体腔のプローブ検査及び治療のためのシステム
【課題】
体腔を分析および治療するためのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】一体化された1つ以上の送達導波路と1つ以上の収集導波路とを有する内腔拡張バルーンカテーテルが、拡張中に、内腔を取り囲む組織の光学的分析を行うために使用される。カテーテルは、一体化された送達導波路および収集導波路を有する血管形成術カテーテルを備えて、血管形成術中に狭窄プラークの分光法を実施する。
体腔を分析および治療するためのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】一体化された1つ以上の送達導波路と1つ以上の収集導波路とを有する内腔拡張バルーンカテーテルが、拡張中に、内腔を取り囲む組織の光学的分析を行うために使用される。カテーテルは、一体化された送達導波路および収集導波路を有する血管形成術カテーテルを備えて、血管形成術中に狭窄プラークの分光法を実施する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、内腔の分析および治療のためのシステムおよび方法を対象とする。より詳細には、本発明は、血管内病理の血管形成術を行うために使用されるバルーンカテーテル、およびそのようなバルーンカテーテルを使用する治療の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2005年9月30日出願の米国仮特許出願第60/722753号、2006年1月24日出願の米国仮特許出願第60/761649号、2006年8月7日出願の米国仮特許出願第60/821623号、2006年8月29日出願の米国仮特許出願第60/823812号、および2006年9月8日出願の米国仮特許出願第60/824915号の利益を主張するものであり、各仮特許出願の内容を本願に引用して援用する。
【0003】
医学における低侵襲性処置の継続的な拡大に伴って、近年脚光を浴びている1つの処置は、経皮経管的血管形成術、すなわち「PTA」である。この処置の最も普及している使用法は、冠動脈におけるものであり、これは、より具体的には経皮経管的冠動脈血管形成術、すなわち「PTCA」と呼ばれている。これらの処置は、膨張管腔を有する可撓性カテーテルを利用して、カテーテルの遠位端にあるバルーンを比較的高い圧力の下で拡張し、狭窄病理を拡張する。
【0004】
PTAおよびPTCA処置は、現在、ステントとして知られている拡張可能な管状構造に関連して一般に使用されており、血管形成術用バルーンは、しばしば、内腔の内部でステントを拡張して永久的に配置するために使用される。ステントと共に利用される血管形成術用バルーンは、ステント送達(デリバリ)システムと呼ばれる。従来のステントは、ほとんどのタイプの病理において開存性を保ち、また他の短期(ニアターム:near-term)血管内イベントを減少する点で、血管形成術のみよりも効果的であることが示されている。しかし、従来のステントに伴う危険性は、ステントを取り囲む組織の成長によるステントの有効性の減少であり、組織の成長は、しばしば再狭窄と呼ばれる内腔の狭窄を再びもたらすことがある。近年、しばしばポリマーと組み合わせて製薬剤で被覆された新たなステントが導入されており、再狭窄の割合を大幅に減少することが示されている。これらの被覆されたステントは、一般に薬物溶出ステントと呼ばれるが、いくつかの被覆されたステントは、能動的な製薬剤ではなく受動的なコーティングを有する。
【0005】
PTAおよびPTCAに関するこれらの先進の技術の出現と共に、再狭窄または血栓症など他の急性イベントに寄与する血管内病理での病態生理学的または形態学的因子に関する、公開されているかなりの量の臨床および病理学文献がある。これらの特徴は、プラーク内部でのコラーゲン含有量と、脂質含有量と、カルシウム含有量と、可燃性因子と、これらの特徴の相対的な位置付けとを含むが、それらには限定されない。可視および/または近赤外分光法(すなわち約250〜2500nmの間の範囲にある波長にわたる)の使用によって上述の因子を識別する見込みを示すいくつかの研究が提供されており、カッセルスIII(Casscells,III)等による米国公開特許第2004/0111016A1号、マーシク−ゲールツ(Marshik−Geurts)等による米国公開特許第2004/0077950A1号、キットレル(Kittrell)等による米国特許第5304173号、およびリチャーズ−コルトゥム(Richards−Kortum)等による米国特許第6095982号で言及される研究を含み、各特許文献の内容を本願に引用して援用する。しかし、PTAまたはPTCA処置において診断と治療とを組み合わせるためにこの分光データを利用する非常に安全で商業的に実現可能な応用例は、あったとしても非常に少ない。
【0006】
残念ながら、PTAまたはPTCAと関連付けられる最も一般的な診断処置は、蛍光透視法による血管形成術である。このX線技術は、内腔内部の血流の画像を供給するだけであり、それにより狭窄を識別するが、プラークの血管内の壁に関する情報は提供しない。患者の生命にかかわる脆弱なプラークなど、非狭窄領域またはわずかな狭窄の領域にあるいくつかの重要な疾患がしばしば見過ごされる。血管内超音波など他の技術は、高価な追加のカテーテル、および場合によっては危険な追加の処置を必要とし、これは、効果よりも害をもたらす可能性があり、やはりプラークに関する有益な十分な情報を提供しない。現在、患者に関する妥当なリスクプロファイルを提示する内腔壁に関するこの有用な情報を、正確で、費用対効果が高く、かつ効率的な方法で医師が得るための選択肢はない。
【0007】
従来のバルーンカテーテルは、いくつかの欠点があり、内腔拡張部位での内腔壁の病態生理学的または形態学的特徴の分析以外の目的のために使用される。血管形成術用カテーテル内部での光ファイバの従来の使用によって、可視化などの機能を行うことはできるが、光学的分析は得られない。したがって、従来のバルーンカテーテルは、血管内の壁の表面を越えて何らかの情報を収集することはできない。カテーテルの光学的分析窓の近位で血流を妨げるために低圧バルーンカテーテルが利用可能であるが、内腔拡張は行われず、バルーン自体の内部で分析を行うことはできない。他のシステムは、バルーンカテーテルと血管内の壁との間の血液経路を、傷つけずにできるだけ小さくするために、バルーンカテーテル内部での光フィードバックの使用をサポートする。しかし、これらのシステムでも同様に、内腔壁の完全な光学的分析を行うことはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本明細書で説明するシステムおよび方法は、内腔拡張処置を行う医師に、処置時間またはコストの大幅な増加を何ら伴わずに、かつ患者に対する追加の危険性をほとんどまたは全く伴わずに、内腔壁に関する非常に有用な情報を提供する。内腔壁の照明と、得られる光信号の収集とを最適な形で容易にするために、遠位光ファイバ構成のいくつかの実装形態が含まれる。また、これらの実装形態は、使い捨ての医療デバイスに必要とされる量産性および比較的低コストでの生産を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様によれば、内腔拡張と内腔壁の光学的分析との両方を行うシステムおよび方法が提供される。一実施形態では、装置は、拡張を受ける内腔を取り囲む組織の光学的分析を行うために、1つ以上の送達導波路と1つ以上の収集導波路とを有する内腔拡張バルーンカテーテルを備える。この方法では、光放射の送達および収集は、カテーテル自体のバルーン内部で行われる。内腔拡張バルーンを十分に膨張させて、拡張された内腔壁への光経路を比較的妨げないようにしているときに光学的分析を行うことが好ましい。内腔拡張処置および光学的分析を行う際、コンピュータを利用して、光信号を分析して、内腔壁に関する病態生理学的または形態学的情報を提供し、それにより適切な追加の治療に導くことができる。
【0010】
一実施形態では、プラーク(plaque)の光学的分析は、PTAまたはPTCA処置中に血管形成術のために利用されるのと同じカテーテルの内部で行われる。この光学的分析は、ラマン分光法、赤外分光法、蛍光分光法、光コヒーレンス反射測定法、光コヒーレンストモグラフィ、しかし最も好ましくは拡散反射近赤外分光法を含むことができるが、それらには限定されない。この実施形態は、大きな追加のコスト、危険性、または医師の作業を何ら伴わずに、血管形成術処置中のプラークの光学的分析、したがって病態生理学的または形態学的特徴の診断を提供する。この情報を入手することで、医師は、場合により、様々な投薬量または薬剤を有する薬物溶出ステントの選択肢から選択を行うことができ、あるいはさらに、指示される場合には、薬物を有さないステントを選択することもできる。患者が1回来院する間に複数回の血管形成術を実施することによって、医師は、患者の血管系の大まかな状態に関してより多くを知ることができ、これによって、体系的な療法に導くことができる。生体吸収性ステントなど新たに出現している技術は、本発明の実施形態によって、適正な病理タイプにおいて最適に使用できるようにすることができる。
【0011】
内腔拡張バルーンを通した照明および内腔壁の光信号の収集の光学的方法および設計を含む他の利点および新規の特徴は、本明細書の様々な実施形態の詳細な説明において説明する。
【0012】
一態様では、体腔の内部に配置するためのカテーテルが、長手方向軸に沿って延びる可撓性管路であって、近位端および遠位端を有する可撓性管路と、可撓性管路に沿って位置決めされた少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路であって、約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長で放射を伝送するように構成されて配置された少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路と、管路の一部分の周りに配設された内腔拡張膨張可能バルーンとを備え、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、バルーン内部に配置される。
【0013】
一実施形態では、内腔拡張バルーンが、血管形成術用バルーンを備えることができる。
【0014】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、可撓性管路に隣接して維持される。
【0015】
別の実施形態では、カテーテルが、さらに、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とを可撓性管路に隣接して維持する、管路の周りに配設されたファイバホルダを備える。
【0016】
別の実施形態では、ファイバホルダが、管路に取り付けられるときに管路の長手方向軸と実質的に位置合わせされる複数の穴を有する少なくとも1つのホルダ本体を備え、少なくとも1つの送達導波路と少なくとも1つの収集導波路とが、それら穴においてファイバホルダに固定される。
【0017】
別の実施形態では、ファイバホルダが、表面に複数の溝を有する少なくとも1つのホルダ本体を備え、少なくとも1つの送達導波路と少なくとも1つの収集導波路とが、それら溝においてファイバホルダに固定される。
【0018】
別の実施形態では、複数の溝が、螺旋状に配列される。
【0019】
別の実施形態では、複数の溝が、ファイバホルダが管路に取り付けられるときに、管路の長手方向軸と実質的に位置合わせされる。
【0020】
別の実施形態では、ファイバホルダが、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが管路の第1の長手方向位置と第2の長手方向位置との間で並進可能であるように、可撓性管路の長手方向軸に関して長手方向に並進可能である。
【0021】
別の実施形態では、ファイバホルダが、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とを管路の周りで回転させることができるように、可撓性管路の長手方向軸の周りで回転可能である。
【0022】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、所定の深さの組織から放出される放射(radiation)を内腔拡張膨張可能バルーンから伝送出力端を通して収集するのを容易にするために、所定の距離だけ間隔を空けられる。
【0023】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路が、少なくとも1つの送達光ファイバを備え、少なくとも1つの収集導波路が、少なくとも1つの収集光ファイバを備える。
【0024】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達光ファイバが、テーパ付き端部を有し、そのテーパ付き端部が、放射がファイバの長手方向軸に対して横向きの方向に放出されるように、送達光ファイバの長手方向軸に沿って伝送される放射の経路の方向を変えるための反射面として機能する。
【0025】
別の実施形態では、少なくとも1つの収集光ファイバが、テーパ付き端部を有し、そのテーパ付き端部が、放射が収集光ファイバの長手方向軸に沿って伝送されるように、収集光ファイバの伝送入力端に伝送される放射の経路の方向を変えるための反射面として機能する。
【0026】
別の実施形態では、カテーテルが、さらに、可撓性管路の周りに配設された光学要素を備え、その光学要素が、放射が少なくとも1つの送達導波路の長手方向軸に対して横向きの方向に放出されるように、少なくとも1つの送達導波路の長手方向軸に沿って伝送される放射の方向を変えるために、可撓性管路の長手方向軸に対して鋭角に位置する複数のファセット(facet)のアレイを含む。
【0027】
別の実施形態では、カテーテルが、さらに、可撓性管路の周りに配設された光学要素を備え、光学要素が、放射が収集導波路の長手方向軸に沿って伝送されるように、少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端に伝送される放射の方向を変えるために、可撓性管路の長手方向軸に対して鋭角に位置する複数のファセットのアレイを含む。
【0028】
別の実施形態では、伝送入力端の領域内での少なくとも1つの収集導波路の遠位端が、管路の長手方向軸の周りで螺旋経路に沿って位置する。
【0029】
別の実施形態では、伝送出力端の領域内での少なくとも1つの送達導波路の遠位端が、管路の長手方向軸の周りで螺旋経路に沿って位置する。
【0030】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、管路の長手方向軸に沿って長手方向で所定の距離だけ間隔を空けられている。
【0031】
別の実施形態では、バルーンが、約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長での放射に対して実質的に透明であるポリマー材料を備える。
【0032】
別の実施形態では、ポリマー材料が、ナイロンおよびポリエチレンからなる材料の群から選択される。
【0033】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路が複数の送達導波路を含み、少なくとも1つの収集導波路が複数の収集導波路を含む。
【0034】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路が2つ、3つ、または4つの送達導波路を含み、少なくとも1つの収集導波路が2つ、3つ、または4つの収集導波路を含む。
【0035】
別の実施形態では、バルーンが内腔の内部で膨張しているときに、複数の送達導波路の複数の伝送出力端が、内腔の内壁を、バルーンを通して内壁の360度部分の周りで照明するように構成され、複数の収集導波路の複数の伝送入力端が、バルーンを通して内壁の照明された360度部分の周りで内腔の内壁から放射を受け取るように構成される。
【0036】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路が、第1および第2の送達導波路を備え、少なくとも1つの収集導波路が、第1および第2の収集導波路を備え、第1および第2の送達導波路の伝送出力端が、可撓性管路に関して互いに円周方向で反対側に位置決めされ、第1および第2の収集導波路の伝送入力端が、可撓性管路に関して互いに円周方向で反対側に位置決めされ、それにより、内腔の内壁の360度部分の4つの象限を、バルーンを通した放射によって照明することができ、反射された放射を、内壁の4つの象限からバルーンを通して受け取ることができる。
【0037】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端が、約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長での放射に対して実質的に透明であるカバー内部に封着された非クラッドファイバコアを備える。
【0038】
別の実施形態では、実質的に透明なカバーが、ある屈折率を有する材料を含む円筒形カプセルを備えて、入射放射を所定の方向に向けるように非クラッドファイバコアとカプセル内の材料との界面を提供する。
【0039】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端が、少なくとも1つの送達導波路の長手方向軸に対して横向きの方向に放射を向けるように、散乱粒子群と反射終端部材とを備える。
【0040】
別の実施形態では、バルーンが、可撓性管路の第1の長手方向位置と第2の長手方向位置とで可撓性管路に封着される。
【0041】
別の実施形態では、バルーンが、バルーンの第1の部分にある管路の第1の長手方向位置で管路に結合され、バルーンが、バルーンの第2の部分にある管路の第2の長手方向位置で管路に結合され、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、管路の第1および第2の長手方向位置の間でバルーン内部に配置される。
【0042】
別の実施形態では、カテーテルが、さらに、管路の遠位端で管路に結合されたガイドワイヤシースを備え、バルーンが、バルーンの第1の部分でガイドワイヤシースおよび管路に結合され、バルーンが、バルーンの第2の部分でガイドワイヤシースに結合される。
【0043】
別の実施形態では、可撓性管路が、ガイドワイヤ管腔を含むコア管を備える。
【0044】
別の実施形態では、少なくとも1つの収集導波路と少なくとも1つの送達導波路とが、コア管の長さの大部分に沿って、コア管の流体移送管腔の内部に配置される。
【0045】
別の実施形態では、少なくとも1つの収集導波路と少なくとも1つの送達導波路とが、コア管の長さの大部分に沿って、コア管を取り囲むカテーテルシースの内部に位置決めされる。
【0046】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路と少なくとも1つの収集導波路との少なくとも一方が、グレーデッドインデックス光ファイバを備える。
【0047】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路と少なくとも1つの収集導波路との少なくとも一方が、約0.22〜0.4の間の開口数を有する。
【0048】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路が、約9〜100マイクロメートルの間のファイバコア直径を有するファイバを備える。
【0049】
別の実施形態では、少なくとも1つの収集導波路が、約50〜200マイクロメートルの間のファイバコア直径を有するファイバを備える。
【0050】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路が、約50マイクロメートルのファイバコア直径を有するファイバを備え、少なくとも1つの収集導波路が、約100マイクロメートルのファイバコア直径を有するファイバを備える。
【0051】
別の実施形態では、可撓性管路と、少なくとも1つの送達導波路と、少なくとも1つの収集導波路と、バルーンとを含むカテーテルの最大外径が、バルーンが膨張していないときに約1.5ミリメートル未満である。
【0052】
別の態様では、体腔をプローブ検査して治療するためのシステムが、体腔内への挿入に適した長手方向軸に沿って延びる可撓性管路であって、近位端および遠位端を有する管路と、可撓性管路と一体化された少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路と、少なくとも1つの送達導波路の伝送入力端に接続された少なくとも1つの放射源であって、約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長で放射を提供するように構成されて配置された放射源と、少なくとも1つの収集導波路の伝送出力端に接続された少なくとも1つの光検出器と、管路の一部分の周りに配設された内腔拡張膨張可能バルーンとを備え、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、バルーン内部に配置される。
【0053】
一実施形態では、少なくとも1つの収集導波路の伝送出力端が、分光計に接続され、分光計が、約250nm〜2500nmの範囲内の波長で放射を走査して分光法を実施するように構成されて配置される。
【0054】
別の実施形態では、分光計が、蛍光法、光散乱法、光コヒーレンス反射測定法、光コヒーレンストモグラフィ、スペックル相関法、ラマン分光法、および拡散反射分光法からなる分光方法の群から選択される分光法を実施するように構成される。
【0055】
別の実施形態では、分光計が、約750nm〜2500nmの範囲内の波長で放射を走査して分光法を実施するように構成されて配置される。
【0056】
別の実施形態では、分光計が、1つ以上の波長範囲を使用して放射を走査して分光法を実施するように構成されて配置される。
【0057】
別の実施形態では、1つ以上の波長範囲を使用するスキャンが、1つ以上の離散的な波長を使用するスキャンを含む。
【0058】
別の実施形態では、システムが、さらに、システムによって収集されたデータの分析をさらに制御するために、少なくとも1つの放射源および少なくとも1つの光検出器の作動および非作動の制御を自動化するようにプログラムされた制御装置を備える。
【0059】
別の実施形態では、システムが、病院または外来部門を含む医療施設内で使用するように構成されて配置される。
【0060】
別の実施形態では、制御装置が、分光法のデータおよび分析に関するフィードバックを操作者に提供する人間対話型インターフェースを動作させるようにプログラムされ、インターフェースが、リアルタイム診断に関する情報を提供する。
【0061】
別の実施形態では、制御装置が、化学成分の存在、組織形態学的構造、水含有量、血液含有量、温度、pH、および色の少なくとも1つを含む、対象組織の1つ以上の特性を識別するようにプログラムされる。
【0062】
別の実施形態では、制御装置が、組織特性と、カテーテルの要素および体腔内に人工的に導入される他の要素を含む非関連アーティファクトとを区別するようにプログラムされる。
【0063】
別の実施形態では、人工的に導入される要素が、ステントと、ステントのコーティングとの少なくとも1つを含む。
【0064】
別の実施形態では、システムが、さらに、少なくとも1つの送達導波路への放射の適用のために複数の放射源から選択する、少なくとも1つの放射源と少なくとも1つの送達導波路との間に結合されたスイッチを備える。
【0065】
別の実施形態では、システムが、さらに、少なくとも1つの送達導波路に対して少なくとも1つの放射源を選択的に適用する、少なくとも1つの放射源と少なくとも1つの送達導波路との間に結合されたスイッチを備える。
【0066】
別の実施形態では、システムが、さらに、治療送達サブシステムを備える。
【0067】
別の実施形態では、治療送達サブシステムが、さらに、治療薬物および治療剤の少なくとも1つを中に通して送達することができる、可撓性管路と関連付けられた管を備える。
【0068】
別の実施形態では、1つ以上の放射源が、膨張したときにバルーンの外側の位置で約20ミリワット未満の放射の出力を生成するように構成される。
【0069】
別の態様では、体腔の内部に配置するためのカテーテルが、長手方向軸に沿って延びる可撓性管路であって、近位端および遠位端を有する可撓性管路と、可撓性管路に沿って位置決めされる少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路と、管路の一部分の周りに配設された内腔拡張膨張可能バルーンとを備え、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、バルーン内部に配置され、可撓性管路と、少なくとも1つの送達導波路と、少なくとも1つの収集導波路と、バルーンとを含むカテーテルの最大外径が、バルーンが膨張していないときに約1.5ミリメートル未満である。
【0070】
一実施形態では、少なくとも1つの送達導波路と少なくとも1つの収集導波路とが、約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長で放射を伝送するように構成されて配置される。
【0071】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路と少なくとも1つの収集導波路との少なくとも一方が、グレーデッドインデックス光ファイバを備える。
【0072】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路と少なくとも1つの収集導波路との少なくとも一方が、約0.22〜0.4の間の開口数を有する。
【0073】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路が、約9〜100マイクロメートルの間のファイバコア直径を有するファイバを備える。
【0074】
別の実施形態では、少なくとも1つの収集導波路が、約50〜200マイクロメートルの間のファイバコア直径を有するファイバを備える。
【0075】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路が、約50マイクロメートルのファイバコア直径を有するファイバを備え、少なくとも1つの収集導波路が、約100マイクロメートルのファイバコア直径を有するファイバを備える。
【0076】
別の態様では、体腔の分析および治療を提供するための方法が、可撓性管路と、内腔拡張バルーンと、少なくとも1つの送達導波路と、少なくとも1つの収集導波路とを含むカテーテルを体腔内に挿入するステップであって、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、バルーン内部に配置されるステップと、治療または分析のために指定された体腔の指定領域内に管路を操作するステップと、体腔の指定領域内でバルーンを拡張するステップと、約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長での放射を使用して、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端で供給される放射を体腔の指定領域に照射することによって、体腔の指定領域の分光分析を実行するステップであって、供給される放射が、バルーンを通過し、放射が、体腔の指定領域に入射し、放射が、バルーンを通して、少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端に戻されるステップとを含む。
【0077】
一実施形態では、治療的にバルーンを拡張するステップが、体腔を拡張する。
【0078】
別の実施形態では、治療的に体腔を拡張するためにバルーンを拡張するステップが、指定領域内で体腔を開拡する。
【0079】
別の実施形態では、分光分析を実行するステップが、バルーンが拡張される間に行われる。
【0080】
別の実施形態では、管路の挿入および操作と、バルーンの拡張とが、経皮経管的血管形成術に従った手順に従う。
【0081】
別の実施形態では、管路の挿入および操作と、バルーンの拡張とが、経皮経管的冠動脈血管形成術に従った手順に従う。
【0082】
別の実施形態では、バルーンが、バルーンと周囲の内腔組織との間の血液の流れが実質的に阻止されるように拡張される。
【0083】
別の実施形態では、分光分析が、血管内領域内部の周囲組織の1つ以上の病態生理学または形態学因子の特徴付けを含む。
【0084】
別の実施形態では、病態生理学または形態学因子が、血管内領域内部のプラークの存在、体積、および位置決めを特徴付けることを含む。
【0085】
別の実施形態では、病態生理学または形態学因子が、さらに、プラーク内部でのコラーゲン含有量、脂質含有量、カルシウム含有量、可燃性、または病態生理学的状態の相対的な位置付けの少なくとも1つを含むプラークの特性を含む。
【0086】
別の実施形態では、方法が、さらに、バルーンを拡張するときに指定領域に送達されるように内腔拡張バルーンにステントを提供するステップを含む。
【0087】
別の実施形態では、分光分析を実行するステップが、さらに、少なくとも1つの収集導波路を通して戻される放射に基づいて分析データを収集するステップと、指定領域内の対象組織に関連付けられる収集された分析データと、バルーン、バルーン拡張媒体、ガイドワイヤ、ステント、およびステントに配置された人工材料の少なくとも1つを含むアーティファクトに関連付けられる分析データとを区別するステップとを含む。
【0088】
別の実施形態では、ステントに配置された人工材料と関連付けられる分析データが、ポリマーと関連付けられるデータを含む。
【0089】
別の実施形態では、ステントに配置された人工材料と関連付けられる分析データが、薬物と関連付けられるデータを含む。
【0090】
別の実施形態では、方法が、さらに、分光分析を使用して、指定領域のための適切な治療を決定するステップを含む。
【0091】
別の実施形態では、適切な治療を決定するステップが、挿入に最も適したステントのタイプを選択するステップを含む。
【0092】
別の実施形態では、挿入に最も適したステントのタイプを決定するステップが、ステントから溶出すべき薬物および投薬量を選択するステップを含む。
【0093】
別の実施形態では、分光分析を実行するステップが、バルーンが部分的に膨張している間に行われる。
【0094】
別の実施形態では、バルーンが部分的に膨張している間に行われる分光分析が、損傷された組織の位置を計算するために使用される。
【0095】
別の実施形態では、損傷された組織の位置の計算が、バルーンの完全な膨張の前に、内腔内での管路の位置をガイドするために使用される。
【0096】
別の実施形態では、方法が、さらに、分光分析を使用してバルーンの拡張のレベルを決定するステップを含む。
【0097】
別の実施形態では、分光分析が、内腔の壁の360度部分で実行される。
【0098】
別の実施形態では、分光分析を実行するステップが、少なくとも1つの送達導波路の個々の送達導波路ごとに放射の送達を選択的に切り換えるステップを含む。
【0099】
別の実施形態では、選択的な切換えが、バルーンの円周の周りのあらかじめ定められた象限を照射するために放射を分散する。
【0100】
別の実施形態では、選択的な切換えが、複数の放射源の選択的な操作を含む。
【0101】
別の実施形態では、分光分析を実行するステップが、1つ以上の波長範囲にわたって選択的に走査するステップを含む。
【0102】
別の実施形態では、分光分析を実行するステップが、約750nm〜2500nmの間の1つ以上の波長範囲を使用して走査するステップを含む。
【0103】
別の実施形態では、1つ以上の波長範囲が、約250〜930ナノメートル、1100〜1385ナノメートル、1600〜1850ナノメートル、および2100〜2500ナノメートルの範囲から選択される。
【0104】
別の実施形態では、1つ以上の波長範囲にわたって選択的に走査するステップが、1つ以上の離散的な波長を使用して走査するステップを含む。
【0105】
別の実施形態では、バルーンを拡張するステップが、放射の散乱、歪、および偏向の影響を実質的に最小限にする生体適合性流体を用いてバルーンを拡張するステップを含む。
【0106】
別の実施形態では、生体適合性流体が、二酸化炭素、食塩水(saline)、酸化ジュウテリウム、およびグリセリンからなる群から選択される少なくとも1つである。
【0107】
別の実施形態では、生体適合性流体が、過飽和食塩水溶液を備える。
【0108】
別の実施形態では、分光分析を実行するステップが、さらに、少なくとも1つの収集導波路を通して受け取られる放射に基づいて分析データを収集するステップを含む。
【0109】
別の実施形態では、分析データを収集するステップが、約1秒未満の時間内に行われる。
【0110】
別の実施形態では、方法が、さらに、収集された分析データを分析するステップを含む。
【0111】
別の実施形態では、分光分析中に内腔拡張バルーンから放出されるパワーの量が、約20ミリワット未満である。
【0112】
別の態様では、体腔の内部に配置するためのカテーテルを形成する方法が、体腔内への挿入に適した長手方向軸に沿って延びる可撓性管路を提供するステップであって、可撓性管路が、近位端および遠位端を有するステップと、可撓性管路に沿って少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路を提供するステップであって、少なくとも1つの送達導波路と少なくとも1つの収集導波路とが、約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長で放射を伝送するように構成されて配置されるステップと、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とがバルーン内部に配置されるように、管路の一部分の周りに内腔拡張膨張可能バルーンを提供するステップとを含む。
【0113】
一実施形態では、方法が、さらに、外側ジャケットの導波路の端部分を剥離すること、導波路の非剥離部分を固定すること、螺旋状に配置すべき導波路の端部分に、端部分を可鍛性(展性)にするのに十分な熱源を適用すること、およびコアセグメントの周りで導波路を回転するため、および導波路の固定された非剥離部分の方向に導波路の端部分を長手方向で並進するために力を加えることによって、少なくとも1つの送達導波路と少なくとも1つの収集導波路の遠位部分とを螺旋配置で形成するステップを含む。
【0114】
別の実施形態では、導波路が、導波路の端部を回転させて長手方向に並進させるために力を所定の方法で加えることによって、所定の角度で螺旋状に配置される。
【0115】
別の実施形態では、導波路の非剥離部分を固定するステップが、コアセグメントの周りに配設された少なくとも1つの係止部材を使用して行われ、回転および並進のための力が、コアセグメントの周りに配設された回転運動および並進運動可能な部材を用いて加えられる。
【0116】
別の実施形態では、導波路の端部分が、約2マイクロメートル〜2ミリメートルの範囲の距離だけ並進され、一方、導波路の端部分が、コアセグメントの周りで約30〜360度回転される。
【0117】
別の実施形態では、熱源が、約1600℃で熱を提供する。
【0118】
別の実施形態では、バルーンが、管路にレーザ溶接される。
【0119】
別の実施形態では、方法が、さらに、少なくとも1つの送達導波路と少なくとも1つの収集導波路とを可撓性管路に隣接して維持するための導波路ホルダを提供するステップを含む。
【0120】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路と少なくとも1つの収集導波路とが、前記少なくとも1つの送達導波路と少なくとも1つの収集導波路とを可撓性管路に沿って提供する前に、前記導波路ホルダと組み立てられる。
【0121】
別の実施形態では、方法が、さらに、導波路ホルダとの組立て後に、前記少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端を整形するステップを含む。
【0122】
別の実施形態では、方法が、さらに、前記導波路ホルダとの組立て後に、前記少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端を整形するステップを含む。
【0123】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路を保持するための導波路ホルダが、複数の穴を有するホルダ本体を備える。
【0124】
別の実施形態では、方法が、さらに、複数の穴を可撓性管路の長手方向軸と位置合わせして固定するステップを含む。
【0125】
別の実施形態では、方法が、さらに、対応して、複数の穴を1つ以上の反射面と位置合わせして固定するステップを含む。
【0126】
別の実施形態では、前記1つ以上の反射面が、多面反射要素の一部として、可撓性管路の周りで半径方向に配設される。
【0127】
別の実施形態では、前記1つ以上の反射面が、可撓性管路の長手方向軸と位置合わせされた円錐形状反射要素を備える。
【0128】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路と少なくとも1つの収集導波路とを保持するための導波路ホルダが、可撓性管路の周りで半径方向に配設された複数の溝を有するホルダ本体を備える。
【0129】
別の態様では、体腔の内部に配置するためのカテーテルが、長手方向軸に沿って延びる可撓性管路であって、近位端および遠位端を有する可撓性管路と、可撓性管路に沿って位置決めされた少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路であって、約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長で放射を伝送するように構成されて配置された少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路と、管路の一部分の周りに配設された内腔拡張膨張可能バルーンとを備え、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、バルーンの外面に沿って位置決めされる。
【0130】
一実施形態では、カテーテルが、さらに、少なくとも1つの送達導波路と少なくとも1つの収集導波路との本体部分を可撓性管路に結合するリングを備える。
【0131】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、バルーンの外面に取り付けられる。
【0132】
別の態様では、体腔の内部に配置するためのカテーテルが、長手方向軸に沿って延びる可撓性管路であって、近位端および遠位端を有する可撓性管路と、可撓性管路に沿って位置決めされた少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路であって、約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長で放射を伝送するように構成されて配置された少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路と、管路の一部分の周りに配設された内腔拡張膨張可能バルーンとを備え、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、バルーンの内面に取り付けられる。
【0133】
一実施形態では、カテーテルが、さらに、少なくとも1つの送達導波路と少なくとも1つの収集導波路との本体部分を可撓性管路に結合するリングを備える。
【0134】
本発明の前述および他の目的、特徴、および利点は、添付図面に例示される本発明の好ましい実施形態のより詳細な説明から明らかになろう。添付図面中、様々な図を通じて、同様の参照符号は同じ部分を指す。図面は、必ずしも縮尺が合っておらず、本発明の原理を例示する際に強調が加えられている。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1A】本発明の実施形態による、内腔を分析して医学的に治療するための器具を例示する概略ブロック図である。
【図1B】本発明の実施形態による、内腔を分析して医学的に治療するための器具を例示する概略ブロック図である。
【図2A】本発明の実施形態による、図1のカテーテルの治療端部の拡大例示図である。
【図2B】図2Aの断面線I−I'に沿って取られた図2Aのカテーテルの断面図である。
【図2C】図2Aの断面線II−II'に沿って取られた図2Aのカテーテルの断面図である。
【図3A】本発明の実施形態による、螺旋構成で配置された複数のファイバを有する図2A〜2Cのカテーテルの拡大例示図である。
【図3B】図3Aの断面線I−I'に沿って取られた図3Aのカテーテルの断面図である。
【図3C】本発明の他の実施形態による、螺旋構成で配置された複数のファイバを有する図3A〜3Bのカテーテルの拡大例示図である。
【図3D】本発明の他の実施形態による、螺旋構成で配置された複数のファイバを有する図3A〜3Bのカテーテルの拡大例示図である。
【図3E】本発明の他の実施形態による、螺旋構成で配置された複数のファイバを有する図3A〜3Bのカテーテルの拡大例示図である。
【図3F】本発明の他の実施形態による、螺旋構成で配置された複数のファイバを有する図3A〜3Bのカテーテルの拡大例示図である。
【図4】本発明の実施形態による、血管形成術用バルーンによって取り囲まれたコア管に取り付けられた4つのファイバを含むカテーテル実施形態のクローズアップ例示図である。
【図5】本発明の実施形態による、短縮されたガイドワイヤシースに取り付けられた4つのファイバを含むカテーテル実施形態のクローズアップ例示図である。
【図6A】本発明の実施形態による、ファイバホルダに取り付けられた複数のファイバを有する図2A〜2Cのカテーテルの拡大例示図である。
【図6B】図6Aの断面線I−I'に沿って取られた図6Aのカテーテルの断面図である。
【図6C】本発明の実施形態による、ファイバが穴付きファイバホルダ内に維持された、カテーテルの遠位部分の例示図である。
【図6D】図6Cの断面線I−I'に沿って取られた図6Cのファイバホルダの断面図である。
【図7A】本発明の実施形態による、ファイバホルダに取り付けられ、螺旋構成で配置された複数のファイバを有するカテーテル実施形態の拡大例示図である。
【図7B】図7Aの断面線I−I'に沿って取られた図7Aのカテーテルの断面図である。
【図7C】本発明の実施形態による、螺旋状に配置されたファイバが穴付きファイバホルダ内に維持された、カテーテルの遠位部分の例示図である。
【図7D】図6Cの断面線I−I'に沿って取られた図7Cのファイバホルダの断面図である。
【図7E】螺旋状に配置されたファイバを内部に維持することができる穴の軌跡線を示す、図7C〜7Dのファイバホルダの例示斜視図である。
【図7F】図7C〜7Eのファイバホルダのそれぞれ長手方向および側面斜視例示図である。
【図7G】図7C〜7Eのファイバホルダのそれぞれ長手方向および側面斜視例示図である。
【図8A】本発明の実施形態による、可動のファイバホルダに取り付けられ、カテーテルシースによって取り囲まれた複数のファイバを有するカテーテルの例示図である。
【図8B】本発明の別の実施形態による、図8Aの断面線I−I'に沿って取られた図8A〜8Bのカテーテルの断面図である。
