説明

価値媒体管理システム、及び、価値媒体管理装置

【課題】異なる遊技媒体の使い分けに係る遊技者の負担を軽減できる価値媒体管理装置、及び、価値媒体管理システムを提供する。
【解決手段】パチンコ機4A、4Bで使用する遊技球を貸出できる価値情報が記録されたプリペイド媒体を備え、プリペイド媒体で区別した複数の遊技機群2A、2Bを備え、一の遊技機群2A、2Bのプリペイド媒体であるプリペイド媒体に記録された価値情報を、他の遊技機群2B、2Aのプリペイド媒体に移行する移行精算機8を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場において、遊技媒体を貸出できる価値情報が記録された価値媒体を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技場において、貨幣金額相当の価値を示す価値情報が記録されたプリペイドカード等の価値媒体を利用し、遊技球や遊技メダル等の遊技媒体の貸出を行う遊技媒体貸出機が利用されている(例えば、特許文献1参照)。この種の遊技媒体貸出機は、遊技媒体の貸出をする場合に、価値媒体に記録された価値情報を貸出の対価の分だけ減算して書き換える。また、価値媒体が使用される遊技場には、価値媒体の残価値を現金に替える精算機が設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−279091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、上記の価値媒体を使用する遊技機は一種類の価値媒体しか使用できないため、一つの遊技場に、使用可能な遊技媒体の種類が違う遊技機が併用されることがあった。このような場合、遊技者は、所望の遊技機で使用可能な価値媒体を用意する必要があり、例えば、既に所持している価値媒体を精算機で現金に替え、新たに別の価値媒体を入手しなければならず、価値媒体の使い分けが煩雑であるという問題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、異なる遊技媒体の使い分けに係る遊技者の負担を軽減できる価値媒体管理装置、及び、価値媒体管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、遊技機で使用する遊技媒体を貸出できる価値情報が記録された価値媒体を使用可能に構成され、前記価値媒体で区別した複数の遊技機群を備え、一の遊技機群の前記価値媒体に記録された価値情報を他の遊技機群の前記価値媒体に移行する価値媒体管理装置を備えたことを特徴とする。
【0006】
また本発明は、上記価値媒体管理システムにおいて、前記価値媒体毎にセキュリティを管理するセキュリティ管理サーバを備え、前記価値媒体管理装置は、前記セキュリティ管理サーバから配信される鍵情報に基づいて前記価値情報を移行することを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記価値媒体管理システムにおいて、前記価値媒体には、前記遊技媒体の貸出可能量に対応する価値を示す前記価値情報が記録され、前記価値媒体管理装置は、前記価値情報を移行する移行元の前記価値媒体に記録された前記価値情報を読み出して、移行先の前記価値媒体に記録することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、遊技機で使用する遊技媒体を貸出できる価値情報が記録された価値媒体が使用され、前記価値媒体で区別した複数の遊技機群が設けられた遊技場に設置され、一の遊技機群の前記価値媒体に記録された価値情報を他の遊技機群の前記価値媒体に移行することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記価値媒体管理装置において、前記価値媒体毎にセキュリティを管理するセキュリティ管理サーバに接続され、前記価値情報を移行する移行元の前記価値媒体に対応する鍵情報と、移行先の前記価値媒体に対応する鍵情報とを、前記セキュリティ管理サーバから個別に取得し、取得した鍵情報を用いて一の遊技機群の前記価値媒体に記録された前記価値情報を他の遊技機群の前記価値媒体に移行することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記価値媒体管理装置において、前記価値媒体と非接触通信を行うためのアンテナを有し、前記アンテナを介して前記価値媒体からの価値情報の読み出し及び前記価値媒体への価値情報の書込を行う読出/書込部を備え、移行元の前記価値媒体と移行先の前記価値媒体との各々に対し、共通の前記アンテナ及び前記読出/書込部により、各々の前記価値媒体に対応した処理方式で前記価値情報の読み出し及び書込を行うことを特徴とする。
【0011】
本発明は、上記価値媒体管理装置において、前記価値媒体毎に異なる投入経路を有し、前記投入経路の各々に前記価値媒体と非接触通信を行うためのアンテナを設け、これらのアンテナを介して移行元の前記価値媒体と移行先の前記価値媒体との各々に対して前記価値情報の読み出し及び書込を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、一の遊技機群の価値媒体から他の遊技機群の価値媒体に価値情報を移行できるので、複数種類の価値媒体が使用される状況において、価値媒体の使い分けに係る負担を軽減し、遊技者の利便性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】遊技店における配置例を模式的に示す図である。
【図2】遊技システムの各部に記憶される情報の構成を模式的に示す図である。
【図3】パチンコ機及びCRユニットの構成を示す図である。
【図4】CRユニットの構成を示すブロック図である。
【図5】CRユニットの構成を示すブロック図である。
【図6】移行精算機の構成を示すブロック図である。
【図7】移行精算機の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態では、遊技機の一例として、遊技球を遊技媒体に用いるパチンコ機を例にして説明する。
【0015】
図1は本実施形態に係る遊技店2における配置例を模式的に示す図である。
この図に示すように、遊技店2には、多数のパチンコ機4A、4B及びCRユニット(Card Reader)6A、6Bと移行精算機8とが設置され、また、遊技店2の一室には管理室9が設けられている。この遊技店2において、移行精算機8に、プリペイドシステム管理コンピュータ10及びセキュリティ管理サーバ16、18が接続された構成は、遊技システム1として機能する。この遊技システム1には、ホールコンピュータ12、顧客管理サーバ13、持玉管理サーバ14、及び各々のパチンコ機4A、4B、CRユニット6A、6Bを含めてもよい。
【0016】
この遊技店2に設置されるパチンコ機4A、4B(以下、両者を区別する必要がないときはパチンコ機4と表記する)は、プリペイド媒体を購入、或いは、プリペイド媒体に現金をチャージし、該プリペイド媒体に記録された残価値を代償として遊技球を借りて遊技する、いわゆるCR機と呼ばれる遊技機である。
CR(Card Reader)ユニット6A、6B(以下、両者を区別する必要がないときはCRユニット6と表記する)は、プリペイド媒体を読み取る装置であり、各パチンコ機4に横並びに設けられている。遊技者は、パチンコ機4で遊技球の貸出を受ける場合、現金あるいは必要額のプリペイド残価値があるプリペイド媒体をCRユニット6に投入する。また、各CRユニット6は、プリペイド媒体の読取機能に加え、現金の投入に伴いプリペイド媒体を発行する発行する機能を有しており、遊技者は、遊技中にパチンコ機4から離れることなくプリペイド媒体を購入できる。
【0017】
