説明

侵入防止装置

【課題】建築物への車両の出入りを伴う作業の効率を向上させつつ建築物内への動物の侵入を確実に防止する。
【解決手段】穀物倉庫100の出入り口101前の侵入防止領域102を形成する境界線102a上に設置される壁部10を備えて、穀物倉庫100内への動物の侵入を壁部10によって防止可能に構成され、上端部が侵入防止領域102の外側に向くように地面200に対して所定角度だけ傾斜する傾斜姿勢で境界線102aにおける車両出入り用区間10aを除く区間に固定設置されると共に壁部10の一部を構成する固定壁部3と、車両出入り用区間10aに設置されたゲート部4と備え、ゲート部4は、傾斜姿勢と地面200に対して平行な平行姿勢とを切り替え可能に構成されて壁部10における一部を除く他の部分を構成する可動壁部13と、切り替え制御に応じて可動壁部13を傾斜姿勢および平行姿勢に切り替える切り替え機構とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物内への動物の侵入を防止する侵入防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
動物の侵入を防止する侵入防止装置として、例えば、特開2007−43999号公報に開示された動物侵入防護柵が知られている。この動物侵入防護柵は、動物の侵入を防止する領域(侵入防止領域)を取り囲むようにして並設された金属製の複数の壁面材を備えて構成されている。この場合、この壁面材は、その下端が前面側(侵入防止領域の外側)に向かって湾曲すると共に、その上部が前面側に向かって傾斜するように構成されている。また、この壁面材は、地面に当接する底面部がアンカー杭によって地面に固定(締着)されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−43999号公報(第4頁、第1−2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記の動物侵入防護柵には、以下の問題点がある。すなわち、上記の動物侵入防護柵を含むこの種の侵入防止装置では、上記したように、壁面材がアンカー杭などによって地面に固定されている。この場合、この種の侵入防止装置を用いて、例えば、穀物倉庫内への動物(例えば、ねずみ等の小動物)の侵入を防止する際には、穀物倉庫の出入り口前の所定領域を取り囲むように壁面材を並設して固定する。一方、このような穀物倉庫では、荷物の出し入れのために出入り口から穀物倉庫内に搬送用車両を出入りさせる必要がある。このため、このような使用形態においては、出入り口前の所定領域を取り囲む壁面材の一部を地面に固定することなく移動可能な状態として、搬送用車両の出入りの際に壁面材の可動部分を移動させる構成が採用されている。しかしながら、この構成では、搬送用車両が頻繁に出入りするときには、壁面材の可動部分を移動させる煩雑な移動作業を頻繁に行う必要がある。したがって、従来の動物侵入防護柵を含むこの種の侵入防止装置には、その煩雑な移動作業に起因して搬送作業の効率が低下するという問題点が存在する。また、可動部分の元の位置への戻し忘れが生じるおそれがあり、その部分から動物が侵入するおそれがあるという問題点も存在する。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、建築物への車両の出入りを伴う作業の効率を向上させつつ建築物内への動物の侵入を確実に防止し得る侵入防止装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく請求項1記載の侵入防止装置は、建築物の出入り口前の所定領域を形成する境界線上に設置される壁部を備えて、前記建築物内への動物の侵入を前記壁部によって防止する侵入防止装置であって、上端部が前記所定領域の外側に向くように設置面に対して所定角度だけ傾斜する傾斜姿勢で前記境界線における車両出入り用の所定区間を除く区間に固定設置されると共に前記壁部の一部を構成する固定壁部と、前記所定区間に設置されたゲート部と備え、前記ゲート部は、前記傾斜姿勢と前記設置面に対して平行な平行姿勢とを切り替え可能に構成されて前記壁部における前記一部を除く他の部分を構成する可動壁部と、切り替え制御に応じて前記可動壁部を前記傾斜姿勢および前記平行姿勢に切り替える切り替え機構とを備えている。
【0007】
また、請求項2記載の侵入防止装置は、請求項1記載の侵入防止装置において、前記ゲート部から所定距離の範囲内に前記車両が存在しているときに当該車両を検出する検出部と、前記検出部による前記車両の非検出状態において前記切り替え機構に対して前記可動壁部を前記傾斜姿勢に維持させると共に、前記検出部による前記車両の検出状態において前記切り替え機構に対して前記可動壁部を前記平行姿勢に切り替えさせる制御を前記切り替え制御として行う制御部とを備えている。
