説明

作動油タンクの給油口構造

【課題】作動油タンク内から大気開放口を介した外部への作動油の拡散を抑制することが可能な作動油タンクの給油口構造を提供する。
【解決手段】作動油タンク11の給油口構造において、作動油タンク11の上面11aに設けられた給油口13は、大気開放口56aを備えたキャップ30により封止されるようになっている。作動油タンク11の上面11aには、給油口13を囲むとともに大気開放口56aを覆う円筒状のカバー部材15が設けられ、該カバー部材15には排出口21が設けられている。排出口21には排出管22が挿嵌され、該排出管22にはホース57が接続されている。そして、大気開放口56aから空気とともに漏出する霧状の作動油12は、カバー部材15内から排出管22及びホース57を介して外部へ排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばブルドーザなどの建設機械の油圧システムにおける作動油を貯蔵するための作動油タンクの給油口構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ブルドーザなどの建設機械の油圧システムは、その作動油を貯蔵する作動油タンクを備えている。こうした作動油タンクは、油圧システムの稼働に伴う作動油の増減や温度変化などによって内圧が変動する。このため、作動油タンクの給油口を封止するキャップには、作動油タンクの内圧を一定に保つべく、作動油タンク内を大気開放するための大気開放口を備えたものが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
すなわち、この特許文献1のタンクキャップ(キャップ)は、タンク(作動油タンク)の給油口に装着した状態では、該タンクキャップの周縁部に設けられた外側ブリーザ孔(大気開放口)が所定の経路を介してタンク内と連通するように構成されている。
【特許文献1】特開2003−137330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1では、タンクがタンクキャップにおける所定の経路及び外側ブリーザ孔を介して呼吸するため、タンク内の霧状になった作動油の一部が外側ブリーザ孔から外部に放出されて拡散する。そして、この拡散した霧状の作動油はタンクの表面に付着し、この付着した作動油がさらに周囲の砂埃などを吸着する。このため、この吸着された砂埃などによって、タンクの表面における給油口の周辺が汚されてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、このような課題に着目してなされたものである。その目的とするところは、作動油タンク内から大気開放口を介した外部への作動油の拡散を抑制することが可能な作動油タンクの給油口構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の作動油タンクの給油口構造は、大気開放口を備えたキャップにより作動油タンクの上面に設けられた給油口が封止される作動油タンクの給油口構造において、前記作動油タンクの上面には、前記給油口を囲むとともに前記大気開放口を覆う筒状のカバー部材が設けられ、前記カバー部材には、前記大気開放口から漏出する作動油を該カバー部材の外部へ排出するための排出口が設けられている。
【0007】
この発明によれば、作動油タンク内から大気開放口を介して霧状の作動油が放出されても、この放出された作動油はカバー部材により外部への拡散が抑制され、カバー部材の内部に滞留するようになる。このため、作動油タンク内から大気開放口を介した外部への作動油の拡散が抑制されるので、作動油タンクの表面における給油口の周辺への作動油の付着が抑制される。
【0008】
本発明の作動油タンクの給油口構造において、前記排出口は、前記大気開放口から離隔した位置に設けられている。
本発明の作動油タンクの給油口構造において、前記排出口には、前記カバー部材の外側に突出する排出管が接続されている。
【0009】
本発明の作動油タンクの給油口構造において、前記カバー部材の内側には、該カバー部材を前記作動油タンクの給油口と対応する位置に支持するための支持部が設けられている。
【0010】
本発明の作動油タンクの給油口構造において、前記作動油タンクの上面における前記カバー部材の内側には前記給油口を囲むように筒状の給油通路形成部材が設けられ、該給油通路形成部材の上端開口が前記キャップにより封止される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、作動油タンク内から大気開放口を介した外部への作動油の拡散を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は建設機械の一種であるブルドーザの油圧システムに備えられた作動油タンクの給油口構造を示す概略断面図である。図1に示すように、作動油タンク11は、略直方体状をなしており、その内部には作動油12が貯留されている。作動油タンク11の上壁には、作動油タンク11の内部に作動油12を補給するための給油口13が貫通するように形成されている。
