説明

余剰汚泥移送管の洗浄装置

【課題】汚泥処理システムの稼働中において、余剰汚泥を移送する移送管の内部を確実に洗浄できる余剰汚泥移送管の洗浄装置の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、メタン発酵用の余剰汚泥を移送する余剰汚泥移送管を洗浄する洗浄装置であって、上記余剰汚泥移送管の内部に高温蒸気を噴出させる高温蒸気噴出部を備えることを特徴とする余剰汚泥移送管の洗浄装置である。本発明は、上記高温蒸気により加熱される加熱余剰汚泥と加熱前の余剰汚泥との熱交換を行う熱交換部をさらに備えるとよい。また、本発明は、上記熱交換部が上記加熱余剰汚泥を移送する余剰汚泥移送管と加熱前の余剰汚泥を移送する余剰汚泥移送管との二重管式であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、余剰汚泥移送管の洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な下水汚泥処理システムにおいて、余剰汚泥は移送管を通じて移送され、メタン発酵される。しかしながら、この余剰汚泥は、砂や微生物等の夾雑物を含有することから粘性が高い。そのため、余剰汚泥を移送する移送管は詰まりやすいという不都合がある。
【0003】
このように、余剰汚泥を移送する移送管が余剰汚泥により詰まりやすいという不都合に対し、かかる移送管の詰まりを解消するための様々な技術が提供されている。例えば、運転停止後に縦配管内に残留する混合汚泥を除去し、運転再開時に配管の閉塞の発生がない油混合汚泥処理システムにおける配管の洗浄方法等が挙げられる(特開2006−130370号公報等)。
【0004】
しかしながら、上述の油混合汚泥処理システムにおける配管の洗浄方法を実施するためには、汚泥処理システムの運転を停止する必要があることから、汚泥処理システムの稼働効率を低下させる可能性がある。
【0005】
つまり、余剰汚泥をメタン発酵するという一連のプロセスを含む汚泥処理システムを停止させることなく、汚泥処理システムの稼働中において、余剰汚泥を移送する移送管の内部を確実に洗浄できる余剰汚泥移送管の洗浄装置は、未だ提供されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−130370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、これらの不都合に鑑みてなされたものであり、汚泥処理システムの稼働中に余剰汚泥移送管の内部を確実に洗浄できる余剰汚泥移送管の洗浄装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた発明は、
メタン発酵用の余剰汚泥を移送する余剰汚泥移送管を洗浄する洗浄装置であって、
上記余剰汚泥移送管の内部に高温蒸気を噴出させる高温蒸気噴出部を備えることを特徴とする余剰汚泥移送管の洗浄装置である。
【0009】
当該余剰汚泥移送管の洗浄装置は、上記余剰汚泥移送管の内部に高温蒸気を噴出させる高温蒸気噴出部を備えることで、かかる高温蒸気噴出部から噴出される高温蒸気の熱や吐出圧力により、余剰汚泥移送管における粘性の高い余剰汚泥の移送をスムーズにすることができると共に、余剰汚泥移送管の内部に付着する余剰汚泥を十分に除去し、余剰汚泥移送管内部の詰まりを確実に洗浄することができる。さらに、この高温蒸気噴出部から噴出される高温蒸気は、上記余剰汚泥移送管を通じて余剰汚泥がメタン発酵されるまでの操業プロセスを停止させることなく噴出されることから、当該余剰汚泥移送管の洗浄装置は、余剰汚泥をメタン発酵するという一連のプロセスを含む汚泥処理システムの稼働中において、余剰汚泥移送管の洗浄を確実に達成することができる。
【0010】
当該余剰汚泥移送管の洗浄装置は、上記高温蒸気により加熱される加熱余剰汚泥と、加熱前の余剰汚泥との熱交換を行う熱交換部をさらに備えるとよい。このように、当該余剰汚泥移送管の洗浄装置が、上記高温蒸気により加熱される加熱余剰汚泥と、加熱前の余剰汚泥との熱交換を行う熱交換部を備えることで、加熱余剰汚泥から加熱前の余剰汚泥に熱が効率的に移動する。その結果、当該余剰汚泥移送管の洗浄装置は、余剰汚泥に対して噴出される高温蒸気のエネルギー量を低減でき、省エネルギー化を図ることができる。
