説明

併用療法

【課題】ヒトDNアーゼIIと呼ばれる新規ヒトデオキシリボヌクレアーゼを提供する。
【解決手段】組換えDNA法により、臨床で使用するのに十分な量のヒトDNアーゼIIを生産するヒトDNアーゼIIをコードする核酸配列を取得する。DNアーゼIIタンパク質の特徴として、ヒトDNアーゼIIは酸pH至適性を持ち、活性に2価のカチオンを必要としない。ヒトDNアーゼIIの診断的および治療的使用、および医薬組成物に用いられる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
ヒトDNアーゼII 発明の分野 本発明は新たに同定されたヒトデオキシリボヌクレアーゼ(DNアーゼ)タンパク質、そのようなタンパク質をコードする核酸、そのようなタンパク質と核酸の使用、および例えば組換えDNA法によるそのようなタンパク質と核酸の製造に関する。
【0002】
発明の背景
デオキシリボヌクレアーゼ(DNアーゼ)はポリデオキシリボ核酸を加水分解することができるホスホジエステラーゼであり、いくつかの分子型で存在することが知られている。その生化学的特性と酵素活性に基づいて、DNアーゼタンパク質はDNアーゼIとDNアーゼIIの2つのタイプに分類されている。DNアーゼIタンパク質は、至適pH(pH至適性)がほぼ中性であり、2価のカチオンを必ず必要とし、DNAの加水分解により5’−リン酸ヌクレオチドを生じる。
DNアーゼIIタンパク質は酸pH至適性を持ち、活性化に2価のカチオンを必要とせず、DNAの加水分解により3’−リン酸ヌクレオチドを生じる。
【0003】
様々な種由来のDNアーゼが種々の程度で精製されてきた。例えば、種々の型のウシDNアーゼIは精製され、完全に配列決定されており(Liaoら、J.Biol.Chem.248:1489-1495(1973);Oefnerら、J.Mol.Biol.192:605-632(1986);Lahmら、J.Mol.Biol.221:645-667(1991))、ウシDNアーゼIをコードするDNAはクローンされ、発現している(Worrallら、J.Biol.Chem 265:21889-21895(1990))。ブタおよびオルシン(orcine)DNアーゼIタンパク質も精製され、完全に配列決定されている(Paudelら、J.Biol.Chem.261:16006-16011(1986);Paudelら、J.Biol.Chem.261:16012-16017(1986)。
【0004】
ヒトDNアーゼIをコードするDNAが単離され、配列決定されており、該DNAが組換え宿主細胞中で発現することにより、商業的に有用な量のヒトDNアーゼIを産生することができる(Shakら、Proc.Natl.Acad.Sci.87:9188-9192(1990))。以下、用語「ヒトDNアーゼI」は、Shakらが開示した成熟ポリペプチドを表すのに用いる。
ヒトDNアーゼIとの相同性を有する他のポリペプチドをコードするDNAも同定されている(Rosenら、PCT特許公開公報第WO95/30428号(1995年11月16日公開)、およびParrishら、Hum.Mol.Genet.4:1557-1564(1995))。
【0005】
DNアーゼIは多くの知られた有用性を持ち、治療目的に使われてきた。その主な治療的使用は、肺炎および嚢胞性繊維症(CF)といった疾患において肺の分泌液(粘液を含む)の粘弾性を低下させることにより、気道をきれいにするのを助けることである(例えば、Lourencoら、Arch.Intern.Med.142:2299-2308(1982);Shakら、Proc.Natl.Acad.Sci.87:9188-9192(1990;Hubbardら、New Engl.J.Med.326:812-815(1992);Fuchsら、New Engl.J.Med.331:637-642(1994);Brysonら、Drugs 48:894-906(1994))。粘液は慢性気管支炎、喘息性気管支炎、気管支拡張症、肺気腫、急性および慢性副鼻腔炎、および普通の風邪の罹患率にも関与する。DNアーゼIは、肺の分泌物中に存在する高分子量のDNAを加水分解または分解することによりそのような分泌物の粘弾性を減少させるのに有効である(Shakら、Proc.Natl.Acad.Sci.87:9188-9192(1990);Aitkenら、J.Am.Med.Assoc.267:1947-1951(1992))。
【0006】
ウシDNアーゼII(Lesca,J.Biol.Chem.251:116-123(1976)、ヒトDNアーゼII(Yamanakuら、J.Biol.Chem.249:3884-3889(1974);Muraiら、J.Biochem.87:1097-1103(1980);Haroshら、Eur.J.Biochem.202:479-484(1991);Yasudaら、Biochem.Biophys.Acta 1119:185-193(1992))、ブタDNアーゼII(Bernardiら、Biochemitry 4:1725-1729(1965);Liaoら、J.Biol.Chem.260:10708-10713(1990))、およびラットDNアーゼII(Dulaneyら、J.Biol.Chem.247:1424-1432(1972))を含むDNアーゼIIの種々の型が精製されたことも報告されている。これらの報告に記載のヒトDNアーゼIIタンパク質の物理特性はかなり異なっており(例えば、分子量の範囲は32000〜45000ダルトンと報告されている)、ヒトタンパク質に1または複数の天然型があるかどうかを不明確にしている。
【0007】
ヒトDNアーゼIIは、アポプトーシスのプログラムされた細胞死の過程に役割を果たす可能性があることから、最近関心が寄せられている(Barryら、Arch.Biochem.Biophys.300:440-450(1993);Barryら、Cancer Res.53:2349-2357(1993))。その過程に特徴的な事象の1つは、核DNAが分解してヌクレオソーム断片となることである。ヒトDNアーゼIIの発現またはヒト細胞内におけるその酵素活性を抑制または阻害する能力は、DNAのそのような細胞内での破壊を抑制または制限するのに重要であり、アポプトーシスの過程を中断させるのに有効な手段かもしれない。他の場合では、それは患者(ヒトの)のある細胞ポピュレーション、例えば癌細胞内でのヒトDNアーゼIIの発現を増大させることにより、該細胞のアポプトーシスを誘導するのに有用であるかもしれない。
【0008】
発明の要約
本発明は、DNA加水分解活性を有するヒトDNアーゼIIタンパク質およびその類似体ならびに変異体を提供する。一般にDNアーゼIIタンパク質の特徴として、本発明のヒトDNアーゼIIは酸pH至適性を持ち、活性に2価のカチオンを必要としない。
【0009】
本発明は、ヒトDNアーゼIIをコードする核酸、そのような核酸を含有する組換えベクター、該核酸またはベクターで形質転換された組換え宿主細胞、および組換えDNA技術によるヒトDNアーゼIIの製造方法も提供する。本発明には、in vivoまたはex vivo遺伝子療法にそのような遺伝子およびベクターを使用することが含まれる。
本発明は、ヒトDNアーゼIIをコードする細胞内の核酸と結合し、その発現を抑制することができるいわゆるアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む相補性核酸も提供する。
本発明は、ヒトDNアーゼIIを、所望により医薬的に許容される賦形剤と共に含む医薬組成物、およびヒトDNアーゼIIと結合することができる実質的に純粋な抗体も提供する。
【0010】
本発明は、治療的有効量のヒトDNアーゼIIを患者に投与することを含む、患者におけるDNA含有物質の粘弾性または粘稠度(viscous consistency)を低下させる方法も提供する。本発明は、特に、嚢胞性繊維症、慢性気管支炎、肺炎、気管支拡張症、肺気腫、喘息、または全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus)のような疾病を有する患者に対し、治療的有効量のヒトDNアーゼIIを投与することを含む該患者の治療方法を目的とする。本発明は、生物試料または他の物質中に存在するDNAの分解や診断的および他のアッセイといったin vitroにおけるヒトDNアーゼIIの使用も目的とする。
