説明

作業車の姿勢制御装置

【課題】 目標傾斜角を所望の傾斜角に調整する操作を煩わしさの少ない状態で容易に行うことが可能となる作業車の姿勢制御装置を提供する。
【解決手段】 走行装置に対する車体Vの傾斜姿勢を変更操作自在な姿勢変更操作手段100が備えられ、姿勢変更制御の実行中において、姿勢変更指令手段60,61にて姿勢変更指令が指令され、その指令が終了すると、指令が終了してから設定待機時間が経過するまでの間車体Vの傾斜姿勢の変更操作を停止させたのち姿勢変更制御を再開するように姿勢変更操作手段100の作動を制御し、且つ、姿勢変更指令の指令が終了したときから設定待機時間よりも短い時間に設定された出力安定化時間が経過したのち設定待機時間が経過するまでの間において、傾斜角検出手段23の検出情報に基づいて目標傾斜角を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行装置に対する車体の傾斜姿勢を変更操作自在な姿勢変更操作手段と、重力の作用によって車体の水平基準面に対する傾斜角を検出する重力式の傾斜角検出手段と、前記傾斜角検出手段の検出情報に基づいて車体の水平基準面に対する傾斜角が目標傾斜角に維持されるように前記姿勢変更操作手段の作動を制御する姿勢変更制御を実行する姿勢制御手段とが備えられている作業車の姿勢制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記作業車の姿勢制御装置は、例えば、姿勢変更操作手段が走行装置に対する車体の左右傾斜姿勢を変更操作自在に構成され、前記姿勢変更制御として、車体の水平基準面に対する左右傾斜角が目標傾斜角に維持されるように前記姿勢変更操作手段の作動を制御するように構成されており、従来では、手動操作によって前記目標傾斜角を複数段階、例えば、水平基準面から左傾斜方向に3度傾斜する最大左傾斜状態と水平基準面から右傾斜方向に3度傾斜する最大右傾斜状態との間で7段階にわたって段階的に変更させて設定する手動操作式の目標傾斜角設定手段が設けられ、前記姿勢制御手段が、その目標傾斜角設定手段にて目標傾斜角が変更設定された後は、そのように変更設定された目標傾斜角の情報に基づいて姿勢変更制御を実行する構成となっていた(例えば、特許文献1参照。)。又、前記重力式の傾斜角検出手段が、車体に備えられた容器にシリコンオイル等の所定粘度の液体を収納し、且つ、その液体に浸漬する一対の電極を備えて、車体が水平基準面から傾斜するに伴って容器に対して液面が傾斜して一対の電極の浸漬量が変化することにより変化する一対の電極間の静電容量の変化を車体の前後傾斜角の情報として電気的に検出する構成となっていた。
【0003】
【特許文献1】特開2002−204613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来構成では、前記目標傾斜角設定手段によって予め設定された目標傾斜角になるように姿勢変更制御が行われるものであり、例えば、作業車の一例としてのコンバインでは、圃場で刈取作業を行う場合に、上記したような車体の水平基準面に対する左右傾斜角が目標傾斜角に維持されるように姿勢変更操作が行われることで、刈取部が地面に接触しないようにしながら刈取作業を良好に行うことができるようにしたものである。
【0005】
説明を加えると、上記したようなコンバイン等においては、圃場の多くの領域では地面は略平坦な面になっているので前記目標傾斜角として略水平姿勢になるように設定した状態で作業を行うことが多い。しかし、圃場の畦際等においては、畦に近いほど地面が高くなるように地面が傾斜状態になっていることがある。又、畦際には手刈りした穀稈やワラ屑等が堆積していることもある。そこで、畦際を走行するような場合には、刈取部が傾斜している地面や堆積物に接触しないように、車体の水平基準面に対する左右傾斜角を、水平姿勢ではなく左右両側箇所のうちの畦に近い側の箇所が反対側の箇所よりも上方に位置するように傾斜させた状態で刈取作業を行うような場合がある。
【0006】
そこで、車体を略水平姿勢で作業を行う場合や上記したように車体の水平基準面に対する左右傾斜角を傾斜させる場合等の作業状況の違いに対して、前記目標傾斜角設定手段によって異なる目標傾斜角に切り換えることで対応することができるのである。しかし、上記従来構成では、目標傾斜角を複数段階にわたって段階的に変更させるものであるから、畦際において穀稈やワラ屑等との接触を回避するために車体を傾斜させるような場合において、目標傾斜角が上記したような7段階の複数段階の設定値のうちのいずれかに段階的に変化するので、設定される傾斜角が必要とされる傾斜角よりも小さすぎたり、あるいは大きすぎたりして所望の傾斜角に調整することができない不利があった。
【0007】
ところで、このような不利を解消するために前記目標傾斜角設定手段をポテンショメータ式に構成して目標傾斜角を無段階に変更設定可能な構成とすることも考えられるが、目標傾斜角は、そのときの車体の実際の傾斜角とは関係なく、水平基準面からの傾斜角の大きさに相当するものであるから、操作者は、目標傾斜角の大きさと車体の実際の傾斜姿勢との対応関係が感覚的に判り難いものであり、目標傾斜角を操作者が希望する傾斜角に調整することが難しく、かえって手間がかかる等の不利がある。
【0008】
本発明の目的は、目標傾斜角を所望の傾斜角に調整する操作を煩わしさの少ない状態で容易に行うことが可能となる作業車の姿勢制御装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る作業車の姿勢制御装置は、走行装置に対する車体の傾斜姿勢を変更操作自在な姿勢変更操作手段と、重力の作用によって車体の水平基準面に対する傾斜角を検出する重力式の傾斜角検出手段と、前記傾斜角検出手段の検出情報に基づいて車体の水平基準面に対する傾斜角が目標傾斜角に維持されるように前記姿勢変更操作手段の作動を制御する姿勢変更制御を実行する姿勢制御手段とが備えられているものであって、その第1特徴構成は、前記走行装置に対する車体の傾斜姿勢を変更させる姿勢変更指令として、傾斜角変更方向一方側へ変更させる一方側姿勢変更指令及び前記傾斜角変更方向他方側へ変更させる他方側姿勢変更指令を選択的に指令する手動操作式の姿勢変更指令手段が備えられ、前記姿勢制御手段が、前記姿勢変更制御の実行中において、前記姿勢変更指令手段にて前記姿勢変更指令が指令されると、前記姿勢変更制御を停止して前記姿勢変更指令に基づいて前記走行装置に対する車体の傾斜姿勢を変更させ、前記姿勢変更指令の指令が終了すると、前記姿勢変更指令の指令が終了してから設定待機時間が経過するまでの間車体の傾斜姿勢の変更操作を停止させたのち前記姿勢変更制御を再開するように前記姿勢変更操作手段の作動を制御し、且つ、前記姿勢変更指令の指令が終了したときから前記設定待機時間よりも短い時間に設定された出力安定化時間が経過したのち前記設定待機時間が経過するまでの間において、前記傾斜角検出手段の検出情報に基づいて前記目標傾斜角を設定する目標傾斜角設定処理を実行するように構成されている点にある。