プリペイド媒体の形状には硬貨形状やカード形状といった任意の形状を採用することができ、この遊技店2では、カード形状のプリペイド媒体、及び、硬貨形状のプリペイド媒体等、様々なプリペイド媒体が用いられる。本実施の形態では、硬貨形状のプリペイド媒体であるAコイン47、Bコイン48と、カード形状の会員カード46との合計3種類のプリペイド媒体を使用できる。
会員カード46、Aコイン47及びBコイン48は、いずれも、外部の装置から無線給電を受けるとともに、この外部の装置との間で通信を行うためのアンテナと、無線給電された電力により動作して上記アンテナを介して外部の装置と通信するICチップと、を備えた非接触型ICデバイスであり、ICチップのメモリ領域に、後述する会員カード情報46A、媒体情報47A及び媒体情報48A(図2A〜C)等の各種情報が記録される。会員カード46は、後述するように遊技店2の会員となった遊技者に発行され、貯玉等のサービスを提供するために使用されるカードであり、プリペイド残価値を記録可能であるため、プリペイド媒体としても使用できる。
【0018】
遊技店2に設置されるパチンコ機4及びCRユニット6は、対応するプリペイド媒体の種類により異なる仕様となっており、具体的には、Aコイン47の発行及び読み取りに対応したCRユニット6A及びパチンコ機4Aと、Bコイン48の発行及び読み取りに対応したCRユニット6B及びパチンコ機4Bとがある。また、会員カード46はパチンコ機4A、4B及びCRユニット6A、6Bのどちらにおいても読み取り可能である。
会員カード46は、遊技店2の会員となった遊技者に対して発行される会員カードであり、一人の遊技者に対応付けられ、顧客管理サーバ13により管理される。会員カード46には持玉や貯玉の情報が記録されるほか、Aコイン47及びBコイン48と同様にプリペイド媒体として機能し、現金に換算されるプリペイド残価値を記録できる。
【0019】
遊技店2には、パチンコ機4A及びCRユニット6Aで構成される遊技機群2Aと、パチンコ機4B及びCRユニット6Bで構成される遊技機群2Bとが配置される。この遊技店2では、遊技球の貸出単価として複数の貸出単価が設定され、具体的には、遊技機群2Aは遊技球の貸出単価が4円/玉に設定された4円/玉コーナー、遊技機群2Bは遊技球の貸出単価が2円/玉に設定された2円/玉コーナーとなっている。そして、各CRユニット6A、6Bには、それぞれが設置されているコーナー2A、2Bに対応した貸出単価が設定されており、各CRユニット6A、6Bは、プリペイド媒体の残価値を対価に遊技球を貸し出す場合、貸出単価及び貸出個数に基づく金額分の価値をプリペイド媒体の残価値から減じ、これにより、各コーナー2A、2Bに設定された貸出単価に応じた遊技媒体の貸出しが行われる。
【0020】
なお、遊技機群2A、2Bでは、パチンコ機4AとCRユニット6A、及び、パチンコ機4BとCRユニット6Bを1対1に配置しているが、隣り合う2台のパチンコ機4に対して1台のCRユニット6を配置してもよい。
価値媒体管理装置としての移行精算機8は、会員カード46、Aコイン47およびBコイン48のプリペイド残価値に応じて現金を払い戻す機能を有する。この機能により、遊技者は、使い切らなかったプリペイド算価値を現金化できる。また、移行精算機8は、会員カード46、Aコイン47及びBコイン48の相互間でプリペイド残価値を移行させる機能を有する。
【0021】
管理室9には、プリペイドシステム管理コンピュータ10やホールコンピュータ12、顧客管理サーバ13、持玉管理サーバ14、セキュリティ管理サーバ16、18等の各種の管理用コンピュータが設置されている。
プリペイドシステム管理コンピュータ10は、CRユニット6A、6Bで発行及びプリペイド残価値が記録される会員カード46、Aコイン47及びBコイン48のプリペイド残価値を管理する。上記各CRユニット6A、6Bは、プリペイドシステム管理コンピュータ10にネットワーク45(図2)を介して通信可能に接続されており、プリペイドシステム管理コンピュータ10に対し、会員カード46、Aコイン47及びBコイン48のプリペイド残価値を送信する。また、プリペイドシステム管理コンピュータ10には移行精算機8が接続され、移行精算機8は、会員カード46、Aコイン47及びBコイン48の相互間で残価値を移行した場合や、上記プリペイド媒体のプリペイド残価値に応じて現金を払い出した場合に、これらの処理に係る各プリペイド媒体の残価値をプリペイドシステム管理コンピュータ10へ通知する。
【0022】
ホールコンピュータ12は、パチンコ機4ごとに、遊技球の貸出単価と入玉、出玉及び差玉を管理する。また、顧客管理サーバ13は、遊技店2の遊技店2の会員となった遊技者に付与された会員番号と、その会員が使用する会員カード46を識別するための固有IDとを管理する。持玉管理サーバ14は、遊技者(顧客)及び当該遊技者ごとの持玉を管理する。
【0023】
セキュリティ管理サーバ16は、プリペイド媒体として使用されるAコイン47に記録される情報の読み出し及び書込を行うために必要な鍵情報及び処理アルゴリズムを管理するとともに、Aコイン47の認証を行う。セキュリティ管理サーバ18は、Bコイン48及び会員カード46に記録される情報の読み出し及び書込を行うための鍵情報及び処理アルゴリズムを管理し、Bコイン48及び会員カード46のプリペイド残価値を処理する際に認証を行う。セキュリティ管理サーバ16、18は、ネットワーク45(図3)等を介して接続された各種機器からの要求に応じて、鍵情報及びアルゴリズムを配信する。
【0024】
図2は、遊技システム1の各部に記憶される情報の構成を模式的に示す図である。図2AはAコイン47に記録される媒体情報47Aの構成を示し、図2BはBコイン48に記録される媒体情報48Aの構成を示し、図2Cは会員カード46に記録される会員カード情報46Aの構成を示す。また、図2Dはプリペイドシステム管理コンピュータ10が保持するプリペイド媒体管理情報10Aの構成を示し、図2Eは持玉管理サーバ14が保持する持玉管理情報14Aの構成を示し、2fは顧客管理サーバ13が保持する会員管理情報13Aの構成を示す。
【0025】
遊技店2で発行される全ての会員カード46、Aコイン47及びBコイン48には固有のID(固有ID)が付されており、図2Aに示す媒体情報47Aには固有IDに対応するフィールドが設けられている。また、媒体情報47Aには、プリペイド媒体の種別(ここではAコイン47を示す値)、遊技店2がチェーン店である場合にAコイン47を発行した店舗を示す店番号、Aコイン47のプリペイド残価値の各々に対応するフィールドが設けられている。
また、媒体情報47Aには持玉数を貸出単価(持玉レート)別に記憶するためのフィールドが設けられている。持玉は、遊技者が獲得球を他のパチンコ機4で使用可能な状態としたものであり、持玉としての遊技球そのものを実際に玉箱に入れて持ち運ぶ場合もあるが、本実施の形態では持玉数を媒体情報47Aとして記録可能となっている。
【0026】
また、図2Bに示す媒体情報48Aには、固有IDと、媒体種別識別コードと、店番号と、プリペイド残価値とに対応するフィールドが各々設けられている。Bコイン48が内蔵するICチップの記憶容量の範囲内で、他のフィールド(例えば、持玉数に対応するフィールド)を設けることも可能であるが、本実施の形態では図2Bに示す構成とする。
会員カード46に記録される会員カード情報46Aには、図2Cに示すように、会員カード46の固有ID、媒体種別識別コード及び店番号に対応するフィールドと、持玉レートと持玉数との各々に対応するフィールドとが設けられている。
【0027】
会員カード情報46Aおよび媒体情報47A、48Aの各フィールドには記録方法が設定され、「記録方法RO」は、対応するフィールドの情報が書き換えられることがない(Read Only)ことを示し、「記録方法RW」は、対応するフィールドの情報が適宜更新される(ReWritable)ことを示している。例えば、固有IDはプリペイド媒体毎に固有であるから書き換えの必要性が無いので、「記録方式RO」で記録される。また、「記録方法RO/RW」は、会員カード46、Aコイン47及びBコイン48の仕様等に応じて、「記録方法RO」と「記録方法RW」のどちらでもよいことを示す。