【0008】
また、請求項3記載の侵入防止装置は、請求項1または2記載の侵入防止装置において、前記ゲート部は、基体部と当該基体部の両端部に立設された支柱とを備え、前記可動壁部は、前記基体部に支持された下端部を中心として回動して前記傾斜姿勢と平行姿勢とを切り替え可能に構成され、前記切り替え機構は、前記支柱に取り付けられて前記可動壁部を回動させるエアシリンダで構成され、前記制御部は、前記エアシリンダに対するエアの供給を制御することによって前記切り替え制御を行う。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の侵入防止装置によれば、設置面に対して所定角度だけ傾斜する傾斜姿勢と設置面に対して平行な平行姿勢とを切り替え可能に構成された可動壁部と、切り替え制御に応じて可動壁部を平行姿勢および傾斜姿勢に切り替えさせる切り替え機構とを有するゲート部を備えたことにより、壁部の一部を移動させる煩雑な作業を行うことなく、可動壁部を平行姿勢に切り替えた状態のゲート部を通過させて車両を所定領域に(つまり、建築物に)出入りさせることができる。このため、この侵入防止装置によれば、車両が頻繁に出入りする場合であっても、壁部の一部を移動させる煩雑な作業が不要な分、作業効率を十分に向上させることができる。また、車両が出入りした後に、移動させた壁部の一部を元に戻す煩雑な作業も不要なため、戻し忘れに起因する建築物内への動物の侵入を確実に防止することができる。
【0010】
また、請求項2記載の侵入防止装置によれば、ゲート部から所定距離の範囲内に車両が存在しているときに車両を検出する検出部と、検出部による車両の非検出状態において切り替え機構に対して可動壁部を傾斜姿勢に維持させると共に、検出部による車両の検出状態において切り替え機構に対して可動壁部を平行姿勢に切り替えさせる切り替え制御を行う制御部とを備えたことにより、車両がゲート部に進入する前の時点からゲート部を通過するまでの間、可動壁部を平行姿勢に確実に維持することができる。このため、車両がゲート部に進入したときに可動壁部が平行姿勢に切り替えられずに車両が可動壁部に衝突したり、車両がゲート部を通過する前に可動壁部が傾斜姿勢に戻って可動壁部が車両に衝突したりして、可動壁部および車両が破損する事態を確実に防止することができる。また、制御部が、上記した切り替え制御を行うことにより、車両がゲート部を通過した時点で可動壁部を平行姿勢から傾斜姿勢に速やかに切り替えることができるため、可動壁部が長い時間に亘って平行姿勢に維持されることに起因する動物の侵入を確実に防止することができる。
【0011】
また、請求項3記載の侵入防止装置によれば、基体部に支持された下端部を中心として回動可能に可動壁部を構成し、基体部の両端部に立設された支柱に取り付けられて可動壁部を回動させるエアシリンダで切り替え機構を構成し、制御部がエアシリンダに対するエアの供給を制御することによって切り替え制御を行うことにより、簡易な構成でありながら可動壁部を傾斜姿勢および平行姿勢に確実に切り替えることができる。このため、侵入防止装置を安価に構成することができると共に、構成が簡易な分、故障の発生を低く抑えることができる。また、基体部の両端部に支柱を立設させたことにより、車両がゲート部に進入する際の目印として支柱を機能させることができるため、車両の出入りをスムーズに行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】侵入防止装置1の構成を示す平面図である。
【図2】侵入防止装置1の構成を示す斜視図である。
【図3】固定壁部3の断面図である。
【図4】ゲート部4の構成を示す斜視図である。
【図5】ゲート部4の構成を示す平面図である。
【図6】ゲート部4の動作を説明する第1の説明図である。
【図7】ゲート部4の動作を説明する第2の説明図である。
【図8】ゲート部4の動作を説明する第3の説明図である。
【図9】ゲート部4の動作を説明する第4の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る侵入防止装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0014】
最初に、侵入防止装置1の構成について説明する。図1に示す侵入防止装置1は、固定壁部3、ゲート部4、第1検出部5a、第2検出部5b(以下、両検出部5a,5bを区別しないときには「検出部5」ともいう)、および制御部6を備えて、建築物の一例としての穀物倉庫100内への動物(特に、ねずみ等の小動物)の侵入を防止可能に構成されている。この場合、固定壁部3とゲート部4の可動壁部13(同図および図4参照)とによって構成される壁部10が、穀物倉庫100の出入り口101の前(出入り口101に取り付けられた扉104の前)の所定領域(侵入防止領域102)を形成する境界線102a上に設置され、この壁部10によって侵入防止領域102への動物の侵入(つまり、出入り口101から穀物倉庫100内への動物の侵入)が防止される。