【0010】
第1特徴構成によれば、前記姿勢制御手段は、車体の水平基準面に対する傾斜角が目標傾斜角に維持されるように前記姿勢変更操作手段の作動を制御する姿勢変更制御を実行している途中において、前記姿勢変更指令手段にて前記姿勢変更指令が指令されると、前記姿勢変更制御を停止して前記姿勢変更指令に基づいて前記走行装置に対する車体の傾斜姿勢を変更させる。つまり、前記姿勢変更指令に基づいて前記走行装置に対する車体の傾斜姿勢を傾斜角変更方向一方側又は他方側へ変更すべく前記姿勢変更操作手段の作動を制御するのである。例えば、作業車が圃場を走行しているときに畦際で傾斜している地面や畦際における堆積物に接触しないように、車体の傾斜姿勢を変更する必要がある場合に、操作者が前記姿勢変更指令手段を手動操作することにより車体の傾斜姿勢を変更させることができる。
【0011】
このような姿勢変更指令手段の指令に基づく姿勢変更操作は、現在の車体の姿勢から一方側又は他方側へ車体を傾斜させるものであるから、車体に搭乗している操作者が車体の傾斜状態を確認しながら一方側又は他方側へ車体を傾斜させることができるので感覚的に判り易いものであり、操作者が望んでいる傾斜姿勢にさせ易いものとなる。
【0012】
そして、前記姿勢制御手段は、前記姿勢変更指令手段による前記姿勢変更指令の指令が終了すると、前記姿勢変更指令の指令が終了してから設定待機時間が経過するまでの間車体の傾斜姿勢の変更操作を停止させたのち前記姿勢変更制御を再開するように前記姿勢変更操作手段の作動を制御する。つまり、前記姿勢変更指令の指令が終了してから設定待機時間が経過するまでは、車体の傾斜姿勢の変更操作を停止させるのである。
【0013】
又、姿勢制御手段は、前記姿勢変更指令の指令が終了したときから前記設定待機時間よりも短い時間に設定された出力安定化時間が経過したのち前記設定待機時間が経過するまでの間において、前記傾斜角検出手段の検出情報に基づいて前記目標傾斜角を設定する目標傾斜角設定処理を実行する。すなわち、前記姿勢変更指令の指令が終了したときから前記設定待機時間よりも短い時間に設定された出力安定化時間が経過するまで待機してから、その後に傾斜角検出手段にて検出される検出情報に基づいて目標傾斜角を設定するのである。
【0014】
説明を加えると、重力の作用によって車体の水平基準面に対する傾斜角を検出する重力式の傾斜角検出手段は、重力だけが加わっているときは、車体の前後方向の傾斜角を適正に検出することが可能であるが、前記姿勢変更指令の指令に伴って車体の姿勢が変化すると、それに伴って傾斜角検出手段も移動して移動方向での加速度が発生することになる。このように加速度が発生すると、傾斜角検出手段が例えば容器内の液体を備える構成であれば、加速度に起因して容器内の液体の液面は移動方向とは反対側の液面が高くなる状態で斜め姿勢になる。又、容器内に収容される液体は細かな振動等によって誤検出することがないように所定粘度を有するのが一般的であるから、大きな加速度に起因して液面が斜め姿勢になっている状態から加速度が無くなる状態に変化した場合においても、直ちに初期姿勢、すなわち重力だけが加わって液体が静止している状態に復帰することができず、適正な傾斜角検出状態になるまでには所定の時間を要するものである。その結果、前記姿勢変更指令の指令が終了したときに、直ちにそのときの傾斜角検出手段の検出値を目標傾斜角として設定すると、上記したような液面水平状態への復帰に要する時間遅れ等に起因して、車体の実際の傾斜姿勢と目標傾斜角との間に誤差が生じてしまう不利がある。
【0015】
そこで、前記姿勢変更指令の指令が終了したときから出力安定化時間が経過した後の傾斜角検出手段の検出情報、言い換えると、操作者が希望する車体の傾斜姿勢に対応している適正な検出情報に基づいて目標傾斜角を設定するのである。
【0016】
そして、前記姿勢変更指令の指令が終了したときから設定待機時間が経過したのちは、前記設定されて目標傾斜角に基づいて前記姿勢変更操作手段の作動を制御する前記姿勢変更制御を再開するので、その後は、地面の凹凸等に起因して走行装置の接地部の傾斜姿勢が変動することがあっても、姿勢変更制御を実行することにより、車体は操作者の手動操作指令にて姿勢変更した後の傾斜姿勢を維持することになる。
【0017】
従って、第1特徴構成によれば、目標傾斜角を所望の傾斜角に調整する操作を煩わしさの少ない状態で容易に行うことが可能となる作業車の姿勢制御装置を提供できるに至った。
【0018】
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成に加えて、前記姿勢制御手段が、前記目標傾斜角設定処理として、前記傾斜角検出手段にて複数回検出される複数の検出値を平均化処理して求めた目標傾斜角を設定するように構成されている点にある。
【0019】
第2特徴構成によれば、前記姿勢制御手段は、前記姿勢変更指令の指令が終了したときから前記出力安定化時間が経過したのち前記設定待機時間が経過するまでの間において、前記傾斜角検出手段にて複数回検出される複数の検出値を平均化処理して求めた目標傾斜角を設定することになる。
【0020】
例えば、傾斜角検出手段にて1回だけ検出した結果を用いて目標傾斜角を設定するものでは、車体の走行に伴う振動等に起因して検出値がゆらいで不適正な検出値が目標傾斜角として設定されるおそれがあるが、複数回検出される複数の検出値を平均化処理するようにしたから、検出値のゆらぎ等に起因した一時的な誤差等が少ない状態で適正な傾斜角を求めることができる。
【0021】
従って、第2特徴構成によれば、誤差が少なく操作者により操作された実際の車体の傾斜姿勢に対応する傾斜角と同じか又はそれに近い目標傾斜角を設定することが可能となる。
【0022】
本発明の第3特徴構成は、第1特徴構成又は第2特徴構成に加えて、前記姿勢変更操作手段が、車体の水平基準面に対する左右傾斜角を変更操作するように構成され、前記傾斜角検出手段が、車体の水平基準面に対する左右傾斜角を検出するように構成され、前記姿勢制御手段が、前記姿勢変更制御として、前記傾斜角検出手段の検出情報に基づいて車体の水平基準面に対する左右傾斜角が目標傾斜角に維持されるように前記姿勢変更操作手段の作動を制御するように構成されている点にある。
【0023】
第3特徴構成によれば、前記傾斜角検出手段の検出情報に基づいて、車体の水平基準面に対する左右傾斜角が、目標傾斜角になるように姿勢変更操作手段が制御されるので、車体の左右姿勢が水平姿勢になるように変更操作されることになる。そして、前記姿勢変更指令手段にて前記姿勢変更指令が指令されると、車体の左右姿勢が水平姿勢から右傾斜姿勢や左傾斜姿勢に切り換わると、その傾斜姿勢に対応する目標傾斜角が設定されて姿勢変更操作手段が制御されることになる。
