説明

供給手段および部品供給装置

【課題】煩雑な制御を行うことなく、自動で部品を供給する供給手段およびこの供給手段を備える部品供給装置を提供する。
【解決手段】供給台車30に対し相対移動する部品棚130の被供給側係合バー161が供給側係合バー61に係合して押圧することにより、当該供給側係合バー61が、回動軸60とともに当該回動軸60を中心に係合前回動位置から係合時回動方向に回動する。この回動に伴い各付勢バー63a〜63cが回動軸60を中心として同一方向に回動することで、各付勢バー63a〜63cによる各回転アーム71a〜71cの付勢が解除される。この付勢解除により各回動軸および各ストッパ部材73a〜73cが各回動軸を中心に係止解除前回動位置から係止解除回動方向に回動することで、当該各ストッパ部材73a〜73cによる部品Wa〜Wcの係止が解除されて部品Wa〜Wcが部品棚130へ自動で供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を供給する供給手段およびこの供給手段を備える部品供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、部品を供給する供給手段を備える部品供給装置として、下記特許文献1に示す、部品供給装置が知られている。この部品供給装置では、作業者が各部品を供給台車の各レール部材上に載置すると、各部品は各レール部材に掛けられたそれぞれのストッパ部材の係止部により係止した状態で積載される。作業者が各部品を積載した供給台車を部品棚に対して位置決めして配置した後に操作ペダルを踏み込むことにより、各ストッパ部材の係止部による各部品の係止が解除される。これにより、各レール部材上に載置されていた各部品が、当該各レール部材上および部品棚の各レール部材上を滑動して部品棚の各レール部材上に載置される。
【特許文献1】特開2005−224869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述のように供給台車に積載された各部品を部品棚へ供給するには、作業者が供給台車を部品棚に対して位置決めして配置した後に操作ペダルを踏み込む作業が必要になる。また、所定の供給位置まで自動で牽引される供給台車であっても、部品を供給する際には作業者による操作ペダルの踏み込み作業が必要になる。
【0004】
また、上述のような作業者による操作ペダルの踏み込み作業によらず、電気的な制御により供給台車に積載された各部品を部品棚へ自動で供給する場合には、対象部品棚の選定や供給タイミングの設定など煩雑な制御になってしまう。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、煩雑な制御を行うことなく、自動で部品を供給する供給手段およびこの供給手段を備える部品供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の供給手段では、部品棚(130)に部品(Wa〜Wc)を供給する供給手段(30)であって、下方に傾斜して配置される少なくとも1組以上のレール部材(51a〜51e、52a〜52e、53a〜53e)と、第1の回動軸(60)に相対回転不能に連結されて当該供給手段に対し相対移動する前記部品棚から突出した被供給側係合部材(161)への係合に伴い前記第1の回動軸とともに当該第1の回動軸を中心に係合前回動位置から係合時回動方向(α)に回動する供給側係合部材(61)と、前記第1の回動軸に相対回転不能に連結されて当該第1の回動軸の前記係合時回動方向への回動に伴いこの第1の回動軸を中心に同一方向に回動する第1の付勢手段(63a〜63c)と、第2の回動軸(70a〜70c)に相対回転不能に連結されるとともに前記係合前回動位置における前記第1の付勢手段により前記係合時回動方向とは逆の回動方向に付勢される被付勢部材(71a〜71c)と、前記第2の回動軸に相対回転不能に連結される係止部材(73a〜73c)であって、前記第1の付勢手段により前記被付勢部材が付勢されているとき前記レール部材上に載置された前記部品を係止し、前記第1の付勢手段による前記被付勢部材の付勢が解除されたときこの被付勢部材および前記第2の回動軸とともに当該第2の回動軸を中心に係止解除前回動位置から係止解除回動方向(β)に回動して前記部品の係止を解除する係止部材と、を備えることを技術的特徴とする。
【0007】
特許請求の範囲に記載の請求項6の供給手段では、部品棚(130)に部品(Wa〜Wc)を供給する供給手段(30a)であって、下方に傾斜して配置される少なくとも1組以上のレール部材(51a〜51e、52a〜52e、53a〜53e)と、第1の回動軸(60e)に相対回転不能に連結されて当該供給手段に対し相対移動する前記部品棚から突出した被供給側係合部材(161)への係合に伴い前記第1の回動軸とともに当該第1の回動軸を中心に係合前回動位置から係合時回動方向(α)に回動する供給側係合部材(61)と、第4の付勢手段(90)により付勢されて前記レール部材上に配置される前記部品を係止する1つ以上の係止部材(101〜103)と、前記第1の回動軸の前記係合時回動方向への回動に伴い前記第4の付勢手段を前記第1の回動軸に沿う方向に移動させて前記1つ以上の係止部材による前記部品の係止を解除するリンク機構(80)と、を備えることを技術的特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明では、供給手段に対し相対移動する部品棚の被供給側係合部材が供給側係合部材に係合して押圧することにより、当該供給側係合部材が、第1の回動軸とともに当該第1の回動軸を中心に係合前回動位置から係合時回動方向に回動する。この係合時回動方向への回動に伴い第1の付勢手段が第1の回動軸を中心として同一方向に回動することで、第1の付勢手段による被付勢部材の付勢が解除されて、この被付勢部材に連結されている第2の回動軸およびこの第2の回動軸に連結される係止部材が回動可能状態になる。
