供給支援システム及び支援装置及び空中給油支援システム及び位置送信装置
【課題】 位置情報を用いることにより空中給油においてブーム及び給油ホースを制御し、空中給油を短時間に行うシステムの提供を目的とする。
【解決手段】ブーム4と給油ホース3とから構成される供給経路部30を使用して、タンカー航空機1から被給油航空機2へ空中給油を行う。被給油航空機GPSデータ受信部7は、被給油航空機2に設置され、人工衛星501等の送信する測位情報を受信し、被給油航空機2への自己の設置位置を示す第1位置を検出する。タンカー航空機GPSデータ受信部6は、タンカー航空機1に設置され、人工衛星501等の送信する測位情報を受信し、タンカー航空機1への自己の設置位置を示す第2位置を検出する。支援装置100は第1位置と第2位置とを入力し、入力した第1位置と第2位置とに基づき、空中給油する場合のブーム4の方位と、給油ホース3の繰り出し量とを算出する。
【解決手段】ブーム4と給油ホース3とから構成される供給経路部30を使用して、タンカー航空機1から被給油航空機2へ空中給油を行う。被給油航空機GPSデータ受信部7は、被給油航空機2に設置され、人工衛星501等の送信する測位情報を受信し、被給油航空機2への自己の設置位置を示す第1位置を検出する。タンカー航空機GPSデータ受信部6は、タンカー航空機1に設置され、人工衛星501等の送信する測位情報を受信し、タンカー航空機1への自己の設置位置を示す第2位置を検出する。支援装置100は第1位置と第2位置とを入力し、入力した第1位置と第2位置とに基づき、空中給油する場合のブーム4の方位と、給油ホース3の繰り出し量とを算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第2の移動体から第1の移動体への物質供給を支援する供給支援システムに関する。例えば、空中給油を支援する空中給油支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
空中給油を支援する技術として特表2000−509343号公報(特許文献1)では、画像処理用いた空中給油に関する技術の開示がある。しかしながら、この先行技術は、画像処理を用いてブームの制御を支援するものであり、
(1)作業終了まで航空機を同じ方向・速度に保つための情報を提供することはできない。
(2)また、夜間の給油および視界不良条件での給油については、照明光源を使用しなければならない場合もある。
(3)また、カメラによる給油受け口追跡中に特性要素が消失するのを制限するためには、広角で全体を映すもう一台のカメラを用意しなければならない。
(4)ブームから受け口までの奥行情報は形状認識手段から算出するため、天候や太陽の位置や照明のあたり方によっては見にくくなり、形状が認識できず制御できない場合が生じるといった問題があった。
【特許文献1】特表2000−509343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は、位置情報を用いることにより空中給油においてブーム及び給油ホースを制御し、空中給油を短時間に行うシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明の供給支援システムは、
所定の物質を供給する経路となるとともに制御可能である供給経路部を有する第2の移動体から前記供給経路部を介して所定の物質の供給を受ける第1の移動体への物質供給を支援する供給支援システムにおいて、
前記第1の移動体に設置され測位情報を受信して前記第1の移動体における所定の位置を示す第1位置を検出する第1位置検出装置と、
前記第2の移動体に設置され測位情報を受信して前記第2の移動体における所定の位置を示す第2位置を検出する第2位置検出装置と、
前記第1位置検出装置が検出した第1位置と、前記第2位置検出装置が検出した第2位置とに基づいて、前記供給経路部を介して所定の物質を前記第2の移動体から前記第1の移動体に供給する場合の前記供給経路部を制御する制御情報を生成する支援装置と
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
この発明により、位置情報によりブームを制御して、短時間に空中給油を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
実施の形態1.
図1〜図8を用いて実施の形態1を説明する。以下に示す実施の形態1、実施の形態2は、所定の物質を供給する経路となるとともに制御可能である供給経路部を有する第2の移動体から前記供給経路部を介して所定の物質の供給を受ける第1の移動体への物質供給を支援する供給支援システムに関するものである。以下では、供給支援システムの例として、空中給油の場合を説明する。第2の移動体の例としては、給油を行うタンカー航空機である。第1の移動体の例としては、タンカー航空機から給油を受ける被給油航空機である。所定の物質とは「航空機燃料」である。また、第2の移動体の有する供給経路部とは、図4に示すブーム4と給油ホース3とから構成される供給経路部30である。ブーム4と給油ホース3とから構成される供給経路部30は、図5に示すブーム方位操作部11及びホース長さ操作部13により制御が可能である。
【0007】
以下に示す空中給油は一例である。移動体から移動体への所定の物質の物質供給を支援するシステムであればよい。例えば、走行する第1車両から走行する第2車両に所定の物質を供給する場合や、移動中の第1船舶から移動中の第2船舶へ所定の物質を供給するような場合でも構わない。「所定の物質」は、燃料に限らない。水(液体)や、あるいは所定の粒状の物質(固体)等でも構わない。気体でも構わない。
【0008】
なお、以下の実施の形態1、実施の形態2で使用する「第1位置」は、被給油航空機GPS(Global Positioning System)データ受信部7が検出した自己の設置位置を示す。また、「第2位置」とは、タンカー航空機GPSデータ受信部6が検出した自己の設置位置を示す。
【0009】
以下に説明する実施の形態1、実施の形態2は、測位情報を受信して位置を検出するシステムに関するものである。この測位情報は人工衛星から送信する場合を示しているが、測位情報を送信する人工衛星のひとつとして、「準天頂衛星」を想定している。そこで、まず図1〜図3を用いて「準天頂衛星」について説明する。
【0010】
「準天頂衛星」とは、通常の静止衛星に比べて高緯度地方において高い仰角の衛星をいい、例えば仰角は60度以上を確保することができる。この準天頂衛星は、3機が打ち上げられ、3機のうち1機は必ず高緯度の日本上空に位置する。
【0011】
図1は、準天頂衛星の軌道をあらわしている。準天頂衛星は、赤道面から約45度の傾斜角になるように遠地点で約40、000km、近地点で約32、000kmの上空を地球の自転に合わせて1日に1周回する。また、準天頂衛星は、昇交点赤経(赤道面との交点)において120度ずつ離れるように準天頂衛星310、準天頂衛星320及び準天頂衛星330の3機が配置される。
【0012】
図2は、地上を固定して考えた場合に、図1における準天頂衛星の軌道を示している。図2に示すように、準天頂衛星310、準天頂衛星320、準天頂衛星330は、会合点60を交点とする「8の字」を描くように周回する。3機の準天頂衛星は、8時間ずつ交代するように、切れ目なく日本上空に位置する。図2に示す状態において、準天頂衛星320は「8の字の上部の軌道」(日本を囲む部分)に入る。準天頂衛星320は、会合点60を通過し「8の字の上部の軌道」に入り再び会合点60に戻るまでに8時間を要する。また、このとき準天頂衛星310は「8の字の上部の軌道」から出て、準天頂衛星320と入れ替わり会合点60を通過し準天頂衛星330の位置に向かう。準天頂衛星310は会合点60から図の準天頂衛星330の位置に到達するまで8時間かかる。また、このとき、準天頂衛星330は会合点60に向かうが、準天頂衛星330の位置から会合点60に到達するまでに8時間を要する。したがって、8時間ごとに、「8の字の上部の軌道」には準天頂衛星310、準天頂衛星320、準天頂衛星330のいずれかが入れ替わりで存在する。日本では、「8の字の上部の軌道」に存在する準天頂衛星からの信号を高仰角受信することができる。
【0013】
図3(出典:www2.crl.go.jp/ka/control/efsat/index−J.html)は、準天頂衛星310が高仰角であることを、静止衛星との比較において示す図である。静止衛星は仰角が48度以下と小さいため、ビルなどに電波がさえぎられる。これに対して、準天頂衛星310は仰角が60度以上(図3では60度以上とあるが、70度以上も可能である)と大きいため、ビルの谷間でも電波が遮られることが少ない。
【0014】
実施の形態1に係る空中給油支援システム1000(供給支援システムの一例)について説明する。空中給油支援システム1000は、タンカー航空機GPSデータ受信部6が測位した位置と、被給油航空機GPSデータ受信部7が測位した位置とを使用して、ブーム4と給油ホース3から構成される供給経路部30の方位と長さとを算出し、タンカー航空機1から被給油航空機2への空中給油を支援するシステムに関する。
【0015】
空中給油支援システム1000の説明の前に、図4を用いて空中給油について簡単に説明する。空中給油は、図4に示すように、給油ホース3のホース端部21(経路出口部の一例)を受け口5に接続し、タンカー航空機1から被給油航空機2に燃料を供給する。タンカー航空機1から被給油航空機2に燃料を供給する供給経路部30は、ブーム4と給油ホース3とから構成される。図に示すように供給経路部30は、タンカー航空機1に対して後方に向いている。ブーム4は、ブーム設置基準位置22を支点として方位を定めることができる。通常、エルロンを制御して方位を定める。方位を定めたブーム4からは、給油ホース3を繰り出すことができる。給油ホース3は繰り出し長さを変えることができる。給油ホース3の繰り出し長さを増やしながら、給油ホース3のホース端部21を被給油航空機2の受け口5に接続することで給油を行う。
【0016】
空中給油支援システム1000は、タンカー航空機1に装備されるタンカー航空機装備システム1001と、被給油航空機2に設置される被給油航空機GPSデータ受信部7とを備える。被給油航空機GPSデータ受信部7はANT(アンテナ)71を備える。人工衛星501〜504は、測位情報を送信する。また、人工衛星501〜504のうち少なくとも1機は、前述の準天頂衛星であることを想定している。
【0017】
(1)タンカー航空機装備システム1001は、タンカー航空機GPSデータ受信部6を備える。タンカー航空機GPSデータ受信部6は、ANT61を介して人工衛星501〜504等が送信する測位情報を受信することにより、タンカー航空機1に設置された自己の位置を検出する。
(2)被給油航空機GPSデータ受信部7は、人工衛星501〜504等が送信する測位情報を受信することにより、被給油航空機に設置された自己の位置を検出する。
(3)タンカー航空機1は、ブーム4と給油ホース3とから構成される供給経路部30を備えている。また、タンカー航空機装備システム1001は、後述する図5に示すように支援装置100を備えている。支援装置100は、タンカー航空機GPSデータ受信部6の検出した位置と、被給油航空機GPSデータ受信部7の検出した位置とを受信して、タンカー航空機1から被給油航空機2に供給経路部30を使用して空中給油をする場合の、供給経路部30の「方位と長さ」(制御情報の一例)とを算出する。
(4)タンカー航空機1のオペレータは、支援装置100の算出した供給経路部30の方位と長さとをもとに、供給経路部30の方位と長さとを手動で制御する。あるいは、支援装置100の算出した供給経路部30の方位と長さとをもとに、自動制御により供給経路部30の方位と長さとを制御してもよい。