本発明のこれらおよび他の局面は、以下の詳細な説明を考慮することにより当業者に明らかされよう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A−B】図1はヒトDNアーゼIIのヌクレオチド配列(配列番号1)および推定アミノ酸配列(配列番号2)を示す。予測されるリーダー(シグナル)アミノ酸配列には下線を付し、成熟タンパク質の開まりを矢じり印で示す。8個のシステイン残基をアステリスクで示し、潜在的N結合グリコシル化部位をボックスで囲んだ。
【0012】
詳細な説明
本発明の種々の局面は、ヒトDNアーゼIIの配列をコードするヌクレオチドを含む単離されたDNAを最初に提供することにより達成される。ヒトDNアーゼIIの配列をコードする完全ヌクレオチドを提供することにより、本発明は組換えDNA技術によるヒトDNアーゼIIの生産を可能とし、それにより初めて、診断および治療に使用するための十分量の実質的に純粋なヒトDNアーゼIIタンパク質を利用可能にする。
【0013】
本明細書で用いている、用語「ヒトDNアーゼII」は、図1に示す成熟タンパク質のアミノ酸配列を有するポリペプチド、および本明細書に示すその修飾型および変異体型を表す。ヒトDNアーゼIIの修飾型および変異体型は、化学的または酵素的処理によりin vitroで製造されるか、または組換えDNA技術によりin vivoで製造される。そのようなポリペプチドは、例えば、1またはそれ以上のアミノ酸の置換、挿入および/または欠失によりヒトDNアーゼIIと異なるかまたはグリコシル化の程度やパターンが異なるが、すべての場合において、DNA加水分解活性を持つであろう。ヒトDNアーゼIIの「変異体」または「アミノ酸配列変異体」は、ヒトDNアーゼIIと異なるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。一般的に、変異体は、ヒトDNアーゼIIと少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性、最も好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するであろう。配列同一性のパーセンテージは、最大の相同性が得られるように配列の位置を調節した後、例えば、Needlemanら、J.Mol.Biol.48:443-453(1970)記載のアルゴリズムの変形、Fitchら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:1382-1386(1983)により決定される。そのような変異体には、ヒト起源のヒトDNアーゼIIの天然のアレル(対立遺伝子)型や他の動物種にみられるヒトDNアーゼIIの天然の相同物が含まれる。
【0014】
「DNA−加水分解活性」とは、基質DNAを加水分解(開裂)し、3’−リン酸化オリゴヌクレオチド終末産物を生じるヒトDNアーゼIIの酵素活性をいう。DNA−加水分解活性は、分析的ポリアクリルアミドおよびアガロースゲル電気泳動、ハイパークロミシティー(吸光度上昇性)アッセイ(Kunitz,J.Gen.Physiol.33:363-377(1950);Kunitz,J.Gen.Physiol.33:349-362(1950))、またはメチルグリーンアッセイ(Kurnick,Arch.Biochem.29:41-53(1950);Sinicropiら、Anal.Biochem.222:351-358(1994))を含む当該分野で知られた種々の方法により容易に測定される。日常的に、これら方法に用いるpHおよび緩衝液は、特定のヒトDNアーゼIIがそのような活性を有するような条件を与えるように変更される。
【0015】
便宜上、ヒトDNアーゼIIのアミノ酸配列中の置換、挿入、および/または欠失は、通常、例えば部位指向性突然変異誘発により、ヒトDNアーゼIIをコードするDNAの対応ヌクレオチド配列中に突然変異を導入することにより行なわれる。次いで突然変異DNAの発現により、所望のアミノ酸配列を有する変異体ヒトDNアーゼIIが産生される。
部位指向性突然変異誘発を行なうために、当該分野知られたあらゆる技術を用いることができるが(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York(1989)に開示)、オリゴヌクレオチド指向性突然変異誘発は本発明のヒトDNアーゼII変異体の好ましい製造方法である。当該分野でよく知られているこの方法(Zollerら、Meth.Enzymol.100:4668-500(1983);Zollerら、Meth.Enzymol.154:329-350(1987);Carter,Meth.Enzymol.154:382-403(1987);Kunkelら、Meth.Enzymol.154:367-382(1987);Horwitzら、Meth.Enzymol.185:599-611(1990))は、欠失および挿入変異体および複数の置換、挿入および/または欠失突然変異を有する変異体を好都合に作製するのにも用いてよいが、置換変異体を作製するのに特に適している。
【0016】
簡単には、ヒトDNアーゼII(またはその変異体)をコードするDNAの部位指向性突然変異誘発を実施するには、最初に該DNAの一本鎖に所望の突然変異をコードするオリゴヌクレオチドをハイブリダイズすることにより該DNAを変化させる。ハイブリダイゼーション後、ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドをプライマーとし、該DNAの一本鎖を鋳型として、DNAポリメラーゼを用いて完全な第二鎖を合成する。このようにして、得られる二本鎖DNA中に所望の突然変異をコードするオリゴヌクレオチドを組み込む。
【0017】
オリゴヌクレオチドは、天然DNAを精製するかまたはin vitroで合成するといったあらゆる適切な方法によって製造することができよう。例えば、オリゴヌクレオチドはNarangら、Meth.Enzymol.68:90-98(1979);Brownら、Meth.Enzymol.68:109-151(1979);Caruthersら、Meth.Enzymol.154:287-313(1985)に記載のような種々の有機化学の技術を用いて容易に合成される。部位指向性突然変異に用いる適切なオリゴヌクレオチドを選択するための一般的アプローチはよく知られている。典型的には、該オリゴヌクレオチドは10〜25またはそれ以上のヌクレオチドを含み、該オリゴヌクレオチドが一本鎖DNA鋳型分子に対して所望の位置に優先的に確実にハイブリダイズするように所望の突然変異をコードする配列のいずれかの側の少なくとも5ヌクレオチドを含むであろう。
【0018】
「ポリメラーゼ鎖反応」または「PCR」は、一般的には、例えば米国特許第4683195号に記載の、所望のヌクレオチド配列をin vitroで増幅させる方法をいう。一般的に、PCR法は、鋳型核酸と優先的にハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドプライマーを用いるプライマー伸張合成の反復サイクルを含む。
PCR突然変異誘発(Higuchi、PCR Protocols中,177-183(AcademicPress,1990);Valletteら、Nuc.Acids Res.17:723-733(1989)は、ヒトDNアーゼIIの変異体を作製するのにも適している。簡単には、PCRにおいて少量の鋳型DNAを出発材料に用いる場合は、鋳型DNA中の対応領域由来の配列とわずかに異なるプライマーを用いて、比較的大量の、該プライマーが該鋳型と異なる部位のみが鋳型配列と異なる特異的DNA断片を生じることができる。プラスミドDNA中に突然変異を導入するには、例えば該プライマーの一つの配列は、所望の突然変異を含み、突然変異の該位置でプラスミドDNAの一方の鎖とハイブリダイズするように設計され、他のプライマーの配列はプラスミドDNAの反対側の鎖内のヌクレオチド配列と同一でなければならないが、この配列はプラスミドDNAに沿ったどの位置にも位置することができる。しかしながら、第二プライマー配列は、末端をプライマーで挟まれたDNAの完全な増幅領域を容易に配列決定することができるように第一プライマー配列から200ヌクレオチド以内に位置することが好ましい。記載したようなプライマーペアを用いるPCR増幅は、プライマーで特定された突然変異の位置、および鋳型のコピーでは幾分エラーが生じやすいためおそらく他の位置が異なるDNA断片のポピュレーションを生じる(Wagnerら、PCR Topics中,69-71頁(Springer-verlag,1991))。