【図8C】本発明の他の実施形態による、螺旋構成でファイバホルダに取り付けられた複数のファイバを有する図8Aのカテーテルの拡大例示図である。
【図8D】本発明の他の実施形態による、螺旋構成でファイバホルダに取り付けられた複数のファイバを有する図8Aのカテーテルの拡大例示図である。
【図8E】本発明の他の実施形態による、螺旋構成でファイバホルダに取り付けられた複数のファイバを有する図8Aのカテーテルの拡大例示図である。
【図9A】本発明の実施形態による、体腔の第1および第2の象限に関して光学的分析を行うカテーテルを例示する概略図である。
【図9B】本発明の実施形態による、体腔の第3および第4の象限に関して光学的分析を行うカテーテルを例示する概略図である。
【図10A】「サイドファイア」先端ファイバ構成を有する本発明の実施形態による光伝送のサンプル光線軌跡を例示するカテーテルの図である。
【図10B】「サイドファイア」先端ファイバ構成を有する本発明の実施形態による光伝送のサンプル光線軌跡を例示するカテーテルの図である。
【図10C】螺旋ファイバ構成を有する本発明の別の実施形態による光伝送のサンプル光線軌跡を例示するカテーテルの図である。
【図10D】螺旋ファイバ構成を有する本発明の別の実施形態による光伝送のサンプル光線軌跡を例示するカテーテルの図である。
【図10E】円錐形反射器を有する本発明の別の実施形態による光伝送のサンプル光線軌跡を例示するカテーテルの図である。
【図10F】円錐形反射器を有する本発明の別の実施形態による光伝送のサンプル光線軌跡を例示するカテーテルの図である。
【図10G】円錐形反射器を有する本発明の別の実施形態による光伝送のサンプル光線軌跡を例示するカテーテルの図である。
【図10H】多面反射器を有する本発明の別の実施形態による光伝送のサンプル光線軌跡を例示するカテーテルの図である。
【図10I】図10Hの多面反射器の実施形態のクローズアップ斜視図である。
【図10J】本発明の別の実施形態による、6つのファイバを有し、体腔に関して光学的分析を行うカテーテルの断面図である。
【図11A】本発明の実施形態による、塗布された金属コーティングを有する斜角先端(「サイドファイア」構成)と光学的窓とを含むファイバの例示図である。
【図11B】図11Aの断面線I−I'に沿って取られた図11Aのファイバの断面図である。
【図11C】本発明の実施形態による、遠位部分にクラッドがない斜角ファイバ先端の例示図である。
【図11D】本発明の実施形態による、透明カプセルを含むファイバの端部の例示図である。
【図12】本発明の別の実施形態による、光エネルギーの送達、収集、または送達および収集のために採用することができる二重クラッド光ファイバの斜視図である。
【図13A】本発明の別の実施形態による、拡散ヘッドを有する送達ファイバを含むバルーンカテーテルの例示図である。
【図13B】図13Aの断面線I−I'に沿って取られた図13Aの器具の断面図である。
【図13C】本発明の実施形態による、拡散器と散乱粒子とを含む図13Aの送達ファイバの出力端部の拡大例示図である。
【図13D】本発明の別の実施形態による、拡散器を含む図13Aの送達ファイバの出力端部の拡大例示図である。
【図14A】本発明の実施形態による、バルーンの遠位端にガイドワイヤシースが配置された、コア管内部に位置決めされた送達ファイバを含むバルーンカテーテルの例示図である。
【図14B】図14Aの断面線I−I'に沿って取られた図14Aの器具の断面図である。
【図14C】図14Aの断面線II−II'に沿って取られた図14Aの器具の断面図である。
【図15A】本発明の実施形態による、バルーンカテーテルとステントとを備える器具の例示側面図である。
【図15B】図15Aの断面線I−I'に沿って取られた図15Aの器具の断面図である。
【図16A】本発明の実施形態による、バルーンの外面に近接する送達ファイバおよび収集ファイバを含むカテーテル実施形態のクローズアップ例示図である。
【図16B】図16Aの断面線I−I'に沿って取られた図16Aのカテーテルの断面図である。
【図17A】本発明の実施形態による、バルーンの内面に装着または成形された送達ファイバおよび収集ファイバを含むカテーテル実施形態のクローズアップ例示図である。
【図17B】本発明の実施形態による、図17Aの断面線I−I'に沿って取られた図17Aのカテーテルの断面図である。
【図18A】本発明の実施形態による、ファイバアセンブリを螺旋状に湾曲するためのデバイスの例示図である。
【図18B】図18Aの断面線I−I'に沿って取られた図18Aの器具の断面図である。
【図18C】図18Aの断面線II−II'に沿って取られた図18Aの器具の断面図である。
【図18D】図18Aの断面線III−III'に沿って取られた図18Aの器具の断面図である。
【図19A】本発明の実施形態による、器具製造プロセスの順次ステップの例示図である。
【図19B】本発明の実施形態による、器具製造プロセスの順次ステップの例示図である。
【図19C】本発明の実施形態による、器具製造プロセスの順次ステップの例示図である。
【図19D】本発明の実施形態による、器具製造プロセスの順次ステップの例示図である。
【図20A】本発明の実施形態による、バルーン血管形成処置を行う順次ステップを例示する断面図である。
【図20B】本発明の実施形態による、バルーン血管形成処置を行う順次ステップを例示する断面図である。
【図20C】本発明の実施形態による、バルーン血管形成処置を行う順次ステップを例示する断面図である。
【図20D】本発明の実施形態による、バルーン血管形成処置を行う順次ステップを例示する断面図である。
【図20E】本発明の実施形態による、バルーン血管形成処置を行う順次ステップを例示する断面図である。
【図20F】本発明の実施形態による、バルーン血管形成処置を行う順次ステップを例示する断面図である。
【図20G】本発明の実施形態による、バルーン血管形成処置を行う順次ステップを例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0136】
以下、本発明による例示実施形態が図示されている添付図面を説明する。本明細書で開示される特有の構造的および機能的詳細は、代表的なものにすぎない。本発明は、多くの代替形態で具現化することができ、本明細書に記載される例示実施形態に限定されるとみなされるべきではない。
【0137】
したがって、特有の実施形態が、図面中に例として図示される。しかし、開示する特定の形態に本発明を限定する意図はなく、逆に、本発明は、特許請求の範囲の精神および範囲内に入る全ての変形、等価形態、および代替を網羅するものと理解すべきである。図の説明を通じて、同様の参照番号は同様の要素を表す。
【0138】
本明細書では、様々な要素を説明するために用語「第1の」、「第2の」などを使用することがあるが、これらの要素がこれらの用語によって限定されるべきではないことを理解されたい。これらの用語は、ある要素を別の要素から区別するために使用される。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶこともでき、同様に第2の要素を第1の要素と呼ぶこともできる。本明細書で使用する際、用語「および/または」は、関連の列挙された項目のうち1つ以上の項目のあらゆる組合せを含む。
【0139】
要素が別の要素の「上にある」、別の要素に「接続される」、または別の要素に「結合される」と表現されるとき、要素は、別の要素の直接上にあってもよく、別の要素に直接接続されていてもよく、または別の要素に直接結合されていてもよく、あるいは間に介在する要素が存在していてもよいことを理解されたい。対照的に、要素が別の要素の「直接上にある」、別の要素に「直接接続される」、または別の要素に「直接結合される」と表現されるとき、介在要素は存在しない。要素間の関係を説明するために使用される他の用語も同様に解釈されるべきである(例えば、「…と…との間にある」と「…と…との直接の間にある」、「隣接する」と「直接隣接する」など)。
【0140】
本明細書で使用される術語は、特定の実施形態を説明する目的のものであり、本発明を限定するものとは意図されていない。本明細書で使用する際、単数形は、文脈上に明示されていない限り、複数形も含むものと意図されている。さらに、用語「備える」および/または「含む」は、本明細書で使用するとき、指定された特徴、整数、ステップ、操作、要素、および/または構成要素の存在を規定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を排除しないということを理解されたい。
【0141】
本明細書で使用する際、用語「隣接して維持される」は、送達および収集導波路と、それらが取り付けられるカテーテルの可撓性管路との相互関係に言及するとき、導波路が、管路の近位またはその付近の位置に維持されることを意味する。例えば、導波路は、例えばとりわけ以下の図2〜5の実施形態と関連して図示されて説明されるように、管路に直接接合することができ、あるいは導波路は、例えばとりわけ以下の図6および7の実施形態と関連して図示されて説明されるように、管路に結合された保定器に接合することができ、あるいは導波路は、例えばとりわけ以下の図8の実施形態と関連して図示されて説明されるように、管路に関して摺動または回転する保定器に接合することができる。これらの各場合に、導波路は、直接的に、あるいは管路にさらに結合される固定または可動保定器を介して間接的に、管路に物理的に接続される。したがって、用語「隣接して維持される」は、これらの構成および他の関連構成を包含するものと意図される。
【0142】
図1Aは、本発明の実施形態による、内腔を分析して医学的に治療するための集積光学系を有するバルーンカテーテルアセンブリ110の例示図である。カテーテルアセンブリ110は、1つ以上の送達ファイバ112および1つ以上の収集ファイバ113を有するカテーテルシース138と、ガイドワイヤ145を有するガイドワイヤシース131とを含む。カテーテルアセンブリ110の遠位端は、バルーン111を含み、バルーン内部に、(1つ以上の)送達ファイバ112および(1つ以上の)収集ファイバ113のそれぞれ送達および収集端部が閉じ込められる。バルーンカテーテルアセンブリ110の近位端は、カテーテルシース138をコネクタサブアセンブリ255に取り付ける継手15を含む。ファイバ112および113は、市販の光源および/または(図1Bの高レベルの図に示されるような)分光計150などの分析デバイスと共に使用するのに互換性のあるコネクタ120(例えば、FC/PCタイプ)と嵌合される。別法として、ファイバ112および113は、商業的に流通している様々なマルチポートコネクタ(図示せず)と嵌合させることができる。2つの放射線不透過性マーカーバンド260が、ガイドワイヤシース131の周りに固定されて、(例えば、X線透視装置を用いて)患者の体内のカテーテル110の位置に関する情報を操作者が得られるようにする。
【0143】
コネクタサブアセンブリ255は、バルーン111を拡張または収縮するためにポート70を通して液体/気体258を供給または除去するためのフラッシングポート250を含む。液体/気体258は、タンク256内に保持され、タンク256からノブ254の作動によってバルーン111内に注入される、またはバルーン111から除去される。別法として、液体/気体258は、自動化された構成要素(例えばスイッチ/圧縮機/真空)の使用によって注入することもできる。バルーンの拡張のための溶液は、好ましくは人体に無毒であり(例えば食塩水)、選択される光放射に対して実質的に半透明である。
【0144】
次に図1Bをさらに参照すると、概略的な高レベルのブロック図が、本発明の実施形態による、体腔の分析および医学的治療のための器具100を例示する。器具100は、例えば被験者165の動脈、静脈、器官、または他の体腔など、治療を受ける被験者165の体腔内に挿入されるように構成されて配置されたカテーテル110を備える。(1つ以上の)送達ファイバ112が、分光計150に一体化された光源180に接続され、(1つ以上の)収集ファイバ113が、(やはり分光計150に一体化された)検出器170に接続される。分光計150は、処理装置175を用いて分光法を処理することができる。分光計150に接続されたコンピュータ152は、器具100を操作するためのインターフェースを提供することができ、さらに分光データを処理して(例えば、ケモメトリック分析によるものを含む)、被験者165の状態を診断および/または治療する。入出力構成要素(I/O)および閲覧構成要素151が提供されて、例えば記憶装置および/またはネットワークデバイスなどの間で情報を通信し、器具100の動作に関係付けられる情報を操作者が閲覧できるようにする。
【0145】
さらに、カテーテル110は、例えば罹患動脈を治療するために使用することができる療法システムに取り付けられた治療管(図示せず)を備えることができる。この実施例では、治療管を介して罹患動脈に薬物を送達することができる。
【0146】
図2Aは、本発明の実施形態による図1のカテーテル110の治療端部の拡大例示図である。図2Bは、図2Aの断面線I−I'に沿って取られた図2Aのカテーテル110の断面図であり、図2Cは、図2Aの断面線II−II'に沿って取られた図2Aのカテーテルの断面図である。カテーテル110は、バルーン111と、長手方向ガイドワイヤ管腔130および流体移送管腔116を含むコア管131と、少なくとも1つの送達ファイバ112と、少なくとも1つの収集ファイバ113とを含む。一実施形態では、カテーテル110は、血管形成術用バルーンカテーテルである。この方法では、カテーテル110は、体腔、例えば動脈内に配置されるときに、任意選択で、バルーン血管形成術を実施するため、および/または動脈内にステントを配置するために使用することができる。代替実施形態では、送達ファイバ112が、単一の送達ファイバまたは複数の送達ファイバを備えることができ、あるいは収集ファイバ113が、単一収集ファイバまたは複数の収集ファイバを備えることができる。
【0147】
少なくとも1つのエネルギー源180が、送達ファイバ112の近位端に取り付けられる。少なくとも1つの検出器170が、収集ファイバ113の近位端に取り付けられる。エネルギー源180は、電磁放射、例えば光放射を発生し、これが、送達ファイバ112の近位端から遠位端に伝送される。送達ファイバ112の遠位端は、バルーン111内部に位置決めされ、バルーン111で光放射を放出し、それにより放射は、体腔壁の内面にあるターゲット領域に誘導される。放射は、体腔壁から反射され、カテーテル110の治療端部にある収集ファイバの遠位端で収集される。内腔壁のスペクトル特徴が、内腔壁から反射および/または他の方法で放出される放射の量およびタイプを決定する。収集された放射は、収集ファイバ113の遠位端で捕捉され、収集ファイバ113によって近位端に送られ、それにより検出器170が、反射された放射を信号データとして処理する。
【0148】
図1Bに示されているように、放射源180および検出器170は、分光計システム150と接続される、および/または分光計システム150内に組み込まれる。様々な実施形態が、約250〜2500ナノメートルの間の波長範囲内で分光分析を行うように構成された分光計を提供し、特に約750〜2500ナノメートルの間の近赤外スペクトルの範囲を有する実施形態を含む。さらなる実施形態は、例えば約250〜930nm、約1100〜1385nm、約1600〜1850nm、および約2100〜2500nmを含む1つ以上のサブレンジ内で分光法を実施するように構成される。他の実施形態では、単一の波長、複数の離散的な波長、またはある範囲の連続波長が、分析中に走査するために使用される。スキャン範囲を大きくしたりスキャンを繰り返したりすれば、より正確なデータが提供されるが、処置の時間が安全性を伴わずに増大する可能性があり、処置の時間は、一実施形態では約1秒を超えないことが好ましい。また、一回のスキャンの速度は、心臓のポンピング(拍動)からのものを含めたモーションアーティファクトの影響を最小限にするのに十分であることが好ましい。バルーン材料およびバルーン拡張媒体を通る進行と関連付けられるものを含めた送達および収集経路に沿った様々な損失を緩和するために、放射源のパワー出力は、約10ミリワットよりも大きいことが好ましい。好ましいパワー出力を提供する分光計の実施形態は、レーザ走査分光計を含む。
【0149】
いくつかの実施形態は、複数の帯域にわたって走査するために1つ以上の市販の分光計を含む。例えば、AXSUN Technologies,Inc.(Billerica,MA) IntegraSpec XL(Uno)CH分光計など単一の分光計を採用することができ、この分光計は、スキャン当たり約25ミリ秒で約1550〜1800nmの完全スキャン範囲を提供し、約32回走査して約0.8秒で1組のデータを捕捉する。別の実施形態は、1つ以上のStellarNet,Inc.(Tampa,FL)EPP2000光ファイバ分光計を含み、この分光計は、約190〜1700nmの波長範囲内でのスキャンを提供する。Ocean Optics,Inc.(Dunedin,FL)は、約200〜1100nmの間の波長範囲内での出力のために、多くのユーザ設定可能な分光計を提供する。
【0150】
反射されて収集された放射は、内腔壁での化学成分の変化、組織形態学的構造、水/血液含有量(water/blood content)、および生理学的パラメータ(例えば温度、pH、色、強度)など、内腔壁のいくつかの特性を得るために分光分析することができる情報を含む。分光分析システム150は、検出器170に接続されて、検出器170によって受信された信号データを処理する。処理された信号データは、ユーザ可読のテキストおよびグラフィックスの形態でディスプレイ151に出力することができる。この方法では、ユーザ、例えば医師が、望まれる場合にはリアルタイムでデータを分析することができる。
【0151】
この方法では、医師は、治療を施される罹患領域からリアルタイム情報を得ることができる。この情報は、全ての病理学的および/または病態生理学的結果を含むことがあり、これらの結果は、従来の手法では、内腔壁から組織および/または血液を採取することを必要とし、情報を分析するために最大で数日かかることがある。本発明は、受け取られた光放射から得られて処理される情報に従って、医師が、自分の患者に最も適した治療を即座に選択できるようにする。
【0152】
図2A〜2Cに示されているように、バルーン111は、コア管131の本体の周りに、コア管131の遠位端またはその付近でコア管131に装着される。バルーン111は、光エネルギーが出力される送達ファイバ112の遠位端と、反射された光エネルギーが収集される収集ファイバ113の遠位端とを取り囲む。一つの実施形態では、バルーン111は、コア管131の本体を取り囲み、2箇所、例えば位置a、bで、コア管131の本体に封着され、または光ファイバ112および113とコア管とを取り囲む保護シース138に封着され、したがってコア管131の遠位端は、長手方向でバルーン111を越えて延在する。保護シース138は、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリウレタン、またはシリコンなど非常に優れた潤滑性および生体適合性を提供する材料から構成される。一実施形態では、バルーン111は、バルーンをコア管131または保護シースに溶接する熱を位置a、bに加えることによって、位置a、bに封着される。別法として、バルーン111をコア管131に封着するために、糊(glue)または接着剤、あるいは他の既知の技法を適用することができる。この方法では、医学的処置中、バルーンカテーテルに先立って、ガイドワイヤを、体腔を通してターゲット領域まで通すことができる。次いで、その後、従来の血管形成術処置に従ってガイドワイヤをたどることによって、コア管131または保護シースに取り付けられたバルーン111をターゲット領域内に位置決めすることができる。
【0153】
好ましい実施形態では、バルーン111は、血管形成術用バルーンである。血管形成術用バルーン111は、流体を用いて膨張させることができ、流体は、流体源(図示せず)から、流体移送管腔116を通して、ガイドワイヤ管腔130と平行に移送され、このとき、流体移送管腔116とガイドワイヤ管腔130とはどちらもコア管131によって取り囲まれている。流体は、流体移送管腔116に接続されたポート117を通してバルーン111に出力される。ポート117は、バルーン111によって取り囲まれるコア管131の部分内に配置される。また、ポート117と流体移送管腔116とは、バルーンの収縮中に、例えば体腔からカテーテルを取り除く前に、バルーンから流体を除去できるようにする。送達ファイバ112からの誘導された光放射、例えば光と、内腔壁からの反射された光放射、例えば光とはどちらも、内腔壁データ収集中に、流体で充填されたバルーンを通して伝送されることがある。したがって、流体の性質は、光放射が、内腔壁へと/内腔壁から、バルーン111を通って進むときに生じることがある光放射の吸収、散乱、偏向、または歪など任意の望ましくない光学的影響をその流体が最小限にするようなものであることが好ましい。この方法では、バルーン111を充填する流体は、液体または気体であってよく、好ましくは、食塩水、酸化ジュウテリウム、グリセリン、あるいは上述した光学的影響を最小限にする他の液体または気体を含む。
【0154】
本明細書で説明する光学的な内腔壁分析処置と関連して実施することができるバルーン血管形成術療法治療中、血管形成術用バルーン111は、治療のための狭窄領域に接するようにバルーン111が十分に拡張されるまで、十分な圧力で、ポート117を通して供給される流体によって膨張する。この時点で、内腔壁に対するバルーン111の圧力は、血流を遮断するのに十分であることが好ましい。この特徴は、バルーン111が壁と直接接触するので、血管壁からの光放射収集のために好ましい。バルーン111と内腔壁との間に血液が介在されないことが好ましく、血液の介在は、吸収などの光損失、または他の望ましくない光学的影響を生じさせることがある。バルーン111と内腔壁との間に血液がほとんどまたは全く存在しないので、したがって、内腔壁160のスペクトル特徴を高い精度で測定することができる。また、本開示の実施形態は、従来のバルーンカテーテルよりも有利であり、従来のバルーンカテーテルは治療目的にしか使用することができない。対照的に、開示される実施形態は、光学的分析と、血管形成術処置またはステント挿入など血管形成術治療との両方を同時に行うことを可能にして、治療と診断との両方の利益を得て、このとき、2つの異なる目的のために異なるカテーテルを取り外して挿入する必要なく、分光分析と血管形成術治療との両方を同じカテーテルによって同じ手順で行うことができる。
【0155】
ファイバ構成およびサイズは、行われる分析のタイプ、分析される個々の領域の数およびサイズ、空間、強度、および可撓性の制約、および/またはコスト制約に関係するパラメータに基づいて選択することができる。様々な実施形態において、ファイバは、様々な材料および厚さのコア、クラッド、およびジャケット(被覆)から構成されることがある。また、ファイバは、小さなコア直径を維持しながら開口数およびパワーを増加するために、グレーデッドインデックスコアから構成されることもある。本発明の実施形態は、約0.22〜0.4の間の開口数のグレーデッドインデックスファイバを含む。いくつかの実施形態は、約9〜100マイクロメートルの間のコア直径を有する送達導波路の使用と、約50〜200マイクロメートルの間のファイバコアを有する収集導波路の使用とを含む。例えば、Lucent Technologies Specialty Fiber Groupが、約62.5μm〜1500μmの間のコア直径と、約0.11〜0.48の間の開口数とを有するファイバを提供する。Yangtze Optical Fiber and Cable Co.,Ltd.(Wuhan,China)(http://yofcfiber.com参照)が、約9μmの小さい直径を有するシングルモードファイバコアを提供する。
【0156】
一実施形態では、2つの送達ファイバと2つの収集ファイバとが含まれ、送達ファイバは、約0.31の開口数と、約50マイクロメートルのグレーデッドコア直径と、約9〜10マイクロメートルのクラッド層厚さと、約4〜5マイクロメートルのジャケットとを有する。対応する収集ファイバは、例えば、約0.22のコア開口数と、約100マイクロメートルのコア直径と、約10マイクロメートルのクラッド層厚さと、約10マイクロメートルのジャケット厚さとを有して屈折率推移させることができる。比較的高い開口数(NA)(例えば約0.22〜0.4の間)を有するより小さなサイズのファイバが、心血管系内部での滑らかな展開を提供することができる膨張していないバルーンを仮定して、約1.5mm以下の最大外径を有する本発明によるカテーテルシステムの実施形態を可能にする。
【0157】
一実施形態では、収集ファイバ113は、反射された光放射を、コア管131の長手方向軸に対して横向きの方向で内腔壁からバルーン111を通して受け取り、反射された光放射を、収集ファイバ113の遠位端から収集ファイバ113の近位端へ長手方向に送り、それにより、受け取られた光放射が検出器170に伝送される。収集ファイバ113は、送達ファイバ112と同様に、コアと、ドープされたクラッドと、保護ジャケットとを含む光ファイバを備えることができる。光放射は、各収集ファイバ113の遠位端で受け取られ、収集ファイバ113の遠位端から近位端に送られる。例えばファイバコアまたは管路の長手方向軸に関する放射の放出または収集の方向に言及するときに本明細書で使用される用語「横向き」は、鋭角であれ、鈍角であれ、または垂直であれ、ファイバまたは管路の長手方向軸に平行以外の全ての角度を含む。
【0158】
収集ファイバ113は、送達ファイバ112が治療領域で放射を伝送するのとほぼ同様に、しかし反対方向で、治療領域で光放射を受け取るように構成することができる。例えば、一実施形態で、収集ファイバ113は、長手方向軸に沿って延在し、送達ファイバ112およびコア管131と平行に、かつそれらに近接して配置される。各収集ファイバ113の遠位端は、送達ファイバ112が放射を分散するのと同様に、反射された光放射を受け取り、それにより、反射された光放射は、収集ファイバ113の遠位端にある光学構成要素に当たる。光学構成要素は、レンズ、ミラー、または光反射器を含むことができる。光学構成要素は、例えば図11Aを参照してさらに説明する「サイドファイア(side-fire)」構成に従って、各収集ファイバ113および/または送達ファイバ112のそれぞれの遠位端に任意選択で一体化することができる。また、光学構成要素は、反射された光放射を内腔壁160から受け取るために収集ファイバ先端の十分に近位にあるものを含めて、収集ファイバ113の外部にあってもよい。一実施形態では、収集ファイバ113は、ファイバホルダまたはコア管にある溝に取り付けられ、溝は、互いに平行に形成され、コア管の本体の大部分に沿って、かつ治療領域の遠位端で螺旋経路に沿って、長手方向で回される。この方法では、収集ファイバ113は、反射された光放射が各収集ファイバ113の近位端から遠位端へ螺旋経路に沿って進むように溝に従う。
【0159】
バルーン111は、ナイロンまたは他の半透明ポリマーなどの材料から構成することができる。一実施例では、バルーン111は、例えば、薄い光学的に透明なポリエチレンバルーンを備える。バルーンの表面を通して光放射が誘導される実施形態では、バルーンの表面は、十分に透明または半透明であり、任意の反射または損失を最小にしながら、誘導されて反射される最大量の光放射がバルーン表面を透過できるようにすることが好ましい。
【0160】
図1Aおよび1Bに戻り、また図9Aおよび9Bも参照すると、放射源180は、送達ファイバ112の近位端に取り付けられ、分析すべき内腔壁の表面に向けて送達ファイバ112によって伝送される放射を発生する。放射源180は、例えば、例えば光放射を放出する電磁放射源を備える。光放射は、例えば1つ以上の光スイッチを使用して、放射源180によって複数の送達ファイバに送達することができる。図9Aおよび9Bに示されているように、1つの放射源180を2つ以上の送達ファイバ1121および1122によって共有することができる。図9Aに示されているように、放射源180は、光スイッチ181が位置aにあるとき、送達ファイバ1121を通して体腔壁160の象限IおよびIIを照明するようになされる。収集ファイバ1131および1132が、それぞれ象限IおよびIIから光放射を受け取る。図9Bに示されているように、光スイッチ181が位置bにあるとき、放射源180は、象限IおよびIIではなく、送達ファイバ1122を通して象限IIIおよびIVを照明する。光スイッチは、プログラム可能な制御装置またはコンピュータ(図示せず)の制御の下で位置aと位置bとで切り換わるように成すことができる。次いで、収集ファイバ1131および1132が、図9Bに示されているように、象限IおよびIIではなく、象限IIIおよびIVから光放射を受け取る。したがって、この共有放射源構成は、内腔の複数の領域からデータを収集するときに、放射源、送達および収集ファイバ、ならびに検出器の数を減少することができる。別法として、複数の放射源180を使用して複数の送達ファイバ112に放射を送達することもできる。放射源180が、約750nm〜約2500nmの近赤外範囲内の1つ以上の波長でエネルギーを発生することが好ましい。また、放射源180は、任意選択で、約100nm〜約750nmの波長を含む可視範囲内で放射を提供してもよい。
【0161】
動作中、各送達ファイバ112は、放射源180によって出力された光放射を、送達ファイバ112の近位端から遠位端に伝送する。次いで、ファイバの遠位端で、光放射は、内腔壁にあるターゲット領域に誘導される。放射は、送達ファイバ112の遠位端から、バルーン111の内部の流体を通って、かつ内腔壁と接触するバルーン111の表面を通って伝播し、内腔壁のターゲット領域に入射する。
【0162】
光放射は、本明細書で開示される1つ以上の実施形態によれば、各送達ファイバ112の近位端から軸方向および/または半径方向にターゲット領域に誘導される。一実施形態では、送達ファイバ112は、コア管131およびバルーン111の長手方向軸に沿って、それらに平行に位置決めされる。放出される光放射は、各送達ファイバ112の遠位端の角度付きファイバ先端に取り付けられた光学構成要素に当たる。そのような光学構成要素は、送達ファイバ112のそれぞれの遠位端に一体化されたミラーまたは光反射器を含むことができる。別法として、光学構成要素は、送達ファイバ112の外部、ただし送達ファイバ112の遠位端の比較的近位、に配置して、光放射がカテーテル110から横方向、半径方向、または軸方向に出ることができるようにしてもよい。ファイバの外部にある光学構成要素は、例えば、ミラーまたは反射器の反射面角度を変えるために分光分析システム150によって制御してもよい。別法として、本明細書で詳述するいくつかの実施形態によれば、放出されて収集される放射は、送達ファイバ112から直接伝送し、収集ファイバ113によって直接受け取ることができる。
【0163】
本明細書で説明する例示実施形態では、光放射は、バルーン111を通して伝送され、分析すべき内腔壁にあるターゲット領域に当たり、内腔壁はバルーン111の外面に当接している。また、本明細書で説明する実施形態では、より広いまたはより狭い光放射ビームをターゲット区域に送達するように、へき開または研磨されたファイバ、ミラー、または光反射器の反射面を調節または整形することができ、それにより放射の面積を増加または減少させる。さらに、それに従って、複数の送達ファイバを、それぞれが特定のターゲット領域に光放射ビームを誘導させるように間隔を空けて配置することができ、このとき、複数の光放射ビームが複数のターゲット領域に当たる。ターゲット領域、例えば罹患領域は、より特定の領域に区画化することができ、それにより、より小さな罹患領域に関する追加の詳細情報を得ることができる。ここで、各ビームが、バルーンの表面を通過し、ターゲット領域の当該の区域、例えばターゲット領域の1つ以上の象限に当たる。別法として、それぞれの反射面を有する各ファイバは、送達ファイバの複数の光放射ビームが互いに重畳または交差し、それにより単一のターゲット領域に当たることを可能にするように構成することができる。
【0164】
反射された放射は、各収集ファイバ113の遠位端で収集され、近位端に向けて検出器170まで伝送される。検出器170は、受け取られた放射から、非常に正確な信号を発生する。分光分析システム150が、検出器から信号を受信し、信号を処理し、例えば血管壁のプラークの量またはタイプなど内腔性質を求めるためにシステムオペレータが使用することができるデータをもたらす。分光分析システム150は、収集ファイバの近位端に取り付けられ、処理された信号データを、ユーザ可読のテキストおよびグラフィックスの形式でディスプレイ151に出力する。
【0165】
分光分析システム150は、市販の分光計を使用することによって、従来の分光法、例えばラマン分光法を実施することができる。別法として、赤外および近赤外分光法、蛍光分光法、光コヒーレンス反射測定法、光コヒーレンストモグラフィ、または拡散反射近赤外分光法が実施されることもある。さらに、分光分析システム150は、任意選択で、放射源180および検出器170など器具100の様々な要素の制御および管理機能を行うことができる。例えば、分光分析システム150は、所定の波長または波長範囲および/または所要のパワーで光放射ビームを発生するように、放射源180を制御することができる。別の実施例では、分光分析システム150は、ファイバ先端と一体化された、またはファイバ先端の外部に提供されたミラーおよび反射器の角度を調節することができる。これは、バルーン表面での放射の面積を変更できるようにし、それによりターゲット領域の面積を増加または減少する。
【0166】
一実施形態では、内腔壁分析の前に、カテーテル110は、データを収集するように成すことができ、分光分析システム150は、データを処理し、対象組織からのデータなど、診断を実施するための関連データと、例えばバルーン111のスペクトル特徴に関するデータを含めた、診断の実施に関係しない他のデータとを区別するように成すことができる。そのような特徴は、例えば、バルーンのスペクトル強度、または膨張しているバルーンの拡張の領域、またはガイドワイヤおよび/またはステントの「影」、またはバルーン111内の流体のスペクトル強度を含むことがある。これらのスペクトル特徴は、受け取られる放射に干渉する危険があるが、この危険は、そのような特徴を補償する分光分析システム150によるデータ分析処置でのソフトウェアプログラムによって緩和することもでき、あるいはなくすこともできる。
【0167】
図3A〜3Fは、本発明の実施形態による、螺旋構成で配置された複数のファイバを有するカテーテルの拡大例示図である。図3A〜3Fにおいて、送達ファイバ112と収集ファイバ113とが、螺旋経路に沿ってコア管131に取り付けられ、等距離で互いから間隔を空けられ、したがってコア管131に取り付けられたファイバは互いに平行である。この方法では、ファイバ先端は、ファイバの螺旋構成により、コア管131の軸に関して角度を付けられる。この角度は、ファイバの螺旋湾曲の角度に応じて、0度(すなわち、コア管131の軸に平行)〜90度(すなわち、コア管131の軸に垂直)の範囲を取ることができる。光放射は、送達ファイバ112から、ある角度で内腔壁のターゲット領域に直接誘導される。この方法では、光放射は、追加の反射器を必要とせずに、内腔壁にあるターゲット領域から、角度を付けられた収集ファイバ113によって直接受け取ることができる。送達ファイバ112および収集ファイバ113からのそれぞれの放射角度は、同じであっても異なっていてもよい。
【0168】
図3Aは、本発明の実施形態による、螺旋構成で配置された複数のファイバを有する図2Aのカテーテル110の拡大例示図である。図3Bは、図3Aの断面線I−I'に沿って取られた図3Aのカテーテルの断面図である。この実施形態では、例えば2つの送達ファイバと2つの収集ファイバとを備える4つのファイバが採用される。2×n倍(2n)の任意の数のファイバを、光放射の送達および受取りのために螺旋構成で配置することができる。ここでnは、少なくとも1に等しい整数(1、2、3など)である。n個の送達ファイバが光放射を送達することができ、n個の収集ファイバが光放射を受け取ることができる。この方法では、追加の送達ファイバは、送達される光放射をより大きなターゲット領域または複数のターゲット領域が受け取ることができるようにし、追加の収集ファイバは、1つ以上のターゲット領域から、反射された光放射のより大きな窓を受け取る。他の実施形態では、奇数個の送達または収集ファイバを使用することができる。送達および収集ファイバの数は、所望の用途に応じて、同じであっても異なっていてもよい。
【0169】
図3A〜3Bの例示実施形態では、2つの送達ファイバ112と2つの収集ファイバ113とが、例えば糊または接着剤を使用してコア管131の外面に取り付けられる。ファイバ112、113は、コア管131の周りで螺旋経路に沿って形成される。螺旋経路は、コア管131の周りで30〜180度の範囲の回転角度で形成される。この方法では、送達ファイバ112は、360度範囲で内腔壁に沿った任意の位置にあるターゲット領域に光放射を誘導することができる。例えば、360度範囲を有する内腔壁の部分は、90度区域、すなわち象限に区画化することができる。したがって、送達ファイバ112および収集ファイバ113は、共同で、内腔壁の任意の象限からデータを獲得できるようにすることができる。
【0170】
図3Cは、螺旋構成で配置された4つのファイバを有する図3Aのカテーテル110の拡大例示図であり、ここでファイバは、本発明の実施形態に従って、螺旋に沿ってコア管の周りで角度方向に延在するように形成されている。具体的には、2つの送達ファイバ112と2つの収集ファイバ113とが、コア管131の外面に取り付けられ、コア管131の周りで角回転を受ける。平坦面(flat-faced)ファイバ出力を仮定して、この実施例では最大で約90度の最大光反射角度を実現することができる。光反射角度が大きくなるほどは、流体で充填されたバルーン111内の送達チャネルと収集チャネル両方の光放射経路が短くなり、それにより、流体で充填されたバルーン111内の光放射のエネルギー損失が減少される。
【0171】
図3Dは、螺旋構成で配置された4つのファイバを有する図3Aのカテーテル110の拡大例示図であり、ここでファイバは、本発明の実施形態に従って、螺旋状に配置されるように形成される。具体的には、ファイバ112、113が、コア管131の外面に取り付けられ、コア管131の周りで角回転を受ける。螺旋経路は、送達ファイバ112と収集ファイバ113との先端の間でコア管131の長手方向軸に沿った所望の離隔距離dを得ることができるように間隔を空けられて位置決めされる。ファイバ離隔距離dは、ターゲット壁のどの(1つ以上の)層からデータが収集されるかを決定するのに重要である。例えば、ファイバ離隔距離dが大きくなるほどは、ターゲット壁のより深い層内でデータを収集できるようにする。
【0172】
図3Eおよび3Fは、螺旋構成で配置された4つのファイバを有する図3Aのカテーテル110の拡大例示図であり、ここでファイバは、コア管131の周りで角回転を受けるように形成され、ファイバ112、113は、送達/収集ファイバ離隔距離dだけ長手方向で離隔され、かつ半径方向で離隔される。これらの2つの実施形態は、異なるファイバ配置を使用したファイバ離隔距離dを例示する。最適なdは、ターゲット壁の層の所定の深さまたは位置から最適な信号を収集するために予め決定することができる。最適なdは、光線軌跡アルゴリズム、実験データを使用して、および/またはモンテカルロ法などのシミュレーション技法を使用して計算することができる。いくつかある因子の中でもとりわけ、(1つ以上の)ファイバ、(1つ以上の)放射源、(1つ以上の)検出器、放射、バルーン媒体、およびバルーン材料のタイプが、dと信号の組織深さとがどのように相関するかを決定する。
【0173】
図4は、本発明の実施形態による、血管形成術用バルーンによって取り囲まれるコア管に取り付けられた4つのファイバを含むカテーテルの遠位部分の例示実施形態である。図4で、バルーン111は、コア管131の遠位端の近くに装着され、コア管131の遠位端を同軸に取り囲む。図5は、本発明の実施形態による、バルーン111の領域内のカテーテル110の遠位部分のみに限定された短縮されたガイドワイヤシース231に取り付けられた4つのファイバを含む例示カテーテル実施形態の拡大例示図である。図5の実施形態では、伝送および収集ファイバ112、113と、移送管218とは、可撓性シースまたはジャケットを備えるカテーテル管(図示せず)内に閉じ込めることができ、可撓性シースまたはジャケットが、カテーテルの本体にあるファイバ112、113および移送管218を取り囲む。バルーン111は、ファイバ112、113の遠位端と、短縮されたガイドワイヤシース231の一部分とを同軸に取り囲み、バルーン111の第1および第2の端部でガイドワイヤシースに封着される。この方法では、ガイドワイヤ管腔230の遠位端がバルーン111を越えて延在し、したがって、バルーンカテーテルの位置決めに先立って、ガイドワイヤを、ガイドワイヤ管腔230を通して、かつ体腔を通して、ターゲット領域まで通すことができる。その後、バルーンカテーテルを、従来の血管形成術処置に従ってガイドワイヤをたどることによってターゲット領域に挿入および位置決めすることができる。短縮されたガイドワイヤシース231は、カテーテルの本体でのガイドワイヤシースがなくされ、より大きなカテーテル可撓性をもたらすという点で有益である。
【0174】
図6Aは、本発明の実施形態による、可動ファイバホルダ133に取り付けられた複数のファイバを有する図2Aのカテーテルの拡大例示図である。図6Bは、図6Aの断面線I−I'に沿って取られた図6Aのカテーテルの断面図である。図6A〜6Bで、可動ファイバホルダ133は、コア管131の周りに位置決めされ、コア管131と同軸である。送達および収集ファイバ112、113は、ファイバホルダ133に形成された溝1120内に位置決めされ、結合剤を使用してそこに接合される。可動ファイバホルダ133およびファイバ112、113は、ファイバ112および113の近位端を前進、後退、および回転させることによって、コア管の長手方向軸に沿って前進および/または後退させることができ、および/またはコア管131の軸の周りで回転させることができ、ここでファイバの遠位端はファイバホルダ133に取り付けられている。ファイバホルダ133と、取り付けられたファイバとの前進および/または後退は、カテーテル110を移動させる必要なく、ターゲット領域内のある範囲の位置にわたって分析を実施できるようにする。ここでカテーテル110は通常、血管形成術処置または他の療法中、拡張されたバルーン111によって定位に固定されている。この方法では、送達ファイバ112および収集ファイバ113の回転は、内腔壁の360°区域に沿った任意の領域からデータを受け取ることができるようにし、長手方向の前進および後退は、内腔壁に沿ったある範囲の位置での分析を可能にする。
【0175】
ファイバホルダ133は、ステンレス鋼、合金鋼、および金など、ステントで一般に使用される材料と同様の材料から形成することができる。例示される実施形態では、ファイバ112、113の遠位端は、ある角度で、例えば長手方向軸に関して45度でへき開および/または研磨される。この実施形態では、光放射は、送達ファイバ112の先端からある角度で部分反射または全反射され、それにより光放射は、送達ファイバ112の側壁または送達窓を通って送達ファイバ112から半径方向に出る。これは、例えば図11Aを参照して以下にさらに詳細に説明する。
