作業者配置支援装置
【課題】
作業者の人数不足によって、スループットや、製造リードタイムや、停滞する仕掛り量などの生産指標が悪化する勤務シフトを予測値とともに提示して、作業者の勤務計画や配置計画の作成を支援することが可能な作業者配置支援装置を提供する。
【解決手段】
実製造ラインの勤務シフトを再現した作業者の人数に制約があるモデルを使用した生産シミュレーションによって、シフト時間区間毎に、各工程または各製造装置における生産指標の第1の統計値を算出し、作業者の人数に制約がないモデルを使用した生産シミュレーションによって、シフト時間区間毎に、各工程または各製造装置の生産指標の第2の統計値を算出し、前記第1の統計値と前記第2の統計値を比較することによって、各工程または各製造装置の生産指標の悪化が発生する前記作業者のシフト時間区間を特定する。
作業者の人数不足によって、スループットや、製造リードタイムや、停滞する仕掛り量などの生産指標が悪化する勤務シフトを予測値とともに提示して、作業者の勤務計画や配置計画の作成を支援することが可能な作業者配置支援装置を提供する。
【解決手段】
実製造ラインの勤務シフトを再現した作業者の人数に制約があるモデルを使用した生産シミュレーションによって、シフト時間区間毎に、各工程または各製造装置における生産指標の第1の統計値を算出し、作業者の人数に制約がないモデルを使用した生産シミュレーションによって、シフト時間区間毎に、各工程または各製造装置の生産指標の第2の統計値を算出し、前記第1の統計値と前記第2の統計値を比較することによって、各工程または各製造装置の生産指標の悪化が発生する前記作業者のシフト時間区間を特定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子、磁気記憶装置、フラットディスプレイ、プリント基板などの電子デバイス製品、および、自動車、エレベータ、エスカレータ、建設機械などの産業機械製品、製油、製薬、食品加工などの連続加工される製品を対象とする製造現場における作業者配置支援装置および作業者配置支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
作業者が複数の装置を掛け持ち、さらに製造物の搬送も人手が担うような製造ラインで生産効率を向上させるためには、作業者の人数、配置を適正化する必要がある。ところが、多品種が混流する製造ラインでは、製造工程の並びが品種によって異なるため、各工程への製造物の到着はばらつき、製造装置への負荷は変動する。また、作業者の出勤状況などによって、各工程の生産能力も変動するため、各工程、各装置において、スループットや、製造リードタイムや、停滞する仕掛り量などの生産指標が、作業者の人数不足によっていつ悪化するかの予測が難しい。
【0003】
本技術分野の背景技術として、特開2009−289056号公報(特許文献1)がある。この公報には、作業者の負荷や余裕がどの程度あるのかを提示して人員配置計画を支援するため、該当するシフトおよびエリアを担当する作業者を設定する人的能力テーブル、作業負荷量を設定する作業負荷テーブルを用意し、「各作業者の作業従事時間および処理スピードに応じて作業負荷を各作業者に割付け、各作業者の負荷率および積み残し負荷を算出する」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−289056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1は、生産シミュレーションによって算出した作業者毎の負荷率と積み残し負荷で、作業者毎の負荷と余裕を定量化し、提示することによって、作業者の配置計画を支援する。しかし、作業者の負荷を平均化するように作業者の配置を計画したとしても、一般には作業者個々の能力にばらつきが存在するため、工程毎の生産量に変動が発生し、必要な生産量を達成するためのスループット向上や製造リードタイムの短縮など、生産効率の向上を実現できない場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、スループットや、製造リードタイムや、停滞する仕掛り量などの、生産指標が、作業者の人数不足によって悪化する勤務シフトを、どれだけ生産指標が悪化するかの定量的な予測値とともに提示して、作業者の勤務計画や配置計画の作成を支援することが可能な作業者配置支援装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は上記課題を解決する手段を含んでいるが、その一例を挙げるならば、
1人以上の作業者が1台以上の製造装置を担当し、それらの製造装置が複数の工程で共用されている製造ラインを対象として、作業者の人数不足によって生産指標が悪化する勤務シフトを特定して、それを提示し、作業者の勤務計画や配置計画の作成を支援する作業者配置支援装置であって、該作業者配置支援装置は、制御部と、記憶部と、入力部と、出力部と、通信部とを備え、前記記憶部は、製造物の品種別の製造工程と製造工程で必要な作業者人数と製造装置を特定する情報を格納する工程経路情報記憶領域と、製造装置停止計画記憶領域と、投入する予定の製造物のロットの投入計画記憶領域と、製造ライン内に存在するロットの仕掛り情報記憶領域と、製造ラインを構成している製造装置情報記憶領域と、製造物の品種別に各作業者が担当可能な工程を特定する作業者情報記憶領域と、稼働日毎に昼勤、夜勤とを担当する班を特定する情報を含む勤務シフト計画記憶領域と、作業者勤務計画記憶領域とを有し、前記制御部は、前記入力部または前記通信部を介して、製造装置、作業者、製造される製造物の動きをモデル化して、それらの動きを予測する生産シミュレータを使用して、製品毎の工程の順序を表す工程経路情報、各工程の工程時間情報、製造装置の停止計画、新規の製造物の投入計画、シミュレーション開始時刻の仕掛り情報、シミュレーション開始時刻の製造装置情報、各作業者の担当可能な作業情報、および各作業者の勤務計画情報を入力する情報取得管理部と、前記工程経路情報、前記工程時間情報、製造装置の停止計画、新規の製造物の投入計画、シミュレーション開始時刻の仕掛り情報、シミュレーション開始時刻の製造装置情報に従って、作業者の人数に制約がない製造装置、製造される製造物の動きのモデルを使用して、シフト時間区間毎に製造装置、作業者、製造される製造物の動きを予測するシミュレーションを実行し、シフト時間区間の各工程または各製造装置の生産指標の第1の統計値を算出する生産シミュレーション部と、前記工程経路情報、前記工程時間情報、製造装置の停止計画、新規の製造物の投入計画、シミュレーション開始時刻の仕掛り情報、シミュレーション開始時刻の製造装置情報、各作業者の担当可能な作業情報、および各作業者の勤務計画情報に従って、実製造ラインの勤務シフトを再現した作業者の人数に制約があるモデルを使用して、前記シフト時間区間毎に製造装置、作業者、製造される製造物の動きを予測するシミュレーションを実行し、当該シフト時間区間の各工程または各製造装置の生産指標の第2の統計値を算出する作業者シミュレーション部と、前記第1の統計値と前記第2の統計値を比較して、各工程または各製造装置の生産指標の悪化が発生する前記作業者のシフト時間区間を特定して、前記出力部を介して、作業者配置評価結果を出力する作業者過不足評価部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、作業者の人数不足が原因で、スループットや、製造リードタイムや、停滞する仕掛り量などの、生産指標が悪化する勤務シフトを、どれだけ生産指標が悪化するかの定量的な予測値とともに提示し、作業者の勤務計画や配置計画の作成を支援することが可能となる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施の形態にて対象とする製造ラインのモデル例を示す概略図である。
【図2】作業者配置支援システムの構成図の例である。
【図3】作業者配置評価装置の構成図の例である。
【図4】作業者配置評価装置における工程経路情報テーブルの例である。
【図5】作業者配置評価装置における製造装置停止計画テーブルの例である。
【図6】作業者配置評価装置における投入計画テーブルの例である。
【図7】作業者配置評価装置における仕掛り情報テーブルの例である。
【図8】作業者配置評価装置における製造装置情報テーブルの例である。
【図9】作業者配置評価装置における作業者情報テーブルの例である。
【図10】作業者配置評価装置における勤務シフト計画テーブルの例である。
【図11】作業者配置評価装置における作業者勤務計画テーブルの例である。
【図12】作業者配置評価装置を実現するためのハードウェア構成の概略図である。
【図13】作業者配置評価装置が行う処理を示すフローチャートである。
【図14】作業者配置評価装置が生成する出力情報の一例である出力画面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は本発明の一実施の形態において対象とする製造ラインのモデルの一例を示す概略図である。
製造ライン500は、製造ラインの全体モデルを示す。通常、製造ラインにおいては、作業者を複数のグループに分割する。そして、各グループにおいて受け持つ作業区画が定義される。本実施例では、この作業区画をエリアと呼ぶ。
【0011】
図1の製造ライン500においては、5つのエリアに分割されている。エリアとエリアの間には、通路510が設けられている。この通路510を用いてエリア間を製造物が運搬される。
例えば、図1の製造ラインのエリア4を拡大した図が、下のエリア520である。各エリアには複数の製造装置530と、複数の作業者540が配置されている。作業者540は、装置530で、製造物550の加工処理や、組立や、洗浄や、検査などをする。
【0012】
図2は本実施例の作業者配置支援システムの構成図である。
作業者配置支援システム100は、作業者配置評価装置110と、計画情報管理装置120と、製造ライン管理装置130と、製造情報管理装置140と、作業者情報管理装置150と、シミュレーション装置160とを備え、これらはネットワーク190を介して相互に情報の送受信を行うことができる。
【0013】
計画情報管理装置120は、製造物の出荷計画、製造物の製造ラインへの新機の投入計画、製造装置の保守計画、作業者の出勤計画、作業者の配置計画などの製造に関する全ての計画を管理し、予め定められたとき又は作業者配置評価装置110からの要求に応じて、計画情報を作業者配置評価装置110に送信する。
【0014】