本実施の形態では供給経路部30はブーム4と給油ホース3とから構成されているので、供給経路部30の方位と長さは、ブーム4の方位及びブーム4から繰り出すべき給油ホース3の長さにより定まる。
【0018】
次に、図5を用いてタンカー航空機装備システム1001について説明する。図5は、タンカー航空機装備システム1001の構成を示す図である。
【0019】
タンカー航空機装備システム1001は、位置補正データ受信部10、タンカー航空機GPSデータ受信部6、ブーム方位操作部11、ブーム方位検出部12、ホース長さ操作部13、ホース長さ検出部14、支援装置100を備える。位置補正データ受信部10は、タンカー航空機の位置、および被給油航空機の受け口の位置を補正するための位置補正データを受信する。タンカー航空機GPSデータ受信部6は、タンカー航空機1においてタンカー航空機の位置を受信する。ブーム方位操作部11は、ブーム4の方位を定める。ブーム方位検出部12は、現在のブームの方位を検出する。ホース長さ操作部13は、給油ホース3の繰り出し長さを定める。ホース長さ検出部14は、現在繰り出している給油ホース3の繰り出し長さ(繰り出し量)を検出する。
【0020】
また、支援装置100は、第1受信部18、受け口データベース8、受け口位置補正部9、第2受信部24、ブームデータベース19、ホース位置・受け口三次元座標差取得部15、操縦情報表示部20、ブーム方位表示部16、ホース長さ表示部17、エリアデータベース50を備える。第1受信部18は、被給油航空機2に設定された被給油航空機GPSデータ受信部7から送信される位置を受信する。受け口データベース8は、被給油航空機2における被給油航空機GPSデータ受信部7の設置位置に対する受け口5の設置位置を示す「受け口設置データ」を格納する。受け口位置補正部9は、受け口データベース8が格納する「受け口設置データ」を用いて、被給油航空機GPSデータ受信部7から受信した位置を相対的に補正する。これにより、被給油航空機2の受け口5の位置を求める。第2受信部24は、タンカー航空機GPSデータ受信部6の送信する位置を受信する。ブームデータベース19は、タンカー航空機1におけるタンカー航空機GPSデータ受信部6の設置位置に対するブーム4の設置位置を示す「ブーム設置データ」を格納する。ホース位置・受け口三次元座標差取得部15は、ブーム4の方位及びブーム4から繰り出す給油ホース3の長さを算出する。操縦情報表示部20は、後述の操縦情報を表示する。ブーム方位表示部16は、ホース位置・受け口三次元座標差取得部15の算出したブーム4の方位を表示する。ホース長さ表示部17は、ホース位置・受け口三次元座標差取得部15の算出した給油ホース3の長さを表示する。エリアデータベース50は、タンカー航空機1から被給油航空機2へ空中給油する場合に、タンカー航空機1が被給油航空機2に対して位置するべきエリアをエリアデータとして格納する。
【0021】
ホース位置・受け口三次元座標差取得部15は、算出部151、ホース端部位置補正部152、エリア誘導部153を備える。算出部151(制御情報生成部の一例)は、「ブーム4の方位及びブーム4から繰り出す給油ホース3の長さ」(制御情報の一例)を算出する。ホース端部位置補正部152は、ブームデータベース19が格納する「ブーム設置データ」を用いて、タンカー航空機GPSデータ受信部6から受信した位置を相対的に補正する。これにより、タンカー航空機のブームの基準の設置位置を求める。エリア誘導部153は、被給油航空機GPSデータ受信部7から受信した第1位置と、タンカー航空機GPSデータ受信部6から受信した第2位置と、エリアデータベース50が格納する「エリアデータ」とに基づいて、エリアデータが示すエリアへ前記タンカー航空機を誘導する。
【0022】
次に図6を用いて、空中給油の動作の概要を説明する。図6は、空中給油の動作の概要を示すフローチャートである。給油機であるタンカー航空機1の給油ホース3のホース端部21の位置と、被給油航空機2の受け口5の高精度な位置情報を支援装置100を用いてリアルタイムで計算する。これにより、支援装置100は、後述のように、給油ホース3のホース端部21と被給油航空機2の受け口5との接続が成功する可能性の高いエリアへタンカー航空機1を誘導するための操縦情報を作成し提示する。支援装置100は、さらに、ブーム4の方位及びブーム4から繰り出す給油ホース3の長さを算出して提示する。支援装置100がホース端部21と受け口5との接続が成功するまでこれを繰り返す。以下図6を参照して説明する。
【0023】
(1)タンカー航空機のパイロットは、移動している目標物(被給油航空機)を目視確認することにより、目視情報を得る(ST31)、
(2)また、パイロットは、タンカー航空機1の所定の計器を確認することにより、移動している目標物(被給油航空機)に対する計器情報を得る(ST32)。
(3)支援装置100は、移動している目標物(被給油航空機)と自身(タンカー航空機)の位置を高精度にリアルタイムで計算する(ST33)。ホース位置・受け口三次元座標差取得部15は、被給油航空機GPSデータ受信部7から第1受信部18、及び受け口位置補正部9を介して、第1位置を入力する。ホース位置・受け口三次元座標差取得部15は、タンカー航空機GPSデータ受信部6から第2受信部24を介して第2位置を入力し、また、位置補正データ受信部10から位置補正データを入力する。ホース位置・受け口三次元座標差取得部15は、位置補正データを使用して第1位置と第2位置とを高精度に補正する。
(4)パイロットは、移動している目標物に対する操縦情報を得る(ST34)。エリアデータベース50は、タンカー航空機1から被給油航空機2へ空中給油する場合におけるタンカー航空機1が被給油航空機2に対して位置するべきエリアを、エリアデータとして予め格納している。エリア誘導部153は、補正後の高精度の第1位置及び第2位置とを使用するとともに、エリアデータベース50が格納するエリアデータを参照する。そして、タンカー航空機1がエリアデータの示すエリアに存在するかどうかを判断し、データの示すエリアにタンカー航空機1を誘導するための操縦情報を作成し、操縦情報表示部20に操縦情報を表示する。例えば、エリアに存在すると判断した場合は、その旨を表示する。一方、エリアに存在しないと判断した場合は、タンカー航空機1をエリアに誘導するための操縦情報を表示する。操縦情報の例としては、タンカー航空機1をエリアに導くための舵角、高度など操縦に関する情報である。
(5)パイロットは、支援装置100の操縦情報表示部20に表示された操縦情報に従って、タンカー航空機1をエリアデータの示すエリアに向けて操縦する。パイロットあるいはオペレータは、操縦情報表示部20の表示によりタンカー航空機1がエリアデータの示すエリアに入ったことを確認すると、支援装置100の備えるブーム方位表示部16及びホース長さ表示部17の表示に従って、ブーム4、給油ホース3の操作を行う(ST35)。この詳細については、図7を参照して後述する。
(6)この結果、ホース端部21と受け口5との結合が成功したかを確認する(ST36)。
結合が成功した場合は、支援装置100のホース位置・受け口三次元座標差取得部15が、成功のメッセージを操縦情報表示部20に表示する。
(7)なお、結合が成功しない場合は、目視情報、計器情報、操縦情報をもとに、タンカー航空機1をエリアデータの示すエリアに操縦し、そしてブーム4、給油ホース3の操作を行いホース端部21と受け口5とを結合させる過程を繰り返す(ST35)。
【0024】
以上のように、移動している目標物(被給油航空機2)と自身(タンカー航空機1)の高精度位置情報をリアルタイムで計算し(ST33)、移動している目標物に対する操縦情報を得る(ST34)工程を従来の方法に追加する。これにより、空中給油における給油ホース3のホース端部21と受け口5との接続を容易にし、給油ローテーションを効率化することができる。高精度位置情報を得る手段としては、例えばGPSデータとこのデータを地上の基準点により補正するFKP(Flaechen Korrectur Parameter:面補正パラメータ)方式がある。この補正データは地上局から直接または人工衛星を経由して電波で受信する方法がある。人工衛星としては、前述の準天頂衛星を利用すれば、常に日本の上空に最低ひとつは位置するため、日本の上空で空中給油する場合には有利である。この準天頂衛星はGPS衛星のひとつとしての機能も果たす。
【0025】
次に、図7を用いて、支援装置100がブーム4の方位と給油ホース3の長さを算出する動作を説明する。
(1)位置補正データ受信部10は、位置補正データを受信中であり、受信した位置補正データをホース位置・受け口三次元座標差取得部15に出力する(S101)。位置補正データは、例えば人工衛星501等から受信する。あるいは地上局から受信しても構わない。
(2)タンカー航空機GPSデータ受信部6は、人工衛星501等から測位情報を受信し、自己が設置されたタンカー航空機1への設置位置を第2位置として検出する(S102)。
(3)被給油航空機GPSデータ受信部7は、人工衛星501等から測位情報を受信し、自己が設置された被給油航空機2への設置位置を第1位置として検出し、検出した第1位置をタンカー航空機1に向け送信する(S103)。
(4)受け口位置補正部9は、被給油航空機2からの第1位置と、受け口データベース8とを用いて受け口の位置を求める。具体的に説明する。第1受信部18は、被給油航空機GPSデータ受信部7の送信した第1位置を受信する。受け口位置補正部9は、第1受信部18から第1位置を入力する。さらに、受け口位置補正部9は、被給油航空機2の飛行方位に関する被給油航空機方位情報を検出機器(図示していない)から入力する。また、受け口データベース8は、被給油航空機2における被給油航空機GPSデータ受信部7の設置位置に対する受け口5の設置位置を示す「受け口設置データ」を格納している。この「受け口設置データ」とは、被給油航空機2における被給油航空機GPSデータ受信部7の設置位置と受け口5の設置位置との位置関係を示すデータであり、測位とはなんら関係のないデータである。受け口位置補正部9は、被給油航空機GPSデータ受信部7の設置位置を示す測位結果である第1位置を、「被給油航空機方位情報」と「受け口設置データ」とを用いて補正し、受け口5の位置を算出する。この算出において、実施の形態1では、空中給油を行う際は、タンカー航空機1と被給油航空機2とも水平飛行をすることを想定している。このため、測位結果である第1位置と被給油航空機方位情報と「受け口設置データ」とから、受け口5の位置を求めることができる(S104)。
(5)ホース位置・受け口三次元座標差取得部15は、ブーム方位検出部12から、現在のブーム方位を入力する。また、ホース長さ検出部14から、現在の給油ホースの繰り出し量を入力する(S105)。ここで「現在の給油ホースの繰り出し量」とは、例えば、図4に示すブーム設置基準位置22からホース端部21までの距離を示す供給経路部長さ23である。
(6)さらに、ホース位置・受け口三次元座標差取得部15は、ブームデータベース19が格納するブーム設置データを入力し、タンカー航空機GPSデータ受信部6が受信した第2位置を入力し、タンカー航空機1の飛行する方位を示すタンカー航空機方位情報を計測機器(図示していない)から入力する(S106)。
(7)ホース位置・受け口三次元座標差取得部15のホース端部位置補正部152は、入力した現在のブーム方位、現在の給油ホースの繰り出し量、ブーム設置データ、第2位置、タンカー航空機方位情報を使用して、ホース端部21の位置を求める(S107)。ブーム設置データは、例えば、図4に示すブーム設置基準位置22とタンカー航空機GPSデータ受信部6の設置位置との相対的位置関係を示す。ブームはブーム設置基準位置22を支点として方位を定める。また、給油ホース3は、ブーム4の方位方向に延長される。そこで、ホース端部位置補正部152は、タンカー航空機GPSデータ受信部6による測位結果である第2位置から、ブーム設置データとタンカー航空機方位情報とを用いてブーム設置基準位置22を算出する。さらに、ホース端部位置補正部152は、ブーム設置基準位置22に対して、現在のブーム方位と現在の給油ホースの繰り出し量とから、ホース端部21の位置を算出する。
