子装置30とを有する。これらの構成要素は、図では同一尺度では描いていない。
【0020】
同図に示す実施例においては、電気化学センサー群10は、3個のセンサー10a、10b、10cを有する。これらは、拡大して示してある。各センサーは、舌状をしており、40mmの長さ×8mmの幅である。
【0021】
センサー10aを特に参照すると、これは、例えばプロトロビン欠損((prothrombin deficiency)いわゆる第II因子とも称する)を検出する例を示す。センサー10aは、薄いプラスチック製支持部材11を有する。このプラスチック製支持部材11は、例えばPET製であり、その全長に渡って2個の集電器14、15と、それらの間を絶縁分離する狭スペース13とを具備する。
【0022】
プラスチック製支持部材11と集電器14、15は、絶縁性コーティング12でカバーされる。この絶縁性コーティング12には、開口16、17が、例えば打ち抜きで、端部に近い場所に形成され、集電器14、15の一部を見えるようにしている。第1開口16は、センサー10aを測定装置20に接続する。第2開口17は、測定領域を形成する。集電器14、15の可視部分が、それぞれ作動電極14aと基準電極15aとを構成する。
【0023】
作動電極14aは、例えば薄いプラチナ製のストリップを積層して形成される。基準電極15aは、薄い銀製のストリップを積層して形成される。この銀製のストリップは、前処理としてあるいは後処理として、塩素で処理される。測定領域にカウンター電極を具備することも可能である。作動電極14aは、特定試薬34でコーティングされる。これに関しては以下詳述する。
【0024】
同図に示したセンサーにおいては、開口17は、透明キャップ18でカバーされている。透明キャップ18は、横方向の毛細管チャネル18aを形成して、解析すべき血液サンプルを、作動電極14aと基準電極15aに接触させる。
【0025】
センサーの端部は、電気化学センサー群10からのセンサーの特定のマーキング19を有する。これにより、個々の測定装置20を認識できる。センサー10aのマーキングは、センサーの軸に沿って配置された隆起部分19aで形成される。センサー10bの隆起部分19bは、右側にずれている。センサー10cに対しては、測定装置20内に配置された状態で示されているが、隆起部分19c(図示せず)は左側にずれている。他のタイプのマーキングも可能であり、例えばセンサーの端部の隆起部分19b(図1Aに示す)あるいは逆に小さなノッチ(図示せず)も可能である。これらのマーキング手段の利点は、測定装置20の記載により明らかとなる。
【0026】
電気化学センサー群10は、より多くの数のセンサーを有してもよい。好ましくは校正センサーを有することも可能である。
【0027】
測定装置20は、ケース21を有する。このケース21は、2個のモールドされたプラスチック製のシェル21a、21bにより構成される。底部シェル21bは、上部シェル21aを若干超えて延びる。これら2個のシェルが、エネルギー源と残された離脱基(leaving groups (LG))により送信された信号を処理する電子回路(図示せず)のハウジングを構成する。この電子回路は、ブドウ糖を投薬するために用いられる回路を応用したもので、例えば特許文献6に開示されたアンペア・メータである。従来メータと本発明の電子回路との相違点は、トロンビン(thrombin)あるいは他のタンパク分解酵素による離脱基LGの解放を表す電気信号の設定だけである。
【0028】
測定装置20は、測定システム内のセンサー10a、10b、10cと同数の接続スロット24a、24b、24cを有する。これらの接続スロットは、ケース21を形成する底部シェル21bと上部シェル21a内とその間に形成される。ここに示した実施例においては、上部シェル21aはノッチを有し、底部シェル21bは中空の溝を有し、取り外し可能なセンサーを挿入したり、使用後取り除いたりできる。
【0029】
図に示した実施例によれば、測定装置20は、キャップ23を有する。このキャップ23は、折り返されて、装置内に導入されたセンサー10a、10b、10cを切り離し、測定領域を一定温度(例えば37℃)に維持するサーモスタッド(図示せず)を有する。以下の説明から分かるように、温度はトロンビンの生成に非常に大きな影響を有する。別の構成として、プローブ(図示せず)を具備し、周囲温度を測定し、測定装置、あるいは電子装置のメモリ内に記憶された構成カーブ群から、様々な温度の関数として特定の校正カーブを選択し、サーモスタッドの付いた部屋を省くことも可能である。
【0030】
接続スロット24a、24b、24cは、隆起部分19a、19b、19cを収納するノッチ29a、29b、29c(図示せず)を有する。これにより、センサーの逆転挿入を回避し、スクリーンに表示されるカーブあるいはデータを特定できる。
