説明

作業車両

【課題】ディーゼル式のエンジン側から未燃焼の燃料が戻されて高温となった燃料タンク内の燃料を冷却することによりエンジンの出力低下を防止する作業車両において、燃料を冷却する構成がより簡略化された作業車両を提供することを課題とする。
【解決手段】ディーゼル式のエンジン4側から未燃焼の燃料が戻される燃料タンクと、燃料タンクからエンジン4に供給される燃料中の異物を除去するフィルタ装置33とを備え、該エンジン4の前方に設けられたラジエータ31のさらに前方のスペースにバッテリ32を配置した作業車両において、前記スペースの左右一方側にバッテリ32を配置するとともに、左右他方側にフィルタ装置33を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ディーゼル式のエンジンからの戻り燃料によって全体が高温になった燃料タンク内の燃料を冷却してエンジン側に供給する作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼル式のエンジン側から未燃焼の燃料が戻される燃料タンクと、燃料タンクからエンジンに供給される燃料中の異物を除去するフィルタ装置とを備え、該エンジンの前方に設けられたラジエータのさらに前方のスペースにバッテリを配置した作業車両が従来公知である。
【0003】
このような作業車両では、ディーゼル式のエンジンからの戻り燃料により高温になった燃料タンク内の燃料を、そのままエンジンに供給すると、出力動力の低下が生じる。この出力低下を防止する目的で、燃料を冷却する機能を備えた特許文献1に記載の作業車両が公知になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−137976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記文献の作業車両では、ラジエータの前方側に蛇行状態のチューブを配置し、燃料タンクからの燃料が該チューブ内を流動するように配管されているので、ラジエータ側に流入するエアによって前記チューブ内の燃料が併せて冷却されるが、ラジエータの前方側でチューブを蛇行するように配管する必要があるため、配管構造が複雑になるとともに、チューブの全長が長くなり、構成が複雑になってコストを低く抑えることが難しくなる。
【0006】
本発明は、ディーゼル式のエンジン側から未燃焼の燃料が戻されて高温となった燃料タンク内の燃料を冷却することによりエンジンの出力低下を防止する作業車両において、燃料を冷却する構成がより簡略化された作業車両を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、第1に、ディーゼル式のエンジン4側から未燃焼の燃料が戻される燃料タンクと、燃料タンクからエンジン4に供給される燃料中の異物を除去するフィルタ装置33とを備え、該エンジン4の前方に設けられたラジエータ31のさらに前方のスペースSにバッテリ32を配置した作業車両において、前記スペースSの左右一方側にバッテリ32を配置するとともに、左右他方側にフィルタ装置33を配置したことを特徴としている。
【0008】
第2に、前記フィルタ装置33を前後方向に並べて複数設けたことを特徴としている。
【0009】
第3に、前記フィルタ装置33を左右方向に並べて複数設けたことを特徴としている。
【0010】
第4に、エンジン4側に供給される空気を浄化するエアクリーナ34を、支持部材39によりラジエータ31の前方側に支持し、該支持部材39に前記フィルタ装置33を取付けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
上記構成によれば、前方側からラジエータに吹入れられるエアの流動経路の途中にフィルタ装置が配置されており、エンジン側からの戻り燃料によって燃料タンク内の燃料全体が高温になった場合でも、該燃料がフィルタ装置側で冷却された後にエンジン側に供給され、エンジンの出力低下が防止される。このように、フィルタ装置をラジエータの前方に配置するのみによって、高温になった燃料を冷却してエンジン側に供給することが可能になるため、エンジン側に供給する燃料を冷却する構造が簡略化され、コストを低く抑えることが可能になる。これに加えて、バッテリをラジエータの前方側の左右一方側に寄せることにより生じる空間にフィルタ装置を配置しているため、ラジエータ前方のスペースを有効に活用できる。
【0012】
また、前記フィルタ装置を前後方向に並べて複数設ければ、前方側からラジエータ側にスムーズに導入されるエアによって、エンジンを効率的に冷却できる。