(8)算出部151は、受け口位置補正部9が算出した「受け口5の位置」と、ホース端部位置補正部152が算出した「ホース端部21の位置」とに対して、位置補正データ受信部10から入力した位置補正データを使用して補正を行い位置精度を向上させる。算出部151は、補正後の「受け口5の位置」と「ホース端部21の位置」とを三次元座標として算出し、算出した「受け口5の位置」と「ホース端部21の位置」との三次元座標の差分を求める。そして、算出部151は、求めた「差分」に基づいて、ホース端部21を受け口5に接続するために必要な、ブームの方位と給油ホースの繰り出し量とを算出する(S108)。ここで「給油ホースの繰り出し量」とは、ブーム4が受け口5の方向を向いている場合であれば、図4におけるホース端部21と受け口5との距離に等しい。
(9)ブーム方位表示部16は、算出部151が算出したブーム方位を表示し、ホース長さ表示部17は、算出部151が算出した繰り出し量を表示する(S109)。タンカー航空機1のオペレータは、ブーム方位表示部16に表示されたブーム方位と、ホース長さ表示部17に表示された繰り出し量とを確認し、ブーム方位操作部11によりブーム4を表示の方位に向けるとともに、ホース長さ操作部13により給油ホースを表示の繰り出し量だけ繰り出す。
【0026】
なお、以上では、算出部151の算出したブーム方位、給油ホース3の繰り出し量をもとに手動でブーム方位操作部11、ホース長さ操作部13を操作したが自動制御してもよい。図8を用いて、自動制御の例を説明する。
【0027】
図8は、実施の形態1における空中給油支援システム2000のタンカー航空機装備システム2001の構成を示す図である。図5のタンカー航空機装備システム1001に対して、タンカー航空機装備システム2001はタンカー航空機飛行制御部70(制御装置の一例)を備えた点が異なる。
【0028】
タンカー航空機飛行制御部70は、支援装置200のエリア誘導部153から操縦情報表示部20を介して操縦情報を入力する。そして、入力した操縦情報に基づいて、タンカー航空機1の飛行の自動制御を行う。この自動制御により、タンカー航空機1は、エリアデータの示すエリアに自動制御による飛行で誘導される。
【0029】
また、タンカー航空機飛行制御部70は、算出部151の算出したブーム方位と給油ホース3の繰り出し量とを入力する。そして、入力したブーム方位と給油ホース3の繰り出し量とに基づき、ブーム方位操作部11及びホース長さ操作部13を自動制御する。
【0030】
以上のように、準天頂衛星を含む人工衛星501等を経由して得られる測位情報に基づく高精度位置情報を航空機の操縦に利用することで、給油ホース3と受け口5との接続に要する時間を短縮することができる。また、給油ローテーションを促進するとともに、給油ホース3と受け口5との接続後も相対的な位置情報が得られる。このため給油作業終了まで航空機の移動方向、速度など航空機を安全に誘導する情報が提供できる。
【0031】
実施の形態1における空中給油支援システム1000は、被給油航空機GPSデータ受信部7(第1位置検出装置)、タンカー航空機GPSデータ受信部6(第2位置検出装置)、及び支援装置100を備えたので、受け口5とホース端部21の接続を迅速に行うことができる。
【0032】
実施の形態1における支援装置100は、第1位置を受信する第1受信部、第2位置を受信する第2受信部、及びブーム方位とホース繰り出し量を算出する算出部(制御情報生成部)を備えたので、空中給油の時間を短縮することができる。
【0033】
実施の形態1における空中給油支援システム2000は、算出部151の算出したブームの方位とホースの繰り出し量にもとづいて、ブームの方位とホースの繰り出し量を制御するタンカー航空機飛行制御部70(制御部)を備えたので、ブームの方位とホースの繰り出し量とを迅速、正確に制御することができる。また、操作者の負担を解消することができる。
【0034】
実施の形態1における支援装置100は、受け口位置補正部9、ホース端部位置補正部152を備えたので、ホース端部21と受け口5との接続を迅速、正確に行うことができる。
【0035】
実施の形態1における支援装置100は、算出部151が位置補正データを使用して位置を補正するので、ホース端部21と受け口5との位置精度が向上し、ホース端部21と受け口5との接続をより迅速に行うことができる。
【0036】
実施の形態1における支援装置100は、エリア誘導部153を備えたので、空中給油を行うべきエリアへタンカー航空機1を安全、迅速に誘導することができる。
【0037】
実施の形態2.
図9、図10を用いて実施の形態2を説明する。実施の形態1では、被給油航空機GPSデータ受信部7から第1位置をタンカー航空機1に送信し、タンカー航空機1の側で「受け口5の位置」を算出していた。これに対して実施の形態2は、被給油航空機2の位置送信装置80が「受け口5の位置」を算出して、タンカー航空機1に向けて送信する実施形態である。なお、システム構成は図4に示す実施の形態1と同様である。
【0038】
図9は、実施の形態2における空中給油支援システム3000のタンカー航空機装備システム3001と位置送信装置80(第1位置検出装置の一例)の構成図である。位置送信装置80は、被給油航空機GPSデータ受信部7a(被給油側検出部の一例)、被給油側受け口データベース8a、被給油側受け口位置補正部9aを備える。実施の形態1における図5のタンカー航空機装備システム1001に対して、タンカー航空機装備システム3001の支援装置300には、受け口データベース8、受け口位置補正部9がない。そして、なくなった受け口データベース8、受け口位置補正部9は、被給油航空機2に、被給油側受け口データベース8a、及び被給油側受け口位置補正部9aとして装備されている。被給油側受け口データベース8aは前述の受け口データベース8と同様であり、被給油側受け口位置補正部9aは前述の受け口位置補正部9と同様の機能である。なお、通常、タンカー航空機1に備えられる受け口データベース8は、空中給油される複数の被給油航空機のそれぞれの受け口位置のデータを格納する。これに対して、被給油側受け口データベース8aは、自己が装備される被給油航空機の受け口位置のデータのみを格納すれば足りる。
【0039】
図10を用いて、動作を説明する。図10は実施の形態2における空中給油の動作を説明するフローチャートである。
(1)位置補正データ受信部10は、位置補正データを受信しており、受信した位置補正データをホース位置・受け口三次元座標差取得部15に出力する(S301)。
(2)タンカー航空機GPSデータ受信部6は、人工衛星501等の送信する測位情報を受信して、タンカー航空機1への自己の設置位置を示す第2位置を検出する(S302)。
(3)被給油航空機GPSデータ受信部7は、人工衛星501等の送信する測位情報を受信して、被給油航空機2への自己の設置位置を示す第1位置を検出する(S303)。
(4)被給油側受け口位置補正部9aは、被給油航空機GPSデータ受信部7が検出した第1位置と、被給油側受け口データベース8aの格納する「受け口設置データ」、及び被給油航空機方位情報とを用いて、「受け口5の位置」を算出する(S304)。算出の過程は実施の形態1と同様である。
(5)被給油側受け口位置補正部9aは、算出した「受け口5の位置」をタンカー航空機1に送信する(S305)。
(6)一方、タンカー航空機装備システム3001におけるホース位置・受け口三次元座標差取得部15は、ブーム方位検出部12から、現在のブーム方位を入力する。また、ホース長さ検出部14から、現在の給油ホースの繰り出し量を入力する(S306)。
(7)さらに、ホース位置・受け口三次元座標差取得部15は、ブームデータベース19が格納するブーム設置データを入力し、タンカー航空機GPSデータ受信部6が検出した第2位置を入力し、タンカー航空機1の飛行する方位を示すタンカー航空機方位情報を計測機器(図示していない)から入力する(S307)。
(8)ホース位置・受け口三次元座標差取得部15のホース端部位置補正部152は、
入力した現在のブーム方位、現在の給油ホースの繰り出し量、ブーム設置データ、第2位置、タンカー航空機方位情報を使用して、ホース端部21の位置を求める(S308)。算出の過程は実施の形態1の場合と同様である。
(9)算出部151は、受信した「受け口5の位置」と、ホース端部位置補正部152が算出した「ホース端部21の位置」とに対して、位置補正データ受信部10から入力した位置補正データを使用して補正を行い位置精度を向上させる。算出部151は、補正後の「受け口5の位置」と「ホース端部21の位置」とを三次元座標として算出し、算出した「受け口5の位置」と「ホース端部21の位置」との三次元座標の差分を求める。そして、算出部151は、求めた「差分」に基づいて、ホース端部21を受け口5に接続するために必要な、ブームの方位と給油ホースの繰り出し量とを算出する(S309)。
(10)ブーム方位表示部16は、算出部151が算出したブーム方位を表示し、ホース長さ表示部17は、算出部151が算出した繰り出し量を表示する(S310)。以上により、タンカー航空機1のオペレータは、ブーム方位表示部16に表示されたブーム方位と、ホース長さ表示部17に表示された繰り出し量とを確認し、ブーム方位操作部11によりブーム4を表示の方位に向けるとともに、ホース長さ操作部13により給油ホースを表示の繰り出し量だけ繰り出すことができる。
【0040】
なお、タンカー航空機GPSデータ受信部6、および被給油航空機GPSデータ受信部7の位置は、特に規定するものではない。それぞれタンカー航空機GPSデータ受信部6の設置位置と給油ブームの支点との相対位置関係、被給油航空機GPSデータ受信部7の設置位置と給油受け口との相対位置関係がわかっていればよい。これらの位置関係の情報を、あらかじめデータベースに記憶させておくことで、タンカー航空機1のブーム4および給油ホース3の位置と被給油航空機2の受け口5との位置の差を三次元座標として求めることができる。そして、これを用いて向けるべきブーム4の方位、及び繰り出すべき給油ホース3の繰り出し量を算出し、タンカー航空機1の誘導情報として利用できる。
【0041】
実施の形態2における空中給油支援システム3000は、位置送信装置80(第1位置検出装置の一例)が被給油航空機2の受け口5の位置をタンカー航空機1に向けて送信するので、支援装置300は受け口位置の算出の負荷がなくなる。
【0042】
実施の形態2にける支援装置300は、ホース端部位置補正部152を備えたので、ホース端部21と受け口5との接続を迅速に行うことができる。
【0043】
実施の形態2における位置送信装置80(第1位置検出装置の一例)は、受け口位置を送信するので、空中給油におけるホース端部21と受け口5との接続を迅速に行うことができる。
【0044】
以上、実施の形態1、実施の形態2において述べた空中給油支援システム1000〜3000は、自動または誘導を効率良く行うための情報を提供するものであるが、手動誘導に代わるシステムを提供するものではない。また、カメラによる自動誘導を否定するものでもない。すなわち、被給油航空機2は、自動誘導システムを設けたタンカー航空機1とも、自動誘導手段を備えていないタンカー航空機とも、いずれを問わず同様に接続することができる。
【0045】
