説明

作業車の操作制御装置

【課題】作業クラッチを誤って入り操作することを抑制して、エンジンの始動を良好に行えるようにし、しかも、エンジンを起動しない状態でのメンテナンス作業を良好に行える作業車の操作制御装置を提供する。
【解決手段】操作制御手段Cが、作業指令手段25にて作業開始指令が指令されたときに、起動状態検出手段100にてエンジン起動状態が検出されていると、作業クラッチを入り状態に操作する作業モードに切り換り、かつ、起動状態検出手段100にてエンジン起動状態が検出されていないと、作業モードに切り換らないように構成され、且つ、起動状態検出手段100にてエンジン起動状態が検出されていないときに、補助指令手段50による補助作業指令が指令されると、作業モードに切り換るように構成されている作業車の操作制御装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの出力にて駆動される走行装置及び作業装置と、
前記エンジンの出力を前記作業装置に伝達する入り状態と伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な作業クラッチとが設けられた作業車の操作制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車は、エンジンの始動を行なうときには、作業クラッチを切り状態に且つアクセル手段をアイドリング状態にすることになり、そして、エンジンの始動後において、作業を行なうときには、アクセル手段を定格回転状態に且つ作業クラッチを入り状態にすることになる。また、作業を停止して、作業を行なわずに走行するときもあり、そのようなときには、作業クラッチを切り状態とし且つアクセル手段を定格回転状態にすることになる。
【0003】
このような作業車においては操作の簡略化が望まれるものであり、そのための作業車の操作制御装置として、作業クラッチを入り状態と切り状態に切り換える電動モータ、作業状態と非作業状態を指令する操作スイッチ、及び、その操作スイッチの指令により、作業クラッチを入り状態と切り状態に切り換えるように電動モータの作動を制御する制御手段を設けて、作業クラッチの入切操作の簡略化を図るようにしたものがある(例えば、特許文献1参照。)
尚、上記特許文献1は、作業車としてのコンバインを例示するものであって、作業装置として、脱穀装置及び穀稈を刈取処理して脱穀装置に供給する刈取処理装置が装備され、そして、作業クラッチとして、エンジンの出力を脱穀装置に伝達する入り状態とエンジンの出力の脱穀装置への伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在脱穀クラッチ、及び、エンジンの出力を刈取処理装置に伝達する入り状態とエンジンの出力の刈取処理装置への伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な刈取クラッチが設けられ、作業状態及び非作業状態の指令を行なう操作スイッチが、枕扱ぎ状態をも指令できるように構成され、制御手段が、作業状態が指令されると、脱穀クラッチ及び刈取クラッチを入り状態にし、非作業状態が指令されると、脱穀クラッチ及び刈取クラッチを切り状態にし、さらに、枕扱ぎ状態が指令されると、脱穀クラッチを入り状態に且つ刈取クラッチを切り状態にするように、電動モータを制御するように構成されている。(例えば、特許文献1参照。)
【0004】
【特許文献1】特開2002−95337号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の作業車の操作制御装置においては、エンジンが起動されている起動状態であるか否かに拘わらず、作業スイッチの指令により、作業クラッチを入り状態に操作できるものであるため、エンジンを起動する前に誤って作業クラッチを入り操作し、その作業クラッチを入り状態とした後に、エンジンを起動させるための操作を行うという、誤操作を行う虞があり、改善が望まれるものであった。
ちなみに、このような誤操作にてはエンジンを適正に起動させることができないものであり、作業クラッチを切り状態にした後に、再度、エンジンを起動させるための操作を行うことになる。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、作業クラッチを誤って入り操作することを抑制して、エンジンの起動を良好に行えるようにし、しかも、エンジンを起動しない状態でのメンテナンス作業を良好に行える作業車の操作制御装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の作業者の操作制御装置は、エンジンの出力にて駆動される走行装置及び作業装置と、
前記エンジンの出力を前記作業装置に伝達する入り状態と伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な作業クラッチとが設けられたものであって、その第1特徴構成は、
前記作業クラッチを操作する操作制御手段と、
作業開始指令を指令する手動操作式の作業指令手段と、
補助作業指令を指令する手動操作式の補助指令手段と、
前記エンジンが起動されているエンジン起動状態であるか否かを検出する起動状態検出手段とが設けられ、
前記操作制御手段が、
前記作業指令手段にて前記作業開始指令が指令されたときに、前記起動状態検出手段にて前記エンジン起動状態が検出されていると、前記作業クラッチを前記入り状態に操作する作業モードに切り換り、かつ、前記起動状態検出手段にて前記エンジン起動状態が検出されていないと、前記作業モードに切り換らないように構成され、且つ、
前記起動状態検出手段にて前記エンジン起動状態が検出されていないときに、前記補助指令手段にて補助作業指令が指令されると、前記作業モードに切り換るように構成されている点にある。
【0008】
すなわち、作業指令手段にて作業開始指令を指令したときに、起動状態検出手段にてエンジン起動状態が検出されていると、作業モードになって作業クラッチが入り状態に操作されることになるものの、エンジン起動状態が検出されていないと、作業クラッチが入り状態に操作されることがないから、作業者が誤ってエンジンを起動する前に作業指令手段にて作業開始指令を指令しても、作業クラッチが入り状態に操作されることが無くなり、その後のエンジンの起動を良好に行うことが可能となる。
【0009】
また、起動状態検出手段にてエンジン起動状態が検出されていないときには、補助指令手段にて補助作業指令を指令することにより、作業モードになって作業クラッチを入り状態に操作できるものであるから、エンジンを起動しない状態で作業クラッチを入り状態にして、作業クラッチが適正に入り状態になるかを確認する等、作業クラッチの状況を確認するメンテナンス作業を良好に行えるものとなる。
ちなみに、補助指令手段は作業指令手段に比べて使用する頻度は少ないものであり、その操作を行い難いようにしても作業車の操作性を損なうものでないから、補助指令手段をその操作が行い難いように設けることにより、補助指令手段を不必要に誤操作することを回避して、補助指令手段の補助作業指令にて、不必要に作業クラッチを入り状態に操作する不都合が生じることを回避できるのである。
【0010】
従って、作業クラッチを誤って入り操作することを抑制して、エンジンの起動を良好に行えるようにし、しかも、エンジンを起動しない状態でのメンテナンス作業を良好に行える作業車の操作制御装置を提供するに至った。
【0011】
本発明の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
前記作業指令手段が、作業停止指令を指令できるように構成され、
前記操作制御手段が、前記作業指令手段にて前記作業停止指令が指令されると、前記作業クラッチを前記切り状態に操作非作業モードに切り換るように構成されている点を特徴とする。
【0012】
すなわち、作業指令手段にて作業停止指令を指令することにより、非作業モードになって作業クラッチを切り状態に操作できるものであり、作業指令手段にて作業停止指令を指令するだけの簡単な操作にて、作業クラッチを切り状態に操作できるものとなる。
【0013】
従って、第1特徴構成による作用効果に加えて、作業クラッチを切り状態に操作することを簡単な操作にて行うことができる作業車の操作制御装置を得るに至った。
【0014】
本発明の第3特徴構成は、上記第2特徴構成に加えて、
前記エンジンをアイドリング回転速度で回転させるアイドリング状態と定格回転速度で回転させる定格回転状態とに切り換えるアクセル手段が設けられ
前記操作制御手段が、前記作業モードに切り換ると、前記作業クラッチを前記入り状態に操作するのに加えて、前記アクセル手段を前記定格回転状態に操作し、且つ、前記作業モードに切り換ると、前記アクセル手段を前記定格回転状態に維持した状態で、前記作業クラッチを前記切り状態に操作するように構成されている点を特徴とする。
【0015】
すなわち、作業指令手段にて作業開始指令を指令することにより、操作制御手段が作業モードに切り換ると、作業クラッチを入り状態に操作し且つアクセル手段を定格回転状態に操作することになる。
このように作業指令手段にて作業開始指令を指令することにより、作業クラッチを入り状態に操作し且つアクセル手段を定格回転状態に操作できるものであるから、エンジンの始動状態において作業を行なうために、アクセル手段を定格回転状態に且つ作業クラッチを入り状態にすることを、作業指令手段にて作業開始指令を指令するだけの簡単な操作にて行なえるものとなる。
【0016】
説明を加えると、例えばエンジンを始動させて作業を行なうときにおいては、先ず、作業クラッチが切り状態で且つアクセル手段がアイドリング状態となる状態にてエンジンを始動させ、次に、そのエンジンの始動状態において、アクセル手段を定格回転状態に操作し且つ作業クラッチを入り状態に操作することになるが、エンジンの始動状態において、アクセル手段を定格回転状態に操作し且つ作業クラッチを入り状態に操作することを、作業指令手段にて作業開始指令を指令するという簡単な操作にて行なえるものとなるのである。
【0017】
また、作業指令手段にて作業停止指令を指令することにより、操作制御手段が非作業モードに切り換ると、アクセル手段を定格回転状態に維持した状態で、作業クラッチを切り状態に操作することになる。
このように作業指令手段にて作業停止指令を指令することにより、作業クラッチを切り状態に操作し且つアクセル手段を定格回転状態に維持することができるものであるから、
アクセル手段が定格回転状態で且つ作業クラッチが入り状態となっている作業状態において、作業を停止するときの操作の簡略化を図れるものとなる。
【0018】
説明を加えると、アクセル手段が定格回転状態で且つ作業クラッチが入り状態となっている作業状態において作業を停止するときには、作業装置の作動を停止させるために作業クラッチを切り状態に操作する必要があるものも、作業を停止した非作業状態において走行を行なうためには、アクセル手段を定格回転状態に維持することが望まれるものとなるが、このように作業クラッチを切り状態に操作し且つアクセル手段を定格回転状態に維持することを、作業指令手段にて作業停止指令を指令するという簡単な操作にて行なえるものとなるのである。
【0019】
従って、第2特徴構成による作用効果に加えて、エンジンの始動状態において作業を行なうために、アクセル手段を定格回転状態に且つ作業クラッチを入り状態にするときの操作の簡略化を図ることができ、しかも、作業状態において作業を中断するために、作業クラッチを切り状態に操作し且つアクセル手段を定格回転状態に維持するときの操作の簡略化を図ることができる作業車の操作制御装置を得るに至った。
【0020】
本発明の第4特徴構成は、上記第1〜第3特徴構成のいずれかの特徴構成に加えて、
前記操作制御手段が、電源投入により起動されたときに、前記作業クラッチが入り状態の場合には、前記作業クラッチを切り状態に操作するように構成されている点にある。
【0021】
すなわち、電源投入により起動された操作制御手段が、作業クラッチが入り状態の場合には、作業クラッチを切り状態に操作することになる。
