体液成分測定システム
【課題】 体液成分測定システムにおいて、防水性の向上を図ることを目的とする。
【解決手段】 被検者の皮膚に留置され、該被検者の体液に導通されて所定の体液成分を測定するセンサ部110と、センサ部110に着脱可能に取り付けられ、センサ部110において測定された測定信号または、該測定信号を元に前記体液成分の前記体液と同種または異種の体液中の濃度として算出された算出結果を表示部130に送信する送信部120と、を備え、センサ部110は送信部120が発生する電磁界による電磁誘導により起動されることで、前記体液成分の測定と、前記測定信号の送信部120への送信とを行うことを特徴とする。
【解決手段】 被検者の皮膚に留置され、該被検者の体液に導通されて所定の体液成分を測定するセンサ部110と、センサ部110に着脱可能に取り付けられ、センサ部110において測定された測定信号または、該測定信号を元に前記体液成分の前記体液と同種または異種の体液中の濃度として算出された算出結果を表示部130に送信する送信部120と、を備え、センサ部110は送信部120が発生する電磁界による電磁誘導により起動されることで、前記体液成分の測定と、前記測定信号の送信部120への送信とを行うことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者の体液を連続的に測定し、体液に含まれる所定の成分の濃度を表示する体液成分測定システムに関するものである。より詳細には、被検者の間質液を間歇的かつ連続的に測定し、血糖値を表示する体液成分測定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、糖尿病患者が自ら血糖値を測定し管理するために、指先などを専用の穿刺器具で穿刺して出た血液を、その都度、血糖測定器で測定する、所謂自己血糖測定(Self Monitoring of Blood Glucose:SMBG)が広く普及している。
【0003】
また、近年、これに代わるべく、専用のセンサ部に配された針を皮下等に穿刺することで該センサを皮下に留置し、患者の血糖値を連続的にモニタリングする連続血糖測定(Continuous Glucose Monitoring:CGM)に用いる体液成分測定システムが開発され(例えば、特許文献1参照)、欧米では既に実用化されている。
【0004】
CGMに用いる体液成分測定システムは、患者に常時装着されるセンサ部と、該センサ部に取り付けられ、該センサ部における測定信号を外部に送信する送信部と、該送信部より送信された信号に基づいて血糖値を算出し該血糖値を表示する表示装置とから構成されており、3日から1週間に1回程度の頻度で、センサ部を新しいものに交換する仕様となっている。
【0005】
このため、センサ部と送信部とは互いに着脱可能に構成され、センサ部と送信部との間には、電力の供給及び測定信号の授受のための電気的接点が配されている。そして、送信部では、当該電気的接点を介してセンサ部に電力を供給し、また、供給された電力を用いてセンサ部にて測定された測定結果を、当該電気的接点を介して受信している。
【0006】
ここで、上述のような構成を備える体液成分測定システムの場合、患者は、送信部が取り付けられたセンサ部を常時装着した状態のまま日常生活を送ることとなる。このため、例えば、患者がシャワーを浴びたり入浴したりすることができるよう、送信部やセンサ部には、十分な防水機能が施されていることが重要となってくる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2002−526137号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1のように、着脱可能に構成され、センサ部と送信部とが電気的接点により接続される構成の場合、十分な防水性を確保することは困難である。
【0009】
仮に、センサ部と送信部とをそれぞれ防水仕様にし、ハウジング内部の機器を保護したとしても、センサ部と送信部との接続位置において、それぞれのハウジング表面に露出している電気的接点を浸水から保護することは困難だからである。
【0010】
これに対して、センサ部及び送信部全体を防水シート等を用いて外側から覆い、露出した電気的接点が浸水しないようにすることは可能であるが、センサ部及び送信部を完全な密閉状態にまですることは困難であり、例えば、湯船に浸かった場合には、浸水してしまうこととなる。また、防水シートを貼付すると容易に送信部を交換できなくなるため、長期にセンサ部を使用するには相応の容量の電源が必要となり、送信部の大型化を招き、装用感が低下する。
【0011】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、体液成分測定システムにおいて、防水性の向上を図るとともに、センサ部の使用期間の長期化、送信部の小型化、装用感の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明に係る体液成分測定システムは以下のような構成を備える。即ち、
被検者の皮膚に留置され、該被検者の体液に導通されて所定の体液成分を測定するセンサ部と、
前記センサ部に着脱可能に取り付けられ、前記センサ部において測定された測定信号、または、該測定信号をもとに前記体液成分の前記体液と同種または異種の体液中の濃度として算出された算出結果を、表示装置に送信する送信部と、を備え、
前記センサ部は前記送信部が発生する電磁界による電磁誘導により起動されることで、前記体液成分の測定と、前記測定信号の前記送信部への送信とを行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、体液成分測定システムにおいて、センサ部と送信部との間で電気接点を有さないため防水性が向上する。また、電源を含む送信部を容易に着脱できるため、送信部を外すことで入浴等の際に邪魔にならず、生活の質を向上させることができる。また、送信部を外して充電したり交換することが容易なため、センサ部の長期使用においても送信部を大型化することがない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る体液成分測定システムの外観構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る体液成分測定システム100の機能構成を示す図である。
【図3】体液成分測定システム100におけるモニタリング処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】体液成分測定システム100における校正値データ記録処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】体液成分測定システム100のセンサ部及び送信部における測定処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】体液成分測定システム100の送信部の電磁界発生タイミング及び送信部内の2次電池の残量の推移を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る体液成分測定システム700の機能構成を示す図である。
【図8】体液成分測定システム700のセンサ部及び送信部における測定処理の流れを示す図である。
【図9】体液成分測定システム700の送信部の電磁界発生タイミング及び送信部内の2次電池の残量の推移、センサ部内の電池の残量の推移を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る体液成分測定システム1000の機能構成を示す図である。
【図11】体液成分測定システム1000のセンサ部及び送信部における測定処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】体液成分測定システム1000の送信部の電磁界発生タイミング及び送信部内の2次電池の残量の推移、センサ部内の2次電池の残量の推移を示す図である。
【図13】体液成分測定システム1300のセンサ部及び送信部における測定処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】体液成分測定システム1300の送信部の電磁界発生タイミング及び送信部内の2次電池の残量の推移、センサ部内のコンデンサの残量の推移を示す図である。
【図15】本発明の第5の実施形態に係る体液成分測定システム1500の機能構成を示す図である。
【図16】センサ部110の外観構成を示す図である。
【図17】センサ部110の外観構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1の実施形態]
以下、本発明の各実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0016】
<1.体液成分測定システムの外観構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る体液成分測定システム100の外観構成を示す図である。
【0017】
図1(A)に示すように、体液成分測定システム100はセンサ部110と、送信部120と、表示部130とを備える。
【0018】
センサ部110は、ポリウレタンなどの柔軟な樹脂により液密構造に形成された本体部111を備える。本体部111の底面には防水機能付きの皮膚貼り付けテープ(不図示)が配されており、これにより、センサ部110は、被検者の上腕部または腹部などに直接貼り付けられることとなる。
【0019】
また、本外部111の底面には、被検者の皮膚に穿刺され皮下の体液と接触する針114が設けられており、本外部111内に配された成分測定部115と接続されている。成分測定部115は、針114が接触する皮下の体液におけるグルコース等の所定成分の量に応じた信号を測定する。
【0020】
本体部111の内部には、更に、アンテナ112とICチップ113と不図示のA/D変換回路とを備えるA/D回路内蔵ICタグ117(以下、単にICタグ117と称す)が設けられており、送信部120において発生した電磁界により生じた起電力を電源として動作し、成分測定部115による測定を制御するとともに、測定結果をICチップ113のメモリ内に記憶したり、送信部120に送信したりする。
【0021】
本体部111の背面には係止部116が設けられ、送信部120を背面側に係止できるよう構成されている。
【0022】
送信部120は、ハウジング121を備える。ハウジング121の内部には、駆動されることによりセンサ部110のICタグ117に対して電磁界を発生し、電磁誘導により電力を供給するとともに、ICタグ117にて発生した電磁界の変化を検出することにより、測定結果を示す測定信号を受信するICタグ送受信モジュール122が配されている。なお、送信部120では、センサ部110より受信した測定信号を処理し血糖値等の体液に含まれる所定の成分の濃度(体液成分の濃度)を算出した後、不図示の送受信モジュールを介して通信可能な表示部130に、当該算出された体液成分の濃度を送信するよう構成されているものとする。
【0023】
また、ハウジング121の底面には係止部123が設けられており、係止部123が本体部111の背面の係止部116に係止されることで、送信部120がセンサ部110に取り付けられることとなる。
【0024】
表示部130は、表示領域131を備え、送信部120より送信された体液成分の濃度を表示する。また、入力部132を備え、表示領域131に表示される表示内容の切り替えや、所定の情報の入力等、各種操作を行う際に用いられる。
【0025】
このように、センサ部110と送信部120との間における送信部120による電力の供給及びセンサ部110による測定信号の送信を、ICタグ117とICタグ送受信モジュール122とを用いて無線で行う構成とすることにより、センサ部110の表面に電気的接点を露出させる必要がなくなり、本体部111の液密構造を容易に実現することが可能となる。この結果、センサ部110の防水性を向上させることが可能となる。
【0026】
また、センサ部110と送信部120との間における電力の供給及び測定信号の送信において、電気的接点による接続が不要となることで、センサ部110に対して送信部120を所定の接続位置にて密接して取り付ける必要がなくなり、簡易な係止部により取り付けることができるようになる。
【0027】
この結果、センサ部110に対する送信部120の着脱が容易となり、被検者は、手軽に送信部120の着脱を行うことが可能となる。このため、例えば、シャワーを浴びたり入浴したりする際に、簡単に取り外して使用することができるようになり、送信部120については必ずしも防水構造にする必要がなくなる。つまり、送信部120のコストを削減できるといった付帯的効果も得られる。
【0028】
図1(B)は、送信部120をセンサ部110に取り付けた様子を示す図である。図1(B)に示すように、送信部120の背面には、送信部120の電源をON/OFFするための電源スイッチ124が設けられている。電源スイッチ124は、1回押圧されることで電源がONとなり、ランプ125が点灯する。更に、もう1回押圧されると電源がOFFとなり、ランプ125が消灯する。
【0029】
送信部120の背面には、更に、スピーカ127が設けられており、例えば、送信部120においてエラー等が検出された場合等に、被検者に対して音声を出力する。また、充電用コネクタ126が設けられており、充電用アダプタに接続されることで、送信部120に内蔵された2次電池を充電することができる。
【0030】
上記構成のもと、送信部120がセンサ部110に取り付けられた状態で、電源スイッチ124を押圧し、送信部120の電源をONにすることで、表示部130には、所定周期ごとに所定の体液成分の濃度が表示される(図1(B)の表示部130には、表示領域131に、トレンドグラフとともに今回の測定により得られた体液成分の濃度が表示された様子が示されている)。
【0031】
<2.体液成分測定システムの機能構成>
次に、体液成分測定システム100の機能構成について説明する。図2は、体液成分測定システム100の機能構成を示す図である。なお、図2では、図1の外観構成を用いて説明済みの要素に対応する要素については同一の参照番号を付している。
【0032】
図2に示すように、センサ部110は、針114と、成分測定部115と、ICタグ117とを備える。針114は、成分測定部115に体液が届くように誘導する毛細管であり、その先端が被検者の皮下に達するような長さに設定されている。針114は成分測定部115に接続されており、体液を成分測定部115の中に導く。
【0033】
成分測定部115は、血液等の体液中に含まれる特定の成分(例えば、グルコース、尿酸、コレステロール、タンパク質、ミネラル、血液細胞など)の濃度を測定するための測定手段であり、周知の測定方法を用いて測定を行う。針114によって導通される体液としては血液、間質液、リンパ液などが挙げられ、測定方法としては、測定対象の体液に含まれる所定の成分を捕捉する蛍光ダイに励起光を照射した際の蛍光強度を測定する方法や、測定対象の体液に含まれる所定の成分を酸化酵素を用いて光学的または電気化学的に測定する方法等が用いられる。本実施形態では、針114を皮下に挿入して、間質液中のグルコース濃度を測定し、さらに血液中のグルコース濃度(血糖値)へと換算される。また、測定方法としては、糖類と結合してストークスシフトを示すボロン酸基導入蛍光色素をハイドロゲルに固定した蛍光センサを用いた例を示している。なお、皮下ではなく血管内に針114を挿入し、直接血液中のグルコース濃度を測定するように構成することも可能である。
【0034】