なお、以上の実施の形態1では、被給油航空機2側は被給油航空機GPSデータ受信部7の設置位置を検出し、タンカー航空機1側はタンカー航空機GPSデータ受信部6の設置位置を検出した。そして、支援装置100が、それぞれの検出位置に基づいてブームの方位、給油ホースの繰り出し量を算出した。また、実施の形態2では、被給油航空機2側は受け口5の設置位置を検出し、タンカー航空機1ではタンカー航空機GPSデータ受信部6の設置位置を検出した。そして、支援装置100が、それぞれの検出位置に基づいてブームの方位、給油ホースの繰り出し量を算出した。しかし、これらに限るものではなく、タンカー航空機1、被給油航空機2のどのような位置についての検出位置(測位位置)を用いても構わない。タンカー航空機1における所定の位置を検出し、また、被給油航空機2における所定の位置を検出し、それぞれ検出した検出位置を支援装置100が入力し、入力した検出位置に基づいて供給経路部30を制御するための制御情報を得ることができればよい。「検出した検出位置」とは、測位情報を用いて得た位置の他、例えば前述の受け口位置のように、測位して得た位置に「受け口設置データ」を付加して得た位置も含むものとする。上記の実施の形態1、実施の形態2では、タンカー航空機1側にタンカー航空機装備システム1001、2001、3001を提示する形態としたが、タンカー航空機1側への装備に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施の形態1における準天頂衛星の軌道を示す図である。
【図2】実施の形態1における地上を固定して考えたの準天頂衛星の軌道を示す図である。
【図3】実施の形態1における準天頂衛星が高仰角であることを静止衛星との比較において示す図である。
【図4】実施の形態1における空中給油支援システム1000の構成示す図である。
【図5】実施の形態1におけるタンカー航空機装備システム1001の構成を示す図である。
【図6】実施の形態1における空中給油の動作の概要を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態1における空中給油の動作を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態1におけるタンカー航空機装備システム2001の構成を示す図である。
【図9】実施の形態2におけるタンカー航空機装備システム3001の構成を示す図である。
【図10】実施の形態2における動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
1 タンカー航空機、2 被給油航空機、3 給油ホース、4 ブーム、5 受け口、6 タンカー航空機GPSデータ受信部、7,7a 被給油航空機GPSデータ受信部、8 受け口データベース、8a 被給油側受け口データベース、9 受け口位置補正部、9a 被給油側受け口位置補正部、10 位置補正データ受信部、11 ブーム方位操作部、12 ブーム方位検出部、13 ホース長さ操作部、14 ホース長さ検出部、15 ホース位置・受け口三次元座標差取得部、16 ブーム方位表示部、17 ホース長さ表示部、18 第1受信部、19 ブームデータベース、20 操縦情報表示部、21 ホース端部、22 ブーム設置基準位置、23 供給経路部長さ、24 第2受信部、30 供給経路部、50 エリアデータベース、60 会合点、61 ANT、70 制御部、71,71a ANT、80 位置送信装置、100,200,300 支援装置、101 ANT、151 算出部、152 ホース端部位置補正部、153 エリア誘導部、181 ANT、310,320,330 準天頂衛星、501,502,503,504 人工衛星、1000,2000,3000 空中給油支援システム、1001,2001,3001 タンカー航空機装備システム。
【技術分野】
【0001】
本発明は、第2の移動体から第1の移動体への物質供給を支援する供給支援システムに関する。例えば、空中給油を支援する空中給油支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
空中給油を支援する技術として特表2000−509343号公報(特許文献1)では、画像処理用いた空中給油に関する技術の開示がある。しかしながら、この先行技術は、画像処理を用いてブームの制御を支援するものであり、
(1)作業終了まで航空機を同じ方向・速度に保つための情報を提供することはできない。
(2)また、夜間の給油および視界不良条件での給油については、照明光源を使用しなければならない場合もある。
(3)また、カメラによる給油受け口追跡中に特性要素が消失するのを制限するためには、広角で全体を映すもう一台のカメラを用意しなければならない。
(4)ブームから受け口までの奥行情報は形状認識手段から算出するため、天候や太陽の位置や照明のあたり方によっては見にくくなり、形状が認識できず制御できない場合が生じるといった問題があった。
【特許文献1】特表2000−509343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は、位置情報を用いることにより空中給油においてブーム及び給油ホースを制御し、空中給油を短時間に行うシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明の供給支援システムは、
所定の物質を供給する経路となるとともに制御可能である供給経路部を有する第2の移動体から前記供給経路部を介して所定の物質の供給を受ける第1の移動体への物質供給を支援する供給支援システムにおいて、
前記第1の移動体に設置され測位情報を受信して前記第1の移動体における所定の位置を示す第1位置を検出する第1位置検出装置と、
前記第2の移動体に設置され測位情報を受信して前記第2の移動体における所定の位置を示す第2位置を検出する第2位置検出装置と、
前記第1位置検出装置が検出した第1位置と、前記第2位置検出装置が検出した第2位置とに基づいて、前記供給経路部を介して所定の物質を前記第2の移動体から前記第1の移動体に供給する場合の前記供給経路部を制御する制御情報を生成する支援装置と
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
この発明により、位置情報によりブームを制御して、短時間に空中給油を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
実施の形態1.
図1〜図8を用いて実施の形態1を説明する。以下に示す実施の形態1、実施の形態2は、所定の物質を供給する経路となるとともに制御可能である供給経路部を有する第2の移動体から前記供給経路部を介して所定の物質の供給を受ける第1の移動体への物質供給を支援する供給支援システムに関するものである。以下では、供給支援システムの例として、空中給油の場合を説明する。第2の移動体の例としては、給油を行うタンカー航空機である。第1の移動体の例としては、タンカー航空機から給油を受ける被給油航空機である。所定の物質とは「航空機燃料」である。また、第2の移動体の有する供給経路部とは、図4に示すブーム4と給油ホース3とから構成される供給経路部30である。ブーム4と給油ホース3とから構成される供給経路部30は、図5に示すブーム方位操作部11及びホース長さ操作部13により制御が可能である。
【0007】
以下に示す空中給油は一例である。移動体から移動体への所定の物質の物質供給を支援するシステムであればよい。例えば、走行する第1車両から走行する第2車両に所定の物質を供給する場合や、移動中の第1船舶から移動中の第2船舶へ所定の物質を供給するような場合でも構わない。「所定の物質」は、燃料に限らない。水(液体)や、あるいは所定の粒状の物質(固体)等でも構わない。気体でも構わない。
【0008】
なお、以下の実施の形態1、実施の形態2で使用する「第1位置」は、被給油航空機GPS(Global Positioning System)データ受信部7が検出した自己の設置位置を示す。また、「第2位置」とは、タンカー航空機GPSデータ受信部6が検出した自己の設置位置を示す。
【0009】
以下に説明する実施の形態1、実施の形態2は、測位情報を受信して位置を検出するシステムに関するものである。この測位情報は人工衛星から送信する場合を示しているが、測位情報を送信する人工衛星のひとつとして、「準天頂衛星」を想定している。そこで、まず図1〜図3を用いて「準天頂衛星」について説明する。
【0010】
「準天頂衛星」とは、通常の静止衛星に比べて高緯度地方において高い仰角の衛星をいい、例えば仰角は60度以上を確保することができる。この準天頂衛星は、3機が打ち上げられ、3機のうち1機は必ず高緯度の日本上空に位置する。
【0011】
図1は、準天頂衛星の軌道をあらわしている。準天頂衛星は、赤道面から約45度の傾斜角になるように遠地点で約40、000km、近地点で約32、000kmの上空を地球の自転に合わせて1日に1周回する。また、準天頂衛星は、昇交点赤経(赤道面との交点)において120度ずつ離れるように準天頂衛星310、準天頂衛星320及び準天頂衛星330の3機が配置される。
【0012】
図2は、地上を固定して考えた場合に、図1における準天頂衛星の軌道を示している。図2に示すように、準天頂衛星310、準天頂衛星320、準天頂衛星330は、会合点60を交点とする「8の字」を描くように周回する。3機の準天頂衛星は、8時間ずつ交代するように、切れ目なく日本上空に位置する。図2に示す状態において、準天頂衛星320は「8の字の上部の軌道」(日本を囲む部分)に入る。準天頂衛星320は、会合点60を通過し「8の字の上部の軌道」に入り再び会合点60に戻るまでに8時間を要する。また、このとき準天頂衛星310は「8の字の上部の軌道」から出て、準天頂衛星320と入れ替わり会合点60を通過し準天頂衛星330の位置に向かう。準天頂衛星310は会合点60から図の準天頂衛星330の位置に到達するまで8時間かかる。また、このとき、準天頂衛星330は会合点60に向かうが、準天頂衛星330の位置から会合点60に到達するまでに8時間を要する。したがって、8時間ごとに、「8の字の上部の軌道」には準天頂衛星310、準天頂衛星320、準天頂衛星330のいずれかが入れ替わりで存在する。日本では、「8の字の上部の軌道」に存在する準天頂衛星からの信号を高仰角受信することができる。
【0013】
図3(出典:www2.crl.go.jp/ka/control/efsat/index−J.html)は、準天頂衛星310が高仰角であることを、静止衛星との比較において示す図である。静止衛星は仰角が48度以下と小さいため、ビルなどに電波がさえぎられる。これに対して、準天頂衛星310は仰角が60度以上(図3では60度以上とあるが、70度以上も可能である)と大きいため、ビルの谷間でも電波が遮られることが少ない。
【0014】
実施の形態1に係る空中給油支援システム1000(供給支援システムの一例)について説明する。空中給油支援システム1000は、タンカー航空機GPSデータ受信部6が測位した位置と、被給油航空機GPSデータ受信部7が測位した位置とを使用して、ブーム4と給油ホース3から構成される供給経路部30の方位と長さとを算出し、タンカー航空機1から被給油航空機2への空中給油を支援するシステムに関する。
【0015】
空中給油支援システム1000の説明の前に、図4を用いて空中給油について簡単に説明する。空中給油は、図4に示すように、給油ホース3のホース端部21(経路出口部の一例)を受け口5に接続し、タンカー航空機1から被給油航空機2に燃料を供給する。タンカー航空機1から被給油航空機2に燃料を供給する供給経路部30は、ブーム4と給油ホース3とから構成される。図に示すように供給経路部30は、タンカー航空機1に対して後方に向いている。ブーム4は、ブーム設置基準位置22を支点として方位を定めることができる。通常、エルロンを制御して方位を定める。方位を定めたブーム4からは、給油ホース3を繰り出すことができる。給油ホース3は繰り出し長さを変えることができる。給油ホース3の繰り出し長さを増やしながら、給油ホース3のホース端部21を被給油航空機2の受け口5に接続することで給油を行う。
【0016】
