説明

使用中に熱変化を示す繊維状材料

繊維シート材料、例えば、化粧紙、トイレットペーペー、紙タオルとして有用である材料は、具体的な刺激にさらされたときにシートにおいて温度変化を生じる化学剤、例えば、ある種の塩を備えている。これらの材料は、含まれる具体的な化学によっては、冷やすか又は温める形で、使用者に鎮静感を与えることができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の背景
種々のパーソナルケア製品に鎮静治癒特性を与えるために温めることや冷やすことが用いられている。例えば、人々はスポーツ負傷を治療する熱い又は冷たいパックの使用又は運動後に体をクールダウンするための冷湿布の使用を非常によく知っている。他の製品においては、メントールのようなある種の化学剤は、冷たい感覚を与えるために使うことができるが、このような感覚は化学と皮膚における神経との相互作用によって動かされ、身体又は対象物の温度の実際の変化を引き起こさない。このことは、また、所望の効果を生じるように物質が皮膚へ実際に移動することを必要とする。
冷たい感覚を与える他の方法は、使用者との接触時に融解するローションを用いることである。融解熱は、熱を使用者から取り去らせ、ローションを融解するために利用される。温度変化が溶融過程と関連していないので、熱が使用者から取り去られるにつれて、皮膚が実際に冷える。理論では、このことは使用者の皮膚の温度を変えることができる製品を与える手段を提供するにちがいないが、ローションが融解する温度は厳密に制御されなければならない。更にまた、ローションが融解する速度は緩慢であり、使用者の皮膚とローション間の長期間の接触を必要とするものである。また、これらの化合物のための融解熱は、比較的小さい傾向があり、実際の温度変化は最小限であり、それにより使用者に対する変化はわずかである。
冷やすことに類似した方法は、揮発性物質を用いることである。この場合、揮発性液体が製品に加えられる。使用中、揮発性液体は使用者の皮膚と接触する。揮発性液体が皮膚と接触する場合、蒸発が開始する。物質を蒸発させるために熱が皮膚から取り去られ、皮膚表面に冷やすことが引き起こされる。このような方法は著しい冷却効果を生じ得るが、欠点が顕著である。特に、湿った製品の形を有することの要求、揮発性の有機化学(VOC)発生に関連した環境問題、使用しないときに密閉容器に製品を貯蔵することの要求である。更に、これらの揮発性成分は、皮膚に不快なものであり得、刺すような痛みや他の不快を引き起こし得る。
それ故、温かい感覚又は冷たい感覚を与える性能を有する繊維シートの製造が求められている。更に、乾燥状態で貯蔵されることができ、VOC含量が少なく、且つ皮膚に対して刺激しないように製造される本シートが求められている。更に、身体を拭くことに適切なように比較的小さいキャリパを有する本シートが求められている。更に、使用者の皮膚に対して望ましくない化学剤を移動させない本シートが求められている。
【0002】
発明の概要
一般に、本発明は、吸収性繊維シートを含む製品であって、該シートが発熱的に又は吸熱的に反応する一以上の化学剤を含有し、該シートが外部から加えられた非熱的な刺激に供されたときに、シートの温度が少なくとも1℃以上上昇又は降下する前記製品に関する。
より詳しくは、一実施態様においては、本発明は、シートがカプセルを砕壊するとともに一以上の封入された化学剤を放出するのに充分な圧力に供されたときに、発熱的に又は吸熱的に反応する、カプセルに封入された一以上の化学剤を含有する吸収性繊維シートを含む製品に関する。
他の実施態様においては、本発明は、シートが湿らされたときに、発熱的に又は吸熱的に反応する一以上の塩を含有する吸収性繊維シートを含む製品に関する。このようなシートは、水溶性である非吸湿性封入物の中に塩を組み込むことができる。水が前記塩を含有するカプセルと接触したときに、カプセルと塩が溶解して、加熱又は冷却効果を生じる。
