説明

侵入検知システム、侵入検知装置、侵入検知方法および侵入検知プログラム

【課題】電波を用いて所定エリアにおける人間の侵入を検知する構成において、検知可能エリアが狭くなることを防ぐことが可能な侵入検知システム、侵入検知装置、侵入検知方法および侵入検知プログラムを提供する。
【解決手段】侵入検知システム201は、所定エリアに配置され、無線信号を送信するための送信機101と、所定エリアに配置され、送信機101から送信された無線信号を受信し、受信した無線信号に基づいて所定エリアにおける空間特徴量を算出し、算出した空間特徴量に基づいて所定エリアにおける人間の動作を検知するための受信機102とを備える。送信機101は、無線信号の指向性パターンを選択可能であり、複数の指向性パターンの中から、受信機102が受信する無線信号のレベルが最も小さくなる指向性パターンを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、侵入検知システム、侵入検知装置、侵入検知方法および侵入検知プログラムに関し、特に、空間特徴量を用いて人間の動作を検知する侵入検知システム、侵入検知装置、侵入検知方法および侵入検知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
室内等の所定エリアにおいて、人の動作を検知する侵入検知装置が開発されている。侵入検知方法の一例として、たとえば、「UWB−IRによる屋内侵入者検知に関する検討」寺阪圭司 他、電子情報通信学会論文誌B、第J90-B巻、第1号、pp.97-100、2007年1月1日(非特許文献1)には、UWB−IR(Ultra WideBand-Impulse Radio)による伝搬遅延プロファイルすなわち電力遅延プロファイルを用いる方法が開示されている。
【0003】
しかしながら、非特許文献1に記載の方法では、広帯域の信号を用いることから他の無線サービスとの干渉が問題となり、また、受信信号の電力を用いることから屋内におけるマルチパスフェージングの影響を受け、検出精度が劣化する場合がある。
【0004】
このような問題点を解決するための技術として、たとえば、特開2008−216152号公報(特許文献1)には、以下のような構成が開示されている。すなわち、イベント検出装置は、各アレイアンテナの受信信号に基づいて固有ベクトルすなわち到来角分布を計算し、当該固有ベクトルと、比較基準となる平時の固有ベクトルとの内積値を計算する。そして、イベント検出装置は、この内積値と所定の閾値との比較結果に基づいて、イベントの発生すなわち侵入者の検知を行なう。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「UWB−IRによる屋内侵入者検知に関する検討」寺阪圭司 他、電子情報通信学会論文誌B、第J90-B巻、第1号、pp.97-100、2007年1月1日
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−216152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のイベント検出装置では、送信機および受信機間で電波を送受信する。このイベント検出装置が設置される場所によっては、受信機に到来する送信機からの直接波のレベルが反射波と比べて非常に大きくなってしまう場合がある。この場合、反射波の伝搬経路における変化を検出することが困難になり、検知可能エリアが狭くなってしまう。このような問題は、室内等の比較的狭いエリアに設置される場合に生じる可能性が高い。
【0008】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、電波を用いて所定エリアにおける人間の侵入を検知する構成において、検知可能エリアが狭くなることを防ぐことが可能な侵入検知システム、侵入検知装置、侵入検知方法および侵入検知プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる侵入検知システムは、所定エリアに配置され、無線信号を送信するための送信機と、上記所定エリアに配置され、上記送信機から送信された無線信号を受信し、受信した上記無線信号に基づいて上記所定エリアにおける空間特徴量を算出し、算出した上記空間特徴量に基づいて上記所定エリアにおける人間の動作を検知するための受信機とを備える侵入検知システムであって、上記送信機は、上記無線信号の指向性パターンを選択可能であり、複数の上記指向性パターンの中から、上記受信機が受信する上記無線信号のレベルが最も小さくなる指向性パターンを選択する。
【0010】
このような構成により、受信機にとって都合の良い無線信号を送信機から送信することができるため、この無線信号を用いて空間特徴量を正確に算出し、検知精度を向上させることができる。したがって、電波を用いて所定エリアにおける人間の侵入を検知する構成において、検知可能エリアが狭くなることを防ぐことができる。
【0011】
(2)好ましくは、上記送信機は、上記複数の指向性パターンの中から、上記受信機が受信する上記無線信号のレベルが所定範囲内で最も小さくなる指向性パターンを選択する。
【0012】
このような構成により、たとえば選択したアンテナの指向性のヌル点が受信機の方向に形成される等、受信機における無線信号の受信レベルが低くなりすぎる指向性パターンを除外することができるため、受信機において適切なレベルの無線信号を受信することができる。
【0013】
(3)またこの発明の別の局面に係わる侵入検知システムは、所定エリアに配置された送信機および受信機を備え、上記所定エリアに配置された送信機が他の装置へ無線信号を送信して上記他の装置と通信を行なう通信モードと、上記送信機が上記受信機へ無線信号を送信して上記受信機が上記所定エリアにおける人間の動作を検知する侵入検知モードとを有する侵入検知システムであって、上記受信機は、上記送信機から送信された上記無線信号を受信し、受信した上記無線信号に基づいて上記所定エリアにおける空間特徴量を算出し、算出した上記空間特徴量に基づいて上記所定エリアにおける人間の動作を検知し、上記送信機は、上記無線信号の指向性パターンを選択可能であり、上記通信モードおよび上記侵入検知モードにおいて異なる指向性パターンを選択する。
【0014】
このような構成により、受信機にとって都合の良い無線信号を送信機から送信することができるため、この無線信号を用いて空間特徴量を正確に算出し、検知精度を向上させることができる。したがって、電波を用いて所定エリアにおける人間の侵入を検知する構成において、検知可能エリアが狭くなることを防ぐことができる。
【0015】
(4)好ましくは、上記送信機は、無指向性を含む複数の指向性パターンを選択可能である。
【0016】
このように、送信機において無指向性を選択可能とする構成により、たとえば無線LANアクセスポイントを送信機として使用することができるため、通常の無線LANシステムにおいて侵入検知システムを構築することができる。
【0017】
(5)より好ましくは、上記送信機は、無指向性および複数の異なる指向性を含む複数の指向性パターンを選択可能である。
【0018】
このように、有指向性のパターンを複数選択可能とする構成により、受信機に到来する直接波の強度をより確実に低下させることができる。
【0019】
(6)好ましくは、上記受信機は、上記送信機から送信された上記無線信号の受信レベルを測定し、測定値の大小関係を反対にして作成した受信レベル情報を上記送信機へ送信し、上記送信機は、上記受信機から受信した上記受信レベル情報の示す上記受信レベルが小さいと判断した場合には、選択中の上記指向性パターンを他の上記指向性パターンに変更し、上記受信レベルが小さくないと判断した場合には、選択中の上記指向性パターンを維持する。
【0020】
このような構成により、送信機は、指向性パターンの選択機能を有していれば、通常の通信時および侵入検知時で同じ動作を行なえばよくなり、侵入検知用に送信機を別途設けることなく、無線LAN方式等の通常の送信機を流用することができる。
【0021】
(7)好ましくは、上記侵入検知システムは、上記送信機が他の装置へ無線信号を送信して上記他の装置と通信を行なう通信モードと、上記送信機が上記受信機へ無線信号を送信して上記受信機が上記所定エリアにおける人間の動作を検知する侵入検知モードとを有し、上記他の装置は、上記送信機から送信された上記無線信号の受信レベルを測定し、上記受信レベルが小さい場合には上記指向性パターンの切り替え命令を上記送信機へ送信し、上記受信機は、上記送信機から送信された上記無線信号の受信レベルを測定し、上記受信レベルが大きい場合には上記指向性パターンの切り替え命令を上記送信機へ送信し、上記送信機は、上記切り替え命令を受信して、選択中の上記指向性パターンを他の上記指向性パターンに変更する。