【0009】
このため、例えば、レール部材上の部品の自重により、係止部材が第2の回動軸を中心に係止解除回動方向に回動することで、当該係止部材による部品の係止が解除される。これにより、供給手段のレール部材上の部品を部品棚へ自動で供給することができる。また、供給側係合部材の位置、例えば、床からの高さを、供給すべき部品棚の被供給側係合部材に係合する高さに設定するだけで供給対象となる部品棚を選定することができる。したがって、煩雑な制御を行うことなく、自動で部品を供給することができる。
【0010】
請求項2の発明では、第2の付勢手段は、第1の回動軸に相対回動不能に連結されて当該第1の回動軸の係合時回動方向への回動に伴い被付勢部材を同一回動方向に付勢する。
【0011】
供給手段のレール部材上の部品が軽量である場合には、第1の付勢手段による被付勢部材の付勢が解除されて係止部材が回動可能状態になった場合であっても、部品の自重では係止部材を回動させることができない場合がある。
【0012】
そこで、第1の付勢手段による被付勢部材の付勢が解除された場合には、第1の回動軸を中心に係合時回動方向に回動する第2の付勢手段により付勢して、被付勢部材を係止解除回動方向に回動させる。この回動により係止部材が第2の回動軸を中心に係止解除回動方向に回動するので、係止部材による部品の係止が解除される。したがって、軽量の部品であっても煩雑な制御を行うことなく、自動で部品を供給することができる。
【0013】
請求項3の発明では、第3の付勢手段は、第2の回動軸を係止解除回動方向とは逆の回動方向に付勢する。これにより、上述のように係止部材が係止解除回動方向に回動してレール部材上の部品を部品棚へ供給した後に被供給側係合部材と供給側係合部材との係合が解除されると、当該係止部材を、第2の回動軸とともに係止解除回動方向とは逆の回動方向に回動させて元の回動位置(係止解除前回動位置)に自動的に戻すことができる。
【0014】
請求項4の発明では、第1の回動軸に相対回動不能に連結される複数の第1の付勢手段と、複数の第1の付勢手段と同数の第2の回動軸と、これら各第2の回動軸にそれぞれ相対回動不能に連結される被付勢部材および係止部材とを備える。
【0015】
これにより、1つの第1の回動軸を回動させることにより、この第1の回動軸に相対回動不能に連結される複数の第1の付勢手段による各被付勢部材の付勢をそれぞれ解除して、各係止部材による複数の部品の係止をそれぞれ解除することができる。したがって、煩雑な制御を行うことなく、自動で複数の部品を供給することができる。
【0016】
請求項5の発明では、第1の付勢手段は、第1の回動軸から被付勢部材に近接するように突出する基端部と、この基端部の先端から上方に延設され、上記係止解除前回動位置における被付勢部材に当接して付勢する付勢部とでもって構成される。
【0017】
このため、第1の回動軸が係合前回動位置に位置している場合には、付勢部は、被付勢部材に当接して当該被付勢部材を確実に付勢する。また、第1の回動軸の係合時回動方向への回動に伴い基端部が当該第1の回動軸を中心に同一回動方向に回動する場合には、わずかな回動で付勢部と被付勢部材との当接を解除することができる。これにより、第1の付勢手段による被付勢部材の付勢およびその解除が確実になされる。
【0018】
請求項6の発明では、供給手段に対し相対移動する部品棚の被供給側係合部材が供給側係合部材に係合して押圧することにより、当該供給側係合部材が、第1の回動軸とともに当該第1の回動軸を中心に係合前回動位置から係合時回動方向に回動する。この係合時回動方向への回動に伴いリンク機構が第4の付勢手段を移動させることで、第4の付勢手段による係止部材の付勢が解除されて、当該係止部材によるレール部材上の部品の係止が解除される。
【0019】
これにより、供給手段のレール部材上の部品を部品棚へ自動で供給することができる。また、供給側係合部材の位置、例えば、床からの高さを、供給すべき部品棚の被供給側係合部材に係合する高さに設定するだけで供給対象となる部品棚を選定することができる。したがって、煩雑な制御を行うことなく、自動で部品を供給することができる。
【0020】
請求項7の発明では、リンク機構は、第1の回動軸に相対回動不能に固定されて螺旋状の溝が形成される回動軸側リンク部と、第4の付勢手段に固定されて螺旋状の溝に係合する係合部を有する係止部材側リンク部とを備える。
【0021】
これにより、回動軸側リンク部が第1の回動軸とともに回動すると、螺旋状の溝に係合している係合部を有する係止部材側リンク部は、回動している螺旋状の溝に係合した状態を維持するとともに第1の回動軸に沿う方向に移動する。この係止部材側リンク部の移動により、第4の付勢手段を第1の回動軸に沿う方向に確実に移動させることができる。したがって、部品の係止の解除を確実に行うことができる。
【0022】
請求項8の発明では、第1の回動軸を上記係合時回動方向とは逆の回動方向に付勢する第5の付勢手段を備える。このため、被供給側係合部材と供給側係合部材との係合により係合時回動方向に回動した第1の回動軸を、第5の付勢手段により係合時回動方向とは逆の回動方向に回動させて元の回動位置(係合前回動位置)に自動的に戻すことができる。
【0023】
請求項9の発明では、供給側係合部材は、部品棚側の先端を、上記係合時回動方向に傾斜して形成される。これにより、部品を供給し終えた供給手段が部品棚に対し再度相対移動する場合に、供給側係合部材と被供給側係合部材との係合が解除されやすくなる。
【0024】
請求項10の発明では、請求項1〜9のいずれか一項に記載の供給手段によって、被供給側係合部材を有する部品棚に部品を供給する。これにより、供給手段のレール部材上の部品を部品棚へ自動で供給することができる等の、請求項1〜9の各発明による作用・効果を享受した部品供給装置を実現することができる。したがって、煩雑な制御を行うことなく、供給手段に積載された部品を部品棚へ自動で供給する部品供給装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る部品供給装置20を構成する供給台車30を示す斜視図である。