【0176】
図6C〜6Dは、本発明による別のファイバ保持構成を例示する。ファイバ保持リング210が、穴215を含み、穴215内にファイバ112および113が保持される。保持リング210とそれらの内部のファイバとは、結合剤205を使用して、図示されているように定位に装着することができ、あるいは別法として、摺動または回転することを許され、前述したのと同様に、長手方向ファイバ先端位置決めに関する制御を提供する。ファイバは、例えば結合剤を使用して保持リング215に装着することができる。一体として、リング210とファイバ112、113とは、結合剤205を使用してコア管131に接合することができ、あるいはコア管131に関して摺動または回転するように成すことができ、上述したようにファイバ先端位置決めに関する制御を提供する。
【0177】
図7Aは、本発明の実施形態による、着脱可能ファイバホルダ133に取り付けられ、螺旋構成で配置された複数のファイバを有するカテーテル実施形態の拡大例示図である。図7Bは、図7Aの断面線I−I'に沿って取られた図7Aのカテーテルの断面図である。
【0178】
図7A〜7Bの例示実施形態では、ファイバ112、113がファイバホルダ133に装着され、ここでファイバホルダ133は、ファイバ112、113を螺旋状に湾曲した姿勢で案内するように螺旋経路に沿って形成された溝1120を備える。一実施形態では、螺旋経路は、ファイバホルダ133の周りでの角回転の角度を30〜180度の範囲、またはそれよりも大きくして形成される。この方法では、送達ファイバ112は、360度区域に沿って内腔壁に沿った任意の位置にあるターゲット領域に光放射を誘導することができる。
【0179】
図7Aおよび7Bの例示実施例では、ファイバ112、113の遠位端は、角度方向または半径方向で離隔される。ある実施形態では、それぞれのファイバの遠位端が、外に向かう角度で湾曲され、それにより各ファイバの先端は、ファイバホルダ133から離れるように誘導され、このとき、送達ファイバの遠位端は、光放射を軸方向でターゲット領域に誘導することができる。別の実施形態では、ファイバ先端は、ある角度でへき開(切断)され、このとき、光放射は、送達ファイバ112から半径方向に出て、放射は、それぞれの送達ファイバまたは収集ファイバの側壁または送達窓を通って、収集ファイバ113によって受け取られる。
【0180】
図7C〜7Fは、本発明の実施形態による、螺旋状に配置されたファイバのためのファイバ保持構成を例示する。この実施形態では、送達および収集ファイバ112、113は、例えば図6C〜6Dと関連して上に例示したタイプの第1のファイバ保持リング210に通して位置決めされ、例えば結合剤205、または万力(図示せず)などの一時保持機構を使用して定位に維持される。ファイバ112および113が比較的直線状の姿勢である状態で、第2のファイバ保持リング230が、ファイバ112、113の端部が穴235を通って突出するようにコア管131に位置決めされる。第2のファイバ保持リング230は、角度を付けられた長円形状の穴235を有し、穴235内で、螺旋状に配置されたファイバ112および113は、コア管131の長軸に関してある角度aで所定位置に保持される。図7E〜7Gを参照すると、軌跡線232が、角度aでリング230を通過する穴235の概して側面図での外形を表す。次いで、第2の保持リング230は、矢印212に従って、同時に、回転され、かつカテーテル131に沿って長手方向に移動され、それによりファイバ112および113の端部が螺旋形状を成す。ファイバ112および113の位置決めと、角度aとは、カテーテルの周りで所定の光送達および収集パターンを生成するように適合されるようにしてもよい。保持リング230を所定位置に固定するために、結合剤205を適用することができる。別法として、第1および第2の保持リング210、230の間にブレース(支持具)(図示せず)を装着することもでき、螺旋構成を保つと共に、任意選択で、ファイバ構成がカテーテル131の周りで摺動および回転できるようにする。
【0181】
図7E〜7Gを参照すると、幅0.08mmのファイバに関する実施形態は、0.1mmの主軸長242と、約0.85mmの短軸長とを有する概して楕円の形状を有する穴235を含む。リング230は、約0.99mmの外径240と、約0.62mmの内径236とを有することができる。適合形態は、約75〜85度の間の角度aを含む。追加の実施形態は、同じカテーテル内部に異なるサイズのファイバ(例えば、幅0.08mmの送達ファイバと、幅0.140mmの収集ファイバ)を組み込むために、異なる寸法のファイバ穴を有するように第2の保持リング230を適合させることがある。
【0182】
図8Aは、可動ファイバホルダ133に取り付けられ、カテーテルシース138によって取り囲まれた複数のファイバを含むカテーテルの実施形態の例示図である。図8Bは、図8Aの断面線I−I'に沿って取られた図8Aのカテーテルの断面図である。図8A〜8Bで、ファイバ112、113は、ファイバホルダ133に形成された溝1120に装着され、溝1120は、ファイバホルダ133の周りで螺旋経路に沿って形成される。様々な実施形態で、螺旋経路は、ファイバホルダ133およびコア管131の周りで30〜180度の範囲の回転角度で形成される。螺旋回転の他の角度も、本発明の実施形態に同様に適用可能である。一実施形態では、ファイバホルダ133と、取り付けられたファイバ112、113とが、カテーテルシース138内部に位置決めされる。この方法では、カテーテルシース138は、固定されたまま、すなわち静止したままであり、一方、ファイバホルダ133は、コア管131の長手方向軸Aの周りで回転し、かつコア管131の長手方向軸Aに沿ってバルーン111内部で前進および/または後退される。したがって、回転するこの実施形態の構成要素は、患者の内腔壁に対して直接には回転していない。
【0183】
上述したのと同じ方法で、この実施形態では、コア管131と、ファイバ112、113と、ファイバホルダ133と、バルーン111と、カテーテルシース138とが、長手方向軸Aに沿って向けられ、ファイバホルダ133は、バルーン111および内腔壁に関して長手方向軸Aに沿って並進可能である。この方法では、内腔のターゲット領域のスペクトル測定は、長手方向軸Aの長さに沿った並進の範囲と、長手方向軸Aの周りでの約360度の回転との領域内で測定することができる。
【0184】
図8C〜8Eは、本発明の他の実施形態による、螺旋構成でファイバホルダに取り付けられた複数のファイバを有する図8Aのカテーテルの拡大例示図である。
【0185】
図8Cの実施形態では、ファイバ112、113は、螺旋に沿って角回転を受ける。具体的には、ファイバ112、113は、例えばファイバホルダ130に形成された溝に沿ってファイバホルダ133に取り付けられ、ファイバホルダ133の周りで約30〜180度の角回転を受ける。螺旋経路は、ファイバ112、113が長手方向で所定の距離dだけ離隔され、角度方向で位置合わせされるように形成される。この方法では、送達ファイバ112は、内腔壁の2つの象限、すなわち180度に光放射を送達することができ、収集ファイバ113は、内腔壁の2つの象限から光放射を受け取ることができる。ファイバホルダ133と、関連のファイバ112、113とは、図8Aに例示されるファイバホルダと同様の方法で、コア管の本体の周りで自由に回転する。
【0186】
図8Dの実施形態は、この実施形態では単一の送達ファイバ112と単一の収集ファイバ113とが採用されることを除いて、上の図8Aおよび図8Bの実施形態と同様である。この実施形態では、送達ファイバと収集ファイバとの先端は、長手方向でずらされ、かつ角度方向でずらされる。
【0187】
図8Eの実施形態は、上の図8Dの実施形態と同様であり、ただし、この実施例では、送達および収集ファイバ112、113の先端は、長手方向ではずらされているが、角度方向ではずらされていない。
【0188】
図9Aは、体腔の第1および第2の象限に関する光学的分析を実施するプロセスにおけるカテーテルの実施形態の断面を例示する概略図であり、図9Bは、本発明の実施形態による、体腔の第3および第4の象限に関する光学的分析の実施を例示する概略図である。この実施例では、カテーテルは定位に配置され、バルーンは、内腔壁160に接するように拡張され、血液の流れが内腔を通って分析に干渉するのを実質的に阻止する。本発明の実施形態では、内腔の伸張および拡張は、例えば血管形成術の方法のように、治療的なものである。拡張および伸張は、拡張された領域内への後続のステント送達のための準備(事前開拡処置として)であってよく、ステントの配置を容易にして最適化し、内腔に対するステントの留着を保証する。
【0189】
バルーンが、内腔を治療的に拡張することが可能なものであるという意味で、本明細書では、このバルーンを「内腔拡張」バルーンと呼ぶ。本明細書で使用する際、内腔の「治療的な拡張」は、単なる内腔壁でのバルーンの係留、または内腔内の血流の妨害もしくは阻止以上のことを表し、さらに、血管形成術処置の場合と同様に、内腔の直径または断面積を増大するように内腔組織を実際に拡張、開拡、または伸張することも表す。
【0190】
この実施形態では、放射源180は、光スイッチ181に結合され、光スイッチ181はさらに、第1の送達ファイバ1121および第2の送達ファイバ1122に結合される。第1の検出器171が、第1の収集ファイバ1131に結合され、第2の検出器172が、第2の収集ファイバ1132に結合される。この実施例では、内腔壁160は、第1の象限Iと、第2の象限IIと、第3の象限IIIと第4の象限IVとに区画化される。追加の光源、収集ファイバ、または検出器を必要とせずに、追加の光スイッチを使用して、第3および第4の象限に関する光学的分析を行うことができる。
【0191】
図9Aの実施例では、光スイッチ181は第1の位置にあり、このとき放射源180は、光放射を第1の送達ファイバ1121に提供する。第1の送達ファイバ1121は、光放射を、内腔壁160のターゲット領域に誘導する。図9Aに図示されるターゲット領域は、第1の象限Iおよび第2の象限IIによって定義される。第1の収集ファイバ1131は、内腔壁160の第1の象限Iから、反射された光放射を受け取り、第2の収集ファイバ1132は、内腔壁160の第2の象限IIから、反射された光放射を受け取る。収集ファイバ1131、1132は、反射された光放射を、内腔壁160からバルーン(図示せず)を通して受け取ることができる。第1および第2の収集ファイバ1131、1132は、第1および第2の象限から受け取られた反射された光放射を、それぞれ第1の検出器171および第2の検出器172に伝送する。
【0192】
図9Bの実施例では、光スイッチ181は第2の位置にあり、このとき放射源180は、光放射を第2の送達ファイバ1122に提供する。第2の送達ファイバ1122は、光放射を、内腔壁160のターゲット領域に誘導し、ターゲット領域は、この実施例では、第3の象限IIIおよび第4の象限IVによって定義される。第1の収集ファイバ1131は、内腔壁160の第4の象限IVから、反射された光放射を受け取り、第2の収集ファイバ1132は、内腔壁160の第3の象限IIIから、反射された光放射を受け取る。第1および第2の収集ファイバ1131、1132は、第3および第4の象限から受け取られた反射された光放射を、それぞれ第1の検出器171および第2の検出器172に伝送する。
【0193】
この方法では、図9A〜9Bに図示されているように、検出器171、172は、全ての象限から非常に正確な信号データを捕捉し、その結果、光放射を発生するために単一の光源180を使用して内腔壁の360度区域に関してスペクトル特徴を測定することができる。
【0194】
図10Aおよび10Bは、4ファイバカテーテル構成300を図示し、側面から見た光放出および収集経路のサンプル光線軌跡を含む。ファイバ112、113は、体腔(図示せず)の内面と接触するバルーン111の表面の窓にわたって、窓を通して放射310を投射および収集するように設計されて配置される。窓は、概略的に言えば、バルーン111の「肘」部分315同士の間、バルーン111の円周にわたって、延在する。ファイバ113の開口数(NA)および先端の研磨角度は、所望の窓が実現されるように、(拡張された)バルーンの形状およびサイズに適合されるようにしてもよい。上で言及した高いNAのグレーデッドインデックスファイバが好ましい。
【0195】
図10Cおよび10Dを参照すると、別の実施形態では、カテーテル320のファイバ112の受取りおよび収集のための端部は、バルーン111の近位端の内部に配設される。この実施形態は、ステント(図示せず)を、下にあるファイバ112なしでバルーン111の一部分の周りに圧着できるようにし、したがって、圧着されるステントの直径を減少して、より簡単に内腔を通過できるようにする。ファイバ112は、光線軌跡310によって概略的に示されているように、バルーン111の表面にわたる光分散を提供するように構成される。
【0196】
図10E〜10Gを参照すると、別の実施形態では、ファイバ112に関して、単一の円錐セグメント反射器要素340が、カテーテルコア管331の周りに位置決めされる。反射器340は、研磨された表面342を有するステンレス鋼などの反射材料を備えていてもよい。別法として、反射器340は、プラスチックなど複合材料を備えていてもよく、これは後で、金などの反射材料で被覆される。ファイバ112の開口数に加えて、反射器340の角度352を選択することもでき、コア342に対するファイバ112の位置350および355は、軌跡310によって概略的に表されるように、放射が所定のパターンでバルーン111の表面にわたって投射されるように変えることができる。さらに図10Hを参照すると、別の実施形態では、複数の反射ファセット(小面)347を含む多面反射要素345が提供される。ファセット347は、互いに同様の、または互いに異なる平坦または湾曲形状で形成することができ、カテーテルの周りでの放出および収集経路をさらに画定する。反射器に対するファイバ112の位置決めに関する制御を提供するために、本発明の詳細な説明の他の実施形態に示されるようなファイバホルダまたは螺旋構成を採用することができる。また、図10Eおよび10Hの実施形態では、送達および収集ファイバ112、113は、コア管331の流体移送管腔116内部に配置され、流体移送管腔116は、バルーン111に入ると終端する。この実施例では、ガイドワイヤシース130が、内腔116に近接して、そして内腔116を越えて延在し、カテーテル331の端部につながる。
【0197】
図10Iは、図10Hの多面反射器の実施形態のクローズアップ斜視図である。この実施形態では、反射器本体730が、複数のファセット722を含む。遮光カラム724が、ファセット722間に設けられていてもよく、放射が最初にターゲット区域内の組織に入射せずに、送達ファイバと収集ファイバとの間で偶然に伝送されるのを防止する。ファセット722は、例えば、ファセットが送達ファイバと関連付けられるか、または収集ファイバと関連付けられるかに応じて、異なる長さまたは幅を有するようにサイズ設定または整形することができる。例えば、送達ファイバに関して指定されるファセット722は、収集ファイバに関して指定すべきファセット722に関する幅(すなわち、幅732)よりも小さい幅(すなわち、幅733)を有することができる。例えば、より大きなサイズのファセットは、収集される光の量を増加するために収集ファイバと関連付けるのに適当であることがある。反射器本体730は、反射器本体730をコア管331に取り付けるために、コア管331が中に配置される開口731を含む。別法として、ファセット722を有する反射器730を、コア管331と一体に形成することができる。一実施形態では、反射器本体730は、ファイバホルダ、例えば図6Cに関連して上述したタイプのファイバホルダ210に接続させる、および/またはファイバホルダと位置合わせさせることができる。ファイバホルダ210は、反射器730の様々な対応するファセットと位置合わせしてファイバを維持するように動作する。
【0198】
図10Jは、本発明の実施形態による、6つのファイバを含み、体腔に関する光学的分析を行うカテーテル実施形態の断面図である。この実施形態では、第1および第2の送達ファイバ1121、1122と収集ファイバ1131〜1134とが、コア管131に取り付けられる。代替実施形態では、第1および第2の送達ファイバ1121、1122と収集ファイバ1131〜1134とは、本明細書に例示して説明したように、コア管131に装着されたファイバホルダに取り付けることができる。第1の送達ファイバ1121は、内腔壁160のターゲット領域の第1の象限Iおよび第2の象限IIに光放射を誘導する。第4の収集ファイバ1134が、内腔壁の第1の象限Iから、反射された光放射を受け取り、第3の収集ファイバ1133が、第2の象限IIから、反射された光放射を受け取る。第3および第4の収集ファイバ1133、1134は、第1および第2の象限から受け取られた反射された光放射を、それぞれの検出器(図示せず)に伝送する。
【0199】
さらに、第2の送達ファイバ1122は、内腔壁160のターゲット領域の第3の象限IIIおよび第4の象限IVに光放射を誘導する。第1の収集ファイバ1131が、内腔壁の第4の象限IVから、反射された光放射を受け取り、第2の収集ファイバ1132が、第3の象限IIIから、反射された光放射を受け取る。第1および第2の収集ファイバ1131、1132は、第3および第4の象限から受け取られた反射された光放射を検出器(図示せず)に伝送する。
【0200】
ファイバは、第1の送達ファイバ1121が第3および第4の収集ファイバ1133、1134それぞれから距離dだけ離隔され、第2の送達ファイバ1122が第1および第2の収集ファイバ1131、1132それぞれから距離dだけ離隔されるように、互いに関して位置決めされる。送達/収集ファイバ離隔距離とも呼ばれるこの距離dは、収集ファイバ113によって収集される内腔壁への光の経路の深さの決定に一部関わるものである。組織を通る進行経路が長くなるとき信号が弱まることがあるが、より大きなファイバ離隔距離は、内腔壁160内のより深くの組織に関するより多くの情報を提供する。
【0201】
図11Aは、本発明の実施形態による、塗布された金属反射コーティング123を有する斜めの研磨端部を有する角度付き先端122と、光学窓124とを含むファイバの例示図である(「サイドファイア(side-fire)」構成として知られている)。図11Bは、図11Aの断面線I−I'に沿って取られた図11Aの器具の断面図である。図11Aおよび11Bの実施例では、へき開された先端の領域内でのファイバクラッド127が除去されて、ファイバの側壁に送達または収集窓124を提供し、半径方向に誘導された光放射がその窓124を通過することができる。コーティング123は、光放射がファイバ122の長手方向軸に沿ってファイバ122の先端を通過するのを防止し、送達/収集窓124を通ってファイバ122の側部または本体壁から半径方向または横方向に出るように光放射を誘導する。ファイバ122は、送達ファイバとして動作可能であり、このとき、放射源からの長手方向に誘導された光放射が斜面に入射し、半径方向に反射されて送達窓124を通る。ファイバはまた、収集ファイバとしても動作可能であり、反射された光放射を収集窓124を通して受け取り、この光放射が、金属反射コーティング123によって反射されて、収集ファイバの近位端に向けて長手方向に誘導される。
【0202】
図11Cは、本発明の実施形態による斜角ファイバ先端122の例示図である。図11Cでは、ファイバ122のジャケットおよびクラッド127の一部分がファイバ122の先端から除去され、ファイバコア125を露出する。露出されたファイバコア125を取り囲むように、円筒形の光学窓をファイバ先端122に装着することができる。この方法では、光放射は、送達ファイバに関しては、光学窓を通ってファイバコアから外方向に放射し、または放射は、収集ファイバに関しては、光学窓によって受け取られる。
【0203】
図11Dは、本発明の実施形態による、透明カプセルを含むファイバの端部の例示図である。図11Dに例示されているように、透明カプセル134が、光ファイバ122の斜角先端に装着される。カプセル134は、液体、気体、またはファイバの外部にある他の材料がファイバ先端122と直接接触しないように、ファイバ先端122に封着される。環境大気、または他の気体もしくは流体を、カプセル内部に閉じ込めることができる。この方法では、透明カプセル134は、ファイバが処置中に流体内に浸漬されているにも関わらず、ターゲット領域への光放射の伝送中に、ファイバの斜角先端の界面で正確な屈折率の変化を保つことが可能である。屈折率の変化は、斜角先端の領域内での光の適切な内部反射を保証する。さらに、ジャケットおよびクラッド127の一部分がファイバ122の先端から除去され、ファイバコア125を露出する。透明カプセル134は、露出されたファイバコア125の周りに装着される。一実施形態では、金属反射コーティングがファイバ先端122に塗布されず、したがって、送達ファイバから放出される放射は、軸方向または半径方向でターゲット領域に誘導されることがあり、あるいは、収集ファイバによって受け取られる放射は、軸方向または半径方向でターゲット領域から受け取られることがある。透明カプセルは、ガラス、シリカ、テフロン(登録商標)、またはポリイミドなど光学的に適した材料から構成することができる。
【0204】
図12は、別の実施形態による、光エネルギーの送達、収集、または送達および収集のために採用することができる二重クラッド光ファイバ812の斜視図である。この実施形態では、二重クラッド光ファイバ812が送達ファイバと収集ファイバとの両方の機能を提供するので、別々の送達ファイバと収集ファイバとが必要ない。二重クラッドファイバ812は、保護緩衝体824内に閉じ込められた一次コア821と、二次コア822と、クラッド823とを備える。光放射は、一次コア821を通して二重クラッドファイバの近位端から遠位端に伝送され、そこで光放射は遠位端から出る。反射された光放射は、ファイバ812の遠位端で二次コア822によって収集されることがあり、このとき二次コア822は、反射されて収集された光放射をファイバ812を通して近位端に伝送し、そこで検出器(図示せず)が、反射された光放射を受け取る。二次コア822は、好ましくは、一次コア821とクラッド823との間に挿間される。また、二重クラッドファイバは、その遠位端で2つの個々のファイバに分離することもでき、上述したように送達ファイバ112と収集ファイバ113との機能を行うことができる。
【0205】
図13Aは、本発明の別の実施形態による、拡散ヘッド415を有する送達ファイバ112を含むバルーンカテーテル400の例示図である。図13Bは、本発明による、図13Aの断面線I−I'に沿って取られた図13Aの器具の断面図である。図13Aおよび13Bの例示実施例では、拡散ヘッド415が、送達ファイバ112の遠位端に取り付けられる。少なくとも1つの収集ファイバ113が、送達ファイバ112と並置され、送達ファイバ112に平行に配置される。光放射は、放射源(図示せず)によって、送達ファイバ112の近位端から、遠位端にある拡散ヘッド415に伝送されるので、1つ以上の収集ファイバ113が、内腔壁からの反射された光放射を任意の方向で受け取るように配置されることが好ましい。光放射は、拡散ヘッド415から外方向に、内腔壁に向かって全方向で放射する。
【0206】
バルーン111は、送達ファイバ112および収集ファイバ113の遠位端と、コア管131の一部分とを取り囲む。この方法では、バルーン111の内面は、光放射によって360度範囲で照明されてもよい。拡散ヘッド415が全方向に光放射を出力するので、かつコア管131が光放射の一部の経路内にあるので、コア管131は、吸収材料から構成されることが好ましく、これは、内腔壁にあるターゲット領域によって受け取られるように意図された光放射と干渉するかもしれない任意の光放射がガイドワイヤシースに当たる危険を低減する。受け取られた放射におけるガイドワイヤシースによって引き起こされた「影」は、その影響を打ち消すデータ分析処置でのソフトウェアプログラムによって、背景としてなくすことができる。
【0207】
図13Cは、本発明の実施形態による、反射器228と散乱粒子226とを有する図13Aの送達ファイバの拡大例示図である。散乱粒子226は、コア222の出口で送達ファイバ112の先端に置かれ、送達ファイバ112の軸に沿った均一な光放射を可能にし、送達ファイバ112の軸から外れるように光放射を反射して反射窓224を通して内腔壁を照明する。散乱粒子226の端部にある反射器228は、散乱粒子226を集中させ、それにより軸方向での光放射を遮る。反射窓224は、ポリマー、シリカ、およびガラスなど高い透過性の材料から構成することができる。
【0208】
図13Dは、本発明の別の実施形態による拡散器225を有する図13Aの送達ファイバの拡大例示図である。拡散器225は、送達ファイバ112の遠位端に配置され、送達ファイバ112から半径方向に光放射を拡散することができ、均質な360°半径領域の照明を内腔壁に提供する。反射窓224は、ファイバシース227から延在し、拡散器225を含み、それにより光放射を拡散器225から伝送させる。
【0209】
図14Aは、本発明の実施形態による、長手方向軸に沿って配置されたガイドワイヤシース531と送達ファイバ512とを含むバルーンカテーテル500の例示図である。図14Bは、図14Aの断面線I−I'に沿って取られた図14Aの器具の断面図である。図14Cは、図14Aの断面線II−II'に沿って取られた図14Aの器具の断面図である。図14Aおよび14Cに図示されているように、送達ファイバ512は、コア管131の内部に配置される。さらに、1つ以上の収集ファイバ513が、コア管131の外面に装着される。この方法では、光放射は、コア管131内部で送達ファイバ512の経路に沿って伝送される。一実施形態では、拡散ヘッド、例えば図13C〜13Dに例示されるタイプの拡散ヘッドが、送達ファイバ512の遠位端に配置される。図14Bに図示されているように、光放射は、コア管131内部に配置されたファイバ512の端部にある拡散ヘッドから出ることができる。バルーン511の遠位端でのコア管131の第2の部分は、ガイドワイヤシース531およびガイドワイヤポート534を含み、それによりガイドワイヤ(図示せず)をガイドワイヤシース531内に挿入することができる。
【0210】
拡散ヘッドを含む送達ファイバ512を有するコア管131の第1の部分と、ガイドワイヤシース531およびガイドワイヤポート534を有するコア管131の第2の部分とは共に、長手方向軸に沿って配置される。上に例示した実施形態では、コア管131は、プラスチック、または光伝送のための他の適切な媒体から構成することができる。図14A〜14Bに例示される実施形態では、コア管131は、光伝送に適さない材料から構成することもでき、このとき、送達ファイバ512の端部にある拡散ヘッドにてコア管131の一部分を除去して光学窓を形成することができる。この実施形態では、収集ファイバ513は、コア管131の第1の部分に装着され、各収集ファイバ513が、内腔壁から、反射された光放射を受け取る。バルーン511の外側に配置されたガイドワイヤとの干渉によって引き起こされた「影」が、受け取られた放射に含まれることがあり、これはさらに、不正確な結果を引き起こすことがある。しかし、放射のこの部分は、影の影響を打ち消すデータ分析処置でのソフトウェアプログラムによってなくすことができる。
【0211】
図15Aは、本発明の実施形態による、本明細書で説明するバルーンカテーテルと形態が同様のステント送達カテーテル610と、ステント620とを備える、ステント送達のために使用される器具600の例示側面図である。図15Bは、本発明による、図15Aの断面線I−I'に沿って取られた図15Aの器具600の断面図である。ステント挿入を含む血管形成術処置などの医学的処置では、図15Aに例示されるカテーテル610は、体腔に挿入されて、治療すべき体腔の領域に位置決めされる。バルーンを拡張することによってステント620が所定位置に挿入された後、ステント留置された内腔壁のスペクトル特徴に関係するデータが、光ファイバを通して収集される。この方法では、図15A〜15Bに例示されるカテーテル610は、ステント送達システムとして使用することもでき、内腔に対してステント挿入を行い、かつ内腔壁のスペクトル測定を行い、両方の処置が、内腔ターゲット領域からカテーテル610を取り外す必要なく行われる。器具600は、内腔壁がステント処置された後に内腔壁からスペクトルを獲得することができる。受け取られた放射における、ステント620によって干渉された「影」は、影の影響を打ち消すデータ分析処置でのソフトウェアプログラムによって、背景としてなくすことができる。
【0212】
図16Aは、本発明の実施形態による、バルーン111の外面に近接する送達ファイバおよび収集ファイバを含むカテーテル実施形態の例示図である。図16Bは、図16Aの断面線I−I'に沿って取られた図16Aのカテーテルの断面図である。ある実施形態では、送達ファイバ112および収集ファイバ113は、バルーン111の外面に装着または成形される。送達ファイバ112および収集ファイバ113は、膨張したバルーン111によって内腔壁(図示せず)に対して押圧される。バルーン111は、ガイドワイヤ管腔130の遠位端付近でガイドワイヤ管腔130の一部分を同軸に取り囲む。この方法では、光放射は、軸方向または半径方向でターゲット領域に誘導することができる。この実施形態では、バルーン表面も、膨張したバルーン内の液体も、伝送される光放射の経路内にない。ファイバ112、113の遠位端がバルーン111の膨張中に外方向に拡げられるので、制限リング118がファイバの周りに配置され、ガイドワイヤ管腔130に接するようにファイバを維持する。
【0213】
図17Aは、本発明の実施形態による、バルーン111の内面に装着または成形された送達ファイバおよび収集ファイバを含むカテーテル実施形態のクローズアップ例示図である。図17Bは、図17Aの断面線I−I'に沿って取られた図17Aのカテーテルの断面図である。送達ファイバ112および収集ファイバ113は、生体適合性紫外線硬化接着剤(biocompatible ultraviolet glue)、組織接着剤(tissue adhesive)、またはエポキシなどの接着剤119によってバルーン111の内面に装着または成形される。この実施形態では、光放射は、バルーン表面を通過することによって、軸方向または半径方向でターゲット領域に誘導されるが、この光放射は、膨張しているバルーン内に含まれている流体を通らないように伝送されるか、または最小限にしか通らないように伝送される。
【0214】
図18Aは、本発明による、ファイバアセンブリを螺旋状に湾曲させるための湾曲デバイスの例示図である。図18Bは、図18Aの断面線I−I'に沿って取られた図18Aの器具の断面図である。図18Cは、図18Aの断面線II−II'に沿って取られた図18Aの器具の断面図である。図18Dは、図18Aの断面線III−III'に沿って取られた図18Aの器具の断面図である。
【0215】
図18A〜18Dで、湾曲デバイスは、本明細書で様々な実施形態で例示したように、光放射のビームを内腔壁のターゲット領域に送達することができるように、または内腔壁のターゲット領域から収集することができるように、ファイバアセンブリ内で各ファイバを螺旋状に湾曲させる。このデバイスは、ファイバがコア管、例えば図2Aのコア管131、またはファイバホルダ、例えば図6Aのファイバホルダ133に取り付けられる前に、送達および収集ファイバ712の両方を熱源(図示せず)によって特定の角度で螺旋状に湾曲できるようにする。デバイスは、2つのファイバ係止(ロック)リング701、702と、溝706を有する溝付き管703と、金属コア705と、回転管704とを含む。ファイバを螺旋状に湾曲させるためのデバイスに1つ以上のファイバが取り付けられる前に、1つ以上のファイバ712の遠位部分での外側ジャケットが剥離される。ファイバ712は、ファイバ係止リング701、702を通して、金属コア705および溝付き管703に沿って挿入される。ファイバの先端は、図18Dに示されているように回転管704の対面する断面に配置された浅い穴707内に挿入され、したがって(螺旋状に整形すべき)ファイバの剥離部分が、溝付き管703と回転管704との間に延在する(703から704まで延びている)。ファイバは、溝付き管703の表面に沿って形成された溝/スロット706に配置される。ファイバ係止リング701およびファイバ係止リング702は、それぞれ図18Bおよび18Dに示されているように、係止位置で配置される。2つのファイバ係止リング701、702は、ファイバ係止リング701、702に締め付けられるねじによって、ファイバ712を固定位置で保持する。ファイバ係止リング701は、図18Bに示されているように、金属コア705とリング701の内側部分との間にファイバ701をクランプすることによって、ファイバ701の非剥離部分を固定位置に保持し、ファイバ係止リング702は、図18Cに示されているように、溝付き管703とリング702の内側との間にファイバ712をクランプすることによって、ファイバの剥離部分を所定位置に固定する。次いで、熱源(図示せず)が、溝付き管703(そこにファイバ712がリング702によって定位置に係止された)と回転管704との間に延在する剥離されたファイバ712の部分に、最大で約1600°Fの熱を加える。ファイバ712が加熱されるとき、回転管704は、回転され、それと同時に、溝付き管703から所定の距離まで溝付き管703に向けて前進される。加熱されたファイバ712は、所定の角度を有する螺旋湾曲を成すために、金属コア705の表面に接しながら湾曲される。ファイバ712の螺旋湾曲の角度は、ファイバの加熱中の回転管の回転角度および前進距離によって決まる。回転管704によって回転される角度が大きくなり、かつ前進される距離が長くなるほど、処理されたファイバで得られる螺旋湾曲角度は大きくなる。回転管704の回転角度は、一実施例では、30°〜360°の範囲であってよい。回転管によって前進される距離は、一実施例では、処理されるファイバのサイズに応じて、2マイクロメートル〜2ミリメートルの範囲であってよい。回転管704の内部管腔に接する金属コア705の表面にある螺旋フランジが、回転管704による回転角度と前進距離とを制御する助けをすることができる。ファイバが螺旋状に湾曲された後、ファイバ係止リング701およびファイバ係止リング702でのねじが緩められる。ファイバ係止リング701とファイバ係止リング702とがどちらも180°回転される。湾曲されたファイバ712は、両方の係止リング窓から取り外される。得られた湾曲ファイバ712は、次いで、例えば前述した実施形態のコア管131またはファイバホルダ133に取り付けることができる。
【0216】
図19A〜19Dは、本発明の実施形態による、器具製造プロセスの順次ステップの例示図である。この方法は、カテーテルの製造時に回転シェーパ(shaper)902を使用して、送達および収集ファイバ912の両方を同じ角度で斜めに研磨できるようにする。図19Aに示されているように、複数のファイバ912が、ファイバホルダ931の周りに互いに平行に位置決めされる。ファイバホルダ931は、例えばとりわけ図6A〜6Dを参照して説明したものと同様のタイプであってよい。各ファイバ912は、接着剤(glue)またはエポキシ(図示せず)を使用してファイバホルダ931に装着される。ファイバ先端913は、ファイバホルダ931を越えて延在する。しかし、鈍いファイバ先端912は、保護のために、かつファイバ先端913をホルダ931に装着するために、接着剤(glue)またはエポキシによって完全に覆うことができる。金属リング903が、ファイバ先端913の遠位端と接着剤またはエポキシとの上に配置されるようにしてもよい。図19Bに示されているように、金属リング903は、ファイバ先端913がシェーパ902によって斜めに研磨されるときに、ファイバ先端913を一時的に保護することができる。
【0217】
図19Bに示されているように、シェーパ902は、1000〜100000rpmの範囲にある適切な回転速度で回転する。シェーパ902は、接着剤またはエポキシ901によって包まれ且つ保護体903によって保護されたファイバ先端913に対してゆっくりと適用される。これにより、シェーパ902によってファイバ先端913を斜めに研磨する。
【0218】
図19Cに示されているように、ファイバ先端913'が、ある角度で、例えば45度で斜めに研磨された後、次の研磨ステップ中にファイバ先端を保護する保護リング903が取り外される。窓カッター904が、ファイバ先端913'の周りに位置決めされ、先端および先端を被覆する接着剤またはエポキシ901コーティングからファイバクラッドおよびジャケットを剥離して、各ファイバ先端913'のための光学窓を形成する。次いで、ファイバ先端913'の斜めの面が、金、ニッケル、およびアルミニウムなどの金属材料で被覆される。次いで、残りの接着剤またはエポキシ106によってファイバホルダ931に装着された先端研磨されたファイバ912が、コア管(図示せず)に取り付けられる。
【0219】
角度および研磨シェーパ902が、角度付きファイバ先端913'に適用され、それにより先端913'がさらに整形および研磨されて、高反射率特性など所望の組み込まれた光学的性質を有する正確で最適なファイバ先端角度を実現する。
【0220】
図19Dに示されているように、角度付きファイバ先端913'を有する光ファイバ912を備えるカテーテル910が形成される。その後、バルーン、放射源、検出器、および分光計が、従来の順序でカテーテル910に取り付けられることがあり、バルーンカテーテル製造プロセスを完了させる。
【0221】
図20A〜20Gは、本発明の実施形態による、バルーン血管形成術処置を行う順次ステップを例示する断面図である。図20Aは、内腔壁1060を有する狭窄体腔1061の断面図である。内腔1061は、閉塞、例えば脂質含有分の蓄積によって引き起こされた閉塞1062により狭窄されていることがある。
【0222】
図20Bに示されているように、例えば本明細書で説明したタイプのバルーンカテーテル1010が、従来の手順に従って、狭窄内腔1061内に挿入される。一実施形態では、バルーンカテーテル1010は、ガイドワイヤ管腔1030を含むコア管1031と、バルーン1011と、少なくとも1つの送達/収集ファイバとを備える。治療処置中、医師は、始めに、鼠径部または手首に位置する穿孔点を通して、狭窄内腔1061内にガイドワイヤを挿入する。次に、医師は、ガイドワイヤにバルーンカテーテル1010を配置する。バルーンカテーテル1010は、バルーン1011を備え、バルーン1011は、狭窄内腔1061への進入時には収縮状態である。
【0223】
図20Cに示されているように、位置決めされたバルーン1011は、コア管1031のポートを通してバルーン1011内に流体を送達することによって部分的に膨張する。カテーテル1010は、送達ファイバから内腔壁に光放射を送達し、内腔壁から放出されて収集ファイバによって受け取られる光放射を収集することによって、内腔壁1060のスペクトル特徴のデータの収集を可能にする。内腔壁のスペクトル特徴のデータの収集は、ターゲット領域に関するバルーンカテーテル1010の位置を決定するために使用される。内腔壁情報はリアルタイムでスペクトル解析によって得られるので、医師は、この情報に依拠して、対象の領域、例えば内腔の罹患領域に関してカテーテル1010をどこに配置するか、それに従って必要な処置(例えば、バルーン血管形成術および/またはステント挿入)をどこで行うかを決定することができる。
【0224】
この特徴は、従来のカテーテル、例えば蛍光透視法に依拠するカテーテルよりも有利である。なぜなら、蛍光透視法は、ユーザが従来のカテーテルを罹患領域に案内できるようにするだけだからである。しかし、蛍光透視法は、内腔の罹患領域に関する情報を2次元で提供することしかできず(例えば、2次元断面での血管狭窄)、したがって不完全な分析が提供される。これは、いくつかの罹患領域に治療が必要とされるいくつかの用途では特に重要であるが、蛍光透視法を含む従来の方法は、非狭窄領域またはわずかな狭窄の領域内の脆弱なプラークを識別することができない。本発明は、内腔壁のターゲット領域で血管形成術用バルーンを展開する前に内腔壁に沿った脆弱性を識別することもできるので、血管形成術処置中または処置後に、閉塞1062またはその付近で生じる破裂の危険を低減することができる。
【0225】
別の実施形態では、カテーテル1010は、バルーン1011のスペクトル特徴に関するデータを収集する。このデータは、バルーン1011の膨張または収縮中にガイドワイヤ管腔1030からのバルーン表面の距離を求めるため、および膨張中にバルーン1011の拡張の体積を測定するために使用することができる。
【0226】
図20Dに示されているように、カテーテル1010が、識別された罹患位置の領域内に配置された後、バルーン1011は完全に膨張し、それにより、バルーン血管形成術および/またはステント挿入(ステントは図示せず)の治療のためにターゲット領域で内腔1061を開拡する。内腔壁1060に対する膨張したバルーン1011の圧力は、血流を遮断し、バルーン1011の外面と測定すべき内腔壁1060との間の経路内の任意の血液を除くのに十分である。バルーンは、例えば、約8〜12気圧の範囲の圧力まで加圧することができ、この状態で、内腔内部で実質的に円筒形状であってよい。
【0227】
バルーン血管形成術治療などの治療後または治療中、スペクトル特徴の別の収集を行うことができる。図20Eに示されているように、光放射は、送達ファイバの遠位端から伝送され、バルーン1011を通して、内腔壁1060に当接するバルーン表面に伝送される。光放射は、バルーン表面を通過し、内腔壁1060のターゲット領域に当たり、例えば蛍光、ルミネセンス、および/または拡散反射の方法で、ターゲット領域内部の組織/流体と相互作用することができる。収集ファイバは、バルーン1011を通過する内腔壁1060からの放出された光放射を受け取ることができる。放出された光放射は、1つ以上の検出器によって受け取られ、検出器は、受け取られた光放射から信号を生成する。信号は、分光分析システムによって処理することができ、そこで、処理された信号は記憶され、コンピュータまたはディスプレイを介してユーザに提示される。バルーン1011は、バルーンと内腔壁との間に血液がほとんどまたは全くないように内腔壁と直接接触するので、質の高いスペクトルデータを得ることができる。この追加のスペクトルデータは、医師が、リアルタイムで治療結果、ならびに治療に関する現行の生理学的および病理学的変化を受け取ることができるようする。医師は、後続の療法を迅速に決定することができ、例えば、第2次治療のためのサンプルバルーン血管形成術後のステント挿入および/または薬物局部注射療法である。また、スペクトルデータは、内腔壁に関する病理学的結果を分析することによって、何らかの所要の将来の治療などの治療のために選択すべき好ましいステントを示すことができる。また、スペクトルデータは、(1つ以上の)現行の治療に対する将来の分析または比較のために記憶することができる。
【0228】
図20Fに示されているように、治療およびスペクトルデータ収集後、バルーン1011が収縮され、それにより流体は、コア管1031内に配置されるフラッシュ(排出)ポートを通してバルーン1011から除去される。
【0229】
図20Gに示されているように、バルーンカテーテル1010が、内腔1061から取り外される。内腔1061は、バルーン血管形成術またはステント挿入(図示せず)によって大幅に増大された開口を有する。
【0230】
