体積ホログラム、光源装置、照明装置、モニタ装置及び画像表示装置
【課題】外部共振器を用いる構成においてスペックルノイズを低減可能な光源装置等を提供すること。
【解決手段】複数の波長のコヒーレント光を回折させる体積ホログラムであって、入射するコヒーレント光の各波長に対応させて、コヒーレント光が入射する入射端面2aとのなす角度が異なる干渉縞14a,14b,14cが複数記録されていることを特徴とする。
【解決手段】複数の波長のコヒーレント光を回折させる体積ホログラムであって、入射するコヒーレント光の各波長に対応させて、コヒーレント光が入射する入射端面2aとのなす角度が異なる干渉縞14a,14b,14cが複数記録されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体積ホログラム、光源装置、照明装置、モニタ装置及び画像表示装置、特に、レーザ光を供給する光源装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モニタ装置や画像表示装置の光源装置として、レーザ光を供給するレーザ光源を用いる技術が提案されている。モニタ装置や画像表示装置の光源装置として従来用いられているUHPランプと比較すると、レーザ光源を用いる光源装置は、高い色再現性、瞬時点灯が可能、長寿命である等の利点がある。コヒーレント光であるレーザ光を拡散面に照射させると、明点及び暗点がランダムに分布するスペックルパターンと呼ばれる干渉模様が現れることがある。スペックルパターンは、拡散面の各点で拡散した光同士がランダムに干渉し合うことにより発生する。画像を表示する際にスペックルパターンが認識されると、ぎらぎらとするちらつき感を観察者へ与えるため、画像観賞へ悪影響を及ぼすこととなる。このため、レーザ光源を用いる場合、スペックルノイズに対する対策を講じる必要がある。スペックルノイズに対する対策として、例えば、異なる波長のレーザ光を供給する複数の発光素子をアレイ状に配置する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。レーザ光のコヒーレンス長はレーザ光のスペクトル幅におよそ反比例することから、スペクトル幅を広くすることでコヒーレンス長を短くし、スペックルノイズを低減することが可能となる。また、レーザ光源は、レーザ光を共振させる外部共振器を用いることで、レーザ光の高出力化が可能となる。外部共振器としては、例えば、体積ホログラムを用いる技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。体積ホログラムを用いることで、レーザ光の狭帯域化が可能となる。
【0003】
【特許文献1】特表2004−503923号公報
【特許文献2】特開2001−284718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外部共振器を備える構成の場合、レーザ光を発振させるには、高い波長選択性を持つ共振ミラーを用いる必要がある。発光素子からレーザ光を射出させる段階で広いスペクトル幅を確保したとしても、外部共振器においてレーザ光は狭帯域化される。外部共振器でレーザ光が狭帯域化されると、スペックルノイズを低減することが困難となる。これに対して、レーザ光の波長幅を広げるために、共振ミラーの選択波長幅を広げることとすると、レーザ光の共振が困難となり、外部共振器が機能しなくなる。また、体積ホログラムを用いる場合、射出光の波長幅をサブナノメートルオーダーにまで狭くすることが可能である。このような射出光の狭帯域化は、レーザ光としての特性を向上させるものである一方、スペックルノイズの低減には不利に働くこととなる。異なる波長のレーザ光を共振させるためには、アレイ状に配置された各発光素子の各波長に対応して複数の体積ホログラムを用いることも可能である。しかしこの場合、発光素子及び体積ホログラムの全てについてアライメントが必要となるため、光源装置の組立が非常に困難となる。以上のように、従来の技術によると、外部共振器を用いる構成においてスペックルノイズを低減することが困難であるという問題を生じる。本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、外部共振器を用いる構成においてスペックルノイズを低減可能な体積ホログラム、光源装置、その光源装置を用いる照明装置、モニタ装置及び画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の体積ホログラムは、複数の波長のコヒーレント光を回折させる体積ホログラムであって、入射する前記コヒーレント光の各波長に対応させて、前記コヒーレント光が入射する入射端面とのなす角度が異なる干渉縞が複数記録されていることを特徴とする。
【0006】
本発明に係る体積ホログラムでは、例え、複数の干渉縞の間隔が等しくても、入射するコヒーレント光の各波長に対応させて入射端面とのなす角度が異なる干渉縞が複数記録されているため、複数の干渉縞の傾斜角に応じて光の光学的距離が変化する。これにより、各干渉縞に応じた波長の光が射出される。したがって、体積ホログラムを透過した光の波長帯域の出力スペクトル幅が広がることになり、射出される光のスペックルノイズを低減することが可能となる。
【0007】
また、本発明の体積ホログラムは、前記複数の干渉縞同士のなす角度が等間隔に異なることが好ましい。
【0008】
本発明に係る体積ホログラムでは、複数の干渉縞同士のなす角度が等間隔に異なるため、光を入射させると等間隔に波長が選択される。したがって、入射した光のうち選択される光の波長は必ず重なることがないため、複数の波長のコヒーレント光を入射させることにより出力スペクトル幅を広げることが可能となる。
【0009】
また、本発明の体積ホログラムは、一方向に前記複数の干渉縞が形成された干渉縞群と、前記一方向と交差する他方向に形成された他の干渉縞群とを有することが好ましい。
【0010】
本発明に係る体積ホログラムでは、一方向に前記複数の干渉縞が形成された干渉縞群と、前記一方向と交差する他方向に形成された他の干渉縞群とを有するため、干渉縞の間隔の種類がさらに増えることになる。これにより、複数の波長のコヒーレント光を入射させることで、選択される光の波長をより狭くすることができる。したがって、出力波長の種類を増やすことにより、スペックルノイズをより低減することが可能となる。
【0011】
また、本発明の体積ホログラムは、前記複数の干渉縞が、入射する前記コヒーレント光の中心軸に対して略垂直方向、あるいは、略平行方向に記録されていることが好ましい。
【0012】
本発明に係る体積ホログラムでは、複数の干渉縞がコヒーレント光の中心軸に対して略垂直方向に記録されている場合は、複数の波長のコヒーレント光を回折(反射)させることが可能である。また、複数の干渉縞がコヒーレント光の中心軸に対して略平行方向に記録されている場合は、複数の波長のコヒーレント光を回折(透過)させることが可能である。
【0013】
本発明の体積ホログラムは、複数の波長のコヒーレント光を回折させる体積ホログラムであって、入射する前記コヒーレント光の各波長に対応させて、前記コヒーレント光が入射する入射端面に対して略平行方向に異なる間隔の干渉縞が複数記録されていることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る体積ホログラムでは、コヒーレント光が入射する入射端面に対して略平行方向に異なる間隔の干渉縞が複数記録されているため、入射端面に対して略垂直にコヒーレント光を入射させることにより、複数の波長に対して波長選択性を持つ共振ミラーとして機能させることができる。このため、体積ホログラムを射出される光のスペックルノイズを低減させるために機能させる外部共振器とすることが可能となる。
【0015】
本発明の光源装置は、複数の発光部を備え、コヒーレント光を供給する光源部と、光源部からのコヒーレント光を共振させる外部共振器と、を有し、外部共振器は、コヒーレント光を回折させる体積ホログラムを備え、光源部は、複数の発光部により複数の波長のコヒーレント光を供給し、体積ホログラムは、体積ホログラムへ入射するコヒーレント光の各波長に対応させて複数種類の異なる間隔で記録された干渉縞により、各波長のコヒーレント光を選択的に射出させることを特徴とする。
【0016】
複数種類の異なる間隔を持たせた干渉縞は、体積ホログラムを多重露光することにより得られる。複数種類の異なる間隔の干渉縞が記録された体積ホログラムは、複数の波長に対して波長選択性を持つ共振ミラーとして機能させることができる。かかる体積ホログラムを用いることで、複数の波長のコヒーレント光を共振させることができる。また、複数の波長のコヒーレント光を射出可能とすることで、コヒーレンス長を短くでき、スペックルノイズを低減することが可能となる。各コヒーレント光に対しては、干渉縞のうちコヒーレント光の波長に対応する間隔の部分のみを機能させることが可能であるため、体積ホログラムに対する各コヒーレント光の入射位置に依存せず各コヒーレント光を共振させることができる。このため、各発光部及び体積ホログラムの複雑なアライメントを不要とし、簡易な組立により製造することができる。これにより、外部共振器を用いる構成においてスペックルノイズを低減可能な光源装置を得られる。
【0017】
また、本発明の体積ホログラムは、体積ホログラムは、体積ホログラムへ入射する各波長のコヒーレント光を選択的に反射させることが望ましい。これにより、体積ホログラムへ入射する各波長のコヒーレント光を共振させることができる。
【0018】
また、本発明の体積ホログラムは、体積ホログラムは、体積ホログラムへ入射するコヒーレント光の波長の間隔に基づいて決定された厚さを持たせて形成されることが望ましい。体積ホログラムの波長選択幅は、体積ホログラムの厚さに依存する。コヒーレントの波長の間隔に応じて体積ホログラムの波長選択幅を決定することで、干渉縞のうち他の波長に対応する部分での無用な回折を防ぐことが可能となる。これにより、光利用効率の低下を低減させることができる。
【0019】
また、本発明の体積ホログラムは、光源部及び外部共振器の間の光路中に配置され、光源部からのコヒーレント光の波長を変換させる波長変換素子を有し、波長変換素子は、波長変換素子へ入射する各波長のコヒーレント光について、波長を変換させることが望ましい。これにより、波長変換素子で波長が変換されたコヒーレント光を射出させることができる。
【0020】
また、本発明の体積ホログラムは、波長変換素子の温度を調整する温度調整部を有し、温度調整部は、波長変換素子へ入射するコヒーレント光の各波長に応じた温度勾配を持たせて波長変換素子の温度を調整することが望ましい。波長変換素子において波長変換可能なコヒーレント光の波長は、波長変換素子の温度に依存する。これにより、波長変換素子へ入射する各波長のコヒーレント光について波長を変換させることが可能となる。