【0028】
媒体情報47Aの一部または全部は、セキュリティ管理サーバ16によって管理される鍵情報とアルゴリズムに基づいて暗号化されており、媒体情報47Aの読み出し及び記録には上記の鍵情報とアルゴリズムとをセキュリティ管理サーバ16から取得する必要がある。また、媒体情報48Aおよび会員カード情報46Aの一部または全部は、セキュリティ管理サーバ18によって管理される鍵情報とアルゴリズムに基づいて暗号化されており、会員カード情報46A及び媒体情報48Aの読み出し及び記録には上記の鍵情報とアルゴリズムとをセキュリティ管理サーバ18から取得する必要がある。
【0029】
会員カード46、Aコイン47及びBコイン48の各プリペイド媒体のプリペイド残価値は、図2Dに示すように、プリペイド媒体管理情報10Aとしてプリペイドシステム管理コンピュータ10に記憶される。プリペイド媒体管理情報10Aは、プリペイド媒体毎に記憶され、各プリペイド媒体の固有ID、プリペイド残価値、プリペイド価値の最終購入日、プリペイド算価値の最終利用日等に対応するフィールドを有する。
また、持玉管理サーバ14は、会員カード46及びAコイン47に記録される持玉数を持玉管理情報14Aとして記憶する。持玉管理情報14Aは、会員カード46及びAコイン47の固有IDと持玉レート毎の持玉数とに対応するフィールドを有する。
【0030】
会員カード46が発行された会員を管理する顧客管理サーバ13は、会員カード46毎に会員管理情報13Aを記憶する。会員管理情報13Aには、各会員カード46の固有ID、その会員カード46を発行した会員の会員番号、会員毎の貯玉数を管理するための口座番号、及び、遊技球の貸出単価別の貯玉数に対応するフィールドが設けられている。この会員管理情報13Aにより、会員カード46の固有IDと会員番号とが対応づけられ、会員番号に紐付けて貯玉数が管理される。
【0031】
ここで、会員カード情報46Aにはプリペイド残価値以外の遊技媒体数に関する情報、例えば持玉レート毎の持玉数を含めないで、顧客管理サーバ13により持玉数等を管理する構成としてもよい。この構成では、後述するように顧客管理サーバ13が有する会員管理情報13Aに、会員カード情報46Aの固有IDと、会員番号とともに、持玉を管理する口座番号と、持玉数とに対応するフィールドを会員管理情報13Aに設ければよい。この場合、持玉数の情報に応じてパチンコ機4で遊技球を払い出す場合には、パチンコ機4またはCRユニット6から顧客管理サーバ13に対し、会員カード情報46Aの固有IDを送信して、対応する持玉の口座を特定し、この口座の持玉数の情報が提供されるようにすればよい。
さらにまた、会員カード情報46Aに持玉数等の遊技媒体数に関する情報を含めないで、持玉数があるか無いかを示すフラグに対応するフィールドを会員カード情報46Aに設けてもよい。この場合、会員カード情報46Aのフラグが「持玉数有り」を示している場合にのみ、パチンコ機4またはCRユニット6から顧客管理サーバ13に問い合わせて持玉数に関する情報を取得すればよいので、パチンコ機4及びCRユニット6における処理時間を短縮するとともに、各サーバとの間のトラフィックを削減して、効率よく持玉数等の遊技媒体数に関する情報を管理できる。
【0032】
図3は、パチンコ機4A、4B及びCRユニット6A、6Bの構成を示す図である。
図中右側にはパチンコ機4A及びCRユニット6Aを示し、同図左側にはパチンコ機4B及びCRユニット6Bを示す。
【0033】
パチンコ機4Aは、遊技盤20の前面に前面ガラス21を設け、該前面ガラス21を通じて遊技盤20の遊技領域を視認可能に構成したパチンコ機本体22を備えている。遊技盤20には、遊技球が通過する複数の始動口(不図示)や入賞口(不図示)、障害釘(不図示)、図柄を可変表示する可変表示ユニット(不図示)が設けられている。パチンコ機本体22の右下には、遊技球発射ハンドル23が設けられており、該遊技球発射ハンドル23の操作により遊技球が遊技盤20の遊技領域に発射される。パチンコ機4Aは、遊技盤20に発射された遊技球が始動口を通過するごとに当落抽選を行い、図柄の可変表示により当落結果を遊技者に通知する。また、パチンコ機4Aは、当落抽選への当選を契機にして遊技球を遊技者が有利に獲得できる遊技状態である特別遊技状態(例えば入賞口に遊技球が入り易くなった状態)に移行する。これにより、遊技者は持玉を増やすことができるようになっている。
【0034】
前面ガラス21の下側には遊技球の排出口(不図示)及び上皿24が設けられている。この上皿24の手前側には、玉貸ボタン25、返却ボタン26、及び度数表示部27が設けられている。玉貸ボタン25は遊技球の貸し出し操作のためのボタン、返却ボタン26はCRユニット6からプリペイド媒体を排出させるためのボタン、度数表示部27はプリペイド媒体の残価値を度数表示する表示器である。
【0035】
パチンコ機4Bは、CRユニット6Bに接続されている点を除いてパチンコ機4Aと同様に構成される。すなわち、パチンコ機4Bは、パチンコ機4Aと同構成のパチンコ機本体22を有し、玉貸ボタン25の操作に応じてCRユニット6Bに対して玉貸要求が送信され、CRユニット6Bに投入されている会員カード46またはBコイン48に残価値が存在する限りにおいてCRユニット6Bからパチンコ機本体22に玉貸許可指令が送信され、該パチンコ機本体22から貸出球が上皿24に払い出される。
【0036】
また、CRユニット6Aには、高額紙幣(例えば、「一万円」、「五千円」や「二千円」などの紙幣)を含む各種紙幣を挿入するための紙幣挿入口30、会員カード46またはAコイン47の残価値の度数表示や貸出金額、その他各種情報を表示する表示パネルを一体に備えたタッチパネル32、会員カード46を投入及び排出するカード投入排出口33、Aコイン47を投入するコイン投入口34、及び、Aコイン47を排出するコイン排出口37が設けられている。タッチパネル32は、例えば、上記情報を表示する液晶表示パネルと、この液晶表示パネルの表示面に対する接触操作を検出する透明な接触センサとを重ねて配置して構成され、液晶表示パネルにボタン類が表示された位置で接触操作がなされた場合、接触位置に表示されていたボタンに対応する操作信号を生成して、主制御基板50に出力する。なお、タッチパネル32に代えて、液晶表示パネル等の表示装置と操作部としてのスイッチ類とを個別に設けてもよい。
【0037】
CRユニット6Aは、紙幣挿入口30から紙幣が挿入されると、紙幣の額面に応じた残価値を有するAコイン47を発行する。このAコイン47はパチンコ機4Aの返却ボタン26の操作に応じて排出される。Aコイン47がコイン投入口34に投入されると、CRユニット6Aは、遊技者に対してAコイン47の残価値を通知すべく、Aコイン47から媒体情報47Aを読み取ってプリペイド残価値を取得し、パチンコ機4Aの度数表示部27に残価値に応じた度数を表示する。会員カード46が投入された場合も同様に、CRユニット6Aは、会員カード46から会員カード情報46Aを読み取ってプリペイド残価値を取得し、度数表示部27に表示する。また、CRユニット6Aは、Aコイン47のプリペイド残価値が残っている場合、及び、Aコイン47に持玉が残っている場合には、パチンコ機4Aの返却ボタン26の操作に応じて、コイン排出口37からAコイン47を排出する。
【0038】
CRユニット6Aは、CRユニット6Aの筐体から上皿24の真上に延び、パチンコ機4Aの上皿24に遊技球を払い出す払出ノズル61を備えている。
パチンコ機4Aの玉貸ボタン25が操作されると、パチンコ機本体22からCRユニット6Aに対して玉貸要求が送信される。CRユニット6Aは、CRユニット6Aに投入されている会員カード46またはAコイン47に残価値が存在する限りにおいて、遊技球を払出ノズル61から上皿24に払い出す。
