説明

作用物質放出に関して調節作用のある物質を含有する、多層の剤形

本発明は、a)作用物質放出に関して調節作用のある物質、場合により中性のコア及び/又は作用物質を含有する、コア層、
b)前記コア層からの、調節作用のある物質及び場合により含有された作用物質の放出に影響を及ぼし、医薬的に使用可能であるポリマー、ろう、樹脂、及び/又はタンパク質を含有する、内側制御層、
c)医薬的作用物質と、場合により調節作用のある物質とを含有する、作用物質層、
d)(メタ)アクリル酸のC〜Cアルキルエステル98〜85質量%及びアルキル残基に第四級アンモニウム基を有するメタクリラートモノマー2〜15質量%からなる、1つの(メタ)アクリラートコポリマー又は複数の(メタ)アクリラートコポリマーからなる混合物と、場合により更なる、水に不溶性の医薬的に使用可能なポリマーとを含有する、外側制御層
を含有し、その際これらの層が、付加的にかつ自体公知の方法で、医薬的に通常の助剤を含有してよい、制御した作用物質遊離のための多層の剤形に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御した作用物質遊離のための多層の剤形に関する。
【0002】
背景技術
EP−A0463877は、医薬的作用物質を有するコアと単層のコーティングフィルムとからなる、遅延した作用物質遊離を有する医薬品組成物を記載し、前記フィルムは撥水性の塩と、エチルアクリラート、メチルメタクリラート及びトリメチルアンモニウムエチルメタクリラートクロリドからなる水溶性のコポリマーとを含有する。前記撥水性の塩は例えば、Ca−ステアラート又はMg−ステアラートであってよい。シグモイド型の遊離曲線が得られる。
【0003】
EP−A0225085,EP−A0122077及びEP−A0123470は、医薬品コア中の有機酸の使用を記載し、前記コアは有機溶媒からの様々なコーティングが備えられている。ほぼシグモイド型の遊離特性を生じる。
【0004】
EP−A 0 436 370は、医薬的作用物質と有機酸とを有するコアと、外側コーティングフィルムからなる、遅延した作用物質遊離を有する医薬品組成物を記載し、前記フィルムは、水性の吹付けにより塗布され、かつエチルアクリラート、メチルメタクリラート及びトリメチルアンモニウムエチルメタクリラートクロリドからなるコポリマーである。この際同様に、シグモイド型の遊離曲線が得られる。
【0005】
WO 00/19984は、a)作用物質、場合によりキャリアー及び通常の医薬的添加物、並びに有機酸の塩を含有し、前記塩の割合がコア質量に対して2.5〜97.5質量%であるコア、及び
b)1つ以上の(メタ)アクリラート−コポリマーから、並びに場合により通常の医薬的助剤からなる外側コーティングフィルムからなる製剤を記載し、その際前記(メタ)アクリラート−コポリマー40〜100質量%は、アクリル酸又はメタクリル酸のラジカル重合したC〜Cアルキルエステル93〜98質量%と、アルキル残基に第四級アンモニウム基を有する(メタ)アクリラートモノマー7〜2質量%からなり、かつ場合により、1つ又は複数の、更なる最初に述べた(メタ)アクリラートコポリマーとは異なる、(メタ)アクリラートコポリマー(このコポリマーは85〜100質量%までが前記アクリル酸又は前記メタクリル酸のラジカル重合したC〜Cアルキルエステル、及び場合により、アルキル残基に塩基性基又は酸性基を有する更なる(メタ)アクリラートモノマー15質量%までとから構成されてよい)1〜60質量%と共に混合物中で存在してよい。
【0006】
WO 00/74655は、三層構造によって作用する、2重の遊離パルスを有する作用物質遊離系を記載する。このコアは、作用物質と、水の存在下で膨潤する物質、例えば架橋したポリアクリル酸を含有する。内側のコーティングは、水に不溶性のキャリアー材料、例えばカチオン性の(メタ)アクリラートコポリマーからなり、かつ水溶性の粒子状材料、例えばペクチンを含有し、これによって細孔形成が達成されてよい。外側のコーティングは、同様の又はその他の作用物質を含有する。消化管路においてまず、この外側にある作用物質が遊離し、この間に前記コア中に存在する作用物質が、前記の中間層中の細孔を通じて、時間的にずれて遊離する。この三層の剤形は選択的に更にもう一つのコーティング、例えばカルボキシル基含有の(メタ)アクリラート−コポリマーからなるコーティングを有してよい。
【0007】
US 5,508,040は多粒子の剤形を記載し、前記剤形は結合剤中で結合させた多数のペレットからなる。前記ペレットはこのコア中に、作用物質と、浸透圧により活性化する調節剤、例えばNaCl又は有機酸とを有する。前記ペレットコアは、様々な厚さのコーティング、例えば第四級アンモニウム基を有する(メタ)アクリラートコポリマーからなるコーティングを備える。この透過性の減少のために、前記コーティングは更に疎水性の物質、例えば脂肪酸を、25質量%以上の量で含有する。この多粒子の剤形は含有した作用物質を多数のパルスで遊離し、前記数はこの様々な厚さにコーティングしたペレット集団の数に相応する。
【0008】
EP 1 064 938 A1は、コア中に作用物質と界面活性物質(界面活性剤)とを有する剤形を記載する。前記コアは付加的に有機酸を含有してよく、かつ第四級アンモニウム基を有する(メタ)アクリラートコポリマーでコーティングされている。「パルス式」の遊離曲線が得られる。階段状の遊離曲線は、剤形中で様々にコーティングされたペレットの組み合わせにより得られてよい。
【0009】
WO 01/13895は、催眠鎮静作用を有する作用物質のための複峰性の遊離系を記載する。この遊離特性は、様々なペレット集団の混合により実現される。
【0010】
WO 01/37815は、作用物質の、制御されたパルス状放出のための多層の遊離系を記載する。この際、内部膜が存在し、これはコア中に存在する作用物質組成物により溶解されてよい。更に外部膜が存在し、これは付加的に細孔形成性の物質を有する。
【0011】
WO 01/58433は、作用物質の、制御されたパルス状放出のための多層の遊離系を記載する。この際、コア中に前記作用物質が含有され、かつ腸液溶解性のポリマー膜によって覆われている。外側の膜は、定義した量の範囲にある腸液溶解性のポリマーと水溶性のポリマーとの混合物からなる。前記内部膜と外部膜との間に、中間層が存在してよく、これは有機酸を含有する。
【0012】
課題及び解決
EP−A 0436370及びWO 00/19984から出発して、フィルムコーティングの透過性を内部からの調節により影響することを可能にし、これにより遊離特性が、0次の、1次の、指定した加速度相(ゆっくり−素早く、素早く−ゆっくり)を有する1次の過程で、個別に、作用物質及び治療上の必要に応じて調節されてよい剤形が開発されることが望ましい。
【0013】
前記課題は、
a)作用物質放出に関して調節作用のある物質、場合により中性のコア及び/又は作用物質を含有する、コア層、
b)前記コア層からの、調節作用のある物質及び場合により含有された作用物質の放出に影響を及ぼし、医薬的に使用可能であるポリマー、ろう、樹脂、及び/又はタンパク質からなる、内側制御層、
c)医薬的作用物質と、場合により調節作用のある物質とを含有する、作用物質層、
d)(メタ)アクリル酸のC〜Cアルキルエステル98〜85質量%及びアルキル残基に第四級アンモニウム基を有するメタクリラートモノマー2〜15質量%からなる、1つの(メタ)アクリラートコポリマー又は複数の(メタ)アクリラートコポリマーからなる混合物少なくとも60質量%までと、場合により更なる医薬的に使用可能なポリマー40質量%までとを含有する、外側制御層
を含有し、その際これらの層が、付加的にかつ自体公知の方法で、医薬的に通常の助剤を含有してよい、制御した作用物質遊離のための多層の剤形により解決される。
【0014】
発明の実施態様
本発明は、前記コア層a)及び前記層b)、c)及びd)をほぼ含有する、制御した作用物質遊離のための多層の剤形に関する。付加的に更に、通常のトップコート層(例えば着色していてよい)も存在していてよい。
【0015】
コア層a)
前記多層の剤形は、前記作用物質放出に関して調節作用のある物質、場合により中性のコア(ノンパレル)及び/又は作用物質を含有するコア層a)を有する。
【0016】
前記コア層a)のために適した製造方法は、直接的な圧縮成形、乾燥顆粒、湿潤顆粒又は焼結顆粒の圧縮成形、押出、及び引き続く丸み付け、湿式造粒もしくは乾式造粒又は直接的なペレット化(例えばトレー上での)、又は作用物質を含有しない球体又はコア(ノンパレル)又は作用物質含有粒子上への粉体の結合(粉末成層)による。
【0017】
前記作用物質、これは前記作用物質放出に関して調節作用のある物質、及び場合により存在する中性のコア(ノンパレル)の他に、前記コア層a)は更なる医薬的助剤を含有してよい:結合剤、例えばセルロース及びその誘導体、ポリビニルピロリドン(PVP)、湿度保持剤、崩壊促進剤、滑沢剤、崩壊剤、デンプン及びその誘導体、糖可溶化剤等。
【0018】
前記コア層a)の構成のための選択肢
前記コア層a)は、択一的に、ほぼ以下の成分:
I.例えば結晶状、顆粒状、又は共沈状にある調節作用のある物質。顆粒又は結晶の大きさは、例えば0.01〜2.5mmにあってよい、