空中給油支援システム1000は、タンカー航空機1に装備されるタンカー航空機装備システム1001と、被給油航空機2に設置される被給油航空機GPSデータ受信部7とを備える。被給油航空機GPSデータ受信部7はANT(アンテナ)71を備える。人工衛星501〜504は、測位情報を送信する。また、人工衛星501〜504のうち少なくとも1機は、前述の準天頂衛星であることを想定している。
【0017】
(1)タンカー航空機装備システム1001は、タンカー航空機GPSデータ受信部6を備える。タンカー航空機GPSデータ受信部6は、ANT61を介して人工衛星501〜504等が送信する測位情報を受信することにより、タンカー航空機1に設置された自己の位置を検出する。
(2)被給油航空機GPSデータ受信部7は、人工衛星501〜504等が送信する測位情報を受信することにより、被給油航空機に設置された自己の位置を検出する。
(3)タンカー航空機1は、ブーム4と給油ホース3とから構成される供給経路部30を備えている。また、タンカー航空機装備システム1001は、後述する図5に示すように支援装置100を備えている。支援装置100は、タンカー航空機GPSデータ受信部6の検出した位置と、被給油航空機GPSデータ受信部7の検出した位置とを受信して、タンカー航空機1から被給油航空機2に供給経路部30を使用して空中給油をする場合の、供給経路部30の「方位と長さ」(制御情報の一例)とを算出する。
(4)タンカー航空機1のオペレータは、支援装置100の算出した供給経路部30の方位と長さとをもとに、供給経路部30の方位と長さとを手動で制御する。あるいは、支援装置100の算出した供給経路部30の方位と長さとをもとに、自動制御により供給経路部30の方位と長さとを制御してもよい。
本実施の形態では供給経路部30はブーム4と給油ホース3とから構成されているので、供給経路部30の方位と長さは、ブーム4の方位及びブーム4から繰り出すべき給油ホース3の長さにより定まる。
【0018】
次に、図5を用いてタンカー航空機装備システム1001について説明する。図5は、タンカー航空機装備システム1001の構成を示す図である。
【0019】
タンカー航空機装備システム1001は、位置補正データ受信部10、タンカー航空機GPSデータ受信部6、ブーム方位操作部11、ブーム方位検出部12、ホース長さ操作部13、ホース長さ検出部14、支援装置100を備える。位置補正データ受信部10は、タンカー航空機の位置、および被給油航空機の受け口の位置を補正するための位置補正データを受信する。タンカー航空機GPSデータ受信部6は、タンカー航空機1においてタンカー航空機の位置を受信する。ブーム方位操作部11は、ブーム4の方位を定める。ブーム方位検出部12は、現在のブームの方位を検出する。ホース長さ操作部13は、給油ホース3の繰り出し長さを定める。ホース長さ検出部14は、現在繰り出している給油ホース3の繰り出し長さ(繰り出し量)を検出する。
【0020】
また、支援装置100は、第1受信部18、受け口データベース8、受け口位置補正部9、第2受信部24、ブームデータベース19、ホース位置・受け口三次元座標差取得部15、操縦情報表示部20、ブーム方位表示部16、ホース長さ表示部17、エリアデータベース50を備える。第1受信部18は、被給油航空機2に設定された被給油航空機GPSデータ受信部7から送信される位置を受信する。受け口データベース8は、被給油航空機2における被給油航空機GPSデータ受信部7の設置位置に対する受け口5の設置位置を示す「受け口設置データ」を格納する。受け口位置補正部9は、受け口データベース8が格納する「受け口設置データ」を用いて、被給油航空機GPSデータ受信部7から受信した位置を相対的に補正する。これにより、被給油航空機2の受け口5の位置を求める。第2受信部24は、タンカー航空機GPSデータ受信部6の送信する位置を受信する。ブームデータベース19は、タンカー航空機1におけるタンカー航空機GPSデータ受信部6の設置位置に対するブーム4の設置位置を示す「ブーム設置データ」を格納する。ホース位置・受け口三次元座標差取得部15は、ブーム4の方位及びブーム4から繰り出す給油ホース3の長さを算出する。操縦情報表示部20は、後述の操縦情報を表示する。ブーム方位表示部16は、ホース位置・受け口三次元座標差取得部15の算出したブーム4の方位を表示する。ホース長さ表示部17は、ホース位置・受け口三次元座標差取得部15の算出した給油ホース3の長さを表示する。エリアデータベース50は、タンカー航空機1から被給油航空機2へ空中給油する場合に、タンカー航空機1が被給油航空機2に対して位置するべきエリアをエリアデータとして格納する。
【0021】
ホース位置・受け口三次元座標差取得部15は、算出部151、ホース端部位置補正部152、エリア誘導部153を備える。算出部151(制御情報生成部の一例)は、「ブーム4の方位及びブーム4から繰り出す給油ホース3の長さ」(制御情報の一例)を算出する。ホース端部位置補正部152は、ブームデータベース19が格納する「ブーム設置データ」を用いて、タンカー航空機GPSデータ受信部6から受信した位置を相対的に補正する。これにより、タンカー航空機のブームの基準の設置位置を求める。エリア誘導部153は、被給油航空機GPSデータ受信部7から受信した第1位置と、タンカー航空機GPSデータ受信部6から受信した第2位置と、エリアデータベース50が格納する「エリアデータ」とに基づいて、エリアデータが示すエリアへ前記タンカー航空機を誘導する。
【0022】
次に図6を用いて、空中給油の動作の概要を説明する。図6は、空中給油の動作の概要を示すフローチャートである。給油機であるタンカー航空機1の給油ホース3のホース端部21の位置と、被給油航空機2の受け口5の高精度な位置情報を支援装置100を用いてリアルタイムで計算する。これにより、支援装置100は、後述のように、給油ホース3のホース端部21と被給油航空機2の受け口5との接続が成功する可能性の高いエリアへタンカー航空機1を誘導するための操縦情報を作成し提示する。支援装置100は、さらに、ブーム4の方位及びブーム4から繰り出す給油ホース3の長さを算出して提示する。支援装置100がホース端部21と受け口5との接続が成功するまでこれを繰り返す。以下図6を参照して説明する。
【0023】
(1)タンカー航空機のパイロットは、移動している目標物(被給油航空機)を目視確認することにより、目視情報を得る(ST31)、
(2)また、パイロットは、タンカー航空機1の所定の計器を確認することにより、移動している目標物(被給油航空機)に対する計器情報を得る(ST32)。
(3)支援装置100は、移動している目標物(被給油航空機)と自身(タンカー航空機)の位置を高精度にリアルタイムで計算する(ST33)。ホース位置・受け口三次元座標差取得部15は、被給油航空機GPSデータ受信部7から第1受信部18、及び受け口位置補正部9を介して、第1位置を入力する。ホース位置・受け口三次元座標差取得部15は、タンカー航空機GPSデータ受信部6から第2受信部24を介して第2位置を入力し、また、位置補正データ受信部10から位置補正データを入力する。ホース位置・受け口三次元座標差取得部15は、位置補正データを使用して第1位置と第2位置とを高精度に補正する。
(4)パイロットは、移動している目標物に対する操縦情報を得る(ST34)。エリアデータベース50は、タンカー航空機1から被給油航空機2へ空中給油する場合におけるタンカー航空機1が被給油航空機2に対して位置するべきエリアを、エリアデータとして予め格納している。エリア誘導部153は、補正後の高精度の第1位置及び第2位置とを使用するとともに、エリアデータベース50が格納するエリアデータを参照する。そして、タンカー航空機1がエリアデータの示すエリアに存在するかどうかを判断し、データの示すエリアにタンカー航空機1を誘導するための操縦情報を作成し、操縦情報表示部20に操縦情報を表示する。例えば、エリアに存在すると判断した場合は、その旨を表示する。一方、エリアに存在しないと判断した場合は、タンカー航空機1をエリアに誘導するための操縦情報を表示する。操縦情報の例としては、タンカー航空機1をエリアに導くための舵角、高度など操縦に関する情報である。
(5)パイロットは、支援装置100の操縦情報表示部20に表示された操縦情報に従って、タンカー航空機1をエリアデータの示すエリアに向けて操縦する。パイロットあるいはオペレータは、操縦情報表示部20の表示によりタンカー航空機1がエリアデータの示すエリアに入ったことを確認すると、支援装置100の備えるブーム方位表示部16及びホース長さ表示部17の表示に従って、ブーム4、給油ホース3の操作を行う(ST35)。この詳細については、図7を参照して後述する。
(6)この結果、ホース端部21と受け口5との結合が成功したかを確認する(ST36)。
結合が成功した場合は、支援装置100のホース位置・受け口三次元座標差取得部15が、成功のメッセージを操縦情報表示部20に表示する。
(7)なお、結合が成功しない場合は、目視情報、計器情報、操縦情報をもとに、タンカー航空機1をエリアデータの示すエリアに操縦し、そしてブーム4、給油ホース3の操作を行いホース端部21と受け口5とを結合させる過程を繰り返す(ST35)。
【0024】
以上のように、移動している目標物(被給油航空機2)と自身(タンカー航空機1)の高精度位置情報をリアルタイムで計算し(ST33)、移動している目標物に対する操縦情報を得る(ST34)工程を従来の方法に追加する。これにより、空中給油における給油ホース3のホース端部21と受け口5との接続を容易にし、給油ローテーションを効率化することができる。高精度位置情報を得る手段としては、例えばGPSデータとこのデータを地上の基準点により補正するFKP(Flaechen Korrectur Parameter:面補正パラメータ)方式がある。この補正データは地上局から直接または人工衛星を経由して電波で受信する方法がある。人工衛星としては、前述の準天頂衛星を利用すれば、常に日本の上空に最低ひとつは位置するため、日本の上空で空中給油する場合には有利である。この準天頂衛星はGPS衛星のひとつとしての機能も果たす。
【0025】
次に、図7を用いて、支援装置100がブーム4の方位と給油ホース3の長さを算出する動作を説明する。
(1)位置補正データ受信部10は、位置補正データを受信中であり、受信した位置補正データをホース位置・受け口三次元座標差取得部15に出力する(S101)。位置補正データは、例えば人工衛星501等から受信する。あるいは地上局から受信しても構わない。
(2)タンカー航空機GPSデータ受信部6は、人工衛星501等から測位情報を受信し、自己が設置されたタンカー航空機1への設置位置を第2位置として検出する(S102)。
(3)被給油航空機GPSデータ受信部7は、人工衛星501等から測位情報を受信し、自己が設置された被給油航空機2への設置位置を第1位置として検出し、検出した第1位置をタンカー航空機1に向け送信する(S103)。
(4)受け口位置補正部9は、被給油航空機2からの第1位置と、受け口データベース8とを用いて受け口の位置を求める。具体的に説明する。第1受信部18は、被給油航空機GPSデータ受信部7の送信した第1位置を受信する。受け口位置補正部9は、第1受信部18から第1位置を入力する。さらに、受け口位置補正部9は、被給油航空機2の飛行方位に関する被給油航空機方位情報を検出機器(図示していない)から入力する。また、受け口データベース8は、被給油航空機2における被給油航空機GPSデータ受信部7の設置位置に対する受け口5の設置位置を示す「受け口設置データ」を格納している。この「受け口設置データ」とは、被給油航空機2における被給油航空機GPSデータ受信部7の設置位置と受け口5の設置位置との位置関係を示すデータであり、測位とはなんら関係のないデータである。受け口位置補正部9は、被給油航空機GPSデータ受信部7の設置位置を示す測位結果である第1位置を、「被給油航空機方位情報」と「受け口設置データ」とを用いて補正し、受け口5の位置を算出する。この算出において、実施の形態1では、空中給油を行う際は、タンカー航空機1と被給油航空機2とも水平飛行をすることを想定している。このため、測位結果である第1位置と被給油航空機方位情報と「受け口設置データ」とから、受け口5の位置を求めることができる(S104)。