したがって、本発明の実施形態は、血管壁に関する重要な情報の収集と、内腔拡張療法およびステント留置を含めた、閉塞/罹患血管のための多くの治療とを一体化することができる。例えば、ステント処置の対象となる領域はしばしば塞がれているので、一般に、事前開拡ステップ(全てのステント留置処置の約70パーセントで行われるステップ)を有することが好ましく、このステップにおいて、血管形成術バルーンは、ステントを伴わずに展開され、血管内部で拡張されて、始めに対象領域の閉塞を開く。この事前開拡ステップは、ステントの配置を容易にして最適化し、血管に対する留着を保証する助けとなる。この事前開拡ステップを伴う本発明の実施形態の使用は、ステントの挿入前に収集される情報の量を大幅に増やす。この情報は、ステントが好ましい治療過程であるか否か、配備すべきステントがもしあればその位置、タイプ、およびサイズ、ならびに、ステント上のコーティングおよび/またはステントから溶出すべき薬物の好ましいタイプについての改良された推定を含むことができる。
【0231】
代替のまたは様々な形態または材料の使用、および開示された方法に対する変形が明らかであることが、当業者には理解されよう。本開示は、本発明が関係する技術分野の範囲内にある特定の実施形態からのこれらおよび他の変更、用途、または他の逸脱を網羅するものと意図される。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、内腔の分析および治療のためのシステムおよび方法を対象とする。より詳細には、本発明は、血管内病理の血管形成術を行うために使用されるバルーンカテーテル、およびそのようなバルーンカテーテルを使用する治療の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2005年9月30日出願の米国仮特許出願第60/722753号、2006年1月24日出願の米国仮特許出願第60/761649号、2006年8月7日出願の米国仮特許出願第60/821623号、2006年8月29日出願の米国仮特許出願第60/823812号、および2006年9月8日出願の米国仮特許出願第60/824915号の利益を主張するものであり、各仮特許出願の内容を本願に引用して援用する。
【0003】
医学における低侵襲性処置の継続的な拡大に伴って、近年脚光を浴びている1つの処置は、経皮経管的血管形成術、すなわち「PTA」である。この処置の最も普及している使用法は、冠動脈におけるものであり、これは、より具体的には経皮経管的冠動脈血管形成術、すなわち「PTCA」と呼ばれている。これらの処置は、膨張管腔を有する可撓性カテーテルを利用して、カテーテルの遠位端にあるバルーンを比較的高い圧力の下で拡張し、狭窄病理を拡張する。
【0004】
PTAおよびPTCA処置は、現在、ステントとして知られている拡張可能な管状構造に関連して一般に使用されており、血管形成術用バルーンは、しばしば、内腔の内部でステントを拡張して永久的に配置するために使用される。ステントと共に利用される血管形成術用バルーンは、ステント送達(デリバリ)システムと呼ばれる。従来のステントは、ほとんどのタイプの病理において開存性を保ち、また他の短期(ニアターム:near-term)血管内イベントを減少する点で、血管形成術のみよりも効果的であることが示されている。しかし、従来のステントに伴う危険性は、ステントを取り囲む組織の成長によるステントの有効性の減少であり、組織の成長は、しばしば再狭窄と呼ばれる内腔の狭窄を再びもたらすことがある。近年、しばしばポリマーと組み合わせて製薬剤で被覆された新たなステントが導入されており、再狭窄の割合を大幅に減少することが示されている。これらの被覆されたステントは、一般に薬物溶出ステントと呼ばれるが、いくつかの被覆されたステントは、能動的な製薬剤ではなく受動的なコーティングを有する。
【0005】
PTAおよびPTCAに関するこれらの先進の技術の出現と共に、再狭窄または血栓症など他の急性イベントに寄与する血管内病理での病態生理学的または形態学的因子に関する、公開されているかなりの量の臨床および病理学文献がある。これらの特徴は、プラーク内部でのコラーゲン含有量と、脂質含有量と、カルシウム含有量と、可燃性因子と、これらの特徴の相対的な位置付けとを含むが、それらには限定されない。可視および/または近赤外分光法(すなわち約250〜2500nmの間の範囲にある波長にわたる)の使用によって上述の因子を識別する見込みを示すいくつかの研究が提供されており、カッセルスIII(Casscells,III)等による米国公開特許第2004/0111016A1号、マーシク−ゲールツ(Marshik−Geurts)等による米国公開特許第2004/0077950A1号、キットレル(Kittrell)等による米国特許第5304173号、およびリチャーズ−コルトゥム(Richards−Kortum)等による米国特許第6095982号で言及される研究を含み、各特許文献の内容を本願に引用して援用する。しかし、PTAまたはPTCA処置において診断と治療とを組み合わせるためにこの分光データを利用する非常に安全で商業的に実現可能な応用例は、あったとしても非常に少ない。
【0006】
残念ながら、PTAまたはPTCAと関連付けられる最も一般的な診断処置は、蛍光透視法による血管形成術である。このX線技術は、内腔内部の血流の画像を供給するだけであり、それにより狭窄を識別するが、プラークの血管内の壁に関する情報は提供しない。患者の生命にかかわる脆弱なプラークなど、非狭窄領域またはわずかな狭窄の領域にあるいくつかの重要な疾患がしばしば見過ごされる。血管内超音波など他の技術は、高価な追加のカテーテル、および場合によっては危険な追加の処置を必要とし、これは、効果よりも害をもたらす可能性があり、やはりプラークに関する有益な十分な情報を提供しない。現在、患者に関する妥当なリスクプロファイルを提示する内腔壁に関するこの有用な情報を、正確で、費用対効果が高く、かつ効率的な方法で医師が得るための選択肢はない。
【0007】
従来のバルーンカテーテルは、いくつかの欠点があり、内腔拡張部位での内腔壁の病態生理学的または形態学的特徴の分析以外の目的のために使用される。血管形成術用カテーテル内部での光ファイバの従来の使用によって、可視化などの機能を行うことはできるが、光学的分析は得られない。したがって、従来のバルーンカテーテルは、血管内の壁の表面を越えて何らかの情報を収集することはできない。カテーテルの光学的分析窓の近位で血流を妨げるために低圧バルーンカテーテルが利用可能であるが、内腔拡張は行われず、バルーン自体の内部で分析を行うことはできない。他のシステムは、バルーンカテーテルと血管内の壁との間の血液経路を、傷つけずにできるだけ小さくするために、バルーンカテーテル内部での光フィードバックの使用をサポートする。しかし、これらのシステムでも同様に、内腔壁の完全な光学的分析を行うことはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本明細書で説明するシステムおよび方法は、内腔拡張処置を行う医師に、処置時間またはコストの大幅な増加を何ら伴わずに、かつ患者に対する追加の危険性をほとんどまたは全く伴わずに、内腔壁に関する非常に有用な情報を提供する。内腔壁の照明と、得られる光信号の収集とを最適な形で容易にするために、遠位光ファイバ構成のいくつかの実装形態が含まれる。また、これらの実装形態は、使い捨ての医療デバイスに必要とされる量産性および比較的低コストでの生産を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様によれば、内腔拡張と内腔壁の光学的分析との両方を行うシステムおよび方法が提供される。一実施形態では、装置は、拡張を受ける内腔を取り囲む組織の光学的分析を行うために、1つ以上の送達導波路と1つ以上の収集導波路とを有する内腔拡張バルーンカテーテルを備える。この方法では、光放射の送達および収集は、カテーテル自体のバルーン内部で行われる。内腔拡張バルーンを十分に膨張させて、拡張された内腔壁への光経路を比較的妨げないようにしているときに光学的分析を行うことが好ましい。内腔拡張処置および光学的分析を行う際、コンピュータを利用して、光信号を分析して、内腔壁に関する病態生理学的または形態学的情報を提供し、それにより適切な追加の治療に導くことができる。
【0010】
一実施形態では、プラーク(plaque)の光学的分析は、PTAまたはPTCA処置中に血管形成術のために利用されるのと同じカテーテルの内部で行われる。この光学的分析は、ラマン分光法、赤外分光法、蛍光分光法、光コヒーレンス反射測定法、光コヒーレンストモグラフィ、しかし最も好ましくは拡散反射近赤外分光法を含むことができるが、それらには限定されない。この実施形態は、大きな追加のコスト、危険性、または医師の作業を何ら伴わずに、血管形成術処置中のプラークの光学的分析、したがって病態生理学的または形態学的特徴の診断を提供する。この情報を入手することで、医師は、場合により、様々な投薬量または薬剤を有する薬物溶出ステントの選択肢から選択を行うことができ、あるいはさらに、指示される場合には、薬物を有さないステントを選択することもできる。患者が1回来院する間に複数回の血管形成術を実施することによって、医師は、患者の血管系の大まかな状態に関してより多くを知ることができ、これによって、体系的な療法に導くことができる。生体吸収性ステントなど新たに出現している技術は、本発明の実施形態によって、適正な病理タイプにおいて最適に使用できるようにすることができる。
【0011】
内腔拡張バルーンを通した照明および内腔壁の光信号の収集の光学的方法および設計を含む他の利点および新規の特徴は、本明細書の様々な実施形態の詳細な説明において説明する。
【0012】
一態様では、体腔の内部に配置するためのカテーテルが、長手方向軸に沿って延びる可撓性管路であって、近位端および遠位端を有する可撓性管路と、可撓性管路に沿って位置決めされた少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路であって、約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長で放射を伝送するように構成されて配置された少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路と、管路の一部分の周りに配設された内腔拡張膨張可能バルーンとを備え、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、バルーン内部に配置される。
【0013】
一実施形態では、内腔拡張バルーンが、血管形成術用バルーンを備えることができる。
【0014】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、可撓性管路に隣接して維持される。
【0015】
別の実施形態では、カテーテルが、さらに、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とを可撓性管路に隣接して維持する、管路の周りに配設されたファイバホルダを備える。
【0016】
別の実施形態では、ファイバホルダが、管路に取り付けられるときに管路の長手方向軸と実質的に位置合わせされる複数の穴を有する少なくとも1つのホルダ本体を備え、少なくとも1つの送達導波路と少なくとも1つの収集導波路とが、それら穴においてファイバホルダに固定される。
【0017】
別の実施形態では、ファイバホルダが、表面に複数の溝を有する少なくとも1つのホルダ本体を備え、少なくとも1つの送達導波路と少なくとも1つの収集導波路とが、それら溝においてファイバホルダに固定される。
【0018】
別の実施形態では、複数の溝が、螺旋状に配列される。
【0019】
別の実施形態では、複数の溝が、ファイバホルダが管路に取り付けられるときに、管路の長手方向軸と実質的に位置合わせされる。
【0020】
別の実施形態では、ファイバホルダが、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが管路の第1の長手方向位置と第2の長手方向位置との間で並進可能であるように、可撓性管路の長手方向軸に関して長手方向に並進可能である。
【0021】
別の実施形態では、ファイバホルダが、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とを管路の周りで回転させることができるように、可撓性管路の長手方向軸の周りで回転可能である。
【0022】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、所定の深さの組織から放出される放射(radiation)を内腔拡張膨張可能バルーンから伝送出力端を通して収集するのを容易にするために、所定の距離だけ間隔を空けられる。
【0023】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路が、少なくとも1つの送達光ファイバを備え、少なくとも1つの収集導波路が、少なくとも1つの収集光ファイバを備える。
【0024】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達光ファイバが、テーパ付き端部を有し、そのテーパ付き端部が、放射がファイバの長手方向軸に対して横向きの方向に放出されるように、送達光ファイバの長手方向軸に沿って伝送される放射の経路の方向を変えるための反射面として機能する。
【0025】
別の実施形態では、少なくとも1つの収集光ファイバが、テーパ付き端部を有し、そのテーパ付き端部が、放射が収集光ファイバの長手方向軸に沿って伝送されるように、収集光ファイバの伝送入力端に伝送される放射の経路の方向を変えるための反射面として機能する。
【0026】
別の実施形態では、カテーテルが、さらに、可撓性管路の周りに配設された光学要素を備え、その光学要素が、放射が少なくとも1つの送達導波路の長手方向軸に対して横向きの方向に放出されるように、少なくとも1つの送達導波路の長手方向軸に沿って伝送される放射の方向を変えるために、可撓性管路の長手方向軸に対して鋭角に位置する複数のファセット(facet)のアレイを含む。
【0027】
別の実施形態では、カテーテルが、さらに、可撓性管路の周りに配設された光学要素を備え、光学要素が、放射が収集導波路の長手方向軸に沿って伝送されるように、少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端に伝送される放射の方向を変えるために、可撓性管路の長手方向軸に対して鋭角に位置する複数のファセットのアレイを含む。
【0028】
別の実施形態では、伝送入力端の領域内での少なくとも1つの収集導波路の遠位端が、管路の長手方向軸の周りで螺旋経路に沿って位置する。
【0029】
別の実施形態では、伝送出力端の領域内での少なくとも1つの送達導波路の遠位端が、管路の長手方向軸の周りで螺旋経路に沿って位置する。
【0030】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、管路の長手方向軸に沿って長手方向で所定の距離だけ間隔を空けられている。
【0031】
別の実施形態では、バルーンが、約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長での放射に対して実質的に透明であるポリマー材料を備える。
【0032】
別の実施形態では、ポリマー材料が、ナイロンおよびポリエチレンからなる材料の群から選択される。
【0033】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路が複数の送達導波路を含み、少なくとも1つの収集導波路が複数の収集導波路を含む。
【0034】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路が2つ、3つ、または4つの送達導波路を含み、少なくとも1つの収集導波路が2つ、3つ、または4つの収集導波路を含む。
【0035】
別の実施形態では、バルーンが内腔の内部で膨張しているときに、複数の送達導波路の複数の伝送出力端が、内腔の内壁を、バルーンを通して内壁の360度部分の周りで照明するように構成され、複数の収集導波路の複数の伝送入力端が、バルーンを通して内壁の照明された360度部分の周りで内腔の内壁から放射を受け取るように構成される。
【0036】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路が、第1および第2の送達導波路を備え、少なくとも1つの収集導波路が、第1および第2の収集導波路を備え、第1および第2の送達導波路の伝送出力端が、可撓性管路に関して互いに円周方向で反対側に位置決めされ、第1および第2の収集導波路の伝送入力端が、可撓性管路に関して互いに円周方向で反対側に位置決めされ、それにより、内腔の内壁の360度部分の4つの象限を、バルーンを通した放射によって照明することができ、反射された放射を、内壁の4つの象限からバルーンを通して受け取ることができる。
【0037】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端が、約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長での放射に対して実質的に透明であるカバー内部に封着された非クラッドファイバコアを備える。
【0038】
別の実施形態では、実質的に透明なカバーが、ある屈折率を有する材料を含む円筒形カプセルを備えて、入射放射を所定の方向に向けるように非クラッドファイバコアとカプセル内の材料との界面を提供する。
【0039】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端が、少なくとも1つの送達導波路の長手方向軸に対して横向きの方向に放射を向けるように、散乱粒子群と反射終端部材とを備える。
【0040】
別の実施形態では、バルーンが、可撓性管路の第1の長手方向位置と第2の長手方向位置とで可撓性管路に封着される。
【0041】
別の実施形態では、バルーンが、バルーンの第1の部分にある管路の第1の長手方向位置で管路に結合され、バルーンが、バルーンの第2の部分にある管路の第2の長手方向位置で管路に結合され、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、管路の第1および第2の長手方向位置の間でバルーン内部に配置される。
【0042】
別の実施形態では、カテーテルが、さらに、管路の遠位端で管路に結合されたガイドワイヤシースを備え、バルーンが、バルーンの第1の部分でガイドワイヤシースおよび管路に結合され、バルーンが、バルーンの第2の部分でガイドワイヤシースに結合される。
【0043】
別の実施形態では、可撓性管路が、ガイドワイヤ管腔を含むコア管を備える。
【0044】
別の実施形態では、少なくとも1つの収集導波路と少なくとも1つの送達導波路とが、コア管の長さの大部分に沿って、コア管の流体移送管腔の内部に配置される。
【0045】
別の実施形態では、少なくとも1つの収集導波路と少なくとも1つの送達導波路とが、コア管の長さの大部分に沿って、コア管を取り囲むカテーテルシースの内部に位置決めされる。
【0046】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路と少なくとも1つの収集導波路との少なくとも一方が、グレーデッドインデックス光ファイバを備える。
【0047】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路と少なくとも1つの収集導波路との少なくとも一方が、約0.22〜0.4の間の開口数を有する。
【0048】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路が、約9〜100マイクロメートルの間のファイバコア直径を有するファイバを備える。
【0049】
別の実施形態では、少なくとも1つの収集導波路が、約50〜200マイクロメートルの間のファイバコア直径を有するファイバを備える。
【0050】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路が、約50マイクロメートルのファイバコア直径を有するファイバを備え、少なくとも1つの収集導波路が、約100マイクロメートルのファイバコア直径を有するファイバを備える。
【0051】
別の実施形態では、可撓性管路と、少なくとも1つの送達導波路と、少なくとも1つの収集導波路と、バルーンとを含むカテーテルの最大外径が、バルーンが膨張していないときに約1.5ミリメートル未満である。
【0052】
別の態様では、体腔をプローブ検査して治療するためのシステムが、体腔内への挿入に適した長手方向軸に沿って延びる可撓性管路であって、近位端および遠位端を有する管路と、可撓性管路と一体化された少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路と、少なくとも1つの送達導波路の伝送入力端に接続された少なくとも1つの放射源であって、約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長で放射を提供するように構成されて配置された放射源と、少なくとも1つの収集導波路の伝送出力端に接続された少なくとも1つの光検出器と、管路の一部分の周りに配設された内腔拡張膨張可能バルーンとを備え、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、バルーン内部に配置される。
【0053】
一実施形態では、少なくとも1つの収集導波路の伝送出力端が、分光計に接続され、分光計が、約250nm〜2500nmの範囲内の波長で放射を走査して分光法を実施するように構成されて配置される。
【0054】
別の実施形態では、分光計が、蛍光法、光散乱法、光コヒーレンス反射測定法、光コヒーレンストモグラフィ、スペックル相関法、ラマン分光法、および拡散反射分光法からなる分光方法の群から選択される分光法を実施するように構成される。
【0055】
別の実施形態では、分光計が、約750nm〜2500nmの範囲内の波長で放射を走査して分光法を実施するように構成されて配置される。
【0056】
別の実施形態では、分光計が、1つ以上の波長範囲を使用して放射を走査して分光法を実施するように構成されて配置される。
【0057】
別の実施形態では、1つ以上の波長範囲を使用するスキャンが、1つ以上の離散的な波長を使用するスキャンを含む。
【0058】
別の実施形態では、システムが、さらに、システムによって収集されたデータの分析をさらに制御するために、少なくとも1つの放射源および少なくとも1つの光検出器の作動および非作動の制御を自動化するようにプログラムされた制御装置を備える。
【0059】
別の実施形態では、システムが、病院または外来部門を含む医療施設内で使用するように構成されて配置される。
【0060】
別の実施形態では、制御装置が、分光法のデータおよび分析に関するフィードバックを操作者に提供する人間対話型インターフェースを動作させるようにプログラムされ、インターフェースが、リアルタイム診断に関する情報を提供する。
【0061】
別の実施形態では、制御装置が、化学成分の存在、組織形態学的構造、水含有量、血液含有量、温度、pH、および色の少なくとも1つを含む、対象組織の1つ以上の特性を識別するようにプログラムされる。
【0062】
別の実施形態では、制御装置が、組織特性と、カテーテルの要素および体腔内に人工的に導入される他の要素を含む非関連アーティファクトとを区別するようにプログラムされる。
【0063】
別の実施形態では、人工的に導入される要素が、ステントと、ステントのコーティングとの少なくとも1つを含む。
【0064】
別の実施形態では、システムが、さらに、少なくとも1つの送達導波路への放射の適用のために複数の放射源から選択する、少なくとも1つの放射源と少なくとも1つの送達導波路との間に結合されたスイッチを備える。
【0065】
別の実施形態では、システムが、さらに、少なくとも1つの送達導波路に対して少なくとも1つの放射源を選択的に適用する、少なくとも1つの放射源と少なくとも1つの送達導波路との間に結合されたスイッチを備える。
【0066】
別の実施形態では、システムが、さらに、治療送達サブシステムを備える。
【0067】
別の実施形態では、治療送達サブシステムが、さらに、治療薬物および治療剤の少なくとも1つを中に通して送達することができる、可撓性管路と関連付けられた管を備える。
【0068】
別の実施形態では、1つ以上の放射源が、膨張したときにバルーンの外側の位置で約20ミリワット未満の放射の出力を生成するように構成される。
【0069】
別の態様では、体腔の内部に配置するためのカテーテルが、長手方向軸に沿って延びる可撓性管路であって、近位端および遠位端を有する可撓性管路と、可撓性管路に沿って位置決めされる少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路と、管路の一部分の周りに配設された内腔拡張膨張可能バルーンとを備え、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、バルーン内部に配置され、可撓性管路と、少なくとも1つの送達導波路と、少なくとも1つの収集導波路と、バルーンとを含むカテーテルの最大外径が、バルーンが膨張していないときに約1.5ミリメートル未満である。
【0070】
一実施形態では、少なくとも1つの送達導波路と少なくとも1つの収集導波路とが、約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長で放射を伝送するように構成されて配置される。
【0071】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路と少なくとも1つの収集導波路との少なくとも一方が、グレーデッドインデックス光ファイバを備える。
【0072】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路と少なくとも1つの収集導波路との少なくとも一方が、約0.22〜0.4の間の開口数を有する。
【0073】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路が、約9〜100マイクロメートルの間のファイバコア直径を有するファイバを備える。
【0074】
別の実施形態では、少なくとも1つの収集導波路が、約50〜200マイクロメートルの間のファイバコア直径を有するファイバを備える。
【0075】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路が、約50マイクロメートルのファイバコア直径を有するファイバを備え、少なくとも1つの収集導波路が、約100マイクロメートルのファイバコア直径を有するファイバを備える。
【0076】
別の態様では、体腔の分析および治療を提供するための方法が、可撓性管路と、内腔拡張バルーンと、少なくとも1つの送達導波路と、少なくとも1つの収集導波路とを含むカテーテルを体腔内に挿入するステップであって、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、バルーン内部に配置されるステップと、治療または分析のために指定された体腔の指定領域内に管路を操作するステップと、体腔の指定領域内でバルーンを拡張するステップと、約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長での放射を使用して、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端で供給される放射を体腔の指定領域に照射することによって、体腔の指定領域の分光分析を実行するステップであって、供給される放射が、バルーンを通過し、放射が、体腔の指定領域に入射し、放射が、バルーンを通して、少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端に戻されるステップとを含む。
【0077】
一実施形態では、治療的にバルーンを拡張するステップが、体腔を拡張する。
【0078】
別の実施形態では、治療的に体腔を拡張するためにバルーンを拡張するステップが、指定領域内で体腔を開拡する。
【0079】
別の実施形態では、分光分析を実行するステップが、バルーンが拡張される間に行われる。
【0080】
別の実施形態では、管路の挿入および操作と、バルーンの拡張とが、経皮経管的血管形成術に従った手順に従う。
【0081】
別の実施形態では、管路の挿入および操作と、バルーンの拡張とが、経皮経管的冠動脈血管形成術に従った手順に従う。
【0082】
別の実施形態では、バルーンが、バルーンと周囲の内腔組織との間の血液の流れが実質的に阻止されるように拡張される。
【0083】
別の実施形態では、分光分析が、血管内領域内部の周囲組織の1つ以上の病態生理学または形態学因子の特徴付けを含む。
【0084】
別の実施形態では、病態生理学または形態学因子が、血管内領域内部のプラークの存在、体積、および位置決めを特徴付けることを含む。
【0085】
別の実施形態では、病態生理学または形態学因子が、さらに、プラーク内部でのコラーゲン含有量、脂質含有量、カルシウム含有量、可燃性、または病態生理学的状態の相対的な位置付けの少なくとも1つを含むプラークの特性を含む。
【0086】
別の実施形態では、方法が、さらに、バルーンを拡張するときに指定領域に送達されるように内腔拡張バルーンにステントを提供するステップを含む。
【0087】
別の実施形態では、分光分析を実行するステップが、さらに、少なくとも1つの収集導波路を通して戻される放射に基づいて分析データを収集するステップと、指定領域内の対象組織に関連付けられる収集された分析データと、バルーン、バルーン拡張媒体、ガイドワイヤ、ステント、およびステントに配置された人工材料の少なくとも1つを含むアーティファクトに関連付けられる分析データとを区別するステップとを含む。
【0088】
別の実施形態では、ステントに配置された人工材料と関連付けられる分析データが、ポリマーと関連付けられるデータを含む。
【0089】
別の実施形態では、ステントに配置された人工材料と関連付けられる分析データが、薬物と関連付けられるデータを含む。
【0090】
別の実施形態では、方法が、さらに、分光分析を使用して、指定領域のための適切な治療を決定するステップを含む。
【0091】
別の実施形態では、適切な治療を決定するステップが、挿入に最も適したステントのタイプを選択するステップを含む。
【0092】
別の実施形態では、挿入に最も適したステントのタイプを決定するステップが、ステントから溶出すべき薬物および投薬量を選択するステップを含む。
【0093】
別の実施形態では、分光分析を実行するステップが、バルーンが部分的に膨張している間に行われる。
【0094】
別の実施形態では、バルーンが部分的に膨張している間に行われる分光分析が、損傷された組織の位置を計算するために使用される。
【0095】
別の実施形態では、損傷された組織の位置の計算が、バルーンの完全な膨張の前に、内腔内での管路の位置をガイドするために使用される。
【0096】
別の実施形態では、方法が、さらに、分光分析を使用してバルーンの拡張のレベルを決定するステップを含む。
【0097】
別の実施形態では、分光分析が、内腔の壁の360度部分で実行される。
【0098】
別の実施形態では、分光分析を実行するステップが、少なくとも1つの送達導波路の個々の送達導波路ごとに放射の送達を選択的に切り換えるステップを含む。
【0099】
別の実施形態では、選択的な切換えが、バルーンの円周の周りのあらかじめ定められた象限を照射するために放射を分散する。
【0100】
別の実施形態では、選択的な切換えが、複数の放射源の選択的な操作を含む。
【0101】
別の実施形態では、分光分析を実行するステップが、1つ以上の波長範囲にわたって選択的に走査するステップを含む。
【0102】
別の実施形態では、分光分析を実行するステップが、約750nm〜2500nmの間の1つ以上の波長範囲を使用して走査するステップを含む。
【0103】
別の実施形態では、1つ以上の波長範囲が、約250〜930ナノメートル、1100〜1385ナノメートル、1600〜1850ナノメートル、および2100〜2500ナノメートルの範囲から選択される。
【0104】
別の実施形態では、1つ以上の波長範囲にわたって選択的に走査するステップが、1つ以上の離散的な波長を使用して走査するステップを含む。
【0105】
別の実施形態では、バルーンを拡張するステップが、放射の散乱、歪、および偏向の影響を実質的に最小限にする生体適合性流体を用いてバルーンを拡張するステップを含む。
【0106】
別の実施形態では、生体適合性流体が、二酸化炭素、食塩水(saline)、酸化ジュウテリウム、およびグリセリンからなる群から選択される少なくとも1つである。
【0107】
別の実施形態では、生体適合性流体が、過飽和食塩水溶液を備える。
【0108】
別の実施形態では、分光分析を実行するステップが、さらに、少なくとも1つの収集導波路を通して受け取られる放射に基づいて分析データを収集するステップを含む。
【0109】
別の実施形態では、分析データを収集するステップが、約1秒未満の時間内に行われる。
【0110】
別の実施形態では、方法が、さらに、収集された分析データを分析するステップを含む。
【0111】
別の実施形態では、分光分析中に内腔拡張バルーンから放出されるパワーの量が、約20ミリワット未満である。
【0112】
別の態様では、体腔の内部に配置するためのカテーテルを形成する方法が、体腔内への挿入に適した長手方向軸に沿って延びる可撓性管路を提供するステップであって、可撓性管路が、近位端および遠位端を有するステップと、可撓性管路に沿って少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路を提供するステップであって、少なくとも1つの送達導波路と少なくとも1つの収集導波路とが、約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長で放射を伝送するように構成されて配置されるステップと、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とがバルーン内部に配置されるように、管路の一部分の周りに内腔拡張膨張可能バルーンを提供するステップとを含む。
【0113】
一実施形態では、方法が、さらに、外側ジャケットの導波路の端部分を剥離すること、導波路の非剥離部分を固定すること、螺旋状に配置すべき導波路の端部分に、端部分を可鍛性(展性)にするのに十分な熱源を適用すること、およびコアセグメントの周りで導波路を回転するため、および導波路の固定された非剥離部分の方向に導波路の端部分を長手方向で並進するために力を加えることによって、少なくとも1つの送達導波路と少なくとも1つの収集導波路の遠位部分とを螺旋配置で形成するステップを含む。
【0114】
別の実施形態では、導波路が、導波路の端部を回転させて長手方向に並進させるために力を所定の方法で加えることによって、所定の角度で螺旋状に配置される。
【0115】
別の実施形態では、導波路の非剥離部分を固定するステップが、コアセグメントの周りに配設された少なくとも1つの係止部材を使用して行われ、回転および並進のための力が、コアセグメントの周りに配設された回転運動および並進運動可能な部材を用いて加えられる。
【0116】
別の実施形態では、導波路の端部分が、約2マイクロメートル〜2ミリメートルの範囲の距離だけ並進され、一方、導波路の端部分が、コアセグメントの周りで約30〜360度回転される。
【0117】
別の実施形態では、熱源が、約1600℃で熱を提供する。
【0118】
別の実施形態では、バルーンが、管路にレーザ溶接される。
【0119】
別の実施形態では、方法が、さらに、少なくとも1つの送達導波路と少なくとも1つの収集導波路とを可撓性管路に隣接して維持するための導波路ホルダを提供するステップを含む。
【0120】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路と少なくとも1つの収集導波路とが、前記少なくとも1つの送達導波路と少なくとも1つの収集導波路とを可撓性管路に沿って提供する前に、前記導波路ホルダと組み立てられる。
【0121】
別の実施形態では、方法が、さらに、導波路ホルダとの組立て後に、前記少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端を整形するステップを含む。
【0122】
別の実施形態では、方法が、さらに、前記導波路ホルダとの組立て後に、前記少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端を整形するステップを含む。
【0123】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路を保持するための導波路ホルダが、複数の穴を有するホルダ本体を備える。
【0124】
別の実施形態では、方法が、さらに、複数の穴を可撓性管路の長手方向軸と位置合わせして固定するステップを含む。
【0125】
別の実施形態では、方法が、さらに、対応して、複数の穴を1つ以上の反射面と位置合わせして固定するステップを含む。
【0126】
別の実施形態では、前記1つ以上の反射面が、多面反射要素の一部として、可撓性管路の周りで半径方向に配設される。
【0127】
別の実施形態では、前記1つ以上の反射面が、可撓性管路の長手方向軸と位置合わせされた円錐形状反射要素を備える。
【0128】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路と少なくとも1つの収集導波路とを保持するための導波路ホルダが、可撓性管路の周りで半径方向に配設された複数の溝を有するホルダ本体を備える。
【0129】
別の態様では、体腔の内部に配置するためのカテーテルが、長手方向軸に沿って延びる可撓性管路であって、近位端および遠位端を有する可撓性管路と、可撓性管路に沿って位置決めされた少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路であって、約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長で放射を伝送するように構成されて配置された少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路と、管路の一部分の周りに配設された内腔拡張膨張可能バルーンとを備え、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、バルーンの外面に沿って位置決めされる。
【0130】
一実施形態では、カテーテルが、さらに、少なくとも1つの送達導波路と少なくとも1つの収集導波路との本体部分を可撓性管路に結合するリングを備える。
【0131】
別の実施形態では、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、バルーンの外面に取り付けられる。
【0132】
別の態様では、体腔の内部に配置するためのカテーテルが、長手方向軸に沿って延びる可撓性管路であって、近位端および遠位端を有する可撓性管路と、可撓性管路に沿って位置決めされた少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路であって、約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長で放射を伝送するように構成されて配置された少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路と、管路の一部分の周りに配設された内腔拡張膨張可能バルーンとを備え、少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、バルーンの内面に取り付けられる。
【0133】
一実施形態では、カテーテルが、さらに、少なくとも1つの送達導波路と少なくとも1つの収集導波路との本体部分を可撓性管路に結合するリングを備える。
【0134】
本発明の前述および他の目的、特徴、および利点は、添付図面に例示される本発明の好ましい実施形態のより詳細な説明から明らかになろう。添付図面中、様々な図を通じて、同様の参照符号は同じ部分を指す。図面は、必ずしも縮尺が合っておらず、本発明の原理を例示する際に強調が加えられている。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1A】本発明の実施形態による、内腔を分析して医学的に治療するための器具を例示する概略ブロック図である。
【図1B】本発明の実施形態による、内腔を分析して医学的に治療するための器具を例示する概略ブロック図である。
【図2A】本発明の実施形態による、図1のカテーテルの治療端部の拡大例示図である。
【図2B】図2Aの断面線I−I'に沿って取られた図2Aのカテーテルの断面図である。
【図2C】図2Aの断面線II−II'に沿って取られた図2Aのカテーテルの断面図である。
【図3A】本発明の実施形態による、螺旋構成で配置された複数のファイバを有する図2A〜2Cのカテーテルの拡大例示図である。
【図3B】図3Aの断面線I−I'に沿って取られた図3Aのカテーテルの断面図である。
【図3C】本発明の他の実施形態による、螺旋構成で配置された複数のファイバを有する図3A〜3Bのカテーテルの拡大例示図である。
【図3D】本発明の他の実施形態による、螺旋構成で配置された複数のファイバを有する図3A〜3Bのカテーテルの拡大例示図である。
【図3E】本発明の他の実施形態による、螺旋構成で配置された複数のファイバを有する図3A〜3Bのカテーテルの拡大例示図である。
【図3F】本発明の他の実施形態による、螺旋構成で配置された複数のファイバを有する図3A〜3Bのカテーテルの拡大例示図である。
【図4】本発明の実施形態による、血管形成術用バルーンによって取り囲まれたコア管に取り付けられた4つのファイバを含むカテーテル実施形態のクローズアップ例示図である。
【図5】本発明の実施形態による、短縮されたガイドワイヤシースに取り付けられた4つのファイバを含むカテーテル実施形態のクローズアップ例示図である。
【図6A】本発明の実施形態による、ファイバホルダに取り付けられた複数のファイバを有する図2A〜2Cのカテーテルの拡大例示図である。
【図6B】図6Aの断面線I−I'に沿って取られた図6Aのカテーテルの断面図である。
【図6C】本発明の実施形態による、ファイバが穴付きファイバホルダ内に維持された、カテーテルの遠位部分の例示図である。
【図6D】図6Cの断面線I−I'に沿って取られた図6Cのファイバホルダの断面図である。
【図7A】本発明の実施形態による、ファイバホルダに取り付けられ、螺旋構成で配置された複数のファイバを有するカテーテル実施形態の拡大例示図である。
【図7B】図7Aの断面線I−I'に沿って取られた図7Aのカテーテルの断面図である。
【図7C】本発明の実施形態による、螺旋状に配置されたファイバが穴付きファイバホルダ内に維持された、カテーテルの遠位部分の例示図である。
【図7D】図6Cの断面線I−I'に沿って取られた図7Cのファイバホルダの断面図である。
【図7E】螺旋状に配置されたファイバを内部に維持することができる穴の軌跡線を示す、図7C〜7Dのファイバホルダの例示斜視図である。
【図7F】図7C〜7Eのファイバホルダのそれぞれ長手方向および側面斜視例示図である。
【図7G】図7C〜7Eのファイバホルダのそれぞれ長手方向および側面斜視例示図である。