II.任意の順番で相互に積層しているか又は混合して存在してよい、調節作用のある物質及び作用物質、
III.調節作用のある物質で被覆した中性のコア(ノンパレル)、
IV.任意の順番で相互に積層しているか又は混合して存在してよい、調節作用のある物質及び作用物質で被覆した中性のコア(ノンパレル)
を含有してよい。
【0019】
調節作用のある物質
本発明により使用すべき調節作用のある物質は、500を下回る分子量を有し、固体の形状で存在しかつイオノゲンであってよい。
【0020】
有利には、前記調節作用のある物質は水溶性である。
【0021】
前記の調節作用のある物質は、例えば有機酸、又は有機酸又は無機酸の塩であってよい。
【0022】
前記の調節作用のある物質は、例えば、コハク酸、クエン酸、酒石酸、ラウリル硫酸、前記酸の塩、又は以下のアニオンからなる塩:タウロコール酸イオン及びその他のコール酸イオン、塩化物イオン、酢酸イオン、乳酸イオン、リン酸イオン及び/又は硫酸イオン、であってよい。
【0023】
前記成分の相互の機能様式
前記の調節作用のある物質の、前記多層の剤形中での機能様式は、例えば以下のように記載されてよい:
Na−スクシナート(コハク酸)、Na−アセタート、及びクエン酸は、前記の作用物質放出を加速する。
NaCl及びNa−シトラートは、前記の作用物質放出を遅延させる。
【0024】
前記作用物質層c)が、内側のコア層a)の他に、調節作用のある物質を含有する場合には、前記の作用物質放出はまず、この外側の層、前記作用物質層c)中に含有される調節作用のある物質によって決定される。これが更に消費される場合には、この内側の層、前記内側コア層a)中の調節作用のある物質の作用が開始し、この更なる作用物質放出を決定する。
【0025】
両方の層中の、1つの及び/又は様々な調節作用のある物質の様々な量の組み合わせにより、この様々な作用物質放出特性が、前記作用物質に又は前記の治療上の目的に合わせられる。このためにまた、やはり前記コア層a)からの前記調節作用のある物質の放出を制御する、前記内側制御層b)の作用が生じる。
【0026】
前記作用物質の放出量はほぼ、前記外側制御層d)により制御される。前記内側制御層が付加的に作用物質を含有する場合には、これらを、前記作用物質の放出の終わりに対する前記作用物質の放出特色の調節のために使用してよい。
【0027】
前記作用物質自体がイオン性の基を有するか又はこの塩の形で存在する場合には、前記作用物質自体が、調節作用のある物質の作用を、これらを弱めるか又は増強するように影響を及ぼしてよい。この相互作用を、更なる制御要素として利用してよい。これは、例えば、前記作用物質が、コハク酸メトプロロール及び硫酸テルブタリンである場合である。
【0028】
内側制御層b)
前記内側制御層は、前記調節作用のある物質及び、場合により含有された作用物質の前記コア層からの放出に影響を及ぼす。前記内側制御層は、医薬的に使用可能なポリマー、ろう及び/又はタンパク質をほぼ含有する。前記の製剤の支持のために、更なる医薬的に通常の助剤、例えば結合剤、例えばセルロース及びその誘導体、可塑剤、ポリビニルピロリドン(PVP)、湿度保持剤、崩壊促進剤、滑沢剤、崩壊剤、デンプン及びその誘導体、糖及び/又は可溶化剤が加えられていてよい。
【0029】
前記内側制御層b)は、例えば、水に不溶性であるか、又は水中で単に膨潤するポリマーからなってよい。
【0030】
適するのは例えば、以下のポリマー:
メチルメタクリラート及び/又はエチルアクリラートとメタクリル酸からなるコポリマー、メチルメタクリラート、メチルアクリラートとメタクリル酸からなるコポリマー、メチルメタクリラート、ブチルメタクリラートとジメチルエチルメタクリラートからなるコポリマー、メチルメタクリラート、エチルアクリラートとトリメチルアンモニウムエチルメタクリラートからなるコポリマー、メチルメタクリラートとエチルアクリラートからなるコポリマー、エチルアクリラート、メチルアクリラート、ブチルメタクリラートとメタクリル酸からなるコポリマー、
ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール−グラフトコポリマー(Kollicoat(R))、デンプン及びその誘導体、ポリビニルアセタートフタラート(PVAP、Coateric(R))、ポリビニルアセタート(PVac、Kollicoat)、ビニルアセタート、ビニルピロリドン−コポリマー(Kollidon(R) VA64)、ビニルアセタート:クロトン酸−コポリマー9:1(VAC:CRA、Kollicoat(R) VAC)、1000(g/mol)を上回る分子量を有するポリエチレングリコール、キトサン、メチルメタクリラート20〜40質量%とメタクリル酸60〜80質量%とからなる(メタ)アクリラートコポリマー、架橋及び/又は非架橋のポリアクリル酸、Na−アルギナート、及び/又はペクチン、
セルロース、例えばアニオン性カルボキシメチルセルロース及びその塩(CMC、Na−CMC、Ca−CMC、Blanose、Tylopur)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC、Duodcell(R))、ヒドロキシエチルセルロース(HEC、Klucel)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、Methocel、Sepifilm、Viscontran、Opadry)、ヒドロキシメチルエチルセルロース(Hydroxymrthylethylcellulose)(HEMC)、エチルセルロース(EC、Ethocel(R)、Aquacoat(R)、 Surelease(R))、メチルセルロース(MC、Viscontran、Tylopur、Methocel)、セルロースエステル、セルロースグリコラート、セルロースアセタートフタラート(CAP、Cellulosi acetas、PhEur、Celluloseacetate−phtalate、NF、Aquateric(R))、セルロースアセタートスクシナート(CAS)、セルロースアセタートトリメリアート(CAT)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート(HPMCP、HP50、HP55)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシナート(HPMCAS−LF、HPMCAS−MF、HPMCAS−HF)である。
【0031】
前記内側制御層は、ろう、例えばカルナウバろう、及び/又は蜜ろうからなるか、又は前記ろうを含有してよい。
【0032】
前記内側制御層は、樹脂セラックを含有するか、又は前記樹脂からなってよい。
【0033】
前記内側制御層は、タンパク質、例えばアルブミン、ゼラチン、ゼイン、グルテン、コラーゲン及び/又はレクチンを含有するか、またはこれらからなってよい。前記内側制御層のタンパク質は、有利には治療的な機能を有さず(例えば、タンパク質作用物質又はペプチド作用物質の場合に)、これにより一方では、前記内側制御層b)の技術的な効果、及び他方では、前記作用物質層c)又は前記コア層の層a)(これが作用物質を含有する限りは)の技術的な効果は、なるべく重ならない。
【0034】
作用物質層c)
前記作用物質層c)は、前記コア層の作用物質と同一であるか又は異なっていてよい医薬的作用物質、並びに場合により、前記コア層の調節作用のある物質と同一であるか又は異なっていてよい調節作用のある物質を含有する。
【0035】
作用物質
本発明による多層の剤形は、原則的に、任意の作用物質に適する。一般的な薬物は参考書中で、例えばRote Liste又はMerck Indexから取り出してよい。
【0036】
本発明の意図において使用される薬物は、
1.疾病、病気、肉体的な障害又は病的な苦しみを治療し、緩和し、予防し、又は診断するために、
2.身体の性質、状態もしくは機能又は精神的な状態を診断することができるために、
3.ヒト又は動物の身体から生じる作用物質又は体液を補うために、
4.病原体、寄生虫又は異物を避けるため、排除するため又は無害にするために、あるいは
5.身体の性質、状態もしくは機能または精神的な状態に影響を与えるために、ヒトの又は動物の身体で又は体内で適用が見いだせるように決定される。
【0037】
本発明による製剤は、原則的に任意の医薬的作用物質又は生物活性のある物質の投与に適し、前記物質は有利には、ペレット含有錠剤、ミニ錠剤、カプセル、サシェ(Sachet)、発泡錠剤、又はドライシロップによる、多粒子の剤形の成分として投与されてよい。
【0038】
治療分類