【0021】
さらに、本発明に係る照明装置は、上記の光源装置を有し、光源装置からの光を用いて被照射物を照明することを特徴とする。上記の光源装置を用いることで、高い効率で光を供給可能とし、かつスペックルノイズを低減することができる。これにより、高い効率で、かつスペックルノイズが低減された光を供給可能な照明装置を得られる。
【0022】
さらに、本発明に係るモニタ装置は、上記の照明装置と、照明装置により照明された被写体を撮像する撮像部と、を有することを特徴とする。上記の照明装置を用いることで、高い効率で、かつスペックルノイズが低減された光を供給することができる。これにより、明るく、かつ高品質な像をモニタすることが可能なモニタ装置を得られる。
【0023】
さらに、本発明に係る画像表示装置は、上記の光源装置を有し、光源装置からの光を用いて画像を表示することを特徴とする。上記の光源装置を用いることで、高い効率で光を供給可能とし、かつスペックルノイズを低減することができる。これにより、明るく、かつ高品質な画像を表示可能な画像表示装置を得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0025】
本発明の体積ホログラムの実施例1について、図1及び図2を参照して説明する。
本実施例に係る体積ホログラム2は、図1に示すように、入射する光の各波長に対応させて入射端面2aとのなす角度が異なる干渉縞が複数記録されている。具体的には、体積ホログラム2には、間隔d1で記録された干渉縞14aと、間隔d2で記録された干渉縞14bと、間隔d3で記録された干渉縞14cとが記録されている。また、干渉縞14a〜14cの間隔d1〜d3はすべて等しい。また、干渉縞14aと干渉縞14bとのなす角をθ1とし、干渉縞14bと干渉縞14cとのなす角をθ2とすると、角θ1と角θ2とが同じ角度である。
【0026】
この体積ホログラム2の入射端面2a側から光を入射させると、図2に示すように、複数の波長の光が選択されて射出される。また、角θ1と角θ2とが同じ角度であるため、体積ホログラム2によって選択される光の波長は等間隔に離れている。また、スペックルノイズを低減するためには、スペクトル幅が広く、ビームの数が多いほど効果的である。なお、ここで言う「出力スペクトル幅」とは、異なる中心波長を有する複数の狭帯域のビーム全体を含むスペクトル幅を示している。
【0027】
以上より、本実施例に係る体積ホログラム2では、干渉縞14a〜14cに応じて通過する光の光学的距離が変化するので、干渉縞14a〜14cの間隔d1〜d3が等しくても、干渉縞14a〜14cの入射端面2aとのなす角に応じて出力される光の波長が異なる。したがって、射出された光の波長帯域の出力スペクトル幅が広がることになり、射出される光のスペックルノイズを低減することが可能となる。
【0028】
また、角θ1と角θ2とが同じ角度、すなわち、干渉縞14a〜14c同士のなす角が等間隔に異なるため、選択される光の波長は、確実に隣接する波長と重なることなく出力スペクトル幅を広げることが可能となる。
なお、角θ1と角θ2とは同じ角度としたが、必ずしも同じ角度でなくても良く、間隔d1〜d3がすべて等しくなくても良い。
【実施例2】
【0029】
本発明の体積ホログラムの実施例2について、図3及び図4を参照して説明する。
本実施例の体積ホログラム3は、複数の干渉縞群を有する点において実施例1と異なる。
体積ホログラム3は、図3に示すように、干渉縞群Aと干渉縞群(他の干渉縞群)Bとを有している。干渉縞群Aには、干渉縞14aを基準に角度θ1をなして干渉縞14bが記録され、干渉縞14bと角度θ2をなして干渉縞14cが一方向に記録されている。また、干渉縞群Bには、干渉縞14Aを基準に角度θ1をなして干渉縞14Bが記録され、干渉縞14Bと角度θ2をなして干渉縞14Cが一方向と交差する他方向に記録されている。角θ1と角θ2とが同じ角度である。
また、実施例1と同様に、干渉縞群A及び干渉縞群Bのそれぞれの干渉縞14a〜14c、14A〜14Cの間隔はすべて同じである。
【0030】
この体積ホログラム3の入射端面3a側から光を入射させると、図4に示すように、複数の波長の光が選択されて射出される。また、角θ1と角θ2とが同じ角度であるため、体積ホログラム2によって選択される光の波長は等間隔に離れている。また、スペックルノイズを低減するためには、スペクトル幅が広く、ビームの数が多いほど効果的である。
以上より、本実施例に係る体積ホログラム3では、干渉縞群A及び干渉縞群Bを備えているため、実施例1に比べて、多くの干渉縞14a〜14c、14A〜14Cが記録されているので、実施例1に比べて間隔の狭い複数の波長の光が射出されることになる。すなわち、干渉縞14a〜14c、14A〜14Cの種類が増えることにより、射出される光の波長の種類も増えることになり、さらにスペックルノイズの低減効果を得ることが可能となる。
【0031】
なお、干渉縞群Aと干渉縞群Bとの干渉縞同士のなす角は同じであるとしたが、異なっていても良い。すなわち、干渉縞群Bにおけるなす角θ1,角θ2を角θ3,角θ4とし、干渉縞群Aのなす角θ1,θ2と異なるように干渉縞14A〜14Cを記録しても良い。また、角θ1と角θ2とは同じ角度としたが、必ずしも同じ角度でなくても良い。
【実施例3】
【0032】
本発明の体積ホログラムの実施例3について、図5を参照して説明する。
本実施例の体積ホログラム4は、図5に示すように、入射端面4aに干渉縞が形成されていない。その他の点は、実施例1の体積ホログラム2と同様である。この体積ホログラム4の製造方法としては、例えば、入射端面4a上に回折光学素子を設置して2光束干渉露光を行う。これにより、回折光学素子が設置された面には、干渉縞が記録されず内部にのみ干渉縞が記録される。
したがって、例えば、体積ホログラム4の入射端面4aが若干損傷した場合でも、内部に記録された干渉縞には損傷が受けにくい構成となっている。これにより、歩留まりの高い体積ホログラム4を提供することが可能となる。
【実施例4】
【0033】
本発明の体積ホログラムの実施例4について、図6を参照して説明する。
本実施例の体積ホログラム5は、図6に示すように、入射する光Lの中心軸に対して略垂直な方向に実施例1と同様に干渉縞14a,14b,14cが記録されている。この構成の場合、入射端面5aから光を入射させることにより、ブラック条件を満足する特定の波長の光が回折(反射)し、それ以外の光が透過する。
また、体積ホログラム6が、図7に示すように、入射する光Lの中心軸に略平行な方向、すなわち、厚み方向に実施例1と同様に干渉縞14a,14b,14cが記録されている。この構成の場合、入射端面6aから光を入射させることにより、ブラック条件を満足する特定の波長の光が回折し、それ以外の光が透過する。
以上より、本実施例に係る体積ホログラム5では反射型ホログラムとして使用し、体積ホログラム6では透過型ホログラムとして使用することが可能とである。
【実施例5】
【0034】
本発明の体積ホログラムの実施例5について、図8を参照して説明する。
本実施例の体積ホログラム7は、入射したレーザ光を共振させるものであり、図8に示すように、入射端面7aに対して略平行方向に異なる間隔の干渉縞が複数記録されている。具体的には、体積ホログラム7には、間隔d1で記録された干渉縞15aと、間隔d2で記録された干渉縞15bと、間隔d3で記録された干渉縞15cとが記録されている。また、干渉縞15a〜15cの間隔d1〜d3はすべて異なる。
【0035】
この体積ホログラム7の入射端面7a側から光を入射させると、実施例1と同様に、複数の波長の光が選択されて射出される。また、体積ホログラム7の入射端面7aに対して垂直に光を入射させると、ブラック条件を満足する特定の波長の光が、入射した光の光路と同一の光路を進行するように回折される。
【0036】
以上より、本実施例に係る体積ホログラム7は、上述したホログラム素子2〜6と同様に、複数種類の波長の光が選択されて反射されるため、スペックルノイズを低減させることが可能となる。また、体積ホログラム7を光源装置に用いた場合、外部共振ミラーとして使用させることが可能となる。
【実施例6】
【0037】
図9は、本発明の実施例6に係る光源装置10の概略構成を示す。光源装置10は、半導体レーザ11を有する。半導体レーザ11は、コヒーレント光であるレーザ光を供給する光源部であって、面発光型の半導体レーザである。半導体レーザ11は、互いに並列させて設けられた4つの発光部12を備える。
【0038】
体積ホログラム7としては、本実施例では、実施例5で示したものを用い、半導体レーザ11からのレーザ光の光路中に配置されている。体積ホログラム7は、半導体レーザ11からのレーザ光を共振させる外部共振器である。体積ホログラム7には、二方向から入射させた入射光によって生じた干渉縞15が記録されている。かかる干渉縞15は、高屈折率部分と低屈折率部分とが周期的に配列された周期構造として記録される。体積ホログラム7は、かかる干渉縞15とブラッグ条件が合う光のみを、回折により選択的に反射させる。体積ホログラム7で反射したレーザ光は、半導体レーザ11の方向へ進行する。
【0039】
体積ホログラム7から半導体レーザ11の方向へ進行したレーザ光は、半導体レーザ11のミラー層(不図示)で反射する。ミラー層及び体積ホログラム7により反射されたレーザ光は、発光部12から新たに射出されるレーザ光と共振して増幅される。体積ホログラム7は、半導体レーザ11及び体積ホログラム7間で増幅されたレーザ光の一部を透過させ、光源装置10外部へ射出させる。かかる構成により、レーザ光の高出力化及び狭帯域化が可能となる。体積ホログラム7としては、ニオブ酸リチウム等の結晶により形成された結晶型の体積ホログラムや、フォトポリマからなるフォトポリマ体積ホログラムを用いることができる。
【0040】
半導体レーザ11は、各発光部12により、それぞれ異なる波長λ1、λ2、λ3、λ4(但し、λ1<λ2<λ3<λ4)のレーザ光を射出させる。各波長λ1、λ2、λ3、λ4は、例えば10nm程度の範囲内において分布している(λ4−λ1≦10nm)。各波長の間隔λ2−λ1、λ3−λ2、λ4−λ3は任意であって、いずれも数nm程度とすることができる。このような波長のずれは、意図的に構成することにより、或いは製造誤差によって生じさせることが可能である。効果的なスペックルノイズの低減のために、各波長の間隔λ2−λ1、λ3−λ2、λ4−λ3を不規則なものとしても良い。体積ホログラム7は、半導体レーザ11からの各波長のレーザ光を選択的に反射させる。
【0041】