【0011】
上記熱交換部は、上記加熱余剰汚泥を移送する余剰汚泥移送管と、加熱前の余剰汚泥を移送する余剰汚泥移送管との二重管式であるとよい。このように、上記熱交換部が上記加熱余剰汚泥を移送する余剰汚泥移送管と、加熱前の余剰汚泥を移送する余剰汚泥移送管との二重管式であることで、当該余剰汚泥移送管の洗浄装置は、上述した加熱余剰汚泥から加熱前の余剰汚泥への熱の移動をコンパクトな構成により効率的に行うことができ、余剰汚泥に対して噴出される高温蒸気のエネルギー量をより一層低減することができる。
【0012】
当該余剰汚泥移送管の洗浄装置は、上記余剰汚泥移送管の内圧を計測する移送管内圧計測部をさらに備えるとよい。このように、上記余剰汚泥移送管の内圧を計測する移送管内圧計測部をさらに備えることで、当該余剰汚泥移送管の洗浄装置は、上記汚泥処理システムの稼働中において余剰汚泥移送管の内圧を計測でき、このようにして計測される内圧データを元に余剰汚泥移送管の詰まりの状態を容易に把握することができる。
【0013】
当該余剰汚泥移送管の洗浄装置は、上記余剰汚泥移送管における余剰汚泥の流量を調整する流量調整部をさらに備えるとよい。このように、上記余剰汚泥移送管における余剰汚泥の流量を調整する流量調整部をさらに備えることにより、当該余剰汚泥移送管の洗浄装置は、例えば、上記余剰汚泥移送管により移送される余剰汚泥の流量を少なく調整し、余剰汚泥移送管内の抵抗を減少させることができる。即ち、このように余剰汚泥移送管内の抵抗が減少することから、高温蒸気噴出部から噴出される高温蒸気が、その熱や吐出圧力の低下を最小限に留めつつ、余剰汚泥移送管の内部に付着する余剰汚泥の詰まりをより効果的に圧送でき、その結果、当該余剰汚泥移送管の洗浄装置は、余剰汚泥移送管の洗浄効果をより一層向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明の余剰汚泥移送管の洗浄装置は、余剰汚泥をメタン発酵するという一連のプロセスにおいて、メタン発酵用の余剰汚泥を移送する余剰汚泥移送管の内部に高温蒸気を噴出させるものであることから、従来の課題である汚泥処理システムの稼働中における余剰汚泥移送管の確実な洗浄を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る余剰汚泥移送管の洗浄装置を含む汚泥処理システムを示すフロー図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る余剰汚泥移送管の洗浄装置を示す概略構成図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る余剰汚泥移送管の洗浄装置を含む汚泥処理システムを示すフロー図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る余剰汚泥移送管の洗浄装置を示す概略構成図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る余剰汚泥移送管の洗浄装置を含む汚泥処理システムを示すフロー図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る余剰汚泥移送管の洗浄装置を示す概略構成図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る余剰汚泥移送管の洗浄装置を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、適宜図面を参照しつつ本発明の実施の形態を詳説する。なお、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。
【0017】
(第1の実施形態に係る余剰汚泥移送管の洗浄装置)