説明を加えると、操作制御手段が電源投入により起動されるときとは、エンジンも停止している作業車の使用を再開するときであり、その際には、先ず、作業クラッチが切り状態で且つアクセル手段がアイドリング状態となる状態にてエンジンを始動させることになるが、このときに、作業クラッチが入り状態になっていると、操作制御手段によって作業クラッチが切り状態に操作されることになり、作業クラッチが入り状態のままでエンジンを始動させるトラブルを未然に回避できるものとなる。つまり、通常、エンジンを停止して作業車の使用を停止するときには、作業クラッチを切り状態に操作したのち、エンジンが停止され、且つ、操作制御手段に対する電源供給も停止されることになるが、誤操作等により、作業クラッチの入り状態のままで、エンジンが停止され、且つ、操作制御手段に対する電源供給が停止されることがあっても、次に、作業車の使用を再開するときに、操作制御手段によって作業クラッチを切り状態に操作して、作業クラッチの入り状態のままでエンジンが始動されるトラブルを未然に回避するのである。
【0022】
従って、第1〜第3特徴構成のいずれかの特徴構成による作用効果に加えて、作業クラッチが入り状態のままでエンジンを始動させるトラブルを未然に回避できる作業車の操作制御装置を得るに至った。
【0023】
本発明の第5特徴構成は、上記第1〜第4特徴構成のいずれかの特徴構成に加えて、
前記作業装置が、作業車としてのコンバインに装備された脱穀装置であり、
前記作業クラッチが、前記エンジンの出力を前記脱穀装置に伝達する入り状態と伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な脱穀クラッチである点にある。
【0024】
すなわち、作業指令手段にて作業開始指令を指令したときに、起動状態検出手段にてエンジン起動状態が検出されていると、作業モードになって脱穀クラッチが入り状態に操作されることになるものの、エンジン起動状態が検出されていないと、脱穀クラッチが入り状態に操作されることがないから、作業者が誤ってエンジンを起動する前に作業指令手段にて作業開始指令を指令しても、脱穀クラッチが入り状態に操作されることが無くなり、その後のエンジンの起動を良好に行うことが可能となる。
【0025】
また、起動状態検出手段にてエンジン起動状態が検出されていないときには、補助指令手段にて補助作業指令を指令することにより、作業モードになって脱穀クラッチを入り状態に操作できるものであるから、エンジンを起動しない状態で脱穀クラッチを入り状態にして、脱穀クラッチが適正に入り状態になるかを確認する等、脱穀クラッチの状況を確認するメンテナンス作業を良好に行えるものとなる。
ちなみに、脱穀クラッチは、一般に、ベルトテンション式のクラッチとして構成されるものであり、メンテナンス作業としては、クラッチ入り状態におけるベルトの張り具合を点検、調整する作業が行われることになる。
【0026】
従って、脱穀クラッチを誤って入り操作することを抑制して、エンジンの起動を良好に行えるようにし、しかも、エンジンを起動しない状態で脱穀クラッチのメンテナンス作業を良好に行える作業車の操作制御装置を提供するに至った。
【0027】
本発明の第6特徴構成は、上記第5特徴構成に加えて、
刈取処理装置と、前記エンジンの出力を前記刈取処理装置に伝達する入り状態と伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な刈取クラッチと、前記走行装置の走行速度を変速する走行変速装置と、その走行変速装置の変速状態を検出する走行変速検出手段とが設けられ、
前記操作制御手段が、前記作業モードにおいて、前記走行変速検出手段にて前進走行状態が検出されると前記刈取クラッチを入り状態に操作し、且つ、前記走行変速検出手段にて走行中立状態及び後進走行状態が検出されると前記刈取クラッチを切り状態に操作するように構成されている点にある。
【0028】
すなわち、作業モードにおいて走行変速検出手段にて前進走行状態が検出されると、操作制御手段が前記刈取クラッチを入り状態に操作することになり、また、走行変速検出手段にて走行中立状態及び後進走行状態が検出されると、操作制御手段が刈取クラッチを切り状態に操作することになる。
【0029】
説明を加えると、コンバインは、脱穀クラッチを入り状態として脱穀装置を駆動している状態において、前進走行しながら刈取収穫作業を行なうものであるから、前進走行に伴い刈取クラッチを入り状態にすることになり、そして、刈取収穫作業を中断するために走行を停止したときやそれに引き続き必要に応じて後進させるときにおいては、つまり、例えば枕刈り作業の際に、畦に向かって前進走行しながら刈取収穫作業を行なっているときに、畦際で走行を停止し、引き続き後進するとき等においては、刈取処理装置の不必要な駆動を停止すべく、刈取クラッチを切り状態にすることになるが、このような刈取クラッチの入り切り操作が、操作制御手段にて自動的に行なわれることになるから、刈取収穫作業における操作の簡略化を図ることができるのである。
【0030】
また、補助作業指令手段にて補助作業指令が指令されて、操作制御手段が作業モードに切り換った場合において、走行変速検出手段にて前進走行状態が検出されると、操作制御手段が前記刈取クラッチを入り状態に操作することになり、また、走行変速検出手段にて走行中立状態及び後進走行状態が検出されると、操作制御手段が刈取クラッチを切り状態に操作することになる。
つまり、エンジンを起動しない状態で刈取クラッチを入り状態にして、作業クラッチが適正に入り状態になるかを確認する等、刈取クラッチの状況を確認するメンテナンス作業を良好に行えるものとなる。
ちなみに、刈取クラッチは、一般に、ベルトテンション式のクラッチとして構成されるものであり、メンテナンス作業としては、クラッチ入り状態におけるベルトの張り具合を点検、調整する作業が行われることになる。
従って、上記第1〜第5特徴構成のいずれかの特徴構成による作用効果に加えて、刈取収穫作業における操作の簡略化を図ることができ、しかも、刈取クラッチのメンテナンス作業を良好に行える作業車の操作制御装置を得るに至った。
【0031】
本発明の第7特徴構成は、上記第6特徴構成に加えて、
前記走行変速装置が、前進走行速度を無段階に変速するように構成され、
前記走行変速装置の変速操作レバーが、中立位置にて走行停止状態に操作し、前進操作域にて前進走行状態に操作し、及び、後進操作域にて後進走行状態に操作するように、且つ、前記前進操作域では前記走行中立位置から離れるほど高速に操作するように、前記走
行変速装置と連係された状態で設けられ、
前記走行変速検出手段が、前記走行変速装置の変速操作レバーの操作位置を検出するように構成され、
前記操作制御手段が、前記前進操作域におけるクラッチ入り判別用設定位置よりも高速側に前記変速操作レバーが位置すると、前記前進走行状態であるとして、前記刈取クラッチを入り状態に操作し、且つ、前記前進操作域におけるクラッチ入り判別用設定位置よりも低速側に定めたクラッチ切り判別用設定位置よりも低速側に前記変速操作レバーが位置すると、前記走行中立状態であるとして、前記刈取クラッチを切り状態に操作するように構成されている点にある。
【0032】
すなわち、走行変速装置が、前進走行速度を無段階に変速するように構成されているから、圃場の状況や圃場に植えられている穀稈の状況に応じて、前進走行速度を刈取収穫作業に適した速度に調整することができる。
しかも、操作制御手段が、前進操作域におけるクラッチ入り判別用設定位置よりも高速側に変速操作レバーが位置すると、前進走行状態であるとして、刈取クラッチを入り状態に操作し、且つ、前進操作域におけるクラッチ入り判別用設定位置よりも低速側に定めたクラッチ切り判別用設定位置よりも低速側に前記変速操作レバーが位置すると、走行中立状態であるとして、刈取クラッチを切り状態に操作するように構成されているから、変速
操作レバーがクラッチ入り判別用設定位置よりも高速側に操作されて、刈取クラッチが一旦入り状態になると、変速操作レバーを前進操作域におけるクラッチ入り判別用設定位置よりも低速側に定めたクラッチ切り判別用設定位置よりも低速側に操作するまでは、刈取クラッチが入り状態に維持されるものとなるのである。
【0033】
説明を加えると、クラッチ入り判別用設定位置は、低速走行での刈取収穫作業も行なえるようにするために、前進操作域の低速側に設定されることになるものの、クラッチ切り判別用設定位置をクラッチ入り判別用設定位置と同じ位置に定めると、クラッチ入り判別用設定位置よりも高速側ではあるものの、その近くに変速操作レバーを操作して刈取収穫作業を行なうときに、走行速度の微調整のために変速操作レバーを低速側に操作したときにクラッチ切り判別用設定位置を越えて低速側に変速操作レバーを操作し易いものとなって、刈取クラッチが不必要に切り状態に操作されるトラブルを招く虞があるが、クラッチ切り判別用設定位置をクラッチ入り判別用設定位置よりも低速側に定められているから、刈取クラッチが不必要に切り状態に操作されるトラブルを回避できるものとなる。
従って、上記第6特徴構成による作用効果に加えて、刈取クラッチが不必要に切り状態に操作されるトラブルを回避して、良好な刈取収穫作業を行なうことが可能となる作業車の操作制御装置を得るに至った。
【0034】
本発明の第8特徴構成は、上記第6又は第7特徴構成に加えて、
前記刈取クラッチの入り操作指令及び切り操作指令を指令する手動操作式のクラッチ操作指令手段が設けられ、
前記操作制御手段が、前記作業モードにおいて、前記走行変速検出手段にて前記走行中立状態が検出されているときには、前記クラッチ操作指令手段の入り操作指令及び切り操作指令に基づいて、前記刈取クラッチを入り状態及び切り状態に操作し、且つ、前記走行変速検出手段にて前記前進走行状態及び前記後進走行状態が検出されているときには、前記クラッチ操作指令手段の入り操作指令及び切り操作指令に基づいて前記刈取クラッチを操作しないように構成されている点にある。
【0035】
すなわち、作業指令手段にて作業開始指令が指令されて操作制御手段が作業モードに切り換っているときには、クラッチ操作指令手段にて入り操作指令を指令することにより、操作制御手段が刈取クラッチを入り状態に操作でき、クラッチ操作指令手段にて切り操作指令を指令することにより、刈取クラッチを切り状態に操作できることになる。
【0036】
説明を加えると、コンバインは、例えば枕刈り作業の際に、畦に向かって前進走行しながら刈取収穫作業を行なっているときに、畦際で走行を停止し、引き続き後進するとき等においては、刈取処理装置の不必要な駆動を停止すべく、刈取クラッチを切り状態にすることになるが、刈取処理装置に刈取後の穀稈が残っている場合には、その穀稈を脱穀装置に供給するために、刈取処理装置を一時的に駆動したいことがあるが、このようなときには、クラッチ操作指令手段にて入り操作指令を指令することにより、刈取処理装置を駆動して刈取処理装置に残っている穀稈を脱穀装置に供給して、刈取処理装置に残っている穀稈が外部に落ちることを抑制できることになり、刈取処理装置の駆動が必要なくなれば、クラッチ操作指令手段にて切り操作指令を指令することにより、刈取処理装置の駆動を停止できるものとなる。
【0037】
また、補助作業指令手段にて補助作業指令が指令されて、操作制御手段が作業モードに切り換った場合においても、クラッチ操作指令手段にて入り操作指令を指令することにより、刈取クラッチを入り状態に操作できるものとなる。
つまり、エンジンを起動しない状態で刈取クラッチを入り状態にして、作業クラッチが適正に入り状態になるかを確認する等、刈取クラッチの状況を確認するメンテナンス作業を良好に行えるものとなる。
従って、上記第6又は第7特徴構成による作用効果に加えて、刈取処理装置に残っている穀稈を脱穀装置に供給するために、刈取処理装置を任意に駆動することができ、また、メンテナンスのために刈取りクラッチに任意に入り操作できるものとなる作業車の操作制御装置を得るに至った。
【0038】
本発明の第9特徴構成は、上記第5〜第8特徴構成のいずれかに加えて、
扱深さを設定適正深さに維持するように扱深さ調節手段を自動操作する自動制御状態と自動制御を停止する制御停止状態に切り換え自在な扱深さ制御手段が設けられ、
前記操作制御手段が、前記作業モードに切り換ると、前記作業クラッチを前記入り状態に操作し、前記アクセル手段を前記定格回転状態に操作し、かつ、前記扱深さ制御手段を前記自動制御状態に切り換えるように構成され、且つ、前記非作業モードに切り換ると、前記アクセル手段を前記定格回転状態に維持した状態で、前記作業クラッチを前記切り状態に操作し、かつ、前記扱深さ制御手段を前記自動制御状態に切り換えるように構成されている点にある。