また、CRユニット6Aは、パチンコ機4Aにおいて遊技者が遊技によって獲得した遊技球(以下、「獲得球」と言う)を受ける受皿62を備えている。受皿62は、パチンコ機4Aにおいて獲得球が貯留される下皿28に連通し、この下皿28に貯留された獲得球を、後述する持玉払出部58(図4)に送り込む。
【0039】
また、CRユニット6Bは、CRユニット6Aと同様に紙幣挿入口30、カード投入排出口33、コイン投入口34及びコイン排出口37を備え、さらに、CRユニット6Aが備えるタッチパネル32に代えて、会員カード46またはBコイン48の残価値の度数表示や貸出金額、その他各種情報を表示する液晶表示パネル或いは7セグメントディスプレイ等を備えた表示部41と、遊技者により操作される操作キー42とを備えている。CRユニット6Bは、紙幣挿入口30から挿入された紙幣の額面に応じた残価値を有するBコイン48を発行し、このBコイン48はパチンコ機4Bの返却ボタン26の操作に応じて排出される。また、Bコイン48がコイン投入口34に投入されると、CRユニット6Bは、Bコイン48から媒体情報48Aを読み取ってプリペイド残価値を取得し、パチンコ機4Bの度数表示部27に表示する。会員カード46が投入された場合も同様に、CRユニット6Bは、会員カード46から会員カード情報46Aを読み取ってプリペイド残価値を取得し、度数表示部27に表示する。また、CRユニット6Bは、Bコイン48のプリペイド残価値が残っている場合は、パチンコ機4Bの返却ボタン26の操作に応じて、コイン排出口37からBコイン48を排出する。
CRユニット6Bは、CRユニット6Aのような払出ノズル61及び受皿62を備えていない。パチンコ機4Bの玉貸ボタン25が操作された場合には、パチンコ機本体22からCRユニット6Bに対して玉貸要求が送信され、CRユニット6Bに投入されている会員カード46またはBコイン48に残価値が存在する限りにおいてCRユニット6Bからパチンコ機本体22に玉貸許可指令が送信され、パチンコ機4Bの上皿24に遊技球が払い出される。また、パチンコ機4Bにおいて遊技者が獲得した獲得球は、パチンコ機4Bの下皿28に貯留され、例えば遊技者の操作によって玉箱(図示略)に収容される。
【0040】
図4は、CRユニット6Aの機能的構成を示すブロック図である。
CRユニット6Aは、主制御基板50と、紙幣挿入口30から挿入された紙幣の額面を識別して主制御基板50に出力する紙幣識別部52と、会員カード情報46A及び媒体情報47Aの読み取り及び書込を行う共通R/W(読出/書込)部56と、カード投入排出口33から投入された会員カード46を共通R/W部56の近傍に保持するカード保持部53と、コイン投入口34から投入されたBコイン48を共通R/W部56の近傍に保持するコイン保持部54と、表示/操作部55と、電源部59と、を備えている。
【0041】
主制御基板50は各部を中枢的に制御する制御回路(不図示)を備えている。共通R/W部56は、上述のように非接触型ICデバイスとして構成される会員カード46及びAコイン47への給電と、会員カード46及びAコイン47の各々との間で無線通信を行うためのアンテナを有する。このアンテナは、カード保持部53に保持された会員カード46、及び、コイン保持部54に保持されたAコイン47の両方に対向するよう配置されている。共通R/W部56は、主制御基板50の制御の下、アンテナを介して会員カード46またはAコイン47と通信し、会員カード情報46A及び媒体情報47Aの読み取り及び書込(更新)を行う。共通R/W部56は、上記アンテナを介して通信を行う対象のプリペイド媒体に合わせて、異なる処理方式で情報の読み取り及び書込を行うことが可能である。この場合、共通R/W部56は、プリペイド媒体に対する給電に応答してプリペイド媒体からデータが送信された場合に、このデータの先頭のビット列のパターンに基づいて、プリペイド媒体が会員カード46かAコイン47かを判別すればよい。
【0042】
表示/操作部55は、表示装置及び操作子として機能するタッチパネル32を備え、主制御基板50の制御の下、各種情報をタッチパネル32に表示し、また、タッチパネル32に対する操作を主制御基板50に入力する。電源部59は、遊技店2に設けられた外部電源から電力が供給され、各部に所定電圧の電力を供給する。
台別設定記憶部66は、パチンコ機4に固有の設定を記憶する。この設定には、遊技店2においてパチンコ機4を一意に特定するための台番号や貸出単価がある。
【0043】
CRユニット6Aが備える外部機器接続用中継基板70は、パチンコ機4AのCRコネクタ基板に信号ケーブル(共に不図示)を介して接続される回路基板である。主制御基板50は、外部機器接続用中継基板70を介してパチンコ機4Aとの間で各種信号を送受する。係る信号には、パチンコ機4AとCRユニット6Aとが互いに通信可能に接続されていることを確認するための接続確認信号や、パチンコ機4Aの玉貸ボタン25の操作に応じて出力される遊技球等貸出信号などがある。また、この外部機器接続用中継基板70からパチンコ機4AにはCRコネクタ基板の動作電力であるI/F用電力が供給される。
主制御基板50は、外部機器接続用中継基板70を介してパチンコ機4Aから受信した玉貸要求に基づいて、持玉払出部58を制御することにより、持玉払出部58から払出ノズル61(図3)を通じて、パチンコ機4Aの玉貸ボタン25の操作に応じて遊技球を上皿24に払い出す動作を実行させる。ここで、主制御基板50は、払い出された遊技球の対価に相当する額だけ、会員カード46またはAコイン47のプリペイド残価値を減算して、会員カード情報46Aまたは媒体情報47Aを書き換える。
【0044】
CRユニット6Aは、パチンコ機4Aで遊技者が遊技によって獲得した獲得球の計数値や、パチンコ機4Aの打出遊技球数(入玉数)や払出賞球数(出玉数)、遊技状態(例えば、特別遊技状態か否かなど)、いわゆる大当たりの当落抽選結果、球詰まり等のエラー信号等をパチンコ機4Aから取得する。
さらに、CRユニット6Aは、パチンコ機4Aが下皿28に払い出した獲得球を計数する機能(いわゆる各台計数機能)を有する。CRユニット6Aは、パチンコ機4Aの下皿28(図3)から受皿62(図3)に流入した遊技球を計数する獲得球計数部57を備え、獲得球計数部57によって計数した獲得球数は主制御基板50に出力される。計数後の遊技球は、遊技店2に設けられた球補給システム(図示略)により搬送される。
CRユニット6Aの主制御基板50は、獲得球計数部57から入力される計数値を取得し、会員カード46の会員カード情報46A或いはAコイン47の媒体情報47Aの持玉数に加算する処理を行う。
【0045】
また、CRユニット6Aは、遊技者の持玉数に応じて遊技球を上皿24に払い出す機能を有する。主制御基板50は、持玉の払い出しが指示された場合、会員カード情報46Aまたは媒体情報47AからCRユニット6Aの貸出単価に対応する持玉数を取得し、この持玉数に相当する数の遊技球を、持玉払出部58から払出ノズル61を通じて上皿24に払い出させる。このとき、主制御基板50は、会員カード情報46Aまたは媒体情報47Aの持玉数を減算して、減算後の会員カード情報46Aまたは媒体情報47Aを共通R/W部56によって書き込む。
【0046】
ここで、CRユニット6Aは、持玉払出部58により払出ノズル61を通じて遊技球を上皿24に払い出す構成としているが、パチンコ機4Aが、1個単位の払出要求に対応して任意の数の遊技球の払い出しが可能な貸出インターフェースを備えている場合、持玉払出部58を備えない構成にすることもできる。すなわち、主制御基板50がパチンコ機4Aに対して遊技球数に応じた玉貸許可指令を送信し、この玉貸許可指令に従ってパチンコ機4Aが遊技球を上皿24に払い出すようにしてもよい。
【0047】
さらに、パチンコ機4AがCRユニット6Aからの玉貸許可指令に従って払い出し可能な最小単位の玉数(例えば100円分25発)が設定されている場合、CRユニット6Aは、上記最小単位に満たない端数以下の遊技球の払い出しを行わないようにしてもよい。この場合、払出ノズル61が不要になるという利点がある。