【0013】
また、前記フィルタ装置を左右方向に並べて複数設ければ、複数のフィルタ装置に効率的にエアが導入されるため、複数のフィルタ装置をまとめてスムーズに冷却できる。
【0014】
なお、エンジン側に供給される空気を浄化するエアクリーナを、支持部材によりラジエータの前方側に支持し、該支持部材に前記フィルタ装置を取付ければ、該支持部材が、エアクリーナとフィルタ装置の取付部材とし兼用されるため、部品点数が削減され、製造コストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の作業車両を適用した農業用のトラクタの正面図である。
【図2】本発明の作業車両を適用した農業用のトラクタの平面図である。
【図3】本発明の作業車両を適用した農業用のトラクタの側面図である。
【図4】エンジンルームの構成を示す右側面図である。
【図5】供給管を省略した状態のエンジンルーム内の構成を示す平面図である。
【図6】供給管を省略した状態のエンジンルーム内の構成を示す正面図である。
【図7】燃料の循環経路を示すエンジンルーム内の要部側面図である。
【図8】ECUの配置構成を示す平面図である。
【図9】ECUの配置構成を示す側面図である。
【図10】別実施例におけるエンジンルームの構成を示す右側面図である。
【図11】別実施例におけるボンネットを省略した状態のエンジンルームの構成を示す平面図である。
【図12】別実施例におけるボンネットを省略した状態のエンジンルームの構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1乃至3は、本発明の作業車両を適用した農業用のトラクタの正面図、平面図及び側面図である。このトラクタは、左右一対の前輪1,1及び後輪2,2によって支持されたシャーシフレーム3上における前側半部に、各部を駆動するエンジン4が収納されたエンジンルーム6が形成されている。このエンジンルーム6は、ボンネット7によって開閉自在にカバーされており、このボンネット7の後方に操縦部8が設置されることにより、走行機体9が構成されている。また、この走行機体9の後部に昇降リンク11を介してロータリ耕耘装置等の作業機(図示しない)が昇降自在に連結されている。
【0017】
ボンネット7は、エンジンルーム6の上方を覆う天板12と、エンジンルーム6の左右両側を覆う左右一対のサイドカバー13,13と、エンジンルーム6の前方を覆うフロントグリル14とを、互いに一体的に接合させることにより構成されている。フロントグリル14の上部と下部には、多数の通気孔から形成された左右一対の通気部14aが設けられ、この上部の通気部14aと、下部の通気部14a,14aとの間には、左右一対の前照灯16が設けられている。
【0018】
そして、該ボンネット7は、自身の後端側且つ上端側の左右方向の軸回りに上下回動自在に走行機体9側に支持されている。このボンネット7が前方斜め上方を向いた最上方位置に上方回動することによって、エンジンルーム6が開状態になる一方で、このボンネット7が水平方向を向いた最下方位置に下方回動することによって、エンジンルーム6が閉状態になる。
【0019】
操縦部8は、平面視左右の後輪用のフェンダ17間に位置する座席18と、座席18の前方のフロント操作パネル19と、座席18と左右のフェンダ17との間に配置されたサイド操作パネル21と、座席18とフロント操作パネル19との間に形成された床面であるフロアステップ22とを備えている。フロント操作パネル19には、ステアリングハンドル23が設けられ、左右のサイド操作パネル21の一方側には作業機の昇降操作を行う昇降レバー24等が支持され、他方側には、走行変速操作を行う変速レバー26等が配置されている。
【0020】
このトラクタの操縦部8の座席18に着座したオペレータは、下降させた作業機を駆動させながら、走行機体9を前進走行させることにより、圃場等での耕耘作業等を行う。
【0021】
次に、図4乃至7に基づき、エンジンルーム6内の構成について説明する。
図4は、エンジンルームの構成を示す右側面図であり、図5及び図6は、ボンネットを省略した状態のエンジンルームの構成を示す平面図及び正面図である。エンジンルーム6の後部側には、シャーシフレーム3上面側に強固に取付支持されたエンジン4が配置され、該エンジンルーム6の後部側と操縦部8との間の空間には燃料タンク(図示しない)が収容されている。前記エンジン4は、高圧化された燃料(具体的には、軽油)の噴射タイミングを適切に制御するコモンレール式ディーゼルエンジンである。
【0022】