【0039】
すわなち、作業指令手段にて作業開始指令を指令することにより、操作制御手段が作業モードに切り換ると、作業クラッチを入り状態に操作し、アクセル手段を定格回転状態に操作し、かつ、扱深さ制御手段を自動制御状態に切り換えることになる。
このように作業指令手段にて作業開始指令を指令することにより、作業クラッチを入り状態に操作し、アクセル手段を定格回転状態に操作し、かつ、扱深さ制御手段を自動制御状態に切り換えることができるものであるから、エンジンの始動状態において作業を行なうために、アクセル手段を定格回転状態に且つ作業クラッチを入り状態にすることを、作業指令手段にて作業開始指令を指令するだけの簡単な操作にて行なえ、加えて、刈取収穫作業においては一般的に自動制御状態に切り換えることになる扱深さ制御手段を自動制御状態に切り換えることができるものとなる。
【0040】
説明を加えると、例えばエンジンを始動させて作業を行なうときにおいては、先ず、作業クラッチが切り状態で且つアクセル手段がアイドリング状態となる状態にてエンジンを始動させ、次に、そのエンジンの始動状態において、アクセル手段を定格回転状態に操作し且つ作業クラッチを入り状態に操作することになるが、エンジンの始動状態において、アクセル手段を定格回転状態に操作し且つ作業クラッチを入り状態に操作することを、作業指令手段にて作業開始指令を指令するという簡単な操作にて行なえるものとなるのである。
そして、扱深さ調節手段は、手動指令にても操作できるように構成されるものであるため、穀稈の稈長が大きく変化する圃場等においては、扱深さ制御手段を制御停止状態に切り換えて、手動指令にて扱深さ調節手段を操作することもあるが、一般的には、刈取収穫作業を行うときには、扱深さ制御手段を自動制御状態に切り換えて、扱深さ調節手段を自動操作することが多いものであるが、この扱深さ制御手段を自動制御状態に切り換えることを、作業指令手段にて作業開始指令を指令するという簡単な操作にて行なえるものとなるのである。
【0041】
また、作業指令手段にて作業停止指令を指令することにより、操作制御手段が非作業モードに切り換ると、アクセル手段を定格回転状態に維持した状態で、作業クラッチを切り状態に操作し、かつ、扱深さ制御手段を制御停止状態に切り換えることになる。
このように作業指令手段にて作業停止指令を指令することにより、作業クラッチを切り状態に操作しかつ扱深さ制御手段を制御停止状態に切り換え、そして、アクセル手段を定格回転状態に維持することができるものであるから、アクセル手段が定格回転状態で、作業クラッチが入り状態でかつ扱深さ制御手段が自動制御状態となっている作業状態において、作業を停止するときの操作の簡略化を図れるものとなる。
【0042】
説明を加えると、アクセル手段が定格回転状態で、作業クラッチが入り状態でかつ扱深さ制御手段が自動制御状態となっている作業状態において作業を停止するときには、作業装置の作動を停止させるために作業クラッチを切り状態に操作し、扱深さ調節手段の不要な操作を停止するために扱深さ制御手段を制御停止状態にする必要があるものも、作業を停止した非作業状態において走行を行なうためには、アクセル手段を定格回転状態に維持することが望まれるものとなるが、このようにアクセル手段を定格回転状態に維持した状態で、作業クラッチを切り状態に操作し且つ扱深さ制御手段を制御停止状態に切り換えることを、作業指令手段にて作業停止指令を指令するという簡単な操作にて行なえるものとなるのである。
【0043】
従って、第5〜第8特徴構成のうちのいずれかの特徴構成による作用効果に加えて、エンジンの始動状態において作業を行なうために、アクセル手段を定格回転状態に、作業クラッチを入り状態にかつ扱深さ制御手段を自動制御状態にするときの操作の簡略化を図ることができ、しかも、作業状態において作業を中断するために、アクセル手段を定格回転状態に維持した状態で、作業クラッチを切り状態に操作し且つ扱深さ制御手段を制御停止状態に切り換えるときの操作の簡略化を図ることができる作業車の操作制御装置を得るに至った。
【0044】
本発明の第10特徴構成は、上記第8又は第9特徴構成に加えて、
前記補助指令手段が、前記作業指令手段と前記クラッチ操作指令手段とから構成され、
前記操作制御手段が、前記作業指令手段による前記作業開始指令と前記クラッチ操作指令手段による前記入り操作指令とが同時に指令されると、前記補助作業指令の指令であると判別するように構成されている点にある。
【0045】
すなわち、補助指令手段を、既設の作業指令手段とクラッチ操作指令手段とを用いて、簡素に構成できるものとなる。
説明を加えると、補助指令手段を構成するにあたり、専用の操作具を、例えば運転席に着座した作業者が扱い難い位置に設ける等、誤操作し難い箇所に専用の操作具を設けることにより構成することができるが、この場合、別途専用の操作具を設置するものであるため、全体構成の煩雑化を招くものとなる。
【0046】
そこで、前記作業指令手段による前記作業開始指令と前記クラッチ操作指令手段による前記入り操作指令とが同時に指令されるようにするには、作業指令手段とクラッチ操作指令手段とを同時操作することになるため、このような同時操作は、通常の操作において行うことがなく、誤操作される虞が無いことに鑑みて、既設の作業指令手段とクラッチ操作指令手段とを用いて補助指令手段を構成することにより、補助指令手段を簡素に構成できるのである。
したがって、第8又は第9特徴構成による作用効果に加えて、構成の簡素化を図ることができる作業車の操作制御装置を得るに至った。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
〔実施形態〕
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、作業車の一例としてのコンバインは、左右一対のクローラ式走行装置1、及び、運転座席2を備える操縦部Aを装備した走行機体Bと、この走行機体Bの機体フレーム3の前部に昇降操作自在に連結された刈取処理装置4と、前記機体フレーム3の後部側箇所に走行機体Bの横方向に並べて設けた脱穀装置5と穀粒タンク6とを備えて、圃場を走行しながら、稲、麦などの穀稈を刈り取り、その刈取穀稈を脱穀処理するよう
に構成されている。
説明を加えると、前記刈取処理装置4は、刈取り部フレーム4aが油圧シリンダ7によって機体フレーム3に対して上下に揺動操作されることにより、刈取処理装置4の前端部に刈取り部横方向に並んで位置する複数の分草具4bが地面付近に下降した下降作業状態と、前記分草具4bが地面から上昇した上昇非作業状態とに昇降するように構成されている。そして、刈取処理装置4を下降作業状態にして走行機体Bを走行させると、刈取処理装置4が、刈り取り対象の複数の植付け条に位置する植立穀稈を対応する前記分草具4bによって隣接する植付け条の植立穀稈と分草し、各分草具4aからの植立穀稈を対応した引起し装置4cによって引起し処理するとともに一つのバリカン形の刈取り装置4dによって刈取り処理し、刈取り装置4dからの刈取り穀稈を搬送装置4eによって走行機体Bの後方向に搬送して脱穀装置5の脱穀フィードチェーン5aの始端部に供給するように構成されている。
前記脱穀装置5は、脱穀フィードチェーン5aによって刈取り穀稈の株元側を挟持して走行機体Bの後方向に搬送しながら穂先側を扱室(図示せず)に供給し、刈取り穀稈を回動する扱胴(図示せず)によって脱穀処理する。穀粒タンク6は、脱穀装置5から搬送された脱穀粒を回収して貯留する。穀粒タンク6は、貯留した脱穀粒を排出するオーガ形の排出装置8を備えている。
【0048】
前記搬送装置4eは、図1及び図4に示すように、刈取穀稈の株元側を挾持搬送する株元挾持搬送装置e1と、刈取穀稈の穂先側を係止搬送する穂先係止搬送装置e2とからなり、刈取穀稈を板状の穀稈案内体e4にて立姿勢に案内しながら機体後方に搬送すると共に搬送終端部において横倒れ姿勢に変更して脱穀フィードチェーン5aに供給するように構成されている。
この搬送装置4eは、その終端部が機体に横軸芯Q周りに揺動自在に枢支されて、上下揺動により扱深さ調節を行うようになっている。つまり、上下揺動に伴って刈取穀稈の支持位置を稈身方向に変更し、結果的に、この搬送装置4eから脱穀フィードチェーン5aへ受渡される刈取穀稈の位置を稈身方向に変更して、脱穀装置5における扱深さを変更調節するようになっている。そして、この搬送装置4eを上下揺動操作する扱深さ用の電動モータ95(図5参照)が設けられて、搬送装置4eと扱深さ用の電動モータ95を主要部として、扱深さ調節手段Wが構成されている。
【0049】
図4に示すように、搬送装置4eのフレームを兼用した逆U字状部材e3に上下一対の扱深さ検出用センサ96、97が、搬送穀稈の稈身方向に並設されており、穂先側のもの96が長稈検出用として機能し、株元側のもの97が短稈検出用として機能するように構成されている。これら扱深さ検出用センサ96、97は、基端側を支点にして穀稈搬送方向下手側に揺動自在なセンサバー96a,97aと、そのセンサバー96a,97aの揺動状態を検出するスイッチ部96b,97bとからなる。
そして、図5に示すように上下一対の扱深さ検出用センサ96、97の検出情報に基づいて、穀稈の穂先が上下一対の扱深さ検出用センサ96、97の間を通過する適正扱深さを維持するように、前記扱深さ用の電動モータ95を作動させる扱深さ制御を実行する扱深さ制御手段Jが、後述する制御部42を利用して構成されている。この扱深さ制御手段Jは、上下一対の扱深さ検出用センサ96、97のいずれもが穀稈を検出すると、搬送装置4eを上方側に揺動させ、上下一対の扱深さ検出用センサ96、97のいずれもが穀稈を検出しないと、搬送装置4eを上方側に揺動させるように、扱深さ用の電動モータ95の駆動回路95Aに駆動指令を指令することにより、穀稈の穂先が上下一対の扱深さ検出用センサ96、97の間を通過する状態(設定適正扱深さ)に調整するものであり、そして、扱深さを適正扱深さに維持するように扱深さ調整手段Wを自動操作する自動制御状態と自動制御を停止する制御停止状態とに切り換え自在に構成されている。
【0050】
また、扱深さ制御手段Jを自動制御状態に切り換える自動指令及び制御停止状態に切り換える指令を指令する扱深さ自動スイッチ98が設けられ、また、搬送装置4eの搬送端部に、穀稈存否検出用の株元センサ94(図1参照)が設けられ、扱深さ制御手段Jは、扱深さ自動スイッチ98にて自動制御状態が指令されているとき(自動制御状態に切り換えられているとき)に、株元センサ94にて穀稈の存在が検出されると、扱深さ制御を実行するように構成されている。
但し、後述の如く、刈取収穫作業の開始時においては、扱深さ制御手段Jは、自動制御状態に切り換わることになる。また、扱深さ制御手段Jの制御停止状態においては、手動操作式の浅扱きスイッチ99A及び深扱きスイッチ99Bの指令により、前記制御部42が扱深さ用の電動モータ95の駆動回路95Aに駆動指令を指令するように構成されている。
【0051】
図2及び図3に示すように、前記走行機体Bにおける運転座席2の下方に設けたエンジン10の出力軸10aの出力が、ベルトテンション式の脱穀クラッチ14を介して脱穀装置5の入力軸5bに伝達され、また、エンジン10の出力軸10aからの出力が、ベルトテンション式の伝動装置11を介して走行ミッションケース12の入力軸13に伝達されている。
走行ミッションケース12には、可変容量型の油圧ポンプ81と油圧モータ82とからなる静油圧式の無段変速装置Mが設けられている。この無段変速装置Mは、前進走行速度及び後進走行速度を無段階に変速する走行変速装置として機能するものであり、中立位置Nから前進操作域F及び後進操作域R側に操作自在な変速操作レバー24(図5参照)にて操作されるように構成されている。変速操作レバー24は、図1に示すように、運転座席2の横側方に位置する操作盤35に配置されている。ちなみに、この変速操作レバー24は、連動ロッドや揺動リンクを利用したリンク機構(図示せず)を介して前記無段変速装置Mの操作部に連係されており、前記リンク機構を介して前記無段変速装置Mを変速操作するようになっている。
【0052】