前記の医薬的活性物質は、1つ又は複数の作用物質分類、例えばACE阻害剤、アドレナリン作用薬、副腎皮質ステロイド、ニキビ治療薬、アルドースレダクターゼ阻害剤、アルドステロンアンタゴニスト、α−グルコシダーゼ阻害薬、α−1−アンタゴニスト、アルコール中毒に対する薬剤、アミノ酸、抗アメーバ薬、同化薬、興奮薬、麻酔剤の添加剤、麻酔剤(非吸入用)、麻酔剤(局所)、鎮痛薬、アンドロゲン、アンギナ治療薬、アンタゴニスト、抗アレルギー薬、PDE阻害剤のような抗アレルギー薬、喘息治療のための抗アレルギー薬、その他の抗アレルギー薬(たとえばロイコトリエンアンタゴニスト、抗貧血薬、抗アンドロゲン物質、抗不安薬、抗関節炎薬、抗不整脈薬、抗アテローム性動脈硬化薬、抗生物質、抗コリン作用薬、抗痙攣薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、抗下痢薬、抗利尿薬、解毒薬、抗嘔吐薬、抗てんかん薬、抗線維素溶解薬、抗てんかん薬、抗蠕虫薬、抗ヒスタミン薬、抗低血圧薬、抗高血圧薬、抗過緊張薬、抗低緊張薬、抗凝血薬、抗真菌薬、抗エストロゲン薬、抗エストロゲン薬(非ステロイド)、抗パーキンソン病薬、抗炎症薬、抗増殖作用物質、抗原虫作用物質、抗リウマチ薬、抗住血吸虫薬、抗鎮痙薬、抗血栓薬、鎮咳薬、食欲抑制薬、動脈硬化症治療薬、静菌薬、β−遮断薬、β−受容体遮断薬、気管支拡張薬、炭酸脱水酵素阻害薬、化学療法薬、胆汁分泌促進薬、コリン作用薬、コリン作用性アゴニスト、コリンエステラーゼ阻害剤、潰瘍性大腸炎の治療薬、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、利尿薬、外部寄生虫撲滅薬、催吐薬、酵素、酵素抑制剤、酵素阻害薬、おう吐に対する作用物質、線維素溶解薬、静真菌薬、痛風治療薬、緑内障治療薬、グルココルチコイド、グルココルチコステロイド、止血薬、強心配糖体、ヒスタミンH2アンタゴニスト、ホルモン及びその阻害物質、免疫治療薬、強心薬、コクシジウム抑制薬、緩下剤、脂質低下薬、胃腸治療薬、マラリア治療薬、偏頭痛治療薬、殺微生物薬、クローン病、転移阻害薬、偏頭痛治療薬、鉱物質製剤、運動性を向上する作用物質、筋弛緩薬、神経弛緩薬、エストロゲン、骨粗鬆症、耳の治療のための作用物質、パーキンソン病治療薬、植物製剤、プロトンポンプ阻害薬、プロスタグランジン、良性前立腺肥大症の治療のための作用物質、掻痒の治療のための作用物質、乾癬治療薬、向精神薬、ラジカルスカベンジャー、レニン−アンタゴニスト、甲状腺治療薬、脂漏症の治療のための作用物質、船酔いに対する作用物質、鎮痙薬、α−及びβ−交感神経興奮様薬、テナトプラゾール、血小板凝集阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、精神安定薬、潰瘍治療薬、その他の潰瘍治療薬、尿路結石症の治療のための薬剤、ウイルス抑制剤、ビタミン、サイトカイン、細胞分裂抑制剤との併用治療のための作用物質、細胞分裂抑制剤に属していてよい。
【0039】
作用物質
適した作用物質の例は、アカルボース、アセチルサリチル酸、アバカビル、アセクロフェナク、アクラルビシン、アシクロビル、アクチノマイシン、アダリムマブ、アデフォビル、アデフォビルジピボキシル、アデノシルメチオニン、アドレナリン及びアドレナリン誘導体、アガルシダーゼアルファ、アガルシダーゼベータ、アレムツズマブ、アルモトリプタン、アルファセプト、アロプリノール、アルモトリプタン、アロセトロン、アルプロスタジル、アマンタジン、アンブロキソール、アミスルプリド、アムロジピン、アモキシシリン、5−アミノサリチル酸、アミトリプチリン、アムロジピン、アモキシシリン、アンプレナビル、アナキンラ、アナストロゾール、アンドロゲン及びアンドロゲン誘導体、アポモルフィン、アリピプラゾール、三酸化ヒ素、アルテメーテル、アテノロール、アトルバスタチン、アトシバン、アザチオプリン、アゼライン酸、バルビツール酸誘導体、バルサラジド、バシリキシマブ、ベクラペルミン、ベクロメタゾン、ベミパリン、ベンゾジアゼピン、ベータヒスチン、ベキサロテン、ベザフィブラート、ビカルタミド、ビマトプロスト、ボセンタン、ボツリヌス毒素、ブリモニジン、ブリンゾールアミド、ブデソニド、ブジピン、ブフェキサマック、ブメタニド、ブプレノルフィン、ブプロピオン、ブチジン、カルシトニン、カルシウムアンタゴニスト、カルシウム塩、カンデサルタン、カペシタビン、カプトプリル、カルバムアゼピン、カリフェナシン、カルベジロール、カスポフンギン、セファクロル、セファドロキシル、セファレキシン、セファロスポリン、セフジトレン、セフプロジル、セレコキシブ、セペシタビン、セリバスタチン、セチリジン、セトロレリクス、セツキシマブ、ケノデオキシコール酸、絨毛性ゴナドトロピン、シクロスポリン、シドフォビル、シメチジン、シプロフロキサシン、シスプラチン、クラドリビン、クラリスロマイシン、クラブラン酸、クリンダマイシン、クロブチノール、クロニジン、クロピドグレル、コデイン、カフェイン、コレスチラミン、クロモグリシン酸、コトリモキサゾール、クマリン及びクマリン誘導体、ダルベボエチン、システアミン、システイン、シタラビン、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダクリズマブ、ダルフォプリスチン、ダナパロイド、ダピプラゾール、ダルベポエチン、デフェプリプロン、デシプラミン、デシルジン、デスロアラタジン、デスモプレシン、デソゲストレル、デソニド、デキシブプロフェン、デキスケトプロフェン、ジソプロキシル、ジアゼパム及びジアゼパム誘導体、ジヒドララジン、ジルチアゼム、ジメンヒドリネート、ジメチルスルホキシド、ジメチコーン、ジピボキシル、ジピリダルノイ、ドラセトロン、ドンペリドン及びドンペリドン誘導体、ドネプジル、ドーパミン、ドキサゾシン、ドキソルビシン、ドキシラミン、ジクロフェナック、ジバルプロエックス、ドロナビノール、ドロスピレノン、ドロトレコギンアルファ、デュタステライド、エバスチン、エコナゾール、エファビレンツ、エレトリパン、エミダスチン、エムトリシタビン、エナラプリル、エンセプル(Encepur)、エンタカポン、エンフルビルチド(Enfurvirtid)、エフェドリン、エピネフリン、エプレレノン(Eplerenon)、エポエチン及びエポエチン誘導体、エプロサルタン、エプチフィバチド、エルタペネム、エソメプラゾール、エストロゲン及びエストロゲン誘導体、エタネルセプト、エテンザミド、エチンエストラジオール、エトフェナメート、エトフィブレート、エトフィリン、エトノゲストレル、エトポシド、エキセメスタン、エゼチミベ、ファムシクロビル、ファモチジン、ファロペナンダロキサート(Faropenandaloxat)、フェロジピン、フェノフィブレート、フェンタニル、フェンチコナゾール、フェキソフェナジン、フィナステリド、フルコナゾール、フルダラビン、フルナリジン、フルオロウラシル、フルオキセチン、フルルビプロフェン、フルピルチン、フルタミド、フルバスタチン、フォリトロピン、ホミビルセン、フォンダパリヌクス、フォルモテロール、フォスホマイシン、フロバトリプタン、フロセミド、フシジン酸、ガドベナート、ガランタミン、ガロパミル、ガンシクロビル、ガニレリックス、ガチフロキサシン、ゲフィニチブ、ゲムフィブロジル、ゲンタマイシン、ゲピロン、ゲスタゲン及びゲスタゲン誘導体、イチョウ、グラチラマ−、グリベンクラミド、グリピジド、グルカゴン、グルシトール及びグルシトール誘導体、グルコサミン及びグルコサミン誘導体、グリコシド抗生物質、グルタチオン、グリセロール及びグリセロール誘導体、視床下部ホルモン、ゴセレリン、グレパフロキサシン、ギラーゼ阻害薬、グアネチジン、ギラーゼ阻害薬、ヘミン、ハロファントリン、ハロペリドール、経口糖尿病治療薬としての尿素誘導体、ヘパリン及びヘパリン誘導体、強心配糖体、ヒアルロン酸、ヒドララジン、ヒドロクロロチアジド及びヒドロクロロチアジド誘導体、ヒドロキシオメプラゾール、ヒドロキシジン、イブリツモマブ、イブプロフェン、イダルビシン、イフリキシマブ(Ifliximab)、イフォスファミド、イロプロスト、イマチニブ、イミダプリル、イミグルセラーゼ、イミプラミン、イミキモド、イミダプリル、インドメタシン、インドラミン、インフリキシマブ、インスリン、インスリングラルギン、インターフェロン、イルベサルタン、イリノテカン、イソコナゾール、イソプレナリン、イトラコナゾール、イバブラジン、ヨウ素及びヨウ素誘導体、オトギリソウ、カリウム塩、ケトコナゾール、ケトプロフェン、ケトチフェン、ラシジピン、ランソプラゾール、ラロニダーゼ、ラタノプロスト、レフルノミド、レピルジン、レルカニジピン、レテプリニム(Leteprinim)、レトロゾール、レバセチルメサドール、レベチラセタム、レボセチリジン、レボドーパ、レボドルプロピシン(Levodrpropicin)、レボメタドン、