【0015】
固定壁部3は、図1,2に示すように、境界線102aにおける車両出入り用の所定区間(両図に示す車両出入り用区間10a)を除く区間に配置されて、上記したように壁部10の一部を構成する。この固定壁部3は、一例として、帯状の板体を折り曲げることによって形成された複数の壁部材3aを連結することによって構成されている。また、固定壁部3(壁部材3a)は、図3に示すように、折り曲げられた下端部31に形成されているボルト孔31aにアンカーボルト400を挿通させて締め込むことにより、地面200(設置面)に固定設置される。この場合、固定壁部3は、設置状態(地面200に固定された状態)において、上端部32が侵入防止領域102の外側に向いて地面200に対して所定角度θ(一例として60°)だけ傾斜するように下端部31の折り曲げ角度が調整されている。また、固定壁部3は、設置状態における下端部31から上端部32までの高さが50cm程度となるように構成されている。なお、固定壁部3およびゲート部4の可動壁部13が地面200に対して上記の所定角度θで傾斜している姿勢を、以下「傾斜姿勢」ともいう。
【0016】
ゲート部4は、図4,5に示すように、基体部11、4本の支柱12、可動壁部13および切り替え機構14を備えて構成されて、図1に示すように、上記した車両出入り用区間10aに設置されている。また、ゲート部4は、図6に示すように、基体部11に形成されているボルト孔11aにアンカーボルト400を挿通させて締め込むことにより、地面200に固定される。この場合、図5に示すように、基体部11は、例えば矩形の枠状に形成され、支柱12は、基体部11の四隅近傍に立設されている。可動壁部13は、図4に示すように、帯状の板体で形成されて、上記したように壁部10における他の部分(固定壁部3以外の部分)を構成する。また、可動壁部13は、図外の蝶番を介して基体部11に支持された下端部41を中心として回動可能に配設され、切り替え機構14によって回動させられることにより、図6,8に示すように、上記した傾斜姿勢、および地面200に対して平行な姿勢(以下「平行姿勢」ともいう)のいずれかの姿勢に切り替えられる。また、可動壁部13は、傾斜姿勢における下端部41から上端部42までの高さが50cm程度となるように構成されている。
【0017】
切り替え機構14は、図4,5に示すように、2つの支柱12にそれぞれ回動可能に取り付けられた2つのエアシリンダ21(一例として、単動型エアシリンダ)を備えて構成されている。また、図5,6に示すように、エアシリンダ21のロッド21aの先端部は、可動壁部13の上端部42に取り付けられている連結部13aを介して可動壁部13に接続されている。また、エアシリンダ21は、制御部6によって制御されるエアの供給および供給停止によって作動してロッド21aの伸縮を行うことにより、可動壁部13を回動させる。この場合、エアシリンダ21は、図6に示すように、ロッド21aを縮長させた状態において可動壁部13を傾斜姿勢に維持し、図8に示すように、ロッド21aを伸長させた状態において可動壁部13を平行姿勢に維持する(つまり、可動壁部13を傾斜姿勢および平行姿勢のいずれかに切り替える)。
【0018】
第1検出部5aおよび第2検出部5bは、発光部51および受光部52を備えた光電センサでそれぞれ構成されている。この場合、第1検出部5aは、図1に示すように、侵入防止領域102の外側におけるゲート部4から所定の距離だけ離間した位置に配設されて、その配設位置に車両300が位置しているときに車両300を検出して検出信号を出力する。また、第2検出部5bは、同図に示すように、侵入防止領域102の内側におけるゲート部4から所定の距離だけ離間した位置に配設されて、その配設位置に車両300が位置しているときに車両300を検出して検出信号を出力する。つまり、ゲート部4から所定距離の範囲(同図に示す検出領域201)内に車両300が存在しているときには、両検出部5の一方または双方によって車両300が検出される。
【0019】