部品供給装置20は、部品Wa〜Wcを積み込んだ状態で図略の牽引車により所定のルートを牽引される供給台車30と、この供給台車30から部品Wa〜Wcを供給される部品棚130とから構成されている。
【0026】
まず、供給台車30について詳細に説明すると、当該供給台車30は、例えば、樹脂パイプからなる各フレーム31〜42が連結具で連結固定されて組み立てられている。各横フレーム31〜34は矩形状に組み合わされて基台を構成し、その基台の4つの頂点部分には各縦フレーム35〜38が横フレーム31〜34に対して垂直上方に立設され、各縦フレーム35〜38の上端には矩形状に組み合わされた各横フレーム39〜42が架設されて梁を構成している。基台の四隅の底辺側には、自在に方向を可変可能な4つのキャスタ43が取り付けられている。また、横フレーム31および横フレーム39は、縦フレーム36から所定距離だけ外方に延出しており、これらの延出端部31a、39aは、連結具を介して縦フレーム44により連結されている。
【0027】
両縦フレーム35、36には、上方から下方に向かって3本の横フレーム45〜47が横フレーム31、39に平行になるように連結具を介し連結固定されている。また、両縦フレーム37、38には、上方から下方に向かって3本の横フレーム48〜50が横フレーム33、41に平行になるように連結具を介し連結固定されている。
【0028】
ここで、横フレーム45と横フレーム48とは、両横フレーム45、48間にレール部材51a〜51e(後述する)を掛架したときにこのレール部材51a〜51eが所定の傾斜角度を形成するように、横フレーム45が横フレーム48よりも低い位置に配置されている。また、両横フレーム45、48の位置関係と同様の理由により、横フレーム46が横フレーム49よりも低い位置に配置されており、横フレーム47が横フレーム50よりも低い位置に配置されている。
【0029】
横フレーム45および横フレーム48には、上面に複数のコロを有する5つのレール部材51a〜51eが、上記所定の傾斜角度を形成するようにそれぞれ平行に掛架されている。同様に、横フレーム46および横フレーム49には5つのレール部材52a〜52eが、横フレーム47および横フレーム50には5つのレール部材53a〜53eが、上記所定の傾斜角度を形成するようにそれぞれ平行に掛架されている。
【0030】
横フレーム31の延出端部31aおよび横フレーム39の延出端部39aには、第1の回動軸である回動軸60が縦フレーム36、44に平行であって水平方向に回動可能に支持されている。この回動軸60の上端および下端には、当該回動軸60から直角方向であって互いに平行に突出する突出部60aおよび突出部60bが設けられている。当該回動軸60は、通常の回動位置(以下、係合前回動位置ともいう)では、突出部60a、60bが横フレーム32、40に平行であって縦フレーム37に近接するように支持されている。また、回動軸60は、上方からみて、係合前回動位置から時計方向(以下、係合時回動方向αともいう)に回動するように支持されている。
【0031】
突出部60a、60bの先端部には、第5の付勢手段としてのコイル状のばね部材60c、60dの一端がそれぞれ連結されており、コイル状のばね部材60c、60dの他端は、それぞれ横フレーム40、32に連結されている。これらのばね部材60c、60dによる付勢力により、回動軸60は、通常、上方からみて反時計方向に付勢されて係合前回動位置に位置している。
【0032】
図2は、供給台車30のキックバー62aおよび付勢バー63aと回転アーム71aとの位置関係を示す詳細図である。
この回動軸60には、供給側係合部材である略平板状の1つの供給側係合バー61と、第2の付勢手段である樹脂パイプからなる3つのキックバー62a〜62cと、第1の付勢手段である3つの略L字状の付勢バー63a〜63cとが相対回動不能に連結するように固定されている。
【0033】
供給側係合バー61は、回動軸60の長手方向中間部位から突出部60a、60bとは反対の方向であって平行に延出するように配置されている。この供給側係合バー61は、その先端61aを、係合時回動方向αに傾斜して形成されている。
【0034】
キックバー62aは、回動軸60が係合前回動位置では、横フレーム45よりも低い位置から当該横フレーム45に対し略平行に近接して延出するように配置されている。キックバー62bは、回動軸60が係合前回動位置では、横フレーム46よりも低い位置から当該横フレーム46に対し略平行に近接して延出するように配置されている。キックバー62cは、回動軸60が係合前回動位置では、横フレーム47よりも低い位置から当該横フレーム47に対し略平行に近接して延出するように配置されている。
【0035】
付勢バー63a〜63cは、それぞれ同一形状であって、回動軸60に対し略直角方向に突出する基端部65とこの基端部65の先端から上方に回動軸60に対し平行に突出する付勢部64でもって略L字状に構成されている。
【0036】
付勢バー63a〜63cのそれぞれの基端部65は、回動軸60が係合前回動位置では、キックバー62a〜62cよりもわずかに低い位置から被付勢部材である回転アーム71a〜71c(後述する)に近接するように突出して、それぞれの基端部65の先端とキックバー62a〜62cとでもって回転アーム71a〜71cを挟持するように配置されている。また、付勢バー63a〜63cのそれぞれの付勢部64は、回動軸60が係合前回動位置では下方に垂下している回転アーム71a〜71cに略平行に当接した状態で付勢している。
【0037】
縦フレーム35および縦フレーム36には、上方から下方に向かって第2の回動軸である3つの回動軸70a〜70cが鉛直方向に回動可能に支持されている。回動軸70aは、横フレーム45に近接するとともに当該横フレーム45に平行に配置されている。同様に、回動軸70b、70cは、横フレーム46、47に近接するとともに平行に配置されている。