【0022】
このような構成により、送信機は、指向性パターンの選択機能を有していれば、通常の通信時および侵入検知時で同じ動作を行なえばよくなり、侵入検知用に送信機を別途設けることなく、無線LAN方式等の通常の送信機を流用することができる。
【0023】
(8)またこの発明の別の局面に係わる侵入検知システムは、所定エリアに配置され、無線信号を送信するための送信機と、上記所定エリアに配置され、上記送信機から送信された無線信号を受信し、受信した上記無線信号に基づいて上記所定エリアにおける空間特徴量を算出し、算出した上記空間特徴量に基づいて上記所定エリアにおける人間の動作を検知するための受信機とを備える侵入検知システムであって、上記送信機から送信される上記無線信号の指向性が、上記受信機の方向の指向性を含まないように設定されている。
【0024】
このような構成により、受信機にとって都合の良い無線信号を送信機から送信することができるため、この無線信号を用いて空間特徴量を正確に算出し、検知精度を向上させることができる。したがって、電波を用いて所定エリアにおける人間の侵入を検知する構成において、検知可能エリアが狭くなることを防ぐことができる。
【0025】
(9)またこの発明の別の局面に係わる侵入検知システムは、所定エリアに配置され、無線信号を送信するための送信機と、上記所定エリアに配置され、上記送信機から送信された無線信号を受信し、受信した上記無線信号に基づいて上記所定エリアにおける空間特徴量を算出し、算出した上記空間特徴量に基づいて上記所定エリアにおける人間の動作を検知するための受信機とを備える侵入検知システムであって、上記受信機が受信する上記無線信号のレベルが目標値以下となるように、上記送信機から送信される上記無線信号の指向性が設定されている。
【0026】
このような構成により、受信機にとって都合の良い無線信号を送信機から送信することができるため、この無線信号を用いて空間特徴量を正確に算出し、検知精度を向上させることができる。したがって、電波を用いて所定エリアにおける人間の侵入を検知する構成において、検知可能エリアが狭くなることを防ぐことができる。
【0027】
(10)好ましくは、上記送信機は、IEEE802.11規格に従う無線信号を送信する。
【0028】
このような構成により、一般に広く使用されている無線LANの環境下で、侵入検知装置である受信機を動作させ、人間の動作の有無を検知することができる。
【0029】
(11)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる侵入検知装置は、所定エリアにおける人間の動作を検知するための侵入検知装置であって、上記所定エリアに配置された送信機から送信された無線信号を受信するための受信部と、上記受信部によって受信された上記無線信号に基づいて上記所定エリアにおける空間特徴量を算出し、算出した上記空間特徴量に基づいて上記所定エリアにおける人間の動作を検知するための侵入検知演算部と、上記無線信号の受信レベルを測定するための測定部と、上記測定部によって測定された上記受信レベルに基づいて、複数の指向性パターンの中から、上記受信部が受信する上記無線信号のレベルが最も小さくなる指向性パターンを上記送信機に選択させるための指向性選択命令を上記送信機へ送信するための指向性制御部とを備える。
【0030】
このような構成により、電波センサである受信機にとって都合の良い無線信号を送信機から送信することができるため、この無線信号を用いて空間特徴量を正確に算出し、検知精度を向上させることができる。したがって、電波を用いて所定エリアにおける人間の侵入を検知する構成において、検知可能エリアが狭くなることを防ぐことができる。
【0031】
(12)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる侵入検知方法は、所定エリアに配置され、無線信号を送信するための送信機と、上記所定エリアに配置され、上記所定エリアにおける人間の動作を検知するための受信機とを備える侵入検知システムにおける侵入検知方法であって、上記送信機が、上記無線信号の複数の指向性パターンの中から、上記受信機が受信する上記無線信号のレベルが最も小さくなる指向性パターンを選択するステップと、上記受信機が、上記送信機によって選択された上記指向性パターンの無線信号を受信し、受信した上記無線信号に基づいて上記所定エリアにおける空間特徴量を算出し、算出した上記空間特徴量に基づいて上記所定エリアにおける人間の動作を検知するステップとを含む。
【0032】
このような構成により、受信機にとって都合の良い無線信号を送信機から送信することができるため、この無線信号を用いて空間特徴量を正確に算出し、検知精度を向上させることができる。したがって、電波を用いて所定エリアにおける人間の侵入を検知する構成において、検知可能エリアが狭くなることを防ぐことができる。
【0033】
(13)またこの発明の別の局面に係わる侵入検知方法は、所定エリアに配置された送信機および受信機を備え、上記所定エリアに配置された送信機が他の装置へ無線信号を送信して上記他の装置と通信を行なう通信モードと、上記送信機が上記受信機へ無線信号を送信して上記受信機が上記所定エリアにおける人間の動作を検知する侵入検知モードとを有する侵入検知システムにおける侵入検知方法であって、上記侵入検知モードにおいて、上記送信機が、上記通信モードと異なる無線信号の指向性パターンを選択し、選択した上記指向性パターンの無線信号を送信するステップと、上記受信機が、上記無線信号を上記送信機から受信し、受信した上記無線信号に基づいて上記所定エリアにおける空間特徴量を算出し、算出した上記空間特徴量に基づいて上記所定エリアにおける人間の動作を検知するステップとを含む。
【0034】
このような構成により、受信機にとって都合の良い無線信号を送信機から送信することができるため、この無線信号を用いて空間特徴量を正確に算出し、検知精度を向上させることができる。したがって、電波を用いて所定エリアにおける人間の侵入を検知する構成において、検知可能エリアが狭くなることを防ぐことができる。
【0035】
(14)またこの発明の別の局面に係わる侵入検知方法は、所定エリアに配置され、無線信号を送信するための送信機と、上記所定エリアに配置され、上記所定エリアにおける人間の動作を検知するための受信機とを備える侵入検知システムにおける侵入検知方法であって、上記送信機から送信される上記無線信号の指向性を、上記受信機の方向の指向性を含まないように設定するステップと、上記受信機が、設定された上記指向性の無線信号を上記送信機から受信するステップと、受信した上記無線信号に基づいて上記所定エリアにおける空間特徴量を算出し、算出した上記空間特徴量に基づいて上記所定エリアにおける人間の動作を検知するステップとを含む。
【0036】
このような構成により、受信機にとって都合の良い無線信号を送信機から送信することができるため、この無線信号を用いて空間特徴量を正確に算出し、検知精度を向上させることができる。したがって、電波を用いて所定エリアにおける人間の侵入を検知する構成において、検知可能エリアが狭くなることを防ぐことができる。
【0037】
(15)またこの発明の別の局面に係わる侵入検知方法は、所定エリアに配置され、無線信号を送信するための送信機と、上記所定エリアに配置され、上記所定エリアにおける人間の動作を検知するための受信機とを備える侵入検知システムにおける侵入検知方法であって、上記受信機が受信する上記無線信号のレベルが目標値以下となるように、上記送信機から送信される上記無線信号の指向性を設定するステップと、上記受信機が、設定された上記指向性の無線信号を上記送信機から受信するステップと、受信した上記無線信号に基づいて上記所定エリアにおける空間特徴量を算出し、算出した上記空間特徴量に基づいて上記所定エリアにおける人間の動作を検知するステップとを含む。
【0038】
このような構成により、受信機にとって都合の良い無線信号を送信機から送信することができるため、この無線信号を用いて空間特徴量を正確に算出し、検知精度を向上させることができる。したがって、電波を用いて所定エリアにおける人間の侵入を検知する構成において、検知可能エリアが狭くなることを防ぐことができる。
【0039】