特に、例えば、ティッシュ、タオル又は他のパーソナルふき取り製品として有用である、繊維シートに種々の塩を組み込むことによって、シートが湿らされたときに、著しい吸熱又は発熱の温度変化が生じる。シートが温まるにしても冷えるにしても、用いられる一以上の塩の溶解エンタルピーに依存する。シートが水を吸収したときに、一以上の塩が溶解し、顕著な温度変化が生じる。この温度変化は、シート自体の中で起こり、使用者の皮膚への製品内の成分の移動を必要としない。この温度変化は、使用者が注目するのに充分なものである。本発明の製品は、温度変化が体液、例えば、皮膚上の汗又は表面水の吸収によって開始し得るので、手、顔、身体を拭くための広範囲の適用性をもち得る。このような製品は、例えば、空気のある又は湿気のあるプロセスによって形成された合成及び/又は天然繊維のシートを含むことができる。本発明は、最終消費者製品の形だけでなく、使い捨てパーソナルケア製品や他の適用のための成分として有用な中間ベースシート材料も包含する。
一般に、本発明は、吸収性繊維シートを含む製品であって、該シートが発熱的に又は吸熱的に反応する一以上の化学剤を含有し、該シートが外部から加えられた非熱的な刺激に供されたときに、シートの温度が少なくとも1℃以上上昇又は降下する前記製品に関する。
より詳しくは、一実施態様においては、本発明は、シートがカプセルを砕壊するとともに、カプセルに封入された一以上の化学剤を放出するのに充分な圧力に供されたときに、発熱的に又は吸熱的に反応する、カプセルに封入された一以上の化学剤を含有する吸収性繊維シートを含む製品に関する。他の実施態様においては、前記封入物は水溶性であり、水の添加によって封入物が溶解するとともに化学反応が起こる。
他の実施態様においては、本発明は、シートが湿らされたときに、発熱的に又は吸熱的に反応する一以上の塩を含有する吸収性繊維シートを含む製品に関する。
【0003】
種々の乾いたふき取り製品、例えば、化粧紙、トイレットペーパー又は紙タオルについては、例えば、水との接触時に、シートの温度は所望の効果によっては上昇又は降下する。他の適用については、本発明によるシートは、また、スポーツワイプとして使うことができ、製品が吸収した汗は、吸熱の溶解エンタルピーを有する物質の溶解を引き起こして冷却効果を生じる。使い捨てタオルとして用いることもでき、そこでは水が身体から吸収されるにつれて、発熱溶解エンタルピーを有する塩が溶解して温度の増加と身体に対して温かい感覚が得られる。他の製品の実行としては、身体に対して着用されるとともに身体の水分が製品に導入されるにつれて身体を熱くするか又は冷やすことを意図した製品が含まれる。例えば、使い捨てヘッドバンド又は汗バンドは着用のまま冷たい感覚が得られる。他の可能な適用は使い捨て雨着であり、ここで、少量の雨は、衣服に通ることを可能にすることができ、発熱溶解熱による塩の溶解を可能にし、それにより、衣服の温度の上昇が引き起こされ、使用者に温かい感覚が得られる。
上記個々の実施態様においては、温度変化を与えるためのメカニズムは、用いられる種々の塩の溶解エンタルピーによるものである。しかしながら、他の反応機序によって温度の変化を誘発することは本発明の範囲内である。例えば、相互に反応することができる2つの化学剤は、シート上の分離した位置に適用することができる。例えば、多層(multiply(マルチプライ))シートにおいては、一方の化学剤を内部プライ内に組み込むことができ、もう一方の化学剤をシートの一以上の外部プライに組み込むことができる。シートが乾いている場合、化学剤はシートを移行せず、相互に接触することができない。それ故、化学反応は起こらない。しかしながら、水をシートに加えたとき、化学剤は、ここで流動的になり、シート内で相互に作用することができる。得られた化学反応は、個々の化学相互作用と関連している反応熱によってシートの温度の上昇又は降下を引き起こす。電気化学熱源を与える化学反応を用いる例は、Farrierに発行されR.J. Reynolds Tobacco Companyに譲渡された米国特許第5,538,020号に記載されており、この明細書の記載は本願明細書に含まれるものとする。
【0004】
一部の実施態様においては、個々の温度変化は水の添加と非常に強い正又は負の溶液エンタルピーを有する塩の使用によって誘発されるが、水の他に外部刺激にさらされたときや異なるメカニズムによって温度変化が生じた場合に温度変化を生じるふき取り製品が可能である。例えば、2つの別々の化学剤を、ティッシュ内に封入及び組み込むことができる。カプセルが砕壊されたときに、カプセル内部の化学剤を混合することが可能になり、熱を生成又は吸収する化学反応が温度を上下させる。例えば、酸及び塩基が別々の封入物質としてティッシュに添加することができる。ティッシュが使用中に外部使用応力に供せられたときに、カプセルは砕壊し、それにより、酸-塩基中和反応と熱の解放が引き起こされる。