本実施形態の光源装置10では、実施例5の体積ホログラム7を用いているため、体積ホログラム7は、半導体レーザ11からの各波長のレーザ光を選択的に反射させる。図8は、半導体レーザ11からの各波長のレーザ光を選択的に反射させるための構成について説明するものである。図8に示す干渉縞15は、説明のために簡略化して表したものである。干渉縞15のうち、図中実線で表す干渉縞15aは、間隔d1で周期的に記録されている。間隔d1は、波長λ1についてブラッグ条件を満足する。よって、干渉縞15のうち間隔d1で記録された干渉縞15aは、波長λ1の光を選択的に反射させる。また、干渉縞15のうち図中一点鎖線で表す干渉縞15bは、間隔d1とは異なる間隔d2で周期的に記録されている。間隔d2は、波長λ2についてブラッグ条件を満足する。よって、干渉縞15のうち間隔d2で記録された干渉縞15bは、波長λ2の光を選択的に反射させる。また、干渉縞15のうち図中破線で表す干渉縞15cは、間隔d2とは異なる間隔d3で周期的に記録されている。間隔d3は、波長λ3についてブラッグ条件を満足する。よって、干渉縞15のうち間隔d3で記録された干渉縞15cは、波長λ3の光を選択的に反射させる。
【0042】
干渉縞15には、波長λ4についても、それぞれブラッグ条件を満足する間隔の部分が存在する。干渉縞15は、各波長λ1〜λ4に対応する間隔の縞を重畳させて構成されている。このように、体積ホログラム7は、半導体レーザ11からのレーザ光の各波長λ1〜λ4に対応させて複数の異なる間隔で記録された干渉縞15により、各波長λ1〜λ4のレーザ光を選択的に反射させる。なお、干渉縞15のうち間隔d1で記録された干渉縞15aは、波長λ1の光のみを反射させる機能を果たし、波長λ2の光に対しては機能を果たさない。このように、各レーザ光に対して、干渉縞15のうちレーザ光の波長に対応する間隔の部分のみが機能する。
【0043】
複数の異なる間隔の干渉縞15が記録された体積ホログラム7は、複数の波長に対して波長選択性を持つ共振ミラーとして機能させることができる。各波長λ1〜λ4のレーザ光を共振させることで、光源装置10は、各波長λ1〜λ4のレーザ光を射出させる。複数の異なる間隔を持たせた干渉縞15は、体積ホログラム7を多重露光することにより得られる。
【0044】
体積ホログラム7は、以下の式を満足する厚さTで形成することが望ましい。
【0045】
【数1】
【0046】
但し、λは体積ホログラム7へ入射するレーザ光の波長の最小値、Δλはレーザ光の波長の間隔、nは体積ホログラム7を構成する部材の屈折率、θは干渉縞15を記録する際の入射光同士の角度である。Δλとしては、各波長の間隔λ2−λ1、λ3−λ2、λ4−λ3の最小値を採用することができる。体積ホログラム7は、体積ホログラム7へ入射するレーザ光の波長の間隔Δλに基づいて決定された厚さTを持たせて形成される。
【0047】
図10は、体積ホログラム7の波長選択性について説明するものである。上述のようにして体積ホログラム7の厚さTを決定することにより、体積ホログラム7は、各波長λ1〜λ4について、半導体レーザ11のスペクトルに対して狭い波長域の反射特性を持つこととなる。このようにして体積ホログラム7の選択波長を決定することで、各レーザ光に対して、干渉縞15のうちレーザ光の波長に対応する間隔の部分のみを機能させ、他の波長に対応する部分での無用な回折を防ぐことが可能となる。これにより、光利用効率の低下を低減させることができる。
【0048】
光源装置10は、複数の波長のレーザ光を射出可能とすることで、コヒーレンス長を短くでき、スペックルノイズを低減することが可能となる。各レーザ光に対しては、干渉縞15のうちレーザ光の波長に対応する間隔の部分のみを機能させることが可能であるため、体積ホログラム7に対する各レーザ光の入射位置に依存せず各レーザ光を共振させることができる。このため、各発光部12及び体積ホログラム7の複雑なアライメントを不要とし、簡易な組立により製造することができる。これにより、外部共振器を用いる構成においてスペックルノイズを低減させることができるという効果を奏する。
【0049】
半導体レーザ11は、複数の発光部12により複数の波長のレーザ光を供給可能であれば良く、4つの発光部12を備える構成に限られない。また、光源部は、面発光型の半導体レーザ11に代えて、端面発光型の半導体レーザとしても良い。
また、外部共振器として実施例5の体積ホログラム7を用いたが、外部共振器が実施例1〜4の体積ホログラム2〜6を備えた構成であっても良い。この構成では、外部共振器が、入射した光の光路と同一の光路を進行するように入射した光を反射させる反射ミラーを備えれば良い。
【実施例7】
【0050】
図10は、本発明の実施例7に係る光源装置20の概略構成を示す。本実施例の光源装置20は、第二高調波発生(Second−Harmonic Generation;SHG)素子21を有することを特徴とする。上記実施例6と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。SHG素子21は、半導体レーザ11からのレーザ光の波長を変換させる波長変換素子である。SHG素子21は、半導体レーザ11及び体積ホログラム7の間の光路中に配置されている。
【0051】
SHG素子21は、半導体レーザ11からのレーザ光を、2分の1の波長のレーザ光に変換して射出させる。SHG素子21としては、例えば、非線形光学結晶を用いることができる。非線形光学結晶としては、例えば、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)の分極反転結晶(Periodically Poled Lithium Niobate;PPLN)を用いることができる。ヒータ22は、熱の供給によりSHG素子21の温度を調節する温度調整部である。SHG素子21のうち4つのレーザ光に対応する位置には、それぞれ温度を計測するサーミスタ23が設けられている。各サーミスタ23は、SHG素子21のうちレーザ光を通過させる部分以外の部分に配置されている。ヒータ22は、SHG素子21の端部に配置されている。ヒータ22は、ヒータ22が配置された端部に近いほど高い温度となるような温度勾配を持たせてSHG素子21の温度を調整する。
【0052】
図10は、SHG素子21の温度を調整するためのブロック構成を示す。サーミスタ23は、温度の変化を抵抗値の変化として温度制御部24へ出力する。温度制御部24は、サーミスタ23により計測された温度と所定の設定温度との温度差からヒータ22へ供給する電力量を計算し、計算された電力量に応じた電力をヒータ22へ供給する。温度制御部24は、サーミスタ23による計測結果に基づいてヒータ22のフィードバック制御を行う。さらに、温度制御部24は、各サーミスタ23により計測される温度がSHG素子21へ入射するレーザ光の各波長に応じた温度勾配を示すことを確認する。ヒータ22は、SHG素子21へ入射するレーザ光の各波長に応じた温度勾配を持たせてSHG素子21の温度を調整する。
【0053】
SHG素子21において波長変換可能なレーザ光の波長は、SHG素子21の温度に依存する。各波長に応じた温度勾配を持たせてSHG素子21の温度を調整することで、SHG素子21は、半導体レーザ11からの各波長のレーザ光について波長を変換させることが可能となる。これにより、SHG素子21で波長が変換されたレーザ光を射出させることができる。
【0054】
体積ホログラム7は、SHG素子21で波長変換されずに透過したレーザ光を選択的に反射させる。SHG素子21で波長変換されたレーザ光は、体積ホログラム7を透過し、光源装置20から射出する。半導体レーザ11からの複数の波長のレーザ光について波長変換することで、光源装置20は、複数の波長のレーザ光を射出させる。よって、本実施例においても、スペックルノイズを低減させることができる。
【0055】
なお、光源装置20は、SHG素子21の端部に配置されたヒータ22によってSHG素子21の温度調整を行う場合に限られない。レーザ光の各波長に応じた温度勾配を持たせてSHG素子21の温度を調整可能とするために、例えば、SHG素子21における各レーザ光の入射位置ごとにヒータを配置することとしても良い。温度調整部としては、例えば、ペルチェ素子を用いることとしても良い。ペルチェ素子を用いる場合、熱の供給のみならず、熱の吸収を行うことでSHG素子21の温度を調節することとしても良い。
【実施例8】
【0056】
図10は、本発明の実施例8に係るモニタ装置50の概略構成を示す。モニタ装置50は、装置本体51と、光伝送部52とを有する。装置本体51は、上記実施例6に係る光源装置10(図9参照)を備える。上記実施例6と重複する説明は省略する。光伝送部52は、2つのライトガイド54、55を有する。光伝送部52のうち被写体(不図示)側の端部には、拡散板56及び結像レンズ57が設けられている。第1ライトガイド54は、光源装置10からの光を被写体へ伝送する。拡散板56は、第1ライトガイド54の射出側に設けられている。第1ライトガイド54内を伝播した光は、拡散板56を透過することにより、被写体側にて拡散する。光源装置10から拡散板56までの光路中の各部は、被写体を照明する照明装置を構成する。
【0057】
第2ライトガイド55は、被写体からの光をカメラ53へ伝送する。結像レンズ57は、第2ライトガイド55の入射側に設けられている。結像レンズ57は、被写体からの光を第2ライトガイド55の入射面へ集光させる。被写体からの光は、結像レンズ57により第2ライトガイド55へ入射した後、第2ライトガイド55内を伝播してカメラ53へ入射する。
【0058】
第1ライトガイド54、第2ライトガイド55としては、多数の光ファイバを束ねたものを用いることができる。光ファイバを用いることで、レーザ光を遠方へ伝送させることができる。カメラ53は、装置本体51内に設けられている。カメラ53は、光源装置10から拡散板56までの光路中の各部により照明された被写体を撮像する撮像部である。第2ライトガイド55から入射した光をカメラ53へ入射させることで、カメラ53による被写体の撮像ができる。上記実施例6に係る光源装置10を用いることにより、高い効率で、かつスペックルノイズが低減された光を供給することができる。これにより、明るく、かつ高品質な像をモニタすることができるという効果を奏する。なお、上記実施例6に係る光源装置10に代えて、上記実施例7に係る光源装置20を適用しても良い。
【実施例9】
【0059】
図10は、本発明の実施例9に係るプロジェクタ70の概略構成を示す。プロジェクタ70は、スクリーン78に光を供給し、スクリーン78で反射する光を観察することで画像を鑑賞するフロント投写型のプロジェクタであって、画像表示装置である。プロジェクタ70は、赤色(R)光用光源装置71R、緑色(G)光用光源装置71G、青色(B)光用光源装置71Bを有する。各色光用光源装置71R、71G、71Bは、いずれも上記実施例6の光源装置10(図9参照)と同様の構成を有する。上記実施例6と重複する説明は省略する。プロジェクタ70は、各色光用光源装置71R、71G、71Bからの光を用いて画像を表示する。