リコフェロン、リネゾリド、リピナビル、リポン酸及びリポン酸誘導体、リシノプリル、リスリド、ロフェプラミン、ロドキサミド、ロメフロキサシン、ロムスチン、ロペラミド、ロピナビル、ロラタジン、ロルノキシカム、ロサルタン、ルメファントリン、ルトロピン、マグネシウム塩、マクロライド抗生物質、マンガホジピル、マプロチリン、メベンダゾール、メベベリン、メクロジン、メフェナム酸、メフロキン、メロキシカム、メマンチン、メピンドロール、メプロバメート、メロペネム、メサラジン、メスキシミド、メタミゾール、メトホルミン、メタドン、メトトレキセート、メチル−(5−アミノ−4−オキソペンタノアート)、メチルナロキソン、メチルナルトレキソン、メチルフェニデート、メチルプレドニソロン、メチキセン、メトクロプラミド、メトプロロール、メトロニダゾール、ミアンセリン、ミベフラジル、ミコナゾール、ミフェプリストン、ミグリトール、ミグルスタッド、ミノサイクリン、ミノキシジル、ミソプロストール、ミトマイシン、ミゾラスチン、モダフィニル、モエクシプリル、モンテルカスト、モロクトコグ、モルフィナン、モルヒネ及びモルヒネ誘導体、モキシフロキサシン、麦角アルカロイド、ナルブフィン、ナロキソン、ナプロキセン、ナラトリプタン、ナルコチン、ナタマイシン、ナテグリニド、ネビボロール、ネファゾドン、ネルフィナビル、ネオスチグミン、ネラメキサン、ネビラピン、ニセルゴリン、ニセタミド、ニフェジピン、ニフルミン酸、ニモジピン、ニモラゾール、ニムスチン、ネシリチド、ニソルジピン、ノルフロキサシン、ノバミンスルホン、ノスカピン、ニスタチン、オフロキサシン、オクトトライド(Oktotride)、オランザピン、オルメサルタン、オルサラジン、オセルタミビル、オメプラゾール、オモコナゾール、オンダンセトロン、オルリステート、オセルタミビル、オキサセプロール、オキサシリン、オキサリプラチン、オキサプロジン、オキシカルバセピン、オキシコドン、オキシコナゾール、オキシメタゾリン、パリビズマブ、パロノセトロン、パントプラゾール、パラセタモール、パレコキシブ、パロキセチン、ペグアスパルガーゼ、ペグインターフェロン、ペグフィルグラストリム、ペンシクロビル、経口ペニシリン、ペンタゾシン、ペンチフィリン、ペントキシフィリン、ペプチド抗生物質、ペリンドプリル、ペルフェナジン、ペチジン、植物抽出物、フェナゾン、フェニラミン、フェニル酪酸、フェニトイン、フェノチアジン、フェンセリン、フェニルブタゾン、フェニトイン、ピメクロリムス、ピモジド、ピンドロール、ピオグリタゾン、ピペラジン、ピラセタム、ピレンゼピン、ピリベジル、ピルリンドール、ピロキシカム、プラミペキソール、プラムリンタイド、プラバスタチン、プラゾシン、プロカイン、プロマジン、プロピベリン、プロプラノロール、プロピオン酸誘導体、プロピフェナゾン、プロスタグランジン、プロチオンアミド、プロキシフィリン、ケチアピン、キナプリル、キナプリレート、キヌプリスチン、ラミプリル、ラニチジン、ラベプラゾール、ラロキシフェン、ラノラジン、ラスブリカーゼ、レボキセチン、レパクリニデ、レプロテロール、レセルピン、レボフロキサシン、リバビリン、リファンピシン、リルゾール、リメキソロン、リセドロネート、リスペリドン、リトナビル、リツキシマブ、リバスチメン、リザトリプタン、ロフェコキシブ、ロピニロール、ロピバカイン、ロシグリタゾン、ロキサチジン、ロキシトロマイシン、ルスコゲニン、ロスバスタチン、ルトシド及びルトシド誘導体、サバジラ、サルブタモール、サリチレート、サルメテロール、サペルコナゾール、甲状腺ホルモン、スコポラミン、セレジリン、セルタコナゾール、セルチンドール、セルトラリン、セベラマー、シブトラミン、シルデナフィル、ケイ酸塩、シンバスタチン、シロリムス、シトステリン、ソタロール、スパグルミン酸、スパルフロキサシン、スペクチノマイシン、スピラマイシン、スピラプリル、スピロノラクトン、スタブジン、ストレプトマイシン、スクラルフェート、スフェンタニル、スルバクタム、スルホンアミド、スルファサラジン、スルピリド、スルタミシリン、スルチアム、スマトリプタン、スキサメトニウムクロリド、タクリン、タクロリムス、タダラフィル、タリオロール、タルサクリジン、タモキシフェン、タソネルミン、タザロテン、テガフル、テガセロド、テリスロマイシン、テルミサルタン、テモポルフィン、テモゾロマイド、テナトプラゾール、テネクテプラーゼ、テニポシド、テノフォビル、テノキシカム、テリパラチド、テラゾシン、テルビナフィン、テルブタリン、テルフェナジン、テリパラチド、テルリプレシン、テルタトロール、テストステロン及びテストステロン誘導体、テトラサイクリン、テトリゾリン、テゾセンタン、テオブロミン、テオフィリン、テオフィリン誘導体、チアマゾール、チオテパ、Thr.成長因子、チアガビン、チアプリド、チボロン、チクロピジン、チリジン、チモロール、チニダゾール、チオコナゾール、チオグアニン、チオトロピウム、チオキソロン、チラゼタム、チロプラミド、トロフィバン、チザニジン、トラゾリン、トルブタミド、トルカポン、トルナフテート、トルペリソン、トルテロジン、トピラメート、トポテカン、トラセミド、トラマドール、トラマゾリン、トランドラプリル、トラニルシプロミン、トラピジル、トラスツマブ、トラボプロスト、トラゾドン、トラポスチニル、トリアムキノロン及びトリアムキノロン誘導体、トリアムテレン、トリフルペリドール、トリフルリジン、トリメタジジン、トリメトプリム、トリミプラミン、トリペレンアミン、トリプロリジン、トリフォスファミド、トロマンタジン、トロメタモール、トロパルピン、トロバフロキサシン、トロキセルチン、ツロブテロール、トリプシン、チラミン、チロトリシン、ウラピジル、ウルソデオキシコール酸、テオフィリンウルソデオキシコール酸、バラシクロビル、バルデコキシブ、バルガンシクロビル、バルプロイン酸、バルサルタン、バンコマイシン、バルデナフィル、ベクロニウムクロリド、ベンラファキシン、ベラパミル、ベルテポルフィン、ビダラビン、ビガバトリン、ビロキサジン、ビンブラスチン、ビンカミン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビンポセチン、ビキジル、ビタミンD及びビタミンDの誘導体、ボリコナゾール、ワルファリン、キサンチノールニコチネート、キシメラガトラン、キシパミド、ザフィルルカスト、ザルシタビン、ザレプロン、ザナミビル、ジドブジン、ジプラシドン、ゾレドロン酸、ゾルミトリプタン、ゾルピデム、ゾプリコン、ゾテピン等である。
【0040】
特に有利な作用物質
特に有利な作用物質の例は、コハク酸メトプロロール及び硫酸テルブラチン(Terbulatin)である。
【0041】
前記作用物質は所望する場合には、その医薬的に許容可能な塩又は誘導体の形状で使用されてもよく、及びキラルの作用物質の場合には、光学活性のある異性体も、ラセミ体又はジアステレオ異性体混合物も使用してよい。所望の場合には、前記の本発明による組成物は、2つの又はそれ以上の医薬的作用物質を含有してもよい。
【0042】
外側制御層d)
前記外側制御層d)は、(メタ)アクリル酸のC〜Cアルキルエステル98〜85質量%及びアルキル残基に第四級アンモニウム基を有するメタクリラートモノマー2〜15質量%からなる、1つの(メタ)アクリラートコポリマー又は複数の(メタ)アクリラートコポリマーからなる混合物少なくとも60質量%まで、有利には少なくとも80質量%まで、特に有利には90〜100質量%と、場合により、更なる医薬的に使用可能なポリマー40質量%まで、有利には20質量%まで、特に0〜10質量%とを含有する。特に有利にはしかし、更なる医薬的に使用可能なポリマーが含まれていない。前記外側制御層d)中の上述のポリマーの質量%の記述はこの際、場合により付加的に含有される医薬的に通常の助剤の考慮なしに記載される。
【0043】
相応する(メタ)アクリラートコポリマーは例えば、EP−A 181 515から、又はDE−PS 1 617 751から公知である。これは、pH値に依存しないで溶解性であるか又は膨潤可能な重合体であり、前記重合体は薬物のコーティングに適する。可能な製造方法として、モノマー混合物中に溶解したラジカル形成性の開始剤の存在下での塊状重合が挙げられる。同様に、前記重合体は、溶液重合又は沈殿重合を用いて製造されてもよい。前記重合体はこのようにして微細な粉体の形状で得られてよく、これは塊状重合の際には粉砕により、溶液重合又は沈殿重合の際には、例えばスプレー乾燥により達成可能である。
【0044】
前記(メタ)アクリラートコポリマーは、前記アクリル酸又は前記メタクリル酸の、ラジカル重合したC〜Cアルキルエステル85〜98質量%と、アルキル残基に第四級アンモニウム基を有する(メタ)アクリラートモノマー15〜2質量%とから構成されている。
【0045】
有利な、アクリル酸又はメタクリル酸のC〜C−アルキルエステルは、メチルアクリラート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート及びメチルメタクリレートである。
【0046】
第四級アンモニウム基を有する(メタ)アクリラートモノマーとして、2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリラートクロリドが特に適する。
【0047】
相応するコポリマーは、例えばメチルメタクリラート50〜70質量%と、エチルアクリラート20〜40質量%と、2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリラートクロリド7〜2質量%とから構成されていてよい。
【0048】
具体的に適したコポリマーは、メチルメタクリラート65質量%と、エチルアクリラート30質量%と、2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリラートクロリド5質量%とを含有して構成されていてよい(EUDRAGIT(R) RS)。
【0049】
更に適した(メタ)アクリラートコポリマーは例えば、85質量%〜93質量%未満の、アクリル酸又はメタクリル酸のC〜Cアルキルエステルと、アルキル残基中に第四級アンモニウム基を有する7質量%超〜15質量%の(メタ)アクリラートモノマーとから構成されていてよい。このような(メタ)アクリラートモノマーは市販されていて、以前から遅延性コーティングのために使用されている。
【0050】