【0031】
図1Aに示すマーキングを用いて、所定のセンサーの「認識」は、測定装置20による電子手段により実行され、その結果、どの接続スロットもいかなるセンサーを収納可能である。この種のマーキングは、電気化学センサー群10が有する様々なセンサーの数も増加させることができる。例えば、0個から3個の突起部分19dで、3本の異なる位置を占めることができ、8個のセンサーを区別できる。
【0032】
測定装置20は、第2のディスプレイ25を有する。この第2のディスプレイ25は、適正な操作をチェックするのスクリーンとして機能する。例えば、制御ボタン27が押されたか否かによって、ONまたはOFFを表示し、あるいは測定データの可視端部を具備して、センサーを安全に取り除いたりできるようにする。この第2ディスプレイもまた、相補的データにより、測定された値の全部(例えばPTあるいはAPTT)を表示する。
【0033】
ここに記載した測定装置20は、3個の接続スロット24a、24b、24cを有するが、同時に測定する数を増やすために、より多数の接続スロットを有することもできる。
【0034】
測定装置20は、コード31を介して、表示スクリーン32を有する電子装置30に接続される。ここに示した実施例においては、電子装置は、持ち運び可能なコンピュータであり、その中に測定装置20から受信した信号を処理するソフトウェアがインストールされており、表示スクリーン32上で実行されている測定に関するカーブあるいはデータを表示する。コンピュータによりカーブを解析するために、実務家にとって有益なデータを記憶させることができる、あるいは実務家に患者の病状を追跡させ、コンピュータにより通常のタスクを実行可能にする。
【0035】
図1の実施例においては、測定装置20と電子装置30は、別々の構成要素として示されているが、それらを1個の操作ユニットに結合することも可能である。さらに、電気化学センサー群10を収納するハウジングを有するブリーフケースの形態で組立体を構成することも可能である。
【0036】
図2は、作動電極14aと基準電極15aとの間に電流を生成させる反応を表す図である。作動電極14aと基準電極15aとは、電子検出回路を介して接続される。基質(substrate)は、化学式R−AA−AA−Arg−LGで表される。ここで、AAとAAは、アミノ酸を表す。これらは、特許文献3、4に開示されている。他のペプチド(peptides)も使用できる。R基は、作動電極14aと接続する基を表し、オリゴペプチド(oligopeptide)を方向付ける。LGは、離脱基(leaving groups )を表し、例えば特許文献4に記載された基の1つである。図の左側部分においては、トロンビン酵素(thrombin enzyme)が、選択的に、アルギニン(arginine)と離脱基(LG )との間の接続を切断する。図の右側部分においては、解放された離脱基(LG )は、基準電極15aの方向に移動して、解放された離脱基(LG )の数に、即ち、単位時間当たりの媒体中に形成されたトロンビンの量に比例した電流を生成する。言い換えると、あるタンパク分解酵素の活動の決定は、時間−電流測定に依存して、図3−6のグラフに示す、秒で表された時間にわたってμA/cmの強度の変化を表すカーブを描く時間−電流測定値に依存する。この時間−電流測定値は、適宜の校正アルゴリズムの手段により、測定結果を、例えばETP(endogenous thrombin potential)値で示す。
【0037】
全体的決定(PTまたはAPPT)に関する方法においては、得られた値は、反応開始後例えば約15秒で測定された屈曲点の値であり、この値は、全トロンビンの約10%を表すだけである。本発明のテストでは、反応時間はかなり長く、最大45分にも達し、好ましくは2分から30分の間で、より好ましくは3分から10分の間である。これは、トロンビンを生成する「運動力学」に関心を持つ実務家にとって、重要なパラメータを考慮に入れたものである。これに関しては図3を参照して詳述する。
【0038】
図3は、第II因子の欠損を示すグラフである。すなわち、プラズマ(血漿)中のプロトロンビン(prothrombin)を示すグラフである。これは、作業電極表面が0.054cmのセンサーで、オリゴペプチドTOS-Gly-Pro-Arg-3chloro-4-hydroxyanilide, 2HCLを基質として用いて測定されたものである。
【0039】
基質の種類および作業電極の表面に関し、他の選択も可能である。
【0040】
この記録は、公称プラズマ(血漿)で、23.5℃の一定温度での基準カーブRで、カーブFIIを測定した。各場合において、堆積されたサンプルの量、すなわち基準溶液は、10μlである。測定は、10分間にわたって実行された。
【0041】