【0060】
R光用光源装置71Rは、R光を供給する光源装置である。フィールドレンズ72は、R光用光源装置71Rからのレーザ光を平行化させ、R光用空間光変調装置73Rへ入射させる。R光用光源装置71R及びフィールドレンズ72は、R光用空間光変調装置73Rを照明する照明装置を構成する。R光用空間光変調装置73Rは、照明装置からのR光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。R光用空間光変調装置73Rで変調されたR光は、色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム74へ入射する。
【0061】
G光用光源装置71Gは、G光を供給する光源装置である。フィールドレンズ72で平行化されたレーザ光は、G光用空間光変調装置73Gへ入射する。G光用光源装置71G及びフィールドレンズ72は、G光用空間光変調装置73Gを照明する照明装置を構成する。G光用空間光変調装置73Gは、照明装置からのG光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。G光用空間光変調装置73Gで変調されたG光は、R光とは異なる側からクロスダイクロイックプリズム74へ入射する。
【0062】
B光用光源装置71Bは、B光を供給する光源装置である。フィールドレンズ72で平行化されたレーザ光は、B光用空間光変調装置73Bへ入射する。B光用光源装置71B及びフィールドレンズ72は、B光用空間光変調装置73Bを照明する照明装置を構成する。B光用空間光変調装置73Bは、照明装置からのB光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。B光用空間光変調装置73Bで変調されたB光は、R光、G光とは異なる側からクロスダイクロイックプリズム74へ入射する。透過型液晶表示装置としては、例えば高温ポリシリコンTFT液晶パネル(High Temperature Polysilicon;HTPS)を用いることができる。
【0063】
クロスダイクロイックプリズム74は、互いに略直交させて配置された2つのダイクロイック膜75、76を有する。第1ダイクロイック膜75は、R光を反射し、G光及びB光を透過させる。第2ダイクロイック膜76は、B光を反射し、R光及びG光を透過させる。クロスダイクロイックプリズム74は、それぞれ異なる方向から入射したR光、G光及びB光を合成し、投写レンズ77の方向へ射出させる。投写レンズ77は、クロスダイクロイックプリズム74で合成された光をスクリーン78の方向へ投写する。
【0064】
上記の光源装置10と同様の構成を有する各色光用光源装置71R、71G、71Bを用いることにより、高い効率で光を供給可能とし、かつスペックルノイズを低減することができる。これにより、明るく、かつ高品質な画像を表示することができるという効果を奏する。なお、各色光用光源装置71R、71G、71Bは、上記実施例6に係る光源装置10と同様の構成とする他、上記実施例7に係る光源装置20と同様の構成としても良い。
【0065】
図10は、本実施例の変形例に係るプロジェクタ80の概略構成を示す。本変形例のプロジェクタ80は、空間光変調装置であるDMD(Digital Micromirror Device)83を有する。光源装置81は、上記実施例6の光源装置10(図9参照)と同様の構成を有するものであって、R光、G光、B光を順次供給する。光源装置81からの光は、集光レンズ82を経た後DMD83へ入射する。光源装置81及び集光レンズ82は、DMD83を照明する照明装置を構成する。DMD83は、各色光が入射する面に形成された複数の可動ミラー素子(不図示)を有する。可動ミラー素子は、第1の反射位置と、第2の反射位置とに選択的に変位する。DMD83は、光源装置81により順次供給される各色光を変調する。可動ミラー素子により投写光学系84の方向へ進行した光は、スクリーン78にて投写像を形成する。
【0066】
プロジェクタ80は、空間光変調装置として反射型液晶表示装置(Liquid Crystal On Silicon;LCOS)、GLV(Grating Light Valve)等を用いる構成としても良い。プロジェクタ80は、空間光変調装置を用いる場合に限られない。プロジェクタ80は、ガルバノミラー等の走査手段により光源装置からのレーザ光を走査することで被投写面へ画像を投写する、レーザースキャン型のプロジェクタとしても良い。画像表示装置は、スクリーンの一方の面に光を供給し、スクリーンの他方の面から射出される光を観察することで画像を鑑賞する、いわゆるリアプロジェクタであっても良い。さらに、本発明の光源装置は、画像表示装置及びモニタ装置に適用する場合に限られない。例えば、レーザ光を用いて露光を行う露光装置等に用いることとしても良い。
【0067】
以上のように、本発明に係る光源装置は、モニタ装置や画像表示装置に用いる場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施例1に係る体積ホログラムの概略構成を示す図。
【図2】図1の体積ホログラムから射出される光のスペクトルを示す図。
【図3】本発明の実施例2に係る体積ホログラムの概略構成を示す図。
【図4】図3の体積ホログラムから射出される光のスペクトルを示す図。
【図5】本発明の実施例3に係る体積ホログラムの概略構成を示す図。
【図6】本発明の実施例4に係る体積ホログラムの概略構成を示す図。
【図7】本発明の実施例5に係る体積ホログラムの概略構成を示す図。
【図8】本発明の実施例6に係る体積ホログラムの概略構成を示す図。
【図9】各波長のレーザ光を選択的に反射させるための構成について説明する図。
【図10】体積ホログラムの波長選択性について説明する図。
【図11】本発明の実施例7に係る光源装置の概略構成を示す図。
【図12】SHG素子の温度を調整するためのブロック構成を示す図。
【図13】本発明の実施例8に係るモニタ装置の概略構成を示す図。
【図14】本発明の実施例9に係るプロジェクタの概略構成を示す図。
【図15】実施例9の変形例に係るプロジェクタの概略構成を示す図。
【符号の説明】
【0069】
10…光源装置、11…半導体レーザ、12…発光部、2,3,4,5,6,7…体積ホログラム、14a,14b,14c,14A,14B,14C,15a,15b,15c…干渉縞、20…光源装置、21…SHG素子、22…ヒータ、23…サーミスタ、24…温度制御部、50…モニタ装置、51…装置本体、52…光伝送部、53…カメラ、54…第1ライトガイド、55…第2ライトガイド、56…拡散板、57…結像レンズ、70…プロジェクタ、71R…R光用光源装置、71G…G光用光源装置、71B…B光用光源装置、72…フィールドレンズ、73R…R光用空間光変調装置、73G…G光用空間光変調装置、73B…B光用空間光変調装置、74…クロスダイクロイックプリズム、75…第1ダイクロイック膜、76…第2ダイクロイック膜、77…投写レンズ、78…スクリーン、80…プロジェクタ、81…光源装置、82…集光レンズ、83…DMD、84…投写光学系
【技術分野】
【0001】
本発明は、体積ホログラム、光源装置、照明装置、モニタ装置及び画像表示装置、特に、レーザ光を供給する光源装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モニタ装置や画像表示装置の光源装置として、レーザ光を供給するレーザ光源を用いる技術が提案されている。モニタ装置や画像表示装置の光源装置として従来用いられているUHPランプと比較すると、レーザ光源を用いる光源装置は、高い色再現性、瞬時点灯が可能、長寿命である等の利点がある。コヒーレント光であるレーザ光を拡散面に照射させると、明点及び暗点がランダムに分布するスペックルパターンと呼ばれる干渉模様が現れることがある。スペックルパターンは、拡散面の各点で拡散した光同士がランダムに干渉し合うことにより発生する。画像を表示する際にスペックルパターンが認識されると、ぎらぎらとするちらつき感を観察者へ与えるため、画像観賞へ悪影響を及ぼすこととなる。このため、レーザ光源を用いる場合、スペックルノイズに対する対策を講じる必要がある。スペックルノイズに対する対策として、例えば、異なる波長のレーザ光を供給する複数の発光素子をアレイ状に配置する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。レーザ光のコヒーレンス長はレーザ光のスペクトル幅におよそ反比例することから、スペクトル幅を広くすることでコヒーレンス長を短くし、スペックルノイズを低減することが可能となる。また、レーザ光源は、レーザ光を共振させる外部共振器を用いることで、レーザ光の高出力化が可能となる。外部共振器としては、例えば、体積ホログラムを用いる技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。体積ホログラムを用いることで、レーザ光の狭帯域化が可能となる。
【0003】
【特許文献1】特表2004−503923号公報
【特許文献2】特開2001−284718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外部共振器を備える構成の場合、レーザ光を発振させるには、高い波長選択性を持つ共振ミラーを用いる必要がある。発光素子からレーザ光を射出させる段階で広いスペクトル幅を確保したとしても、外部共振器においてレーザ光は狭帯域化される。外部共振器でレーザ光が狭帯域化されると、スペックルノイズを低減することが困難となる。これに対して、レーザ光の波長幅を広げるために、共振ミラーの選択波長幅を広げることとすると、レーザ光の共振が困難となり、外部共振器が機能しなくなる。また、体積ホログラムを用いる場合、射出光の波長幅をサブナノメートルオーダーにまで狭くすることが可能である。このような射出光の狭帯域化は、レーザ光としての特性を向上させるものである一方、スペックルノイズの低減には不利に働くこととなる。異なる波長のレーザ光を共振させるためには、アレイ状に配置された各発光素子の各波長に対応して複数の体積ホログラムを用いることも可能である。しかしこの場合、発光素子及び体積ホログラムの全てについてアライメントが必要となるため、光源装置の組立が非常に困難となる。以上のように、従来の技術によると、外部共振器を用いる構成においてスペックルノイズを低減することが困難であるという問題を生じる。本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、外部共振器を用いる構成においてスペックルノイズを低減可能な体積ホログラム、光源装置、その光源装置を用いる照明装置、モニタ装置及び画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の体積ホログラムは、複数の波長のコヒーレント光を回折させる体積ホログラムであって、入射する前記コヒーレント光の各波長に対応させて、前記コヒーレント光が入射する入射端面とのなす角度が異なる干渉縞が複数記録されていることを特徴とする。