ICタグ117は、送信部120において発生した電磁界により生じた起電力により、成分測定部115を制御する。また、成分測定部115からの測定結果をA/D変換することで得られたデジタルの測定信号を送信部120に送信する。
【0035】
送信部120は、電源スイッチ124と、ランプ125と、メモリ128と、スピーカ127と、ICタグ送受信モジュール122と、CPU222と、送受信モジュール223と、2次電池224と、充電回路225と、充電用コネクタ126とを備える。
【0036】
電源スイッチ124は、押圧されることで送信部120の電源がONとなり、ランプ125が点灯する。なお、ランプ125は、2次電池224の残量が少なくなった場合に、点滅させることで、2次電池224の残量が少ないことをユーザに知らせる構成としてもよい。また、ランプ125は、送信部120の内部状態に応じて異なる色で点灯する構成としてもよい(例えば正常な場合は緑色で、異常を検出した場合には赤色で点灯する構成としてもよい)。
【0037】
メモリ128には、センサ部110より受信した測定結果であるデジタルの測定信号に基づいて体液に含まれる所定の成分の濃度を算出する算出プログラムや、体液成分の濃度を算出する際に用いられる校正値データを算出するための校正プログラム、及び送信部120全体の動作を制御する制御プログラム等が格納されている。
【0038】
なお、校正プログラムや算出プログラムは、測定対象となる体液ごと、算出対象となる成分ごとに用意されているものとする。これにより、送信部120では、様々な体液成分の濃度を算出することができる。また、メモリ128には過去に算出した体液成分の濃度を測定時刻と対応付けて保存する保存手段としての機能も含まれている。
【0039】
スピーカ127は、測定終了や測定された体液成分の濃度などを音声で知らせる。例えば、測定の結果得られた血糖値が、正常であった場合には短いビープ音を出力し、異常であった場合には、正常であった場合よりも大きな警告音を継続的に出力する。
【0040】
ICタグ送受信モジュール122は、送信部120とセンサ部110との間における電力の供給及び測定信号の受信を行う。CPU222は送信部120全体の動作を制御する。送受信モジュール223は、送信部120において算出された体液成分の濃度を、表示部130に送信する通信モジュールである。
【0041】
2次電池224は送信部120を構成する各部に電力を供給する。充電回路225は、2次電池224を充電するための回路であり、充電用コネクタ126を介して接続されたアダプタ(不図示)より、電力の供給を受けた場合に、2次電池224を充電する。
【0042】
表示部130は、送受信モジュール231と、CPU232と、入力部132と、表示領域131と、メモリ233と、電源部234とを備える。
【0043】
送受信モジュール231は、送受信モジュール223を介して送信部120から送信された体液成分の濃度を受信する。送受信モジュール231において受信された体液成分の濃度は、CPU232において処理され、表示領域131に表示されるとともに、メモリ233に保存される。
【0044】
入力部132は、被検者の入力指示を受け付けるボタン等であり、表示部130に対する電源ONの指示、過去に算出された体液成分の濃度についての呼び出し指示、表示の切り替え指示、ならびに体液成分の濃度の算出の際に用いられる校正値データを算出するための情報入力等の操作に用いられる。なお、表示領域131と入力部132とは、タッチパネルなどの1つの部品により構成されていてもよい。電源部234は、表示部130を構成する各部に電力を供給する電池である。
【0045】
<3.体液成分測定システムにおけるモニタリング処理>
次に、体液成分測定システム100におけるモニタリング処理の流れを説明する。図3は、体液成分測定システム100におけるモニタリング処理の流れを示すフローチャートである。なお、以下では、説明を簡略化するために、測定対象の体液=間質液、濃度の算出対象の成分=血糖、として説明する(つまり、体液成分の濃度として血糖値を算出する場合について説明する)。
【0046】
ステップS301において、被検者は、センサ部110を上腕部または腹部に装着する。具体的には、針114を上腕部または腹部の皮膚に穿刺するとともに、本体部111の底面に配された防水機能付きの皮膚貼り付けテープにより本体部111を皮膚に密着させる。
【0047】
ステップS302では、上腕部または腹部に装着されたセンサ部110の背面に、送信部120を取り付ける。具体的には、送信部120の底面に設けられた係止部123をセンサ部110の背面に設けられた係止部116に係止させる。
【0048】
ステップS303では、送信部120の電源スイッチ124を押圧し、送信部120の電源をONにする。これにより、送信部120が起動し、送信部120と表示部130との間の通信が確立する。
【0049】
ステップS304では、算出された校正値データをメモリ128に記録する。なお、校正値データの記録処理(ステップS304)の詳細は後述する。
【0050】
ステップS305では、所定周期ごとに測定を行い、血糖値を表示する測定処理を行う。1回の測定処理が終了すると、ステップS306に進み、モニタリング処理を継続するか否かを判定する。ステップS306においてモニタリング処理を継続すると判定された場合には、ステップS305に戻り、所定周期後に測定を行い、血糖値を表示する。一方、ステップS306においてモニタリング処理を継続しないと判定された場合には、ステップS307に進む。
【0051】
ステップS307では、再校正を行うか否かを判定し、再校正を行うと判定された場合には、ステップS304に戻り、校正値データの記録処理を行う。一方、再校正を行わないと判定された場合には、モニタリング処理を終了する。
【0052】
<4.校正値データ記録処理>
次に、校正値データ記録処理(ステップS304)の詳細を説明する。図4は、校正値データ記録処理(ステップS304)の詳細な流れを示すフローチャートである。
【0053】
ステップS401では、被検者が、自己血糖測定(SMBG)によって測定することにより得られた血糖値を表示部130を介して入力する。表示部130において当該入力を受け付けると、ステップS402では、送受信モジュール231が、当該入力された血糖値を送信部120に送信する。
【0054】
表示部130より送信された血糖値を送信部120が受信すると、ステップS403では、ICタグ送受信モジュール122が起動し、センサ部110に対して電磁界を発生する。これにより、センサ部110が起動し、成分測定部115が間質液中のグルコース量に応じた信号を測定する。測定結果は、ICタグ117を介して送信部120に送信されるため、送信部120ではこれを受信する。
【0055】
ステップS404では、送信部120が、校正プログラムを起動させ、ステップS401において表示部130より送信された血糖値と、ステップS403においてセンサ部110より送信された測定結果とに基づいて、血糖値を算出する算出式の校正値データを算出する。そして、算出した校正値データをメモリ128に記録する。
【0056】
<5.測定処理>
次に、測定処理(ステップS305)の詳細について説明する。図5は、測定処理(ステップS305)の詳細な流れを示すフローチャートである。
【0057】
送信部120において測定処理が開始されると、ステップS511では、所定周期で測定を行うための測定間隔を規定するタイマーを動作させる。ステップS512では、タイマーが所定時間カウントしたか否かを判定する。ステップS512において、所定時間カウントしたと判定された場合には、ステップS513に進む。
【0058】
ステップS513では、ICタグ送受信モジュール122を駆動することで、電磁界を発生する。ステップS501では、ICタグ送受信モジュール122において電磁界が発生することにより、ICタグ117において起電力が発生する(つまり、送信部120からセンサ部110に対して電力が供給される)。
【0059】
ステップS501における電力の供給に伴って、ステップS502では、ICタグ117が起動し、成分測定部115に対して電力を供給し、成分測定部115を動作させる。
【0060】
ステップS503では、成分測定部115において、針114から吸引された間質液が、糖応答性蛍光色素を有するハイドロゲルに到達しており、該ハイドロゲルに向けて、励起光を照射する。更に、照射した励起光に対する、蛍光強度を測定する。
【0061】
ステップS504では、ステップS503において測定された蛍光強度をデジタル信号に変換し、測定結果としてICタグ117内のメモリに記録する。更に、ステップS505では、ICタグ117が、デジタル信号に変換された蛍光強度を示す測定信号をICタグ送受信モジュール122に送信する。
【0062】
ステップS514では、送信部120が、センサ部110より送信された測定信号を受信すると、メモリ128内に予め記録されている計算式および校正値データを読み出し、当該受信した測定信号を当該読み出した計算式および校正値データを用いて血糖値を算出する。
【0063】
ステップS515では、ステップS514において算出された血糖値を表示部130に送信する。ステップS516では、測定処理を継続するか否かを判定する。なお、本実施形態のステップS514、S515では、送信部120で血糖値を算出し、その血糖値を表示部130に送信する構成となっているが、測定部120から表示部130に測定信号を送信し、その測定信号を元に表示部130で血糖値の算出を行うように構成してもよい。
【0064】
ステップS516において測定処理を継続すると判定された場合には、ステップS512に戻り、測定処理を継続する。一方、ステップS516において測定処理を継続しないと判定された場合には、測定処理を終了する。
【0065】
<6.送信部の電磁界発生タイミング及び2次電池の残量の推移>
次に、体液成分測定システム100の測定処理時における、送信部120の電磁界発生タイミング及び2次電池224の残量の推移について説明する。図6は、体液成分測定システム100の測定処理時における、送信部120の電磁界発生タイミング及び2次電池224の残量の推移を示す模式図である。
【0066】
図6に示すように、測定処理が開始されると、所定周期600ごとにICタグ送受信モジュール122が電磁界を発生し、成分測定部115により測定が行われる。この結果、2次電池224の残量は、所定周期600ごとに減少していく。
【0067】
ここで、複数回の測定が実行された後、例えば、被検者がシャワーを浴びたりお風呂に入ったりするために、送信部120を一時的にセンサ部110から取り外し、充電を行ったとする(タイミング601)。
【0068】
これにより、送信部120内の2次電池224の残量は増加し、タイミング602において充電が完了することとなる。その後、被検者が再び送信部120をセンサ部110に取り付け、電源をONにすると、測定処理が再開され、再び、所定周期600ごとにICタグ送受信モジュール122が電磁界を発生し、成分測定部115により測定が行われる。この結果、2次電池224の残量は、所定周期600ごとに減少していく。
【0069】
このように、体液成分測定システム100では、被検者に常時装着されるセンサ部110に電池を内蔵せず、送信部120からの電磁界により、センサ部110に電力を供給する構成としているため、送信部120の電磁界発生タイミングに応じて、2次電池224の残量が減少していくこととなる。しかしながら、送信部120は、センサ部110に対して取り外し容易な構成となっており、かつ、充電可能な構成となっているため、必要に応じて、簡単に充電を行うことができる。つまり、体液成分の濃度を連続的にモニタリングするのに適した構成となっている。
【0070】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る体液成分測定システム100では、センサ部110と送信部120との間における電力の供給及び測定信号の送信を、ICタグ117とICタグ送受信モジュール122とを用いて行う構成とした。
【0071】
これにより、センサ部110の表面に電気的接点を露出させる必要がないので、本体部111の液密構造を簡便に実現することが可能となり、送信部120の着脱が容易となった。この結果、センサ部110の防水性を向上させるとともに、使い勝手や装用感を改善することが可能となった。
【0072】
また、センサ部110と送信部120との間において、電気的接点による接続が不要となることで、センサ部110に対して送信部120を所定の接続位置にて密接して取り付ける必要がなくなり、簡易な係止部によって取り付けることが可能となった。
【0073】
この結果、センサ部110に対する送信部120の着脱が容易となり、被検者は、手軽に送信部120の着脱を行うことが可能となった。このため、例えば、シャワーを浴びたり入浴したりする際に、簡単に取り外して使用できるようになり、送信部120については防水構造にする必要がなくなったため低コストでの実現が可能となった。
【0074】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、センサ部が電池を内蔵せず、成分測定部115において測定に必要な電力を、すべて送信部120が供給する構成とした。しかしながら、本発明はこれに限定されず、センサ部に電池を内蔵させ、成分測定部115による測定において必要な電源については当該内蔵した電池が供給するように構成してもよい。
【0075】
<1.体液成分測定システムの機能構成>
図7は、本実施形態における体液成分測定システム700の機能構成を示す図である。なお、以下では、図2に示す体液成分測定システム100との相違点を中心に説明する。
【0076】
図7において、711はボタン型の小型の1次電池(アルカリ電池、リチウム電池等)であり、成分測定部115に電力を供給する。ICタグ117は、送信部120において発生した電磁界により生じた起電力により起動し、1次電池711の電力によって成分測定部115が動作するように制御する。また、成分測定部115からの測定結果をA/D変換することで得られたデジタルの測定信号を送信部120に送信する。
【0077】
このように、本実施形態における体液成分測定システム700では、センサ部710に1次電池711を内蔵させ、当該1次電池711から供給される電力により成分測定部115を動作させる構成とすることで、成分測定部115による測定を安定して行うことが可能となる。なお、成分測定部115から測定信号を送信部120に送信するには、ICタグ117にて生じる起電力または1次電池711から供給される電力が使用される。
【0078】
<2.測定処理>
次に、体液成分測定システム700における測定処理(第1の実施形態におけるステップS305)の詳細について説明する。図8は、体液成分測定システム700における測定処理(ステップS305)の詳細な流れを示すフローチャートである。
【0079】
なお、ステップS511からステップS516までの処理は、第1の実施形態に係る図5のステップS511からステップS516までの処理と同じであるため、説明は省略する。
【0080】
ステップS513においてICタグ送受信モジュール122が電磁界を発生することにより、ステップS501ではICタグ117において起電力が発生する。これにより、ステップS801では、ICタグ117が起動し、1次電池711から成分測定部115への電力の供給を行うよう制御する。これにより、ステップS802では、1次電池711から成分測定部115への電力の供給が開始され、成分測定部115が起動する。
【0081】
ステップS503からステップS505までの処理は、図5のステップS503からステップS505までの処理と同じであるため、ここでは説明は省略する。
【0082】
ステップS803では、ICタグ117が、1次電池711からの成分測定部115への電力の供給を終了するよう制御する。これにより、1次電池711から成分測定部115への電力の供給が終了する。