そして、製造ライン管理装置130は、予め定められたとき又は作業者配置評価装置110からの要求に応じて、作業実績情報を作業者配置評価装置110に送信する。そして、製造ライン管理装置130は、1台で全ての製造ラインの作業実績情報を管理する場合もあり、また生産ラインの数だけ複数設置される場合もある。
【0015】
そして、製造情報管理装置140は、各工程の生産能力や、製造物ごとの工程経路や処理できる製造装置などの工程経路情報などを管理し、予め定められたとき又は作業者配置評価装置110からの要求に応じて、生産能力や工程経路情報を作業者配置評価装置110に送信する。
【0016】
そして、作業者情報管理装置150は、作業者毎の担当可能な作業や操作できる製造装置に関する情報など作業者能力情報や、作業者が所属する班などの情報を管理し、予め定められたとき又は作業者配置評価装置110からの要求に応じて、作業者情報を作業者配置評価装置110に送信する。
【0017】
そして、シミュレーション装置160は、製造ライン・生産プロセスのシミュレーションモデルを、コンピュータ上に作成する。そのモデルの中で、品種毎の工程経路と、製造物間の処理優先度を決めるための種々のディスパッチルールに従って、製造装置と,作業者と、他の製造物とが原因で発生する進行上の制約とを、コンピュータ上で再現することによって、製造ライン・生産プロセス全体の時間推移を模擬し、製造ラインに投入された全ての製造物の進行計画を作成する。作成した全ての製造物の進行計画から、製品/品種別、プロセス別、工程別、製造装置、作業者別などの、各種統計データを出力することができる。
【0018】
シミュレーションモデルの中で考慮する実物の情報、精度に応じて、シミュレーション結果の精度にも差違は予測されるが、本実施の形態では、既存の生産シミュレータのシミュレーション方式を特定せずに利用するものとする。例えば、製造ライン・生産プロセスのシミュレーションには、一般に、離散事象型のシミュレーション方式が利用される。
【0019】
また、シミュレーションモデルの作成の際に、本実施の形態に特有の入力仕様を備え、その入力仕様によって入力されたデータを、シミュレーションモデルに含むものを実行可能とする。
【0020】
なお、図2に示す例では、シミュレーション装置160は作業者配置評価装置110とは異なる装置において実現した形態を示しているが、シミュレーション装置160の機能が、作業者配置評価装置110の中に組み込まれた形態も考えられる。
【0021】
図3は、作業者配置評価装置110の構成図である。図示するように、作業者配置評価装置110は、記憶部111と、制御部112と、入力部113、出力部114、通信部115とを備える。
【0022】
記憶部111は、工程経路情報記憶領域1111と、製造装置停止計画記憶領域1112と、投入計画記憶領域1113と、仕掛り情報記憶領域1114と、製造装置情報記憶領域1115と、作業者情報記憶領域1116と、勤務シフト計画記憶領域1117と、作業者勤務計画記憶領域1118とを備える。
【0023】
工程経路情報記憶領域1111には、製造物の品種別に製造工程と、各々の製造工程で必要な作業者の人数と、使用することのできる製造装置とを特定する情報が格納される。例えば、本実施の形態においては、製造物の品種毎に、図4(工程経路情報テーブル1111aの概略図)に示すような工程経路情報テーブル1111aが、工程経路情報記憶領域1111に記憶される。
【0024】
工程経路情報テーブル1111aは、工程No欄1111bと、工程名称欄1111cと、処理時間欄1111dと、作業者数欄1111eと、装置名称欄1111fとを有する。
【0025】
工程No欄1111bには、製造物の製造工程を一意に識別することのできる識別情報である工程Noを特定する情報が格納される。
【0026】
工程名称欄1111cには、工程No欄1111bで識別される工程を識別するための工程名を特定する情報が格納される。
【0027】
処理時間欄1111dには、工程No欄1111bおよび工程名称欄1111cで特定される工程にかかる処理時間を特定する情報が格納される。
【0028】
作業者数欄1111eには、工程No欄1111bおよび工程名称欄1111cで特定される工程で必要な作業者数を特定する情報が格納される。
【0029】
装置名称欄1111fには、工程No欄1111bおよび工程名称欄1111cで特定される工程で使用することのできる製造装置の名称を特定する情報が格納される。
【0030】
例えば、本実施の形態においては、製造装置欄1111fには、適用装置1名称欄1111g、適用装置2名称欄1111h、適用装置3名称欄1111i、・・・、というように工程No欄1111bおよび工程名称欄1111cで特定される工程で使用することのできる全ての製造装置の名称が列挙される。
【0031】
また、製造装置停止計画記憶領域1112には、予定している製造装置の停止毎に、停止する製造装置名と、停止時の作業内容と、停止時の作業に必要な作業者の人数と、停止を開始する予定の時刻と、保守を終了する予定の時刻とを特定する情報が格納される。例えば、本実施の形態においては、図5(製造装置停止計画テーブル1112aの概略図)に示すような製造装置停止計画テーブル1112aが装置停止計画記憶領域1112に記憶される。
【0032】
製造装置停止計画テーブル1112aは、停止No欄1112bと、装置名称欄1112cと、作業内容欄1112dと、作業者数欄1112eと、停止開始時刻欄1112fと、停止終了時刻欄1112gとを有する。
【0033】
停止No欄1112bには、各々の装置停止事象を一意に識別することのできる識別情報である停止Noを特定する情報が格納される。
【0034】
装置名称欄1112cには、停止No欄1112bで識別される装置停止事象で対象とする製造装置の名称を特定する情報が格納される。
【0035】
作業内容欄1112dには、停止No欄1112bと装置名称欄1112cで特定される製造装置の停止において、停止の理由となる作業内容を特定する情報が格納される。
【0036】
作業者数欄1112eには、停止No欄1112bと装置名称欄1112cで特定される製造装置の停止において、停止の理由となる作業を実施するのに必要な作業者の人数を特定する情報が格納される。
【0037】
停止開始時刻欄1112fには、停止No欄1112bと装置名称欄1112cで特定される製造装置の停止を開始する予定の時刻を特定する情報が格納される。
【0038】
停止終了時刻欄1112gには、停止No欄1112bと装置名称欄1112cで特定される製造装置の停止を終了する予定の時刻を特定する情報が格納される。
【0039】
また、投入計画記憶領域1113には、投入する予定の製造物のロットIDと、品種名称と、出荷要求日と、数量と、投入を予定している日とを特定する情報が格納される。例えば、本実施の形態においては、図6(投入計画テーブル1113aの概略図)に示すような投入計画テーブル1113aが投入計画案記憶領域1113に記憶される。
【0040】
投入計画テーブル1113aは、ロットID欄1113bと、品種名称欄1113cと、出荷要求日欄1113dと、数量欄1113eと、投入日欄1113fとを備える。
【0041】
ロットID欄1113bには、各々の製造物の製造単位のロットを一意に識別することのできる識別情報であるロットIDを特定する情報が格納される。
【0042】
品種名称欄1113cには、ロットID欄1113bで特定される製造物の品種名称を特定する情報が格納される。
【0043】
出荷要求日欄1113dには、ロットID欄1113bで特定される製造物の出荷要求年月日を特定する情報が格納される。
【0044】
数量欄1113eには、ロットID欄1113bで特定されるロットに含まれる製造物の数量を特定する情報が格納される。
【0045】
投入日欄1113fには、ロットID欄1113bで特定される製造物の製造工程への投入年月日を特定する情報が格納される。
【0046】
また、仕掛り情報記憶領域1114には、製造ライン内に存在するロット毎に、出荷要求日と、ロットに含まれる製造物の数量と、仕掛っている工程の工程番号と、ロットの状態を特定する情報とが含まれる。例えば、本実施の形態においては、図7(仕掛り情報テーブル1114aの概略図)に示すような仕掛り情報テーブル1114aが仕掛り情報記憶領域1114に記憶される。
【0047】
仕掛り情報テーブル1114aは、ロットID欄1114bと、品種名称欄1114cと、出荷要求日欄1114dと、数量欄1114eと、工程No欄1114fと、状態欄1114gとを備える。
【0048】
ロットID欄1114bには、各々のロットを一意に識別することのできる識別情報であるロットIDを特定する情報が格納される。
【0049】
品種名称欄1114cには、ロットID欄1114bで特定されるロットの品種名称を特定する情報が格納される。
【0050】
出荷要求日欄1114dには、ロットID欄1114bで特定されるロットの出荷要求年月日を特定する情報が格納される。
【0051】
数量欄1114eには、ロットID欄1114bで特定されるロットに含まれる製造物の数量を特定する情報が格納される。
【0052】
工程No欄1114fには、ロットID欄1114bで特定されるロットが仕掛っている工程を特定する情報が格納される。
【0053】
工程No欄1114gには、ロットID欄1114bで特定されるロットの状態を特定する情報が格納される。
【0054】
また、製造装置情報記憶領域1115には、製造ラインを構成している製造装置毎にその状態を特定する情報が含まれる。例えば、本実施の形態においては、図8(製造装置情報テーブル1115aの概略図)に示すような製造装置情報テーブル1115aが製造装置情報記憶領域1115に記憶される。
【0055】
製造装置情報テーブル1115aは、装置No欄1115bと、装置名称欄1115cと、装置状態欄1115dとを備える。
【0056】
装置No欄1115bには、各々の装置を一意に識別することのできる識別情報である装置Noを特定する情報が格納される。
【0057】
装置名称欄1115cには、装置No欄1115bで特定される装置名称を特定する情報が格納される。
【0058】
状態欄1115dには、装置No欄1115bで特定される装置の状態を特定する情報が格納される。
【0059】
また、作業者情報記憶領域1116には、作業者毎にその所属と、その担当エリアと、製造物の品種別に各作業者が担当可能な工程を特定する情報とが含まれる。例えば、本実施の形態においては、図9(製造装置情報テーブル1116aの概略図)に示すような作業者情報テーブル1116aが作業者情報記憶領域1116に記憶される。
【0060】
作業者情報テーブル1116aは、作業者ID欄1116bと、所属欄1116cと、エリア欄1116dと、作業者が担当可能な工程を特定するための論理値欄1116eとを備える。