(5)ホース位置・受け口三次元座標差取得部15は、ブーム方位検出部12から、現在のブーム方位を入力する。また、ホース長さ検出部14から、現在の給油ホースの繰り出し量を入力する(S105)。ここで「現在の給油ホースの繰り出し量」とは、例えば、図4に示すブーム設置基準位置22からホース端部21までの距離を示す供給経路部長さ23である。
(6)さらに、ホース位置・受け口三次元座標差取得部15は、ブームデータベース19が格納するブーム設置データを入力し、タンカー航空機GPSデータ受信部6が受信した第2位置を入力し、タンカー航空機1の飛行する方位を示すタンカー航空機方位情報を計測機器(図示していない)から入力する(S106)。
(7)ホース位置・受け口三次元座標差取得部15のホース端部位置補正部152は、入力した現在のブーム方位、現在の給油ホースの繰り出し量、ブーム設置データ、第2位置、タンカー航空機方位情報を使用して、ホース端部21の位置を求める(S107)。ブーム設置データは、例えば、図4に示すブーム設置基準位置22とタンカー航空機GPSデータ受信部6の設置位置との相対的位置関係を示す。ブームはブーム設置基準位置22を支点として方位を定める。また、給油ホース3は、ブーム4の方位方向に延長される。そこで、ホース端部位置補正部152は、タンカー航空機GPSデータ受信部6による測位結果である第2位置から、ブーム設置データとタンカー航空機方位情報とを用いてブーム設置基準位置22を算出する。さらに、ホース端部位置補正部152は、ブーム設置基準位置22に対して、現在のブーム方位と現在の給油ホースの繰り出し量とから、ホース端部21の位置を算出する。
(8)算出部151は、受け口位置補正部9が算出した「受け口5の位置」と、ホース端部位置補正部152が算出した「ホース端部21の位置」とに対して、位置補正データ受信部10から入力した位置補正データを使用して補正を行い位置精度を向上させる。算出部151は、補正後の「受け口5の位置」と「ホース端部21の位置」とを三次元座標として算出し、算出した「受け口5の位置」と「ホース端部21の位置」との三次元座標の差分を求める。そして、算出部151は、求めた「差分」に基づいて、ホース端部21を受け口5に接続するために必要な、ブームの方位と給油ホースの繰り出し量とを算出する(S108)。ここで「給油ホースの繰り出し量」とは、ブーム4が受け口5の方向を向いている場合であれば、図4におけるホース端部21と受け口5との距離に等しい。
(9)ブーム方位表示部16は、算出部151が算出したブーム方位を表示し、ホース長さ表示部17は、算出部151が算出した繰り出し量を表示する(S109)。タンカー航空機1のオペレータは、ブーム方位表示部16に表示されたブーム方位と、ホース長さ表示部17に表示された繰り出し量とを確認し、ブーム方位操作部11によりブーム4を表示の方位に向けるとともに、ホース長さ操作部13により給油ホースを表示の繰り出し量だけ繰り出す。
【0026】
なお、以上では、算出部151の算出したブーム方位、給油ホース3の繰り出し量をもとに手動でブーム方位操作部11、ホース長さ操作部13を操作したが自動制御してもよい。図8を用いて、自動制御の例を説明する。
【0027】
図8は、実施の形態1における空中給油支援システム2000のタンカー航空機装備システム2001の構成を示す図である。図5のタンカー航空機装備システム1001に対して、タンカー航空機装備システム2001はタンカー航空機飛行制御部70(制御装置の一例)を備えた点が異なる。
【0028】
タンカー航空機飛行制御部70は、支援装置200のエリア誘導部153から操縦情報表示部20を介して操縦情報を入力する。そして、入力した操縦情報に基づいて、タンカー航空機1の飛行の自動制御を行う。この自動制御により、タンカー航空機1は、エリアデータの示すエリアに自動制御による飛行で誘導される。
【0029】
また、タンカー航空機飛行制御部70は、算出部151の算出したブーム方位と給油ホース3の繰り出し量とを入力する。そして、入力したブーム方位と給油ホース3の繰り出し量とに基づき、ブーム方位操作部11及びホース長さ操作部13を自動制御する。
【0030】
以上のように、準天頂衛星を含む人工衛星501等を経由して得られる測位情報に基づく高精度位置情報を航空機の操縦に利用することで、給油ホース3と受け口5との接続に要する時間を短縮することができる。また、給油ローテーションを促進するとともに、給油ホース3と受け口5との接続後も相対的な位置情報が得られる。このため給油作業終了まで航空機の移動方向、速度など航空機を安全に誘導する情報が提供できる。
【0031】
実施の形態1における空中給油支援システム1000は、被給油航空機GPSデータ受信部7(第1位置検出装置)、タンカー航空機GPSデータ受信部6(第2位置検出装置)、及び支援装置100を備えたので、受け口5とホース端部21の接続を迅速に行うことができる。
【0032】
実施の形態1における支援装置100は、第1位置を受信する第1受信部、第2位置を受信する第2受信部、及びブーム方位とホース繰り出し量を算出する算出部(制御情報生成部)を備えたので、空中給油の時間を短縮することができる。
【0033】
実施の形態1における空中給油支援システム2000は、算出部151の算出したブームの方位とホースの繰り出し量にもとづいて、ブームの方位とホースの繰り出し量を制御するタンカー航空機飛行制御部70(制御部)を備えたので、ブームの方位とホースの繰り出し量とを迅速、正確に制御することができる。また、操作者の負担を解消することができる。
【0034】
実施の形態1における支援装置100は、受け口位置補正部9、ホース端部位置補正部152を備えたので、ホース端部21と受け口5との接続を迅速、正確に行うことができる。
【0035】
実施の形態1における支援装置100は、算出部151が位置補正データを使用して位置を補正するので、ホース端部21と受け口5との位置精度が向上し、ホース端部21と受け口5との接続をより迅速に行うことができる。
【0036】
実施の形態1における支援装置100は、エリア誘導部153を備えたので、空中給油を行うべきエリアへタンカー航空機1を安全、迅速に誘導することができる。
【0037】
実施の形態2.
図9、図10を用いて実施の形態2を説明する。実施の形態1では、被給油航空機GPSデータ受信部7から第1位置をタンカー航空機1に送信し、タンカー航空機1の側で「受け口5の位置」を算出していた。これに対して実施の形態2は、被給油航空機2の位置送信装置80が「受け口5の位置」を算出して、タンカー航空機1に向けて送信する実施形態である。なお、システム構成は図4に示す実施の形態1と同様である。
【0038】
図9は、実施の形態2における空中給油支援システム3000のタンカー航空機装備システム3001と位置送信装置80(第1位置検出装置の一例)の構成図である。位置送信装置80は、被給油航空機GPSデータ受信部7a(被給油側検出部の一例)、被給油側受け口データベース8a、被給油側受け口位置補正部9aを備える。実施の形態1における図5のタンカー航空機装備システム1001に対して、タンカー航空機装備システム3001の支援装置300には、受け口データベース8、受け口位置補正部9がない。そして、なくなった受け口データベース8、受け口位置補正部9は、被給油航空機2に、被給油側受け口データベース8a、及び被給油側受け口位置補正部9aとして装備されている。被給油側受け口データベース8aは前述の受け口データベース8と同様であり、被給油側受け口位置補正部9aは前述の受け口位置補正部9と同様の機能である。なお、通常、タンカー航空機1に備えられる受け口データベース8は、空中給油される複数の被給油航空機のそれぞれの受け口位置のデータを格納する。これに対して、被給油側受け口データベース8aは、自己が装備される被給油航空機の受け口位置のデータのみを格納すれば足りる。
【0039】
図10を用いて、動作を説明する。図10は実施の形態2における空中給油の動作を説明するフローチャートである。
(1)位置補正データ受信部10は、位置補正データを受信しており、受信した位置補正データをホース位置・受け口三次元座標差取得部15に出力する(S301)。
(2)タンカー航空機GPSデータ受信部6は、人工衛星501等の送信する測位情報を受信して、タンカー航空機1への自己の設置位置を示す第2位置を検出する(S302)。
(3)被給油航空機GPSデータ受信部7は、人工衛星501等の送信する測位情報を受信して、被給油航空機2への自己の設置位置を示す第1位置を検出する(S303)。
(4)被給油側受け口位置補正部9aは、被給油航空機GPSデータ受信部7が検出した第1位置と、被給油側受け口データベース8aの格納する「受け口設置データ」、及び被給油航空機方位情報とを用いて、「受け口5の位置」を算出する(S304)。算出の過程は実施の形態1と同様である。
(5)被給油側受け口位置補正部9aは、算出した「受け口5の位置」をタンカー航空機1に送信する(S305)。
(6)一方、タンカー航空機装備システム3001におけるホース位置・受け口三次元座標差取得部15は、ブーム方位検出部12から、現在のブーム方位を入力する。また、ホース長さ検出部14から、現在の給油ホースの繰り出し量を入力する(S306)。
(7)さらに、ホース位置・受け口三次元座標差取得部15は、ブームデータベース19が格納するブーム設置データを入力し、タンカー航空機GPSデータ受信部6が検出した第2位置を入力し、タンカー航空機1の飛行する方位を示すタンカー航空機方位情報を計測機器(図示していない)から入力する(S307)。
(8)ホース位置・受け口三次元座標差取得部15のホース端部位置補正部152は、
入力した現在のブーム方位、現在の給油ホースの繰り出し量、ブーム設置データ、第2位置、タンカー航空機方位情報を使用して、ホース端部21の位置を求める(S308)。算出の過程は実施の形態1の場合と同様である。
(9)算出部151は、受信した「受け口5の位置」と、ホース端部位置補正部152が算出した「ホース端部21の位置」とに対して、位置補正データ受信部10から入力した位置補正データを使用して補正を行い位置精度を向上させる。算出部151は、補正後の「受け口5の位置」と「ホース端部21の位置」とを三次元座標として算出し、算出した「受け口5の位置」と「ホース端部21の位置」との三次元座標の差分を求める。そして、算出部151は、求めた「差分」に基づいて、ホース端部21を受け口5に接続するために必要な、ブームの方位と給油ホースの繰り出し量とを算出する(S309)。
(10)ブーム方位表示部16は、算出部151が算出したブーム方位を表示し、ホース長さ表示部17は、算出部151が算出した繰り出し量を表示する(S310)。以上により、タンカー航空機1のオペレータは、ブーム方位表示部16に表示されたブーム方位と、ホース長さ表示部17に表示された繰り出し量とを確認し、ブーム方位操作部11によりブーム4を表示の方位に向けるとともに、ホース長さ操作部13により給油ホースを表示の繰り出し量だけ繰り出すことができる。
【0040】
なお、タンカー航空機GPSデータ受信部6、および被給油航空機GPSデータ受信部7の位置は、特に規定するものではない。それぞれタンカー航空機GPSデータ受信部6の設置位置と給油ブームの支点との相対位置関係、被給油航空機GPSデータ受信部7の設置位置と給油受け口との相対位置関係がわかっていればよい。これらの位置関係の情報を、あらかじめデータベースに記憶させておくことで、タンカー航空機1のブーム4および給油ホース3の位置と被給油航空機2の受け口5との位置の差を三次元座標として求めることができる。そして、これを用いて向けるべきブーム4の方位、及び繰り出すべき給油ホース3の繰り出し量を算出し、タンカー航空機1の誘導情報として利用できる。