【0024】
従って、第3特徴構成によれば、作業車の一例として圃場内で刈取作業を行うコンバインに適用した場合であれば、車体の水平基準面に対する左右傾斜角の目標傾斜角として、刈取作業を行う場合には水平姿勢又はそれに近い姿勢に対応する傾斜角に設定し、畦際において刈取作業を行うような場合には、姿勢変更操作にて水平姿勢から畦側を上位に位置させるように車体を傾斜させる傾斜姿勢に対応する傾斜角に設定する等、作業状況に応じた適切な目標傾斜角を設定することで好適に使用することができる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を作業車の一例としてのコンバインに適用した場合について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、コンバインは、左右一対のクローラ式の走行装置1L,1R、刈取穀稈を脱穀処理する脱穀装置3、脱穀された穀粒を貯留する穀粒タンク4、搭乗運転部2等を備えた車体Vに対して、稲や麦等の植立穀稈を刈り取って脱穀装置3に供給する刈取部10を昇降自在に備えて構成されている。
【0026】
刈取部10は、先端部に設けた分草具6、分草具6にて分草された植立穀稈を引き起こす引起し装置5、引き起こされた穀稈の株元側を切断するバリカン型の刈刃7、刈取穀稈を徐々に横倒れ姿勢に変更しながら後方側に搬送する縦搬送装置8等にて構成され、車体Vの前部に横軸芯P1周りに油圧式の刈取シリンダC1によって揺動昇降自在に設けられている。
【0027】
上記分草具6の後方側箇所に、刈取部10の地面に対する高さを検出する超音波式の刈高さセンサ9が設けられている。詳述はしないが、この刈高さセンサ9は、下方側に向けて超音波を発信してから受信するまでの時間を計測することで、刈取部10の地面に対する高さを検出するように非接触式に構成されている。
【0028】
そして、このコンバインでは、左右の走行装置1L,1Rの接地部に対する車体Vの前後傾斜角及び左右傾斜角を変更操作自在な姿勢変更操作手段100が設けられている。以下、その構成について説明する。
先ず、左右の走行装置1L,1Rの車体Vへの取付構造を説明する。尚、左右の走行装置1L,1Rは夫々同一構成であるから、そのうち左側の走行装置1Lについて以下に説明し、右側の走行装置1Rについてはその説明を省略する。
【0029】
図2に示すように、車体Vを構成する前後向き姿勢の主フレーム11に対して固定される支持フレーム12の前端側には駆動スプロケット13が回転自在に支持されるとともに、複数個の遊転輪体14を前後方向に並べた状態で枢支し、且つ、後端部にテンション輪体15を支持したトラックフレーム16が前記支持フレーム12に対して上下動可能に装着されている。そして、前記駆動スプロケット13とテンション輪体15及び各遊転輪体14にわたり無端回動体であるクローラベルトBが巻回されている。
【0030】
前記支持フレーム12の前部側には水平軸芯P2周りで回動可能に側面視で略L字形に構成される前ベルクランク17aが枢支され、支持フレーム12の後部側には水平軸芯P3周りで回動可能に側面視で略L字形に構成される後ベルクランク17bが枢支されている。前ベルクランク17aの下方側端部がトラックフレーム16の前部側箇所に枢支連結され、後ベルクランク17bの下方側端部は、ストローク吸収用の補助リンク17b1を介して、トラックフレーム16の後部側箇所に枢支連結されている。
一方、前後ベルクランク17a,17bの夫々の上方側端部には、夫々、油圧シリンダC2,C3のシリンダロッドが連動連結されている。前記各油圧シリンダC2,C3のシリンダ本体側は主フレーム11における横フレーム部分に枢支連結されており、前記各油圧シリンダC2,C3は夫々複動型の油圧シリンダにて構成されている。
【0031】
前ベルクランク17aに対応する油圧シリンダC2(以下、左前シリンダという)を最も伸張させるとともに、後ベルクランク17bに対応する油圧シリンダC3(以下、左後シリンダという)を最も短縮させると、図2に示すように、トラックフレーム16が支持フレーム12に受け止め支持され、トラックフレーム16が主フレーム11に最も近づいてほぼ平行状態となる。
【0032】
そして、図2に示す状態から、左後シリンダC3をそのままの状態に維持しながら左前シリンダC2を短縮作動させると、図3に示すように、車体Vの前部側を接地部に対して離間する方向に姿勢変更することになる。
図2に示す状態から、左前シリンダC2をそのままの状態に維持しながら左後シリンダC3を伸長作動させると、図4に示すように、車体Vの後部側を接地部に対して離間する方向に姿勢変更することになる。
又、図2に示す状態から、左前シリンダC2を短縮作動させ、且つ、左後シリンダC3を伸長作動させると、図5に示すように、車体Vが接地部に対して平行姿勢のまま離間する方向に姿勢変更することになる。
【0033】
右側の走行装置1Rにおいても左側の走行装置1Lと同様に、機体前部側に位置する右前シリンダC4と、機体後部側に位置する右後シリンダC5とが夫々備えられ、左側のクローラ走行装置1Lと同様な動作を行う。
従って、前記姿勢変更操作手段100が、車体Vにおける左側前部、左側後部、右側前部、及び、右側後部の夫々において前記左右走行装置1L,1Rの接地部に対する高さを各別に変更調節自在な4個の駆動手段としての前記4個の機体姿勢変更用の油圧シリンダC2〜C5を備えて構成されている。
【0034】
そして、左右両側の走行装置1L,1Rが夫々図2に示す状態になっていると、走行装置1L,1Rの接地部に対する車体Vの傾斜角が零又は略零となる基準状態としての下限基準姿勢となる。そして、この下限基準姿勢にある状態から、左右の後シリンダC3,C5をそのままの状態に維持しながら左右の前シリンダC2,C4を短縮作動させると、左右走行装置1L,1Rのトラックフレーム16の前端側が後端側より機体フレーム11に対して下降した状態になる。すなわち、車体Vを前部側が走行装置1L,1Rの接地部に対して離間する方向に姿勢変更(前上昇操作)することになる。
【0035】
又、前記下限基準姿勢にある状態から、左右の前シリンダC2,C4をそのままの状態に維持しながら左右の後シリンダC3,C5を伸長作動させると、左右走行装置1L,1Rのトラックフレーム16の後端側が前端側より機体フレーム11に対して下降した状態になる。車体Vを後部側が走行装置1L,1Rの接地部に対して離間する方向に姿勢変更(後上昇操作)することになる。
【0036】
更に、前記下限基準姿勢にある状態から、左右の前シリンダC2,C4を短縮作動させ、且つ、左右の後シリンダC3,C5を伸長作動させると、左右走行装置1L,1Rのトラックフレーム16が機体フレーム11に対してほぼ平行に下降した状態になる。車体Vを走行装置1L,1Rの接地部に対して平行姿勢のまま離間する方向に姿勢変更(上昇操作)することになる。