一般に拭き取り製品の場合、温度変化を生じるように用いられる化学剤はふき取り製品の外面に位置しない。多くの場合、皮膚刺激が可能であることから、使用者の皮膚と直接接触する化学剤をもたないことが好ましい。皮膚接触の可能性を最小限にするために化学剤を本発明の製品に組み込むことができる種々の手段がある。ふき取り製品が、例えば、3、4、5プライ以上を有するマルチプライ製品である場合には、温度変化を生じる一以上の化学剤は一以上の内部プライ内に位置することができる。外部刺激(例えば、水添加)が製品に加えられたときに、反応が一以上の化学的に処理されたプライに起こり、従って、製品が加熱又は冷却する。大部分の反応が一以上の内部プライ内に含有し、ほとんどの一以上の化学剤が外部プライに移動しない。他の実施態様においては、温度変化を生じる乾燥化学試薬は、水溶性外殻を有する粒子で封入され得る。水が製品によって吸収されたときに、外殻が溶解し、化学剤と水が反応して、温度変化を生じる。更に他の実施態様においては、反応性化学剤が2枚の吸収性プライ間に挟まれた水溶性膜内に溶解又は分散される。水が膜と接触したときに、膜が溶解し、それにより、化学剤を放出する。化学剤が放出されるにつれて、水と反応して、所望の温度変化を生じる。更に他の実施態様においては、例えば、繊維を化学剤の溶液に浸漬することによって、化学剤を加え且つ繊維に吸収させることができる。繊維を溶液から取り出し、乾燥し、個々に区別して、けばパルプ型物質を形成する。処理されたけばパルプ繊維をマルチプライ製品の中央プライに又は多層プライの層内に組み込むことができ、所望の温度変化を生じることができる吸収性製品を提供する。
【0005】
化学剤は、当該技術において既知のあらゆる適切な手段によってシートに加えることができる。これには、シートに噴霧される固体粒子として添加すること; 化学剤の水溶液をシートに噴霧し、続いてシートを乾燥させること; 最終的な乾燥の前に繊維を塩又は他の化学剤で前処理すること; 化学剤を含有するマイクロスフェアを加えること; シートを化学剤の溶液に浸漬し、続いて乾燥すること; 膜として加えること; 等が含まれるが、これらに限定されない。
製品に加えられる化学剤の量は、製品及び選ばれる具体的な化学剤に左右されるが、使用者に顕著である温度変化を生じるのに充分でなければならない。絶対値条件(温度の上昇又は降下)においては、温度の変化は、1℃以上、より詳しくは約3℃以上、より詳しくは約5℃以上、より詳しくは1℃〜約10℃、約2℃〜約10℃、更により詳しくは約3℃〜約6℃であり得る。塩の溶液エンタルピーが温度変化に影響するように用いられる場合、冷やすことが所望される場合には無限希釈度の塩の溶解エンタルピーは25℃で約2,000 cal/モル以上であり、温めることが所望される場合には25℃で-2,000 cal/モル以下であることが有利である。所望の温度変化を得るためにより少ない塩が必要とされることから、より高溶解エンタルピー値(冷やすために)とより低い値(温めるために)がそれぞれ有利である。本発明のために有用な一部の個々の塩としては、4,115cal/モルのΔHoを有するKCl、6,400cal/モルのΔHoを有するNH4NO3、4,900cal/モルのΔHoを有するNaNO3、3,533cal/モルのΔHoを有するNH4Cl、-8,102cal/モルのΔHoを有するCaCl2、-8,850cal/moleモルのΔHoを有するLiCl、-4,140cal/モルのΔHoを有するNaC2H3O2が含まれるがこれらに限定されない。これらの塩や他の一価の塩のための溶解エンタルピー値は、the CRC Handbook, 72nd edition, p. 5-101に見つけることができる。
塩化カルシウム又は塩化リチウムのような潮解性塩が用いられる場合、使用の前にこのような物質が空気からの水分と接触することを防止することが必要である。このような塩は、溶解するために空気から充分な水分を吸収することができる。このように、塩は、徐々に空気からの水分を吸収し、時間とともに温まる。しかしながら、平衡水分が到達されると、更に水を追加して温めることがもはやできない。空気からの水分は、前述したように前記塩を封入すること、シールパッケージの使用、又は使用まで大気中の水分が水分感受性材料と接触することを防止することから当該技術において一般に既知の他のあらゆる包装技術によってシートから除外することができる。