この場合に発生する端数以下の遊技球は、例えば遊技店2に設置された景品POSにおいて景品に交換することが可能である。また、遊技店2において遊技者が新たに店舗会員になった当日中に、会員の貯玉として、上記の端数以下の遊技球数を該遊技者の口座に預け入れる事も可能である。あるいは、遊技店2の島端等に、端数以下の遊技球の払い出しを行うための端数球払出装置を設置して、遊技者が、この端数球払出装置によって端数以下となった遊技球の返却(払い出し)を受けるようにしても良い。
【0048】
また、CRユニット6Aは、獲得球計数部57によって各台計数機能を実現した構成として説明したが、パチンコ機4Aのパチンコ機本体22に、下皿28に溜まった獲得球を計数する計数部を搭載し、この計数部が計数した獲得球数を、パチンコ機4AからCRユニット6Aに送信してもよい。この場合、CRユニット6Aにおいては計数を行う必要がないため、獲得球計数部57を持たない構成とすることができる。
【0049】
また、外部機器接続用中継基板70は、図示せぬ通信線を介してネットワーク45に接続され、上記プリペイドシステム管理コンピュータ10、ホールコンピュータ12、顧客管理サーバ13、持玉管理サーバ14及びセキュリティ管理サーバ16、18と、主制御基板50とが相互に通信可能となるよう接続される。主制御基板50は、外部機器接続用中継基板70を介して、パチンコ機4Aの入玉数や出玉数、遊技状態、大当たりの当落抽選結果、エラー信号等を受信し、受信した各種情報を、外部機器接続用中継基板70に接続された各装置に送信する。
【0050】
ホールコンピュータ12には、主制御基板50により、パチンコ機4Aの入玉数や出玉数、遊技状態、大当たりの当落抽選結果、エラー信号などがパチンコ機4Aの台番号と対応付けて送信される。ホールコンピュータ12は、かかる信号を受信することで、パチンコ機4A、4Bごとの差玉(出玉数−入玉数)や大当たり状況、エラー状況を管理する。
プリペイドシステム管理コンピュータ10には、CRユニット6Aが紙幣挿入口30への投入金額に応じたAコイン47の発行、及び、会員カード46またはAコイン47の残価値の減算等の処理を行った場合に、処理した会員カード46またはAコイン47の固有IDと処理後のプリペイド残価値とを示す情報が主制御基板50により送信される。プリペイドシステム管理コンピュータ10は、CRユニット6Aからの情報に基づいてプリペイド媒体管理情報10A(図2D)を作成あるいは更新する。
また、主制御基板50は、顧客管理サーバ13との間で会員カード46の固有IDや貯玉数に関する情報等を送受信する。持玉管理サーバ14には、主制御基板50により、パチンコ機4Aの入玉数、出玉数、持玉の増減数などが送信され、持玉管理サーバ14は受信した情報に基づいて持玉管理情報14A(図2E)を更新する。
【0051】
また、主制御基板50は、Aコイン47の媒体情報47Aの読み取り及び書込を行うため、セキュリティ管理サーバ16にアクセスして、Aコイン47に対応する鍵情報とアルゴリズムとを取得する。この鍵情報及びアルゴリズムは、Aコイン47から読み取った媒体情報47Aを復号する際、及び、媒体情報47Aを書き込む前に暗号化する際に用いる。同様に、主制御基板50は、セキュリティ管理サーバ18にアクセスして、Bコイン48に対応する鍵情報とアルゴリズムとを取得し、この鍵情報及びアルゴリズムは、会員カード46から読み取った会員カード情報46Aを復号する際、及び、会員カード情報46Aを書き込む前に暗号化する際に用いる。
【0052】
主制御基板50は、共通R/W部56によりAコイン47から読み取った媒体情報47Aに基づき、セキュリティ管理サーバ16にアクセスして認証を受け、認証に成功した場合は媒体情報47Aを復号してプリペイド残価値等を取得する。主制御基板50は、Aコイン47の媒体情報47Aに含まれる残価値と、プリペイドシステム管理コンピュータ10が記憶しているプリペイド媒体管理情報10Aの残価値とが一致した場合、残価値を遊技球の数に換算した値をパチンコ機4Aに出力し、パチンコ機4Aの度数表示部27に表示させる。また、主制御基板50は、パチンコ機4Aから受信した遊技球等貸出信号に基づき、Aコイン47の残価値から、払い出された遊技球の対価に相当する額を減算する。また、主制御基板50は、紙幣挿入口30に紙幣が投入された場合に、紙幣識別部52により識別した金額相当分だけAコイン47の残価値を加算する。残価値の減算または加算を行った場合は、媒体情報47Aの残価値を更新してAコイン47への書込を行うとともに、Aコイン47の固有IDに対応付けて残価値をプリペイドシステム管理コンピュータ10に送信する。
【0053】
同様に、CRユニット6Aは、共通R/W部56により会員カード46から読み取った会員カード情報46Aに基づいてセキュリティ管理サーバ18にアクセスして認証を受け、認証後に会員カード情報46Aからプリペイド残価値を取得し、この残価値をプリペイド媒体管理情報10Aの残価値と比較する。この残価値が一致した場合、主制御基板50は、会員カード情報46Aのプリペイド残価値に基づく遊技球の貸出や、紙幣挿入口30に投入された紙幣の額に基づくプリペイド残価値の加算等を行う。
【0054】
図5は、CRユニット6Bの構成を示すブロック図である。なお、図5に示すCRユニット6Bは、図4を参照して説明したCRユニット6Aと共通の構成部を有しており、これら共通の構成部については同符号を付して説明を省略する。
この図5に示すCRユニット6Bは、CRユニット6Aと同様に、各部を制御する主制御基板50を備え、紙幣挿入口30、状態表示灯31、カード投入排出口33、コイン投入口34、コイン排出口37、紙幣識別部52、カード保持部53、コイン保持部54、共通R/W部56、電源部59、台別設定記憶部66、及び、外部機器接続用中継基板70を備えている。また、CRユニット6Bは、CRユニット6Aの表示/操作部55に代えて、表示装置としての表示部41と、操作子としての操作キー42とを有する表示/操作部51を備える。表示/操作部51は、主制御基板50の制御の下、各種情報を表示部41に表示し、また、操作キー42に対する操作を主制御基板50に入力する。なお、CRユニット6Bにおいてタッチパネルを設けることも勿論可能である。
CRユニット6Bの主制御基板50は、外部機器接続用中継基板70を介して、パチンコ機4B、プリペイドシステム管理コンピュータ10、ホールコンピュータ12、顧客管理サーバ13、及びセキュリティ管理サーバ18に接続されている。
【0055】
CRユニット6Bは各台計数機能を持たず、パチンコ機4Bの下皿28に貯留された遊技球は玉箱に収容される。このため、パチンコ機4Bの主制御基板50は持玉数に係る情報の処理を行わず、持玉管理サーバ14との間の通信は行わない。また、CRユニット6Bで使用されるプリペイド媒体は会員カード46及びBコイン48であるため、CRユニット6Bの主制御基板50は、セキュリティ管理サーバ18にアクセスして、Bコイン48に対応する鍵情報とアルゴリズムとを取得する。この鍵情報及びアルゴリズムは、会員カード情報46A及び媒体情報48Aの暗号化と復号とに使用される。
【0056】
CRユニット6Bの主制御基板50は、共通R/W部56によりBコイン48から読み取った媒体情報48Aに基づき、セキュリティ管理サーバ18にアクセスして認証を受け、認証に成功した場合は媒体情報48Aを復号してプリペイド残価値等を取得する。主制御基板50は、Bコイン48の媒体情報48Aに含まれる残価値と、プリペイドシステム管理コンピュータ10が記憶しているプリペイド媒体管理情報10Aの残価値とが一致した場合、残価値を遊技球の数に換算した値をパチンコ機4Bに出力し、パチンコ機4Bの度数表示部27に表示させる。