【0006】
本発明に係る体積ホログラムでは、例え、複数の干渉縞の間隔が等しくても、入射するコヒーレント光の各波長に対応させて入射端面とのなす角度が異なる干渉縞が複数記録されているため、複数の干渉縞の傾斜角に応じて光の光学的距離が変化する。これにより、各干渉縞に応じた波長の光が射出される。したがって、体積ホログラムを透過した光の波長帯域の出力スペクトル幅が広がることになり、射出される光のスペックルノイズを低減することが可能となる。
【0007】
また、本発明の体積ホログラムは、前記複数の干渉縞同士のなす角度が等間隔に異なることが好ましい。
【0008】
本発明に係る体積ホログラムでは、複数の干渉縞同士のなす角度が等間隔に異なるため、光を入射させると等間隔に波長が選択される。したがって、入射した光のうち選択される光の波長は必ず重なることがないため、複数の波長のコヒーレント光を入射させることにより出力スペクトル幅を広げることが可能となる。
【0009】
また、本発明の体積ホログラムは、一方向に前記複数の干渉縞が形成された干渉縞群と、前記一方向と交差する他方向に形成された他の干渉縞群とを有することが好ましい。
【0010】
本発明に係る体積ホログラムでは、一方向に前記複数の干渉縞が形成された干渉縞群と、前記一方向と交差する他方向に形成された他の干渉縞群とを有するため、干渉縞の間隔の種類がさらに増えることになる。これにより、複数の波長のコヒーレント光を入射させることで、選択される光の波長をより狭くすることができる。したがって、出力波長の種類を増やすことにより、スペックルノイズをより低減することが可能となる。
【0011】
また、本発明の体積ホログラムは、前記複数の干渉縞が、入射する前記コヒーレント光の中心軸に対して略垂直方向、あるいは、略平行方向に記録されていることが好ましい。
【0012】
本発明に係る体積ホログラムでは、複数の干渉縞がコヒーレント光の中心軸に対して略垂直方向に記録されている場合は、複数の波長のコヒーレント光を回折(反射)させることが可能である。また、複数の干渉縞がコヒーレント光の中心軸に対して略平行方向に記録されている場合は、複数の波長のコヒーレント光を回折(透過)させることが可能である。
【0013】
本発明の体積ホログラムは、複数の波長のコヒーレント光を回折させる体積ホログラムであって、入射する前記コヒーレント光の各波長に対応させて、前記コヒーレント光が入射する入射端面に対して略平行方向に異なる間隔の干渉縞が複数記録されていることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る体積ホログラムでは、コヒーレント光が入射する入射端面に対して略平行方向に異なる間隔の干渉縞が複数記録されているため、入射端面に対して略垂直にコヒーレント光を入射させることにより、複数の波長に対して波長選択性を持つ共振ミラーとして機能させることができる。このため、体積ホログラムを射出される光のスペックルノイズを低減させるために機能させる外部共振器とすることが可能となる。
【0015】
本発明の光源装置は、複数の発光部を備え、コヒーレント光を供給する光源部と、光源部からのコヒーレント光を共振させる外部共振器と、を有し、外部共振器は、コヒーレント光を回折させる体積ホログラムを備え、光源部は、複数の発光部により複数の波長のコヒーレント光を供給し、体積ホログラムは、体積ホログラムへ入射するコヒーレント光の各波長に対応させて複数種類の異なる間隔で記録された干渉縞により、各波長のコヒーレント光を選択的に射出させることを特徴とする。
【0016】
複数種類の異なる間隔を持たせた干渉縞は、体積ホログラムを多重露光することにより得られる。複数種類の異なる間隔の干渉縞が記録された体積ホログラムは、複数の波長に対して波長選択性を持つ共振ミラーとして機能させることができる。かかる体積ホログラムを用いることで、複数の波長のコヒーレント光を共振させることができる。また、複数の波長のコヒーレント光を射出可能とすることで、コヒーレンス長を短くでき、スペックルノイズを低減することが可能となる。各コヒーレント光に対しては、干渉縞のうちコヒーレント光の波長に対応する間隔の部分のみを機能させることが可能であるため、体積ホログラムに対する各コヒーレント光の入射位置に依存せず各コヒーレント光を共振させることができる。このため、各発光部及び体積ホログラムの複雑なアライメントを不要とし、簡易な組立により製造することができる。これにより、外部共振器を用いる構成においてスペックルノイズを低減可能な光源装置を得られる。
【0017】
また、本発明の体積ホログラムは、体積ホログラムは、体積ホログラムへ入射する各波長のコヒーレント光を選択的に反射させることが望ましい。これにより、体積ホログラムへ入射する各波長のコヒーレント光を共振させることができる。
【0018】
また、本発明の体積ホログラムは、体積ホログラムは、体積ホログラムへ入射するコヒーレント光の波長の間隔に基づいて決定された厚さを持たせて形成されることが望ましい。体積ホログラムの波長選択幅は、体積ホログラムの厚さに依存する。コヒーレントの波長の間隔に応じて体積ホログラムの波長選択幅を決定することで、干渉縞のうち他の波長に対応する部分での無用な回折を防ぐことが可能となる。これにより、光利用効率の低下を低減させることができる。
【0019】
また、本発明の体積ホログラムは、光源部及び外部共振器の間の光路中に配置され、光源部からのコヒーレント光の波長を変換させる波長変換素子を有し、波長変換素子は、波長変換素子へ入射する各波長のコヒーレント光について、波長を変換させることが望ましい。これにより、波長変換素子で波長が変換されたコヒーレント光を射出させることができる。
【0020】
また、本発明の体積ホログラムは、波長変換素子の温度を調整する温度調整部を有し、温度調整部は、波長変換素子へ入射するコヒーレント光の各波長に応じた温度勾配を持たせて波長変換素子の温度を調整することが望ましい。波長変換素子において波長変換可能なコヒーレント光の波長は、波長変換素子の温度に依存する。これにより、波長変換素子へ入射する各波長のコヒーレント光について波長を変換させることが可能となる。
【0021】
さらに、本発明に係る照明装置は、上記の光源装置を有し、光源装置からの光を用いて被照射物を照明することを特徴とする。上記の光源装置を用いることで、高い効率で光を供給可能とし、かつスペックルノイズを低減することができる。これにより、高い効率で、かつスペックルノイズが低減された光を供給可能な照明装置を得られる。
【0022】
さらに、本発明に係るモニタ装置は、上記の照明装置と、照明装置により照明された被写体を撮像する撮像部と、を有することを特徴とする。上記の照明装置を用いることで、高い効率で、かつスペックルノイズが低減された光を供給することができる。これにより、明るく、かつ高品質な像をモニタすることが可能なモニタ装置を得られる。
【0023】
さらに、本発明に係る画像表示装置は、上記の光源装置を有し、光源装置からの光を用いて画像を表示することを特徴とする。上記の光源装置を用いることで、高い効率で光を供給可能とし、かつスペックルノイズを低減することができる。これにより、明るく、かつ高品質な画像を表示可能な画像表示装置を得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0025】
本発明の体積ホログラムの実施例1について、図1及び図2を参照して説明する。
本実施例に係る体積ホログラム2は、図1に示すように、入射する光の各波長に対応させて入射端面2aとのなす角度が異なる干渉縞が複数記録されている。具体的には、体積ホログラム2には、間隔d1で記録された干渉縞14aと、間隔d2で記録された干渉縞14bと、間隔d3で記録された干渉縞14cとが記録されている。また、干渉縞14a〜14cの間隔d1〜d3はすべて等しい。また、干渉縞14aと干渉縞14bとのなす角をθ1とし、干渉縞14bと干渉縞14cとのなす角をθ2とすると、角θ1と角θ2とが同じ角度である。
【0026】
この体積ホログラム2の入射端面2a側から光を入射させると、図2に示すように、複数の波長の光が選択されて射出される。また、角θ1と角θ2とが同じ角度であるため、体積ホログラム2によって選択される光の波長は等間隔に離れている。また、スペックルノイズを低減するためには、スペクトル幅が広く、ビームの数が多いほど効果的である。なお、ここで言う「出力スペクトル幅」とは、異なる中心波長を有する複数の狭帯域のビーム全体を含むスペクトル幅を示している。
【0027】
以上より、本実施例に係る体積ホログラム2では、干渉縞14a〜14cに応じて通過する光の光学的距離が変化するので、干渉縞14a〜14cの間隔d1〜d3が等しくても、干渉縞14a〜14cの入射端面2aとのなす角に応じて出力される光の波長が異なる。したがって、射出された光の波長帯域の出力スペクトル幅が広がることになり、射出される光のスペックルノイズを低減することが可能となる。
【0028】
また、角θ1と角θ2とが同じ角度、すなわち、干渉縞14a〜14c同士のなす角が等間隔に異なるため、選択される光の波長は、確実に隣接する波長と重なることなく出力スペクトル幅を広げることが可能となる。
なお、角θ1と角θ2とは同じ角度としたが、必ずしも同じ角度でなくても良く、間隔d1〜d3がすべて等しくなくても良い。
【実施例2】
【0029】
本発明の体積ホログラムの実施例2について、図3及び図4を参照して説明する。
本実施例の体積ホログラム3は、複数の干渉縞群を有する点において実施例1と異なる。
体積ホログラム3は、図3に示すように、干渉縞群Aと干渉縞群(他の干渉縞群)Bとを有している。干渉縞群Aには、干渉縞14aを基準に角度θ1をなして干渉縞14bが記録され、干渉縞14bと角度θ2をなして干渉縞14cが一方向に記録されている。また、干渉縞群Bには、干渉縞14Aを基準に角度θ1をなして干渉縞14Bが記録され、干渉縞14Bと角度θ2をなして干渉縞14Cが一方向と交差する他方向に記録されている。角θ1と角θ2とが同じ角度である。
また、実施例1と同様に、干渉縞群A及び干渉縞群Bのそれぞれの干渉縞14a〜14c、14A〜14Cの間隔はすべて同じである。