【0037】
そして、左側の走行装置1Lにおけるトラックフレーム16と機体フレーム11との上下間隔が、右側の走行装置1Rにおけるトラックフレーム16と機体フレーム11との上下間隔より小になるように、言い換えると、右側の走行装置1Rにおけるトラックフレーム16と機体フレーム11との上下間隔が左側の走行装置1Lにおけるトラックフレーム16と機体フレーム11との上下間隔より大になるように、各油圧シリンダC2〜C5を操作させると、車体Vを走行装置1L,1Rの接地部に対して右上げ方向に姿勢変更、つまり、右側を上げて左側に傾斜させる左傾斜操作を行うことになる。
【0038】
又、右側の走行装置1Rにおけるトラックフレーム16と機体フレーム11との上下間隔が、左側の走行装置1Lにおけるトラックフレーム16と機体フレーム11との上下間隔より小になるように、言い換えると、左側の走行装置1Lにおけるトラックフレーム16と機体フレーム11との上下間隔が右側の走行装置1Rにおけるトラックフレーム16と機体フレーム11との上下間隔より大になるように、各油圧シリンダC2〜C5を操作させると、車体Vを走行装置1L,1Rの接地部に対して左上げ方向に姿勢変更、つまり、左側を上げて右側に傾斜させる右傾斜操作を行うことになる。
【0039】
前記4個の油圧シリンダC2,C3,C4,C5の夫々に対応させて、左右走行装置1L,1Rにおける前記各ベルクランク17a,17bの回動支点部に対応する箇所に、その回動量に基づいて前記各油圧シリンダC2,C3,C4,C5の操作量(即ち、伸縮作動したストローク量)を検出するポテンショメータ形のストロークセンサ18,19,20,21が設けられている(図9参照)。
【0040】
次に、動力伝達系を図6に示す。車体Vに搭載されたエンジンEから出力された動力は、脱穀クラッチ45を介して脱穀装置3に伝達されるとともに、走行クラッチ46及び走行変速装置としての無段変速装置47を介して左右の走行装置1L,1Rのミッション部48に伝達され、ミッション部48に伝達された動力は、走行装置1L,1Rに伝達される一方、刈取クラッチ49を介して刈取部10に伝達される。又、詳述はしないが、前記ミッション部48に伝達された動力を左右の走行装置1L,1Rにおける駆動速度に差をつけて旋回操作するための旋回用伝動機構55が備えられており、搭乗運転部2に備えられた左右方向並びに前後方向の夫々に十字揺動操作自在な操作レバー28の左右方向の揺動操作に基づいて旋回用伝動機構55を切り換えて車体Vを旋回走行させることができるようになっている。前記無段変速装置47は、搭乗運転部2に設けた変速レバー51によって変速操作されるように構成されている。
【0041】
そして、このコンバインには、重力の作用によって、車体Vの水平基準面に対する左右傾斜角を検出する重力式の左右傾斜角センサ23が車体Vに設けられており、この左右傾斜角センサ23は次のように構成されている。
すなわち、図7に示すように、車体Vに固定された角型の容器41の内部に、シリコンオイル等からなる所定粘度の液体42が収容され、同一形状の金属板を同一間隔で平行に立設した一対の検出電極43が傾斜角検出方向(図7において左右方向)に間隔をあけて容器41に固定される状態で2組配置されている。そして、液体42が重力により初期姿勢(液面水平状態)に復帰しているときに、車体Vが傾斜していない状態では、2組の検出電極43が同一漬浸状態(図7の状態)になり、車体Vが傾斜している状態では、2組の検出電極43の漬浸状態が異なり、その各検出電極43の静電容量を計測してその計測値の差(車体Vが傾斜していない状態ではゼロである)を傾斜角情報に対応する検出値に変換する変換回路部44が備えられている。
【0042】
重力の作用によって車体Vの水平基準面に対する前後傾斜角を検出する重力式の前後傾斜角センサ24が備えられており、この前後傾斜角センサ24は、検出方向が異なるが上述したような左右傾斜角センサ23と同一の構成である。又、車体Vの前後傾斜方向での角速度を検出する角速度センサ25が備えられており、前後傾斜角センサ24の検出値及び角速度センサ25の検出値に基づいて車体Vの前後傾斜角を求める傾斜角算出手段300が後述する制御装置22を利用して構成されている。
【0043】
図9に示すように、マイクロコンピュータ利用の制御装置22が設けられ、この制御装置22に、前記各ストロークセンサ18〜21、刈高さセンサ9、左右傾斜角センサ23、前後傾斜角センサ24、角速度センサ25の各検出情報が入力されている。又、搭乗運転部2の操作パネルには、左右方向での姿勢変更を行うローリング制御の入切を指令する左右自動スイッチ26、前後方向での姿勢変更を行うピッチング制御の入切を指令する前後自動スイッチ27が設けられ、それらの各操作情報も制御装置22に入力されている。さらに、車体Vに対する刈取部10の地面に対する高さ即ち刈取高さを設定するボリューム式の刈高設定器39、刈取部上昇を指令する上昇スイッチSW1、刈取部下降を指令する下降スイッチSW2等が備えられ、これらの情報も制御装置22に入力されている。
【0044】
前記上昇スイッチSW1及び前記下降スイッチSW2は、搭乗運転部2の操作パネルに備えられた十字揺動自在な操作レバー28の前後揺動操作にて入り切り操作される構成となっている。つまり、操作レバー28を後方側に設定量以上揺動すると上昇スイッチSW1がオン、操作レバー28を前方側に設定量以上揺動すると下降スイッチSW2がオンする構成となっている。
【0045】
そして、図8に示すように、前記操作レバー28の握り部28aの上部には、車体Vの左右傾斜姿勢を左下げ方向に姿勢変更させる左傾斜指令を指令する左傾斜スイッチ60、車体Vの左右傾斜姿勢を右下げ方向に姿勢変更させる右傾斜指令を指令する右傾斜スイッチ61、車体Vの前後傾斜姿勢を前下げ方向に姿勢変更させる前傾斜操作を指令する前傾斜スイッチ62、車体Vの前後傾斜姿勢を後下げ方向に姿勢変更させる後傾斜指令を指令する後傾斜スイッチ63、車体Vの水平姿勢を指令する水平スイッチ64の夫々が手指にて操作可能に設けられている。又、それとは別に、搭乗運転部2の操作パネルには、上昇指令部としての機体上げスイッチ65と、下降指令部としての機体下げスイッチ66とが備えられ、これらの各スイッチ60〜66の検出情報も制御装置22に入力されている。これら各スイッチは手動操作にて車体の姿勢変更を指令する手動式の指令手段400を構成する。
【0046】
そのうち、この実施形態では、左傾斜スイッチ60及び右傾斜スイッチ61は、ローリング制御を実行するときに、走行装置1R,1Lに対する車体Vの傾斜姿勢を傾斜角変更方向一方側(右傾斜方向)へ変更させる一方側姿勢変更指令としての右傾斜指令及び前記傾斜角変更方向他方側(左傾斜方向)へ変更させる他方側姿勢変更指令としての左傾斜指令を選択的に指令する手動操作式の姿勢変更指令手段を構成する。