【0038】
回動軸70a〜70cのそれぞれの縦フレーム36側の端部は、回動軸60に近接するように延出しており、各端部には、回転アーム71a〜71cが、下方に垂下してそれぞれキックバー62a〜62cと付勢バー63a〜63cとに挟持されるように相対回動不能に連結するように形成されている(図2参照)。このように回転アーム71a〜71cが下方に垂下している状態における回動軸70a〜70cの回動位置を、係止解除前回動位置という。
【0039】
回動軸70a〜70cのそれぞれの縦フレーム35側の端部は、縦フレーム35からわずかに外方に延出しており、各端部には、第3の付勢手段として所定の質量を有するバランサ72a〜72cが相対回動不能に連結するように形成されている。各バランサ72a〜72cは、係止解除前回動位置の回動軸70a〜70cにおいて、それぞれ下方に垂下するように配置されている。
【0040】
レール部材51a、51b間、51d、51e間に相当する回動軸70aの位置、レール部材52a、52b間、52d、52e間に相当する回動軸70bの位置およびレール部材53a、53b間、53d、53e間に相当する回動軸70cの位置には、それぞれ、係止部材として、一方の面に複数のコロが設けられた各2つのストッパ部材73a〜73cが相対回動不能に連結するように固定されている。各両ストッパ部材73a〜73cは、係止解除前回動位置の回動軸70a〜70cにおいて、それぞれの各コロが設けられた面をそれぞれ横フレーム48〜50に向けるように配置されて、各レール部材51a〜51e、52a〜52e、53a〜53e上に載置される部品Wa〜Wcを係止する。また、各両ストッパ部材73a〜73cは、後述するように回転アーム71a〜71cの付勢が解除されると、部品Wa〜Wcの自重によりそれぞれ回動軸70a〜70cとともに各回動軸70a〜70cを中心に外方に傾斜する方向(以下、係止解除回動方向βともいう)に回動する。
【0041】
次に、部品棚130について詳細に説明する。図3は、本発明に係る部品供給装置20を構成する部品棚130を示す斜視図である。
部品棚130は、例えば、樹脂パイプからなる各フレーム131〜142が連結具で連結固定されて組み立てられ、被組立物(例えば車両など)の生産ラインのラインサイドの床G上に配置されている。各横フレーム131〜134は矩形状に組み合わされて基台を構成し、その基台の4つの頂点部分には各縦フレーム135〜138が横フレーム131〜134に対して垂直上方に立設され、各縦フレーム135〜138の上端には矩形状に組み合わされた各横フレーム139〜142が架設されて梁を構成している。
【0042】
両縦フレーム135、136には、上方から下方に向かって3本の横フレーム145〜147が横フレーム131、139に平行になるように連結具を介し連結固定されている。また、両縦フレーム137、138には、上方から下方に向かって3本の横フレーム148〜150が横フレーム133、141に平行になるように連結具を介し連結固定されている。
【0043】
横フレーム148〜150は、後述するように供給台車30の各ストッパ部材73a〜73cがそれぞれ横フレーム148〜150に掛架されるとき、これら各ストッパ部材73a〜73cのそれぞれの傾斜角度がレール部材51a〜51e、52a〜52e、53a〜53eのそれぞれの傾斜角度に一致するように配置されている。
また、横フレーム145は、当該横フレーム145と横フレーム148との間に掛架される各レール部材151a〜151e(後述する)の傾斜角度が、各レール部材51a〜51eの傾斜角度に一致するように配置されている。同様に、横フレーム146、147は、各レール部材152a〜152e、153a〜153e(後述する)の傾斜角度が、各レール部材52a〜52e、53a〜53eの傾斜角度に一致するようにそれぞれ配置されている。
【0044】
横フレーム145および横フレーム148には、上面に複数のコロを有する5つのレール部材151a〜151eが、上記所定の傾斜角度を形成するようにそれぞれ平行に掛架されている。また、横フレーム146および横フレーム149には、上面に複数のコロを有する5つのレール部材152a〜152eが、上記所定の傾斜角度を形成するようにそれぞれ平行に掛架されている。また、横フレーム147および横フレーム150には、上面に複数のコロを有する5つのレール部材153a〜153eが、上記所定の傾斜角度を形成するようにそれぞれ平行に掛架されている。
【0045】
縦フレーム137には、被供給側係合部材としての被供給側係合バー161が回動不能に連結するように固定されており、この被供給側係合バー161は、供給台車30の供給側係合バー61の床Gからの高さに一致するように当該縦フレーム137から横フレーム132、140に平行であって縦フレーム136とは反対側に突出するように配置されている。
【0046】
次に、本第1実施形態の部品供給装置20の使用状態について図4および図5を参照しながら説明する。図4は、本第1実施形態に係る両回動軸60、70の回動状態を示す説明図で、図4(A) は係合前回動状態、図4(B) は付勢解除回動状態、をそれぞれ示すものである。また、図5は、供給台車30から部品棚130への部品Wa〜Wcの供給状態を示す説明図である。
【0047】
被組立物の生産ラインにおいて、被組立物の部品を組立作業を行う作業場所に供給するには、まず、部品置場にある部品Wa〜Wcを牽引車(図示略)に牽引される供給台車30に積み込む。
【0048】
供給台車30が牽引車に牽引されて部品棚130に対し所定の供給位置に向けて移動していると、供給台車30の供給側係合バー61が部品棚130の被供給側係合バー161に係合する(図4(A) 参照)。供給台車30がさらに移動して所定の供給位置に到達すると、供給側係合バー61が被供給側係合バー161に押圧されて、両ばね部材60c、60dによる付勢力に抗して、回動軸60とともに係合時回動方向αに回動する。