【0013】
作動油タンク11の上面11aには、給油口13を囲むように円筒状の給油通路形成部材14が立設されている。給油通路形成部材14の上端部には、水平方向に延びるフランジ14aが設けられている。また、作動油タンク11の上面11aには、給油通路形成部材14を囲むように円筒状のカバー部材15がパッキン16を介して立設されている。この場合、給油通路形成部材14の外面とカバー部材15の内面との間には隙間が形成されている。
【0014】
ここで、カバー部材15の構成について詳述する。
図2はカバー部材15を上方から見た場合の斜視図であり、図3はカバー部材15を下方から見た場合の斜視図である。
【0015】
図2及び図3に示すように、カバー部材15は、円筒状の本体カバー17を備えている。本体カバー17の上端部及び下端部は、全周にわたって内向きフランジ状をなすように直角に屈曲されている。そして、本体カバー17の下面には、該下面と対応した円環板状をなすパッキン16が貼着されている。また、本体カバー17の内周面において、上下方向における中央部よりも上側寄りの位置には、支持部としての円環板状の支持部材18が水平に配設されている。すなわち、支持部材18は、その外周縁において本体カバー17の内周面に固定されている。
【0016】
また、支持部材18の外周縁部には、該支持部材18の周方向に沿って複数(本実施形態では3つ)の切欠部19が等間隔となるように形成されている。したがって、本体カバー17の内周面と支持部材18の各切欠部19との間には、それぞれ隙間が形成されている。さらに、支持部材18における各切欠部19よりも内側の位置には、支持部材18の周方向に沿って複数の貫通孔20が等間隔となるように形成されている。なお、支持部材18の内径は、給油通路形成部材14(図1参照)の内径よりも大きく設定されている。
【0017】
また、本体カバー17の下端部寄りの一箇所には、該本体カバー17を貫通するように排出口21(図1参照)が形成されている。排出口21には円筒状の排出管22が挿嵌されており、排出管22は本体カバー17の外側に水平方向に突出している。
【0018】
図1に示すように、カバー部材15の支持部材18の下面は、給油通路形成部材14のフランジ14aの上面と面接触している。さらに、カバー部材15の支持部材18の上面には、円環状の固定部材23が載置されている。すなわち、カバー部材15の支持部材18の上面は、固定部材23の下面と面接触している。固定部材23の内径は、給油通路形成部材14の内径と同じになるように設定されている。一方、固定部材23の外径は、給油通路形成部材14のフランジ14aの外径と同じになるように設定されている。
【0019】
給油通路形成部材14のフランジ14aにおいて、カバー部材15の支持部材18の各貫通孔20(図2参照)と対応する位置には、フランジ14aを上下に貫通する図示しないねじ穴がそれぞれ形成されている。また、固定部材23の周縁部において、カバー部材15の支持部材18の各貫通孔20(図2参照)と対応する位置には、固定部材23を上下に貫通する図示しないキリ穴が形成されている。
【0020】
固定部材23とフランジ14aとは、各キリ穴(図示略)、各ねじ穴(図示略)においてそれぞれボルト24により共締めされている。この場合、各ボルト24は、支持部材18の各貫通孔20(図2参照)にそれぞれ挿通されている。すなわち、固定部材23は各ボルト24によって給油通路形成部材14に螺着されているとともに、カバー部材15の支持部材18は固定部材23と給油通路形成部材14とにより挟持されている。
【0021】
固定部材23の上面における内側部分には、該上面における他の部分よりも高さが低い段差部25が全周にわたって形成されている。段差部25の周面における上端には、内側へ突出する複数の係止凸部26が、周方向に沿って等間隔となるように設けられている。固定部材23の段差部25上には、該固定部材23の開口を封止するキャップ30が着脱自在に装着されている。
【0022】
キャップ30は、下側が開口した有底円形箱状をなすキャップ本体31と、該キャップ本体31の内底面に複数の支持柱33を介して固定された断面視略M字状をなすインナーキャップ32とを備えている。インナーキャップ32の上面における中央部には、下方に向かうほど内径が徐々に小さくなる逆円錐台状をなす第1上側凹部34が設けられている。一方、インナーキャップ32の下面における中央部には、第1下側凹部35が設けられている。第1下側凹部35の内径は、給油通路形成部材14の内径と同じになるように設定されている。そして、第1上側凹部34と第1下側凹部35とは、第1連通孔36を介して連通している。