【図8A】本発明の実施形態による、可動のファイバホルダに取り付けられ、カテーテルシースによって取り囲まれた複数のファイバを有するカテーテルの例示図である。
【図8B】本発明の別の実施形態による、図8Aの断面線I−I'に沿って取られた図8A〜8Bのカテーテルの断面図である。
【図8C】本発明の他の実施形態による、螺旋構成でファイバホルダに取り付けられた複数のファイバを有する図8Aのカテーテルの拡大例示図である。
【図8D】本発明の他の実施形態による、螺旋構成でファイバホルダに取り付けられた複数のファイバを有する図8Aのカテーテルの拡大例示図である。
【図8E】本発明の他の実施形態による、螺旋構成でファイバホルダに取り付けられた複数のファイバを有する図8Aのカテーテルの拡大例示図である。
【図9A】本発明の実施形態による、体腔の第1および第2の象限に関して光学的分析を行うカテーテルを例示する概略図である。
【図9B】本発明の実施形態による、体腔の第3および第4の象限に関して光学的分析を行うカテーテルを例示する概略図である。
【図10A】「サイドファイア」先端ファイバ構成を有する本発明の実施形態による光伝送のサンプル光線軌跡を例示するカテーテルの図である。
【図10B】「サイドファイア」先端ファイバ構成を有する本発明の実施形態による光伝送のサンプル光線軌跡を例示するカテーテルの図である。
【図10C】螺旋ファイバ構成を有する本発明の別の実施形態による光伝送のサンプル光線軌跡を例示するカテーテルの図である。
【図10D】螺旋ファイバ構成を有する本発明の別の実施形態による光伝送のサンプル光線軌跡を例示するカテーテルの図である。
【図10E】円錐形反射器を有する本発明の別の実施形態による光伝送のサンプル光線軌跡を例示するカテーテルの図である。
【図10F】円錐形反射器を有する本発明の別の実施形態による光伝送のサンプル光線軌跡を例示するカテーテルの図である。
【図10G】円錐形反射器を有する本発明の別の実施形態による光伝送のサンプル光線軌跡を例示するカテーテルの図である。
【図10H】多面反射器を有する本発明の別の実施形態による光伝送のサンプル光線軌跡を例示するカテーテルの図である。
【図10I】図10Hの多面反射器の実施形態のクローズアップ斜視図である。
【図10J】本発明の別の実施形態による、6つのファイバを有し、体腔に関して光学的分析を行うカテーテルの断面図である。
【図11A】本発明の実施形態による、塗布された金属コーティングを有する斜角先端(「サイドファイア」構成)と光学的窓とを含むファイバの例示図である。
【図11B】図11Aの断面線I−I'に沿って取られた図11Aのファイバの断面図である。
【図11C】本発明の実施形態による、遠位部分にクラッドがない斜角ファイバ先端の例示図である。
【図11D】本発明の実施形態による、透明カプセルを含むファイバの端部の例示図である。
【図12】本発明の別の実施形態による、光エネルギーの送達、収集、または送達および収集のために採用することができる二重クラッド光ファイバの斜視図である。
【図13A】本発明の別の実施形態による、拡散ヘッドを有する送達ファイバを含むバルーンカテーテルの例示図である。
【図13B】図13Aの断面線I−I'に沿って取られた図13Aの器具の断面図である。
【図13C】本発明の実施形態による、拡散器と散乱粒子とを含む図13Aの送達ファイバの出力端部の拡大例示図である。
【図13D】本発明の別の実施形態による、拡散器を含む図13Aの送達ファイバの出力端部の拡大例示図である。
【図14A】本発明の実施形態による、バルーンの遠位端にガイドワイヤシースが配置された、コア管内部に位置決めされた送達ファイバを含むバルーンカテーテルの例示図である。
【図14B】図14Aの断面線I−I'に沿って取られた図14Aの器具の断面図である。
【図14C】図14Aの断面線II−II'に沿って取られた図14Aの器具の断面図である。
【図15A】本発明の実施形態による、バルーンカテーテルとステントとを備える器具の例示側面図である。
【図15B】図15Aの断面線I−I'に沿って取られた図15Aの器具の断面図である。
【図16A】本発明の実施形態による、バルーンの外面に近接する送達ファイバおよび収集ファイバを含むカテーテル実施形態のクローズアップ例示図である。
【図16B】図16Aの断面線I−I'に沿って取られた図16Aのカテーテルの断面図である。
【図17A】本発明の実施形態による、バルーンの内面に装着または成形された送達ファイバおよび収集ファイバを含むカテーテル実施形態のクローズアップ例示図である。
【図17B】本発明の実施形態による、図17Aの断面線I−I'に沿って取られた図17Aのカテーテルの断面図である。
【図18A】本発明の実施形態による、ファイバアセンブリを螺旋状に湾曲するためのデバイスの例示図である。
【図18B】図18Aの断面線I−I'に沿って取られた図18Aの器具の断面図である。
【図18C】図18Aの断面線II−II'に沿って取られた図18Aの器具の断面図である。
【図18D】図18Aの断面線III−III'に沿って取られた図18Aの器具の断面図である。
【図19A】本発明の実施形態による、器具製造プロセスの順次ステップの例示図である。
【図19B】本発明の実施形態による、器具製造プロセスの順次ステップの例示図である。
【図19C】本発明の実施形態による、器具製造プロセスの順次ステップの例示図である。
【図19D】本発明の実施形態による、器具製造プロセスの順次ステップの例示図である。
【図20A】本発明の実施形態による、バルーン血管形成処置を行う順次ステップを例示する断面図である。
【図20B】本発明の実施形態による、バルーン血管形成処置を行う順次ステップを例示する断面図である。
【図20C】本発明の実施形態による、バルーン血管形成処置を行う順次ステップを例示する断面図である。
【図20D】本発明の実施形態による、バルーン血管形成処置を行う順次ステップを例示する断面図である。
【図20E】本発明の実施形態による、バルーン血管形成処置を行う順次ステップを例示する断面図である。
【図20F】本発明の実施形態による、バルーン血管形成処置を行う順次ステップを例示する断面図である。
【図20G】本発明の実施形態による、バルーン血管形成処置を行う順次ステップを例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0136】
以下、本発明による例示実施形態が図示されている添付図面を説明する。本明細書で開示される特有の構造的および機能的詳細は、代表的なものにすぎない。本発明は、多くの代替形態で具現化することができ、本明細書に記載される例示実施形態に限定されるとみなされるべきではない。
【0137】
したがって、特有の実施形態が、図面中に例として図示される。しかし、開示する特定の形態に本発明を限定する意図はなく、逆に、本発明は、特許請求の範囲の精神および範囲内に入る全ての変形、等価形態、および代替を網羅するものと理解すべきである。図の説明を通じて、同様の参照番号は同様の要素を表す。
【0138】
本明細書では、様々な要素を説明するために用語「第1の」、「第2の」などを使用することがあるが、これらの要素がこれらの用語によって限定されるべきではないことを理解されたい。これらの用語は、ある要素を別の要素から区別するために使用される。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶこともでき、同様に第2の要素を第1の要素と呼ぶこともできる。本明細書で使用する際、用語「および/または」は、関連の列挙された項目のうち1つ以上の項目のあらゆる組合せを含む。
【0139】
要素が別の要素の「上にある」、別の要素に「接続される」、または別の要素に「結合される」と表現されるとき、要素は、別の要素の直接上にあってもよく、別の要素に直接接続されていてもよく、または別の要素に直接結合されていてもよく、あるいは間に介在する要素が存在していてもよいことを理解されたい。対照的に、要素が別の要素の「直接上にある」、別の要素に「直接接続される」、または別の要素に「直接結合される」と表現されるとき、介在要素は存在しない。要素間の関係を説明するために使用される他の用語も同様に解釈されるべきである(例えば、「…と…との間にある」と「…と…との直接の間にある」、「隣接する」と「直接隣接する」など)。
【0140】
本明細書で使用される術語は、特定の実施形態を説明する目的のものであり、本発明を限定するものとは意図されていない。本明細書で使用する際、単数形は、文脈上に明示されていない限り、複数形も含むものと意図されている。さらに、用語「備える」および/または「含む」は、本明細書で使用するとき、指定された特徴、整数、ステップ、操作、要素、および/または構成要素の存在を規定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を排除しないということを理解されたい。
【0141】
本明細書で使用する際、用語「隣接して維持される」は、送達および収集導波路と、それらが取り付けられるカテーテルの可撓性管路との相互関係に言及するとき、導波路が、管路の近位またはその付近の位置に維持されることを意味する。例えば、導波路は、例えばとりわけ以下の図2〜5の実施形態と関連して図示されて説明されるように、管路に直接接合することができ、あるいは導波路は、例えばとりわけ以下の図6および7の実施形態と関連して図示されて説明されるように、管路に結合された保定器に接合することができ、あるいは導波路は、例えばとりわけ以下の図8の実施形態と関連して図示されて説明されるように、管路に関して摺動または回転する保定器に接合することができる。これらの各場合に、導波路は、直接的に、あるいは管路にさらに結合される固定または可動保定器を介して間接的に、管路に物理的に接続される。したがって、用語「隣接して維持される」は、これらの構成および他の関連構成を包含するものと意図される。
【0142】
図1Aは、本発明の実施形態による、内腔を分析して医学的に治療するための集積光学系を有するバルーンカテーテルアセンブリ110の例示図である。カテーテルアセンブリ110は、1つ以上の送達ファイバ112および1つ以上の収集ファイバ113を有するカテーテルシース138と、ガイドワイヤ145を有するガイドワイヤシース131とを含む。カテーテルアセンブリ110の遠位端は、バルーン111を含み、バルーン内部に、(1つ以上の)送達ファイバ112および(1つ以上の)収集ファイバ113のそれぞれ送達および収集端部が閉じ込められる。バルーンカテーテルアセンブリ110の近位端は、カテーテルシース138をコネクタサブアセンブリ255に取り付ける継手15を含む。ファイバ112および113は、市販の光源および/または(図1Bの高レベルの図に示されるような)分光計150などの分析デバイスと共に使用するのに互換性のあるコネクタ120(例えば、FC/PCタイプ)と嵌合される。別法として、ファイバ112および113は、商業的に流通している様々なマルチポートコネクタ(図示せず)と嵌合させることができる。2つの放射線不透過性マーカーバンド260が、ガイドワイヤシース131の周りに固定されて、(例えば、X線透視装置を用いて)患者の体内のカテーテル110の位置に関する情報を操作者が得られるようにする。
【0143】
コネクタサブアセンブリ255は、バルーン111を拡張または収縮するためにポート70を通して液体/気体258を供給または除去するためのフラッシングポート250を含む。液体/気体258は、タンク256内に保持され、タンク256からノブ254の作動によってバルーン111内に注入される、またはバルーン111から除去される。別法として、液体/気体258は、自動化された構成要素(例えばスイッチ/圧縮機/真空)の使用によって注入することもできる。バルーンの拡張のための溶液は、好ましくは人体に無毒であり(例えば食塩水)、選択される光放射に対して実質的に半透明である。
【0144】
次に図1Bをさらに参照すると、概略的な高レベルのブロック図が、本発明の実施形態による、体腔の分析および医学的治療のための器具100を例示する。器具100は、例えば被験者165の動脈、静脈、器官、または他の体腔など、治療を受ける被験者165の体腔内に挿入されるように構成されて配置されたカテーテル110を備える。(1つ以上の)送達ファイバ112が、分光計150に一体化された光源180に接続され、(1つ以上の)収集ファイバ113が、(やはり分光計150に一体化された)検出器170に接続される。分光計150は、処理装置175を用いて分光法を処理することができる。分光計150に接続されたコンピュータ152は、器具100を操作するためのインターフェースを提供することができ、さらに分光データを処理して(例えば、ケモメトリック分析によるものを含む)、被験者165の状態を診断および/または治療する。入出力構成要素(I/O)および閲覧構成要素151が提供されて、例えば記憶装置および/またはネットワークデバイスなどの間で情報を通信し、器具100の動作に関係付けられる情報を操作者が閲覧できるようにする。
【0145】
さらに、カテーテル110は、例えば罹患動脈を治療するために使用することができる療法システムに取り付けられた治療管(図示せず)を備えることができる。この実施例では、治療管を介して罹患動脈に薬物を送達することができる。
【0146】
図2Aは、本発明の実施形態による図1のカテーテル110の治療端部の拡大例示図である。図2Bは、図2Aの断面線I−I'に沿って取られた図2Aのカテーテル110の断面図であり、図2Cは、図2Aの断面線II−II'に沿って取られた図2Aのカテーテルの断面図である。カテーテル110は、バルーン111と、長手方向ガイドワイヤ管腔130および流体移送管腔116を含むコア管131と、少なくとも1つの送達ファイバ112と、少なくとも1つの収集ファイバ113とを含む。一実施形態では、カテーテル110は、血管形成術用バルーンカテーテルである。この方法では、カテーテル110は、体腔、例えば動脈内に配置されるときに、任意選択で、バルーン血管形成術を実施するため、および/または動脈内にステントを配置するために使用することができる。代替実施形態では、送達ファイバ112が、単一の送達ファイバまたは複数の送達ファイバを備えることができ、あるいは収集ファイバ113が、単一収集ファイバまたは複数の収集ファイバを備えることができる。
【0147】
少なくとも1つのエネルギー源180が、送達ファイバ112の近位端に取り付けられる。少なくとも1つの検出器170が、収集ファイバ113の近位端に取り付けられる。エネルギー源180は、電磁放射、例えば光放射を発生し、これが、送達ファイバ112の近位端から遠位端に伝送される。送達ファイバ112の遠位端は、バルーン111内部に位置決めされ、バルーン111で光放射を放出し、それにより放射は、体腔壁の内面にあるターゲット領域に誘導される。放射は、体腔壁から反射され、カテーテル110の治療端部にある収集ファイバの遠位端で収集される。内腔壁のスペクトル特徴が、内腔壁から反射および/または他の方法で放出される放射の量およびタイプを決定する。収集された放射は、収集ファイバ113の遠位端で捕捉され、収集ファイバ113によって近位端に送られ、それにより検出器170が、反射された放射を信号データとして処理する。
【0148】
図1Bに示されているように、放射源180および検出器170は、分光計システム150と接続される、および/または分光計システム150内に組み込まれる。様々な実施形態が、約250〜2500ナノメートルの間の波長範囲内で分光分析を行うように構成された分光計を提供し、特に約750〜2500ナノメートルの間の近赤外スペクトルの範囲を有する実施形態を含む。さらなる実施形態は、例えば約250〜930nm、約1100〜1385nm、約1600〜1850nm、および約2100〜2500nmを含む1つ以上のサブレンジ内で分光法を実施するように構成される。他の実施形態では、単一の波長、複数の離散的な波長、またはある範囲の連続波長が、分析中に走査するために使用される。スキャン範囲を大きくしたりスキャンを繰り返したりすれば、より正確なデータが提供されるが、処置の時間が安全性を伴わずに増大する可能性があり、処置の時間は、一実施形態では約1秒を超えないことが好ましい。また、一回のスキャンの速度は、心臓のポンピング(拍動)からのものを含めたモーションアーティファクトの影響を最小限にするのに十分であることが好ましい。バルーン材料およびバルーン拡張媒体を通る進行と関連付けられるものを含めた送達および収集経路に沿った様々な損失を緩和するために、放射源のパワー出力は、約10ミリワットよりも大きいことが好ましい。好ましいパワー出力を提供する分光計の実施形態は、レーザ走査分光計を含む。
【0149】
いくつかの実施形態は、複数の帯域にわたって走査するために1つ以上の市販の分光計を含む。例えば、AXSUN Technologies,Inc.(Billerica,MA) IntegraSpec XL(Uno)CH分光計など単一の分光計を採用することができ、この分光計は、スキャン当たり約25ミリ秒で約1550〜1800nmの完全スキャン範囲を提供し、約32回走査して約0.8秒で1組のデータを捕捉する。別の実施形態は、1つ以上のStellarNet,Inc.(Tampa,FL)EPP2000光ファイバ分光計を含み、この分光計は、約190〜1700nmの波長範囲内でのスキャンを提供する。Ocean Optics,Inc.(Dunedin,FL)は、約200〜1100nmの間の波長範囲内での出力のために、多くのユーザ設定可能な分光計を提供する。
【0150】
反射されて収集された放射は、内腔壁での化学成分の変化、組織形態学的構造、水/血液含有量(water/blood content)、および生理学的パラメータ(例えば温度、pH、色、強度)など、内腔壁のいくつかの特性を得るために分光分析することができる情報を含む。分光分析システム150は、検出器170に接続されて、検出器170によって受信された信号データを処理する。処理された信号データは、ユーザ可読のテキストおよびグラフィックスの形態でディスプレイ151に出力することができる。この方法では、ユーザ、例えば医師が、望まれる場合にはリアルタイムでデータを分析することができる。
【0151】
この方法では、医師は、治療を施される罹患領域からリアルタイム情報を得ることができる。この情報は、全ての病理学的および/または病態生理学的結果を含むことがあり、これらの結果は、従来の手法では、内腔壁から組織および/または血液を採取することを必要とし、情報を分析するために最大で数日かかることがある。本発明は、受け取られた光放射から得られて処理される情報に従って、医師が、自分の患者に最も適した治療を即座に選択できるようにする。
【0152】
図2A〜2Cに示されているように、バルーン111は、コア管131の本体の周りに、コア管131の遠位端またはその付近でコア管131に装着される。バルーン111は、光エネルギーが出力される送達ファイバ112の遠位端と、反射された光エネルギーが収集される収集ファイバ113の遠位端とを取り囲む。一つの実施形態では、バルーン111は、コア管131の本体を取り囲み、2箇所、例えば位置a、bで、コア管131の本体に封着され、または光ファイバ112および113とコア管とを取り囲む保護シース138に封着され、したがってコア管131の遠位端は、長手方向でバルーン111を越えて延在する。保護シース138は、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリウレタン、またはシリコンなど非常に優れた潤滑性および生体適合性を提供する材料から構成される。一実施形態では、バルーン111は、バルーンをコア管131または保護シースに溶接する熱を位置a、bに加えることによって、位置a、bに封着される。別法として、バルーン111をコア管131に封着するために、糊(glue)または接着剤、あるいは他の既知の技法を適用することができる。この方法では、医学的処置中、バルーンカテーテルに先立って、ガイドワイヤを、体腔を通してターゲット領域まで通すことができる。次いで、その後、従来の血管形成術処置に従ってガイドワイヤをたどることによって、コア管131または保護シースに取り付けられたバルーン111をターゲット領域内に位置決めすることができる。
【0153】
好ましい実施形態では、バルーン111は、血管形成術用バルーンである。血管形成術用バルーン111は、流体を用いて膨張させることができ、流体は、流体源(図示せず)から、流体移送管腔116を通して、ガイドワイヤ管腔130と平行に移送され、このとき、流体移送管腔116とガイドワイヤ管腔130とはどちらもコア管131によって取り囲まれている。流体は、流体移送管腔116に接続されたポート117を通してバルーン111に出力される。ポート117は、バルーン111によって取り囲まれるコア管131の部分内に配置される。また、ポート117と流体移送管腔116とは、バルーンの収縮中に、例えば体腔からカテーテルを取り除く前に、バルーンから流体を除去できるようにする。送達ファイバ112からの誘導された光放射、例えば光と、内腔壁からの反射された光放射、例えば光とはどちらも、内腔壁データ収集中に、流体で充填されたバルーンを通して伝送されることがある。したがって、流体の性質は、光放射が、内腔壁へと/内腔壁から、バルーン111を通って進むときに生じることがある光放射の吸収、散乱、偏向、または歪など任意の望ましくない光学的影響をその流体が最小限にするようなものであることが好ましい。この方法では、バルーン111を充填する流体は、液体または気体であってよく、好ましくは、食塩水、酸化ジュウテリウム、グリセリン、あるいは上述した光学的影響を最小限にする他の液体または気体を含む。
【0154】
本明細書で説明する光学的な内腔壁分析処置と関連して実施することができるバルーン血管形成術療法治療中、血管形成術用バルーン111は、治療のための狭窄領域に接するようにバルーン111が十分に拡張されるまで、十分な圧力で、ポート117を通して供給される流体によって膨張する。この時点で、内腔壁に対するバルーン111の圧力は、血流を遮断するのに十分であることが好ましい。この特徴は、バルーン111が壁と直接接触するので、血管壁からの光放射収集のために好ましい。バルーン111と内腔壁との間に血液が介在されないことが好ましく、血液の介在は、吸収などの光損失、または他の望ましくない光学的影響を生じさせることがある。バルーン111と内腔壁との間に血液がほとんどまたは全く存在しないので、したがって、内腔壁160のスペクトル特徴を高い精度で測定することができる。また、本開示の実施形態は、従来のバルーンカテーテルよりも有利であり、従来のバルーンカテーテルは治療目的にしか使用することができない。対照的に、開示される実施形態は、光学的分析と、血管形成術処置またはステント挿入など血管形成術治療との両方を同時に行うことを可能にして、治療と診断との両方の利益を得て、このとき、2つの異なる目的のために異なるカテーテルを取り外して挿入する必要なく、分光分析と血管形成術治療との両方を同じカテーテルによって同じ手順で行うことができる。
【0155】
ファイバ構成およびサイズは、行われる分析のタイプ、分析される個々の領域の数およびサイズ、空間、強度、および可撓性の制約、および/またはコスト制約に関係するパラメータに基づいて選択することができる。様々な実施形態において、ファイバは、様々な材料および厚さのコア、クラッド、およびジャケット(被覆)から構成されることがある。また、ファイバは、小さなコア直径を維持しながら開口数およびパワーを増加するために、グレーデッドインデックスコアから構成されることもある。本発明の実施形態は、約0.22〜0.4の間の開口数のグレーデッドインデックスファイバを含む。いくつかの実施形態は、約9〜100マイクロメートルの間のコア直径を有する送達導波路の使用と、約50〜200マイクロメートルの間のファイバコアを有する収集導波路の使用とを含む。例えば、Lucent Technologies Specialty Fiber Groupが、約62.5μm〜1500μmの間のコア直径と、約0.11〜0.48の間の開口数とを有するファイバを提供する。Yangtze Optical Fiber and Cable Co.,Ltd.(Wuhan,China)(http://yofcfiber.com参照)が、約9μmの小さい直径を有するシングルモードファイバコアを提供する。
【0156】
一実施形態では、2つの送達ファイバと2つの収集ファイバとが含まれ、送達ファイバは、約0.31の開口数と、約50マイクロメートルのグレーデッドコア直径と、約9〜10マイクロメートルのクラッド層厚さと、約4〜5マイクロメートルのジャケットとを有する。対応する収集ファイバは、例えば、約0.22のコア開口数と、約100マイクロメートルのコア直径と、約10マイクロメートルのクラッド層厚さと、約10マイクロメートルのジャケット厚さとを有して屈折率推移させることができる。比較的高い開口数(NA)(例えば約0.22〜0.4の間)を有するより小さなサイズのファイバが、心血管系内部での滑らかな展開を提供することができる膨張していないバルーンを仮定して、約1.5mm以下の最大外径を有する本発明によるカテーテルシステムの実施形態を可能にする。
【0157】
一実施形態では、収集ファイバ113は、反射された光放射を、コア管131の長手方向軸に対して横向きの方向で内腔壁からバルーン111を通して受け取り、反射された光放射を、収集ファイバ113の遠位端から収集ファイバ113の近位端へ長手方向に送り、それにより、受け取られた光放射が検出器170に伝送される。収集ファイバ113は、送達ファイバ112と同様に、コアと、ドープされたクラッドと、保護ジャケットとを含む光ファイバを備えることができる。光放射は、各収集ファイバ113の遠位端で受け取られ、収集ファイバ113の遠位端から近位端に送られる。例えばファイバコアまたは管路の長手方向軸に関する放射の放出または収集の方向に言及するときに本明細書で使用される用語「横向き」は、鋭角であれ、鈍角であれ、または垂直であれ、ファイバまたは管路の長手方向軸に平行以外の全ての角度を含む。
【0158】
収集ファイバ113は、送達ファイバ112が治療領域で放射を伝送するのとほぼ同様に、しかし反対方向で、治療領域で光放射を受け取るように構成することができる。例えば、一実施形態で、収集ファイバ113は、長手方向軸に沿って延在し、送達ファイバ112およびコア管131と平行に、かつそれらに近接して配置される。各収集ファイバ113の遠位端は、送達ファイバ112が放射を分散するのと同様に、反射された光放射を受け取り、それにより、反射された光放射は、収集ファイバ113の遠位端にある光学構成要素に当たる。光学構成要素は、レンズ、ミラー、または光反射器を含むことができる。光学構成要素は、例えば図11Aを参照してさらに説明する「サイドファイア(side-fire)」構成に従って、各収集ファイバ113および/または送達ファイバ112のそれぞれの遠位端に任意選択で一体化することができる。また、光学構成要素は、反射された光放射を内腔壁160から受け取るために収集ファイバ先端の十分に近位にあるものを含めて、収集ファイバ113の外部にあってもよい。一実施形態では、収集ファイバ113は、ファイバホルダまたはコア管にある溝に取り付けられ、溝は、互いに平行に形成され、コア管の本体の大部分に沿って、かつ治療領域の遠位端で螺旋経路に沿って、長手方向で回される。この方法では、収集ファイバ113は、反射された光放射が各収集ファイバ113の近位端から遠位端へ螺旋経路に沿って進むように溝に従う。
【0159】
バルーン111は、ナイロンまたは他の半透明ポリマーなどの材料から構成することができる。一実施例では、バルーン111は、例えば、薄い光学的に透明なポリエチレンバルーンを備える。バルーンの表面を通して光放射が誘導される実施形態では、バルーンの表面は、十分に透明または半透明であり、任意の反射または損失を最小にしながら、誘導されて反射される最大量の光放射がバルーン表面を透過できるようにすることが好ましい。
【0160】
図1Aおよび1Bに戻り、また図9Aおよび9Bも参照すると、放射源180は、送達ファイバ112の近位端に取り付けられ、分析すべき内腔壁の表面に向けて送達ファイバ112によって伝送される放射を発生する。放射源180は、例えば、例えば光放射を放出する電磁放射源を備える。光放射は、例えば1つ以上の光スイッチを使用して、放射源180によって複数の送達ファイバに送達することができる。図9Aおよび9Bに示されているように、1つの放射源180を2つ以上の送達ファイバ1121および1122によって共有することができる。図9Aに示されているように、放射源180は、光スイッチ181が位置aにあるとき、送達ファイバ1121を通して体腔壁160の象限IおよびIIを照明するようになされる。収集ファイバ1131および1132が、それぞれ象限IおよびIIから光放射を受け取る。図9Bに示されているように、光スイッチ181が位置bにあるとき、放射源180は、象限IおよびIIではなく、送達ファイバ1122を通して象限IIIおよびIVを照明する。光スイッチは、プログラム可能な制御装置またはコンピュータ(図示せず)の制御の下で位置aと位置bとで切り換わるように成すことができる。次いで、収集ファイバ1131および1132が、図9Bに示されているように、象限IおよびIIではなく、象限IIIおよびIVから光放射を受け取る。したがって、この共有放射源構成は、内腔の複数の領域からデータを収集するときに、放射源、送達および収集ファイバ、ならびに検出器の数を減少することができる。別法として、複数の放射源180を使用して複数の送達ファイバ112に放射を送達することもできる。放射源180が、約750nm〜約2500nmの近赤外範囲内の1つ以上の波長でエネルギーを発生することが好ましい。また、放射源180は、任意選択で、約100nm〜約750nmの波長を含む可視範囲内で放射を提供してもよい。
【0161】
動作中、各送達ファイバ112は、放射源180によって出力された光放射を、送達ファイバ112の近位端から遠位端に伝送する。次いで、ファイバの遠位端で、光放射は、内腔壁にあるターゲット領域に誘導される。放射は、送達ファイバ112の遠位端から、バルーン111の内部の流体を通って、かつ内腔壁と接触するバルーン111の表面を通って伝播し、内腔壁のターゲット領域に入射する。
【0162】
光放射は、本明細書で開示される1つ以上の実施形態によれば、各送達ファイバ112の近位端から軸方向および/または半径方向にターゲット領域に誘導される。一実施形態では、送達ファイバ112は、コア管131およびバルーン111の長手方向軸に沿って、それらに平行に位置決めされる。放出される光放射は、各送達ファイバ112の遠位端の角度付きファイバ先端に取り付けられた光学構成要素に当たる。そのような光学構成要素は、送達ファイバ112のそれぞれの遠位端に一体化されたミラーまたは光反射器を含むことができる。別法として、光学構成要素は、送達ファイバ112の外部、ただし送達ファイバ112の遠位端の比較的近位、に配置して、光放射がカテーテル110から横方向、半径方向、または軸方向に出ることができるようにしてもよい。ファイバの外部にある光学構成要素は、例えば、ミラーまたは反射器の反射面角度を変えるために分光分析システム150によって制御してもよい。別法として、本明細書で詳述するいくつかの実施形態によれば、放出されて収集される放射は、送達ファイバ112から直接伝送し、収集ファイバ113によって直接受け取ることができる。
【0163】
本明細書で説明する例示実施形態では、光放射は、バルーン111を通して伝送され、分析すべき内腔壁にあるターゲット領域に当たり、内腔壁はバルーン111の外面に当接している。また、本明細書で説明する実施形態では、より広いまたはより狭い光放射ビームをターゲット区域に送達するように、へき開または研磨されたファイバ、ミラー、または光反射器の反射面を調節または整形することができ、それにより放射の面積を増加または減少させる。さらに、それに従って、複数の送達ファイバを、それぞれが特定のターゲット領域に光放射ビームを誘導させるように間隔を空けて配置することができ、このとき、複数の光放射ビームが複数のターゲット領域に当たる。ターゲット領域、例えば罹患領域は、より特定の領域に区画化することができ、それにより、より小さな罹患領域に関する追加の詳細情報を得ることができる。ここで、各ビームが、バルーンの表面を通過し、ターゲット領域の当該の区域、例えばターゲット領域の1つ以上の象限に当たる。別法として、それぞれの反射面を有する各ファイバは、送達ファイバの複数の光放射ビームが互いに重畳または交差し、それにより単一のターゲット領域に当たることを可能にするように構成することができる。
【0164】
反射された放射は、各収集ファイバ113の遠位端で収集され、近位端に向けて検出器170まで伝送される。検出器170は、受け取られた放射から、非常に正確な信号を発生する。分光分析システム150が、検出器から信号を受信し、信号を処理し、例えば血管壁のプラークの量またはタイプなど内腔性質を求めるためにシステムオペレータが使用することができるデータをもたらす。分光分析システム150は、収集ファイバの近位端に取り付けられ、処理された信号データを、ユーザ可読のテキストおよびグラフィックスの形式でディスプレイ151に出力する。
【0165】
分光分析システム150は、市販の分光計を使用することによって、従来の分光法、例えばラマン分光法を実施することができる。別法として、赤外および近赤外分光法、蛍光分光法、光コヒーレンス反射測定法、光コヒーレンストモグラフィ、または拡散反射近赤外分光法が実施されることもある。さらに、分光分析システム150は、任意選択で、放射源180および検出器170など器具100の様々な要素の制御および管理機能を行うことができる。例えば、分光分析システム150は、所定の波長または波長範囲および/または所要のパワーで光放射ビームを発生するように、放射源180を制御することができる。別の実施例では、分光分析システム150は、ファイバ先端と一体化された、またはファイバ先端の外部に提供されたミラーおよび反射器の角度を調節することができる。これは、バルーン表面での放射の面積を変更できるようにし、それによりターゲット領域の面積を増加または減少する。
【0166】
一実施形態では、内腔壁分析の前に、カテーテル110は、データを収集するように成すことができ、分光分析システム150は、データを処理し、対象組織からのデータなど、診断を実施するための関連データと、例えばバルーン111のスペクトル特徴に関するデータを含めた、診断の実施に関係しない他のデータとを区別するように成すことができる。そのような特徴は、例えば、バルーンのスペクトル強度、または膨張しているバルーンの拡張の領域、またはガイドワイヤおよび/またはステントの「影」、またはバルーン111内の流体のスペクトル強度を含むことがある。これらのスペクトル特徴は、受け取られる放射に干渉する危険があるが、この危険は、そのような特徴を補償する分光分析システム150によるデータ分析処置でのソフトウェアプログラムによって緩和することもでき、あるいはなくすこともできる。
【0167】
図3A〜3Fは、本発明の実施形態による、螺旋構成で配置された複数のファイバを有するカテーテルの拡大例示図である。図3A〜3Fにおいて、送達ファイバ112と収集ファイバ113とが、螺旋経路に沿ってコア管131に取り付けられ、等距離で互いから間隔を空けられ、したがってコア管131に取り付けられたファイバは互いに平行である。この方法では、ファイバ先端は、ファイバの螺旋構成により、コア管131の軸に関して角度を付けられる。この角度は、ファイバの螺旋湾曲の角度に応じて、0度(すなわち、コア管131の軸に平行)〜90度(すなわち、コア管131の軸に垂直)の範囲を取ることができる。光放射は、送達ファイバ112から、ある角度で内腔壁のターゲット領域に直接誘導される。この方法では、光放射は、追加の反射器を必要とせずに、内腔壁にあるターゲット領域から、角度を付けられた収集ファイバ113によって直接受け取ることができる。送達ファイバ112および収集ファイバ113からのそれぞれの放射角度は、同じであっても異なっていてもよい。
【0168】
図3Aは、本発明の実施形態による、螺旋構成で配置された複数のファイバを有する図2Aのカテーテル110の拡大例示図である。図3Bは、図3Aの断面線I−I'に沿って取られた図3Aのカテーテルの断面図である。この実施形態では、例えば2つの送達ファイバと2つの収集ファイバとを備える4つのファイバが採用される。2×n倍(2n)の任意の数のファイバを、光放射の送達および受取りのために螺旋構成で配置することができる。ここでnは、少なくとも1に等しい整数(1、2、3など)である。n個の送達ファイバが光放射を送達することができ、n個の収集ファイバが光放射を受け取ることができる。この方法では、追加の送達ファイバは、送達される光放射をより大きなターゲット領域または複数のターゲット領域が受け取ることができるようにし、追加の収集ファイバは、1つ以上のターゲット領域から、反射された光放射のより大きな窓を受け取る。他の実施形態では、奇数個の送達または収集ファイバを使用することができる。送達および収集ファイバの数は、所望の用途に応じて、同じであっても異なっていてもよい。
【0169】
図3A〜3Bの例示実施形態では、2つの送達ファイバ112と2つの収集ファイバ113とが、例えば糊または接着剤を使用してコア管131の外面に取り付けられる。ファイバ112、113は、コア管131の周りで螺旋経路に沿って形成される。螺旋経路は、コア管131の周りで30〜180度の範囲の回転角度で形成される。この方法では、送達ファイバ112は、360度範囲で内腔壁に沿った任意の位置にあるターゲット領域に光放射を誘導することができる。例えば、360度範囲を有する内腔壁の部分は、90度区域、すなわち象限に区画化することができる。したがって、送達ファイバ112および収集ファイバ113は、共同で、内腔壁の任意の象限からデータを獲得できるようにすることができる。
【0170】
図3Cは、螺旋構成で配置された4つのファイバを有する図3Aのカテーテル110の拡大例示図であり、ここでファイバは、本発明の実施形態に従って、螺旋に沿ってコア管の周りで角度方向に延在するように形成されている。具体的には、2つの送達ファイバ112と2つの収集ファイバ113とが、コア管131の外面に取り付けられ、コア管131の周りで角回転を受ける。平坦面(flat-faced)ファイバ出力を仮定して、この実施例では最大で約90度の最大光反射角度を実現することができる。光反射角度が大きくなるほどは、流体で充填されたバルーン111内の送達チャネルと収集チャネル両方の光放射経路が短くなり、それにより、流体で充填されたバルーン111内の光放射のエネルギー損失が減少される。
【0171】
図3Dは、螺旋構成で配置された4つのファイバを有する図3Aのカテーテル110の拡大例示図であり、ここでファイバは、本発明の実施形態に従って、螺旋状に配置されるように形成される。具体的には、ファイバ112、113が、コア管131の外面に取り付けられ、コア管131の周りで角回転を受ける。螺旋経路は、送達ファイバ112と収集ファイバ113との先端の間でコア管131の長手方向軸に沿った所望の離隔距離dを得ることができるように間隔を空けられて位置決めされる。ファイバ離隔距離dは、ターゲット壁のどの(1つ以上の)層からデータが収集されるかを決定するのに重要である。例えば、ファイバ離隔距離dが大きくなるほどは、ターゲット壁のより深い層内でデータを収集できるようにする。
【0172】
図3Eおよび3Fは、螺旋構成で配置された4つのファイバを有する図3Aのカテーテル110の拡大例示図であり、ここでファイバは、コア管131の周りで角回転を受けるように形成され、ファイバ112、113は、送達/収集ファイバ離隔距離dだけ長手方向で離隔され、かつ半径方向で離隔される。これらの2つの実施形態は、異なるファイバ配置を使用したファイバ離隔距離dを例示する。最適なdは、ターゲット壁の層の所定の深さまたは位置から最適な信号を収集するために予め決定することができる。最適なdは、光線軌跡アルゴリズム、実験データを使用して、および/またはモンテカルロ法などのシミュレーション技法を使用して計算することができる。いくつかある因子の中でもとりわけ、(1つ以上の)ファイバ、(1つ以上の)放射源、(1つ以上の)検出器、放射、バルーン媒体、およびバルーン材料のタイプが、dと信号の組織深さとがどのように相関するかを決定する。
【0173】
図4は、本発明の実施形態による、血管形成術用バルーンによって取り囲まれるコア管に取り付けられた4つのファイバを含むカテーテルの遠位部分の例示実施形態である。図4で、バルーン111は、コア管131の遠位端の近くに装着され、コア管131の遠位端を同軸に取り囲む。図5は、本発明の実施形態による、バルーン111の領域内のカテーテル110の遠位部分のみに限定された短縮されたガイドワイヤシース231に取り付けられた4つのファイバを含む例示カテーテル実施形態の拡大例示図である。図5の実施形態では、伝送および収集ファイバ112、113と、移送管218とは、可撓性シースまたはジャケットを備えるカテーテル管(図示せず)内に閉じ込めることができ、可撓性シースまたはジャケットが、カテーテルの本体にあるファイバ112、113および移送管218を取り囲む。バルーン111は、ファイバ112、113の遠位端と、短縮されたガイドワイヤシース231の一部分とを同軸に取り囲み、バルーン111の第1および第2の端部でガイドワイヤシースに封着される。この方法では、ガイドワイヤ管腔230の遠位端がバルーン111を越えて延在し、したがって、バルーンカテーテルの位置決めに先立って、ガイドワイヤを、ガイドワイヤ管腔230を通して、かつ体腔を通して、ターゲット領域まで通すことができる。その後、バルーンカテーテルを、従来の血管形成術処置に従ってガイドワイヤをたどることによってターゲット領域に挿入および位置決めすることができる。短縮されたガイドワイヤシース231は、カテーテルの本体でのガイドワイヤシースがなくされ、より大きなカテーテル可撓性をもたらすという点で有益である。
【0174】
図6Aは、本発明の実施形態による、可動ファイバホルダ133に取り付けられた複数のファイバを有する図2Aのカテーテルの拡大例示図である。図6Bは、図6Aの断面線I−I'に沿って取られた図6Aのカテーテルの断面図である。図6A〜6Bで、可動ファイバホルダ133は、コア管131の周りに位置決めされ、コア管131と同軸である。送達および収集ファイバ112、113は、ファイバホルダ133に形成された溝1120内に位置決めされ、結合剤を使用してそこに接合される。可動ファイバホルダ133およびファイバ112、113は、ファイバ112および113の近位端を前進、後退、および回転させることによって、コア管の長手方向軸に沿って前進および/または後退させることができ、および/またはコア管131の軸の周りで回転させることができ、ここでファイバの遠位端はファイバホルダ133に取り付けられている。ファイバホルダ133と、取り付けられたファイバとの前進および/または後退は、カテーテル110を移動させる必要なく、ターゲット領域内のある範囲の位置にわたって分析を実施できるようにする。ここでカテーテル110は通常、血管形成術処置または他の療法中、拡張されたバルーン111によって定位に固定されている。この方法では、送達ファイバ112および収集ファイバ113の回転は、内腔壁の360°区域に沿った任意の領域からデータを受け取ることができるようにし、長手方向の前進および後退は、内腔壁に沿ったある範囲の位置での分析を可能にする。
【0175】