【0083】
<3.送信部の電磁界発生タイミング及び2次電池の残量の推移及びセンサ部の1次電池の残量の推移>
次に、体液成分測定システム700の測定処理時の、送信部120の電磁界発生タイミング及び2次電池224の残量の推移及びセンサ部710の1次電池711の残量の推移について説明する。図9は、体液成分測定システム700の測定処理時の、送信部120の電磁界発生タイミング及び2次電池224の残量の推移及びセンサ部710の1次電池711の残量の推移を示す模式図である。
【0084】
図9に示すように、測定処理が開始されると、所定周期600ごとにICタグ送受信モジュール122が電磁界を発生し、ICタグ117が起動する。この結果、2次電池224の残量は、所定周期600ごとに減少していく。また、ICタグ117の起動に伴って、1次電池711から成分測定部115へと電力が供給され、成分測定部115において測定が行われる。この結果、1次電池711の残量も、所定周期600ごとに減少していく。
【0085】
ここで、複数回の測定が実行された後、例えば、被検者がシャワーを浴びたりお風呂に入ったりするために、送信部120を一時的にセンサ部710から取り外し、充電を行ったとする(タイミング601)。
【0086】
これにより、2次電池224の残量は増加していき、タイミング602では充電が完了することとなる。その後、被検者が再び送信部120をセンサ部710に取り付け、電源をONにすると、測定処理が再開され、再び、所定周期600ごとにICタグ送受信モジュール122が電磁界を発生し、ICタグ117が起動する。この結果、送信部120内の2次電池224の残量は、所定周期600ごとに減少していく。
【0087】
一方、1次電池711は充電されることなく、所定周期600ごとに継続して減少していく。このため、1次電池711は、センサ部710の交換周期内における測定頻度の上限に応じた容量を有している。
【0088】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る体液成分測定システム700では、センサ部710と送信部120との間におけるICタグ起動用の電力の供給及び測定信号の送信を、ICタグ117とICタグ送受信モジュール122とを用いて行う構成とし、更に、センサ部110に測定用の電源として1次電池を内蔵させる構成とした。
【0089】
これにより、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることが可能となるとともに、成分測定部を安定して動作させることが可能となった。
【0090】
[第3の実施形態]
上記第1の実施形態では、センサ部に1次電池を内蔵させる構成としたが、本発明はこれに限定されず、センサ部に充電可能な2次電池を内蔵させる構成としてもよい。
【0091】
<1.体液成分測定システムの機能構成>
図10は、本実施形態における体液成分測定システム1000の機能構成を示す図である。なお、以下では、図2に示す体液成分測定システム100または図7に示す体液成分測定システム700との相違点を中心に説明する。
【0092】
図10において、1011はボタン型の小型の2次電池(リチウムイオン電池等)であり、成分測定部115に電力を供給する。ICタグ117は、送信部120において発生した電磁界により生じた起電力により起動し、2次電池1011の電力によって成分測定部115が動作するように制御する。また、成分測定部115からの測定結果をA/D変換することにより得られたデジタルの測定信号を送信部120に送信する。
【0093】
更に、2次電池1011の残量が所定値以下になった場合には、送信部120において発生した電磁界により生じた起電力により、2次電池1011を充電する。
【0094】
このように、本実施形態における体液成分測定システム1000では、センサ部1010に2次電池1011を内蔵させ、当該2次電池1011から供給される電力により成分測定部115を動作させる構成とすることで、成分測定部115による測定を安定して行うことが可能となる。更に、2次電池1011の残量が所定値以下になった場合には、当該2次電池を充電することができるため、センサ部1010における電池切れの心配もなくなり、より大きな電力を消費するセンサへの対応も可能となる。
【0095】
なお、成分測定部115から測定信号を送信部120に送信するには、ICタグ117にて生じる起電力または2次電池1011から供給される電力が使用される。
【0096】
<2.測定処理>
次に、体液成分測定システム1000における測定処理(第1の実施形態におけるステップS305)の詳細について説明する。図11は、体液成分測定システム1000における測定処理(ステップS305)の詳細な流れを示すフローチャートである。
【0097】
なお、ステップS511からステップS515までの処理は、第2の実施形態に係る図8のステップS511からステップS515までの処理と同じであるため、説明は省略する。
【0098】
ステップS513においてICタグ送受信モジュール122が起動することにより、ステップS501ではICタグ117において起電力が発生する。ステップS1101では、ICタグ117が起動することで、2次電池1011から成分測定部115に電力を供給するように制御する。これにより、ステップS1102では、2次電池1011から成分測定部115への電力の供給が開始され、成分測定部115が起動する。
【0099】
ステップS503からステップS504までの処理は、図8のステップS503からステップS504までの処理と同じであるため、ここでは説明は省略する。
【0100】
ステップS1103では、ICタグ117が、デジタル信号に変換された蛍光強度を示す測定信号をICタグ送受信モジュール122に送信する。また、ICタグ117では、2次電池1011の残量を検出し、検出結果を2次電池残量データとして、ICタグ送受信モジュール122に送信する。
【0101】
ステップS1104では、ICタグ117が、2次電池1011から成分測定部115への電力の供給を終了するよう制御する。これにより、2次電池1011から成分測定部115への電力の供給が終了する。
【0102】
センサ部1010より送信された測定信号を受信した送信部120では、ステップS1111において、センサ部1010より送信された2次電池残量データが所定値以下であるか否かを判定する。ステップS1111において、2次電池残量データが所定値以下であると判定された場合には、ステップS1112に進み、所定値以下でないと判定された場合には、ステップS516に進む(なお、ステップS516における処理は、図8のステップS516における処理と同様であるため、ここでは説明は省略する)。
【0103】
ステップS1112では、ICタグ送受信モジュール122を駆動する。ステップS1105では、ICタグ送受信モジュール122において発生した電磁界により、ICタグ117において起電力が発生する(つまり、送信部120からセンサ部1010に電力が供給される)。
【0104】
一方、ステップS1105では、ICタグ117が、2次電池残量データが所定値以下であるか否かを判定する。ステップS1105において、2次電池残量データが所定値以下であると判定された場合には、ステップS1106に進み、ステップS1112における送信部120からの電力の供給に伴って、ICタグ117が起動し、発生した起電力が2次電池1011に蓄電されるよう制御する。これにより、ステップS1106では、2次電池1011が充電される。
【0105】
一方、ステップS1105において、2次電池残量データが所定値以下でないと判定された場合には、測定処理を終了する。
【0106】
<3.送信部の電磁界発生タイミング及び2次電池の残量の推移、センサ部の2次電池の残量の推移>
次に、体液成分測定システム1000の測定処理時の、送信部120の電磁界発生タイミング及び2次電池224の残量の推移及びセンサ部1010の2次電池1011の残量の推移について説明する。図12は、体液成分測定システム1000の測定処理時の、送信部120の電磁界発生タイミング及び2次電池224の残量の推移及びセンサ部1010の2次電池1011の残量の推移を示す模式図である。
【0107】
図12に示すように、測定処理が開始されると、所定周期600ごとにICタグ送受信モジュール122が電磁界を発生し、ICタグ117が起動する。この結果、2次電池224の残量は、所定周期600ごとに減少していく。また、ICタグ117の起動に伴って、2次電池1011から成分測定部115への電力の供給が開始され、測定が行われる。この結果、2次電池1011の残量も、所定周期600ごとに減少していく。
【0108】
ここで、複数回の測定が実行された後、例えば、被検者がシャワーを浴びたりお風呂に入ったりするために、送信部120を一時的にセンサ部1010から取り外し、充電を行ったとする(タイミング601)。
【0109】
これにより、2次電池224の残量は増加していき、タイミング602では充電が完了することとなる。その後、被検者が再び送信部120をセンサ部1010に取り付け、電源をONにすると、測定処理が再開され、再び、所定周期600ごとにICタグ送受信モジュール122が電磁界を発生し、ICタグ117が起動する。この結果、2次電池224の残量は、所定周期600ごとに減少していく。
【0110】
一方、2次電池1011の残量は所定周期600ごとに継続して減少していくが、残量が所定値以下になったと判定されると、送信部120では、電磁界発生頻度を変更してICタグ送受信モジュール122を駆動することで、2次電池1011の充電のための電磁界を発生する(タイミング1201)。ただし、この場合でも、測定頻度は変更されないものとする。
【0111】
これにより、送信部120の2次電池224の残量は減少するが、センサ部1010の2次電池1011の残量は増加することとなる。つまり、センサ部1010内の2次電池1011は、センサ部1010の交換周期内における測定頻度に依存しない容量とすることができる。
【0112】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る体液成分測定システム1000では、センサ部1010と送信部120との間におけるICタグ起動用の電力の供給、2次電池充電用の電力の供給及び測定信号の送信を、ICタグ117とICタグ送受信モジュール122とを用いて行う構成とし、更に、センサ部1010に測定用の電源として2次電池を内蔵させる構成とした。
【0113】
これにより、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることが可能となるとともに、成分測定部を安定して動作させることが可能となった。更に、センサ部における電力切れを回避することが可能となった。
【0114】
なお、本実施形態では、先に生体成分の測定および測定信号の送信を行った後、2次電池を充電するように構成されているが、先に2次電池の充電を行った後、生体成分の測定および測定信号の送信を行うように構成してもよい。これにより、測定等の直前に充電されるので確実に電力を測定等に供給することができる。
【0115】
[第4の実施形態]
上記第3の実施形態では、センサ部に充電可能な2次電池を内蔵させる構成としたが、本発明はこれに限定されず、センサ部にコンデンサ(キャパシタ)を配し、当該コンデンサに充電する構成としてもよい。
【0116】
<1.体液成分測定システムの機能構成>
本実施形態における体液成分測定システムの機能構成は、上記第1の実施形態において図2を用いて説明した機能構成と同じであるため、ここでは説明を省略する。ただし、図2に示す体液成分測定システムのうち、センサ部110に配されたICタグ117は、更に、コンデンサが内蔵されているものとする。なお、以下、コンデンサが内蔵されたICタグ117を備える体液成分測定システムを、体液成分測定システム1300として説明する。
【0117】
コンデンサが内蔵されたICタグ117は、送信部120において発生した電磁界により生じた起電力により起動するとともに、当該起電力をコンデンサに蓄える。そして、コンデンサに蓄えられた電力によって成分測定部115が動作するように制御する。
【0118】
このように、本実施形態における体液成分測定システム1300では、センサ部110にコンデンサを内蔵させ、当該コンデンサに蓄えられた電力により成分測定部115を動作させる構成とすることで、成分測定部115による測定を安定して行うことが可能となる。
【0119】
<2.測定処理>
次に、体液成分測定システム1300における測定処理(第1の実施形態におけるステップS305)の詳細について説明する。図13は、体液成分測定システム1300における測定処理(ステップS305)の詳細な流れを示すフローチャートである。
【0120】
なお、ステップS511からステップS512までの処理は、第1の実施形態に係る図5のステップS511からステップS512までの処理と同じであるため、説明は省略する。
【0121】
ステップS1313においてICタグ送受信モジュール122が起動することにより、ステップS1301ではICタグ117において起電力が発生する。これにより、ステップS1302では、ICタグ117が起動し、ステップS1303では、発生した起電力の一部が、コンデンサに充電される。更に、ステップS1304では、コンデンサに充電された充電量を、送信部120に送信する。
【0122】
センサ部110より送信されたコンデンサ充電量に基づいて、送信部120では、ステップS1314において、当該コンデンサ充電量が所定値以下であるか否かを判定する。ステップS1314において、所定値以下であると判定された場合には、ステップS1313に戻り、コンデンサ充電量が所定値を超えるまで上記処理を繰り返す。一方、ステップS1314において、所定値以下でないと判定された場合には、ステップS513に進む。
【0123】
ステップS513からステップS516までの処理は、第1の実施形態に係る図5のステップS513からステップS516までの処理と同じであるため、説明は省略する。
【0124】
ステップS513においてICタグ送受信モジュール122が起動することにより、ステップS501ではICタグ117において起電力が発生する。ステップS502では、ICタグ117が起動し、ステップS1305では、コンデンサから成分測定部115への電力の供給が開始され、成分測定部115が起動する。
【0125】
ステップS503からステップS505までの処理は、図5のステップS503からステップS505までの処理と同じであるため、ここでは説明は省略する。
【0126】
ステップ1306では、ICタグ117が、コンデンサから成分測定部115への電力の供給を終了するよう制御する。これにより、コンデンサから成分測定部115への電力の供給が終了する。
【0127】
<3.送信部の電磁界発生タイミング及び2次電池の残量の推移、センサ部のコンデンサの残量の推移>
次に、体液成分測定システム1300の測定処理時の、送信部120の電磁界発生タイミング及び2次電池224の残量の推移及びセンサ部110のコンデンサの残量の推移について説明する。図14は、体液成分測定システム1300の測定処理時の、送信部120の電磁界発生タイミング及び2次電池224の残量の推移及びセンサ部110のコンデンサの残量の推移を示す模式図である。
【0128】
図14に示すように、測定処理が開始されると、所定周期600ごとに2回続けてICタグ送受信モジュール122が電磁界を発生し、それぞれICタグ117が起動する。この結果、2次電池224の残量は、所定周期600ごとに減少していく。また、1回目のICタグ117の起動に伴って、コンデンサが充電されるとともに、2回目のICタグ117の起動に伴って、コンデンサから成分測定部115への電力の供給が開始され、測定が行われる。これによりコンデンサの残量が減り、測定が完了した後は、自然放電によって、徐々に残量が減っていく。