【0023】
また、インナーキャップ32内には、断面視逆T字状をなす第1弁体支持部材37が収容されている。すなわち、第1弁体支持部材37は、第1下側凹部35内に配置された円形ブロック状の基部38と、該基部38の上面における中央部から上方に向かって延びる柱部39とを備えている。この場合、柱部39は第1連通孔36を介して第1上側凹部34に挿通され、該柱部39の先端は第1上側凹部34よりも上側に達している。
【0024】
また、柱部39の上端部には、円環状の第1弁体40が嵌められた状態で固定されている。第1弁体40の下端部周縁には第1上側凹部34の内周面と対応する第1テーパ面40aが形成されており、該第1テーパ面40aは第1上側凹部34の内周面に密着している。したがって、第1上側凹部34の内周面は、第1弁体40の弁座として機能するようになっている。第1弁体40の上面には、柱部39を囲むように、円環状の凹溝40bが設けられている。
【0025】
凹溝40bには第1コイルばね41の下端部が挿入された状態で支持され、該第1コイルばね41の上端はキャップ本体31の内底面に当接している。キャップ本体31の内底面には、第1コイルばね41の上端部を囲むように、円環状の凸部42が設けられている。したがって、第1コイルばね41は、凹溝40bと凸部42とによって位置決めがなされるとともに、第1弁体40を下方に向かって常に付勢している。すなわち、第1コイルばね41は、第1弁体40が閉弁状態となるように、常に第1弁体40を付勢している。
【0026】
第1弁体支持部材37の柱部39の上面における中央部には、該柱部39とほぼ同じ深さの第2上側凹部43が設けられている。一方、第1弁体支持部材37の基部38の下面における中央部には、上方に向かうほど内径が徐々に小さくなる円錐台状をなす第2下側凹部44が設けられている。そして、第2上側凹部43と第2下側凹部44とは、第2連通孔45を介して連通している。
【0027】
また、第1弁体支持部材37内には、断面視T字状をなす第2弁体支持部材46が収容されている。第2弁体支持部材46は、第1弁体支持部材37の柱部39とキャップ本体31の内底面との間に位置する円板状のばね受け部47と、該ばね受け部47の下面における中央部から下方に向かって延びる棒状のロッド部48とを備えている。この場合、ロッド部48は第2上側凹部43、第2連通孔45、及び第2下側凹部44に挿通され、該ロッド部48の先端は第2下側凹部44よりも下側に達している。
【0028】
ロッド部48の下端部には、円環状の第2弁体49が嵌められた状態で固定されている。第2弁体49の周面と上面との間には第2下側凹部44の内周面と対応する第2テーパ面49aが形成されており、該第2テーパ面49aは第2下側凹部44の内周面に密着している。したがって、第2下側凹部44の内周面は、第2弁体49の弁座として機能するようになっている。また、第1弁体支持部材37の第2上側凹部43の底面と第2弁体支持部材46のばね受け部47の下面との間には、ロッド部48を囲むように第2コイルばね50が配設されている。そして、第2コイルばね50は、第2弁体支持部材46を常に上方に向かって付勢している。すなわち、第2コイルばね50は、第2弁体49が閉弁状態となるように、第2弁体支持部材46を介して常に第2弁体49を付勢している。
【0029】
インナーキャップ32の上面には、第1上側凹部34を囲むように、円環状の凹溝51が設けられている。凹溝51には、断面視矩形状をなす円環状のスポンジからなるフィルタ52の下端部が嵌着されている。フィルタ52の上面は、凸部42を囲んだ状態でキャップ本体31の内底面に当接している。
【0030】
また、インナーキャップ32の外周面における下端には、外側へ突出する複数の係止部53が、周方向に沿って等間隔となるように設けられている。そして、インナーキャップ32の下面を固定部材23の段差部25に接触させた状態でキャップ30を所定角度だけ回動することで、インナーキャップ32の各係止部53が固定部材23の各係止凸部26によってそれぞれ係止されるようになっている。これにより、キャップ30は、固定部材23に対して該固定部材23の開口を封止するように装着されるようになっている。
【0031】
また、キャップ本体31の下面における外周縁部には、キャップ本体31の全周にわたって切欠凹部54が形成されている。切欠凹部54には、該切欠凹部54と対応する円環状のシール部材55が接着されている。そして、キャップ30が固定部材23に対して装着された状態では、キャップ本体31の下面がカバー部材15の上面に当接するとともに、カバー部材15の上面にシール部材55が密着するようになっている。すなわち、キャップ30が固定部材23に対して装着された状態では、キャップ本体31がカバー部材15の上端開口を密閉するようになっている。