(16)またこの発明の別の局面に係わる侵入検知方法は、所定エリアにおける人間の動作を検知するための侵入検知装置における侵入検知方法であって、上記所定エリアに配置された送信機から送信された無線信号の受信レベルを測定するステップと、測定した上記受信レベルに基づいて、複数の指向性パターンの中から、上記受信レベルが最も小さくなる指向性パターンを上記送信機に選択させるための指向性選択命令を上記送信機へ送信するステップと、上記指向性選択命令に基づいて選択された指向性パターンの無線信号を上記送信機から受信するステップと、受信した上記無線信号に基づいて上記所定エリアにおける空間特徴量を算出し、算出した上記空間特徴量に基づいて上記所定エリアにおける人間の動作を検知するステップとを含む。
【0040】
このような構成により、電波センサである受信機にとって都合の良い無線信号を送信機から送信することができるため、この無線信号を用いて空間特徴量を正確に算出し、検知精度を向上させることができる。したがって、電波を用いて所定エリアにおける人間の侵入を検知する構成において、検知可能エリアが狭くなることを防ぐことができる。
【0041】
(17)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる侵入検知プログラムは、所定エリアに配置され、無線信号を送信するための送信機と、上記所定エリアに配置され、上記所定エリアにおける人間の動作を検知するための受信機とを備える侵入検知システムにおいて用いられる侵入検知プログラムであって、コンピュータに、上記無線信号の複数の指向性パターンの中から、上記受信機が受信する上記無線信号のレベルが最も小さくなる指向性パターンを選択するステップと、選択した上記指向性パターンの無線信号を上記送信機から受信し、受信した上記無線信号に基づいて上記所定エリアにおける空間特徴量を算出し、算出した上記空間特徴量に基づいて上記所定エリアにおける人間の動作を検知するステップとを実行させるためのプログラムである。
【0042】
このような構成により、受信機にとって都合の良い無線信号を送信機から送信することができるため、この無線信号を用いて空間特徴量を正確に算出し、検知精度を向上させることができる。したがって、電波を用いて所定エリアにおける人間の侵入を検知する構成において、検知可能エリアが狭くなることを防ぐことができる。
【0043】
(18)またこの発明の別の局面に係わる侵入検知プログラムは、所定エリアに配置された送信機および受信機を備え、上記所定エリアに配置された送信機が他の装置へ無線信号を送信して上記他の装置と通信を行なう通信モードと、上記送信機が上記受信機へ無線信号を送信して上記受信機が上記所定エリアにおける人間の動作を検知する侵入検知モードとを有する侵入検知システムにおいて用いられる侵入検知プログラムであって、コンピュータに、上記侵入検知モードにおいて、上記通信モードと異なる無線信号の指向性パターンを選択し、選択した上記指向性パターンの無線信号を上記送信機から送信するステップと、上記無線信号を上記送信機から受信し、受信した上記無線信号に基づいて上記所定エリアにおける空間特徴量を算出し、算出した上記空間特徴量に基づいて上記所定エリアにおける人間の動作を検知するステップとを実行させるためのプログラムである。
【0044】
このような構成により、受信機にとって都合の良い無線信号を送信機から送信することができるため、この無線信号を用いて空間特徴量を正確に算出し、検知精度を向上させることができる。したがって、電波を用いて所定エリアにおける人間の侵入を検知する構成において、検知可能エリアが狭くなることを防ぐことができる。
【0045】
(19)またこの発明の別の局面に係わる侵入検知プログラムは、所定エリアにおける人間の動作を検知するための侵入検知装置において用いられる侵入検知プログラムであって、コンピュータに、上記所定エリアに配置された送信機から送信された無線信号の受信レベルを測定するステップと、測定した上記受信レベルに基づいて、複数の指向性パターンの中から、上記受信レベルが最も小さくなる指向性パターンを上記送信機に選択させるための指向性選択命令を上記送信機へ送信するステップと、上記指向性選択命令に基づいて選択された指向性パターンの無線信号を上記送信機から受信するステップと、受信した上記無線信号に基づいて上記所定エリアにおける空間特徴量を算出し、算出した上記空間特徴量に基づいて上記所定エリアにおける人間の動作を検知するステップとを実行させるためのプログラムである。
【0046】
このような構成により、電波センサである受信機にとって都合の良い無線信号を送信機から送信することができるため、この無線信号を用いて空間特徴量を正確に算出し、検知精度を向上させることができる。したがって、電波を用いて所定エリアにおける人間の侵入を検知する構成において、検知可能エリアが狭くなることを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、電波を用いて所定エリアにおける人間の侵入を検知する構成において、検知可能エリアが狭くなることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態に係る侵入検知システムの使用イメージを示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る侵入検知システムの構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る侵入検知システムにおける受信機の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る侵入検知システムにおける制御部の構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る侵入検知システムにおける送信機の構成を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る侵入検知システムにおける送信機のアンテナの指向性を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る侵入検知システムにおける送信機のアンテナ切り替え基準を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る侵入検知システムが侵入検知動作を行なう際の動作手順を定めたシーケンス図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る侵入検知システムが侵入検知動作を行なう際の動作手順の他の例を定めたシーケンス図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る侵入検知システムにおいて、指向性パターンの切り替えによる効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0050】
図1は、本発明の実施の形態に係る侵入検知システムの使用イメージを示す図である。
【0051】
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る侵入検知システム201は、動体検知センサとして機能する。侵入検知システムとして最低一組の送信機101および受信機102が、警戒エリアとしたい閉空間、たとえば家の中に設置される。そして、侵入検知システムは、送信機101から一定間隔以内または連続的に送信される電波を受信機102で受信し、受信した電波に基づいて信号処理を行なうことにより、室内に侵入した人間およびドアの開閉等を検知する。
【0052】
たとえば、侵入検知システム201における受信機102は、アレイ式電波センサであり、複数の受信アンテナ素子を備え、閉空間における電波伝搬の変化を利用して動体の検知機能を実現する。侵入検知システム201が使用する電波は、原理上は周波数および帯域幅等に制約はない。
【0053】
[構成および基本動作]
図2は、本発明の実施の形態に係る侵入検知システムの構成を示す図である。
【0054】
図2を参照して、室内等の所定エリア301において、送信機101および受信機102が設けられている。
【0055】
送信機101は、たとえば無線LANアクセスポイントであり、所定の無線通信方式たとえばIEEE802.11規格の無線LAN方式に従って無線LAN端末161との間で無線信号を送受信する。この無線信号は、たとえば2.4GHz帯の無線信号である。
【0056】
受信機102は、無線LANアクセスポイントおよび無線LAN端末等の複数の通信装置が無線信号を送受信することにより通信を行なう所定エリア301において、人間の動作を検知する。受信機102は、2.4GHz帯の無線LAN方式に従う通信信号の電波を利用して検知動作を行なう。
【0057】