【0061】
作業者ID欄1116bには、各々の作業者を一意に識別することのできる識別情報である作業者IDを特定する情報が格納される。
【0062】
所属欄1116cには、作業者ID欄1116bで特定される作業者の所属する班を特定する情報が格納される。一般に、連続操業の形態をとる製造ラインでは、複数班による交代制をとる。
【0063】
エリア欄1116dには、作業者ID欄1116bで特定される作業者が作業に従事するエリアを特定する情報が格納される。
【0064】
論理値欄1116eには、作業者ID欄1116bで特定される作業者が担当可能な工程を特定するための全ての品種に対する論理値が格納される。
【0065】
論理値欄1116fは、製品Aの工程No001を担当可能な作業者を特定するための論理値が格納される。論理値欄1116gは、製品Aの工程No002を担当可能な作業者を特定するための論理値が格納される。論理値欄1116hは、製品Bの工程No023を担当可能な作業者を特定するための論理値が格納される。
【0066】
このとき、作業者IDの行と、工程Noの列が交差する欄の値が1の場合、当該作業者は、当該工程の作業に従事することができる。作業者IDの行と、工程Noの列が交差する欄の値が0の場合、当該作業者は、当該工程の作業に従事することができない。
【0067】
また、勤務シフト計画記憶領域1117には、稼働日毎に昼勤と、夜勤とを担当する班を特定する情報が含まれる。例えば、本実施の形態においては、図10(勤務シフト計画テーブル1117aの概略図)に示すような勤務シフト計画テーブル1117aが勤務シフト計画記憶領域1117に記憶される。
【0068】
勤務シフト計画テーブル1117aは、稼働日欄1117bと、昼勤欄1117cと、夜勤欄1117dとを備える。
【0069】
稼働日欄1117bには、製造ラインの稼働日を一意に識別することのできる稼働日の日付を特定する情報が格納される。
【0070】
昼勤欄1117cには、稼働日欄1117bで特定される稼働日の昼勤シフトを担当する班を特定する情報が格納される。
【0071】
夜勤欄1117dには、稼働日欄1117bで特定される稼働日の夜勤シフトを担当する班を特定する情報が格納される。
【0072】
また、作業者勤務計画記憶領域1118には、作業者毎に個別に予定されている現場作業へ従事出来ない理由と、その開始時刻と、その終了時刻とを特定する情報が含まれる。例えば、本実施の形態においては、図11(作業者勤務計画テーブル1118aの概略図)に示すような作業者勤務計画テーブル1118aが作業者勤務計画記憶領域1118に記憶される。
【0073】
作業者勤務計画テーブル1118aは、作業者ID欄1118bと、現場作業従事不可理由欄1118cと、開始時刻欄1118dと、終了時刻欄1118eとを備える。
【0074】
作業者ID欄1118bには、各々の作業者を一意に識別することのできる識別情報である作業者IDを特定する情報が格納される。
【0075】
現場作業従事不可理由欄1118cには、作業者ID欄1118bで特定される作業者が現場作業に従事できない理由を特定する情報が格納されている。
【0076】
開始時刻欄1118dには、作業者ID欄1118bで特定される作業者が、現場作業従事不可理由欄1118cで特定される理由で、現場作業に従事できなくなる期間が開始する時刻を特定する情報が格納されている。
【0077】
終了時刻欄1118eには、作業者ID欄1118bで特定される作業者が、現場作業従事不可理由欄1118cで特定される理由で、現場作業に従事できなくなる期間が終了する時刻を特定する情報が格納されている。
【0078】
図3に戻り、作業者配置評価装置110の制御部112は、情報取得管理部1121と、生産シミュレーション部1122と、作業者シミュレーション部1123と、作業者過不足評価部1124とを備える。
【0079】
情報取得管理部1121は、予め定められたとき(例えば、1日毎)に、製造情報管理装置140より、工程経路情報テーブル1111aに関する情報を取得し、この工程経路情報テーブル1111aを更新する。
【0080】
なお、情報取得管理部1121は、製造物の製造プロセスが変更された際に、製造情報管理装置140より、少なくとも変更されたプロセスを特定する情報を取得し、工程経路情報テーブル1111aを更新する。
【0081】
さらに、情報取得管理部1121は、予め定められたとき(例えば、1日毎)に、計画情報管理装置120より、製造装置停止計画テーブル1112aおよび投入計画テーブル1113aに格納する情報を取得し、これらのテーブルを更新する。
【0082】
さらに、情報取得管理部1121は、予め定められたとき(例えば、1時間毎)に、製造情報管理装置140より、仕掛り情報テーブル1114aに格納する情報を取得し、この仕掛り情報テーブル1114aを更新する。
【0083】
さらに、情報取得管理部1121は、計画情報管理装置120より、予め定められたとき(例えば、1日毎)に仕掛り情報テーブル1114aの出荷要求日欄1114dに格納する情報を取得し、仕掛り情報テーブル1114aを更新する処理を行う。
【0084】
さらに、情報取得管理部1121は、製造ライン管理装置130より、予め定められたとき(例えば、300秒毎など)に製造装置情報テーブル1115aに格納する情報を取得し、この製造装置情報テーブル1115aを更新する処理を行う。
【0085】
さらに、情報取得管理部1121は、作業者情報管理装置150より、予め定められたとき(例えば、1日毎)に作業者情報テーブル1116aに格納する情報を取得し、この作業者情報テーブル1116aを更新する処理を行う。
【0086】
さらに、情報取得管理部1121は、計画情報管理装置120より、予め定められたとき(例えば、1週間毎)に勤務シフト計画テーブル1117aに格納する情報を取得し、この勤務シフト計画テーブル1117aを更新する処理を行う。
【0087】
さらに、情報取得管理部1121は、計画情報管理装置120より、予め定められたとき(例えば、12時間毎)に作業者勤務計画テーブル1118aに格納する情報を取得し、この作業者勤務計画テーブル1118aを更新する処理を行う。
【0088】
生産シミュレーション部1122は、シミュレーション装置160に、工程経路情報テーブル1111aにおける工程No欄1111bと、工程名称欄1111cと、処理時間欄1111dと、装置名称欄1111fと、製造装置停止計画テーブル1112aと、投入計画テーブル1113aと、仕掛り情報テーブル1114aと、製造装置情報テーブル1115aとを入力し、現在から将来へ、指定した計画期間における全ての製造物の進行計画を作成する。
【0089】
作業者シミュレーション部1123は、シミュレーション装置160に、工程経路情報テーブル1111aと、製造装置停止計画テーブル1112aと、投入計画テーブル1113aと、仕掛り情報テーブル1114aと、製造装置情報テーブル1115aと、作業者情報テーブル1116aと、勤務シフト計画テーブル1117aと、作業者勤務計画テーブル1118aとを入力し、現在から将来へ、指定した計画期間における全ての製造物の進行計画と、すべての作業者の作業計画を作成する。
【0090】
作業者過不足評価部1124は、生産シミュレーション部1122が作成した全ての製造物の進行計画と、同一時刻に作業者シミュレーション部1123が作成した全ての製造物の進行計画とを、後述する図13に示すような処理手順により比較、集計し、結果を後述する図14(出力画面の概略図)に示すような出力画面200を通じて、出力する。
【0091】
入力部113は、情報の入力を受け付ける。
出力部114は、情報を出力する。
通信部115は、ネットワーク190を介した情報の送受信を行う。
【0092】
図12(コンピュータ900の概略図)は、作業者配置評価装置110を実現するためのハードウェア構成を示す概略図である。作業者配置評価装置110は、中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)901と、メモリ902と、ハードディスク装置(Hard Disk Drive:HDD)などの外部記憶装置903と、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)などの可搬性を有する記憶媒体904に対して情報を読み書きする読取装置905と、キーボードやマウスなどの入力装置906と、ディスプレイなどの出力装置907と、インターネットなどの通信ネットワークを介して他のコンピュータと通信する通信装置908とを備えた一般的なコンピュータ900で実現できる。
【0093】
例えば、制御部112は、外部記憶装置903に記憶されている所定のプログラムをメモリ902にロードしてCPU901で実行することで実現可能であり、入力部113は、CPU901が入力装置906を利用することで実現可能であり、出力部114は、CPU901が出力装置907を利用することで実現可能であり、通信部115は、CPU901が通信装置908を利用することで実現可能であり、記憶部111は、CPU901がメモリ902または外部記憶装置903を利用することにより実現可能である。
【0094】
前記所定のプログラムは、読取装置905を介して記憶媒体904から、あるいは、通信装置908を介してネットワークから、外部記憶装置903にダウンロードされ、それから、メモリ902上にロードされてCPU901により実行されるようにしてもよい。 また、読取装置905を介して記憶媒体904から、あるいは、通信装置908を介してネットワークから、メモリ902上に直接ロードされ、CPU901により実行されるようにしてもよい。
【0095】
また、計画情報管理装置120と、製造ライン管理装置130と、製造情報管理装置140と、作業者情報管理装置150とは、対象とした製造ラインにおける製造装置を管理するMES(Manufacturing Executing System)より得られるMESデータから工程経路情報データと、製造装置停止計画データと、投入計画データと、仕掛り情報データと、製造装置情報データと、作業者情報データ、勤務シフト計画データと、作業者勤務計画データとを抽出して、作業者配置評価装置110の情報取得管理部1121に、ネットワーク190を介して送信する形態をとることも可能である。
【0096】
なお、計画情報管理装置120と、製造ライン管理装置130と、製造情報管理装置140と、作業者情報管理装置150とも、図12に示すような一般的なコンピュータ900で実現可能である。
【0097】