【0129】
ここで、複数回の測定が実行された後、例えば、被検者がシャワーを浴びたりお風呂に入ったりするために、送信部120を一時的にセンサ部110から取り外し、充電を行ったとする(タイミング601)。
【0130】
これにより、2次電池224の残量は増加していき、タイミング602では充電が完了することとなる。その後、被検者が再び送信部120をセンサ部110に取り付け、電源をONにすると、測定処理が再開され、再び、所定周期600ごとに2回続けてICタグ送受信モジュール122が電磁界を発生し、それぞれICタグ117が起動する。この結果、2次電池224の残量は、所定周期600ごとに減少していく。一方、コンデンサは所定周期600ごとに充電と放電とが繰り返される。
【0131】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る体液成分測定システム1300では、センサ部110と送信部120との間におけるICタグ起動用の電力の供給、コンデンサ充電用の電力の供給及び測定信号の送信を、ICタグ117とICタグ送受信モジュール122とを用いて行う構成とし、更に、センサ部110に測定用の電源としてコンデンサを内蔵させる構成とした。
【0132】
これにより、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることが可能となるとともに、成分測定部を安定して動作させることが可能となった。更に、センサ部における電力切れを回避することが可能となった。
【0133】
[第5の実施形態]
上記第1〜第4の実施形態では、SMBGによって予め測定することにより得られた血糖値を表示部130を介して入力することで、送信部120において校正値データを算出する構成としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、SMBGに用いる血糖計にICタグを設け、該血糖計からICタグ送受信モジュール122を介して直接送信部120に校正用の血糖値を入力する構成としてもよい。
【0134】
図15は、外部の血糖計(不図示)から校正用の血糖値を送信部1520で直接受け取る体液成分測定システム1500の機能構成を示す図である。図15に示すように、血糖値を算出する際に、外部の血糖計から直接IC送受信モジュール122に血糖値が送信される構成とすることで、表示部1530を介して校正値データを算出するための情報を送信する必要がなくなるため、表示部1530では送受信モジュールの代わりに受信モジュール1531が配されることとなる。
【0135】
同様に、表示部1530から校正値データを算出するための情報を受信する必要がなくなるため、送信部1520では、送受信モジュールの代わりに送信モジュール1523が配されることとなる。この結果、より簡素なシステムを構築することが可能となる。
【0136】
以上、図1〜15に基づいて第1〜第5の実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、上記第1〜第5の実施形態では、表示部を、被検者から離れた位置に載置する表示装置として構成したが、本発明はこれに限定されず、表示部は、被検者に着脱可能に装着できる表示装置として構成してもよい。
【0137】
具体的には、表示部を被検者の手首や足首に装着できるように構成してもよいし、被検者の首からぶら下げることができるように構成してもよい。あるいは、被検者の腰回りに装着できるように構成してもよい。これにより、被検者は、算出された血糖値を直ちに確認することができる。
【0138】
また、上記第1〜第5の実施形態では、ICタグ117とICタグ送受信モジュール122間のデータの伝達方式として、電磁誘導方式を用いる場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、電磁波方式を用いてもよい。また、タグの種類として、受動タグを用いる場合について説明したが、他の種類のタグを用いてもよい。つまり、本発明は、RFIDタグとして使用される、近接または近傍界の非接触通信方式であれば、いずれの通信方式を用いてもよい。
【0139】
また、上記第1〜第5の実施形態では、血糖値の測定方法として蛍光強度を測定する蛍光センサを用いる場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、他の測定方法(例えばGODセンサ)を用いるようにしてもよい。
【0140】
また、上記第1〜第5の実施形態では、特に、間質液を測定対象とし、当該間質液に含まれるグルコース量を基に血糖値を算出することとしたが、本発明はこれに限定されず、周知の測定方法で測定し、濃度の算出が可能である体液成分であればどのような体液成分であってもよい。
【0141】
例えば、高血圧の患者の場合、塩分やコレステロールのような体液成分をモニタリングする必要があり、それらの濃度を算出するように構成してもよい。あるいは、血液に含まれるミネラル、タンパク質、脂質など、様々な成分の濃度を算出するように構成してもよい。
【0142】
[第6の実施形態]
上記第1〜第5の実施形態では、センサ部110の底面中央部に成分測定部115に接続された針114を設け、底面に略垂直な方向に穿刺する構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、斜めに穿刺するよう構成するとともに、針は着脱可能に構成してもよい。
【0143】
図16は、本実施形態におけるセンサ部1600(被検体に対して斜めに穿刺可能なセンサ部)の外観構成及びその穿刺状態を示す図である。このうち、(A−1)はセンサ部1600の側面図であり、(A−2)は導入針1614が取り付けられた状態のセンサ部1600の平面図であり、(A−3)は導入針1614が取り外された状態のセンサ部1600の平面図である。
【0144】
(A−3)に示すように、センサ部1600には、本体部111の側面端部からセンサ部1600の底面に略平行に延びる穿刺部1619が設けられており、穿刺部1619の先端には成分測定部115が取り付けられている。なお、本体部111と穿刺部1619は一部材からなり、可撓性を有する。
【0145】
また、本体部111の内部には、アンテナ112とICチップ113と不図示のA/D変換回路とを備えるICタグ117が設けられており、送信部120において発生した電磁界により生じた起電力を電源として動作し、成分測定部115による測定を制御するとともに、測定結果をICチップ113のメモリ内に記憶したり、送信部120に送信したりするよう構成されている。本体部111の上面には係止部116が設けられ、送信部120を上面側に係止できるよう構成されている。
【0146】
更に、(A−2)に示すように、本体部111の側面、成分測定部115及び穿刺部1619には、導入針1614が着脱可能に取り付けられている。本実施形態におけるセンサ部1600は、導入針1614が被検者の皮膚に穿刺されることで、導入針1614の内部に配された成分測定部115及び穿刺部1619が被検者の皮下に導かれる。これにより、成分測定部115は体液と接触することとなる。
【0147】
また、(A−1)に示すように、成分測定部115及び穿刺部1619を覆うように取り付けられた導入針1614には、切り欠き部1618が全長にわたって設けられている。このため、導入針1614は、被検体の皮膚に穿刺されることで、成分測定部115を被検者の皮下に導いた後、取り外すことができる。
【0148】
(B−1)は導入針1614により被検者の皮膚に、成分測定部115が穿刺された様子を示している。(B−1)に示すように、導入針1614が被検者の皮膚に斜めに穿刺されることで、成分測定部115は皮下に導かれる。
【0149】
上述したように、導入針1614には切り欠き部1618が設けられているため、被検体の皮膚に穿刺された状態で、導入針1614を矢印方向に引き抜くことで、導入針1614のみを取り外すことができる。
【0150】
(B−2)は、被検体の皮膚に穿刺された後に、導入針1614のみを取り外した様子を示す図である。なお、本体部111および穿刺部1619は、ポリイミド等の樹脂により形成されている。穿刺部1619は、導入針1614を取り外した後、皮膚に挿入されていない部分を中心に湾曲するように折れ曲がり、本体部111はその下面に設けられた接着剤(不図示)によって被検体の皮膚に沿って貼り付けられることとなる。なお、ICチップ113やA/D変換回路(不図示)は厚みを有するため、導入針1614が通過する部分を避けて配置されている。
【0151】
このように、上記第1〜第5の実施形態に示す体液成分測定システムは、図16に示すセンサ部(斜めに穿刺され、針が着脱可能に構成されたセンサ部)を用いて構成することが可能である。
【0152】
[第7の実施形態]
上記第6の実施形態では、穿刺部が本体部の側面端部から延びる構成としたが、本発明はこれに限定されず、穿刺部が本体部の側面中央部から延びる構成であってもよい。
【0153】
図17は、本実施形態におけるセンサ部1700(被検体に対して斜めに穿刺可能なセンサ部)の外観構成及びその穿刺状態を示す図である。このうち、(A−1)はセンサ部1700の側面図であり、(A−2)は導入針1714が取り付けられた状態のセンサ部1700の平面図であり、(A−3)は導入針1714が取り外された状態のセンサ部1700の平面図である。
【0154】
(A−3)に示すように、センサ部1700には、本体部111の側面中央からセンサ部1700の底面に略平行に延びる穿刺部1719が設けられており、穿刺部1719の先端には成分測定部115が取り付けられている。本体部111と穿刺部1719は一部材からなり、可撓性を有する。
【0155】
また、本体部111の内部には、アンテナ112とICチップ113と不図示のA/D変換回路とを備えるICタグ117が設けられており、送信部120において発生した電磁界により生じた起電力を電源として動作し、成分測定部115による測定を制御するとともに、測定結果をICチップ113のメモリ内に記憶したり、送信部120に送信したりするよう構成されている。本体部111の上面には係止部116が設けられ、送信部120を上面側に係止できるよう構成されている。
【0156】
更に、(A−2)に示すように、成分測定部115及び穿刺部1719には、導入針1714が着脱可能に取り付けられている。本実施形態におけるセンサ部1700は、導入針1714が被検者の皮膚に穿刺されることで、導入針1714の内部に配された成分測定部115及び穿刺部1719が被検者の皮下に導かれる。これにより、成分測定部115は体液と接触することとなる。
【0157】
また、(A−1)に示すように、成分測定部115及び穿刺部1719を覆うように取り付けられた導入針1714には、切り欠き部1718が全長にわたって設けられている。このため、導入針1714は、被検体の皮膚に穿刺されることで、成分測定部115を被検者の皮下に導いた後、つまみ部1714Aを引っ張ることで取り外すことができる。
【0158】
(B−1)は導入針1714により被検者の皮膚に、成分測定部115が穿刺された様子を示している。(B−1)に示すように、導入針1714が被検者の皮膚に斜めに穿刺されることで、成分測定部115は皮下に導かれる。
【0159】
なお、本体部111及び穿刺部1719は、ポリイミド等の樹脂により形成されており、導入針1714が被検体の皮膚に斜めに穿刺された後、穿刺部1719は皮膚に挿入されていない部分を中心に湾曲するように折れ曲がり、本体部111は、その下面に設けられた接着剤(不図示)によって被検体の皮膚に沿って貼り付けられる。その後、導入針1714が皮膚から引き抜かれて、センサ部1700の載置が完了する。
【0160】
上述したように、導入針1714には切り欠き部1718が設けられているため、被検体の皮膚に穿刺された状態で、つまみ部1714Aを引っ張り、導入針1714を矢印方向に引き抜くことで、導入針1714のみを取り外すことができる。
【0161】
(B−2)は、被検体の皮膚に穿刺された後に、導入針1714のみを取り外した様子を示す図である。
【0162】
このように、上記第1〜第6の実施形態に示す体液成分測定システムは、図17に示すセンサ部(斜めに穿刺され、針が着脱可能に構成されたセンサ部)を用いて構成することが可能である。
【符号の説明】
【0163】
100:体液成分測定システム、110:センサ部、111:本体部、112:アンテナ、113:ICチップ、114:針、115:成分測定部、116:係止部、117:ICタグ、120:送信部、121:ハウジング、122:ICタグ送受信モジュール、123:係止部、124:電源スイッチ、125:ランプ、126:スピーカ、127:充電用コネクタ、130:表示部、131:表示領域、132:入力部
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者の体液を連続的に測定し、体液に含まれる所定の成分の濃度を表示する体液成分測定システムに関するものである。より詳細には、被検者の間質液を間歇的かつ連続的に測定し、血糖値を表示する体液成分測定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、糖尿病患者が自ら血糖値を測定し管理するために、指先などを専用の穿刺器具で穿刺して出た血液を、その都度、血糖測定器で測定する、所謂自己血糖測定(Self Monitoring of Blood Glucose:SMBG)が広く普及している。
【0003】
また、近年、これに代わるべく、専用のセンサ部に配された針を皮下等に穿刺することで該センサを皮下に留置し、患者の血糖値を連続的にモニタリングする連続血糖測定(Continuous Glucose Monitoring:CGM)に用いる体液成分測定システムが開発され(例えば、特許文献1参照)、欧米では既に実用化されている。
【0004】
CGMに用いる体液成分測定システムは、患者に常時装着されるセンサ部と、該センサ部に取り付けられ、該センサ部における測定信号を外部に送信する送信部と、該送信部より送信された信号に基づいて血糖値を算出し該血糖値を表示する表示装置とから構成されており、3日から1週間に1回程度の頻度で、センサ部を新しいものに交換する仕様となっている。
【0005】
このため、センサ部と送信部とは互いに着脱可能に構成され、センサ部と送信部との間には、電力の供給及び測定信号の授受のための電気的接点が配されている。そして、送信部では、当該電気的接点を介してセンサ部に電力を供給し、また、供給された電力を用いてセンサ部にて測定された測定結果を、当該電気的接点を介して受信している。
【0006】
ここで、上述のような構成を備える体液成分測定システムの場合、患者は、送信部が取り付けられたセンサ部を常時装着した状態のまま日常生活を送ることとなる。このため、例えば、患者がシャワーを浴びたり入浴したりすることができるよう、送信部やセンサ部には、十分な防水機能が施されていることが重要となってくる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2002−526137号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1のように、着脱可能に構成され、センサ部と送信部とが電気的接点により接続される構成の場合、十分な防水性を確保することは困難である。
【0009】
仮に、センサ部と送信部とをそれぞれ防水仕様にし、ハウジング内部の機器を保護したとしても、センサ部と送信部との接続位置において、それぞれのハウジング表面に露出している電気的接点を浸水から保護することは困難だからである。