より詳細には、受信機102は、所定エリア301の状態を示す空間特徴量に基づいて、当該エリアにおける人間の動作を検知する。すなわち、受信機102は、反射および回折等の波動伝搬の性質に基づいて、所定エリア301内の状態を監視する。具体的には、受信機102は、複数のアンテナの受信信号に基づいて計算された到来角分布を監視することにより、人間の動作を検知する。
【0058】
また、侵入検知システム201が使用する無線信号は、連続的な信号またはバースト信号であり、受信機102は、送信機101による無線信号の送信タイミングを認識できない場合には、連続的に受信動作を行なう必要がある。
【0059】
所定エリア301において、送信機101からPath1を伝搬して受信機102に到来する電波である直接波が強すぎると、送信機101からPath2〜Path5を伝搬して受信機102に到来する電波である反射波の影響が、受信機102において見えなくなってしまう。具体的には、受信機102において、たとえば、無線信号または当該無線信号をダウンコンバートした信号をサンプリングするためのA/Dコンバータのダイナミックレンジを超えるレベルの信号が当該A/Dコンバータへ入力されてしまい、無線信号を正確に示すデジタル信号が生成されなくなってしまう。また、ダイナミックレンジ内に受信信号が収まっても、直接波のレベルが他の信号に比べて大きすぎる場合には、微少なレベルの信号が変動しても当該変動は直接波に隠れてしまう。これにより、Path2〜Path5における電波伝搬の変化を検出することが困難になり、検知可能エリアが狭くなってしまう。
【0060】
ここで、直接波が伝搬するPath1は、他のPathが交差している確率が高い。すなわち、受信機102において直接波が見えなくても、たとえばPath1と交差するPath2における電波伝搬の変化を監視することにより、Path1における電波伝搬の変化を監視することが可能である。
【0061】
これに基づき、本発明の実施の形態に係る侵入検知システムでは、以下のような構成および動作により、検知エリアが狭くなるという問題点を解決する。
【0062】
侵入検知システム201は、所定エリアに配置された送信機101が無線LAN端末161へ無線信号を送信して無線LAN端末161と通信を行なう通信モードと、送信機101が受信機102へ無線信号を送信して受信機102が所定エリアにおける人間の動作を検知する侵入検知モードとを有する。そして、送信機101は、無線信号の指向性パターンを選択可能であり、通信モードおよび侵入検知モードにおいて異なる指向性パターンを選択する。
【0063】
送信機101は、無線信号の指向性パターンを選択可能であり、複数の指向性パターンの中から、受信機102が受信する無線信号のレベルが最も小さくなる指向性パターンを選択する。
【0064】
たとえば、送信機101は、複数の指向性パターンの中から、受信機102が受信する無線信号のレベルが所定範囲内となる指向性パターンを選択し、選択した指向性パターンの中から、受信機102が受信する無線信号のレベルが最も小さくなる指向性パターンを選択する。
【0065】
また、たとえば、送信機101は、無指向性を含む複数の指向性パターンを選択可能である。より詳細には、送信機101は、無指向性および複数の異なる指向性を含む複数の指向性パターンを選択可能である。
【0066】
図3は、本発明の実施の形態に係る侵入検知システムにおける受信機の構成を示す図である。
【0067】
図3を参照して、受信機102は、フラッシュメモリ47と、Wi−Fi通信部51と、アレイ受信部52と、制御部53とを備える。Wi−Fi通信部51は、アンテナ41と、BB/MAC処理部42と、トランシーバ43と、インタフェース部44と、RAM(Random Access Memory)45と、ROM(Read Only Memory)46とを含む。アレイ受信部52は、アレイアンテナ部21と、受信部22と、分岐回路37と、発振器38とを含む。アレイアンテナ部21は、たとえば4本のアンテナを含む。受信部22は、アレイアンテナ部21におけるアンテナに対応して、バンドパスフィルタ(BPF)31、ローノイズアンプ32、方向性結合器(DC)33、直交復調器34、A/Dコンバータ(ADC)35、および測定部の一例である検波器36の組を4つ含む。制御部53は、侵入検知演算部71と、送信アンテナ切り替え部(指向性制御部)72とを含む。
【0068】
Wi−Fi通信部51は、制御部53からHostインタフェース経由で受けた通信データを2.4GHz帯の無線LAN方式に従う無線信号に変換し、送信機101へ送信する。また、Wi−Fi通信部51は、送信機101から受信した無線信号を2.4GHz帯の無線LAN方式に従ってデジタル信号に変換し、Hostインタフェース経由で制御部53へ出力する。
【0069】
Wi−Fi通信部51において、RAM45、ROM46およびフラッシュメモリ47は、各種情報を記憶する。
【0070】
BB/MAC処理部42およびトランシーバ43は、たとえば、アンテナ41において受信された2.4GHz帯の無線信号からベースバンド帯のデジタル信号への変換、および制御部53から受けた通信データであるベースバンド帯のデジタル信号から2.4GHz帯の無線信号への変換を行なう。トランシーバ43によって変換された無線信号は、アンテナ41へ出力される。
【0071】
インタフェース部44は、制御部53との間においてホストインタフェース経由でデジタル信号を入出力し、また、フラッシュメモリ47との間においてフラッシュインタフェース経由でデジタル信号を入出力する。
【0072】
アレイ受信部52は、所定エリアに配置された送信機101から送信された無線信号を受信する。
【0073】
侵入検知演算部71は、アレイ受信部52によって受信された無線信号に基づいて所定エリアにおける空間特徴量を算出し、算出した空間特徴量に基づいて所定エリアにおける人間の動作を検知する。
【0074】
アレイ受信部52の受信部22において、バンドパスフィルタ31は、アレイアンテナ部21における対応のアンテナにおいて受信された無線信号の周波数成分のうち、所定の周波数帯域外の成分を減衰させる。
【0075】
ローノイズアンプ32は、バンドパスフィルタ31を通過した無線信号を増幅して出力する。
【0076】
方向性結合器33は、ローノイズアンプ32から受けた無線信号を分岐して直交復調器34および検波器36へ出力する。
【0077】
直交復調器34は、方向性結合器33から受けた無線信号と分岐回路37を介して発振器38から受けたローカル信号とを乗算することにより、ローノイズアンプ32から受けた信号をたとえば直交復調してベースバンド帯のI信号およびQ信号に変換し、A/Dコンバータ35へ出力する。
【0078】
A/Dコンバータ35は、直交復調器34から受けたI信号およびQ信号をそれぞれnビット(nは2以上の自然数)のデジタル信号に変換し、制御部53における侵入検知演算部71へ出力する。
【0079】
検波器36は、方向性結合器33から受けた無線信号を検波することにより、無線信号の受信レベルすなわち電力または振幅を示すRSSI(Received Signal Strength Indication)信号を制御部53における送信アンテナ切り替え部72へ出力する。なお、RSSIの代わりに、ΔRSSIすなわち各PathのRSSIの最大値および最小値の差を用いる構成であってもよい。また、検波器36からのRSSI信号の代わりに、たとえばA/Dコンバータ35のデジタル信号が最大値になる場合にA/Dコンバータ35から出力されるオーバーフロー情報を送信アンテナ切り替え部72に与える構成であってもよい。
【0080】
送信アンテナ切り替え部72は、検波器36によって測定された受信レベルに基づいて、複数の指向性パターンの中から、受信機102が受信する無線信号のレベルが最も小さくなる指向性パターンを送信機101に選択させるための指向性選択命令を送信機101へ送信する。
【0081】
より詳細には、送信アンテナ切り替え部72は、各受信部22から受けたRSSI信号に基づいて、送信アンテナ切り替え命令をWi−Fi通信部51経由で送信機101へ送信する。たとえば、送信アンテナ切り替え部72は、各受信部22から受けたRSSI信号がすべて所定値以上の場合には、送信機101からの直接波の受信レベルが大きいと判断し、送信アンテナ切り替え命令を送信する。あるいは、送信アンテナ切り替え部72は、各受信部22から受けたRSSI信号の少なくとも1つが所定値以上の場合に送信アンテナ切り替え命令を送信する。
【0082】
また、たとえば、送信アンテナ切り替え部72は、各受信部22から受けたRSSI信号の平均値が所定値A以上の場合に送信アンテナ切り替え命令を送信する。一方、送信アンテナ切り替え部72は、各受信部22から受けたRSSI信号の平均値が所定値Aより小さい所定値B未満の場合には、送信機101からの無線信号の受信レベルが小さすぎると判断し、送信アンテナ切り替え命令を送信する。そして、送信アンテナ切り替え部72は、各受信部22から受けたRSSI信号の平均値が所定値A未満かつ所定値B以上である場合には、当該平均値の比較等を行なうことにより、当該平均値が最も小さくなるアンテナを選択するための送信アンテナ切り替え命令を送信する。