また、本発明の作業者配置支援システム100は、図12に示すような、CPU901とメモリ902とHDDなどの外部記憶装置903と、CDやDVDなどの可搬性を有する記憶媒体904に対して情報を読み書きする読取装置905とキーボードやマウス等の入力装置906と、ディスプレイなどの出力装置907と、インターネットなどの通信ネットワークを介して他のコンピュータと通信する通信装置908と、これらの各装置を接続するバス等を備えた、一般的な構成を有するコンピュータシステム、あるいはこのコンピュータシステムを複数備えたネットワークシステム上に構築できる。
【0098】
次に、本発明の一実施の形態に関わる作業者配置評価装置110が実行する処理について、図13を用いて順に説明する。
【0099】
図13は、本発明の一実施の形態に関わる作業者配置評価装置110が実行する処理を示すフローチャートである。
【0100】
まず、情報取得管理部1121は、記憶部111より、すべての製造物に対する工程経路情報、製造装置停止計画、投入計画、仕掛り情報、製造装置情報、作業者情報、勤務シフト計画、作業者勤務計画を入力データとして読み込む(S10)。
【0101】
次に、生産シミュレーション部1122では、工程経路情報、製造装置停止計画、投入計画、仕掛り情報、製造装置情報のみの情報から、現在から将来へ、指定した計画期間に対する生産シミュレーションを実施し、全ての製造物に対する進行計画(A)を作成する(S20)。ここで実施する生産シミュレーションは、作業者情報、勤務シフト計画、作業者勤務計画を入力していないため、作成される製造物の進行計画(A)では、全ての装置で作業者待ち時間は発生しない。そのため、進行計画(A)における処理待ち時間は、装置の停止による処理待ち時間と、他の製造物の処理待ち時間のみから成る。
【0102】
次に、作業者シミュレーション部1123では、工程経路情報、製造装置停止計画、投入計画、仕掛り情報、製造装置情報、作業者情報、勤務シフト計画、作業者勤務計画から、現在から将来へ、指定した計画期間に対する生産シミュレーションを実施し、全ての製造物に対する進行計画(B)とそれに付随する作業者の作業計画を作成する(S30)。ここで実施する生産シミュレーションは、作業者情報、勤務シフト計画、作業者勤務計画を入力しており、作成される製造物の進行計画(B)では、作業者の勤務状況によって、装置で作業者待ち時間が発生する可能性がある。そのため、進行計画(B)における処理待ち時間は、装置の停止による処理待ち時間と、他の製造物の処理待ち時間と、作業者待ち時間から成る。
【0103】
次に、作業者過不足評価部1124は、進行計画(A)、進行計画(B)それぞれに対し、勤務シフトの時間単位で集計した、装置毎、工程毎、エリア毎で、スループットや、製造リードタイムや、停滞する仕掛り量などの、生産指標の総和や、平均値や、中央値や、標準偏差値などの、統計値を算出する(S40)。
【0104】
次に,作業者過不足評価部1124は、勤務シフトi毎に、下記の(1)式で定義される、進行計画(A)における生産指標の統計値と、進行計画(B)における指定した生産指標の統計値との差ΔMIiを算出する(S50)。
【0105】
(数1)
ΔMIi = MI(B)i - MI(A)i ・・・(1)
ここで、iは勤務シフトを指定するインデックスである。MI(A)i は、進行計画(A)における勤務シフトiでの指定した生産指標の統計値である。MI(B)i は、進行計画(B)における勤務シフトiでの指定した生産指標の統計値である。
【0106】
次に、作業者過不足評価部1124は、勤務シフトi毎に、下記の(2)式で定義されるシフトiにおけるΔMIiの平均変化率を算出する(S60)。
【0107】
(数2)
(ΔMIiの平均変化率)=(ΔMIi - ΔMIi-1)/(ti - t i-1)・・・(2)
ここで、tiは勤務シフトiの終了時刻である。
【0108】
次に、作業者過不足評価部1124は、ステップS50と、ステップS60の結果を、例えば、後述の出力画面200の形式で出力する(S70)。
【0109】
図14は、本発明の一実施の形態に関わる作業者配置評価装置の出力情報の一例である出力画面200の概略図である。
【0110】
出力画面200は、エリア選択領域200a、生産指標選択領域200b、閾値選択領域200cと、選択手段200dと、結果表示領域200eとを有する。
【0111】
まず、出力部114に表示された出力画面200において、入力部113を介して、計画エリア選択領域200aに入力を受け付け、生産指標選択領域200bに入力を受け付け、さらに、閾値選択領域200cに入力を受け付け、選択手段200dが押下されると、作業者過不足評価部1124のステップS70で出力されるデータを結果表示領域200eに、出力する。
【0112】
ここで、作業者過不足評価部1124は、エリア選択領域200aで指定されたエリア内に存在する全ての装置に対し、生産指標選択領域200bで指定された生産指標に対する勤務シフトi毎のΔMIiの値を出力する。同時に、作業者過不足評価部1124は、ΔMIiの平均変化率が、閾値選択領域200cで指定した条件を満たす勤務シフトiのセルを、例えば、テクスチャ表示するなどして、強調する。
【0113】
このような出力画面200が出力部114に表示されることで、作業者の勤務シフトを編成する製造者は、結果表示領域200eの出力をもとに、例えば、強調されたセルに相当する勤務シフト計画を見直すなどして、作業者に起因する生産指標の悪化を防ぐことができる。
【0114】
さらに、選択された評価結果をユーザが確認し、勤務シフト計画を変更可能なように出力画面200を構成することも可能である。
【符号の説明】
【0115】
100・・・作業者配置評価システム、110・・・作業者配置評価装置、111・・・記憶部、1111・・・工程経路記憶領域、1112・・・製造装置停止計画記憶領域、1113・・・投入計画記憶領域、1114・・・仕掛り情報記憶領域、1115・・・製造装置情報記憶領域、1116・・・作業者情報記憶領域、1117・・・勤務シフト計画記憶領域、1118・・・作業者勤務計画記憶領域、112・・・制御部、1121・・・情報取得管理部、1122・・・生産シミュレーション部、1123・・・作業者シミュレーション部、1124・・・作業者過不足評価部、113・・・入力部、114・・・出力部、115・・・通信部、120・・・計画情報管理装置、130・・・製造ライン管理装置、140・・・製造情報管理装置、150・・・作業者情報管理装置、160・・・シミュレーション装置、190・・・ネットワーク。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子、磁気記憶装置、フラットディスプレイ、プリント基板などの電子デバイス製品、および、自動車、エレベータ、エスカレータ、建設機械などの産業機械製品、製油、製薬、食品加工などの連続加工される製品を対象とする製造現場における作業者配置支援装置および作業者配置支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
作業者が複数の装置を掛け持ち、さらに製造物の搬送も人手が担うような製造ラインで生産効率を向上させるためには、作業者の人数、配置を適正化する必要がある。ところが、多品種が混流する製造ラインでは、製造工程の並びが品種によって異なるため、各工程への製造物の到着はばらつき、製造装置への負荷は変動する。また、作業者の出勤状況などによって、各工程の生産能力も変動するため、各工程、各装置において、スループットや、製造リードタイムや、停滞する仕掛り量などの生産指標が、作業者の人数不足によっていつ悪化するかの予測が難しい。
【0003】
本技術分野の背景技術として、特開2009−289056号公報(特許文献1)がある。この公報には、作業者の負荷や余裕がどの程度あるのかを提示して人員配置計画を支援するため、該当するシフトおよびエリアを担当する作業者を設定する人的能力テーブル、作業負荷量を設定する作業負荷テーブルを用意し、「各作業者の作業従事時間および処理スピードに応じて作業負荷を各作業者に割付け、各作業者の負荷率および積み残し負荷を算出する」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−289056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1は、生産シミュレーションによって算出した作業者毎の負荷率と積み残し負荷で、作業者毎の負荷と余裕を定量化し、提示することによって、作業者の配置計画を支援する。しかし、作業者の負荷を平均化するように作業者の配置を計画したとしても、一般には作業者個々の能力にばらつきが存在するため、工程毎の生産量に変動が発生し、必要な生産量を達成するためのスループット向上や製造リードタイムの短縮など、生産効率の向上を実現できない場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、スループットや、製造リードタイムや、停滞する仕掛り量などの、生産指標が、作業者の人数不足によって悪化する勤務シフトを、どれだけ生産指標が悪化するかの定量的な予測値とともに提示して、作業者の勤務計画や配置計画の作成を支援することが可能な作業者配置支援装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は上記課題を解決する手段を含んでいるが、その一例を挙げるならば、