【0049】
この回動により、各付勢バー63a〜63cによる各回転アーム71a〜71cへの付勢が解除されて、回動軸70a〜70cが係止解除回動方向βに回動可能状態になる。そうすると、各ストッパ部材73a〜73cが、レール部材51a〜51e、52a〜52e、53a〜53e上に載置された部品Wa〜Wcの自重により、各回動軸70a〜70cを中心に当該各回動軸70a〜70cとともに係止解除回動方向βに回動する(図4(B) 参照)。
【0050】
このように回動した各ストッパ部材73a〜73cが部品棚130の横フレーム148〜150に掛架されることにより、レール部材51a〜51eと、ストッパ部材73aと、レール部材151a〜151eとが連続した状態となり、レール部材52a〜52eと、ストッパ部材73bと、レール部材152a〜152eとが連続した状態となり、レール部材53a〜53eと、ストッパ部材73cと、レール部材153a〜153eとが連続した状態となる。
【0051】
これにより、各ストッパ部材73a〜73cによって移動不能に係止されていた各部品Wa〜Wcは、レール部材51a〜51e、ストッパ部材73a、レール部材151a〜151eと、レール部材52a〜52e、ストッパ部材73b、レール部材152a〜152eと、レール部材53a〜53e、ストッパ部材73c、レール部材153a〜153eとの上を滑動して自動的に部品棚130に移し替えられて部品棚130に載置される。
【0052】
以上説明したように、本第1実施形態に係る供給台車30では、当該供給台車30に対し相対移動する部品棚130の被供給側係合バー161が供給側係合バー61に係合して押圧することにより、当該供給側係合バー61が、回動軸60とともに当該回動軸60を中心に係合前回動位置から係合時回動方向αに回動する。この係合時回動方向αへの回動に伴い各付勢バー63a〜63cが回動軸60を中心として同一方向に回動することで、各付勢バー63a〜63cによる各回転アーム71a〜71cの付勢が解除されて、各回転アーム71a〜71cにそれぞれ連結されている回動軸70a〜70cおよび各回動軸70a〜70cにそれぞれ連結される各ストッパ部材73a〜73cが回動可能状態になる。
【0053】
このため、例えば、レール部材51a〜51e、52a〜52e、53a〜53e上の部品Wa〜Wcの自重により、各ストッパ部材73a〜73cが各回動軸70a〜70cを中心に係止解除回動方向βに回動することで、当該各ストッパ部材73a〜73cによる部品Wa〜Wcの係止が解除される。これにより、供給台車30のレール部材51a〜51e、52a〜52e、53a〜53e上の部品Wa〜Wcを部品棚130へ自動で供給することができる。また、供給側係合バー61の位置、例えば、床Gからの高さを、供給すべき部品棚の被供給側係合バー161に係合する高さに設定するだけで供給対象となる部品棚を選定することができる。したがって、煩雑な制御を行うことなく、自動で部品を供給することができる。
【0054】
また、本第1実施形態に係る供給台車30では、各キックバー62a〜62cは、回動軸60に相対回動不能に連結されて当該回動軸60の係合時回動方向αへの回動に伴い各回転アーム71a〜71cを同一方向に付勢する。
【0055】
供給台車30のレール部材51a〜51e、52a〜52e、53a〜53e上の部品Wa〜Wcが軽量である場合には、各付勢バー63a〜63cによる各回転アーム71a〜71cの付勢が解除されて各ストッパ部材73a〜73cが回動可能状態になった場合であっても、部品Wa〜Wcの自重では各ストッパ部材73a〜73cを回動させることができない場合がある。
【0056】
そこで、各付勢バー63a〜63cによる各回転アーム71a〜71cの付勢が解除された場合には、回動軸60を中心に係合時回動方向αに回動する各キックバー62a〜62cにより付勢して、各回転アーム71a〜71cを係止解除回動方向βに回動させる。この回動により各ストッパ部材73a〜73cが各回動軸70a〜70cを中心に係止解除回動方向βに回動するので、各ストッパ部材73a〜73cによる部品Wa〜Wcの係止が解除される。したがって、軽量の部品であっても煩雑な制御を行うことなく、自動で部品を供給することができる。
【0057】
さらに、本第1実施形態に係る供給台車30では、バランサ72a〜72cは、各回動軸70a〜70cを係止解除回動方向βとは逆の回動方向に付勢する。これにより、上述のように各ストッパ部材73a〜73cが係止解除回動方向βに回動してレール部材51a〜51e、52a〜52e、53a〜53e上の部品Wa〜Wcを部品棚130へ供給した後に被供給側係合バー161と供給側係合バー61との係合が解除されると、当該各ストッパ部材73a〜73cを、各回動軸70a〜70cとともに係止解除回動方向βとは逆の回動方向に回動させて元の回動位置(係止解除前回動位置)に自動的に戻すことができる。
【0058】
さらに、本第1実施形態に係る供給台車30では、回動軸60に相対回動不能に連結される複数の各付勢バー63a〜63cと、これらの各付勢バー63a〜63cと同数の各回動軸70a〜70cと、これら各回動軸70a〜70cにそれぞれ相対回動不能に連結するように形成される各回転アーム71a〜71cおよび各ストッパ部材73a〜73cとを備える。
【0059】
これにより、1つの回動軸60を回動させることにより、この回動軸60に相対回動不能に連結される複数の各付勢バー63a〜63cによる各回転アーム71a〜71cの付勢をそれぞれ解除して、各ストッパ部材73a〜73cによる複数の部品Wa〜Wcの係止をそれぞれ解除することができる。したがって、煩雑な制御を行うことなく、自動で複数の部品を供給することができる。
【0060】
さらに、本第1実施形態に係る供給台車30では、各付勢バー63a〜63cは、回動軸60から各回転アーム71a〜71cにそれぞれ近接するように突出する基端部65と、この基端部65の先端から上方に延設され、上記係止解除前回動位置における各回転アーム71a〜71cにそれぞれ当接して付勢する付勢部64とでもって構成される。