また、主制御基板50は、パチンコ機4Aから受信した遊技球等貸出信号に基づき、Bコイン48の残価値から、払い出された遊技球の対価に相当する額を減算する。紙幣挿入口30に紙幣が投入された場合、主制御基板50は、紙幣識別部52により識別した金額相当分だけBコイン48の残価値を加算する。残価値の減算または加算を行った場合は、媒体情報48Aの残価値を更新してBコイン48への書込を行うとともに、Bコイン48の固有IDに対応付けて残価値をプリペイドシステム管理コンピュータ10に送信する。同様に、CRユニット6Bの主制御基板50は、共通R/W部56により会員カード46から読み取った会員カード情報46Aに基づいてセキュリティ管理サーバ18にアクセスして認証を受け、認証後に会員カード情報46Aからプリペイド残価値を取得し、この残価値をプリペイド媒体管理情報10Aの残価値と比較する。この残価値が一致した場合、主制御基板50は、会員カード情報46Aのプリペイド残価値に基づく遊技球の貸出や、紙幣挿入口30に投入された紙幣の額に基づくプリペイド残価値の加算等を行う。
【0057】
このように、遊技機群2Aを構成するCRユニット6Aにおいては各台計数が可能なため、持玉数を会員カード46及びAコイン47に記録し、プリペイド媒体である会員カード46及びAコイン47を、いわば持玉の媒体としても利用できる。これに対し、遊技機群2Bを構成するCRユニット6Bは、各台計数機能を持たないので、プリペイド残価値に基づく遊技球の貸出のみを行う。このため、CRユニット6Bで使用可能なプリペイド媒体は持玉数が記録されないBコイン48と会員カード46となっている。このように、持玉の取り扱いが異なるCRユニット6A、6Bが存在するため、遊技店2においては2種類のコイン型のプリペイド媒体(Aコイン47、Bコイン48)が使用される。また、遊技店2の会員に対する利便性の供与のため、会員カード46はCRユニット6A、6Bの両方で使用可能となっている。
【0058】
この遊技店2においては、Aコイン47を購入してパチンコ機4Aで遊技していた遊技者が、遊技機群2Bに異動し、パチンコ機4Bで遊技しようとした場合、Bコイン48を用意する必要がある。一般的な方法としては、いったんAコイン47のプリペイド残価値を現金に精算して、この現金をCRユニット6Bに投入してBコイン48を購入することが考えられる。また、その逆も同様であり、Bコイン48を購入してパチンコ機4Bで遊技していた遊技者がパチンコ機4Aで遊技しようとした場合、Aコイン47を用意する必要がある。本実施の形態では、移行精算機8によって、Aコイン47とBコイン48との間でプリペイド残価値を移行することができ、これにより、使用可能なプリペイド媒体が異なるパチンコ機間の移動時に、プリペイド媒体の使い分けに係る遊技者の負担を軽減できる。
【0059】
図6は、移行精算機8の構成を詳細に示すブロック図である。
移行精算機8は、各部を制御する主制御基板80、図示しない通信ケーブル等により外部の装置に接続される外部機器接続用中継基板81、Aコイン47やBコイン48の残価値等を表示する表示パネルと残価値の移行や精算等の動作を指示する各種スイッチとを備えた表示/操作部82、精算用の紙幣を収納するとともに主制御基板80の制御に従って紙幣を払い出す紙幣収納排出部85及び紙幣取出口86、及び、移行精算機8の外部からの電源供給を受ける電源部84を備える。
【0060】
また、移行精算機8は、Aコイン47が投入されるAコイン投入口87、Bコイン48が投入されるBコイン投入口88、会員カード46が投入及び排出されるカード投入排出口89、Aコイン47に対する情報の読み取り及び書込を行う媒体R/W部92、Bコイン48及び会員カード46に対する情報の読み取り及び書込を行う媒体R/W部97、Aコイン投入口87から投入されたAコイン47を媒体R/W部92の近傍で保持するAコイン保持部91、Bコイン投入口88から投入されたBコイン48を媒体R/W部97の近傍で保持するBコイン保持部96、及び、カード投入排出口89から投入された会員カード46を媒体R/W部97の近傍で保持するカード保持部99を備えている。
【0061】
媒体R/W部92は、Aコイン保持部91により保持されたAコイン47への給電と、Aコイン47との間で無線通信を行うためのアンテナを有し、このアンテナを介して媒体情報47Aの読み取り及び書込を行う。
また、媒体R/W部97は、会員カード46及びBコイン48に対して給電と無線通信とを行うアンテナを有する。このアンテナは、Bコイン保持部96により保持されたBコイン48、及び、カード保持部99により保持された会員カード46の両方に対向するよう配置される。媒体R/W部97は、上記アンテナを介して通信を行う対象のプリペイド媒体に合わせて、異なる処理方式で情報の読み取り及び書込を行うことが可能である。この場合、媒体R/W部97は、プリペイド媒体に対する給電に応答して、プリペイド媒体からデータが送信されるデータの先頭のビット列のパターンに基づいて、プリペイド媒体が会員カード46かBコイン48かを判別すればよい。
【0062】
移行精算機8は、Aコイン47及びBコイン48を新たに発行する機能を有し、Aコイン保持部91にAコイン47を供給するAコイン貯留部95と、Bコイン保持部96にBコイン48を供給するBコイン貯留部98とを備えている。また、Aコイン貯留部95で処理されたAコイン47及び媒体R/W部97で処理されたBコイン48は、コイン回収部93で回収されるか、或いは、コイン発行・返却口94から排出される。
カード投入排出口89には会員カード46の投入を検知するセンサが設けられ、Aコイン投入口87にはAコイン47の投入を検知するセンサが設けられ、Bコイン投入口88にはBコイン48の投入を検知するセンサが設けられ、各センサの検知状態は主制御基板80で検出される。
【0063】
移行精算機8は、会員カード46、Aコイン47及びBコイン48のプリペイド残価値と引き換えに、残価値相当額の現金を払い出す精算機能を有する。また、移行精算機8は、会員カード46、Aコイン47及びBコイン48のうちいずれか2種類のプリペイド媒体の間でプリペイド残価値を移行する価値移行機能を有する。
外部機器接続用中継基板81には、ネットワーク45(図3)を介して、プリペイドシステム管理コンピュータ10、ホールコンピュータ12、顧客管理サーバ13、持玉管理サーバ14、及び、セキュリティ管理サーバ16、18が各々接続されている。主制御基板80は、ホールコンピュータ12との間で、紙幣収納排出部85に収容した払い出し用紙幣の残量(金額)や紙幣取出口86から払い出した金額を示す入出金信号、紙幣切れ等の発生時のエラー信号等を送受信する。
【0064】
また、主制御基板80は、会員カード情報46A及び媒体情報47A、48Aに基づきプリペイド残価値に係る処理を行う場合には、外部機器接続用中継基板81を介して、プリペイド残価値、及び処理対象のプリペイド媒体の固有IDをプリペイドシステム管理コンピュータ10に送信し、プリペイドシステム管理コンピュータ10はプリペイド媒体管理情報10A(図2C)を更新する。
【0065】
また、移行精算機8は、会員カード46とAコイン47との相互間で持玉数を移行する機能を有するものとしてもよい。この場合、主制御基板80は、会員カード46の会員カード情報46A及びAコイン47の媒体情報47Aに含まれる持玉数に係る処理を行う場合には、外部機器接続用中継基板81を介して持玉数、貸出単価、及び処理対象のプリペイド媒体の固有IDを持玉管理サーバ14に送信し、持玉管理サーバ14は持玉管理情報14A(図2E)を更新する。
さらに、移行精算機8は、会員カード46の持玉数を貯玉に移行させる処理を行う構成とすることも可能である。この場合、主制御基板80は、会員カード46の固有IDを顧客管理サーバ13に送信して、会員管理情報13Aの貸出単価毎の貯玉数を取得し、会員カード情報46Aの持玉数と貸出単価に基づいて貯玉数を加算する処理を行い、加算後の貸出単価別の貯玉数と会員カード46の固有IDとを顧客管理サーバ13に送信して会員管理情報13Aを更新させる。続いて、主制御基板80は持玉管理サーバ14に対し、処理後の貸出単価別の持玉数と会員カード46の固有IDとを送信して、持玉管理情報14Aを更新させる。