【0010】
これに対して、センサ部及び送信部全体を防水シート等を用いて外側から覆い、露出した電気的接点が浸水しないようにすることは可能であるが、センサ部及び送信部を完全な密閉状態にまですることは困難であり、例えば、湯船に浸かった場合には、浸水してしまうこととなる。また、防水シートを貼付すると容易に送信部を交換できなくなるため、長期にセンサ部を使用するには相応の容量の電源が必要となり、送信部の大型化を招き、装用感が低下する。
【0011】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、体液成分測定システムにおいて、防水性の向上を図るとともに、センサ部の使用期間の長期化、送信部の小型化、装用感の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明に係る体液成分測定システムは以下のような構成を備える。即ち、
被検者の皮膚に留置され、該被検者の体液に導通されて所定の体液成分を測定するセンサ部と、
前記センサ部に着脱可能に取り付けられ、前記センサ部において測定された測定信号、または、該測定信号をもとに前記体液成分の前記体液と同種または異種の体液中の濃度として算出された算出結果を、表示装置に送信する送信部と、を備え、
前記センサ部は前記送信部が発生する電磁界による電磁誘導により起動されることで、前記体液成分の測定と、前記測定信号の前記送信部への送信とを行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、体液成分測定システムにおいて、センサ部と送信部との間で電気接点を有さないため防水性が向上する。また、電源を含む送信部を容易に着脱できるため、送信部を外すことで入浴等の際に邪魔にならず、生活の質を向上させることができる。また、送信部を外して充電したり交換することが容易なため、センサ部の長期使用においても送信部を大型化することがない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る体液成分測定システムの外観構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る体液成分測定システム100の機能構成を示す図である。
【図3】体液成分測定システム100におけるモニタリング処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】体液成分測定システム100における校正値データ記録処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】体液成分測定システム100のセンサ部及び送信部における測定処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】体液成分測定システム100の送信部の電磁界発生タイミング及び送信部内の2次電池の残量の推移を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る体液成分測定システム700の機能構成を示す図である。
【図8】体液成分測定システム700のセンサ部及び送信部における測定処理の流れを示す図である。
【図9】体液成分測定システム700の送信部の電磁界発生タイミング及び送信部内の2次電池の残量の推移、センサ部内の電池の残量の推移を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る体液成分測定システム1000の機能構成を示す図である。
【図11】体液成分測定システム1000のセンサ部及び送信部における測定処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】体液成分測定システム1000の送信部の電磁界発生タイミング及び送信部内の2次電池の残量の推移、センサ部内の2次電池の残量の推移を示す図である。
【図13】体液成分測定システム1300のセンサ部及び送信部における測定処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】体液成分測定システム1300の送信部の電磁界発生タイミング及び送信部内の2次電池の残量の推移、センサ部内のコンデンサの残量の推移を示す図である。
【図15】本発明の第5の実施形態に係る体液成分測定システム1500の機能構成を示す図である。
【図16】センサ部110の外観構成を示す図である。
【図17】センサ部110の外観構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1の実施形態]
以下、本発明の各実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0016】
<1.体液成分測定システムの外観構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る体液成分測定システム100の外観構成を示す図である。
【0017】
図1(A)に示すように、体液成分測定システム100はセンサ部110と、送信部120と、表示部130とを備える。
【0018】
センサ部110は、ポリウレタンなどの柔軟な樹脂により液密構造に形成された本体部111を備える。本体部111の底面には防水機能付きの皮膚貼り付けテープ(不図示)が配されており、これにより、センサ部110は、被検者の上腕部または腹部などに直接貼り付けられることとなる。
【0019】
また、本外部111の底面には、被検者の皮膚に穿刺され皮下の体液と接触する針114が設けられており、本外部111内に配された成分測定部115と接続されている。成分測定部115は、針114が接触する皮下の体液におけるグルコース等の所定成分の量に応じた信号を測定する。
【0020】
本体部111の内部には、更に、アンテナ112とICチップ113と不図示のA/D変換回路とを備えるA/D回路内蔵ICタグ117(以下、単にICタグ117と称す)が設けられており、送信部120において発生した電磁界により生じた起電力を電源として動作し、成分測定部115による測定を制御するとともに、測定結果をICチップ113のメモリ内に記憶したり、送信部120に送信したりする。
【0021】
本体部111の背面には係止部116が設けられ、送信部120を背面側に係止できるよう構成されている。
【0022】
送信部120は、ハウジング121を備える。ハウジング121の内部には、駆動されることによりセンサ部110のICタグ117に対して電磁界を発生し、電磁誘導により電力を供給するとともに、ICタグ117にて発生した電磁界の変化を検出することにより、測定結果を示す測定信号を受信するICタグ送受信モジュール122が配されている。なお、送信部120では、センサ部110より受信した測定信号を処理し血糖値等の体液に含まれる所定の成分の濃度(体液成分の濃度)を算出した後、不図示の送受信モジュールを介して通信可能な表示部130に、当該算出された体液成分の濃度を送信するよう構成されているものとする。
【0023】
また、ハウジング121の底面には係止部123が設けられており、係止部123が本体部111の背面の係止部116に係止されることで、送信部120がセンサ部110に取り付けられることとなる。
【0024】
表示部130は、表示領域131を備え、送信部120より送信された体液成分の濃度を表示する。また、入力部132を備え、表示領域131に表示される表示内容の切り替えや、所定の情報の入力等、各種操作を行う際に用いられる。
【0025】
このように、センサ部110と送信部120との間における送信部120による電力の供給及びセンサ部110による測定信号の送信を、ICタグ117とICタグ送受信モジュール122とを用いて無線で行う構成とすることにより、センサ部110の表面に電気的接点を露出させる必要がなくなり、本体部111の液密構造を容易に実現することが可能となる。この結果、センサ部110の防水性を向上させることが可能となる。
【0026】
また、センサ部110と送信部120との間における電力の供給及び測定信号の送信において、電気的接点による接続が不要となることで、センサ部110に対して送信部120を所定の接続位置にて密接して取り付ける必要がなくなり、簡易な係止部により取り付けることができるようになる。
【0027】
この結果、センサ部110に対する送信部120の着脱が容易となり、被検者は、手軽に送信部120の着脱を行うことが可能となる。このため、例えば、シャワーを浴びたり入浴したりする際に、簡単に取り外して使用することができるようになり、送信部120については必ずしも防水構造にする必要がなくなる。つまり、送信部120のコストを削減できるといった付帯的効果も得られる。
【0028】
図1(B)は、送信部120をセンサ部110に取り付けた様子を示す図である。図1(B)に示すように、送信部120の背面には、送信部120の電源をON/OFFするための電源スイッチ124が設けられている。電源スイッチ124は、1回押圧されることで電源がONとなり、ランプ125が点灯する。更に、もう1回押圧されると電源がOFFとなり、ランプ125が消灯する。
【0029】
送信部120の背面には、更に、スピーカ127が設けられており、例えば、送信部120においてエラー等が検出された場合等に、被検者に対して音声を出力する。また、充電用コネクタ126が設けられており、充電用アダプタに接続されることで、送信部120に内蔵された2次電池を充電することができる。
【0030】
上記構成のもと、送信部120がセンサ部110に取り付けられた状態で、電源スイッチ124を押圧し、送信部120の電源をONにすることで、表示部130には、所定周期ごとに所定の体液成分の濃度が表示される(図1(B)の表示部130には、表示領域131に、トレンドグラフとともに今回の測定により得られた体液成分の濃度が表示された様子が示されている)。
【0031】
<2.体液成分測定システムの機能構成>
次に、体液成分測定システム100の機能構成について説明する。図2は、体液成分測定システム100の機能構成を示す図である。なお、図2では、図1の外観構成を用いて説明済みの要素に対応する要素については同一の参照番号を付している。
【0032】
図2に示すように、センサ部110は、針114と、成分測定部115と、ICタグ117とを備える。針114は、成分測定部115に体液が届くように誘導する毛細管であり、その先端が被検者の皮下に達するような長さに設定されている。針114は成分測定部115に接続されており、体液を成分測定部115の中に導く。
【0033】
成分測定部115は、血液等の体液中に含まれる特定の成分(例えば、グルコース、尿酸、コレステロール、タンパク質、ミネラル、血液細胞など)の濃度を測定するための測定手段であり、周知の測定方法を用いて測定を行う。針114によって導通される体液としては血液、間質液、リンパ液などが挙げられ、測定方法としては、測定対象の体液に含まれる所定の成分を捕捉する蛍光ダイに励起光を照射した際の蛍光強度を測定する方法や、測定対象の体液に含まれる所定の成分を酸化酵素を用いて光学的または電気化学的に測定する方法等が用いられる。本実施形態では、針114を皮下に挿入して、間質液中のグルコース濃度を測定し、さらに血液中のグルコース濃度(血糖値)へと換算される。また、測定方法としては、糖類と結合してストークスシフトを示すボロン酸基導入蛍光色素をハイドロゲルに固定した蛍光センサを用いた例を示している。なお、皮下ではなく血管内に針114を挿入し、直接血液中のグルコース濃度を測定するように構成することも可能である。
【0034】
ICタグ117は、送信部120において発生した電磁界により生じた起電力により、成分測定部115を制御する。また、成分測定部115からの測定結果をA/D変換することで得られたデジタルの測定信号を送信部120に送信する。
【0035】
送信部120は、電源スイッチ124と、ランプ125と、メモリ128と、スピーカ127と、ICタグ送受信モジュール122と、CPU222と、送受信モジュール223と、2次電池224と、充電回路225と、充電用コネクタ126とを備える。
【0036】
電源スイッチ124は、押圧されることで送信部120の電源がONとなり、ランプ125が点灯する。なお、ランプ125は、2次電池224の残量が少なくなった場合に、点滅させることで、2次電池224の残量が少ないことをユーザに知らせる構成としてもよい。また、ランプ125は、送信部120の内部状態に応じて異なる色で点灯する構成としてもよい(例えば正常な場合は緑色で、異常を検出した場合には赤色で点灯する構成としてもよい)。
【0037】
メモリ128には、センサ部110より受信した測定結果であるデジタルの測定信号に基づいて体液に含まれる所定の成分の濃度を算出する算出プログラムや、体液成分の濃度を算出する際に用いられる校正値データを算出するための校正プログラム、及び送信部120全体の動作を制御する制御プログラム等が格納されている。
【0038】
なお、校正プログラムや算出プログラムは、測定対象となる体液ごと、算出対象となる成分ごとに用意されているものとする。これにより、送信部120では、様々な体液成分の濃度を算出することができる。また、メモリ128には過去に算出した体液成分の濃度を測定時刻と対応付けて保存する保存手段としての機能も含まれている。
【0039】
スピーカ127は、測定終了や測定された体液成分の濃度などを音声で知らせる。例えば、測定の結果得られた血糖値が、正常であった場合には短いビープ音を出力し、異常であった場合には、正常であった場合よりも大きな警告音を継続的に出力する。
【0040】
ICタグ送受信モジュール122は、送信部120とセンサ部110との間における電力の供給及び測定信号の受信を行う。CPU222は送信部120全体の動作を制御する。送受信モジュール223は、送信部120において算出された体液成分の濃度を、表示部130に送信する通信モジュールである。
【0041】
2次電池224は送信部120を構成する各部に電力を供給する。充電回路225は、2次電池224を充電するための回路であり、充電用コネクタ126を介して接続されたアダプタ(不図示)より、電力の供給を受けた場合に、2次電池224を充電する。
【0042】
表示部130は、送受信モジュール231と、CPU232と、入力部132と、表示領域131と、メモリ233と、電源部234とを備える。
【0043】
送受信モジュール231は、送受信モジュール223を介して送信部120から送信された体液成分の濃度を受信する。送受信モジュール231において受信された体液成分の濃度は、CPU232において処理され、表示領域131に表示されるとともに、メモリ233に保存される。
【0044】
入力部132は、被検者の入力指示を受け付けるボタン等であり、表示部130に対する電源ONの指示、過去に算出された体液成分の濃度についての呼び出し指示、表示の切り替え指示、ならびに体液成分の濃度の算出の際に用いられる校正値データを算出するための情報入力等の操作に用いられる。なお、表示領域131と入力部132とは、タッチパネルなどの1つの部品により構成されていてもよい。電源部234は、表示部130を構成する各部に電力を供給する電池である。
【0045】
<3.体液成分測定システムにおけるモニタリング処理>
次に、体液成分測定システム100におけるモニタリング処理の流れを説明する。図3は、体液成分測定システム100におけるモニタリング処理の流れを示すフローチャートである。なお、以下では、説明を簡略化するために、測定対象の体液=間質液、濃度の算出対象の成分=血糖、として説明する(つまり、体液成分の濃度として血糖値を算出する場合について説明する)。
【0046】