【0019】
生成物増幅DNAに対する鋳型の比が極めて低いときは、大部分の生成物DNA断片は所望の突然変異を組み込む。この生成物DNAを用い、標準的組換えDNA法を用いて、PCR鋳型として用いるプラスミド中の対応領域を置換する。
別の位置の突然変異は、突然変異体第二プライマーを用いるか、または異なる突然変異体プライマーを用いて第二PCRを実施し、得られる2つのPCR断片を3(またはそれ以上)パートライゲーションにて同時にプラスミド断片と連結することにより同時に導入することができる。
【0020】
変異体の別の製造方法、カセット突然変異誘発はWellら,Gene,34:315-323(1985)に記載の技術に基づく。出発物質は突然変異させるDNA配列を含むプラスミド(または他のベクター)である。突然変異させる出発DNA中のコドンを同定する。同定された突然変異部位の各部位上に独特な制限エンドヌクレアーゼ部位がなければならない。そのような制限部位が存在しなければ、DNA中の適切な位置に該部位を導入するための上記オリゴヌクレオチド介在突然変異誘発を用いて該部位を生じさせることができよう。プラスミドDNAを該部位で切断して線状にする。所望の突然変異を含む、該制限部位間の該DNAの配列をコードする二本鎖オリゴヌクレオチドを、二本の該オリゴヌクレオチド鎖を別々に合成し、次いでこれを標準的技術を用いて一緒にハイブリダイズする、標準的手順を用いて合成する。この二本鎖オリゴヌクレオチドをカセットと呼ぶ。このカセットは、プラスミドと直接連結することができるように、線状化プラスミドの末端と適合性の5’および3’末端を有するように設計される。得られるプラスミドは突然変異DNA配列を含む。
【0021】
DNA中の突然変異の存在は、制限マッピングおよび/またはDNAの配列決定を含む当該分野でよく知られた方法によって確定される。好ましいDNAの配列決定法は、Sangerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 72:3918-3921(1979)のジデオキシ鎖終止法である。
さらにクローニングまたは発現のために、ヒトDNアーゼIIをコードするDNAを複製可能なベクターに挿入する。「ベクター」は、プラスミド、および宿主細胞内で複製することができる他のDNAであり、それ自身で、適合性の宿主細胞とともに2つの機能(ベクター−宿主系)を果たすのに有用である。1つの機能は、ヒトDNアーゼIIをコードする核酸のクローニングの促進、すなわち、使用可能な量の核酸を生産することである。他の機能はヒトDNアーゼIIの発現を指示することである。これら機能の1または両方はクローニングまたは発現に用いる特定の宿主細胞中のベクターによって果たされる。該ベクターはそれが果たすべき機能に応じて異なる成分を含むであろう。
本発明のヒトDNアーゼIIは、リーダーまたはシグナル配列を含むプレタンパク質の形で発現するか、またはリーダーまたはシグナル配列を欠く成熟タンパク質の形であってよい。ヒトDNアーゼIIは、さらなるアミノ酸残基が該DNアーゼのプレタンパク質または成熟型のアミノまたはカルボキシ末端と共有結合する融合タンパク質の形であってもよい。
【0022】
ヒトDNアーゼIIを産生するには、発現ベクターは上記のごとくプロモーターおよびリボソーム結合部位と機能性に結合したヒトDNアーゼIIをコードするDNAを含むであろう。次に、ヒトDNアーゼIIは組換え細胞培養中で直接発現するか、またはヘテロローガスなポリペプチド、好ましくはシグナル配列またはヘテロローガスなポリペプチドとヒトDNアーゼIIアミノ酸配列間の接合部に特異的な開裂部位を有する他のポリペプチドとの融合物として発現する。
【0023】
「機能性に(operably)結合した」とは、2またはそれ以上のDNA配列が正常な機能を果たすことができるような互いの配置に酵素的結合または別の方法により共有結合することをいう。例えば、プレ配列または分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現する場合はポリペプチドのDNAと機能性に結合しているか、プロモーターまたはエンハンサーはそれがコード配列の転写に影響を及ぼす場合は該配列と機能性に結合しているか、またはリボソーム結合部位はそれが翻訳を促進するような位置にある場合はコード配列と機能性に結合している。一般的に、「機能性に結合した」とは、結合しているDNA配列が隣接し、また、分泌リーダーの場合は隣接し、そして読み取り状態にあることを意味する。結合は好都合な制限部位で連結することにより達成される。そのような部位が存在しない場合は、標準的組換えDNA法と共に合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーを用いる。
【0024】
原核生物(例えば、E.coli、Bacillus株、Pseudomonas、および他の細菌)は本発明の初期のクローニング段階のために好ましい宿主細胞である。原核生物は、大量のDNAの急速な生産、部位指向性突然変異誘発に用いる一本鎖DNA鋳型の生産、および生じた変異体のDNAの配列決定に特に有用である。原核性宿主細胞もヒトDNアーゼIIをコードするDNAの発現に用いることができよう。
原核細胞中で生産されるポリペプチドは典型的にはグリコシル化されていないであろう。
さらに、ヒトDNアーゼIIは、真核性微生物(例えば酵母)または動物または他の多細胞生物(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞、または他の哺乳動物細胞)を含む真核性宿主細胞中、または生存動物(例えば、乳牛、ヤギ、ヒツジ)中で発現してよい。昆虫細胞および真菌を用いてもよい。
【0025】
クローニングおよび発現のための方法論は当該分野でよく知られている。ヒトDNアーゼIIの生産に用いるのに適した原核性および真核性宿主細胞、および出発発現ベクターは、例えば、Shak、PCT特許公開公報第WO90/07572号(1990年7月12日公開)に開示されているものである。ヒトDNアーゼIIを発現させるには、本発明の発現ベクターを形質転換またはトランスフェクションにより宿主細胞中に導入し、得られた組換え宿主細胞を、プロモーターを導入し、組換え細胞を選択し、またはヒトDNアーゼIIDNAを増幅するのに適するように修飾した通常の栄養培地中で培養する。温度、pHなどの培養条件は、先に宿主細胞で用いたものであり、それ自体、当業者に明らかであろう。
【0026】
「形質転換」および「トランスフェクション」は細胞にDNAを導入する方法を示すのに互換性に用いられる。形質転換またはトランスフェクション後、DNAは宿主細胞ゲノムに統合されるか、または染色体外エレメントとして存在してよい。原核細胞または実質的な細胞壁構造を含む細胞を宿主に用いる場合は、DNAによる細胞の好ましいトランスフェクション方法は、Cohenら、Proc.Natl.Acad.Sci.69:2110-2114(1972)に記載のカルシウム処理法、またはChungら、Nuc.Acids.Res.16:3580(1988)のポリエチレングリコール法である。酵母を宿主として用いる場合は、トランスフェクションは一般的にHinnen,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,75:1929-1933(1978)の開示したようにポリエチレングリコールを用いて達成される。哺乳動物細胞を宿主に用いる場合は、トランスフェクションは一般に、リン酸カルシウム沈殿法により実施される(Grahamら、Virology 52:546(1978),Gormanら、DNA and Protein Eng.Tech.2:3-10(1990))。しかしながら、核インジェクション、エレクトロポーレーションまたはプロトプラスト融合法といった、原核性および真核性細胞中にDNAを導入するための他の知られた方法も本発明に用いるのに適している。