1人以上の作業者が1台以上の製造装置を担当し、それらの製造装置が複数の工程で共用されている製造ラインを対象として、作業者の人数不足によって生産指標が悪化する勤務シフトを特定して、それを提示し、作業者の勤務計画や配置計画の作成を支援する作業者配置支援装置であって、該作業者配置支援装置は、制御部と、記憶部と、入力部と、出力部と、通信部とを備え、前記記憶部は、製造物の品種別の製造工程と製造工程で必要な作業者人数と製造装置を特定する情報を格納する工程経路情報記憶領域と、製造装置停止計画記憶領域と、投入する予定の製造物のロットの投入計画記憶領域と、製造ライン内に存在するロットの仕掛り情報記憶領域と、製造ラインを構成している製造装置情報記憶領域と、製造物の品種別に各作業者が担当可能な工程を特定する作業者情報記憶領域と、稼働日毎に昼勤、夜勤とを担当する班を特定する情報を含む勤務シフト計画記憶領域と、作業者勤務計画記憶領域とを有し、前記制御部は、前記入力部または前記通信部を介して、製造装置、作業者、製造される製造物の動きをモデル化して、それらの動きを予測する生産シミュレータを使用して、製品毎の工程の順序を表す工程経路情報、各工程の工程時間情報、製造装置の停止計画、新規の製造物の投入計画、シミュレーション開始時刻の仕掛り情報、シミュレーション開始時刻の製造装置情報、各作業者の担当可能な作業情報、および各作業者の勤務計画情報を入力する情報取得管理部と、前記工程経路情報、前記工程時間情報、製造装置の停止計画、新規の製造物の投入計画、シミュレーション開始時刻の仕掛り情報、シミュレーション開始時刻の製造装置情報に従って、作業者の人数に制約がない製造装置、製造される製造物の動きのモデルを使用して、シフト時間区間毎に製造装置、作業者、製造される製造物の動きを予測するシミュレーションを実行し、シフト時間区間の各工程または各製造装置の生産指標の第1の統計値を算出する生産シミュレーション部と、前記工程経路情報、前記工程時間情報、製造装置の停止計画、新規の製造物の投入計画、シミュレーション開始時刻の仕掛り情報、シミュレーション開始時刻の製造装置情報、各作業者の担当可能な作業情報、および各作業者の勤務計画情報に従って、実製造ラインの勤務シフトを再現した作業者の人数に制約があるモデルを使用して、前記シフト時間区間毎に製造装置、作業者、製造される製造物の動きを予測するシミュレーションを実行し、当該シフト時間区間の各工程または各製造装置の生産指標の第2の統計値を算出する作業者シミュレーション部と、前記第1の統計値と前記第2の統計値を比較して、各工程または各製造装置の生産指標の悪化が発生する前記作業者のシフト時間区間を特定して、前記出力部を介して、作業者配置評価結果を出力する作業者過不足評価部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、作業者の人数不足が原因で、スループットや、製造リードタイムや、停滞する仕掛り量などの、生産指標が悪化する勤務シフトを、どれだけ生産指標が悪化するかの定量的な予測値とともに提示し、作業者の勤務計画や配置計画の作成を支援することが可能となる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施の形態にて対象とする製造ラインのモデル例を示す概略図である。
【図2】作業者配置支援システムの構成図の例である。
【図3】作業者配置評価装置の構成図の例である。
【図4】作業者配置評価装置における工程経路情報テーブルの例である。
【図5】作業者配置評価装置における製造装置停止計画テーブルの例である。
【図6】作業者配置評価装置における投入計画テーブルの例である。
【図7】作業者配置評価装置における仕掛り情報テーブルの例である。
【図8】作業者配置評価装置における製造装置情報テーブルの例である。
【図9】作業者配置評価装置における作業者情報テーブルの例である。
【図10】作業者配置評価装置における勤務シフト計画テーブルの例である。
【図11】作業者配置評価装置における作業者勤務計画テーブルの例である。
【図12】作業者配置評価装置を実現するためのハードウェア構成の概略図である。
【図13】作業者配置評価装置が行う処理を示すフローチャートである。
【図14】作業者配置評価装置が生成する出力情報の一例である出力画面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は本発明の一実施の形態において対象とする製造ラインのモデルの一例を示す概略図である。
製造ライン500は、製造ラインの全体モデルを示す。通常、製造ラインにおいては、作業者を複数のグループに分割する。そして、各グループにおいて受け持つ作業区画が定義される。本実施例では、この作業区画をエリアと呼ぶ。
【0011】
図1の製造ライン500においては、5つのエリアに分割されている。エリアとエリアの間には、通路510が設けられている。この通路510を用いてエリア間を製造物が運搬される。
例えば、図1の製造ラインのエリア4を拡大した図が、下のエリア520である。各エリアには複数の製造装置530と、複数の作業者540が配置されている。作業者540は、装置530で、製造物550の加工処理や、組立や、洗浄や、検査などをする。
【0012】
図2は本実施例の作業者配置支援システムの構成図である。
作業者配置支援システム100は、作業者配置評価装置110と、計画情報管理装置120と、製造ライン管理装置130と、製造情報管理装置140と、作業者情報管理装置150と、シミュレーション装置160とを備え、これらはネットワーク190を介して相互に情報の送受信を行うことができる。
【0013】
計画情報管理装置120は、製造物の出荷計画、製造物の製造ラインへの新機の投入計画、製造装置の保守計画、作業者の出勤計画、作業者の配置計画などの製造に関する全ての計画を管理し、予め定められたとき又は作業者配置評価装置110からの要求に応じて、計画情報を作業者配置評価装置110に送信する。
【0014】
そして、製造ライン管理装置130は、予め定められたとき又は作業者配置評価装置110からの要求に応じて、作業実績情報を作業者配置評価装置110に送信する。そして、製造ライン管理装置130は、1台で全ての製造ラインの作業実績情報を管理する場合もあり、また生産ラインの数だけ複数設置される場合もある。
【0015】
そして、製造情報管理装置140は、各工程の生産能力や、製造物ごとの工程経路や処理できる製造装置などの工程経路情報などを管理し、予め定められたとき又は作業者配置評価装置110からの要求に応じて、生産能力や工程経路情報を作業者配置評価装置110に送信する。
【0016】
そして、作業者情報管理装置150は、作業者毎の担当可能な作業や操作できる製造装置に関する情報など作業者能力情報や、作業者が所属する班などの情報を管理し、予め定められたとき又は作業者配置評価装置110からの要求に応じて、作業者情報を作業者配置評価装置110に送信する。
【0017】
そして、シミュレーション装置160は、製造ライン・生産プロセスのシミュレーションモデルを、コンピュータ上に作成する。そのモデルの中で、品種毎の工程経路と、製造物間の処理優先度を決めるための種々のディスパッチルールに従って、製造装置と,作業者と、他の製造物とが原因で発生する進行上の制約とを、コンピュータ上で再現することによって、製造ライン・生産プロセス全体の時間推移を模擬し、製造ラインに投入された全ての製造物の進行計画を作成する。作成した全ての製造物の進行計画から、製品/品種別、プロセス別、工程別、製造装置、作業者別などの、各種統計データを出力することができる。
【0018】
シミュレーションモデルの中で考慮する実物の情報、精度に応じて、シミュレーション結果の精度にも差違は予測されるが、本実施の形態では、既存の生産シミュレータのシミュレーション方式を特定せずに利用するものとする。例えば、製造ライン・生産プロセスのシミュレーションには、一般に、離散事象型のシミュレーション方式が利用される。
【0019】
また、シミュレーションモデルの作成の際に、本実施の形態に特有の入力仕様を備え、その入力仕様によって入力されたデータを、シミュレーションモデルに含むものを実行可能とする。
【0020】
なお、図2に示す例では、シミュレーション装置160は作業者配置評価装置110とは異なる装置において実現した形態を示しているが、シミュレーション装置160の機能が、作業者配置評価装置110の中に組み込まれた形態も考えられる。
【0021】
図3は、作業者配置評価装置110の構成図である。図示するように、作業者配置評価装置110は、記憶部111と、制御部112と、入力部113、出力部114、通信部115とを備える。
【0022】
記憶部111は、工程経路情報記憶領域1111と、製造装置停止計画記憶領域1112と、投入計画記憶領域1113と、仕掛り情報記憶領域1114と、製造装置情報記憶領域1115と、作業者情報記憶領域1116と、勤務シフト計画記憶領域1117と、作業者勤務計画記憶領域1118とを備える。
【0023】
工程経路情報記憶領域1111には、製造物の品種別に製造工程と、各々の製造工程で必要な作業者の人数と、使用することのできる製造装置とを特定する情報が格納される。例えば、本実施の形態においては、製造物の品種毎に、図4(工程経路情報テーブル1111aの概略図)に示すような工程経路情報テーブル1111aが、工程経路情報記憶領域1111に記憶される。
【0024】
工程経路情報テーブル1111aは、工程No欄1111bと、工程名称欄1111cと、処理時間欄1111dと、作業者数欄1111eと、装置名称欄1111fとを有する。
【0025】
工程No欄1111bには、製造物の製造工程を一意に識別することのできる識別情報である工程Noを特定する情報が格納される。
【0026】
工程名称欄1111cには、工程No欄1111bで識別される工程を識別するための工程名を特定する情報が格納される。
【0027】
処理時間欄1111dには、工程No欄1111bおよび工程名称欄1111cで特定される工程にかかる処理時間を特定する情報が格納される。
【0028】
作業者数欄1111eには、工程No欄1111bおよび工程名称欄1111cで特定される工程で必要な作業者数を特定する情報が格納される。
【0029】
装置名称欄1111fには、工程No欄1111bおよび工程名称欄1111cで特定される工程で使用することのできる製造装置の名称を特定する情報が格納される。
【0030】
例えば、本実施の形態においては、製造装置欄1111fには、適用装置1名称欄1111g、適用装置2名称欄1111h、適用装置3名称欄1111i、・・・、というように工程No欄1111bおよび工程名称欄1111cで特定される工程で使用することのできる全ての製造装置の名称が列挙される。
【0031】
また、製造装置停止計画記憶領域1112には、予定している製造装置の停止毎に、停止する製造装置名と、停止時の作業内容と、停止時の作業に必要な作業者の人数と、停止を開始する予定の時刻と、保守を終了する予定の時刻とを特定する情報が格納される。例えば、本実施の形態においては、図5(製造装置停止計画テーブル1112aの概略図)に示すような製造装置停止計画テーブル1112aが装置停止計画記憶領域1112に記憶される。
【0032】
製造装置停止計画テーブル1112aは、停止No欄1112bと、装置名称欄1112cと、作業内容欄1112dと、作業者数欄1112eと、停止開始時刻欄1112fと、停止終了時刻欄1112gとを有する。
【0033】
停止No欄1112bには、各々の装置停止事象を一意に識別することのできる識別情報である停止Noを特定する情報が格納される。
【0034】
装置名称欄1112cには、停止No欄1112bで識別される装置停止事象で対象とする製造装置の名称を特定する情報が格納される。
【0035】
作業内容欄1112dには、停止No欄1112bと装置名称欄1112cで特定される製造装置の停止において、停止の理由となる作業内容を特定する情報が格納される。
【0036】