ステップS301において、被検者は、センサ部110を上腕部または腹部に装着する。具体的には、針114を上腕部または腹部の皮膚に穿刺するとともに、本体部111の底面に配された防水機能付きの皮膚貼り付けテープにより本体部111を皮膚に密着させる。
【0047】
ステップS302では、上腕部または腹部に装着されたセンサ部110の背面に、送信部120を取り付ける。具体的には、送信部120の底面に設けられた係止部123をセンサ部110の背面に設けられた係止部116に係止させる。
【0048】
ステップS303では、送信部120の電源スイッチ124を押圧し、送信部120の電源をONにする。これにより、送信部120が起動し、送信部120と表示部130との間の通信が確立する。
【0049】
ステップS304では、算出された校正値データをメモリ128に記録する。なお、校正値データの記録処理(ステップS304)の詳細は後述する。
【0050】
ステップS305では、所定周期ごとに測定を行い、血糖値を表示する測定処理を行う。1回の測定処理が終了すると、ステップS306に進み、モニタリング処理を継続するか否かを判定する。ステップS306においてモニタリング処理を継続すると判定された場合には、ステップS305に戻り、所定周期後に測定を行い、血糖値を表示する。一方、ステップS306においてモニタリング処理を継続しないと判定された場合には、ステップS307に進む。
【0051】
ステップS307では、再校正を行うか否かを判定し、再校正を行うと判定された場合には、ステップS304に戻り、校正値データの記録処理を行う。一方、再校正を行わないと判定された場合には、モニタリング処理を終了する。
【0052】
<4.校正値データ記録処理>
次に、校正値データ記録処理(ステップS304)の詳細を説明する。図4は、校正値データ記録処理(ステップS304)の詳細な流れを示すフローチャートである。
【0053】
ステップS401では、被検者が、自己血糖測定(SMBG)によって測定することにより得られた血糖値を表示部130を介して入力する。表示部130において当該入力を受け付けると、ステップS402では、送受信モジュール231が、当該入力された血糖値を送信部120に送信する。
【0054】
表示部130より送信された血糖値を送信部120が受信すると、ステップS403では、ICタグ送受信モジュール122が起動し、センサ部110に対して電磁界を発生する。これにより、センサ部110が起動し、成分測定部115が間質液中のグルコース量に応じた信号を測定する。測定結果は、ICタグ117を介して送信部120に送信されるため、送信部120ではこれを受信する。
【0055】
ステップS404では、送信部120が、校正プログラムを起動させ、ステップS401において表示部130より送信された血糖値と、ステップS403においてセンサ部110より送信された測定結果とに基づいて、血糖値を算出する算出式の校正値データを算出する。そして、算出した校正値データをメモリ128に記録する。
【0056】
<5.測定処理>
次に、測定処理(ステップS305)の詳細について説明する。図5は、測定処理(ステップS305)の詳細な流れを示すフローチャートである。
【0057】
送信部120において測定処理が開始されると、ステップS511では、所定周期で測定を行うための測定間隔を規定するタイマーを動作させる。ステップS512では、タイマーが所定時間カウントしたか否かを判定する。ステップS512において、所定時間カウントしたと判定された場合には、ステップS513に進む。
【0058】
ステップS513では、ICタグ送受信モジュール122を駆動することで、電磁界を発生する。ステップS501では、ICタグ送受信モジュール122において電磁界が発生することにより、ICタグ117において起電力が発生する(つまり、送信部120からセンサ部110に対して電力が供給される)。
【0059】
ステップS501における電力の供給に伴って、ステップS502では、ICタグ117が起動し、成分測定部115に対して電力を供給し、成分測定部115を動作させる。
【0060】
ステップS503では、成分測定部115において、針114から吸引された間質液が、糖応答性蛍光色素を有するハイドロゲルに到達しており、該ハイドロゲルに向けて、励起光を照射する。更に、照射した励起光に対する、蛍光強度を測定する。
【0061】
ステップS504では、ステップS503において測定された蛍光強度をデジタル信号に変換し、測定結果としてICタグ117内のメモリに記録する。更に、ステップS505では、ICタグ117が、デジタル信号に変換された蛍光強度を示す測定信号をICタグ送受信モジュール122に送信する。
【0062】
ステップS514では、送信部120が、センサ部110より送信された測定信号を受信すると、メモリ128内に予め記録されている計算式および校正値データを読み出し、当該受信した測定信号を当該読み出した計算式および校正値データを用いて血糖値を算出する。
【0063】
ステップS515では、ステップS514において算出された血糖値を表示部130に送信する。ステップS516では、測定処理を継続するか否かを判定する。なお、本実施形態のステップS514、S515では、送信部120で血糖値を算出し、その血糖値を表示部130に送信する構成となっているが、測定部120から表示部130に測定信号を送信し、その測定信号を元に表示部130で血糖値の算出を行うように構成してもよい。
【0064】
ステップS516において測定処理を継続すると判定された場合には、ステップS512に戻り、測定処理を継続する。一方、ステップS516において測定処理を継続しないと判定された場合には、測定処理を終了する。
【0065】
<6.送信部の電磁界発生タイミング及び2次電池の残量の推移>
次に、体液成分測定システム100の測定処理時における、送信部120の電磁界発生タイミング及び2次電池224の残量の推移について説明する。図6は、体液成分測定システム100の測定処理時における、送信部120の電磁界発生タイミング及び2次電池224の残量の推移を示す模式図である。
【0066】
図6に示すように、測定処理が開始されると、所定周期600ごとにICタグ送受信モジュール122が電磁界を発生し、成分測定部115により測定が行われる。この結果、2次電池224の残量は、所定周期600ごとに減少していく。
【0067】
ここで、複数回の測定が実行された後、例えば、被検者がシャワーを浴びたりお風呂に入ったりするために、送信部120を一時的にセンサ部110から取り外し、充電を行ったとする(タイミング601)。
【0068】
これにより、送信部120内の2次電池224の残量は増加し、タイミング602において充電が完了することとなる。その後、被検者が再び送信部120をセンサ部110に取り付け、電源をONにすると、測定処理が再開され、再び、所定周期600ごとにICタグ送受信モジュール122が電磁界を発生し、成分測定部115により測定が行われる。この結果、2次電池224の残量は、所定周期600ごとに減少していく。
【0069】
このように、体液成分測定システム100では、被検者に常時装着されるセンサ部110に電池を内蔵せず、送信部120からの電磁界により、センサ部110に電力を供給する構成としているため、送信部120の電磁界発生タイミングに応じて、2次電池224の残量が減少していくこととなる。しかしながら、送信部120は、センサ部110に対して取り外し容易な構成となっており、かつ、充電可能な構成となっているため、必要に応じて、簡単に充電を行うことができる。つまり、体液成分の濃度を連続的にモニタリングするのに適した構成となっている。
【0070】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る体液成分測定システム100では、センサ部110と送信部120との間における電力の供給及び測定信号の送信を、ICタグ117とICタグ送受信モジュール122とを用いて行う構成とした。
【0071】
これにより、センサ部110の表面に電気的接点を露出させる必要がないので、本体部111の液密構造を簡便に実現することが可能となり、送信部120の着脱が容易となった。この結果、センサ部110の防水性を向上させるとともに、使い勝手や装用感を改善することが可能となった。
【0072】
また、センサ部110と送信部120との間において、電気的接点による接続が不要となることで、センサ部110に対して送信部120を所定の接続位置にて密接して取り付ける必要がなくなり、簡易な係止部によって取り付けることが可能となった。
【0073】
この結果、センサ部110に対する送信部120の着脱が容易となり、被検者は、手軽に送信部120の着脱を行うことが可能となった。このため、例えば、シャワーを浴びたり入浴したりする際に、簡単に取り外して使用できるようになり、送信部120については防水構造にする必要がなくなったため低コストでの実現が可能となった。
【0074】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、センサ部が電池を内蔵せず、成分測定部115において測定に必要な電力を、すべて送信部120が供給する構成とした。しかしながら、本発明はこれに限定されず、センサ部に電池を内蔵させ、成分測定部115による測定において必要な電源については当該内蔵した電池が供給するように構成してもよい。
【0075】
<1.体液成分測定システムの機能構成>
図7は、本実施形態における体液成分測定システム700の機能構成を示す図である。なお、以下では、図2に示す体液成分測定システム100との相違点を中心に説明する。
【0076】
図7において、711はボタン型の小型の1次電池(アルカリ電池、リチウム電池等)であり、成分測定部115に電力を供給する。ICタグ117は、送信部120において発生した電磁界により生じた起電力により起動し、1次電池711の電力によって成分測定部115が動作するように制御する。また、成分測定部115からの測定結果をA/D変換することで得られたデジタルの測定信号を送信部120に送信する。
【0077】
このように、本実施形態における体液成分測定システム700では、センサ部710に1次電池711を内蔵させ、当該1次電池711から供給される電力により成分測定部115を動作させる構成とすることで、成分測定部115による測定を安定して行うことが可能となる。なお、成分測定部115から測定信号を送信部120に送信するには、ICタグ117にて生じる起電力または1次電池711から供給される電力が使用される。
【0078】
<2.測定処理>
次に、体液成分測定システム700における測定処理(第1の実施形態におけるステップS305)の詳細について説明する。図8は、体液成分測定システム700における測定処理(ステップS305)の詳細な流れを示すフローチャートである。
【0079】
なお、ステップS511からステップS516までの処理は、第1の実施形態に係る図5のステップS511からステップS516までの処理と同じであるため、説明は省略する。
【0080】
ステップS513においてICタグ送受信モジュール122が電磁界を発生することにより、ステップS501ではICタグ117において起電力が発生する。これにより、ステップS801では、ICタグ117が起動し、1次電池711から成分測定部115への電力の供給を行うよう制御する。これにより、ステップS802では、1次電池711から成分測定部115への電力の供給が開始され、成分測定部115が起動する。
【0081】
ステップS503からステップS505までの処理は、図5のステップS503からステップS505までの処理と同じであるため、ここでは説明は省略する。
【0082】
ステップS803では、ICタグ117が、1次電池711からの成分測定部115への電力の供給を終了するよう制御する。これにより、1次電池711から成分測定部115への電力の供給が終了する。
【0083】
<3.送信部の電磁界発生タイミング及び2次電池の残量の推移及びセンサ部の1次電池の残量の推移>
次に、体液成分測定システム700の測定処理時の、送信部120の電磁界発生タイミング及び2次電池224の残量の推移及びセンサ部710の1次電池711の残量の推移について説明する。図9は、体液成分測定システム700の測定処理時の、送信部120の電磁界発生タイミング及び2次電池224の残量の推移及びセンサ部710の1次電池711の残量の推移を示す模式図である。
【0084】
図9に示すように、測定処理が開始されると、所定周期600ごとにICタグ送受信モジュール122が電磁界を発生し、ICタグ117が起動する。この結果、2次電池224の残量は、所定周期600ごとに減少していく。また、ICタグ117の起動に伴って、1次電池711から成分測定部115へと電力が供給され、成分測定部115において測定が行われる。この結果、1次電池711の残量も、所定周期600ごとに減少していく。
【0085】
ここで、複数回の測定が実行された後、例えば、被検者がシャワーを浴びたりお風呂に入ったりするために、送信部120を一時的にセンサ部710から取り外し、充電を行ったとする(タイミング601)。
【0086】
これにより、2次電池224の残量は増加していき、タイミング602では充電が完了することとなる。その後、被検者が再び送信部120をセンサ部710に取り付け、電源をONにすると、測定処理が再開され、再び、所定周期600ごとにICタグ送受信モジュール122が電磁界を発生し、ICタグ117が起動する。この結果、送信部120内の2次電池224の残量は、所定周期600ごとに減少していく。
【0087】
一方、1次電池711は充電されることなく、所定周期600ごとに継続して減少していく。このため、1次電池711は、センサ部710の交換周期内における測定頻度の上限に応じた容量を有している。
【0088】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る体液成分測定システム700では、センサ部710と送信部120との間におけるICタグ起動用の電力の供給及び測定信号の送信を、ICタグ117とICタグ送受信モジュール122とを用いて行う構成とし、更に、センサ部110に測定用の電源として1次電池を内蔵させる構成とした。
【0089】
これにより、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることが可能となるとともに、成分測定部を安定して動作させることが可能となった。
【0090】
[第3の実施形態]
上記第1の実施形態では、センサ部に1次電池を内蔵させる構成としたが、本発明はこれに限定されず、センサ部に充電可能な2次電池を内蔵させる構成としてもよい。
【0091】
<1.体液成分測定システムの機能構成>
図10は、本実施形態における体液成分測定システム1000の機能構成を示す図である。なお、以下では、図2に示す体液成分測定システム100または図7に示す体液成分測定システム700との相違点を中心に説明する。
【0092】
図10において、1011はボタン型の小型の2次電池(リチウムイオン電池等)であり、成分測定部115に電力を供給する。ICタグ117は、送信部120において発生した電磁界により生じた起電力により起動し、2次電池1011の電力によって成分測定部115が動作するように制御する。また、成分測定部115からの測定結果をA/D変換することにより得られたデジタルの測定信号を送信部120に送信する。
【0093】
更に、2次電池1011の残量が所定値以下になった場合には、送信部120において発生した電磁界により生じた起電力により、2次電池1011を充電する。
【0094】