【0083】
図4は、本発明の実施の形態に係る侵入検知システムにおける制御部の構成を示す図である。
【0084】
図4を参照して、制御部53は、さらに、Wi−Fi通信データ処理部84を含む。侵入検知演算部71は、空間特徴量算出部81と、検知部82と、サンプリングタイミング指示部83とを含む。
【0085】
空間特徴量算出部81は、アレイアンテナ部21における各アンテナに対応するデジタル信号をアレイ受信部52から受けて、これらのデジタル信号に基づいて、アレイアンテナ部21によって受信された無線信号のレベルおよび到着タイミングを算出する。そして、空間特徴量算出部81は、算出結果に基づいて、所定エリアにおける空間特徴量を算出する。すなわち、空間特徴量算出部81は、人間の動作を検知すべき所定エリアについて、当該所定エリアの状態を示す空間特徴量を算出する。
【0086】
より詳細には、空間特徴量算出部81は、たとえば特許文献1に記載の構成と同様に、到来角分布を用いて空間特徴量を抽出する。すなわち、空間特徴量算出部81は、固有ベクトルの内積を算出することにより、空間特徴量P(t)を抽出する。この内積は、比較基準となる初期ベクトルからの変化量を示す。初期ベクトルすなわち侵入者無しのときの固有ベクトルをvnoとし、観測時tにおける固有ベクトルをvob(t)とすると、空間特徴量P(t)は以下の式で表される。
P(t)=vno・vob(t)
【0087】
検知部82は、空間特徴量算出部81によって算出された空間特徴量P(t)に基づいて、所定エリアにおける人間の動作を検知する。
【0088】
Wi−Fi通信データ処理部84は、送信機101へ送信すべき通信データを生成し、Wi−Fi通信部51へ出力する。また、Wi−Fi通信データ処理部84は、Wi−Fi通信部51から受けたデジタル信号に対して種々の信号処理を行い、各種制御を行なう。
【0089】
ここで、Wi−Fi通信データ処理部84は、送信機101から対象無線信号すなわちACKが送信されるタイミングを制御する。
【0090】
より詳細には、Wi−Fi通信データ処理部84は、送信機101が受信機102へ応答情報としてACKを送信するトリガとなる送信要求情報を、送信機101へ送信することにより、送信機101からACKが送信されるタイミングを制御する。
【0091】
アレイ受信部52は、Wi−Fi通信データ処理部84によって制御されたタイミングに従って、所定エリアにおける各装置から送信される無線信号の中からACKを選択的に受信する。
【0092】
より詳細には、Wi−Fi通信データ処理部84は、サンプリングタイミング指示部83を制御することにより、A/Dコンバータ35のサンプリングタイミングを示すタイミング信号をアレイ受信部52へ出力する。
【0093】
A/Dコンバータ35は、サンプリングタイミング指示部83を介してWi−Fi通信データ処理部84から受けたタイミング信号に従い、直交復調器34から受けた信号をサンプリングし、デジタル信号に変換する。
【0094】
これにより、空間特徴量算出部81は、アレイ受信部52によって受信されたACKに基づいて所定エリアにおける空間特徴量を算出することが可能となる。
【0095】
図5は、本発明の実施の形態に係る侵入検知システムにおける送信機の構成を示す図である。
【0096】
図5を参照して、送信機101は、たとえば無線LANアクセスポイントであり、Wi−Fi通信部91と、アンテナ61,62と、アンテナ制御部68と、アンテナ選択回路69とを含む。Wi−Fi通信部91は、インタフェース部63と、RAM64と、ROM65と、BB/MAC処理部66と、トランシーバ67とを含む。
【0097】
Wi−Fi通信部91は、生成した通信データを2.4GHz帯の無線LAN方式に従う無線信号に変換し、受信機102および無線LAN端末161へ送信する。また、Wi−Fi通信部91は、受信機102および無線LAN端末161から受信した無線信号を2.4GHz帯の無線LAN方式に従ってデジタル信号に変換する。
【0098】
Wi−Fi通信部91において、RAM64およびROM65は、各種情報を記憶する。
【0099】
BB/MAC処理部66およびトランシーバ67は、たとえば、アンテナ61および62において受信された2.4GHz帯の無線信号からベースバンド帯のデジタル信号への変換、および生成した通信データであるベースバンド帯のデジタル信号から2.4GHz帯の無線信号への変換を行なう。トランシーバ67によって変換された無線信号は、アンテナ61および62へ出力される。
【0100】
インタフェース部63は、アンテナ制御部68との間でデジタル信号を入出力する。
【0101】
アンテナ選択回路69は、アンテナ制御部68による制御に基づいて、使用アンテナ、すなわちトランシーバ67と接続されるアンテナを選択する。アンテナ選択回路69は、アンテナ61および62の少なくとも一方を選択する。
【0102】
図6は、本発明の実施の形態に係る侵入検知システムにおける送信機のアンテナの指向性を示す図である。
【0103】
図6を参照して、アンテナ61の指向性パターンP1とアンテナ62の指向性パターンP2とは、互いに異なる。たとえば、指向性パターンP1および指向性パターンP2は、指向性の方向が略90度異なる。なお、送信機101における各アンテナの指向性は、半値幅および前後比等の特性が異なるものであればよい。
【0104】
図7は、本発明の実施の形態に係る侵入検知システムにおける送信機のアンテナ切り替え基準を示す図である。
【0105】
図7を参照して、侵入検知システム201では、通信モードにおいて、無線LAN端末161との通信状況を判断基準として送信機101の使用アンテナが選択される。通常、送信機101では、アンテナ61および62の両方が選択され、送信機101から送信される無線信号の指向性が無指向性となる。そして、無線LAN端末161との通信品質が劣化した場合には、アンテナ61またはアンテナ62が選択され、送信機101から送信される無線信号が指向性を持ち、無線LAN端末161における無線信号の受信レベルが上昇する。すなわち、無線LAN端末161は、送信機101から送信された無線信号の受信レベルを測定し、受信レベルが小さい場合にはアンテナ切り替え命令を送信機101へ送信する。
【0106】
一方、侵入検知モードにおいては、受信機102におけるRSSI値を判断基準として送信機101の使用アンテナが選択される。送信機101では、RSSI値に基づいて、アンテナ61および62の両方が選択されるか、アンテナ61が選択されるか、またはアンテナ62が選択される。
【0107】
侵入検知モードにおいては、アンテナ61およびアンテナ62の一方を選択した場合において、たとえば、選択したアンテナの指向性のメインローブが受信機102を向かないように、また、選択したアンテナの指向性のヌル点が受信機102の方向に形成されないように、アンテナ61およびアンテナ62の向きおよび特性が設定される。
【0108】
[動作]
次に、本発明の実施の形態に係る侵入検知システムが侵入検知を行なう際の動作について説明する。
【0109】
図8は、本発明の実施の形態に係る侵入検知システムが侵入検知動作を行なう際の動作手順を定めたシーケンス図である。侵入検知システム201における送信機101および受信機102は、シーケンスの各ステップを含むプログラムを図示しないメモリから読み出して実行する。このプログラムは、外部からインストールすることができる。このインストールされるプログラムは、たとえば記録媒体に格納された状態で流通する。
【0110】
図8を参照して、侵入検知モードにおいて、まず、送信機101は、選択中の指向性パターンの無線信号を受信機102へ送信する(ステップS11)。
【0111】
次に、受信機102は、送信機101から無線信号を受信して、当該無線信号の受信レベルすなわちRSSIを測定する(ステップS12)。
【0112】
次に、受信機102は、RSSIの測定結果に基づいて、送信機101のアンテナを切り替えるべきか否かを判断する。より詳細には、受信機102は、送信機101から送信された無線信号の受信レベルを測定し、受信レベルが大きい場合には送信機101のアンテナを切り替えるべきであると判断する(ステップS13)。
【0113】