【0006】
本発明のために有用な吸収性繊維シートの基本質量は、約5g/m2〜約200g/m2の基本質量を有することができる。化粧紙又はトイレットペーパーとしての使用については、基本質量範囲は約5g/m2〜約50g/m2であり得る。紙タオル等については、基本質量範囲は、約15g/m2〜約200g/m2であり得る。
更に、化粧紙、トイレットペーパー、紙タオル等の本明細書に有用な吸収性繊維シートは、また、約2cm3/g以上、より詳しくは約5〜約20cm3/g以上のシートバルクを特徴とし得る。シートバルクは、平方メートル当たりのグラムで表される乾燥基本質量で割った、マイクロメートル(ミクロン)で表されるシートのキャリパ(以下に定義される)の商として算出される。得られたシートバルクは、グラム当たりの立方センチメートルで表される。より詳しくは、キャリパは、10枚の代表的シートの積み重ねの全体厚みとして測定され、積み重ねの全体の厚みを10で割ったものであり、ここで、積み重ねの中の各シートは同一側において上に配置されている。キャリパは、TAPPI試験法T402 "Standard Conditioning and Testing Atmosphere For Paper, Board, Pulp Handsheets and Related Products"とT411 om-89 "Thickness (caliper) of Paper, Paperboard, and Combined Board"と積み重ねられたシートのための注3に従って測定される。T411 om-89を行うために用いられるマイクロメータは、Emveco, Inc.、ニューバーグ、オレゴンから入手できるEmveco 200-A ティッシュキャリパテスタである。マイクロメータは、2.00キロパスカル(1平方インチ当たり132グラム)の負荷、2500平方ミリメートルの圧力フット面積、56.42ミリメートルの圧力フット直径、3秒のドウェル時間、1秒につき0.8ミリメートルの低下速度を有する。本発明の製品のキャリパは、約10〜約4000マイクロメートル(ミクロン)、より詳しくは約100〜約2000マイクロメートル(ミクロン)、より詳しくは約100〜約800マイクロメートル(ミクロン)であり得る。
本発明の意図された利点に敵対的でなければ、製品及びプロセスに追加の利点を与えるために任意の化学添加剤を形成されたベースシート又は製品に添加することもできる。このような添加剤の例としては、充填促進剤、湿潤強度増強剤(永続的、一時的)、乾燥強度増強剤、デボンダ、柔軟剤が含まれ、すべて当該技術において周知である。このような化学剤は、プロセスのいかなる点でも添加することができ、温度変化を生じる化学剤と同時に添加されることを含んでいる。
【0007】
充填促進剤や制御剤は、プロセスのウェットエンドにおける製紙完成紙料のゼータ電位を制御するために製紙プロセスで一般に用いられるものである。これらの化学種はアニオン又はカチオン、最も普通にはカチオンであってもよく、ミョウバンのような天然に存在する物質か又は典型的には500,000未満の分子量の低分子量高荷電密度合成ポリマーであり得る。脱水促進剤や歩留まり向上剤もまた、形成、脱水、微細保持を改善するために完成紙料に添加することができる。高表面積、高アニオン荷電密度物質を含有する微粒子系は、歩留まり向上剤や脱水促進剤の範囲内に包含される。
湿潤強度増強剤や乾燥強度増強剤は、また、ウェブに、直接か又はウェブ形成の前のウェブ内の繊維に加えることができる。本明細書に用いられる“湿潤強度増強剤”は、湿潤状態での繊維間の結合を固定するために用いられる物質である。典型的には、繊維が紙やティッシュ製品において共に保持される手段は、水素結合、しばしば水素結合と共有結合及び/又はイオン結合の組合わせを含んでいる。本発明においては、繊維と繊維の結合点を固定するとともに湿潤状態で破壊に抵抗するようにして繊維の結合を可能にする物質を与えるのに有用であり得る。この場合、湿潤状態は、通常は製品がほとんど水又は他の水溶液で飽和される場合を意味するが、体液、例えば、尿、血液、粘液、月経、柔らか過ぎる便、リンパ液、他の身体の滲出液による有意な飽和も意味することができる。