このように、本実施形態における体液成分測定システム1000では、センサ部1010に2次電池1011を内蔵させ、当該2次電池1011から供給される電力により成分測定部115を動作させる構成とすることで、成分測定部115による測定を安定して行うことが可能となる。更に、2次電池1011の残量が所定値以下になった場合には、当該2次電池を充電することができるため、センサ部1010における電池切れの心配もなくなり、より大きな電力を消費するセンサへの対応も可能となる。
【0095】
なお、成分測定部115から測定信号を送信部120に送信するには、ICタグ117にて生じる起電力または2次電池1011から供給される電力が使用される。
【0096】
<2.測定処理>
次に、体液成分測定システム1000における測定処理(第1の実施形態におけるステップS305)の詳細について説明する。図11は、体液成分測定システム1000における測定処理(ステップS305)の詳細な流れを示すフローチャートである。
【0097】
なお、ステップS511からステップS515までの処理は、第2の実施形態に係る図8のステップS511からステップS515までの処理と同じであるため、説明は省略する。
【0098】
ステップS513においてICタグ送受信モジュール122が起動することにより、ステップS501ではICタグ117において起電力が発生する。ステップS1101では、ICタグ117が起動することで、2次電池1011から成分測定部115に電力を供給するように制御する。これにより、ステップS1102では、2次電池1011から成分測定部115への電力の供給が開始され、成分測定部115が起動する。
【0099】
ステップS503からステップS504までの処理は、図8のステップS503からステップS504までの処理と同じであるため、ここでは説明は省略する。
【0100】
ステップS1103では、ICタグ117が、デジタル信号に変換された蛍光強度を示す測定信号をICタグ送受信モジュール122に送信する。また、ICタグ117では、2次電池1011の残量を検出し、検出結果を2次電池残量データとして、ICタグ送受信モジュール122に送信する。
【0101】
ステップS1104では、ICタグ117が、2次電池1011から成分測定部115への電力の供給を終了するよう制御する。これにより、2次電池1011から成分測定部115への電力の供給が終了する。
【0102】
センサ部1010より送信された測定信号を受信した送信部120では、ステップS1111において、センサ部1010より送信された2次電池残量データが所定値以下であるか否かを判定する。ステップS1111において、2次電池残量データが所定値以下であると判定された場合には、ステップS1112に進み、所定値以下でないと判定された場合には、ステップS516に進む(なお、ステップS516における処理は、図8のステップS516における処理と同様であるため、ここでは説明は省略する)。
【0103】
ステップS1112では、ICタグ送受信モジュール122を駆動する。ステップS1105では、ICタグ送受信モジュール122において発生した電磁界により、ICタグ117において起電力が発生する(つまり、送信部120からセンサ部1010に電力が供給される)。
【0104】
一方、ステップS1105では、ICタグ117が、2次電池残量データが所定値以下であるか否かを判定する。ステップS1105において、2次電池残量データが所定値以下であると判定された場合には、ステップS1106に進み、ステップS1112における送信部120からの電力の供給に伴って、ICタグ117が起動し、発生した起電力が2次電池1011に蓄電されるよう制御する。これにより、ステップS1106では、2次電池1011が充電される。
【0105】
一方、ステップS1105において、2次電池残量データが所定値以下でないと判定された場合には、測定処理を終了する。
【0106】
<3.送信部の電磁界発生タイミング及び2次電池の残量の推移、センサ部の2次電池の残量の推移>
次に、体液成分測定システム1000の測定処理時の、送信部120の電磁界発生タイミング及び2次電池224の残量の推移及びセンサ部1010の2次電池1011の残量の推移について説明する。図12は、体液成分測定システム1000の測定処理時の、送信部120の電磁界発生タイミング及び2次電池224の残量の推移及びセンサ部1010の2次電池1011の残量の推移を示す模式図である。
【0107】
図12に示すように、測定処理が開始されると、所定周期600ごとにICタグ送受信モジュール122が電磁界を発生し、ICタグ117が起動する。この結果、2次電池224の残量は、所定周期600ごとに減少していく。また、ICタグ117の起動に伴って、2次電池1011から成分測定部115への電力の供給が開始され、測定が行われる。この結果、2次電池1011の残量も、所定周期600ごとに減少していく。
【0108】
ここで、複数回の測定が実行された後、例えば、被検者がシャワーを浴びたりお風呂に入ったりするために、送信部120を一時的にセンサ部1010から取り外し、充電を行ったとする(タイミング601)。
【0109】
これにより、2次電池224の残量は増加していき、タイミング602では充電が完了することとなる。その後、被検者が再び送信部120をセンサ部1010に取り付け、電源をONにすると、測定処理が再開され、再び、所定周期600ごとにICタグ送受信モジュール122が電磁界を発生し、ICタグ117が起動する。この結果、2次電池224の残量は、所定周期600ごとに減少していく。
【0110】
一方、2次電池1011の残量は所定周期600ごとに継続して減少していくが、残量が所定値以下になったと判定されると、送信部120では、電磁界発生頻度を変更してICタグ送受信モジュール122を駆動することで、2次電池1011の充電のための電磁界を発生する(タイミング1201)。ただし、この場合でも、測定頻度は変更されないものとする。
【0111】
これにより、送信部120の2次電池224の残量は減少するが、センサ部1010の2次電池1011の残量は増加することとなる。つまり、センサ部1010内の2次電池1011は、センサ部1010の交換周期内における測定頻度に依存しない容量とすることができる。
【0112】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る体液成分測定システム1000では、センサ部1010と送信部120との間におけるICタグ起動用の電力の供給、2次電池充電用の電力の供給及び測定信号の送信を、ICタグ117とICタグ送受信モジュール122とを用いて行う構成とし、更に、センサ部1010に測定用の電源として2次電池を内蔵させる構成とした。
【0113】
これにより、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることが可能となるとともに、成分測定部を安定して動作させることが可能となった。更に、センサ部における電力切れを回避することが可能となった。
【0114】
なお、本実施形態では、先に生体成分の測定および測定信号の送信を行った後、2次電池を充電するように構成されているが、先に2次電池の充電を行った後、生体成分の測定および測定信号の送信を行うように構成してもよい。これにより、測定等の直前に充電されるので確実に電力を測定等に供給することができる。
【0115】
[第4の実施形態]
上記第3の実施形態では、センサ部に充電可能な2次電池を内蔵させる構成としたが、本発明はこれに限定されず、センサ部にコンデンサ(キャパシタ)を配し、当該コンデンサに充電する構成としてもよい。
【0116】
<1.体液成分測定システムの機能構成>
本実施形態における体液成分測定システムの機能構成は、上記第1の実施形態において図2を用いて説明した機能構成と同じであるため、ここでは説明を省略する。ただし、図2に示す体液成分測定システムのうち、センサ部110に配されたICタグ117は、更に、コンデンサが内蔵されているものとする。なお、以下、コンデンサが内蔵されたICタグ117を備える体液成分測定システムを、体液成分測定システム1300として説明する。
【0117】
コンデンサが内蔵されたICタグ117は、送信部120において発生した電磁界により生じた起電力により起動するとともに、当該起電力をコンデンサに蓄える。そして、コンデンサに蓄えられた電力によって成分測定部115が動作するように制御する。
【0118】
このように、本実施形態における体液成分測定システム1300では、センサ部110にコンデンサを内蔵させ、当該コンデンサに蓄えられた電力により成分測定部115を動作させる構成とすることで、成分測定部115による測定を安定して行うことが可能となる。
【0119】
<2.測定処理>
次に、体液成分測定システム1300における測定処理(第1の実施形態におけるステップS305)の詳細について説明する。図13は、体液成分測定システム1300における測定処理(ステップS305)の詳細な流れを示すフローチャートである。
【0120】
なお、ステップS511からステップS512までの処理は、第1の実施形態に係る図5のステップS511からステップS512までの処理と同じであるため、説明は省略する。
【0121】
ステップS1313においてICタグ送受信モジュール122が起動することにより、ステップS1301ではICタグ117において起電力が発生する。これにより、ステップS1302では、ICタグ117が起動し、ステップS1303では、発生した起電力の一部が、コンデンサに充電される。更に、ステップS1304では、コンデンサに充電された充電量を、送信部120に送信する。
【0122】
センサ部110より送信されたコンデンサ充電量に基づいて、送信部120では、ステップS1314において、当該コンデンサ充電量が所定値以下であるか否かを判定する。ステップS1314において、所定値以下であると判定された場合には、ステップS1313に戻り、コンデンサ充電量が所定値を超えるまで上記処理を繰り返す。一方、ステップS1314において、所定値以下でないと判定された場合には、ステップS513に進む。
【0123】
ステップS513からステップS516までの処理は、第1の実施形態に係る図5のステップS513からステップS516までの処理と同じであるため、説明は省略する。
【0124】
ステップS513においてICタグ送受信モジュール122が起動することにより、ステップS501ではICタグ117において起電力が発生する。ステップS502では、ICタグ117が起動し、ステップS1305では、コンデンサから成分測定部115への電力の供給が開始され、成分測定部115が起動する。
【0125】
ステップS503からステップS505までの処理は、図5のステップS503からステップS505までの処理と同じであるため、ここでは説明は省略する。
【0126】
ステップ1306では、ICタグ117が、コンデンサから成分測定部115への電力の供給を終了するよう制御する。これにより、コンデンサから成分測定部115への電力の供給が終了する。
【0127】
<3.送信部の電磁界発生タイミング及び2次電池の残量の推移、センサ部のコンデンサの残量の推移>
次に、体液成分測定システム1300の測定処理時の、送信部120の電磁界発生タイミング及び2次電池224の残量の推移及びセンサ部110のコンデンサの残量の推移について説明する。図14は、体液成分測定システム1300の測定処理時の、送信部120の電磁界発生タイミング及び2次電池224の残量の推移及びセンサ部110のコンデンサの残量の推移を示す模式図である。
【0128】
図14に示すように、測定処理が開始されると、所定周期600ごとに2回続けてICタグ送受信モジュール122が電磁界を発生し、それぞれICタグ117が起動する。この結果、2次電池224の残量は、所定周期600ごとに減少していく。また、1回目のICタグ117の起動に伴って、コンデンサが充電されるとともに、2回目のICタグ117の起動に伴って、コンデンサから成分測定部115への電力の供給が開始され、測定が行われる。これによりコンデンサの残量が減り、測定が完了した後は、自然放電によって、徐々に残量が減っていく。
【0129】
ここで、複数回の測定が実行された後、例えば、被検者がシャワーを浴びたりお風呂に入ったりするために、送信部120を一時的にセンサ部110から取り外し、充電を行ったとする(タイミング601)。
【0130】
これにより、2次電池224の残量は増加していき、タイミング602では充電が完了することとなる。その後、被検者が再び送信部120をセンサ部110に取り付け、電源をONにすると、測定処理が再開され、再び、所定周期600ごとに2回続けてICタグ送受信モジュール122が電磁界を発生し、それぞれICタグ117が起動する。この結果、2次電池224の残量は、所定周期600ごとに減少していく。一方、コンデンサは所定周期600ごとに充電と放電とが繰り返される。
【0131】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る体液成分測定システム1300では、センサ部110と送信部120との間におけるICタグ起動用の電力の供給、コンデンサ充電用の電力の供給及び測定信号の送信を、ICタグ117とICタグ送受信モジュール122とを用いて行う構成とし、更に、センサ部110に測定用の電源としてコンデンサを内蔵させる構成とした。
【0132】
これにより、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることが可能となるとともに、成分測定部を安定して動作させることが可能となった。更に、センサ部における電力切れを回避することが可能となった。
【0133】
[第5の実施形態]
上記第1〜第4の実施形態では、SMBGによって予め測定することにより得られた血糖値を表示部130を介して入力することで、送信部120において校正値データを算出する構成としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、SMBGに用いる血糖計にICタグを設け、該血糖計からICタグ送受信モジュール122を介して直接送信部120に校正用の血糖値を入力する構成としてもよい。
【0134】
図15は、外部の血糖計(不図示)から校正用の血糖値を送信部1520で直接受け取る体液成分測定システム1500の機能構成を示す図である。図15に示すように、血糖値を算出する際に、外部の血糖計から直接IC送受信モジュール122に血糖値が送信される構成とすることで、表示部1530を介して校正値データを算出するための情報を送信する必要がなくなるため、表示部1530では送受信モジュールの代わりに受信モジュール1531が配されることとなる。
【0135】
同様に、表示部1530から校正値データを算出するための情報を受信する必要がなくなるため、送信部1520では、送受信モジュールの代わりに送信モジュール1523が配されることとなる。この結果、より簡素なシステムを構築することが可能となる。
【0136】
以上、図1〜15に基づいて第1〜第5の実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、上記第1〜第5の実施形態では、表示部を、被検者から離れた位置に載置する表示装置として構成したが、本発明はこれに限定されず、表示部は、被検者に着脱可能に装着できる表示装置として構成してもよい。
【0137】
具体的には、表示部を被検者の手首や足首に装着できるように構成してもよいし、被検者の首からぶら下げることができるように構成してもよい。あるいは、被検者の腰回りに装着できるように構成してもよい。これにより、被検者は、算出された血糖値を直ちに確認することができる。
【0138】