エンジンルーム6の前部には、前記エンジン4の前方に位置するラジエータ31と、該ラジエータ31のさらに前方のスペースSに位置して且つシャーシフレーム3側に載置固定されたバッテリ32と、前記スペースSに位置してエンジン4に供給する燃料中の異物を除去するフィルタ装置33と、前記スペースSにおけるバッテリ32及びフィルタ装置33の上方に位置し且つエンジン4に供給する空気を浄化するエアクリーナ34とが設けられている。
【0023】
コモンレール式ディーゼルエンジン4は、コモンレール式燃料噴射装置を備えており、該コモンレール式燃料噴射装置は、それぞれ図示されない低圧ポンプ(インジェクションポンプ)と、高圧ポンプ(サプライポンプ)と、高圧燃料を蓄えるコモンレール(蓄圧室)と、エンジン内部の気筒に高圧燃料を噴射するインジェクタとを備えて構成されている。
【0024】
低圧ポンプは、フィルタ装置33を介して燃料タンクから燃料を吸い上げるとともに、吸い上げられた燃料は高圧ポンプへと送られる。高圧ポンプへ送られた燃料は、高圧化されてコモンレールへと吐出される。コモンレールは、高圧ポンプから吐出された高圧燃料を蓄圧し、エンジン4に搭載された気筒の数と同数設けられたインジェクタに接続されている。各インジェクタの電磁弁が開閉することによって、コモンレール内に蓄えられた高圧燃料が各気筒内に噴射される。
【0025】
上記のコモンレール式燃料噴射装置は、マイコンから構成された制御部であるECU35(図8及び図9参照)によって、低圧ポンプ、高圧ポンプ、コモンレール及びインジェクタを制御している。すなわち、コモンレール内の燃料圧力をセンサ等によって検出し、高圧ポンプによりコモンレール内の燃料圧力がエンジンの回転速度と負荷に応じた最適な圧力になるように制御されている。さらに、インジェクタによって、コモンレール内の高圧燃料を最適化された噴射時期、噴射量で各気筒内に噴射できるように電磁弁が制御されている。
【0026】
ラジエータ31は、前後方向に厚みを有した方形状に形成されて前記エンジン4の前方側に配置されている。ラジエータ31の後端側には、エンジン動力によって回転駆動する冷却ファン36と、該冷却ファン36の上下及び左右を囲繞する導風体であるファンシュラウド37とが設けられている。このラジエータ31の後端側には、エンジンルーム6を前後に仕切って熱の伝導を遮断する仕切板38が配置されている。
【0027】
そして、フロントグリル14の通気部14a等からエンジンルーム6内に流入したエアは、回転駆動する冷却ファン36によって、ラジエータ31の正面側から吸込まれ、ラジエータ31の背面側から排出されることにより、ラジエータ31内の冷却水を冷却する。
【0028】
このため、エンジン4を冷却して高温になった冷却水は、ラジエータ31の上部側に送られる。ラジエータ31の上部に送られた冷却水は、ラジエータ31の下部に移動する過程で、上記エアの吹抜けにより冷却され、再び、エンジン4側に戻されて、該エンジン4を再度冷却し、以下、この冷却循環サイクルを繰返す。
【0029】
エアクリーナ34は、ラジエータ31前方側のシャーシフレーム3側に取付けられたブラケット(支持部材)39を介してエンジンルーム内に設置されている。該ブラケット39は、上下方向に延設されたプレートであって、プレートの下端側を左右一方側(図示する例では右側)へ略水平に屈曲することによりシャーシフレーム3側にボルト固定するための取付部41を形成し、ブラケット39の上端側を左右他方側(図示する例では左側)へ向け略水平方向に屈曲することによりエアクリーナ34を載置するための載置部42が形成されている。
【0030】
すなわち、該ブラケット39の全体形状はクランク状をなし、前記エアクリーナ36を、クランク状のブラケット39の載置部42に、左右方向を向いた横置き状態で固定しており、該固定状態では、エアクリーナ36が、ラジエータ31上部の前方に位置している。
【0031】
また、エアクリーナ34は、空気中の異物を除去するためにエアクリーナエレメント(図示しない)が内部に収容されており、エンジン4の駆動に用いる空気を浄化する構成となっている。これにより、エアクリーナ34によって浄化された空気は、エアクリーナ34からエンジン4に向って配管された吸気マニホールド43を介して、エンジン4側に送られ、燃料の燃焼に用いられる。
【0032】
バッテリ32は、ラジエータ31の前方側であって且つ左右一方側(図示する例では左側)に寄せた状態でシャーシフレーム3上に取付けられている。言い換えると、前記ブラケット39の左側であって且つ載置部42(エアクリーナ34)の下方側に配置されている。
【0033】