図1の汚泥処理システムにおいて、余剰汚泥Rは、メタン発酵用の汚泥であり、余剰汚泥移送管Sにより移送され、メタン発酵装置Tによりメタン発酵される。かかる図1の汚泥処理システムにおいて、第1の実施形態に係る余剰汚泥移送管の洗浄装置は、余剰汚泥移送管Sの内部に高温蒸気Uを噴出させる。なお、余剰汚泥Rの濃度については特に限定されるものではない。また、メタン発酵装置Tの種類としては、特に限定されず、公知の装置を用いることができる。
【0018】
余剰汚泥移送管Sは、余剰汚泥Rを移送するための部材である。かかる余剰汚泥移送管Sの形状としては、内部に余剰汚泥Rを十分に通過させることができるものであれば特に限定されない。また、余剰汚泥移送管Sの内径についても、内部に余剰汚泥Rを十分に通過させることができるものであれば特に限定されない。
【0019】
図2の余剰汚泥移送管の洗浄装置1は、余剰汚泥Rを移送する余剰汚泥移送管Sを洗浄するための装置である。この余剰汚泥移送管の洗浄装置1は、高温蒸気噴出部2、高温蒸気発生部3、移送管内圧計測部4、流量調整部5を主として備える。
【0020】
高温蒸気噴出部2は、余剰汚泥移送管Sに連通し、高温蒸気Uを余剰汚泥移送管Sの内部に噴出させるための部材である。かかる高温蒸気噴出部2の構造としては、余剰汚泥移送管Sの内部に高温蒸気Uを十分に噴出できるものであれば特に限定されない。また、かかる高温蒸気噴出部2における高温蒸気Uの噴出間隔や噴出のタイミングについても、特に限定されず、例えば、毎分ごと、毎時間ごと、連続的、断続的又はこれらの組合せのパターン等が挙げられる。
【0021】
高温蒸気発生部3は、高温蒸気噴出部2から噴出される高温蒸気Uを発生させるための部材である。かかる高温蒸気発生部3の構造としては、高温蒸気Uを満足に発生させることができるものであれば特に限定されない。
【0022】
移送管内圧計測部4は、余剰汚泥移送管Sの内部の圧力を計測するための部材である。この移送管内圧計測部4は、移送管内圧計6、内圧データ処理機構7を主として備える。
【0023】
移送管内圧計6は、余剰汚泥移送管Sに配設され、余剰汚泥移送管Sの内部の圧力を計測するための部材である。かかる移送管内圧計6の構造としては、余剰汚泥移送管Sの内部に余剰汚泥Rや高温蒸気Uが存在し移送されている状態であっても余剰汚泥移送管Sの内部の圧力を十分に計測できるものであれば特に限定されない。また、余剰汚泥移送管Sにおける移送管内圧計6の配設数や配設箇所についても特に限定されない。
【0024】
内圧データ処理機構7は、上記移送管内圧計6で計測される余剰汚泥移送管Sの内部の圧力データを取得及び解析するための部材である。かかる内圧データ処理機構7の構成としては、上記移送管内圧計6で計測される余剰汚泥移送管Sの内部の圧力データを十分に取得及び解析できるものであれば特に限定されない。
【0025】
流量調整部5は、余剰汚泥移送管Sにより移送される余剰汚泥Rの流量を調整するための部材である。かかる流量調整部5は、弁8、流量データ処理機構9を主として備える。
【0026】
弁8は、余剰汚泥移送管Sに配設され、余剰汚泥移送管Sにより移送される余剰汚泥Rの流量を実際に調整する部材である。この弁8の構造としては、余剰汚泥移送管Sにより移送される余剰汚泥Rの流量を十分に調整できるものであれば特に限定されない。また、余剰汚泥移送管Sにおける弁8の配設数や配設箇所についても特に限定されない。
【0027】
流量データ処理機構9は、余剰汚泥移送管Sにおける余剰汚泥Rの流量をデータとして取得及び解析するための部材である。この流量データ処理機構9の構成としては、余剰汚泥移送管S内部の余剰汚泥Rの流量データを十分に取得及び解析できるものであれば特に限定されない。
【0028】