図3に示すように、前記入力軸13が、無段変速装置Mの油圧ポンプ81に対してエンジン10の動力を入力する入力軸となっており、この入力軸13に、入力プーリー13a及び冷却ファン13bが固定されている。
前記入力軸13には、刈取前処理装置4へ動力を取り出すための作業系動力分岐用の伝動ギヤ13dが設けられ、この伝動ギヤ13dが中間伝動軸15に設けた第1中継ギヤ15aに咬合し、中間伝動軸15に設けた第2中継ギヤ15bが刈取用出力軸16に設けた入力ギヤ16aに咬合されている。そして、図2に示すように、刈取用出力軸16の出力がベルトテンション式の刈取クラッチ17を介して刈取処理装置4の入力軸4fに伝達されている。
【0053】
図3に示すように、無段変速装置Mの油圧モータ82の出力軸83に、第1伝動ギヤ83aが固定され、ミッションケース12に支持された中間伝動軸84に、第1伝動ギヤと咬合する第2伝動ギヤ84a及び第3伝動ギヤ84bが固定されている。ミッションケース12に分岐用伝動軸85が支持されて、この分岐用伝動軸85に固定された第4伝動ギヤ85aと前記第3伝動ギヤ84bとが咬合している。
前記分岐用伝動軸85に、右及び左の筒状のサイドギヤ85bが相対回転及びスライド自在に外嵌され、右及び左の車軸86に固定された第5伝動ギヤ86aが右及び左のサイドギヤ85bに咬合しており、右及び左のクローラ走行装置1の駆動スプロケット1a(図1参照)が、右及び左の車軸86の端部に固定されている。
【0054】
前記分岐用伝動軸85と左右の車軸86との間には、左右一対のサイドクラッチ87と左右一対のサイドブレーキ88とが設けられている。
前記サイドクラッチ87は、分岐用伝動軸85の右及び左の端部に固定された咬合体85dと、その咬合体85dに対向する位置で咬合するように前記左右のサイドギヤ85aの端部に形成された咬合部Kと、右及び左のサイドギヤ85bの各咬合部Kが分岐用伝動
軸85の右及び左の咬合体85dに咬合する方向に向けて右及び左のサイドギヤ85bを付勢するバネ89と、右及び左のサイドギヤ85bの各咬合部Kを分岐用伝動軸85の右及び左の咬合体85dから離間させる方向に向けて押し操作可能な右及び左のピストン90とで構成されている。
【0055】
前記サイドブレーキ88は、左右のサイドギヤ85bとミッションケース12内の固定部分との夫々に設けた摩擦板88aと、それら摩擦板88aを押圧操作して制動力を与える前記した左右のピストン90とで構成されている。
図3に示す状態は、右のサイドギヤ85bの咬合部Kが分岐用伝動軸85の右の咬合体85dに咬合し、左のサイドギヤ85bの咬合部Kが分岐用伝動軸85の左の咬合体85dから離れている状態である。右及び左のサイドギヤ85bがバネ89の付勢力により分岐用伝動軸85の右及び左の咬合体85dに咬合すると、中間伝動軸84の動力が第3伝動ギヤ84b、分岐用伝動軸85の第4伝動ギヤ85a、分岐用伝動軸85、分岐用伝動軸34の右及び左の咬合体85d、右及び左のサイドギヤ85bの咬合部Kを介して右及び左の車軸86に伝達されて、機体は直進する。
【0056】
図2及び図6に示すように、前記脱穀クラッチ14は、エンジン10の出力軸10aと脱穀装置5の入力軸5bとにわたって巻回された伝動ベルト14aと、テンションアーム14bとを備えて構成されている。前記刈取りクラッチ17は、刈取用出力軸16と刈取処理装置4の入力軸4fとにわたって巻回された伝動ベルト17aと、テンションアーム17bとを備えて構成してある。
そして、脱穀クラッチ14と刈取りクラッチ17とは、テンションアーム14b,17bがクラッチ入り姿勢(以下、入り姿勢と略称する。)に揺動操作されると、このテンションアーム14b,17bがこれの遊端部に設けてあるテンション輪体14c,17cによって伝動ベルト14a,17aを緊張状態に押圧操作することによって入り状態に切り換わり、テンションアーム14b,17bがクラッチ切り姿勢(以下、切り姿勢と略称する。)に揺動操作されると、このテンションアーム14b,17bが伝動ベルト14a,17aの緊張操作を解除することによって切り状態に切り換わる、いわゆる、ベルトテンションクラッチになっている。
【0057】
図4〜図13に示すように、穀稈処理作業装置としての前記脱穀装置5に対してエンジン出力を伝達する入り状態と伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な作業クラッチとしての前記脱穀クラッチ1、前記エンジン10をアイドリング回転速度で回転させるアイドリング状態と定格回転速度で回転させる定格回転状態とに切り換えるアクセル手段としてのアクセル装置63(図10参照)、及び、前記刈取クラッチ17の夫々を操作する操作制御手段Cが設けられている。この操作制御手段Cは、電動モータ22、クラッチ切り換え部23、アクセル装置63を操作するアクセル操作部G、及び、マイクロコンピュータを用いて構成される制御部42を主要部として構成されており、以下、この操作制御手段Cについて詳述する。尚、前記制御部42は、前述の如く、扱深さ制御手段Jを構成することになる。
【0058】
図6〜図8は、前記クラッチ切り換え部23の側面図である。この図に示すように、前記クラッチ切り換え部23は、前記電動モータ22を取り付けた支持枠30が備えるボス部30a(図11参照)に回転自在に支持されたアーム形の脱穀クラッチ操作体31と、この脱穀クラッチ操作体31を脱穀クラッチ14のテンションアーム14bに連動させている脱穀クラッチ連動機構32と、前記ボス部30aに回転自在に支持されたアーム形の刈取りクラッチ操作体33と、この刈取りクラッチ操作体33を刈取りクラッチ17のテンションアーム17bに連動させている刈取りクラッチ連動機構34とを備えている。脱穀クラッチ操作体31と刈取りクラッチ操作体33とは、前記ボス部30aに回転自在に支持された一本の回転支軸37に一体回転自在に連結されている。前記支持枠30は、前
記操作盤35の下方に配置して操縦部フレーム(図示せず)に取り付けられている。
【0059】
前記電動モータ22は、電動モータ本体22aと、この電動モータ本体22aに連結された減速出力ケース22bと、この減速出力ケース22bに回転自在に支持された出力ギヤ22cとを備えている。減速出力ケース22bは、電動モータ本体22aの出力をケース内のギヤ減速機構(図示せず)によって前記出力ギヤ22cに伝達する。
【0060】
前記脱穀クラッチ操作体31と前記刈取りクラッチ操作体33とを備えた前記回転支軸37は、これの一端部に一体回転自在に設けた扇形ギヤ38を備えている。前記扇形ギヤ38は、前記出力ギヤ22cに噛み合っており、前記電動モータ22によって正回転方向に回転駆動されて回転支軸37を回転操作することにより、脱穀クラッチ操作体31と刈取りクラッチ操作体33とを回転支軸37の軸芯まわりに一体に正回転方向に回転操作する。扇形ギヤ38は、前記電動モータ22によって逆回転方向に回転駆動されて回転支軸37を回転操作することにより、脱穀クラッチ操作体31と刈取りクラッチ操作体33とを回転支軸37の軸芯まわりに一体に逆回転方向に回転操作する。
【0061】
前記脱穀クラッチ連動機構32は、脱穀クラッチ操作体31の遊端部に一端側が連結された連動杆32aと、この連動杆32aの他端側を前記テンションアーム14aに一体成形して設けた操作用アーム部14dに連結する連動スプリング32bとを備えて構成してある。前記連動杆32aと脱穀クラッチ操作体31とは、連結ピン31aを介して相対回転自在に連結している。
【0062】
前記刈取りクラッチ連動機構34は、刈取りクラッチ操作体33の遊端部に一端側が連結された連動杆34aと、この連動杆34aの他端側を前記テンションアーム17bに連結している連動スプリング34bとを備えて構成してある。前記連動杆34aと刈取りクラッチ操作体33とは、連結ピン33aを介して相対回転自在に連結している。
また、この刈取りクラッチ連動機構34は、前記連動スプリング34bとテンションアーム17bとにわたって設けた融通付き連動部39を備えている。この融通付き連動部39は、連動スプリング34bの端部34cをフック形に形成することによって連動スプリング34bに設けた長溝34dと、この長溝34dに摺動自在に係入した状態でテンションアーム17bに設けた連動ピン40とを備えて構成してあり、そして、刈取りクラッチ操作体33の操作位置により、連動ピン40が長溝34dの内部を移動して連動スプリング34bと連動ピン40とを相対移動させる融通状態と、連動ピン40が長溝内の端部に位置して連動スプリング34bに当接することによって連動スプリング34bと連動ピン40とを一体移動させる融通解除状態とに切り換わるようになっている。
【0063】
図9は、脱穀クラッチ操作体31と刈取りクラッチ操作体33との操作域を示す説明図であり、図6は、クラッチ切り換え部23の脱穀クラッチ14と刈取りクラッチ17とを切り操作した状態での側面図であり、図7は、クラッチ切り換え部23の脱穀クラッチ14を入り操作し、刈取りクラッチ17を切り操作した状態での側面図であり、図8は、クラッチ切り換え部23の脱穀クラッチ14と刈取りクラッチ17とを入り操作した状態での側面図である。
これらの図に示すように、脱穀クラッチ操作体31と刈取りクラッチ操作体33とは、電動モータ22によって扇形ギヤ38が回転操作さることにより、正回転方向Xと逆回転方向Yとに回転支軸37の軸心周りに一体的に回転操作されることになり、この回転操作により、脱穀クラッチ14と刈取クラッチ17とがともに切り状態となるクラッチ切り位置U1、脱穀クラッチ14が入り状態となり且つ刈取クラッチ17が切り状態となる脱穀クラッチ入り位置U2、及び、脱穀クラッチ14と刈取クラッチ17とがともに入り状態となる刈取クラッチ入り位置U3に回転されることになる。
【0064】
説明を加えると、前記脱穀クラッチ入り位置U2は、脱穀クラッチ操作体31の死点Dに対して、クラッチ切り位置U1が存在する側に寄った位置にある。脱穀クラッチ操作体31の死点Dは、脱穀クラッチ操作体31の操作位置のうち、脱穀クラッチ操作体31による脱穀クラッチ連動機構32の引っ張り操作ストロークが最大となる操作位置に対応する。
脱穀クラッチ操作体31がクラッチ切り位置U1に操作されると、脱穀クラッチ連動機構32は、脱穀クラッチ操作体31による引張り操作が解除されてテンションアーム14bを切り姿勢に操作する。このとき、刈取りクラッチ操作体33もクラッチ切り位置U1に位置し、刈取りクラッチ連動機構34は、刈取りクラッチ操作体33による引張り操作が解除されてテンションアーム17bを切り姿勢に操作する。
脱穀クラッチ操作体31がクラッチ切り位置U1から正回転方向Xに回転操作されると、これに伴って脱穀クラッチ操作体31は、死点Dの手前の脱穀クラッチ入り位置U2に位置に位置する。すると、脱穀クラッチ連動機構32は、脱穀クラッチ操作体31による引張り操作のためにテンションアーム14bを入り姿勢に操作する。このとき、刈取りクラッチ操作体33が脱穀クラッチ入り位置U2に位置するので、刈取りクラッチ連動機構34は、テンションアーム17bを切り姿勢に操作している。
【0065】
脱穀クラッチ操作体31が更に正回転方向に回転操作されると、脱穀クラッチ操作体31は、死点Dを超えて、刈取クラッチ入り位置U3に位置し、脱穀クラッチ連動機構32は、脱穀クラッチ操作体31による引張り操作のためにテンションアーム14bを入り姿勢に維持している。このとき、刈取りクラッチ操作体33も刈取クラッチ入り位置U3に位置し、刈取りクラッチ連動機構34は、刈取りクラッチ操作体33による引張り操作のためにテンションアーム17bを入り姿勢に操作する。
【0066】
脱穀クラッチ操作体31と刈取りクラッチ操作体33とがクラッチ切り位置U1から脱穀クラッチ入り位置U2に向けて正回転方向Xに回転操作される際、融通付き連動部39が融通状態にあり、脱穀クラッチ操作体31と刈取りクラッチ操作体33とが脱穀クラッチ入り位置U2から刈取クラッチ入り位置U3に回転操作される際に、融通付き連動部39が融通解除状態に切り換わる。
【0067】
図10は、前記アクセル操作部Gの側面図であり、図11は、前記アクセル操作部Gの縦断面図である。前記アクセル操作部Gは、前記操作盤35に配置されたアクセル操作具60及び前記電動モータ22によってアクセル装置63を操作して、エンジン10の回転速度を調速するように構成されている。