【0027】
本発明では、ヒトDNアーゼIIをコードするDNAの哺乳動物における一時的な発現をもたらす発現ベクターが特に有用である。一般的には、一時的発現には、宿主細胞が発現ベクターの多くのコピーを蓄積し、次いで、発現ベクターによってコードされた所望のポリペプチドを高レベルに合成するように、宿主細胞中で効率的に複製することができる発現ベクターを用いることが含まれる。適切な発現ベクターと宿主細胞を含む一時的発現系により、クローンされたDNAがコードするポリペプチドの好都合で明確な確認、およびそのようなポリペプチドの所望の生物学的または生理学的特性の速やかなスクリーニングが行なえる(Leeら、Proc.Nat Acad.Sci.USA 82:4360-4364(1985);Yangら、Cell 47:3-10(1986))。すなわち、一時的発現系は、in vivoにおける半減期の増加または免疫原性の低下、または生理学的pHにおけるDNAの加水分解活性の増大といった有用な特性を有する変異体を確認するためのアッセイと共に、ヒトDNアーゼIIのアミノ酸配列変異体をコードするDNAを発現させるのに好都合に用いられる。
【0028】
好ましくは、ヒトDNアーゼIIは、それが発現する宿主細胞から分泌され、そのような場合には該変異体は宿主細胞が増殖する培養液から回収される。そのような場合には、培地中に血清タンパク質および他の血清成分がないと変異体の精製が促進されるであろうから、無血清培養液中で細胞を増殖させるのが好ましいであろう。ヒトDNアーゼIIが分泌されない場合は、それは宿主細胞の溶解物から回収される。ヒトDNアーゼIIがヒト起源以外の宿主細胞中で発現する場合は、該変異体はヒト起源のタンパク質をまったく含まないであろう。少なくとも、ヒトDNアーゼIIの実質的に均質な調製物を得るには、組換え細胞タンパク質からヒトDNアーゼIIを精製する必要があろう。治療的に用いるには、精製ヒトDNアーゼIIは純度99%以上であることが好ましいであろう(すなわち、いかなる他のタンパク質も精製組成物中に総タンパク質の1%以下しか含まないであろう)。
【0029】
さらに、ヒトDNアーゼIIは、例えば、PCT特許公開公報第WO91/06667号(1991年5月16日公開)に記載のようなホモローガスな組換えおよび増幅を含む方法により製造されると予期される。簡単には、この方法は、ヒトDNアーゼIIをコードする内在性遺伝子を含む細胞を、(1)増幅可能な遺伝子(例えば、ジヒドロフォーレート還元酵素(DHFR)をコードする遺伝子)、および(2)ヒトDNアーゼIIをコードする遺伝子内にあるかまたは近接した細胞ゲノム中のヌクレオチド配列とホモローガスな、少なくとも約150塩基対の長さを有する少なくとも1個のフランキング配列を含むホモローガスなDNAで形質転換することを含む。形質転換は、ホモローガスなDNAが組換えにより細胞ゲノム内に統合されるような条件下で実施される。次いで、ホモローガスなDNAを統合した細胞を増幅可能な遺伝子を増幅させるのに選ばれる条件下に置くことにより、ヒトDNアーゼII遺伝子を付随的に増幅させる。次に、得られる細胞が所望の量のヒトDNアーゼIIを生産するかをスクリーニングする。ヒトDNアーゼIIをコードする遺伝子に近接したフランキング配列は、例えば、図1に示すヒトDNアーゼIIのヌクレオチド配列を出発点に用いるゲノミックウォーキング法により容易に同定される(Spoerelら、Meth.Enzymol,152:598-603(1987))。
【0030】
一般的に、ヒトDNアーゼIIの精製は、ヒトDNアーゼIIの、ヒトDNアーゼIIとの関連が考えられる夾雑物に比べて特異的な物理化学特性を利用することにより達成される。例えば、第一段階として、培養液または宿主細胞溶解物を遠心し、粒状の細胞デブリ(屑)を除去する。次に、例えば、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、ゲルろ過(分子排除クロマトグラフィー)、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、イムノアフィニティークロマトグラフィー(例えば、セファロースと結合した抗ヒトDNアーゼII抗体を含むカラムを用いる)、テンタクル(tentacle)陽イオン交換クロマトグラフィー(Frenzら、米国特許第5279823号、1994年1月18日発行)、逆相HPLC、および/またはゲル電気泳動により、ヒトDNアーゼIIを夾雑物の可溶性タンパク質およびポリペプチドから精製する。
【0031】
ある宿主細胞(特に細菌宿主細胞)では、ヒトDNアーゼIIは、最初、その精製の過程でヒトDNアーゼIIを可溶化し、復元する必要がある、不溶性の凝集型(当該分野では「屈折体」または「封入(inclusion)体」という)で発現することができよう。組換えタンパク質の屈折体を可溶化し、復元する方法は当該分野で知られている(例えば、Builderら、米国特許第4511502号、1985年4月16日発行)。
【0032】
本発明の別の態様では、ヒトDNアーゼIIを直接、共有結合修飾(covalent modification)することにより、所望の特性(例えば、in vivoにおける半減期の増大または免疫原性の低下、または生理学的pHにおけるDNAの加水分解活性の増大)をもたらすが、該共有結合修飾は上記のアミノ酸配列の置換、挿入および欠失突然変異に加えてかまたはその代わりになされてよい。
【0033】
共有結合修飾は、ヒトDNアーゼIIの標的アミノ酸残基を、選択したアミノ酸側鎖またはNもしくはC末端残基と反応することができる有機誘導化(derivatizing)剤と反応させることにより導入される。適切な誘導化剤および方法は当該分野でよく知られている。該タンパク質のアミノ酸残基とグリコシドとの共有結合カップリングを用いて、炭水化物置換基の数またはプロフィールを修飾または増加させることができよう。
【0034】
ポリエチレングリコール(PEG)またはヒト血清アルブミンのような試薬の共有結合的付着により、他のタンパク質で観察されるようなヒトDNアーゼIIの免疫原性および/または毒性を低下させ、そして/またはその半減期を延長させることができよう(Abuchowskiら、J.Biol.Chem.252:3582-3586(1977);Poznanskyら、FEBS Letters 239:18-22(1988);Goodsonら、Biotechnology 8:343-346(1990);Katre,J.Immunol.144:209-213(1990);Harris,Polyethylene Glycol Chemistry(Plenum Press,1992))。別の例として、ヒトDNアーゼIIの変異体または修飾型は、唾液または他の生物学的物質中に存在するかもしれないプロテアーゼ(例えば、好中球エラスターゼ)による分解に対する該変異体の感受性を、ヒトDNアーゼIIに比べて低下させるアミノ酸配列の突然変異または他の共有結合修飾を含むことができよう。
【0035】
ヒトDNアーゼIIに対する抗体は、ヒトDNアーゼIIまたはその断片を、所望により免疫原性ポリペプチドと共に用いて動物を免疫し、次いで、免疫動物の血清から抗体を回収することにより生産される。あるいはまた、免疫動物の細胞から通常の方法によりモノクローナル抗体が作製される。該抗体は、当該分野で知られた方法を用いて、キメラ(例えばヒト化)または一本鎖抗体またはFab断片の形で作製することもできる。好ましくは、該抗体はヒトDNアーゼIIと結合するが、他のDNアーゼタンパク質(ヒトおよびウシDNアーゼIのような)と実質的に結合(すなわち、交叉反応)しないであろう。該抗体は、例えば、ヒトDNアーゼIIを検出し、組織または臨床試料におけるそのレベルを測定するための、ヒトDNアーゼIIの局在性および活性に関連する方法に用いることができる。