【0030】
この体積ホログラム3の入射端面3a側から光を入射させると、図4に示すように、複数の波長の光が選択されて射出される。また、角θ1と角θ2とが同じ角度であるため、体積ホログラム2によって選択される光の波長は等間隔に離れている。また、スペックルノイズを低減するためには、スペクトル幅が広く、ビームの数が多いほど効果的である。
以上より、本実施例に係る体積ホログラム3では、干渉縞群A及び干渉縞群Bを備えているため、実施例1に比べて、多くの干渉縞14a〜14c、14A〜14Cが記録されているので、実施例1に比べて間隔の狭い複数の波長の光が射出されることになる。すなわち、干渉縞14a〜14c、14A〜14Cの種類が増えることにより、射出される光の波長の種類も増えることになり、さらにスペックルノイズの低減効果を得ることが可能となる。
【0031】
なお、干渉縞群Aと干渉縞群Bとの干渉縞同士のなす角は同じであるとしたが、異なっていても良い。すなわち、干渉縞群Bにおけるなす角θ1,角θ2を角θ3,角θ4とし、干渉縞群Aのなす角θ1,θ2と異なるように干渉縞14A〜14Cを記録しても良い。また、角θ1と角θ2とは同じ角度としたが、必ずしも同じ角度でなくても良い。
【実施例3】
【0032】
本発明の体積ホログラムの実施例3について、図5を参照して説明する。
本実施例の体積ホログラム4は、図5に示すように、入射端面4aに干渉縞が形成されていない。その他の点は、実施例1の体積ホログラム2と同様である。この体積ホログラム4の製造方法としては、例えば、入射端面4a上に回折光学素子を設置して2光束干渉露光を行う。これにより、回折光学素子が設置された面には、干渉縞が記録されず内部にのみ干渉縞が記録される。
したがって、例えば、体積ホログラム4の入射端面4aが若干損傷した場合でも、内部に記録された干渉縞には損傷が受けにくい構成となっている。これにより、歩留まりの高い体積ホログラム4を提供することが可能となる。
【実施例4】
【0033】
本発明の体積ホログラムの実施例4について、図6を参照して説明する。
本実施例の体積ホログラム5は、図6に示すように、入射する光Lの中心軸に対して略垂直な方向に実施例1と同様に干渉縞14a,14b,14cが記録されている。この構成の場合、入射端面5aから光を入射させることにより、ブラック条件を満足する特定の波長の光が回折(反射)し、それ以外の光が透過する。
また、体積ホログラム6が、図7に示すように、入射する光Lの中心軸に略平行な方向、すなわち、厚み方向に実施例1と同様に干渉縞14a,14b,14cが記録されている。この構成の場合、入射端面6aから光を入射させることにより、ブラック条件を満足する特定の波長の光が回折し、それ以外の光が透過する。
以上より、本実施例に係る体積ホログラム5では反射型ホログラムとして使用し、体積ホログラム6では透過型ホログラムとして使用することが可能とである。
【実施例5】
【0034】
本発明の体積ホログラムの実施例5について、図8を参照して説明する。
本実施例の体積ホログラム7は、入射したレーザ光を共振させるものであり、図8に示すように、入射端面7aに対して略平行方向に異なる間隔の干渉縞が複数記録されている。具体的には、体積ホログラム7には、間隔d1で記録された干渉縞15aと、間隔d2で記録された干渉縞15bと、間隔d3で記録された干渉縞15cとが記録されている。また、干渉縞15a〜15cの間隔d1〜d3はすべて異なる。
【0035】
この体積ホログラム7の入射端面7a側から光を入射させると、実施例1と同様に、複数の波長の光が選択されて射出される。また、体積ホログラム7の入射端面7aに対して垂直に光を入射させると、ブラック条件を満足する特定の波長の光が、入射した光の光路と同一の光路を進行するように回折される。
【0036】
以上より、本実施例に係る体積ホログラム7は、上述したホログラム素子2〜6と同様に、複数種類の波長の光が選択されて反射されるため、スペックルノイズを低減させることが可能となる。また、体積ホログラム7を光源装置に用いた場合、外部共振ミラーとして使用させることが可能となる。
【実施例6】
【0037】
図9は、本発明の実施例6に係る光源装置10の概略構成を示す。光源装置10は、半導体レーザ11を有する。半導体レーザ11は、コヒーレント光であるレーザ光を供給する光源部であって、面発光型の半導体レーザである。半導体レーザ11は、互いに並列させて設けられた4つの発光部12を備える。
【0038】
体積ホログラム7としては、本実施例では、実施例5で示したものを用い、半導体レーザ11からのレーザ光の光路中に配置されている。体積ホログラム7は、半導体レーザ11からのレーザ光を共振させる外部共振器である。体積ホログラム7には、二方向から入射させた入射光によって生じた干渉縞15が記録されている。かかる干渉縞15は、高屈折率部分と低屈折率部分とが周期的に配列された周期構造として記録される。体積ホログラム7は、かかる干渉縞15とブラッグ条件が合う光のみを、回折により選択的に反射させる。体積ホログラム7で反射したレーザ光は、半導体レーザ11の方向へ進行する。
【0039】
体積ホログラム7から半導体レーザ11の方向へ進行したレーザ光は、半導体レーザ11のミラー層(不図示)で反射する。ミラー層及び体積ホログラム7により反射されたレーザ光は、発光部12から新たに射出されるレーザ光と共振して増幅される。体積ホログラム7は、半導体レーザ11及び体積ホログラム7間で増幅されたレーザ光の一部を透過させ、光源装置10外部へ射出させる。かかる構成により、レーザ光の高出力化及び狭帯域化が可能となる。体積ホログラム7としては、ニオブ酸リチウム等の結晶により形成された結晶型の体積ホログラムや、フォトポリマからなるフォトポリマ体積ホログラムを用いることができる。
【0040】
半導体レーザ11は、各発光部12により、それぞれ異なる波長λ1、λ2、λ3、λ4(但し、λ1<λ2<λ3<λ4)のレーザ光を射出させる。各波長λ1、λ2、λ3、λ4は、例えば10nm程度の範囲内において分布している(λ4−λ1≦10nm)。各波長の間隔λ2−λ1、λ3−λ2、λ4−λ3は任意であって、いずれも数nm程度とすることができる。このような波長のずれは、意図的に構成することにより、或いは製造誤差によって生じさせることが可能である。効果的なスペックルノイズの低減のために、各波長の間隔λ2−λ1、λ3−λ2、λ4−λ3を不規則なものとしても良い。体積ホログラム7は、半導体レーザ11からの各波長のレーザ光を選択的に反射させる。
【0041】
本実施形態の光源装置10では、実施例5の体積ホログラム7を用いているため、体積ホログラム7は、半導体レーザ11からの各波長のレーザ光を選択的に反射させる。図8は、半導体レーザ11からの各波長のレーザ光を選択的に反射させるための構成について説明するものである。図8に示す干渉縞15は、説明のために簡略化して表したものである。干渉縞15のうち、図中実線で表す干渉縞15aは、間隔d1で周期的に記録されている。間隔d1は、波長λ1についてブラッグ条件を満足する。よって、干渉縞15のうち間隔d1で記録された干渉縞15aは、波長λ1の光を選択的に反射させる。また、干渉縞15のうち図中一点鎖線で表す干渉縞15bは、間隔d1とは異なる間隔d2で周期的に記録されている。間隔d2は、波長λ2についてブラッグ条件を満足する。よって、干渉縞15のうち間隔d2で記録された干渉縞15bは、波長λ2の光を選択的に反射させる。また、干渉縞15のうち図中破線で表す干渉縞15cは、間隔d2とは異なる間隔d3で周期的に記録されている。間隔d3は、波長λ3についてブラッグ条件を満足する。よって、干渉縞15のうち間隔d3で記録された干渉縞15cは、波長λ3の光を選択的に反射させる。
【0042】
干渉縞15には、波長λ4についても、それぞれブラッグ条件を満足する間隔の部分が存在する。干渉縞15は、各波長λ1〜λ4に対応する間隔の縞を重畳させて構成されている。このように、体積ホログラム7は、半導体レーザ11からのレーザ光の各波長λ1〜λ4に対応させて複数の異なる間隔で記録された干渉縞15により、各波長λ1〜λ4のレーザ光を選択的に反射させる。なお、干渉縞15のうち間隔d1で記録された干渉縞15aは、波長λ1の光のみを反射させる機能を果たし、波長λ2の光に対しては機能を果たさない。このように、各レーザ光に対して、干渉縞15のうちレーザ光の波長に対応する間隔の部分のみが機能する。
【0043】
複数の異なる間隔の干渉縞15が記録された体積ホログラム7は、複数の波長に対して波長選択性を持つ共振ミラーとして機能させることができる。各波長λ1〜λ4のレーザ光を共振させることで、光源装置10は、各波長λ1〜λ4のレーザ光を射出させる。複数の異なる間隔を持たせた干渉縞15は、体積ホログラム7を多重露光することにより得られる。
【0044】
体積ホログラム7は、以下の式を満足する厚さTで形成することが望ましい。
【0045】
【数1】
【0046】
但し、λは体積ホログラム7へ入射するレーザ光の波長の最小値、Δλはレーザ光の波長の間隔、nは体積ホログラム7を構成する部材の屈折率、θは干渉縞15を記録する際の入射光同士の角度である。Δλとしては、各波長の間隔λ2−λ1、λ3−λ2、λ4−λ3の最小値を採用することができる。体積ホログラム7は、体積ホログラム7へ入射するレーザ光の波長の間隔Δλに基づいて決定された厚さTを持たせて形成される。
【0047】
図10は、体積ホログラム7の波長選択性について説明するものである。上述のようにして体積ホログラム7の厚さTを決定することにより、体積ホログラム7は、各波長λ1〜λ4について、半導体レーザ11のスペクトルに対して狭い波長域の反射特性を持つこととなる。このようにして体積ホログラム7の選択波長を決定することで、各レーザ光に対して、干渉縞15のうちレーザ光の波長に対応する間隔の部分のみを機能させ、他の波長に対応する部分での無用な回折を防ぐことが可能となる。これにより、光利用効率の低下を低減させることができる。
【0048】
光源装置10は、複数の波長のレーザ光を射出可能とすることで、コヒーレンス長を短くでき、スペックルノイズを低減することが可能となる。各レーザ光に対しては、干渉縞15のうちレーザ光の波長に対応する間隔の部分のみを機能させることが可能であるため、体積ホログラム7に対する各レーザ光の入射位置に依存せず各レーザ光を共振させることができる。このため、各発光部12及び体積ホログラム7の複雑なアライメントを不要とし、簡易な組立により製造することができる。これにより、外部共振器を用いる構成においてスペックルノイズを低減させることができるという効果を奏する。
【0049】