説明を加えると、アクセル操作具60の基部が、前記支持枠30に支持された支軸61に回転自在に外嵌支持され、その支軸61に摩擦板68が外嵌され、前記回転支軸37の一端側に、揺動操作体69支持され、前記支軸61の一端部に操作部70が設けられている。
前記アクセル操作具60は、前記支軸61の軸芯まわりに揺動操作するように支持されており、その基部には一体形成した出力アーム部60aを備えている。この出力アーム部60aは、スプリング66とアクセルケーブル62とを介し、前記エンジン10に設けられたアクセル装置63の調速アーム64に連動されている。前記摩擦板68は、取り付けネジ71による締め付けによってアクセル操作具60の基部に圧接されて、アクセル操作具60に摩擦抵抗を付与する。
【0068】
前記揺動操作体69は、前記回転支軸37に設けた小判形部37aに取り付け筒部69aによって一体回動自在に連結されている。つまり、揺動操作体69は、前記回転支軸37を介して前記脱穀クラッチ操作体31に一体揺動自在に連動している。
【0069】
前記操作部70は、前記アクセル操作具60及び前記揺動操作体69とは別体に構成し
て前記支軸61に遊転自在に支持された板体によって構成されており、前記支軸61の軸芯まわりにアクセル操作具60と相対揺動する。この操作部70は、これの遊端部に支軸72を介して遊転自在に取り付けたローラ73によって形成された受動部70aと伝動部70bとを備えている。前記ローラ73は、前記支持枠30に設けた円弧形の長孔74に沿って移動するよう前記長孔74を挿通している。
前記受動部70aは、前記揺動操作体69の端部69bに当接して前記揺動操作体69による操作力を受け、操作部70を支軸61の軸芯まわりに揺動させる。前記伝動部70bは、前記アクセル操作具60の前記出力アーム部60aに当接し、操作部70によるアクセル操作具60の増速方向への押圧揺動操作を可能にする。
【0070】
図12にも示すように、前記操作部70は、これの基部に一体成形されたバネ受け部70cを備えている。操作部70は、前記バネ受け部70cに作用する巻きバネ75によって、図13(c)、(d)に示す待機位置Tに揺動付勢される。
すなわち、図10及び図11に示すように、前記巻きバネ75は、前記支軸61に装着されている。そして、前記巻きバネ75の一対の端部75a,75aは、前記バネ受け部70cと、前記支持枠30に設けられた軸状のバネストッパ76とを挟むように配置されている。図13(c)、(d)は、前述の如く、前記操作部70が前記待機位置Tに位置した状態を示しているが、図13(b)は、操作部70が待機位置Tから作用方向a1に揺動操作された状態を示している。これらの図に示すように、操作部70が待機位置Tから作用方向a1に揺動操作されると、これに伴い、操作部70のバネ受け部70cが巻きバネ75の一方の端部75aを押圧するように移動する。このとき、巻きバネ75の他方の端部75aがバネストッパ76によって受け止め支持される。操作部70が待機位置Tから解除方向b1に揺動操作されると、これに伴い、操作部70のバネ受け部70cが巻きバネ75の他方の端部75aを押圧するように移動する。このとき、巻きバネ75の一方の端部75aがバネストッパ76によって受け止め支持される。これにより、巻きバネ75は、操作部70が作用方向a1と解除方向b1とのいずれの方向に揺動操作された場合も、操作部70の回転に伴って弾性変形され、操作部70を待機位置Tに復帰させるように付勢する。
【0071】
すなわち、前記アクセル操作部Gは、人為操作によるアクセル操作具60の操作によっても、電動モータ22によるアクセル操作具60の操作によってもエンジン10の回転速度を調節するように構成されている。
説明を加えると、アクセル操作具60が人為操作されると、出力アーム部60aが支軸61の軸芯まわりに揺動してアクセルケーブル62を引っ張り操作したり緩め操作したりする。引っ張り操作されたアクセルケーブル62は、調速アーム64をこれの復元力に抗して揺動操作し、エンジン10を回転速度が増加するよう調速する。緩め操作されたアクセルケーブル62は、調速アーム64をこれの前記復元力によって揺動操作し、エンジン10を回転速度が減少するよう調速する。このようにエンジン10の調速操作が行われた場合、アクセル操作具60は、摩擦板68によって調速アーム64の復元力に抗して任意の操作位置に保持され、エンジン10の回転速度を調速された回転速度に維持する。
【0072】
図10は、アクセル操作部Gのアクセル操作具60がエンジン10のアイドリング回転速度に対応する設定低速位置Lに操作され、揺動操作体69がクラッチ切り位置U1に対応する位置に操作された状態での側面図である。図13(a),(b)は、揺動操作体69がクラッチ入り位置U1に対応する位置から脱穀クラッチ入り位置U2に対応する位置に操作される過程での側面図であり、図13(c)は、アクセル操作部Gの揺動操作体69が刈取クラッチ入り位置U3に対応する位置に操作された状態での側面図であり、さらに、図13(d)は、アクセル操作部Gの揺動操作体69がクラッチ切り位置U1に対応する位置に戻し操作された状態での側面図である。
【0073】
これらの図に示すように、電動モータ22が脱穀クラッチ14を入り状態に切り換えるよう脱穀クラッチ操作体31を揺動操作すると、この脱穀クラッチ操作体31が回転支軸37を介して揺動操作体69をクラッチ切り位置U1に対応する位置から正回転方向a2に揺動操作する。揺動操作体69の揺動に伴い、揺動操作体69の端部69bが待機位置Tに位置している操作部70の受動部70aに当接する。すると、受動部70aが揺動操作体69の操作力を受け、操作部70が待機位置Tから作用方向a1に揺動する。このとき、アクセル操作具60が設定低速位置Lにあると、すなわちエンジン10の回転速度がアクセル操作具60の操作位置(設定低速位置L)に対応したアイドリンク回転状態になっていると、操作部70の伝動部70bがアクセル操作具60の出力アーム部60aに当接する。すると、操作部70が伝動部70bによってアクセル操作具60を押圧して移動操作する。これにより、アクセル操作部Gが作動してエンジン10を増速側に調速する。
【0074】
揺動操作体69が脱穀クラッチ入り位置U2に対応する位置に至るに伴って、操作部70がアクセル操作具60をエンジン10が定格回転速度で回転する定格回転状態に対応する設定高速位置Hに操作する。アクセル操作具60が設定高速位置Hに至った後、操作部70の受動部70aが揺動操作体69の端部69bから離間し、電動モータ22が刈取りクラッチ17を入り操作するために更に回動して揺動操作体69が刈取クラッチ入り位置U3に対応する位置に揺動しても、操作部70によるアクセル操作具60の移動操作が行われず、アクセル操作具60は、設定高速位置Hに摩擦板68によって保持され、エンジン10は、アクセル操作具60の設定高速位置Hに対応した定格回転速度で回転する。
【0075】
エンジン10が定格回転速度で回転する状態になった後、揺動操作体69の遊端部69aが操作部70の受動部70aから外れ、操作部70が巻きバネ75による揺動付勢によって待機位置Tに復帰する。すると、アクセル操作具60は、操作部70と揺動操作体69とによる揺動規制を受けない状態になる。
【0076】
エンジン10が定格回転速度で回転する状態に調速された後、電動モータ22が脱穀クラッチ14を切り状態に切り換えるよう脱穀クラッチ操作体31を揺動操作すると、揺動操作体69が脱穀クラッチ操作体31と共に揺動する。すなわち、揺動操作体69が逆回転方向b2に揺動する。このとき、揺動操作体69の端部69bが待機位置Tに位置している操作部70の受動部70aに当接し、操作部70が待機位置Tから解除方向b1に揺動しても、操作部70がアクセル操作具60に押圧作用しない。これにより、アクセル操作具60は、設定高速位置Hに維持され、エンジン10は定格回転速度で回転する状態を維持する。
【0077】
電動モータ20が刈取りクラッチ17を切り状態に操作するよう刈取りクラッチ操作体33を揺動操作すると、揺動操作体69が更に逆回転方向b2に揺動する。すると、揺動操作体69の端部69bが操作部70の受動部70aから外れ、操作部70は、巻きバネ75による揺動付勢によって待機位置Tに復帰し、次に揺動操作体69が正回転方向a2に揺動操作された際、揺動操作体69の端部69bと操作部70の受動部70aとが当接するようになる。すなわち、操作部70が揺動操作体69によって作用方向a1に揺動操作されるようになる。
【0078】
図5に示すように、前記制御部42には、作業開始指令および作業停止指令を指令する手動操作式の作業指令手段としての作業指令スイッチ25、前記刈取クラッチ17の入り操作指令及び切り操作指令を指令する手動操作式のクラッチ操作指令手段としての掻込み指令スイッチ50、前記刈取処理装置4の走行機体Bに対する高さを検出する高さ検出用センサ51、前記刈取クラッチ17に対する自動操作を行なう自動操作指令と自動操作を行なわない自動停止指令を指令する手動操作式の自動操作指令手段としての自動操作スイッチ52、前記変速操作レバー24の操作位置を検出する変速検出手段としての変速検出
用センサ41、前記脱穀クラッチ操作体31の位置を検出する操作体位置検出手段としての操作体位置検出用センサ43、前記エンジン10の回転速度を検出する回転速度検出センサ53、点灯式表示部としての表示ランプ54、扱深さ制御手段Jが自動制御状態であると点灯する扱深さ表示ランプ92、及び、警報音発生装置としての警報ブザー93が接続されている。
前記作業指令スイッチ25、掻込み指令スイッチ50、自動操作スイッチ52、扱深さ表示ランプ92、及び、表示ランプ54は、操縦部Aの操作盤35に配設されており、同様に、前述した、前記扱深さ自動スイッチ98、前記浅扱きスイッチ99A及び前記深扱きスイッチ99Bも、操縦部Aの操作盤35に配設されている。
また、前記高さ検出用センサ51は、図1に示すように、刈取り部フレーム4aの走行機体Bに対する昇降位置を検出するように設けられている。
【0079】
前記制御部42は、キーPにて操作されるメインスイッチSWが、ON位置やエンジン10のスターター55を作動させるST位置に操作されると、バッテリーVの電源が投入されて起動され、メインスイッチSWがOFF位置に操作されると、電源の供給が停止されるようになっている。そして、メインスイッチSWがON位置に操作されて電源が供給されたときには、後述する各種の制御を実行し、また、メインスイッチSWがST位置に操作されたときには、スターター起動用スイッチ55aを入り操作して、スターター55を作動させることになる。また、制御部42は、後述の如く、表示ランプ54の作動を制御する点灯制御手段としても機能するように構成されている。
【0080】
また、前記制御部42には、操縦部Aに装備された駐車ブレーキペダル56がブレーキ作動状態に踏み込まれたことを検出するブレーキ検出センサ57が接続されており、メインスイッチSWがST位置に操作されたときに、ブレーキ検出センサ57にてブレーキ作動状態であることが検出されている場合には、スターター起動用スイッチ55aを入り操作し、且つ、ブレーキ検出センサ57にてブレーキ作動状態であることが検出されない場合には、スターター起動用スイッチ55aを入り操作しないように構成されている。
尚、詳述はしないが、前記駐車ブレーキペダル56は、前記ミッションケース12内に装備した駐車ブレーキにリンク機構を介して連係されるものであって、上述の如く、踏み込まれることにより駐車ブレーキを作動状態に操作するように構成され、且つ、変速操作レバー24を中立位置Nに操作する操作機構に連係されて、踏み込まれることにより変速操作レバー24を中立位置Nに操作するように構成されている。さらに、この駐車ブレーキペダル56は、踏み込み解除側に復帰付勢されるとともに、踏み込み位置を保持する保持具にて踏み込み位置に保持されるように構成されている。
【0081】
さらに、前記制御部42には、刈取昇降指令用センサ18A、及び、操向指令用センサ18Bが接続されている。これら刈取昇降指令用サンサ18A及び操向指令用センサ18Bは、操縦部Aの運転座席2の前方に設けた操縦レバー18にて操作される、つまり、操縦レバー18の操作位置を検出するようになっている。