フィルタ装置33は、バッテリ32をラジエータ31の左斜め前方側(スペースSの左側)に寄せて配置したことにより形成されたラジエータ31の右斜め前方側の空間に配置されている。また、該フィルタ装置33として、フロントグリル14の近傍に配置される第1フィルタ装置33Aと、該第1フィルタ装置33Aの後側に正面視でラップするように配置される第2フィルタ装置33Bとが設けられている。すなわち、複数(具体的には2つ)のフィルタ装置33である第1フィルタ装置33A及び第2フィルタ装置3Bは前後方向に並べられて配置されている。
【0034】
第1フィルタ装置33Aは、燃料タンクに貯蔵された燃料が供給される第1供給管46が接続される供給側接続部47と、第1フィルタ装置33Aから第2フィルタ装置33B側へ燃料を排出する第2供給管48が接続される排出側接続部49とが設けられている。
【0035】
第2フィルタ装置33Bは、第1フィルタ装置33Aで濾過された燃料が供給される第2供給管48が接続される供給側接続部51と、第2フィルタ装置33Bからエンジン4側に設けられた低圧ポンプへ排出する第3供給管52が接続される排出側接続部53とが設けられている。
【0036】
第1フィルタ装置33A及び第2フィルタ装置33Bに供給された燃料は、燃料内に混入した異物の除去が行われるとともに、水が燃料よりも密度が大きい性質を利用して水分の分離も行われている。したがって、フィルタ装置33のボウル状に形成された底部には、分離された水分が溜められるため、第1フィルタ装置33Aの上面側に設けた排水操作具50によりフィルタ装置33の水抜き作業を行うことができるように構成されている。
【0037】
また、第1フィルタ装置33A及び第2フィルタ装置33Bは、前記ブラケット39の右側面側に取付固定されている。そのため、第1フィルタ装置33A及び第2フィルタ装置33Bを固定するための部材を別途に設ける必要がないため、部品点数が削減される。
【0038】
次に、図7に基づき、燃料の供給経路及び循環経路について説明する。図7は、燃料の循環経路を示すエンジンルーム内の要部側面図である。
【0039】
燃料タンク内に貯蔵された燃料は、第1供給管46を通って第1フィルタ装置33Aに供給される。第1フィルタ装置33Aにより濾過された燃料は、第2供給管48を通って第2フィルタ装置33Bに供給される。第2フィルタ装置33Bにより濾過された燃料は、第3供給管52を通ってコモンレール式燃料噴射装置に備えた低圧ポンプに供給される。
【0040】
低圧ポンプによりコモンレール式燃料噴射装置側に供給された燃料は、高圧ポンプに供給される。高圧ポンプは、燃料を加圧して高圧燃料を生成し、該高圧燃料をコモンレール側に吐出する。コモンレール内に蓄えられた高圧燃料は、インジェクタ内の電子制御弁によって噴射のタイミングが制御されて、所定のタイミングで各気筒内に噴射される。
【0041】
コモンレールの端部側は、図示しないプレッシャリミッタを介して漏出管(図示しない)が接続されている。該漏出管を開閉する弁は、プレッシャリミッタによりコモンレール内の圧力が所定の限界圧を超えたことを検知した場合に、漏出管からコモンレール内の高圧燃料を排出するように制御されており、コモンレール内の圧力が異常に上昇することを抑制している。また、漏出管は、高圧ポンプからのリーク燃料を燃料タンクへと戻すリーク管(図示しない)と合流している。これにより、高圧ポンプ及びコモンレールを経由したにも関わらず、気筒内の燃焼に使用されなかった燃料は、上記構成により燃料タンク内に戻される。
【0042】
これにより燃料タンク内に戻される燃料(戻り燃料)は、エンジン4側に供給された際に低圧ポンプ及び高圧ポンプによって圧力が加えられるとともに、発熱したエンジンの内部側を流れたことによって高温となっている。そのため、該高温の戻り燃料が燃料タンク内に戻されることにより、燃料タンク内に貯蔵される燃料全体の温度も高くなり易い。
【0043】
しかし、上述の構成によって、ラジエータ31の前方側に配置されたフィルタ装置33は、エンジンルーム6の前端側であるフロントグリル14の通気部14a等からエンジンルーム6内に流入したエアによって冷却されるように構成されているため、上記により高温となった燃料タンク内の燃料がエンジン4側に供給されるにあたり、フィルタ装置33で燃料中の異物を除去と同時に、燃料の冷却が行われる。
【0044】
したがって、コモンレール式燃料噴射装置を経由した高温の戻り燃料により高温化した燃料タンク内の燃料は、再びコモンレール式燃料噴射装置に供給される前にフィルタ装置33内で冷却されて適温となるため、エンジン出力は適正に保持される。
【0045】