【0066】
図7は、移行精算機8の動作を示すフローチャートであり、主に、Aコイン47とBコイン48との間におけるプリペイド価値の移行及び精算機能に関する動作を示す。
移行精算機8の電源が投入されると、主制御基板80は、移行精算機8の各部を初期化し(ステップS1)、セキュリティ管理サーバ16と通信を行ってAコイン47に対応する鍵情報及び暗号化/復号アルゴリズムを取得し(ステップS2)、セキュリティ管理サーバ18と通信を行ってBコイン48に対応する鍵情報及び暗号化/復号アルゴリズムを取得する(ステップS3)。
【0067】
主制御基板80は、Aコイン47またはBコイン48が投入されるまで待機し(ステップS4)、Aコイン47が投入された場合は、ステップS2で取得した暗号化/復号アルゴリズムと鍵情報を用いて媒体情報47Aを読み出して復号し(ステップS5)、復号した媒体情報47Aの一部または全部をセキュリティ管理サーバ16に送信して認証を要求し(ステップS6)、ステップS9に移行する。
また、主制御基板80は、Bコイン48が投入された場合、ステップS3で取得した暗号化/復号アルゴリズムと鍵情報を用いて、Bコイン48に記録されている媒体情報48Aを読み出して復号し(ステップS7)、復号した媒体情報48Aをセキュリティ管理サーバ18に送信して認証を要求し(ステップS8)、ステップS9に移行する。
【0068】
ステップS9で、主制御基板80は認証に成功したか否かを判別し、認証に失敗した場合は(ステップS9;No)、表示/操作部82により認証失敗を示す表示を行い(ステップS10)、投入されたプリペイド媒体をコイン発行・返却口94から排出して(ステップS11)、ステップS4の待機状態に戻る。
【0069】
セキュリティ管理サーバ16、18による認証に成功した場合(ステップS9;Yes)、主制御基板80は、投入されたプリペイド媒体から読み出した媒体情報に基づき、プリペイド残価値等の情報を表示/操作部82により表示させる(ステップS12)。ここで、主制御基板80は、表示/操作部82で処理取消を指示する取消操作が行われたか否かを判別し(ステップS13)、取消操作が行われた場合はステップS11に移行してプリペイド媒体を排出する。
取消操作が行われなかった場合(ステップS13;No)、主制御基板80は、表示/操作部82で精算を指示する精算操作が行われたか否かを判別する(ステップS14)。精算操作が行われなかった場合は、操作部83によりプリペイド残価値の移行を指示する操作が行われたか否かを判別する(ステップS15)。
【0070】
ここで、残価値の移行を指示する操作が行われた場合(ステップS15;Yes)、主制御基板80は、移行元となる投入されたプリペイド媒体(Aコイン47またはBコイン48)から読み取った媒体情報の残価値をゼロにして、この媒体情報を移行先のプリペイド媒体に書き込むとともに、プリペイドシステム管理コンピュータ10に対して移行元のプリペイド媒体の固有IDと残価値(ゼロ)を送信する(ステップS16)。
【0071】
ここで、表示/操作部82の操作によって残価値の移行先のプリペイド媒体の種類が指定されると(ステップS17)、主制御基板80は、移行先のプリペイド媒体をAコイン貯留部95またはBコイン貯留部98から排出させ、移行するプリペイド残価値を含む媒体情報の書込を行う(ステップS18)。さらに、主制御基板80は、移行先のプリペイド媒体の固有IDと移行したプリペイド残価値とをプリペイドシステム管理コンピュータ10に送信し(ステップS19)、ステップS20に移行する。
【0072】
ステップS20で、主制御基板80は、移行元のプリペイド媒体を返却するか否かを判別する。返却の必要がある場合とは、残価値以外の情報の媒体として利用される場合であり、例えば、移行元がAコイン47であって、このAコイン47の媒体情報47Aにプリペイド残価値と持玉数とが含まれる場合である。この場合、プリペイド残価値をゼロにした後も持玉数を保持する必要があるので、Aコイン47の返却を要する。
投入されたプリペイド媒体の返却が不要な場合(ステップS20;No)、主制御基板80は、投入されたプリペイド媒体をコイン回収部93に回収し(ステップS21)、移行精算機8の停止が指示されたか否かを判別し(ステップS22)、停止する場合は本処理を終了し、停止しない場合はステップS4に戻る。投入されたプリペイド媒体の返却が必要な場合(ステップS20;Yes)、主制御基板80は、ステップS11に戻ってプリペイド媒体を返却し、ステップS4に戻る。
【0073】
一方、ステップS15で残価値の移行以外の処理が指示された場合、主制御基板80は、指示に応じた処理を実行して(ステップS23)、ステップS13に戻る。
また、ステップS14において、表示/操作部82の操作により現金精算が指示された場合、主制御基板80は、投入されたプリペイド媒体から読み出した媒体情報のプリペイド残価値に相当する紙幣を紙幣収納排出部85によって排出させ(ステップS24)、投入されたプリペイド媒体の媒体情報のプリペイド残価値をゼロにして、媒体情報を書き換える処理を行うとともに、プリペイドシステム管理コンピュータ10に固有IDと残価値(ゼロ)を送信し(ステップS25)、ステップS20に移行する。
【0074】
以上のように、本発明を適用した実施形態に係る遊技システム1によれば、パチンコ機4A、4Bで使用する遊技球を貸出できる価値情報としての残価値が記録されたプリペイド媒体を使用可能に構成され、プリペイド媒体で区別した複数の遊技機群2A、2Bを備え、一の遊技機群2Aのプリペイド媒体であるAコイン47に記録された残価値を、他の遊技機群2Bのプリペイド媒体であるBコイン48に移行する価値媒体管理装置としての移行精算機8を備え、移行精算機8は、また、遊技機群2Bのプリペイド媒体であるBコイン48に記録された残価値を、遊技機群2Aのプリペイド媒体であるAコイン47に移行する。このため、複数種類のプリペイド媒体が使用される状況において、プリペイド媒体の使い分けに係る負担を軽減し、遊技者の利便性の向上を図ることができる。また、遊技店2の従業員にとっては、プリペイド媒体を上手く使い分けできるように遊技者を補助する業務負担が軽減される。
【0075】
また、遊技システム1は、プリペイド媒体毎にセキュリティを管理するセキュリティ管理サーバ16、18を備え、移行精算機8は、セキュリティ管理サーバ16、18から配信される鍵情報に基づいて残価値を移行する。具体的には、移行精算機8は、Aコイン47に対応する鍵情報と処理アルゴリズムと、Bコイン48及び会員カード46に対応する鍵情報と処理アルゴリズムとを、セキュリティ管理サーバ16、18から個別に取得する。これにより、セキュリティ管理サーバ16、18がプリペイド媒体毎にセキュリティを管理することでプリペイド残価値の不正な使用等を防止でき、高度なセキュリティの確保とプリペイド媒体の使い分けに係る利便性の向上とを両立できる。
【0076】
遊技システム1では、会員カード46、Aコイン47及びBコイン48には、遊技球の貸出可能数に対応するプリペイド残価値を含む会員カード情報46A、媒体情報47A、48Aが記録され、移行精算機8は、一つのプリペイド媒体に記録されたプリペイド残価値を他のプリペイド媒体に記録する。このようにプリペイド媒体自体にプリペイド残価値が記録されているため、例えば、移行精算機8やCRユニット6A、6Bとプリペイドシステム管理コンピュータ10や顧客管理サーバ13等のサーバ類との間の通信に支障が生じた場合も、残価値の消失や処理不能な自体を防止できる。また、上記実施の形態では、会員カード情報46A及び媒体情報47A、48Aのプリペイド残価値を、プリペイド媒体管理情報10Aとしてプリペイドシステム管理コンピュータ10にも記憶しているので、プリペイド媒体に不正な細工が施されても、これを確実に検出でき、プリペイド残価値の不正な使用等を防止できる。