次に、図2を参照して、余剰汚泥移送管の洗浄装置1の使用手順について作用効果を中心に詳説する。余剰汚泥Rが余剰汚泥移送管S内部で移送されている状態において、高温蒸気噴出部2から高温蒸気Uを噴出させることで、余剰汚泥移送管の洗浄装置1は、かかる高温蒸気Uの熱や吐出圧力により、粘性の高い余剰汚泥Rの移送をスムーズにすることができると共に、余剰汚泥移送管Sの内部に付着する余剰汚泥Rを十分に除去でき、その結果、余剰汚泥移送管S内部の詰まりを確実に洗浄することができる。さらに、この高温蒸気Uは、上記余剰汚泥移送管Sを通じて余剰汚泥Rがメタン発酵されるまでの操業プロセスを停止させることなく噴出されることから、余剰汚泥移送管の洗浄装置1は、余剰汚泥Rをメタン発酵するという一連のプロセスを含む汚泥処理システムの稼働中において、余剰汚泥移送管Sの洗浄を確実に達成することができる。
【0029】
当該余剰汚泥移送管の洗浄装置1において、上記高温蒸気Uの噴出方向は、特に限定されないが、例えば、上記余剰汚泥移送管Sにおける余剰汚泥Rの移送方向と略同一である場合、余剰汚泥Rの移送方向と略同一方向に高温蒸気Uの熱及び吐出圧力が重点的に作用し、特にメタン発酵側(下流側)に配設される余剰汚泥移送管Sの内部を十分に洗浄することができる。
【0030】
また、当該余剰汚泥移送管の洗浄装置1は、移送管内圧計測部4を備えることで、上述の汚泥処理システム稼働中における余剰汚泥移送管S内部の圧力を計測でき、このようにして計測される余剰汚泥移送管Sの内圧データを取得及び解析し、余剰汚泥移送管Sの詰まりの状態を容易に把握することができる。具体的には、上述の汚泥処理システムの稼働中において、余剰汚泥移送管Sの内圧が高いと判断される場合、余剰汚泥移送管Sの内部に余剰汚泥Rが付着し詰まりが発生しており、余剰汚泥Rの移送がスムーズに行われていないことが容易に推定できる。
【0031】
また、当該余剰汚泥移送管の洗浄装置1は、流量調整部5を備えることで、上述の汚泥処理システム稼働中の余剰汚泥移送管Sにおいて移送される余剰汚泥Rの流量を容易に調整することができる。具体的には、上述の汚泥処理システムの稼働中において、例えば、余剰汚泥移送管Sの上流側に配設される流量調整部5(図2において図示せず)において余剰汚泥Rの流量を少なく調整すると、余剰汚泥移送管Sの内部を流れる余剰汚泥Rの流量が制限され、その結果、余剰汚泥移送管Sの内部の抵抗を減少させることができる。このように余剰汚泥移送管Sの内部の抵抗が減少することから、高温蒸気噴出部2から噴出される高温蒸気Uが、その熱や吐出圧力の低下を最小限に留めつつ、余剰汚泥移送管Sの内部に付着する余剰汚泥Rの詰まりをより効果的に圧送でき、その結果、当該余剰汚泥移送管の洗浄装置1は、余剰汚泥移送管Sの洗浄効果をより一層向上させることができる。
【0032】
なお、上記高温蒸気Uの吐出圧力としては、特に限定されず、例えば、0.2MPa以上であれば、当該余剰汚泥移送管の洗浄装置1は、上述した余剰汚泥移送管Sの洗浄を確実に達成することができる。また、上記高温蒸気Uの温度についても、特に限定されるものではない。
【0033】
なお、上記高温蒸気Uにより加熱された余剰汚泥Rは、粘性が低いため、余剰汚泥移送管Sの内部へ付着しにくくなる。このように余剰汚泥Rが加熱されることで、余剰汚泥移送管Sにおける余剰汚泥Rの移送が容易になる。
【0034】
(第2の実施形態に係る余剰汚泥移送管の洗浄装置)
図3の汚泥処理システムにおいて、余剰汚泥R、余剰汚泥移送管S、メタン発酵装置Tについては、図1の汚泥処理システムの場合と同様であるため、同一番号を付して説明を省略する。かかる図3の汚泥処理システムにおいて、第2の実施形態に係る余剰汚泥移送管の洗浄装置は、余剰汚泥移送管Sの内部に高温蒸気Uを噴出させるものであるが、高温蒸気Uの噴出方向が上記第1の実施形態に係る余剰汚泥移送管の洗浄装置の場合とは異なる。
【0035】
図4の余剰汚泥移送管の洗浄装置10は、余剰汚泥Rを移送する余剰汚泥移送管Sを洗浄するための装置である。かかる余剰汚泥移送管の洗浄装置10は、高温蒸気噴出部2、高温蒸気発生部3、移送管内圧計測部4、流量調整部5を主として備える。また、移送管内圧計測部4は、移送管内圧計6、内圧データ処理機構7を主として備え、流量調整部5は、弁8、流量データ処理機構9を主として備える。なお、かかる高温蒸気噴出部2、高温蒸気発生部3、移送管内圧計測部4、流量調整部5、移送管内圧計6、内圧データ処理機構7、弁8、流量データ処理機構9については、上述の余剰汚泥移送管の洗浄装置1の場合と同様であるため、同一番号を付して説明を省略する。