また、上記第1〜第5の実施形態では、ICタグ117とICタグ送受信モジュール122間のデータの伝達方式として、電磁誘導方式を用いる場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、電磁波方式を用いてもよい。また、タグの種類として、受動タグを用いる場合について説明したが、他の種類のタグを用いてもよい。つまり、本発明は、RFIDタグとして使用される、近接または近傍界の非接触通信方式であれば、いずれの通信方式を用いてもよい。
【0139】
また、上記第1〜第5の実施形態では、血糖値の測定方法として蛍光強度を測定する蛍光センサを用いる場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、他の測定方法(例えばGODセンサ)を用いるようにしてもよい。
【0140】
また、上記第1〜第5の実施形態では、特に、間質液を測定対象とし、当該間質液に含まれるグルコース量を基に血糖値を算出することとしたが、本発明はこれに限定されず、周知の測定方法で測定し、濃度の算出が可能である体液成分であればどのような体液成分であってもよい。
【0141】
例えば、高血圧の患者の場合、塩分やコレステロールのような体液成分をモニタリングする必要があり、それらの濃度を算出するように構成してもよい。あるいは、血液に含まれるミネラル、タンパク質、脂質など、様々な成分の濃度を算出するように構成してもよい。
【0142】
[第6の実施形態]
上記第1〜第5の実施形態では、センサ部110の底面中央部に成分測定部115に接続された針114を設け、底面に略垂直な方向に穿刺する構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、斜めに穿刺するよう構成するとともに、針は着脱可能に構成してもよい。
【0143】
図16は、本実施形態におけるセンサ部1600(被検体に対して斜めに穿刺可能なセンサ部)の外観構成及びその穿刺状態を示す図である。このうち、(A−1)はセンサ部1600の側面図であり、(A−2)は導入針1614が取り付けられた状態のセンサ部1600の平面図であり、(A−3)は導入針1614が取り外された状態のセンサ部1600の平面図である。
【0144】
(A−3)に示すように、センサ部1600には、本体部111の側面端部からセンサ部1600の底面に略平行に延びる穿刺部1619が設けられており、穿刺部1619の先端には成分測定部115が取り付けられている。なお、本体部111と穿刺部1619は一部材からなり、可撓性を有する。
【0145】
また、本体部111の内部には、アンテナ112とICチップ113と不図示のA/D変換回路とを備えるICタグ117が設けられており、送信部120において発生した電磁界により生じた起電力を電源として動作し、成分測定部115による測定を制御するとともに、測定結果をICチップ113のメモリ内に記憶したり、送信部120に送信したりするよう構成されている。本体部111の上面には係止部116が設けられ、送信部120を上面側に係止できるよう構成されている。
【0146】
更に、(A−2)に示すように、本体部111の側面、成分測定部115及び穿刺部1619には、導入針1614が着脱可能に取り付けられている。本実施形態におけるセンサ部1600は、導入針1614が被検者の皮膚に穿刺されることで、導入針1614の内部に配された成分測定部115及び穿刺部1619が被検者の皮下に導かれる。これにより、成分測定部115は体液と接触することとなる。
【0147】
また、(A−1)に示すように、成分測定部115及び穿刺部1619を覆うように取り付けられた導入針1614には、切り欠き部1618が全長にわたって設けられている。このため、導入針1614は、被検体の皮膚に穿刺されることで、成分測定部115を被検者の皮下に導いた後、取り外すことができる。
【0148】
(B−1)は導入針1614により被検者の皮膚に、成分測定部115が穿刺された様子を示している。(B−1)に示すように、導入針1614が被検者の皮膚に斜めに穿刺されることで、成分測定部115は皮下に導かれる。
【0149】
上述したように、導入針1614には切り欠き部1618が設けられているため、被検体の皮膚に穿刺された状態で、導入針1614を矢印方向に引き抜くことで、導入針1614のみを取り外すことができる。
【0150】
(B−2)は、被検体の皮膚に穿刺された後に、導入針1614のみを取り外した様子を示す図である。なお、本体部111および穿刺部1619は、ポリイミド等の樹脂により形成されている。穿刺部1619は、導入針1614を取り外した後、皮膚に挿入されていない部分を中心に湾曲するように折れ曲がり、本体部111はその下面に設けられた接着剤(不図示)によって被検体の皮膚に沿って貼り付けられることとなる。なお、ICチップ113やA/D変換回路(不図示)は厚みを有するため、導入針1614が通過する部分を避けて配置されている。
【0151】
このように、上記第1〜第5の実施形態に示す体液成分測定システムは、図16に示すセンサ部(斜めに穿刺され、針が着脱可能に構成されたセンサ部)を用いて構成することが可能である。
【0152】
[第7の実施形態]
上記第6の実施形態では、穿刺部が本体部の側面端部から延びる構成としたが、本発明はこれに限定されず、穿刺部が本体部の側面中央部から延びる構成であってもよい。
【0153】
図17は、本実施形態におけるセンサ部1700(被検体に対して斜めに穿刺可能なセンサ部)の外観構成及びその穿刺状態を示す図である。このうち、(A−1)はセンサ部1700の側面図であり、(A−2)は導入針1714が取り付けられた状態のセンサ部1700の平面図であり、(A−3)は導入針1714が取り外された状態のセンサ部1700の平面図である。
【0154】
(A−3)に示すように、センサ部1700には、本体部111の側面中央からセンサ部1700の底面に略平行に延びる穿刺部1719が設けられており、穿刺部1719の先端には成分測定部115が取り付けられている。本体部111と穿刺部1719は一部材からなり、可撓性を有する。
【0155】
また、本体部111の内部には、アンテナ112とICチップ113と不図示のA/D変換回路とを備えるICタグ117が設けられており、送信部120において発生した電磁界により生じた起電力を電源として動作し、成分測定部115による測定を制御するとともに、測定結果をICチップ113のメモリ内に記憶したり、送信部120に送信したりするよう構成されている。本体部111の上面には係止部116が設けられ、送信部120を上面側に係止できるよう構成されている。
【0156】
更に、(A−2)に示すように、成分測定部115及び穿刺部1719には、導入針1714が着脱可能に取り付けられている。本実施形態におけるセンサ部1700は、導入針1714が被検者の皮膚に穿刺されることで、導入針1714の内部に配された成分測定部115及び穿刺部1719が被検者の皮下に導かれる。これにより、成分測定部115は体液と接触することとなる。
【0157】
また、(A−1)に示すように、成分測定部115及び穿刺部1719を覆うように取り付けられた導入針1714には、切り欠き部1718が全長にわたって設けられている。このため、導入針1714は、被検体の皮膚に穿刺されることで、成分測定部115を被検者の皮下に導いた後、つまみ部1714Aを引っ張ることで取り外すことができる。
【0158】
(B−1)は導入針1714により被検者の皮膚に、成分測定部115が穿刺された様子を示している。(B−1)に示すように、導入針1714が被検者の皮膚に斜めに穿刺されることで、成分測定部115は皮下に導かれる。
【0159】
なお、本体部111及び穿刺部1719は、ポリイミド等の樹脂により形成されており、導入針1714が被検体の皮膚に斜めに穿刺された後、穿刺部1719は皮膚に挿入されていない部分を中心に湾曲するように折れ曲がり、本体部111は、その下面に設けられた接着剤(不図示)によって被検体の皮膚に沿って貼り付けられる。その後、導入針1714が皮膚から引き抜かれて、センサ部1700の載置が完了する。
【0160】
上述したように、導入針1714には切り欠き部1718が設けられているため、被検体の皮膚に穿刺された状態で、つまみ部1714Aを引っ張り、導入針1714を矢印方向に引き抜くことで、導入針1714のみを取り外すことができる。
【0161】
(B−2)は、被検体の皮膚に穿刺された後に、導入針1714のみを取り外した様子を示す図である。
【0162】
このように、上記第1〜第6の実施形態に示す体液成分測定システムは、図17に示すセンサ部(斜めに穿刺され、針が着脱可能に構成されたセンサ部)を用いて構成することが可能である。
【符号の説明】
【0163】
100:体液成分測定システム、110:センサ部、111:本体部、112:アンテナ、113:ICチップ、114:針、115:成分測定部、116:係止部、117:ICタグ、120:送信部、121:ハウジング、122:ICタグ送受信モジュール、123:係止部、124:電源スイッチ、125:ランプ、126:スピーカ、127:充電用コネクタ、130:表示部、131:表示領域、132:入力部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の皮膚に留置され、該被検者の体液に導通されて所定の体液成分を測定するセンサ部と、
前記センサ部に着脱可能に取り付けられ、前記センサ部において測定された測定信号、または、該測定信号をもとに前記体液成分の前記体液と同種または異種の体液中の濃度として算出された算出結果を、表示装置に送信する送信部と、を備え、
前記センサ部は前記送信部が発生する電磁界による電磁誘導により起動されることで、前記体液成分の測定と、前記測定信号の前記送信部への送信とを行うことを特徴とする体液成分測定システム。
【請求項2】
前記センサ部はICタグを内蔵しており、
前記送信部が電磁界を発生させた場合、前記センサ部では、前記ICタグにて生じる起電力を用いて、前記体液成分の測定と、前記測定信号の前記送信部への送信とを行うことを特徴とする請求項1に記載の体液成分測定システム。
【請求項3】
前記センサ部はICタグと1次電池とを内蔵しており、
前記送信部が電磁界を発生させた場合、前記センサ部では、前記1次電池により供給される電力を用いて前記体液成分の測定を行い、前記ICタグにて生じる起電力または前記1次電池により供給される電力を用いて、前記測定信号の前記送信部への送信を行うことを特徴とする請求項1に記載の体液成分測定システム。
【請求項4】
前記センサ部はICタグと、2次電池またはコンデンサとを内蔵しており、
前記送信部が電磁界を発生させた場合、前記センサ部では、前記ICタグにて生じる起電力を用いて、前記2次電池またはコンデンサの充電を行い、該2次電池またはコンデンサにより供給される電力を用いて前記体液成分の測定を行い、該ICタグにて生じる起電力、または、前記2次電池またはコンデンサにより供給される電力を用いて、前記測定信号の前記送信部への送信を行うことを特徴とする請求項1に記載の体液成分測定システム。
【請求項5】
前記ICタグは、前記2次電池またはコンデンサの残量を検出し、当該検出結果の前記送信部への送信を行うことを特徴とする請求項4に記載の体液成分測定システム。
【請求項6】
前記送信部では、前記検出結果に応じて、前記電磁界を発生させる頻度を変更することを特徴とする請求項5に記載の体液成分測定システム。
【請求項7】
前記送信部または前記表示装置では、前記センサ部の測定信号を受信した場合に、該測定信号と校正値データを用いることにより前記体液成分の前記体液と同種または異種の体液中の濃度を算出することを特徴とする請求項1に記載の体液成分測定システム。
【請求項8】
前記校正値データは、外部機器で測定された前記同種または異種の体液中の前記体液成分の濃度と前記センサ部において測定された測定信号を元に算出されるものであり、該外部機器で測定された前記体液成分の濃度が、該外部機器から前記表示装置に送信されるか、前記表示装置を介して前記送信部に送信されるか、または、前記送信部に直接送信されることを特徴とする請求項7に記載の体液成分測定システム。
【請求項9】
前記送信部は、充電可能な2次電池により動作するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の体液成分測定システム。
【請求項1】
被検者の皮膚に留置され、該被検者の体液に導通されて所定の体液成分を測定するセンサ部と、
前記センサ部に着脱可能に取り付けられ、前記センサ部において測定された測定信号、または、該測定信号をもとに前記体液成分の前記体液と同種または異種の体液中の濃度として算出された算出結果を、表示装置に送信する送信部と、を備え、
前記センサ部は前記送信部が発生する電磁界による電磁誘導により起動されることで、前記体液成分の測定と、前記測定信号の前記送信部への送信とを行うことを特徴とする体液成分測定システム。
【請求項2】
前記センサ部はICタグを内蔵しており、
前記送信部が電磁界を発生させた場合、前記センサ部では、前記ICタグにて生じる起電力を用いて、前記体液成分の測定と、前記測定信号の前記送信部への送信とを行うことを特徴とする請求項1に記載の体液成分測定システム。
【請求項3】
前記センサ部はICタグと1次電池とを内蔵しており、
前記送信部が電磁界を発生させた場合、前記センサ部では、前記1次電池により供給される電力を用いて前記体液成分の測定を行い、前記ICタグにて生じる起電力または前記1次電池により供給される電力を用いて、前記測定信号の前記送信部への送信を行うことを特徴とする請求項1に記載の体液成分測定システム。
【請求項4】
前記センサ部はICタグと、2次電池またはコンデンサとを内蔵しており、
前記送信部が電磁界を発生させた場合、前記センサ部では、前記ICタグにて生じる起電力を用いて、前記2次電池またはコンデンサの充電を行い、該2次電池またはコンデンサにより供給される電力を用いて前記体液成分の測定を行い、該ICタグにて生じる起電力、または、前記2次電池またはコンデンサにより供給される電力を用いて、前記測定信号の前記送信部への送信を行うことを特徴とする請求項1に記載の体液成分測定システム。
【請求項5】
前記ICタグは、前記2次電池またはコンデンサの残量を検出し、当該検出結果の前記送信部への送信を行うことを特徴とする請求項4に記載の体液成分測定システム。
【請求項6】
前記送信部では、前記検出結果に応じて、前記電磁界を発生させる頻度を変更することを特徴とする請求項5に記載の体液成分測定システム。
【請求項7】
前記送信部または前記表示装置では、前記センサ部の測定信号を受信した場合に、該測定信号と校正値データを用いることにより前記体液成分の前記体液と同種または異種の体液中の濃度を算出することを特徴とする請求項1に記載の体液成分測定システム。
【請求項8】
前記校正値データは、外部機器で測定された前記同種または異種の体液中の前記体液成分の濃度と前記センサ部において測定された測定信号を元に算出されるものであり、該外部機器で測定された前記体液成分の濃度が、該外部機器から前記表示装置に送信されるか、前記表示装置を介して前記送信部に送信されるか、または、前記送信部に直接送信されることを特徴とする請求項7に記載の体液成分測定システム。
【請求項9】
前記送信部は、充電可能な2次電池により動作するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の体液成分測定システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−212117(P2011−212117A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−81405(P2010−81405)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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