【0061】
このため、回動軸60が係合前回動位置に位置している場合には、各付勢部64は、各回転アーム71a〜71cにそれぞれ当接して当該各回転アーム71a〜71cを確実に付勢する。また、回動軸60の係合時回動方向αへの回動に伴い基端部65が当該回動軸60を中心に回動する場合には、わずかな回動で各付勢部64と各回転アーム71a〜71cとのそれぞれの当接を解除することができる。これにより、各付勢バー63a〜63cによる各回転アーム71a〜71cの付勢およびその解除が確実になされる。
【0062】
さらに、本第1実施形態に係る供給台車30では、当該回動軸60を係合時回動方向αとは逆の回動方向に付勢するばね部材60c、60dを備える。このため、被供給側係合バー161と供給側係合バー61との係合により係合時回動方向αに回動した回動軸60を、両ばね部材60c、60dにより係合時回動方向αとは逆の回動方向に回動させて元の回動位置(係合前回動位置)に自動的に戻すことができる。
【0063】
さらに、本第1実施形態に係る供給台車30では、供給側係合バー61は、その先端61aを、係合時回動方向αに傾斜して形成される。これにより、部品Wa〜Wcを供給し終えた供給台車30が部品棚130に対し再度相対移動する場合に、供給側係合バー61と被供給側係合バー161との係合が解除されやすくなる。
【0064】
さらに、本第1実施形態に係る部品供給装置20では、上述した供給台車30によって、被供給側係合バー161を有する部品棚130に部品Wa〜Wcを供給する。これにより、供給台車30のレール部材51a〜51e、52a〜52e、53a〜53e上の部品Wa〜Wcを部品棚130へ供給することができる等の作用・効果を享受した部品供給装置を実現することができる。したがって、煩雑な制御を行うことなく、供給台車30に積載された部品Wa〜Wcを部品棚130へ自動で供給する部品供給装置20を提供することができる。
【0065】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図6〜図9を参照して説明する。図6は、本発明の第2実施形態に係る部品供給装置を構成する供給台車を示す斜視図である。本第2実施形態に係る部品供給装置20は、供給台車30aにおいて、回動軸60(キックバー62a〜62c、付勢バー63a〜63c等含む)、および、回動軸70a〜70c(回転アーム71a〜71c、バランサ72a〜72c、ストッパ部材73a〜73c等含む)に代えて、回動軸60e、リンク機構80、枠体90および3つのストッパ部材101〜103を採用している点が、上記第1実施形態に係る部品供給装置と異なる。したがって、第1実施形態の部品供給装置と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0066】
図7は、リンク機構80の詳細機構を説明する説明図である。
第1の回動軸としての回動軸60eは、縦フレーム36に平行であって水平方向に回動可能に支持されており、この回動軸60eの上端近傍には、上記第1実施形態にて述べた供給側係合バー61が相対回動不能に連結するように固定されている。当該回動軸60eは、係合前回動位置では、供給側係合バー61が横フレーム32、40に平行であって縦フレーム37とは反対の方向に延出するように支持されている。また、回動軸60eは、上記第1実施形態と同様に第5の付勢手段である図略のばね部材にて係合時回動方向αとは反対の方向に付勢されている。
【0067】
リンク機構80は、回動軸60eの供給側係合バー61の直下であって当該回動軸60eに相対回動不能に固定される回動軸側リンク部である回動軸側リンク部材81と、第4の付勢手段である枠体90の縦フレーム91b(後述する)に固定される係止部材側リンク部である枠体側リンク部材82とでもって構成されている。回動軸側リンク部材81の外周には、螺旋状の溝81aが形成されており、この溝81aには、枠体側リンク部材82から延出する係合部としての延出片82aが常に係合している。
【0068】
このような溝81aと延出片82aとの係合により、回動軸側リンク部材81の回動が、枠体側リンク部材82の回動軸60eに沿う方向への移動に変換される。すなわち、回動軸60eにおける係合前回動位置から係合時回動方向αへの回動が枠体90における係止解除前高さから鉛直下方向γへの平行移動に変換される。
【0069】
枠体90は、縦フレーム35に対し鉛直方向に移動可能に支持される縦フレーム91aと、縦フレーム36に対し鉛直方向に移動可能に支持される縦フレーム91bと、両縦フレーム91a、91bを連結する互いに平行な横フレーム92a〜92cとでもって構成される。
【0070】
枠体90が係止解除前高さに位置している場合には、横フレーム92a〜92cはそれぞれ横フレーム45〜47の外側上方に平行に近接して配置されている。
【0071】
係止部材であるストッパ部材101〜103は、それぞれ横フレーム45〜47を中心に各横フレーム45〜47に回動可能に支持される各2つの支柱101a〜103aと、各両支柱101a〜103aをそれぞれ連結する連結部101b〜103bとでもって構成されている。
各両支柱101a〜103aは、係止解除前高さに位置する枠体90の横フレーム92a〜92cにそれぞれ係止されて上方に延出するように配置されている。また、各ストッパ部材101〜103は、後述するように各横フレーム92a〜92cによる各両支柱101a〜103aの係止が解除されると、部品Wa〜Wcの自重によりそれぞれ横フレーム45〜47を中心に外方に傾斜する方向(以下、係止解除回動方向βともいう)に回動する。
【0072】
次に、本第2実施形態の部品供給装置20の使用状態について図8および図9を参照しながら説明する。図8は、本第2実施形態に係るリンク機構80の動作状態を示す説明図で、図8(A) は係合前回動状態、図8(B) は係合後回動状態、をそれぞれ示すものである。また、図9は、本第2実施形態に係る供給台車30aから部品棚130への部品Wa〜Wcの供給状態を示す説明図である。