【0036】
次に、図4を参照して、余剰汚泥移送管の洗浄装置10の使用手順について、上記余剰汚泥移送管の洗浄装置1とは異なる作用効果を中心に詳説する。
【0037】
当該余剰汚泥移送管の洗浄装置10において、上記高温蒸気Uの噴出方向は、上記余剰汚泥移送管Sにおける余剰汚泥Rの移送方向と対向である。このように、上記高温蒸気Uの噴出方向が、上記余剰汚泥移送管Sにおける余剰汚泥Rの移送方向と対向である場合、余剰汚泥Rの移送方向に逆らい、上述の汚泥処理システムにおける上流側に対して高温蒸気Uの熱及び吐出圧力が重点的に作用し、上述の汚泥処理システムの稼働中であっても、特に余剰汚泥Rの供給側(上流側)に配設される余剰汚泥移送管Sの内部を十分に洗浄することができる。
【0038】
なお、当該余剰汚泥移送管の洗浄装置10において、上述の汚泥処理システムの稼働中における余剰汚泥移送管Sの洗浄の確実な達成、移送管内圧計測部4を備えることによる余剰汚泥移送管Sの詰まりの状態の容易な把握、流量調整部5を備えることによる余剰汚泥Rの流量の容易な調整、高温蒸気Uの温度及び吐出圧力の範囲等については、上記余剰汚泥移送管の洗浄装置1の場合と同様である。
【0039】
(第3の実施形態に係る余剰汚泥移送管の洗浄装置)
図5の汚泥処理システムにおいて、余剰汚泥R、余剰汚泥移送管S、メタン発酵装置T、高温蒸気Uについては、図1の汚泥処理システムの場合と同様であるため、同一番号を付して説明を省略する。この図5の汚泥処理システムにおいて、第3の実施形態に係る余剰汚泥移送管の洗浄装置は、余剰汚泥移送管Sの内部に高温蒸気Uを噴出させるものであるが、高温蒸気Uにより加熱される加熱余剰汚泥Vと加熱前の余剰汚泥Rとの熱交換を行う後述の熱交換部12を備えることが、上記第1の実施形態に係る余剰汚泥移送管の洗浄装置の場合とは異なる。また、図5に示す通り、加熱前の余剰汚泥Rをメタン発酵装置Tに直接移送するバイパスを設置することもできる。このバイパスは、余剰汚泥Rを移送できる移送管であり、上記余剰汚泥移送管Sと同様のものを用いることができる。かかるバイパスにおいて、加熱前の余剰汚泥Rと熱交換部12から移送される余剰汚泥Rとを混合してメタン発酵装置Tに移送することもできる。なお、高温蒸気Uは、かかるバイパス内に対しても噴出することができる。
【0040】
図6の余剰汚泥移送管の洗浄装置11は、余剰汚泥Rを移送する余剰汚泥移送管Sを洗浄するための装置である。この余剰汚泥移送管の洗浄装置11は、高温蒸気噴出部2、高温蒸気発生部3、移送管内圧計測部4、流量調整部5、熱交換部12を主として備える。また、移送管内圧計測部4は、移送管内圧計6、内圧データ処理機構7を主として備え、流量調整部5は、弁8、流量データ処理機構9を主として備える。なお、かかる高温蒸気噴出部2、高温蒸気発生部3、移送管内圧計測部4、流量調整部5、移送管内圧計6、内圧データ処理機構7、弁8、流量データ処理機構9については、上述の余剰汚泥移送管の洗浄装置1の場合と同様であるため、同一番号を付して説明を省略する。
【0041】
熱交換部12は、上記余剰汚泥移送管Sにおいて、高温蒸気Uにより加熱される加熱余剰汚泥Vと、加熱前の余剰汚泥Rとの熱交換を行うための部材である。かかる熱交換部12の構造としては、上述の加熱余剰汚泥Vと加熱前の余剰汚泥Rとの熱交換を十分に達成できるものであれば特に限定されず、例えば、二重管式、多管円筒形式、プレート式等が挙げられるが、中でも後述する二重管式であることが好ましい。
【0042】
次に、図6を参照して、余剰汚泥移送管の洗浄装置11の使用手順について、上記余剰汚泥移送管の洗浄装置1及び余剰汚泥移送管の洗浄装置10とは異なる作用効果を中心に詳説する。
【0043】
当該余剰汚泥移送管の洗浄装置11は、上記熱交換部12を備えることで、高温蒸気Uにより加熱される加熱余剰汚泥Vから、加熱前の余剰汚泥Rに熱が効率的に移動することとなる。その結果、当該余剰汚泥移送管の洗浄装置11は、加熱余剰汚泥Vにより既に加熱された余剰汚泥Rに対して高温蒸気Uを噴出することから、かかる余剰汚泥Rに対して噴出される高温蒸気のエネルギー量を低減でき、省エネルギー化を図ることができる。