半導体レーザ11は、複数の発光部12により複数の波長のレーザ光を供給可能であれば良く、4つの発光部12を備える構成に限られない。また、光源部は、面発光型の半導体レーザ11に代えて、端面発光型の半導体レーザとしても良い。
また、外部共振器として実施例5の体積ホログラム7を用いたが、外部共振器が実施例1〜4の体積ホログラム2〜6を備えた構成であっても良い。この構成では、外部共振器が、入射した光の光路と同一の光路を進行するように入射した光を反射させる反射ミラーを備えれば良い。
【実施例7】
【0050】
図10は、本発明の実施例7に係る光源装置20の概略構成を示す。本実施例の光源装置20は、第二高調波発生(Second−Harmonic Generation;SHG)素子21を有することを特徴とする。上記実施例6と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。SHG素子21は、半導体レーザ11からのレーザ光の波長を変換させる波長変換素子である。SHG素子21は、半導体レーザ11及び体積ホログラム7の間の光路中に配置されている。
【0051】
SHG素子21は、半導体レーザ11からのレーザ光を、2分の1の波長のレーザ光に変換して射出させる。SHG素子21としては、例えば、非線形光学結晶を用いることができる。非線形光学結晶としては、例えば、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)の分極反転結晶(Periodically Poled Lithium Niobate;PPLN)を用いることができる。ヒータ22は、熱の供給によりSHG素子21の温度を調節する温度調整部である。SHG素子21のうち4つのレーザ光に対応する位置には、それぞれ温度を計測するサーミスタ23が設けられている。各サーミスタ23は、SHG素子21のうちレーザ光を通過させる部分以外の部分に配置されている。ヒータ22は、SHG素子21の端部に配置されている。ヒータ22は、ヒータ22が配置された端部に近いほど高い温度となるような温度勾配を持たせてSHG素子21の温度を調整する。
【0052】
図10は、SHG素子21の温度を調整するためのブロック構成を示す。サーミスタ23は、温度の変化を抵抗値の変化として温度制御部24へ出力する。温度制御部24は、サーミスタ23により計測された温度と所定の設定温度との温度差からヒータ22へ供給する電力量を計算し、計算された電力量に応じた電力をヒータ22へ供給する。温度制御部24は、サーミスタ23による計測結果に基づいてヒータ22のフィードバック制御を行う。さらに、温度制御部24は、各サーミスタ23により計測される温度がSHG素子21へ入射するレーザ光の各波長に応じた温度勾配を示すことを確認する。ヒータ22は、SHG素子21へ入射するレーザ光の各波長に応じた温度勾配を持たせてSHG素子21の温度を調整する。
【0053】
SHG素子21において波長変換可能なレーザ光の波長は、SHG素子21の温度に依存する。各波長に応じた温度勾配を持たせてSHG素子21の温度を調整することで、SHG素子21は、半導体レーザ11からの各波長のレーザ光について波長を変換させることが可能となる。これにより、SHG素子21で波長が変換されたレーザ光を射出させることができる。
【0054】
体積ホログラム7は、SHG素子21で波長変換されずに透過したレーザ光を選択的に反射させる。SHG素子21で波長変換されたレーザ光は、体積ホログラム7を透過し、光源装置20から射出する。半導体レーザ11からの複数の波長のレーザ光について波長変換することで、光源装置20は、複数の波長のレーザ光を射出させる。よって、本実施例においても、スペックルノイズを低減させることができる。
【0055】
なお、光源装置20は、SHG素子21の端部に配置されたヒータ22によってSHG素子21の温度調整を行う場合に限られない。レーザ光の各波長に応じた温度勾配を持たせてSHG素子21の温度を調整可能とするために、例えば、SHG素子21における各レーザ光の入射位置ごとにヒータを配置することとしても良い。温度調整部としては、例えば、ペルチェ素子を用いることとしても良い。ペルチェ素子を用いる場合、熱の供給のみならず、熱の吸収を行うことでSHG素子21の温度を調節することとしても良い。
【実施例8】
【0056】
図10は、本発明の実施例8に係るモニタ装置50の概略構成を示す。モニタ装置50は、装置本体51と、光伝送部52とを有する。装置本体51は、上記実施例6に係る光源装置10(図9参照)を備える。上記実施例6と重複する説明は省略する。光伝送部52は、2つのライトガイド54、55を有する。光伝送部52のうち被写体(不図示)側の端部には、拡散板56及び結像レンズ57が設けられている。第1ライトガイド54は、光源装置10からの光を被写体へ伝送する。拡散板56は、第1ライトガイド54の射出側に設けられている。第1ライトガイド54内を伝播した光は、拡散板56を透過することにより、被写体側にて拡散する。光源装置10から拡散板56までの光路中の各部は、被写体を照明する照明装置を構成する。
【0057】
第2ライトガイド55は、被写体からの光をカメラ53へ伝送する。結像レンズ57は、第2ライトガイド55の入射側に設けられている。結像レンズ57は、被写体からの光を第2ライトガイド55の入射面へ集光させる。被写体からの光は、結像レンズ57により第2ライトガイド55へ入射した後、第2ライトガイド55内を伝播してカメラ53へ入射する。
【0058】
第1ライトガイド54、第2ライトガイド55としては、多数の光ファイバを束ねたものを用いることができる。光ファイバを用いることで、レーザ光を遠方へ伝送させることができる。カメラ53は、装置本体51内に設けられている。カメラ53は、光源装置10から拡散板56までの光路中の各部により照明された被写体を撮像する撮像部である。第2ライトガイド55から入射した光をカメラ53へ入射させることで、カメラ53による被写体の撮像ができる。上記実施例6に係る光源装置10を用いることにより、高い効率で、かつスペックルノイズが低減された光を供給することができる。これにより、明るく、かつ高品質な像をモニタすることができるという効果を奏する。なお、上記実施例6に係る光源装置10に代えて、上記実施例7に係る光源装置20を適用しても良い。
【実施例9】
【0059】
図10は、本発明の実施例9に係るプロジェクタ70の概略構成を示す。プロジェクタ70は、スクリーン78に光を供給し、スクリーン78で反射する光を観察することで画像を鑑賞するフロント投写型のプロジェクタであって、画像表示装置である。プロジェクタ70は、赤色(R)光用光源装置71R、緑色(G)光用光源装置71G、青色(B)光用光源装置71Bを有する。各色光用光源装置71R、71G、71Bは、いずれも上記実施例6の光源装置10(図9参照)と同様の構成を有する。上記実施例6と重複する説明は省略する。プロジェクタ70は、各色光用光源装置71R、71G、71Bからの光を用いて画像を表示する。
【0060】
R光用光源装置71Rは、R光を供給する光源装置である。フィールドレンズ72は、R光用光源装置71Rからのレーザ光を平行化させ、R光用空間光変調装置73Rへ入射させる。R光用光源装置71R及びフィールドレンズ72は、R光用空間光変調装置73Rを照明する照明装置を構成する。R光用空間光変調装置73Rは、照明装置からのR光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。R光用空間光変調装置73Rで変調されたR光は、色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム74へ入射する。
【0061】
G光用光源装置71Gは、G光を供給する光源装置である。フィールドレンズ72で平行化されたレーザ光は、G光用空間光変調装置73Gへ入射する。G光用光源装置71G及びフィールドレンズ72は、G光用空間光変調装置73Gを照明する照明装置を構成する。G光用空間光変調装置73Gは、照明装置からのG光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。G光用空間光変調装置73Gで変調されたG光は、R光とは異なる側からクロスダイクロイックプリズム74へ入射する。
【0062】
B光用光源装置71Bは、B光を供給する光源装置である。フィールドレンズ72で平行化されたレーザ光は、B光用空間光変調装置73Bへ入射する。B光用光源装置71B及びフィールドレンズ72は、B光用空間光変調装置73Bを照明する照明装置を構成する。B光用空間光変調装置73Bは、照明装置からのB光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。B光用空間光変調装置73Bで変調されたB光は、R光、G光とは異なる側からクロスダイクロイックプリズム74へ入射する。透過型液晶表示装置としては、例えば高温ポリシリコンTFT液晶パネル(High Temperature Polysilicon;HTPS)を用いることができる。
【0063】
クロスダイクロイックプリズム74は、互いに略直交させて配置された2つのダイクロイック膜75、76を有する。第1ダイクロイック膜75は、R光を反射し、G光及びB光を透過させる。第2ダイクロイック膜76は、B光を反射し、R光及びG光を透過させる。クロスダイクロイックプリズム74は、それぞれ異なる方向から入射したR光、G光及びB光を合成し、投写レンズ77の方向へ射出させる。投写レンズ77は、クロスダイクロイックプリズム74で合成された光をスクリーン78の方向へ投写する。
【0064】
上記の光源装置10と同様の構成を有する各色光用光源装置71R、71G、71Bを用いることにより、高い効率で光を供給可能とし、かつスペックルノイズを低減することができる。これにより、明るく、かつ高品質な画像を表示することができるという効果を奏する。なお、各色光用光源装置71R、71G、71Bは、上記実施例6に係る光源装置10と同様の構成とする他、上記実施例7に係る光源装置20と同様の構成としても良い。
【0065】
図10は、本実施例の変形例に係るプロジェクタ80の概略構成を示す。本変形例のプロジェクタ80は、空間光変調装置であるDMD(Digital Micromirror Device)83を有する。光源装置81は、上記実施例6の光源装置10(図9参照)と同様の構成を有するものであって、R光、G光、B光を順次供給する。光源装置81からの光は、集光レンズ82を経た後DMD83へ入射する。光源装置81及び集光レンズ82は、DMD83を照明する照明装置を構成する。DMD83は、各色光が入射する面に形成された複数の可動ミラー素子(不図示)を有する。可動ミラー素子は、第1の反射位置と、第2の反射位置とに選択的に変位する。DMD83は、光源装置81により順次供給される各色光を変調する。可動ミラー素子により投写光学系84の方向へ進行した光は、スクリーン78にて投写像を形成する。