これにより、高温となった燃料タンク内の燃料を、燃料クーラ等の冷却装置を設置したり、その他冷却構造を設たりすることなく、フィルタ装置及びバッテリの配置構成のみで燃料を冷却することができる。そのため、燃料を冷却するための構成が簡素であって、コストを低く抑えることができる。
【0046】
なお、ラジエータ31の前方側のスペースSは、左側に寄せた位置にバッテリ32を配置するとともに、右側に第1フィルタ装置33A及び第2フィルタ装置33Bを正面視でラップするように前後に配置することにより、スペースSの中央側にエアが流動するための空間が形成される。これにより、フロントグリル14の通気部14aから流入したエアがラジエータ31正面側へ流動することを極力妨げないように構成されている。そのため、フロントグリル14から流入したエアにより、フィルタ装置33による燃料の冷却と、ラジエータ31によるエンジン4等の冷却を両立させることができる。
【0047】
図8及び図9は、ECUの配置構成を示す平面図及び側面図である。前記ECU35は、方形板状に成形され、ファンシュラウド37の側面側に取付支持されている。具体的には、このファンシュラウド37は、仕切板38の背面側に取付支持され、エンジン4に近い位置に配置されているが、冷却ファン36によって、低温状態で保持される。このファンシュラウド37の側面に沿ってECU35が縦置き状態で、設置されている。
【0048】
このため、ECU35は適温に保持され、別途冷却装置を設ける必要がなくなるとともに、ECU35を、エンジン4に近づいた仕切板38の後方に配置するため、ECU35からエンジン4への配線をシンプルに構成できる。
【0049】
次に、図10乃至12に基づき、本発明の別実施例について、上述の例と異なる点を説明する。
図8は、別実施例におけるエンジンルームの構成を示す右側面図であり、図9及び図10は、別実施例におけるボンネットを省略した状態のエンジンルームの構成を示す平面図及び正面図である。図より、複数のフィルタ装置33(図示する例では2つ)を、正面視で左右方向に並べて設けている。
【0050】
エンジンルーム6のラジエータ31前方のスペースSには、方形状のバッテリ32を左側に寄せるとともに、該バッテリ32を左右方向が短くなる向きで(長手方向を前後に向けて)シャーシフレーム3側に載置固定することにより、前記スペースSの中央から右側に至る広い空間にフィルタ装置33を配置するための空間を形成している。これにより、該空間に第1フィルタ装置33A及び第2フィルタ装置33Bを左右に並べて設けている。このとき、第1フィルタ装置33AはスペースSの右側に寄せて設け、第2フィルタ装置33BはスペースSの中央側に設けられている。
【0051】
当該構成により、前記スペースSに配置した第1フィルタ装置33A及び第2フィルタ装置33Bに対してフロントグリル14の通風部14aから流入したエアが効率的に導入されるため、フィルタ装置33による燃料の冷却効率が向上する。
【符号の説明】
【0052】
S スペース
4 エンジン
31 ラジエータ
32 バッテリ
33 フィルタ装置
34 エアクリーナ
39 ブラケット(支持部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼル式のエンジン(4)側から未燃焼の燃料が戻される燃料タンクと、燃料タンクからエンジン(4)に供給される燃料中の異物を除去するフィルタ装置(33)とを備え、該エンジン(4)の前方に設けられたラジエータ(31)のさらに前方のスペース(S)にバッテリ(32)を配置した作業車両において、前記スペース(S)の左右一方側にバッテリ(32)を配置するとともに、左右他方側にフィルタ装置(33)を配置した作業車両。
【請求項2】
前記フィルタ装置(33)を前後方向に並べて複数設けた請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記フィルタ装置(33)を左右方向に並べて複数設けた請求項1に記載の作業車両。
【請求項4】
エンジン(4)側に供給される空気を浄化するエアクリーナ(34)を、支持部材(39)によりラジエータ(31)の前方側に支持し、該支持部材(39)に前記フィルタ装置(33)を取付けた請求項1乃至3の何れかに記載の作業車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−23053(P2013−23053A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158953(P2011−158953)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】