【0032】
また、キャップ本体31の内周面とインナーキャップ32の外周面との間には全周にわたって隙間が形成され、該隙間により大気開放通路56が構成されている。大気開放通路56の下端はカバー部材15内に開口した大気開放口56aとされている。したがって、大気開放口56aは、カバー部材15によって覆われている。また、排出口21は、カバー部材15(本体カバー17)の周壁における下端部に形成されているため、キャップ30の大気開放口56aから離隔した位置にあると言える。そして、カバー部材15の外側において、排出口21に挿嵌された排出管22には可撓性のホース57の一端側が接続されている。一方、ホース57の他端側は作動油タンク11から離隔した位置に配置されている。
【0033】
次に、作動油タンク11の給油口構造の作用について説明する。
さて、油圧システムの稼働に伴う作動油12の増減や温度変化などによって作動油タンク11内の圧力が大気圧よりも所定値以上高くなった場合には、図4に示すように、該圧力により第1弁体支持部材37が第1コイルばね41の付勢力に抗して押し上げられる。すると、第1弁体支持部材37が押し上げられることにともなって、第1弁体40が上昇する。これにより、第1弁体40の第1テーパ面40aが第1上側凹部34の内周面から離間し、第1テーパ面40aと第1上側凹部34の内周面との間に隙間が形成された状態となる。すなわち、第1弁体40が開弁されて、作動油タンク11内が大気開放状態となる。
【0034】
すると、作動油タンク11内の空気とともに作動油タンク11内の霧状になった作動油12(以下、「オイルミスト」と言う。)が給油口13から給油通路形成部材14内の給油通路を介してインナーキャップ32の第1下側凹部35内に流れ込む。このとき、給油通路形成部材14内の給油通路により、給油口13から第1下側凹部35内までの距離が長くなるので、オイルミストの上昇を抑制することができる。
【0035】
そして、第1下側凹部35内に流れ込んだオイルミスト及び空気は、第1連通孔36、及び、第1弁体40の第1テーパ面40aと第1上側凹部34の内周面との間の隙間を通ってインナーキャップ32の上側に流れ込む。引き続き、オイルミスト及び空気は、フィルタ52を通過して大気開放通路56に流れ込む。このとき、オイルミストは、フィルタ52によってその一部が捕集される。引き続き、オイルミスト及び空気は、大気開放口56aからカバー部材15内の空間に流れ込む。
【0036】
このとき、オイルミストは、カバー部材15の作用により、該カバー部材15の外部へ拡散することが抑制される。このため、オイルミストが給油口13の周囲の作動油タンク11の表面に付着することを抑制することができる。したがって、作動油タンク11の表面に付着したオイルミストが周囲の砂埃を吸着することを抑制することができる。この結果、砂埃によって作動油タンク11の表面が汚されることを抑制することができ、作動油タンク11の外観性能を確保することができる。
【0037】
引き続き、オイルミスト及び空気は下方に向かって流れ、排出管22内に流れ込む。このとき、オイルミストの一部は、インナーキャップ32の外面、カバー部材15の内面、固定部材23の外面、給油通路形成部材14の外面、及びカバー部材15内における作動油タンク11の上面11aに付着する。さらにこのとき、排出管22は大気開放口56aから離隔したカバー部材15の下端部に位置しているため、大気開放口56aから排出管22へ至るまでの通路の圧力損失を大きくすることができる。このため、排出管22内に空気とともに流れ込むオイルミストの量や勢いを効果的に低減することができる。そして、排出管22内に流れ込んだオイルミスト及び空気は、ホース57を介して作動油タンク11から離隔した位置に排出される。これにより、作動油タンク11内の圧力は、低下する。
【0038】
その後、作動油タンク11内の圧力が所定値よりも低くなった場合には、第1弁体40が第1弁体支持部材37とともに第1コイルばね41の付勢力によって押し下げられる。これにより、第1弁体40の第1テーパ面40aが第1上側凹部34の内周面に密着し、第1テーパ面40aと第1上側凹部34の内周面との間の隙間がなくなる。すなわち、第1弁体40が閉弁されて、作動油タンク11内が大気と遮断された状態となる。
【0039】
また、油圧システムの稼働に伴う作動油12の増減や温度変化などによって作動油タンク11内に所定値以上大きい負圧が生じた場合には、図5に示すように、該負圧力により第2弁体支持部材46が第2コイルばね50の付勢力に抗して引き下げられる。すると、第2弁体支持部材46が引き下げられることにともなって、第2弁体49が下降する。これにより、第2弁体49の第2テーパ面49aが第2下側凹部44の内周面から離間し、第2テーパ面49aと第2下側凹部44の内周面との間に隙間が形成された状態となる。すなわち、第2弁体49が開弁されて、作動油タンク11内が大気開放状態となる。