【0036】
固定化抗ヒトDNアーゼII抗体は、診断目的で臨床試料中のヒトDNアーゼIIを検出し、また、ヒトDNアーゼIIを精製するのに特に有用である。
精製ヒトDNアーゼIIは、唾液、粘液または他の肺分泌物のようなDNAを含む物質の粘弾性を減少させるのに用いられる。ヒトDNアーゼIIは、伝染性肺炎、気管支炎または気管気管支炎、気管支拡張症、嚢胞性繊維症、喘息、結核、および真菌感染症を含む急性または慢性の気管支肺疾患のような病状、および異常な粘性または濃縮分泌物を有する肺疾患患者を治療するのに特に有用である。そのような治療には、ヒトDNアーゼIIの溶液または微細に分割した乾燥調製物を患者の気道(例えば気管支)または肺に通常の方法、例えばエアロゾル化によりしみ込ませる。
【0037】
ヒトDNアーゼIIは、蓄膿症(empyema)、髄膜炎、膿瘍、腹膜炎、副鼻腔炎、耳炎、歯周炎、心膜炎、膵炎、胆石症、心内膜炎、および敗血症性関節炎のような病状における膿瘍または重症の閉鎖腔(space)の感染症の補助治療、および皮膚および/または粘膜の感染性病変、外科手術の傷、潰瘍性疾患および火傷のような種々の炎症性および感染性病変の局所治療にも有用である。ヒトDNアーゼIIはそのような感染症の治療に用いる抗生物質の有効性を改善することができよう(例えば、ゲンタマイシン活性は完全DNAとの可逆的結合により著しく低下する)。
【0038】
ヒトDNアーゼIIは、嚢胞性繊維症、慢性気管支炎、喘息、肺炎、または他の肺疾患を有する患者や、呼吸が換気装置や他の機械式用具で補助されている患者、または呼吸器感染症が生じる危険性がある他の患者、例えば外科手術後の患者に起きるかもしれないような呼吸器感染症の新たな発生および/または悪化を予防するのにも有用である。
ヒトDNアーゼIIは、多用な自己抗体の産生を特徴とする生命を脅かす自己免疫病である全身エリテマトーデス(SLE)の治療にも有用である。DNAは免疫複合体の主な抗原性成分である。この場合には、ヒトDNアーゼIIを、罹患患者に対し、例えば静脈内、皮下、クモ膜下、または筋肉内投与により全身投与することができよう。
【0039】
最後に、ヒトDNアーゼIIは、腎盂腎炎および尿細管(tubulo)間質性腎疾患のような細胞DNAを含む細胞デブリの蓄積がみられる他の非感染性病状の治療に有用である。
ヒトDNアーゼIIは、治療的に有用な組成物を製造するための既知の方法に従って製剤化することができる。典型的には、ヒトDNアーゼIIは治療に使用する生理学的に許容される賦形剤(または担体)と共に製剤化される。そのような賦形剤は、例えば、ヒトDNアーゼIIの液体製剤および持続放出製剤を提供するのに使用される。ヒトDNアーゼII製剤を罹患患者の気道や肺に直接投与するために、ヒトDNアーゼIIをジェットネブライザーおよび超音波ネブライザーを含む市販のネブライザーと共に用いることができよう。別の好ましい治療組成物は、好ましくはヒトDNアーゼII溶液のスプレードライにより製造されたヒトDNアーゼIIの乾燥粉末である。すべての場合において、DNアーゼIIの治療的組成物は無菌であることが望ましい。好ましくは、該治療的組成物はプラスチックまたは他の非ガラス物質で作られた容器中に入れられる。
【0040】
さらなる態様において、該治療的組成物はヒトDNアーゼIIを活発に産生する細胞を含む。そのような細胞を患者組織内に直接導入するか、または該細胞を多孔膜内に封入し、次いでこれを患者に移植することにより、DNA加水分解活性の濃度を増加させることが必要な患者体内の領域内にヒトDNアーゼIIを供給することができよう(例えば、Aebischerら、米国特許第4892538号、1990年1月9日発行;Aebischerら、米国特許第5283187号、1994年2月1日発行参照)。本発明のある態様において、患者の細胞をin vivoまたはex vivoでヒトDNアーゼIIをコードするDNAで形質転換し、次いでこれを用いて患者内で直接ヒトDNアーゼIIを生産させる。この後者の方法は、一般に遺伝子療法と呼ばれる。別の態様では、患者の細胞を、内在性ヒトDNアーゼII遺伝子の発現を活性化するかまたは増大させることができる他のDNA(プロモーター、エンハンサーまたは増幅可能な遺伝子のような)で形質転換する。
【0041】
ある環境では、細胞中で発現したヒトDNアーゼIIの量を減少させることが好ましいかもしれない。その目的には、ヒトDNアーゼIIアンチセンスオリゴヌクレオチドを作製することができ、また、細胞内のヒトDNアーゼIIレベルを減少させるのに用いられる方法には、1またはそれ以上のヒトDNアーゼIIアンチセンスオリゴヌクレオチドを細胞に導入することが含まれる。用語「ヒトDNアーゼIIアンチセンスオリゴヌクレオチド」は、細胞内でのヒトDNアーゼIIの発現に関与する相補性ヌクレオチド配列と対になる(pairing)塩基を通して相互作用することにより、そのような発現に干渉することができるヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドを表す。
【0042】
ヒトDNアーゼIIの治療的有効量は、例えば、処置する物質中のDNAの量、治療目的、投与経路、および患者の病状に依存するであろう。したがって、治療専門家は最適な治療効果を得るのに必要な用量を決め(titer)、投与経路を変更する必要があろう。一般的にヒトDNアーゼIIの治療的有効量は、患者の体重1kgあたり該変異体約0.1μg〜約5mgの用量であり、本明細書に記載のごとく医薬組成物として投与される。
【0043】
所望により、ヒトDNアーゼIIは、抗生物質、気管支拡張薬、抗炎症剤、粘液溶解剤(例えば、n−アセチル−システイン)、アクチン結合タンパク質またはアクチン切断タンパク質(例えば、ゲルソリン(gelsolin);Matsudairaら、Cell 54:139-140(1988);Stosselら、PCT特許公開公報第WO94/22465号(1994年10月13日公開);プロテアーゼインヒビター;または遺伝子治療生成物(例えば、嚢胞性繊維症貫膜伝導度調節物質(CFTR)遺伝子;Piordanら、Science 245:1066-1073(1989)を含む)といった、上記の病状を治療するのに用いる1またはそれ以上の他の薬理学的物質と組み合わされるか、または協力して投与される。
【0044】
本発明は、細胞、組織または生物学的液体から調製した試験試料を、ヒトDNアーゼIIの配列をコードするヌクレオチドのすべてまたは部分を含む単離されたDNAと接触させることにより、該単離されたDNAが該試験試料中の核酸分子とハイブリダイズするかどうかを決定することを含む、該試験試料中のヒトDNアーゼIIをコードする核酸分子の存在を検出する方法も提供する。ヒトDNアーゼIIの配列をコードするヌクレオチドのすべてまたは部分を含むDNAは、ヒトDNアーゼIIの天然のアレル変異体をコードする核酸のようなヒトDNアーゼIIのコード配列と実質的な配列同一性を有する核酸を同定し、単離するためのハイブリダイゼーションアッセイにも用いられる。
ポリメラーゼ鎖反応のプライマーとしてヒトDNアーゼIIの配列をコードするヌクレオチドの部分を有するオリゴヌクレオチドの使用を含む試験試料中に存在するヒトDNアーゼIIをコードする核酸分子を増幅する方法も提供する。
以下の実施例は単なる例示として提供されるものであり、何ら本発明を限定するものではない。本明細書で引用しているすべての特許および刊行物文献は本明細書の一部を構成する。
【実施例】
【0045】
実施例1 ヒトDNアーゼIIcDNAのクローニング
ヒトDNアーゼIIをコードする完全長cDNAは、T4ポリヌクレオチドキナーゼおよびp−32P−アデノシン三リン酸により高い比放射活性となるように末端を標識された以下のオリゴヌクレオチドプローブの混合物を用いてヒト胎盤cDNAライブラリー(p−gt11、Clonthech, Palo Alto, California USA)をスクリーニングすることにより同定された。