次に、受信機102は、送信機101のアンテナを切り替えるべきであると判断すると、アンテナ切り替え命令すなわち指向性パターンの切り替え命令を送信機101へ送信する。なお、アンテナ切り替え命令は、無線で送信機101へ送信してもよいし、有線で送信機101へ送信してもよい(ステップS14)。
【0114】
次に、送信機101は、受信機102からアンテナ切り替え命令を受信して、送信アンテナの切り替えを行なう。すなわち、送信機101は、アンテナ切り替え命令を受信して、選択中の指向性パターンを他の指向性パターンに変更する(ステップS15)。
【0115】
次に、送信機101は、選択した指向性パターンの無線信号を受信機102へ送信する(ステップS16)。
【0116】
次に、受信機102は、送信機101から無線信号を受信して、当該無線信号に基づいて空間特徴量を算出し(ステップS17)、侵入検知を行なう(ステップS18)。
【0117】
図9は、本発明の実施の形態に係る侵入検知システムが侵入検知動作を行なう際の動作手順の他の例を定めたシーケンス図である。侵入検知システム201は、シーケンスの各ステップを含むプログラムを図示しないメモリから読み出して実行する。このプログラムは、外部からインストールすることができる。
【0118】
図9を参照して、侵入検知モードにおいて、まず、送信機101は、選択中の指向性パターンの無線信号を受信機102へ送信する(ステップS1)。
【0119】
次に、受信機102は、送信機101から無線信号を受信して、当該無線信号の受信レベルすなわちRSSIを測定する(ステップS2)。
【0120】
次に、受信機102は、RSSIの測定結果に基づいて、受信レベル情報を作成する。より詳細には、受信機102は、送信機101から送信された無線信号の受信レベルを測定し、測定値の大小関係を反対にした受信レベル情報を作成する。具体的には、たとえば、RSSIの取り得る範囲における中間値をゼロ[dB]に設定し、正負の符号を反転させるような処理を行なう(ステップS3)。
【0121】
次に、受信機102は、作成した受信レベル情報を送信機101へ送信する。なお、受信レベル情報は、無線で送信機101へ送信してもよいし、有線で送信機101へ送信してもよい(ステップS4)。
【0122】
次に、送信機101は、受信機102から受信レベル情報を受信して、受信レベル情報に基づいて指向性パターンを選択する。より詳細には、送信機101は、受信機102から受信した受信レベル情報の示す受信レベルが小さいと判断した場合には、選択中の指向性パターンを他の指向性パターンに変更する。また、送信機101は、受信レベルが小さくないと判断した場合には、選択中の指向性パターンを維持する(ステップS5)。
【0123】
次に、送信機101は、選択した指向性パターンの無線信号を受信機102へ送信する(ステップS6)。
【0124】
次に、受信機102は、送信機101から無線信号を受信して、当該無線信号に基づいて空間特徴量を算出し(ステップS7)、侵入検知を行なう(ステップS8)。
【0125】
図10は、本発明の実施の形態に係る侵入検知システムにおいて、指向性パターンの切り替えによる効果を示す図である。
【0126】
図10を参照して、侵入検知システム201では、直接波の電界強度が通常、一番強いことに基づき、送信機101の指向性パターンを選択する。たとえば、直接波の伝搬するPath1方向の指向性を有する送信機101のアンテナを非選択とし、逆に他のアンテナを選択する。これにより、受信機102に到来する各電波の強度の差を縮めることができる。すなわち、各PathのRSSIの差ΔRSSIを小さくすることができる。また、各PathのRSSIの最大値をSmax1からSmax2へ下げることができる。
【0127】
ここで、侵入検知を行なう状況としては、家庭および職場等においてそれぞれ居住者および作業者が存在せず、無線LANによる通信の頻度が低い状況が想定される。このような状況では、無線LAN端末から送信される無線信号はゼロまたは僅かである。本発明の実施の形態に係る侵入検知システムでは、このような状況でも無線信号を送信する頻度の高い無線LANアクセスポイントからの無線信号を用いて侵入検知を行なう構成により、侵入検知を行なう状況に適した無線信号を対象とし、侵入検知を良好に行なうことができる。
【0128】
また、送信機101の使用アンテナを切り替えることにより無線信号の指向性パターンを選択する構成により、無線LANアクセスポイントが具備するアンテナ切り替え機能を流用することができるため、システム構成の簡易化を図ることができる。
【0129】
ところで、特許文献1に記載のイベント検出装置では、送信機および受信機間で電波を送受信する。このイベント検出装置が設置される場所によっては、受信機に到来する送信機からの直接波のレベルが反射波と比べて非常に大きくなってしまう場合がある。この場合、反射波の伝搬経路における変化を検出することが困難になり、検知可能エリアが狭くなってしまう。
【0130】
これに対して、本発明の実施の形態に係る侵入検知システムは、所定エリアに配置された送信機101が無線LAN端末161へ無線信号を送信して無線LAN端末161と通信を行なう通信モードと、送信機101が受信機102へ無線信号を送信して受信機102が所定エリアにおける人間の動作を検知する侵入検知モードとを有する。そして、送信機101は、無線信号の指向性パターンを選択可能であり、通信モードおよび侵入検知モードにおいて異なる指向性パターンを選択する。
【0131】
より詳細には、送信機101は、複数の指向性パターンの中から、受信機102が受信する無線信号のレベルが最も小さくなる指向性パターンを選択する。
【0132】
このような構成により、電波センサである受信機102にとって都合の良い無線信号を送信機101から送信することができるため、この無線信号を用いて空間特徴量を正確に算出し、検知精度を向上させることができる。したがって、本発明の実施の形態に係る侵入検知システムでは、電波を用いて所定エリアにおける人間の侵入を検知する構成において、検知可能エリアが狭くなることを防ぐことができる。
【0133】
また、本発明の実施の形態に係る侵入検知システムでは、送信機101は、複数の指向性パターンの中から、受信機102が受信する無線信号のレベルが所定範囲内で最も小さくなる指向性パターンを選択する。
【0134】
このような構成により、たとえば選択したアンテナの指向性のヌル点が受信機102の方向に形成される等、受信機102における無線信号の受信レベルが低くなりすぎる指向性パターンを除外することができるため、受信機102において適切なレベルの無線信号を受信することができる。
【0135】
また、本発明の実施の形態に係る侵入検知システムでは、送信機101は、無指向性を含む複数の指向性パターンを選択可能である。
【0136】
このように、送信機101において無指向性を選択可能とする構成により、たとえば無線LANアクセスポイントを送信機101として使用することができるため、通常の無線LANシステムにおいて侵入検知システムを構築することができる。
【0137】
また、本発明の実施の形態に係る侵入検知システムでは、送信機101は、無指向性および複数の異なる指向性を含む複数の指向性パターンを選択可能である。
【0138】
このように、有指向性のパターンを複数選択可能とする構成により、受信機102に到来する直接波の強度をより確実に低下させることができる。
【0139】
また、本発明の実施の形態に係る侵入検知システムでは、受信機102は、送信機101から送信された無線信号の受信レベルを測定し、測定値の大小関係を反対にして作成した受信レベル情報を送信機101へ送信する。そして、送信機101は、受信機102から受信した受信レベル情報の示す受信レベルが小さいと判断した場合には、選択中の指向性パターンを他の指向性パターンに変更する。また、送信機101は、受信レベルが小さくないと判断した場合には、選択中の指向性パターンを維持する。
【0140】
このような構成により、送信機101は、指向性パターンの選択機能を有していれば、通常の通信時および侵入検知時で同じ動作を行なえばよくなり、侵入検知用に送信機を別途設けることなく、無線LAN方式等の通常の送信機を流用することができる。
【0141】
また、本発明の実施の形態に係る侵入検知システムでは、無線LAN端末161は、送信機101から送信された無線信号の受信レベルを測定し、受信レベルが小さい場合には指向性パターンの切り替え命令を送信機101へ送信する。受信機102は、送信機101から送信された検知用無線信号の受信レベルを測定し、受信レベルが大きい場合には指向性パターンの切り替え命令を送信機101へ送信する。そして、送信機101は、切り替え命令を受信して、選択中の指向性パターンを他の指向性パターンに変更する。
【0142】