ファイバホルダ133は、ステンレス鋼、合金鋼、および金など、ステントで一般に使用される材料と同様の材料から形成することができる。例示される実施形態では、ファイバ112、113の遠位端は、ある角度で、例えば長手方向軸に関して45度でへき開および/または研磨される。この実施形態では、光放射は、送達ファイバ112の先端からある角度で部分反射または全反射され、それにより光放射は、送達ファイバ112の側壁または送達窓を通って送達ファイバ112から半径方向に出る。これは、例えば図11Aを参照して以下にさらに詳細に説明する。
【0176】
図6C〜6Dは、本発明による別のファイバ保持構成を例示する。ファイバ保持リング210が、穴215を含み、穴215内にファイバ112および113が保持される。保持リング210とそれらの内部のファイバとは、結合剤205を使用して、図示されているように定位に装着することができ、あるいは別法として、摺動または回転することを許され、前述したのと同様に、長手方向ファイバ先端位置決めに関する制御を提供する。ファイバは、例えば結合剤を使用して保持リング215に装着することができる。一体として、リング210とファイバ112、113とは、結合剤205を使用してコア管131に接合することができ、あるいはコア管131に関して摺動または回転するように成すことができ、上述したようにファイバ先端位置決めに関する制御を提供する。
【0177】
図7Aは、本発明の実施形態による、着脱可能ファイバホルダ133に取り付けられ、螺旋構成で配置された複数のファイバを有するカテーテル実施形態の拡大例示図である。図7Bは、図7Aの断面線I−I'に沿って取られた図7Aのカテーテルの断面図である。
【0178】
図7A〜7Bの例示実施形態では、ファイバ112、113がファイバホルダ133に装着され、ここでファイバホルダ133は、ファイバ112、113を螺旋状に湾曲した姿勢で案内するように螺旋経路に沿って形成された溝1120を備える。一実施形態では、螺旋経路は、ファイバホルダ133の周りでの角回転の角度を30〜180度の範囲、またはそれよりも大きくして形成される。この方法では、送達ファイバ112は、360度区域に沿って内腔壁に沿った任意の位置にあるターゲット領域に光放射を誘導することができる。
【0179】
図7Aおよび7Bの例示実施例では、ファイバ112、113の遠位端は、角度方向または半径方向で離隔される。ある実施形態では、それぞれのファイバの遠位端が、外に向かう角度で湾曲され、それにより各ファイバの先端は、ファイバホルダ133から離れるように誘導され、このとき、送達ファイバの遠位端は、光放射を軸方向でターゲット領域に誘導することができる。別の実施形態では、ファイバ先端は、ある角度でへき開(切断)され、このとき、光放射は、送達ファイバ112から半径方向に出て、放射は、それぞれの送達ファイバまたは収集ファイバの側壁または送達窓を通って、収集ファイバ113によって受け取られる。
【0180】
図7C〜7Fは、本発明の実施形態による、螺旋状に配置されたファイバのためのファイバ保持構成を例示する。この実施形態では、送達および収集ファイバ112、113は、例えば図6C〜6Dと関連して上に例示したタイプの第1のファイバ保持リング210に通して位置決めされ、例えば結合剤205、または万力(図示せず)などの一時保持機構を使用して定位に維持される。ファイバ112および113が比較的直線状の姿勢である状態で、第2のファイバ保持リング230が、ファイバ112、113の端部が穴235を通って突出するようにコア管131に位置決めされる。第2のファイバ保持リング230は、角度を付けられた長円形状の穴235を有し、穴235内で、螺旋状に配置されたファイバ112および113は、コア管131の長軸に関してある角度aで所定位置に保持される。図7E〜7Gを参照すると、軌跡線232が、角度aでリング230を通過する穴235の概して側面図での外形を表す。次いで、第2の保持リング230は、矢印212に従って、同時に、回転され、かつカテーテル131に沿って長手方向に移動され、それによりファイバ112および113の端部が螺旋形状を成す。ファイバ112および113の位置決めと、角度aとは、カテーテルの周りで所定の光送達および収集パターンを生成するように適合されるようにしてもよい。保持リング230を所定位置に固定するために、結合剤205を適用することができる。別法として、第1および第2の保持リング210、230の間にブレース(支持具)(図示せず)を装着することもでき、螺旋構成を保つと共に、任意選択で、ファイバ構成がカテーテル131の周りで摺動および回転できるようにする。
【0181】
図7E〜7Gを参照すると、幅0.08mmのファイバに関する実施形態は、0.1mmの主軸長242と、約0.85mmの短軸長とを有する概して楕円の形状を有する穴235を含む。リング230は、約0.99mmの外径240と、約0.62mmの内径236とを有することができる。適合形態は、約75〜85度の間の角度aを含む。追加の実施形態は、同じカテーテル内部に異なるサイズのファイバ(例えば、幅0.08mmの送達ファイバと、幅0.140mmの収集ファイバ)を組み込むために、異なる寸法のファイバ穴を有するように第2の保持リング230を適合させることがある。
【0182】
図8Aは、可動ファイバホルダ133に取り付けられ、カテーテルシース138によって取り囲まれた複数のファイバを含むカテーテルの実施形態の例示図である。図8Bは、図8Aの断面線I−I'に沿って取られた図8Aのカテーテルの断面図である。図8A〜8Bで、ファイバ112、113は、ファイバホルダ133に形成された溝1120に装着され、溝1120は、ファイバホルダ133の周りで螺旋経路に沿って形成される。様々な実施形態で、螺旋経路は、ファイバホルダ133およびコア管131の周りで30〜180度の範囲の回転角度で形成される。螺旋回転の他の角度も、本発明の実施形態に同様に適用可能である。一実施形態では、ファイバホルダ133と、取り付けられたファイバ112、113とが、カテーテルシース138内部に位置決めされる。この方法では、カテーテルシース138は、固定されたまま、すなわち静止したままであり、一方、ファイバホルダ133は、コア管131の長手方向軸Aの周りで回転し、かつコア管131の長手方向軸Aに沿ってバルーン111内部で前進および/または後退される。したがって、回転するこの実施形態の構成要素は、患者の内腔壁に対して直接には回転していない。
【0183】
上述したのと同じ方法で、この実施形態では、コア管131と、ファイバ112、113と、ファイバホルダ133と、バルーン111と、カテーテルシース138とが、長手方向軸Aに沿って向けられ、ファイバホルダ133は、バルーン111および内腔壁に関して長手方向軸Aに沿って並進可能である。この方法では、内腔のターゲット領域のスペクトル測定は、長手方向軸Aの長さに沿った並進の範囲と、長手方向軸Aの周りでの約360度の回転との領域内で測定することができる。
【0184】
図8C〜8Eは、本発明の他の実施形態による、螺旋構成でファイバホルダに取り付けられた複数のファイバを有する図8Aのカテーテルの拡大例示図である。
【0185】
図8Cの実施形態では、ファイバ112、113は、螺旋に沿って角回転を受ける。具体的には、ファイバ112、113は、例えばファイバホルダ130に形成された溝に沿ってファイバホルダ133に取り付けられ、ファイバホルダ133の周りで約30〜180度の角回転を受ける。螺旋経路は、ファイバ112、113が長手方向で所定の距離dだけ離隔され、角度方向で位置合わせされるように形成される。この方法では、送達ファイバ112は、内腔壁の2つの象限、すなわち180度に光放射を送達することができ、収集ファイバ113は、内腔壁の2つの象限から光放射を受け取ることができる。ファイバホルダ133と、関連のファイバ112、113とは、図8Aに例示されるファイバホルダと同様の方法で、コア管の本体の周りで自由に回転する。
【0186】
図8Dの実施形態は、この実施形態では単一の送達ファイバ112と単一の収集ファイバ113とが採用されることを除いて、上の図8Aおよび図8Bの実施形態と同様である。この実施形態では、送達ファイバと収集ファイバとの先端は、長手方向でずらされ、かつ角度方向でずらされる。
【0187】
図8Eの実施形態は、上の図8Dの実施形態と同様であり、ただし、この実施例では、送達および収集ファイバ112、113の先端は、長手方向ではずらされているが、角度方向ではずらされていない。
【0188】
図9Aは、体腔の第1および第2の象限に関する光学的分析を実施するプロセスにおけるカテーテルの実施形態の断面を例示する概略図であり、図9Bは、本発明の実施形態による、体腔の第3および第4の象限に関する光学的分析の実施を例示する概略図である。この実施例では、カテーテルは定位に配置され、バルーンは、内腔壁160に接するように拡張され、血液の流れが内腔を通って分析に干渉するのを実質的に阻止する。本発明の実施形態では、内腔の伸張および拡張は、例えば血管形成術の方法のように、治療的なものである。拡張および伸張は、拡張された領域内への後続のステント送達のための準備(事前開拡処置として)であってよく、ステントの配置を容易にして最適化し、内腔に対するステントの留着を保証する。
【0189】
バルーンが、内腔を治療的に拡張することが可能なものであるという意味で、本明細書では、このバルーンを「内腔拡張」バルーンと呼ぶ。本明細書で使用する際、内腔の「治療的な拡張」は、単なる内腔壁でのバルーンの係留、または内腔内の血流の妨害もしくは阻止以上のことを表し、さらに、血管形成術処置の場合と同様に、内腔の直径または断面積を増大するように内腔組織を実際に拡張、開拡、または伸張することも表す。
【0190】
この実施形態では、放射源180は、光スイッチ181に結合され、光スイッチ181はさらに、第1の送達ファイバ1121および第2の送達ファイバ1122に結合される。第1の検出器171が、第1の収集ファイバ1131に結合され、第2の検出器172が、第2の収集ファイバ1132に結合される。この実施例では、内腔壁160は、第1の象限Iと、第2の象限IIと、第3の象限IIIと第4の象限IVとに区画化される。追加の光源、収集ファイバ、または検出器を必要とせずに、追加の光スイッチを使用して、第3および第4の象限に関する光学的分析を行うことができる。
【0191】
図9Aの実施例では、光スイッチ181は第1の位置にあり、このとき放射源180は、光放射を第1の送達ファイバ1121に提供する。第1の送達ファイバ1121は、光放射を、内腔壁160のターゲット領域に誘導する。図9Aに図示されるターゲット領域は、第1の象限Iおよび第2の象限IIによって定義される。第1の収集ファイバ1131は、内腔壁160の第1の象限Iから、反射された光放射を受け取り、第2の収集ファイバ1132は、内腔壁160の第2の象限IIから、反射された光放射を受け取る。収集ファイバ1131、1132は、反射された光放射を、内腔壁160からバルーン(図示せず)を通して受け取ることができる。第1および第2の収集ファイバ1131、1132は、第1および第2の象限から受け取られた反射された光放射を、それぞれ第1の検出器171および第2の検出器172に伝送する。
【0192】
図9Bの実施例では、光スイッチ181は第2の位置にあり、このとき放射源180は、光放射を第2の送達ファイバ1122に提供する。第2の送達ファイバ1122は、光放射を、内腔壁160のターゲット領域に誘導し、ターゲット領域は、この実施例では、第3の象限IIIおよび第4の象限IVによって定義される。第1の収集ファイバ1131は、内腔壁160の第4の象限IVから、反射された光放射を受け取り、第2の収集ファイバ1132は、内腔壁160の第3の象限IIIから、反射された光放射を受け取る。第1および第2の収集ファイバ1131、1132は、第3および第4の象限から受け取られた反射された光放射を、それぞれ第1の検出器171および第2の検出器172に伝送する。
【0193】
この方法では、図9A〜9Bに図示されているように、検出器171、172は、全ての象限から非常に正確な信号データを捕捉し、その結果、光放射を発生するために単一の光源180を使用して内腔壁の360度区域に関してスペクトル特徴を測定することができる。
【0194】
図10Aおよび10Bは、4ファイバカテーテル構成300を図示し、側面から見た光放出および収集経路のサンプル光線軌跡を含む。ファイバ112、113は、体腔(図示せず)の内面と接触するバルーン111の表面の窓にわたって、窓を通して放射310を投射および収集するように設計されて配置される。窓は、概略的に言えば、バルーン111の「肘」部分315同士の間、バルーン111の円周にわたって、延在する。ファイバ113の開口数(NA)および先端の研磨角度は、所望の窓が実現されるように、(拡張された)バルーンの形状およびサイズに適合されるようにしてもよい。上で言及した高いNAのグレーデッドインデックスファイバが好ましい。
【0195】
図10Cおよび10Dを参照すると、別の実施形態では、カテーテル320のファイバ112の受取りおよび収集のための端部は、バルーン111の近位端の内部に配設される。この実施形態は、ステント(図示せず)を、下にあるファイバ112なしでバルーン111の一部分の周りに圧着できるようにし、したがって、圧着されるステントの直径を減少して、より簡単に内腔を通過できるようにする。ファイバ112は、光線軌跡310によって概略的に示されているように、バルーン111の表面にわたる光分散を提供するように構成される。
【0196】
図10E〜10Gを参照すると、別の実施形態では、ファイバ112に関して、単一の円錐セグメント反射器要素340が、カテーテルコア管331の周りに位置決めされる。反射器340は、研磨された表面342を有するステンレス鋼などの反射材料を備えていてもよい。別法として、反射器340は、プラスチックなど複合材料を備えていてもよく、これは後で、金などの反射材料で被覆される。ファイバ112の開口数に加えて、反射器340の角度352を選択することもでき、コア342に対するファイバ112の位置350および355は、軌跡310によって概略的に表されるように、放射が所定のパターンでバルーン111の表面にわたって投射されるように変えることができる。さらに図10Hを参照すると、別の実施形態では、複数の反射ファセット(小面)347を含む多面反射要素345が提供される。ファセット347は、互いに同様の、または互いに異なる平坦または湾曲形状で形成することができ、カテーテルの周りでの放出および収集経路をさらに画定する。反射器に対するファイバ112の位置決めに関する制御を提供するために、本発明の詳細な説明の他の実施形態に示されるようなファイバホルダまたは螺旋構成を採用することができる。また、図10Eおよび10Hの実施形態では、送達および収集ファイバ112、113は、コア管331の流体移送管腔116内部に配置され、流体移送管腔116は、バルーン111に入ると終端する。この実施例では、ガイドワイヤシース130が、内腔116に近接して、そして内腔116を越えて延在し、カテーテル331の端部につながる。
【0197】
図10Iは、図10Hの多面反射器の実施形態のクローズアップ斜視図である。この実施形態では、反射器本体730が、複数のファセット722を含む。遮光カラム724が、ファセット722間に設けられていてもよく、放射が最初にターゲット区域内の組織に入射せずに、送達ファイバと収集ファイバとの間で偶然に伝送されるのを防止する。ファセット722は、例えば、ファセットが送達ファイバと関連付けられるか、または収集ファイバと関連付けられるかに応じて、異なる長さまたは幅を有するようにサイズ設定または整形することができる。例えば、送達ファイバに関して指定されるファセット722は、収集ファイバに関して指定すべきファセット722に関する幅(すなわち、幅732)よりも小さい幅(すなわち、幅733)を有することができる。例えば、より大きなサイズのファセットは、収集される光の量を増加するために収集ファイバと関連付けるのに適当であることがある。反射器本体730は、反射器本体730をコア管331に取り付けるために、コア管331が中に配置される開口731を含む。別法として、ファセット722を有する反射器730を、コア管331と一体に形成することができる。一実施形態では、反射器本体730は、ファイバホルダ、例えば図6Cに関連して上述したタイプのファイバホルダ210に接続させる、および/またはファイバホルダと位置合わせさせることができる。ファイバホルダ210は、反射器730の様々な対応するファセットと位置合わせしてファイバを維持するように動作する。
【0198】
図10Jは、本発明の実施形態による、6つのファイバを含み、体腔に関する光学的分析を行うカテーテル実施形態の断面図である。この実施形態では、第1および第2の送達ファイバ1121、1122と収集ファイバ1131〜1134とが、コア管131に取り付けられる。代替実施形態では、第1および第2の送達ファイバ1121、1122と収集ファイバ1131〜1134とは、本明細書に例示して説明したように、コア管131に装着されたファイバホルダに取り付けることができる。第1の送達ファイバ1121は、内腔壁160のターゲット領域の第1の象限Iおよび第2の象限IIに光放射を誘導する。第4の収集ファイバ1134が、内腔壁の第1の象限Iから、反射された光放射を受け取り、第3の収集ファイバ1133が、第2の象限IIから、反射された光放射を受け取る。第3および第4の収集ファイバ1133、1134は、第1および第2の象限から受け取られた反射された光放射を、それぞれの検出器(図示せず)に伝送する。
【0199】
さらに、第2の送達ファイバ1122は、内腔壁160のターゲット領域の第3の象限IIIおよび第4の象限IVに光放射を誘導する。第1の収集ファイバ1131が、内腔壁の第4の象限IVから、反射された光放射を受け取り、第2の収集ファイバ1132が、第3の象限IIIから、反射された光放射を受け取る。第1および第2の収集ファイバ1131、1132は、第3および第4の象限から受け取られた反射された光放射を検出器(図示せず)に伝送する。
【0200】
ファイバは、第1の送達ファイバ1121が第3および第4の収集ファイバ1133、1134それぞれから距離dだけ離隔され、第2の送達ファイバ1122が第1および第2の収集ファイバ1131、1132それぞれから距離dだけ離隔されるように、互いに関して位置決めされる。送達/収集ファイバ離隔距離とも呼ばれるこの距離dは、収集ファイバ113によって収集される内腔壁への光の経路の深さの決定に一部関わるものである。組織を通る進行経路が長くなるとき信号が弱まることがあるが、より大きなファイバ離隔距離は、内腔壁160内のより深くの組織に関するより多くの情報を提供する。
【0201】
図11Aは、本発明の実施形態による、塗布された金属反射コーティング123を有する斜めの研磨端部を有する角度付き先端122と、光学窓124とを含むファイバの例示図である(「サイドファイア(side-fire)」構成として知られている)。図11Bは、図11Aの断面線I−I'に沿って取られた図11Aの器具の断面図である。図11Aおよび11Bの実施例では、へき開された先端の領域内でのファイバクラッド127が除去されて、ファイバの側壁に送達または収集窓124を提供し、半径方向に誘導された光放射がその窓124を通過することができる。コーティング123は、光放射がファイバ122の長手方向軸に沿ってファイバ122の先端を通過するのを防止し、送達/収集窓124を通ってファイバ122の側部または本体壁から半径方向または横方向に出るように光放射を誘導する。ファイバ122は、送達ファイバとして動作可能であり、このとき、放射源からの長手方向に誘導された光放射が斜面に入射し、半径方向に反射されて送達窓124を通る。ファイバはまた、収集ファイバとしても動作可能であり、反射された光放射を収集窓124を通して受け取り、この光放射が、金属反射コーティング123によって反射されて、収集ファイバの近位端に向けて長手方向に誘導される。
【0202】
図11Cは、本発明の実施形態による斜角ファイバ先端122の例示図である。図11Cでは、ファイバ122のジャケットおよびクラッド127の一部分がファイバ122の先端から除去され、ファイバコア125を露出する。露出されたファイバコア125を取り囲むように、円筒形の光学窓をファイバ先端122に装着することができる。この方法では、光放射は、送達ファイバに関しては、光学窓を通ってファイバコアから外方向に放射し、または放射は、収集ファイバに関しては、光学窓によって受け取られる。
【0203】
図11Dは、本発明の実施形態による、透明カプセルを含むファイバの端部の例示図である。図11Dに例示されているように、透明カプセル134が、光ファイバ122の斜角先端に装着される。カプセル134は、液体、気体、またはファイバの外部にある他の材料がファイバ先端122と直接接触しないように、ファイバ先端122に封着される。環境大気、または他の気体もしくは流体を、カプセル内部に閉じ込めることができる。この方法では、透明カプセル134は、ファイバが処置中に流体内に浸漬されているにも関わらず、ターゲット領域への光放射の伝送中に、ファイバの斜角先端の界面で正確な屈折率の変化を保つことが可能である。屈折率の変化は、斜角先端の領域内での光の適切な内部反射を保証する。さらに、ジャケットおよびクラッド127の一部分がファイバ122の先端から除去され、ファイバコア125を露出する。透明カプセル134は、露出されたファイバコア125の周りに装着される。一実施形態では、金属反射コーティングがファイバ先端122に塗布されず、したがって、送達ファイバから放出される放射は、軸方向または半径方向でターゲット領域に誘導されることがあり、あるいは、収集ファイバによって受け取られる放射は、軸方向または半径方向でターゲット領域から受け取られることがある。透明カプセルは、ガラス、シリカ、テフロン(登録商標)、またはポリイミドなど光学的に適した材料から構成することができる。
【0204】
図12は、別の実施形態による、光エネルギーの送達、収集、または送達および収集のために採用することができる二重クラッド光ファイバ812の斜視図である。この実施形態では、二重クラッド光ファイバ812が送達ファイバと収集ファイバとの両方の機能を提供するので、別々の送達ファイバと収集ファイバとが必要ない。二重クラッドファイバ812は、保護緩衝体824内に閉じ込められた一次コア821と、二次コア822と、クラッド823とを備える。光放射は、一次コア821を通して二重クラッドファイバの近位端から遠位端に伝送され、そこで光放射は遠位端から出る。反射された光放射は、ファイバ812の遠位端で二次コア822によって収集されることがあり、このとき二次コア822は、反射されて収集された光放射をファイバ812を通して近位端に伝送し、そこで検出器(図示せず)が、反射された光放射を受け取る。二次コア822は、好ましくは、一次コア821とクラッド823との間に挿間される。また、二重クラッドファイバは、その遠位端で2つの個々のファイバに分離することもでき、上述したように送達ファイバ112と収集ファイバ113との機能を行うことができる。
【0205】
図13Aは、本発明の別の実施形態による、拡散ヘッド415を有する送達ファイバ112を含むバルーンカテーテル400の例示図である。図13Bは、本発明による、図13Aの断面線I−I'に沿って取られた図13Aの器具の断面図である。図13Aおよび13Bの例示実施例では、拡散ヘッド415が、送達ファイバ112の遠位端に取り付けられる。少なくとも1つの収集ファイバ113が、送達ファイバ112と並置され、送達ファイバ112に平行に配置される。光放射は、放射源(図示せず)によって、送達ファイバ112の近位端から、遠位端にある拡散ヘッド415に伝送されるので、1つ以上の収集ファイバ113が、内腔壁からの反射された光放射を任意の方向で受け取るように配置されることが好ましい。光放射は、拡散ヘッド415から外方向に、内腔壁に向かって全方向で放射する。
【0206】
バルーン111は、送達ファイバ112および収集ファイバ113の遠位端と、コア管131の一部分とを取り囲む。この方法では、バルーン111の内面は、光放射によって360度範囲で照明されてもよい。拡散ヘッド415が全方向に光放射を出力するので、かつコア管131が光放射の一部の経路内にあるので、コア管131は、吸収材料から構成されることが好ましく、これは、内腔壁にあるターゲット領域によって受け取られるように意図された光放射と干渉するかもしれない任意の光放射がガイドワイヤシースに当たる危険を低減する。受け取られた放射におけるガイドワイヤシースによって引き起こされた「影」は、その影響を打ち消すデータ分析処置でのソフトウェアプログラムによって、背景としてなくすことができる。
【0207】
図13Cは、本発明の実施形態による、反射器228と散乱粒子226とを有する図13Aの送達ファイバの拡大例示図である。散乱粒子226は、コア222の出口で送達ファイバ112の先端に置かれ、送達ファイバ112の軸に沿った均一な光放射を可能にし、送達ファイバ112の軸から外れるように光放射を反射して反射窓224を通して内腔壁を照明する。散乱粒子226の端部にある反射器228は、散乱粒子226を集中させ、それにより軸方向での光放射を遮る。反射窓224は、ポリマー、シリカ、およびガラスなど高い透過性の材料から構成することができる。
【0208】
図13Dは、本発明の別の実施形態による拡散器225を有する図13Aの送達ファイバの拡大例示図である。拡散器225は、送達ファイバ112の遠位端に配置され、送達ファイバ112から半径方向に光放射を拡散することができ、均質な360°半径領域の照明を内腔壁に提供する。反射窓224は、ファイバシース227から延在し、拡散器225を含み、それにより光放射を拡散器225から伝送させる。
【0209】
図14Aは、本発明の実施形態による、長手方向軸に沿って配置されたガイドワイヤシース531と送達ファイバ512とを含むバルーンカテーテル500の例示図である。図14Bは、図14Aの断面線I−I'に沿って取られた図14Aの器具の断面図である。図14Cは、図14Aの断面線II−II'に沿って取られた図14Aの器具の断面図である。図14Aおよび14Cに図示されているように、送達ファイバ512は、コア管131の内部に配置される。さらに、1つ以上の収集ファイバ513が、コア管131の外面に装着される。この方法では、光放射は、コア管131内部で送達ファイバ512の経路に沿って伝送される。一実施形態では、拡散ヘッド、例えば図13C〜13Dに例示されるタイプの拡散ヘッドが、送達ファイバ512の遠位端に配置される。図14Bに図示されているように、光放射は、コア管131内部に配置されたファイバ512の端部にある拡散ヘッドから出ることができる。バルーン511の遠位端でのコア管131の第2の部分は、ガイドワイヤシース531およびガイドワイヤポート534を含み、それによりガイドワイヤ(図示せず)をガイドワイヤシース531内に挿入することができる。
【0210】
拡散ヘッドを含む送達ファイバ512を有するコア管131の第1の部分と、ガイドワイヤシース531およびガイドワイヤポート534を有するコア管131の第2の部分とは共に、長手方向軸に沿って配置される。上に例示した実施形態では、コア管131は、プラスチック、または光伝送のための他の適切な媒体から構成することができる。図14A〜14Bに例示される実施形態では、コア管131は、光伝送に適さない材料から構成することもでき、このとき、送達ファイバ512の端部にある拡散ヘッドにてコア管131の一部分を除去して光学窓を形成することができる。この実施形態では、収集ファイバ513は、コア管131の第1の部分に装着され、各収集ファイバ513が、内腔壁から、反射された光放射を受け取る。バルーン511の外側に配置されたガイドワイヤとの干渉によって引き起こされた「影」が、受け取られた放射に含まれることがあり、これはさらに、不正確な結果を引き起こすことがある。しかし、放射のこの部分は、影の影響を打ち消すデータ分析処置でのソフトウェアプログラムによってなくすことができる。
【0211】
図15Aは、本発明の実施形態による、本明細書で説明するバルーンカテーテルと形態が同様のステント送達カテーテル610と、ステント620とを備える、ステント送達のために使用される器具600の例示側面図である。図15Bは、本発明による、図15Aの断面線I−I'に沿って取られた図15Aの器具600の断面図である。ステント挿入を含む血管形成術処置などの医学的処置では、図15Aに例示されるカテーテル610は、体腔に挿入されて、治療すべき体腔の領域に位置決めされる。バルーンを拡張することによってステント620が所定位置に挿入された後、ステント留置された内腔壁のスペクトル特徴に関係するデータが、光ファイバを通して収集される。この方法では、図15A〜15Bに例示されるカテーテル610は、ステント送達システムとして使用することもでき、内腔に対してステント挿入を行い、かつ内腔壁のスペクトル測定を行い、両方の処置が、内腔ターゲット領域からカテーテル610を取り外す必要なく行われる。器具600は、内腔壁がステント処置された後に内腔壁からスペクトルを獲得することができる。受け取られた放射における、ステント620によって干渉された「影」は、影の影響を打ち消すデータ分析処置でのソフトウェアプログラムによって、背景としてなくすことができる。
【0212】
図16Aは、本発明の実施形態による、バルーン111の外面に近接する送達ファイバおよび収集ファイバを含むカテーテル実施形態の例示図である。図16Bは、図16Aの断面線I−I'に沿って取られた図16Aのカテーテルの断面図である。ある実施形態では、送達ファイバ112および収集ファイバ113は、バルーン111の外面に装着または成形される。送達ファイバ112および収集ファイバ113は、膨張したバルーン111によって内腔壁(図示せず)に対して押圧される。バルーン111は、ガイドワイヤ管腔130の遠位端付近でガイドワイヤ管腔130の一部分を同軸に取り囲む。この方法では、光放射は、軸方向または半径方向でターゲット領域に誘導することができる。この実施形態では、バルーン表面も、膨張したバルーン内の液体も、伝送される光放射の経路内にない。ファイバ112、113の遠位端がバルーン111の膨張中に外方向に拡げられるので、制限リング118がファイバの周りに配置され、ガイドワイヤ管腔130に接するようにファイバを維持する。
【0213】
図17Aは、本発明の実施形態による、バルーン111の内面に装着または成形された送達ファイバおよび収集ファイバを含むカテーテル実施形態のクローズアップ例示図である。図17Bは、図17Aの断面線I−I'に沿って取られた図17Aのカテーテルの断面図である。送達ファイバ112および収集ファイバ113は、生体適合性紫外線硬化接着剤(biocompatible ultraviolet glue)、組織接着剤(tissue adhesive)、またはエポキシなどの接着剤119によってバルーン111の内面に装着または成形される。この実施形態では、光放射は、バルーン表面を通過することによって、軸方向または半径方向でターゲット領域に誘導されるが、この光放射は、膨張しているバルーン内に含まれている流体を通らないように伝送されるか、または最小限にしか通らないように伝送される。
【0214】
図18Aは、本発明による、ファイバアセンブリを螺旋状に湾曲させるための湾曲デバイスの例示図である。図18Bは、図18Aの断面線I−I'に沿って取られた図18Aの器具の断面図である。図18Cは、図18Aの断面線II−II'に沿って取られた図18Aの器具の断面図である。図18Dは、図18Aの断面線III−III'に沿って取られた図18Aの器具の断面図である。
【0215】
図18A〜18Dで、湾曲デバイスは、本明細書で様々な実施形態で例示したように、光放射のビームを内腔壁のターゲット領域に送達することができるように、または内腔壁のターゲット領域から収集することができるように、ファイバアセンブリ内で各ファイバを螺旋状に湾曲させる。このデバイスは、ファイバがコア管、例えば図2Aのコア管131、またはファイバホルダ、例えば図6Aのファイバホルダ133に取り付けられる前に、送達および収集ファイバ712の両方を熱源(図示せず)によって特定の角度で螺旋状に湾曲できるようにする。デバイスは、2つのファイバ係止(ロック)リング701、702と、溝706を有する溝付き管703と、金属コア705と、回転管704とを含む。ファイバを螺旋状に湾曲させるためのデバイスに1つ以上のファイバが取り付けられる前に、1つ以上のファイバ712の遠位部分での外側ジャケットが剥離される。ファイバ712は、ファイバ係止リング701、702を通して、金属コア705および溝付き管703に沿って挿入される。ファイバの先端は、図18Dに示されているように回転管704の対面する断面に配置された浅い穴707内に挿入され、したがって(螺旋状に整形すべき)ファイバの剥離部分が、溝付き管703と回転管704との間に延在する(703から704まで延びている)。ファイバは、溝付き管703の表面に沿って形成された溝/スロット706に配置される。ファイバ係止リング701およびファイバ係止リング702は、それぞれ図18Bおよび18Dに示されているように、係止位置で配置される。2つのファイバ係止リング701、702は、ファイバ係止リング701、702に締め付けられるねじによって、ファイバ712を固定位置で保持する。ファイバ係止リング701は、図18Bに示されているように、金属コア705とリング701の内側部分との間にファイバ701をクランプすることによって、ファイバ701の非剥離部分を固定位置に保持し、ファイバ係止リング702は、図18Cに示されているように、溝付き管703とリング702の内側との間にファイバ712をクランプすることによって、ファイバの剥離部分を所定位置に固定する。次いで、熱源(図示せず)が、溝付き管703(そこにファイバ712がリング702によって定位置に係止された)と回転管704との間に延在する剥離されたファイバ712の部分に、最大で約1600°Fの熱を加える。ファイバ712が加熱されるとき、回転管704は、回転され、それと同時に、溝付き管703から所定の距離まで溝付き管703に向けて前進される。加熱されたファイバ712は、所定の角度を有する螺旋湾曲を成すために、金属コア705の表面に接しながら湾曲される。ファイバ712の螺旋湾曲の角度は、ファイバの加熱中の回転管の回転角度および前進距離によって決まる。回転管704によって回転される角度が大きくなり、かつ前進される距離が長くなるほど、処理されたファイバで得られる螺旋湾曲角度は大きくなる。回転管704の回転角度は、一実施例では、30°〜360°の範囲であってよい。回転管によって前進される距離は、一実施例では、処理されるファイバのサイズに応じて、2マイクロメートル〜2ミリメートルの範囲であってよい。回転管704の内部管腔に接する金属コア705の表面にある螺旋フランジが、回転管704による回転角度と前進距離とを制御する助けをすることができる。ファイバが螺旋状に湾曲された後、ファイバ係止リング701およびファイバ係止リング702でのねじが緩められる。ファイバ係止リング701とファイバ係止リング702とがどちらも180°回転される。湾曲されたファイバ712は、両方の係止リング窓から取り外される。得られた湾曲ファイバ712は、次いで、例えば前述した実施形態のコア管131またはファイバホルダ133に取り付けることができる。
【0216】
図19A〜19Dは、本発明の実施形態による、器具製造プロセスの順次ステップの例示図である。この方法は、カテーテルの製造時に回転シェーパ(shaper)902を使用して、送達および収集ファイバ912の両方を同じ角度で斜めに研磨できるようにする。図19Aに示されているように、複数のファイバ912が、ファイバホルダ931の周りに互いに平行に位置決めされる。ファイバホルダ931は、例えばとりわけ図6A〜6Dを参照して説明したものと同様のタイプであってよい。各ファイバ912は、接着剤(glue)またはエポキシ(図示せず)を使用してファイバホルダ931に装着される。ファイバ先端913は、ファイバホルダ931を越えて延在する。しかし、鈍いファイバ先端912は、保護のために、かつファイバ先端913をホルダ931に装着するために、接着剤(glue)またはエポキシによって完全に覆うことができる。金属リング903が、ファイバ先端913の遠位端と接着剤またはエポキシとの上に配置されるようにしてもよい。図19Bに示されているように、金属リング903は、ファイバ先端913がシェーパ902によって斜めに研磨されるときに、ファイバ先端913を一時的に保護することができる。
【0217】
図19Bに示されているように、シェーパ902は、1000〜100000rpmの範囲にある適切な回転速度で回転する。シェーパ902は、接着剤またはエポキシ901によって包まれ且つ保護体903によって保護されたファイバ先端913に対してゆっくりと適用される。これにより、シェーパ902によってファイバ先端913を斜めに研磨する。
【0218】
図19Cに示されているように、ファイバ先端913'が、ある角度で、例えば45度で斜めに研磨された後、次の研磨ステップ中にファイバ先端を保護する保護リング903が取り外される。窓カッター904が、ファイバ先端913'の周りに位置決めされ、先端および先端を被覆する接着剤またはエポキシ901コーティングからファイバクラッドおよびジャケットを剥離して、各ファイバ先端913'のための光学窓を形成する。次いで、ファイバ先端913'の斜めの面が、金、ニッケル、およびアルミニウムなどの金属材料で被覆される。次いで、残りの接着剤またはエポキシ106によってファイバホルダ931に装着された先端研磨されたファイバ912が、コア管(図示せず)に取り付けられる。
【0219】
角度および研磨シェーパ902が、角度付きファイバ先端913'に適用され、それにより先端913'がさらに整形および研磨されて、高反射率特性など所望の組み込まれた光学的性質を有する正確で最適なファイバ先端角度を実現する。
【0220】
図19Dに示されているように、角度付きファイバ先端913'を有する光ファイバ912を備えるカテーテル910が形成される。その後、バルーン、放射源、検出器、および分光計が、従来の順序でカテーテル910に取り付けられることがあり、バルーンカテーテル製造プロセスを完了させる。
【0221】
図20A〜20Gは、本発明の実施形態による、バルーン血管形成術処置を行う順次ステップを例示する断面図である。図20Aは、内腔壁1060を有する狭窄体腔1061の断面図である。内腔1061は、閉塞、例えば脂質含有分の蓄積によって引き起こされた閉塞1062により狭窄されていることがある。
【0222】
図20Bに示されているように、例えば本明細書で説明したタイプのバルーンカテーテル1010が、従来の手順に従って、狭窄内腔1061内に挿入される。一実施形態では、バルーンカテーテル1010は、ガイドワイヤ管腔1030を含むコア管1031と、バルーン1011と、少なくとも1つの送達/収集ファイバとを備える。治療処置中、医師は、始めに、鼠径部または手首に位置する穿孔点を通して、狭窄内腔1061内にガイドワイヤを挿入する。次に、医師は、ガイドワイヤにバルーンカテーテル1010を配置する。バルーンカテーテル1010は、バルーン1011を備え、バルーン1011は、狭窄内腔1061への進入時には収縮状態である。
【0223】
図20Cに示されているように、位置決めされたバルーン1011は、コア管1031のポートを通してバルーン1011内に流体を送達することによって部分的に膨張する。カテーテル1010は、送達ファイバから内腔壁に光放射を送達し、内腔壁から放出されて収集ファイバによって受け取られる光放射を収集することによって、内腔壁1060のスペクトル特徴のデータの収集を可能にする。内腔壁のスペクトル特徴のデータの収集は、ターゲット領域に関するバルーンカテーテル1010の位置を決定するために使用される。内腔壁情報はリアルタイムでスペクトル解析によって得られるので、医師は、この情報に依拠して、対象の領域、例えば内腔の罹患領域に関してカテーテル1010をどこに配置するか、それに従って必要な処置(例えば、バルーン血管形成術および/またはステント挿入)をどこで行うかを決定することができる。
【0224】
この特徴は、従来のカテーテル、例えば蛍光透視法に依拠するカテーテルよりも有利である。なぜなら、蛍光透視法は、ユーザが従来のカテーテルを罹患領域に案内できるようにするだけだからである。しかし、蛍光透視法は、内腔の罹患領域に関する情報を2次元で提供することしかできず(例えば、2次元断面での血管狭窄)、したがって不完全な分析が提供される。これは、いくつかの罹患領域に治療が必要とされるいくつかの用途では特に重要であるが、蛍光透視法を含む従来の方法は、非狭窄領域またはわずかな狭窄の領域内の脆弱なプラークを識別することができない。本発明は、内腔壁のターゲット領域で血管形成術用バルーンを展開する前に内腔壁に沿った脆弱性を識別することもできるので、血管形成術処置中または処置後に、閉塞1062またはその付近で生じる破裂の危険を低減することができる。
【0225】
別の実施形態では、カテーテル1010は、バルーン1011のスペクトル特徴に関するデータを収集する。このデータは、バルーン1011の膨張または収縮中にガイドワイヤ管腔1030からのバルーン表面の距離を求めるため、および膨張中にバルーン1011の拡張の体積を測定するために使用することができる。
【0226】
図20Dに示されているように、カテーテル1010が、識別された罹患位置の領域内に配置された後、バルーン1011は完全に膨張し、それにより、バルーン血管形成術および/またはステント挿入(ステントは図示せず)の治療のためにターゲット領域で内腔1061を開拡する。内腔壁1060に対する膨張したバルーン1011の圧力は、血流を遮断し、バルーン1011の外面と測定すべき内腔壁1060との間の経路内の任意の血液を除くのに十分である。バルーンは、例えば、約8〜12気圧の範囲の圧力まで加圧することができ、この状態で、内腔内部で実質的に円筒形状であってよい。
【0227】
バルーン血管形成術治療などの治療後または治療中、スペクトル特徴の別の収集を行うことができる。図20Eに示されているように、光放射は、送達ファイバの遠位端から伝送され、バルーン1011を通して、内腔壁1060に当接するバルーン表面に伝送される。光放射は、バルーン表面を通過し、内腔壁1060のターゲット領域に当たり、例えば蛍光、ルミネセンス、および/または拡散反射の方法で、ターゲット領域内部の組織/流体と相互作用することができる。収集ファイバは、バルーン1011を通過する内腔壁1060からの放出された光放射を受け取ることができる。放出された光放射は、1つ以上の検出器によって受け取られ、検出器は、受け取られた光放射から信号を生成する。信号は、分光分析システムによって処理することができ、そこで、処理された信号は記憶され、コンピュータまたはディスプレイを介してユーザに提示される。バルーン1011は、バルーンと内腔壁との間に血液がほとんどまたは全くないように内腔壁と直接接触するので、質の高いスペクトルデータを得ることができる。この追加のスペクトルデータは、医師が、リアルタイムで治療結果、ならびに治療に関する現行の生理学的および病理学的変化を受け取ることができるようする。医師は、後続の療法を迅速に決定することができ、例えば、第2次治療のためのサンプルバルーン血管形成術後のステント挿入および/または薬物局部注射療法である。また、スペクトルデータは、内腔壁に関する病理学的結果を分析することによって、何らかの所要の将来の治療などの治療のために選択すべき好ましいステントを示すことができる。また、スペクトルデータは、(1つ以上の)現行の治療に対する将来の分析または比較のために記憶することができる。
【0228】
図20Fに示されているように、治療およびスペクトルデータ収集後、バルーン1011が収縮され、それにより流体は、コア管1031内に配置されるフラッシュ(排出)ポートを通してバルーン1011から除去される。