【0041】
実施の形態2における空中給油支援システム3000は、位置送信装置80(第1位置検出装置の一例)が被給油航空機2の受け口5の位置をタンカー航空機1に向けて送信するので、支援装置300は受け口位置の算出の負荷がなくなる。
【0042】
実施の形態2にける支援装置300は、ホース端部位置補正部152を備えたので、ホース端部21と受け口5との接続を迅速に行うことができる。
【0043】
実施の形態2における位置送信装置80(第1位置検出装置の一例)は、受け口位置を送信するので、空中給油におけるホース端部21と受け口5との接続を迅速に行うことができる。
【0044】
以上、実施の形態1、実施の形態2において述べた空中給油支援システム1000〜3000は、自動または誘導を効率良く行うための情報を提供するものであるが、手動誘導に代わるシステムを提供するものではない。また、カメラによる自動誘導を否定するものでもない。すなわち、被給油航空機2は、自動誘導システムを設けたタンカー航空機1とも、自動誘導手段を備えていないタンカー航空機とも、いずれを問わず同様に接続することができる。
【0045】
なお、以上の実施の形態1では、被給油航空機2側は被給油航空機GPSデータ受信部7の設置位置を検出し、タンカー航空機1側はタンカー航空機GPSデータ受信部6の設置位置を検出した。そして、支援装置100が、それぞれの検出位置に基づいてブームの方位、給油ホースの繰り出し量を算出した。また、実施の形態2では、被給油航空機2側は受け口5の設置位置を検出し、タンカー航空機1ではタンカー航空機GPSデータ受信部6の設置位置を検出した。そして、支援装置100が、それぞれの検出位置に基づいてブームの方位、給油ホースの繰り出し量を算出した。しかし、これらに限るものではなく、タンカー航空機1、被給油航空機2のどのような位置についての検出位置(測位位置)を用いても構わない。タンカー航空機1における所定の位置を検出し、また、被給油航空機2における所定の位置を検出し、それぞれ検出した検出位置を支援装置100が入力し、入力した検出位置に基づいて供給経路部30を制御するための制御情報を得ることができればよい。「検出した検出位置」とは、測位情報を用いて得た位置の他、例えば前述の受け口位置のように、測位して得た位置に「受け口設置データ」を付加して得た位置も含むものとする。上記の実施の形態1、実施の形態2では、タンカー航空機1側にタンカー航空機装備システム1001、2001、3001を提示する形態としたが、タンカー航空機1側への装備に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施の形態1における準天頂衛星の軌道を示す図である。
【図2】実施の形態1における地上を固定して考えたの準天頂衛星の軌道を示す図である。
【図3】実施の形態1における準天頂衛星が高仰角であることを静止衛星との比較において示す図である。
【図4】実施の形態1における空中給油支援システム1000の構成示す図である。
【図5】実施の形態1におけるタンカー航空機装備システム1001の構成を示す図である。
【図6】実施の形態1における空中給油の動作の概要を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態1における空中給油の動作を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態1におけるタンカー航空機装備システム2001の構成を示す図である。
【図9】実施の形態2におけるタンカー航空機装備システム3001の構成を示す図である。
【図10】実施の形態2における動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
1 タンカー航空機、2 被給油航空機、3 給油ホース、4 ブーム、5 受け口、6 タンカー航空機GPSデータ受信部、7,7a 被給油航空機GPSデータ受信部、8 受け口データベース、8a 被給油側受け口データベース、9 受け口位置補正部、9a 被給油側受け口位置補正部、10 位置補正データ受信部、11 ブーム方位操作部、12 ブーム方位検出部、13 ホース長さ操作部、14 ホース長さ検出部、15 ホース位置・受け口三次元座標差取得部、16 ブーム方位表示部、17 ホース長さ表示部、18 第1受信部、19 ブームデータベース、20 操縦情報表示部、21 ホース端部、22 ブーム設置基準位置、23 供給経路部長さ、24 第2受信部、30 供給経路部、50 エリアデータベース、60 会合点、61 ANT、70 制御部、71,71a ANT、80 位置送信装置、100,200,300 支援装置、101 ANT、151 算出部、152 ホース端部位置補正部、153 エリア誘導部、181 ANT、310,320,330 準天頂衛星、501,502,503,504 人工衛星、1000,2000,3000 空中給油支援システム、1001,2001,3001 タンカー航空機装備システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の物質を供給する経路となるとともに制御可能である供給経路部を有する第2の移動体から前記供給経路部を介して所定の物質の供給を受ける第1の移動体への物質供給を支援する供給支援システムにおいて、
前記第1の移動体に設置され測位情報を受信して前記第1の移動体における所定の位置を示す第1位置を検出する第1位置検出装置と、
前記第2の移動体に設置され測位情報を受信して前記第2の移動体における所定の位置を示す第2位置を検出する第2位置検出装置と、
前記第1位置検出装置が検出した第1位置と、前記第2位置検出装置が検出した第2位置とに基づいて、前記供給経路部を介して所定の物質を前記第2の移動体から前記第1の移動体に供給する場合の前記供給経路部を制御する制御情報を生成する支援装置と
を備えたことを特徴とする供給支援システム。
【請求項2】
所定の物質を供給する経路となるとともに制御可能である供給経路部を有する第2の移動体から前記供給経路部を介して所定の物質の供給を受ける第1の移動体への物質供給を支援する支援装置において、
前記第1の移動体に設置され測位情報を受信して前記第1の移動体における所定の位置を示す第1位置を検出して送信する第1位置検出装置から第1位置を受信する第1受信部と、
前記第2の移動体に設置され測位情報を受信して前記第2の移動体における所定の位置を示す第2位置を検出して送信する第2位置検出装置から第2位置を受信する第2受信部と、
前記第1受信部が受信した第1位置と前記第2受信部が受信した第2位置とに基づいて、前記供給経路部を介して所定の物質を前記第2の移動体から前記第1の移動体に供給する場合の前記共通経路部を制御する制御情報を生成する制御情報生成部と
を備えたことを特徴とする支援装置。
【請求項3】
給油を行うタンカー航空機に設けられ方位を定めることができるブームと、ブームに支持されるとともにブームの方位方向へ繰り出すことができる給油ホースとを使用することにより、ブームの方位を定めてブームの方位方向へ給油ホースを繰り出し、繰り出した給油ホースのホース端部を前記タンカー航空機から給油を受ける被給油航空機に設けられた受け口に接続し、飛行中の前記タンカー航空機から飛行中の前記被給油航空機に給油を行う空中給油を支援する空中給油支援システムにおいて、
前記被給油航空機に設置され測位情報を受信して前記被給油航空機への設置位置を示す第1位置を検出し、検出した第1位置を送信する第1位置検出装置と、
前記タンカー航空機に設置され測位情報を受信して前記タンカー航空機への設置位置を示す第2位置を検出し、検出した第2位置を送信する第2位置検出装置と、
前記第1位置検出装置が送信した第1位置と、前記第2位置検出装置が送信した第2位置とを受信し、受信した第1位置と第2位置とに基づいて、ホース端部を受け口に接続する場合のブームの方位と給油ホースの繰り出し量とを算出する支援装置と
を備えたことを特徴とする空中給油支援システム。
【請求項4】
給油を行うタンカー航空機に設けられ方位を定めることができるブームと、ブームに支持されるとともにブームの方位方向へ繰り出すことができる給油ホースとを使用することにより、ブームの方位を定めてブームの方位方向へ給油ホースを繰り出し、繰り出した給油ホースのホース端部を前記タンカー航空機から給油を受ける被給油航空機に設けられた受け口に接続し、飛行中の前記タンカー航空機から飛行中の前記被給油航空機に給油を行う空中給油を支援する支援装置において、
前記被給油航空機に設置され測位情報を受信して前記被給油航空機への設置位置を示す第1位置を検出して送信する第1位置検出装置から第1位置を受信する第1受信部と、
前記タンカー航空機に設置され測位情報を受信して前記タンカー航空機への設置位置を示す第2位置を検出して送信する第2位置検出装置から第2位置を受信する第2受信部と、
前記第1受信部が受信した第1位置と前記第2受信部が受信した第2位置とに基づいて、ホース端部を受け口に接続する場合のブームの方位と給油ホースの繰り出し量とを算出する算出部と
を備えたことを特徴とする支援装置。
【請求項5】
前記支援装置は、さらに、
前記被給油航空機における前記第1位置検出装置に対する前記受け口の設置位置を示す受け口設置データを格納する受け口データベースと、
前記受け口データベースが格納する受け口設置データと、前記第1受信部が受信した第1位置とを用いて、受け口の位置を算出する受け口位置補正部と、
前記タンカー航空機における前記第2位置検出装置に対する前記ブームの設置位置を示すブーム設置データを格納するブームデータベースと、
現在のブームの方位を検出するブーム方位検出部から現在のブームの方位を入力し、ブームの方位方向へ繰り出されている給油ホースの長さを検出するホース長さ検出部から現在繰り出されている給油ホースの長さを入力し、入力した現在のブームの方位と、入力した現在繰り出されている給油ホースの長さと、前記ブームデータベースが格納するブーム設置データと、前記第2受信部が受信した第2位置とを使用して、ホース端部の位置を算出するホース端部位置補正部と、
前記受け口位置補正部が算出した受け口の位置と前記ホース端部位置補正部が算出したホース端部の位置とに基づいて、ホース端部を受け口に接続する場合のブームの方位と給油ホースの繰り出し量とを算出する算出部と
を備えたことを特徴とする請求項4記載の支援装置。
【請求項6】
前記算出部は、
位置情報を補正する位置補正データを受信する位置補正データ受信部の受信した位置補正データを使用して、前記受け口位置補正部が算出した受け口の位置と前記ホース端部位置補正部が算出したホース端部の位置とを補正し、補正した受け口の位置とホース端部の位置とに基づいて、ホース端部を受け口に接続する場合のブームの方位と給油ホースの繰り出し量とを算出することを特徴とする請求項5記載の支援装置。
【請求項7】
前記支援装置は、さらに、
前記タンカー航空機から前記被給油航空機へ空中給油する場合に前記タンカー航空機が前記被給油航空機に対して位置するべきエリアをエリアデータとして格納するエリアデータベースと、
受信した第1位置と、受信した第2位置と、前記エリアデータベースが格納するエリアデータとに基づいて、エリアデータが示すエリアへ前記タンカー航空機を誘導するエリア誘導部と
を備えたことを特徴とする請求項4記載の支援装置。
【請求項8】
給油を行うタンカー航空機に設けられ方位を定めることができるブームと、ブームに支持されるとともにブームの方位方向へ繰り出すことができる給油ホースとを使用することにより、ブームの方位を定めてブームの方位方向へ給油ホースを繰り出し、繰り出した給油ホースのホース端部を前記タンカー航空機から給油を受ける被給油航空機に設けられた受け口に接続し、飛行中の前記タンカー航空機から飛行中の前記被給油航空機に給油を行う空中給油を支援する支援装置において、