【0073】
回動軸60eが係合前回動位置に位置しているときには、枠体側リンク部材82の延出片82aが回動軸側リンク部材81の溝81aの上部に係合することにより、係止解除前高さに位置する枠体90の各横フレーム92a〜92cが各ストッパ部材101〜103を係止している(図8(A) 参照)
【0074】
このような状態において、上記第1実施形態と同様に供給側係合バー61が被供給側係合バー161により押圧されて回動軸60eが回動軸側リンク部材81とともに係合前回動位置から係合時回動方向αに回動すると、枠体側リンク部材82とともに枠体90が係止解除前高さから鉛直下方向γへ平行移動する。
【0075】
この下方への移動により、横フレーム92a〜92cによる支柱101a〜103aの係止が解除されて、ストッパ部材101〜103は、部品Wa〜Wcの自重により横フレーム45〜47を中心に係止解除回動方向βにそれぞれ回動する(図8(B) 参照)。
【0076】
このように回動した各ストッパ部材101〜103が部品棚130の横フレーム148〜150に掛架されることにより、各ストッパ部材101〜103によって移動不能に係止されていた各部品Wa〜Wcは、レール部材51a〜51e、ストッパ部材101、レール部材151a〜151eと、レール部材52a〜52e、ストッパ部材102、レール部材152a〜152eと、レール部材53a〜53e、ストッパ部材103、レール部材153a〜153eとの上を滑動して自動的に部品棚130に移し替えられて部品棚130に載置される。
【0077】
以上説明したように、本第2実施形態に係る供給台車30aでは、当該供給台車30aに対し相対移動する部品棚130の被供給側係合バー161が供給側係合バー61に係合して押圧することにより、当該供給側係合バー61が、回動軸60eとともに当該回動軸60eを中心に係合前回動位置から係合時回動方向αに回動する。この係合時回動方向αへの回動に伴いリンク機構80が枠体90を回動軸60eに沿う方向に移動させることで、当該枠体90によるストッパ部材101〜103の付勢が解除されて、当該ストッパ部材101〜103によるレール部材51a〜51e、52a〜52e、53a〜53e上の部品Wa〜Wcの係止が解除される。これにより、供給台車30aのレール部材51a〜51e、52a〜52e、53a〜53e上の部品Wa〜Wcを部品棚130へ自動で供給することができる。
【0078】
また、本第2実施形態に係る供給台車30aでは、リンク機構80は、回動軸60eに相対回動不能に固定されて螺旋状の溝81aが形成される回動軸側リンク部材81と、枠体90の縦フレーム91bに固定されて螺旋状の溝81aに係合する延出片82aを有する枠体側リンク部材82とを備える。
【0079】
これにより、回動軸側リンク部材81が回動軸60eとともに回動すると、螺旋状の溝81aに係合している延出片82aを有する枠体側リンク部材82は、回動している螺旋状の溝81aに係合した状態を維持するとともに回動軸60eに沿う方向に移動する。この枠体側リンク部材82の移動により、枠体90を係止解除前高さから回動軸60eに沿う方向、すなわち、鉛直下方向γへ確実に移動させることができる。したがって、部品Wa〜Wcの係止の解除を確実に行うことができる。
【0080】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、上記各実施形態と同等の作用・効果が得られる。
(1)上記各実施形態において、供給台車30の各レール部材51a〜51e、52a〜52e、53a〜53e、および、部品棚130の各レール部材151a〜151e、152a〜52e、153a〜153eは、3段であることに限らず、1段、2段あるいは4段以上であってもよい。この場合、その段数に合わせて、上記第1実施形態であればキックバー62a〜62c、付勢バー63a〜63c、回動軸70a〜70c等の個数を変更し、上記第2実施形態であれば枠体90の横フレーム92a〜92cおよびストッパ部材101〜103の個数を変更してもよい。
【0081】
(2)上記第2実施形態において、各レール部材51a〜51e、52a〜52e、53a〜53e上の各部品Wa〜Wcを係止する各ストッパ部材101〜103を排除して、枠体90をストッパ(係止部材)として各部品Wa〜Wcを直接係止するようにしてもよい。
【0082】
(3)上記第2実施形態において、リンク機構80は、回動軸60eの回動に伴い枠体90を鉛直下方向γへ移動させることに限らず、回動軸側リンク部材81の溝81aの形状を適宜設定することにより、枠体90を、例えば、鉛直方向上方向に移動させて当該枠体90によるストッパ部材101〜103の付勢の解除を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1実施形態に係る部品供給装置を構成する供給台車を示す斜視図である。
【図2】供給台車のキックバーおよび付勢バーと回転アームとの位置関係を示す詳細図である。
【図3】本第1実施形態に係る部品供給装置を構成する部品棚を示す斜視図である。
【図4】本第1実施形態に係る両回動軸の回動状態を示す説明図で、図4(A) は係合前回動状態、図4(B) は付勢解除回動状態、をそれぞれ示すものである。
【図5】本第1実施形態に係る供給台車から部品棚への部品の供給状態を示す説明図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る部品供給装置を構成する供給台車を示す斜視図である。
【図7】リンク機構の詳細機構を説明する説明図である。
【図8】本第2実施形態に係るリンク機構の動作状態を示す説明図で、図8(A) は係合前回動状態、図8(B) は係合後回動状態、をそれぞれ示すものである。