【0047】
一方、前記前傾斜スイッチ62及び前記後傾斜スイッチ63は、ピッチング制御を実行するときに、走行装置1R,1Lに対する車体Vの傾斜姿勢を前傾斜方向へ変更させる前傾斜指令及び後傾斜方向へ変更させる後傾斜指令を選択的に指令するように構成されている。又、前記水平スイッチ64は、水平基準面に対する傾斜角が零となる水平姿勢用の目標傾斜角を指令する手動操作式の水平用目標傾斜角指令手段を構成することになる。
【0048】
説明を加えると、前記各スイッチ60〜64は、押し操作によって入り状態となり押しを解除すると切り状態となる切り付勢式の押し操作スイッチにて構成され、左傾斜スイッチ60がオンすると車体Vの左側を下げ右側を上げるように傾斜させる左傾斜指令が指令され、右傾斜スイッチ61がオンすると車体Vの右側を下げ左側を上げるように傾斜させる右傾斜指令が指令され、前傾斜スイッチ62がオンすると車体Vの前側を下げ後側を上げるように傾斜させる前傾斜指令が指令され、後傾斜スイッチ63がオンすると車体Vの後側を下げ前側を上げるように傾斜させる右傾斜指令が指令される。
【0049】
一方、機体上げスイッチ65がオンすると、車体Vの左側前部、左側後部、右側前部及び右側後部の夫々を走行装置1R,1Lの接地部に対して同時に上昇させる上昇処理が指令され、機体下げスイッチ66がオンすると、車体Vの左側前部、左側後部、右側前部及び右側後部の夫々を走行装置1R,1Lの接地部に対して下降させる下降処理が指令される。
【0050】
前記制御装置22は、ローリング制御を実行しているときに水平スイッチ64がオンすると、水平基準面に対する左右傾斜角が零となるローリング制御用の目標傾斜角を設定し、ローリング制御及びピッチング制御を実行しているときに水平スイッチ64がオンすると、水平基準面に対する左右傾斜角が零となるローリング制御用の目標傾斜角を設定し、且つ、水平基準面に対する前後傾斜角が零となるピッチング制御用の目標傾斜角を設定するように構成されている。又、ローリング制御及びピッチング制御をいずれも実行していない状態で水平スイッチ64がオンすると、そのオン指令に伴って、車体Vが下限基準姿勢、すなわち、左右の走行装置1L,1Rが夫々、図2に示す下限基準状態になる姿勢に至るまで姿勢変更操作手段100を作動させるように構成されている。
【0051】
そして、制御装置22は、前後傾斜角センサ24の検出値及び角速度センサ25の検出値に基づいて車体Vの前後傾斜角を求めるときには、前後傾斜角センサ24の検出値の低周波成分と角速度センサ25の検出値を積分した値の高周波成分とを利用して車体Vの前後傾斜角を求めるようになっている。説明を加えると、図10にも示すように、制御装置22が、逐次検出される前後傾斜角センサ24の検出値のうちの高周波数成分を除去するローパスフィルター処理、角速度センサ25の検出値を積分する積分処理、及び、その積分した積分値のうちの低周波数成分を除去するハイパスフィルター処理の夫々をソフト処理により実行し、且つ、ローパスフィルター処理を行った後の出力値とハイパスフィルター処理を行った後の出力値とを加算して車体Vの前後傾斜角を求める処理を実行するように構成されている。すなわち、制御装置22を利用してローパスフィルターLPF、積分手段500、ハイパスフィルターHPF等が構成されており、これらにより傾斜角算出手段300が構成されることになる。
【0052】
そして、制御装置22は、上記したような前後傾斜角の算出処理を設定単位時間毎に繰り返し実行するように構成され、左右傾斜角センサ23による左右傾斜角の検出処理も設定単位時間毎に繰り返し実行するように構成されている。
【0053】
又、制御装置22を利用して、前後傾斜角センサ24及び角速度センサ25の検出情報に基づいて、車体Vの水平基準面に対する前後傾斜角を算出して、その前後傾斜角が設定傾斜角に維持されるように姿勢変更操作手段100の作動を制御するピッチング制御、及び、左右傾斜角センサ23の検出情報に基づいて、車体Vの水平基準面に対する左右傾斜角が設定傾斜角に維持されるように姿勢変更操作手段100の作動を制御するローリング制御を実行する姿勢制御手段200が構成されている。
【0054】
姿勢制御手段200は、ピッチング制御において、前記4個の油圧シリンダC2〜C5のうち、左側前部及び右側前部に位置する2個の油圧シリンダ(左前シリンダC2と右前シリンダC4)と、左側後部及び右側後部に位置する2個の油圧シリンダ(左後シリンダC3と右後シリンダC5)のいずれか一方の2個の油圧シリンダを駆動停止させた状態で、他方の2個の油圧シリンダを駆動操作するように構成され、且つ、ローリング制御において、前記4個の油圧シリンダC2〜C5のうち、左側前部及び左側後部に位置する2個の油圧シリンダ(左前シリンダC2と左後シリンダC3)と、右側前部及び右側後部に位置する2個の油圧シリンダ(右前シリンダC4と右後シリンダC5)のいずれか一方の2個の油圧シリンダを駆動停止させた状態で、他方の2個の油圧シリンダを駆動操作するように構成されている。
【0055】
つまり、制御装置22からは、刈取シリンダC1及び4個の機体姿勢変更用の油圧シリンダC2〜C5を油圧制御するための油圧制御用の電磁弁29〜33に対する駆動信号が夫々出力されている。尚、前記制御装置22は、詳述はしないが、刈取作業中において、刈高さセンサ9の検出値が刈高さ設定器39にて設定された設定刈高さに維持されるように刈取シリンダC1を作動させる刈高さ制御を実行する。
【0056】
次に、前記ローリング制御及びピッチング制御による姿勢変更操作について具体的に説明する。
即ち、ローリング制御の場合は、走行面が左下がり状態であれば、車体が下限基準姿勢にある状態から、左側の走行装置1Lにおいて、左前シリンダC2を短縮作動させ、且つ、左後シリンダC3を伸長作動させると、車体Vが接地部に対して左上り傾斜姿勢(右傾斜姿勢)に変化して、車体Vの水平基準面に対する左右傾斜角を水平状態にすることができる。又、走行面が右下がり状態であれば、車体が下限基準姿勢にある状態から、右側の走行装置1Rにおいて、右前シリンダC4を短縮作動させ、且つ、右後シリンダC5を伸長作動させると、車体Vが接地部に対して右上り傾斜姿勢(左傾斜姿勢)に変化して、車体Vの水平基準面に対する左右傾斜角をローリング用の目標傾斜角にすることができる。
【0057】