具体的に適したコポリマーは例えば、メチルメタクリラート60質量%と、エチルアクリラート30質量%と、2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリラートクロリド10質量%(EUDRAGIT(R) RL)を含有する。
【0051】
場合により、前記の外側制御層d)中に、更なる医薬的に使用可能なポリマー40質量%まで、有利には20質量%まで、特に0〜10質量%が含有されていてよい。適したポリマーは例えば:
メチルメタクリラート及び/又はエチルアクリラートとメタクリル酸からなるコポリマー、メチルメタクリラート、メチルアクリラートとメタクリル酸からなるコポリマー、メチルメタクリラート、ブチルメタクリラートとジメチルエチルメタクリラートからなるコポリマー、メチルメタクリラート、エチルアクリラートとトリメチルアンモニウムエチルメタクリラートからなるコポリマー、メチルメタクリラートとエチルアクリラートからなるコポリマー、エチルアクリラート、メチルアクリラート、ブチルメタクリラートとメタクリル酸からなるコポリマー、
ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコール−グラフトコポリマー(Kollicoat(R))、デンプン及びその誘導体、ポリビニルアセタートフタラート(PVAP、Coateric(R))、ポリビニルアセタート(PVAc、Kollicoat)、ビニルアセタート−ビニルピロリドン−コポリマー(Kollidon(R) VA64)、ビニルアセタート:クロトン酸−コポリマー9:1(VAC:CRA、Kollicoat(R) VAC)、1000(g/mol)を上回る分子量を有するポリエチレングリコール、キトサン、メチルメタクリラート20〜40質量%とメタクリル酸60〜80質量%とからなる(メタ)アクリラートコポリマー、架橋及び/又は非架橋のポリアクリル酸、Na−アルギナート、及び/又はペクチン、
セルロース、例えばアニオン性カルボキシメチルセルロース及びその塩(CMC、Na−CMC、Ca−CMC、Blanose、Tylopur)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC、Duodcell(R))、ヒドロキシエチルセルロース(HEC、Klucel)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、Pharmacoat、Methocel、Sepifilm、Viscontran、Opadry)、ヒドロキシメチルエチルセルロース(Hydroxymrthylethylcellulose)(HEMC)、エチルセルロース(EC、Ethocel(R)、Aquacoat(R)、Surelease(R))、メチルセルロース(MC、Viscontran、Tylopur、Methocel)、セルロースエステル、セルロースグリコラート、セルロースアセタートフタラート(CAP、Cellulosi acetas、PhEur、Celluloseacetate−phtalate、NF、Aquateric(R))、セルロースアセタートスクシナート(CAS)、セルロースアセタートトリメリアート(CAT)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート(HPMCP、HP50、HP55)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシナート(HPMCAS−LF、HPMCAS−MF、HPMCAS−HF)
である。
【0052】
層厚及び質量割合
コア層a)
前記コア層a)(ノンパレルなし)は、約100〜800μm、有利には250〜500μmの範囲(約60〜40メッシュの範囲に相応)の平均直径を有してよい。
【0053】
内側制御層b)
前記内側制御層b)は、前記のコア層a)に対して、0.5〜80質量%、有利には2.5〜50質量%、特に有利には5〜40質量%の質量割合を有してよい。この層厚は有利には約1〜100μm、特に5〜50μm、特に10〜40μmを有する。
【0054】
作用物質層c)
前記作用物質層c)は、前記コア層a)及び前記内側制御層b)に対して、10〜400質量%、有利には50〜200質量%であってよい。
【0055】
外側制御層d)
前記外側制御層d)は、前記コア層a)、前記内側制御層b)及び前記作用物質層c)に対して、2.5〜100質量%、有利には10〜70質量%、とりわけ有利には20〜60質量%の質量割合を有してよい。この層厚は約4〜150μm、特に15〜75μm、とりわけ有利には30〜70μmを有する。
【0056】
医薬的に通常の助剤
前記層a)、b)、c)、及びd)は、付加的にかつ自体公知の方法で、医薬的に通常の助剤を含有してよい。
【0057】
前記の本発明による製剤には有利には、この顆粒又は粉体の製造の際に、医薬的に通常の助剤(時に通常の添加剤としても呼ばれる)を付加してよい。根本的に無論、全ての使用した物質は毒物学的に問題なく、かつ特に製剤中で患者への危険なしに使用されることが必要である。
【0058】
製剤コーティング又は被覆中の前記の医薬的に通常の助剤の使用量及び使用は、当業者に公知である。医薬的に通常の助剤又は添加剤は、例えば剥離剤、顔料、安定剤、酸化防止剤、細孔形成剤、浸透促進剤、光沢剤、芳香剤又は矯味剤であってよい。これらは、投与助剤として用いられ、かつ安全性及び再現可能性のある製造方法並びに良好な長期貯蔵安定性を保証するか又はこれらは前記剤形中で更に有利な特性を達成することが望ましい。これらはこの投与前に前記ポリマー組成物に添加され、かつ前記コーティングの透過性に影響を及ぼし、これを場合により付加的な制御パラメーターとして利用してよい。
【0059】
剥離剤:
剥離剤は、通常は親油性特性を有し、かつ通常は吹付け懸濁物に添加される。これらは、フィルム化の間の前記コアの凝集を妨げる。有利には、タルク、Mg−ステアラート又はCa−ステアラート、粉砕したケイ酸、カオリン又は、HLB値3〜8を有する非イオン性の乳化剤が使用される。前記剥離剤の通常の使用量は、前記コア質量に対して0.5〜100質量%にある。
【0060】
顔料:
これらのコーティング剤と不相容性である顔料は特に、(メタ)アクリラート−コポリマー分散体に直接的に添加される場合に(例えば混和により)、前記(メタ)アクリラートコポリマーの乾燥質量に対して、例えば20〜400質量%の通常の適用量において、前記分散体の不安定化、凝結、分離現象又は類似した不所望な効果を生じる顔料である。更に、この使用すべき顔料は無論、毒性がなく、かつ医薬的な目的に適する。これに関して、例えば以下を参照:Deutsche Forschungsgemeinschaft, Farbstoffe fuer Lebensmittel, Harald Boldt Verlag KG, Boppard (1978); Deutsche Lebensmittelrundschau 74, 4号, 156頁 (1978); Arzneimittelfarbstoffverordnung AmFarbV ,1980.08.25付け。
【0061】
前記コーティング剤と不相容性である顔料は例えば、酸化アルミニウム顔料であってよい。不相容性顔料は例えば、イエローオレンジ、コチニールレッド塗料、酸化アルミニウムベースの色素顔料、又はアゾ色素、スルホン酸色素、イエローオレンジS(E110、C.I.15985、FD&Cイエロー6)、インジゴカルミン(E132、C.I.73015、FD&Cブルー2)、タルトラジン(E102、C.I.19140、FD&Cイエロー5)、ポンソー4R (E125、C.I.16255、FD&CコチニールレッドA)、キノリンイエロー(E104、C.I.47005、FD&Cイエロー10)、エリスロシン(E127、C.I.45430、FD&Cレッド3)、アゾルビン(E122、C.I.14720、FD&Cカルモイシン)、アマランス(E123、C.I.16185、FD&Cレッド2)、ブリリアントアシドグリーン(E142、C.I.44090、FD&CグリーンS)である。
【0062】
前記顔料の上述のE−値は、EU−番号表示に関連する。これに関して、「Deutsche Forschungsgemeinschaft, Farbstoffe fuer Lebensmittel, Harald Boldt Verlag KG, Boppard (1978); Deutsche Lebensmittelrundschau 74、4号、156頁(1978);Arzneimittelfarbstoffverordnung Am FarbV(1980.08.25付け)も参照。前記FD&C番号は、U.S. Food and Drug Administration (FDA)によるFood、Drugs及びCosmeticsにおける登録に関連し、以下に記載されている:U.S. Food and Drug Administration, Center for Food Safety and Applied Nutrition, Office of Cosmetics and Colors: Code of Federal Regulations Title 21 Color Additive Regulations Part 82, Listing of Certified Provisionally Listed Colors and Specifications (CFR 21 Part 82)。