紙ウェブ又はシートに添加される場合、平均湿潤幾何学的引張強さと平均乾燥幾何学的引張強さとの比が0.1を超えるシートを与える結果となるあらゆる物質は、本発明のためには、湿潤強度増強剤である。典型的には、これらの物質は、“永続的”湿潤強度増強剤としてか又は“一時的”湿潤強度増強剤として呼ばれる。永続的湿潤強度を一時的湿潤強度と区別するために、永続的は、紙又はティッシュ製品に組み込まれる場合、少なくとも5分間水にさらされた後に最初の湿潤強度の50パーセントを超える強度を保持する製品を与える樹脂として定義される。一時的湿潤強度増強剤は、水で5分間飽和した後に最初の湿潤強度の50パーセント未満を示すものである。ウェブ形成前にパルプ繊維に添加される湿潤強度増強剤の量は、繊維の乾燥質量に基づいて、約0.1乾燥質量パーセント以上、より詳しくは0.2乾燥質量パーセント以上、更により詳しくは約0.1〜約3乾燥質量パーセントであり得る。永続的湿潤強度増強剤は、構造に対して多少長期の湿潤弾性を与える。対照的に、一時的湿潤強度増強剤は、低密度と高弾性を有した構造を与えるが、水又は体液にさらすことに対して長期抵抗を有する構造を与えない。
【0008】
一時的湿潤強度増強剤は、カチオン、非イオン性又はアニオンであり得る。例示的な市販の化合物としては、Cytec Industries(ウェストパターソン、ニュージャージー)から入手できるカチオングリオキシル化ポリアクリルアミドであるPAREZTM 631 NC及びPAREZ(登録商標) 725; Hercules, lnc. (ウィルミントン、デラウェア)によって製造されたカチオングリオキシル化ポリアクリルアミドでもあるHercobond 1366; ジアルデヒドデンプン、例えば、National Starch and Chemical Company製のCobond 1000(登録商標)が挙げられる。
本明細書のために有用なカチオンオリゴマー樹脂又はポリマー樹脂を含む永続的湿潤強度増強剤としては、Hercules, Inc.(ウィルミントン、デラウェア)から販売されているKYMENE 557Hのようなポリアミド-ポリアミン-エピクロロヒドリン型樹脂を含んでいる。他のカチオン樹脂としては、ポリエチレンイミン樹脂、ホルムアルデヒドとメラミン又は尿素との反応によって得られるアミノプラスト樹脂が含まれる。化粧紙、トイレットペーパー、紙タオルのようなティッシュ製品の製造において永続的及び/又は一時的湿潤強度増強樹脂を用いることはしばしば有利である。
乾燥強度増強樹脂もまた、得られた生成物の乾燥強度を制御するためにウェブに適用することができる。このような物質は、当該技術において周知であり、化工デンプン、他の多糖類、例えば、カチオンデンプン、両性デンプン、アニオンデンプン、グアーガム、ローカストビーンガム、修飾ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、糖、ポリビニルアルコール、キトサン等が含まれるがこれらに限定されない。このような乾燥強度添加剤は、典型的には、シート形成の前に又はクレープ包装の一部として繊維スラリーに添加される。
【0009】
時々、シートに更にデボンダ又は柔軟化化学を追加することは有利なことである。デボンダ及び柔軟化化学の例は、当該技術において広く教示されている。例示的な化合物としては、一般式(R1')4-b -N+- (R1'')b X- (式中、R1'はC1-6アルキル基であり、R1''はC14-C22アルキル基であり、bは1〜3の整数であり、X-はあらゆる適切な対イオンである。)を有する簡単な第四級アンモニウム塩が挙げられる。他の類似化合物としては、簡単な第四級アンモニウム塩のモノエステル、ジエステル、モノアミド、ジアミドの誘導体が含まれる。これらの第四級アンモニウム化合物についての多くの態様は既知であり、本発明の範囲内に包含するとみなさなければならない。追加の柔軟化組成物としては、カチオンオレイルイミダゾリン物質、例えば、Hercules, lnc.から入手できるProsoft TQ-1003が含まれる。このような柔軟化剤は、また、湿潤剤又は可塑剤、例えば、低分子量ポリエチレングリコール(分子量<4,000ダルトン)又はポリヒドロキシ化合物、例えば、グリセリン又はプロピレングリコールを組み込むことができる。これらの柔軟化剤は、バルクの柔らかさを援助するためにシート形成前のスラリーにおいて繊維に加えることができる。