【0229】
図20Gに示されているように、バルーンカテーテル1010が、内腔1061から取り外される。内腔1061は、バルーン血管形成術またはステント挿入(図示せず)によって大幅に増大された開口を有する。
【0230】
したがって、本発明の実施形態は、血管壁に関する重要な情報の収集と、内腔拡張療法およびステント留置を含めた、閉塞/罹患血管のための多くの治療とを一体化することができる。例えば、ステント処置の対象となる領域はしばしば塞がれているので、一般に、事前開拡ステップ(全てのステント留置処置の約70パーセントで行われるステップ)を有することが好ましく、このステップにおいて、血管形成術バルーンは、ステントを伴わずに展開され、血管内部で拡張されて、始めに対象領域の閉塞を開く。この事前開拡ステップは、ステントの配置を容易にして最適化し、血管に対する留着を保証する助けとなる。この事前開拡ステップを伴う本発明の実施形態の使用は、ステントの挿入前に収集される情報の量を大幅に増やす。この情報は、ステントが好ましい治療過程であるか否か、配備すべきステントがもしあればその位置、タイプ、およびサイズ、ならびに、ステント上のコーティングおよび/またはステントから溶出すべき薬物の好ましいタイプについての改良された推定を含むことができる。
【0231】
代替のまたは様々な形態または材料の使用、および開示された方法に対する変形が明らかであることが、当業者には理解されよう。本開示は、本発明が関係する技術分野の範囲内にある特定の実施形態からのこれらおよび他の変更、用途、または他の逸脱を網羅するものと意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔の内部に配置するためのカテーテルであって、
長手方向軸に沿って延びる可撓性管路であって、近位端および遠位端を有する可撓性管路と、
前記可撓性管路に沿って位置決めされた少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路であって、約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長で放射を伝送するように構成されて配置された少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路と、
前記管路の一部分の周りに配設された内腔拡張膨張可能バルーンと
を備え、前記少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と前記少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、前記バルーン内部に配置されることを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記内腔拡張バルーンが、血管形成術用バルーンを備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項3】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路の前記伝送出力端と前記少なくとも1つの収集導波路の前記伝送入力端とが、前記可撓性管路に隣接して保持されることを特徴とするカテーテル。
【請求項4】
請求項3に記載のカテーテルであって、さらに、前記少なくとも1つの送達導波路の前記伝送出力端と前記少なくとも1つの収集導波路の前記伝送入力端とを前記可撓性管路に隣接して保持する、前記管路の周りに配設されたファイバホルダを備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項5】
請求項4に記載のカテーテルであって、前記ファイバホルダが、前記管路に取り付けられるときに前記管路の前記長手方向軸と実質的に位置合わせされる複数の穴を有する少なくとも1つのホルダ本体を備え、前記少なくとも1つの送達導波路と前記少なくとも1つの収集導波路とが、前記複数の穴で前記ファイバホルダに固定されることを特徴とするカテーテル。
【請求項6】
請求項4に記載のカテーテルであって、前記ファイバホルダが、表面に複数の溝を有する少なくとも1つのホルダ本体を備え、前記少なくとも1つの送達導波路と前記少なくとも1つの収集導波路とが、前記複数の溝で前記ファイバホルダに固定されることを特徴とするカテーテル。
【請求項7】
請求項6に記載のカテーテルであって、前記複数の溝が、螺旋状に配列されることを特徴とするカテーテル。
【請求項8】
請求項6に記載のカテーテルであって、前記複数の溝が、前記ファイバホルダが前記管路に取り付けられるときに、前記管路の前記長手方向軸と実質的に位置合わせされることを特徴とするカテーテル。
【請求項9】
請求項4に記載のカテーテルであって、前記ファイバホルダが、前記少なくとも1つの送達導波路の前記伝送出力端と前記少なくとも1つの収集導波路の前記伝送入力端とが前記管路の第1の長手方向位置と第2の長手方向位置との間で並進可能であるように、前記可撓性管路の前記長手方向軸に関して長手方向に並進可能であることを特徴とするカテーテル。
【請求項10】
請求項4に記載のカテーテルであって、前記ファイバホルダが、前記少なくとも1つの送達導波路の前記伝送出力端と前記少なくとも1つの収集導波路の前記伝送入力端とを前記管路の周りで回転させることができるように、前記可撓性管路の前記長手方向軸の周りで回転可能であることを特徴とするカテーテル。
【請求項11】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路の前記伝送出力端と前記少なくとも1つの収集導波路の前記伝送入力端とが、所定の深さの組織から放出される放射を前記内腔拡張膨張可能バルーンから前記伝送出力端を通して収集するのを容易にするために、所定の距離だけ間隔を空けられていることを特徴とするカテーテル。
【請求項12】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路が、少なくとも1つの送達光ファイバを備え、前記少なくとも1つの収集導波路が、少なくとも1つの収集光ファイバを備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項13】
請求項12に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達光ファイバが、テーパ付き端部を有し、前記テーパ付き端部は、前記放射が前記ファイバの長手方向軸に対して横向きの方向に放出されるように、前記送達光ファイバの前記長手方向軸に沿って伝送される放射の経路の方向を変えるための反射面として機能することを特徴とするカテーテル。
【請求項14】
請求項12に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの収集光ファイバが、テーパ付き端部を有し、前記テーパ付き端部が、前記放射が前記収集光ファイバの長手方向軸に沿って伝送されるように、前記収集光ファイバの前記伝送入力端に伝送される放射の経路の方向を変えるための反射面として機能することを特徴とするカテーテル。
【請求項15】
請求項1に記載のカテーテルであって、さらに、前記可撓性管路の周りに配設された光学要素を備え、前記光学要素が、前記放射が前記少なくとも1つの送達導波路の長手方向軸に対して横向きの方向に放出されるように、前記少なくとも1つの送達導波路の前記長手方向軸に沿って伝送される放射の方向を変えるために、前記可撓性管路の前記長手方向軸に対して鋭角をなす複数のファセットのアレイを含むことを特徴とするカテーテル。
【請求項16】
請求項1に記載のカテーテルであって、さらに、前記可撓性管路の周りに配設された光学要素を備え、前記光学要素が、前記放射が前記収集導波路の長手方向軸に沿って伝送されるように、前記少なくとも1つの収集導波路の前記伝送入力端に伝送される放射の方向を変えるために、前記可撓性管路の前記長手方向軸に対して鋭角をなす複数のファセットのアレイを含むことを特徴とするカテーテル。
【請求項17】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記伝送入力端の領域内での前記少なくとも1つの収集導波路の遠位端が、前記管路の前記長手方向軸の周りで螺旋経路に沿って位置することを特徴とするカテーテル。
【請求項18】
請求項17に記載のカテーテルであって、前記伝送出力端の領域内での前記少なくとも1つの送達導波路の遠位端が、前記管路の前記長手方向軸の周りで螺旋経路に沿って位置することを特徴とするカテーテル。
【請求項19】
請求項18に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路の前記伝送出力端と前記少なくとも1つの収集導波路の前記伝送入力端とが、前記管路の前記長手方向軸に沿って長手方向で所定の距離だけ間隔を空けられていることを特徴とするカテーテル。
【請求項20】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記バルーンが、約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長での放射に対して実質的に透明であるポリマー材料を備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項21】
請求項20に記載のカテーテルであって、前記ポリマー材料が、ナイロンおよびポリエチレンからなる材料の群から選択されることを特徴とするカテーテル。
【請求項22】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路が複数の送達導波路を含み、前記少なくとも1つの収集導波路が複数の収集導波路を含むことを特徴とするカテーテル。
【請求項23】
請求項22に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路が2つ、3つ、または4つの送達導波路を含み、前記少なくとも1つの収集導波路が2つ、3つ、または4つの収集導波路を含むことを特徴とするカテーテル。
【請求項24】
請求項22に記載のカテーテルであって、前記バルーンが前記内腔の内部で膨張しているときに、前記複数の送達導波路の前記複数の伝送出力端が、内腔の内壁を、前記バルーンを通して前記内壁の360度部分を照明するように構成され、前記複数の収集導波路の前記複数の伝送入力端が、前記バルーンを通して前記内壁の前記照明された360度部分の周りの前記内腔の前記内壁から放射を受け取るように構成されることを特徴とするカテーテル。
【請求項25】
請求項22に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路が、第1および第2の送達導波路を備え、前記少なくとも1つの収集導波路が、第1および第2の収集導波路を備え、前記第1および第2の送達導波路の伝送出力端が、前記可撓性管路に関して互いに円周方向で反対側に配置され、前記第1および第2の収集導波路の前記伝送入力端が、前記可撓性管路に関して互いに円周方向で反対側に配置され、それにより、前記内腔の内壁の360度部分の4つの象限を、前記バルーンを通した前記放射によって照明することができ、反射された放射を、前記内壁の前記4つの象限から前記バルーンを通して受け取ることができることを特徴とするカテーテル。
【請求項26】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路の前記伝送出力端が、約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長での放射に対して実質的に透明であるカバーの内部に封着された非クラッドファイバコアを備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項27】
請求項26に記載のカテーテルであって、前記実質的に透明なカバーが、ある屈折率を有する材料を含む円筒形カプセルを備え、入射放射を所定の方向に向けるように前記非クラッドファイバコアと前記カプセル内の前記材料との界面を提供することを特徴とするカテーテル。
【請求項28】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路の前記伝送出力端が、前記少なくとも1つの送達導波路の長手方向軸に対して横向きの方向に放射を向けるように、散乱粒子群と反射終端部材とを備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項29】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記バルーンが、前記可撓性管路の第1の長手方向位置と前記第2の長手方向位置とで前記可撓性管路に封着されることを特徴とするカテーテル。
【請求項30】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記バルーンが、前記バルーンの第1の部分にある前記管路の第1の長手方向位置で前記管路に結合され、前記バルーンが、前記バルーンの第2の部分にある前記管路の第2の長手方向位置で前記管路に結合され、前記少なくとも1つの送達導波路の前記伝送出力端と前記少なくとも1つの収集導波路の前記伝送入力端とが、前記管路の前記第1および第2の長手方向位置の間で前記バルーン内部に配置されることを特徴とするカテーテル。
【請求項31】
請求項1に記載のカテーテルであって、さらに、前記管路の前記遠位端で前記管路に結合されたガイドワイヤシースを備え、前記バルーンが、前記バルーンの第1の部分で前記ガイドワイヤシースおよび管路に結合され、前記バルーンが、前記バルーンの第2の部分で前記ガイドワイヤシースに結合されることを特徴とするカテーテル。
【請求項32】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記可撓性管路が、ガイドワイヤ管腔を含むコア管を備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項33】
請求項32に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの収集導波路と前記少なくとも1つの送達導波路とが、前記コア管の長さの大部分に沿って、前記コア管の流体移送管腔の内部に位置決めされることを特徴とするカテーテル。
【請求項34】
請求項32に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの収集導波路と前記少なくとも1つの送達導波路とが、前記コア管の長さの大部分に沿って、前記コア管を取り囲むカテーテルシースの内部に配置されることを特徴とするカテーテル。
【請求項35】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路と前記少なくとも1つの収集導波路との少なくとも一方が、グレーデッドインデックス光ファイバを備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項36】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路と前記少なくとも1つの収集導波路との少なくとも一方が、約0.22〜0.4の間の開口数を有することを特徴とするカテーテル。
【請求項37】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路が、約9〜100マイクロメートルの間のファイバコア直径を有するファイバを備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項38】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの収集導波路が、約50〜200マイクロメートルの間のファイバコア直径を有するファイバを備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項39】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路が、約50マイクロメートルのファイバコア直径を有するファイバを備え、前記少なくとも1つの収集導波路が、約100マイクロメートルのファイバコア直径を有するファイバを備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項40】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記可撓性管路と、前記少なくとも1つの送達導波路と、前記少なくとも1つの収集導波路と、前記バルーンと、を含む前記カテーテルの最大外径が、前記バルーンが膨張していないときに約1.5ミリメートル未満であることを特徴とするカテーテル。
【請求項41】
体腔をプローブ検査して治療するためのシステムであって、
体腔内への挿入に適した長手方向軸に沿って延びる可撓性管路であって、近位端および遠位端を有する管路と、
前記可撓性管路と一体化された少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路と、
前記少なくとも1つの送達導波路の伝送入力端に接続された少なくとも1つの放射源であって、約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長で放射を提供するように構成されて配置された放射源と、
前記少なくとも1つの収集導波路の伝送出力端に接続された少なくとも1つの光検出器と、
前記管路の一部分の周りに配設された内腔拡張膨張可能バルーンと
を備え、前記少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と前記少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、前記バルーン内部に配置されることを特徴とするシステム。
【請求項42】
請求項41に記載のシステムであって、前記少なくとも1つの収集導波路の前記伝送出力端が、分光計に接続され、前記分光計が、約250nm〜2500nmの範囲内の波長で放射を走査して分光法を実施するように構成されて配置されることを特徴とするシステム。
【請求項43】
請求項42に記載のシステムであって、前記分光計が、蛍光法、光散乱法、光コヒーレンス反射測定法、光コヒーレンストモグラフィ、スペックル相関法、ラマン分光法、および拡散反射分光法からなる分光方法の群から選択される分光法を実施するように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項44】
請求項42に記載のシステムであって、前記分光計が、約750nm〜2500nmの範囲内の波長で放射を走査して分光法を実施するように構成されて配置されることを特徴とするシステム。
【請求項45】
請求項42に記載のシステムであって、前記分光計が、1つ以上の波長範囲を使用して放射を走査して分光法を実施するように構成されて配置されることを特徴とするシステム。
【請求項46】
請求項45に記載のシステムであって、前記1つ以上の波長範囲を使用するスキャンが、1つ以上の離散的な波長を使用するスキャンを含むことを特徴とするシステム。
【請求項47】
請求項41に記載のシステムであって、さらに、前記システムによって収集されたデータの分析をさらに制御するために、前記少なくとも1つの放射源および前記少なくとも1つの光検出器の作動および非作動の制御を自動化するようにプログラムされた制御装置を備えることを特徴とするシステム。
【請求項48】
請求項47に記載のシステムであって、病院または外来部門を含む医療施設内で使用するように構成されて配置されることを特徴とするシステム。
【請求項49】
請求項47に記載のシステムであって、前記制御装置が、分光法のデータおよび分析に関するフィードバックを操作者に提供する人間対話型インターフェースを動作させるようにプログラムされ、前記インターフェースが、リアルタイム診断に関する情報を提供することを特徴とするシステム。
【請求項50】
請求項47に記載のシステムであって、前記制御装置が、化学成分の存在、組織形態学的構造、水含有量、血液含有量、温度、pH、および色の少なくとも1つを含む、対象組織の1つ以上の特性を識別するようにプログラムされることを特徴とするシステム。
【請求項51】
請求項47に記載のシステムであって、前記制御装置が、組織特性と、カテーテルの要素および前記体腔内に人工的に導入される他の要素を含む非関連アーティファクトとを区別するようにプログラムされることを特徴とするシステム。
【請求項52】
請求項51に記載のシステムであって、前記人工的に導入される要素が、ステントと、ステントのコーティングとの少なくとも1つを含むことを特徴とするシステム。
【請求項53】
請求項41に記載のシステムであって、さらに、前記少なくとも1つの放射源と前記少なくとも1つの送達導波路との間に結合されたスイッチであって、前記少なくとも1つの送達導波路への放射の適用のために複数の放射源の中から選択を行うスイッチを備えることを特徴とするシステム。
【請求項54】
請求項41に記載のシステムであって、さらに、前記少なくとも1つの放射源と前記少なくとも1つの送達導波路との間に結合されたスイッチであって、前記少なくとも1つの送達導波路に対して前記少なくとも1つの放射源を選択的に適用するスイッチを備えることを特徴とするシステム。
【請求項55】
請求項41に記載のシステムであって、さらに、治療送達サブシステムを備えることを特徴とするシステム。
【請求項56】
請求項55に記載のシステムであって、前記治療送達サブシステムが、さらに、治療薬物群および治療剤群の中の少なくとも1つを中に通して送達することができる、前記可撓性管路と関連付けられた管を備えることを特徴とするシステム。
【請求項57】
請求項41に記載のシステムであって、前記1つ以上の放射源が、前記バルーンが膨張したときに前記バルーンの外側の位置で約20ミリワット未満の前記放射の出力パワーを生成するように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項58】
体腔の内部に配置するためのカテーテルであって、
長手方向軸に沿って延びる可撓性管路であって、近位端および遠位端を有する可撓性管路と、
前記可撓性管路に沿って位置決めされる少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路と、
前記管路の一部分の周りに配設された内腔拡張膨張可能バルーンと、
を備え、前記少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と前記少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、前記バルーン内部に配置され、前記可撓性管路と、前記少なくとも1つの送達導波路と、前記少なくとも1つの収集導波路と、前記バルーンとを含む前記カテーテルの最大外径が、前記バルーンが膨張していないときに約1.5ミリメートル未満であることを特徴とするカテーテル。
【請求項59】
請求項58に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路と前記少なくとも1つの収集導波路とが、約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長で放射を伝送するように構成されて配置されることを特徴とするカテーテル。
【請求項60】
請求項58に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路と前記少なくとも1つの収集導波路との少なくとも一方が、グレーデッドインデックス光ファイバを備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項61】
請求項58に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路と前記少なくとも1つの収集導波路との少なくとも一方が、約0.22〜0.4の間の開口数を有することを特徴とするカテーテル。
【請求項62】
請求項58に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路が、約9〜100マイクロメートルの間のファイバコア直径を有するファイバを備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項63】
請求項58に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの収集導波路が、約50〜200マイクロメートルの間のファイバコア直径を有するファイバを備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項64】
請求項58に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路が、約50マイクロメートルのファイバコア直径を有するファイバを備え、前記少なくとも1つの収集導波路が、約100マイクロメートルのファイバコア直径を有するファイバを備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項65】
体腔の分析および治療を提供するための方法であって、
可撓性管路と、内腔拡張バルーンと、少なくとも1つの送達導波路と、少なくとも1つの収集導波路とを含むカテーテルを体腔内に挿入するステップであって、前記少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と前記少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、前記バルーン内部に配置されるステップと、
治療または分析のために指定された前記体腔の指定領域内に前記管路を操作するステップと、
前記体腔の前記指定領域内で前記バルーンを拡張するステップと、
約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長での放射を使用して、前記少なくとも1つの送達導波路の前記伝送出力端で供給される前記放射を前記体腔の前記指定領域に照射することによって、前記体腔の前記指定領域の分光分析を実行するステップであって、前記供給される放射が、前記バルーンを通過し、前記放射が、前記体腔の前記指定領域に入射し、放射が、前記バルーンを通して、前記少なくとも1つの収集導波路の前記伝送入力端に戻されるステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項66】
請求項65に記載の方法であって、治療的に前記バルーンを拡張するステップが、前記体腔を拡張することを特徴とする方法。
【請求項67】
請求項66に記載の方法であって、治療的に前記体腔を拡張するために前記バルーンを拡張するステップが、前記指定領域内で前記体腔を開拡することを特徴とする方法。
【請求項68】
請求項65に記載の方法であって、分光分析を実行するステップが、前記バルーンが拡張される間に行われることを特徴とする方法。
【請求項69】
請求項65に記載の方法であって、前記管路の前記挿入および操作と、前記バルーンの前記拡張とが、経皮経管的血管形成術に従った手順に従うことを特徴とする方法。
【請求項70】
請求項65に記載の方法であって、前記管路の前記挿入および操作と、前記バルーンの前記拡張とが、経皮経管的冠動脈血管形成術に従った手順に従うことを特徴とする方法。
【請求項71】
請求項65に記載の方法であって、前記バルーンが、前記バルーンと前記周囲の内腔組織との間の血液の流れが実質的に阻止されるように拡張されることを特徴とする方法。
【請求項72】
請求項65に記載の方法であって、前記分光分析が、血管内領域内部の周囲組織の1つ以上の病態生理学または形態学因子の特徴付けを含むことを特徴とする方法。
【請求項73】
請求項72に記載の方法であって、前記病態生理学または形態学因子が、前記血管内領域内部のプラークの存在、体積、および位置決めを特徴付けることを含むことを特徴とする方法。
【請求項74】
請求項73に記載の方法であって、前記病態生理学または形態学因子が、さらに、前記プラーク内部でのコラーゲン含有量、脂質含有量、カルシウム含有量、可燃性、または病態生理学的状態の相対的な位置付けの少なくとも1つを含むプラークの特性を含むことを特徴とする方法。
【請求項75】
請求項65に記載の方法であって、さらに、前記バルーンを拡張するときに前記指定領域に送達されるように前記内腔拡張バルーンにステントを提供するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項76】
請求項65に記載の方法であって、分光分析を実行するステップが、さらに、前記少なくとも1つの収集導波路を通して戻される前記放射に基づいて分析データを収集するステップと、前記指定領域内の対象組織に関連付けられる収集された分析データと、前記バルーン、バルーン拡張媒体、ガイドワイヤ、ステント、およびステントに配置された人工材料の少なくとも1つを含むアーティファクトに関連付けられる分析データとを区別するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項77】
請求項76に記載の方法であって、ステントに配置された人工材料と関連付けられる前記分析データが、ポリマーと関連付けられるデータを含むことを特徴とする方法。
【請求項78】
請求項76に記載の方法であって、ステントに配置された人工材料と関連付けられる前記分析データが、薬物と関連付けられるデータを含むことを特徴とする方法。
【請求項79】
請求項65に記載の方法であって、さらに、前記分光分析を使用して、前記指定領域のための適切な治療を決定するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項80】
請求項79に記載の方法であって、適切な治療を決定するステップが、挿入に最も適したステントのタイプを選択するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項81】
請求項80に記載の方法であって、挿入に最も適したステントのタイプを決定するステップが、前記ステントから溶出すべき薬物および投薬量を選択するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項82】
請求項65に記載の方法であって、分光分析を実行するステップが、前記バルーンが部分的に膨張している間に行われることを特徴とする方法。
【請求項83】
請求項82に記載の方法であって、前記バルーンが部分的に膨張している間に行われる前記分光分析が、損傷された組織の位置を計算するために使用されることを特徴とする方法。
【請求項84】
請求項83に記載の方法であって、損傷された組織の位置の前記計算が、前記バルーンの完全な膨張の前に、前記内腔内での前記管路の位置をガイドするために使用されることを特徴とする方法。
【請求項85】
請求項65に記載の方法であって、さらに、前記分光分析を使用して前記バルーンの拡張のレベルを決定するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項86】
請求項65に記載の方法であって、前記分光分析が、前記内腔の壁の360度部分で実行されることを特徴とする方法。
【請求項87】
請求項65に記載の方法であって、分光分析を実行する前記ステップが、前記少なくとも1つの送達導波路のうちの個々の送達導波路ごとに放射の送達を選択的に切り換えるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項88】
請求項87に記載の方法であって、前記選択的な切換えが、前記バルーンの円周の周りの事前定義された象限を照射するために放射を分散することを特徴とする方法。
【請求項89】
請求項87に記載の方法であって、前記選択的な切換えが、複数の放射源の選択的な操作を含むことを特徴とする方法。
【請求項90】
請求項65に記載の方法であって、分光分析を実行するステップが、1つ以上の波長範囲にわたって選択的に走査するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項91】
請求項90に記載の方法であって、分光分析を実行するステップが、約750nm〜2500nmの間の1つ以上の波長範囲を使用して走査するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項92】
請求項90に記載の方法であって、前記1つ以上の波長範囲が、約250〜930ナノメートル、1100〜1385ナノメートル、1600〜1850ナノメートル、および2100〜2500ナノメートルの範囲から選択されることを特徴とする方法。
【請求項93】
請求項90に記載の方法であって、1つ以上の波長範囲にわたって選択的に走査するステップが、1つ以上の離散的な波長を使用して走査するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項94】
請求項65に記載の方法であって、前記バルーンを拡張するステップが、前記放射の散乱、歪、および偏向の影響を実質的に最小限にする生体適合性流体を用いて前記バルーンを拡張するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項95】
請求項94に記載の方法であって、前記生体適合性流体が、二酸化炭素、食塩水、酸化ジュウテリウム、およびグリセリンからなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする方法。
【請求項96】
請求項95に記載の方法であって、前記生体適合性流体が、過飽和食塩水溶液を備えることを特徴とする方法。
【請求項97】
請求項65に記載の方法であって、分光分析を実行するステップが、さらに、前記少なくとも1つの収集導波路を通して受け取られる前記放射に基づいて分析データを収集するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項98】
請求項97に記載の方法であって、分析データを収集するステップが、約1秒未満の時間内に行われることを特徴とする方法。
【請求項99】
請求項98に記載の方法であって、さらに、前記収集された分析データを分析するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項100】
請求項65に記載の方法であって、前記分光分析中に前記内腔拡張バルーンから放出されるパワーの量が、約20ミリワット未満であることを特徴とする方法。
【請求項101】
体腔の内部に配置するためのカテーテルを形成する方法であって、
体腔内への挿入に適した長手方向軸に沿って延びる可撓性管路を提供するステップであって、前記可撓性管路が、近位端および遠位端を有するステップと、
前記可撓性管路に沿って少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路を提供するステップであって、前記少なくとも1つの送達導波路と前記少なくとも1つの収集導波路とが、約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長で放射を伝送するように構成されて配置されるステップと、
前記少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と前記少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが内腔拡張膨張可能バルーン内部に配置されるように、前記管路の一部分の周りに内腔拡張膨張可能バルーンを提供するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項102】
請求項101に記載の方法であって、さらに、
外側ジャケットの導波路の端部分を剥離すること、
前記導波路の非剥離部分を固定すること、
螺旋状に配置すべき前記導波路の前記端部分に、前記端部分を可鍛性にするのに十分な熱源を適用すること、および
コアセグメントの周りで前記導波路を回転するため、および前記導波路の固定された非剥離部分の方向に前記導波路の前記端部分を長手方向で並進するために力を加えること
によって、前記少なくとも1つの送達導波路と前記少なくとも1つの収集導波路の遠位部分とを螺旋配置に形成するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項103】
請求項102に記載の方法であって、前記導波路が、前記導波路の前記端部を回転させて長手方向に並進させるために前記力を所定の方法で加えることによって、所定の角度で螺旋状に配置されることを特徴とする方法。
【請求項104】
請求項102に記載の方法であって、前記導波路の前記非剥離部分を固定するステップが、前記コアセグメントの周りに配設された少なくとも1つの係止部材を使用して行われ、回転および並進のための前記力が、前記コアセグメントの周りに配設された回転運動および並進運動可能な部材を用いて加えられることを特徴とする方法。
【請求項105】
請求項104に記載の方法であって、前記導波路の前記端部分が、約2マイクロメートル〜2ミリメートルの範囲の距離だけ並進され、一方、前記導波路の前記端部分が、前記コアセグメントの周りで約30〜360度回転されることを特徴とする方法。
【請求項106】
請求項102に記載の方法であって、前記熱源が、約1600℃で熱を提供することを特徴とする方法。
【請求項107】
請求項101に記載の方法であって、前記バルーンが、前記管路にレーザ溶接されることを特徴とする方法。
【請求項108】
請求項101に記載の方法であって、さらに、前記少なくとも1つの送達導波路と前記少なくとも1つの収集導波路とを前記可撓性管路に隣接して維持するための導波路ホルダを設けるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項109】
請求項108に記載の方法であって、前記少なくとも1つの送達導波路と前記少なくとも1つの収集導波路とが、前記少なくとも1つの送達導波路と前記少なくとも1つの収集導波路とを前記可撓性管路に沿って設けられる前に、前記導波路ホルダと組み立てられることを特徴とする方法。
【請求項110】
請求項109に記載の方法であって、さらに、前記導波路ホルダとの前記組立て後に、前記少なくとも1つの送達導波路の前記伝送出力端を整形するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項111】
請求項109に記載の方法であって、さらに、前記導波路ホルダとの前記組立て後に、前記少なくとも1つの収集導波路の前記伝送入力端を整形するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項112】
請求項108に記載の方法であって、前記少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路を保持するための前記導波路ホルダが、複数の穴を有するホルダ本体を備えることを特徴とする方法。
【請求項113】
請求項112に記載の方法であって、さらに、前記複数の穴を前記可撓性管路の前記長手方向軸と位置合わせして固定するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項114】
請求項112に記載の方法であって、さらに、前記複数の穴を1つ以上の反射面と対応づけて位置合わせして固定するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項115】
請求項114に記載の方法であって、前記1つ以上の反射面が、多面反射要素の一部として、前記可撓性管路の周りで半径方向に配設されることを特徴とする方法。
【請求項116】
請求項114に記載の方法であって、前記1つ以上の反射面が、前記可撓性管路の前記長手方向軸と位置合わせされた円錐形状反射要素を備えることを特徴とする方法。
【請求項117】
請求項108に記載の方法であって、前記少なくとも1つの送達導波路と少なくとも1つの収集導波路とを保持するための前記導波路ホルダが、前記可撓性管路の周りで半径方向に配設された複数の溝を有するホルダ本体を備えることを特徴とする方法。
【請求項118】
体腔の内部に配置するためのカテーテルであって、
長手方向軸に沿って延びる可撓性管路であって、近位端および遠位端を有する可撓性管路と、
前記可撓性管路に沿って位置決めされた少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路であって、約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長で放射を伝送するように構成されて配置された少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路と、
前記管路の一部分の周りに配設された内腔拡張膨張可能バルーンと
を備え、前記少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と前記少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、前記バルーンの外面に沿って位置決めされることを特徴とするカテーテル。
【請求項119】
請求項118に記載のカテーテルであって、さらに、前記少なくとも1つの送達導波路と前記少なくとも1つの収集導波路との本体部分を前記可撓性管路に結合するリングを備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項120】
請求項118に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路の前記伝送出力端と前記少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、前記バルーンの前記外面に取り付けられることを特徴とするカテーテル。
【請求項121】
体腔の内部に配置するためのカテーテルであって、
長手方向軸に沿って延びる可撓性管路であって、近位端および遠位端を有する可撓性管路と、
前記可撓性管路に沿って位置決めされた少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路であって、約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長で放射を伝送するように構成されて配置された少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路と、
前記管路の一部分の周りに配設された内腔拡張膨張可能バルーンと
を備え、前記少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と前記少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、前記バルーンの内面に取り付けられることを特徴とするカテーテル。
【請求項122】
請求項121に記載のカテーテルであって、さらに、前記少なくとも1つの送達導波路と前記少なくとも1つの収集導波路との本体部分を前記可撓性管路に結合するリングを備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項1】
体腔の内部に配置するためのカテーテルであって、