ピッチング制御の場合は、走行面が前下がり状態であれば、車体が下限基準姿勢にある状態から、左後シリンダC3及び右後シリンダC5を、夫々、そのままの状態に維持しながら、左前シリンダC2及び右前シリンダC4を同時に短縮作動させると、車体Vの前部側が左右の走行装置1L,1Rの夫々の接地部に対して上昇して後傾姿勢に姿勢変化して、車体Vの水平基準面に対する前後傾斜角を設定範囲にすることができる。又、走行面が前上がり状態であれば、車体が下限基準姿勢にある状態から、左前シリンダC2及び右前シリンダC4を、夫々、そのままの状態に維持しながら、左後シリンダC3及び右後シリンダC5を同時に伸長作動させると、車体Vの後部側が左右の走行装置1L,1Rの夫々の接地部に対して上昇して前傾姿勢に姿勢変化して、車体Vの水平基準面に対する前後傾斜角をピッチング制御用の目標傾斜角にすることができる。
【0058】
そして、前記姿勢制御手段200が、ローリング制御の実行中において、前記姿勢変更指令手段としての左傾斜スイッチ60及び右傾斜スイッチ61のいずれかにて前記姿勢変更指令としての右傾斜指令あるいは左傾斜指令が指令されると、ローリング制御を停止して前記姿勢変更指令に基づいて走行装置に対する車体Vの傾斜姿勢を変更させ、前記姿勢変更指令の指令が終了すると、前記姿勢変更指令の指令が終了してから設定待機時間が経過するまでの間車体Vの傾斜姿勢の変更操作を停止させたのちローリング制御を再開するように姿勢変更操作手段100の作動を制御し、且つ、前記姿勢変更指令の指令が終了したときから前記設定待機時間よりも短い時間に設定された出力安定化時間が経過したのち前記設定待機時間が経過するまでの間において、左右傾斜角センサ23の検出情報に基づいて目標傾斜角を設定する目標傾斜角設定処理を実行するように構成されている。そして、姿勢制御手段200は、前記目標傾斜角設定処理として、左右傾斜角センサ23にて複数回検出される複数の検出値を平均化処理して求めた目標傾斜角を設定するように構成されている。
【0059】
次に、制御装置22による姿勢変更の制御動作について、図11〜図20のフローチャートに基づいて説明する。尚、図示は省略しているが、この制御は、脱穀クラッチ45の入り切りを検出する脱穀クラッチスイッチ(図示せず)がオンになっている状態において実行される構成となっている。
【0060】
図11に示すように、左右自動スイッチ26と前後自動スイッチ27の状態を調べ、左右自動スイッチ26だけがオンしている場合はローリング制御だけを実行し、前後自動スイッチ27だけがオンしている場合はピッチング制御だけを実行し、左右自動スイッチ26と前後自動スイッチ27とが共にオンしている場合はローリング制御とピッチング制御とを実行する。又、左右自動スイッチ26と前後自動スイッチ27が共にオフしている場合は、手動操作処理を実行する。
【0061】
図12に示すように、ローリング制御においては次のような処理を実行する。すなわち、左右傾斜角センサ23の検出値と目標傾斜角に対応する信号値との偏差がローリング制御用の不感帯を車体Vの左傾斜側に外れていれば、車体Vの左右傾斜姿勢を車体Vの左右傾斜姿勢を右下げ方向に姿勢変更させる右傾斜処理を実行する。すなわち、図17に示すように、機体右側に位置する前後のストロークセンサ20、21の検出情報に基づいて、右前シリンダ4及び右後シリンダC5のいずれかが下限位置に操作されているか否かを判断し、両シリンダC4,C5がいずれも下限位置に操作されていなければ、いずれかが下限位置に達するまで、右前シリンダ4を伸長作動させ且つ右後シリンダC5を短縮作動させる。右前シリンダ4及び右後シリンダC5のいずれかが下限位置に操作されれば、次に、機体左側に位置する前後のストロークセンサ18,19の検出情報に基づいて、左前シリンダC2及び左後シリンダC3のいずれかが上限位置に操作されているか否かを判断し、両シリンダC2,C3がいずれも下限位置に操作されていなければ、いずれかが上限位置に達するまで、左前シリンダC2を短縮作動させ且つ左後シリンダC3を伸長作動させる。
【0062】
前記左右傾斜角センサ23の検出値と前記目標傾斜角との偏差がローリング制御の不感帯を車体Vの右傾斜側に外れていれば、車体Vの左右傾斜姿勢を左下げ方向に姿勢変更させる左傾斜処理を実行する。すなわち、図18に示すように、機体左側に位置する前後のストロークセンサ18、20の検出情報に基づいて、左前シリンダC2及び左後シリンダC3のいずれかが下限位置に操作されているか否かを判断し、両シリンダC2,C3がいずれも下限位置に操作されていなければ、いずれかが下限位置に達するまで、左前シリンダC2を伸長作動させ且つ左後シリンダC3を短縮作動させる。左前シリンダC2及び左後シリンダC3のいずれかが下限位置に操作されれば、次に、機体右側に位置する前後のストロークセンサ19、21の検出情報に基づいて、右前シリンダC4及び右後シリンダC5のいずれかが上限位置に操作されているか否かを判断し、両シリンダC4,C5がいずれも上限位置に操作されていなければ、いずれかが上限位置に達するまで、右前シリンダC4を短縮作動させ且つ右後シリンダC5を伸長作動させる。
このようにして、車体Vの高さを極力低くするようにしながら、車体Vの左右傾斜角と目標傾斜角との角度ずれが不感帯内に収まるように自動的に姿勢変更操作処理を実行するのである。
【0063】
ローリング制御を実行中に、手動による姿勢変更操作の指令があったときは、以下のような処理を実行する。
すなわち、図13、図17、及び、図18に示すように、手動による姿勢変更操作の指令があるとローリング制御の実行を停止し、手動による姿勢変更操作の指令が右傾斜スイッチ61による右傾斜指令であれば上述したような右傾斜処理(図17参照)を実行し、左傾斜スイッチ60による左傾斜指令であれば上述したような左傾斜処理(図18参照)を実行する。但し、右傾斜スイッチ61や左傾斜スイッチ60の指令が停止すると、その指令が停止されたときの状態で作動が停止されることになる。
【0064】
そして、右傾斜スイッチ61による右傾斜指令又は左傾斜スイッチ60による左傾斜指令が指令されて姿勢変更操作が行われたときに、その姿勢変更指令の指令が終了すると、その時点から設定待機時間(1秒間)が経過するまで車体Vの姿勢変更操作を停止し、前記姿勢変更指令の指令が終了したときから設定待機時間よりも短い出力安定化時間(0.6秒間)が経過したのち設定待機時間が経過するまでの間(0.4秒間)において、上述したように左右傾斜角センサ23にて設定単位時間毎に左右傾斜角を検出してその移動平均を求める平均化処理を行い平均傾斜角を求め、設定待機時間が経過するとそのときの平均傾斜角をローリング制御用の目標傾斜角として設定する。つまり、ローリング制御用の目標傾斜角をその平均傾斜角に更新するのである。
【0065】
このように目標傾斜角が更新された後は、この更新された目標傾斜角に基づいてローリング制御を実行することになる。すなわち、姿勢変更指令の指令が終了した時点から設定待機時間(1秒間)が経過すると、ローリング制御を実行する状態に復帰して、左右傾斜角センサ23にて検出される車体Vの水平基準面に対する左右傾斜角が更新された目標傾斜角に維持されるように姿勢変更操作手段100の作動を制御するのである。