前記被給油航空機から受け口の位置を受信する第1受信部と、
前記タンカー航空機に設置され測位情報を受信して前記タンカー航空機への設置位置を示す第2位置を検出して送信する第2位置検出装置から第2位置を受信する第2受信部と、
受信した受け口の位置と第2位置とに基づいて、ホース端部を受け口に接続する場合のブームの方位と給油ホースの繰り出し量とを算出する算出部と
を備えたことを特徴とする支援装置。
【請求項9】
前記支援装置は、さらに、
前記タンカー航空機における前記第2位置検出装置に対するブームの設置位置を示すブーム設置データを格納するブームデータベースと、
現在のブームの方位を検出するブーム方位検出部から現在のブームの方位を入力し、ブームの方位方向へ繰り出されているホースの長さを検出するホース長さ検出部から現在繰り出されているホースの長さを入力し、入力した現在のブームの方位と、入力した現在繰り出されているホースの長さと、前記ブームデータベースが格納するブーム設置データと、前記第2受信部が受信した第2位置とを使用してホース端部の位置を算出するホース端部位置補正部とを備え、
前記算出部は、
前記第1受信部が受信した受け口の位置と前記ホース端部位置補正部が算出したホース端部の位置とに基づいて、ホース端部を受け口に接続する場合のブームの方位と給油ホースの繰り出し量とを算出することを特徴とする請求項8記載の支援装置。
【請求項10】
空中給油を行うタンカー航空機の繰り出す給油ホースから空中給油を受ける被給油航空機に設置され、所定の位置情報を前記タンカー航空機に送信する位置送信装置において、
測位情報を受信して前記被給油航空機への自己の設置位置を示す第1位置を検出する被給油側検出部と、
前記被給油航空機に設置されて給油ホースのホース端部と接続する受け口について、前記被給油側検出部に対する前記受け口の設置位置を示す受け口設置データを格納する被給油側受け口データベースと、
前記被給油側受け口データベースが格納する受け口設置データと前記被給油側検出部が検出した第1位置とを用いて受け口の位置を検出し、検出した受け口の位置を送信する被給油側受け口位置補正部と
を備えたことを特徴とする位置送信装置。
【請求項1】
所定の物質を供給する経路となるとともに制御可能である供給経路部を有する第2の移動体から前記供給経路部を介して所定の物質の供給を受ける第1の移動体への物質供給を支援する供給支援システムにおいて、
前記第1の移動体に設置され測位情報を受信して前記第1の移動体における所定の位置を示す第1位置を検出する第1位置検出装置と、
前記第2の移動体に設置され測位情報を受信して前記第2の移動体における所定の位置を示す第2位置を検出する第2位置検出装置と、
前記第1位置検出装置が検出した第1位置と、前記第2位置検出装置が検出した第2位置とに基づいて、前記供給経路部を介して所定の物質を前記第2の移動体から前記第1の移動体に供給する場合の前記供給経路部を制御する制御情報を生成する支援装置と
を備えたことを特徴とする供給支援システム。
【請求項2】
所定の物質を供給する経路となるとともに制御可能である供給経路部を有する第2の移動体から前記供給経路部を介して所定の物質の供給を受ける第1の移動体への物質供給を支援する支援装置において、
前記第1の移動体に設置され測位情報を受信して前記第1の移動体における所定の位置を示す第1位置を検出して送信する第1位置検出装置から第1位置を受信する第1受信部と、
前記第2の移動体に設置され測位情報を受信して前記第2の移動体における所定の位置を示す第2位置を検出して送信する第2位置検出装置から第2位置を受信する第2受信部と、
前記第1受信部が受信した第1位置と前記第2受信部が受信した第2位置とに基づいて、前記供給経路部を介して所定の物質を前記第2の移動体から前記第1の移動体に供給する場合の前記共通経路部を制御する制御情報を生成する制御情報生成部と
を備えたことを特徴とする支援装置。
【請求項3】
給油を行うタンカー航空機に設けられ方位を定めることができるブームと、ブームに支持されるとともにブームの方位方向へ繰り出すことができる給油ホースとを使用することにより、ブームの方位を定めてブームの方位方向へ給油ホースを繰り出し、繰り出した給油ホースのホース端部を前記タンカー航空機から給油を受ける被給油航空機に設けられた受け口に接続し、飛行中の前記タンカー航空機から飛行中の前記被給油航空機に給油を行う空中給油を支援する空中給油支援システムにおいて、
前記被給油航空機に設置され測位情報を受信して前記被給油航空機への設置位置を示す第1位置を検出し、検出した第1位置を送信する第1位置検出装置と、
前記タンカー航空機に設置され測位情報を受信して前記タンカー航空機への設置位置を示す第2位置を検出し、検出した第2位置を送信する第2位置検出装置と、
前記第1位置検出装置が送信した第1位置と、前記第2位置検出装置が送信した第2位置とを受信し、受信した第1位置と第2位置とに基づいて、ホース端部を受け口に接続する場合のブームの方位と給油ホースの繰り出し量とを算出する支援装置と
を備えたことを特徴とする空中給油支援システム。
【請求項4】
給油を行うタンカー航空機に設けられ方位を定めることができるブームと、ブームに支持されるとともにブームの方位方向へ繰り出すことができる給油ホースとを使用することにより、ブームの方位を定めてブームの方位方向へ給油ホースを繰り出し、繰り出した給油ホースのホース端部を前記タンカー航空機から給油を受ける被給油航空機に設けられた受け口に接続し、飛行中の前記タンカー航空機から飛行中の前記被給油航空機に給油を行う空中給油を支援する支援装置において、
前記被給油航空機に設置され測位情報を受信して前記被給油航空機への設置位置を示す第1位置を検出して送信する第1位置検出装置から第1位置を受信する第1受信部と、
前記タンカー航空機に設置され測位情報を受信して前記タンカー航空機への設置位置を示す第2位置を検出して送信する第2位置検出装置から第2位置を受信する第2受信部と、
前記第1受信部が受信した第1位置と前記第2受信部が受信した第2位置とに基づいて、ホース端部を受け口に接続する場合のブームの方位と給油ホースの繰り出し量とを算出する算出部と
を備えたことを特徴とする支援装置。
【請求項5】
前記支援装置は、さらに、
前記被給油航空機における前記第1位置検出装置に対する前記受け口の設置位置を示す受け口設置データを格納する受け口データベースと、
前記受け口データベースが格納する受け口設置データと、前記第1受信部が受信した第1位置とを用いて、受け口の位置を算出する受け口位置補正部と、
前記タンカー航空機における前記第2位置検出装置に対する前記ブームの設置位置を示すブーム設置データを格納するブームデータベースと、
現在のブームの方位を検出するブーム方位検出部から現在のブームの方位を入力し、ブームの方位方向へ繰り出されている給油ホースの長さを検出するホース長さ検出部から現在繰り出されている給油ホースの長さを入力し、入力した現在のブームの方位と、入力した現在繰り出されている給油ホースの長さと、前記ブームデータベースが格納するブーム設置データと、前記第2受信部が受信した第2位置とを使用して、ホース端部の位置を算出するホース端部位置補正部と、
前記受け口位置補正部が算出した受け口の位置と前記ホース端部位置補正部が算出したホース端部の位置とに基づいて、ホース端部を受け口に接続する場合のブームの方位と給油ホースの繰り出し量とを算出する算出部と
を備えたことを特徴とする請求項4記載の支援装置。
【請求項6】
前記算出部は、
位置情報を補正する位置補正データを受信する位置補正データ受信部の受信した位置補正データを使用して、前記受け口位置補正部が算出した受け口の位置と前記ホース端部位置補正部が算出したホース端部の位置とを補正し、補正した受け口の位置とホース端部の位置とに基づいて、ホース端部を受け口に接続する場合のブームの方位と給油ホースの繰り出し量とを算出することを特徴とする請求項5記載の支援装置。
【請求項7】
前記支援装置は、さらに、
前記タンカー航空機から前記被給油航空機へ空中給油する場合に前記タンカー航空機が前記被給油航空機に対して位置するべきエリアをエリアデータとして格納するエリアデータベースと、
受信した第1位置と、受信した第2位置と、前記エリアデータベースが格納するエリアデータとに基づいて、エリアデータが示すエリアへ前記タンカー航空機を誘導するエリア誘導部と
を備えたことを特徴とする請求項4記載の支援装置。
【請求項8】
給油を行うタンカー航空機に設けられ方位を定めることができるブームと、ブームに支持されるとともにブームの方位方向へ繰り出すことができる給油ホースとを使用することにより、ブームの方位を定めてブームの方位方向へ給油ホースを繰り出し、繰り出した給油ホースのホース端部を前記タンカー航空機から給油を受ける被給油航空機に設けられた受け口に接続し、飛行中の前記タンカー航空機から飛行中の前記被給油航空機に給油を行う空中給油を支援する支援装置において、
前記被給油航空機から受け口の位置を受信する第1受信部と、
前記タンカー航空機に設置され測位情報を受信して前記タンカー航空機への設置位置を示す第2位置を検出して送信する第2位置検出装置から第2位置を受信する第2受信部と、
受信した受け口の位置と第2位置とに基づいて、ホース端部を受け口に接続する場合のブームの方位と給油ホースの繰り出し量とを算出する算出部と
を備えたことを特徴とする支援装置。
【請求項9】
前記支援装置は、さらに、
前記タンカー航空機における前記第2位置検出装置に対するブームの設置位置を示すブーム設置データを格納するブームデータベースと、
現在のブームの方位を検出するブーム方位検出部から現在のブームの方位を入力し、ブームの方位方向へ繰り出されているホースの長さを検出するホース長さ検出部から現在繰り出されているホースの長さを入力し、入力した現在のブームの方位と、入力した現在繰り出されているホースの長さと、前記ブームデータベースが格納するブーム設置データと、前記第2受信部が受信した第2位置とを使用してホース端部の位置を算出するホース端部位置補正部とを備え、
前記算出部は、
前記第1受信部が受信した受け口の位置と前記ホース端部位置補正部が算出したホース端部の位置とに基づいて、ホース端部を受け口に接続する場合のブームの方位と給油ホースの繰り出し量とを算出することを特徴とする請求項8記載の支援装置。
【請求項10】
空中給油を行うタンカー航空機の繰り出す給油ホースから空中給油を受ける被給油航空機に設置され、所定の位置情報を前記タンカー航空機に送信する位置送信装置において、
測位情報を受信して前記被給油航空機への自己の設置位置を示す第1位置を検出する被給油側検出部と、
前記被給油航空機に設置されて給油ホースのホース端部と接続する受け口について、前記被給油側検出部に対する前記受け口の設置位置を示す受け口設置データを格納する被給油側受け口データベースと、
前記被給油側受け口データベースが格納する受け口設置データと前記被給油側検出部が検出した第1位置とを用いて受け口の位置を検出し、検出した受け口の位置を送信する被給油側受け口位置補正部と
を備えたことを特徴とする位置送信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2006−103481(P2006−103481A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−292247(P2004−292247)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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