説明を加えると、操縦レバー18が前後方向並びに左右方向に揺動操作されるようになっており、操縦レバー18が中立操作位置nから前方に揺動されると刈取昇降指令用センサ18Aが下降指令を指令し、操縦レバー18が中立操作位置nから後方前方に揺動されると刈取昇降指令用センサ18Aが上昇指令を指令するように構成され、そして、操縦レバー18が中立操作位置nから左方に揺動されると操向指令用センサ18Bが左旋回指令を指令し、操縦レバー18が中立操作位置nから右方に揺動されると操向指令用センサ18Bが右旋回指令を指令するように構成されている。
そして、制御部42は、刈取昇降指令用センサ18Aからの上昇指令及び下降指令に基づいて前記油圧シリンダ7の制御弁7Aを操作して油圧シリンダ7を作動させることにより、刈取処理装置4を昇降させることになり、また、操向指令用センサ18Bの左旋回指令及び右旋回指令に基づいて前記ピストン90の制御弁90Aを操作してピストン90を
作動させることにより、サイドクラッチ87及びサイドブレーキ88を作動させることにより、左旋回や右旋回を行わせるようになっている。
【0082】
前記制御部42は、作業指令スイッチ25の指令、掻込み指令スイッチ50の指令、自動操作スイッチ52の指令、高さ検出用センサ51の検出情報、変速検出用センサ41の検出情報、操作体位置検出用センサ43の検出情報、回転速度検出センサ53の検出情報、及び、エンジン10が起動されているエンジン起動状態であるか否かを検出するエンジン起動状態検出手段として機能するオルタネータ100の発電情報に基づいて、後述する制御作動を実行すべく、前記電動モータ22の駆動回路22Aに正転指令及び逆転指令を指令して電動モータ22を作動させ、前記油圧シリンダ7の制御弁7Aに上昇指令及び下降指令を指令して油圧シリンダ7を作動させ、また、表示ランプ54の点灯駆動回路54Aに点灯指令及び消灯指令を指令して表示ランプ54を作動させ、同様に、扱深さランプ92の点灯駆動回路92Aに点灯指令及び消灯指令を指令して表示ランプ92を作動させ、さらに、警報ブザー93の駆動回路93Aに駆動指令及び停止指令を指令して警報ブザー93を作動させるように構成されている。
【0083】
次に、前記操作制御手段Cの制御内容について、図14及び図15に示す前記制御部42の制御作動を詳述しながら説明する。
メインスイッチSWにより電源が投入されて起動されると、各種の情報を設定初期状態初期化する初期化処理が実行される(#1)。そして、この初期化処理において、扱深さ制御手段Jが制御停止状態にセットされる。
次に、操作体位置検出用センサ43の検出情報に基づいて、脱穀クラッチ14が入り状態であるか否かが判断され(#2)、入り状態であるときには、「脱穀クラッチ切り」の制御が実行される(#3)。
この「脱穀クラッチ切り制御」は、操作体位置検出用センサ43の検出情報に基づいて、電動モータ22が脱穀クラッチ操作体31をクラッチ切位置U1に操作し、脱穀クラッチ連動機構32を介して脱穀クラッチ14を切り状態に操作することになり、これと同時、電動モータ22が刈取りクラッチ操作体33をクラッチ切位置U1に操作し、刈取りクラッチ連動機構34を介して刈取りクラッチ17を切り状態に操作することになる。
【0084】
引き続いて、エンジン10が起動、つまり、始動されているか否かが判断されることになる。
ちなみに、エンジン10の始動は、上述した如く、メインスイッチSWがST位置に操作されたときに、ブレーキ検出センサ57にてブレーキ作動状態であることが検出されている場合に、制御部42がスターター起動用スイッチ55aを入り操作することにより行なわれることになり、エンジン10が始動したことは、エンジン10にて駆動されるオルタネータ100の起動電圧が設定値以上になることにより判断される。
エンジン10が始動されていると、作業指令スイッチ25にて作業開始指令および作業停止指令のいずれが指令されているかを判断し、作業開始指令が指令されていると作業モードとし、作業停止指令が指令されていると非作業モードとする(#5)。尚、図面では、作業開始指令が指令されるときを「ON」であると記載している。
作業指令スイッチ25が「ON」でないとき、つまり、作業停止指令が指令されて非作業モードであるときには、前述した「脱穀クラッチ切り」の制御、表示ランプ54を消灯させる制御、及び、扱深さ制御手段Jを制御停止状態に切り換えること(扱深さ制御OFF)が実行され(#6、#7、#8)、次に、メインスイッチSWがOFF位置に操作された否かが判断されることになる(#26)。
この「脱穀クラッチ切り」の制御は、前述した通り、電動モータ22が脱穀クラッチ操作体31を切り域31Aの端部のクラッチ切位置U1に操作し、脱穀クラッチ連動機構3
2を介して脱穀クラッチ14を切り状態に操作することにより行なわれるものであって、この操作と同時に、電動モータ22が刈取りクラッチ操作体33を切り域33Aに操作し、刈取りクラッチ連動機構34を介して刈取りクラッチ17を切り状態に操作することが行なわれることになる。
そして、アクセル操作部Gの操作によってエンジン10のアクセル装置63が定格回転状態に操作されているときには、脱穀クラッチ14を切り状態に操作しても、エンジン10が定格回転状態を維持することになる。すなわち、アクセル操作具60が設定高速位置Hに位置している状態で、電動モータ22が脱穀クラッチ操作体31をクラッチ切位置U1に操作すると、揺動操作体69が脱穀クラッチ操作体31と共に揺動して解除方向b2に揺動する。これに伴って揺動操作体69の先端部69bが待機位置Tに位置している操作部70の受動部70aに当接して揺動操作体69が操作部70を揺動操作しても、操作
部70は、解除方向b1に揺動してアクセル操作具60に押圧作用しない。これにより、アクセル操作具60が摩擦板68によって設定高速位置Hに保持され、エンジン10は、アクセル操作具60の設定高速位置Hに対応した定格回転速度で回転する状態を維持することになる。
【0085】
作業指令スイッチ25が「ON」であるとき、つまり、作業停止指令が指令されて作業モードであるときには、「ON」の直後であるか否かが判断され(#9)、直後の場合には、警報ブザー93を作動させる(例えば、間欠的に複数回作動させる)ことになる「警報処理」、及び、扱深さ制御手段Jを自動制御状態に切り換える「扱深さ制御ON」が実行される(#10、#11)。尚、本実施形態においては、扱深さ制御手段Jは、この「扱深さ制御ON」の条件と、株元センサ94が穀稈を存在する条件との両条件が満たされたときに、扱深さ制御を実行することになる。
【0086】
そして、作業指令スイッチ25が「ON」であるときには、「脱穀クラッチ入り」の制御、及び、「表示ランプ点灯」の制御が実行される(#12、#13)。
この「表示ランプ点灯」の制御は、回転速度検出センサ53にて検出されるエンジン10の回転速度が設定判別速度よりも高速であると点灯させかつ前記設定判別速度以下であると点滅させる形態で表示ランプ54を表示作動させることになる。
また、この「脱穀クラッチ入り」の制御は、操作体位置検出用センサ43の検出情報に基づいて、電動モータ22が脱穀クラッチ操作体31を脱穀クラッチ入位置U2に操作し、脱穀クラッチ連動機構32を介して脱穀クラッチ14を入り状態に操作することになり、これと同時に、電動モータ22が刈取りクラッチ操作体33を脱穀クラッチ入位置U2に操作し、刈取りクラッチ連動機構34を介して刈取りクラッチ17を切り状態ではあるものの入り状態に近くなる状態に操作することになる。
さらに、脱穀クラッチ操作体31が脱穀クラッチ入位置U2に揺動操作される際、アクセル操作具60が設定低速位置Lに位置していると、アクセル操作部Gの操作によってエンジン10が設定定格回転速度に操作されることになる。つまり、脱穀クラッチ操作体31と共に揺動する揺動操作体69の遊端部69bが、待機位置Tに位置する操作部70の受動部70aに当接し、揺動操作体69が操作部70を作用方向a1に揺動操作する。すると、操作部70の伝動部70がアクセル操作具60の出力アーム部60aに当接し、操作部70がアクセル操作具60を揺動操作する。これにより、アクセル操作部Gが作動してアクセル装置63を増速側に操作する。アクセル操作具60が設定高速位置Hになると、揺動操作体69が操作部60から外れ、摩擦板68がアクセル操作具60を設定高速位置Hに保持する。これにより、エンジン10がアクセル操作具60の設定高速位置Hに対応した定格回転速度になる。
ちなみに、操作部70がアクセル操作具60を設定高速位置Hに操作した後、揺動操作体69の遊端部69aが操作部70の受動部70aから外れ、操作部70が待機位置Tに復帰してアクセル操作具60の出力アーム部60aと離間し、また、揺動操作体69が操作部70と離間することになる。したがって、アクセル操作具60は、操作部70と揺動
操作体69とによる揺動規制を受けず、設定高速位置Hから減速側に人為操作できる状態になる。
加えて、エンジン10が定格回転速度に操作された後、脱穀装置5を停止させても、エンジン10は定格回転速度に維持されることになる。つまり、アクセル操作具60が設定高速位置Hに位置している状態で、電動モータ22が脱穀クラッチ操作体31及び刈取りクラッチ操作体33をクラッチ切位置U1に操作すると、揺動操作体69が脱穀クラッチ操作体31と共に揺動して解除方向b2に揺動する。これに伴って揺動操作体69の先端部69aが待機位置Tに位置している操作部70の受動部70aに当接して揺動操作体69が操作部70を揺動操作しても、操作部70は、解除方向b1に揺動してアクセル操作具60に押圧作用しない。これにより、アクセル操作具60が摩擦板68によって設定高速位置Hに保持され、エンジン10は、アクセル操作具60の設定高速位置Hに対応した定格回転速度を維持する。
【0087】
次に、変速検出用センサ41の検出情報に基づいて、前進操作域Fにおけるクラッチ入り判別用設定位置P1よりも高速側に変速操作レバーが位置する前進走行状態であるか否か、つまり、変速操作レバー24が刈取クラッチ入り操作域に操作されているか否かが判断され(#14)、変速操作レバー24が刈取クラッチ入り操作域でないときには、前記前進操作域Fにおけるクラッチ入り判別用設定位置P1よりも低速側に定めたクラッチ切り判別用設定位置P2に対して前記変速操作レバー24が低速側に位置する走行中立状態であるか及び後進操作域Rに変速操作レバー24が位置するか、つまり、変速操作レバー24が刈取クラッチ切り操作域に操作されているか否かが判断される(#19)。
【0088】
変速操作レバー24が刈取クラッチ入り操作域に操作されている場合には、「刈取クラッチ入り」の制御が行われることになる(#16)。つまり、操作体位置検出用センサ4
3の検出情報に基づいて、電動モータ22により脱穀クラッチ操作体31を刈取クラッチ入位置U3に操作し、脱穀クラッチ連動機構32を介して脱穀クラッチ14を入り状態に継続して操作することになり、これと同時、電動モータ22により刈取りクラッチ操作体33を刈取クラッチ入位置U3に操作し、刈取りクラッチ連動機構34を介して刈取りクラッチ17を入り状態操作することになる。
この「刈取クラッチ入り」の制御は、自動操作スイッチ52にて自動操作指令が指令されているか否かかが判断されたときに(#15)、自動操作を行なわない自動停止指令が指令されていると、直ちに実行されることになり、そして、自動操作スイッチ52にて自動操作指令が指令されていると、高さ検出用センサ51の検出情報に基づいて、刈取処理装置4の高さが設定高さ以上であるか否かが判断されたときに(#17)、刈取処理装置4の高さが設定高さよりも低いと判断されると実行されることになる。
【0089】
そして、自動操作スイッチ52にて自動操作指令が指令されているか否かの判断(#15)により、自走操作指令が指令されている場合においては、高さ検出用センサ51の検出情報に基づく刈取処理装置4の高さが設定高さ以上であるか否かの判断(#17)により、刈取処理装置4の高さが設定高さ以上であるときには、「刈取クラッチ切り」の制御が実行される(#18)。この「刈取クラッチ切り」の制御は、操作体位置検出用センサ43の検出情報に基づいて、電動モータ22が脱穀クラッチ操作体31を脱穀クラッチ入位置U2に操作し、脱穀クラッチ連動機構32を介して脱穀クラッチ14を入り状態に維持する状態に操作することになり、これと同時に、電動モータ22が刈取りクラッチ操作体33を脱穀クラッチ入位置U2に操作し、刈取りクラッチ連動機構34を介して刈取りクラッチ17を切り状態に操作することになる。
【0090】