【0066】
尚、右傾斜スイッチ61による右傾斜指令又は左傾斜スイッチ60による左傾斜指令のいずれも指令されず、水平スイッチ62による水平指令が指令されると、その指令に基づいて、ローリング制御用の目標傾斜角を水平状態に対応する傾斜角つまり零に設定する。
【0067】
図14に示すように、ピッチング制御では、前後傾斜角センサ24の検出値と、水平状態に対応する信号値との偏差がピッチング制御用の不感帯を車体Vの前傾斜側に外れていれば、車体Vの前後傾斜姿勢を後下げ方向に姿勢変更させる後傾斜処理を実行する。すなわち、図19に示すように、機体後部に位置する左右のストロークセンサ19、21の検出情報に基づいて、左後シリンダC3と右後シリンダC5のいずれかが下限位置に操作されているか否かを判断し、両シリンダC3,C5がいずれも下限位置に操作されていなければ、その両シリンダC3,C5のいずれかが下限位置に達するまで、左後シリンダC3及び右後シリンダC5を短縮作動させる。左後シリンダC3及び右後シリンダC5のいずれかが下限位置に操作されれば、左前シリンダC2及び右前シリンダC4のいずれかが上限位置に達するまで、左前シリンダC2及び右前シリンダC4を短縮作動させる。
【0068】
前後傾斜角センサ24の検出値と、水平状態に対応する信号値との偏差がピッチング制御用の不感帯を車体Vの後傾斜側に外れていれば、車体Vの前後傾斜姿勢を前下げ方向に姿勢変更させる前傾斜処理を実行する。すなわち、図20に示すように、機体前部に位置する左右のストロークセンサ18、20の検出情報に基づいて、左前シリンダC2と右前シリンダC4のいずれかが下限位置に操作されているか否かを判断し、両シリンダC2,C4がいずれも下限位置に操作されていなければ、その両シリンダC2,C4のいずれかが下限位置に達するまで、左前シリンダC2及び右前シリンダC4を伸長作動させる。左前シリンダC2及び右前シリンダC4のいずれかが下限位置に操作されれば、左後シリンダC3及び右後シリンダC5のいずれかが上限位置に達するまで、左後シリンダC3及び右後シリンダC5を伸長作動させる。
このようにして、車体Vの高さを極力低くするようにしながら、車体Vの前後傾斜角と水平状態に対応する前後傾斜角との角度ずれが不感帯内に収まるようにピッチング作動処理を実行するのである。
【0069】
ピッチング制御を実行中に、手動による姿勢変更操作の指令があったときは、以下のような処理を実行する。
すなわち、図15、図19、及び、図20に示すように、手動による姿勢変更操作の指令があるとピッチング制御を停止し、前記手動による姿勢変更操作の指令が前傾斜スイッチ62による前傾斜指令であれば上記したような前傾斜処理(図20参照)を実行し、後傾斜スイッチ63による後傾斜指令であれば上記したような後傾斜処理(図19参照)を実行する。但し、操作途中で前傾斜スイッチ62や後傾斜スイッチ63の指令が停止すると、その指令が停止されたときの状態で作動が停止されることになる。そして、前傾斜スイッチ62による前傾斜指令又は後傾斜スイッチ63による後傾斜指令が指令されて姿勢変更操作が行われたときに、その指令が終了すると、その終了時において傾斜角算出手段300が求めている前後傾斜角の算出値をピッチング制御の目標傾斜角として設定する。又、前傾斜指令及び後傾斜指令のいずれも指令されていないが、水平スイッチ64による水平指令が指令されると、その指令に基づいて、ピッチング制御の目標傾斜角を零に設定する。このように目標傾斜角が更新されたときは、その後の制御においては、この更新された目標傾斜角に基づいてピッチング制御を実行することになる。
【0070】
図16〜図20に示すように、前記手動操作処理においては、次のような処理を実行する。すなわち、右傾斜スイッチ61による右傾斜指令があれば前記右傾斜処理を実行し、左傾斜スイッチ60による左傾斜指令があれば前記左傾斜処理を実行し、前傾斜スイッチ62による前傾斜指令があれば前記前傾斜処理を実行し、後傾斜スイッチ63による後傾斜指令があれば前記後傾斜処理を実行する。そして、機体上げスイッチ65による機体上げ指令が指令されると上昇処理としての機体上昇処理を実行する。この機体上昇処理は、機体上げスイッチ65がオン操作されている間だけ、左前シリンダC2の短縮作動、左後シリンダC3の伸長作動、右前シリンダC4の短縮作動、右後シリンダC5の伸長作動を同時に実行する。又、機体下げスイッチ66による機体下げ指令が指令されると下降処理としての機体下降処理を実行する。この機体下降処理は、機体下げスイッチ66がオン操作されている間だけ、左前シリンダC2の伸長作動、左後シリンダC3の短縮作動、右前シリンダC4の伸長作動、右後シリンダC5の短縮作動を同時に実行する。
【0071】
そして、水平スイッチ64による水平指令があれば基準状態復帰処理を実行する。すなわち、水平スイッチ64が一旦押し操作されてオン状態に切り換わると、そのことにより、走行装置1L,1Rの接地部に対する車体Vの傾斜角が零又は略零になる基準状態としての前記下限基準姿勢になるように前記各油圧シリンダC2〜C5の作動を開始する。すなわち、左前シリンダC2を伸長作動させ、左後シリンダC3を短縮作動させ、右前シリンダ4を伸長作動させ、右後シリンダC5を短縮作動させる。
このように前記下限基準姿勢になるように前記各油圧シリンダC2〜C5の作動を開始したのちは、水平スイッチ64がオフ状態に切り換わるか否かの判断をすることなく、前記各ストロークセンサ18〜21の検出情報に基づいて前記下限基準姿勢に達するまで、つまり、車体Vの左側前部、右側前部、左側後部、右側後部の夫々が走行装置1L,1Rの接地部に対する昇降操作範囲の下限位置になるまで継続して各油圧シリンダC2〜C5を継続して作動させる形態で各油圧シリンダC2〜C5の作動を制御する。つまり、一旦、基準状態になるように各油圧シリンダC2〜C5の作動を開始すると、操作者が水平スイッチ64から手を離して水平指令が終了したのちにおいても、各油圧シリンダC2〜C5を継続して作動させて的確に下限基準姿勢にさせるのである。
【0072】
又、車体Vが下限基準姿勢に達したことが確認された後もその後1秒間各油圧シリンダC2〜C5による作動を継続し、車体Vが下限基準姿勢に達したことが確認されてから1秒間が経過したのちに各油圧シリンダC2〜C5の作動を停止させる。このように各油圧シリンダC2〜C5の作動を延長して実行することで、全ての油圧シリンダC2〜C5を的確にストロークエンドまで操作させて車体Vを確実に下限基準姿勢にさせることができる。尚、図示はしないが、油圧シリンダC2〜C5への圧油供給路にはリリーフ弁が備えられ、ストロークエンドに至ったのちに圧油が供給されても過大な圧が油圧シリンダに掛からないようにしている。
【0073】
本実施形態では、前記設定待機時間として1秒間を設定し、前記出力安定化時間として0.6秒間を設定したが、この時間に限定されるものではなく、前記設定待機時間及び前記出力安定化時間は適宜変更して実施してもよい。