図3は、公称プラズマ(血漿)で、24.5℃の温度での第2基準カーブRを示す。これは、わずか1℃の差により基準カーブの大幅な変化を引き起こす。かくしてパラメータ内には特に以下のものが考慮された。
PH(ピーク高さ(peak high)): 最大信号値
TTP(ピークまでの時間(time to peak)): ピークに至るまでの時間
LT(ラグ・タイム(lag time)): 反応時間
ETP(endogenous thrombin potential:内因性トロンビン電位)またはAUC(area under curve:カーブ下側面積)
【0042】
基準値に対するこれらのパラメータの内の1つのパラメータにおけるズレが、実務者により解析され、凝固現象の異常性を検出できる。
【0043】
かくして、同一条件、同一温度の下で測定が行われ、カーブR1とFIIが比較され、る。FIIに対しては、PHの値は大幅に減り、TTPの値がかなり増加する。これは、プロトロンビンの欠損あるいはトリガー因子として解釈される。
【0044】
図4は、異なるスケールで、第V因子のライデン欠損(factor V Leiden deficiency)のプラズマ(血漿)サンプルの測定結果を表す。図4から分かるように、PHの値は、基準PH値よりも遙かに大きい。若干大きなPH値に達するために、基準値(カーブR1)よりも大きなTTP値が観測される。これは、第V因子の活動の減少を意味する。
【0045】
図5は、図3と同一スケールであるが、第VII因子の欠損、すなわちプロコンバベルチン(proconvertin)を表すグラフである。これが存在することにより、プロトロンビンがトロンビンへ変換するのを加速させる。若干大きなPH値に達するために、基準値よりも大きなTTP値(カーブR1)が観測される。これは、第VII因子の活動の減少を意味する。
【0046】
図6は、図4と同一スケールであるが、凝固現象におけるタンパク質Sの欠損を示す。同図から分かるように、TTP値は、基準値(カーブR2)に比較すると、ほとんど変わっておらず、対応するPH値は大幅な増加を表し、これは、タンパク質Sの欠損として解釈される。
【0047】
他の適宜の特定試薬を用いて、どの他の因子が凝固現象の異常に対し、説明がつくか、例えば第VII因子あるいは第IX因子を決定し、血友病(haemophilia)、タンパクC、抗トロンビン(antithrombin)III、ループス性抗凝固因子(lupus anticoagulants)への傾向に対応する欠損を示すかを決定できる。
【0048】
本発明のシステムは、適宜の基質を選択することにより他の体液にも適用可能である。
【0049】
以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。特許請求の範囲の構成要素の後に記載した括弧内の番号は、図面の部品番号に対応し、発明の容易なる理解の為に付したものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない。また、同一番号でも明細書と特許請求の範囲の部品名は必ずしも同一ではない。これは上記した理由による。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の測定システムの斜視図。
【図1A】本発明のセンサーの変形例を示す斜視図。
【図2】本発明の装置により生成された信号と電気装置のソフトウェアにより処理されるプロセスを表す図。
【図3】因子IIの欠損を表すカーブを示すグラフ。
【図4】因子V、ライデン(Leiden)の異常活性を表すカーブを示すグラフ。
【図5】因子VII欠損を表すカーブを示すグラフ。
【図6】蛋白Sの欠損を表すカーブを示すグラフ。
【符号の説明】
【0051】
10 電気化学センサー群
10a、10b、10c センサー
11 プラスチック製支持部材
12 絶縁性コーティング
13 狭スペース
14,15 集電器
14a 作動電極
15a 基準電極
16 ,17 開口
16 第1開口
17 第2開口
18 透明キャップ
19a、19b、19c 隆起部分
19d 突起部分
20 測定装置
21 ケース
21a、21b シェル
21a 底部シェル
21b 上部シェル
23 キャップ
24a,24b,24c 接続スロット
29 ノッチ
30 電子装置
31 コード
32 表示スクリーン
34 特定試薬

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体液の少量サンプル内でタンパク分解酵素の異常活性あるいは欠損を検出するために、少なくとも1個のタンパク分解酵素の活性度あるは濃度の進展を電気化学的に決定するシステムにおいて、
(A) 電気化学センサー群と、
前記各センサーは、舌形状をし、少なくとも1個の基準電極と、所定のタンパク分解酵素に対する特定試薬(34)が固定される1個の作動電極とを有し、 前記特定試薬(34)の組成は、少なくとも1個の化学基質を有し、