【0046】
上記オリゴヌクレオチドプローブの最初の2つ(配列番号3および4)は、Genbankデータベースに受け入れコードT53394を持つEST配列の部分を含む。
cDNAライブラリーに対する該プローブのハイブリダイゼーションは、42pCで20時間、低ストリンジェンシー条件下(20% vol/volホルムアミド、5× SSPE、5×Denhart溶液、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、および100μg/mL超音波処理サケ精子DNA中)で行なった。ハイブリダイゼーション後の洗浄は42pCで、2× SSC、0.1%SDS中で行なった。1× SSPEは150mM NaCl、10mMリン酸ナトリウム、1mM EDTA(pH7.4)である。
1× Denhardt溶液は0.02% Ficoll、0.02%ウシ血清アルブミン、および0.02%ポリビニルピロリドンである。1× SSCは、0.15M NaCl、0.015Mクエン酸ナトリウム(pH7.0)である。
ハイブリダイゼーション陽性ファージクローンを単離し、標準的方法に従ってそのDNAを配列決定した。ハイブリダイゼーション陽性ファージクローン中に、長さ360アミノ酸残基の推定タンパク質をコードする1080塩基対のオープンリーディングフレームを含む1575塩基対の挿入物が同定された。1575塩基対挿入物(配列番号1)のヌクレオチド配列と推定タンパク質のアミノ酸配列(配列番号2)を図1に示す。
推定タンパク質は、長さ16アミノ酸残基のシグナル配列を含む。該シグナル配列の開裂により、長さ344アミノ酸残基の、推定分子量38000ダルトンおよび推定pI 9.0の成熟タンパク質(ヒトDNアーゼII)が放出される。
【0047】
実施例2 ヒトDNアーゼIIDNAの発現
ヒトDNアーゼIIをコードするcDNAを哺乳動物発現ベクターpRK5にサブクローンした(Gormanら、DNA and Protein Engineering Techniques 2:1(1990);欧州特許公開公報EP307247(1989年3月15日公開))。得られた組換えベクターをpRK5化トDNアーゼIIと呼ぶ。ヒト胚腎293細胞(American Type Culture Collection,CRL1573)を血清含有ダルベッコ改良イーグル培地(DMEM)中で70%コンフルエントに増殖させ、次いでpRK5化トDNアーゼIIまたはコントロールとしてpRK5のみで一時的にトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後に、細胞をリン酸緩衝生理食塩液で洗浄し、インスリン含有無血清培地に移した。72〜96時間後、細胞培養から順化培地を回収し、約10倍に濃縮した。細胞培養中に発現したタンパク質をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)により分析した。
【0048】
pRK−5/ヒトDNアーゼIIでトランスフェクトした細胞は、pRK5のみでトランスフェクトした細胞中では産生されない約42000〜44000ダルトンの独特なタンパク質を産生することがわかった。
【0049】
その分泌されたタンパク質のアミノ末端配列は、ヒトDNアーゼIIのポリ−His標識物(tagged version)を調製することにより決定された。ヒトDNアーゼIIのポリ−His標識物をコードするDNAはアミノ酸配列:Met−Arg−Gly−Ser−His−His−His−His−His−His(配列番号9)をコードするヌクレオチド配列を図1に示すヒトDNアーゼIIをコードするヌクレオチド配列の3’末端に連結することにより調製された。ヒト胚腎293細胞を該DNAで一時的にトランスフェクトし、Ni−NTA−シリカ(Oiagen,Inc.,Chatsworth,California USA)を用いて分泌されたポリ−His標識ヒトDNアーゼIIを精製した。該分泌されたタンパク質のアミノ末端アミノ酸配列は図1に示す成熟ヒトDNアーゼIIタンパク質の推定アミノ酸配列に一致して、Leu−Thr−Cys−Tyr−Gly−Asp−Ser−Gly−Glnであると決定された。
【0050】
実施例3 ヒトDNアーゼIIの生物活性
上記のごとく製造した濃縮細胞培養上清のDNA−加水分解活性をハイパークロミシティー(hyperchromicity)アッセイで試験した(Kunitz,J.Gen.Physiol.33:349-362(1950);Kunitz,J.Gen.Physiol.33:363-377(1950))。なお、使用した緩衝液は0.1M酢酸ナトリウム(pH4.6)、1mM塩化マグネシウムであった。
そのような活性はpRK5/ヒトDNアーゼIIでトランスフェクトした細胞の上清中に検出されたが、pRK5のみでトランスフェクトした細胞の上清には検出されなかった。細胞溶解物をアッセイすることによっても、pRK5/ヒトDNアーゼIIでトランスフェクトした細胞において全ヒトDNアーゼII活性の約20%〜30%が分泌されたことが確定した。
【0051】
実施例4 ヒト組織中のヒトDNアーゼIIの発現パターン
種々のヒト組織のノーザンブロットは、クローン化ヒトDNアーゼIIcDNAのコード配列の部分を含む放射性同位元素で標識したプローブを用いて行なった。ヒトDNアーゼIIメッセンジャーRNA(mRNA)の発現は、試験したすべての組織中にみいだされた(脳、結腸、心臓、小腸、腎臓、肝臓、肺、末梢血リンパ球、骨格筋、卵巣、膵臓、胎盤、前立腺、脾臓、精巣、および胸腺)。
【0052】
SEQUENCE LISTING