【0063】
可塑剤
更なる添加剤は可塑剤であってもよい。通常量は、前記外側層d)の前記(メタ)アクリラートポリマーに対して0〜50質量%、有利には5〜20質量%にある。
【0064】
可塑剤は、種類(親油性又は親水性)及び添加した量に応じて、前記ポリマー層の機能性に影響を及ぼしてよい。可塑剤は、前記ポリマーとの物理的な相互作用により、このガラス転移温度の降下を生じ、この添加量に依存せずにこのフィルム被覆を促進する。適した物質は通常、100〜20000の分子量を有し、かつ親水基、例えばヒドロキシル基、エステル基又はアミノ基を1分子中に1個以上含有する。
【0065】
適した可塑剤の例は、クエン酸アルキルエステル、グリセリンエステル、フタル酸アルキルエステル、セバシン酸アルキルエステル、サッカロースエステル、ソルビタンエステル、ジエチルセバケート、ジブチルセバケート及びポリエチレングリコール200〜12000である。有利な可塑剤は、トリエチルシトラート(TEC)、アセチルトリエチルシトラート(ATEC)及びジブチルセバケート(DBS)である。更に挙げるべきは通常室温で液状のエステル例えばシトラート、フタラート、セバケート又はひまし油である。有利にはクエン酸エステル及びセバシン酸エステルが使用される。
【0066】
前記組成物への前記可塑剤の添加は公知の方法で、直接的に水溶液中で、又は前記混合物の熱的な前処理後に実行されてよい。可塑剤の混合物も使用してよい。
【0067】
多層の剤形の製造方法
前記多層の剤形は、通常の医薬的な方法、例えば直接的な圧縮成形、乾燥顆粒、湿潤顆粒、又は焼結顆粒の圧縮成形、押出、及び引き続く丸み付け、湿式造粒又は乾式造粒、又は直接的なペレット化(例えばトレー上での)を用いたか、又は作用物質を含まない球体又はコア(ノンパレル)又は作用物質含有粒子上への粉体(粉末成層)の結合によるか、又は吹付け方法又は流動層造粒を用いた自体公知の方法において製造されてよい。内側制御層b)及び外側制御層d)の施与は、公知の及び通常の方法、例えばポリマー溶液又はポリマー分散液の吹付け塗布により行われる。
【0068】
例示的な標準的工程パラメーター
以下の標準的工程パラメーターは、製造方法の際に、考えられる進行方法を例示的に説明にするものである。
【0069】
段階1:(コア層a)の調整)
この試みのために、400μm〜800μmの範囲にある結晶コアが選択される。
【0070】
段階2:(内側制御層b)の施与)
EUDRAGIT(R)NEを有する調節層(メチルメタクリラート50質量%とエチルアクリラート50質量%とからなるコポリマー)。
20%(w/w)のEUDRAGIT(R)NE 30Dの懸濁物を、大抵の試みのための基本的な調節性層として使用した。この組成物は、ポリマー20%、グリセロールモノステアラート(GMS−900)5%、Tween80 2%及び顔料0.5%を有する分散体中で固体物質15%を含む。
【0071】
前記層は、流動層装置を用いて、前記結晶−コア上に施与される。
工程パラメーター:
給気温度:32℃
製造温度:30℃
排気温度:23℃
ポンプ−rpm:8〜10(5〜10g/min)
工程時間:120〜160min
乾燥方法:40℃で循環空気乾燥器中で2時間。
【0072】
段階3:(作用物質層c)の施与)
この作用物質を、単純な結晶−コア上に、又は調節作用のある物質によりコーティングした結晶−コア上に、100%〜200%の質量増加を得るまで施与してよい。この作用物質施与は、このペレット中の塩濃度を上昇させるために、付加的な塩の組み込みと共に実施してもよい。この作用物質施与は、例えばコーティングパン(Dragierkessel)中で、公知の「粉末成層」方法を用いて実施する。
【0073】
前記作用物質施与のための一般的な工程パラメーター
吹付け時間 90min
総体積 543g
質量/粉体(一回当たりの) 15gm
ノズル 1.00mm
吹付け圧力 低
コーティングパン速度 24〜25rpm
ポンプ速度12rpm(9g/min)
装置中での乾燥 5min
循環空気乾燥器中での終乾燥 40℃で12時間
排気条件 オン。
【0074】
このように得られた、作用物質でコーティングしたペレットは、600μm〜1200μmのサイズ範囲にあり、かつ、EUDRAGIT(R)RS(メチルメタクリラート65質量%、エチルアクリラート30質量%及び2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリラートクロリド5質量%からなるコポリマー)での更なる被覆のために使用されてよい。
【0075】
段階4:(EUDRAGIT(R)RS)を有する遅延コーティングからなる、外側制御層d)の施与
この作用物質でコーティングしたペレットは例えば、様々な施与量(10〜50%)を有するEUDRAGIT(R)RSで、流動層装置中で被覆されてよい。組成物は例えば以下を含む:タルク50%、トリエチルシトラート20%、顔料0.5%を有するEUDRAGIT(R)RS分散体中で固体物質20%。
【0076】
工程パラメーター:
給気温度:35℃
製造温度:32℃
排気温度:24℃
ポンプ−rpm:8〜16(4〜8g/min)
工程時間:120〜180min
乾燥方法:40℃で循環空気乾燥器中で2時間。
【0077】
特定の実施例:
実施例I
10%(w/w)までの調節した層濃度:
コハク酸三ナトリウム結晶を、10%(w/w)のEUDRAGIT(R)NE 30Dで被覆した。この層の上に、テオフィリンを質量増加200%にまで施与した。この被覆したコアを更に、20〜40%(w/w)のEUDRAGIT(R)RS 30Dでコーティングした。
【0078】
実施例II
20%(w/w)までの調節した層濃度:
クエン酸三ナトリウム結晶を、20%(w/w)のEUDRAGIT(R)NE 30Dで被覆した。この層の上に、テオフィリンを質量増加200%にまで施与した。この被覆したコアを更に、20〜40%(w/w)のEUDRAGIT(R)RS 30Dでコーティングした。
【0079】
実施例III
製造したペレット中の塩濃度の増加:
塩化ナトリウムコアをまず、20%(w/w)までのEUDRAGIT(R)NE 30Dによる調節層で被覆した。この層の上に、テオフィリン及び粉砕した塩化ナトリウム結晶を、200%の質量増加まで施与した。この被覆したペレットを更に、20〜40%(w/w)のEUDRAGIT(R)RS 30Dでコーティングした。
【0080】
実施例IV
様々な塩の作用:
塩化ナトリウム結晶及び酢酸ナトリウム結晶をまず、20%(w/w)までのEUDRAGIT(R)NE 30Dで被覆した。この層の上にテオフィリンを、200%の質量増加まで施与した。この被覆したペレットを更に、20〜40%(w/w)のEUDRAGIT(R)RS 30Dでコーティングした。
【0081】
可能な遊離特性
この多層の剤形は特に、特別な作用物質遊離特性を実現させるために適する。挙げられるのは、0次の(線形)作用物質遊離特性、1次の(加速した)、素早く−ゆっくり−、ゆっくり−素早く−の遊離特性である。
【0082】
作用物質コハク酸メトプロロールのための剤形
作用物質、コハク酸メトプロロール(高血圧症及びアンギナの治療に使用される)では、就寝前に服用し、この作用物質をまず線形に遊離するが4〜6時間後には加速した作用物質放出へと移行する剤形の製剤が有利である。これにより高血圧及び心筋梗塞の危険(早朝時に特に高い)に対処できる。
【0083】
本発明により4つの可能な変法が開示され、これにより前記作用物質、コハク酸メトプロロールのための所望の遊離特性が達成される。
【0084】
【表1】

EUDRAGIT(R)RS=メチルメタクリラート65質量%、エチルアクリラート30質量%及び2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリラートクロリド5質量%からなるコポリマー。
EUDRAGIT(R)NE=メチルメタクリラート50質量%とエチルアクリラート50質量%とからなるコポリマー。
【0085】
実施例M4からのペレットの遊離特性は、USP<711>溶解、機器1、リン酸塩緩衝液pH6.8による試験で、試験された。この際、2時間目まで、及び2時間目から4時間目までそのつど、この含有された作用物質約11%が遊離されることが確認された。この4時間目より後では、6時間目まで約15%の、及び、6時間目から8時間目まで、及び8時間目から10時間目までは、そのつど20%の加速した作用物質放出が観察された。10時間目より後では、再びこの作用物質放出は遅延した。
【0086】
【表2】

【0087】
作用物質、硫酸テルブタリンのための剤形
作用物質、硫酸テルブタリンは、β−2アンタゴニストであり、喘息の治療に使用されてよい。本発明により、ほぼ一定の作用物質放出速度を有する製剤が準備される。これにより、急性の喘息症状はすでに直接的に前記剤形の服用後に緩和されてよい。この後、更なる症状の再発の抑制のために、前記作用物質の同程度の量が放出される。従って、公知技術の大方の剤形でのケースのように、毎日複数回、繰り返して、並びに程度の差はあれ時間通りに1回量を投与することは必要でない。これはこの患者にとっては全体として、より快適的で、より許容可能で(患者コンプライアンス)及び多くの場合においてより相容性でもある。