【0074】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0075】
(1)上記実施形態では、左右傾斜角を左右傾斜角センサ23だけで検出し、且つ、前後傾斜角を前後傾斜角センサ24と角速度センサ25の情報に基づいて算出する構成とし、前記姿勢変更制御の一例としてローリング制御を実行しているときに前記目標傾斜角設定処理を実行する構成としたが、このような構成に代えて次のように構成してもよい。
左右傾斜角を左右傾斜角センサと角速度センサの情報に基づいて検出し、且つ、前後傾斜角センサの情報だけで前後傾斜角を検出する構成として、ピッチング制御において前記目標傾斜角設定処理を実行する構成としてもよい。又、左右傾斜角を左右傾斜角センサだけで検出し、且つ、前後傾斜角を前後傾斜角センサだけで検出する構成とし、ローリング制御とピッチング制御の夫々において前記目標傾斜角設定処理を実行する構成としてもよい。
【0076】
(2)上記実施形態では、前記姿勢制御手段が、前記平均化処理として、複数の傾斜角検出値をそのまま平均化する構成としたが、例えば、出力安定化時間が経過した直後の検出値に比べて時間が経過した後半部の傾斜角検出値に大きな重み付けをして平均化処理するようにする等、各種の形態で平均値を求めるようにしてもよい。
【0077】
(3)上記実施形態では、前記姿勢制御手段が、前記目標傾斜角設定処理として、前記傾斜角検出手段にて複数回検出される複数の検出値を平均化処理して求めた目標傾斜角を設定するように構成されるものを例示したが、前記出力安定化時間が経過したのちに一回だけ傾斜角検出手段にて検出される検出値を目標傾斜角として設定するものでもよい。
【0078】
(4)上記実施形態では、前記姿勢変更指令手段としての左傾斜スイッチと右傾斜スイッチが、車体Vの運転部に備えられた操縦用の操作レバーの握り部に手指操作可能に設けられる構成を例示したが、操縦部パネル等、別の箇所に備える構成としてもよい。
【0079】
(5)上記実施形態では、走行装置を、左右一対のクローラ式の走行装置で構成したが、これに限るものではなく、例えば、単一の走行装置でもよく、又、クローラ式ではなく車輪式の走行装置でもよい。
【0080】
(6)上記実施形態では、姿勢変更操作手段100を、車体Vの前後左右の4箇所に位置した4個の油圧シリンダC2〜C5にて構成したが、油圧シリンダ以外に、電動モータとネジ送り機構等からなる他の駆動手段にて構成してもよい。又、走行装置を接地部に対する車体Vの前後傾斜角を1個の駆動手段によって変更操作する構成としてもよい。
【0081】
(7)上記実施形態では、作業車としてコンバインを例示したが、例えば農用トラクタ、田植え機等、コンバイン以外の作業車であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】コンバインの前部を示す側面図
【図2】走行装置の昇降操作構成を示す側面図
【図3】走行装置の昇降操作構成を示す側面図
【図4】走行装置の昇降操作構成を示す側面図
【図5】走行装置の昇降操作構成を示す側面図
【図6】動力伝達図
【図7】傾斜角検出手段の構成を示す斜視図
【図8】操作レバーの握り部を示す図
【図9】制御構成を示すブロック図
【図10】演算処理構成を示すブロック図
【図11】制御作動を示すフローチャート
【図12】制御作動を示すフローチャート
【図13】制御作動を示すフローチャート
【図14】制御作動を示すフローチャート
【図15】制御作動を示すフローチャート
【図16】制御作動を示すフローチャート
【図17】制御作動を示すフローチャート
【図18】制御作動を示すフローチャート
【図19】制御作動を示すフローチャート
【図20】制御作動を示すフローチャート
【符号の説明】
【0083】
1L.1R 走行装置
23 傾斜角検出手段
60,61 姿勢変更指令手段
100 姿勢変更操作手段
200 姿勢制御手段
V 車体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置に対する車体の傾斜姿勢を変更操作自在な姿勢変更操作手段と、重力の作用によって車体の水平基準面に対する傾斜角を検出する重力式の傾斜角検出手段と、前記傾斜角検出手段の検出情報に基づいて車体の水平基準面に対する傾斜角が目標傾斜角に維持されるように前記姿勢変更操作手段の作動を制御する姿勢変更制御を実行する姿勢制御手段とが備えられている作業車の姿勢制御装置であって、
前記走行装置に対する車体の傾斜姿勢を変更させる姿勢変更指令として、傾斜角変更方向一方側へ変更させる一方側姿勢変更指令及び前記傾斜角変更方向他方側へ変更させる他方側姿勢変更指令を選択的に指令する手動操作式の姿勢変更指令手段が備えられ、
前記姿勢制御手段が、
前記姿勢変更制御の実行中において、前記姿勢変更指令手段にて前記姿勢変更指令が指令されると、前記姿勢変更制御を停止して前記姿勢変更指令に基づいて前記走行装置に対する車体の傾斜姿勢を変更させ、前記姿勢変更指令の指令が終了すると、前記姿勢変更指令の指令が終了してから設定待機時間が経過するまでの間車体の傾斜姿勢の変更操作を停止させたのち前記姿勢変更制御を再開するように前記姿勢変更操作手段の作動を制御し、且つ、
前記姿勢変更指令の指令が終了したときから前記設定待機時間よりも短い時間に設定された出力安定化時間が経過したのち前記設定待機時間が経過するまでの間において、前記傾斜角検出手段の検出情報に基づいて前記目標傾斜角を設定する目標傾斜角設定処理を実行するように構成されている作業車の姿勢制御装置。
【請求項2】
前記姿勢制御手段が、前記目標傾斜角設定処理として、前記傾斜角検出手段にて複数回検出される複数の検出値を平均化処理して求めた目標傾斜角を設定するように構成されている請求項1記載の作業車の姿勢制御装置。
【請求項3】
前記姿勢変更操作手段が、車体の水平基準面に対する左右傾斜角を変更操作するように構成され、
前記傾斜角検出手段が、車体の水平基準面に対する左右傾斜角を検出するように構成され、
前記姿勢制御手段が、前記姿勢変更制御として、前記傾斜角検出手段の検出情報に基づいて車体の水平基準面に対する左右傾斜角が目標傾斜角に維持されるように前記姿勢変更操作手段の作動を制御するように構成されている請求項1又は2記載の作業車の姿勢制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−72145(P2009−72145A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−245490(P2007−245490)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】