作業者数欄1112eには、停止No欄1112bと装置名称欄1112cで特定される製造装置の停止において、停止の理由となる作業を実施するのに必要な作業者の人数を特定する情報が格納される。
【0037】
停止開始時刻欄1112fには、停止No欄1112bと装置名称欄1112cで特定される製造装置の停止を開始する予定の時刻を特定する情報が格納される。
【0038】
停止終了時刻欄1112gには、停止No欄1112bと装置名称欄1112cで特定される製造装置の停止を終了する予定の時刻を特定する情報が格納される。
【0039】
また、投入計画記憶領域1113には、投入する予定の製造物のロットIDと、品種名称と、出荷要求日と、数量と、投入を予定している日とを特定する情報が格納される。例えば、本実施の形態においては、図6(投入計画テーブル1113aの概略図)に示すような投入計画テーブル1113aが投入計画案記憶領域1113に記憶される。
【0040】
投入計画テーブル1113aは、ロットID欄1113bと、品種名称欄1113cと、出荷要求日欄1113dと、数量欄1113eと、投入日欄1113fとを備える。
【0041】
ロットID欄1113bには、各々の製造物の製造単位のロットを一意に識別することのできる識別情報であるロットIDを特定する情報が格納される。
【0042】
品種名称欄1113cには、ロットID欄1113bで特定される製造物の品種名称を特定する情報が格納される。
【0043】
出荷要求日欄1113dには、ロットID欄1113bで特定される製造物の出荷要求年月日を特定する情報が格納される。
【0044】
数量欄1113eには、ロットID欄1113bで特定されるロットに含まれる製造物の数量を特定する情報が格納される。
【0045】
投入日欄1113fには、ロットID欄1113bで特定される製造物の製造工程への投入年月日を特定する情報が格納される。
【0046】
また、仕掛り情報記憶領域1114には、製造ライン内に存在するロット毎に、出荷要求日と、ロットに含まれる製造物の数量と、仕掛っている工程の工程番号と、ロットの状態を特定する情報とが含まれる。例えば、本実施の形態においては、図7(仕掛り情報テーブル1114aの概略図)に示すような仕掛り情報テーブル1114aが仕掛り情報記憶領域1114に記憶される。
【0047】
仕掛り情報テーブル1114aは、ロットID欄1114bと、品種名称欄1114cと、出荷要求日欄1114dと、数量欄1114eと、工程No欄1114fと、状態欄1114gとを備える。
【0048】
ロットID欄1114bには、各々のロットを一意に識別することのできる識別情報であるロットIDを特定する情報が格納される。
【0049】
品種名称欄1114cには、ロットID欄1114bで特定されるロットの品種名称を特定する情報が格納される。
【0050】
出荷要求日欄1114dには、ロットID欄1114bで特定されるロットの出荷要求年月日を特定する情報が格納される。
【0051】
数量欄1114eには、ロットID欄1114bで特定されるロットに含まれる製造物の数量を特定する情報が格納される。
【0052】
工程No欄1114fには、ロットID欄1114bで特定されるロットが仕掛っている工程を特定する情報が格納される。
【0053】
工程No欄1114gには、ロットID欄1114bで特定されるロットの状態を特定する情報が格納される。
【0054】
また、製造装置情報記憶領域1115には、製造ラインを構成している製造装置毎にその状態を特定する情報が含まれる。例えば、本実施の形態においては、図8(製造装置情報テーブル1115aの概略図)に示すような製造装置情報テーブル1115aが製造装置情報記憶領域1115に記憶される。
【0055】
製造装置情報テーブル1115aは、装置No欄1115bと、装置名称欄1115cと、装置状態欄1115dとを備える。
【0056】
装置No欄1115bには、各々の装置を一意に識別することのできる識別情報である装置Noを特定する情報が格納される。
【0057】
装置名称欄1115cには、装置No欄1115bで特定される装置名称を特定する情報が格納される。
【0058】
状態欄1115dには、装置No欄1115bで特定される装置の状態を特定する情報が格納される。
【0059】
また、作業者情報記憶領域1116には、作業者毎にその所属と、その担当エリアと、製造物の品種別に各作業者が担当可能な工程を特定する情報とが含まれる。例えば、本実施の形態においては、図9(製造装置情報テーブル1116aの概略図)に示すような作業者情報テーブル1116aが作業者情報記憶領域1116に記憶される。
【0060】
作業者情報テーブル1116aは、作業者ID欄1116bと、所属欄1116cと、エリア欄1116dと、作業者が担当可能な工程を特定するための論理値欄1116eとを備える。
【0061】
作業者ID欄1116bには、各々の作業者を一意に識別することのできる識別情報である作業者IDを特定する情報が格納される。
【0062】
所属欄1116cには、作業者ID欄1116bで特定される作業者の所属する班を特定する情報が格納される。一般に、連続操業の形態をとる製造ラインでは、複数班による交代制をとる。
【0063】
エリア欄1116dには、作業者ID欄1116bで特定される作業者が作業に従事するエリアを特定する情報が格納される。
【0064】
論理値欄1116eには、作業者ID欄1116bで特定される作業者が担当可能な工程を特定するための全ての品種に対する論理値が格納される。
【0065】
論理値欄1116fは、製品Aの工程No001を担当可能な作業者を特定するための論理値が格納される。論理値欄1116gは、製品Aの工程No002を担当可能な作業者を特定するための論理値が格納される。論理値欄1116hは、製品Bの工程No023を担当可能な作業者を特定するための論理値が格納される。
【0066】
このとき、作業者IDの行と、工程Noの列が交差する欄の値が1の場合、当該作業者は、当該工程の作業に従事することができる。作業者IDの行と、工程Noの列が交差する欄の値が0の場合、当該作業者は、当該工程の作業に従事することができない。
【0067】
また、勤務シフト計画記憶領域1117には、稼働日毎に昼勤と、夜勤とを担当する班を特定する情報が含まれる。例えば、本実施の形態においては、図10(勤務シフト計画テーブル1117aの概略図)に示すような勤務シフト計画テーブル1117aが勤務シフト計画記憶領域1117に記憶される。
【0068】
勤務シフト計画テーブル1117aは、稼働日欄1117bと、昼勤欄1117cと、夜勤欄1117dとを備える。
【0069】
稼働日欄1117bには、製造ラインの稼働日を一意に識別することのできる稼働日の日付を特定する情報が格納される。
【0070】
昼勤欄1117cには、稼働日欄1117bで特定される稼働日の昼勤シフトを担当する班を特定する情報が格納される。
【0071】
夜勤欄1117dには、稼働日欄1117bで特定される稼働日の夜勤シフトを担当する班を特定する情報が格納される。
【0072】
また、作業者勤務計画記憶領域1118には、作業者毎に個別に予定されている現場作業へ従事出来ない理由と、その開始時刻と、その終了時刻とを特定する情報が含まれる。例えば、本実施の形態においては、図11(作業者勤務計画テーブル1118aの概略図)に示すような作業者勤務計画テーブル1118aが作業者勤務計画記憶領域1118に記憶される。
【0073】
作業者勤務計画テーブル1118aは、作業者ID欄1118bと、現場作業従事不可理由欄1118cと、開始時刻欄1118dと、終了時刻欄1118eとを備える。
【0074】
作業者ID欄1118bには、各々の作業者を一意に識別することのできる識別情報である作業者IDを特定する情報が格納される。
【0075】
現場作業従事不可理由欄1118cには、作業者ID欄1118bで特定される作業者が現場作業に従事できない理由を特定する情報が格納されている。
【0076】
開始時刻欄1118dには、作業者ID欄1118bで特定される作業者が、現場作業従事不可理由欄1118cで特定される理由で、現場作業に従事できなくなる期間が開始する時刻を特定する情報が格納されている。
【0077】
終了時刻欄1118eには、作業者ID欄1118bで特定される作業者が、現場作業従事不可理由欄1118cで特定される理由で、現場作業に従事できなくなる期間が終了する時刻を特定する情報が格納されている。
【0078】
図3に戻り、作業者配置評価装置110の制御部112は、情報取得管理部1121と、生産シミュレーション部1122と、作業者シミュレーション部1123と、作業者過不足評価部1124とを備える。
【0079】
情報取得管理部1121は、予め定められたとき(例えば、1日毎)に、製造情報管理装置140より、工程経路情報テーブル1111aに関する情報を取得し、この工程経路情報テーブル1111aを更新する。
【0080】
なお、情報取得管理部1121は、製造物の製造プロセスが変更された際に、製造情報管理装置140より、少なくとも変更されたプロセスを特定する情報を取得し、工程経路情報テーブル1111aを更新する。
【0081】
さらに、情報取得管理部1121は、予め定められたとき(例えば、1日毎)に、計画情報管理装置120より、製造装置停止計画テーブル1112aおよび投入計画テーブル1113aに格納する情報を取得し、これらのテーブルを更新する。
【0082】
さらに、情報取得管理部1121は、予め定められたとき(例えば、1時間毎)に、製造情報管理装置140より、仕掛り情報テーブル1114aに格納する情報を取得し、この仕掛り情報テーブル1114aを更新する。
【0083】
さらに、情報取得管理部1121は、計画情報管理装置120より、予め定められたとき(例えば、1日毎)に仕掛り情報テーブル1114aの出荷要求日欄1114dに格納する情報を取得し、仕掛り情報テーブル1114aを更新する処理を行う。
【0084】
さらに、情報取得管理部1121は、製造ライン管理装置130より、予め定められたとき(例えば、300秒毎など)に製造装置情報テーブル1115aに格納する情報を取得し、この製造装置情報テーブル1115aを更新する処理を行う。
【0085】
さらに、情報取得管理部1121は、作業者情報管理装置150より、予め定められたとき(例えば、1日毎)に作業者情報テーブル1116aに格納する情報を取得し、この作業者情報テーブル1116aを更新する処理を行う。
【0086】
さらに、情報取得管理部1121は、計画情報管理装置120より、予め定められたとき(例えば、1週間毎)に勤務シフト計画テーブル1117aに格納する情報を取得し、この勤務シフト計画テーブル1117aを更新する処理を行う。