塩がシートに比較的高レベルで組み込まれる場合、あるレベルの砂のような感じをシートに与えることがある。この砂のような感じを妨げるために、ポリシロキサンをシートに局所的に加えて表面感触を改善することは有益であり得る。ポリシロキサンの存在は、温度変化にほとんど影響せず、一般に、局所的な柔軟剤として有用である当該技術において既知のあらゆるポリシロキサンが所望の柔らかさを製品又はベースシートに与えるために使用し得る。特に適切なポリシロキサンとしては、アミノ官能性ポリシロキサン、ポリエーテルポリシロキサン、アミノ官能性ポリエーテルポリシロキサン、それらの混合物が含まれる。本発明のシートにおいてポリシロキサンを用いるときに、温度変化を引き起こす外部の引き金として水が用いられる場合には、ポリシロキサンは、製品の疎水性がある種の限度を超えないようなレベルで又は湿潤剤とともに用いなければならない。このために、自動質量吸収性試験(AGAT)(下で定義する)は製品への水の吸収を測定するために使用し得る。本発明の製品のためのAGAT値は、適切には約0.4g/g/s1/2以上、より詳しくは約O.5 g/g/s1/2以上、より詳しくは約0.7g/g/s1/2以上であり得る。温度変化を誘発する活性化剤として水が用いられない場合、本発明の機能に関して水吸収率に個々の要求は必要でない。
【0010】
“自動質量吸収性試験”(AGAT)は、一般的には54℃(130oF)で2週間老化したティッシュシートの初期吸収性を測定する試験である。装置及び試験は、当該技術において周知であり、Gravimetric Absorbency Testerと称する、McConnellに1982年11月9日発行された米国特許第4,357,827号に記載され、この明細書の記載は本願明細書に含まれるものとする。一般に、AGAT値は、ティッシュ製品の6つの代表的試料の積み重ねを試験することによって求められる。試験の間、試料の積み重ねはレザバー容器と連通しているテストセル上に載置される。次に、バルブを開け、液体が容器からテストセルに自由に流れることができる。試験されるティッシュの積み重ねは、レザバー容器から液体を吸収する。積み重ねによって吸収された液体の量は、ある期間にわたって求められる。特に、AGAT機械は、2.25秒から所望される長さまで吸収曲線を作成する。AGAT結果は、2.25〜6.25秒から平均勾配を測定することによって得られる。各製品について10回の実験を行い、10回の実験の平均がその製品のAGAT値である。
本発明の製品に添加することができる他の化学剤としては、通常はカチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、又は非イオン性界面活性剤の形の、吸収助剤、湿潤剤、可塑剤、例えば、低分子量ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシ化合物、例えば、グリセリンやプロピレングリコールが含まれる。皮膚の健康のためになる物質、例えば、鉱油、アロエエキス、ビタミンE、一般のローション等もまた、ティッシュに組み込むことができる。その他の物質としては、臭気制御剤、例えば、臭気吸収剤、活性炭素繊維、粒子、ベビーパウダー、ベイキング・パウダー、キレート化剤、ゼオライト、香料又は他の臭気マスキング剤、シクロデキストリン化合物、酸化剤等が含まれる。高吸収性粒子、合成繊維、又は膜が使われてもよい。追加の選択としては、カチオン染料、光学増白剤、湿潤剤、皮膚軟化剤、充填剤、例えば、カオリンクレー、二酸化チタン、タルク等が含まれる。
簡潔さと簡明さのために、本明細書に示される値のあらゆる範囲は、範囲内の全ての値を企図し、記述された説明が問題の指定された範囲内の全数値である両端を有するあらゆる下位範囲を挙げる特許請求の範囲を支持するものとして解釈されるべきである。仮定的な説明例として、1-5の範囲の本明細書における開示は、以下の範囲: 1-5; 1-4; 1-3; 1-2; 2-5; 2-4; 2-3; 3-5; 3-4;4-5のいずれかに対して特許請求の範囲を支持するとみなされる。
【実施例】
【0011】