本発明により2つの可能な変法が開示され、これにより、前記作用物質、硫酸テルブタリンのための所望の遊離特性が達成される。
【0088】
【表3】

EUDRAGIT(R)RS=メチルメタクリラート65質量%、エチルアクリラート30質量%及び2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリラートクロリド5質量%からなるコポリマー。
EUDRAGIT(R)NE=メチルメタクリラート50質量%とエチルアクリラート50質量%とからなるコポリマー。
【0089】
実施例M4からのペレットの遊離特性は、USP<711>溶解、機器1、リン酸塩緩衝液pH6.8による試験で、試験された。この際、2時間の間隔で、ほぼ一定の作用物質量が放出されたことが確認された。
【0090】
【表4】

【0091】
投与形態/使用
本発明による多層の剤形は第1に、錠剤又はペレットの形にある。これらが今度は、ペレット含有錠剤、ミニ錠剤、カプセル、サシェ、発泡錠剤、又はドライシロップにより、多粒子の剤形の成分として使用されてよい。本発明により多粒子の剤形は特に、様々な作用物質を含有する、製剤化したペレットの混合物をも含んでよい。更に、本発明による多粒子の剤形は、異なって製剤化されていて、かつ異なる遊離特性を有する、ある種の及び同一の作用物質で負荷したペレット集団を有してよい。このようにして、1つ又は複数の作用物質の混合した遊離特性を達成することが可能でありかつこの混合を介して、所望の治療に対して再度より良好な適合が可能になる。
【0092】
実施例
EUDRAGIT(R)RS=メチルメタクリラート65質量%、エチルアクリラート30質量%及び2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリラートクロリド5質量%からなるコポリマー。
EUDRAGIT(R)NE=メチルメタクリラート50質量%とエチルアクリラート50質量%とからなるコポリマー。
【0093】
実施例1〜5(本発明によらない)
様々な調節作用のある物質の、前記外側制御層d)に及ぼす影響を試験するために、ペレットを内側制御層b)なしで製造した。比較として、微結晶性のセルロースを有する、調節作用のある物質なしのペレットを用いた(実施例5)。このようにして効果、例えば加速したか又は遅延した作用物質放出は、内側制御層に依存せずに確認された。
【0094】
コア材料700gに、コーティングパン中で、テオフィリン粉体1290g、Kollidon 25 65g、及びAerosil 200 6.5gからなる混合物を散布し、脱塩水500g中のテオフィリン33g及び10 Kollidon 25からなる溶液の同時の吹付けにより、前記コア材料に結合させた。
このように製造された、遅延させてない調節剤コアを有するテオフィリンペレット600g上に、流動層装置中で、EUDRAGIT RS 30 D 400g(ポリマー120gに相応)、タルク60g、トリエチルシトラート24g、酸化鉄(イエロー)0.6g及び脱塩水538.3gからなる吹付け懸濁液を塗布した。この塗布されたポリマー量はこれにより、この出発材料の20%に相応した。
【0095】
この実施例1〜5で製造されたペレットを、USP溶解試験器中で、PhEurリン酸塩緩衝液、pH6.8中で、作用物質放出に関して検査した:
【0096】
【表5】

【0097】
この遊離値は、分散経過に特徴的な1次過程を示した。前記調節剤遊離の制御なしでは、非常に素早く、コーティングしたペレット中で平衡が生じ、これはこの終コーティングの透過性を、遊離の開始時に決定的に調節する。
【0098】
微結晶性のセルロースを有するペレット(実施例5)の遊離特色は、酢酸ナトリウムを有するペレットと塩化ナトリウムを有するペレットとの間にあった。これにより、酢酸ナトリウム、クエン酸、及びコハク酸ナトリウムに関しては加速性の作用が、及び塩化ナトリウムに関しては減少性の作用が生じる。
【0099】
実施例6〜10
(本発明による、0次の「線形」遊離特色)
コア材料1000gを、流動層装置中で、EUDRAGIT NE 30 D 666g(ポリマー200gに相応)、ポリソルベート80 4g、グリセロモノステアラート 10g、酸化鉄(イエロー)1g及び脱塩水720gからなる吹付け懸濁液でコーティングした。この塗布したポリマー量は従って、前記出発材料の20%に相応した。遅延した調節剤放出を有する、このように製造したコア700g上に、コーティングパン中で、テオフィリン粉体1290g、Kollidon 25 65g及びAerosil 200 6.5gからなる混合物を散布し、脱塩水500g中のテオフィリン33g及び10 Kollidon 25からなる溶液の同時の吹付けにより、前記コア材料に結合させた。このように製造された、遅延させた調節剤コアを有するテオフィリンペレット600上gに、流動層装置中で、EUDRAGIT(R) RS 30 D 400g(ポリマー120gに相応)、タルク60g、トリエチルシトラート24g、酸化鉄(イエロー)0.6g及び脱塩水538.3gからなる吹付け懸濁液を塗布した。この塗布されたポリマー量はこれにより、この出発材料の20%に相応した。
【0100】
この実施例6〜10で製造されたペレットを、USP溶解試験器中で、PhEurリン酸塩緩衝液、pH6.8中で、作用物質放出に関して検査した:
【0101】
【表6】

【0102】
この遊離値は0次過程を示し、即ちこれはほぼ線形であった。このコア層a)からの前記調節剤遊離は従って、コハク酸ナトリウム及びクエン酸の場合には、この系からの早期の作用物質放出を妨げ、この一方でこの加速性作用はより長期間維持されたままだった。クエン酸ナトリウム及び酢酸ナトリウムの場合には、EUDRAGIT(R) RSコーティングの最も可能性のある透過性上昇は、前記調節剤配送の遅延により決して達成されることなく、一定の追加配送により、実施例1及び3からの非制御の調節剤と匹敵する、より長期でかつ線形の遊離曲線が生じる。塩化ナトリウムコアの場合には減少性の作用が、一定の追加配送により、より長期間維持されこれにより、よりゆっくりとした線形の遊離が達成される。
【0103】
実施例11(本発明によらない)
この見出した制御可能性がイオン性コーティング材料の使用を必要とするとの命題の検証のために、以下の実施例において中性のコーティング材料を有するペレットを検査した。
酢酸ナトリウム結晶700gに、コーティングパン中で、テオフィリン粉体1290g、Kollidon 25 65g、及びAerosil 200 6.5gからなる混合物を散布し、脱塩水500g中のテオフィリン33g及びKollidon 25 10gからなる溶液の同時の吹付けにより、前記コア材料に結合させた。
このように製造された、遅延させてない調節物質コアを有するテオフィリンペレット600gの上に、流動層装置中で、EUDRAGIT (R) NE30D 400g(ポリマー120gに相応)、ポリソルベート80 2.4g、グリセロモノステアラート6g、酸化鉄(イエロー)0.6g及び脱塩水432gからなる吹付け懸濁液を塗布した。
【0104】
実施例12(本発明によらない)
塩化ナトリウム700gに、コーティングパン中で、テオフィリン粉体1290g、Kollidon 25 65g、及びAerosil 200 6.5gからなる混合物を散布し、脱塩水500ml中のテオフィリン33g及び10 Kollidon 25からなる溶液の同時の吹付けにより、前記コア材料に結合させた。このように製造された、遅延させてない調節物質コアを有するテオフィリンペレット600g上に、流動層装置中で、EUDRAGIT(R) NE 30 D 400g(ポリマー120gに相応)、ポリソルベート80 2.4g、グリセロモノステアラート6g、酸化鉄(イエロー)0.6g及び脱塩水432gからなる吹付け懸濁液を塗布した。
【0105】
【表7】

・実施例1と6との比較で、前記内側制御層b)の効果を示す。
・実施例1と11との比較で、実施例1での本発明による外側制御層d)の効果を示す。
・実施例11と12との比較で、本発明による外側制御層d)の欠如の効果を、内側制御層b)の存在に依存しないで示す。
【0106】
実施例13(加速性)
酢酸ナトリウム結晶1000gを、流動層装置中で、EUDRAGIT(R) NE 30 D 666g(ポリマー200gに相応)、ポリソルベート80 4g、グリセロモノステアラート10g、酸化鉄(イエロー)1g及び脱塩水720gからなる吹付け懸濁液でコーティングした。この塗布されたポリマー量はこれにより、この出発材料の20%に相応した。このように製造された、遅延させた調節物質放出を有するコア700g上に、コーティングパン中で、テオフィリン粉体760g、塩化ナトリウム560g、Kollidon 25 65g、及びAerosil 200 6.5gからなる混合物を散布し、脱塩水500g中の10 Kollidon 25からなる溶液の同時の吹付けにより、前記コア材料に結合させた。このように製造された、前記コア層a)中の遅延させた調節物質を有するテオフィリンペレット600g上に、流動層装置中で、EUDRAGIT(R) RS 30 D 400g(ポリマー120gに相応)、タルク60g、トリエチルシトラート24g、酸化鉄(イエロー)0.6g及び脱塩水538.3gからなる吹付け懸濁液を塗布した。この塗布されたポリマー量はこれにより、この出発材料の20%に相応した。