上述の如く、変速操作レバー24が刈取クラッチ入り操作域でない場合に、変速操作レバー24が刈取クラッチ切り操作域に操作されているか否かが判断され(#19)、その判断により、刈取クラッチ切り操作域に操作されていないと、刈取クラッチ17を入り状
態に維持すべく「刈取クラッチ切り」の制御が実行されることはないが、刈取クラッチ切り操作域に操作されていると、上述と同様に行われる「刈取クラッチ切り」の制御が実行されることになる(#22)。
この「刈取クラッチ切り」の制御は、変速検出用センサ41の検出情報に基づいて変速操作レバー24が中立位置Nでないことが判別される(#20)ときや、変速操作レバー24が中立位置Nであっても、掻込み指令スイッチ50が刈取クラッチ17の入り操作指令を指令するON状態でないとき、つまり、切り操作指令を指令するときには、実行されるものの、変速操作レバー24が中立位置Nであって且つ掻込み指令スイッチ50が刈取クラッチ17の入り操作指令を指令するON状態のときには、上述と同様に行われる「刈取クラッチ入り」の制御が実行されることになる。
【0091】
「刈取りクラッチ入り」の制御(#16)や「刈取りクラッチ切り」の制御(#18)が実行されたのちには、扱深さ制御手段Jを自動制御状態にとする指令状態であるか否か、つまり、扱深さ制御ONであるか否かが判断され(#23)、扱深さ制御ONであるときに、株元センサ94が穀稈を検出していると、つまり、株元ONであると(#24)、扱深さ制御手段Jにて扱深さ制御が実行される(#25)。
そして、この扱深さ制御ONは、刈取収穫作業を開始すべく、作業指令スイッチ25が「ON」に操作されたとき、つまり、作業開始指令が指令された直後においては、上述の如く自動的に行われることになるが、その後、扱深さ自動スイッチ98にて制御停止状態に切り換えたのちにおいては、その扱深さ自動スイッチ98にて自動制御状態に切り換えられことにより行われることになる。
【0092】
そして、上述した諸々の判断や制御が行われたのちは、メインスイッチSWがOFF位置に操作されたか否かが判断されることになり(#26)、上述した諸々の判断や制御が、メインスイッチSWがOFF位置に操作されまで繰り返し行われることになる。そして、メインスイッチSWがOFF位置に操作されると、上述した如く、制御部42は、その間に、エンジン10を停止するためのエンジン停止制御や各種情報を記憶する情報記憶管理制御等の終了制御を行なうことになる。
【0093】
上述の如く、エンジン10が始動(起動)されているか否かが判断されたとき(#4)に、エンジン10が始動(起動)されていないときに、作業指令スイッチ25が「ON」に操作されることと、掻込み指令スイッチ50が刈取クラッチ17の入り操作指令を指令する「ON」に操作されることとが同時に行われたか否か、つまり、作業開始指令と入り操作指令とが同時に指令されているか否かが判断され(#27)、作業開始指令と入り操作指令とが同時に指令されていると、前述の作業モードに切り換わることになり、そして、作業開始指令と入り操作指令とが同時に指令されていないと、メインスイッチSWがOFF位置に操作された否かが判断される(#28)。
そして、メインスイッチSWがOFF位置に操作されたときには、その後の設定時間の間は制御部42に電力を供給しつづけるための電源回路(図示せず)が設けられており、制御部42は、その間に、エンジン10を停止するためのエンジン停止制御や各種情報を記憶する情報記憶管理制御等の終了制御を行ない、その後制御を終了する。
【0094】
ちなみに、上記説明では省略したが、扱深さ制御手段Jが自動制御状態に切り換えられたとき、つまり、扱深さ制御ONのときには、扱深さランプ92が点灯され、そして、扱深さ制御手段Jが制御停止状態に切り換えられたときには、扱深さランプ92が消灯されるように、制御部24が、扱深さランプ92の点灯駆動回路92Aに対して点灯指令及び消灯指令を指令することになる。
【0095】
従って、コンバイを運転する場合において、エンジン10をアイドリング回転速度で回転するアイドリング状態に始動させたのち、刈取収穫作業を行うために、作業指令スイッチ25にて作業開始指令を指令すると作業モードとなり、脱穀クラッチ14が入り状態に操作されて脱穀装置5が駆動され、アクセル装置63が定格回転状態に操作されてエンジン10が定格回転速度で駆動されることになり、加えて、扱深さ制御手段Jが自動制御状態に切り換えられることになる。そして、刈取収穫作業を停止するために、作業指令スイッチ25にて作業停止指令を指令すると非作業モードにすると、脱穀クラッチ14が切り状態に操作されて脱穀装置5の駆動が停止されることになる。但し、その後の走行を適切に行えるようにするために、エンジン10を定格回転速度で駆動する状態が維持されることになる。
【0096】
作業指令スイッチ25にて作業開始指令を指令して作業モードにすると、警報ブザー93が作動して、注意を喚起したのち、脱穀装置5が駆動され、且つ、エンジン10が定格回転速度で駆動するように操作されることになる。そして、脱穀装置5が駆動され、且つ、エンジン10が定格回転速度で駆動される状態において、エンジン10の回転速度が適正な回転速度であることを判別するために設定した設定判別速度以上であると、表示ランプ54が点灯され
、エンジン10回転速度が設定判別速度未満であると、表示ランプ54が点滅することになるので、表示ランプ54の点灯及び点滅により、作業指令スイッチ25にて作業開始指令を指令した状態であることが表示され、また、表示ランプ54が点灯であるか点滅であるかにより、エンジン10が適正な回転速度で回転しているか否かが表示される。
【0097】
作業指令スイッチ25にて作業開始指令を指令して作業モードにした状態、つまり、脱穀装置5が駆動され、且つ、エンジン10が定格回転速度で駆動する状態において、自動操作スイッチ52にて自動操作指令が指令されていると、変速操作レバー24が刈取クラッチ入り操作域に操作されて前進走行が行われ且つ刈取処理装置4が設定高さよりも下降させると、刈取クラッチ17が入り状態となって刈取処理装置4が駆動され、変速操作レバー24が刈取クラッチ切り操作域に操作される、あるいは、刈取処理装置4が設定高さよりも上昇されると、刈取クラッチ17が切り状態となって刈取処理装置4の駆動が停止されることになる。
但し、変速操作レバー24が刈取クラッチ切り操作域に操作されても、変速操作レバー24が中立位置Nに位置するときに、掻込み指令スイッチ50にて刈取クラッチ17の入り操作指令が指令されると、刈取クラッチ17を入り状態にして刈取処理装置4を駆動できるものとなる。
【0098】
説明を加えると、コンバイの刈取収穫作業は、基本的に、一行程の刈取収穫走行を行うと、枕地を走行して、次の行程に移動すること繰り返しながら行われることになり、そして、枕地を走行するときには、刈取処理装置4を地面との接当を回避するために設定高さ以上に上昇させ、次の行程に突入するときに、刈取処理装置4を設定高さよりも低い地面近くに下降させることが行われることになるが、刈取処理装置4を上昇させて枕地を走行するときには刈取処理装置4の駆動が自動的に停止され、刈取処理装置4を下降させて行程に突入するときには刈取処理装置4が自動的に駆動されることになる。
また、枕地を刈取る等のために、畦に向かって走行して停止したときに、掻込み指令スイッチ50にて刈取クラッチ17の入り操作指令を指令すると、刈取処理装置4に存在する刈取った穀稈を脱穀装置5に供給すべく、刈取処理装置4を駆動できる。
そして、この掻込み指令スイッチ50による指令による刈取処理装置4の駆動は、メンテナンスを行うときにも使用できる。
【0099】
作業指令スイッチ25にて作業開始指令を指令して作業モードにした状態、つまり、脱穀装置5が駆動され、且つ、エンジン10が定格回転速度で駆動する状態において、自動操作スイッチ52にて自動停止指令が指令されていると、変速操作レバー24が刈取クラッチ入り操作域に操作されて前進走行が行われると、刈取クラッチ17が入り状態となって刈取処理装置4が駆動され、変速操作レバー24が刈取クラッチ切り操作域に操作されると、刈取クラッチ17が切り状態となって刈取処理装置4の駆動が停止されることになる。
つまり、畦際等において枕刈りを行う際には、刈取処理装置4を地面近くに下降させた状態で、前進及び後進を繰り返しながら刈取収穫作業を行うことが多いが、その場合においては、変速操作レバー24の操作により自動的に刈取クラッチ17が入り状態と切り状態とに切り換えられることになる。ちなみに、この場合にも、掻込み指令スイッチ50にて刈取クラッチ17の入り操作指令を指令すると、刈取処理装置4に存在する刈取った穀稈を脱穀装置5に供給すべく、刈取処理装置4を駆動できる。
【0100】
さらに、エンジン10を停止した状態でメンテナンスを行うときには、作業指令スイッチ25を「ON」に操作することと、掻込み指令スイッチ50を刈取クラッチ17の入り操作指令を指令する「ON」に操作することとを同時に行うことにより、エンジン10が始動(起動)されていない状態でも、前述の作業モードに切り換わり、脱穀クラッチ14が入り状態に操作され、また、走行変速レバー24の操作や掻込み指令スイッチ50の操作にて刈取クラッチ17を入り状態にして、それらクラッチ14、17が適正通りの入り状態であるか否かの点検や、適正通りの入り状態にするためにベルトの張り具合を調整するメンテナンス作業を行えるものとなる。
【0101】
要するに、操作制御手段Cは、基本的に下記の制御を行うことになる。
作業指令スイッチ25にて作業開始指令が指令されると作業モードに切り換わり、アクセル装置63を定格回転状態に操作し且つ脱穀クラッチ14を入り状態に操作し、且つ、作業指令スイッチ25にて作業停止指令が指令されると、制御部42が電動モータ22を作動させて、脱穀クラッチ14を切り状態に操作し且つアクセル装置63を定格回転状態に維持する。
制御部42が電源投入により起動されたときに、脱穀クラッチ14が入り状態の場合に
は、脱穀クラッチ14を切り状態に操作する。
【0102】
作業指令スイッチ25にて作業開始指令が指令されている作業モードにおいて、変速検出用センサ41にて前進走行状態が検出されると刈取クラッチ17を入り状態に操作し、且つ、変速用検出センサ41にて走行中立状態及び後進走行状態が検出されると刈取クラッチを7切り状態に操作することになり、そして、上記実施形態においては、変速操作レバー24が前進操作域Fにおけるクラッチ入り判別用設定位置P1よりも高速側に位置すると、前記前進走行状態であるとして、刈取クラッチ17を入り状態に操作し、且つ、変速操作レバー24が前進操作域Fにおけるクラッチ入り判別用設定位置P1よりも低速側に定めたクラッチ切り判別用設定位置P2よりも低速側に位置すると、前記走行中立状態であるとして、前記刈取クラッチ17を切り状態に操作する。
【0103】
作業指令スイッチ25にて作業開始指令が指令されかつ変速検出センサ41にて前記走行中立状態が検出されているときには、掻込み指令スイッチ50の入り操作指令及び切り操作指令に基づいて、刈取クラッチ17を入り状態及び切り状態に操作し、且つ、作業指令スイッチ25にて作業開始指令が指令され変速検出センサ41にて前記前進走行状態及び前記後進走行状態が検出されているときには、掻込み指令スイッチ50の入り操作指令及び切り操作指令に基づいて刈取クラッチ17を操作しない。
【0104】
作業指令スイッチ25にて作業開始指令が指令され且つ変速検出センサ41にて前進走行状態が検出されるときに、自動操作スイッチ52にて自動操作指令が指令されている場合には、高さ検出用センサ51にて刈取処理装置4が設定基準高さよりも下降側に位置することが検出されると、刈取クラッチ17を入り状態に操作し、且つ、高さ検出用センサ51にて刈取処理装置4が設定基準高さ以上の上昇側に位置することが検出されると、刈取クラッチ17を切り状態に操作する。
【0105】
自動操作スイッチ52にて自動操作指令が指令されている場合には、掻込み指令スイッチ50の指令により刈取クラッチ17の操作を行わない。ちなみに、上記実施形態では、自動操作スイッチ52にて自動操作指令が指令されている場合には、掻込み指令スイッチ50の指令により刈取クラッチ17を操作しないように、制御部42の制御プログラムが構成されることにより、この機能が達成されることになる。
【0106】