約5グラムのNaNO2を100ccの蒸留水に溶解した。次に、標準の2枚重ねの化粧紙を溶液に浸漬し、余分の水を手で絞った。ティッシュシートを65℃の炉に入れ、1時間乾燥した。シートを炉から取り出し、冷却した。
同様の方法で、約5グラムのCaCl2を100ccの蒸留水に溶解した。標準の2枚重ねの化粧紙を溶液に浸漬し、余分な水を手で絞った。ティッシュシートを65℃の炉に入れ、1時間乾燥した。シートを炉から取り出し、減圧デシケータで冷却した。冷却後、シートを直ちにサイズに切断し、下記のように試料にした。
上記ティッシュシートの各々を質量0.5グラムの約l"細片に切断した。次に、細片で確実に温度計のバルブをくるみ、温度を記録した。充分にさらされたティッシュが水の吸収を可能にするために存在するならば、細片を温度計に固定するために透明テープ、例えば、Scotch(登録商標)ブランドの透明テープが使用し得る。次に、温度計を10ccバイアルに入れ、次に、1.0ccの蒸留水をティッシュに添加し、温度の変化を記録した。[注: 冷える溶液を用いる場合、水の蒸発が誤った結果を生じないようなバイアルを用いることが必要である。] 温度を監視して、達成される最高又は最低温度を求めた。結果を下記表に示す。
【0012】

【0013】
上述の説明と実施例は、説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきでなく、本発明は以下の特許請求の範囲及びそれに対する全ての等価物によって定義されることは理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性繊維シートを含む製品であって、該シートが発熱的に又は吸熱的に反応する一以上の化学剤を含有し、該シートが外部から加えられた非熱的な刺激に供されたときに、シートの温度が少なくとも1℃以上上昇又は降下する前記製品。
【請求項2】
一以上の化学剤がカプセルに封入されており、外部から加えられた非熱的な刺激が、カプセルを砕壊するとともに、カプセルに封入された一以上の化学剤を放出するのに充分な圧力である、請求項1記載の製品。
【請求項3】
一以上の化学剤が水溶性カプセル材に封入されており、外部から加えられた非熱的な刺激が、カプセルを溶解するとともに、カプセルに封入された一以上の化学剤を放出するシートに吸収される水である、請求項1記載の製品。
【請求項4】
外部から加えられた非熱的な刺激がシートに吸収される水である、請求項1記載の製品。
【請求項5】
反応が発熱である、請求項1記載の製品。
【請求項6】
反応が吸熱である、請求項1記載の製品。
【請求項7】
化学剤の少なくとも1つが塩である、請求項1記載の製品。
【請求項8】
塩の溶解エンタルピーの絶対値が、1モルにつき約2,000カロリー以上である、請求項7記載の製品。
【請求項9】
塩が、KCl、NH4NO3、NaNO3、NH4Cl、CaCl2、LiCl及びNaC2H3O2からなる群より選ばれる、請求項8記載の製品。
【請求項10】
吸収性繊維シートの繊維が、本質的にセルロース繊維からなる、請求項1記載の製品。
【請求項11】
化粧紙、トイレットペーパー及び紙タオルからなる群より選ばれた請求項1記載の製品。
【請求項12】
シートの温度が、約3℃以上上昇又は降下する、請求項1記載の製品。
【請求項13】
シートの温度が、約5℃以上上昇又は降下する、請求項1記載の製品。
【請求項14】
シートの温度が、約1℃〜約10℃上昇又は降下する、請求項1記載の製品。
【請求項15】
シートの温度が、約2℃〜約10℃上昇又は降下する、請求項1記載の製品。
【請求項16】
シートの温度が、約3℃〜約6℃上昇又は降下する、請求項1記載の製品。
【請求項17】
2つの外部層と一以上の内部層を含む請求項1記載の製品であって、化学剤を含有するシートが内部層である前記製品。

【公表番号】特表2007−520643(P2007−520643A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546942(P2006−546942)
【出願日】平成16年4月16日(2004.4.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/011721
【国際公開番号】WO2005/068916
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】