このような構成により、送信機101は、指向性パターンの選択機能を有していれば、通常の通信時および侵入検知時で同じ動作を行なえばよくなり、侵入検知用に送信機を別途設けることなく、無線LAN方式等の通常の送信機を流用することができる。
【0143】
また、本発明の実施の形態に係る侵入検知システムでは、送信機101は、IEEE802.11規格に従う無線信号を送信する。
【0144】
このような構成により、一般に広く使用されている無線LANの環境下で、侵入検知装置を動作させ、人間の動作の有無を検知することができる。
【0145】
また、本発明の実施の形態に係る侵入検知装置では、アレイ受信部52は、所定エリアに配置された送信機101から送信された無線信号を受信する。侵入検知演算部71は、アレイ受信部52によって受信された無線信号に基づいて所定エリアにおける空間特徴量を算出し、算出した空間特徴量に基づいて所定エリアにおける人間の動作を検知する。検波器36は、無線信号の受信レベルを測定する。そして、送信アンテナ切り替え部72は、検波器36によって測定された受信レベルに基づいて、複数の指向性パターンの中から、受信機102が受信する無線信号のレベルが最も小さくなる指向性パターンを送信機101に選択させるための指向性選択命令を送信機101へ送信する。
【0146】
このような構成により、電波センサである受信機102にとって都合の良い無線信号を送信機101から送信することができるため、この無線信号を用いて空間特徴量を正確に算出し、検知精度を向上させることができる。したがって、本発明の実施の形態に係る侵入検知装置では、電波を用いて所定エリアにおける人間の侵入を検知する構成において、検知可能エリアが狭くなることを防ぐことができる。
【0147】
なお、本発明の実施の形態に係る侵入検知システムでは、送信機101において指向性パターンを選択する構成であるとしたが、これに限定するものではない。送信機101において指向性が選択可能である構成に限らず、送信機101から送信される無線信号の指向性が固定的に設定される構成であってもよい。すなわち、送信機101から送信される無線信号の指向性が、受信機102の方向の指向性を含まないように設定されている構成であってもよい。
【0148】
具体的には、送信機101からの無線信号の指向性が受信機102に向かないように、たとえば、送信機101および受信機102の位置に定めがあり、この定められた位置において、送信機101からの無線信号の指向性が受信機102に向かないようにアンテナの配置がなされる。
【0149】
あるいは、受信機102が受信する無線信号のレベルが目標値以下となるように、送信機101から送信される無線信号の指向性が設定されている構成であってもよい。
【0150】
また、本発明の実施の形態に係る侵入検知システムでは、送信機101は、複数のアンテナを備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。送信機101が1つのアンテナを備える構成であっても、送信機101から送信される無線信号の指向性が選択可能であればよい。
【0151】
また、本発明の実施の形態に係る侵入検知システムでは、空間特徴量として固有ベクトルを用いる構成であるとしたが、これに限定するものではない。固有ベクトルに限らず、非特許文献1に記載されているような遅延プロファイル等、他の空間特徴量を用いる構成であってもよい。
【0152】
また、本発明の実施の形態に係る侵入検知システムでは、空間特徴量として1次元の特徴量を用いる構成であるとしたが、これに限定するものではない。空間特徴量として多次元の特徴量を用いる構成であってもよい。たとえば、固有ベクトルそのものを特徴量ベクトルとして用いることも可能であるし、非特許文献1に記載されているような遅延プロファイルを用いることも可能である。
【0153】
また、本発明の実施の形態に係る侵入検知システムでは、侵入者の有無という二値的な判定を行なう構成であるとしたが、これに限定するものではない。侵入可能性のレベルを示す指標を出力する構成であってもよい。
【0154】
また、本発明の実施の形態に係る侵入検知システムでは、アレイ式電波センサを用いる構成であるとしたが、他の種類の電波センサであってもよい。
【0155】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0156】
21 アレイアンテナ部
22 受信部
37 分岐回路
38 発振器
31 バンドパスフィルタ
32 ローノイズアンプ
33 方向性結合器
34 直交復調器
35 A/Dコンバータ
36 検波器
41 アンテナ
42 BB/MAC処理部
43 トランシーバ
44 インタフェース部
45 RAM
46 ROM
47 フラッシュメモリ
51 Wi−Fi通信部
52 アレイ受信部
53 制御部
61,62 アンテナ
63 インタフェース部
64 RAM
65 ROM
66 BB/MAC処理部
67 トランシーバ
68 アンテナ制御部
69 アンテナ選択回路
71 侵入検知演算部
72 送信アンテナ切り替え部(指向性制御部)
81 空間特徴量算出部
82 検知部
83 サンプリングタイミング指示部
84 Wi−Fi通信データ処理部
101 送信機
102 受信機
201 侵入検知システム
301 所定エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定エリアに配置され、無線信号を送信するための送信機と、
前記所定エリアに配置され、前記送信機から送信された無線信号を受信し、受信した前記無線信号に基づいて前記所定エリアにおける空間特徴量を算出し、算出した前記空間特徴量に基づいて前記所定エリアにおける人間の動作を検知するための受信機とを備える侵入検知システムであって、
前記送信機は、前記無線信号の指向性パターンを選択可能であり、複数の前記指向性パターンの中から、前記受信機が受信する前記無線信号のレベルが最も小さくなる指向性パターンを選択する、侵入検知システム。
【請求項2】
前記送信機は、前記複数の指向性パターンの中から、前記受信機が受信する前記無線信号のレベルが所定範囲内で最も小さくなる指向性パターンを選択する、請求項1に記載の侵入検知システム。
【請求項3】
所定エリアに配置された送信機および受信機を備え、前記所定エリアに配置された送信機が他の装置へ無線信号を送信して前記他の装置と通信を行なう通信モードと、前記送信機が前記受信機へ無線信号を送信して前記受信機が前記所定エリアにおける人間の動作を検知する侵入検知モードとを有する侵入検知システムであって、
前記受信機は、前記送信機から送信された前記無線信号を受信し、受信した前記無線信号に基づいて前記所定エリアにおける空間特徴量を算出し、算出した前記空間特徴量に基づいて前記所定エリアにおける人間の動作を検知し、
前記送信機は、前記無線信号の指向性パターンを選択可能であり、前記通信モードおよび前記侵入検知モードにおいて異なる指向性パターンを選択する、侵入検知システム。
【請求項4】
前記送信機は、無指向性を含む複数の指向性パターンを選択可能である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の侵入検知システム。
【請求項5】
前記送信機は、無指向性および複数の異なる指向性を含む複数の指向性パターンを選択可能である、請求項4に記載の侵入検知システム。
【請求項6】
前記受信機は、前記送信機から送信された前記無線信号の受信レベルを測定し、測定値の大小関係を反対にして作成した受信レベル情報を前記送信機へ送信し、
前記送信機は、前記受信機から受信した前記受信レベル情報の示す前記受信レベルが小さいと判断した場合には、選択中の前記指向性パターンを他の前記指向性パターンに変更し、前記受信レベルが小さくないと判断した場合には、選択中の前記指向性パターンを維持する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の侵入検知システム。
【請求項7】
前記侵入検知システムは、前記送信機が他の装置へ無線信号を送信して前記他の装置と通信を行なう通信モードと、前記送信機が前記受信機へ無線信号を送信して前記受信機が前記所定エリアにおける人間の動作を検知する侵入検知モードとを有し、
前記他の装置は、前記送信機から送信された前記無線信号の受信レベルを測定し、前記受信レベルが小さい場合には前記指向性パターンの切り替え命令を前記送信機へ送信し、
前記受信機は、前記送信機から送信された前記無線信号の受信レベルを測定し、前記受信レベルが大きい場合には前記指向性パターンの切り替え命令を前記送信機へ送信し、