さらに、作業指令スイッチ25を「ON」に操作することと、掻込み指令スイッチ50を刈取クラッチ17の入り操作指令を指令する「ON」に操作することとが同時に行なわれると、エンジン10が始動(起動)されていない状態でも、前述の作業モードに切り換わり、脱穀クラッチ14を入り状態に操作し、また、走行変速レバー24の操作や掻込み指令スイッチ50の操作にて刈取クラッチ17を入り状態に操作することになる。
【0107】
〔別実施形態〕
以下、上記実施形態の各部を変更する別実施形態について説明する。
【0108】
上記実施形態では、操作制御手段Cが、一つの電動モータ22の作動により、脱穀クラッチ14、刈取クラッチ17、及び、アクセル装置(アクセル手段)63を操作する形態のものを例示したが、それらの夫々を各別に操作するアクチュエータを備えるようにする形態や、脱穀クラッチ14と刈取クラッチ17とを操作するアクチュエータとアクセル装置(アクセル手段)63を操作するアクチュエータとを各別に備えるようにする形態等、操作制御手段Cの構成は各種変更できる。
【0109】
上記実施形態では、作業指令手段25にて作業開始指令を指令して作業モードにすると、作業クラッチ14を入り状態にするのに加えて、エンジン10のアクセル手段Gを定格回転状態にする場合を例示したが、作業クラッチ14を入り状態にする形態で実施しても良い。この場合、アクセル手段Gを手動操作にて、定格回転状態に操作することになる。
【0110】
上記実施形態では、脱穀クラッチ14を作業クラッチとして操作する場合に本発明を適
用する場合を例示したが、脱穀クラッチ14及び刈取クラッチ17を作業クラッチとして実施するようにしても良い。
【0111】
上記実施形態では、走行変速装置として、前進走行速度を無段階に変速する油圧式の無段変速装置Mを例示したが、走行変速装置としては、有段階式の変速装置を用いて構成してもよい。
【0112】
上記実施形態では、作業指令手段25にて作業開始指令が指令されている場合に、走行変速検出手段41にて前進状態が検出されると刈取クラッチ17を入り状態に操作し、且つ、走行変速検出手段41にて走行中立状態及び後進走行状態が検出されると刈取クラッチ17を切り状態に操作するにあたり、変速操作レバー24が前進操作域Fにおけるクラッチ入り判別用設定位置P1よりも高速側に位置すると、前進走行状態であるとして、刈取クラッチ17を入り状態に操作し、且つ、変速操作レバー24が前進操作域Fにおけるクラッチ入り判別用設定位置P1よりも低速側に定めたクラッチ切り判別用設定位置P2よりも低速側に位置すると、走行中立状態であるとして、前記刈取クラッチ17を切り状態に操作する形態を例示したが、変速操作レバー24が前進操作域Fに定めた一つの判別位置以上高速側に位置すると前進走行状態とし、判別位置よりも低速側に位置すると走行中立状態であるとしても良い。
【0113】
上記実施形態では、走行変速検出手段41として、変速操作レバー24の位置を検出する変速検出用センサを例示したが、例えば上記実施形態において、無段変速装置Mの操作部の位置を検出するようにする等、走行変速検出手段41の具体構成は各種変更できるものである。
【0114】
上記実施形態では、作業指令手段25及びクラッチ操作指令手段50を兼用して補助指令手段を構成する場合を例示したが、補助指令手段を、専用のスイッチを用いて構成しても良いことはもちろんである。
【0115】
上記実施形態では、エンジン10が起動されているエンジン起動状態であることを検出する起動状態検出手段としてオルタネータ100を例示したが、エンジン10の回転速度を検出する回転速度検出手段を起動状態検出手段として設けて、エンジン10がアイドリング回転速度よりも少し低めの設定回転速度以上に回転すると起動状態と判別するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】伝動装置の概略図
【図3】ミッションケース内の縦断正面図
【図4】(a)(b)(c)は扱深さ調節手段の構成を示す縦断正面図
【図5】制御構成を示すブロック図
【図6】クラッチ切り換え部の脱穀クラッチと刈取りクラッチとを切り操作した状態での側面図
【図7】クラッチ切り換え部の脱穀クラッチを入り操作し、刈取りクラッチを切り操作した状態での側面図
【図8】クラッチ切り換え部の脱穀クラッチと刈取りクラッチとを入り操作した状態での側面図
【図9】脱穀クラッチ操作体と刈取りクラッチ操作体の操作域を示す説明図
【図10】アクセル操作部のアクセル操作具が設定低速位置に操作された状態での側面図
【図11】アクセル操作部の縦断正面図
【図12】アクセル操作部の斜視図
【図13】(a)は、アクセル操作部の揺動操作体の操作過程での側面図、(b)は、アクセル操作部の揺動操作体の操作過程での側面図、(c)は、アクセル操作部の揺動操作体がクラッチ入り域に操作された状態での側面図、(d)は、アクセル操作部の揺動操作体がクラッチ切り域に操作された状態での側面図
【図14】制御作動を示すフローチャート
【図15】制御作動を示すフローチャート
【符号の説明】
【0117】
1 走行装置
4 刈取処理装置
5 作業装置(脱穀装置)
10 エンジン
14 作業クラッチ(脱穀クラッチ)
17 刈取クラッチ
24 変速操作レバー
25 作業指令手段
41 走行変速検出手段
50 クラッチ操作指令手段
63 アクセル手段
100 起動状態検出手段
C 操作制御手段
F 前進操作域
J 扱深さ制御手段
K 扱深さ調節手段
M 走行変速装置
N 中立位置
P1 クラッチ入り判別用設定位置
P2 クラッチ切り判別用設定位置
R 後進操作域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの出力にて駆動される走行装置及び作業装置と、
前記エンジンの出力を前記作業装置に伝達する入り状態と伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な作業クラッチとが設けられた作業車の操作制御装置であって、
前記作業クラッチを操作する操作制御手段と、
作業開始指令を指令する手動操作式の作業指令手段と、
補助作業指令を指令する手動操作式の補助指令手段と、
前記エンジンが起動されているエンジン起動状態であるか否かを検出する起動状態検出手段とが設けられ、
前記操作制御手段が、
前記作業指令手段にて前記作業開始指令が指令されたときに、前記起動状態検出手段にて前記エンジン起動状態が検出されていると、前記作業クラッチを前記入り状態に操作する作業モードに切り換り、かつ、前記起動状態検出手段にて前記エンジン起動状態が検出されていないと、前記作業モードに切り換らないように構成され、且つ、
前記起動状態検出手段にて前記エンジン起動状態が検出されていないときに、前記補助指令手段による前記補助作業指令が指令されると、前記作業モードに切り換るように構成されている作業車の操作制御装置。
【請求項2】
前記作業指令手段が、作業停止指令を指令できるように構成され、
前記操作制御手段が、前記作業指令手段にて前記作業停止指令が指令されると、前記作業クラッチを前記切り状態に操作する非作業モードに切り換るように構成されている請求項1記載の作業車の操作制御装置。
【請求項3】
前記エンジンをアイドリング回転速度で回転させるアイドリング状態と定格回転速度で回転させる定格回転状態とに切り換えるアクセル手段が設けられ
前記操作制御手段が、前記作業モードに切り換ると、前記作業クラッチを入り状態に操作するのに加えて、前記アクセル手段を前記定格回転状態に操作するように構成され、且つ、前記非作業モードに切り換ると、前記アクセル手段を前記定格回転状態に維持した状態で、前記作業クラッチを前記切り状態に操作するように構成されている請求項2記載の作業車の操作制御装置。
【請求項4】
前記操作制御手段が、電源投入により起動されたときに、前記作業クラッチが入り状態の場合には、前記作業クラッチを切り状態に操作するように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の作業車の操作制御装置。
【請求項5】
前記作業装置が、作業車としてのコンバインに装備された脱穀装置であり、
前記作業クラッチが、前記エンジンの出力を前記脱穀装置に伝達する入り状態と伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な脱穀クラッチである請求項1〜4のいずれか1項に記載の作業車の操作制御装置。
【請求項6】
刈取処理装置と、前記エンジンの出力を前記刈取処理装置に伝達する入り状態と伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な刈取クラッチと、前記走行装置の走行速度を変速する走行変速装置と、その走行変速装置の変速状態を検出する走行変速検出手段とが設けられ、
前記操作制御手段が、前記作業モードにおいて、前記走行変速検出手段にて前進走行状態が検出されると前記刈取クラッチを入り状態に操作し、且つ、前記走行変速検出手段にて走行中立状態及び後進走行状態が検出されると前記刈取クラッチを切り状態に操作するように構成されている請求項5に記載の作業車の操作制御装置。
【請求項7】
前記走行変速装置が、前進走行速度を無段階に変速するように構成され、
前記走行変速装置の変速操作レバーが、中立位置にて走行停止状態に操作し、前進操作域にて前進走行状態に操作し、及び、後進操作域にて後進走行状態に操作するように、且つ、前記前進操作域では前記走行中立位置から離れるほど高速に操作するように、前記走
行変速装置と連係された状態で設けられ、
前記走行変速検出手段が、前記走行変速装置の変速操作レバーの操作位置を検出するように構成され、
前記操作制御手段が、前記前進操作域におけるクラッチ入り判別用設定位置よりも高速側に前記変速操作レバーが位置すると、前記前進走行状態であるとして、前記刈取クラッチを入り状態に操作し、且つ、前記前進操作域におけるクラッチ入り判別用設定位置よりも低速側に定めたクラッチ切り判別用設定位置よりも低速側に前記変速操作レバーが位置すると、前記走行中立状態であるとして、前記刈取クラッチを切り状態に操作するように構成されている請求項6記載の作業車の操作制御装置。
【請求項8】
前記刈取クラッチの入り操作指令及び切り操作指令を指令する手動操作式のクラッチ操作指令手段が設けられ、
前記操作制御手段が、前記作業モードにおいて、前記走行変速検出手段にて前記走行中立状態が検出されているときには、前記クラッチ操作指令手段の入り操作指令及び切り操作指令に基づいて、前記刈取クラッチを入り状態及び切り状態に操作し、且つ、前記走行変速検出手段にて前記前進走行状態及び前記後進走行状態が検出されているときには、前記クラッチ操作指令手段の入り操作指令及び切り操作指令に基づいて前記刈取クラッチを操作しないように構成されている請求項6又は7に記載の作業車の操作制御装置。
【請求項9】
扱深さを設定適正深さに維持するように扱深さ調節手段を自動操作する自動制御状態と自動制御を停止する制御停止状態に切り換え自在な扱深さ制御手段が設けられ、
前記操作制御手段が、前記作業モードに切り換ると、前記作業クラッチを前記入り状態に操作し、前記アクセル手段を前記定格回転状態に操作し、かつ、前記扱深さ制御手段を前記自動制御状態に切り換えるように構成され、且つ、前記非作業モードに切り換ると、前記アクセル手段を前記定格回転状態に維持した状態で、前記作業クラッチを前記切り状態に操作し、かつ、前記扱深さ制御手段を前記制御停止状態に切り換えるように構成されている請求項5〜8のいずれか1項に記載の作業車の操作制御装置。
【請求項10】
前記補助指令手段が、前記作業指令手段と前記クラッチ操作指令手段とから構成され、
前記操作制御手段が、前記作業指令手段による前記作業開始指令と前記クラッチ操作指令手段による前記入り操作指令とが同時に指令されると、前記作業モードに切り換るように構成されている請求項8又は9記載の作業車の操作制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−278954(P2009−278954A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−136778(P2008−136778)
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】