【図9】本第2実施形態に係る供給台車から部品棚への部品の供給状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0084】
20…部品供給装置
30、30a…供給台車(供給手段)
51a〜51e、52a〜52e、53a〜53e、…レール部材
60、60e…回動軸(第1の回動軸)
60a、60b…突出部
60c、60d…ばね部材(第5の付勢手段)
61…供給側係合バー(供給側係合部材)
61a…先端
62a〜62c…キックバー(第2の付勢手段)
63a〜63c…付勢バー(第1の付勢手段)
64…付勢部
65…基端部
70a〜70c…回動軸(第2の回動軸)
71a〜71c…回転アーム(被付勢部材)
72a〜72c…バランサ(第3の付勢手段)
73a〜73c…ストッパ部材(係止部材)
80…リンク機構
81…回動軸側リンク部材(回動軸側リンク部)
81a…溝
82…枠体側リンク部材(係止部材側リンク部)
82a…延出片(係合部)
90…枠体(第4の付勢手段、係止部材)
101〜103…ストッパ部材(係止部材)
130…部品棚
161…被供給側係合バー(被供給側係合部材)
Wa〜Wc…部品
α…係合時回動方向
β、β…係止解除回動方向
γ…鉛直下方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品棚に部品を供給する供給手段であって、
下方に傾斜して配置される少なくとも1組以上のレール部材と、
第1の回動軸に相対回転不能に連結されて当該供給手段に対し相対移動する前記部品棚から突出した被供給側係合部材への係合に伴い前記第1の回動軸とともに当該第1の回動軸を中心に係合前回動位置から係合時回動方向に回動する供給側係合部材と、
前記第1の回動軸に相対回転不能に連結されて当該第1の回動軸の前記係合時回動方向への回動に伴いこの第1の回動軸を中心に同一回動方向に回動する第1の付勢手段と、
第2の回動軸に相対回転不能に連結されるとともに前記係合前回動位置における前記第1の付勢手段により前記係合時回動方向とは逆の回動方向に付勢される被付勢部材と、
前記第2の回動軸に相対回転不能に連結される係止部材であって、前記第1の付勢手段により前記被付勢部材が付勢されているとき前記レール部材上に載置された前記部品を係止し、前記第1の付勢手段による前記被付勢部材の付勢が解除されたときこの被付勢部材および前記第2の回動軸とともに当該第2の回動軸を中心に係止解除前回動位置から係止解除回動方向に回動して前記部品の係止を解除する係止部材と、
を備えることを特徴とする供給手段。
【請求項2】
前記第1の回動軸に相対回動不能に連結されて当該第1の回動軸の前記係合時回動方向への回動に伴い前記被付勢部材を同一回動方向に付勢する1つ以上の第2の付勢手段を備えることを特徴とする請求項1記載の供給手段。
【請求項3】
前記第2の回動軸を前記係止解除回動方向とは逆の回動方向に付勢する1つ以上の第3の付勢手段を備えることを特徴とする請求項1または2記載の供給手段。
【請求項4】
前記第1の回動軸に相対回動不能に連結される複数の前記第1の付勢手段と、
前記複数の第1の付勢手段と同数の前記第2の回動軸と、これら各第2の回動軸にそれぞれ相対回動不能に連結される前記被付勢部材および前記係止部材と、
を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の供給手段。
【請求項5】
前記第1の付勢手段は、前記第1の回動軸から前記被付勢部材に近接するように突出する基端部と、この基端部の先端から上方に延設され、前記係止解除前回動位置における前記被付勢部材に当接して付勢する付勢部とでもって構成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の供給手段。
【請求項6】
部品棚に部品を供給する供給手段であって、
下方に傾斜して配置される少なくとも1組以上のレール部材と、
第1の回動軸に相対回転不能に連結されて当該供給手段に対し相対移動する前記部品棚から突出した被供給側係合部材への係合に伴い前記第1の回動軸とともに当該第1の回動軸を中心に係合前回動位置から係合時回動方向に回動する供給側係合部材と、
第4の付勢手段により付勢されて前記レール部材上に配置される前記部品を係止する1つ以上の係止部材と、
前記第1の回動軸の前記係合時回動方向への回動に伴い前記第4の付勢手段を移動させて前記1つ以上の係止部材による前記部品の係止を解除するリンク機構と、
を備えることを特徴とする供給手段。
【請求項7】
前記リンク機構は、前記第1の回動軸に相対回動不能に固定されて螺旋状の溝が形成される回動軸側リンク部と、前記第4の付勢手段に固定されて前記螺旋状の溝に係合する係合部を有する係止部材側リンク部とを備えることを特徴とする請求項6記載の供給手段。
【請求項8】
前記第1の回動軸を前記係合時回動方向とは逆の回動方向に付勢する第5の付勢手段を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の供給手段。
【請求項9】
前記供給側係合部材は、前記部品棚側の先端を、前記係合時回動方向に傾斜して形成されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の供給手段。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の供給手段と前記被供給側係合部材を有する部品棚とを備える部品供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−264918(P2008−264918A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−110191(P2007−110191)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【出願人】(000245830)矢崎化工株式会社 (47)
【Fターム(参考)】