(1) GENERAL INFORMATION:

(i) APPLICANT: Genentech, Inc.
Baker, Kevin P.
Baron, Will F.

(ii) TITLE OF INVENTION: Human DNase II

(iii) NUMBER OF SEQUENCES: 9

(iv) CORRESPONDENCE ADDRESS:
(A) ADDRESSEE: Genentech, Inc.
(B) STREET: 460 Point San Bruno Blvd
(C) CITY: South San Francisco
(D) STATE: California
(E) COUNTRY: USA
(F) ZIP: 94080

(v) COMPUTER READABLE FORM:
(A) MEDIUM TYPE: 3.5 inch, 1.44 Mb floppy disk
(B) COMPUTER: IBM PC compatible
(C) OPERATING SYSTEM: PC-DOS/MS-DOS
(D) SOFTWARE: WinPatin (Genentech)

(vi) CURRENT APPLICATION DATA:
(A) APPLICATION NUMBER:
(B) FILING DATE:
(C) CLASSIFICATION:

(vii) PRIOR APPLICATION DATA:
(A) APPLICATION NUMBER: 08/639294
(B) FILING DATE: 04/25/1996

(viii) ATTORNEY/AGENT INFORMATION:
(A) NAME: Johnston, Sean A.
(B) REGISTRATION NUMBER: 35,910
(C) REFERENCE/DOCKET NUMBER: P1024PCT

(ix) TELECOMMUNICATION INFORMATION:
(A) TELEPHONE: 415/225-3562
(B) TELEFAX: 415/952-9881
(C) TELEX: 910/371-7168

(2) INFORMATION FOR SEQ ID NO:1:

(i) SEQUENCE CHARACTERISTICS:
(A) LENGTH: 1575 base pairs
(B) TYPE: Nucleic Acid
(C) STRANDEDNESS: Single
(D) TOPOLOGY: Linear
(ii) MOLECULE TYPE: DNA

(xi) SEQUENCE DESCRIPTION: SEQ ID NO:1:


GAATTCGGGC CAGTCCTGGC CTCTGATGTA ACCCAGCGCC CCGCAGTCCC 50

GACACAGATT CCTGGATCTC AGCCCCATAG CAGCTATGAT CCCGCTGCTG 100

CTGGCAGCGC TGCTGTGCGT CCCCGCCGGG GCCCTGACCT GCTACGGGGA 150

CTCCGGGCAG CCTGTAGACT GGTTCGTGGT CTACAAGCTG CCAGCTCTTA 200

GAGGGTCCGG GGAGGCGGCG CAGAGAGGGC TGCAGTACAA GTATCTGGAC 250

GAGAGCTCCG GAGGCTGGCG GGACGGCAGG GCACTCATCA ACAGCCCGGA 300

GGGGGCCGTG GGCCGAAGCC TGCAGCCGCT GTACCGGAGC AACACCAGCC 350

AGCTCGCCTT CCTGCTCTAC AATGACCAAC CGCCTCAACC CAGCAAGGCT 400

CAGGACTCTT CCATGCGTGG GCACACGAAG GGTGTCCTGC TCCTTGACCA 450

CGATGGGGGC TTCTGGCTGG TCCACAGTGT ACCTAACTTC CCTCCACCGG 500

CCTCCTCTGC TGCATACAGC TGGCCTCATA GCGCCTGTAC CTACGGGCAG 550

ACCCTGCTCT GTGTGTCTTT TCCCTTCGCT CAGTTCTCGA AGATGGGCAA 600

GCAGCTGACC TACACCTACC CCTGGGTCTA TAACTACCAG CTGGAAGGGA 650

TCTTTGCCCA GGAATTCCCC GACTTGGAGA ATGTGGTCAA GGGCCACCAC 700

GTTAGCCAAG AACCCTGGAA CAGCAGCATC ACACTCACAT CCCAGGCCGG 750

GGCTGTTTTC CAGAGCTTTG CCAAGTTCAG CAAATTTGGA GATGACCTGT 800

ACTCCGGCTG GTTGGCAGCA GCCCTTGGTA CCAACCTGCA GGTCCAGTTC 850

TGGCACAAAA CTGTAGGCAT CCTGCCCTCT AACTGCTCGG ATATCTGGCA 900

GGTTCTGAAT GTGAACCAGA TAGCTTTCCC TGGACCAGCC GGCCCAAGCT 950

TCAACAGCAC AGAGGACCAC TCCAAATGGT GCGTGTCCCC AAAAGGGCCC 1000

TGGACCTGCG TGGGTGACAT GAATCGGAAC CAGGGAGAGG AGCAACGGGG 1050

TGGGGGCACA CTGTGTGCCC AGCTGCCAGC CCTCTGGAAA GCCTTCCAGC 1100

CGCTGGTGAA GAACTACCAG CCCTGTAATG GCATGGCCAG GAAGCCCAGC 1150

AGAGCTTATA AGATCTAACC CTTATGGCCA GGTGCAGTGG CTCACGTATG 1200

TAATCCCAGC ACTTTGGGAA GCCAAGGAGG GAGGATCACT TGAACTCAGG 1250

AATTCGAGAC CAGCCTGGGC TACATAGTGA GACCACATCT CTACTAGAAC 1300

TTAAAAAAAG TTAGCCAGGC ACGGTGATAA ATGCCTGTAG TCCCAGCCAC 1350

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TGATTACGCC AACCTGGGTC ACATAGCAAG ACTCTGTTTC AAAAAAAAAG 1450

GGGGGGCGGG GGACGGGTGG GTGCAGTGGC TCACATCTGT AACCCCAGCA 1500

CTTTGGGAGG CTGAGATGGG CAGATCACTT GAGGTCAGGA GTTCGAGACC 1550

AGCCTGGCCA ACATGGTGAA ACCCC 1575

(2) INFORMATION FOR SEQ ID NO:2:

(i) SEQUENCE CHARACTERISTICS:
(A) LENGTH: 360 amino acids
(B) TYPE: Amino Acid
(D) TOPOLOGY: Linear

(xi) SEQUENCE DESCRIPTION: SEQ ID NO:2:

Met Ile Pro Leu Leu Leu Ala Ala Leu Leu Cys Val Pro Ala Gly
1 5 10 15

Ala Leu Thr Cys Tyr Gly Asp Ser Gly Gln Pro Val Asp Trp Phe
20 25 30

Val Val Tyr Lys Leu Pro Ala Leu Arg Gly Ser Gly Glu Ala Ala
35 40 45

Gln Arg Gly Leu Gln Tyr Lys Tyr Leu Asp Glu Ser Ser Gly Gly
50 55 60

Trp Arg Asp Gly Arg Ala Leu Ile Asn Ser Pro Glu Gly Ala Val
65 70 75

Gly Arg Ser Leu Gln Pro Leu Tyr Arg Ser Asn Thr Ser Gln Leu
80 85 90

Ala Phe Leu Leu Tyr Asn Asp Gln Pro Pro Gln Pro Ser Lys Ala
95 100 105

Gln Asp Ser Ser Met Arg Gly His Thr Lys Gly Val Leu Leu Leu
110 115 120

Asp His Asp Gly Gly Phe Trp Leu Val His Ser Val Pro Asn Phe
125 130 135

Pro Pro Pro Ala Ser Ser Ala Ala Tyr Ser Trp Pro His Ser Ala
140 145 150

Cys Thr Tyr Gly Gln Thr Leu Leu Cys Val Ser Phe Pro Phe Ala
155 160 165

Gln Phe Ser Lys Met Gly Lys Gln Leu Thr Tyr Thr Tyr Pro Trp
170 175 180

Val Tyr Asn Tyr Gln Leu Glu Gly Ile Phe Ala Gln Glu Phe Pro
185 190 195

Asp Leu Glu Asn Val Val Lys Gly His His Val Ser Gln Glu Pro
200 205 210

Trp Asn Ser Ser Ile Thr Leu Thr Ser Gln Ala Gly Ala Val Phe
215 220 225

Gln Ser Phe Ala Lys Phe Ser Lys Phe Gly Asp Asp Leu Tyr Ser
230 235 240

Gly Trp Leu Ala Ala Ala Leu Gly Thr Asn Leu Gln Val Gln Phe
245 250 255

Trp His Lys Thr Val Gly Ile Leu Pro Ser Asn Cys Ser Asp Ile
260 265 270

Trp Gln Val Leu Asn Val Asn Gln Ile Ala Phe Pro Gly Pro Ala
275 280 285

Gly Pro Ser Phe Asn Ser Thr Glu Asp His Ser Lys Trp Cys Val
290 295 300

Ser Pro Lys Gly Pro Trp Thr Cys Val Gly Asp Met Asn Arg Asn
305 310 315

Gln Gly Glu Glu Gln Arg Gly Gly Gly Thr Leu Cys Ala Gln Leu
320 325 330

Pro Ala Leu Trp Lys Ala Phe Gln Pro Leu Val Lys Asn Tyr Gln
335 340 345

Pro Cys Asn Gly Met Ala Arg Lys Pro Ser Arg Ala Tyr Lys Ile
350 355 360

(2) INFORMATION FOR SEQ ID NO:3:

(i) SEQUENCE CHARACTERISTICS:
(A) LENGTH: 48 base pairs
(B) TYPE: Nucleic Acid
(C) STRANDEDNESS: Single
(D) TOPOLOGY: Linear

(xi) SEQUENCE DESCRIPTION: SEQ ID NO:3:


GCCCAGAGAG GGCTGCAGTA CAAGTATCTG GACGAGAGCT CCGGAGGC 48

(2) INFORMATION FOR SEQ ID NO:4:

(i) SEQUENCE CHARACTERISTICS:
(A) LENGTH: 45 base pairs
(B) TYPE: Nucleic Acid
(C) STRANDEDNESS: Single
(D) TOPOLOGY: Linear

(xi) SEQUENCE DESCRIPTION: SEQ ID NO:4:


CCCAGCGCCC CGCAGTCCCA GACACAGATT CCTGGATCTC AGCCC 45

(2) INFORMATION FOR SEQ ID NO:5:

(i) SEQUENCE CHARACTERISTICS:
(A) LENGTH: 26 base pairs
(B) TYPE: Nucleic Acid
(C) STRANDEDNESS: Single
(D) TOPOLOGY: Linear

(xi) SEQUENCE DESCRIPTION: SEQ ID NO:5:


GAYCARGARG GNGGNTTYTG GCTNAT 26

(2) INFORMATION FOR SEQ ID NO:6:

(i) SEQUENCE CHARACTERISTICS:
(A) LENGTH: 26 base pairs
(B) TYPE: Nucleic Acid
(C) STRANDEDNESS: Single
(D) TOPOLOGY: Linear

(xi) SEQUENCE DESCRIPTION: SEQ ID NO:6:


GAYCARGARG GNGGNTTYTG GTTRAT 26

(2) INFORMATION FOR SEQ ID NO:7:

(i) SEQUENCE CHARACTERISTICS:
(A) LENGTH: 23 base pairs
(B) TYPE: Nucleic Acid
(C) STRANDEDNESS: Single
(D) TOPOLOGY: Linear

(xi) SEQUENCE DESCRIPTION: SEQ ID NO:7:


AAYCGNGGNC AYACNAARGG NGT 23

(2) INFORMATION FOR SEQ ID NO:8:

(i) SEQUENCE CHARACTERISTICS:
(A) LENGTH: 23 base pairs
(B) TYPE: Nucleic Acid
(C) STRANDEDNESS: Single
(D) TOPOLOGY: Linear

(xi) SEQUENCE DESCRIPTION: SEQ ID NO:8:


AAYAGRGGNC AYACNAARGG NGT 23

(2) INFORMATION FOR SEQ ID NO:9:

(i) SEQUENCE CHARACTERISTICS:
(A) LENGTH: 10 amino acids
(B) TYPE: Amino Acid
(D) TOPOLOGY: Linear

(xi) SEQUENCE DESCRIPTION: SEQ ID NO:9:

Met Arg Gly Ser His His His His His His
1 5 10
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
図1に示す成熟ヒトDNアーゼIIのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子。
【請求項2】
発現べクターで形質転換ベれた宿主細胞によって認識されるプロモーターと機能性に連結された、図1に示す成熟ヒトDNアーゼIIのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクター。
【請求項3】
図1に示す成熟ヒトDNアーゼIIのアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列をコードしているヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子。
【請求項4】
図1記載の配列内のただ一つの位置のみで、あるアミノ酸が別のアミノ酸に置換されることにより、図1に示す成熟ヒトDNアーゼIIのアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子。
【請求項5】
図1記載の配列内の2つの位置のみで、あるアミノ酸が別のアミノ酸に置換されることにより、図1に示す成熟ヒトDNアーゼIIのアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子。
【請求項6】
図1に示す成熟ヒトDNアーゼIIのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞。
【請求項7】
発現ベクターが複製されるような条件下で宿主細胞を培養することを含む図1に示す成熟ヒトDNアーゼIIのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞の使用方法。
【請求項8】
図1に示す成熟ヒトDNアーゼIIのアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子で宿主細胞を形質転換し、該ポリペプチドが宿主細胞中で生産されるような条件下で宿主細胞を培養することを含む方法。
【請求項9】
ヒトDNアーゼIIの製造方法であって、
(a)ヒトDNアーゼII遺伝子内またはそれと近接したDNA配列とホモローガスな少なくとも約150塩基対のフランキング配列と増幅可能な遺伝子を含むホモローガスなDNAで内在性ヒトDNアーゼII遺伝子を含む細胞を形質転換することにより、該ホモローガスなDNAを組換えにより細胞ゲノム中に統合し、
(b)増幅可能な遺伝子を増幅させるために選ばれた条件下で細胞を培養することにより、ヒトDNアーゼII遺伝子も増幅され、次いで
(c)該細胞からヒトDNアーゼIIを回収することを含む方法。
【請求項10】
図1に示す成熟ヒトDNアーゼIIのアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド。
【請求項11】
DNA加水分解活性を有する、図1に示す成熟ヒトDNアーゼIIのアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド。
【請求項12】
図1記載の配列内のただ一つの位置のみで、あるアミノ酸が別のアミノ酸に置換されることにより、図1に示す成熟ヒトDNアーゼIIのアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド。
【請求項13】
該アミノ酸の置換が、ポリペプチド内に天然のヒトDNアーゼIIには存在しないグリコシル化部位を生じるものである請求項12に記載のポリペプチド。
【請求項14】
図1に示す成熟ヒトDNアーゼIIのアミノ酸配列と生理学的に許容される賦形剤を含むポリペプチドを含む医薬組成物。
【請求項15】
無菌である請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
図1に示す成熟ヒトDNアーゼIIのアミノ酸配列と結合することができる抗体。
【請求項17】
モノクローナル抗体である請求項16に記載の抗体。
【請求項18】
治療的有効量のヒトDNアーゼIIを患者に投与することを含む肺疾患または障害を有する患者の治療方法。
【請求項19】
該疾患または障害が嚢胞性繊維症である請求項18に記載の方法。
【請求項20】
治療的有効量のヒトDNアーゼIIを患者に投与することを含む全身性エリテマトーデスを有する患者の治療方法。

【公開番号】特開2010−154850(P2010−154850A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−272240(P2009−272240)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【分割の表示】特願平9−538255の分割
【原出願日】平成9年4月23日(1997.4.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FLOPPY
【出願人】(509012625)ジェネンテック, インコーポレイテッド (357)
【Fターム(参考)】