【0107】
この実施例13で製造されたペレットを、USP溶解試験器中で、PhEurリン酸塩緩衝液、pH6.8中で、作用物質放出に関して検査してよい。この際、以下の遅延則が確認されてよい:
前記作用物質は10時間以内に遊離し、その際この最初の遊離は非常に少ない。この試験した期間にわたって、この遊離の連続的な加速が観察されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)作用物質放出に関して調節作用のある物質、場合によりコア及び/又は作用物質を含有する、コア層、
b)前記コア層からの、調節作用のある物質及び場合により含有された作用物質の放出に影響を及ぼし、医薬的に使用可能であるポリマー、ろう、樹脂、及び/又はタンパク質を含有する、内側制御層、
c)医薬的作用物質と、場合により調節作用のある物質とを含有する、作用物質層、
d)(メタ)アクリル酸のC〜Cアルキルエステル98〜85質量%及びアルキル残基に第四級アンモニウム基を有するメタクリラートモノマー2〜15質量%からなる、1つの(メタ)アクリラートコポリマー又は複数の(メタ)アクリラートコポリマーからなる混合物少なくとも60質量%までと、場合により更なる医薬的に使用可能なポリマー40質量%までとを含有する、外側制御層
を含有し、その際これらの層が、付加的にかつ自体公知の方法で、医薬的に通常の助剤を含有してよい、制御した作用物質遊離のための多層の剤形。
【請求項2】
前記コア層a)が、択一的に、ほぼ以下の成分:
I.結晶状、顆粒状、又は共沈状にある調節作用のある物質、
II.任意の順番で相互に積層しているか又は混合して存在してよい、調節作用のある物質及び作用物質、
III.調節作用のある物質で被覆した中性のコア(ノンパレル)、
IV.任意の順番で相互に積層しているか又は混合して存在してよい、調節作用のある物質及び作用物質で被覆した中性のコア(ノンパレル)
を含有することを特徴とする、請求項1記載の多層の剤形。
【請求項3】
内側制御層は、水に不溶性であるか、又は水中で単に膨潤するポリマーからなることを特徴とする、請求項1又は2記載の多層の剤形。
【請求項4】
前記ポリマーを、:
メチルメタクリラート及び/又はエチルアクリラートとメタクリル酸からなるコポリマー、メチルメタクリラート、メチルアクリラートとメタクリル酸からなるコポリマー、メチルメタクリラート、ブチルメタクリラートとジメチルエチルメタクリラートからなるコポリマー、メチルメタクリラート、エチルアクリラートとトリメチルアンモニウムエチルメタクリラートからなるコポリマー、メチルメタクリラートとエチルアクリラートからなるコポリマー、エチルアクリラート、メチルアクリラート、ブチルメタクリラートとメタクリル酸からなるコポリマー、
ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコール−グラフトコポリマー(Kollicoat(R))、デンプン及びその誘導体、ポリビニルアセタートフタラート(PVAP、Coateric(R))、ポリビニルアセタート(PVAc、Kollicoat)、ビニルアセタート−ビニルピロリドン−コポリマー(Kollidon(R) VA64)、ビニルアセタート:クロトン酸−コポリマー9:1(VAC:CRA、Kollicoat(R) VAC)、1000(g/mol)を上回る分子量を有するポリエチレングリコール、キトサン、メチルメタクリラート20〜40質量%とメタクリル酸60〜80質量%とからなる(メタ)アクリラートコポリマー、架橋及び/又は非架橋のポリアクリル酸、Na−アルギナート、及び/又はペクチン、
セルロース、例えばアニオン性カルボキシメチルセルロース及びその塩(CMC、Na−CMC、Ca−CMC、Blanose、Tylopur)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC、Duodcell(R))、ヒドロキシエチルセルロース(HEC、Klucel)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、Pharmacoat、Methocel、Sepifilm、Viscontran、Opadry)、ヒドロキシメチルエチルセルロース(HEMC)、エチルセルロース(EC、Ethocel(R)、Aquacoat(R)、Surelease(R))、メチルセルロース(MC、Viscontran、Tylopur、Methocel)、セルロースエステル、セルロースグリコラート、セルロースアセタートフタラート(CAP、Cellulosi acetas、PhEur、Celluloseacetate−phtalate、NF、Aquateric(R))、セルロースアセタートスクシナート(CAS)、セルロースアセタートトリメリアート(CAT)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート(HPMCP、HP50、HP55)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシナート(HPMCAS−LF、HPMCAS−MF、HPMCAS−HF)
から選択することを特徴とする、請求項3記載の多層の剤形。
【請求項5】
内側制御層が、ろう、例えばカルナウバろう、及び/又は蜜ろうからなることを特徴とする、請求項1又は2記載の多層の剤形。
【請求項6】
前記内側制御層のマトリックスが、樹脂セラックを含有することを特徴とする、請求項1又は2記載の多層の剤形。
【請求項7】
内側制御層は、タンパク質、例えばアルブミン、ゼラチン、グルテン、コラーゲン、及び/又はゼインからなることを特徴とする、請求項1又は2記載の多層の剤形。
【請求項8】
前記調節作用のある物質が、500を下回る分子量を有し固体の形状で存在しかつイオノゲンであることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の多層の剤形。
【請求項9】
前記調節作用のある物質が水溶性であることを特徴とする、請求項7記載の多層の剤形。
【請求項10】
前記調節作用のある物質が、有機酸又は、有機酸又は無機酸の塩であることを特徴とする、請求項7又は8記載の多層の剤形。
【請求項11】
前記調節作用のある物質が、コハク酸、クエン酸、酒石酸、ラウリル硫酸、前記酸の塩、又は以下のアニオンからなる塩:タウロコール酸イオン及びその他のコール酸イオン、塩化物イオン、酢酸イオン、乳酸イオン、リン酸イオン及び/又は硫酸イオン、であることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の多層の剤形。
【請求項12】
前記作用物質層c)がコハク酸メトプロロールを含有し、かつUSP、100rpm、pH6.8により測定された前記作用物質遊離が、4時間目までの2時間の間隔において、4時間目から10時間目までの2時間の間隔におけるよりもより遅延して行われることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の多層の剤形。
【請求項13】
前記作用物質層c)が硫酸テルブタリンを含有し、かつUSP、100rpm、pH6.8により測定された前記作用物質遊離が、12時間目までの2時間の間隔において、ほぼ一定に行われることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の多層の剤形。
【請求項14】
医薬的に通常である方法、例えば直接圧縮成形、乾燥顆粒、湿潤顆粒、又は焼結顆粒の圧縮成形、押出、及び引き続く丸み付け、湿式造粒又は乾式造粒、又は直接的なペレット化を用いたか、又は作用物質を含まない球体又は中性のコア(ノンパレル)又は作用物質含有粒子上への粉体の結合(粉末成層)によるか、又は吹付け方法又は流動層造粒を用いた自体公知の方法における、請求項1から12までのいずれか1項記載の多層の剤形の製造方法。
【請求項15】
ペレット含有錠剤、ミニ錠剤、カプセル、サシェ、発泡錠剤、又はドライシロップによる、多粒子の剤形の成分としての、請求項1から12までのいずれか1項記載の多層の剤形の使用。

【公表番号】特表2007−510676(P2007−510676A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538671(P2006−538671)
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【国際出願番号】PCT/EP2004/010297
【国際公開番号】WO2005/046649
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(390009128)レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング  (293)
【氏名又は名称原語表記】Roehm GmbH 
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】