【0087】
さらに、情報取得管理部1121は、計画情報管理装置120より、予め定められたとき(例えば、12時間毎)に作業者勤務計画テーブル1118aに格納する情報を取得し、この作業者勤務計画テーブル1118aを更新する処理を行う。
【0088】
生産シミュレーション部1122は、シミュレーション装置160に、工程経路情報テーブル1111aにおける工程No欄1111bと、工程名称欄1111cと、処理時間欄1111dと、装置名称欄1111fと、製造装置停止計画テーブル1112aと、投入計画テーブル1113aと、仕掛り情報テーブル1114aと、製造装置情報テーブル1115aとを入力し、現在から将来へ、指定した計画期間における全ての製造物の進行計画を作成する。
【0089】
作業者シミュレーション部1123は、シミュレーション装置160に、工程経路情報テーブル1111aと、製造装置停止計画テーブル1112aと、投入計画テーブル1113aと、仕掛り情報テーブル1114aと、製造装置情報テーブル1115aと、作業者情報テーブル1116aと、勤務シフト計画テーブル1117aと、作業者勤務計画テーブル1118aとを入力し、現在から将来へ、指定した計画期間における全ての製造物の進行計画と、すべての作業者の作業計画を作成する。
【0090】
作業者過不足評価部1124は、生産シミュレーション部1122が作成した全ての製造物の進行計画と、同一時刻に作業者シミュレーション部1123が作成した全ての製造物の進行計画とを、後述する図13に示すような処理手順により比較、集計し、結果を後述する図14(出力画面の概略図)に示すような出力画面200を通じて、出力する。
【0091】
入力部113は、情報の入力を受け付ける。
出力部114は、情報を出力する。
通信部115は、ネットワーク190を介した情報の送受信を行う。
【0092】
図12(コンピュータ900の概略図)は、作業者配置評価装置110を実現するためのハードウェア構成を示す概略図である。作業者配置評価装置110は、中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)901と、メモリ902と、ハードディスク装置(Hard Disk Drive:HDD)などの外部記憶装置903と、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)などの可搬性を有する記憶媒体904に対して情報を読み書きする読取装置905と、キーボードやマウスなどの入力装置906と、ディスプレイなどの出力装置907と、インターネットなどの通信ネットワークを介して他のコンピュータと通信する通信装置908とを備えた一般的なコンピュータ900で実現できる。
【0093】
例えば、制御部112は、外部記憶装置903に記憶されている所定のプログラムをメモリ902にロードしてCPU901で実行することで実現可能であり、入力部113は、CPU901が入力装置906を利用することで実現可能であり、出力部114は、CPU901が出力装置907を利用することで実現可能であり、通信部115は、CPU901が通信装置908を利用することで実現可能であり、記憶部111は、CPU901がメモリ902または外部記憶装置903を利用することにより実現可能である。
【0094】
前記所定のプログラムは、読取装置905を介して記憶媒体904から、あるいは、通信装置908を介してネットワークから、外部記憶装置903にダウンロードされ、それから、メモリ902上にロードされてCPU901により実行されるようにしてもよい。 また、読取装置905を介して記憶媒体904から、あるいは、通信装置908を介してネットワークから、メモリ902上に直接ロードされ、CPU901により実行されるようにしてもよい。
【0095】
また、計画情報管理装置120と、製造ライン管理装置130と、製造情報管理装置140と、作業者情報管理装置150とは、対象とした製造ラインにおける製造装置を管理するMES(Manufacturing Executing System)より得られるMESデータから工程経路情報データと、製造装置停止計画データと、投入計画データと、仕掛り情報データと、製造装置情報データと、作業者情報データ、勤務シフト計画データと、作業者勤務計画データとを抽出して、作業者配置評価装置110の情報取得管理部1121に、ネットワーク190を介して送信する形態をとることも可能である。
【0096】
なお、計画情報管理装置120と、製造ライン管理装置130と、製造情報管理装置140と、作業者情報管理装置150とも、図12に示すような一般的なコンピュータ900で実現可能である。
【0097】
また、本発明の作業者配置支援システム100は、図12に示すような、CPU901とメモリ902とHDDなどの外部記憶装置903と、CDやDVDなどの可搬性を有する記憶媒体904に対して情報を読み書きする読取装置905とキーボードやマウス等の入力装置906と、ディスプレイなどの出力装置907と、インターネットなどの通信ネットワークを介して他のコンピュータと通信する通信装置908と、これらの各装置を接続するバス等を備えた、一般的な構成を有するコンピュータシステム、あるいはこのコンピュータシステムを複数備えたネットワークシステム上に構築できる。
【0098】
次に、本発明の一実施の形態に関わる作業者配置評価装置110が実行する処理について、図13を用いて順に説明する。
【0099】
図13は、本発明の一実施の形態に関わる作業者配置評価装置110が実行する処理を示すフローチャートである。
【0100】
まず、情報取得管理部1121は、記憶部111より、すべての製造物に対する工程経路情報、製造装置停止計画、投入計画、仕掛り情報、製造装置情報、作業者情報、勤務シフト計画、作業者勤務計画を入力データとして読み込む(S10)。
【0101】
次に、生産シミュレーション部1122では、工程経路情報、製造装置停止計画、投入計画、仕掛り情報、製造装置情報のみの情報から、現在から将来へ、指定した計画期間に対する生産シミュレーションを実施し、全ての製造物に対する進行計画(A)を作成する(S20)。ここで実施する生産シミュレーションは、作業者情報、勤務シフト計画、作業者勤務計画を入力していないため、作成される製造物の進行計画(A)では、全ての装置で作業者待ち時間は発生しない。そのため、進行計画(A)における処理待ち時間は、装置の停止による処理待ち時間と、他の製造物の処理待ち時間のみから成る。
【0102】
次に、作業者シミュレーション部1123では、工程経路情報、製造装置停止計画、投入計画、仕掛り情報、製造装置情報、作業者情報、勤務シフト計画、作業者勤務計画から、現在から将来へ、指定した計画期間に対する生産シミュレーションを実施し、全ての製造物に対する進行計画(B)とそれに付随する作業者の作業計画を作成する(S30)。ここで実施する生産シミュレーションは、作業者情報、勤務シフト計画、作業者勤務計画を入力しており、作成される製造物の進行計画(B)では、作業者の勤務状況によって、装置で作業者待ち時間が発生する可能性がある。そのため、進行計画(B)における処理待ち時間は、装置の停止による処理待ち時間と、他の製造物の処理待ち時間と、作業者待ち時間から成る。
【0103】
次に、作業者過不足評価部1124は、進行計画(A)、進行計画(B)それぞれに対し、勤務シフトの時間単位で集計した、装置毎、工程毎、エリア毎で、スループットや、製造リードタイムや、停滞する仕掛り量などの、生産指標の総和や、平均値や、中央値や、標準偏差値などの、統計値を算出する(S40)。
【0104】
次に,作業者過不足評価部1124は、勤務シフトi毎に、下記の(1)式で定義される、進行計画(A)における生産指標の統計値と、進行計画(B)における指定した生産指標の統計値との差ΔMIiを算出する(S50)。
【0105】
(数1)
ΔMIi = MI(B)i - MI(A)i ・・・(1)
ここで、iは勤務シフトを指定するインデックスである。MI(A)i は、進行計画(A)における勤務シフトiでの指定した生産指標の統計値である。MI(B)i は、進行計画(B)における勤務シフトiでの指定した生産指標の統計値である。
【0106】
次に、作業者過不足評価部1124は、勤務シフトi毎に、下記の(2)式で定義されるシフトiにおけるΔMIiの平均変化率を算出する(S60)。
【0107】
(数2)
(ΔMIiの平均変化率)=(ΔMIi - ΔMIi-1)/(ti - t i-1)・・・(2)
ここで、tiは勤務シフトiの終了時刻である。
【0108】
次に、作業者過不足評価部1124は、ステップS50と、ステップS60の結果を、例えば、後述の出力画面200の形式で出力する(S70)。
【0109】
図14は、本発明の一実施の形態に関わる作業者配置評価装置の出力情報の一例である出力画面200の概略図である。
【0110】
出力画面200は、エリア選択領域200a、生産指標選択領域200b、閾値選択領域200cと、選択手段200dと、結果表示領域200eとを有する。
【0111】
まず、出力部114に表示された出力画面200において、入力部113を介して、計画エリア選択領域200aに入力を受け付け、生産指標選択領域200bに入力を受け付け、さらに、閾値選択領域200cに入力を受け付け、選択手段200dが押下されると、作業者過不足評価部1124のステップS70で出力されるデータを結果表示領域200eに、出力する。
【0112】
ここで、作業者過不足評価部1124は、エリア選択領域200aで指定されたエリア内に存在する全ての装置に対し、生産指標選択領域200bで指定された生産指標に対する勤務シフトi毎のΔMIiの値を出力する。同時に、作業者過不足評価部1124は、ΔMIiの平均変化率が、閾値選択領域200cで指定した条件を満たす勤務シフトiのセルを、例えば、テクスチャ表示するなどして、強調する。
【0113】
このような出力画面200が出力部114に表示されることで、作業者の勤務シフトを編成する製造者は、結果表示領域200eの出力をもとに、例えば、強調されたセルに相当する勤務シフト計画を見直すなどして、作業者に起因する生産指標の悪化を防ぐことができる。
【0114】
さらに、選択された評価結果をユーザが確認し、勤務シフト計画を変更可能なように出力画面200を構成することも可能である。
【符号の説明】
【0115】