【0066】
プロジェクタ80は、空間光変調装置として反射型液晶表示装置(Liquid Crystal On Silicon;LCOS)、GLV(Grating Light Valve)等を用いる構成としても良い。プロジェクタ80は、空間光変調装置を用いる場合に限られない。プロジェクタ80は、ガルバノミラー等の走査手段により光源装置からのレーザ光を走査することで被投写面へ画像を投写する、レーザースキャン型のプロジェクタとしても良い。画像表示装置は、スクリーンの一方の面に光を供給し、スクリーンの他方の面から射出される光を観察することで画像を鑑賞する、いわゆるリアプロジェクタであっても良い。さらに、本発明の光源装置は、画像表示装置及びモニタ装置に適用する場合に限られない。例えば、レーザ光を用いて露光を行う露光装置等に用いることとしても良い。
【0067】
以上のように、本発明に係る光源装置は、モニタ装置や画像表示装置に用いる場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施例1に係る体積ホログラムの概略構成を示す図。
【図2】図1の体積ホログラムから射出される光のスペクトルを示す図。
【図3】本発明の実施例2に係る体積ホログラムの概略構成を示す図。
【図4】図3の体積ホログラムから射出される光のスペクトルを示す図。
【図5】本発明の実施例3に係る体積ホログラムの概略構成を示す図。
【図6】本発明の実施例4に係る体積ホログラムの概略構成を示す図。
【図7】本発明の実施例5に係る体積ホログラムの概略構成を示す図。
【図8】本発明の実施例6に係る体積ホログラムの概略構成を示す図。
【図9】各波長のレーザ光を選択的に反射させるための構成について説明する図。
【図10】体積ホログラムの波長選択性について説明する図。
【図11】本発明の実施例7に係る光源装置の概略構成を示す図。
【図12】SHG素子の温度を調整するためのブロック構成を示す図。
【図13】本発明の実施例8に係るモニタ装置の概略構成を示す図。
【図14】本発明の実施例9に係るプロジェクタの概略構成を示す図。
【図15】実施例9の変形例に係るプロジェクタの概略構成を示す図。
【符号の説明】
【0069】
10…光源装置、11…半導体レーザ、12…発光部、2,3,4,5,6,7…体積ホログラム、14a,14b,14c,14A,14B,14C,15a,15b,15c…干渉縞、20…光源装置、21…SHG素子、22…ヒータ、23…サーミスタ、24…温度制御部、50…モニタ装置、51…装置本体、52…光伝送部、53…カメラ、54…第1ライトガイド、55…第2ライトガイド、56…拡散板、57…結像レンズ、70…プロジェクタ、71R…R光用光源装置、71G…G光用光源装置、71B…B光用光源装置、72…フィールドレンズ、73R…R光用空間光変調装置、73G…G光用空間光変調装置、73B…B光用空間光変調装置、74…クロスダイクロイックプリズム、75…第1ダイクロイック膜、76…第2ダイクロイック膜、77…投写レンズ、78…スクリーン、80…プロジェクタ、81…光源装置、82…集光レンズ、83…DMD、84…投写光学系
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の波長のコヒーレント光を回折させる体積ホログラムであって、
入射する前記コヒーレント光の各波長に対応させて、前記コヒーレント光が入射する入射端面とのなす角度が異なる干渉縞が複数記録されていることを特徴とする体積ホログラム。
【請求項2】
前記複数の干渉縞同士のなす角度が等間隔に異なることを特徴とする請求項1に記載の体積ホログラム。
【請求項3】
一方向に前記複数の干渉縞が形成された干渉縞群と、前記一方向と交差する他方向に形成された他の干渉縞群とを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の体積ホログラム。
【請求項4】
前記複数の干渉縞が、入射する前記コヒーレント光の中心軸に対して略垂直方向、あるいは、略平行方向に記録されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の体積ホログラム。
【請求項5】
複数の波長のコヒーレント光を回折させる体積ホログラムであって、
入射する前記コヒーレント光の各波長に対応させて、前記コヒーレント光が入射する入射端面に対して略平行方向に異なる間隔の干渉縞が複数記録されていることを特徴とする体積ホログラム。
【請求項6】
複数の発光部を備え、コヒーレント光を供給する光源部と、
前記光源部からの前記コヒーレント光を共振させる外部共振器と、を有し、
前記外部共振器は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の体積ホログラムを備え、
前記光源部は、複数の前記発光部により複数の波長の前記コヒーレント光を供給し、
前記体積ホログラムは、前記体積ホログラムへ入射する前記コヒーレント光の各波長に対応させて複数種類の異なる間隔で記録された干渉縞により、各波長の前記コヒーレント光を選択的に射出させることを特徴とする光源装置。
【請求項7】
前記体積ホログラムは、前記体積ホログラムへ入射する各波長の前記コヒーレント光を選択的に反射させることを特徴とする請求項6に記載の光源装置。
【請求項8】
前記体積ホログラムは、前記体積ホログラムへ入射する前記コヒーレント光の波長の間隔に基づいて決定された厚さを持たせて形成されることを特徴とする請求項6に記載の光源装置。
【請求項9】
前記光源部及び前記外部共振器の間の光路中に配置され、前記光源部からの前記コヒーレント光の波長を変換させる波長変換素子を有し、
前記波長変換素子は、前記波長変換素子へ入射する各波長の前記コヒーレント光について、波長を変換させることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項10】
前記波長変換素子の温度を調整する温度調整部を有し、
前記温度調整部は、前記波長変換素子へ入射する前記コヒーレント光の各波長に応じた温度勾配を持たせて前記波長変換素子の温度を調整することを特徴とする請求項9に記載の光源装置。
【請求項11】
請求項6〜10のいずれか一項に記載の光源装置を有し、前記光源装置からの光を用いて被照射物を照明することを特徴とする照明装置。
【請求項12】
請求項11に記載の照明装置と、
前記照明装置により照明された被写体を撮像する撮像部と、を有することを特徴とするモニタ装置。
【請求項13】
請求項6〜10のいずれか一項に記載の光源装置を有し、前記光源装置からの光を用いて画像を表示することを特徴とする画像表示装置。
【請求項1】
複数の波長のコヒーレント光を回折させる体積ホログラムであって、
入射する前記コヒーレント光の各波長に対応させて、前記コヒーレント光が入射する入射端面とのなす角度が異なる干渉縞が複数記録されていることを特徴とする体積ホログラム。
【請求項2】
前記複数の干渉縞同士のなす角度が等間隔に異なることを特徴とする請求項1に記載の体積ホログラム。
【請求項3】
一方向に前記複数の干渉縞が形成された干渉縞群と、前記一方向と交差する他方向に形成された他の干渉縞群とを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の体積ホログラム。
【請求項4】
前記複数の干渉縞が、入射する前記コヒーレント光の中心軸に対して略垂直方向、あるいは、略平行方向に記録されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の体積ホログラム。
【請求項5】
複数の波長のコヒーレント光を回折させる体積ホログラムであって、
入射する前記コヒーレント光の各波長に対応させて、前記コヒーレント光が入射する入射端面に対して略平行方向に異なる間隔の干渉縞が複数記録されていることを特徴とする体積ホログラム。
【請求項6】
複数の発光部を備え、コヒーレント光を供給する光源部と、
前記光源部からの前記コヒーレント光を共振させる外部共振器と、を有し、
前記外部共振器は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の体積ホログラムを備え、
前記光源部は、複数の前記発光部により複数の波長の前記コヒーレント光を供給し、
前記体積ホログラムは、前記体積ホログラムへ入射する前記コヒーレント光の各波長に対応させて複数種類の異なる間隔で記録された干渉縞により、各波長の前記コヒーレント光を選択的に射出させることを特徴とする光源装置。
【請求項7】
前記体積ホログラムは、前記体積ホログラムへ入射する各波長の前記コヒーレント光を選択的に反射させることを特徴とする請求項6に記載の光源装置。
【請求項8】
前記体積ホログラムは、前記体積ホログラムへ入射する前記コヒーレント光の波長の間隔に基づいて決定された厚さを持たせて形成されることを特徴とする請求項6に記載の光源装置。
【請求項9】
前記光源部及び前記外部共振器の間の光路中に配置され、前記光源部からの前記コヒーレント光の波長を変換させる波長変換素子を有し、
前記波長変換素子は、前記波長変換素子へ入射する各波長の前記コヒーレント光について、波長を変換させることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項10】
前記波長変換素子の温度を調整する温度調整部を有し、
前記温度調整部は、前記波長変換素子へ入射する前記コヒーレント光の各波長に応じた温度勾配を持たせて前記波長変換素子の温度を調整することを特徴とする請求項9に記載の光源装置。
【請求項11】
請求項6〜10のいずれか一項に記載の光源装置を有し、前記光源装置からの光を用いて被照射物を照明することを特徴とする照明装置。
【請求項12】
請求項11に記載の照明装置と、
前記照明装置により照明された被写体を撮像する撮像部と、を有することを特徴とするモニタ装置。
【請求項13】
請求項6〜10のいずれか一項に記載の光源装置を有し、前記光源装置からの光を用いて画像を表示することを特徴とする画像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−216978(P2008−216978A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−334298(P2007−334298)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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