前記送信機は、前記切り替え命令を受信して、選択中の前記指向性パターンを他の前記指向性パターンに変更する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の侵入検知システム。
【請求項8】
所定エリアに配置され、無線信号を送信するための送信機と、
前記所定エリアに配置され、前記送信機から送信された無線信号を受信し、受信した前記無線信号に基づいて前記所定エリアにおける空間特徴量を算出し、算出した前記空間特徴量に基づいて前記所定エリアにおける人間の動作を検知するための受信機とを備える侵入検知システムであって、
前記送信機から送信される前記無線信号の指向性が、前記受信機の方向の指向性を含まないように設定されている、侵入検知システム。
【請求項9】
所定エリアに配置され、無線信号を送信するための送信機と、
前記所定エリアに配置され、前記送信機から送信された無線信号を受信し、受信した前記無線信号に基づいて前記所定エリアにおける空間特徴量を算出し、算出した前記空間特徴量に基づいて前記所定エリアにおける人間の動作を検知するための受信機とを備える侵入検知システムであって、
前記受信機が受信する前記無線信号のレベルが目標値以下となるように、前記送信機から送信される前記無線信号の指向性が設定されている、侵入検知システム。
【請求項10】
前記送信機は、IEEE802.11規格に従う無線信号を送信する、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の侵入検知システム。
【請求項11】
所定エリアにおける人間の動作を検知するための侵入検知装置であって、
前記所定エリアに配置された送信機から送信された無線信号を受信するための受信部と、
前記受信部によって受信された前記無線信号に基づいて前記所定エリアにおける空間特徴量を算出し、算出した前記空間特徴量に基づいて前記所定エリアにおける人間の動作を検知するための侵入検知演算部と、
前記無線信号の受信レベルを測定するための測定部と、
前記測定部によって測定された前記受信レベルに基づいて、複数の指向性パターンの中から、前記受信部が受信する前記無線信号のレベルが最も小さくなる指向性パターンを前記送信機に選択させるための指向性選択命令を前記送信機へ送信するための指向性制御部とを備える、侵入検知装置。
【請求項12】
所定エリアに配置され、無線信号を送信するための送信機と、
前記所定エリアに配置され、前記所定エリアにおける人間の動作を検知するための受信機とを備える侵入検知システムにおける侵入検知方法であって、
前記送信機が、前記無線信号の複数の指向性パターンの中から、前記受信機が受信する前記無線信号のレベルが最も小さくなる指向性パターンを選択するステップと、
前記受信機が、前記送信機によって選択された前記指向性パターンの無線信号を受信し、受信した前記無線信号に基づいて前記所定エリアにおける空間特徴量を算出し、算出した前記空間特徴量に基づいて前記所定エリアにおける人間の動作を検知するステップとを含む、侵入検知方法。
【請求項13】
所定エリアに配置された送信機および受信機を備え、前記所定エリアに配置された送信機が他の装置へ無線信号を送信して前記他の装置と通信を行なう通信モードと、前記送信機が前記受信機へ無線信号を送信して前記受信機が前記所定エリアにおける人間の動作を検知する侵入検知モードとを有する侵入検知システムにおける侵入検知方法であって、
前記侵入検知モードにおいて、前記送信機が、前記通信モードと異なる無線信号の指向性パターンを選択し、選択した前記指向性パターンの無線信号を送信するステップと、
前記受信機が、前記無線信号を前記送信機から受信し、受信した前記無線信号に基づいて前記所定エリアにおける空間特徴量を算出し、算出した前記空間特徴量に基づいて前記所定エリアにおける人間の動作を検知するステップとを含む、侵入検知方法。
【請求項14】
所定エリアに配置され、無線信号を送信するための送信機と、
前記所定エリアに配置され、前記所定エリアにおける人間の動作を検知するための受信機とを備える侵入検知システムにおける侵入検知方法であって、
前記送信機から送信される前記無線信号の指向性を、前記受信機の方向の指向性を含まないように設定するステップと、
前記受信機が、設定された前記指向性の無線信号を前記送信機から受信するステップと、
受信した前記無線信号に基づいて前記所定エリアにおける空間特徴量を算出し、算出した前記空間特徴量に基づいて前記所定エリアにおける人間の動作を検知するステップとを含む、侵入検知方法。
【請求項15】
所定エリアに配置され、無線信号を送信するための送信機と、
前記所定エリアに配置され、前記所定エリアにおける人間の動作を検知するための受信機とを備える侵入検知システムにおける侵入検知方法であって、
前記受信機が受信する前記無線信号のレベルが目標値以下となるように、前記送信機から送信される前記無線信号の指向性を設定するステップと、
前記受信機が、設定された前記指向性の無線信号を前記送信機から受信するステップと、
受信した前記無線信号に基づいて前記所定エリアにおける空間特徴量を算出し、算出した前記空間特徴量に基づいて前記所定エリアにおける人間の動作を検知するステップとを含む、侵入検知方法。
【請求項16】
所定エリアにおける人間の動作を検知するための侵入検知装置における侵入検知方法であって、
前記所定エリアに配置された送信機から送信された無線信号の受信レベルを測定するステップと、
測定した前記受信レベルに基づいて、複数の指向性パターンの中から、前記受信レベルが最も小さくなる指向性パターンを前記送信機に選択させるための指向性選択命令を前記送信機へ送信するステップと、
前記指向性選択命令に基づいて選択された指向性パターンの無線信号を前記送信機から受信するステップと、
受信した前記無線信号に基づいて前記所定エリアにおける空間特徴量を算出し、算出した前記空間特徴量に基づいて前記所定エリアにおける人間の動作を検知するステップとを含む、侵入検知方法。
【請求項17】
所定エリアに配置され、無線信号を送信するための送信機と、
前記所定エリアに配置され、前記所定エリアにおける人間の動作を検知するための受信機とを備える侵入検知システムにおいて用いられる侵入検知プログラムであって、コンピュータに、
前記無線信号の複数の指向性パターンの中から、前記受信機が受信する前記無線信号のレベルが最も小さくなる指向性パターンを選択するステップと、
選択した前記指向性パターンの無線信号を前記送信機から受信し、受信した前記無線信号に基づいて前記所定エリアにおける空間特徴量を算出し、算出した前記空間特徴量に基づいて前記所定エリアにおける人間の動作を検知するステップとを実行させるための、侵入検知プログラム。
【請求項18】
所定エリアに配置された送信機および受信機を備え、前記所定エリアに配置された送信機が他の装置へ無線信号を送信して前記他の装置と通信を行なう通信モードと、前記送信機が前記受信機へ無線信号を送信して前記受信機が前記所定エリアにおける人間の動作を検知する侵入検知モードとを有する侵入検知システムにおいて用いられる侵入検知プログラムであって、コンピュータに、
前記侵入検知モードにおいて、前記通信モードと異なる無線信号の指向性パターンを選択し、選択した前記指向性パターンの無線信号を前記送信機から送信するステップと、
前記無線信号を前記送信機から受信し、受信した前記無線信号に基づいて前記所定エリアにおける空間特徴量を算出し、算出した前記空間特徴量に基づいて前記所定エリアにおける人間の動作を検知するステップとを実行させるための、侵入検知プログラム。
【請求項19】
所定エリアにおける人間の動作を検知するための侵入検知装置において用いられる侵入検知プログラムであって、コンピュータに、
前記所定エリアに配置された送信機から送信された無線信号の受信レベルを測定するステップと、
測定した前記受信レベルに基づいて、複数の指向性パターンの中から、前記受信レベルが最も小さくなる指向性パターンを前記送信機に選択させるための指向性選択命令を前記送信機へ送信するステップと、
前記指向性選択命令に基づいて選択された指向性パターンの無線信号を前記送信機から受信するステップと、
受信した前記無線信号に基づいて前記所定エリアにおける空間特徴量を算出し、算出した前記空間特徴量に基づいて前記所定エリアにおける人間の動作を検知するステップとを実行させるための、侵入検知プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−20408(P2013−20408A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152680(P2011−152680)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】