【0040】
すると、ホース57から排出管22を介してカバー部材15内の空間に大気が流入する。引き続き、カバー部材15内の空間に流入した大気は、大気開放口56aから大気開放通路56に流れ込む。引き続き、大気開放通路56に流れ込んだ大気は、フィルタ52を通過して第1弁体支持部材37の第2上側凹部43内に流れ込む。このとき、大気に含まれる砂埃はフィルタ52によって濾過されるので、第2上側凹部43内に流れ込む大気をクリーンにすることができる。
【0041】
引き続き、第2上側凹部43内に流れ込んだ大気は、第2連通孔45、及び、第2弁体49の第2テーパ面49aと第2下側凹部44の内周面との間の隙間を通って給油通路形成部材14内の給油通路に流れ込む。引き続き、給油通路形成部材14内の給油通路に流れ込んだ大気は、作動油タンク11内に流れ込む。これにより、作動油タンク11内の負圧は、小さくなる。
【0042】
その後、作動油タンク11内の負圧が所定値よりも小さくなった場合には、第2コイルばね50の付勢力によって第2弁体支持部材46が押し上げられる。すると、これに伴って第2弁体49が上昇され、第2弁体49の第2テーパ面49aが第2下側凹部44の内周面に密着する。これにより、第2弁体49の第2テーパ面49aと第2下側凹部44の内周面との間の隙間がなくなる。すなわち、第2弁体49が閉弁されて、作動油タンク11内が大気と遮断された状態となる。
【0043】
(変更例)
なお、上記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・給油通路形成部材14は、省略してもよい。
【0044】
・排出管22は、省略してもよい。
・排出口21は、カバー部材15(本体カバー17)の周壁における任意の位置に形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施形態において、作動油タンクの給油口構造を示す概略断面図。
【図2】実施形態において、カバー部材を上方から見た場合の斜視図。
【図3】実施形態において、カバー部材を下方から見た場合の斜視図。
【図4】実施形態において、第1弁体の開弁状態を示す断面図。
【図5】実施形態において、第2弁体の開弁状態を示す断面図。
【符号の説明】
【0046】
11…作動油タンク、11a…作動油タンクの上面、12…作動油、13…給油口、14…給油通路形成部材、15…カバー部材、18…支持部としての支持部材、21…排出口、22…排出管、30…キャップ、56a…大気開放口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気開放口を備えたキャップにより作動油タンクの上面に設けられた給油口が封止される作動油タンクの給油口構造において、
前記作動油タンクの上面には、前記給油口を囲むとともに前記大気開放口を覆う筒状のカバー部材が設けられ、
前記カバー部材には、前記大気開放口から漏出する作動油を該カバー部材の外部へ排出するための排出口が設けられていることを特徴とする作動油タンクの給油口構造。
【請求項2】
前記排出口は、前記大気開放口から離隔した位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の作動油タンクの給油口構造。
【請求項3】
前記排出口には、前記カバー部材の外側に突出する排出管が接続されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の作動油タンクの給油口構造。
【請求項4】
前記カバー部材の内側には、該カバー部材を前記作動油タンクの給油口と対応する位置に支持するための支持部が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の作動油タンクの給油口構造。
【請求項5】
前記作動油タンクの上面における前記カバー部材の内側には前記給油口を囲むように筒状の給油通路形成部材が設けられ、該給油通路形成部材の上端開口が前記キャップにより封止されることを特徴とする請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の作動油タンクの給油口構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−286324(P2008−286324A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−132701(P2007−132701)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】