前記化学基質の各エンドリンクが前記タンパク分解酵素により切断され、離脱基(LG)を解放し、
(B) 測定装置(20)と、
前記測定装置は、前記センサーを収納する少なくとも1個の接続スロットを有し、前記測定装置の電気回路は、エネルギー源によって電力が与えられ、前記センサーの電極間に配置され、前記離脱基(LG)の解放を表す電気信号を受領し、
(C) 電子装置と、
前記電子装置は、前記測定装置により送信された信号を処理するソフトウェアを有し、前記離脱基(LG)の解放を表す表示を、時間の関数としてスクリーンに表示する
を有する
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記測定装置の電気回路は、時間−電流測定を実行する
ことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記電子化学センサーは、複数のセンサーから形成され、
前記各センサーは、所定のタンパク分解酵素に対し特定の試薬を有し、
前記測定装置は、前記センサーの数と同数の接続スロットを有し、
前記電子装置のソフトウェアは、センサーを区別して、測定カーブを、順番にあるいはモザイク状に表示する
ことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記電気化学センサーの各センサーは、特定酵素の決定に対応するマークを有し、
前記マークは、測定装置と接続状態にあるマークに相補している
ことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記電気化学センサーは、校正センサーを有する
ことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記測定装置は、前記装置内に挿入されたセンサーを外部環境から切り離す閉鎖装置と、測定期間中センサーを所定の温度に維持する温度調整装置とを有する
ことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記測定装置は、周囲温度を測定する熱プローブを有し、
前記電子装置のソフトウェアは、前記周囲温度の関数として基準カーブを選択することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記測定装置は、第2表示スクリーンを有し、そこに測定中の瞬時あるいは全体のパラメータを表示する
ことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記表示されたパラメータは、体液が血漿あるいは全血の場合は、プロトロンビン時間(prothrombin time(PT))または部分的に活性化されたトロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time(APPT)である
ことを特徴とする請求項8記載のシステム。
【請求項10】
前記測定装置と電子装置とは、一体に構成される
ことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項11】
前記体液のサンプル量は、10μl以下である
ことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項12】
実行された測定の表示を、前記表示スリーン上にグラフィックあるいは他の形態で表示する
ことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項13】
前記体液は、血液、特に全血であり、
凝固因子の濃度の進展あるいは凝固阻止成分の濃度の進展を測定して、欠陥あるいは過剰活性または異常活性を検出する
ことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項14】
前記特定試薬の組成は、少なくとも1個のオリゴペプチド基質を有し、
前記基質の端部リンクが、凝固因子により分離されて、離脱基(LG)とトロンボプラスチン(thromboplastin)とバッファ媒体を与える
ことを特徴とする請求項12記載のシステム。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−17442(P2007−17442A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−186546(P2006−186546)
【出願日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(505207850)アスラブ エス.エー. (17)
【Fターム(参考)】