【0044】
なお、当該余剰汚泥移送管の洗浄装置11において、上述の汚泥処理システムの稼働中における余剰汚泥移送管Sの洗浄の確実な達成、移送管内圧計測部4を備えることによる余剰汚泥移送管Sの詰まりの状態の容易な把握、流量調整部5を備えることによる余剰汚泥Rの流量の容易な調整、高温蒸気Uの温度及び吐出圧力の範囲等については、上記余剰汚泥移送管の洗浄装置1の場合と同様である。
【0045】
(第4の実施形態に係る余剰汚泥移送管の洗浄装置)
図7の余剰汚泥移送管の洗浄装置13は、余剰汚泥Rを移送する余剰汚泥移送管Sを洗浄するための装置である。この余剰汚泥移送管の洗浄装置13は、高温蒸気噴出部2、高温蒸気発生部3、移送管内圧計測部4、流量調整部5、二重管熱交換部14を主として備える。また、移送管内圧計測部4は、移送管内圧計6、内圧データ処理機構7を主として備える。また、流量調整部5は、弁8、流量データ処理機構9を主として備える。なお、かかる高温蒸気噴出部2、高温蒸気発生部3、移送管内圧計測部4、流量調整部5、移送管内圧計6、内圧データ処理機構7、弁8、流量データ処理機構9については、上述の余剰汚泥移送管の洗浄装置1の場合と同様であるため、同一番号を付して説明を省略する。
【0046】
二重管熱交換部14は、高温蒸気Uにより加熱される加熱余剰汚泥Vと、加熱前の余剰汚泥Rとの熱交換を行うための部材である。かかる二重管熱交換部14の構造は、余剰汚泥移送管Sが二重構造となったものであり、外管部15及び内管部16から構成される。かかる二重管式熱交換部14において、外管部15では高温蒸気Uにより加熱された加熱余剰汚泥Vが移送され、内管部16では上述の汚泥処理システムの上流から余剰汚泥Rが移送される。
【0047】
なお、上記外管部15や内管部16の内径については、余剰汚泥Rや加熱余剰汚泥Vを満足に移送することができるものであれば特に限定されない。また、上記外管部15や内管部16のそれぞれにおいて、上述の移送管内圧計6や弁8を、任意の配設箇所や配設個数を選択して配設することができる。
【0048】
次に、図7を参照して、余剰汚泥移送管の洗浄装置13の使用手順について、上記余剰汚泥移送管の洗浄装置1及び余剰汚泥移送管の洗浄装置10とは異なる作用効果を中心に詳説する。
【0049】
図7に示す通り、上述の汚泥処理システムの上流側から移送される余剰汚泥Rは、まず内管部16を通じて移送され、高温蒸気噴出部2から噴出される高温蒸気Uにより加熱され加熱余剰汚泥Vとなる。次いで、かかる加熱余剰汚泥Vは、外管部15に移送され、内管部16内部の余剰汚泥Rと熱交換を行い、上述の汚泥処理システムの下流側へと移送される。この場合において、外管部15で移送される加熱余剰汚泥Vにより内管部16内の余剰汚泥Rが加熱されることから、かかる余剰汚泥Rが高温蒸気噴出部2に達する時点で既に加熱されていることとなる。つまり、当該余剰汚泥移送管の洗浄装置13は、二重管熱交換部14を備えることで、上述した加熱余剰汚泥Vから余剰汚泥Rへの熱の移動をコンパクトな構成により効率的に行うことができ、その結果、余剰汚泥Rに対して噴出される高温蒸気のエネルギー量をより一層低減することができる。
【0050】
なお、当該余剰汚泥移送管の洗浄装置13において、上述の汚泥処理システムの稼働中における余剰汚泥移送管Sの洗浄の確実な達成、移送管内圧計測部4を備えることによる余剰汚泥移送管Sの詰まりの状態の容易な把握、流量調整部5を備えることによる余剰汚泥Rの流量の容易な調整、高温蒸気Uの温度及び吐出圧力の範囲等については、上記余剰汚泥移送管の洗浄装置1の場合と同様である。なお、かかる加熱余剰汚泥Vは、上述の高温蒸気Uにより加熱された余剰汚泥Rと同様に粘性が低いため、余剰汚泥移送管Sの内部へ付着しにくくなる。このように余剰汚泥Rが加熱されることで、余剰汚泥移送管Sにおける余剰汚泥Rの移送が容易になる。
【0051】