制御部6は、第1検出部5aおよび第2検出部5bから出力される検出信号に基づいてエアシリンダ21に対するエアの供給および供給停止を行ってエアシリンダ21を作動させることにより、エアシリンダ21(切り替え機構14)に対して可動壁部13を傾斜姿勢および平行姿勢に切り替えさせる切り替え制御を行う。具体的には、制御部6は、両検出部5の双方から検出信号が出力されていない状態(検出部5による車両300の非検出状態)において切り替え機構14に対して可動壁部13を傾斜姿勢に維持させ、両検出部5の少なくとも一方から検出信号が出力されている状態(検出部5による車両300の検出状態)において切り替え機構14に対して可動壁部13を平行姿勢に切り替えさせる。また、制御部6は、図1に示すように、例えば、穀物倉庫100の外壁103に取り付けられる。
【0020】
次に、侵入防止装置1の設置方法について、図面を参照して説明する。
【0021】
図1に示すように、まず、穀物倉庫100の出入り口101前の地面200に、動物の侵入を防止すべき侵入防止領域102を設定し、次いで、侵入防止領域102を形成する境界線102a上に壁部材3aを並べる。この場合、車両300を出入りさせるための車両出入り用区間10aを除く区間に壁部材3aを並べる。続いて、連結部材3bを用いて各壁部材3aを連結する。次いで、固定壁部3の下端部31に形成されているボルト孔31aにアンカーボルト400を挿通させて締め込むことにより、固定壁部3を地面200に固定する。また、固定壁部3の穀物倉庫100側の端部を、穀物倉庫100の外壁103に固定する。これにより、境界線102aにおける車両出入り用区間10aを除く区間に固定壁部3が設置される。この場合、固定壁部3は、図3に示すように、上端部32が侵入防止領域102の外側に向いて地面200に対して所定角度θ(この例では、60°)だけ傾斜する傾斜姿勢に維持されている。
【0022】
続いて、図1に示すように、上記した車両出入り用区間10aにゲート部4を設置する。具体的には、図7に示すように、固定壁部3と可動壁部13とが連続するようにして、車両出入り用区間10aの地面200にゲート部4を載置し、次いで、図6に示すように、基体部11に形成されているボルト孔11aにアンカーボルト400を挿通させて締め込むことにより、基体部11を地面200に固定する。これにより、ゲート部4が設置される。この場合、同図に示すように、初期状態では、ゲート部4におけるエアシリンダ21のロッド21aが縮長しており、このため、ゲート部4の可動壁部13が傾斜姿勢に維持されている。
【0023】
続いて、各検出部を配設する。この場合、侵入防止領域102の外側におけるゲート部4から所定の距離(例えば1m程度)だけ離間した位置に第1検出部5aを配設する。また、侵入防止領域102の内側におけるゲート部4から所定の距離(例えば1m程度)だけ離間した位置に第2検出部5bを配設する。次いで、ゲート部4のエアシリンダ21に対するエア供給用チューブの接続や、制御部6と各検出部5との間の配線を行う。以上により、侵入防止装置1の設置が完了する。
【0024】
次に、侵入防止装置1の使用方法およびその際の侵入防止装置1における各構成要素の動作について、図面を参照して説明する。
【0025】
この侵入防止装置1では、上記したように、壁部10を構成する固定壁部3およびゲート部4の可動壁部13が傾斜姿勢に維持されている(図7参照)。したがって、例えば、ねずみ等の小動物が侵入防止領域102を通って穀物倉庫100内に侵入しようとしても、固定壁部3および可動壁部13を乗り越えることができないため、これらの小動物の侵入防止領域102内への侵入が阻止されて、この結果、穀物倉庫100内への小動物の侵入が確実に防止される。
【0026】
一方、この侵入防止装置1では、稼動状態において、制御部6が切り替え制御を行う。この切り替え制御では、制御部6は、第1検出部5aおよび第2検出部5bから出力される検出信号に基づいてエアシリンダ21に対するエアの供給および供給停止を行うことにより、切り替え機構14に対して可動壁部13を傾斜姿勢および平行姿勢のいずれかに切り替えさせる。具体的には、例えば、トラックやフォークリフト等の車両300が穀物倉庫100内に入るために、侵入防止領域102の外側からゲート部4に近付いて、図1に実線で示すように、その先頭部分が検出領域201内に位置したときには、第1検出部5aが検出信号を出力する。
【0027】
これに応じて、制御部6が、図外の電磁弁を制御してエアシリンダ21に対してエアを供給させる。この際に、図8に示すように、エアシリンダ21のロッド21aが伸長して、連結部13aを介してロッド21aの先端部に接続されている可動壁部13の上端部42が基体部11側(地面200側)に向けて押圧される。これにより、同図および図9に示すように、可動壁部13が回動させられて、傾斜姿勢から平行姿勢に切り替えられて、車両300がこの可動壁部13の上を通って(ゲート部4を通過して)侵入防止領域102内に入ることが可能となる。
【0028】