【0077】
なお、上述した実施の形態は本発明を適用した一具体例を示すものであり、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、会員カード46に記録される会員カード情報46A、Aコイン47に記録される媒体情報47A、及び、Bコイン48に記録される媒体情報48Aが、それぞれ、プリペイド残価値や持玉数を含み、移行精算機8がプリペイド媒体自体に記録された媒体情報に含まれる残価値を移行するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記の各種プリペイド媒体には残価値を記録せずに固有IDのみを記録し、プリペイドシステム管理コンピュータ10及び持玉管理サーバ14が、プリペイド媒体の固有IDと残価値(プリペイド残価値、持玉数)と、を紐付けて記憶する構成としてもよい。この場合、プリペイド媒体自体に残価値が記録されないため、不正な使用をする余地が全く無いので、セキュリティ面における信頼性の向上を図れる。また、上記実施の形態では、会員カード46に記録された会員カード情報46Aが、媒体情報48Aと同じくセキュリティ管理サーバ18で管理される鍵情報とアルゴリズムとを用いて暗号化/復号可能な構成として説明したが、会員カード情報46A専用の鍵情報とアルゴリズムを用いることも可能であり、セキュリティ管理サーバの数も任意である。
【0078】
また、上記実施形態において、プリペイド残価値を移行する際に、同種のプリペイド媒体への移行を制限してもよい。この場合、複数種類のプリペイド媒体の使い分けに係る負担を軽減できる効果は上記実施形態と同様であり、また、選択操作の回数を減らして利便性をより一層高めるものと期待できる。
さらに、上記実施の形態において、移行精算機8がAコイン47またはBコイン48の投入を検知する方法として、Aコイン投入口87及びBコイン投入口88に設けられたセンサの検出状態に基づいて検知する例を挙げて説明したが、媒体R/W部92、97でプリペイド媒体を検出し、このプリペイド媒体の種類を媒体R/W部92、97により判別する構成としてもよい。また、媒体R/W部92、97で判別したプリペイド媒体の種類を、その後に読み取った会員カード情報46Aまたは媒体情報47A、48Aの媒体種別を示す情報と照合してもよい。
【0079】
また、CRユニット6A、6Bが備える共通R/W部56、及び、移行精算機8が備える媒体R/W部97は、一つのアンテナにより複数のプリペイド媒体に対する給電と通信とを行う構成としたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、複数のプリペイド媒体に対する給電と情報読み取り/書込を行うため、共通R/W部56が複数(例えば、2つ)のアンテナを備え、各々のアンテナをカード保持部53とコイン保持部54とに設けてもよい。この場合の複数のアンテナは、例えば、会員カード46、Aコイン47、及びBコイン48の各プリペイド媒体が投入される投入口から、各プリペイド媒体を保持する保持部までを含む投入経路に、それぞれ設けてもよい。この場合、各々のプリペイド媒体が投入される投入経路に個別にアンテナを設けることで、形状やサイズが異なるプリペイド媒体を処理可能となり、かつ、共通のR/W部を用いることで装置構成をシンプルにし、装置の小型化、軽量化及び低コスト化を図ることができる。
また、上記実施の形態では、Aコイン47に対応した鍵情報とアルゴリズムを管理するセキュリティ管理サーバ16と、会員カード46及びBコイン48に対応した鍵情報とアルゴリズムを管理するセキュリティ管理サーバ18とを、別体として構成されるものとして説明したが、本発明はこれに限定されず、セキュリティ管理サーバ16、18を一体のサーバの複数の機能として実現してもよいし、物理的に一つのサーバ装置において仮想的に複数のサーバを構成し、これらの仮想サーバをセキュリティ管理サーバ16、18として機能させることも勿論可能である。さらに、プリペイドシステム管理コンピュータ10、顧客管理サーバ13、及び持玉管理サーバ14の各サーバも同様に、一体のサーバが複数のサーバの機能を有する構成としてもよいし、物理的に一つのサーバ装置に構成される複数の仮想サーバとして実現してもよい。
また、上述した実施形態及び変形例では、遊技機の一例としてパチンコ機4A、4Bを例示したが、これに限らず、アレンジボール遊技機やじやん球遊技機、或いは、遊技媒体に遊技メダルを用いる回胴式遊技機(いわゆる、パチスロ機)であってもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 遊技システム(価値媒体管理システム)
2A、2B 遊技機群
4A、4B パチンコ機(遊技機)
6A、6B CRユニット
8 移行精算機(価値媒体管理装置)
10 プリペイドシステム管理コンピュータ
16、18 セキュリティ管理サーバ
46 会員カード(価値媒体)
46A 会員カード情報
47 Aコイン(価値媒体)
48 Bコイン(価値媒体)
47A、48A 媒体情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機で使用する遊技媒体を貸出できる価値情報が記録された価値媒体を使用可能に構成され、
前記価値媒体で区別した複数の遊技機群を備え、
一の遊技機群の前記価値媒体に記録された前記価値情報を他の遊技機群の前記価値媒体に移行する価値媒体管理装置を備えたこと、
を特徴とする価値媒体管理システム。
【請求項2】
前記価値媒体毎にセキュリティを管理するセキュリティ管理サーバを備え、前記価値媒体管理装置は、前記セキュリティ管理サーバから配信される鍵情報に基づいて前記価値情報を移行すること、
を特徴とする請求項1記載の価値媒体管理システム。
【請求項3】
前記価値媒体には、前記遊技媒体の貸出可能量に対応する価値を示す前記価値情報が記録され、
前記価値媒体管理装置は、前記価値情報を移行する移行元の前記価値媒体に記録された前記価値情報を読み出して、移行先の前記価値媒体に記録すること、
を特徴とする請求項1または2記載の価値媒体管理システム。
【請求項4】
遊技機で使用する遊技媒体を貸出できる価値情報が記録された価値媒体が使用され、前記価値媒体で区別した複数の遊技機群が設けられた遊技場に設置され、
一の遊技機群の前記価値媒体に記録された前記価値情報を他の遊技機群の前記価値媒体に移行すること、
を特徴とする価値媒体管理装置。
【請求項5】
前記価値媒体毎にセキュリティを管理するセキュリティ管理サーバに接続され、
前記価値情報を移行する移行元の前記価値媒体に対応する鍵情報と、移行先の前記価値媒体に対応する鍵情報とを、前記セキュリティ管理サーバから個別に取得し、取得した鍵情報を用いて一の遊技機群の前記価値媒体に記録された前記価値情報を他の遊技機群の前記価値媒体に移行すること、
を特徴とする請求項4記載の価値媒体管理装置。
【請求項6】
前記価値媒体と非接触通信を行うためのアンテナを有し、前記アンテナを介して前記価値媒体からの価値情報の読み出し及び前記価値媒体への価値情報の書込を行う読出/書込部を備え、
移行元の前記価値媒体と移行先の前記価値媒体との各々に対し、共通の前記アンテナ及び前記読出/書込部により、各々の前記価値媒体に対応した処理方式で前記価値情報の読み出し及び書込を行うこと、
を特徴とする請求項4または5記載の価値媒体管理装置。
【請求項7】
前記価値媒体毎に異なる投入経路を有し、前記投入経路の各々に前記価値媒体と非接触通信を行うためのアンテナを設け、これらのアンテナを介して移行元の前記価値媒体と移行先の前記価値媒体との各々に対して前記価値情報の読み出し及び書込を行うこと、
を特徴とする請求項4または5記載の価値媒体管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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