なお、本発明の余剰汚泥移送管の洗浄装置は、上記実施形態に限定されない。例えば、本発明の余剰汚泥移送管の洗浄装置において、余剰汚泥移送管の洗浄状態を確認する手段として、余剰汚泥移送管の表面温度を測定する手段を採用することもできる。かかる手段は、具体的には、余剰汚泥移送管の内部に高温蒸気を噴出させた後、余剰汚泥移送管の任意の箇所において、表面温度が例えば100℃以上に急激に上昇する場合、かかる任意の箇所において高温蒸気が余剰汚泥移送管内部に付着した余剰汚泥を圧出し、洗浄が達成されたと判断するものである。
【0052】
また、例えば、発明の余剰汚泥移送管の洗浄装置において、余剰汚泥等を移送するためのポンプにより、余剰汚泥移送管により移送される余剰汚泥の流量を調整することもできる。なお、かかるポンプの種類については、特に限定されず、公知のものを用いることができる。
【0053】
また、例えば、本発明の余剰汚泥移送管の洗浄装置において、高温蒸気の噴出方向を自由に変更できる機構を採用することもできる。かかる機構の種類としては、特に限定されず、公知のものを採用することができ、例えば、自動式、手動式又はこれらの組合せのパターン等が挙げられる。
【0054】
また、例えば、本発明の余剰汚泥移送管の洗浄装置において、上述した汚泥処理システム上流の余剰汚泥移送管に配設される弁を微開状態に設定し、下流の余剰汚泥移送管に配設される弁を十分解放することで、下流の余剰汚泥移送管をより短時間で強力に洗浄することができる。また、上述した汚泥処理システム下流の余剰汚泥移送管に配設される弁を微開状態に設定し、上流の余剰汚泥移送管に配設される弁を十分解放することで、上流の余剰汚泥移送管をより短時間で強力に洗浄することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上のように、本発明の余剰汚泥移送管の洗浄装置は、一般的な汚泥処理システムにおいて、余剰汚泥を移送する余剰汚泥移送管の洗浄に好適に使用され得る。
【符号の説明】
【0056】
1 余剰汚泥移送管の洗浄装置
2 高温蒸気噴出部
3 高温蒸気発生部
4 移送管内圧計測部
5 流量調整部
6 移送管内圧計
7 内圧データ処理機構
8 弁
9 流量データ処理機構
10 余剰汚泥移送管の洗浄装置
11 余剰汚泥移送管の洗浄装置
12 熱交換部
13 余剰汚泥移送管の洗浄装置
14 二重管熱交換部
15 外管部
16 内管部
R 余剰汚泥
S 余剰汚泥移送管
T メタン発酵装置
U 高温蒸気
V 加熱余剰汚泥



【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタン発酵用の余剰汚泥を移送する余剰汚泥移送管を洗浄する洗浄装置であって、
上記余剰汚泥移送管の内部に高温蒸気を噴出させる高温蒸気噴出部を備えることを特徴とする余剰汚泥移送管の洗浄装置。
【請求項2】
上記高温蒸気により加熱される加熱余剰汚泥と、加熱前の余剰汚泥との熱交換を行う熱交換部をさらに備える請求項1記載の余剰汚泥移送管の洗浄装置。
【請求項3】
上記熱交換部が、上記加熱余剰汚泥を移送する余剰汚泥移送管と、加熱前の余剰汚泥を移送する余剰汚泥移送管との二重管式である請求項1又は請求項2記載の余剰汚泥移送管の洗浄装置。
【請求項4】
上記余剰汚泥移送管の内圧を計測する移送管内圧計測部をさらに備える請求項1〜3のいずれか1項に記載の余剰汚泥移送管の洗浄装置。
【請求項5】
上記余剰汚泥移送管における余剰汚泥の流量を調整する流量調整部をさらに備える請求項1〜4のいずれか1項に記載の余剰汚泥移送管の洗浄装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−217969(P2012−217969A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89178(P2011−89178)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(500005712)熱研産業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】