100・・・作業者配置評価システム、110・・・作業者配置評価装置、111・・・記憶部、1111・・・工程経路記憶領域、1112・・・製造装置停止計画記憶領域、1113・・・投入計画記憶領域、1114・・・仕掛り情報記憶領域、1115・・・製造装置情報記憶領域、1116・・・作業者情報記憶領域、1117・・・勤務シフト計画記憶領域、1118・・・作業者勤務計画記憶領域、112・・・制御部、1121・・・情報取得管理部、1122・・・生産シミュレーション部、1123・・・作業者シミュレーション部、1124・・・作業者過不足評価部、113・・・入力部、114・・・出力部、115・・・通信部、120・・・計画情報管理装置、130・・・製造ライン管理装置、140・・・製造情報管理装置、150・・・作業者情報管理装置、160・・・シミュレーション装置、190・・・ネットワーク。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1人以上の作業者が1台以上の製造装置を担当し、それらの製造装置が複数の工程で共用されている製造ラインを対象として、作業者の人数不足によって生産指標が悪化する勤務シフトを特定して、それを提示し、作業者の勤務計画や配置計画の作成を支援する作業者配置支援装置であって、
制御部と、記憶部と、入力部と、出力部と、通信部とを備え、
前記記憶部は、製造物の品種別の製造工程と製造工程で必要な作業者人数と製造装置を特定する情報を格納する工程経路情報記憶領域と、製造装置停止計画記憶領域と、投入する予定の製造物のロットの投入計画記憶領域と、製造ライン内に存在するロットの仕掛り情報記憶領域と、製造ラインを構成している製造装置情報記憶領域と、製造物の品種別に各作業者が担当可能な工程を特定する作業者情報記憶領域と、稼働日毎に昼勤、夜勤とを担当する班を特定する情報を含む勤務シフト計画記憶領域と、作業者勤務計画記憶領域とを有し、
前記制御部は、
前記入力部または前記通信部を介して、
製造装置、作業者、製造される製造物の動きをモデル化して、それらの動きを予測する生産シミュレータを使用して、
製品毎の工程の順序を表す工程経路情報、各工程の工程時間情報、製造装置の停止計画、新規の製造物の投入計画、シミュレーション開始時刻の仕掛り情報、シミュレーション開始時刻の製造装置情報、各作業者の担当可能な作業情報、および各作業者の勤務計画情報を入力する情報取得管理部と、
前記工程経路情報、前記工程時間情報、製造装置の停止計画、新規の製造物の投入計画、シミュレーション開始時刻の仕掛り情報、シミュレーション開始時刻の製造装置情報に従って、作業者の人数に制約がない製造装置、製造される製造物の動きのモデルを使用して、シフト時間区間毎に製造装置、作業者、製造される製造物の動きを予測するシミュレーションを実行し、シフト時間区間の各工程または各製造装置の生産指標の第1の統計値を算出する生産シミュレーション部と、
前記工程経路情報、前記工程時間情報、製造装置の停止計画、新規の製造物の投入計画、シミュレーション開始時刻の仕掛り情報、シミュレーション開始時刻の製造装置情報、各作業者の担当可能な作業情報、および各作業者の勤務計画情報に従って、
実製造ラインの勤務シフトを再現した作業者の人数に制約があるモデルを使用して、
前記シフト時間区間毎に製造装置、作業者、製造される製造物の動きを予測するシミュレーションを実行し、当該シフト時間区間の各工程または各製造装置の生産指標の第2の統計値を算出する作業者シミュレーション部と、
前記第1の統計値と前記第2の統計値を比較して、各工程または各製造装置の生産指標の悪化が発生する前記作業者のシフト時間区間を特定して、前記出力部を介して、作業者配置評価結果を出力する作業者過不足評価部とを有する、
ことを特徴とする作業者配置支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の作業者配置支援装置において、前記生産指標として、仕掛り量、スループット、製造リードタイム、処理時間、または歩留り率が採用される、
ことを特徴とする作業者配置支援装置。
【請求項3】
請求項1に記載の作業者配置支援装置において、前記生産指標の統計値として、平均値、中央値、総和、または標準偏差値、が採用される、
ことを特徴とする前記作業者配置支援装置。
【請求項4】
請求項1に記載の作業者配置支援装置において、前記第1の生産指標の統計値と、前記第2の生産指標の統計値とを比較する手段は、
前記第2の生産指標の統計値と、前記第1の生産指標の統計値との差をシフト時間区間毎に算出する、
ことを特徴とする前記作業者配置支援装置。
【請求項5】
請求項1に記載の作業者配置支援装置において、
前記第1の生産指標の統計値と、前記第2の生産指標の統計値とを比較し、生産指標の悪化が発生する前記作業者のシフト時間区間を特定する手段は、
前記作業者のシフト時間区間毎に、前記第2の生産指標の統計値と、前記第1の生産指標の統計値との差を算出し、算出した当該シフト区間における差の、前シフト時間区間における差に対する平均変化率を算出する、
ことを特徴とする前記作業者配置支援装置。
【請求項6】
請求項1に記載の作業者配置支援装置において、
前記作業者過不足評価部が出力する前記作業者配置評価結果は、出力画面上に、前記作業者のシフト時間区間を2次元座標の1軸上に時系列に配列して、対応する位置に、各工程または各製造装置の前記第2の生産指標の統計値と、前記第1の生産指標の統計値との差を、グラフまたは数値により表示して、及び、各工程または各製造装置の前記第2の生産指標の統計値と、前記第1の生産指標の統計値との差の前記平均変化率が設定した許容値を外れるグラフまたは数値をハイライト表示する、
ことを特徴とする前記作業者配置支援装置。
【請求項1】
1人以上の作業者が1台以上の製造装置を担当し、それらの製造装置が複数の工程で共用されている製造ラインを対象として、作業者の人数不足によって生産指標が悪化する勤務シフトを特定して、それを提示し、作業者の勤務計画や配置計画の作成を支援する作業者配置支援装置であって、
制御部と、記憶部と、入力部と、出力部と、通信部とを備え、
前記記憶部は、製造物の品種別の製造工程と製造工程で必要な作業者人数と製造装置を特定する情報を格納する工程経路情報記憶領域と、製造装置停止計画記憶領域と、投入する予定の製造物のロットの投入計画記憶領域と、製造ライン内に存在するロットの仕掛り情報記憶領域と、製造ラインを構成している製造装置情報記憶領域と、製造物の品種別に各作業者が担当可能な工程を特定する作業者情報記憶領域と、稼働日毎に昼勤、夜勤とを担当する班を特定する情報を含む勤務シフト計画記憶領域と、作業者勤務計画記憶領域とを有し、
前記制御部は、
前記入力部または前記通信部を介して、
製造装置、作業者、製造される製造物の動きをモデル化して、それらの動きを予測する生産シミュレータを使用して、
製品毎の工程の順序を表す工程経路情報、各工程の工程時間情報、製造装置の停止計画、新規の製造物の投入計画、シミュレーション開始時刻の仕掛り情報、シミュレーション開始時刻の製造装置情報、各作業者の担当可能な作業情報、および各作業者の勤務計画情報を入力する情報取得管理部と、
前記工程経路情報、前記工程時間情報、製造装置の停止計画、新規の製造物の投入計画、シミュレーション開始時刻の仕掛り情報、シミュレーション開始時刻の製造装置情報に従って、作業者の人数に制約がない製造装置、製造される製造物の動きのモデルを使用して、シフト時間区間毎に製造装置、作業者、製造される製造物の動きを予測するシミュレーションを実行し、シフト時間区間の各工程または各製造装置の生産指標の第1の統計値を算出する生産シミュレーション部と、
前記工程経路情報、前記工程時間情報、製造装置の停止計画、新規の製造物の投入計画、シミュレーション開始時刻の仕掛り情報、シミュレーション開始時刻の製造装置情報、各作業者の担当可能な作業情報、および各作業者の勤務計画情報に従って、
実製造ラインの勤務シフトを再現した作業者の人数に制約があるモデルを使用して、
前記シフト時間区間毎に製造装置、作業者、製造される製造物の動きを予測するシミュレーションを実行し、当該シフト時間区間の各工程または各製造装置の生産指標の第2の統計値を算出する作業者シミュレーション部と、
前記第1の統計値と前記第2の統計値を比較して、各工程または各製造装置の生産指標の悪化が発生する前記作業者のシフト時間区間を特定して、前記出力部を介して、作業者配置評価結果を出力する作業者過不足評価部とを有する、
ことを特徴とする作業者配置支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の作業者配置支援装置において、前記生産指標として、仕掛り量、スループット、製造リードタイム、処理時間、または歩留り率が採用される、
ことを特徴とする作業者配置支援装置。
【請求項3】
請求項1に記載の作業者配置支援装置において、前記生産指標の統計値として、平均値、中央値、総和、または標準偏差値、が採用される、
ことを特徴とする前記作業者配置支援装置。
【請求項4】
請求項1に記載の作業者配置支援装置において、前記第1の生産指標の統計値と、前記第2の生産指標の統計値とを比較する手段は、
前記第2の生産指標の統計値と、前記第1の生産指標の統計値との差をシフト時間区間毎に算出する、
ことを特徴とする前記作業者配置支援装置。
【請求項5】
請求項1に記載の作業者配置支援装置において、
前記第1の生産指標の統計値と、前記第2の生産指標の統計値とを比較し、生産指標の悪化が発生する前記作業者のシフト時間区間を特定する手段は、
前記作業者のシフト時間区間毎に、前記第2の生産指標の統計値と、前記第1の生産指標の統計値との差を算出し、算出した当該シフト区間における差の、前シフト時間区間における差に対する平均変化率を算出する、
ことを特徴とする前記作業者配置支援装置。
【請求項6】
請求項1に記載の作業者配置支援装置において、
前記作業者過不足評価部が出力する前記作業者配置評価結果は、出力画面上に、前記作業者のシフト時間区間を2次元座標の1軸上に時系列に配列して、対応する位置に、各工程または各製造装置の前記第2の生産指標の統計値と、前記第1の生産指標の統計値との差を、グラフまたは数値により表示して、及び、各工程または各製造装置の前記第2の生産指標の統計値と、前記第1の生産指標の統計値との差の前記平均変化率が設定した許容値を外れるグラフまたは数値をハイライト表示する、
ことを特徴とする前記作業者配置支援装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−220960(P2012−220960A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82399(P2011−82399)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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