長手方向軸に沿って延びる可撓性管路であって、近位端および遠位端を有する可撓性管路と、
前記可撓性管路に沿って位置決めされた少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路であって、約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長で放射を伝送するように構成されて配置された少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路と、
前記管路の一部分の周りに配設された内腔拡張膨張可能バルーンと
を備え、前記少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と前記少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、前記バルーン内部に配置されることを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記内腔拡張バルーンが、血管形成術用バルーンを備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項3】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路の前記伝送出力端と前記少なくとも1つの収集導波路の前記伝送入力端とが、前記可撓性管路に隣接して保持されることを特徴とするカテーテル。
【請求項4】
請求項3に記載のカテーテルであって、さらに、前記少なくとも1つの送達導波路の前記伝送出力端と前記少なくとも1つの収集導波路の前記伝送入力端とを前記可撓性管路に隣接して保持する、前記管路の周りに配設されたファイバホルダを備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項5】
請求項4に記載のカテーテルであって、前記ファイバホルダが、前記管路に取り付けられるときに前記管路の前記長手方向軸と実質的に位置合わせされる複数の穴を有する少なくとも1つのホルダ本体を備え、前記少なくとも1つの送達導波路と前記少なくとも1つの収集導波路とが、前記複数の穴で前記ファイバホルダに固定されることを特徴とするカテーテル。
【請求項6】
請求項4に記載のカテーテルであって、前記ファイバホルダが、表面に複数の溝を有する少なくとも1つのホルダ本体を備え、前記少なくとも1つの送達導波路と前記少なくとも1つの収集導波路とが、前記複数の溝で前記ファイバホルダに固定されることを特徴とするカテーテル。
【請求項7】
請求項6に記載のカテーテルであって、前記複数の溝が、螺旋状に配列されることを特徴とするカテーテル。
【請求項8】
請求項6に記載のカテーテルであって、前記複数の溝が、前記ファイバホルダが前記管路に取り付けられるときに、前記管路の前記長手方向軸と実質的に位置合わせされることを特徴とするカテーテル。
【請求項9】
請求項4に記載のカテーテルであって、前記ファイバホルダが、前記少なくとも1つの送達導波路の前記伝送出力端と前記少なくとも1つの収集導波路の前記伝送入力端とが前記管路の第1の長手方向位置と第2の長手方向位置との間で並進可能であるように、前記可撓性管路の前記長手方向軸に関して長手方向に並進可能であることを特徴とするカテーテル。
【請求項10】
請求項4に記載のカテーテルであって、前記ファイバホルダが、前記少なくとも1つの送達導波路の前記伝送出力端と前記少なくとも1つの収集導波路の前記伝送入力端とを前記管路の周りで回転させることができるように、前記可撓性管路の前記長手方向軸の周りで回転可能であることを特徴とするカテーテル。
【請求項11】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路の前記伝送出力端と前記少なくとも1つの収集導波路の前記伝送入力端とが、所定の深さの組織から放出される放射を前記内腔拡張膨張可能バルーンから前記伝送出力端を通して収集するのを容易にするために、所定の距離だけ間隔を空けられていることを特徴とするカテーテル。
【請求項12】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路が、少なくとも1つの送達光ファイバを備え、前記少なくとも1つの収集導波路が、少なくとも1つの収集光ファイバを備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項13】
請求項12に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達光ファイバが、テーパ付き端部を有し、前記テーパ付き端部は、前記放射が前記ファイバの長手方向軸に対して横向きの方向に放出されるように、前記送達光ファイバの前記長手方向軸に沿って伝送される放射の経路の方向を変えるための反射面として機能することを特徴とするカテーテル。
【請求項14】
請求項12に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの収集光ファイバが、テーパ付き端部を有し、前記テーパ付き端部が、前記放射が前記収集光ファイバの長手方向軸に沿って伝送されるように、前記収集光ファイバの前記伝送入力端に伝送される放射の経路の方向を変えるための反射面として機能することを特徴とするカテーテル。
【請求項15】
請求項1に記載のカテーテルであって、さらに、前記可撓性管路の周りに配設された光学要素を備え、前記光学要素が、前記放射が前記少なくとも1つの送達導波路の長手方向軸に対して横向きの方向に放出されるように、前記少なくとも1つの送達導波路の前記長手方向軸に沿って伝送される放射の方向を変えるために、前記可撓性管路の前記長手方向軸に対して鋭角をなす複数のファセットのアレイを含むことを特徴とするカテーテル。
【請求項16】
請求項1に記載のカテーテルであって、さらに、前記可撓性管路の周りに配設された光学要素を備え、前記光学要素が、前記放射が前記収集導波路の長手方向軸に沿って伝送されるように、前記少なくとも1つの収集導波路の前記伝送入力端に伝送される放射の方向を変えるために、前記可撓性管路の前記長手方向軸に対して鋭角をなす複数のファセットのアレイを含むことを特徴とするカテーテル。
【請求項17】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記伝送入力端の領域内での前記少なくとも1つの収集導波路の遠位端が、前記管路の前記長手方向軸の周りで螺旋経路に沿って位置することを特徴とするカテーテル。
【請求項18】
請求項17に記載のカテーテルであって、前記伝送出力端の領域内での前記少なくとも1つの送達導波路の遠位端が、前記管路の前記長手方向軸の周りで螺旋経路に沿って位置することを特徴とするカテーテル。
【請求項19】
請求項18に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路の前記伝送出力端と前記少なくとも1つの収集導波路の前記伝送入力端とが、前記管路の前記長手方向軸に沿って長手方向で所定の距離だけ間隔を空けられていることを特徴とするカテーテル。
【請求項20】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記バルーンが、約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長での放射に対して実質的に透明であるポリマー材料を備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項21】
請求項20に記載のカテーテルであって、前記ポリマー材料が、ナイロンおよびポリエチレンからなる材料の群から選択されることを特徴とするカテーテル。
【請求項22】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路が複数の送達導波路を含み、前記少なくとも1つの収集導波路が複数の収集導波路を含むことを特徴とするカテーテル。
【請求項23】
請求項22に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路が2つ、3つ、または4つの送達導波路を含み、前記少なくとも1つの収集導波路が2つ、3つ、または4つの収集導波路を含むことを特徴とするカテーテル。
【請求項24】
請求項22に記載のカテーテルであって、前記バルーンが前記内腔の内部で膨張しているときに、前記複数の送達導波路の前記複数の伝送出力端が、内腔の内壁を、前記バルーンを通して前記内壁の360度部分を照明するように構成され、前記複数の収集導波路の前記複数の伝送入力端が、前記バルーンを通して前記内壁の前記照明された360度部分の周りの前記内腔の前記内壁から放射を受け取るように構成されることを特徴とするカテーテル。
【請求項25】
請求項22に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路が、第1および第2の送達導波路を備え、前記少なくとも1つの収集導波路が、第1および第2の収集導波路を備え、前記第1および第2の送達導波路の伝送出力端が、前記可撓性管路に関して互いに円周方向で反対側に配置され、前記第1および第2の収集導波路の前記伝送入力端が、前記可撓性管路に関して互いに円周方向で反対側に配置され、それにより、前記内腔の内壁の360度部分の4つの象限を、前記バルーンを通した前記放射によって照明することができ、反射された放射を、前記内壁の前記4つの象限から前記バルーンを通して受け取ることができることを特徴とするカテーテル。
【請求項26】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路の前記伝送出力端が、約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長での放射に対して実質的に透明であるカバーの内部に封着された非クラッドファイバコアを備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項27】
請求項26に記載のカテーテルであって、前記実質的に透明なカバーが、ある屈折率を有する材料を含む円筒形カプセルを備え、入射放射を所定の方向に向けるように前記非クラッドファイバコアと前記カプセル内の前記材料との界面を提供することを特徴とするカテーテル。
【請求項28】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路の前記伝送出力端が、前記少なくとも1つの送達導波路の長手方向軸に対して横向きの方向に放射を向けるように、散乱粒子群と反射終端部材とを備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項29】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記バルーンが、前記可撓性管路の第1の長手方向位置と前記第2の長手方向位置とで前記可撓性管路に封着されることを特徴とするカテーテル。
【請求項30】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記バルーンが、前記バルーンの第1の部分にある前記管路の第1の長手方向位置で前記管路に結合され、前記バルーンが、前記バルーンの第2の部分にある前記管路の第2の長手方向位置で前記管路に結合され、前記少なくとも1つの送達導波路の前記伝送出力端と前記少なくとも1つの収集導波路の前記伝送入力端とが、前記管路の前記第1および第2の長手方向位置の間で前記バルーン内部に配置されることを特徴とするカテーテル。
【請求項31】
請求項1に記載のカテーテルであって、さらに、前記管路の前記遠位端で前記管路に結合されたガイドワイヤシースを備え、前記バルーンが、前記バルーンの第1の部分で前記ガイドワイヤシースおよび管路に結合され、前記バルーンが、前記バルーンの第2の部分で前記ガイドワイヤシースに結合されることを特徴とするカテーテル。
【請求項32】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記可撓性管路が、ガイドワイヤ管腔を含むコア管を備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項33】
請求項32に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの収集導波路と前記少なくとも1つの送達導波路とが、前記コア管の長さの大部分に沿って、前記コア管の流体移送管腔の内部に位置決めされることを特徴とするカテーテル。
【請求項34】
請求項32に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの収集導波路と前記少なくとも1つの送達導波路とが、前記コア管の長さの大部分に沿って、前記コア管を取り囲むカテーテルシースの内部に配置されることを特徴とするカテーテル。
【請求項35】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路と前記少なくとも1つの収集導波路との少なくとも一方が、グレーデッドインデックス光ファイバを備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項36】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路と前記少なくとも1つの収集導波路との少なくとも一方が、約0.22〜0.4の間の開口数を有することを特徴とするカテーテル。
【請求項37】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路が、約9〜100マイクロメートルの間のファイバコア直径を有するファイバを備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項38】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの収集導波路が、約50〜200マイクロメートルの間のファイバコア直径を有するファイバを備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項39】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路が、約50マイクロメートルのファイバコア直径を有するファイバを備え、前記少なくとも1つの収集導波路が、約100マイクロメートルのファイバコア直径を有するファイバを備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項40】
請求項1に記載のカテーテルであって、前記可撓性管路と、前記少なくとも1つの送達導波路と、前記少なくとも1つの収集導波路と、前記バルーンと、を含む前記カテーテルの最大外径が、前記バルーンが膨張していないときに約1.5ミリメートル未満であることを特徴とするカテーテル。
【請求項41】
体腔をプローブ検査して治療するためのシステムであって、
体腔内への挿入に適した長手方向軸に沿って延びる可撓性管路であって、近位端および遠位端を有する管路と、
前記可撓性管路と一体化された少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路と、
前記少なくとも1つの送達導波路の伝送入力端に接続された少なくとも1つの放射源であって、約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長で放射を提供するように構成されて配置された放射源と、
前記少なくとも1つの収集導波路の伝送出力端に接続された少なくとも1つの光検出器と、
前記管路の一部分の周りに配設された内腔拡張膨張可能バルーンと
を備え、前記少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と前記少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、前記バルーン内部に配置されることを特徴とするシステム。
【請求項42】
請求項41に記載のシステムであって、前記少なくとも1つの収集導波路の前記伝送出力端が、分光計に接続され、前記分光計が、約250nm〜2500nmの範囲内の波長で放射を走査して分光法を実施するように構成されて配置されることを特徴とするシステム。
【請求項43】
請求項42に記載のシステムであって、前記分光計が、蛍光法、光散乱法、光コヒーレンス反射測定法、光コヒーレンストモグラフィ、スペックル相関法、ラマン分光法、および拡散反射分光法からなる分光方法の群から選択される分光法を実施するように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項44】
請求項42に記載のシステムであって、前記分光計が、約750nm〜2500nmの範囲内の波長で放射を走査して分光法を実施するように構成されて配置されることを特徴とするシステム。
【請求項45】
請求項42に記載のシステムであって、前記分光計が、1つ以上の波長範囲を使用して放射を走査して分光法を実施するように構成されて配置されることを特徴とするシステム。
【請求項46】
請求項45に記載のシステムであって、前記1つ以上の波長範囲を使用するスキャンが、1つ以上の離散的な波長を使用するスキャンを含むことを特徴とするシステム。
【請求項47】
請求項41に記載のシステムであって、さらに、前記システムによって収集されたデータの分析をさらに制御するために、前記少なくとも1つの放射源および前記少なくとも1つの光検出器の作動および非作動の制御を自動化するようにプログラムされた制御装置を備えることを特徴とするシステム。
【請求項48】
請求項47に記載のシステムであって、病院または外来部門を含む医療施設内で使用するように構成されて配置されることを特徴とするシステム。
【請求項49】
請求項47に記載のシステムであって、前記制御装置が、分光法のデータおよび分析に関するフィードバックを操作者に提供する人間対話型インターフェースを動作させるようにプログラムされ、前記インターフェースが、リアルタイム診断に関する情報を提供することを特徴とするシステム。
【請求項50】
請求項47に記載のシステムであって、前記制御装置が、化学成分の存在、組織形態学的構造、水含有量、血液含有量、温度、pH、および色の少なくとも1つを含む、対象組織の1つ以上の特性を識別するようにプログラムされることを特徴とするシステム。
【請求項51】
請求項47に記載のシステムであって、前記制御装置が、組織特性と、カテーテルの要素および前記体腔内に人工的に導入される他の要素を含む非関連アーティファクトとを区別するようにプログラムされることを特徴とするシステム。
【請求項52】
請求項51に記載のシステムであって、前記人工的に導入される要素が、ステントと、ステントのコーティングとの少なくとも1つを含むことを特徴とするシステム。
【請求項53】
請求項41に記載のシステムであって、さらに、前記少なくとも1つの放射源と前記少なくとも1つの送達導波路との間に結合されたスイッチであって、前記少なくとも1つの送達導波路への放射の適用のために複数の放射源の中から選択を行うスイッチを備えることを特徴とするシステム。
【請求項54】
請求項41に記載のシステムであって、さらに、前記少なくとも1つの放射源と前記少なくとも1つの送達導波路との間に結合されたスイッチであって、前記少なくとも1つの送達導波路に対して前記少なくとも1つの放射源を選択的に適用するスイッチを備えることを特徴とするシステム。
【請求項55】
請求項41に記載のシステムであって、さらに、治療送達サブシステムを備えることを特徴とするシステム。
【請求項56】
請求項55に記載のシステムであって、前記治療送達サブシステムが、さらに、治療薬物群および治療剤群の中の少なくとも1つを中に通して送達することができる、前記可撓性管路と関連付けられた管を備えることを特徴とするシステム。
【請求項57】
請求項41に記載のシステムであって、前記1つ以上の放射源が、前記バルーンが膨張したときに前記バルーンの外側の位置で約20ミリワット未満の前記放射の出力パワーを生成するように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項58】
体腔の内部に配置するためのカテーテルであって、
長手方向軸に沿って延びる可撓性管路であって、近位端および遠位端を有する可撓性管路と、
前記可撓性管路に沿って位置決めされる少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路と、
前記管路の一部分の周りに配設された内腔拡張膨張可能バルーンと、
を備え、前記少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と前記少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、前記バルーン内部に配置され、前記可撓性管路と、前記少なくとも1つの送達導波路と、前記少なくとも1つの収集導波路と、前記バルーンとを含む前記カテーテルの最大外径が、前記バルーンが膨張していないときに約1.5ミリメートル未満であることを特徴とするカテーテル。
【請求項59】
請求項58に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路と前記少なくとも1つの収集導波路とが、約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長で放射を伝送するように構成されて配置されることを特徴とするカテーテル。
【請求項60】
請求項58に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路と前記少なくとも1つの収集導波路との少なくとも一方が、グレーデッドインデックス光ファイバを備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項61】
請求項58に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路と前記少なくとも1つの収集導波路との少なくとも一方が、約0.22〜0.4の間の開口数を有することを特徴とするカテーテル。
【請求項62】
請求項58に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路が、約9〜100マイクロメートルの間のファイバコア直径を有するファイバを備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項63】
請求項58に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの収集導波路が、約50〜200マイクロメートルの間のファイバコア直径を有するファイバを備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項64】
請求項58に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路が、約50マイクロメートルのファイバコア直径を有するファイバを備え、前記少なくとも1つの収集導波路が、約100マイクロメートルのファイバコア直径を有するファイバを備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項65】
体腔の分析および治療を提供するための方法であって、
可撓性管路と、内腔拡張バルーンと、少なくとも1つの送達導波路と、少なくとも1つの収集導波路とを含むカテーテルを体腔内に挿入するステップであって、前記少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と前記少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、前記バルーン内部に配置されるステップと、
治療または分析のために指定された前記体腔の指定領域内に前記管路を操作するステップと、
前記体腔の前記指定領域内で前記バルーンを拡張するステップと、
約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長での放射を使用して、前記少なくとも1つの送達導波路の前記伝送出力端で供給される前記放射を前記体腔の前記指定領域に照射することによって、前記体腔の前記指定領域の分光分析を実行するステップであって、前記供給される放射が、前記バルーンを通過し、前記放射が、前記体腔の前記指定領域に入射し、放射が、前記バルーンを通して、前記少なくとも1つの収集導波路の前記伝送入力端に戻されるステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項66】
請求項65に記載の方法であって、治療的に前記バルーンを拡張するステップが、前記体腔を拡張することを特徴とする方法。
【請求項67】
請求項66に記載の方法であって、治療的に前記体腔を拡張するために前記バルーンを拡張するステップが、前記指定領域内で前記体腔を開拡することを特徴とする方法。
【請求項68】
請求項65に記載の方法であって、分光分析を実行するステップが、前記バルーンが拡張される間に行われることを特徴とする方法。
【請求項69】
請求項65に記載の方法であって、前記管路の前記挿入および操作と、前記バルーンの前記拡張とが、経皮経管的血管形成術に従った手順に従うことを特徴とする方法。
【請求項70】
請求項65に記載の方法であって、前記管路の前記挿入および操作と、前記バルーンの前記拡張とが、経皮経管的冠動脈血管形成術に従った手順に従うことを特徴とする方法。
【請求項71】
請求項65に記載の方法であって、前記バルーンが、前記バルーンと前記周囲の内腔組織との間の血液の流れが実質的に阻止されるように拡張されることを特徴とする方法。
【請求項72】
請求項65に記載の方法であって、前記分光分析が、血管内領域内部の周囲組織の1つ以上の病態生理学または形態学因子の特徴付けを含むことを特徴とする方法。
【請求項73】
請求項72に記載の方法であって、前記病態生理学または形態学因子が、前記血管内領域内部のプラークの存在、体積、および位置決めを特徴付けることを含むことを特徴とする方法。
【請求項74】
請求項73に記載の方法であって、前記病態生理学または形態学因子が、さらに、前記プラーク内部でのコラーゲン含有量、脂質含有量、カルシウム含有量、可燃性、または病態生理学的状態の相対的な位置付けの少なくとも1つを含むプラークの特性を含むことを特徴とする方法。
【請求項75】
請求項65に記載の方法であって、さらに、前記バルーンを拡張するときに前記指定領域に送達されるように前記内腔拡張バルーンにステントを提供するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項76】
請求項65に記載の方法であって、分光分析を実行するステップが、さらに、前記少なくとも1つの収集導波路を通して戻される前記放射に基づいて分析データを収集するステップと、前記指定領域内の対象組織に関連付けられる収集された分析データと、前記バルーン、バルーン拡張媒体、ガイドワイヤ、ステント、およびステントに配置された人工材料の少なくとも1つを含むアーティファクトに関連付けられる分析データとを区別するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項77】
請求項76に記載の方法であって、ステントに配置された人工材料と関連付けられる前記分析データが、ポリマーと関連付けられるデータを含むことを特徴とする方法。
【請求項78】
請求項76に記載の方法であって、ステントに配置された人工材料と関連付けられる前記分析データが、薬物と関連付けられるデータを含むことを特徴とする方法。
【請求項79】
請求項65に記載の方法であって、さらに、前記分光分析を使用して、前記指定領域のための適切な治療を決定するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項80】
請求項79に記載の方法であって、適切な治療を決定するステップが、挿入に最も適したステントのタイプを選択するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項81】
請求項80に記載の方法であって、挿入に最も適したステントのタイプを決定するステップが、前記ステントから溶出すべき薬物および投薬量を選択するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項82】
請求項65に記載の方法であって、分光分析を実行するステップが、前記バルーンが部分的に膨張している間に行われることを特徴とする方法。
【請求項83】
請求項82に記載の方法であって、前記バルーンが部分的に膨張している間に行われる前記分光分析が、損傷された組織の位置を計算するために使用されることを特徴とする方法。
【請求項84】
請求項83に記載の方法であって、損傷された組織の位置の前記計算が、前記バルーンの完全な膨張の前に、前記内腔内での前記管路の位置をガイドするために使用されることを特徴とする方法。
【請求項85】
請求項65に記載の方法であって、さらに、前記分光分析を使用して前記バルーンの拡張のレベルを決定するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項86】
請求項65に記載の方法であって、前記分光分析が、前記内腔の壁の360度部分で実行されることを特徴とする方法。
【請求項87】
請求項65に記載の方法であって、分光分析を実行する前記ステップが、前記少なくとも1つの送達導波路のうちの個々の送達導波路ごとに放射の送達を選択的に切り換えるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項88】
請求項87に記載の方法であって、前記選択的な切換えが、前記バルーンの円周の周りの事前定義された象限を照射するために放射を分散することを特徴とする方法。
【請求項89】
請求項87に記載の方法であって、前記選択的な切換えが、複数の放射源の選択的な操作を含むことを特徴とする方法。
【請求項90】
請求項65に記載の方法であって、分光分析を実行するステップが、1つ以上の波長範囲にわたって選択的に走査するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項91】
請求項90に記載の方法であって、分光分析を実行するステップが、約750nm〜2500nmの間の1つ以上の波長範囲を使用して走査するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項92】
請求項90に記載の方法であって、前記1つ以上の波長範囲が、約250〜930ナノメートル、1100〜1385ナノメートル、1600〜1850ナノメートル、および2100〜2500ナノメートルの範囲から選択されることを特徴とする方法。
【請求項93】
請求項90に記載の方法であって、1つ以上の波長範囲にわたって選択的に走査するステップが、1つ以上の離散的な波長を使用して走査するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項94】
請求項65に記載の方法であって、前記バルーンを拡張するステップが、前記放射の散乱、歪、および偏向の影響を実質的に最小限にする生体適合性流体を用いて前記バルーンを拡張するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項95】
請求項94に記載の方法であって、前記生体適合性流体が、二酸化炭素、食塩水、酸化ジュウテリウム、およびグリセリンからなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする方法。
【請求項96】
請求項95に記載の方法であって、前記生体適合性流体が、過飽和食塩水溶液を備えることを特徴とする方法。
【請求項97】
請求項65に記載の方法であって、分光分析を実行するステップが、さらに、前記少なくとも1つの収集導波路を通して受け取られる前記放射に基づいて分析データを収集するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項98】
請求項97に記載の方法であって、分析データを収集するステップが、約1秒未満の時間内に行われることを特徴とする方法。
【請求項99】
請求項98に記載の方法であって、さらに、前記収集された分析データを分析するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項100】
請求項65に記載の方法であって、前記分光分析中に前記内腔拡張バルーンから放出されるパワーの量が、約20ミリワット未満であることを特徴とする方法。
【請求項101】
体腔の内部に配置するためのカテーテルを形成する方法であって、
体腔内への挿入に適した長手方向軸に沿って延びる可撓性管路を提供するステップであって、前記可撓性管路が、近位端および遠位端を有するステップと、
前記可撓性管路に沿って少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路を提供するステップであって、前記少なくとも1つの送達導波路と前記少なくとも1つの収集導波路とが、約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長で放射を伝送するように構成されて配置されるステップと、
前記少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と前記少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが内腔拡張膨張可能バルーン内部に配置されるように、前記管路の一部分の周りに内腔拡張膨張可能バルーンを提供するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項102】
請求項101に記載の方法であって、さらに、
外側ジャケットの導波路の端部分を剥離すること、
前記導波路の非剥離部分を固定すること、
螺旋状に配置すべき前記導波路の前記端部分に、前記端部分を可鍛性にするのに十分な熱源を適用すること、および
コアセグメントの周りで前記導波路を回転するため、および前記導波路の固定された非剥離部分の方向に前記導波路の前記端部分を長手方向で並進するために力を加えること
によって、前記少なくとも1つの送達導波路と前記少なくとも1つの収集導波路の遠位部分とを螺旋配置に形成するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項103】
請求項102に記載の方法であって、前記導波路が、前記導波路の前記端部を回転させて長手方向に並進させるために前記力を所定の方法で加えることによって、所定の角度で螺旋状に配置されることを特徴とする方法。
【請求項104】
請求項102に記載の方法であって、前記導波路の前記非剥離部分を固定するステップが、前記コアセグメントの周りに配設された少なくとも1つの係止部材を使用して行われ、回転および並進のための前記力が、前記コアセグメントの周りに配設された回転運動および並進運動可能な部材を用いて加えられることを特徴とする方法。
【請求項105】
請求項104に記載の方法であって、前記導波路の前記端部分が、約2マイクロメートル〜2ミリメートルの範囲の距離だけ並進され、一方、前記導波路の前記端部分が、前記コアセグメントの周りで約30〜360度回転されることを特徴とする方法。
【請求項106】
請求項102に記載の方法であって、前記熱源が、約1600℃で熱を提供することを特徴とする方法。
【請求項107】
請求項101に記載の方法であって、前記バルーンが、前記管路にレーザ溶接されることを特徴とする方法。
【請求項108】
請求項101に記載の方法であって、さらに、前記少なくとも1つの送達導波路と前記少なくとも1つの収集導波路とを前記可撓性管路に隣接して維持するための導波路ホルダを設けるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項109】
請求項108に記載の方法であって、前記少なくとも1つの送達導波路と前記少なくとも1つの収集導波路とが、前記少なくとも1つの送達導波路と前記少なくとも1つの収集導波路とを前記可撓性管路に沿って設けられる前に、前記導波路ホルダと組み立てられることを特徴とする方法。
【請求項110】
請求項109に記載の方法であって、さらに、前記導波路ホルダとの前記組立て後に、前記少なくとも1つの送達導波路の前記伝送出力端を整形するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項111】
請求項109に記載の方法であって、さらに、前記導波路ホルダとの前記組立て後に、前記少なくとも1つの収集導波路の前記伝送入力端を整形するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項112】
請求項108に記載の方法であって、前記少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路を保持するための前記導波路ホルダが、複数の穴を有するホルダ本体を備えることを特徴とする方法。
【請求項113】
請求項112に記載の方法であって、さらに、前記複数の穴を前記可撓性管路の前記長手方向軸と位置合わせして固定するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項114】
請求項112に記載の方法であって、さらに、前記複数の穴を1つ以上の反射面と対応づけて位置合わせして固定するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項115】
請求項114に記載の方法であって、前記1つ以上の反射面が、多面反射要素の一部として、前記可撓性管路の周りで半径方向に配設されることを特徴とする方法。
【請求項116】
請求項114に記載の方法であって、前記1つ以上の反射面が、前記可撓性管路の前記長手方向軸と位置合わせされた円錐形状反射要素を備えることを特徴とする方法。
【請求項117】
請求項108に記載の方法であって、前記少なくとも1つの送達導波路と少なくとも1つの収集導波路とを保持するための前記導波路ホルダが、前記可撓性管路の周りで半径方向に配設された複数の溝を有するホルダ本体を備えることを特徴とする方法。
【請求項118】
体腔の内部に配置するためのカテーテルであって、
長手方向軸に沿って延びる可撓性管路であって、近位端および遠位端を有する可撓性管路と、
前記可撓性管路に沿って位置決めされた少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路であって、約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長で放射を伝送するように構成されて配置された少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路と、
前記管路の一部分の周りに配設された内腔拡張膨張可能バルーンと
を備え、前記少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と前記少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、前記バルーンの外面に沿って位置決めされることを特徴とするカテーテル。
【請求項119】
請求項118に記載のカテーテルであって、さらに、前記少なくとも1つの送達導波路と前記少なくとも1つの収集導波路との本体部分を前記可撓性管路に結合するリングを備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項120】
請求項118に記載のカテーテルであって、前記少なくとも1つの送達導波路の前記伝送出力端と前記少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、前記バルーンの前記外面に取り付けられることを特徴とするカテーテル。
【請求項121】
体腔の内部に配置するためのカテーテルであって、
長手方向軸に沿って延びる可撓性管路であって、近位端および遠位端を有する可撓性管路と、
前記可撓性管路に沿って位置決めされた少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路であって、約250〜2500ナノメートルの範囲内の波長で放射を伝送するように構成されて配置された少なくとも1つの送達導波路および少なくとも1つの収集導波路と、
前記管路の一部分の周りに配設された内腔拡張膨張可能バルーンと
を備え、前記少なくとも1つの送達導波路の伝送出力端と前記少なくとも1つの収集導波路の伝送入力端とが、前記バルーンの内面に取り付けられることを特徴とするカテーテル。
【請求項122】
請求項121に記載のカテーテルであって、さらに、前記少なくとも1つの送達導波路と前記少なくとも1つの収集導波路との本体部分を前記可撓性管路に結合するリングを備えることを特徴とするカテーテル。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【図10G】
【図10H】
【図10I】
【図10J】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図18D】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図19D】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図20D】
【図20E】
【図20F】
【図20G】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【図10G】
【図10H】
【図10I】
【図10J】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図18D】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図19D】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図20D】
【図20E】
【図20F】
【図20G】
【公開番号】特開2012−254345(P2012−254345A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−206725(P2012−206725)
【出願日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【分割の表示】特願2008−533765(P2008−533765)の分割
【原出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(508096910)コルノヴァ インク (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【分割の表示】特願2008−533765(P2008−533765)の分割
【原出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(508096910)コルノヴァ インク (3)
【Fターム(参考)】
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