続いて、図1に破線で示すように、車両300が侵入防止領域102内に入り、その後部が検出領域201の外に出たときには、両検出部5からの検出信号の出力が停止する。これに応じて、制御部6は、電磁弁を制御してエアシリンダ21に対するエアの供給を停止させる。この際に、エアシリンダ21のロッド21aが縮長して、ロッド21aの先端部に接続されている可動壁部13の上端部42がエアシリンダ21側に引き寄せられる。これにより、可動壁部13が回動させられて、図6に示すように、平行姿勢から傾斜姿勢に切り替えられる。
【0029】
ここで、この侵入防止装置1では、制御部6が、上記した切り替え制御を行うことにより、車両300がゲート部4に進入する前の時点からゲート部4を通過するまでの間、可動壁部13が平行姿勢に維持される。このため、車両300がゲート部4に進入したときに可動壁部13が平行姿勢に切り替えられずに車両300が可動壁部13に衝突したり、車両300がゲート部4を通過する前に可動壁部13が傾斜姿勢に戻って可動壁部13が車両300に衝突したりして、可動壁部13および車両300が破損する事態を確実に防止することが可能となっている。また、制御部6が、上記した切り替え制御を行うことにより、車両300がゲート部4を通過した時点で可動壁部13が平行姿勢から傾斜姿勢に速やかに切り替えられる。このため、可動壁部13が長い時間に亘って平行姿勢に維持されることに起因する動物の侵入を確実に防止することが可能となっている。
【0030】
次いで、穀物倉庫100内から出た車両300が侵入防止領域102の内側からゲート部4に近付いて、検出領域201内に位置したときには、第2検出部5bが検出信号を出力し、制御部6が、エアシリンダ21に対してエアを供給させことにより、可動壁部13が傾斜姿勢から平行姿勢に切り替えられる。これにより、車両300がゲート部4を通過して侵入防止領域102外に出ることが可能となる。続いて、車両300がゲート部4を通過して検出領域201外に出たときには、両検出部5からの検出信号の出力が停止し、制御部6が、エアシリンダ21に対するエアの供給を停止させることにより、可動壁部13が平行姿勢から傾斜姿勢に切り替えられる。以下、制御部6は、切り替え制御を行うことにより、車両300の出入りに伴って可動壁部13を傾斜姿勢および平行姿勢に切り替えさせる。
【0031】
ここで、この侵入防止装置1では、制御部6が、上記した切り替え制御を行うことにより、壁部10の一部を移動させる煩雑な作業を行うことなく、車両300を侵入防止領域102に(つまり、穀物倉庫100に)出入りさせることが可能となっている。このため、車両300が頻繁に出入りする場合であっても、そのような移動作業が不要な分、作業効率を十分に向上させることが可能となっている。
【0032】
このように、この侵入防止装置1によれば、地面200に対して所定角度θだけ傾斜する傾斜姿勢と地面200に対して平行な平行姿勢とを切り替え可能に構成された可動壁部13と、所定の切り替え制御に応じて可動壁部13を平行姿勢および傾斜姿勢に切り替えさせる切り替え機構14とを有するゲート部4を備えたことにより、壁部10の一部を移動させる煩雑な作業を行うことなく、可動壁部13を平行姿勢に切り替えた状態のゲート部4を通過させて車両300を侵入防止領域102に(穀物倉庫100に)出入りさせることができる。このため、この侵入防止装置1によれば、車両300が頻繁に出入りする場合であっても、壁部10の一部を移動させる煩雑な作業が不要な分、作業効率を十分に向上させることができる。また、車両300が出入りした後に、移動させた壁部10の一部を元に戻す煩雑な作業も不要なため、戻し忘れに起因する穀物倉庫100内への動物の侵入を確実に防止することができる。
【0033】
また、この侵入防止装置1によれば、検出領域201内に車両300が存在しているときに車両300を検出する検出部5と、検出部5による車両300の非検出状態において切り替え機構14に対して可動壁部13を傾斜姿勢に維持させると共に、検出部5による車両300の検出状態において切り替え機構14に対して可動壁部13を平行姿勢に切り替えさせる切り替え制御を行う制御部6とを備えたことにより、車両300がゲート部4に進入する前の時点からゲート部4を通過するまでの間、可動壁部13を平行姿勢に確実に維持することができる。このため、車両300がゲート部4に進入したときに可動壁部13が平行姿勢に切り替えられずに車両300が可動壁部13に衝突したり、車両300がゲート部4を通過する前に可動壁部13が傾斜姿勢に戻って可動壁部13が車両300に衝突したりして、可動壁部13および車両300が破損する事態を確実に防止することができる。また、制御部6が、上記した切り替え制御を行うことにより、車両300がゲート部4を通過した時点で可動壁部13を平行姿勢から傾斜姿勢に速やかに切り替えることができるため、可動壁部13が長い時間に亘って平行姿勢に維持されることに起因する動物の侵入を確実に防止することができる。
【0034】
また、この侵入防止装置1によれば、基体部11に支持された下端部41を中心として回動可能に可動壁部13を構成し、基体部11の両端部に立設された支柱12に取り付けられて可動壁部13を回動させるエアシリンダ21で切り替え機構14を構成し、制御部6がエアシリンダ21に対するエアの供給を制御することによって切り替え制御を行うことにより、簡易な構成でありながら可動壁部13を傾斜姿勢および平行姿勢に確実に切り替えることができる。このため、侵入防止装置1を安価に構成することができると共に、構成が簡易な分、故障の発生を低く抑えることができる。また、基体部11の両端部に支柱12を立設させたことにより、車両300がゲート部4に進入する際の目印として支柱12を機能させることができるため、車両300の出入りをスムーズに行わせることができる。
【0035】
なお、エアシリンダ21によって13を回動させる構成例について上記したが、エアシリンダ21に代えてモータで可動壁部13を回動させる構成を採用することもできる。また、切り替えを指示する手動スイッチを、例えばゲート部4の近傍に配設して、その手動スイッチの操作(所定の切り替え制御)に応じて、切り替え機構14がエアシリンダ21を作動させて可動壁部13を回動させる(平行姿勢および傾斜姿勢に切り替えさせる)構成を採用することもできる。
【0036】
また、傾斜姿勢における固定壁部3および可動壁部13の傾斜角度を60°に規定した例について上記したが、傾斜姿勢は任意に規定することができる。また、傾斜姿勢における下端部31から上端部32までの高さが50cm程度となるように固定壁部3を構成し、傾斜姿勢における下端部41から上端部42までの高さが50cm程度となるように可動壁部13を構成した例について上記したが、これらの高さは、侵入防止の対象とする動物の大きさに応じて任意に規定することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 侵入防止装置
3 固定壁部
4 ゲート部
5a 第1検出部
5b 第2検出部
6 制御部
10 壁部
10a 車両出入り用区間
11 基体部
12 支柱
13 可動壁部
14 切り替え機構
21 エアシリンダ
32 上端部
100 穀物倉庫
101 出入り口
102 侵入防止領域
102a 境界線
200 地面
201 検出領域
300 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の出入り口前の所定領域を形成する境界線上に設置される壁部を備えて、前記建築物内への動物の侵入を前記壁部によって防止する侵入防止装置であって、
上端部が前記所定領域の外側に向くように設置面に対して所定角度だけ傾斜する傾斜姿勢で前記境界線における車両出入り用の所定区間を除く区間に固定設置されると共に前記壁部の一部を構成する固定壁部と、前記所定区間に設置されたゲート部と備え、
前記ゲート部は、前記傾斜姿勢と前記設置面に対して平行な平行姿勢とを切り替え可能に構成されて前記壁部における前記一部を除く他の部分を構成する可動壁部と、切り替え制御に応じて前記可動壁部を前記傾斜姿勢および前記平行姿勢に切り替える切り替え機構とを備えている侵入防止装置。
【請求項2】
前記ゲート部から所定距離の範囲内に前記車両が存在しているときに当該車両を検出する検出部と、
前記検出部による前記車両の非検出状態において前記切り替え機構に対して前記可動壁部を前記傾斜姿勢に維持させると共に、前記検出部による前記車両の検出状態において前記切り替え機構に対して前記可動壁部を前記平行姿勢に切り替えさせる制御を前記切り替え制御として行う制御部とを備えている請求項1記載の侵入防止装置。
【請求項3】
前記ゲート部は、基体部と当該基体部の両端部に立設された支柱とを備え、
前記可動壁部は、前記基体部に支持された下端部を中心として回動して前記傾斜姿勢と平行姿勢とを切り替え可能に構成され、
前記切り替え機構は、前記支柱に取り付けられて前記可動壁部を回動させるエアシリンダで構成され、
前記制御部は、前記エアシリンダに対するエアの供給を制御することによって前記切り替え制御を行う請求項1または2記載の侵入防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−285747(P2010−285747A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−137980(P2009−137980)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(593096387)株式会社イトウ精麥 (9)
【Fターム(参考)】